響「ねぇ真……」真「……」響「変顔してよ……」 (256)

真「やだよ……」

響「なんで……?」

真「…………」

真「響が変顔してよ……」

響「…………」

響「やだ……」

真「だろう……?」

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響「…………」

真「…………」

響「……あっ……」

真「…………」

響「…………」

真「どうかした……?」

響「いや……」

響「…………」

真「…………」

響「………………あ」

真「なんなのさ」

響「いや…別になんでもない話……」

真「気になるよ……」

響「いや本当に……話してもほんとどうでもいい話だから……」

真「いいじゃん……話してみなよ……」

響「うーん……」

真「…………」

響「…………」

響「……やよいってさ」

真「うん」

響「…………あっ……」

響「ごめん。ほんとなんでもない……」

真「え……なにそれ……」

真「ちょっと……やよいがどうしたのさ……」

響「いや……忘れて……」

真「気になるよ……そこまで話しておいて……」

響「そこまで話しておいてって……やよいとしか言ってないよ……」

真「…………」

響「…………」

真「でも気になるじゃん……」

響「だって……やっぱり話すほどのことでもないしさ……」

真「完全にボク……響の話を聞く態勢だったのに……」

響「ごめん……」

真「なんとかしてよ……」

響「どうすればいいのさ……」

真「代わりになにか話してよ……」

響「なにかって……?」

真「なにかだよ……なにかあるだろ……?」

響「…………」

響「どうでもいい話しか思いつかないよ……」

真「じゃ……それで……」

響「…………」

響「ほんとどうでもいい話なんだけどさ……」

真「うん」

響「うさ江のことなんだけどさ……」

真「うさ江……ああ、響のペットの……」

響「うん……うさ江って名前……どう思う……?」

真「えっ……」

響「…………」

真「…………」

真「その……響らしいな……って……」

響「自分らしい……?」

真「うん……」

響「ありがと」

真「うん……」

真「それで……うさ江がどうしたの……?」

響「……最近ね……うさ江じゃなくて……うさ美の方がよかったかなってね……思って……」

真「名前……?」

響「うん……」

真「……たしかに……うさ江よりうさ美の方が……なんか……若いよね……」

響「若い……?」

真「あっ……いや……」

響「若いって……?」

真「…………」

真「江よりも美のほうが若い感じ……」

響「…………」

真「しない……?」

響「……なんとなく……わかるかも……」

真「よかった……」

響「でもさ……自分なりに考えてみて……2つ問題点が浮かんできてさ……」

真「問題点……」

響「いぬ美と被る……」

真「…………あー……」

響「いぬ美とうさ美……」

真「なんかコンビみたいだね……」

響「代わりにいぬ美をいぬ江にしてみたら……」

真「……うわー……いぬ江は……ないよ……」

響「でしょ……?」

真「いぬ江はないよ……」

響「うさ美といぬ江……」

真「うーん……どっちも美のほうがいいよ……」

響「美って万能だね……」

真「うん……ここまできたらみんな美でいいんじゃない……?」

響「……へび美って……へび香と比べてどう……?」

真「…………」

真「ボクは……へび香のほうが好きかな……」

響「自分も……」

真「美……万能じゃないね……」

響「万能じゃないね……」

響「やっぱ江が問題なのか……」

真「ちょっとおばさんぽいよね……」

響「なんであのとき……うさ江って名付けたんだろ……」

真「…………」

響「うさ江のうんち……臭いし……」

真「…………」

真「うんちは……みんな臭いよ……」

響「…………そうだった……」

真「それでさ……2つ問題点があるって言ってたけど……」

響「うん……」

響「仮に……うさ美になった場合……」

真「うん……」

響「我那覇宇佐美になって……どっちも苗字っぽい……」

真「我那覇……宇佐美……」

響「ね……」

真「…………」

真「別にそれはいいんじゃないかな……」

響「…………」

響「いいかな……」

真「名前が苗字っぽい人なんて……よくいるでしょ……」

響「…………」

響「美希とか……?」

真「貴音も名字っぽいし……」

響「そっか……じゃあ……いいや……」

真「うん……」

響「…………」

真「それで……」

響「ん……?」

真「結局どっちにするのさ……」

響「…………」

響「うさ江……かな……」

真「そう……」

響「うん……」

真「うん……」

響「…………」

真「…………」

響「……ほら……」

響「なんでもない話だったでしょ……?」

真「うん」

真「…………」

響「…………」

真「ねぇ響……」

響「なに……」

真「響って好きな人いる……?」

響「…………」

響「……っえ!?」

真「いる?」

響「い、いないぞ!そんなの!」

真「ほんと?」

響「いないってば!なんでそんなこといきなり聞くんだ!?」

真「怪しいな…本当にいないならそんなに焦らないと思うんだけど?」

響「本当だってば!本当にいないのー!」

真「えー……?」

響「そ、そういう真はどうなんだ!?」

真「えっ?」

響「好きな人いるんでしょ!?」

真「な、なにバカなこと言ってるんだよ!いるわけないだろ!?」

響「なんだか嘘っぽいぞ!ほんとにいないならそんなに焦らないし!」

真「それボクが言ったことだろ!?真似しないでよ!」

響「真が本当のこと言えば終わる話だぞ!」

真「ちょっとまってよ!先に答えなきゃいけないのは響だろ!?」

響「じ、自分は……真が言ったら答えるよ!」

真「ずるい!ボクだって響が言わなきゃ言わないよ!」

響「ぐっ……」

真「ふんだ!」

響「…………」

真「…………」

響「…………やよいってさ……」

真「……え?最初の話に戻るの……?」

響「…………え……?」

真「え……?」

響「最初の話って……?」

真「え……いや……ほら……最初に響が言いかけた話があったじゃないか……」

響「…………あー……」

響「あれとは別の話……」

真「そうなんだ……」

響「うん……」

真「…………」

響「…………話していい……?」

真「いいよ……」

響「やよいってさ……」

真「うん……」

響「首から……お財布ぶら下げてるでしょ……?」

真「うん…………ん……」

響「…………」

響「なに……?」

真「財布……だっけ……」

響「違うっけ……」

真「……ポーチ……じゃない……?」

響「ポーチ……だっけ……」

真「…………」

真「でも……入ってるのはお金らしいし……財布でも間違ってない……かな……」

響「なんだ……間違ってないんだ……」

真「うん……」

響「じゃあ……訂正しなくても……よくないっけ……」

真「うん……ごめん……」

響「……でさ……そのお財布……」

真「あっ……」

響「なに……」

真「そのポーチの名前……べろちょろ……」

響「…………べろちょろ……」

真「べろちょろ……」

響「……じゃあべろちょろって言うね……」

真「うん……それで……」

響「で……えっと……やよいのべろちょろの話……」

真「うん……」

響「あれってさ……やよいの全財産が入ってるらしいんだ……」

真「…………」

真「うそ……?」

響「ほんとみたい……」

真「…………」

真「うそでしょ……」

響「いや……うそじゃないってば……」

真「いや……だってさ……全財産ってさ……」

真「服とか……そういうのも含まれるわけでさ……」

響「…………」

真「…………」

響「わかったよ……やよいの所持金全部って言い換えればいいんだろ……」

真「うん……なんか……ごめん……」

真「でもさ……」

響「……ん……」

真「やよいもさ……結構テレビ出てるよね……」

響「うん……」

真「ボク達と同じくらい……だよね……」

響「うん……多分……」

真「……響……先月のお給料いくら……?」

響「…………」

響「真と……同じくらい……」

真「……そう……」

響「…………多分……」

真「じゃあ……やよいも……そのくらい貰ってるよね……」

響「うん……多分……ね……」

真「それで……所持金全部が……べろちょろの中にって……」

響「…………」

響「相当重いぞ……」

真「……でも全部お札にしてあるなら……」

響「中身は……小銭しか入ってない……らしいけど……」

真「……そんなことないでしょ……」

響「うん……それは自分も……そう思う……」

真「やよいって……家族の生活費とかやりくりしてるみたいだし……」

響「少なくとも食費に関してはそうだよね……」

真「さすがに小銭だけってのはないよ響……」

響「うん……自分もそう思うってば……」

真「じゃあ……ポーチに小銭しか入ってないって……デマじゃない……?」

響「うん……そうだね……」

響「じゃあ……全財産が入ってるっていうのもデマかな……」

真「ん……」

響「…………あっ……所持金全部ね……」

真「言い直さなくても……いいよ……」

響「そう……?」

真「それに……あながちデマとも言えないのかも……」

響「……え……?」

真「やよいはさ……きっと両親から買い物の度にお金を預かってるんだよ……買い物する分だけ……」

響「…………うん……」

真「だから預かったお金はすぐ使って……残った分をべろちょろに入れてる……」

真「それなら……べろちょろに小銭しか入ってないのもわかるし……」

響「やよいの全財産が入ってるっていうのは……?」

真「多分……買い物した後の残りをおこづかいとして貰ってるんじゃないかな……つまりやよいの自由なお金は小銭の状態で全部ポーチの中に入ってる……」

響「うん……それなら……デマにはならないね……」

真「でしょ」

響「でも……真……」

真「ん…なに……?」

響「気になったことがあるんだ……」

真「ああ……なにが……?」

響「真…べろちょろのことポーチって言ったりしてる……」

真「…………」

響「…………」

真「そうだった……?」

響「うん……」

真「でも意味は伝わるだろ……?」

響「自分の中では……べろちょろのこと財布だって認識だから……」

真「…………」

真「ボクは……ポーチ……」

響「…………」

真「…………」

響「べろちょろに統一しよう……」

真「うん……」

響「…………」

真「それで……なんだった……?」

響「なにが……?」

真「ボクが話題を逸らしちゃったろう……」

響「あ……まぁ……うん……」

真「ごめん……響が話したいことってなんだった……?」

響「えっと……うん……あー、うん……」

響「……やよいって首からべろちょろさげてるでしょ……?」

真「うん」

響「それに小銭しか入ってないってことを……どこかで聞いたからさ……」

真「あ……それ先に言わせちゃってごめん……」

