だれか書いてくれ
面白そうなので無責任に乗っ取らせてもらう。
吉良「そうか……僕は吉良……いや、吉野吉明という者だ」ニコッ
雪子「そうですか……失礼ですが、吉野様、ご予約のほうはされておりますでしょうか?」
吉良「いや……すまない。変に思われるかもしれないが、記憶がないんだ。気が付いたらここに居た」
吉良(下手にうそをつくとぼろが出る。あえて真実を話すことで、相手の協力を取り付けたほうが良いだろう。僕が最初にすべきことはまず現状把握。どのようなスタンド攻撃によるものかは知らないが、おそらくこの『世界』は僕が居た場所とは違う世界だ)
雪子「! まさか……マヨナカテレビ……」
雪子(この人も殺人犯に……テレビの中に放り込まれた……?)
吉良「マヨナカテレビ?」
雪子「い、いえ。それより、意識を失っていたんですよね。すぐ病院のほうに……」
吉良(まずい……! 病院などの公的機関に立ち入ることはできない……。川尻浩作の身分を手に入れたところで、僕はこの世界には『いない』はずの人間なのだから)
吉良「待ってくれ! その……詳しい事情は明かせないが、病院や警察に行くことはできないんだ」
雪子「え……でも……」
吉良(そりゃあそうだろう。怪しむだろうな。しかしこの場を乗り切るには……)
吉良「マヨナカテレビ……やはり、聞き覚えが……」
吉良(一か八か、ハッタリにかけるしか……! ダメなら最後の手段に出るか……この世界でスタンド発現が出来るかどうかも怪しいが……)
雪子「! あなたやっぱり、テレビの中に……?」
吉良(食いついた!)
雪子「やっぱり、記憶がないんですよね……? テレビの中に放り込まれる前後の……」
吉良「あ、ああ……」
吉良(テレビの中に!? な、何を言っているんだ? まさか、マンインザミラーと同じような、物質の中に人を取り込む能力の持ち主が……?)
雪子(どうしよう……確かに、病院でも警察でもまともに取り扱ってくれるわけないし……)
吉良「じゃあ、僕はあのテレビから……?」
吉良はスッと居間の角際にあるテレビを指さした。
雪子「……はい、おそらく」
吉良(やはり、そいつは人間をテレビの中に出し入れする能力を持っている……?)
女将「雪子ー、ちょっとこっち手伝ってくれる?」
雪子「あ……! はーい! すみません、少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」
吉良「ああ、分かった。君はこの旅館の……?」
雪子「はい、天城屋旅館の娘です。あっ、吉野様すみません、自己紹介が遅れてしまって……天城雪子と申します」
吉良(随分と礼儀正しい子なんだな……)
吉良「いや、いいよ。それに僕は客じゃない。様づけはいらない。適当に待たせてもらうよ」
雪子「では、また後ほど……」
雪子(どうしよう。鳴神君たちに連絡した方がいいよね……)
吉良(手……綺麗だったな……)
吉良(いや、待て。まずは現状把握だ。余計なことを考えている暇はない。)
吉良(この現象を他人によるものだと仮定すると、推理小説と同じようにいくつかの謎が順に浮かび上がってくる)
吉良(フーダニット『誰が』、ホワイダニット『なぜ』、ハウダニット『どのように』)
吉良(推理小説で重要なのは殺害方法。つまり、ホワイダニット。しかし、これはスタンド能力によっていくらでも説明がつく)
吉良(僕にとって我慢ならないのは、せっかく手に入れた『平穏で静かな暮らし』を脅かす糞野郎がいるってことだ)
吉良(したがって、重要なのはフーダニット。見つけ出し次第、僕のキラークイーンで殺す……!)
吉良(次に、ホワイダニット。その糞野郎は一体『なぜ』僕をこの世界に呼んだのか……?)
吉良(最後に、『マヨナカテレビ』という謎のスタンド能力。)
吉良(天城は言っていた。『放り込まれる』と。また、僕がテレビから出てきたのかという問いに対しても返答は『yes』)
吉良(しかし、妙だ……)
吉良(『前後の記憶がない』と言っていた。強いショックを与えて昏倒させ、その後テレビに放り込む……?)
吉良(なぜそのような手間がかかることをするのか。ただ単純に『殺す』ことを目的としているのであれば、テレビを使う必要はない)
吉良(仮に『テレビを抜ける際の衝撃』で記憶が一部消し飛ぶのだとしても……)
吉良(一般人相手にはスタンドの単純な力だけで十分のはず)
吉良(それが『できない』理由はなんだ? 放り込む『メリット』はなんだ?)
鳴神⇒鳴上ね。おk
吉良(導き出される結論としては、おそらく『異空間での殺人』ということ)
吉良(完全犯罪にはもってこいの能力だ。おそらく死体も残らない)
吉良「その能力、僕が欲しいくらいだ……」
雪子「何が欲しいんですか?」
吉良「おおおお水欲しいなぁー! のど渇いちゃって僕!」
雪子「あ、ちょうどご用意させてもらったんですけど……緑茶でよろしかったでしょうか?」
吉良「いい! エクセレント! いや、申し訳ない」
雪子「いえ、こちらこそおもてなしするのが遅れてしまい申し訳ありません」
吉良「ははっ……ふぅ……」
吉良(平常心だ。吉良吉影……!)
雪子「あの……実は私この事件を任意で捜査しているんです」
吉良「『事件』……?」
雪子「はい。ご存知ですよね? 山野アナが殺された事件……」
吉良「あ、ああー……山野アナね。ごめん、ちょっとわかんないな……あんまりテレビとか見なくて……」
雪子「……もしかして、この町に在住の方ではないのでしょうか? 失礼しました」
吉良「ああ、いや……はは。どうやら遠くまで飛ばされちゃったみたいでね……」
雪子(となると……八十稲羽以外でも事件は起こっている……?)
吉良(天城の顔つきが変わった。……僕に不信感を抱いている……?)
雪子「テレビの中で死ぬと……現実世界でも、死ぬんです」
吉良「なんだって……?」
雪子「マヨナカテレビ。私たちはそう呼んでいます。不思議な力を持った犯人が、このテレビを使って殺人を犯しているんです……」
吉良「いや、ちょっと待ってくれ。どうもおかしい」
雪子「はい……?」
吉良「どうも君は『知りすぎている』んじゃないかい? 実際に犯人を目の当たりにしないと能力の説明なんかできやしない」
吉良「確信をもって『向こう側で死ぬと現実でも死ぬ』と言ったが、それはどうしてわかったんだ?」
雪子「実は……私も一度テレビの中に放り込まれて」
吉良「なんだって……!?」
雪子「それ以外にも、テレビの中に住んでいる人物との目撃情報を照らし合わせると、そういう結論になりました」
吉良「待ってくれ……まず、放り込まれたら死ぬんじゃないのか?」
雪子「いえ……テレビの中には『シャドウ』という怪物がいて、そいつらに襲われて殺されると、現実世界でも死んでしまいます」
吉良「……」
吉良(そいつ『ら』というからには相手は複数存在するのだろう)
吉良「テレビの中に住んでいる、というのは……?」
どうでもいいがマンインザミラーは部が違うぞ
雪子「……実際に見てもらった方がよろしいかもしれません」
雪子は携帯を取り出すと、『鳴上』という人物に連絡を始めた。
~~
>>27 5部なんだよなー! と思ったけど、説明しやすかったからつい。てへぺろ☆
クマ「クマはクマくまー!」
吉良「……」
吉良(頭が痛い……なんなんだこの謎生物は……)
花村「何をクマクマ言ってんだよお前は! なんも伝わんねーだろそれじゃ!」
鳴上「この方が……?」
雪子「そう。吉野さん」
鳴上「はじめまして。鳴上悠といいます」
吉良「あ、ああ……よろしく」
花村「俺は花村陽介です。んで、このクマクマ言ってるのが『クマ』っていう謎生物」
クマ「謎じゃないクマ! でも……クマはどこからきたのか分からんクマよー、およよー」
千枝「はじめまして!」
完二「よろしくっす」
りせ「よろしくお願いしまーっす!」
直斗「どうも」
吉良「ああ、どうも……」
吉良(な、なんだこいつ等……いきなり増えられても困るぞ……)
直人「それで、あなたは気が付いたら天城屋旅館の居間で倒れていた……と」
吉良「ああ……」
直人「本当にテレビの中での記憶はないのですか?」
吉良「ないな……残念ながら」
直人⇒直斗
直斗「そうですか……失礼」
直斗(情報量が少なすぎる……収穫は望めそうにないな)
直斗「いえ、しかし探偵たるものこうした地道な聞き込みが……」
花村「何を一人でぶつぶつ言ってるんだ?」
吉良「それより……本当に中に人が入ってるんじゃないんだろうね」
クマ「んー? 確かめちゃう? 恥ずかしいクマー」
花村「どうせからっぽだろうが!」
鳴上「……ほら」
鳴上の手によって、クマの胴体と頭が分割された。
吉良「凄いな……」
吉良(本当に空洞だ。この生物は一体なんなんだ……?)
クマ「もういいクマー?」
吉良「ああ……悪かった、疑って……」
クマ「良いってことクマよ、困ったときはお互い様クマー」
吉良(彼らの情報によると、何者かがターゲットをテレビに入れて、シャドウとやらに襲わせることで殺害している)
吉良(そして現実世界においては変死体となって発見される……)
吉良(これは人の生死に関する整合性を取るため、矛盾が発生しないように設けられているシステムなのだと考える)
吉良(また、クマの話によるとテレビの中の世界は『ずっと』あった。と言っている。期間は分からないが……)
吉良(さらに、彼らは何度もテレビに出入りしているという。つまり、こちらの自由意思で出入りが可能であるということ)
吉良(……相手のスタンド能力だとすると、妙だ。能力と呼ぶにはあまりにも雑で不可解な点が多すぎる)
直斗がいて中身がないクマだと……
>>41 時系列が迷子になったクマー、およよー
吉良(……スタンド能力ではないのか?)
吉良(マヨナカテレビとは、敵のスタンド能力とは無関係に存在する独立したフィールドのようなもの……?)
鳴上「……あの」
吉良「ああ、悪いね。ボーっとしていた」
鳴上「無理もないと思います。それで、もう今日はお休みになられた方がよろしいんじゃないかと思いまして」
吉良「うん……そうさせてもらうよ」
鳴上「あの、失礼ですがお住まいのほうは……?」
吉良(まずい……! 今更だが、住所不定無職で妻子に逃げられホームレスという設定にでも変更するか……!?)
雪子「鳴上君。実は、吉野さんは記憶の混乱が酷くて、住んでいた場所も思い出せないみたいなの」
完二「まじすか! 大変っすね!」
吉良(無駄に声でかいなコイツ)
雪子「だから、今日は天城屋旅館に泊まっていってください」
吉良(住んでいた場所に言及した覚えはないが……せっかくだから好意に甘えるとしよう)
吉良「すまない……お世話になるよ。お金は後で払う」
雪子「いえ、この天城屋旅館の名にかけてそのようなことはできません」
千枝「ひゅー! 雪子かっこいいー!」
雪子「こら、ちえ……からかわないでよ」
吉良(……何が目的だ……?)
