穂乃果「とうとう」 絵里「手に入れたわ」 (53)
――穂むら
海未「こんにちは、お邪魔します」
穂乃果「あ、海未ちゃんの声だ!」ドタドタ
ことり「穂乃果ちゃん、走ったら危ないよぉ」
希「相変わらず、穂乃果ちゃんは元気やね」
穂乃果「あれ、希ちゃんも一緒だったの!?」
海未「来る前に連絡しましたよ」
穂乃果「あ、あはは……見てませんでした」
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海未「道中で希と会ったので、私が誘いました」
希「幼なじみで遊ぶ、いうから遠慮したんやけどね」
ことり「全然大丈夫だよ」
穂乃果「うんっ。さ、二人ともあがってよ」
ことり「外、寒かったでしょ? お茶の用意するねっ」
海未「……ほら、言ったではありませんか」
希「そうやね……」
穂乃果「今日はお団子をどうぞっ」
海未「あまり食べてばかりでは、またダイエットするはめになりますよ?」
穂乃果「だ、大丈夫だもん!」
ことり「はい、希ちゃんのお茶」
希「ありがとーね」
海未「まったく……ほどほどにしてくださいね」
穂乃果「わかってるよぉ……」
穂乃果「ところで、希ちゃん。今日は何してたの?」
海未「あ、私も気になってました」
希「うち? ほら、今日はいいお天気やったやん?」
ことり「ちょっと風が冷たかったけど、日向はぽかぽかしてたよねぇ」
希「そうなんよ。だからお散歩してたんや」
穂乃果「お散歩?」
海未「神社にいたのも、お散歩ですか?」
希「まぁ、そんなところ」
穂乃果「神社って……神田明神?」
希「そうや」
ことり「でも、神社ならほとんど毎日行ってるんじゃない?」
希「うん。でもそれは、巫女さんのお手伝いやったり、練習やったりやん?」
穂乃果「そう言われると……」
海未「高校の合格祈願や初詣には行きましたが……」
希「そう。普段何気なーく行くことってないと思うんよ」
ことり「たしかに、用もなく神社には行かないかも」
希「いつもと違う目線で拝んでみるのも、ええもんや」
穂乃果「そうなんだぁ……」
希「おや、穂乃果ちゃんにはちょっと退屈やったかな?」
穂乃果「そ、そんなことないよっ」
海未「幼い頃の穂乃果は、神田明神を遊び場だと思っていましたからね」
ことり「そうそう。階段をじゃんけんしながら上ったり」
希「そんなことしてたん?」
穂乃果「あー、あったね、そんなこと。だいたい海未ちゃんがビリだったよね」
海未「そうでしたか?」
希「なんか、想像できるかも」
海未「希まで……」
穂乃果「海未ちゃんは顔にでるタイプだからねぇ」
ことり「うんうん、修学旅行のときも……」
海未「修学旅行……?」ピクッ
穂乃果「ことりちゃん!」
ことり「……あっ」
海未「詳しく、聞かせてもらえますね?」
希「修学旅行でなにかあったん?」
ことり「台風で外に出られないから、ババ抜きをしてたんだけど……」
穂乃果「海未ちゃん、表情でババ持ってるのわかるから……」
希「あぁ……なるほど」
海未「あなたたち、言わせておけば……」
希「海未ちゃん、落ち着いて」
海未「なんなら、希も含めて勝負しましょう!」
希「えっ」
穂乃果「き、聞いた? ことりちゃん」
ことり「う、うん……」
穂乃果「カードの扱いなら右にでるものはいないというのに」
希「うちが使ってるんはタロットや」
ことり「海未ちゃん……それは自殺行為だよ……」
希「ちょ、うち、トランプはあんまり……」
海未「だからこそです!」
希「無視せんといて……」
海未「私に敗因があるとすれば、それは顔にでるということ。それさえ注意すれば……」
