この物語はフィクションです(47)
さて、出会って早々にして極めて唐突ではあるけれども自己紹介をしたいと思う。
私は男だ、ごく普通の一般的な人間だ。
物語の様に特殊な力を持っている訳でも、特出した身体能力がある訳でもない。
ただの、ごく一般的な男だ。
大抵の場合において、そんな人間は物語においてただの脇役にすらなれない。
だからと言って別にどうこうするわけでもない、出来ないのは分かりきっているから。
例えば子供の頃、男の子なら誰もがヒーローに憧れただろう。
悪を倒すヒーロー、格好良くて強くなるヒーロー。
主役、センターであって物語の要石。
けれどもこれもまた誰もが味わう事であるが、そんな者にはなれない。
方法も無いし第一損を顧みず行動を起こせる存在は正直者がバカを見るこの世の中では非常に稀有だ。
なろうと思えばいくらでもなれるが、そんな気力は持ち合わせていない。
だから皆、いつしかその夢を子供のうちに忘れてしまう。
子供であれる日のどこかにそれを置いてきてしまう。
無意識に分かっているのだ、それがいつの日か荷物になる事を。
それどころか危険物にすらなり得る事を、誰もが本能的に悟っている。
だからこそこの世にヒーローなんて居ないし、居るとしてもそれは本当に清い志を持った稀有な人。
もしくは大半分がヒーローもどきだ、子供の心を悪い意味で置き忘れた者達だから。
前置きが長くなったかもしれない。
ヒーローなんてこれから話すことには全く関係が無いから安心していい。
正義とか悪とか子供だとか大人だとかそんなもの一切合財関係していないから忘れていい。
ただこの話には明確な意図がある、そう謂わば――前段階としては、触りとして、導入としては重要だった。
そう、これから話す事はあまりに突飛過ぎて人を選ぶか良くても拒絶反応が起こりかねないから。
人は、子供のうちにあまりにも多くの物を置き忘れてしまう。
憧れを、勇気を、夢を、楽しみを。
摩耗し擦り減らしていつかどこかへと置き忘れてしまう。
それだけなのだろうか?
人が忘れるのはそれだけなのだろうか?
それだけではない筈だ忘却の彼方へと置き忘れてしまうのは、そんなものだけではない筈だ。
子供の頃の在りし日、部屋の隅が怖くなかっただろうか。
そこに何かが潜んでいる様で、それがこちらを見ている気がして背筋が震えなかっただろうか。
子供の頃のその時に、天井の染みに恐怖を抱かなかっただろうか。
そこから何かがにゅるりと漏れ出してきそうで、そんな事をありえないと思いきれずに眠れなかった時は無かったか。
人は恐れる、何か分からないモノを恐れる。
なにが潜んでいるか分からない場所に、解明されないモノに本能的な恐怖を抱く。
そんな事を忘れてはいないだろうか。
なんておどろおどろしい事を言ってはみたが、これから話すことにそんなホラー要素は残念ながら入っていないと思う。
その時の私はただの平凡な大学生であったし、今だって何の変哲もない人間であり続けている。
魔物を倒す力なんて無いし、そんな兆候も感じ取れるわけがない。
振り返ってみて初めてそれに気付く事だって多いのだ、あれはそんな事だったかなと。
その程度のありふれているかもしれない話だ、記憶に埋もれていてもおかしくない話だ。
そんな私の摩耗しきった記憶の断片から、体験談にも満たない事をぽつぽつと思い出してみようと思う。
面白味もあるかどうかわからないし、オチも何もない話。
注意点があるとするならばそう――
この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
別に話を聞いた事で祟りが移る事もないし、不幸になる訳でもありません。
オチも無く意味もない、そんな話です。
導入は書いてみたけど凄まじく読み辛いのですみません
次から一行開けよう
私が彼らから話しかけられたのは、入学して間もない頃になる。