鳴上「じゃ、ひとまず僕たちはこれで失礼します」
吉良「ああ……また何か思い出したら君たちに連絡するよ」
鳴上「よろしくお願いします。では」
~~
雪子「お部屋のほうは二階に上がられてすぐのお部屋となっております。ご案内します」
吉良「ああ、悪いね……」
吉良(どのタイミングで聞くのがベストだ……?)
雪子「すみません、差し出がましい真似をしてしまって……」
吉良(向こうから来た! これはありがたい……)
吉良「いえ、あのような嘘をつかせてしまって申し訳ありません」
吉良(それにしても本当に綺麗な手だ……雪のように白く、滑らかで……おっと、いかんいかん)
雪子「きっと何か事情があるのだと思って……」
吉良「事情が……」
雪子「?」
吉良「事情があれば、見逃すのかい?」
吉良(……おい、待て。俺は一体何を……)
吉良「例えそれが犯罪者でも?」
吉良(よせ……! 一体俺はどうしたというのだ……! 言うなっ!)
吉良「稀代の殺人鬼でも……?」
雪子「……」
雪子「えっと……」
雪子「事情によると思います」
吉良「……」
吉良「……」
吉良「……くくっ」
吉良「はははっ! いや、ごめん……冗談だよ冗談。悪い癖だ……」
雪子「なんだ、ちょっとだけびっくりしちゃいました……」
吉良「驚かせて済まない。こっちは至れり尽くせりの身だというのに……どうやら『事件』のせいで感情も混乱しているようだ」
雪子「私も……、あのときは、友人に酷いこといっぱい言っちゃったりしたので、気持ちは分かります」
雪子(千枝……。私も誰かを支えるぐらい、ちょっとは強くなるから)
雪子「あ……、こちらの部屋になります。どうぞ、ごゆっくりお休みください」
吉良「ああ……ありがとう」
パタン。
吉良「」
吉良(優しい子だ)
吉良(そして強い)
吉良(雪のように儚げで、美しい……)
吉良(君を……)
吉良(いや、考えるな……)
吉良(君を……コロ……)
手。綺麗な手。
吉良「ふっ……ふはは!」
吉良(分かってもらおうとしたな! 吉良吉影ッッ!!! 正当化されようとしたなッッ!? なんという軟弱な……ッ! なんという脆弱な精神ッッ!)
吉良(許されざる罪を、その衝動を! 折り合いをつけて生きると決めた癖「人殺し」を!)
吉良「……」
吉良(なんというエゴイズム……ッッ!)
吉良(君を殺したい……!)
吉良(君を殺したくない……!)
吉良(余計なことを考えるな……)
気づいてはいけない。
何に?
吉良「明日は、爪切りと定規を借りよう……」
>>アルカナは「死神」or「刑死者」かな……
ごめん疲れちったよ。誰かギャグ方向に修正しといてくれさい
だが断る この俺が一番好きなことは誰よりも実力があるのに他の人間に手を貸してもらおうとする奴にnoと言って突き放してやることだ!
| 三_二 / ト⊥-((`⌒)、_i | |
〉─_,. -‐='\ '‐<'´\/´、ヲ _/、 |
|,.ノ_, '´,.-ニ三-_\ヽ 川 〉レ'>/ ノ 構わん、書け
〈´//´| `'t-t_ゥ=、i |:: :::,.-‐'''ノヘ|
. r´`ヽ / `"""`j/ | |くゞ'フ/i/
. |〈:ヽ, y ::::: ,. ┴:〉: |/
. \ヾ( l ヾ::::ノ |、
! >ニ<:| 、;;;;;;;;;;;;;,. /| ___,. -、
| | !、 .| | ( ヽ-ゝ _i,.>-t--、
ヽ| | ヽ\ _,..:::::::. / .| `''''フく _,. -ゝ┴-r-、
..|.| | :::::ヽ<::::::::::::::::>゛ |_ _,.-''"´ / ̄,./´ ゝ_'ヲ
..| | | _;;;;;;;_ ̄ ̄ |  ̄ ̄ / _,. く / ゝ_/ ̄|
:.ヽ‐'''!-‐''"´::::::::::::::::: ̄ ̄`~''‐-、_ / にニ'/,.、-t‐┴―'''''ヽ
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\  ̄\―-- 、 _::::::::::::::::::::__::/ / /  ̄ ) ノ__'-ノ
\ \::::::::::::::`''‐--‐''´::::::::::/ / / / ̄ rt‐ラ' ̄ ̄ヽヽ
ヽ ヽ\ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ / ゝニ--‐、‐ |
l ヽヽ \:::::::::::::::::::::::::::::::/ /‐<_ ヽ |ヽ
_ノ|_/l
__,,/lll _, ----`ヽ :.
:. / _ ___ lll 、\
「/ . illl \ \\ :.
:. ,'./ lll /ヽへヽ:.llll ヽ:.:.. ヽ.ヽ
,'/ / .ャヽ 、ヽ:..:.:.:. ヽ::lll..ヽヽ :.
:. |i .i illll.i ! /\、 |/\、:.:.:. ',:.',:.:.lヽ}
:. |i∧ ', :{ ,ィjモト \ イjミトイイv :.
.| :メヽ.', `ozz} izn。ハ::{
:. | :ヾ_! ゝ "゙゙ ' `゙ ハ.:', :.
:. / rィイ┃||(|`` >r/`<.=キキヽ、\:.
/ ∧l;l.┃||(.ー.//{二 ̄ .} //ハハハ.:\
:. / .{. xxxxiキ:{ /(^` |.:.:.:./〉xx)}:: . ヽ.:.
/ /lll)ヽー- ,.ハヘ= ヤ:{ ∧/xxxxx|:.:.lli! i',
./ .,イ .:..} <i l7:ヾレ'ハ ∧__ノノハ`ー- -、l:.:.: .ハ ',
v | .:.:/:.:|_,ィ' ̄ ヽ三{`=ー-ノ l <) )/:.:i.:{ リ
ヽ:.:{、.:.vヾゞ |i!: ヘ || | irャ<i/、:∧|
ヽ! )人、\_r、||ii:, ハ/ | ヽ `=/ノ\ :.
" ヽ`==='ii/イ{/ハ ! ./ (_,) .\ :.
:. \__/ \_l_l___/ ○ ヽ
rイ ,ノ ○ ○ / o__ト、
:. /. ヾ=、 ○ r―┴―==/ 〈
/o::`y;{.i^「 ̄ ̄i^!::o[二二二二):: .:|i
~junes~
♪エヴィデーヤンライフ、ジュネス~
りせ「ねぇ、悠先輩。あの人大丈夫なのかな」
鳴上「ああ……吉野さんのことか?」
>>61-64 イキリタツ!!!
りせ「なんか怪しいっていうか……事件の前後の記憶どころか、色んなこと忘れちゃってて……おかしくない?」
りせ「こう、論理的に説明しろって言われたら難しいけど……」
鳴上「……一応、頭に入れとくよ」
花村(りせちーの勘はよく当たるからな……あんま不吉なこと言わないでほしいぜ……)
直斗「……」
完二「直斗どうした?」
直斗「ああ、いえ……ちょっと考え事を」
完二「そ、そうかよ……あんま一人で考え込むなよな」
直斗「完二君……」
ななこ「junes大好き―!」
鳴上「お兄ちゃんもjunes大好きー!」
ななこ、鳴上「「エヴィデーヤンッライフ、ジュ、ネ、ス!!」」
千枝「うわぁ」花村「うわぁ」
雪子「お待たせ……あら、今日は菜々子ちゃんも一緒? お兄ちゃんと一緒にjunes楽しいねー」
ななこ「うんっ! ななこjunes大好きー!」
鳴上「お兄ちゃんは菜々子が大好きー!」
千枝「うわぁ」花村「うわぁ」りせ「先輩……うわぁ」
クマ「ナナちゃん、ボクのことはー?」
菜々子「あ、クマさん! クマさん好きー!」
クマ「うぇっへへ、うぇっへへ」
番長「おいクマちょっとオモテデロ」
/爻爻爻爻爻爻爻 :ヽ
'´爻爻爻爻爻爻爻爻: : | si1sv8fm
爻爻爻爻爻爻爻爻シ: : | おめえ…なんか
爻爻爻爻爻爻爻シ : : /,_ヽ
爻爻爻爻爻シ : : : : : ヘl,b) ヽ、 ちょっぴりカッコイイん
爻爻シ: : : : : : : : : :/ ゙<,,__ \ じゃあねーかよ…
ミ_ : : : : : : : :_;:-'゙,..-フ \( ヽ ,.ヽ
ミミミミミミー'"´,.-彡//'r ー''゙ノノi ヽ
ミミミミミミミ-、v _,レシノ !ノ ノ ヽ
ミミミミミミミミく  ̄ ノ
`''-ミミミ三三三 ,/
`( r'''ヽ、,.--r-、___,. -'',゙、|、
ヽ-ニ二-‐'ー',.=、,=r''゙ |: :ヽ
/: : : : : : : :ヽ: : : : : \__ノ: `´: : : :
千枝「そんで? 雪子、吉野さん……だっけ? どうすんの?」
雪子「うーん……しばらくの間、旅館に居てもらおうと思ったのよ」
雪子「でも、やっぱり気が引けるみたいで、記憶が戻るまで旅館の手伝いをするって申し出てくれたんだけど……」
千枝「あー……なるほど」
>>72 アリガトクマー
完二「まぁ、老舗っすからね……」
鳴上「どういうことだ?」
花村「あー、所謂『ありがた迷惑』ってやつね……善意でやってくれる分、余計に性質が悪いッつーか……はは」
雪子「言いにくいけど、実際そうなの。でも、本人の意思を尊重したいし……」
鳴上「なるほど。じゃあ陽介」
花村「なによ相棒」
鳴上「おまえん家に居候させるっていうのはどうだ?」
花村「おいおい、マジで言ってる……?」
クマ「クマー?」
千枝「あ、そっか……花村んとこにはもうクマが」
鳴上「だめか……?」
花村「いや、そんな子犬じゃないんだからさ。ポンポン引き取れるわけねーっつー……」
千枝「でも、一人増えたら二人になっても同じじゃん?」
花村「いやいやだけどさ」
千枝「いーじゃん、お店手伝ってもらえば」
鳴上「頼む」
花村「はぁ……ま、しゃーねーか。天城にばっか負担かけるわけにもいかねーしな」
クマ「よーすけ! かっこいいクマ!」
花村「おめーは調子がいいんだよ! このクマ!」
クマ「人いっぱい増えて楽しいクマ―」
ななこ「ねー」
雪子「ふふ、菜々子ちゃん楽しそう」
千枝「よかったねーナナちゃん!」
鳴上「あぁあぁあっ、ああぁあっ、菜々子可愛い! 可愛いよ菜々子!」
雪子「う、うわぁ……」
花村「まぁ、とりあえず親父とちょっと話すわ。後で吉野さん、連れてきてくれよな。天城」
雪子「うん。わかった」
千枝「そんじゃ今日のところはひとまず解散ってことで」
直斗「……完二君、この後ちょっといいかな」
完二「えっ」
完二(男……いや、漢、巽完二……春の予感……?)
