P「アイドルバカ」 (64)

スタジオ


監督「カット!!」


監督「はぁ……ちょっと四人、来て」


真美「はぁ~い……」テクテク


亜美「また説教だよね~……はぁ」テクテク


伊織「もう……ちょっと、厳しすぎるんじゃない?この監督」テクテク


やよい「伊織ちゃん、そんな事言っちゃダメだよ?」テクテク



監督「四人とも来たな……」


監督「まったく……もう少し上手く演技出来ないのか?んん?」


亜美「……………」


真美「……………」


監督「やっぱり、こんな未熟なアイドルじゃ、演技は無理だな。ダメダメだ。」


伊織「……………」


やよい「……………」

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監督「もっと、熟練されたアイドルを呼べばよかったよ……はぁ~」


監督「演技も上手く出来ないなんて……本当お前達は……」


監督「ダメでグズで、使い物にならないアイドルだな」


監督「お前達がアイドルやってる資格何て、ないっつーの」


P「ウチのアイドルに何言ってんだテメェ……」ヌッ


監督「ッ!?」


監督「なっ、あんた、いつの間に俺の後ろに……!?」


やよい「ぷ、プロデューサー!?」


伊織「あ、あんた!監督に何て事言って……」


P「ウチの可愛くて天使でキュートな、大切なアイドル達に………」ガシッ


亜美「兄ちゃんが後ろから監督さんを……!?」


真美「抱いた……!?」


監督「エッ!?えっ!?」


P「なにぬかしとんじゃワレェェェェェェエ!!」グォォォォォ


監督「わっ!?わっ!?」グォォォォォ










ガァアンッッッッ


監督「」


亜美・真美「で、出たーーー!!兄ちゃんのジャーマンスープレックス!!」

P「クズが」ペッ


やよい「プロデューサー……」


P「あぁ!やよい!」ダッ


P「大丈夫か?辛かったよな?もう大丈夫だからな?」なでなで


P「やよいは、なーんにも心配しなくていいからな?もう安心だぞ」なでなで


やよい「あ、あの、私は大丈夫ですから……」///


やよい「それよりも……監督さんが……」


P「……この伸びてるゴミ男の事か」


P「この…起きろやぁ!!」ゲシッ


監督「グフっ!!」


監督「……はっ!ここは!?」


P「てめぇ……ウチのアイドルを虐めて、生きて帰れると思うなよ……猿がぁ……」


監督「ひ、ひぃ!!」ダッ


P「あっ!テメッ!逃げんな!」ダッ


伊織「ちょ、ちょっと!もう、やめなさいよ!」


P「うん、わかった」ピタッ


亜美「は、反応早っ……」

P「皆、大丈夫か?精神的に辛くないか?カウンセラー行くか?」


真美「もう、兄ちゃん!真美達そんなヤワじゃないYO!」


P「よかった……本当よかった。」ホッ


P「また、あんなクズ男がいたら言ってくれよ。そいつに地獄見せてやるから。」


伊織「あんな惨劇見て、簡単に言えるわけないわよ……」


やよい「それに、演技が下手な私が悪いんですから……」


P「いや、やよい達は悪くない!監督の見る目が無いんだ!」


真美「でも、演技指導の先生にも怒られてばっかで……」


P「反面教師なんだ!今度、教室変えよう!」


亜美「ネットでも、大根役者だって書かれてたし……」


P「見てる奴らの目が腐ってるんだ!」


伊織「む、無茶苦茶ね……」

次の日 社長室


高木「キミィ!困るよ、本当!」