響「やよいって……お仕事頑張ってるのにどうしていつも食費とか困ってるのかなって……思って……」

真「……えと、それはさ……」

響「うん……さっき真が言ったのを聞いてからわかったんだ……やよいがお仕事で稼いだお金はやよいの両親が管理してるんだろうなって……」

真「まぁ……そうだろうね……」

響「それだけ……ちょっと疑問だったってだけの話……もう話す前に解決しちゃったんだけど……」

真「……なんかさ……ごめんね響……」

響「でもさ……なんか新しく疑問が産まれたんだけど……」

真「うん、うんうん……それを話してみてよ」

響「どうしてやよいの両親は……もうちょっとやよいにお金を渡してあげないんだろうって……」

真「…………」

響「だって……やよいが頑張った分だけ確実に余裕ができる筈だろ……でもやよいのお金の使い方ってまだ売れる前だった頃とあんまり変わってないじゃん……」

真「うん……飲み物買うのを我慢して水道水飲んだりね……」

響「やよいのお金の使い方が変わってないってことは……渡されてるお金も変わってないってことだろ……なんか……こう言っちゃなんだけど……いじわるだぞ……」

真「うーん……」

響「やよいもやよいで……お仕事が増えてお給料も上がってる筈なのに……全然疑問に思ってないし……」

真「そもそも給料明細も見てないんじゃないかな……」

響「……それはあるよね……」

真「でも……別にいじわるでお金を渡してないわけじゃないと思うよ……」

響「え……?」

真「多分……やよいのお給料は使わずに貯めてるんだよ……大事にね……」

響「…………」

真「たしかにそのお金の使い道はやよいだけじゃないと思うよ……でも……そうだな……」

真「例えば……やよいの弟くん……」

響「長介……?」

真「そう……長介くんがいつか高校生に……大学生になるとき……お金が必要でしょ……?」

響「あっ……」

真「もちろんやよいにも……これから高校生になるのかはわからないけど……使うこともあるんだよ……」

真「その時のために貯めてるんだとしたら……やよいの頑張りは無駄にならないし……むしろやよいにとってはそれが一番のお金の使い道なんじゃないかな……」

響「…………」

真「……なんて……全部ボクの推測だけど……」

響「…………」

真「響……?」

響「真ってすごいね……」

真「なにが……?」

響「自分……そんな考え方……できなかったぞ……」

真「……まぁ……全部ボクの妄想だから……やよいのご両親にも会ったことないんだし…気にしないでよ……」

響「真って頭いいね……」

真「なにを言うのさ…全然そんなことないよ」

響「女の子に人気出るのもわかるぞ……」

真「や、やめてよ…恥ずかしいってば……」

響「なんだか真ってさ……」

真「う、うん」

響「ラノベの主人公みたいだよね……」

真「ラノベ?」

響「うん……」

真「……っていうと?ラノベっていろいろあるんじゃないの?」

響「自分が言ってるのは……っていうか世間一般でラノベの主人公っていうのは……」

真「うん」

響「よく女の子にモテる主人公……ってこと……」

真「うぐぅ……そういうことね……」

響「読んでてさ……なんでこんな主人公がモテてるんだろう……って思ったりもしてた……けど……」

響「真を見てたら……なんか……わかった気がする……」

真「そうなんだ……そんなにボクってラノベの主人公っぽい……?」

響「うん……」

真「例えば誰に似てるの?」

響「うん…………うーん…………」

真「…………」

響「…………」

響「ごめん……よく思い付かない……」

真「それって似てないってことじゃないの?」

響「そうかも……適当なこと言って……ごめん……」

真「でも、ラノベかぁ」

響「…………」

真「今度読んでみようかな」

響「……ねぇ……」

真「なに?」

響「自分と……真って……どっちが人気……あるのかな……」

真「え?」

響「どっちだと思う……?」

真「うーん、どうだろう……同じくらいじゃない?」

響「真面目に考えてみて……」

真「…………」

響「…………」

真「……ボク……じゃないかな……」

響「…………」

真「なんだかんだで……女の子のファン……すごく多いし……」

響「そっか……女の子の……ファンか……」

真「うん……」

響「……たしかに……それじゃ自分は勝てないね……」

真「…………」

響「…………」

響「……男の人だけの人気なら……どう……?」

真「…………」

響「…………」

真「それじゃあ……響かな……」

響「そう?」

真「うん……」

響「そんなことなくない?」

真「……いや……どうだろう……」

響「…………」

真「…………」

響「……じゃあさ……」

真「うん……」

響「ちびっ子限定ならどう……?」

真「……それも……響じゃないかな……」

響「そう?」

真「うん……動物番組とか……ちびっ子に人気あるみたいだし……」

響「そうかな?真も女の子のファン多いんだろ?」

真「あっ……ちびっ子って女の子も入る……?」

響「……うん」

真「じゃあ……ボクじゃないかな……やっぱり……」

響「…………うん……そうだよね……やっぱり……」

響「…………」

真「…………」

響「やよいってさ……」

真「……どっち……?」

響「…………」

響「なにが……?」

真「……最初に言いかけた話……?それともさっきの話……?」

響「…………あぁ……」

響「どちらでもない話……」

真「そう……」

響「ダメだった……?」

真「そんなことは……ないよ……」

響「やよいってさ……」

真「うん……」

響「首からお財布ぶら下げてるじゃん……?」

真「……まって響……」

響「なに……?」

真「やっぱり……さっきと同じ話しようとしてない……?」

響「いや……違う話……」

真「…………」

響「だと……思う……」

真「……そう……ならいいけど……」

真「あと……べろちょろ、ね……」

響「うん…………あっ……うん……そうだったね……」

響「さっき……決めたばかりなのにごめん……」

真「いや……そんなに謝らなくていい……けど……」

真「ボクは……ポーチだと思うし……」

響「…………」

真「…………」

響「今度……やよいに聞いてみよう……」

真「そうだね……それまで……一時休戦ね……」

響「今度こそ……べろちょろに統一で……」

真「それで……なんの話だった……?」

響「うん……」

響「やよいって……なんで常にべろちょろを首にかけてるんだろって……」

真「…………」

響「ちょっと疑問……だったから…さ……」

真「……うん……別に……」

響「…………なに……?」

真「単純な話……なんじゃないかって……さ……」

響「……つまり……?」

真「ボク達がポーチを……首から掛けてるのと同じような理由でしょ……」

響「…………」

響「やっぱり……ポーチ……」

真「いや……カバンでもなんでもいいんだけどさ……いつでも中身のものを取り出せるように持ち歩いてる……ただ単にそういう……」

響「……でも中身ってお金でしょ……?」

真「……ボク達だってお財布を持ち歩くじゃないか……」

響「今財布だって認めた」

真「え……いや……そういう話じゃないでしょ……?」

響「今真の中で、やよいのべろちょろ=自分たちにとっての財布、という式が成り立った」

真「違うよ。認めてないよ。あれはポーチだよポーチ。絶対ポーチ」

響「でも今財布に例えてたよね」

真「しつこいよ。ボク達の中で平行線だからべろちょろと呼ぶことにしたんだろう?」

響「ムキになってるでしょ」

真「なってないよ。それよりやよいのポーチ、通称べろちょろがなんだって?」

響「ああ。やよいの財布、通称べろちょろのことね」

真「…………」

響「…………」

真「……やめよ…………」

響「うん……」

真「………………」

響「………………」

響「まぁ……やよいのべろちょろは……財布でもあり……ポーチでもあるんだろうけど……」

真「うん……」

響「中にお金しか入ってないよね……?」

真「…………そういえば……ボクもべろちょろからお金以外を出してるの見たことない……かな……」

響「でしょ……ならやよいは……さっきの真の論が正しければ、いつでもお金を取り出せるようにべろちょろを持ち歩いてるわけだよね……」

真「…………うん……お金しか入ってないと仮定するならね……」

響「でもやよいはあんまりお金を使わないようにしてるよね……」

真「…………」

響「……矛盾……してない……?」

真「……たとえ普段から節約してても……とっさに使えるお金がないと不便だろ……」

響「例えば……?」

真「…………ボクなら……営業先の移動手段としてタクシー使うときだったり……」

響「でもやよいのべろちょろには小銭しか入ってないんだよね……?」

真「…………」

真「じゃーもやしとか買うときに使うんじゃない?」

響「あれ……?めんどくさくなってきてる……?」

真「……でも実際、偶然特売とかに出くわしたらお金がないと買えないだろ……?」

響「…………」

真「常にお金を持つことで節約してるのさ、やよいは……」

響「……やっぱ頭いいね…………真って……」

真「そんなことないって……」

響「だって普通は……お金を持ってたら使うことばっか考えちゃうと思うぞ……それなのに……」

響「お金を持ち歩くことが逆に節約になるだなんて……」

真「…………」

響「……すごい…発想力……すごい……」

真「…………やめてったら……」

響「どうしてさ……ここは自分の頭の良さに……誇りを持つべきとこだぞ……」

真「………………じゃあ、言うけど」

真「ボクこの間テストで56点取ったから」

響「………………」

真「………………」

響「………………ん……」

真「………………」

響「……反応しづらいぞ…………」

真「…………ごめん……赤点までいってたら面白かったのにね……」

真「…………」

響「…………」

真「……なんか……飲む……?」

響「…………んー……」

真「…………」

響「…んむ……あ、あー……」

真「…………」

響「あー……あ、あー……あー……」

真「……なにやってるの…………」

響「……ん、くっ……ふん……」

響「喉の渇きの……チェック……」

真「…………」

真「そう」

真「……で……?」

響「ん……」

真「渇いてた……?」

響「……六割くらい…………」

真「かなり渇いてるね……」

響「…………」

響「いや……四……割…………てところかな……」

真「…………」

響「…………三割かな」

真「じゃあ……飲み物いらないんだね……?」

響「いる……」

真「いるの……」

響「うん……」

真「じゃあ普通に渇いてるって言えばいいじゃん……渇き率を最初六割って言ってたのに最終的に三割になったからいらないのかなって思うじゃん……」

響「……正確に伝えた方がいいかなって……」

真「…………」

響「……なんか飲も……」

真「うん……じゃあ冷蔵庫見てくる……」

響「なにか入ってるかな……」