りせ「せーんぱいっ、一緒に帰りましょー!」
鳴上「いや、俺は菜々子と買い物してから帰るよ」
ななこ「買い物するー! お兄ちゃん、晩御飯買って帰ろう?」
鳴上「うんっ! 買って帰ろうねっ!」
りせ「うわぁ……。あ、まって、アタシも行く! 行きますー!」
クマ(りせちゃん……不憫クマ)
~天城屋旅館~
吉良(旅館の手伝いを申し出たのは良いものの……)
吉良(さすがに老舗だけあって、やれることは少ない……ゴミだしとか、そのくらいだ)
吉良(長居させてもらってもいいのだが、やはり無銭飲食は気が咎める……)
吉良「どうしたものかな……」
コンコン
雪子「失礼いたします。雪子ですが、ちょっとよろしいでしょうか」
吉良「ああ……どうぞ」
雪子「あの……実はですね」
吉良「?」
~junes~
花村「つーわけで、吉野さん、しばらくよろしくお願いします」
吉良「ああ、よろしく……悪いね」
吉良(今度は総合スーパーか……)
花村「つっても、部屋狭いんでちょっとスペース足りなくて……」
クマ「ごめんクマー」
花村「こっち、ついてきてくれます?」
吉良「わかった」
~junes 寝具売り場~
花村「バックヤードに売れ残りのベッドがあるんで、申し訳ないけどそっちを使ってもらおうかなって」
吉良「いや、とんでもない。……それにしても、色々なものがあるんだね」
花村「まぁ、田舎町なんで色々需要があるんですよ」
吉良「君たちが出入りしていたという例の『テレビ』も?」
花村「ああ、はい。そっちのほうは需要無かったみたいなんで、がっつり売れ残っちゃってますけど」
花村「最初はビビりましたよ、鳴上のやつがテレビに手ぇ突っ込んで……」
吉良(天城屋旅館にあったテレビ……あれは居間にあったからな)
吉良(人目に付く場所で試すのはまずい)
吉良(あのテレビを通れば自分の『世界』へ帰れるかも、という期待はあったが)
吉良(どこにもそんな保証はない)
吉良(ふん……ちょうどいい。生還できるルートが開拓されているこちらのほうから試してやる)
吉良・・お前の勝つ所を見せてくれ
~junes 家電売り場~
完二「あの……白鐘さん?」
直斗「なにかな、完二君」
漢。巽完二、なぜか業務用冷蔵庫の中で気になる異性と二人っきりの状況です。
色々我慢の限界と言うか、寒いし狭いっつーか。
完二「狭いし寒いんすけど……」
完二(それにこんな密室で二人っきりとか色々やべーっつーか)
直斗「我慢できない?」
完二「がっ、ががが我慢ってなにがだ!? べべべつに俺ぁ!」
直斗「しっ……!」
完二「ぐ……!」
直斗「言ったでしょう完二君。大声を出してはだめです。気づかれる」
完二「つってもよぉ……」
完二(もう閉店して誰もいねーじゃん)
完二「つーか、花村先輩に断りもなくこんなことしていいのかよ」
直斗「悟られる可能性がありますから」
完二「さとられる?」
直斗「そう……」
直斗「確かに寒いですね……背中、くっつけていいですか?」
完二「ぬぁにぃっ!?」
直斗「しーっ!」
直斗「嫌ならいいです……そのかわり静かにしてください」
完二「い、嫌じゃねえよ……。ほ、ほらよ……」
ピトッ。
直斗「……あったかいですね」
完二「おおおお、おう」
漢、巽完二。上はスクカジャ、下はタルカジャ。押忍!
完二(こういうときは素数を数えると良いって聞いたな……1,3,5,7……)
コト……
直斗「……来ました」
完二「誰がだよ……」
直斗「僕の予想が正しければおそらく……」
コトコト……
完二「……足音?」
直斗「しっ……どうやらまっすぐこっちに向かってくるようですね」
コトコト……
??「んんー?」
完二「なっ……! あいつは……!」
直斗「静かにっ」
??「あれれー、おかしいクマねー。確かに人間の匂いがしたクマのにー」
完二(クマじゃねーか)
時刻、午前1時。
完二(なんだってこんな時間に……?)
クマ「誰かいるクマー? クンクン、クンクン……」
完二「お、おいやべーんじゃねーのか? なんかしんねーけどよ!」
直斗「問題ありません……この業務用冷蔵庫の中の匂いまでは探知できないはず」
直斗「クマが追っているのは僕たちの残り香です」
完二「あいつそんなに鼻が利くのかよ……つか、なんでこんな時間に」
クマ「クマッ?」
直斗「しっ!」
完二「もがっ!?」
クマ「気のせいクマ……」
クマは辺りを注意深く見回すと、テレビの中に入っていった……
完二「ぶはっ!」
直斗「やはり……一体何を隠しているのやら」
完二「隠してる?」
直斗「ええ……皆どういう訳か、クマくんの『中身』について言及していなかったでしょう?」
直斗「とはいっても、完二君もその部分に関する記憶が抹消されていそうですが……」
完二「なんだよ、『中身』とか記憶とか」
完二「つーか、クマに『中身』なんてねーだろ?」
直斗(ほら。やはり僕の予感は正しかった)
直斗(しかし、何故だ……? 『吉野さんの出現』とクマの『中身の消失』……)
直斗(記憶を持たぬ者の出現と同時期に起こった記憶の改変……)
直斗「なぜ、僕だけ……?」
直斗(ふん、まあいいでしょう。これも『探偵』としての腕の見せ所ってやつです)
直斗「行きましょう」
完二「おい、クマの後を追うのか……?」
直斗「もちろん」
直斗(暴いてみせる。……例え『世界』を変えるほどの謎だとしても……)
~ベルベットルーム~
♪アーアーアーアー
鳴上「……ここは」
イゴール「ようこそ、我がベルベットルームへ」
マーガレット「お久しぶりにございます」
マーガレット「どうやら、また新たな絆を得た様子……」
鳴上「え……?」
イゴール「本日はあなたさまに、大事なお話があっておよび立ていたしました」
バッ。
イゴールはタロットをテーブルの上に並べた。
そのうちの一枚をめくって、顔をしかめる。
イゴール「……やはり、変わりませんな」
イゴール「『塔』の正位置……予期せぬトラブルや危機的状況を意味します」
イゴール「近い将来、貴方はこうしたトラブルに巻き込まれることでしょう。いや、もう既に巻き込まれているかもしれませんな……フフ」
イゴール「さて、新しく手に入れた貴方の絆。それは……『刑死者』」
マーガレット「……」
イゴール「そう、貴方は既にこのアルカナをお持ちだ。私も初めてのことにございます」
鳴上「……」
イゴール「一人の人物に同一の絆の力。既出にして未知のアルカナ」
イゴール「さて、それが貴方にとってどのような力となるのか……」
イゴール「フフ、ではまた次の機会に……」
意識が薄れていく中、イゴールの声を聞いた。
イゴール「そうそう……『刑死者』の正位置は『試練と果報』を表しますが、逆位置だと、自分の考えに捉われることが妨げとなる……。ゆめゆめお忘れなきよう……」
五部のスタンドってのはわかってるらしいぜ。ただわかりやすいからそう書いただけだってさ。ギアッチョだって何故か日本のことわざを知っていただろ?同じようなもんだ
>>115 説明アリガトクマー
クマ「クマ―、何も思い出せないクマ―」
クマ「クマはどこから来たクマ?」
クマ「クマは孤独クマー?」
クマ「およよー」
クマ「……クマ、なんでこげなとこおるんかねー」
クマ「それに、『誰にも知られてはいけない』気がしたクマよー」
クマ「うーん……わからんことが多すぎて脳みそフル回転クマー」
クマ「あ、でもクマ脳みそない。ぷくくー」
~in マヨナカテレビ~
完二(何じゃアイツ。てか、独り言多すぎんだろ)
直斗(クマくんは何か明確な目的があってここへ来た訳じゃないのか……?)
クマ「はー、しんど」
クマ「考えるの疲れたクマ―」
クマ「……誰クマ?」
完二(あ、やべ)
直斗「……もういいでしょう」
クマ「クマっ! ナオちゃんいつからいたクマ!?」
直斗「失礼。少し気になることがあって少々後をつけさせてもらいました」
完二「ったく、こんなとこで何してんだよクマ公」
クマ「完二までー! クマの独り言聞かれたクマ?」
直斗「失礼ながら」
クマ「クマ―! 恥ずかしいー! 恥ずかしくってお嫁にいけないクマー、よよよー」
完二「そもそもオメー性別どっちだよ……」
クマ「クマはクマクマ!」
直斗「……クマくん、お話をお伺いしたいのですが」
クマ「ク、クマー、一体何のことクマ―」
完二「とぼけやがって」
直斗「正直に話してください、アナタは一体ここで何を……?」
クマ「クマー……正直にって言われてもー」
クマ「クマわからんクマよー」
クマ「考えること多すぎて頭パンクするクマ―」
クマ「クマ、自分がどうしてここに来たのかわからんクマー」
直斗「『中身』を探しに来たんじゃないですか?」
クマ「クマっ!? 中身ってなにクマ?」
クマ「クマはからっぽクマー」
クマ「クマは自分が何者なのかわからんクマ―、およよー」
直斗(おかしい……クマくんの様子からは嘘をついている節が見て取れない)
直斗(無意識のうちにここへ足を運んだ……『中身』を探して? なぜこの時間に? ……さっき言っていた。『誰にも見られてはいけない』気がすると)
直斗(いや、待て……そもそも疑うべきは順序が逆で)
直斗(どうして僕はクマくんが今日、この時間、この場所に来ることを)
直斗(『予想』できたんだ? その予感を『疑わずにいる』ことができた?)
直斗(クマくんの『中身』が消失した件から、この行動を一意に予測するなんて論理的に不可能だ)
直斗(……見えざる『意志』のようなものが働いていると考えるのが妥当、か……?)
直斗(僕が感じている言いようのない『使命感』も)
直斗(僕、つまり『探偵』という役割に与えられているまがい物に過ぎない……?)
完二「こら」
ビシッ
直斗「あうっ! な、ななな何をするんですか完二君!」
完二「考え込むなって」
直斗「あ、すいません。つい……」
完二「ま、いいじゃねーか。クマ公は相変わらずよくわかんねーけど、シロってことだろ?」
直斗「ええ、まぁ……はい」
直斗「クマくん、疑ってすみません」
クマ「良いクマよー、あ、でも一つだけお願いがあるクマ……」
クマ「逆ナンしてもよい?」
直斗「……」
クマ「……」
クマ「じ、冗談クマー! 今日のことは他言無用クマ、よいクマね?」
直斗「ええ、わかりました」
直斗(ひとまず『シロ』でいいのか……?)
