【ib二次】イヴ「美術館から追い出された」ギャリー・メアリー「「えっ!?」」 (115)

フリーのホラーゲームibの二次創作です。
ibのネタバレあり。

【ib二次】イヴ「美術館から」ギャリー「抜け出すわよ!」メアリー「三人で!」
の外伝です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404741773

………もう、何度目なのかしら。

アタシは軽く目を瞑る。
体感時間では恐らく数週間、寝た記憶がないのだけれど、眠気は全くと言っていい程ない。
「この体」はちゃんと寝ていた筈だから、かしらね。

アタシは溜息を短く吐き、何十回も見ている「今日の」曇り空を見上げた。今までの事を軽く振り返る。

「今日」アタシはゲルテナの作品を見に美術館へ行った。
そしたらその作品達のチカラが生み出した「ゲルテナの世界」に引きずり込まれた。
そこで出会ったのがイヴとメアリー。

「ゲルテナの世界」では自分の精神が具象化されたバラがある。
その花びらを千切られる事は、文字通り「命を散らす」事だ。
アタシは青のバラ。イヴは赤いバラ。メアリーは黄色いバラだった。

アタシ達3人はバラを守りつつ「ゲルテナの世界」から脱出する方法を探していたのだが、
実はメアリーもゲルテナの作品だったと言う事が明らかになった。
メアリーはアタシを「代わり」にして外の世界にイヴと共に出ようと画策していたのだ。

アタシとイヴは『メアリー』の額縁を燃やす事でメアリーを倒し、元の世界へと戻ってきた。
これで一件落着、…になる筈だった。

だけど、今までのは前置きにしか過ぎず、本当の話はココから始まるのだ。
やっぱりメアリーも助けたかったと、イヴがそう言った。
その思いと「ゲルテナの世界」の隠し部屋で見つけた『魂を啜る群集』のチカラが呼応し、
アタシは全てが始まる前の時間にタイムリープをした。

そしてそれ以来、アタシは同じ時間を何度も何度も、やり直し続けている。
メアリーを助け、3人で外に出る術を見つける為に…。

アタシは毎度おなじみの美術館へ入る。
アタシ「達」をおかしな世界へ連れて行く美術館へ。

「だけど、その時のアタシはまだ知らなかったのよ。
あの世界は、それまでの世界に輪をかけておかしな世界だったって事をね」

美術館に入ってアタシが向かったのはショップだった。
お目当ての物がどこにあるかはもう目を瞑っていても分かる。

「コレとコレ、ね」

アタシは赤いバラと青いバラの造花を1本づつ買った。

メアリーがアタシ達と決別する原因はいくつかある。

一つ、アタシが『告げ口』の側でメアリーの正体を呟いてしまう事

これは最初の1周目だけで2週目からはしないように気を付けている。

二つ、イヴがメアリーのバラが造花である事に気づいてしまう事

これを予防する為のアイテムがこの造花だ。

幸いどんな世界でもアタシはイヴより先にゲルテナの世界に着く。
だから、先回りしてイヴのバラを造花にすり替えるのだ。
木の葉を隠すなら何とやらってね。

幸いあのバラは精神が具象化した物だから、
コートのポケットに入れて歩く位なら何てことはないし。

だけど、この解決策では不完全なのよね…。

三つ、イヴが『メアリー』を見つけてしまう事

全員が造花だからイヴはメアリーに疑問を持たなくなる。
それは良いんだけどそのせいでメアリーが無警戒になっちゃって、
「スケッチブック」で「おもちゃばこ」の側にある、『メアリー』の額縁に続く階段をツタで塞がなくなっちゃうのよね…。

ここ何回かはそのせいでイヴが『メアリー』を発見、メアリーが激昂と言う流れになっちゃって。それさえ防げれば良いんだけど…。

アタシはつらつらとそんな事を考えながらショップから出た。
いつも通り二階の『逆さ吊りの男』の前へ移動しようとする。

すると、見知った顔がすぐ側を通った。

…え?イヴ?

イヴと、そのご両親だった。
三人は美術館の出入り口の方へ歩いて行く。

え?え?何で?ちょっと待って?

頭の中が混乱する。
慌てて近くの時計を確認する。

間違いない。後もう少しでゲルテナの世界は出現する。
ホントなら、イヴもそろそろ二階に移動する頃だ。

なのに、イヴはうなだれてご両親と共に美術館から出て行く!?

うなだれて!?
そんなイヴをアタシは「見た事がない」!
一体イヴは何をしたの?

一体どういう事!?
こんな事、今まで一度だってなかったわよ!?

イヴの両親はもう、出入り口の扉を開けている。

連れられて外に出て行くイヴ。

このままじゃアタシだけがゲルテナの世界に行く事になる!!