長かった受験戦争をそれとなしに乗り越え、遂に――というには割かし感慨も無く大学生となった。
これといった特色も無い、良い意味でも悪い意味でも有名ではないどこにでもありそうな普通の大学。
そこを志望したのだって親から「大学は出ておきなさい」と言われたからだし、就職する気も更々無かったので適当に決めただけ。
自分に入れる大学を選んで、予想通りに入れた、これから数年はまだ進路について考えなくても良いと気楽なものだ。
それは自分だけではなく周りにも、どことなく春の様にぬるい空気が辺りに漂っていた。
彼らが、男三人に女二人のグループが講義が終了した教室で唐突に話しかけて来た時は些か面食らった。
それは入学早々に早くも目当ての相手を見定めている彼らの気の早さもそうだし、その肉食性もそうだ。
更に言ってしまえば早くも新入生の集団から離れかけていく私に話しかけようとするその勇気もだ。
コミュ障――ではないのだと思う、現にその後私にはきちんと同級生の友人が出来たのだし。
ただその時は、新環境に賑わう彼らが妙に煩く感じたので距離を置いていたのだった。
それでもやはり私に話しかけてきたのはなぜだろうか、断られ辛いと思われたのか舐められたのかは分からない。
「別館の噂、聞いた事がある?」
「別館?」
「そうそう、出るって噂の」
出る……何がとは聞かなかった、流石にその程度は理解できる。
普通ではあるが平凡らしくそこそこの歴史がある大学だ、そんな噂もあるのだろう。
ともすれば彼らが私に何を求めているか、どうして欲しいかなんて聞かずとも無論わかってしまう。
「私が居なくても十分大所帯だと思うけど」
「いやーこいつらがさ? 怖いから人が多い方が良いって」
参っちゃうよなと笑いながら言われると流石にムッとくるものはある。
誘ってきたのはそちらであるし、仕方なしに話しかけてやったと言いたげなその笑い方もある。
そして早くも孤立しかけている私なら二つ返事で付いてくるだろうなんて打算を隠そうともしないその態度もだ。
女の方もただ人数が欲しいだけなのだろう、あなたに対して特に気は無いのよと宣言するかのごとく態度で示している。
本来ならばこの集団に居ても胸やけを起こすだけだろうが、提示された言葉には少しばかり興味が沸いた。
幽霊なんてものにそれほど関心は無いが、それでも出ると言われれば顎に手を添えるぐらいにはむずむずとする。
この集団は気に食わないが確かに一人で行くのには恐ろしい、人数が必要だ。
夜の廃屋を探索する勇気は、生憎鞄の中にもポケットの中にも見つける事が出来なかった。
「よし、同行させてもらうよ」
頷けば「やっぱりな」と総員が見下すような目でこちらを見る。
早くも後悔し始めたのは言うまでもないだろう。
幽霊探索が怖いなら、夜に行かねばいいじゃないかと言うのは浪漫に欠けた言葉だ。
怖いならそもそも行かねば良いし、その怖いのを楽しむのが夜の探索の本懐であり。
男にとっては格好いいところを見せたいのであり、女にとってはちやほやされたいからと考える捻くれた思考があるから私は彼女が出来ない。
ともかく我々は誰一人として欠席者を出さずにその廃屋へとやってきた、腕時計を見ると夜中の二時を回っている。
予想通りと言うか何と言うか、女性陣は怯えたように男衆に擦り寄っており、男達は鼻を伸ばしていた。
私は悔しくなかった、そもそも彼女達は化粧が濃すぎて萎えるのだ、無駄に白く化粧をして白人を装っているのだろうか。
私は私の目的があるので彼らの好きにすればいいだろう、余計な労力は使いたくなかった。
侵入は、案の定と言えば案の定塀を乗り越えて行われた。
注意書きに「関係者以外の立ち入りを禁ず」と書かれているのは今まで何人もの男女がこれを無視したからだろうし、
そしてご丁寧にも梯子まで茂みの中に隠してある辺り、廃屋探索は恒例のイベントじみた何かに成り果ててしまっていると言う事で。
