もこっち「アイドル!?」 (257)

わたモテ×アイマスSSです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1402893031

智子「あぢー……」

智子「……」

智子(休日だから気分転換に街に出てみたけど……)

智子(ゆうちゃんは彼氏とデートだから来れねーし……)

智子(見渡せば、あちこちカップルだらけ……)

智子「……」

智子(ぜんっぜん羨ましくなんかねーし!!)

智子(どうせアレだろ? お互い妥協の産物だろ!?)

智子(そんで「アッハーン」とか「ウッフーン」してるうちに避妊に失敗してなあなあで結
   婚だろ!? 目に見えてるんだよ、バーカ!!!!)

智子(せいぜい将来を棒に振って苦しむがいいさ、ビッチども!!)

智子「……」

智子(虚しい……)

智子「ブッ○オフにでも寄って帰ろ……」

???「そこの君!」

智子「え?」(わ、私の事?)

高木「ティンときた! 君、アイドルになってみないかね?」

智子「へ……?」

~765事務所~

P「……で、スカウトしてきたんですか、社長」

高木「うむ! ただならぬオーラを発していたものでね!」

P「……普通の女子高生にしか見えませんが……」(それも、すごく気弱そうな)

高木「私の目に狂いはないよ、なんとかプロデュースしてみてくれないか?
   彼女は磨けば光ると思うんだ!」

P「はあ……」


智子(アイドルって響きにつられてついてきちゃったけど、こ、ここAV事務所じゃないよ
   ね!? いきなり輪姦されちゃったりしないよね!?)オドオド

小鳥「麦茶どうぞー、リラックスしてね?」

智子「は、はひっ! しゅ、しゅみません……」

P「えーと、黒木智子さん……だったね」

智子「は、はひ……」(だ、誰、この人? 男優さん?)

P「俺はここでアイドルのプロデューサーをやってるPだ。
  いきなり社長がスカウトなんかして悪かったね、でもあの人、人を見る目は確かなんだ」

智子「は、はあ……」

P「とりあえず、君のアピールポイントを聞かせてもらってもいいかな?」

智子「あ、あぴ?」

P「得意な事とか、好きな物とか……何でもいいから聞かせてくれないかな?」

智子(え、これAVのインタビューシーン? もうどっかでカメラ回ってんの!?)

P「? どうしたのかな? もっとリラックスしていいよ」

智子「は、はひっ!」(ああ……やっぱりAVなんだ……お母さん、ゴメンなさい……智子
   は今日大人の階段を上ります……)

P「? ……まあいいや、得意な事とかある?」

智子「あのしょの……あ、ありましぇん……」(処女だもん! エロい得意技なんてねーよ!)

P「ふむ……じゃあ好きな物は何かあるかな?」

智子「え、えーと……あのしょの……」(乙女ゲーが好きなAV女優なんてみんな嫌だよね
   ……)

P「?」

智子「あにょ……げ、ゲームとか……しゅきでしゅ……」

P「ゲームかー、亜美真美と気が合いそうだね」

智子「あ、あみまみ?」

P「ウチに所属してる中学生アイドルなんだけど……」

智子「ちゅ、中学生!? しょ、しょれってマズくないですか……?」

P「え? 別に中学生アイドルとか普通だと思うけど……どうしたの?」

智子「あ、あいどりゅ!?」

P「?」

智子「こ、ここって本当にあ、アイドル事務所だったんですか?」

P「そうだけど……何だと思ってたの?」

智子(……って事は、ホントにワタシがアイドルにスカウトされた!?
   ……ありえねーーっ!!)

春香「ただいま戻りましたー! あれ? その子だれですか?」

P「おう、お疲れさん、社長がスカウトしてきたんだよ」

智子(あ……あの人CMで見た事ある……そ、そうか……ホントにアイドル事務所なんだ
   ……)

春香「へーっ! じゃあ仲間が増えるかもしれないんですね!? 楽しみです!
   あ、これ途中で買ってきたクッキーなんで、お茶うけにどうぞ!」

P「お、サンキュ」

智子「ど、どもありぎゃとごじゃいましゅ……」

智子(さりげない女子力アピールとか! 誘ってんのかこの女!)

P「ちょっと席を外すね?」

智子「ひゃ、ひゃい……」


高木「どうかね、彼女は?」

P「正直、ダメだと思います……。
  雪歩以上にオドオドしてますし、あれじゃ芸能界の荒波を乗り越えられませんよ……。
  ルックスも、そこらへんにいる普通の女子高生って感じですし……。
  難しいですね」

小鳥「話は聞かせてもらいました!」ババーン

高木「音無くん?」

P「小鳥さん!? 盗み聞きですか?」

小鳥「そんな事はどーでもいいんです! 何故かあの子には親しみを感じられるので、私が
   変身させてみせます!」

P「は、はあ……?」

小鳥「ちょっと給湯室使いますよ!」

小鳥「智子ちゃん! こっちいらっしゃい!」

智子「え? え?」


~給湯室~

智子(な、何! ひょっとしてリンチ? リンチされるの!?)

小鳥「ちょっとじっとしててね~……まずは目のクマをファンデで消して……」ヌリヌリ

智子(な、なんだか知らないけど、大人しくしておこう……それにしても……)

小鳥「目が大きいからマスカラは控えめでいいわね……」ファサファサ

智子(この人、エロいふとももしてんなー……さわさわしてー……)

小鳥「後は髪をもうちょっと梳かして……服を整えれば……うん!いい感じ!」

智子(ああ……大人の香水の匂い……たまりませんなー……)

小鳥「ジャーン! どうですか!?」

春香「わぁ! カワイイじゃないですか!」

P「お、おぉ……」(いける……かも?)

智子「え? え?」(この人達何言ってんの?)

高木「どうかね?」

P「……そうですね……いろいろ模索しながらになると思いますが……やってみます!」

智子(何だか私の知らないところで話がどんどん進んでるような気がする……)

高木「では、契約を詰めて訓練生候補にしよう、親御さんの説得は君に任せるよ」

P「はい、お任せください」

智子「あ……」(お母さん、うんって言ってくれるかな……?)


※画像は拾い物です

http://i.imgur.com/YpHOxwa.jpg

今日はここまでです
少しずつ更新していきたいと思います

時間が出来てちょっと書き溜め出来たので今から少し投下します

~黒木家・玄関~

智子「あの、そにょ……こ、ここです……」

P「うん、智子ちゃんは普段通りでいいから、御両親の説得は俺に任せてくれるかな?」

智子「は、はひ……」

P「それじゃ、入ろうか?」

智子「はひ……お、お母さーん、た、ただいまー……」ガチャ

母「お帰り、智子―、今日の晩ご飯はあんたの好きなホイコーロー……あら?その方、どな
  た?」

智子「え、えと……」

P「初めまして、智子ちゃんのお母様ですね? 私、こういう者です」名刺スッ

母「えーと……765プロダクション プロデューサー Pさん……?」

P「今日は、お願いがあってお伺いしました」

母「は、はあ……?

