P「伊織に胴上げをかましてやろう!」 (50)
春香「えぇっ!?絶対怒られますって!」
春香「この前だっておでこを反射材に使って返り討ちにされてたじゃないですか!」
P「あのような失敗は二度としない……」
P「それに今回は伊織のAランク達成記念だ」
P「事務所初のAランクアイドルだ!」
P「盛大に祝ってやろうじゃねえか!!」
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P「春香……お前は満足か……?」
P「自分のプロデューサーに祝福もしてもらえない事務所なんて……」
P「俺は……嫌だね」
春香「プロデューサーさんは色々と斜め上なんですよ!!」
春香「普通に御祝いでいいじゃないですか、どうしてまた」
P「いいかいリボンちゃん。胴上げっていうのはなにも大それたことじゃない」
P「プロ野球、受験合格……など、日本でも古来から用いられてきた伝統的なやり方じゃないか」
P「それに、みんなで盛り上がって楽しそうだろう?」
P「なぁ、やよい?」
やよい「うー、私も、きっと胴上げしてもらえたら嬉しいかなーって」
やよい「伊織ちゃん、最近すっごく頑張ってたし、私にもなにかできることがないか考えてたんです!」
やよい「やりましょう!プロデューサー!」
春香「えぇー、やよいも?」
春香「千早ちゃん、プロデューサーさんをなんとか止めないと……」
千早「春香、迷った時は、どっちが正しいかなんて考えちゃダメよ」
千早「どっちが楽しいかで考えましょう?」
春香「やよいの笑顔のためなら私も裏切るのかぁぁ!」
千早「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思ってるわ」
春香「良い言葉だけどここで言ってほしくなかったよ!」
亜美「まーまーはるるん」
真美「落ち着きなされよ」
春香「これが落ち着いていられるか!」
真美「兄ちゃんもあんなこと言ってるけど」
亜美「実際にいおりんを胴上げなんてするワケないっしょ→?」
春香「そ、そうなのかな……?」
真美「あーゆーのはキカクダオレになっちゃうのがオチってやつだYO」
亜美「そうだよね?兄ちゃん」ヒソヒソ
真美「いおりんを胴上げなんてさすがに無理っぽいよ?」ヒソヒソ
P「…………無理、だと?」
P「俺たちは今まで無理だと言われる事ばかり成し遂げてきた…」
P「無理だとか無駄だとかいった言葉は聞き飽きたし、俺たちには関係ねえ!!」
亜美「さすが兄ちゃん!」ズキュウウゥン
真美「そうこなくっちゃNE!」
春香「本気にさせただけじゃん!」
律子「ああ、もうこれはプロデューサーはやるわね……」
春香「律子さん、止めなくていいんですか?」
律子「理屈で彼を止めるのはもう無理よ」
律子「いいじゃない。誰かを胴上げしてあげるなんて、そうそう出来ないわ」アハハ
春香「律子さんまで……」
律子「春香、あなたは優しいから、プロデューサーや伊織のことを思っているのは分かるわ」
律子「でもね、今日だけはみんなと盛り上っていいんじゃないかしら」
春香「……律子さんがそういうのなら」
春香「私もちょっとやってみたい気持ちはあるので……」
真「でもプロデューサー、ボク達だけで胴上げするのは難しくないですか?」
P「そうだな。万が一にも伊織を落としたりケガさせたりなんぞできないからな」
P「そう思って胴上げ三銃士を呼んでおいた」
美希「どうあげさんじゅうし?」
P「876プロの三人だ」
「「「よろしくお願いします!」」」
雪歩「涼くんと愛ちゃんは分かりますけど……絵理ちゃんは…?」
絵理「えっと、外周で、盛り上げる役……?」
美希「なるほどなの」
P「よーし、それじゃあ作戦を練っていくぞ」
律子「今日はあずささんの番組ロケに伊織がゲストで出演しています」
P「収録はもう終わってるだろうから、今は帰路についている頃か」
真「事務所に迎えてGO!って作戦ですね」
雪歩「でも事務所で胴上げだと、天井とかにぶつかっちゃいませんか?」
P「その通りだ。事務所だと派手なことは出来ないしな」
P「というわけで、実行の流れは、ビルの入り口で待機、からの路地に出て胴上げだ」
響「なるほど、一気に囲んでわっしょい!ってことだね!」
真美「いおりんびっくりするだろうなぁ」ンフフ
P「混乱や事故を起こさないためにも、フォーメーションを組んだ方がいい」
P「実動、つまり実際に伊織を胴上げするメンバーを決めよう」
真「まずはボクですね」ヘヘッ
響「自分もいけるぞ!」
やよい「私も、自信があります!」
愛「涼さんと私もです!」
涼「そのために来ましたから…」アハハ
律子「まったく、しょうがないですね」
千早「それでは、私もぜひ」
P「よし、みんなありがとう」
P「この8人で、八方位に別れて伊織を胴上げしよう」
春香「私と雪歩で、万が一のために、地面にマットを敷きます!」
貴音「わたくしは、あずさに事情を説明いたしますね」
P「ああ、よろしく頼む」
―― 30分後 ――
亜美「来たねー、きたきた……」ニヤニヤ
真美「何も知らない無垢なおデコよのう」
やよい「うぅ~、私燃えてきました!」メラメラ
貴音「不思議な緊張感がありますね」フフ
絵理「伊織さん…これからめちゃくちゃにされてしまうんですか…」
涼「絵理ちゃん、言い方……」
P「伊織が路地に入った……3,2,1で行くぞ」
「「「はいっ」」」
P「さん…に…いち……」
P「いっけぇぇぇぇぇぇ!!!!」ウオオオ
――――――――
―――――
――
あずさ「伊織ちゃんのおかげで、ロケも順調だったわね~」
あずさ「それに、事務所にもまっすぐ帰ってこれたから、助かるわ」テレテレ
伊織「あずさと外のロケって……いつもスタッフは大変でしょうね」
伊織「でも、今日は楽しかった」
伊織「たまにはこういうのも悪くないわ」
ドドドド……
ドドドドドド………!!!!