希(それだけなんやろか)
穂乃果「海未ちゃん、昔からこういうゲームには弱いんだよ」ボソッ
希「そうなんや」コソッ
ことり「ぜんぶ表情でわかるしね」コソコソ
海未「なにをしているのです! さぁ、勝負です!」
――
海未「なんで……」
ことり「……」
海未「です……」
穂乃果「……」
海未「かっ!」グシャ
希「海未ちゃん、カード折ったらあかん」
海未「むしろ、何故皆さんは表情を変えずにできるのですか!」
ことり「そういうゲームだもん……」
穂乃果「そうだよ……」
海未「納得がいきません」キッ
希「こ、こっちを睨まんといて?」
海未「なんだかんだ言っておきながら、希は一番であがりでしたし」
希「そ、それはたまたまや」
海未「罰としてなにか話してください」
希「え、なんの罰?」
海未「一あがりの罰です」
希「それこそ納得いかへんよ」
海未「では、穂乃果の恥ずかしいことでも構いません」
穂乃果「穂乃果が構うよ!」バンッ
希「それならええよ」
穂乃果「よくないよ!」
ことり「わぁい、楽しみ!」
穂乃果「ことりちゃん!?」
希「そうやなぁ……この間穂乃果ちゃんが泊まりに来たときの話でもしよか」
穂乃果「ちょ、希ちゃん!?」
希「穂乃果ちゃん、なかなか寝相悪いやろ?」
ことり「合宿の時も、崖から落ちかけてたんだっけ……」
海未「どういう風に眠っているのか気になりますよね」
希「今度カメラでも仕込んでおこうか」
穂乃果「やめて!」
雪穂「お姉ちゃーん」ガラッ
穂乃果「雪穂? どうしたの?」
雪穂「あ、皆さん。こんにちは。下に絵里さん来てるけど」
希「えりちが?」
穂乃果「……あれ、なにか約束してたっけ?」
希「いや、そんなことなかったと思うんやけど」
雪穂「あがってもらう?」
穂乃果「うん。そうだね。穂乃果も下に行くよ」
穂乃果「絵里ちゃーん」
絵里「あら、穂乃果」
穂乃果「お、亜里沙ちゃんも一緒だっ」
亜里沙「こんにちは、穂乃果さんっ」
穂乃果「こんにちは。今日はどうしたの?」
絵里「どう、って、普通にお客として来たのよ」
穂乃果「そうなの?」
絵里「ええ、亜里沙と散歩してて、近くを通りかかったから」
穂乃果「絵里ちゃんもお散歩?」
絵里「私も?」
亜里沙「ねぇねぇお姉ちゃん。少し、雪穂と遊んで行ってもいい?」
絵里「そうね……いいかしら、穂乃果」
穂乃果「全然大丈夫だよ! ほら、絵里ちゃんもあがってよ!」
穂乃果「絵里ちゃんの登場ですっ」ガラッ
ことり「わーっ」パチパチ
海未「こんにちは、絵里」
希「えりちー! 今日もかわいいよー!」
絵里「……なにこのテンション。特に希」
希「だめやった?」
絵里「だめとは言わないけど……」
絵里「それより、希はどうしてここに?」
希「散歩してたらな、弁天さんにお誘いされたんよ」
絵里「弁天さん?」
海未「それは……私のことですか?」
希「そうや」
絵里「? よくわからないけど、希も散歩してたのね」
希「てことは、えりちも? せやったら誘えばよかったかなぁ」
絵里「そうかもしれないわね」
希「でも、こうして巡り会えたんやし、ええんやない?」
海未「……!」 ピクッ
ことり「……来る」
海未「ええ」
穂乃果「? どうしたの、二人とも」
「こんにちはー!」
「わわっ……凛ちゃん、声大きすぎるよぉ」
海未「凛!」ガタッ
ことり「花陽ちゃんっ」ガタッ
穂乃果「」
絵里「よ、予知!?」
希「スピリチュアルや……」
海未「私の凛の登場です!」
ことり「ことりの花陽ちゃんも一緒だよ!」
凛「その言い方は恥ずかしいにゃ……」
花陽「そうだよ、ことりちゃんっ」
海未「ですが、事実ですし」