~リビング~

母「ぜっったい反対です!!」

智子「ヒッ……!」

母「智子! あんた高校に入ってから成績も落ちたし、家の手伝いもしない!
  それで自分の部屋に籠ってパソコンばっかり!
  そんな中途半端な生き方で、アイドルなんて出来る訳ないでしょっ!!」

智子「え……う……」

P「少々よろしいでしょうか、お母様?」

母「……なんでしょうか?」

P「私どものプロダクションには、修学途上のアイドルが多数在籍しております。
  それは、アイドルという存在の性質上、いたしかたないことです」

母「……」

P「765プロでは、アイドルの学業をおろそかにさせません。
  もし、アイドル活動が原因で成績が急激に落ちた場合、活動を一時休止する事も普段か
  ら検討しております」

母「……」

P「智子さんは、言わば磨かれていない原石です」

母「……原石?」

P「私どもの社長は、人を見る目という点において、業界で一目置かれております。
  その社長が、この子は磨けば光る原石だと感じてスカウトしたのです」

母「……」

P「智子さんの人生において、アイドルをやる、という経験は必ずプラスになると思います。
  もちろん、大切な娘さんをお預かりする以上、我々スタッフも全力でサポート致します」

母「……智子の……」

智子「え……?」ビクビク

母「……智子の気持ちはどうなの?
  あんた、そんなにアイドルやりたいの?」

智子「わ……私は……」

智子(もしアイドルをやれば……学校に友達もできてチヤホヤされるかもしれない……)


モブA「この席誰のだっけ?」
モブB「えーっと、黒木さんじゃない?」
モブA「そういえば黒木さんって昼休みはいつもいないよね、どこにいるか知ってる?」
モブB「さあ?」

智子(今日も便所飯かぁ……)


智子(それに、彼氏とかもできるかも……)


ゆうちゃん『ゴメン!もこっち、せっかく誘ってくれて嬉しいけど、明日は彼氏と先約が
      あって……』

智子「あ、う、ううん、いいよ、ゆうちゃん、気にしないで……」


智子(そ、それに、リア充に、憧れのリア充にもなれるかも……)


モブC「サッカー部の1年の智貴くんってカッコいいよね!」
モブD「だよねー、そういえば、この学校にお姉さんがいるらしいけど、誰だか知らない?」
モブC「さあ? 知らない」

智子「……」

智子「……」

母「智子? どうなの?」

智子「……あ……」

母「あ?」

智子「……アイドルに……なりだいでず……」グスグス

P「……」

智子「アイドル……やらぜで……ぐだざあい……」グスグス

母「……私は、この人と少しお話があるから、ちょっと自分の部屋に行ってなさい……」

智子「……うん……」グスグス

~智子の部屋~

智子(ティッシュ、ティッシュ……)チーン

智子(私、なんであんなに泣いたんだろ……)

智子(ゆうちゃんや、弟や、クラスメイトのこと考えてたら、なんだか悲しくなって……)

智子(……)

智子(あー! やめやめ! ドツボにはまりそう……)

智子(それより、母さん達の話、長くなりそうだから、PCで765プロのこと調べてみよ
   う……)

智子「へー……」カチカチ

智子(事務所は小規模だけど、アイドルの質は粒揃い、CD受難の時代において、ヒット曲
   も多数存在……近年、最も注目される事務所の一つ……)

智子(芸能人に興味無いから、そんなにスゴイ事務所だなんて知らなかった……)

智子(えっと、在籍アイドルは……)

母「智子―!」

智子「ひゃ、ひゃい!」

母「話があるから下に降りてらっしゃい!」

智子「う、うん、今行くー!」

~リビング~

P「お母様ともお話させて頂いた結果、智子ちゃん、君は明日の放課後からウチの事務所に
  来て、訓練生としてレッスンを受けてもらうことになった」

智子「え……ほ、ホントに……?」

母「ただし! 成績が落ちたりしたら即刻辞めてもらうからね! わかった?」

智子「お、おかあしゃん……うん、わかった……」グス

P「君は未成年なので、詳しい契約はお母様と詰める。
  明日からよろしくな」

智子「ひゃ、ひゃい! あ、ありぎゃとうごじゃいました……!」

今日はここまでです
不定期になるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いします

今から投下します

~智貴の部屋~

智子「おーい、愚弟―」ガラッ

智貴「ノックしないで開けんな……何の用だよ」

智子「私、アイドル」

智貴「は?」

智子「姉ちゃん、アイドルになったから」

智貴(いきなり何言ってんだ、コイツ……)

智子「いやー、自慢していいぞ? 姉ちゃんがアイドルになったって、学校で」

智貴(とうとう妄想と現実の区別がつかなくなったか……)

智子「……その目は疑ってんな? 母さんに聞いてみ? ホントだから」

智貴「え……? マジ話……?」

智子「マジだよ」

智貴(ありえねー……)

智貴「……どこの事務所だよ、そんな酔狂なトコ……」

智子「えっと、765プロって言ってた」

智貴「!……ウソだろ?」

智子「ホントだもん、ちゃんと名刺も貰ったし……ほら」

智貴「……」

智子「……? どした?」

智貴「……サイン」

智子「え? サイン? 私の!?」

智貴「ちげーよ! ……萩原雪歩のサイン貰ってきてくれよ……」

智子(萩原雪歩って誰だ……? まあいいや)

智子「お願いします、だろ?」

智貴「クッ……! お、お願いします、サイン貰ってきてください……」

智子「ウヒヒ……まあ、考えとく」

~智子の部屋~

智子(アイドルってスゲー! バカ弟が素直に頭下げるなんて……!)ウヒヒ

智子「ゆ、ゆうちゃんにも教えてあげようかな……」

智子「……」

智子「ま、まだ早いかな? まだ訓練生だし……」

智子「デビュー決まったら教えよ、うん、そうしよ」

智子「……」

智子「夢みてーだ……明日からアイドルかー……」

智子「VIPにスレ立てしようかな? あ、でもまだ業界の事そんなに詳しくないし……」

智子「……」

智子「……勉強しよ」

~翌日、765事務所~

智子「こ、こんにちは~……」オドオド

P「おう、来たか、今日からよろしくな」

美希「ハニー、この人が新しい訓練生さん?」

P「そうだ、黒木智子ちゃんだ」

智子(は、ハニー!?)