俄かに自分の中で熱が冷めていくのを感じつつ、先達として塀の内側に降り立つと明らかに踏み荒らされた雑草がそれを加速させた。
これ程侵入を許して『何か』が出た実績があるのなら、それは噂ではなく体験談として語り継がれるだろう。
それが一切見受けられないと言うのはつまり、そういう事なのだ。
館内に侵入して、下から順繰りに探索しても当然のことながら何の成果も得られなかった。
それでも私の後ろからついてくる彼らは風が鳴る度にきゃーきゃーと煩く騒ぎ、それがまた風情を乱す。
幽霊なんて影も形もないし、肝試しなんてイベントに取って代わられてしまっているし。
窓の外から見える月は綺麗で、それがまた気の抜ける要素になっていた。
所詮こんなものなのだろう――そう、テレビで誰かがおどろおどろしく喋る事は結局創作に過ぎないのだ。
しかし創作であろうとなんであろうと、噂話であろうと嘘くさくあろうと、人はそれを信じる事があるし恐れる事がある。
子供の頃見失ってしまった闇への恐れ、未だに心のどこかで信じているからこそそれに惹かれるにすぎないのかもしれない。
そろそろこのシチュエーションに飽きてきたのか解散の雰囲気が流れ始めた、今度は逆に私が殿となって階段を降りてゆく。
所詮彼らも分かっているのだろう、何だか情けなくなって私は後ろを振り返るがやはり、そこにはなにも居なかった。
ただ風の吹くたびにカタカタと揺れる窓と、月明かりに照らされた世界があって――そこで、気付く
今、私はなぜ振り返った?
どうして今振り返った? なにも居ないのは分かっているのに、何のきっかけがあって振り返った?
何も居ない、なんの気配もない……いや違う、私は根本的に何かを取り違えていた。
「幽霊に、気配は――」
その瞬間私は駆けだした、真っ先に一目散に、死に物狂いで逃げ出した私を見た彼らが慌てて走り始めすら聞こえずに。
廃屋から出た我々は当然の如くぜーぜーと息を荒げていた、一応私を含めた数を数えておく。
「一体何があったんだよ、心臓が飛び出すぐらい驚いたじゃねえか…」
「ごめん、影が動いたから慌てたんだ」
「案外小心者なのね」
とっさに嘘をついたが結局何があったのかは分からない、だから私の勘違いと言う事で探索は終了となった。
流石にあんなことがあったので全員が気まずくなったのか、もうここで解散の流れになる。
送り狼――もあるかもしれないが気にしないでおいた、関係の無い話だ。
流石に堪えたのか月明かりに照らされた顔が青白くなっているし、これ以上続けても碌なことにはならないだろう。
男三人に女二人、それだけの結果を聞いて全員が思い思いの方向に帰っていく。
もう一度振り返っても、廃屋には何の気配もしなかった。
小噺的なのを続ける予定です、それでは
大学生時代、私には多くの交友関係があった。
友人も増えたしそのつてでより多くの繋がりが出来た。
一応彼女のような者も居たし、それなりの事はやった。
普通であるから、普通に過ごして、普通の関係だった。
今となってはもう顔も覚えていない者だっているし、今もなお交流し続けている者も居る。
選別するわけではないが、人の縁なんてそんなものだ。
そんな中で私が一番多くの時を過ごした人は、そんな友人達ではない。
彼らはまあ、日によって会ったり会わなかったりする。
なんとなくつるむこともあるし、約束をしている時だってある。
それなりにつるんで、それなりに遊ぶ、そんな関係。
大学に在籍していた期間の中で二年以上付き合っていた友人なんて、それこそ稀だった。
適当に遊んで、それとなく飽きて付き合わなくなる、友情なんてそんなものだと思う。
ただ一人以外は、私が最初から最後まで――いや私の最初から最後までを知っている存在は居ない。
「先輩」と呼ばれる存在が、私が最も多くの時間を共に過ごしたと確実に断言できる人だった。
先輩
私は便宜上彼女をそう呼んでいた。
彼女は自分を「先輩だ」と名乗った。