高木「あの監督さんはかなり有名で、100年に1人と言われる人材なんだよ?」


高木「その監督さんに、ジャーマンスープレックスを決める何て……」


P「はい……すみません、社長」


高木「監督も、本気で演技指導をしてくれていたんだよ?」


高木「口は悪いが、あの監督の実力は本物なんだよ?」


P「はい…申し訳ないです……すみません……」


高木「監督さんが言っていた通り、まだまだアイドル諸君も未熟何だから説教くらいで……」


P「あぁ!?ウチのアイドルが未熟だとぉ!?」バンッ


高木「ひっ!」ビクッ


高木「い、いや、間違えた、彼女達は完璧だ!天が与えた天才だよ!」



高木「でも、まだまだアイドル諸君も成長するはずだから、少しは注意も聞いみてもいいかなーって……」


高木「まだまだ演技の幅を広げてやりたいだろ?」


P「あぁ……そうですね」


P「じゃあ、僕が演技の勉強をして、それをアイドル達に伝授して、成長させてみせます!」


高木「き、君が教えるのかい?」


P「もう他の指導者は信用なりませんから。」


P「アイドル達が他の人に傷つけられないために、僕が教えますよ!」


P「では、早速演劇教室に勉強しに!失礼します!」


バタンッ








高木「……………」


高木「あの気迫は、確実に1人や2人殺ってるよ……」ブルブル

次の日 廊下


美希「久々の、フェアリーでのライブ、楽しかったの!」


貴音「961プロにいた時のことを、思い出しますね」


響「今は、765プロが一番だけどな!」


律子「あっ、みんな。お疲れ様!」


美希「あっ、律子…さん!」


響「どうしたの?こんな所に?」


律子「近くに用事があったから、ここで待ってたのよ」


響「そうなのか~、じゃあ、みんなで帰ろっか!」


黒井「おやぁ~……裏切り者の、フェアリーの方々諸君じゃないかぁ」


貴音「っ!あなたは!」


律子「黒井社長……!」


響「う、裏切り者って……社長が皆をクビにしたからだろぉ!」


黒井「アイドルデビューの時に世話してやったのを忘れたのか?んん?」


響「うぐっ……」

俺「俺の大好きなアイドル達をいじめてんじゃねぇゴルァァァァ!」バキィッ

黒井「ぐぼぁぁぁぁっ!!」

響「って何で俺君がいるんさー!?」

黒井「多額の費用を私が払ってやったというのに、のうのうとまぁ……恩知らずもいい所だ」


黒井「ペットの養育費、家賃、家族への仕送りを払ったのは誰だ?」


響「……………」


黒井「アイドルになりたくて上京したのはいいが、何も知らなくて困っていた時」


黒井「手を差し伸べてやったのは誰だ?んん?」


貴音「……………」


黒井「高木と喧嘩をして、今後アイドルとしてどうしようかと悩んでいた時」


黒井「手助けをしてやったのは、誰だ?」


美希「……………」


律子「ちょっと!それはもう、昔の話じゃないですか!」


律子「それに、あなたの方針が色々と間違っていたから、美希達は……」


黒井「ふん、プロデューサーになるかアイドルになるか、中途半端に悩んでいる奴に説教されたくないな」


律子「ッ…………!」


黒井「全く、765プロは礼儀知らずで、中途半端で、なってないアイドルばかりだな!」


黒井「ダメな社長の所には、ダメなアイドルしか集まらんようだな!」


黒井「いい加減、目障りなのでこの業界から消えて欲し……」


P「おい……テメェ……」ヌッ


黒井「ッ!!?」


黒井(いつの間にこいつ、後ろに……!?)