真「オレンジジュースは必ず入ってるよね……」

響「…………」

響「なんのジュースが好き……?」

真「いきなり……なにさ……」

響「ウチって……生粋のオレンジジュースマニアがいるからさ……オレンジ以外のジュースの話って普段タブーじゃん……」

真「え……そんなことないけど……」

響「うん…わかってるよ……」

真「え……」

響「ちょっと言ってみたかっただけ……」

真「え……」

響「え……」

真「なんでそんなこと…ちょっと言ってみたかったの……?」

響「…………」

真「…………」

響「……「ちょっと言ってみたかっただけ」……って…………ちょっと言ってみたかっただけ…………」

真「…………」

響「…………」

真「……ん、まぁ……それなら分からないこともないかな……」

響「……もういい……?」

真「もういいよ」

響「…………でさ…なんのジュース好き……?」

真「うーん……響は?」

響「うん、りんごとかグレープとかメジャーなところもいいけど……グレープフルーツとかマンゴーとかちょっと特別感のあるジュースもいいよね」

響「自分にとってジュースってさ……気軽に自販機で買って飲むってより……お店とかでゆっくり楽しむような……ちょっとリッチな気分を味わいたいときに飲むものだし……」

真「…………」

響「真は?」

真「ボクは特別感もリッチ感もない普通のりんごジュースが好きだよ」

響「…………」

真「別に果汁100パーセントじゃないのでもいいよ」

響「…………」

真「ごめん、そんなに語ることないや……」

響「……そっか」

真「……そういえばさ」

響「うん……?」

真「グレープとグレープフルーツ…………」

響「…………」

真「ボクの言いたいこと……わかる……?」

響「…………」

響「普通のグレープも……フルーツだよね……」

真「そう……」

響「なのに……グレープとグレープフルーツが別物である……謎……」

真「…………」

響「…………」

真「まぁ……どうでもいいよね……」

響「えぇ……」

真「だって……どうでもよくない……?」

響「真から振ってきたのに……」

真「だって……今ボクと響がグレープとグレープフルーツのことを討論したって……生まれるものはなにもないよ……」

響「…………そうだけど」

真「でしょ……」

響「腑に落ちない……」

真「んー……」

響「……なにかある?」

真「オレンジジュースがある……」

響「安定のオレンジジュース……」

真「あとポカリ……」

響「ポカリ」

真「どうする?」

響「ポカリ」

真「そう……じゃあボクも」

真「響はこの……イヌがついてるコップでいいんだっけ……?」

響「うん、ありがと」

真「……前から気になってたんだけど……このイヌの……ここについてる…ピンクの……なに?」

響「ベロ……じゃないの……?」

真「……この絵じゃほっぺたからベロ出てるようにみえる……」

響「……………………」

真「そう見えない?」

響「……あぁ……真が言わなきゃ…気がつかなかったのに……」

真「今まで気づいてなかったの……?」

響「真がそれ言ったから……自分もほっぺたからベロ出てるようにしか見えなくなっちゃった……」

響「このコップ二個持ってるのに……」

真「二個…………そっか…………このコップを……二個…………」

響「ほっぺたからベロ……こんなのイヌじゃない…………ほっぺたベロ蔵だ…………」

真「ごめんよ……ポカリ飲んで元気出してよ……」

響「ん……」

真「はい…ストップっていってね」

響「わかった」

真「…………」

響「…………」

真「……………………」

響「…………」

真「…………………………」

真「ねぇ」

響「ん?」

真「溢れるよ……」

響「あっ、ストップって言ってないのにストップしたね」

真「だって……」

響「えへへ」

響「うわぁ……なみなみ…………」

真「だからストップって言ってって……」

響「……これ……持とうとしたらこぼれちゃうかな……」

真「うん……」

響「なんぱー……?」

真「…………うん……」

響「…………いや……」

真「…………」

響「……うん…じゃなくてさ……」

真「…………なに?」

響「なんぱー?」

真「……う、うん」

響「いや……うんじゃなくてさ」

響「なんぱーかって……真に聞いてるんだけど……」

真「………………」

真「……なんぱーって……なに……?」

響「……え…」

真「いや……沖縄の言葉って……ボクあまり知らなくて……」

響「えっと……」

真「ごめん……今度勉強しとくよ……」

響「…………」

響「沖縄の……言葉じゃなくて……」

真「……え?」

響「……何パーセントかな、って……」

真「…………なにが?」

響「こぼれる確率が……」

真「……えっ?いや…なんの話…」

響「いやだから…なんぱーって……何パーセントなのかなって……略した言葉で……」

真「…………」

響「……何パーセントか誰かに聞くときさ……なんぱー?って言わない……?」

真「…………自分で考えてみたら……?」

響「…………そうだね」

真「それで……考えてみた結果は……?」

響「……87ぱー」

真「かなりだね……」

響「うん……これもうコップからはみ出してるし……なんでこれでこぼれてないのか不思議なくらいだぞ……」

真「表面張力でしょ……知らない……?」

響「それは知ってるけど……真は表面張力の原理はわかるの……?」

真「…………」

響「…………」

真「…………」

響「もうこのまま口付けて飲んじゃおうかな……」

真「お行儀悪くない……?」

響「……真しかいないし……」

真「親しき仲にも礼儀あり……知らない……?」

響「それは知ってるけど……真はその言葉の本当の意味を知ってるの……?」

真「………………」

響「………………」

真「……え、本当の意味とかあるの……?」

響「言ってみただけ」

真「そのまま口付けるって……コップを動かさないまま自分の口を突き出してポカリを啜るってことだよね」

響「……言葉にされると、結構間抜けだね」

真「……ねぇ響……変顔してよ……」

響「……そうだ、棚にストローなかったっけ」

真「たった今自ら変顔しようとしてたのに……」

響「あった……よかった……」

真「あっ…………」

響「ふんだ。自分をそう簡単に変顔にできると思ったら大間違いだぞ」

真「…………」

響「こっちにはストローがあるんだもんね」

真「…………」

響「それ、と……」

響「………………」

真「……ふっ…」

響「………………」

響「ストロー入れたらこぼれた」

真「ふふっ……」

真「もう……響、笑わせないでよ……」

響「別に笑わせようなんて思ってないぞ……」

真「じゃあボクも飲もうかな……よ、と……」

響「自分ストップって言うからね」

真「ストップ」

響「……自分が言うって……」

真「なんでボクの分まで響が言うのさ……」

響「真だけそんなに余裕があってずるいぞ……」

真「だってこれにオレンジジュース足すし」

響「ずるい」

真「なんでさ」

響「選択肢はポカリかオレンジジュースかの二択だったはずじゃないか」

真「ポカリとオレンジジュースの相性の良さを考慮した三つめの選択肢に気付かない響が悪いのさ」

響「ずるいっ」

真「オレンジ味のポカリがついに完成した……」

響「ポカリ界に衝撃が走るね……」

真「ポカリ界ってなにさ」

響「……言ってみただけ」

真「……あのさ、響…自分で意味のわかってないこと言わないでよ……言ってみただけに逃げないでよ……」

響「うん……でもそこは真が軽く流してくれてもよかったと思う……」

真「いや…さっきからだし……常習になられると後々面倒だし……」

響「そっか……直すね……うん」

真「……でもなんでオレンジ味のスポドリってないんだろうね……?」

響「あるんじゃない?……自分は聞いたことないけど……」

真「普通のスポドリより人気出そうなのに……こくっ……」

響「うーん……ないってことはそれなりの理由もあるんじゃ……」

真「………………うん、出ないはずだよね」

響「…………え」

真「ボク……これをコップ一杯飲まなきゃいけないのかぁ……」

響「……察したぞ」

響「試したことなかったのに混ぜちゃったのか真は……」

真「スポドリを飲む機会なんてあんまりないしさ……一見合いそうに思ったんだけどなぁ……」

響「真の方の問題なんじゃない……?案外伊織とかが飲んだらおいしいって言うかも」

真「いや……伊織はオレンジジュースに混ぜものなんかしたら絶対に怒る」

響「……じゃあやよい」

真「やよいは……例えマズいって思っても最後まで飲んでくれそうだよね……」

響「……やよいってさ」

真「うん」

響「首からぶら下げてる…」

真「ちょっとまって」

真「またべろちょろの話……?」

響「う、うん…………だめ?」

真「だめじゃないけど……またなの……?」

響「だって……さっきの話とはまた違う話だし……」

真「…………」

響「話っていうか…………疑問…みたいな……」

真「…………」

響「だめ?」

真「だめじゃないけど……響から振る話って全部やよいの話じゃない……?」

響「だめ?やよいの話」

真「だめじゃないけど……ボクもやよいは大好きさ」

響「じゃあよくない?」

真「…………そんなにしたいの……?その話……」

響「…………そんなにって……言うほどでもない…………」

真「……あ…そうなんだ……」

響「………………」

真「………………」

響「でね、やよいってさ……」

真「やっぱりするんだね」

響「……いつも首から…べろちょろ下げてるけど……」

真「…………」

響「……募金……していいかな……」

真「………………はぁ……?」

響「自分……やよいの首からぶら下がってるべろちょろを見ると……なんか……百円玉入れたくなるんだ……」

真「……なにそれ。べろちょろはクレーンゲームじゃないんだよ……」

響「…………自分は……ほとんどダンスゲームしかやんないぞ……」

真「べろちょろはダンスゲームでもないんだよ……」

響「…………え……わかってる……けど……」

真「………………」

響「……その……真のめんどくさそうな表情……やだ……」

真「…………うんごめん……」

響「……入れるの五百円でもいいし……」

真「クレーンゲーム六回できるね……」

響「だって……やよいと話すたびにべろちょろが目に入って……」

真「…………」

響「募金……しなきゃ……って……」

真「なんでさ……募金しようとしたって……やよいは受け取らないだろ……」

響「……受け取らないかな…?」

真「…………」

響「…………」

真「…受け取らないでしょ」

響「そうかな………………うん、そうかも」

真「…………」

真「…………うん、受け取らないよやよいは……」

響「…………うん、受け取らないよな…………やよいだもんな……」

真「……響、それって……募金するのって……やよいのため…?」

響「…………なんだろ。なんか募金したくなるんだよね……やよいのためなのかな……」

真「…………」