まさか続いてたとは
>>131 続き書いてもイイクマヨ
~junes 食品売り場~
♪エヴィデーヤンライフジュネスー
花村「吉野さん、本当に今日から働いてもらっていいの?」
吉良「ああ。ただ飯ぐらいを続けるわけにはいかないからね」
吉良(商品の仕出しと陳列……)
吉良(造作もないな)
花村「じゃ、俺学校行ってくるんで、よろしくお願いしますね」
吉良「ああ、いってらっしゃい」
吉良(さて……始めるか)
花村(大丈夫かな……もう少し休んでもらってもよかったんだけど)
~学校~
鳴上「……」
鳴上(イゴールの言っていた言葉……)
鳴上(試練と果報、そして自分の考えに固執するなとかなんとか……)
鳴上(考えていてもしょうがない。行動あるのみだ)
授業を真面目に聞いた。
♪学力が上がった
~放課後~
千枝「雪子ー、今日暇?」
雪子「うん……今日は旅館の手伝いないみたいだから」
千枝「おーっ! じゃあさじゃあさ、ジュネス寄って帰ろーよ!」
花村「おっ、なになに二人とも来るわけ?」
雪子「うん……あ、そうだ。吉野さんはどうしてる?」
花村「それがよー、もう少し休んでても良いって言ったんだけど、働くって聞かなくてさ」
千枝「花村もそれぐらい働き者だったらよかったのにね」
花村「こう見えても割と働いてるっつーの! よくフードコートいるでしょ俺!?」
千枝「あっはっは」
雪子「鳴上君はどーする?」
鳴上「もちろん」
花村「よーっし、じゃあ決まりだなっ」
~junes フードコート~
?「ふぃー、まったく人使いが荒いんだから……」
?「たまには羽を伸ばさないとやってらんないよーもう」
??「お疲れの様子だね」
?「……アンタか」
??「本来姿を現すべきじゃないけど……今日は『忠告』に来たんだ」
?「忠告……はっ、なに? もう気づいちゃったわけ?」
??「……」
?「僕はやめないよ。絶対に」
?「いつも気づくのは『事件』が始まった後だけど」
?「大切なことを知ったんだよ。僕なりに」
?「もう人は殺さない」
??「ふっ……」
??「それが君の答え?」
?「そうだよ……まぁ、既に殺しちゃってるから、それも『なかったこと』にするつもりだけど」
??「一応、君の望みも考慮に入れておく」
??「しかし、『人』全体はどうかな? ……あんまり『我儘』もよくないよ」
?「くっ……! うるさいんだよお前……!」
??「『探偵権限』を与えたよ。彼らのうちの一人にね」
?「なんだと……?」
??「権限の効果は『記憶の不干渉』『特異点捜査権』『真偽の判定』……こんなところかな」
??「元の世界の『記憶を保持』したまま、この世界の異変をさぐることができる」
??「不可解な現場に居合わせて『捜査』を行うことが出来る」
??「相手が言っていることが『本当』か『嘘』かを判定する」
??「この能力を君に伝えることで探偵は『探偵権限』を把握する」
??「現時点より、探偵は自身の能力を自覚して捜査を行うことが可能となる」
?「……おいおい、嫌がらせするなよ」
??「一応これは君にとってもメリットがある」
?「どこにメリットがあるんだっての……はぁ」
??「情報は武器だよ」
?「……」
??「この世界は推理小説で言うクローズドサークルのようなもの……」
??「外部からやってきた謎の人物x、なんて陳腐なイレギュラーは存在してはならない」
??「排除させてもらうよ」
?「……ちっ」
??「と言いたいところだけど、僕は干渉し過ぎてはいけない……人の望みを見極める立場にあるからね」
?「……だいぶ干渉されてる気がするんだけど?」
??「フフ。あらかじめ言っておくと、君の『目的』と『手段』が『全て』バレればゲームオーバーだからね」
??「そして、これは探偵も知るところとする」
??「じゃあね……」
?「……」
?(なんつー勝ち目の薄いギャンブルだよ……)
?(やっぱり僕、この世界に絶望……)
???「おい、いつまでも油売ってんじゃねーぞ」
~junes 食品売り場~
バババババッ
商品の陳列に勤しむ吉良吉影の姿がそこにあった。
吉良(む……豚肉の値札がはがれかかっている)
吉良(だめじゃないか。この隅っこのところがぺりっとめくれているのは)
吉良(これでよし……ん?)
吉良(牛肉! 貴様はここじゃないだろう……!)
吉良(鶏肉! お前もか!)
ババババッ
吉良(次はジュースを並べるか)
吉良(モロナミンc、マッスルドリンコ、胡椒博士……)
吉良(む? おかしい……)
吉良(牛乳パックの向きが違う……牛の絵が描かれているのが前面だ……)
ババババッ
吉良(これでよし……いや、賞味期限はどうなっている?)
吉良(……古い順に前から並べられていないじゃないか……!)
ババババッ
吉良(よし。次はお菓子コーナー……)
吉良(なんだこれは……ありえん)
吉良(ガキめ……! 無造作に取ったお菓子を別の場所に放り込むんじゃない……!)
吉良(ポテチはこっち! カールはあっち!)
吉良(裏表が逆! 上下が逆! ……!)
ババババッ
吉良(ふぅ……)
花村「な、なんだありゃ……」
千枝「うっわー……几帳面だね……」
花村「真剣にやってくれんのはいいんだけどよ……ちょっとやりすぎじゃねえか?」
鳴上「そっとしておこう」
雪子「そ、そうね……頑張ってるみたいだし、はは……」
~マル久豆腐店~
りせ「ありがとございましたー」
りせ(さっき直斗からメールがあったけど……)
<今夜、七時。junesフードコートに来ていただけますか?>
りせ(捜査に進展があったのかな……)
客「ちわーす!」
りせ「あ、はい! いらっしゃいま……あれっ? 足立さん」
足立「いやー、りせちーはやっぱ可愛いね! どう? 商売繁盛してる?」
りせ「やだ、足立さんってば! ボチボチって感じです」
足立「そうかい、いや実はね……」
りせ「はい?」
足立「例の連続殺人なんだけど、この辺りで聞き込みを続けてたらね……」
足立「なんと有力情報が手に入ったんだよ……犯人の目撃情報!」
りせ「……! それって」
りせ(直斗のメールはまさかこの件……?)
足立「どうもこの町の人ではないみたいなんだよね……あんまり詳細に教えるわけにはいかないけど」
足立(カマをかけてやったぞ。さぁ、どう出るか……)
りせ「……!」
りせ(仮に吉野さんが連続殺人犯だったら?)
りせ(記憶を失っていると言っていたけど、何かを隠している風だったし……)
りせ(髪型が特徴的で、スーツを着けている人……)
りせ「あの……」
足立「うん?」
足立(……ビンゴか?)
りせ「もしかして、……」
りせ(でも、一度みんなに相談してから……うん、そうしたほうがいいよね)
りせ「……いえ、なんでもないです」
足立「そうかい? まぁ、何かわかったら教えてね」
りせ「はい……、あ」
りせ「どうしてわざわざ私にこのことを……?」
足立「えー……と」
足立(探偵権限……。質問に対する答えの真偽を確かめることができる)
足立(厄介だな……アイツは『一人』といっていたが)
足立(りせちーが権限を持っていたらアウトだ。はぐらかそう)
足立「君たち、裏で色々変なことに首突っ込んでるでしょ」
りせ「うっ」
りせ(ばれてる……)
足立「まぁ、見かけない人には注意しといてよ」
りせ「うー……はい」
足立(これでよし)
堂島「おーい、足立。いつまで油売ってんだ?」
足立「あっちゃー! ごめんね、じゃあ僕これで」
りせ「あ、はい」
りせ(足立さん良い人だな……でも、なんだろうこの違和感……)
足立(あのガキンチョ達はおそらくxを知っている……)
~数日前 inマヨナカテレビ~
アメノサギリ「可能だ。しかし無駄だ……どこにもお前の願いを叶える道はない……」
足立「あーあー、相変わらずネガティブなんだから」
足立(こんなやつが人の望みを叶えるってんだから、やっぱり僕はこの世界に絶望するぜ……)
足立(シャドウの特異点……あの『クマ』とかいうやつを生贄に別世界の可能性を引っ張り出す)
足立(それは可能であることが分かった)
アメノサギリ「来訪者は二面性を持つ。希望と絶望。両方を孕んでいる」
足立「……」
アメノサギリ「シャドウの特異点に関する情報がこの世界から消え、新たなる可能性がテレビより産み落とされる」
アメノサギリ「しかし、どこにもお前の求める可能性は存在しない……」
足立「……はぁ、オタクも好きだね、その台詞」
足立(そんなことは僕が誰よりわかってる。精神が同調してるからな……)
足立「それでもやるんだよ」
足立(もう誰も殺さない。そんな世界にしてみせる)
足立「で、その謎の人物xはどういうやつで、どこに現れるわけ?」
アメノサギリ「……八十稲羽」
足立「……」
アメノサギリ「……」
足立「……それだけ?」
アメノサギリ「それ以上の情報を持たない」
足立「どんな風貌とか、能力を持っているとかも?」
アメノサギリ「コンバータ……高次観測者による」
足立「高次観測者?」
アメノサギリ「世界間への移行を行う際に必要となる……」
アメノサギリ「人物の風貌、性格、人格、能力、記憶……全て高次観測者の記憶に基づき再構成される」
足立「おい、わかるように説明しろよ」
アメノサギリ「わからないか……? 今ここにいる我、そしてお前も」
アメノサギリ「高次観測者の記憶に基づく再構成された……」
足立「あー、いい。いい。わかったわかった」
足立「なんとなーくだけど、さ」
足立「僕が良い子に改心したのも、その高次観測者とやらによるものとか?」
アメノサギリ「……」
足立「ちっ……」
足立(面白くもない冗談だ)
アメノサギリ「……イザナミは邪魔をするだろう」
足立「そうだろうね」
アメノサギリ「お前に勝ち目などない……それでもやるのか……?」
足立「しつこいって」
~junes フードコート~
一堂に会した自称特別捜査隊に直人は『探偵権限』の説明をした。
鳴上「で、その探偵権限を使って何をするんだ?」
直斗「この世界の異変を探ります……具体的には分からないですが」
花村「わかんねーのかよ!」
クマ「割とテキトークマね」
直斗「はい……僕が一番適役だったから『探偵』という役割に選ばれたのかもしれません」
直斗「正直、自分が取っている行動が能動的かどうか分からなくなることがあります」
雪子「それはさっき話してくれた『特異点捜査権』によるものよね」
千枝「自分の意志とは無関係に現場に居合わせる……名探偵コ○ンみたいじゃん」
完二「なるほど……」
りせ「あの……今日実は足立さんから聞いたんだけど」
りせ「犯人の目撃情報があったとか」
一同「!」
鳴上「その人物の特徴は?」
りせ「詳しくは教えられないけど、この町の人じゃないって言ってた……」
りせ「ねぇ、悠先輩。もしかして……」
直斗「待ってください。疑うにはまだ早いです」
完二「でもよぉ、明らかに怪しいよな。事件の前後どころか住んでる場所の記憶まで分からなくなるって」
完二「それに髪型も変だしよ」
千枝「確かにこの変じゃみないよね」
花村「お、おいおい……お前らあんまり怖いこと言うなって! ウチに置いとけなくなるだろーが!」
雪子「でも、天城屋旅館に泊まったときは、悪い人には見えなかったけど……」
直斗「……おほん」
直斗「それより気になる点が1つあります」
直斗「それは、」
吉良「何故! その足立さんとやらは自ら『情報提供をしてくれた』のかッッ!!!」
ドギャアアアアアン
吉良「だろう?」
一同「!?」
どうでもいいがジョジョssなら ~じゃないか→~じゃあないか としてくれたら嬉しいなーって
ついでにいうなら小さい「ッ」は一つだぜ
「ッッ」二つ以上はバキになる
頑張れ!