ことり「花陽ちゃんは、いや?」
花陽「そんなことっ……ない、です」
希「だんだん賑やかになってきたなぁ」
絵里「そうね、メンバーのうち7人も」
穂乃果「部屋が狭くなってきた……」
絵里「それなら、私はもう帰ろうかしら」
希「えー?」
穂乃果「それじゃつまんないよぉ」
希「せやで。まだお日さまも高いんやし」
絵里「そうかしら……」
「穂乃果ー!」
穂乃果「あれ、お母さんだ。どうしたんだろう。ちょっと行ってくるね」トタトタ
海未「凛、それは新しいスカートですか?」
凛「うん、そうだよ! どうかな?」クルリン
海未「す、素敵です!」ギューッ
凛「んっ、海未ちゃん、苦しいよぉ……」
ことり「花陽ちゃーん、はい、あーんっ」
花陽「あ、あーん……うんっ、おいしいねっ」
ことり「お茶もどうぞっ」
絵里「皆……行動が自由ね……」
希「……」モジモジ
絵里「希?」
希「うちも……」
絵里「?」
希「……ん」ギュッ
絵里「……ふふ、どうしたの?」
希「やっぱり、えりちの手、あったかいなぁ」
絵里「そう? 希の手も、あたたかいわよ」
にこ「……なに」
真姫「この空間……」
希「きゃっ」
にこ「……希?」
希「な、なんでもないっ」
真姫「希、あなた今……」
希「なにも言わないでっ」
絵里「落ち着きなさい、希」
希「だって……あんなん見られたら、恥ずかしい……」
真姫「まったく……なんだっていうのよ」
絵里「ほら、希って案外乙女だから」
希「えりちっ」
穂乃果「あーっ、絵里ちゃんに希ちゃん! なに二人でいちゃいちゃしてるのさっ」
希「穂乃果ちゃん、これは違うんよ!」
海未「まったく、人様のお宅で騒がしいですよ」
凛「そうにゃそうにゃ」
にこ「あんたこそ、凛を膝に乗せてなにしてんのよ」
海未「私たちのことは気にしないでください」
ことり「それより、二人はどうしてここに?」
真姫「どうしてって、たまたまよ。小腹が空いたから寄っただけ」
花陽「にこちゃんといっしょに?」
真姫「そ、そうよ! 悪い?」
ことり「そんなこと言ってないよぉ……」
にこ「真姫ちゃんも落ち着いて。お買いものしてたら、あがっていくように言われたのよ」
ことり「そうだったんだー」
花陽「それにしても、休みなのにみんなそろっちゃうなんて」
希「まるで運命やねっ」
真姫「強引に入ってきたわね……」
にこ「ほんと、希は恥ずかしがりやよね」
希「う、うちは、にこっちたちみたいにところ構わずなのはいけないと思うんや!」
にこ「ちょっと、だれがところ構わずよ」
真姫「そうよ、それには訂正を求めるわ!」
穂乃果「ねぇ絵里ちゃん! 希ちゃんとなにしてたの!?」
絵里「な、なにもしてないわ!」
海未「二人で手を握りあって」
凛「見つめあってたにゃ」
絵里「ちょ、あなたたち!」
穂乃果「ぅ絵里ちゃん! 二人で勝手に花園作っちゃだめって言ったじゃん!」
絵里「ほ、穂乃果? それは誤解よ。ねぇ、ことり!」
ことり「花陽ちゃんあったかーい!」ギュッ
花陽「やっ、ことりちゃん。くすぐったいよぉ……」
絵里「」
穂乃果「絵里ちゃん……」ジトッ
絵里「の、希! 早く私を助けて!」
雪穂「お姉ちゃん、うるさい!」バァンッ
亜里沙「お姉ちゃんもだよっ」
穂乃果「」
絵里「」
雪穂「私の部屋まで筒抜けだよ!?」
亜里沙「人のおうちで騒いじゃだめって教わったでしょ!」
希「おや、妹たちに怒られるなんて」
亜里沙「希さんもです」
希「」
雪穂「っていうか、皆さんうるさいですよ!」
海未「だから言ったじゃありませんか」
亜里沙「海未さんの声もばっちり聞こえてます!」
海未「」
雪穂「あんまりうるさくするなら外で遊んでください!」