やよい「よろしくです~」

智子「よ、よろしきゅおねがいしましゅ……」

智子(この子はいい子っぽいオーラが出てるな……向こうの金髪はビッチっぽい……嫌い
   なタイプだ……)

真美「黒木さんかーよろちくねー!」

亜美「うむ! くるしゅーない!」

智子「ふ、ふわっ!?」

智子(な、なんだ? いきなり出てきて……同じ顔……双子?)

亜美「でも、いちいち黒木さんっていうの、よそよそしくない?」

真美「そだねー、ねえ、友達にはなんて呼ばれてるの?」

智子「え、えと……そにょ……もこっち……」

亜美「もこっちかー、じゃあこれからはそう呼ぶね?」

真美「よろしくねー、もこっち」

美希「アハ☆ じゃあミキももこっちって呼ぶの!」

智子「ひゃ、ひゃい……」(馴れ馴れしいんだよ! 金髪ビッチ!)

律子「はいはい、そこまで。
   アンタ達はこれから仕事でしょ? さっさと行くわよ」

四人「はーい!」

智子(ホッ……助かった……)

P「智子ちゃん、今、俺と社長で今後の事を話し合ってるから、休憩室でちょっとだけ待っ
  ててもらえるかな?」

智子「ひゃ、ひゃい……」

P「休憩室には雪歩がいるから、お茶でも飲んで待ってて」

智子「ひゃい……」(ん? 雪歩? どっかで聞いたような……)

~休憩室~

智子「お、お邪魔しましゅ……」

雪歩「あ、プロデューサーが言ってた候補生の人ですね?
   私、萩原雪歩といいます、これからよろしくお願いします」

智子「よ、よろしくおねぎゃっ! おねがいしましゅ……」

雪歩(噛んだ……緊張してるのかな?)

雪歩「今、お茶淹れてくるからゆっくりしててね?」

智子「は、はい……」(萩原雪歩さん……愚弟が言ってた人か……)

雪歩「はい、粗茶ですが」コトッ

智子「あ、ありぎゃとごじゃいましゅ……」ズズズ……(あ、美味しい……)

雪歩「聞いた話だと、智子ちゃん高二ですよね?
   春香ちゃんや千早ちゃんや響ちゃんと同学年ですね」

智子「しょ、しょうなんですか?」

雪歩「私は高三ですから一個上ですけど、この事務所はそういうのあまり気にしないから、
   自分の家だと思ってくつろいでいいんですよ?」

智子「ひゃ、ひゃい……」(優しい人だ……)

雪歩(う~ん……なんだかオドオドしてて守ってあげたくなるタイプというか……ほっと
   けない雰囲気があるなぁ……)

智子(こういう人が男にモテるんだろうなぁ……守ってあげたくなるタイプというか……
   何だか押し倒してぇ……)

智子「あ、しょ、しょうだ、しゃ、サイン……」

雪歩「?」

智子「えと……弟が萩原さんの……その、サイン欲しがってて……それで、もしよろしけれ
   ば……」

雪歩「あ、サインですね~、いいですよ、宛名はどう書けばいいですか?」

智子「え、えと……智貴君へ……ってお願いしましゅ……」

雪歩「ともき君ですね? どういう漢字ですか?」

智子「えっと……こう……」サラサラ

P「お、仲良くやってるみたいだな、雪歩、俺にもお茶くれ」

雪歩「は~い、私、席を外しましょうか?」

P「ん~……いや、一緒にいてくれ、これも一つのコミュニケーションだ」

雪歩「分かりました~」

P「それでね、智子ちゃん」

智子「ひゃ、ひゃい!?」

雪歩「智子ちゃん、リラックスだよ~」

P「えーっと……君はまだ候補生だし、今のウチの財政だと、新人のために新曲を用意する
  って事は出来ないんだ」

智子「は、はあ……」

P「だから君には、レッスンの時も、デビューする時も、ウチのアイドルのカバー曲を使っ
  てもらう」

雪歩「それで、曲はどれを使うんですか?」

P「まだ歌声を直接聴いたわけではないから方針も変わるかもしれないけど、社長とも協議
  した結果、雰囲気的にバラードがいいんじゃないかという話になった」

智子「ば、バラード?」

P「ああ……君のレッスン、およびデビューには、あずささんの「隣に…」を使う事にした」

雪歩「ええっ! 新人がいきなり「隣に…」ですか? む、難しくないですか?」

智子「? ?」(隣に…ってどういう曲だろ……? そ、そんなに難しいのかな?)

P「智子ちゃんは「隣に…」を聴いたことがあるかな?」

智子「え!? い、いやしょの……ないです……ごめんなしゃい……」

雪歩「すごくいい曲だよ、しっとりと歌い上げると、とても様になるの」

智子「し、しっとりと……???」

P「ああ、それだけど、あんまりうまく歌おうとか思わなくていい」

智子「え?」

P「デビューした暁には、ライブでその曲を歌ってもらうんだが……」

智子「は、はい……」

P「新人アイドルのライブに来る客っていうのは、なんていうか、歌の上手さを聴きに来る
  わけじゃないんだ」

智子「え?」

P「歌よりも、そのアイドルの将来性……そういったものを見に来るんだな、これが」

智子「しょ、しょうなんですか?」

P「だから、ライブではレッスンで頑張った自分を、そのまま出せばいいんだ」

雪歩「私達も、デビューの時にはたくさん失敗しちゃいましたもんね」

P「というわけで、明日からレッスンを始めるぞ、他のメンバーとは、おいおい会っていく
  ことになるだろ」

雪歩「智子ちゃん、頑張ろうね?」

智子「ひゃ、ひゃい!」

~智貴の部屋~

智子「おーい、愚弟―」ガラッ

智貴「……何だよ」

智子「ほい、これ、サイン」ポイッ

智貴「わ! お、おい! 投げんな!」

智子「ちゃんと「智貴君へ」って書いてもらったから」

智貴「お、おう……」

智子「んじゃーな」ガラッ

智貴「……」

智貴(白雪姫のサイン……本物だ……)

智貴(……ま、まあ少しは応援してやってもいいかな? アイドル活動……)

~智子の部屋~

智子(明日からレッスンかぁ……厳しいのかな?)

智子(……)

智子(まあいいや、ようつべで「隣に…」でも聴いてみるかな、どんな曲なんだろ?)