P「ウチのアイドル達に……」


P「何言ってんだぁぁぁぁぁぁあああああ!!」バキィッッッ


黒井「うげぇーーーーっ!!」ボゴォッッッ


律子「ぷ、プロデューサーが、社長を殴った……」


黒井「き、貴様!何を……!」


P「るせぁ!!その体の傷は癒えても、心の傷は一生もんなんだよ!!」


P「オラァっ!美希の分!響の分!貴音の分!律子の分!」ガンッガンッガンッガンッ


黒井「くあぁぁぁぁぁああ!!」バコッガッ


律子「あ、あれって、私達のための、報復のナックルなの……?」


美希「ハニー……美希の為にしてくれてるんだね……」///


P「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおお!!黒井ぃぃぃぃぃぃぃぃい!!」バキィッボカッ


黒井「こんな……こんなプロデューサーに……この崇男がぁッ!」ボゴォッバコォッ


響「プロデューサー、殴りまくってるぞ……」


貴音「黒井殿、少し泣いておりますね……」


P「うらぁあ!!」バシィッッ


黒井「ぐはぁっ……」ガシャーン


律子「ぶ、ぶっ飛んで行ったわ……」


P「……まだまだだぁ!!」スタスタ


P「オラァ!!立てウラァ!!」スタスタ


響「ま、まずいぞ!」


貴音「このままでは、警察沙汰に……!」


美希「ハニー!」タタタ


P「美希ぃ!」クルッ、タタタ


響「あ、戻ってきた」


律子「早っ」

美希「ハニー!美希の為に、ありがとう!」抱きっ


P「美希のためなら、何だってしてやるからな!なんでも言ってくれ!」


美希「うん!大好き!ハニー!」///ぎゅううっ


黒井「くっ……今のウチに……」コソコソ


P「あっ、美希。ちょっと後始末するから、離れててくれ、な?」


美希「うん!」スッ


P「……おい、喪黒福造。何逃げようとしてんだ」


黒井「しまった!!見つかった!!」


P「そのテメェの黒い顔……赤に染めてやんよぉぉお!!」ゴオオォオ


律子「だ、ダメですよ!プロデューサー!」


P「はーい!」ピタッ


貴音「な、何という反射神経……」


響「自分達は大丈夫だから、殴るのはもうやめてよ!」


P「うん!響がそう言うなら、わかったぁ!」


P「つーわけだよ……もう消えていいぞ」


P「もう2度とその面見せんなよ。黒くて見えないがな。」


黒井「くっ……覚えていろ!!」タタタ

次の日 社長室


高木「黒井を……殴り倒したらしいね」


P「…………はい」


高木「はぁ……あのね、黒井から電話が来てね」


高木「君の非常識な行動を、注意するように言われたんだよ」


高木「黒井、かなり怯えていたぞ……キミの事を『プロデューサー……くん』と呼んでいたぞ?」


高木「『くん』付けしないといけないと思う程、君を恐れていたぞ?」


P「すみません……はい……私が悪いんです……」


高木「……君の非行は、悪いが見逃せないよ」


高木「もしも、次に問題を起こしたら、解雇処分をさせてもらう」


高木「わかったかね?」


P「わかりました……申し訳ありません、社長」


P「では、失礼します……」


バタンッ







高木「……………」


高木「アイドルが関わっていなければ、問題無いんだがねぇ……」

事務所


春香「か、解雇処分ですか!?」


小鳥「えぇ……次に問題を起こしたらね」


春香「た、確かに、ちょっとやり過ぎな所もありますけど……」


春香「プロデューサーさんは、私達を想ってしてくれてるんです!」


春香「プロデューサーさんが解雇処分なんて、私、嫌です!」


小鳥「プロデューサーさんも、もう絶対問題を起こさないって言ってるけど……」


小鳥「心配よね……あのアイドルバカのプロデューサーさんじゃ」


春香「大丈夫ですよ!きっと、プロデューサーさんはちゃんと有言実行してくれますよ!」


小鳥「そうねぇ……うーん……でも……」


小鳥「………そうだ!春香ちゃん」


春香「はい?」


小鳥「ちょっとプロデューサーさんを、試してみましょうか!」


春香「試す……?」


小鳥「本当に、問題を起こさないかどうかを!」

次の日 事務所


小鳥(……よし、プロデューサーさんは、机で何やら作業をしてるわね)


小鳥(いい?最初は春香ちゃんが頑張って演技するのよ?)


小鳥(あとは、あの人に任せとけばいいから、それまで頑張ってね!)