響「……自分でもわかんない」

真「よく遊びにくる孫にお駄賃あげたくなるおばあちゃんの心理……?」

響「誰がおばあちゃんだ」

真「…………やよいのため…って気もするけど…お駄賃をあげることで……喜ぶ顔が見たい……」

響「お……」

真「自分があげたお駄賃で…好きなお菓子でも買って喜んでほしい…笑った顔が見たい……それによって得られる満足感…幸福感を得たい……」

真「…みたいな感じでしょ」

響「まさに……自分の気持ちに近い……ような」

真「これおばあちゃんの心理だよ」

響「誰がおばあちゃんかって」

真「それって……響が不安になってるって証拠だよ」

響「……え…………?」

真「やよいにとって……自分は必要なのかって……やよいは自分のこと……どう思ってるのかって」

響「………………」

真「最近やよいに会ってないでしょ……」

響「う、うん……」

真「……やよいと交流がないから…やよいのことが気になるんだよ……」

響「…………そうなの…かな」

真「うん。久しぶりに会うとものすごく可愛く見えて色々やってあげたくなっちゃうんだよ……」

響「うん……それだ……自分……」

真「それこそおばあちゃんの心理……」

響「それじゃない。それじゃない。自分の心理」

響「他に言い方…あるだろ……」

真「…………」

真「じゃあ……好きな人にならなんでもしてあげちゃいたいっていう……ダメダメな男の人に騙されちゃうタイプの女の子の…心理……?」

響「……いくら例えでも、やよいをダメダメな男の人扱いしちゃ……ダメだろ……」

真「……いや…やよいのことはダメダメな男の人扱いしてないよ……やよいはお金受け取らないって言ったじゃない……」

響「………………」

響「…………つまり自分は誰に騙されちゃってるんだ……?」

真「…………」

響「あれ……っ?……自分を騙すダメダメな男の人はいないはずなのに……自分はなんでダメダメな男の人に騙されてるんだ……?」

響「……あ、あれっ…!?自分を騙すダメダメな男の人はいったいどこにいったんだ……!?あれっ!?」

真「……そうだ。もっと簡単な話なんだ。響が単純にダメダメなんだ…」

真「落ち着いてよ響……」

響「た、助けて真……自分……騙されちゃってるんだよ……しかも誰が騙してるのかわかんないんだ…………怖いだろ……?」

真「………………」

真「……安心しなよ響…………響は騙されてなんかいないよ……」

響「…………」

響「………………」

響「そう……?」

真「うん……」

響「なんだ…………そう…………」

真「うん……」

響「…………」

響「やよいってさ……」

真「募金したってやよいは受け取らないよ……」

響「……マジで……」

真「響ってさ……」

響「なに…………?」

真「もしかして…さ…………」

響「…………うん」

真「……………………」

真「あー……っとぉ……ね……?」

響「…………なにか…言いづらいこと……なのか……?」

真「…………うん…」

響「……悪口か…?」

真「…………え…?」

響「言いづらいことって…………悪口なの…か……?」

真「……例えば…………?」

響「…………馬鹿…とか言うのか……?」

真「……違うよ。そんなこと言わないよ」

響「ほんと…?」

真「うん」

響「……そっか。うん、悪口じゃないならいいぞ……言いづらいこと、言ってくれ…」

真「うん。そっちはまた別の時に言うつもりだったよ……」

響「そうだよね……」

響「………………」

響「……どういうこと……?」

真「ボクが今……響に聞きたかったことはさ……」

真「もしかして……やよいのこと……」

真「す、好き……なの……?」

響「うん。やよいのことは好きだぞ……」

真「あ……これ好きじゃないな……」

響「え……?好きって言ってるじゃん……」

真「……普通に好きって……言ってるってことは……好きじゃないって…ことでしょ…………」

響「………………」

響「……真がなにを言ってるのか……わからないぞ……」

真「響ってもしかして……馬鹿なの……?」

響「………………」

真「………………」

響「………………ま、真がなにを言ってるのか………さっぱりだぞ……………………」

真「…………まぁ…少なくとも……好きな人にならなんでもしてあげちゃいたいっていう……ダメダメな男の人に騙されちゃうタイプの女の子の心理……ではないみたいだ……」

響「そうか……自分は男の人に騙されないタイプなんだな…………よかった……」

真「響がダメダメなのはわかったけど……やっぱりどちらかというと……おばあちゃんの心理だな……」

響「おばあちゃんじゃないの。何回言わせるんだ」

真「あ、ごめん。ダメダメなおばあちゃんの心理だ……」

響「ダメダメなおばあちゃんじゃないの」

真「つまりさ……やよいの話ばかりだと……やよいに嫌われちゃうって話さ……」

響「………………」

響「なんで自分からの話題なのに……真が結論づけてるんだ……?」

響「あとなんでそんな結論になったんだ……?……それがわからない自分は……やはり馬鹿なのか…………?」

響「いや、それは……認めない…認めないからな……」

真「だって……もういい加減やよいの話はいいよ……いや、やよい本人の話ならともかく…………べろちょろの話はいいよ…………」

響「……自分、やよいのことは好きだぞ」

真「うん……その好きはあの好きじゃないんだよ……」

響「どういうことなんだ……?真はなにを言ってるんだ……真の方が馬鹿なんじゃないか……?」

真「ねぇ響…………プロデューサーのことは好き……?」

響「……………………」

響「………………」

響「へぇっ!?」

響「な、なななな何を言ってるんだ突然っ!?」

真「どうなの……?」

響「なんでプロデューサーの話になるんだ!?今の話と関係ないじゃないかっ!」

真「………………好きなの……?」

響「だっ!だーかーらぁ……そ、そうだ!真はどうなんだっ!?」

真「…………」

響「真はプロデューサーのこと、好きなのかっ!?」

真「……い、いや…そんな……まさか……」

響「……じゃあ嫌いなんだなっ?」

真「そっ!?そんなこと言ってないじゃないか!?そういう話ではないでしょ!?」

響「じゃあやっぱり好きなんだね!でしょ!?」

真「そ、そういう話でもないぃぃーっ!」




真「つまり……こういう話だよ…………」

響「…………好きって……そういう…………」

響「……ふぅ…………」

真「………………んん…」

響「………………」

真「………………」

響「…………やよいの話題が……ダメなら……」

響「なんにも……喋れないぞ…………」

真「……いやいや…………」

真「なんでさ…………」

響「………………」

真「……響だって……やよいの話しか…できないわけじゃないだろう…………?」

響「…………これは……自分のトーク力が……試されてるのか…………?」

真「…………」

響「…………いいだろう」

響「自分が……今から大爆笑トークを……してやるぞ……」

真「…………」

真「そう…」

響「…………」

真「…………」

響「…………え…………?……」

真「…………」

響「…………面白かった……でしょ……?」

真「…………」

真「……むしろ今の話を……面白いと思ってる…………響が面白いよ…………」

響「………………」

真「………………」

響「…………まぁ……」

響「結果的に……面白かった……ということで…………」

真「……………………」

真「響がそれでいいなら……そういうことでいいよ…………」

真「…………」

響「…………」

真「……なかった……ことにしたいんでしょ……」

響「……………………」

真「自分からハードル上げるから…………」

響「……………………」

真「…………まぁ……次の話題に期待……かな……」

響「…………なんで上から目線なんだ……?」

真「…………うん……?…………そんなつもり……ないけど…………」

響「………………じゃあ真が面白い話……してみるといい…………」

真「………………は…………?」

響「そんなに言うんだったら…………真こそ大爆笑ネタ……あるんだろうな…………?」

真「いやいや……」

響「あるんだよな……?そんなに自分のこと言うなら……笑える話……できるんだろ…………?」

真「……ボクは…………自らハードル上げるような真似……しないし…………」

響「……………………」

真「…………大爆笑ネタも……言う必要ないし……」

響「…………いや……」

真「………………」

響「なんで……さ……真が自分のネタを面白くないって……言ったんだろ…………」

真「…………うん…」

響「じゃあ真の方こそ……自分より面白いトークができるんでしょ……?」

真「…………いや……」

響「できるんだよね……?自分のネタを面白くないって言えるんだから……自分の話より面白いトークができるってことだよね…………?」

真「………………」

真「その理論はおかしいよ…………」

響「なにがおかしいのさ…………」

真「…………たとえばさ…………うーんと……」

響「………………」

真「……んー………………」

真「ニュアンスで伝わんないものかな…………言葉が出てこないや……」

響「…………ニュアンス……?」

真「ね……?バカだろ…………?」

響「…………………………」

響「……それ…………自分に言ってる…………?」

真「うん……」

響「…………………………そう……やっぱ自分、バカなんだな…………

真「え……………あっ……違うよ……自分てのはボクのことで…………」

真「ああもう…………こういうとき響の一人称ってめんどくさいよ…………」

響「………………自分ってめんどくさいんだな…………」

真「それも……自分って単語がめんどくさいって言ってるのか……響自身をめんどくさいって言ってるのか…………わかりづらい…………」

響「もういいよ…………自分はきっと………………ばかでめんどくさくて面白いことも言えないだめだめおばあちゃんだ………………」

真「だからぁ…………そんなにさ………………」

真「……あーもうっ」

響「……今めんどくさがったね……?」

真「だからさ、ボクが言いたいのは……お笑い芸人のネタを面白くないと言ったからって、そのお笑い芸人より面白いことをする義務はないってこと」

響「……………………自分、アイドルでさえないのか……」

真「いちいち例えで落ち込まないでよめんどくさいなぁ。要は、お笑い芸人は面白いことするのが仕事なんだから面白いか面白くないか判断されるのは当然のことなんだよ」

響「………………さらっとめんどくさいってはっきり言ったよね……聞き逃してないぞ…………」

真「で、人の面白いか面白くないかを判断するのに、自分との比較は必要じゃないんだよ。面白いと思ったら面白い。面白くないと思ったら面白くないんだ」

真「で、で、今響は自分から大爆笑トークをするって言ったんだろ?ででで、ボクは面白くないと感じた。でもだからといってボクが響より面白いトークをしなきゃいけないってことないの。そうだろ?」