~10分後~

智子「いやいやいやいや、無理無理無理無理!!」

智子「こんな上手く歌えねーよ!」

智子「しかも失恋ソングとか! 恋愛経験もねーのに!」

智子「あ~~~~~……どーしよどーしよ……」

智子「……」

智子「プロデューサーも言ってたもんな……上手く歌えなくていいって……」

智子「……レッスンがんばろ……」

今日はここまでです
コンゴトモヨロシク…

今から投下します

~翌日、レッスン場、ボイストレーニング~

トレーナー「はい、じゃあこの音」ポーン

智子「あ~あ~あ~あ~あ~♪」

トレーナー「もっと声量あげて、次はこの音」ポーン

智子「あ、あ~あ~あ~あ~あ~♪」


P「千早、ちょっとこっちに……」

千早「はい」

P「千早、お前の目から見て、どうだ? 智子ちゃんは……」

千早「そうですね……声に少し癖がありますけど、ちゃんと音程は捉えられています。
   あとは声量が足りないので、肺活量を鍛えるといいと思います」

P「なるほど……」


トレーナー「それじゃ、もう一回ワンフレーズ歌ってみましょうか、はい、この音」ポーン

智子「そ、そーらーにだーかれー、くーもーがなーがーれーてくー♪」


P(確かに癖のある歌声だな……上手くはないが、なんつーか、聞いてて癖になりそうな歌
  声っつーか……)

千早「それに……」

P「? まだなんかあるのか?」

千早「……」ジーッ


智子「?」(な、なんか舐め回すように見られてる? 千早さんってレズ!?)ツルンペターン

千早「私、黒木さんとはいい友達になれそうです!」パアアッ

P「? ……お、おう、仲がいいのはいいことだ……」


智子(なんか、胸の辺りを見られてたような……いちおう、警戒しとこ……)ペッタンコ

トレーナー「じゃあ、次はこの音、集中して」ポーン

智子「ひゃい! あ、あ~あ~あ~あ~あ~♪」


P(癖のある声だが、意外と澄んだ声質だ……ボイスレッスンはこのままで段階を上げてい
  けばいいな……)

~ダンストレーニング~

トレーナー「1、2、はい、そこでターン!」

智子「ゼー! ハー! ハー!」クルッ(は、吐きそう……)

トレーナー「3、4、大きく腿上げて!」

智子「ゼー! ハー! あわわっ!」ドタッ


P「真、響、こっち来てくれ」

真、響「「はーい!」」

P「おまえらから見て、どんな感じだ?」

真「そうですねー……運動はあまり得意じゃないみたいです、何回も転んでましたし」

響「でも、意外とスタミナはありそうだぞ! 休憩無しでここまでついてこれたし」

真「ああ、本人も長距離走は得意だって言ってました」

P「ふーむ……」

P(スタミナがあるってのは大きいな、運動が苦手ってのはしょうがないが、反復練習して
  れば何とかなるだろ……ダンスレッスンはこのままの調子で続けていけばいいな……)

~ビジュアルトレーニング~

トレーナー「はい、じゃあ次は目線こっち、笑顔で!」

智子「ひゃ、ひゃい」ニタアッ

トレーナー「……次はこっち、クールな感じで!」

智子「く、クール? こ、こうかな……」ギンッ

トレーナー「……もう一度こっち、笑顔で!」

智子(笑顔、笑顔……)ニタアッ


P「……貴音、あずささん、ちょっとこっちへ……」

貴音、あずさ「「はい」」

P「見た感じ、どう?」

あずさ「う~ん……智子ちゃん、少~し緊張してるのかもしれませんね~。
    リラックスすればいい結果が出せると思いますよ~」

貴音「ひょっとしたら笑顔の出し方が分からないのかもしれませんね……それと……」

P「それと?」

貴音「レッスン中、何やら邪な視線を感じたのですが……気のせいかもしれませんが」


智子(たまりまへんな~……二人とも、ボンッ、キュッ、ボン!で……これがアイドルの乳
   力か……こりゃほんま勃起もんやでぇ……)


P(……ビジュアルレッスンは要指導……と。
  メンタル面から大胆に変えていかなきゃいかんかもな……)

~765事務所~

春香「お疲れ~、初めてのレッスン、どうだった?」

智子「ゼー、ハー、ちゅ、ちゅかれましたぁ……」

春香「初めてだと誰でもそんな感じだよ、力の配分を覚えると、楽になるよ?」

智子「しょ、しょうなんでしゅか?」ゼーハー

春香「同い年だから、敬語なんて使わなくてもいいんだよ?」

智子「で、でもアイドルのしぇんぱいだし……」

春香「そういうの、気にしなくていいのに……あ、プロデューサーさん、お疲れ様です」

P「おう、春香も仕事ご苦労さん、あ、それと、智子ちゃん、少し話があるから」

智子「ひゃ、ひゃい!?」(な、何!? もしかして、ダメダメだからクビ?)

P「これは君のお母様ともお話して決めた事なんだけどね?」

智子「は、はい……」

P「デビューするまではネット禁止だから」

智子「!!?? どどどどどうしてですか!?」

P「……君はまだ訓練生、つまりアイドルとして微妙な時期なんだ、これは分かるね?」

智子「はい……」

P「こういう時期のアイドルは、ネットで炎上しやすいんだよ、ブログで不謹慎な発言をし
  てみたり、あげくは2ちゃんでスレ立てしてみたり……」

智子(ギクッ)

P「前も、2ちゃんでスレ立てして大炎上したアイドルがいたな……今でもアイドルやって
  るみたいだけど」

智子「な、何てスレタイですか……?」

P「えっと……確か……『アイドルになったけど、印税いくらもらえんの? 遊んで暮らせ
  る?』……だったかな?」

智子(あ……そのスレ見たことある……)

P「もちろん、デビューした暁には、ブログやツイッターでアピールしていくんだけど、今
  は微妙な時期だからネットは禁止」

智子「えと……あ、あの……」

P「守れるね?」

智子「ひゃ、ひゃい……」

P「ちゃんと真面目にレッスン受けてれば、意外とすぐ候補生から本物のアイドルになれる
  から。
  今日はレッスンご苦労様、気を付けて帰ってね」

智子「お、おちゅかれしゃまでした……」

~智子の部屋~

智子(身体がアチコチいてぇ……筋肉痛だ……)

智子(……)

智子(せっかくアイドルになったんだから、VIPにスレ立てしようと思ったのに……)

智子(ネット禁止かぁ……)

智子(……ちょ、ちょっとだけなら……)

母「智子ー! ご飯よー!」

智子「ひゃ、ひゃいっ!」ビクッ

智子(……)

智子「やめとこ……」

~翌日、学校~

智子(うおぉ……まだ身体いてぇ……)

モブ「ワイワイ、ガヤガヤ」

智子(チッ、今日もうっせーな……朝からお盛んなことで……)

モブ男A「やっぱりさー、春香ちゃん大正義だって!」

智子(ん?)ピクッ

モブ女A「えー? 真王子様のほうがいいて、絶対!
     ああ、私も『好きだーーーーーーっ!!』って言ってほしい……」

智子(え? ひょっとして765プロの話?)

モブ男B「女は好きだよねー、菊地真、おれはやっぱりあずささんかな!」

モブ女B「やだー、エローいww」

智子(やっぱり765プロの話だ!)