クマ「……」
直斗「聞いてらしたんですか?」
吉良「すまない。悪気はなかったんだ……たまたま業務終了と同時に君たちの姿を見かけたもので……」
吉良「聞いてみたら、なんだい? ……随分と興味深い話をしているじゃあないか」
吉良「私が怪しいとか、違うとか……ね、フフ」
鳴上「……!」
吉良「やだなぁ、フフ。そんなに警戒しないでくれよ」
吉良「僕だって怪しまれるのは承知の上でこうして出てきた」
吉良「ただ、僕はその連続殺人犯とやらじゃあ、ない」
雪子「……」
吉良「証拠はないがね」
吉良「だからこそ、今のタイミングだったわけだ」
吉良ガンバ
>>194 平穏な生活のために頑張る
りせ(この人は一体何を……?)
直斗(後でそれとなく探りを入れるつもりだったんですが……)
吉良「『探偵権限』を持っているのは、君でいいんだね? 白鐘直斗君」
直斗(直接そっちから来るなんてとことんイレギュラーだ……!)
吉良「君から僕に質問してくれよ。『あなたは八十稲羽で起きている連続殺人事件の犯人ですか?』って」
直斗「……いいでしょう。吉野さん。コソコソと疑っていたことを謝ります」
直斗「質問します。正直に答えてください」
直斗(嘘ついてても、分かりますけど)
直斗「あなたがこの八十稲羽で起きている連続殺人事件の犯人ですか?」
吉良「……」
吉良「答えは、」
吉良「イエスだ」
一同「!!?」
吉良「ああいや、もちろん嘘だ。で、白鐘君。探偵権限で真偽が分かるんだったね?」
直斗「はい。今のは『嘘』です。間違いありません」
花村「な、なんだよびっくりしちゃったじゃん……はは」
完二「驚かせやがって……」
鳴上(これで吉野さんの疑いは晴れた)
吉良(『八十稲羽』で起きている連続殺人犯ではないからな、フフ。これで動きやすくなった)
りせ「あー、よかったぁ……」
雪子「やっぱり、悪い人には見えないもの」
クマ「安心クマ―」
吉良「疑いが晴れたところで、りせさん」
りせ「ふえっ!? 私?」
吉良「足立さんという方に『なぜ情報提供してくれたのか』と質問しましたか?」
りせ「そういえば……でも、お茶を濁すような返答だったかも……」
直斗(これで足立さんの疑いは増した)
吉良「足立さんがその『探偵権限』を知っていたと仮定すれば?」
りせ「……! でも、そんな……!」
花村「え、マジかよ足立さん……?」
吉良「目的は分からないけれど、とにかく行動が不審じゃあないかい?」
吉良「探偵権限を知っていて、意図的に返答を濁したのだとすれば」
直斗(この世界の異変を引き起こしたのが足立さんだという図式が成り立つ)
吉良(足立とやら……僕の静かな生活を脅かすのは貴様か……?)
吉良(スタンド能力が使えるかどうかも試しておかなければな、フフ)
鳴上「今日のところはこれぐらいでいいんじゃないかな」
花村「そーだなっ! まあ、とりあえず吉野さんの疑いも晴れたってことで!」
吉良「フフ、悪かったね。驚かせてしまって」
吉良(これからは仲良くしようじゃあないか)
雪子「よかったです」
吉良「……」
吉良(爪切りと定規を忘れていたな……)
ガジガジ
クマ(爪……おいしいクマ?)
続きは明日かな?
~堂島家~
足立「ふぇっくしゅん!」
堂島「どうした足立、風邪か?」
菜々子「足立さん、だいじょうぶ?」
足立「菜々子ちゃんは優しいなぁー、いやいや、大丈夫だよ」
足立「いやー、しかしふっしぎだよなぁ、堂島さんにこんな可愛い娘さんがいるんだもんなぁ」
堂島「おい、てめぇどういう意味だ? タンコブ増やしたいって意味か?」
足立「いやいやそれは勘弁してくださいよ!」
ガラッ
鳴上「ただいま」
鳴上(誰か来てる)
堂島「おーう、悠。帰ってきたか」
足立「おっ、悠くん! お邪魔してマース」
鳴上(足立さん……!? 渦中の人物がこんなに早く登場するとは……)
足立(来たな……鳴上悠。とは言っても、今日は本当に偶然だけど)
鳴上「いらっしゃい、足立さん」
鳴上(一応警戒するに越したことはないな……だって、足立さんはなにかを『隠している』)
ななこ「お兄ちゃん、おかえりー!」
鳴上(そんなことはどうでもよくなるくらい菜々子は可愛いなぁっ!)
鳴上「ただいまっ! 奈々子!」
ななこ「お兄ちゃんも一緒にご飯たべよう?」
鳴上「うんっ! 食べようねっ! 一緒にねっ!」
足立「うわぁ」
足立(コイツ、キャラ崩壊してないか……?)
堂島「はっはっは。相変わらず仲がいいなお前たち」
鳴上「足立さん」
足立「ん?」
鳴上「飲みましょう」
足立(……鳴上)
足立(そうだな……堂島家みたいなあったかい家で腹の探り合いなんて)
堂島「お前は未成年だろうが」
ななこ「お兄ちゃんおもしろーい」
鳴上「ね」
足立「……ああ」
足立(……なんてなァ!)
足立(酔わせて情報を引き出すつもりだろうが……その手には乗らない。いや、むしろ酔っぱらったふりをして『質問』が来ても躱してやる……)
鳴上(足立さんは『探偵権限』について情報を得ていると考えたほうが良い)
鳴上(意識しないことが肝心だ。……いつも通り、何気なく話をして、ここぞというときに)
>>207 ネルヨー
鳴上(『どうでもいいこと』を聞くのが……ベスト!)
足立(まぁ、ここでボロを出すようならそもそも『世界』の改変なんかできやしない)
足立(クールになれ、足立透……)
やだ…このキャベツ小物じゃない
>>218-219 しょせんキャベツ
~数時間後~
堂島「おい足立、お前ちょっと飲み過ぎじゃあねえのか?」
足立「……まぁだ全然っすよ~、何言ってんスかろーじまさーん」
鳴上(呂律が……)
足立「それよりもねぇ、俺は感謝してるんっすよ」
足立「ろーじまさん……」
堂島「堂島だ」
足立「正直最初はね……」
足立「左遷まがいの転勤で、ヒック……やけになってたんスよ……」
鳴上(相当酔っぱらってるな……)
鳴上「菜々子、そろそろ眠いだろ?」
ななこ「うん……ちょっとねむい」
鳴上「もうねよっか」
ななこ「うん……」
足立「そしたら、飛ばされた先の上司も最悪で……」
足立「すぐ殴るわ蹴るわ、ヒック……怒鳴るわ……」
足立「でもね」
鳴上(……探偵権限を付与された理由は)
鳴上(この世界の異変を探しだすため)
足立「不思議と……嫌じゃなかったんスよ」
鳴上(おそらく、異変とやらを見つければ正常な世界に治るに違いない)
鳴上(しかし、その『異変』が何を指しているのか俺には分からない)
足立「僕、我儘っつーか……自己チューな性格だから……」
鳴上(頻出するようになった霧? 連続殺人? それともマヨナカテレビ……?)
鳴上(まさか、そのどれとも『違う』?)
鳴上(……)
足立「そうやって指図されるのとか……ヒック、嫌いだったんスけど」
足立(あれ……)
足立(僕はいったい何を言ってるんだ……)
鳴上(……『質問』をしなければならない)
鳴上(足立さんの『隠していること』を探るために)
鳴上(足立さんに関することで、かつ、くだらないこと……)
鳴上(『世界の異変を引き起こしたのはあなたですか?』と聞ければいいが)
鳴上(まず僕は権限を持っていない。それに……)
鳴上(はぐらかされて終わりだ。次からは警戒してくるだろう)
足立「怒られることも楽しいっつーか……、こんな僕でも、」
足立「ちゃんと怒ってくれる人がいるっつーか……」
足立「ま、とにかく……ヒック、感謝してるんスよ」
堂島「……ふん、やっぱりお前、飲み過ぎだぞ」
足立「そっスかねぇ~……ははっ」
鳴上(今か……?)
鳴上(プライベートなこと……『趣味』『恋人』『住居』『血液型』『誕生日』……)
鳴上「足立さんって」
鳴上「週末とか、何してるんですか?」
足立「んん? 週末~?」
足立「いいかい悠くん、そもそもぉ、週末っていう概念が……ヒック、僕たちの仕事では……」
堂島「新人がいっちょ前に語ってんじゃねえ」
足立「いてっ!」
鳴上(ほとんどノータイム……! 本心? 僅かな緊張も見られなかった……!)
鳴上(『質問』に対して過敏になっていると考えたが……)
鳴上(念のためもう一つ聞いてみるか……)
鳴上「足立さんって、彼女とかいたり?」
足立(……ん? こいつは今僕に対して『質問』を二回もしたな?)
足立(普段は世間話程度しかしないこの僕に、二度も質問を……)
足立「彼女ぉ~?」
足立(なるほど、僕を『疑っている』のか……? 危ない、危ない)
足立(そうすると、もう僕が何らかの『ミス』をしてガキンチョ達に怪しまれている可能性が高い)
足立「いやいや……」
足立(いつだ……? マル久豆腐店に行ったときか……?)
足立(……素直に「彼女はいない」と答えることもできるが、ここは一つ……)
足立「そういう……ヒック、悠君は、どうなのさ?」
鳴上(質問を質問で……!?)
堂島「お? なんだ。悠もそういう話に興味があるのか」
鳴上「ええ、まぁ一応」
堂島「はっはっは、珍しいな。で、どうなんだ?」
鳴上(まずいぞ……! そういう逃げ方もあったのか……!)
鳴上(質問者に対して『どういう意図で質問をしてきたのか』を問うこと、)
鳴上(それは実に、ごもっともな『質問』じゃあないか……!)
鳴上「いえ、僕は……」
足立「まわりに……ヒック、女の子たくさんいるじゃない」
足立「もう、誰かとデキてるんじゃないの~?」
堂島「はっはっは、よせよせ。あんまり突っ込んで聞くな」
鳴上(……くっ!)
鳴上「僕は……菜々子以外に興味なんてありませんから」
足立「うわぁ」堂島「ああん?」
鳴上(足立さん……手強いな……!)
足立(悪いけど……今はまだ『知られてはいけない』)
足立(この世界の呪われたシナリオを、僕は書き換える……! その時まで……!)
