まどか「え、えっと……」
まどか「そ、それじゃあ……」
まどか「きょ、今日も学校で寝てたよね
授業は聞かないとだめだよ」
さやか「ごめんなさい……」
まどか「あ、でもわたしもお絵かきとかしてたし……」
さやか「自分のことは棚にあげていいから!」
さやか「もっとお願い!」
まどか「えっと……ええっと……」オロオロ
まどか「は、ハンバーガーとか食べてるときだけどさ」
さやか「うん」
まどか「さやかちゃん、ちょっと声が大きいよ
店員さんが迷惑しちゃう」
さやか「すいません……」
まどか「あ、でもそんなさやかちゃんがいるから盛り上がるし」
さやか「フォローもいれなくていいから!」
さやか「もっと罵って!」
まどか「ま、まだやるの? こんなのおかしいよ……」
さやか「こんなことだから、まどかにしか頼めないんだよ」
さやか「ね、お願い!」
まどか「べ、べつにわたしじゃなくても……」
まどか「杏子ちゃんとか…」
さやか「杏子だと喧嘩になっちゃうよ!」
さやか「あたしはイライラしたいんじゃなくて、もっとこう……
被虐的なものが欲しいというか……」
さやか「その、まどかならこっちが悪いって思えるからさ」
さやか「だからもっと!」
まどか「ほむらちゃんは…?」
さやか「あいつの言葉には愛がないね」
まどか「あ、あい?」
さやか「愛情がこもってないとただの悪口になっちゃう!」
まどか「それじゃあ、マミさん……」
さやか「マミさんだと本気で心配されちゃうよ!
なんかカウンセラーとか紹介されそう」
まどか「わたしもさやかちゃんのことが心配だよ……」
さやか「あぁ……」
さやか「いまのやつよかった! もういっかい!」
まどか「や、やだよぉ……」
さやか「そうだ、転校生の言葉は使えるかも」
まどか「え……?」
さやか「あいつの言ってること真似してみてよ」
まどか「え、えっと……」
まどか「みきさやか、あなたはどこまでおろかなの」
さやか「……」
まどか「や、やっぱりわたしには無理……」
さやか「あぁ……イィ……」ウットリ
まどか「さやかちゃん……」
さやか「今のをさ、もっとまどかの言葉にしてみてよ」
まどか「えぇ……まだやるの……?」
さやか「お願い!」
まどか「……さやかちゃん」
さやか「うん」
まどか「わたし、さやかちゃんの言ってることがわからない。理解出来ないよ」
まどか「ちょっとついていけそうにない……」
まどか「いつものおふざけにしてはひど過ぎるよ……」
まどか「さやかちゃんのいいところは、明るくて前向きなことだと思うし」
まどか「だからさ、もうこんな遊びはやめて欲しい」
まどか「ね?お願い」
さやか「すごくいい……」ウットリ
まどか「さやかちゃん……」
さやか「もっとぉ……」
まどか「……いい加減にして!」
パシッ
さやか「痛っ……くない」
まどか「おかしいよ、さやかちゃん!」
まどか「わたしを困らせるのがそんなに面白いの?
もうさやかちゃんなんて知らない!」
さやか「まどか……」
さやか「今のビンタ、すごくよかった」
まどか「え?」
さやか「つ、次はこのベルトであたしのおしりを……」
まどか「や……」
まどか「やだぁ~!」ダッ
さやか「ああまどか! 待って!」
――
――――
仁美「それで、私に相談ってなんでしょう?」
まどか「うん。さやかちゃんのことだから、仁美ちゃんがいいと思って…」
仁美「さやかさんの?」
まどか「実はさやかちゃんがね、わたしにいけないことを求めてくるの!」
仁美「いけないこと!」
まどか「最初はいつもの冗談だと思ってたんだけど
どうやら本気みたいで……」
仁美「まぁ……!」
まどか「それでね、最後には肉体的なことまで求められて」
仁美「に、にくたいてき!!」
仁美「さやかさんがそのような嗜好を……」ドキドキ
まどか「もとのさやかちゃんに戻したいの!
仁美ちゃん、どうすればいいかな?」
仁美「そうですね……」
仁美「一度だけ引き受けてみる……というのはどうでしょう」ドキドキ
まどか「えぇ!?」
まどか「な、なんで!?」
仁美「その様な秘密を打ち明けるのは、とても勇気がいるはずです」
まどか「で、でも……やっぱりおかしいよ」
仁美「確かに普通ではないかも知れません
ですが、悪いことでもありません」
まどか「そ、そうなの…?」
仁美「一度関係を持ち、さやかさんの気持ちを理解した後でも
きっと遅くはないはずです」ワクワク
まどか「そうかなあ……」
仁美「思い出してください、さやかさんが何を言っていたか」
まどか「さやかちゃんが……言ってたこと……」
さやか「こんなことだから、まどかにしか頼めないんだよ」
さやか「ね、お願い!」
まどか「そうだね……わたし、やってみる!