智子「あのっ! そにょっ!」

モブども「?」

智子「あ……う……え……や、やっぱりにゃんでもない! ご、ゴメン!」ダッ

モブ女A「……? 黒木さん、どうしたんだろ、急に」

モブ男A「アイドルの話に混ざりたかったんじゃない? 黒木さん、アイドル好きなのか、
     意外だな」

~女子トイレ~

智子「ゼー、ハー、ゼー、ハー……」

智子(あ、あっぶねー……思わず私も765プロのアイドルだって言いそうになった……)

智子(まだゆうちゃんにも秘密にしてるのに……)

智子(……)

智子(下手に目立ったら、い、イジメられるかも……)

智子(……当分秘密にしとこ……)

今日はここまでです
コンゴトモヨロシク…

今から更新始めます

~1週間後、765事務所~

智子「た、ただいまレッスン終わりました~」

P「おう、お疲れさん、どう? だいぶ慣れた?」

智子「ひゃ、ひゃい、皆さんによくしてもらってましゅ、おかげでなんとか……」

P「ふむ……」

伊織「ただいまー、あー、仕事疲れたー、ねえ、ジュース買ってきてよ」ガチャ

智子「う、うん! 今買ってくるね!」ダッ

伊織「えっ? ちょ、ちょっと智子! アンタに言ったんじゃ……」

P「……行っちゃったな」

智子「お、お待たせ! 100%オレンジでよかったよね?」

智子(ウヘヘ……天下の水瀬財閥とコネ作っとけば、将来も安泰やでぇ……)

伊織「……私、卑屈な奴って嫌いなんだけど」

智子「ふえっ!? ちちち、違うよ! 伊織ちゃんは私の従姉妹と声が似てるから世話した
   くなるだけで……た、他意は無いよ?」ダラダラ

伊織「ふーん……ねえ、私、心配になってきたんだけど、智子、アンタ、学校でイジメられ
   たり、パシリにされたりしてないわよね?」

智子「えっ……?」

P「……」←聞き耳を立てている

伊織「どうなの?」

智子「い、イジメられたりはしてない……どっちかってゆーと……」

伊織「?」

智子「み、みんな、あんまり私に関心が無いっていうか……いてもいなくても変わらないっ
   てゆーか……」

P「……」

伊織「ハブられてんの?」

智子「せ、積極的にハブられてはいない……と思う……空気みたいな存在ってゆーか……」

伊織「……ふーん……ま、デビューすれば少しは変わるでしょ」

智子「そ、そだね……」(だといいなぁ……)

~さらに1週間後、レッスン場~

トレーナー「それじゃ、通しで歌ってみましょうか? はい、この音」ポーン

智子「そ、空に抱かれ~ 雲が流れてく~♪」


千早「レッスンの成果が少しずつ出てきましたね」

P「そうだな……最初の頃に比べたら、柔らかく歌えるようになってる」

P(歌に関してはギリギリ及第点……新人だし、一つ勝負をしてみようかな?)

~765事務所~

智子「レッスン終わりました~」

P「うん、ご苦労さん、智子ちゃん、ちょっとこっちに」

智子「ひゃい?」

P「1週間後に、ウチと、961プロで合同ライブをやるんだけどね?」

智子「は、はあ……」

P「そこで歌ってみない?」

智子「ふわっ!!??」

智子「う、う、歌うって、ステージででしゅか!?」

P「うん、「隣に…」を、一曲だけ」

智子「あうあう……しょ、しょれって、で、デビューってことでしゅきゃ?」

P「まあ、そうなるけど、難しく考える必要はないよ、前座だから」

智子「ぜ、前座?」

P「そう、961プロからはジュピター、ウチからは、美希、貴音、響の3人のユニットが
  出るんだけど、その前座」

智子(美希の前座……)

P「いずれCDを発売したいんだけど、どのくらいの枚数刷ればいいのかとか、お客さんの
  反応とか、いろいろ見て決めたいから、まあ、試しに歌ってみてってこと」

智子「……」

P「……どう? やってみる?」

智子(美希のヤロー、人が必死にレッスンしてる脇で『もう疲れたの~』とか言ってちょく
   ちょく休みやがるし……)

智子(事務所だと、所構わず寝やがるし……おまけに『ハニー♪』とか言ってプロデューサ
   ーにベタベタしやがるし……いいかげん、通報してやろうか!?)

智子(アイツの前座ってのが気に入らねーけど……見てやがれ! お前のファンこっちで
   食ってやる!)

智子「や、やりましゅ! やらせてくだしゃい!」

P「うん、じゃあ、その方向で決めるから」

智子「……あ、あにょー……」

P「うん、何?」

智子「と、友達呼びたいんですけど……ち、チケット融通してもらえましゅか?」

P「いいよ、何枚必要?」

智子「い、一枚……い、いえ、二枚お願いしましゅ……」

~智子の部屋~

智子「も、もしもし、ゆうちゃん?」

ゆうちゃん『もこっち、久しぶり~! 最近連絡くれなかったから、どうしたのかと思って
      たよ~!』

智子「あ、そ、そのことなんだけどね、実は……」

~かくかくしかじか~

ゆうちゃん『えええ~っ!!? もこっち、アイドルになっちゃったの!?』

智子「う、うん、それで今度ライブで歌うから、よかったら……」

ゆうちゃん『行く行く~! 絶対応援しに行くから!』

智子「うん、チケット送るから……」

~智貴の部屋~

智子「愚弟ー」ガラッ

智貴「……どしたよ……?」

智子「私、今度、ライブで歌うから」

智貴「はあっ? ……まだ早くね?」

智子「ふふん、見てな、姉ちゃん、金髪ビッチになんか負けないから」

智貴「? ……金髪ビッチ?」

智子「チケットできたら渡すから来いよ、んじゃーな」ガラッ

智貴「……」

智貴「……ホントに大丈夫なのか?」

~2日後、765事務所~

P「智子ちゃん、衣装出来たから、衣装合わせと宣材写真撮るよ」

智子「ひゃ、ひゃい……」

P「じゃ、小鳥さん、律子、後はお願い」

小鳥「はいはい、綺麗に変身させちゃいますよ♪」

律子「お任せください、プロデューサー殿」

~衣装室~

小鳥「智子ちゃん、最近、目のクマが無くなったから、ファンデは薄めでいいわね」ヌリヌリ

智子「しょ、しょうですか?」(レッスンで疲れて、夜更かししなくなったせいかな……?)