そうして私にとっての彼女は先輩となったし、彼女はそうして名前がついた。
その出会いなんてものは唐突で、まるで自動車がふらっと正面衝突してくるかのごとくありきたりだったと記憶している。
思い出そうにも、これだと思える程に鮮明な記憶は引き出しのどこにも残っては居なかった。
先輩という存在はその後の自分にとって無くてはならないものだったけれど、その出会いなんてものはそれほど重要ではないのだろう。
忘れたい記憶ほど、意図的に忘れてゆく。
どうでも良い記憶ほど、自然的に埋もれてゆく。
自分にとって彼女との出会いがそのどちらだったかは、それすらも覚えていない。
彼女はそう、私の部屋に居た。
それだけだ、話せることはその程度でしかない。
彼女は私の部屋に居た、詳しく言えば――気付けばそこに居た。
別に私と先輩は恋人と呼ばれる間柄でも無かったし、そんな間柄になった事はそれからも無かった。
第一初対面でいきなり恋人”だった”なんて電波も良いところだろう。
それでも彼女は私の部屋に居て、「やぁ」と極めて親しげにこちらに向けて手を振っていた。
その姿を見た時の私はなぜか、異常なまでに落ち着いていた事は覚えている。
騒ぎ立てていたのだとしたら覚えていないのだろう、それは当然の反応だからだ。
あの場面において私にとっての正解は事は取り敢えず「慌てふためいて騒ぐ事」に間違いはない。
その当たり前の、文句なしに100点満点を叩き出せる試験を放り投げた様に私は落ち着いていた。
奇しくも私は彼女が原因となってその後まさに試験を放り投げ、留年する羽目になるのはその後の話だが。
まだ当然のことながら、そんな事は知る由も無かった。
いつの間にか彼女の為にお茶と茶菓子まで持ってきた自分は、さも当然のように彼女の前にそれを出す。
彼女はそれを世界の真理だとばかりに受け取って食す、常識を踏みにじる様な場面がそこにあった。
「あなたは、誰ですか?」
「先輩」
そこまで来てようやく、我々は言葉を交わす。
私にとっては衝撃的な、そしてその時は理解もしていないが後に長く付き合う事となる先輩との初めての邂逅だった。
当然ながら、まだ入学したばかりの自分にとって「先輩」と言える存在は思い当たらなかった。
かと言って自分が高校の時に世話になった人々の影の中には彼女の面影を見つける事は出来なかった。
「すみません、オレはあなたを知らないんですが」
「大丈夫、この学校に今年入ったなら私の後輩って事には間違いないから」
「ははぁ」
「だから、先輩でいいよ」
どうにも彼女はこの学校に在籍していて、少なくとも二年以上で、だから先輩で。
それがどういった訳か自分の部屋にいきなり入って来てはこうして話している、ここまでが完全な事実で形成されているらしい。
到底信じられない事実が羅列されていたが、結局そのまま綺麗に飲みつくし食べつくしていった彼女が帰って暫くその疑問に気付かないままで。
更に言ってしまえば彼女がこうして自分の家に時々いつの間にか居る事なんてよくあるから、三度目にはもう慣れてしまっていたけれども。
その後彼女によって時々面倒くさかったりだとか、今にして思えば青春に色を付ける程度には面白みのあるな体験をすることは気付く由も無かった。
彼女は――「先輩」はただそこに居て、いつの間にかそこに居て、「先輩」のままで居続けた。
時折いつの間にか最初の邂逅と同じ位置にちんまりと座ってはお茶が出るのを待っていて、自分はそれに答え続けた。
その関係は結局、私が卒業して別の場所へと引っ越してしまうまで続いたのだ。
いつの間にか自分は彼女が居る事にも、彼女が撒き散らす異常にも気付かないままだったのだろう。
そう気づいたのはこの前、ふと「ある事」に気付いて懐かしい大学の図書館に来た時の事になる。
彼女が間違いなく卒業したであろう期間に発行された卒業アルバム。
そこにはどこを探しても彼女の姿は無かった。