「イヴっ!」

アタシがそう叫ぶのと、美術館の出入り口が閉じるのと、
美術館から一切の人の気配が消えるのは同時だった。

・Sideイヴ

私、何であんなことしたんだろう…。
きっと何かがある筈って、何でかそう思ったんだけど…。
美術館の事務室で私は職員の女の人に叱られていた。

「いい?イヴちゃん、もうあんなことしたらダメだからね!」

キレイな金髪のお姉さんがしゃがんで私と目線を合わし、私に人差し指を向ける。

「ごめんなさい…」

私が謝ると、お父さんとお母さんも謝ってくれる。

「いえいえ、作品は大丈夫でしたし感受性が強い子だったら強い影響を受けちゃうのも仕方ない事ですよ!…特にこんな可愛い女の子ならね!」

お姉さんは悪戯っぽい笑みで私を見て言った。

何だろう、この笑い方、どこかで見た事がある様な…。

「まあ、ゲルテナさんの絵は不思議な魅力があるからね。特にあの『深海の世』は有名だし。飛び込みたくなっちゃう気持ちは私も分かるなあ。私もね…」

とお姉さんは言葉を続けようとした。が、時計を見て「しまった」という顔をする。

「いっけない!そろそろ新しい絵の搬入があるんだった!早く行かないと館長に大目玉食らっちゃう!」

もう事務所から出ても大丈夫ですよ、とお姉さんは言って慌てて仕事に戻るお姉さん。

私達も事務所から出た。

「今日はもう、帰ろうか」
とお父さん。

「そうね。喫茶店にでも寄って帰りましょ」
とお母さん。

頷く私。

「それにしても全く、イヴがあんな事するなんて思わなかったわ」

「でも、作品に傷がつかなくて良かったよ」

うう…今日は散々な一日だった。

「あ」
お父さんが声を出す。

「どうしたの?」

「メアリーさん、ネームプレートを机に置きっぱなしにして出て行ってた気がする」

「じゃあ、館長さんに大目玉?」

「かもね」

美術館の出入り口から外に出る。
出る瞬間に私の名前を誰かが呼んだ気がしたけれど、多分、気のせいだろう。

・Sideギャリー

人の気配が消えた美術館。イヴが出て行ってしまったアタシは横を振り向く。
それまでただの壁だった所に下へ続く階段が現れていた。
美術館の内装と寸分違わぬその階段は、まるで最初からあったかのようにも思える。

「行くしかない、わよね…」

アタシは階段を降り「ゲルテナの世界」へ向かった。

階段を降りると小部屋に出た。左手には『布の下の廃村』と言うオブジェがある。

「さて、ここは慎重に進まないとね」

アタシは近くに落ちていた小さなカギを拾ってからコートを脱いで細くまとめた。

部屋を出た後は扉を閉めずに左手に進み、活けてある青いバラを取る。

ガシャン!

アタシが出た部屋の奥の角から何かが落ちる音がする。

「アイツが来たわね」

アタシは音のした方へ走る。

角から這い寄って来る『青い服の女』

「バラ…バラ…そのバラよこっ!!

『青い服の女』がバラを寄越せと呟いているが、最後までは言わせないわっ!
アタシは束ねたコートを振りかぶり『青い服の女』目がけて振り降りした。

小部屋の中に吹っ飛ぶ『青い服の女』

アタシは急いで小さなカギを使い小部屋の扉を施錠した。

「よし!」

一周目の時は驚いてバラを投げ渡しちゃったっけ。今では良い思い出だわ。

私はコートの中で重石代わりにしていた飴玉を確認する。

「良かった。割れてはいないわね」

飴玉はすごい。おやつやプレゼントだけでなく、トラップや武器にもなる。

アタシはとりあえず、イヴのバラがあるかどうかを確認しに、最初の青の間へ向かう事にした。

この美術館の構造は戻る者に対してはとても優しい作りになっている。
全ての扉は内側からなら開くように出来ているからだ。

扉の間に飴玉を挟めば最後まで閉じ切らないので、帰りも鍵は必要なくなる。

「飴玉は世界を救うわ。…きっと」

飴玉万能説を唱えながら本棚が並ぶ小部屋を抜けると、
赤の間に出た。が、

『赤い服の女』「…………」
アタシ「………っ!?」

バタン!
扉を閉めなおして本棚の小部屋に戻る。


外から扉を叩く音が聞こえる。

「何で目の前にいるのよ…」

さて、どうしよう…

1、たたかう
2、どうぐ
3、にげる

安価つけるの忘れてました…。ごめんなさい。

アタシは自分の持ち物と部屋の周りを確認する。

「流石に目の前にいられちゃ正面突破は難しいわよね…」

 使えそうな物を並べて考える。

飴玉とコートで鈍器を…
ダメだ。開けた瞬間じゃ間に合わない。

飴玉を転がしてで気をそらせようか…
これもダメだすぐに食べられてアタシも食べられちゃう(意味深)。

ライター…は嫌だ。もうあんなのは見たくない。

結局使えそうなのは…

「これだけね」

さて、どっちを使おうかしら…。

安価下1

1、コート
2、本

すいません、忙しくてしばらく更新出来ませんでした。
再開します。


「………よし」

本棚から本を抜いて積む・積む・とにかく積む。

扉の前に本を積んで、扉をそっと開ける。
すると…。

バーンッ!ガラガラッ!バタンッ!

扉が開くなり突進をしてきた『赤い服の女』は積まれた本にぶつかった。


『赤い服の女』は 本に 押しつぶされた!
ギャリーは 10の けいけんちを 得た!

「…なんてね」

本の山の下で伸びている『赤い服の女』。

アタシは本を片付けると『赤い服の女』から「赤のカギ」を抜き取って先へ進んだ。

赤の間を抜けた先の回廊、その右側の壁を手で探りながら進む。

ズププ…

手が壁の中にめり込んだ。隠し通路だ。

隠し通路を進み、『魂を啜る群集』の前に出る。

「これを見ないと、ループが出来なかったのよね…」

ループの度に見る必要はないのだけど、三周に一度は見るようにしている。

すみません。
ここの所、諸事情により更新できませんでした。
続きです。

「…………」

アタシは飴玉をアリの前に出す。

「飴、おいしい。飴、好き!」
後ろ脚二本で立って、飴をねだるアリ。…中々可愛いじゃない。
コロコロコロコロ…

アタシは飴玉を床に転がした。

「飴、待って!」

追いかけてゆくアリさん。

「さ、行きましょか」

アタシは扉を開けて間に飴玉を挟み、青の間へと出た。

青の間をひたすら真っ直ぐ進む。

「………やっぱりないのね」

いつもならイブの赤いバラが挿してある筈の花瓶は、空だった。

「…考えてもしょうがないわね。戻りましょ」

アタシは元来た道を引き返す事にした。

緑の間に戻ると、

「…………………僕の絵」

◇アリさんが こっちを みている

たたかう どうぐ
PSI ►にげる

◇しかし にげられない!