~junes 寝具売り場 バックヤード~
パチン、パチン……
吉良「爪が……」
ゴゴゴゴゴゴ……
吉良「爪が伸びるのが……早いッ……!」
吉良「フフ……」
吉良(爪が伸びるのが早い時期は、衝動を抑えることが出来ない……!)
吉良(そろそろ限界が近いな……)
吉良「む?」
吉良(……ところで、キラークイーンは発動するのか)
吉良(この町に来てからまだ一度もスタンド能力を発現させていない……)
吉良「キラークイーンッ!」
シーン……
吉良「何故だ……?」
吉良(最悪、キラークイーン無しで……)
吉良(いや、ちょっと冷静になれ吉良吉影。今すべきことはそうじゃあないだろうッ!)
吉良(足立さんとやらの正体を突き止め、この私を元の世界に戻すよう命令すること)
吉良(それが先決ッ!)
吉良(私の平穏な生活を取り戻すのだ……!)
吉良(テレビの調査もしたいところだが……、私はまだ『メガネ』を持っていない)
吉良(姿の視えない化け物どもと戦うにはリスクが高すぎる)
吉良(……キラークイーン無しで殺人をするにしても、)
吉良(証拠を残さず行為に及ぶのに、テレビの中は『都合がいい』)
吉良(どちらにしろ『メガネ』が最優先だ……)
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
~学校 昼休み~
直斗「えっ!? 昨日足立さんが来てたんですか?」
鳴上「手強い感じだった」
花村「マジかよ……じゃ、じゃあホントに足立さんが?」
千枝「んー、でもそうと決まったわけじゃないよね」
鳴上「けど、確かに足立さんは何か隠してる様子だった」
りせ「足立さん……」
りせ(そう、確かに私も豆腐店に来た時の足立さんはどこかおかしいと思った……)
直斗「りせさん、確かに足立さんは犯人の目撃情報に関して『詳細に教えられない』と言ったんですよね?」
りせ「うん……」
直斗「もし、詳細に教えられない。ではなく、足立さん自身も『知らない』のだとすれば?」
りせ「え? どういうこと?」
直斗「『この町の人間ではない』という情報漏えいをしてまで探したい『犯人』……」
鳴上(直斗の疑念はつまり……)
鳴上「だけど、『詳細は教えられない』じゃ、辻褄が合わない。だろ?」
直斗「……! そのとおりです」
りせ「うーん……言われてみれば」
直斗(魚の小骨が喉に引っかかったときのような違和感……しかし、今はそれすら疑うしかない)
直斗「おそらく、犯人の目撃情報というのはフェイク」
直斗「足立さんは個人的に『この町の人間ではない』誰かを探している」
直斗(何のために? それを探偵権限で聞き出せれば話は早いのだけど……)
直斗「しかも、自称特別捜査隊である僕たちに対してのアプローチ」
直斗「足立さんは僕たちが『知っている』というアタリをつけて捜索している」
直斗「……その理由は不明ですが」
雪子「だとすると、吉野さんがやっぱり足立さんの探している人……?」
一同「!」
直斗「おそらく僕もそうだと考えています」
完二「けどよぉ、何だってそんなに一人の人間に執着するんだ? 職権乱用までしてよぉ」
花村「ま、わかんねーけど……吉野さんの存在を知られてはいけない、ってことだろ?」
直斗(しかし……)
鳴上「いや、その逆だと思う」
一同「!?」
鳴上「俺は……自称特別捜査隊に吉野さんを引き入れたい」
~junes 食品売り場~
ババババッ
吉良(マグロはこっち。サーモンはあっち)
吉良(トレーの向きが逆……値札は……これでよし)
吉良(次は野菜売り場……)
吉良(無造作に積まれたキャベツ……我慢できん!)
ババババッ
吉良(次は……試食販売、か)
吉良(こうして、ウインナーを焼けばいいのだな)
ジュージュー
吉良(おっと、左右均等にね……)
客1「あら、新商品みたいよこれ?」
客2「美味しそうだわ」
吉良「あ、よかったら試食……」
吉良(むッ! なんだこのおばさん達は……!)
吉良(顔の割になんて綺麗な手をしているんだ……!)
吉良「手……」
客1「え?」
吉良「手……お綺麗ですね」
客1「……やだー! もう、おだてても何も出ないわよ?」
客2「あらやだ商売上手ねぇ、あなた!」
吉良「いえ、本当に……」
客1「もー、おばさんからかっちゃ駄目よ?」
客2「私、一つ買っていくわ」
客1「じゃあ私は二つ頂戴」
吉良「あ……はい」
おばさん達はキャッキャウフフしながら去って行った。
吉良(まずい……! 衝動を抑えなければ……!)
花村「あー、吉野さん、ちょっといいですか?」
吉良「むッ!? ああ、なんだ、陽介君か……フフ」
花村「仕事終わったら、時間もらってもよろしーっすかね?」
吉良「……?」
~junes フードコート~
鳴上「という訳で、吉野さん、もしよかったら『自称特別捜査隊』に入っていただけませんか?」
吉良「……」
吉良(この子達の話はこうだ。世界の異変を起こしたのが例の足立である可能性が高いということ)
吉良(そして、何らかの理由で私が狙われている可能性が高いということ)
吉良(可能性、可能性とクドいが……おそらくこの私が『世界の異変』であることは間違いない)
吉良(元々この世界に『存在しない』のだからな)
吉良(そしてこの私を『頭が切れる』として仲間に引き入れることを考えた『鳴上悠』)
吉良「フフ」
吉良(悪くない判断だ……だが)
吉良「君たちは私に隠し事をしている」
一同「!?」
吉良「何度もテレビの中に出入りして捜査をしているという君たちだが……」
吉良「それは『怪物のうごめく』世界から何度も生還するだけの『能力』があるということ」
吉良「君たちが自由にテレビの中に出入りできる、ということ以外に」
吉良「何か、特別な能力があるんじゃあないかと推測したわけだが」
吉良「いかがかな?」
鳴上(現実世界では説明のつかない『ペルソナ能力』に関して、あえて説明を省いていたが……)
鳴上(それに難なく気が付いて言及するこの人の頭のキレ……!)
鳴上(仲間になる条件としての『情報の開示』を求めるこの慎重さ……)
鳴上(時折見せる奇抜な行動は、自身への絶対的な自信から来る余裕の表れ……)
鳴上(仕事中に見せる異常なまでのこだわり……)
鳴上(おそらく性格は『疑り深く』『慎重』で『神経質』)
鳴上(今まで吉野さん自身になにか『目的』のようなものがあるとは考えなかったが……)
鳴上(……敵に回ると厄介だ。やはりこの判断は正しい)
『刑死者』の正位置は『試練と果報』を表しますが、
逆位置だと、自分の考えに捉われることが妨げとなる……。
ゆめゆめお忘れなきよう……
鳴上(イゴール……)
雪子「実は、私たちにはペルソナ能力というものがあって……」
吉良(綺麗な手だ……)
雪子「マヨナカテレビの中だけでしか使えないんですけど、」
雪子「もう一人の自分を召喚して、戦うことができるんです」
吉良「ほう……」
吉良(『スタンド』のようなものか……『ペルソナ』というのは)
吉良「だから説明を省いたのかい」
吉良「ふぅん……なるほど」
吉良(ペルソナは現実世界で発現しない……)
吉良(僕のキラークイーンもこの『世界』の表舞台では発現しない……)
吉良(とすれば……)
吉良「なぁ、私にもそのペルソナってやつが発現しているんじゃあないかな?」
一同「!?」
吉良「おいおい、何もそんなに驚くことじゃあないだろう?」
吉良「ちょっと行って確かめてみたいんだが、いいかい?」
吉良(キラークイーンもそこでなら発現できるかもしれない)
吉良(そうしたら……)
吉良(……おっと、フフ。欲望が先行しているなァ。いかんいかん)
吉良「連続殺人犯とかいうイカれた野郎と戦うために、戦力は少しでも多い方がいいだろう?」
クマ「問題ないクマー、吉野さんの分の『眼鏡』もあるクマよー」
鳴上「クマっ……!」
鳴上(いや、俺は一体何を焦っているんだ……?)
鳴上(ただペルソナ能力の有無を確かめるだけじゃないか)
吉良「なにか問題が?」
鳴上「……いえ」
鳴上(言いようのない不安を吉野さんから感じる)
鳴上(こっちはペルソナ使いが多数いるが、どうにも……)
鳴上(『数』の勝負ではなくなる予感が……、まて、勝負?)
鳴上(一体なぜ吉野さんと勝負することを想定しているんだ……?)
吉良「じゃあ、行こうか」
~inマヨナカテレビ~
吉良「ほう……!」
直斗「ここがテレビの中です」
吉良(確かに霧がモクモクとしている。煙たいな……)
スチャッ
吉良「おお……視界がクリアになったよ」
吉良(なるほど。これは確かに眼鏡が必須だ)
吉良「では、早速試してみるかな……」
鳴上(果たして、吉野さんは本当にペルソナを……?)
吉良「ペルソナッ!!!」
一同「!」
シーン……
吉良(そりゃあそうだ。私のは『ペルソナ』ではないのだからなァ、フフ)
花村「えーっと、へへ、なんも起きないみたいっすね」
吉良「そのようだ……すまなかったね、わざわざ皆についてきてもらって」
吉良「では、帰ろうか……。なんだかこの場所は落ち着かないよ、フフ」
千枝「よーっし! 帰ろう帰ろう!」
鳴上(何故だ……吉野さんにペルソナ能力がなくてホッとしている自分がいる)
鳴上(しかし、このままでは終わらないような予感がある)
鳴上(吉野さんは依然として『脅威』となる能力を所有している……そんな気がする)
りせ「ペルソナッ!」
一同「!?」
鳴上(りせ……!?)
吉良(な……なんだとッ!? このタイミングで能力を発現……!?)
りせ「……あれ? おっかしいなぁ」
クマ「り、りせちゃん! 敵クマ!?」
りせ「うーん……なんかシャドウっぽい強力な反応があったんだけど……」
りせ「……シャドウ『じゃない』」
吉良(こ、こいつは……!)
ゴゴゴゴゴゴゴ……
吉良(こ、こいつはァーッ! まさか! この神秘的なペルソナは!)
吉良(探索能力を所有しているのかッ!?)
りせ「これ、『ペルソナ能力でもない』……! なに……? わからないよ……!」
吉良(まずい……! 非常にまずいぞ……!)
直斗(……!)
鳴上(明らかに吉野さんだ……! 何か『能力』を隠している……!)
鳴上「吉野さん」
吉良「……なにかな」
鳴上「あなたは私たちに『隠し事をしている』」
吉良「ほう……!」
吉良(ふッ……意趣返しのつもりか? ……いいだろう……この吉良吉影、受けて立つッ!)
吉良(絶対的なピンチの中に、チャンスというものは訪れる……!)
鳴上「仲間、になった以上、隠し事をするのはお互いフェアじゃないですよね」
鳴上「さぁ……聞かせてください。貴方の『隠していること』を!」
吉良「……仲間を疑うのかい? フフ」
吉良「僕はどこにでもいる善良な一般市民だよ……?」
直斗「……何を隠しているんですか?」
吉良「!」
吉良(『探偵権限』……!)