響「でも……そんな……」

真「ボクたちだってそうだろ?ボクたちの歌が、ダンスが上手か下手かなんてファンのみんなが決めることだ」

真「でもだからってファンのみんなにボクたち以上の歌唱力やダンス力がなきゃいけないってことはないだろう?歌唱力がある人しかボクたちの歌の上手いか下手かを判断しちゃいけないなんてことないだろ?」

響「う……も、もうわかったぞ……」

真「だからボクが響以上のトークができなきゃいけないなんてこともないし、トークをする必要もないんだよ」

響「あーわかった。わかったぞ。自分が悪かったよう」

真「いや、別に悪いなんて言ってないよ。響のトークが面白くなかっただけ。そこに善も悪もないじゃないか」

響「ああうんそうだ。自分は悪くないな。よし。次の話題に移ろう」

真「そうだね」

響「………………」

真「………………」

響「…………正直……真のめんどくささは自分の比じゃないと思うぞ………………」

真「………………うん……………………自分でもそう思って…………喋ってたよ………………」

真「………………」

響「………………」

真「……………………」

響「……………………」

真「…………………………」

響「…………真……?」

真「………………………………」

響「……真……真っ」

真「………………うん」

響「なに……俯いてるんだ……?」

真「…………いや……要反省だと思って……」

響「……気にするなよ」

真「………………」

真「………………」

響「…………真っ」

真「…………気にするよ……くぅ……」

響「自分は別に気にしてないから……」

真「違うよ……ボクが気にしてるんだよ……」

響「だから……自分が気にしてないんだから真が気にする必要は……」

真「違うよ…………違うんだよ響…………」

響「なにがだよ……」

真「ボクは響のことは気にしてないんだよ…………」

響「………………」

真「……ボクはボク自身のことを気にしてるんだよ……恥じてるんだよ…………」

真「響が気にしてるかなんて…………気にしてないよ……」

響「……………………」

響「……気にしてよ……」

真「……響がどう思ってるかは今はいいんだよ……どうでも…………」

響「…………どうでも……?」

真「ボクは自分自身が許せない状況なんだよ……たしかにさっきのは響の言うとおり上から目線的な言い回しだった……」

響「……どうでもよくないでしょ……」

真「今回みたいなことは二度とないように……猛反省だよ…………」

響「…………自分がどう思ってるかはどうでもよくないでしょ……」

真「…………」

響「…………どうでもよくないでしょ……」

真「その自分って………………どっち?」

響「……自分……我那覇響のこと……」

真「じゃあ……どうでもいいよ…………」

響「どうでもよくないでしょ……」

真「……じゃあ怒ってるの…………?」

響「………………」

響「…………怒っては……………………」

真「…………」

響「…………ない……」

真「じゃあいいよ……」

響「……いやっ……なんか、ちがくて……」

真「…………」

響「自分が怒ってないから……自分がどう思ってるかどうでもいいのか……?」

真「…………」

響「自分が怒ってたら……どうてもいいなんて……言えるのかっ?」

真「じゃあ……怒ってるの?」

響「怒ってぇー……………………」

真「………………」

響「………………」

響「ないけど……」

真「…………じゃあいいよ」

響「ちがくてっ」

真「なにさ響……気にしなくていいって言ったじゃないか……」

響「いや……言ったけど……そういうのとちがくて…………」

真「なにさ…………」

響「……ただ………………自分が怒ってるかどうかは気にしなくていいって…………言った…………だ…けで……」

真「だから気にしてないじゃないか……」

響「ち、ちがくてぇ…………気にしなくていいと……どうでもいいは……なんか…………こう、違うじゃないか…………」

真「………………」

響「…………なんかぁ……」

真「…………気にするよ」

響「…………え?」

真「……どうでもいいなんて言って悪かったよ……響がどう思ってるか、気にするよ……」

響「…………気にするよ……って……」

真「うん」

響「………………」

響「実際、気になってるのか?」

真「実際は気になってないよ」

響「…………気にしてよ……」

真「気にするよ」

響「…………ちがくて……」

響「もういいよ……」

真「悪かったよ……」

響「もういいって言ってるだろっ。気にすんなよっ」

真「気にするよ」

響「今はほんとに気にしなくていいっ」

真「じゃあ気にしないよ」

響「………………」

響「……………………気にしてよ……」

真「……そのめんどくささはわざと……?」

響「もうめんどくさくてもいいよ……ふん……」

真「今度こそ怒った……?」

響「…………ふんっ。怒ってないぞ」

真「それは怒ってるの?それとも怒ってないと言いつつ怒ってるように見せかけて実は本当に怒ってないの?」

響「うがーっ。頭がこんがらがるっ。やめろっ」

真「…………ふう」

真「響はさ……ボクの親友だから……怒ってても怒ってなくても、また仲直りできるって信じてるから……」

響「…………」

真「だから……そういう意味で、響が怒ってるかどうかは気にならないんだよ……」

響「…………」

真「ボクはそう思ってるけど……」

響「……そんなの、言うまでもないことだぞ…………」

響「………………」

真「………………」

響「……乾杯」

真「んっ……」

響「真、イッキ」

真「無理だって」

響「真、真っ」

真「……わかったよ……んっ!」

響「がんばれがんばれ」

真「……ん、んん…………っぷ……」

響「イケた……?」

真「…………はぁー…………なんとか……」

響「ふふっ……男らしいぞ」

真「なんだよそれ……」

真「甘いなぁ……」

響「そうだろうな」

真「こんなとき雪歩がいてくれれば……」

響「自分でもいれれるだろ……?」

真「へ?響がいれてくれるの……?」

響「今の自分は自分のことじゃない」

真「響さぁ、一人称変えてみたら?」

響「……私?」

真「えー普通」

響「……ボク」

真「ボクはボクのー」

響「…………拙者」

真「ありあり」

響「ないぞっ………………じゃあ響」

真「ん?」

響「一人称、響」

真「名前呼びかぁ」

響「あり?」

真「拙者の次にあり」

響「なんでやねん」

真「あっ、沖縄以外の方言使っちゃだめだろー」

響「なんでやねん?」

真「そのアクセントは違うよ。沖縄訛りが響のアイデンティティだろ?」

響「そ、そんなに訛ってる……?」

真「さぁ?他に沖縄の人と話したことないから知らない」

響「自分、訛ってないぞ……」

真「一人称は?」

響「あっ……ひ、響……訛って……ない…わ、よ?」

真「フッ」

響「あっ、こら。笑うなー」

真「やっぱり響はいつもの響がかわいいよ」

響「へっ?」

真「え?」

響「……そんないきなり、ナチュラルにかわいいとか言うからモテるんだぞ……」

真「え、あっ。そっか!」

響「ったくもう。自分じゃなかったらコロッといってもおかしくないな」

真「そんな……これだけでコロッとはいかないでしょ……」

響「まったく真は仕方ないな。自分がお茶いれてきてあげるからおとなしく待ってるんだぞ?」

真「わっ、ほんとにいいの?ありがとう響」

真「響はたまに優しくなるよね」

響「たまにじゃないぞ」

真「これが噂のツンデレってやつ?」

響「違うな。ツンデレはもっと奥が深い」

真「えー?響にそういうのわかるのー?」

響「今度参考書を持ってきてあげる」

真「あ、ラノベの知識か。たしかにラノベの女の子の絵はかわいいもんなー」

響「アイドルとしてもいろいろ勉強になるよ」

真「へぇー。そう言われるとすごい気になるな。じゃあボクに似合いそうなきゃっぴきゃぴの女の子が出てくるラノベ持ってきてよ!」

響「うん。じゃあ男前なヒロインが出てるやつ持ってきてあげるな。はい、できたぞ」

真「お、ありがと。うーん、いい香……り……」

響「だろ?自分の自慢のお茶だぞ」

真「……………………」

真「響……これって…………」

響「うん、さんぴん茶」

真「………………」

響「うーん……やっぱこれだね」

真「………………」

響「口が甘いとき直すにはさんぴん茶が一番!」

真「………………」

響「……あれ?真、飲まないの…………?」

真「……ん、飲むよ?……飲むよ」

真「……んっ…………」

響「どうだ?」

真「………………んん……」

真「………………うん……」

響「………………」

真「……えっと……緑茶だと……思ってたから…………」

響「………………」

真「く、口がさ……緑茶の口に……なってたから…………」

響「………………」

真「…………えっと…………」

響「真…………」

真「な、なに…………?」

響「今の状況とは関係なく……聞きたいんだけど…………」

響「さんぴん茶……ジャスミン茶………………好き…………?」

真「…………そ、そりゃ」

響「今の状況とは関係なく」

真「…………………………」

真「……ど、どちらかというと…………苦手かな…………」

響「…………そう……」

真「…………うん……」

響「………………」

真「………………」

響「ごめん…………」

真「えっ……?い、いや…………」

響「………………」

真「……こっちこそ……なんていうか…………ごめん……」

響「……真が謝ることじゃないと思うぞ……」

真「…………響が謝ることでもないと……思う……」

響「………………」

真「………………」

響「……そうかな……」

真「そうだよ……」

響「……うん…………じゃあ…………」

響「……………………うん……」

真「…………うん……………………うん…………」

真「…………」

響「…………」

真「…………あのさ」

響「………うん…?」

真「……なにか…話さない…?」

響「……なに話す……?」

真「…………」

真「……なんでもいいよ……」