たたかう どうぐ
►PSI にげる

◇ギャリーは オネエスマイルを 使った!

「お前、怖い!」

◇アリさんは にげだした!

ネコと『猛唇』を抜け、ギロチンをかわし、赤の間まで戻る。

赤のカギを使って扉を開けると、
気を取り戻した『赤い服の女』が飛び出してきた!

アタシは脱いでおいたコートを『赤い服の女』の上にかぶせた。

包んで、縛って、担いで…

やったー! 
『赤い服の女』を つかまえたぞ!

つかまえた 『赤い服の女』に
ニックネームを つけますか?

 はい
►いいえ

ギャリーは 『赤い服の女』を 
窓から 小部屋の中に 送った!

ばいばい!『赤い服の女』!

「さて、ここからが本番ね」

アタシは小部屋の反対側に進む。
舌をヘロヘロさせている絵を避けて進むと、
扉を『無個性』が塞いでいた。

「何これ、邪魔ね。イヴ、ちょっと…っていないんだっけ」
毎回、同じセリフを言っているから思わず言っちゃったわ…

アタシは『無個性』をどかして灰色の間に進んだ。

「さーて、さくさく進むわよ!」

とは言った物の、どこから行こうかしら…。

安価下1

1、目薬の部屋
2、『ラビリンス』の部屋
3、お花が大好きな絵

「ま、この状況ならあそこに行くしかないわよね」

アタシはあの絵の所へ向かう事にした。

向かう途中にある小部屋も覗いてみる。
その小部屋の中では姿なき者達が目薬を写生していた。

「目薬の写生って訳わかんないわよね…」

思わずそう呟くと、姿なき者達に睨まれた気がした。

「ごめんね。アンタ達も懸命なんだもんね。
じゃ、第二のゲルテナ目指して(?)頑張って頂戴」

イーイーイー!

どこからか声が聞こえてきた気がした。

小部屋を後にし、お花が大好きな絵の前に着く。

「えへへへ、へへへへへ。いいなあ、おはな…」

「おはな、くれたらここ通してあげるよ。えへへへへ」

アタシはイヴに渡すはずだった赤いバラの造花を絵に差し出す。

「えへへへへ、ありがとう。それじゃ、いただきます」

バリッ、バリッ、ムシャッ、ゴリッ、バリンッ!!

「おいしかったあ。じゃあ、どうぞ」

例しに造花を渡して見たら普通に食べて通してくれた。
生花じゃないとダメなのかと思ってたけど、
花の形をしていればそれでいいのね…。

灰色の部屋を抜けて、マネキンの首が並ぶ通路に出る。

「これは慣れないわね…」

しかも、壁にある肖像は目線を私から離そうとしないし…。

「ウッフン♪」

ギャリースマイルを送ってみる。
…目を逸らしやがった。

「失礼しちゃうわ」

灰色の大部屋に出る。
さて、どうやって攻略しましょうか…。

1、暗証番号つきの部屋
2、『緑色の服の女』のところ

「この部屋の出口はここなのよね…」

アタシは部屋に入ってすぐの壁の裏にある、
もう一つの扉を見る。

ドアノブを捻るが開かない。

「灰色のカギが必要ね…」

アタシは灰色のカギを取りに行くことにした。

奥の壁に掛かる『緑服の女』の所まで行く。

そっと壁から外す。

後ろから両手で抱える。

揺さぶる。

アタシは灰色のカギを手に入れた。

目を回した『緑服の女』を壁に戻す。

「ありがとうね」

アタシはお礼に飴玉を一つ『緑服の女』の口に入れてあげた。

灰色のカギを使って中央の部屋に入る。

この部屋でイヴは両親の絵を見ていた。

が、今のアタシが見ているのは「イヴの絵」だった。

アタシが初めに見たのは、ただの真っ白なキャンバスだった。
二周目以降は大抵3人でいる絵だった。

「見た者が求める人が写る絵、か」

本棚で窓を塞ぎ、迎え撃つ体勢を整える。

ドンドン!ドンドン!

部屋の壁を外から叩く音が聞こえ始める。

「そろそろね…」

穴が開く予定の壁の前でコートを広げて待ち構える。

ドンッ!!

バフッ!

「さー、捕まえたわよ♪」

アタシは『黄色服の女』を捕まえた。

『黄色服の女』を人(?)質にしながら、壁の穴から出る。

「この子がどうなっても良いの!?」

道を開ける『赤服』『青服』『緑服』達。
アタシは部屋の出口までついた所で『黄色服の女』を逃がして先に進んだ。

「この部屋を素通りするのは…変な感じね」

アタシは「いつも」イヴを休ませていた部屋を素通りし、先へ急いだ。

コの字の通路をグルっと回って

「し・ん・か・い・の・よっと」

パスワードを入力して小部屋に入る。

これをしないと、あの子と会えないのよね。
『決別』の絵を見る。

「………したままでなんか、終わらせないわよ。イヴの為にも」

部屋が暗転する。

もう慣れた物で、ちっとも怖くないのが何だか悲しい。

「あの頃のピュアなアタシが懐かしいわ…」

部屋の明かりが付く。

すると、いつもとは違う文字が部屋中に書きなぐられていた。

“あめだまですますな!”
“ひっこめオ○マ!”
“ぼくのえ!”
“ゆびわがほしい!”
“コートにつつんでゆうかいするな!”