律子「衣装はコレよ、気に入った?」

智子「ふわぁ……!」

小鳥「あら、黒を基調にした、可愛いけどミステリアスな衣装ですね~」

智子(こ、これを着て歌うのか……ヤベ、今からなんか緊張してきた……)

律子「サイズ合わせたら、カメラマンさんのトコに行くわよー」

智子「ひゃ、ひゃい!」

律子「プロデューサー殿、宣材写真出来ましたー」

P「おう、お疲れ」

律子「どうします? ウチの久々の新人だし、大々的に宣伝しますか?」

P「んー……いや、扱いはなるべく小さくしてくれ」

律子「その心は?」

P「本人に無用なプレッシャーを与えたくない」

律子「そうですねー……プレッシャーに弱そうなタイプですし……」

P「まあ、今回はお試しみたいなもんだから」

律子「……ライブ、成功しますかね?」

P「……だといいな」

今日はここまでです
次回の更新でお待ちかねのライブ回です
では、コンゴトモヨロシク…

なんか頑張ってみたら最後まで書けちゃいました
今投下しますか?
ちょっと長くなるので明日の夜でもいいですけど…
1:00まで5レスついたら今夜投下します

5レスついたので投下します
ちょっと待ってね

~1週間後、ライブ会場~

  ワイワイ、ザワザワ……

智子「あ、あわわ……」ガクガクブルブル

智子(お、お客さんがたくさんいる……こ、こんなトコで歌うの……?)

P「だいぶ緊張してるみたいだな、もっと気を楽にしていいぞ」

智子「ぷ、ぷろでゅーしゃー……」

P「こう言っちゃなんだけど、今日のお客さんは、美希達やジュピター目当ての人がほとん
  どだから、あまり緊張する必要はない」

智子「しょ、しょうなんでしゅきゃ?」

P「なんなら、舞台袖から観客の様子をチラッと見てみるか?」

智子「ひゃ、ひゃい……」

智子「……」ソーッ

765ファン1「いやいや、765からの久々の新人とは、興味深いですなー、同士諸君」

765ファン2「HPで見た限り、なかなかミステリアスな雰囲気の少女でしたぞ」

765ファン3「しかもあの「隣に…」を歌うとか……これは要チェックですな」

智子「あわわ……」

智子(いるじゃん!! 私目当てのお客さん! ああ~、どうしよどうしよどうしよ)

P(ああー……運悪くコアなお客さん見ちゃったか……マズいな……)

P「智子ちゃん」

智子「ひゃ、ひゃいっ!」

P「これはデビューライブなんだから、失敗とか、そんなの気にしなくてもいい」

智子「……」(どうしよどうしよどうしよどうしよ……)

P「むしろ、いくらでも失敗してやる、みたいな気持ちでやってきなさい」

智子「……」(どうしよどうしよどうしよどうしよ……)

P「……聞いてる?」

智子「ひゃ、ひゃい?」

P(……ダメかも……)

  ブーッ

P「お、そろそろ開演だ」

智子「ひ、ひいっ!!」

貴音「智子、りらっくすですよ?」

響「骨は拾ってやるさ!」

美希「もこっち、ファイトなの!」

智子「あ、あうあう……」ガクガク

P「……まあ、観客をカボチャだとでも思って、気楽にな?」

智子「あ、あう……」

P「それじゃ……行って来い!」

  ワイワイ、ザワザワ

  パッ

智子(あうあう……しゅ、シュポットライトがちゅいた……も、もう逃げられない……)

  ゼンザカー

  ドンナコナンダロ?

智貴「……」

ゆうちゃん(もこっち、頑張れ!)

  ~♪

智子(ぜ、前奏が始まった! あうあう……歌わなきゃ……)

智子「しょ、しょ~ら~にだ~かれ~、きゅもが~な~ぎゃれ~てきゅ~」ボソボソ

P(アカン)


心無い客「聞こえねーぞー!」

智子「ひうっ! あ、あわあわ……」

智子「えとえと……えとえと……」

P(まだ挽回可能だ! 歌うのを止めるな!)

智子「う、ううう……」

   プッツーン

智子「しゅ……」

P(しゅ?)

智子「しゅびばぜんでじだーっ!!」ダッ

P「あっ……!」

美希「向こうの袖に逃げてっちゃったの……」

P「ここまでか……すみません! 音止めてください!」

P「美希、貴音、響、後はまかせるぞ」

美希「りょーかいなの♪」

響「しかたないさー!」

貴音「キチンと始末はつけます……智子をよろしくお願いします、プロデューサー」

P「ああ……!」

  ザワザワ……

  ドーシタンダロ……?

  エ、モウオワリ?

智貴(……やっちまいやがった……あのバカ姉貴……)

ゆうちゃん「もこっち……」

智子「う、ううう~……」

P「智子ちゃん、大丈夫か?」

智子「ウボッ! ウゲッ! オボロオボロ……」ゲロゲロ

P「吐いたか……よしよし」サスリサスリ

智子「ぷ、ぷろでゅーしゃー……ウプッ」ゲロゲロ

P「全部吐くまでしゃべらなくていい……」(今日の朝食は納豆か……)

智子「ご、ごべんなじゃあい……しゅてーじ、滅茶苦茶にして……ゲホッ、ゲホッ」

P「ああ、ステージの事なら気にしなくていい」

智子「え?」ゴホッゴホッ

P「見てみろ……」

  ザワザワ……

響「みんなー! さっきはゴメンなーっ!」

  ! ワーッ! ヒビキチャーン!

美希「新人さんだったから、大目に見てほしいのーっ!」

  ミキチャーン! ワーワーッ!

貴音「その代わり、最高のステージをお届けします!」

  タカネサマー! ワーッ!

美希「行くよーっ! 『オーバーマスター』!!」

観客「「「「「ワアアアアアアアァァァァーーーーーーーーッッッッッ!!!!」」」」」

智子「しゅ、しゅごい……」

P「な、だから言ったろ? 大丈夫だって」

智子(さっきまでお通夜みたいだった客席が、一瞬であんなに……)

P「今日はダメだったけど、これからいくらでもチャンスはあるから……」

智子「う、う、う……」

P「……智子ちゃん?」

智子「うう~~~~っ!」ダダッ

P「お、おい、待て……どーすんだ、このゲロ……」

~ライブハウス通路~

智子(チクショー! チクショー! チクショー! なんだかとってもチクショー!!)

智子「ううううう~~っ!!」ダダダッ

   ドカッ!

智子「ひゃうっ!?」

???「ってーなー……誰だ、いきなり……」

智子(あ、あ、あの人たちは……!)

冬馬「ん? 765の前座じゃねーか、なにやってんだ、こんなトコで……?」

翔太「んん? なんだか納豆臭い……?」

北斗「チャオ☆」(お嬢さん、すまないね、怪我はなかったかい?)

智子(あ、あわわ……961プロの……ジュピター!)

