小鳥「大事な話?」 (26)
思い付きで、たぶんあまり長くないと思います。
それでもよろしければ…
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Pさんと恋人同士になってどれくらいたっただろうか。
何日とか、何か月とか、詳しい日数は覚えてないけど。
私たちもだいぶ親密になってきた … 気がする。
そんなある日、Pさんに大事な話があるから自宅に来てほしいと言われた。
大事な話…大事な話…
もしや…
P『小鳥…結婚してくれ』
…なんていわれながら指輪渡されちゃう!?
やだ…今のうちにどうやってOK出すかのシチュエーション考えないと…
男の人ってこうやってOKされたらうれしいとか、そういうのあるのかしら…
そうねー…やっぱり…
…
…なんて、OKの仕方を考えてるうちに彼の家へ着いた。
Pさんの部屋のインターホンを鳴らす。
静かな足音が聞こえ、彼が玄関のドアを開けた。
P「はい」
小鳥「お、お待たせしました?」
P「いえ、そんなことありません!ごめんなさい、急に呼び出してしまって…」
Pさんは私を部屋に招いてくれた。
部屋に上がった瞬間、Pさんの様子が違うことに気づいた。
この感じは、多分うれしいって様子じゃない…
…大事な話って、もしかしたら…
い、いや!そんなの考えすぎよ!ここ最近、喧嘩なんてした覚えもないし…
いや…でも…もしかしたら…ほかの要因で…愛想尽かされたとか…?
P「お茶、持ってきます」
Pさんが台所へお茶を取りに行った。
テーブルに座った場所からちらっと見えた顔には、険しい表情が浮かんでいた。
小鳥「…」
段々と不安になってくる。
せめて、良い話なのか悪い話なのか、はっきり言ってほしい。
Pさんがお茶を持ってきてくれた。
私は彼がテーブルに座ったのを見て、思い切って聞いた。
小鳥「Pさん、大事な話って…なんですか?」
P「…」
Pさんは私の向かい側に座り、やはり険しい表情をしている。
…やっぱり…これは…
P「小鳥さん、落ち着いて聞いてください」
P「実はですね… …転勤…することになりました…」
小鳥「え?」
Pさんが口を開いた。
転勤?
あぁ…大事な話ってそれか…なーんだ、別れ話じゃなくてよかった。
転勤かー…転勤…
いやそれもよくないでしょ転勤!?
確かに事務所も大きくなってきたとは思うけど、いきなり転勤だなんて…
小鳥「そ、それで…どこに!?どこに行っちゃうんですか!?」
P「…」
Pさんが黙る。
私はじっとPさんの言葉を待った。
P「………」
P「…台湾なんです」
まさかの海外だった。
小鳥「たっ… 台湾!?」
台湾って…確か親日国…よね?
そういえば、台湾ってアイドルの受けもファンのマナーもいいってこの間話してたっけ…
ひとまず、危ない国では無いということを知って安心した。
嘘です別の理由で全然安心できてない。
小鳥「まさかっ永住じゃないですよね!?」
P「いえ!大丈夫です、日本には戻ってきますんで!」
それを聞いて少しは安心したけど、まだ足りない。
小鳥「… それで、どのくらい?」
Pさんはますます険しい表情をした。
P「どれくらいいなきゃいけないのか、期間がまだわからなくって…」
P「…少なくとも、3年はかかると思います」
別れ話じゃなくてよかったと思う反面、別れ話以上のダメージを受けている。
他の人たちだったら、「なんだ、たったの3年か」って言えるんだろうか?
でも私にとって3年という時間は、とてつもない時間に思える。
小鳥「………」
いかないで…なんて言えるはずがない。
むしろ喜ぶべきなんだ。
Pさんが仕事のできない人だったらこんなこと任されるはずがない。
そうだ。
私は彼を笑って送ってあげなきゃいけないんだ…
小鳥「…よかった! 大事な話っていうから…私はてっきり、振られちゃうのかなって思って…」
精一杯笑顔を作った。
小鳥「台湾って、日本人に優しいって聞くし、こわい所じゃなさそうで…安心しました…」
小鳥「きっと、楽しい所だと思います… よかったですね… P…さん」
話している最中にぽろぽろと涙が出てきた。
だめだ。笑って送らないといけないのに。
でもやっぱり…せっかく一緒になったのに、3年とはいえ離れ離れになりたくない。
P「小鳥さん」
Pさんは私の隣に座り、そっと肩を抱き寄せてくれた。
P「本当にごめんなさい」
なんだか涙がさらに出てきた。
私はしばらく抱き寄せられながら泣いた。
P「…小鳥さん」
Pさんが私を抱き寄せながら静かに話し始めた。
P「転勤の件、やっぱり…もう一回社長と話してみます。」
小鳥「えっ…?」
それってつまり、転勤を取り消すって事?
P「…僕も小鳥さんのそばにいたいですから」
Pさんは静かに笑って話した。
私の為にここまでしてくれる人なんて、今までいたっけ?