エトセトラエトセトラ…

「精神的にきついわね…」

アタシは若干心に傷を負いながら部屋を出た。

「さて、これでやっとあの子に会えるわね」

アタシは小さく呟くと急いで出現した扉へと向かった。


……
………

「あなた何?」

扉を開けて出会った金髪美少女の開口一番のセリフがこれだった。

な、なんか不機嫌な気がするのは気のせい、よね?

「ア、アタシはギャリーよ。アナタは?」

「なんだ、オ○マか…」

「オッ!?オカッ?…オネエと言ってちょうだい!」

「変わらないわよそんなの」

「…で?あなたの名前は?」

「オ○マに名乗る名前なんてないって言いたいけど。まあいいわ。メアリーよ」

「…………」

アタシは今、もの凄く問いたい。
メアリーさん、あなた性格変わってませんか?

「メアリー…さんもここに迷い込んじゃったの?」

「そうよ」

「じゃ、じゃあ、アタシ達…いや、アタシと一緒ね」

「あなたと一緒にしないで」

「……………」

最初からスケッチブックの時と同じ位の機嫌なんだけど…、
大丈夫なのかしらこれ。

「ア、アタシと一緒に出口を探さない?」

「たすけてー!お父さーんっ!!」

「人聞きが悪いわねっ!!」

そっか。イヴがいないからメアリーはこんなに露骨なのか…。
少し、寂しいわね…。

「で?出口探すんでしょ?行くの?行かないの?」

メアリーが先に立ちアタシを見上げる。

「え、ええ行くわよ。行きましょ」

アタシは前を行くメアリーを追いかけた。

「こうしてアタシはメアリーと二人でと言うこれまでにない状況の中、
先を進む事になったのよ」

紫の間に進む。

「分かれ道よ。どっちに行くの?」
メアリーが聞いてくる。

「左から見て見ましょ」

アタシは左に曲がった所にある小部屋に進んだ。

「わぁ、可愛い!」

部屋に入ると赤い目の人形が並ぶ部屋に出た。

「え?え、ええ…。そう、ね」

正直まだあんまり好きになれないけど…。
さて、どこから調べようかしら

1、本棚
2、人形

うーん…
何かアタシとメアリーだけだとこの先が不安なんだけど…
な、何とかなるわよ…ね。

この時のアタシはまだ知らなかった。

数分後、思いもよらない形で、まさに「何とかなる」と言う事を。

あらかじめ言っておく。
それは、アタシにはちっとも笑えないことだった。

「………ねえ!聞いてんの!?」

はっ!

アタシはメアリーの方を向いた。
どうやらさっきから呼んでいたらしい。

「な、何?メアリー、ちゃん」

「ちゃんづけしないでよ。…気持ち悪っ!」

「………」

「あの本棚動かしたら何か穴があったんだけど行って見ない?」

メアリーが指差す方にはアタシがいつも通っていた穴があった。

「…そうね。行って見ましょ」

「あなた先行ってよ」

「何で?」

「後ろからだとスカート除きそうだから…」

「しないわよ!…ま、アタシが先に行って危険がないか見るってのは良い案だけど」

「うわ…上から目線」

「はいはい」

アタシは穴を潜って先に進む。

背中に殺気を感じるのは気のせい…よね。

一瞬ゾクッとした気がした。

進むとこれまたいつも通りの光景が広がっていた。

後ろを見るとメアリーがちょこちょこと穴を潜っていた。

…癒されるわぁ。

「何見てるのよ!早くこの部屋を調べるわよ!」

「っ!…はいはい、分かってるわよ」

部屋には上から垂れている何本かの紐と三角の窪みがあった。

アタシは何を調べよう…

安価下1

1、ギャリーが紐・メアリーが窪み
2、ギャリーが窪み・メアリーが紐

・Side???

ギャリーとメアリーが去った紫の間、
その床を2つの物体が這っていた。

一匹が扉の隙間から中に潜り込み、
『無個性』に内側から扉を開けてもらう。

2つは更に先へと進む。

「飴玉?何だ、鼻か」

進んだ先は行き止まり、通路を横真っ二つに裂く穴があった。
その上には『寡黙な視線』が。

「ぼく、あり。ぼく、ゆるさない。あいつ、てき。ぼくのえ、やぶった」

穴の前で何かを待つ様に立っていたのはありさんと、

「指輪よこせ。指輪よこせ。指輪よこせ…」

と、灰色の間で呟く『不幸な花嫁』の『左手』、

ギャリーに「攻略」される事無く先に進まれてしまったモノたちだった。

・Sideギャリー

「じゃあ、アタシはあの怪しげな紐を調べて見るわ。
メアリーはあの謎の窪みを調べて頂戴」

「え?いや、私が…」

「引っ張って何か落ちてきたりしたら大変でしょ?」

「だからそれは………、あ。分かったわよ。何かあったら呼ぶから」

「そうして頂戴」

こうしてアタシは紐を調べる事にしたのだった。

「五本あるけど、正解はこれなのよね」

アタシは迷わず右から二番目を引っ張る。

「あ、でも三角の奴を落とす人がいないじゃない…」

その時、メアリーがアタシの方に歩いてきた

「ねえ!やっぱり私もそっち調べる!」

聞きなれた、
何かが上から落ちて来る様な音が聞こえる。

「メアリー!危ないっ!!」

アタシはとっさにメアリーに飛びついて転がった!