春香(わかりました!やってみますの春香です!)タタタ







春香「あ、あの、プロデューサーさん!」


P「あ!春香!おはよう!眠くないか?体疲れてないか?ベッド買ってこようか?」


春香「だ、大丈夫ですよ!心配し過ぎです!」


P「そ、そうか……よかった。」カチカチ


春香「……パソコンで、Amaz○n見てるんですか?」


P「あぁ、防犯グッズを見ていてな……」


春香「防犯グッズ?」


P「前に律子達が、まっくろくろすけ野郎にイチャモン付けられたからな……」


P「あんな不審者を撃退するよう、電気スタンガンか防犯スプレーを持たせるために見てるんだ」


P「社長に怒られてる間、この事で頭いっぱいだったよ」


春香(アフターケアもするんだ……)


P「うーん……やっぱ、SPを付けた方が……」


春香「し、心配しすぎですって!」

春香「それより、あの、プロデューサーさん」


P「何だ?何でも言ってごらん?」


春香「その……えっと……」


春香「…………」


P「……言いにくい事なのか?」


春香「言いにくいというか……その……」


P「大丈夫!何話されたって俺は、春香の味方だ」


P「絶対、馬鹿にしたり差別したり、怒ったり見放したりしない!」


P「約束する!」


P「だから、話してくれないか?」


春香「………わかりました」


春香「プロデューサーさん……実は……私……」










春香「アイドルを、辞めます」


P「へぇーー……」


P「……………」


P「………」


P「…」









P「」

春香「……あ、あの、プロデューサーさん?」


P「」


P「」バタッ



春香・小鳥「!!?!?」


春香「ぷ、プロデューサーさん!?」


小鳥「え!?ちょ、倒れた!?」


春香「こ、小鳥さん!プロデューサーさん、息してません!!」


小鳥「ピエェェェェエエ!?」


春香「あぁ!体や顔が、枯れ死んだ河童やミイラのように!」


P「」シュウウ…


小鳥「ど、どうしようぅ、取り敢えず、救急車!?AED!?人工呼吸!?初キッス!?」


春香「ぷ、プロデューサーさぁん!!」ユサユサ


P「」

5分後


P「すみません……ちょっと、気を失ってました……」


小鳥「気を失ってるって感じじゃ無かったですよ……」


P「そ、それより、春香!アイドルを辞めるって……」


P「や……辞めるって……」


P「」


小鳥「もう!一々気を失わないでください!」


P「何でだ!理由は何なんだ!?」


P「誰かに嫌な事とかされたのか!?それなら、俺がそいつを一狩り行ってくるぞ!」


春香「ち、違います!一狩り何て、やめてください!」


春香「その……辞めるというか、辞めざるを得ないんです」


P「辞めざるを得ない……?どういう事だ?」


春香「……………」


春香(あ、あの、これ言っても、大丈夫何ですか?)


春香(またプロデューサーさん、栄養を全て抜き取られた感じの顔や体になりますよ?)


小鳥(うーん……まぁ、凄く気になってる様子だし、言わないとダメよね)


春香(プロデューサーさん……嘘ついて、ごめんなさい!)