響「…………」

響「なんでもいいが……一番困る……」

真「…………」

響「…………世界の常識……」

真「……そっか……世界レベルか……」

真「…………」

響「…………」

真「……あっ…そうだ…」

響「…………」

真「響の……ペット…の話……」

響「……うん」

真「えーっと……どうしようかな……うーん……」

響「…………」

響「真……」

真「うん……?」

響「自分が食いつきやすい話題を……提供しようとしてくれるのは…いいんだけどさ……」

真「うん……」

響「自分、ペットだけじゃないからな……?」

真「……え…?」

響「だからさ…自分の個性、ペットだけじゃないからな……」

真「…………」

響「…………」

真「…………もちろん…わかってるさ…」

響「今の間は…なんなのさ…」

真「いやいや……響って…個性豊かじゃないか…」

響「動物関係抜いてだぞ……?」

真「動物関係抜いてだよ……」

響「……例えば……?」

真「……響と言えばダンスじゃないか」

響「真もそうでしょ……やよいとか……」

真「……響と言えば元気」

響「……やよいとか春香のほうがあってると思うぞ…」

真「……家事ができる」

響「…………それ、どっちかっていうとやよいと春香から連想したでしょ……?」

真「…………」

響「…………」

響「で、出尽くしたの……?」

真「…だってダメ出しばっかだもん……」

響「……自分の個性を挙げて貰ってるのにダメ出しって言い方はどうなんだろ……?」

真「…………いや、響の個性がダメって意味じゃないよ……?」

響「……わかるけど……なんとなく気になって……」

真「…………」

真「こうして考えてみるとさ……」

響「……うん…」

真「……響って……」

真「…………」

響「…………えっ?」

真「…………」

真「お腹すかない?」

響「…………」

響「えっ?えっ……?」

真「また冷蔵庫見てくるよ」

響「いや、いやいやいやちょいまち……」

真「……なに?」

響「今さ……なんか言いかけたよね…………?」

真「…………」

真「……え?」

響「えぇ……」

響「なにさ……なんなのさ……」

真「なにさ……」

響「言ってよ……言いかけたの……引っ込めないでよ……」

真「…………いや……大したことじゃないからさ……」

響「…大したことないなら言ってよ……」

真「……大したことないんだけど…今の響に言ったら落ち込みそうだから……」

響「…………今の自分ってなんだ……?」

真「今の響は今の響だよ……」

響「……いつも通りの自分ならいいのか…?」

真「いつも通りの響も今の響だよ……」

響「なんなのさ……」

真「そういうわけで………………クッキーでも探そうか……」

響「いやいやいや真……」

真「離してよ……」

響「……絶対に離さない」

真「…………」

真「乙女にしないでよ…」

響「なんで乙女になるんだよ…」

響「言うまで……離さないんだからな……」

真「………………」

真「別に…………いいかな…………」

響「…………マジで……」

真「……うん…………とりあえず……座らせて……」

響「……じゃあ自分…隣座るね……」

真「うん……」

響「………………」

真「………………」

響「…………暑い…」

真「……響は体温が高い」

響「…………」

真「響の個性……」

響「………………別にいらないな……それ……」

真「……そう…………?」

響「いらない…だろ……」

真「……こうして……抱きついたら…あったかいじゃんか……」

響「…………」

響「真はいいかもしれないけど……」

真「うん……夜寝るときに…足先に置いときたい……」

響「………………いや……」

真「いや……?」

響「いや……」

真「……そっか………………うん…ボクも嫌だな……」

響「え……?」

真「あぁ…………ボクが響の立場だったらって…意味で……」

響「…………だろ?」

真「うん……」

響「それに……やよいもあったかいし…自分の個性とは言えないぞ……」

真「さっきからやたらとやよいと被ってるね……」

真「ていうか何かにつけてやよいを出してくるよね……」

響「……え?だめ……?」

真「…………いいんだけどね……」

響「…………」

真「…………」

響「…………で……」

響「なんの…話だっけ……?」

真「………………」

真「クッキー探そうって……話……」

響「…………」

響「そう……だっけ…………」

真「そうだよ……」

響「そういえばそんなこと……言ってた気がする……」

真「言ってた言ってた……」

響「……このまえ春香がくれたクッキー…残ってるかな……?」

真「…………みんなその場で食べて……なかった…………?」

響「自分は食べた……」

真「ボクも食べたよ……」

響「おいしかったね…………」

真「おいしかったよね…………」

真「……響も…今度よろしく……」

響「…………サーターアンダギーでいい……?」

真「うん……むしろそっちのが…春香とも被らないし……」

響「自分としても……クッキーじゃ春香に勝てないし…………」

真「いいじゃない……それぞれの個性が出てて……」

響「そうだ……個性の話してるんだった…………」

真「しまった……」

響「クッキーの話……してる場合じゃないぞ…………」

真「いいじゃない……クッキーの話でいいじゃない……」

響「さぁ……さっき言い掛けたことを言うんだ……さぁ……さぁ…………」

真「……いや……本当に何でもないんだってば…………」

響「……なにを躊躇しておる……真ともあろう者が…………」

真「…………キャラ……おかしいよ…………」

響「ちょっとやそっとの悪口で自分がどうにかなるとでも……?」

真「うん……」

響「…………」

真「ていうか……悪口じゃないよ…………」

響「うそだぞぉ……」

真「疑心暗鬼になってるよ……響…………」

真「……むしろ…………誉め言葉だよ……」

響「えぇ……じゃあなおさら聞きたいぞぉ……」

真「………………」

響「誉めてほしいぞぉ…………」

真「…………なんか……」

真「……本当に大したことないのにさ……これだけ溜めるとさ…………本当に……言いづらいよ……」

響「…………わかるよ…わかるけどさ……」

真「普段の会話なら……あ、そうなんだ…………で聞き流す程度のことなんだよ…………そんなに聞きたがる程の価値もない……妄言さ……」

響「…………そ、そこまでいう…………?」

真「本当にどうでもいいことなんだよ……ほんと……今さら言っても…場が白けちゃうような……そんな……」

響「………………あ……」

響「あの……一応、確認したいんだけどさ…………」

真「…………」

響「その……どうでもいいことって…………さ……」

響「さっきの……響って…………に続く言葉なわけだろう……?」

真「うん……」

響「…………」

真「…………」

響「……ポジティブなことでも…ネガティブなことでも…………自分に対して言おうとした言葉を…………そこまでどうでもいい連呼しなくたって……」

真「ごめん……」

真「わかったよ響……言うよ……」

響「そうか……?」

真「たださ…今から言うよって宣言してから言うんじゃなくて……」

真「普通の会話の中に……自然に滑り込ませて言うよ……」

響「……なるほど…」

真「うん……」

響「……ってことは……自分は真の発言したことを一字一句聞き逃さず……今の発言が自分に言いたかったことなんだなと……推理すればいいわけだな…」

真「…………それはそれでなんかやだ…」

響「………………そう?」

真「…………そう」

響「…………じゃあ……ほどほどに集中する……」

真「………………集中してほしくないから……会話に潜り込ませたいのに……」

響「………………そう?」

真「そうだよ……」

響「…………」

真「…………」

響「何の話だっけ……」

真「そういえばプロデューサー…春香のクッキー残してなかったっけ……」

響「プロデューサーが……?」

真「すぐ全部食べちゃうのはもったいないとか言って……」

響「しょっちゅう持ってきてくれてるのにね……」

真「……へへ」

響「ん?」

真「いや……しょっちゅうって響が言うと……沖縄方言みたいだなー…って」

響「しょっちゅう」

真「ふふ……」

響「……ちょっちゅね…みたいな感じ?」

真「そうそうそれそれ」

響「…………あれ、沖縄の方言じゃないぞ…」

真「………………」

真「え……そうなの……?」

響「チャンピョンの人の…そうですねって言うときの独特の訛り……ってだけ」

真「……沖縄の人言ってないの?」

響「言ってないよ……」

真「……………………」

響「そんなにショッキングかな……」

真「…………」

響「元気出してよ……」

真「浅はかだったよ……」

響「…………」

真「……ボクの中の世界の常識は……外の世界では常識じゃなかったんだ……」

響「……たぶんいろんな人が勘違いしてるから……真だけじゃないと思うぞ……」

真「自分だけじゃないから平気って……そういう考え方はしたくないな……」

響「その心は……?」

真「……人は人。ボクはボク……でしょ……?」

響「よそはよそ。うちはうち。みたいな……?」

真「それとは違うよ……」

響「あれ……これかと思ったのに……」

真「それじゃないよ……響……」

響「これじゃないか……おかしいな……」

響「まぁ……なんにせよ…真はことあるごとに自分を責めすぎだぞ……」

真「別に響を責めてるつもりはないよ……」

響「…………」

真「…………」

響「あのさ……」

真「ごめん」

響「謝ってるってことはさ……」

真「話の腰折っちゃって」

響「一応確認しとくけど、今の自分は自分の自分じゃないぞ。真が真って意味の自分だぞ」

真「あれ……わかってたはずなのに……今の確認でわかんなくなった……」

響「………………」

響「あれ……自分も……」

真「…………」

響「…………」

真「お腹すいたね」

響「カップめんがあった」

真「えぇ……身体に悪いからボクはいや……」

響「私もいや……」

真「なんか作ってよ……」