ズンッ!

上から何故か落ちて来た三角のオブジェ。

「「…何で?」」

「何でこれが…」
「何であんた…」

急な展開に混乱するアタシとメアリー。
三角のオブジェを眺めて呆然としていた。

「…ありがと」

ポツリとメアリーがそう言った。
顔は明後日の方を向いていたけれど。

「いいわよそんなの」
「名前、なんて言ったっけ?」

「…アタシ?ギャリーって言ったじゃない」

「そうだったわね」

「ねえ、ギャリー?」

「何?」

「ギャリーは1人で美術館に来たの?」

「…そうよ?」

「ふーん」

「何で?」

「別に、どうせなら可愛い女の子と一緒に回りたかったなぁって思って」

「ふふ。それ、女の子が言うセリフじゃないわよ?」

「いいじゃない」

アタシも、メアリーの事もっと知ろうとした方が良いのかしらね…。
丁度良い機会だし。

緊急企画!
メアリーちゃんに何でも質問タイム!

みんながメアリーちゃんに聞きたい質問を自由安価で募集します!
ギャリーさんがみんなの代わりにメアリーちゃんに聞いてくれるので、
この機会にみなさんこぞって参加して下さい!
10つ程を予定していますが、少なければ5つ程になるかもしれません。
内容は何でもありです!
ただし!
質問の内容によって、メアリーちゃんのギャリーさんへの好感度は上下します。
パラメータは0~10!

0…狂気
1~3…ツンツン
4~6…ツンデレ
7~9…デレデレ
10…ひ・み・つ♪

です!

堕とすか、落とされる(物理)かはあなた次第!

プロットが完全に固まりました。
この外伝は本編よりも難易度が高いです。

ENDは全部で6種類
当然ながら、イヴがいないので全て新規エンドです。

ベストエンドが1つ
ノーマルエンドが1つ
バッドENDが4つです。

それでは続きます。

長い長い廊下を歩いて「下の」紫の間に着く。

「ねえギャリー、どこから調べるの?」

先を歩いていたメアリーがクルッと回ってこっちを見る。

「え?ええ…。どうしましょうか」

 安価下1

1、絵の具玉の部屋
2、資料室
3、ガスの部屋
4、『赤い目』達の部屋

「じゃあ、まずは奥の部屋から見て見ましょ?」

「分かったわ!」

奥の部屋、絵の具玉の台座がある部屋に駆けて行くメアリー。
その姿はとても可愛かった。

「話した甲斐があったのかしらね…」

「ギャリー!何かあるっ!」

「分かったわ、今行く!」

アタシはメアリーの後を追った。

部屋にある説明書きを読む。

『七つの色彩……絵の具玉を集めよ
さすれば部屋は色づきそなたの架け橋となろう』

「絵の具玉ってのを集めればいいのね!」

読んだ途端、脱兎のごとく駆けて行くメアリー

「あっ!待ってよメアリー!」

メアリーは入り口近くの部屋、『赤い目』達の部屋の前にいた。

「ギャリー!これ!」

良く見ると黄色の絵の具玉を手にしている。

「これ、どこで見つけたの?」

分かってはいるけど一応、アタシはメアリーに尋ねる。
すると、

「落ちてた!」

とメアリーは元気よく床を指差した。

「そう「…あっ!」

絵の具玉はスッとメアリーの手の上から消えてしまった。

「今の見た!?スゴイねっ!」
 
キャッキャとはしゃぐメアリーを見て、
何だか嬉しそうだし、まあいいかとアタシは思ってしまった。

「ねえ、次はどこを探すの!?」

キラキラとした目でアタシを見て来るメアリー。

「そうねぇ…」

 安価下1

1、『ジャグリング』の絵の前
2、資料室
3、ガスの部屋
4、『赤い目』達の部屋

……た……ょ…つ……

黄色の絵の具玉を手に入れてから歩いていると、声が聞こえてきた。

…れ……じ……い…だ

ああ、アレね。

壁に掛かっている絵、『ジャグリング』が喋っている。

「我 誕生 いつだ?」

「「6223年!」」

アタシとメアリーが同時に答える。

「せ い か い だ」

青い絵の具玉を落とす『ジャグリング』

「青の絵の具玉ゲットね!…あ、また消えた」

メアリーが青の絵の具玉を手にした途端、スッと消える絵の具玉。
玉を持っていた手を少し見てからメアリーがアタシの方を向いた。

「それにしてもギャリー、よく『ジャグリング』の生まれた年を知ってたね!」

“普通の”人なら絵が“描かれた”事を“生まれた”とは言わないのだけれど…、
突っ込むのは止めましょうか。

「ええ。アタシ、絵が好きだから知ってたのよ」

「へえ!ギャリーも絵が好きなんだ!パ…ゲルテナの絵も!?」

何か口走りかけた気がするけど、突っ込まない突っ込まない…。

「ゲルテナ、ね。凄い人よね…」

「そうよね!ギャリーもそう思うでしょ!?」

まあ嬉しそう…。


……

「でね!この絵は…

「あ、あのメアリー?」

「なに?」

「そろそろ次の玉を…

「あ。…そうね。早く次の玉を探さなきゃね!」

しばらくゲルテナに関する話でアタシを圧倒していたメアリーは、
満足したと言う笑顔で頷いた。

ゲルテナの事が、パパの事が、本当に好きなのね。
きっと、すっと、誰かに話したくて、聞いてもらいたかったんじゃないかしら。

「ん?何で目をウルウルさせてるのよ?」

メアリーがアタシの顔を覗き込む…って近いわよ!