ことり「でも、外寒いよ?」
亜里沙「花陽さんといればあったまるんじゃないですか?」
花陽「! さ、さすが亜里沙ちゃん! ことりちゃん、行こっ」
にこ「なに口車に乗せられてるのよ……」
雪穂「にこさんも、とっても熱いので大丈夫だと思いますよ」
にこ「……そ、そう?」
真姫「にこちゃん……」
にこ「に、にこはー、お外で遊びたいかなぁ、って」
真姫「はぁ……いいわ。ほら、行きましょう」ギュッ
にこ「うんっ」
凛「……」ウトウト
海未「凛?」
凛「ん……」
海未「りーん。皆、外に行くみたいですが、どうしますか?」
凛「……にゃ? お外?」
海未「はい」
凛「凛も行くにゃっ」
海未「ええ……ほら、せっかくのスカートが皺になってますよ」パンパン
凛「ありがと、海未ちゃん。さぁ、いっくにゃー!」
穂乃果「……えっ」
希「みんな行ってしまったね」
絵里「私たちはどうする?」
雪穂「あのー」
穂乃果「どうしたの、雪穂?」
雪穂「私、亜里沙とゆっくりしたいから、皆さんも外に出てくれると……」
亜里沙「ゆ、雪穂っ。そんな言い方しちゃ……」
希「……ほぉ」ジトッ
絵里「あの、亜里沙が……」
穂乃果「も、もうそんな仲だったの……?」
亜里沙「ほらぁ!」
雪穂「え、なに?」
穂乃果「う、うん。お姉ちゃんは、それでもいいと思う、よ」
絵里「は……はらしょー」
希「そういうことなら、うちらがいたらやぼやんな」
希「ほら、えりち、穂乃果ちゃん。外行こか。皆待ってるんやない?」
絵里「わ、わかったわ……雪穂ちゃん、これからも亜里沙をよろしくね」
雪穂「え? あ、はい」
穂乃果「くれぐれも、むりやりはだめだからね」
雪穂「なにが?」
亜里沙「穂乃果さん!」
穂乃果「あはは、冗談だよ。じゃあ、行ってくるね」
絵里「まさか、二人がもうそんなに進展してたなんて」
穂乃果「びっくりだよねぇ」
希(雪穂ちゃんの反応からして誤解なんやろうけど、だまっとこ)
凛「あ、やっと来たにゃ!」
にこ「遅いわよ、あんたたち!」
希「なんや、にこっち。えらく楽しそうやん」
にこ「ち、違うわよ。このにこを待たせるなんて……」
凛「にこちゃん、照れてるにゃ?」
花陽「凛ちゃん、あんまりからかっちゃだめだよぉ」
海未「そうですよ。事実を指摘してはにこが恥ずかしがるのも当然です」
真姫「まったく……にこちゃんはわかりやすいんだから」
ことり「ふふ、そういう真姫ちゃんもだけどね」
希「……」
穂乃果「希ちゃん?」
絵里「どうしたの?」
希「ん。ううん。うち、μ’sに入ってよかったなぁって思って」
絵里「どうしたのよ、急に」
希「みんなといるのが、楽しいんよ」
穂乃果「穂乃果も、楽しいよ!」
絵里「私もよ」
希「二人とも……」
絵里「希」
希「えりち?」
絵里「これからも、私たちは一緒よ」
穂乃果「穂乃果もいっしょ!」
希「あ、ありがと……なんか照れるなぁ……」
にこ「ほら、あんたたちも早くしなさいよ!」
希「ふふ、にこっちっ」
にこ「な、なによ……」
希「みんなも!」
海未「どうしたんですか?」
希「これからも、うちのこと、よろしくな!」
――終わり
遅くなりましたが、スクフェスイベント終了記念でした。前作→絵里「のんたんと」 穂乃果「のぞみん」
スピリチュアル方面に疎いので、ストーリーの続き的な感じになりました。
今回でイベント関連は一周した(はず)なので、そのまとめも兼ねてるつもりです。
読んでくれた方々、ありがとうございました。
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