冬馬「……まあ、なんだっていいけどよ、こんな狭い通路で走んなよ、危ねーなー……」

智子(お、怒ってる……? そ、そうだ、ステージ滅茶苦茶にしたから怒ってるんだ……)

翔太「そんな言いかた酷じゃん、冬馬も前見てなかった癖に」

智子(どーしよどーしよどーしよどーしよ……)

北斗「チャオ☆」(……? どうしたんだい? キュートなお嬢さん)

智子(そ、そうだ!)

智子「しゅ、しゅびばぜんでじだー!!」ザザー

翔太「土下座!?」

冬馬「お、おいこら……止めろ!」

北斗「チャオ☆」(頭を上げなよ、レディー、君にそんな恰好は似合わない……)

智子「しゅびばぜん……しゅびばぜん……! う、う、う、うううう~~~~っ!」

冬馬「いいかげんにしろ! こんなトコ誰かに見られたら誤解されるだろ!」

翔太「泣かないでよ、おねーさん……」

北斗「チャオ☆」(君に涙は似合わない……)

パパラッチ(なんだか知らんが、シャッターチャンス!)パシャパシャッ

冬馬「!」

翔太「!」

北斗「チャオ☆」(!)

智子「ううう……ふえ?」

冬馬「待て! テメエ! どっから入り込みやがった!」ダダッ

翔太「悪いけどその写真、処分させてもらうよ!」ダダッ

北斗「チャオ☆」(じゃあね、お嬢さん、またどこかで会おう)ダダッ

智子「え? え?」(何だったんだろう、今の……?)

P「おー、ここにいたか」

智子「あ、ぷ、ぷろでゅーしゃー……」

P「今日は精神的に疲れたろ? 着替えたら、もう帰ってもいいよ」

智子「しゅ、しゅびませんでした……」

P「いいからいいから、今日は帰ってゆっくり休みなさい」

智子「ひゃ、ひゃい……」

~黒木家、玄関~

智子「……ただいまー……」

智貴「……おかえり」

智子「……」

智貴「……」

智子「……う、ううう~……!」グスグス

智貴「……」

智子「うああああああ~~~~~~ん!!」

智貴「玄関先で泣くなよ……みっともねえ……」

智子「うう……うるしゃい! ううう~~……」

智貴「……で、どうすんだよ?」

智子「……わかんにゃい……あ、アイドル辞めるかも……」グスグス

智貴「……もったいねぇじゃん」

智子「うう……?」

智貴「姉ちゃん、この一か月、ずっとがんばってたじゃねぇか……一回失敗したぐらいでな
   んだよ……」

智子「!……う、うるさい! 何も知らない癖に! 何も知らない癖に~っ!」ポカポカ

智貴「……」←黙って殴られてる

~智子の部屋~

智子「……」

智子(あ、ゆうちゃんからメール来てる……)

   件名:もこっちへ

   大丈夫? 落ち込んでない?

智子「……」

智子「……」ピ、ポ、パ

   件名:ゆうちゃんへ

   わかんない……ダメかも……

智子「……」ピリリッ(あ、すぐ返信来た……)

   件名:大丈夫

   世界中がもこっちの敵でも、ワタシはもこっちの味方だよ

智子「……」

智子「う、う、うう~……」グスグス

~翌朝~

智子(今日は日曜だけど……)

智子(事務所、行こうかな……)

智子(……)

智子(……うん、行って昨日のこと謝ろう……)

~765事務所前~

   ガヤガヤ……

智子(……? 何だろ、事務所の前に人が集まって……)

記者A「あ!来た!」

記者B「すいませーん、黒木智子さんですよね?」

記者C「新聞に書いてある事は事実ですか!?」

智子「え?え?え?」(なになになに!? 何が起こってんの!?)

P「智子ちゃん! 事務所に早く入って!」

智子「え?え?」

P「いいから早く!」

記者A「あ、お話を聞かせてくださいよー!」

~765事務所~

P「まだ記者は貼りついてるな……」

智子「あ、あにょ、いったい何が?」

P「……今朝のスポーツ新聞、見たか?」

智子「い、いえ、ウチは読○しか取ってなくて……」

P「……これ、見てみろ」バサッ

智子「? え~と……!?」

『ジュピター、新人アイドルに土下座させる』

『新人イビりか?』

智子「にゃ、にゃ、にゃにこれ……」

P「こっちが聞きたいよ……いったい、何があったんだ?」

智子「え、えっと……」

~かくかくしかじか~

P「……そうか」

高木「ともかく、黒井の方には、私から話を通しておくよ」

P「お願いします……すみません……」

智子「あ、あにょ……しょれで、私は何をすれば……?」

P「アチラさんのイメージに関わる事だからな……直接記者に釈明するしかないだろ……」

智子「ふええっ!?」

P「大丈夫、俺もついててやるから」

智子(どーしよどーしよどーしよどーしよ……)

~事務所前~

記者A「お、出てきた!」

記者B「黒木さーん、新聞に書かれてあった事は事実ですか?」

智子「えと、あにょ、そにょ」

記者C「ハラスメントの事実はあったのですか?」

智子「えと、えと、えと……」

   プシュー

智子「ずびばぜんでじたぁっ!!」ザザーッ

P、記者(土下座!?)

パシャパシャパシャパシャ

P「すみません! 撮らないでください! 撮影を中止してください!!」

パシャパシャパシャパシャ

智子「ずびばぜん……ずびばぜん……!」

P(ああもう! しゃーねーな!)

P「智子ちゃんは昨日デビューライブで失敗して気が動転していたようです!
  ジュピターさんからのハラスメントは一切ありませんでした!
  これにて記者会見を終了します!!」