「変なギャリーね。次はどこを探すの?」
「え、ええと…」

1、資料室
2、ガスの部屋
3、『赤い目』達の部屋

すみません。

1、資料室
2、ガスの部屋
3、『赤い目』達の部屋

安価下で

アノ部屋は、まだ閉まってるし…
あの部屋は、まだ行きたくないし…

アタシは『ジャグリング』から目を離し、
真後ろにある扉を見た。

ここは、ガスが充満している部屋だ。

「そうね、次はこの部屋にしましょ」

メアリーの前に立って扉を開ける。漏れ出て来るガス。

「うっ…」

アタシは、

安価下1
1、そのまま進む
2、一旦戻る

アタシは思わず後ずさった。
すると、

「ギャリー!」

メアリーが叫び、アタシを引っ張って扉の外に出す。

「ちょっと待ってて!私が行ってくる!」

言うや否や部屋の中に飛び込んでいくメアリー。
一分もしない内にメアリーは戻って来た。
何も手には持たずに。

「ガスの元栓があったから、閉じて来たわ」

メアリーはそう、少し沈んだ声でそう言った。

「ありが「お礼なんて、いいわ」

アタシの言葉を遮るメアリー。

メアリーは拳を握り、
思いつめたような、何かを覚悟したかのような、
そんな目をしていた。

玉探し編 強制終了
メアリー好感度 【8.4→9.2→8.8】

一言、「ついて来て」とだけ言って歩き出したメアリー。

アタシはその後ろをついて歩いていた。

着いたのは資料室。
本来なら、この部屋に入るには上の階での開錠が必要なのだけれど、
メアリーは普通に扉を開けていた。

資料室入って右側、始めは本棚で通れない筈の通路をメアリーが歩く。

メアリーは一冊の本を手に取り、アタシの方を向いた。

「もう、全部おしまいにするわ」

メアリーは、泣いていた。

「私ね、私もね、パパの絵の一つなの。パパが最後に描いたのが、私なの」

メアリーが手に持っていた『ゲルテナ作品集 下』の1ページをアタシに見せる。

それは紛れもない、『メアリー』のページだった。

「だからね、ほら」

メアリーは取り出した自分のバラ、
黄色くて、小さなバラの花びらを何枚かちぎった。

「こんな事しても、大丈夫なんだよ?」

嗚咽交じりにメアリーはアタシに語りかける。

「この美術館を、作ったのも、私なんだぁ。
…ごめんね。ごめんなさい!」

泣きじゃくりながら、只々「ごめんなさい」を繰り返すメアリー。

アタシは、そんなメアリーを抱きしめて撫でて上げる事しか出来なかった。

・Sideメアリー

始めはある女の子をこの世界に入れるつもりだった。

とっても可愛かったから。

一緒に居たかったから。

私は1人だった。

パパは、どこにいるのかも分からなかった。

外にいるのかもしれない。

私は外に出たかった。

この美術館の外に。

だから、「代わりの人」を探していた。

それが、ギャリーだった。

ギャリーは優しかった。

私は三角のオブジェをギャリーの上に落とそうとした。

でもそれは失敗した。

三角のオブジェは私の上に落ちてきた。

それをギャリーが助けてくれた。

そして、ギャリーは私の話をいっぱい聞いてくれた。

ギャリーは、私の代わりにガスの部屋に飛び込もうとしてくれた。

そんなギャリーがガスの部屋で後ずさった時、私は後悔した。

私にこんなにも優しくしてくれている、
ギャリーを傷つけているのは、

私なんだって。

だから、もう終わらせなきゃ。

ああ、ギャリーの身体、あったかいなぁ。

もっと、ずっとこうしてたいな。

でも、もう泣きやまなくっちゃ。


……

私は涙を拭って、ギャリーから離れる。

背中を向けて、ギャリーに言った。

「ギャリー、私についてきて」

私は資料室を出て左のドアを開け、階段を昇る。

絵の具玉、集める必要なかったなぁ。

楽しかったけど。

ガスは止めてあるから「あのドア」を遮る物は何もない。

ドアの前に立つ。

ドアの向こうは、私の世界やこの美術館の出口など、
色々な場所に繋がっている。

今繋がっているのはもちろん…。

・Sideギャリー

しばらくして泣き止んだメアリーは、またアタシを別の所へと案内し始めた。

メアリーが上の階へ行く階段のドアを普通に開ける。

何だ、絵の具玉集める必要なかったじゃない。

楽しかったけどさ。

メアリーがガスの元栓を閉じたので、
スケッチブックに続く扉の前も普通に通る事が出来た。
メアリーがドアを開ける。

「あれ?」

下り階段の前にいる筈の『無個性』がいなかった。

メアリーはズンズンと階段を降りて行く。

その後を追いながらアタシは違和感を感じていた。

階段が、黒くて無機質なのだ。

これはまるで、桃のカギを使った後に通る階段みたいじゃない。

階段を降りて着いた場所は果たして、
現実の美術館そっくりの場所だった。

『絵空事の世界』の前でメアリーは止まった。

「ギャリー、ここが、あなたが探していた出口よ」

「ちょっと待ってよ!何一人で勝手に進んでるのよ!」

アタシはメアリーに向かって叫んだ。

「一緒にこの美術館を回るんでしょ!?一人で先に進まないでよ!一緒に回って、一緒に出るって言ったじゃない!!それなのに、“また”…」

「だからギャリー…、って、え?“また”って…」

困った顔でアタシを見つめるメアリー。

「アナタが絵だって事くらい、知ってたわよ!!」

「え?」