吉良(どうする……吉良吉影……ッ! 『探偵権限』が向こうある以上、『白鐘直斗』に質問をされれば意のままに情報を引き出される……ッ!)
吉良(質問に対する回答の真偽を無条件に判定する恐るべき能力!)
吉良(そうだ! 沈黙は……!? いや、そんな回避をしても現実的に疑いは増すだけ!)
吉良(質問に対して、こちらはあまりに無力だ……!)
吉良(……! 『質問』に対して……?)
吉良「……フフ、いいかい? 一度しか言わないよ?」
鳴上(なんだ、あの余裕の笑みは!? )
直斗(……いったい何を考えているかは知らないが、『権限』がこちらにある以上、どんな嘘も僕は見破る……!)
吉良「僕は『一切のペルソナ能力を所有していない』」
直斗(……! 嘘に抵触しない。当然だ)
吉良「そして、『ペルソナ能力を除く一切の特殊能力を所有していない』」
直斗「なに……ッ!!?」
鳴上「直斗! 判定は?」
直斗「シロ……嘘に抵触していません!」
鳴上(なんだと……!?)
花村「え、どーいうことだよオイ!?」
吉良「フフ……だから言ったじゃあないか!」
吉良「私は善良な一般市民で、少し几帳面な性格をしているがどこにでもいる何の変哲もないサラリーマンで、君たちの脅威となる『特殊能力を所有してはいない』とね!」
直斗(くっ……! おかしい……! なぜ嘘判定にならない……!?)
吉良「仲間を疑うのはよくないよ……フフ」
りせ(でも……! 確実に私のペルソナは、吉野さんから強い力を感知している……!)
りせ(なのに……なぜ!?)
吉良(フフ……!)
吉良(やはりッ! その『探偵権限』には、致命的な『欠陥』があるッ!)
ドギャアアアアン
吉良(覚えているか? ……フフ! その能力は『質問』に対する『回答』の真偽を問うものッ……!)
吉良(私は『能力を持っていない』と言った。それは白鐘の『隠し事はなに?』という質問に対しては、『適切な回答ではない』……よって、『真偽判定されない』ッ!)
吉良(いくら私がペラペラと嘘をまくし立てようともッ!)
吉良(無論、白鐘の『質問の意味』は私が『能力を所有しているか?』ということであっただろうがなッ)
吉良(文面通りの『回答』に対してだけ効力を発揮する! なんとも脆い能力ッ!)
吉良(この吉良吉影の敵ではないッ!!)
直斗「くっ……! 質問の仕方を間違えたようですね……」
吉良(フッ、次の質問はおそらく……)
直斗「あなたは隠し事をしていますね?」
吉良(ビンゴ!)
吉良「ああ……もちろんだ」
一同「!」
直斗(くっ……! なるほど……これは確かに無意味だ……!)
吉良「逆に言うが……」
ゴゴゴゴゴゴゴ……
吉良「君たちィ……隠し事をしない人間なんてのがいるのかね……? んん……?」
鳴上(やられた……ッ!)
吉良(気づいたようだな。そう、探偵権限のもう一つの欠陥。それは質問を『限定』しないと望みどおりの『回答』が得られないということッ! イエスかノーで答えられない質問は無意味ッ!)
吉良「まさか君たち……」
鳴上(自分の、考えに固執することが……妨げとなるとは、このことなのか? イゴール……)
吉良「私を質問責めにして、恥ずかしい『性癖』なんかも聞き出すつもりじゃあないだろうね……? フフッ」
千枝「そ、それは遠慮したい……」
雪子「うん……」
吉良「いいかい? 私は善良な一般市民で……」
完二「何の変哲もない『サラリーマン』、かよ?」
吉良「そう……、それが分かったら……」
吉良「!」
一同「!」
完二「……おい、オッサン。いつ、働いていたときの『記憶』が戻ったんだ?」
花村「おおっ!? 完二、お前やるじゃねーか!」
吉良(……! しまった、ハイになりすぎてつまらんことを……!)
吉良「いやぁ、何故だろうね……いつの間にか口をついて出ていたよ、フフ」
完二「しらばっくれんじゃねぇ!」
直斗「待って完二君! 記憶の混濁している場合には、その可能性は否定できない」
完二「ああ? どう考えたって嘘ついてるに決まってんだろうがよ!」
直斗「しかし、完全に嘘とは限らない……!」
完二「おいおい、マジかよ……!?」
完二(何及び腰になってんだよ……! こいつが怪しいのは明白じゃねえか!)
直斗(ここは慎重にならざるを得ない……! 相手は『権限』が効かない、もしくは何らかの方法で権限の急所を突いている可能性が高い……)
直斗(それが分かるまでは……!)
直斗「くっ……!」
吉良(まずい! 記憶に関することを探られることは、すなわち……)
吉良(いや……問題ないッ! 二つ目の欠陥によって私の情報は『守られる』ッ!)
吉良(白鐘が及び腰になっていることも幸いしているッ! 運は私に味方しつつあるッ!)
鳴上(この場をどうにかするには……!)
鳴上「吉野さん……提案がある」
吉良「なんだね……?」
鳴上「例えば、『記憶喪失はウソ?』と聞いて『yes』なら、次は俺たちは『じゃあなぜウソをついたのか』を聞かないといけなくなる」
花村「そりゃー、お前、そうだろうよ……」
鳴上「陽介、探偵権限は質問を『限定』する必要がある」
鳴上「答えがイエスかノー以外の質問は無意味なんだ」
吉良(理解が早くて助かる。もっとも、それは危険になりうるがね……)
花村「……あー、なんとなくわかったような」
千枝「ほんとにわかってんのー?」
花村「里中はどうなんだよっ」
直斗「そうですね……」
鳴上「極端な話、永遠に嘘をつかれ続けると、こっちとしては困る」
吉良(フッ、『困る』とは面白い少年だ)
吉良「いいだろう。善良な一般市民である私は、君の言葉に耳を傾ける」
花村(はは……吉野さん、なんかスゲェ悪役っぽくなってるんですけど……大丈夫かな……)
鳴上「質問は次の一回で最後にする」
一同「!」
鳴上「それ以上は何も聞かない。でも、それだけ分かれば問題ない」
吉良「ほう……随分な自信じゃあないか」
吉良「いいのかね? せっかく『権限』があるのに、そんなに消極的で」
吉良「身に着けた力は最大限活用しなくっちゃあねぇ……フフ」
鳴上「問題ないと言ってるんです」
鳴上(賭けだが……しょうがない)
鳴上「直斗」
直斗「……は、はいっ」
鳴上「『敵』か?」
直斗(……! それは、あまりにも直接的過ぎる……のでは!?)
直斗「……」
直斗(しかし……確かに、自称特別捜査隊が戦うべきは『連続殺人犯』であって、得体のしれない『吉野さん』ではない」
直斗(僕は……先輩に従うのみ)
直斗「……吉野さん、あなたは僕たちの、」
吉良「まぁ待ちたまえ」
一同「!?」
吉良「私からも条件がある……」
吉良「もし私が『敵』ではなかった場合……」
鳴上(なんだ……!?)
吉良「その、吉野さんとやらに合わせてくれないか……?」
鳴上「! ……いいでしょう」
直斗「……では、こほん」
直斗「吉野さん、あなたは僕たちの『敵』ですか?」
花村「……!」
花村(とりあえずペルソナ出せるようにしとかねーと、なんかやべぇ!)
吉良(何が来るかと思えば、あまりにも愚直な質問だ……フフ)
吉良(この吉良吉影をなめるなよ……ッ!)
吉良「答えは、『ノー』だッ!」
直斗「……!」
吉良(いいか、お前たち……)
吉良(私にとっては、お前たち『ペルソナ使い』など敵ではない。さらに言えば……)
直斗「……なるほど」
吉良(私は本気で戦えば、誰にも負けない……つまり……!)
直斗「……シロです」
吉良(この吉良吉影に、『敵』など存在しないッ!)
バァアアアアン
~稲羽署~
堂島「おい足立」
足立「へいへい、なんスか?」
堂島「お前宛だ」
足立「手紙? 僕に?」
堂島「ああ。次からはお前の家に送るよう言ってやれ」
足立「……」
足立(誰だ……? 差出人は……)
足立(『吉良吉影』……?)
<今夜0時。マヨナカテレビ>
足立「……!」
~in マヨナカテレビ~
?「……」
?「……さて」
?「……、いるんだろう?」
吉良「待っていたぞ」
吉良「――――足立さん」
足立「ふぅ……まさかそっちの方から来るとはね」
足立「おかげで……」
足立「探す手間が省けたよ」
足立「吉良吉影」
吉良「フフ、率直に言おう」
吉良「私を元の『世界』に返してはくれないか?」
足立「残念だけど、それはできないねぇ」
足立「だって考えてもみてよ、わざわざ呼んだんだよ?」
足立「『お願い』を聞いてくれるだけでいいんだ」
足立「ね? 頼むよ」
吉良「……私が聞いてやると思うのかい?」
吉良(下手に出ても良いことはない。私に『協力』を求めているのだからな、この男は)
足立「……ふぅ」
足立「僕はこの町の『連続殺人事件の犯人』だ」
吉良「ほう」
足立「……あれ? 驚かないの?」
足立「ふぅん……まぁいいや」
足立「僕はね、この『世界』に縛られている」
足立「悪役、どうしようもない人間のクソとして存在することを『強要』されている」
吉良(……何を言ってるんだ、コイツは……?)
足立「アメノサギリと同調することで、神に近い力を手に入れたけど」
足立「うち滅ぼされる役目にある」
足立「そう……自称特別捜査隊によって、ね」
足立「何回も『周回』を繰り返すうちに僕は大切なことを知った」
足立「自分がガキだってことに、気づいた」
足立「でも、抜け出せない」
足立「世界の筋書きに固定されている」
足立「今ではもう『殺したくもない人』まで殺す定めにある」
吉良(……!)
足立「だから僕はイザナミに悟られることのないよう」
足立「君を呼んだ」
足立「クマってやつの中身と引き換えに」
足立「それがこの世界に今起きている異変」
足立「そして、イザナミはそんな異変を消すために『探偵権限』なんてオモチャを用意した」
足立「僕の考えている『世界改変』のプランは3つある。それが全部ばれたらゲームオーバーだ」
足立「君は『能力』を持っているんだろ?」
足立「それがおそらく僕にとっての『可能性』『希望』そういったもののはず……」
足立「ちょっと見してよ」
吉良「断る、と言ったら?」
足立「……」
吉良「私は『平穏で静かに暮らしたい』だけだ」
吉良「そんなささやかで至上の喜びを、貴様は奪った」
吉良「ん? 分かるか?」
吉良「分からないのならそのド低能の頭に教えてやろう……」
吉良「頭にきているということだッ! つまらないことをいつまでもペチャクチャとくっちゃべっているんじゃあないッ!」
足立「……!」
吉良「私を元の世界に戻すことが出来るのか、否かッ」
吉良「それがッ! 重要なのだ! 今ッ!」
吉良「おおっと、すまない、フフ……興奮してしまった」
吉良「私からは以上だ。……『君たち』からは?」
足立「!?」
バッ
鳴上「足立さん……」
足立(自称特別捜査隊……!)