響「真が作れよ……」

真「ほらまたそういうこという……」

響「……えー……?」

真「自分が出来ないことを人に押し付けちゃいけませんよー……」

響「……えー?えー?」

真「オムレツ……上手にできる……?」

響「自分で上手だと思えるくらいには……」

真「ボクはね…よくテレビでやってるようなね…バター引いてふわふわになるようなオムレツをね…練習してるんだけどね……」

響「ああー……最近はどこもふわふわオムレツだよねぇ……」

真「…………」

真「あれ……?そ、そうだね響……」

響「うん?」

真「……子供の頃食べてたお子さまランチのオムレツは……しっかりしてて固かったよね……」

響「……自分、お子さまランチはあまり食べたことないな……」

真「じゃあ食べてたことにして聞いてよ……」

響「えー……?じぶ私の幼い頃の日々を捏造するなよ……」

真「いつのまにかボクたちはさ……オムレツといえばふわふわオムレツを連想するようになってるけどさ……」

響「別に私そんなことないけど……」

真「子供の頃は……オムレツといえばあのかちかちオムレツだったじゃないか……」

響「別に私そんなことないなあ……」

真「ねぇ……これってショッキングじゃない……?」

響「じゃないんだよなぁ……」

真「子供の頃はかちかちオムレツでも大好きだったよ。でも今となってはふわふわからかちかちには戻れないよね」

真「じゃあボクはいつからふわふわオムレツの魅力に囚われたんだろうか……?いつからボクの中でオムレツといえばふわふわになったんだろうか……?」

真「そして……なぜ……初めてふわふわオムレツを口にした日を……歴史が変わった瞬間を覚えてないのだろうか……!」

真「響……ボクは不覚でしょうがない!」

響「自分を責めるなよ真……」

真「わかった……」

響「えー?思ったよりあっさりわかってしまった……」

真「……」

真「響ってさ……」

響「なあに……」

真「おっぱい大きいね……」

響「っぽ」

真「!!」

響「………………」

真「……んふっ」

響「…………」

響「はだでだぞ」

真「んぷっ……ぷふぅ……」

響「どうじてぐれる」

真「く、きゅぅ……きゅふふふ…………はい、ちっしゅ……」

響「…ん……」

響「ぷちゅん……すん……すんすん……」

響「……あー……今のはさすがに恥ずかしい……」

真「あー……面白かった……」

響「真が変なこというからだぞ……」

真「ごめんごめん……」

響「アイドルにあるまじき鼻ちょうちんだったぞ……」

真「んふふふ…五センチくらいはいってたよね……」

響「あー……これは数日引きずる恥ずかしさ」

真「そんなに気にすることないよ。ボクしか見てないんだから」

響「…………まぁ……そうかな……」

真「それはそうとおっぱい大きいね」

響「なんだよ。真は蹴られたいの?」

真「えー?どうしてさ……」

響「セクハラしてるんだから当然だぞ……」

真「セクハラって……このくらい言うよ。女の子同士でしょ」

響「それにしたって……そんな真面目な顔でおっぱいとか言われても困る」

真「そう?じゃあ成功パターンは?」

響「…………もっと冗談っぽく言うとか……へらへらしながらさ……」

真「えへへ。響のおっぱいってさぁ……えへ、おっきいよね。えへへへ……」

響「…気持ち悪い」

真「ほら。そうなると思ったもの」

響「てゆーか、そんなにおっきくないし……あずささんとかに言うべきセクハラだろ……」

真「いやいや……響も十分おっきいでしょ……」

響「……真に言われたら頷くしかないな……」

真「うん。なんか引っかかるけど……今は流したほうが吉と見た……」

響「で……なんで真はそんなにじぶ私おっぱい気になるか?」

真「だって響はダンスするだろ……」

響「そりゃね……ていうかうちの子はみんなやるじゃん」

真「その中でもってことさ……特に響のダンスは激しいの多いし」

響「真もだろ」

真「おっぱい揺れない?」

響「…………」

真「揺れて痛くない?」

響「…………」

響「痛いの……」

真「うん……わかるよ……」

響「え?」

真「……あれ?」

真「なんだよ」

響「いや……別に……」

真「言いたいことがあるならはっきり言いなよ」

響「いや……その……」

真「あん」

響「……そ、そう…踊ってるとき痛いよね。すごいわかる。真はどうしてる?」

真「ボク……?ボクは……」

真「…………当ててみて」

響「え……?」

真「ボクがどうしてるか……当ててみて」

響「…………」

真「多分一瞬で当たるから」

響「さらし」

真「はい当たった……」

響「サラシかぁ……」

真「ボク……サラシを巻く機会は人より多かったと思うんだ……」

響「そうなんだ……」

真「ふふ……日頃から巻いてなけりゃ……束縛とかしないで自由に放し飼いにしていれば……もっとすくすくといい子に育ってくれたかもしれないのに……」

響「……かける言葉が見つからないってこういう状況のときに使うんだな……」

真「で、響はさ……ボクより少し大きめだからさ、どうしてるのかなって……気になって……」

響「うん……自分にとってもこれはすごい重要な課題なんだ……」

響「自分もサラシ巻いてみたことあるけど……サラシってさ、一度ゆるむと一気にほどけちゃうし……短い時間で直すこともできないし……なにより呼吸が辛くなるよね……」

真「………………?」

響「だからすぐやめちゃった……ダンスするときには全然使い物にならないんだもの……」

響「ね、真もそうだったでしょ……?」

真「……え…………?」

真「ああ……うん…………もちろんさ………………」

真「………………」

響「…………」

響「真……?」

真「……え……?あぁ…………うん…………別になんてことないさ…………」

響「…………なにが……?」

真「それより……じゃあ響はさ……ライブのときどうしてるの……?普通に…いつもの下着……?」

響「……ライブ衣装にもよるけど……あんまり激しく動くと…普通にブラでもズレたりするから……」

真「……………………普通なんだ」

響「だから……プロデューサーに相談したんだ……」

真「…………プロデューサーも困ったろうね……」

響「そしたら……コルセットっていうのを……勧められて……」

真「なにそれ……?」

響「…………」

響「ほら、こういうの…………」

真「……………………」

真「………………」

真「えろぉ」

真「すごいねこれ…………」

響「すごいよね…………」

真「こんなに締め付けたら……出てくるよ……」

響「なにが…………?」

真「いろいろだよ……」

響「いろいろなの……」

真「フェロモン……とか……」

響「……マジで……」

真「今も着けてるの……?」

響「……い、いま着けてるわけないだろ……」

真「でもライブのときは着けてるんだ…………」

響「…………う、うん。たまに……」

真「………………」

真「うわぁ」

響「なにさ……」

真「響えろぉ」

響「え、えろくないぞ!」

真「えろいよ……」

響「えろくないよ!」

真「だってこれ…………うわぉ……」

響「……これはこーいうものなの…」

真「でも…………これ………………わーお……」

響「…………」

真「ねぇ、実際に着けてるのって……なにいろ…………?」

響「…………………………………白……」

真「…………………………うわぁ」

響「そのうわぁってのやめろよ……」

真「響えろぉ」

響「やめろー!」

真「響の健康的な肌に……白のコルセットって………………反則でしょ……」

響「うぅ……もはやオヤジだぞ…………」

真「…………恥じらってる姿が余計にえろいって言ったら怒る……?」

響「………………」

真「うわぁ……怒るどころかどん引きだぁ……」

真「へぇ…………女の子ってこういうのも着けるんだ……」

響「真……それは自虐なのか…………?」

真「でもさ……女の子っていろいろ大変だよね……ファッションとか多すぎて……」

響「それは……自分もわかるぞ……アイドルやってなかったら……こんなにいろんな服を着ることもなかったなぁ……って」

真「うん……今でこそ服のこととかわかるようになってきたけどね…………」

響「ライブ衣装だけでも……ものすごい数あるからね…………」

真「…………あ」

響「ん……?」

真「………………なるほど」

響「どうした……」

真「いや……響ってコルセットみたいな締め付ける服ばっかし着てるから……縮んできたのかなって…………」

響「…………」

真「…………」

響「……そこに触れてやるなよ……」

真「ごめん」

真「……は……」

響「…………どうした?またセクハラでも思いついたのか……?」

真「ボクでもたまに痛くなるのに……あずささんとかどうなっちゃうんだろ……」

響「……あ、たまになんだ」

真「ねぇ響。考えてもみてよ……ステージの上だろうといつだってにこにこしてるはずのあずささんは……実はダンス中はすごい痛がってるんじゃないの……?」

響「……まぁ……激しいパートはわりと自分や真ややよいに振り分けられるけど……あずささんだってダンスには参加するもんな……」

真「ボク……なんだか泣けてきたよ…………どんなに痛くたってあずささんは笑顔なんだ……」

響「涙出てないぞ」

真「顔は笑って心で泣いて……あずささんは立派な人だよ…………」

響「……あずささんクラスになると……尋常じゃないくらい揺れるだろうし……さすがになんらかの対策はしてると思うけど……」

真「たとえば……?」

響「………………私、響ちゃんクラスだからわかんない」

真「でもダンス中のあずささん…………普通に揺れてるよね……」

響「……揺れてるよね……」

真「目のやり場に困るよね……」

響「え、そっち……?」

真「プロデューサーとか……ダンスレッスンのとき大変じゃないのかな……ボクなら照れちゃってじっと見てられないよ……」

響「……真ってたまに男子目線じゃない?」

真「……え、そう?」

響「うん……なんか……こう…………えっちぃよ」

真「…………そ、そんなことないだろ……」

響「いやいや……自分がどれだけセクシャルなハラスメントを受けたと……」