アタシはメアリーに、全てを話した。

イヴと二人でこの世界に始めて来た時の事。

『メアリー』を、燃やしてしまった事。

3人で脱出したかったとイヴが言った事。

今はアタシもそう思っている事。

何度も何度も同じ時間をループしている事。

「だから、アタシはアナタを絶対に助けるわ。
アタシのバラの花言葉は、『奇跡』なのよ!?」

全部話してそう言うと、俯いたままでメアリーがアタシに尋ねた。

「ねえ、ギャリー?じゃあ私のバラの花言葉は知ってる?」

「黄色のバラの花言葉は…『友情』よね?」

アタシがそう答えると、メアリーは

「ぶっぶーハズレ。普通の大きさで黄色のバラだったら『友情』なんだけどね、
私のバラの花言葉は違うのよ。罰ゲームね。目を閉じて」

目を閉じるアタシ。メアリーが背中に回り込んでいるのを感じる。

耳元でメアリーの声がした。

「私のバラの花言葉はね、

アタシは思い出す。
メアリーが持っていた、
メアリーに良く似た
“小さくて”黄色いバラの事を。

「私のバラの花言葉はね、“笑って別れましょう”よ」

「えっ!?」

アタシが振り向こうとしたその瞬間!

「バイバイ、ギャリー」

と言う声が聞こえた。

ドンッ!

背中を突き飛ばされる。

『絵空事の世界』にアタシの身体がのめり込んだ。

元の世界に戻る刹那、
泣きじゃくるメアリーの顔が視界に写った。

・エピローグ

「と言う事があって、アタシはメアリーさんを絶対に助けようと決意した訳なのよ~」

「ふーん」

アタシはメアリーさんとスイーツを食べながら、
アタシが経験した「ゲルテナの世界」でのループ体験について語りあっていた。

「メアリーさんは覚えてる?」

「覚えてないわねぇ…」

しばらく思案顔をしてから答えるメアリーさん。

「…あ!良い事思いついたわ!」

そう言うと席を立ち、アタシの前に来るメアリーさん。

バフッ!

「ちょっ!ちょっと何するの!?」

メアリーさんがいきなりアタシに抱き着いてきた!?
店にいる周りの客も、何事かとこっちを見ている。

「えへへ、私を抱きしめて撫でまわしたんでしょう?
だから、こうすれば記憶も蘇るかなって思って」

「ちょっと、店の中で変な事言わないでよ!」

「せ・き・に・ん、取ってよね♪」

アタシの胸から顔を上げてこっちを見る、
彼女のいたずらっ子の様な微笑みは、紛れもなく、アタシの知るメアリーの物だった。

「メアリーさん!何してるの!?」

イヴが顔を赤くしながらアタシ達の席に来る。

「ギャリーさん貰っちゃった♪」

「ダメ!ギャリーは私のだもん!」

からかうメアリーさん。
むくれるイヴ。

本当に、こうなれて良かったわ。

「「何で笑ってるの?」よ!」

こっちを向く2人、

アタシは自然と溢れる笑みが止まらなかった。

ベストEND【未来へ繋がった架け橋】

とりあえず、無事に本編に繋がるENDで終わる事が出来て良かったです。
他のENDは本当にろくでもないENDばかりだったので…。

ザザ…
ザザ゙ザ…

辺りを見回す。

ドアがある。
五本の紐が壁際にぶら下がっている。
そして、三角形の窪みが床にある。

ここは…

アタシはいつの間にか、あのゲルテナの世界にいた。

「私は紐を調べるわ、あんたはあの窪みでも調べときなさい」

メアリーの刺々しい言葉がアタシに突き刺さる。

あれ?この場面って、逆だった筈じゃ…

ねえ、メアリー

浮かび上がる疑問を口にしようとするが、言葉が出ない。

“アタシの身体”は、アタシの意志に反して窪みを調べ始めた。

しかし、すぐにその手は止まる。

だって、調べても意味なんてない事位、知っていたから。

「ねえ!こっち来て」

メアリーが“アタシ”を呼ぶ。

メアリー方へ行く“アタシ”

メアリーの前まで行くと、

メアリーがニンマリと笑う。

「バイバイ、ギャリー」

頭上に衝撃が走る。

倒れ行く中で見たのは、
“アタシ”の血で染まった三角のオブジェと、
嬉しそうに“アタシ”のバラを引きちぎるメアリーの姿だった。

BADEND1【メアリーの狂気】

目を開ける。

アタシはガスの部屋の前にいた。

扉は開いている。

中に入る“アタシ”。

扉が閉まる。

ガスが“アタシ”を苦しめる。

バラが完全に散るギリギリの所で“アタシ”は扉を蹴破った。

外からメアリーが押さえつけていたのだ。

逃げるメアリー

“アタシ”はその後を追った。

階段を昇り、
何故かガスが止まっている床を越えて、
その先の扉を通るメアリー。

“アタシ”はメアリーが閉めたその扉を開けて、

メアリーの後を、

追おうとした。が、

“アタシ”が足を踏み入れたのは、

おもちゃ箱だった。

寄って来るゲルテナの作品達。

辺りを見回すが出口はなかった…。

BADEND2【ツンツンメアリーの計画】

アタシはまた目を覚ました。

今度は絵の具玉の部屋の前にいた。

しかし“アタシ”は通り過ぎる。

真っ直ぐガスの部屋へ向かって、自分で元栓を閉めて戻って来る。

メアリーは“アタシ”を資料室へ連れて行かずに、
そのまま『絵空事の世界』に連れていった。

アタシには確信があった。

ああ、この“アタシ”は、
幾度となく繰り返される“この日”の輪にまた戻るのだ。

と。

ノーマルEND【掴み取れなかった『奇跡』】

景色がだぶる…。

夢の中でアタシは幻覚を見ている?