春香「あの……実は、私……」








春香「結婚……するんです」


P「」


P「」


P「」









P「」

春香「……あの、プロデューサーさん?」


P「」


春香「プロデューサーさん!?」


小鳥「白骨化してるわ……」


春香「プロデューサーさん、大丈ッ……」ガシッ


春香「!?」


春香「つ、冷たい……体が、冷たいですよ!」


小鳥「えぇえッ!?」


春香「息どころか、心臓が動いてません!!」


小鳥「ぴ、ピヘェェェェエエ!?」











2分後


P「はるがぁ……結婚っでぇ……げっごんっで、どういうごどだぁ?」グスッヒグッ


小鳥「息を吹き返したけど……酷い様子ね、こりゃあ」


春香「取り敢えず泣き止んで、落ち着いてくださいよ!プロデューサーさん!」


P「うん、で、どういう事なんだ?春香?」


小鳥「うわぁ……この変わり様……」


春香「その……私、素敵な人に出会いまして……」///


春香「それで…その人と結婚するので、アイドルを辞めることに……」


P「…………なるほど」


P「つまり相手を殺せばいいんだな?」スクッ


小鳥「ぷ、プロデューサーさん!最後まで話を聞きましょうよ!」ガシッ


春香「それでその……相手の方が今、事務所の玄関で待っていて……」


P「何っ!?」

春香「それで、プロデューサーさんにも会って話をつけて欲しくて……」


P「……いいだろう。連れて来てくれ、春香」


春香「は、はい!」タタタ


バタンッ







P「小鳥さん、入ってきた瞬間にこれで……」


小鳥「な、何酒瓶渡してるんですか!殴りませんよ!」


小鳥「それに、プロデューサーさん!春香ちゃんの本当の幸せを考えてくださいよ!」


P「本当の…幸せ…」


小鳥「春香ちゃんが好きになった相手と、結婚する事に決まってますよ!」


小鳥「プロデューサーさんのワガママでそれがオジャンになるなんて、ダメですよ!」


P「……………」


P「そう……ですよね……」グスッ


P「春香の幸せは……そう、なんですよね……うぅ」グスッ


小鳥「プロデューサーさん……」

P「せめて……相手が春香に見合い、幸せに出来そうな奴かを見定めさせてもらいますよ」


小鳥「……ちなみに、幸せに出来そうな奴って、どんな?」


P「まず、3高は当たり前、せめて東大かハーバート大学くらいでないと、スタイルは身長は180はないと、それでちゃんと仕事を定時に上がって春香を寂しくせないのと、収入も年収億は行って貰わないと、それで……」


小鳥(う……うわぁ)


小鳥(どうしよう……プロデューサーさん、ブチ切れるんじゃないかしら……)


P「以上が、結婚する条件ですね」


P「まぁ、とにかく。相手と冷静に話して方をつけますよ」


小鳥「ほ、本当に、冷静に!ですよ?」


P「もちのロンですよ」


春香「すみませーん、入ってもいいですか?」


P「あぁ!いいぞー!」


春香「じゃあ、入れますねー」


ガチャッ











チャラ男「ん、チョリィーーーーーーす!!!」


チャラ男「マイ、スウィートハニーの春香ちゃんを頂きに、参上!ってか!」ケラケラ


チャラ男「どもー、ン、チャラ男っすぅーー!シコよろーーー!」ケラケラ


P「」ブチィッ


小鳥「な、何かキレた!?」

P「コロす……」スタスタ


小鳥「ぷ、プロデューサーさん!穏便に!」ガシッ


小鳥「と、取り敢えず、話しだけでも!ね!?」


P「……………そっすね。見た目で決めつけちゃ、ダメですよね」


P「え、えーと、チャラ男くん……だったよね?」


チャラ男「そうでーす、あ、ブクロの皆は、チャラちゃんって呼んでまーす!」


チャラ男「プロチャンもそう読んでくれて構わないっすよン」


P「誰がプロチャンじゃコラァ!!」グイッ


小鳥「ぷ、プロデューサーさん!落ち着いて!」


P「くっ……とにかく、春香を立たせてばかりなのは悪い。2人とも、ソファーに座りなさい。」


チャラ男「ほーい」ドスんっ


春香「は、はい…」ストンッ


P「くっ……失礼しますくらい言えんのか、コイツは……」


小鳥「まぁまぁ、落ち着いて落ち着いて……」

P「というか、なんだね君。その格好は?」


P「普通、こういう時はスーツ姿だろうが」


P「耳や唇はモチロン、鼻、瞼、頬、歯、顎にピアスを付けて……」


P「そして、暴走族みたいな格好……何だね、その背中の『占御夜露』の文字は」


チャラ男「あぁ、俺っち、朝から晩までバイクでブンブンシャカブブンブンさせてる族なんすよ」


P「あ、朝から晩までって……学校か仕事はしてないのかね?」


チャラ男「俺っちは、誰の色にも染まらない……無職(無色)だぜ!」


チャラ男「なーんちって!かっくいい!!今のかっくいかった!?はるるん!?」ケラケラ


春香「え、えぇ……あはは」ニコッ


P「……………」ワナワナ


小鳥(お、落ち着いてください!プロデューサーさん!)