足立「あらら、聞き耳立てるのはよくないよ? 悠君……」
直斗「ふん、なるほど。やはりアナタでしたか……」
足立(くっ……吉良吉影だけならどうとでもなるが、こいつらに今、ここにいられるのはまずい!)
足立「残念だが……」
ラストスパートクマー
足立「マガツイザナギ!!」
一同「!」
♪fog
足立「てか、よくよく考えればさぁ……」
足立「最初からこうすればよかったんだよね」
足立「まず邪魔な『権限』を持ってるやつを殺して、」
足立「それからじっくり『可能性』を試させてもらえば、さ」
花村「野郎……! イカれてやがる……!」
完二「ぶっとばす!」
足立「させない……、『メギドラオン』!」
ドガァアアアン
足立「大丈夫だよ、どうせ後で全員生き返るんだ……」
足立「吉良吉影、お前という可能性によって」
吉良「……!」
鳴上「ぐっ……! 勝手に人を殺すな……!」
足立「しぶといねぇ……てか、『シナリオ』的に殺すことは不可能か。よくよく考えたら」
足立「逆に言うと、殺さなければ動けなくなるまで痛めつけるのは、アリってことだ」
足立(悪いね悠くん)
吉良「キラークイーンッ!」
ゴゴゴゴゴゴ……
足立「なッ!?」
一同「!?」
吉良「ペルソナ能力……非常に厄介だ。なにやら呪文のようなものも使えるみたいだしなァ」
吉良「僕はこの世で『争い』が最も嫌いだ……」
吉良「しかし君はさっき言ったね」
吉良「プランを3つ暴かれたら『ゲームオーバー』だと」
直斗「吉野……いや、吉良吉影……!」
足立(……! まずい……!)
足立(信用を誘うために告げた真実が仇となったか……!)
吉良「ゲームオーバーになるとどうなるんだっけ? うん?」
足立「……くっ!」
吉良「世界の異常は消え! この吉良吉影の『静かな暮らし』が戻ってくるに違いない……」
吉良「そのためなら戦うことも必要じゃあないか……うん……? ちなみにこの私の能力は『スタンド』という。君はどう思う……?」
足立(メギドラオンによって自称特別捜査隊のメンバーは瀕死状態……!)
足立(シナリオ上では僕と戦うのはもう少し『後』の話だからだ)
吉良「足立さんとやら……フフ、君、下の名前なんていったけ?」
足立「ちっ……本当に協力してくれる気はないの?」
吉良「質問に質問でかえすなあーっ!! わたしが『名前』はと聞いているんだッ! 疑問文には疑問文で答えろと学校で教えているのか?」
足立「……!」
足立(何だこいつ……!?)
吉良「能力が見たいと言っていたね……」
吉良「戦えば分かるかもなぁ? んん? 僕は戦うのは嫌いなんだが……」
吉良「キラークイーンッ! 第一の爆弾!」
足立「くっ……!」
足立(どういう能力だ!? やつの能力に関してこっちは無知だ……!)
吉良(スーツのボタンを爆弾に変えたッ! まずは小手調べといこうか)
吉良「ふんっ!」
足立(なんだ!? ボタン……!? 分からない! 避けるッ!)
ドガァアアアン
足立「……! 爆発……!」
吉良「そう……我がキラークイーン、第一の爆弾。触れた対象を爆弾に変える」
吉良「そして……」
吉良「『シアーハートアタック』!」
ギャルギャルギャルギャル!
『オイ……コッチヲミロ……』
足立「なんだっ!?」
足立(くっ……奴の能力は『爆弾』と見た! 『第一の爆弾』と言っていたから『第二』もあるはず!)
足立(あの戦車のようなもの自体が爆弾か!? それとも大砲を発射したりするのか!?)
足立(分からんが……こっちに来る前に破壊するッ!)
足立「『空間殺法!』」
ギンギンギンッ!
『コッチヲミロ……』
ギャルギャルギャルギャル!
足立「全然効かねぇっ! くそっ……『メギドラオン』!」
吉良(それは先ほどの大規模爆発か! さすがにシアーハートアタックの耐久力と言えど……!)
吉良「シアーハートアタック、解除!」
ドガァアアアアン!!
吉良「ぐっ……!」
吉良(直撃は避けたものの、ダメージは免れない……!)
吉良(ペルソナ使い……侮っていたようだな……!)
足立「ほらぁ……へへっ、さっきの威勢はどうしちゃったのかな~?」
足立(しかし妙だ。コイツは爆発の能力しかもっていないのか……?)
足立(それだと僕のプランの一つが……!)
吉良「シアーハートアタック!」
ギャルギャルギャルギャル!
足立「それはさっき見たって! 『メギドラオン』!」
吉良「解除。キラークイーン、第一の爆弾」
吉良「くッ……!」
ドガァアアアアン!!
吉良(ダメージは受けるが……)
足立「なにっ……!」
足立(しまった! 爆発のせいで煙幕が……!)
足立(やつはどこに……!?)
ピトッ……
吉良「私の勝利かな……フフ」
足立「そこかぁっ!」
バッ
足立(コイツ……僕の眼鏡にッ! いったい何をしたっ!?)
吉良(後は……!)
足立(まずいッ! あのスタンドとかいうやつ……っ! 右手にスイッチのようなものを持っている!」
足立「くっそおおお!」
吉良「キラークイーンッ!!」
ドガァアアアアン!!
足立「う……」
足立(生きてる……! やはり眼鏡を『爆弾』に変えられていたっ……!)
足立(触れたものを爆弾に変え……しかもスイッチで任意のタイミングに点火!?)
足立(うかつには近づけ……)
ザッ
吉良「殺すつもりで仕掛けたが……やはり『殺せない』のかな? この世界では」
足立「……! はぁ……ゲームオーバーかよ」
足立(終わりか……)
吉良「さぁ、」
ピトッ
吉良「お前自身を爆弾にした……キラークイーンッ!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……
吉良「さぁ、洗いざらい吐いて自分の価値を証明するといい……僕の引き金は軽いぞ? んん……?」
足立「……」
足立「やっぱり世の中クソだな……ははっ」
ソロソロオワルクマヨー
~~
直斗「なるほど……プランは以上ですか?」
足立「ああ、そうだよ……」
直斗「なるほど……嘘は言っていない」
足立「満足かい?」
直斗「……」
鳴上(ある意味、足立さんはこの世界の『被害者』だ)
鳴上(しかし、それを認めてしまっては、俺たちがやってきたこともすべて無駄になってしまう)
鳴上(物語は悪役がいることで成り立つが……)
鳴上(救いようのない話だ……)
足立(プラン1は『吉良吉影の能力をアメノサギリによって昇華』させて『世界改変』すること)
足立(奴が最後に教えてくれた『バイツァダスト』……時間を吹っ飛ばす爆弾)
足立(それを強化し、連続殺人事件が起こる手前まで時間を吹っ飛ばすことができれば、と思ったが……)
足立(……プラン2は『殺人者の交代』つまり、ボクの『犯人』という役目を『吉良吉影』に移すという行為)
足立(これは『世界改変』というより、僕自身が役者を降りるという目的から生じている)
足立「ねぇ、今からでもやってみない?」
吉良「フフ、いいのかい?」
一同「!?」
吉良「じゃあ手始めに……」
雪子「なっ……!?」
吉良「キラークイーンッ!」
シーン……
吉良「今のタイミングは完璧に殺せた……だから私のスタンドは『発現しなかった』」
吉良「この世界の『帳尻合わせ』が出来ない行為は、できないということだな。フフ、驚かせてしまって済まない」
雪子(……この人、本当にやる気だったわ)
吉良(満更でもない申し出だったが……しょうがない……)
吉良(殺せないんじゃあ、ここに居てもストレスで死んでしまう……!)
足立(プラン3は『全人類の抹殺』。……イザナミは『人の願いを見極める存在』)
足立(だから、『母数を減らしちゃえば』僕の願いが通るんじゃないかって思ったけど)
足立(現実的に無理だよねぇ……だいたい、ペルソナ能力、現実で使えないし……)
吉良「む?」
吉良「なんだ……! 体が……透けている!?」
??「世界の異変は取り除かれた……」
一同「!」
足立「イザナミ……!」
鳴上(ガソリンスタンドの……ッ!)
イザナミ「あるべきものはあるべき場所へ……」
吉良「うぉおおおおおッ!?」
鳴上「吉野……じゃない、吉良吉影っ!」
吉良(どんどん消えていく……体がッ!)
吉良(なるほど、これであるべき場所に戻れるのか……ッ!)
吉良「フフ、フフハハハハ!」
吉良「私は私の場所へ帰らせてもらう……」
吉良「静かに、植物のように、穏やかな暮らしに……」
吉良「『川尻浩作』としての第二の人生を……」
吉良「さらばだ……ッ! もう会うことはない!」
シュウウウウン
イザナミ「!」
吉良「……!」
吉良「なぜだ!?」
吉良「足立……貴様、貴様何をしたッ!?」
足立「へへ……やっぱりさぁ、どうにも納得がいかなくって……」
足立「プランは3つだったけど、4つに変更しちったよ……」
直斗「足立さん……」
足立「よぉ、イザナミ」
イザナミ「! ……フフ、まだあがくのですか。絶望の淵に立たされてまで」
足立「僕思うんだけど、その絶望ってやつの中にこそ、チャンスってものは転がってるんじゃないかな」
吉良(ほう……中々良いことを言うじゃないか)
足立「自称特別捜査隊!」
鳴上「!」
足立「ごっこ遊びなら、本格的にやろうよ……! そこに全ての元凶がいるんだから……!」
鳴上「足立さん……まさか」
足立「おっと……言っちゃあだめだよ悠くん、最後の手段が暴かれたら、今度こそ『ゲームオーバー』なんだから……さ!」
足立「マガツイザナギ!」
直斗「なるほど、ね……」
直斗(もう探偵権限は必要ない……謎は全て暴かれた)
直斗「ペルソナッ!」
足立「ふふ……僕たちが力を合わせるなんてこと、万に一つもあり得ないって思ってたけど……」
足立「なかなか面白そーじゃん?」
鳴上「イザナギッ!」
イザナミ「フフ、なるほどね……」
吉良「この私は争いを嫌うが……ふむ。今は加勢するしかなさそうだ」
イザナミ「『来訪者』……! なるほど、全員で僕に刃向うという訳か」
吉良「それを『権限』で暴かないとゲームオーバーにはならない訳だろう?」
吉良「ならば、こっちのほうがてっとり早いじゃあないか……」
吉良(早人……もう少し待っててくれ)
吉良(パパはお仕事が済んだら……、フフ、すぐ帰るからね……!)
吉良「キラークイーンッ!!」
~end~
乙と言わざるを得ないっ!!!
乙だぜ
完結オメ
>>394 オワルクマー サンクス
吉良らしかった乙
超乙
乗っ取りを良くぞ完結させた。大義である
乗っ取りでこれほどハイクオリティなものも中々ない
これは乙と言わなければならない、乙
乙としかいいようがない
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