真「だいぶソフトだと思うんだけど……」

響「そうかなぁ……やよいはこんなこと言わないぞ……」

真「……そりゃやよいは言わないよ……比較すべき対象が間違ってるよ……」

響「女の子はおっぱいの話なんてしない」

真「する。ボクがどこに在学してると思ってるの?」

響「…………ごめん。前に聞いたっけ……?」

真「いや……学校名までは答えなくていいよ……?女子校だってことさえわかっててくれてるなら……」

響「女子校って………………あら真さん。タイが曲がっていてよ?……とかやるんじゃないの……?」

真「そのイメージは……女子校ってよりお嬢様校じゃないの……?」

響「でも遠からずでしょ」

真「そういう子もいないではない……かな。何人か話しかけられたことあるよ」

響「真って……そういう子に人気ありそうだよね……やっぱアイドルになると違う?」

真「……いや……アイドルになってからもそんなに変わらないよ」

響「あれ……そういうもの?」

真「アイドルやる前からずっとそんな感じだし……」

響「…………アイドル補正なくてももてもてなんだな……」

真「…………」

響「やっぱ男子なんじゃないの……?」

真「どこがさ……」

響「女子校に1人だけ女装男子が紛れ込むってシチュエーション……よくあるし……」

真「よくないよ…………逆ならよくあるよ……」

響「よくないよ……需要ないよ……」

真「たしかに女子校はお上品な子が多い気がするけど…………こう言っちゃなんだけど、下品な子もいるよ?」

響「下品…………?想像つかない…………」

真「髪染めてる子もいるし……」

響「……美希みたいな?」

真「いや、ほんとにギャルって感じの。ザ・ギャルって感じの。美希は……可愛げがあるじゃないか」

響「もう慣れちゃってるけど、美希みたいにがっつり金髪にしてる子は珍しいと思うんだけど……それ以上なの……?」

真「…………」

響「…………」

真「……そんな…居ないけど……」

響「え」

真「で、でも美希はちゃんと似合ってるじゃないか。スタイルいいし可愛いから様になってるし。美希は許されるんだよ」

真「でも……なんていうかなぁ、ボクが言ってる子は全然似合ってないんだよ。制服着崩しててだらしなくて、スカートとかすごい短いの。響も見たらわかるよ。ザ・ギャルだよザ・ギャル」

響「……スカート短くてだらしない……」

真「そうなんだよ」

響「…………美希じゃない?」

真「…………」

響「…………」

真「わかった…………美希は抱きしめたい。ザ・ギャルは抱きしめたくない。これが境界線」

響「自分、美希を抱きしめたいなんて思ったことないけどな……」

真「嘘でしょ……?」

響「普通ないぞ……」

真「そんなことないって……」

響「真だって抱きしめたいとは思わないし……」

真「さっき抱きついてきたじゃないか……」

響「それが目的じゃないし……」

真「……抱きしめたくないとは思わないだろ……?」

響「…………ん、まぁ」

真「じゃあそこじゃないか……境界線……」

響「……待って、自分と真には更に境界線があるんじゃないか……?」

真「…………なにが?」

響「だって真は……美希を抱きしめたいんだろ?抱きしめたくなくないとは違うでしょ?」

真「…………かな?」

響「だぞ」

真「響は抱きしめ?」

響「たくなくない」

真「抱きしめたくなくなく?」

響「抱きしめたくなくなく……なくなくな……くなくない……?……なくなく?…………うぎゃー!自分で遊ぶな!」

響「結論……」

真「はい」

響「真はやっぱり男の子」

真「異議あり!」

響「だって美希を抱きしめたがるじゃないか……」

真「響だって抱きしめたいよ?」

響「お、女たらしっ!」

真「違う違う。かわいいものは抱きしめたくなるだろ?ぬいぐるみと一緒だよ」

響「ぬいぐるみ扱いはたしかに女の子扱いしてないな……」

真「そうだろう?」

響「それはそれでむかつく」

真「あれ……?」

響「むかむか」

真「女の子は難しいや……」

響「むかむか」

真「じゃあこれは?……ペットを抱きしめたくなる心理」

響「……女の子をペット扱いしたいとか……ど変態じゃないか……」

真「あっれ」

真「おっかしいなぁ……」

響「自分にとってのペットは家族だけど……世間一般の認識じゃ女の子をペット扱いは通報レベルだぞ……」

真「響、ペットを抱きしめたくなるんじゃないの?」

響「抱きしめたくなるけど、さすがにそれとアイドル仲間に対する感情が同じってのは理解できないな」

真「えー……?ボクたち家族みたいなものでしょぉ……?」

響「家族は家族でも、今のところは真はお兄ちゃんって認識にしかならないぞ」

真「くっそー……響でもわかる例えはなにかないものか……」

響「でもってなんだ……今さりげなくバカにしたな……?」

真「あ、響といえば!」

響「ん」

真「そう、おばあちゃんの心理!」

響「おばあちゃんじゃないの!いい加減におし!」

真「そうだよ。響、さすがにやよいは抱きしめたくなるんじゃないの?」

響「…………」

響「まぁ……ね」

真「それだよ。その心理だよ。決して不埒な考えで美希を抱きしめたくなるんじゃないんだよ」

響「そうかなぁ……」

真「年下の子をかわいがりたくなる。まさに響のおばあちゃん心理と同じ」

響「だからおばあちゃんじゃない!」

真「さっきおばあちゃん出たじゃん。響ばあちゃん出たじゃん」

響「響ばあちゃん言うな!さっきのはノってやったんだろ!」

真「だいたいおかしいよ。ボクが男の子ってそんなことあるわけないじゃない。こじつけだよこじつけ」

響「むぅ……だっておっぱい言うでしょ……?」

真「おっぱい言うよ?」

響「…………おっぱい触る?」

真「いいの?わーい」

響「ほらー!真はえっちだぞー!」

真「だからボクはエッチじゃないって」

響「エッチだろ……」

真「響だっておっぱい触りたいだろ?」

響「触りたくない」

真「待って。そこに不埒な感情はないんだよ……?ただ…感触を楽しみたい……温もりを感じたい…………おっぱいに求めているものは……そんな純粋なものなんだよ……?」

響「触りたくないっ」

真「嘘つけ!」

響「なんだその返しは!」

真「老若男女、おっぱいが嫌いな人間はいない!ボクたちはみんなおっぱいのおかげでここまで育ってきたんだぞ!」

響「じゃあ母親のおっぱいを触っとけばいいだろ」

真「……か、母さんのおっぱいか……………………うーん…………」

響「……なんで途端に渋い表情に……」

真「いや……だって………………家族のおっぱいは……また別でしょ…………」

響「…………なんだか突っ込みたいことが多すぎて……」

響「自分たちは家族みたいなもんなんだろ」

真「……断じて違うね……」

響「……断じるくらいなら最初から言うなよ……」

真「ボクは姉も妹もいないから……妹のおっぱいを触りたくなるかどうかはわからないけど…………少なくとも母さんのおっぱいを積極的に触りたいとは思わない……」

響「…………事務所で母親ポジの人って誰になる…………?」

真「……………………」

響「………………」

真「…………小鳥さんのおっぱいは……触りたいよ……?」

響「よかった……じゃあぴよ子は長女だな……」

真「そうだよ……長女だよ……」

響「だよな…………」

真「長女だよ………………長女……」

響「…………うん」

真「……でもさ」

響「うん……」

真「姉妹ならスキンシップでおっぱい触るでしょ」

響「挫けないなぁ……真は……」

響「女子校に1人だけ女装男子が紛れ込むってシチュエーション……よくあるし……」
真「よくないよ…………逆ならよくあるよ……」

女子校じゃないがとあるプロダクションには事務所の方針で女の子二人とユニット組んでる女装男子は、いるな
しかも真に憧れを抱いてる

響「姉妹でも触らない」

真「触るって。同級生でも触るのに」

響「……それは女同士でか?」

真「……今話してるのはそーいうことでしょ?」

響「自分はもう真を男子として見てるけど」

真「おいっ!」

響「だって……少なくとも自分の周りにはおっぱい触ってる女子なんていなかったぞ……」

真「女子は基本的にスキンシップ多いんだよ。ボクもよく抱きつかれたり手を握られたりするもの」

響「真は自分が女子校においてどういう立場にいるのか今一度省みてみろよ」

真「考えてもみてよ。抱きつかれたときに不意におっぱいが当たっても気にしないだろ?」

響「……ん、まぁ…」

真「女子同士ではその程度のことなの。響は過剰に反応しすぎ」

響「…………うぅん……」

真「おっぱい触りたいって言っただけでエッチ扱いだなんて……そういう方に考えてる響こそエッチじゃないか」

響「……いやまて。おっぱい触ることが気にも留めない程度のことならば……」

響「なぜそこまでおっぱいを触りたがるのだ」

真「…………」

真「……そ、そこにおっぱいがあるから」

響「山みたいに言うな!」

真「おっぱいは山だよ!」

真「そして谷だよ!」

響「……じゃあ真のはなんだ……?」

真「………………」

真「…………墓穴掘った……」

真「…………」

響「……自爆で落ち込むなよ……」

真「ふふ……ボクについてるこれはおっぱいじゃなかったみたいだ……よかった……もう伊織のおっぱいを妬んだりする必要はないんだね…………」

響「…………美希じゃなくて伊織というところがまた……」

真「……でもやっぱり響が気にしすぎなんだと思うよ……女子の間ではおっぱい触ることは大してハードル高くない……」

響「…………」

真「響ってそんなに潔癖だっけ……?」

響「潔癖っていうか……その……」

真「うぶ」

響「う、うぶじゃないぞ……」

真「……顔赤いよ」

響「…………ま、真が特別なんだぞ……」

真「……え?どういうこと……?」

響「真のせいだ……」

真「ボクじゃなくて響の問題だろ……?」

響「……真に……おっぱいとか言われると…………なんだか恥ずかしいの……」

真「…………」

真「え?」

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