小鳥(案外、結婚してから仕事するかもしれないじゃないですか!)

チャラ男「つぅーかぁー、茶は出ねぇのかよ、茶はよー、そこのBBA」


小鳥「んだとコラァ!」グイッ


P「お、落ち着いてくださいよ、小鳥さん!」ガシッ


小鳥「誕生日ってのに、BBAとは何よ!BBAとは!」


チャラ男「んっ?あ、電話来た。」ヴー、ヴー



チャラ男「ちょい、すんまへーん、部屋でますねーン」スタスタ


春香「あ、私も化粧直しに……」スタスタ


バタンッ








P「くっそ……何なんだ!あの男!電話の電源くらい切っとけ!」


小鳥「プロデューサーさん、気持ちは分かりますが問題を起こしちゃダメですよ?」


小鳥「もし問題を起こしたら、解雇処分何ですよ?アイドルに会えなくなりますよ?」


P「し、しかし……」


小鳥「もしプロデューサーさんがクビになったら、知らない男にアイドルをプロデュースさせる事になるんですよ?」


P「………!!」


P「そ、それは……」


小鳥「あのチャラちゃんみたいな人に、プロデュースされるかも知れないんですよ?」


P「う、うわぁぁぁぁあああ!それはダメだぁぁぁぁああああ!!!」

小鳥「とにかく、私は茶菓子を用意しますから」


小鳥「少しの間、プロデューサーさん1人で対応してくださいよ」


小鳥「絶対!問題を起こしちゃダメですよ!?いいですね!?」


P「……う、ウス」


小鳥「じゃあ、用意して来ますね」スタスタ




P(………問題を起こしたら、解雇処分)


P(知らない野郎に、可愛いアイドル達のプロデュースを……)


P(それは……ダメだ!)


P(耐えろ!耐えるんだ俺!)


P(それに、小鳥さんの言う通り、あいつも結婚してから変わる気かもしれないしな)


P(落ち着いて、あいつの事をよく聞こう。うん)









小鳥(さぁ、プロデューサーさん、ここからが本当の試練ですよ!)


小鳥(私や春香ちゃんがいなくても、問題を起こさないで下さいよ!)

ガチャッ


チャラ男「あ、戻りやしたぁー。いやぁー、族の奴らから電話がねー」スタスタ


P「そ、そうか……まぁ、座りなさい」


チャラ男「ウィーッス」ドスんっ


P「………それで、その。チャラ男くんは……」


チャラ男「チャラちゃんだってばぁ、プロチャン!」


P「………ちゃ、チャラちゃんは、本当に春香を愛しているのかね?」ピクピク


チャラ男「たりめーじゃぁん、8番目に付き合った女で、やっと結婚まで辿り着けたっすよぉ~」ケラケラ


P「8ッ……ま、まぁ、交際経験は、ある人はあるからね……ははは……」ピクピク


チャラ男「ンで、結局はるるんとの結婚を認めるんすか?どうなんすか?」


P「あのな……私は、春香が幸せになるのを願っているんだ」


P「正直、君みたいな礼儀正しくない奴に、春香を任せたくないが……」


P「春香が好きになった相手なら、しょうがなくてだな……」


チャラ男「ふわぁ~~、長いっつーの、化石になっちまうよ~」ウトウト


P「そ……そうか……すまなかったねぇ…長くて……」ピクピク

P「わかった。愛してるとか、幸せにするとか、心意気の話は無しだ」


P「ただ、結婚するならば、一番の問題は君の就職の問題だ」


P「現実問題、結婚したらちゃんとした職に付いて、収入を……」


チャラ男「いやいや、待ってくださいよぉwwwwwwプロチャン!」ケラケラ


P「なんだね?」


チャラ男「はるるんは、人気アイドルっすよ?」


チャラ男「もう既に、沢山稼いでるから働かなくてもいいっつーの!」ケラケラ


P「」


チャラ男「それに、もし金が無くなったら、キャバクラとかでアイツが働けばいいっしょ!」ケラケラ


チャラ男「元人気アイドルなんだから、それなりに売れるはずっしょ!」ケラケラ


チャラ男「風俗とかだったら、もっともっと稼いでくれそうだよなぁ!」ケラケラ


P「」


P「」


P「」













P「」ブッチーーーーーン……

小鳥「プロデューサーさん、お茶とお菓子を……」スッ







P「ザケんなやフナムシがぁぁぁぁぁああああああああ!!」ボコォッ!