「「「伊織ぃぃぃぃ!!おめでとぉぉぉぉ!!」」」
愛「伊織さーん!おめでとうございますーー!!」
伊織「はぁぁ!!!??」!?!?
伊織「ちょっ、なによアンタ達!!!!」
あずさ「あ、あらあら~……」
真「行くよ、伊織!」
響「しっかり飛ぶんだぞ!」
伊織「なになに!?何する気なの!!?」
伊織「ちょっと説明しなさ……きゃっ!」フワッ
律子「そぉーれっ!!」
「「わーっしょい!!わーっしょい!!」」グイーン!
伊織「ひゃぁぁあっ!!」
「「わーっしょい!!わーっしょい!!」」ビューン!
伊織「ちょちょちょ、ストップ~!!」
「「わーっしょい!!わーっしょい!!」」デューン!
伊織「もう、なんなのよぉぉー!!」
絵理「わーっしょい!わーっしょい!」バンザーイ!
小鳥「伊織ちゃんおめでとう!」バンザーイ!
高木社長「うむ、美しい胴上げだ」バンザーイ!
あずさ「それじゃ、私も一緒に!」バンザーイ!
貴音「ふふ、まこと、気持ちのいい仲間達ですね」
雪歩「伊織ちゃんおめでとう!」バンザーイ!
春香「ねぇ美希、亜美、真美」
春香「私たちも舞おう」
亜美「……!」
美希「なるほど、さすが春香なの」ニヤリ
真美「はるるん隊長の騎士隊ですな!」
私たちは騎馬戦のウマを組んで、胴上げする群れの周りをぐるぐると回った。
亜美たちが用意していたクラッカーを打ち鳴らし、おめでとうと叫びながら、
鮮やかに宙を舞う伊織を中心に、祝祭のウイニングランを続けた。
やがて、最後の五回、伊織は今までより1.2倍高く舞うと、
歓声の中、ゆっくりと大地へ降ろされた。
そして、
伊織「まったく、アンタ達は最高ね」
この言葉により、私たちの作戦は大成功に終わった。
765プロのみんなは満面の笑みで、良かった、良かったと言い合い、
拍手や、お互いのねぎらいの言葉も止まなかった。
私たちはプロデューサーや876プロの3人と握手をし、
伊織とハイタッチをし、そのあと歌ったりした。
P「よかったよ、伊織に気に入ってもらえて」
伊織「これだけ盛大にやられちゃ、誰だって嬉しいわよ」
伊織「上に飛ばされるのも、途中からなんだか楽しくなってきたわ」
P「お、じゃあ次は伊織の誕生日にでも……」
伊織「それはダメ」
P「だよな」アハハ
伊織「……また新しい手でくるなら、受けてあげてもいいわよ」
こんなお祝いなんて何だか大げさだな、と思ったけれど、魔法にかかったような夕方だった。
つまり私たちは飢えていたんだと思う。
自分でも気付いていなかったけど、祝祭とか、騒ぐことに飢えていたんだと思う。
これが、私達の、今までで最大のランク昇格祝いだった。
まるで白昼夢のようなお祭りは、忘れられないだろう。
やっぱり765プロが大好きだと、その夜、とりとめもなくそんなことを考えながら眠りに就いた。
おしまい
閉幕です。読んで下さった方々ありがとうございました。
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