さやかちゃんの気持ちと向き合ってみるよ!」
仁美「まどかさん、頑張ってください!」テカテカ
まどか「うん!仁美ちゃんもありがとね!」
――
――――
まどか「お、お邪魔しまーす……」
さやか「い、いらっしゃい」ドキドキ
さやか「それじゃあ早速……」
ヌギヌギ
まどか「え!? ぬ、脱ぐの!?」
さやか「まどかはそのままでいいよ」
まどか「ふ、服の上からじゃだめかな?」
さやか「汚れちゃうし」
まどか「……よごれる?」
さやか「ここにろうそくがあります」
まどか「えっ…?」
さやか「火をつけます」シュボッ
まどか「あの…」
さやか「さあ! あたしに垂らして!」
まどか「い、いや……」
まどか(向き合うって決めたけど……これは……)
「まどか、その必要はないわ」
ほむら「溶けたロウソクを体に垂らすのは非常に危険よ」
まどか「ほむらちゃん!」
さやか「あの…ここあたしんちなんだけど…」
ほむら「お邪魔します」
さやか「あ、うん」
ほむら「あなたはそんなに火傷したいのかしら?」
さやか「いや、そういうものなんじゃないの?」
ほむら「80度近いロウでやけどすると一生モノの傷になるわ」
さやか「まどかに一生残る傷をつけられる……」ハァハァ
まどか「さやかちゃん……」
ほむら「あなたはそれでいいかも知れないけれど、まどかにも傷が残るわ」
さやか「えっ?」
ほむら「友達を傷つけてしまったという罪悪感、心の傷が残ると言ってるの」
ほむら「美樹さやか、あなたはまどかを加害者にしたいのかしら」
さやか「それは……」
まどか「そうだよさやかちゃん! 危ないことはよくないよ!」
ほむら「そう、だからそんな危険なものはしまって……」
ほむら「この融点の低い専用のものを使いなさい!」
まどか「ほむらちゃんの言うとお……」
まどか「えっ」
まどか「あの……ほむらちゃん?」
ほむら「いきなり体にかけるのもダメよ
まずは炎を顔に近づけて本能的な恐怖を植えつけなきゃ」
ほむら「それと鞭だけど、ベルトじゃしなりが悪くて音も今ひとつよ
かといって金具の部分をぶつけるなんてもってのほか」
ほむら「初めは2m程度で柔らかめのこれを使うといいわ」
シュルシュル
さやか「ちょっとなにを……」
ほむら「このように、手首を縛ることもできる優れ物よ」
まどか「……」
まどか「わたし、帰っていい?」
ほむら「ダメよ」
さやか「ダメだよ」
ほむら「まどか。あなたでないとダメなの」
さやか「そうだよ!やっぱりまどかじゃないとだめだ」
まどか「な、なんで…」
さやか「なんでかな……あたし、分かるんだよね
こいつはあたしを縛り上げてる時も全然別のこと考えてる」
ほむら「そう……あなたって鋭いわ
私はまどかに身も心も縛られたいだけ」
まどか「……」
ほむら「さあまどか、この手錠で私の自由を封じ込めて!」
まどか「え、やだよ……」
ほむら「あぁまどか……その表情よ……!」
さやか「あ、いいなぁ! まどか、あたしのこともそんな風に見てよ!」
ほむら「それじゃあ私が自分でつけるから、
その間ずっと冷ややかな目で見ていて頂戴」ガチャガチャ
さやか「あ、その前にさ……あたしの足にもそれつけてよ」
ほむら「いいわね……それじゃあ鉄球もつけましょうか」
まどか「も……」
さやか「おおすごい! 完全に身動きが取れない!」
ほむら「さあまどか! 今なら何をしても抵抗できないわ!
何もせずに見るだけでもいいのよ!」
まどか「もうやだぁ~!!」ダッ
さやか「あっ!まどか待って! これ自分じゃほどけない!」
ほむら「そうよ! 放置プレイは本来高度な……」
――
――――
マミ「そう……あの二人がそんな趣味を……」
まどか「はい……もうわたしにはどうすることもできなくて…」
マミ「分かったわ。私に任せなさい」
まどか「マミさん……!」
マミ「私があの二人に教えてあげる」
マミ「誰が本当のご主人さまなのか……をね」ニヤリ
まどか「えっ」
まどか「い、一体何を……」
マミ「何を言っても聞かないなら……体に教え込むしかないじゃない」
まどか「でも、やっぱり危ないですよ!」
マミ「大丈夫。加減はするわよ」
まどか「でも……」
マミ「すこし痛い目を見せないと……ね?」ニヤリ
まどか「そんなのって…」
ほむら「そう、巴マミはなにも分かっていないわ」
まどか「うわっ」
マミ「勝手に入ってきて……ここは私の家なのよ?」
ほむら「お邪魔します」
マミ「……お説教が必要みたいね」
ス…
まどか「と、とげの付いた鞭…」
ほむら「そんなもので、なにをするつもりかしら?」
マミ「決まってるでしょう?」
ピシッ!