チャラ男「ウボァッ!」バコッ!


小鳥「わ、わぁーーーーーーーーー!?殴ったぁーーーーーー!!」


P「オラァッ!!図に乗んなやクズヒモがぁ!!」


小鳥「ぷ、プロデューサーさん!どおどお!」


チャラ男「ひっ、ヒィ!ヤベェこいつ!!」


P「ウチの大事な大事な春香を、テメェみたいなカスクズ野郎に渡してたまっかぁぁぁぁ!!」


小鳥「お、落ち着いてくださぁい!」ガシッ


P「離せや!こいつは100回くらい殺さないとダメだぁ!!」


小鳥「に、逃げて!早く!」


チャラ男「ひ、ヒィ!」タタタ


P「待てゴラァァァァァァァァアア
!!!」








春香「只今戻りまし……」


小鳥「あ!春香ちゃん!プロデューサーさんを咎めて!」


P「うあぁぁぁぁぁあああ!殺してまた殺してやらぁぁぁあぁ!!!」


春香「えぇっ!?なに、この状況!?」

10分後


P「えぇ!?ドッキリ!?」


春香「はい……ごめんなさい、プロデューサーさん……」


P「じゃ、じゃあ、春香は結婚しないんだな!?」


春香「も、モチロンですよ!」


P「よかったぁ……あぁ~、良かったぁ……」


小鳥「良くないです!また、問題起こしちゃいましたね!」


P「こ、小鳥さん……でも、あいつ、春香を風俗やら何やらで働かそうと……」


小鳥「それは、この業界だからこそ、そんな風に言って貰う様に頼んだんです!」


小鳥「芸能界は、そういう話と繋がりやすいんですから!」


小鳥「もし、仕事現場で他の人にそんな話を言われたら、また殴るんですか?」


P「えぇ、殺しますよ」


小鳥「ひ、開き直らないで下さいよ!」


小鳥「いいですか、こういうのは社長やあたしに報告して、冷静に対処するのがセオリーなんです!」


小鳥「悔しい気持ちもわかります……でも、暴力に頼ってはいけませんよ!」


小鳥「いちいちそう問題を起こしていたら、仕事が無くなって、結果アイドル達を苦しめる事になるんですよ?」


P「うっ………」


P「………そう、ですよね……すみませんでした」


春香「プロデューサーさん……私達を想ってくれるのは嬉しいです」


春香「あとは、もっと冷静に、落ち着いた対処方法をとって欲しいんです」


P「春香……」


P「……そう、だよな。わかったよ」


P「もっと冷静に対処するよ。もう暴力沙汰は起こさないよ」


春香「プロデューサーさん……はい!お願いしますね!」


小鳥「うんうん、よかったよかった!」


小鳥「………でも、なんか忘れてる様な……」

河川敷



チャラ男「……………」


翔太「ん……?ねぇ、北斗くん、あれ」


北斗「ん?……あ、あいつは……」


北斗「おーい!冬馬ー!」


チャラ男(冬馬)「………なんだ、お前達か……」


翔太「わぁっ!?何そのピアス!?服も!?」


翔太「しかも、顔に殴り跡があるじゃん!?」


北斗「どうしたんだ?冬馬?暴走族になって喧嘩でもしたのか?」


冬馬「………別に」


冬馬「ちょっと、損な役を請け負っただけだよ……」


翔太「損な役?」


冬馬「いや、何でも無ぇよ」



冬馬「さぁて、演技のレッスンが終わったんだ。飯行くか!お前達!」


北斗「どうしたんだ?冬馬のやつ……」


翔太「さぁ……?」






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