~事務所~

智子「しゅみません……しゅみません……」グスグス

P「……過ぎた事はもういいから」

智子「えと……しょれだけじゃにゃくて……」グスグス

P「?」

智子「私、心のどこかで美希の事馬鹿にしてました……レッスンも真面目にやらないし、男
   に媚びるビッチだって……」グスグス

P「……」

智子「でも、昨日のライブで私は失敗したのに、美希はすごく輝いてて、お客さんをあっと
   いう間に魅了して……」

P「……」

智子「すごくキラキラしてて……」グスグス

P「……」

智子「なんだか、すごく悔しくて……しょれでわけわかんなくなっちゃって……」

P「……そうか」

P「たしかに美希は天才タイプだけど……」

智子「……」

P「どっちかって言うと、短時間で集中してレッスンをやるタイプだからサボッてるように
  見えたのかもな」

智子「しょ、しょうなんですか?」

P「美希は確かに俺に懐いてるけど、無差別なビッチじゃないぞ」

智子「ふぁ、ふぁい……」グスグス

P「誤解されやすいけど、アイドルとして輝くためには、すごく真摯な子だ」

智子「ひゃい……」

P「さて、智子ちゃん、君の進むべき道は二つある」

智子「?」

P「実は、今朝の新聞の一件から、バラエティ出演の依頼がいくつか来ている」

智子「え……?」

P「これを受ければ、バラエティアイドル……いわゆるバラドルとしての道も開けるかもし
  れない……」

智子「……」

P「もう一方の道は……」

智子「わ、わだじも……」

P「ん?」

智子「わだじも、美希みたいに輝きたいでず……」グスグス

P「……」

智子「キラキラしたいでず……」グスグス

P「……レッスン、厳しくするぞ?」

智子「ふぁい……!」

~翌朝、黒木家、リビング~

智子「おはよー……」

母「おはよ、智子」

智子「……ねえ、お母さん、今日、学校休んでいい?」

母「……どうして?」

智子「どうしてって……あんなことあったし……学校行きづらいよ……」

母「……約束したでしょ? 成績下げないって」

智子「それは……そうだけど……」

母「……嫌な事があったら、帰って来ていいから」

智子「……うん」

~学校、教室~

智子「え、えと……おはよ……」

モブ男A「あ、来た来た!」

モブ女A「ねえねえ、黒木さん! 新聞見たよ! アイドルやってるってホント!?」

智子「ひゃうっ! え、えと、そにょ……うん……」

   ワーーッ!

智子(な、なんだ? 何が起こってる?)

モブ女B「ねえねえ、真王子様ってどんな人!?」

智子「え、えっと、真さん? しゅ、しゅごくいい先輩だよ……よくスポーツドリンク奢っ
   てくれるし……」

   キャーッ!!

モブ男B「ね、ねえ、あずささんのサイン、頼んでもいいかな?」

モブ男A「あ、ずっりーぞ! お前!」

担任「はいはい、そこまで! ホームルーム始めるわよー!」

モブども「は~い」

智子(な、何が起こったんだろ……?)

   サアーッ

智子(あ……)

智子(この教室から見える空、こんなに青かったんだ……)

~2週間後、961事務所~

冬馬「やれやれ……つまんないゴタゴタも、ようやく収まった感じだな」

北斗「チャオ☆」(黒井社長と、向こうのPさんが走り回って火消ししてくれたおかげだな)

翔太「ねえねえ、そういえば、今日発売の芸能雑誌見た?」

冬馬「? 何が書いてんだ?」

翔太「あの子がランキングトップになってるよ」

冬馬「はあっ!? 何のランキングだよ?」

翔太「えっとねー、『保健所で保護したいアイドルTOP10』……」

冬馬「何だよその企画! ほとんど晒し者じゃねーか!」

北斗「チャオ☆」(ちなみに2位は、CGプロの森久保乃々ちゃんだ)

翔太「あー……番組で一緒になったことあるけど、たしかに森久保ちゃんってそんな感じだ
   よね」

冬馬(毎回思うけど、何で「チャオ☆」で通じ合ってんだろう、こいつら……)

翔太「でもこれであの子も知名度上がったし、考えようによっちゃ良かったんじゃない?」

冬馬「人気は水物だろ……所詮は実力が物を言う業界だよ」

翔太「あの子は「アイドル」になれるかな?」

北斗「チャオ☆」(花には、咲くべき場所と時期がある……あのお嬢さんがそれを間違えな
         ければ大丈夫さ)

翔太「北斗、いい事言うね」

冬馬(だから、わかんねーっつーの……)

~2カ月後、ラジオ局、収録ブース~

春香「さて、今週も始まりました、天海春香と」

千早「如月千早の」

春香、千早「「はるちはわっほい!」」

春香「今日も、素敵なゲストをお呼びしております!」

千早「同学年のゲストは、我那覇さん以来だったかしら……」

春香「そうだねー、ではさっそくお呼びしましょう! 黒木智子ちゃんでーす!」

智子「ど、どもー」

春香「智子ちゃんがゲストに来るって告知したら、いっぱい質問のお葉書が来たんだよ?」

智子「しょ、しょうなの? いやー、う、嬉しいなー」

千早「ではさっそく質問していくわね、ラジオネーム、「渚のロンリーウルフ」さんからの
   質問です」

智子「緊張するなー……」

千早「ぼっちアイドルの智子ちゃん、こんにちは」

智子「いや、ぼっちゆーな!」

春香「アハハ……」

千早「続けるわね、僕は学校に友達もいない、さびしいぼっちです、どうしたら智子ちゃん
   みたいに明るいぼっちになれますか?……ぼっちなのは前提なのね……」

春香「これは難しい質問ですねー……智子ちゃんはどう答えるの?」

智子「うーん……えっとねー……」

智子「私も、アイドルになる前はぼっちで、ちょっと世を拗ねたかんじだったんだけどね?」

春香「うんうん、それで?」

智子「アイドルになって、いっぱい失敗して、その度に周りのいろんな人に支えられて気付
   いたんだ、生まれた時からぼっちな人なんていないって……」

千早「……」

智子「だから、今は、周りの人に甘えながらでもいいから、一歩ずつ、少しずつ進んでいけ
   ばいいんじゃないかな……そしたら、明日はきっと、いい日だよ?」

春香「おお~……」

智子「ちょ、ちょっと偉そうだったかな?」

千早「そんなことないわ、いい話だった」

春香「それではこの感動が薄れない内に、リクエスト行きましょー!曲は、黒木智子ちゃん
   の新曲で……」

~その翌日、ライブ会場~

P「よし、準備はいいな?」

智子「は、はい!」

雪歩「智子ちゃん、しっかりね?」

真「失敗しても、後にボクらがいるから大丈夫だよ!」

智子「う、うん! 前座、しっかりやってお客さんをあっためてくるね!」

P「よし、行って来い!」

智子「みなさーん! こんにちわーっ!」

   ワーワー モコッチー

   ワーワー ボッチー

智子「いや、ぼっちゆーな!」

   ドッ アハハ

智子「今日は、新曲、「どう考えても私は悪くない」を歌います!
   用意はいいですかーっ!?」

   ワーッ

智子「それじゃいくよーっ!」

P(今はまだバラエティ臭が抜け切れてないが……ま、智子ちゃんなら乗り切れるだろ)


智子「会話がー、続かないなー、何故だどうしてだー♪」(せーの!)

智子、観客「「「「「アホかーーーーーーーー」」」」」

P(昨日、自分で言ってたみたいに、一歩ずつ進めばいいさ……)

P(そして……いつかなれるといいな、キラキラしたアイドルに……)


                               終わり

これでこのSSは終わりです
思い付きから始めたSSが完結できたのは、ひとえに皆様のもこっちに対する愛のある合いの手のおかげです
それでは、またどこかで
ありがとうございました

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