そして私は、彼女が「先輩」であり続けたのにも拘らず、彼女がいつ卒業したのかを記憶していなかった。
二日に一話ぐらい、ぼちぼち書いていきます。
すまぬぅ、出張が続いたとかでおくれすぎた
今まで通り地の文形式化会話形式にするかで悩む
大分時間が開いたし
取り敢えず会話形式でぼちぼち書いてみる事に、適当だし
男「……」
先輩「……」ピラピラ
男「なにしてるんすか先輩」
先輩「なんだと思う?」
男「分からないから聞いてるんですよ」
先輩「分かんないだろうから聞いてるんだよ」
男「なんですかそれ、またお得意の屁理屈ですか」
先輩「屁理屈とはまあ無礼な言葉だね」
男「だって先輩、いつも煙に巻く様な事ばっかり言うんですもん」
先輩「屁理屈だって立派な理屈のうちだよ」
男(そっちか)
先輩「第一キミ、屁理屈と言うけど屁理屈と理屈の違いを広辞苑通り明確に言う自信でもあるのかい?」
男「うっ……そりゃ、ないですけど」
先輩「そうともさ、言葉の意味を分からないのに屁理屈なんて言うもんじゃないよ」
男「……」(また煙に巻かれた気がする)
先輩「で、だ」
男「で、ですか」
先輩「話しを戻そう」
男「どこまでですっけ」
先輩「バカだな、私が何をしているかまでに決まってるだろう」
男「そうでしたね」
先輩「そうともさ」
男「具体的には、先輩の持ってる『それ』がなんなのかですけど」
先輩「これかい?」ピラッ
男「それです」
先輩「ん~…バカ正直に答えても面白くないな」
男「先輩は、面白くないでしょうね」
先輩「私は、面白くないな」
男「自己中め」
先輩「照れるな」
男「褒めてないです」
男(さて、どうしてこうなったか)
先輩「そうだな…じゃあ問題だ、これがなんなのか当ててみると良い」
男(部屋に帰ったらいつも通り先輩が居て、お茶を出して……そこまではいつも通りとして)
先輩「ただし回答権は三回までだ、三回以上は認めないよ」ピラッ
男(それで何の気なしに先輩が取り出したのが…これだ、この紙)
先輩「三回までに応えられたらご褒美を上げよう…っておーい、聞いてる?」
男「聞いてます、聞いてますからそんな揺らさないで」
先輩「えー…絶対聞いてなかったよね」
男「ええ、先輩に出す茶菓子のお金もバカにならないって話題でしたね」
先輩「さりげなく私への誹謗中傷はやめてくれないかな」
男「仕方ないでしょう、先輩ですし」
先輩「……ま、いいとしよう」
男(なにがいいんだろう)
先輩「三回以内に答えられたらそうだな…私と一晩寝る権利をあげよう」
男「ぶっ」
先輩「不満か?」
男「不満じゃないです」
先輩「私としては大分予想外過ぎる反応なんだが」
男(先輩が美人過ぎるからなんですよ、先輩が)
先輩「むむぅ……そんなに駄目か?駄目か?」ウリウリ
男(ぶっちゃけ性格がこれでなきゃ普通に気後れするぐらいの美人だし、スタイル良いし…胸もって何を考えている)
先輩「つまらないのーぶーぶー」
男「いい歳して頬を膨らませないで下さい、いい歳して」
先輩「ねえなんで二回言ったんだい? なんで二回言ったんだい?」
男「だってほら、もう僕ら成人済みですよ」
先輩「……そうだね」
男(案外利いたみたいだ)
先輩「どうにも脱線するな」
男「そうですね」
先輩「で、そろそろアンサータイムな訳だけど……」
男「紙じゃないんですか?」
先輩「ぶっぶー、残り二回」ビシッ
男「今のも回答数に入ってるんですか!?」
先輩「当然だろう、当然」
男「っていっても……紙以外なんと言えば良いんでしょう」
先輩「もうちょっと想像力働かせなよ」
男「想像力の介入する余地がない事だってこの世には沢山あります」
先輩「例えば?」
男「数式とか」
先輩「馬鹿言え、数式なんて浪漫の塊じゃないか」
男「大抵の学生にとっては苦痛の塊ですよ」
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