ほむら「っ!」
マミ「あなたが謝るまで、打ち続けるのよ」
ほむら「痛いわね……やめなさい」
マミ「やめないわよ。 あなたが悪いんでしょう?」
ほむら「……それが分かってないのよ」
バシッ!
マミ「きゃっ!」
ほむら「嫌がる人に武器を向けるなんてどうかしてるわ」
マミ「あ、あなたの意見なんか聞いてない!」
ほむら「それが嫌だと言っているでしょう?」
ほむら「相手を否定することに悦びを覚える
サディストとしては間違ってないけれど……」
ほむら「私の性癖は相手に心配されつつ蔑まれることなの
あなたを見ても食指は動かないわ」
まどか「ほむらちゃん……」
マミ「そ、そんなの贅沢よ!」
ほむら「マゾヒストとは常に与えられる側。贅沢であたりまえなの」
ほむら「巴マミ、あなたはただ一人で空回りしてるだけよ」
マミ「そ……」
マミ「そんなぁ……」グスッ
まどか「マミさん……?」
マミ「せっかくお友達と……
ちょっといけない関係に慣れると思ったのに……」ポロポロ
ほむら「さあ、今よまどか」
まどか「えっ?」
ほむら「マミを思い切り罵りなさい
彼女の自尊心は今ボロボロよ。そこに追い打ちをかければ
あなたの従順な奴隷に……」
まどか「ならないよ! いやだよ!」
マミ「うぅ……」
ほむら「ふん、相手のいないサディストほど惨めなものはないわね」
まどか「ひどいよ!
相手がいないのはほむらちゃんも同じことなのに
なんでそんなひどいことが言えるの?」
ほむら「はぅ!」ドキーン!
ほむら「ああまどか……ごめんなさい……」ウットリ
まどか「マミさん、大丈夫ですよ。なにも問題ありません」
マミ「かなめさん……?」
まどか「友達とは普通に遊べばいいじゃないですか
わたしでよければいつでも呼んでください」
ほむら「あ、傷心してる相手に優しい言葉なんかかけたら……」
ダキッ
まどか「えっ?」
マミ「鹿目さん!」
まどか「あの……マミさん?」
マミ「私……あなたがいるなら頑張れるわ!」
まどか「えっと……その……」オロオロ
マミ「悲しい運命が待っていても……友達がいれば乗り越えられる!」
まどか「そ、そんな話だったっけ……?」
ほむら「何をやっているの。さっさと振りほどいて帰りなさい」
――
――――
杏子「えーっと……そんなことをあたしに言われても」
まどか「わたし、どうしていいか分からなくなって……」
杏子「話は分かったけどさ……」
まどか「なにか、二人をもとに戻す方法はないかな?」
杏子「……ないな」
まどか「そんなぁ……」
杏子「もうほっとけよ。無視しとけばそのうち収まるかもしれないしさ」
まどか「でも……」
杏子「とにかくあたしにはどうにもできねーよ」
まどか「でも、わたし約束したから。さやかちゃんと真剣に向き合うって」
杏子「それでダメだったんだろ? あんたはよく頑張ったよ」
まどか「でも……」
まどか「わたし、やっぱり逃げたくないの」
まどか「もういちどさやかちゃんと話し合ってみる!」
まどか「だから杏子ちゃん、そのために勇気をちょうだい!」
杏子「……えーっと?」
まどか「いっしょに説得して!」
杏子「マジかよ……」
杏子「……ダメ元で話すだけっていうなら
少しはまともな方法がある」
まどか「本当!?」
杏子「ショック療法だ」
まどか「ショック療法?」
杏子「さやかが求めることの延長線にある出来事を見せて失望させるんだよ」
まどか「どういうこと?」
杏子「つ…つまり……だな……」
まどか「?」
杏子「どぎついその手のビデオを見せるんだよ」
まどか「えぇ!?」
まどか「そ、それは逆効果なんじゃ……」
杏子「ああ、本当にさやかがmならそうかもな」
まどか「?」
杏子「さやかの歳であの手のものにハマるとは考えにくい
おおかた『人と違うことに興奮するあたしスゴい』ぐらいの考えなんだろう」
まどか「な、なるほど……」
杏子「やってみる価値はあるが、やるかどうかはあんたが決めな
失敗した場合ひどいことになるのは確かだし…それに」
杏子「あたしたちも見るんだしな」
まどか「あっ」
まどか「ううん、さやかちゃんのためだもん! やるよ!」
杏子「そうか…わかったよ」
杏子「ああそうだ、ほむらは呼ぶなよ」
まどか「え? なんで?」
杏子「あいつのは多分マジだから、なにを見せても効果はないだろ」
杏子「さやかが無理に対抗して悪化してしまう可能性まである」
まどか「そうなんだ……
じゃあ、ほむらちゃんのことは別の日にまた考えようね」
杏子「いや……手遅れって意味なんだけど……」
杏子「まあとにかく今はさやかだ」
杏子「明日あいつの家に乗り込むぞ、ブツはこっちで用意しておく」
まどか「分かった! ありがとう、杏子ちゃん」
杏子「礼は成功した時にしろよ」
まどかの戦いは始まったばかりだ!
おわり!
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