『絵空事の世界』の前で、

“アタシ”がメアリーに何かを叫んでいる。

「アタシは、めありーと一緒にいたいのよっ!!」

あれ?
メアリーと一緒に“出たい”じゃなくて、
メアリーと一緒に“いたい”?

何かがおかしい。

“アタシは”自分の青いバラ、本物の生花を取り出す。

そして、“アタシ”はメアリーにそのバラを渡した。

ニッコリと笑うメアリー。

「ええ、私もよ?」

メアリーが“アタシ”にバラを返す。

生花だった筈のバラは、いつの間にか造花に変わっていた。

「だから、ずっと一緒にいましょ?永遠に」


……

「お兄ちゃん達もここで迷子になったの?」
「お姉ちゃん、怖いよぉ」

ゲルテナの世界に迷い込んだとある姉弟。

「ええ。アタシはギャリー。こっちはメアリーよ」

「よろしくね!」

“アタシ達は”それを出迎えていた。

BADEND3【『ギャリー』と『メアリー』】


……
『絵空事の世界』の前、

メアリーの前で“アタシ”は自分のバラを引きちぎり始めた。

「何してるのよっ!!」

駆け寄ろうとするメアリー。

「メアリー!お願いだから行って!アナタは外に出るのよ!」

逡巡した後メアリーは泣きながら、
「ごめんなさい、ありがとう」と言う言葉を最後に『絵空事の世界』に飛び込んだ。

“アタシ”は激痛に耐えながらも最後の一枚を引きちぎる。

その瞬間、“アタシ”はループをした。

『魂を啜る群集』のチカラが働く中でアタシには一抹の不安がよぎっていた。

“アタシ”がループをしたら、
メアリーとの交換は条件が崩れてしまうのではないか?

BADENDEND4【払えなかった対価】

ギャリー「嫌な夢だったわ」
イブ「結局夢落ち?」
メアリー「選択肢を間違えてたら現実になってたのよ」
ゲルテナ「あーいやだ、いやだ」

…お前が言うかって話ですよね。
本当に一発でベストエンドに行けて良かったです。

メアリーの好感度によってENDは分岐しました。
以下解説です。

・BADEND1
あの紫の間での「紐か窪みか」の選択肢で、
「窪み」を選んだ時にのみ分岐。

※メアリー好感度の初期値は【2】でツンツン。
選択肢で紐を選ぶとその後の流れで【1.9】上昇。
窪みを選ぶとメアリーは当初の計画を実行するため【2】減少。

計画を通りギャリーを「代わり」にして、無事(?)脱出成功。

・BADEND2
メアリーの好感度が【1~3】のツンツン状態でガスの部屋に行くと分岐。
メアリーはギャリーのバラが散る前に脱出をしようとした為、
「等価交換の法則」に抵触し脱出失敗。一人ぼっちになってしまう。

・ノーマルエンド
メアリーの好感度が【4~9】のツンデレもしくはデレデレの状態で、
絵具玉の部屋に行かずにガスの部屋へ行くと分岐。
ギャリーは生きて脱出できたが、本編の世界には繋がらないので、
結局メアリーは救われず。

・BADEND3
好感度がMAXの10の時のみに現れる、

アタシは自分のバラを
1、メアリーに渡す
2、メアリーに渡さない
安価下1

の選択肢で1を選ぶと分岐。
ギャリーは盲目的に自分を好いてくれるメアリーを前に陥落。
「ゲルテナの世界」の一部と化し、『ギャリー』となる。

・BADEND4
好感度がMAXの10の時のみに現れる、

アタシは自分のバラを
1、メアリーに渡す
2、メアリーに渡さない
安価下1

の選択肢で2を選ぶと分岐。
ギャリーは盲目的に自分を好いてくれるメアリーの為、
自分の命を投げ出す。

しかし、そんなギャリーの行動もむなしく、
ギャリーが死ぬと強制的にループの力が発動してしまう。

ギャリーの願いも、メアリーの望みも叶わない。


ね?ろくなENDがなかったでしょ?

原作のENDについては割愛しますが、
新規ENDについては、

本編で【小さな奇跡】 【イヴったらうっかりさん】 【とある親子の肖像】を、
本編のおまけで 【三人の絆】を

描きました。

この外伝は新規ENDの内のトゥルーENDである【三人の絆】に繋がります。

本編で触れる事のなかった

【小さな約束】

は、原作のトゥルーエンドから続くss本編の冒頭の選択肢、

1、ハンカチの事
2、マカロンの事
3、メアリーの事

で2を選ぶと分岐するエンドです。

時系列的には「本編→ss外伝→ss本編→ss外伝エピローグ」なのですが、

【小さな約束】だと、
イヴとメアリーが二人でマカロンを食べに行く約束をして美術館を出てしまうので、
そもそもループが発生しません。

なので、書かないと言うよりは、
これ単体では「書けない」と言うのが実情です…。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年11月17日 (月) 09:44:48   ID: 3U5arI4V

これ凄い考えられてる
ただ原作を知らない人にはなんだかわからんのが欠点と言えば欠点

2 :  SS好きの774さん   2015年03月02日 (月) 22:11:42   ID: zk8WJlO6

凄く良かったです。面白かった…

3 :  SS好きの774さん   2015年03月20日 (金) 21:44:10   ID: Xf6Ujwk5

すごすぎないですか?よく考えられてて…。小説的な考えでとてもよかったです!!本を読んでいるような気分でした!

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