すごく、うれしかった。
でも、この好意には甘えちゃだめだ。
甘えれば、絶対に後悔する。
小鳥「…い、行ってください、Pさん。」
P「え?」
小鳥「私の事はいいですから…」
P「でも、小鳥さんを一人には…」
小鳥「ひ、一人ぼっちは慣れてます!」
小鳥「何年独身やってたと思ってるんですかっ!」
なんだか情けない言葉だけど、とにかく一人でも大丈夫だって言いたかった。
小鳥「Pさん。社長がPさんを選んだのは信頼してるから…」
小鳥「あなたならきっとできるって信じたからPさんにお願いしたんでしょう?」
P「…」
社長だけじゃない。
私もあなたならきっと大丈夫って思ってる。
それを私ひとりのわがままでつぶすわけにはいかない…
小鳥「その気持ちを、裏切らないであげてください」
P「でも…」
小鳥「私は待ってますから。」
小鳥「3年でも、5年でも、10年でも…いくらでも、待ちます」
私は精一杯笑顔を作って答えた。
小鳥「だから」
…だから…
小鳥「1秒でも早く帰ってきて…」
眠気が来たので続きはそのうちに…
眠気が来たので続きはそのうちに…
>>13
そうでしたか!前の時sageつけないであがりまくってて悪いかなーと思ったので 今度からそうすることにしますありがとうございます
おはろーございます のっそり続き描きます
我ながらよくわからないことを言った気がする。
待ってるくせに早く帰ってきてだなんて。
行ってほしいのも、行ってほしくないのも本当だ。
むしろ行ってほしくない。
ずっとそばにいてほしい。
でも、それで幸せになるのは私だけだ。
私一人の幸せの為にPさんやみんなの幸せを奪うわけにはいかない。
Pさんは、私の言葉に返事をする代わりに抱きしめてそのままキスしてくれた。
…これもしばらくおあずけ…かぁ
P「小鳥さん…絶対、すぐに帰ってきます」
Pさんは私を抱きしめながら言葉をつづけた。
P「帰ってきたら僕と結婚して…」
小鳥「待って」
その言葉は、まだ早いと思った。
もちろん、Pさんが嫌いなわけじゃない。
ただ…
小鳥「…まだ、どうやってOKすればいいか考えてないんです」
小鳥「あなたが帰ってくるまでに、あなたが喜ぶOKの仕方を考えます」
P「小鳥さん…」
あなたが喜ぶ言葉を用意するから…
だから頑張ってね。Pさん。
それから…数日が経った。
いよいよ、Pさんが台湾へ行く日が来た。
前日は事務所のみんなとアイドルたちで送別会をした。
みんな、笑いながら応援してたけど、終わりの頃では泣きそうな顔をしてた子が多かった。
やっぱり、Pさんがいなくなるのはみんな寂しいみたい。
そりゃ、私だって寂しいけど…Pさんが向こうに行って、
P「最後に見た顔は小鳥のぐずぐず泣く顔だった!」
…なんてなったら嫌だから…
私はPさんを空港まで送った。
空港に来ると、いよいよなんだな…と思うと泣きそうになったが、こらえた。
小鳥「Pさん。もうそろそろ…ですね」
P「はい」
ターミナルに着くと、いよいよという気持ちがさらに強くなった。
小鳥「…Pさんならきっと大丈夫!」
Pさんは軽く微笑んで私を見てくれた。
P「ありがとうございます。小鳥さんも…みんなの事、お願いしますね」
小鳥「任せてください!」
私は胸を張って返事した。
まだ、時間はある。
他に…言いたいことはいっぱいあるけど…何を言えば…
P「小鳥さん」
Pさんは私の手をそっと握り、そのまま続けた。
P「日本に帰ったら、残りの人生を全部小鳥さんに捧げます」
小鳥「っ…」
ここで、そんな言葉は卑怯です。
我慢できなくなり、結局泣いてしまった。
小鳥「P…Pさん…寂しいです。行かないでほしいです。でも、待ってます、待ってます、から…」
結局、最後の最後で本心が出てしまった。
Pさんもきっと同じ気持ちなのに、私は我慢もできないで…
P「…帰りは遅くなるかもしれない、でも、絶対帰ります」
P「いってきます。小鳥さん」
私は涙をこらえて、Pさんに精一杯返した。
小鳥「いってらっしゃい、あなた」
Pさんはそのまま行ってしまった。
後ろ姿でわからなかったけど、右手で何度も目をごしごしこすっていた。
そういえば、Pさん…送別会でも泣いてなかった。
やっぱり、Pさんも寂しかったんだね。
でも、そういうところを人に見せようとしないのがPさんらしい。
私も、頑張らなきゃ!
あの人にみんなをよろしくってお願いされたものね。
飛行機が飛んでゆく。
寂しくないと言ったらウソだけど、それ以上にうれしい気持ちが大きかった。
小鳥(…あなたならきっと大丈夫)
そう信じてるから。
おわり
相変わらずの駄文でしたが、これで終了です。ありがとうございました!
どうも自分が小鳥さんのSS書くとやたらきれいな小鳥さんになってしまう。
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