MHP3を久々にやって楽しかったので物語っぽくしてみる。
モンハン知らない人でも多分読めます。
ユクモ村での生活を日常メイン、戦闘サブでやっていきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1397860693
男「へぇ、ここがユクモ村かぁ」
古風な木製の門をの先に広がる小さな村は、今日から男が暮らす村だ。
人口200名を超えるほどのこの小さな集落の名は、ユクモ村。
男はこの村の村長から、専属のハンターとなるように依頼を受けてはるばるやってきたのだ。今日からこの村での新しいハンター生活が始まる。
男は立ち込める湯けむりを手でヒラヒラと払いのけながら、石製の立派な階段を登った。
湯けむりは、どうやら階段に隣接する小さな温泉から来ているらしい。
見渡してみると、天然と思しき温泉が村のあちこちにあった。温泉が有名な村なのかもしれない。
男は露天風呂に浸かっている黒い毛並みのアイルーに軽くお辞儀をし、階段を登る。
慌ててお辞儀を返したアイルーの頭から、乗せていたタオルが落ちた。
男「おー。よろしくな」
ようやく30段ほどの階段を登り切ったところで、可愛らしい猫鳴き声が男の背後から返ってくる。
歓迎されてるのかな、と男は小さく笑った。
階段を登り切った先には露店が多く立ち並んでいた。商店街エリアといったところだろうか。
近いところから、オトモ武具屋、加工鍛冶屋、武器防具屋、雑貨屋などというハンター専門のラインナップだ。
その奥には食事処や甘味処、温泉街、宿屋などが広がっている。小さな村だが生活に事欠くことはないだろう。
まだ朝であるのにもかかわらず、商店街は活気に満ち溢れていた。ざっと見ただけでも40名を超える人々が行き交っている。
顔を上げると、道行く村の人々の珍しいものを見るような視線が、新顔である男に集中していた。
男「…」
男は手持ち無沙汰に担いでいた長い太刀を担ぎ直すが、それで好奇の視線が収まることはない。
人々はあちこちで、
『なに?新しいハンターさん?』
『装備見た限りそうだろうな。かなり若いな』
『え?そんな話聞いてなかったよ』
『村長が呼んできたって噂は聞いてたけど』
『え?それって本当?』
などとうわさ話をしている。
男(聞こえてるんだけど…)
いっちょ大きな声で挨拶でもしてやろうか、と男が妙な決意を胸に宿したところで、不意に横合いから声がかけられた。
一瞬他の人のことかな、と男は辺りをキョロキョロ見回したが、自分の周りには人がいなかった。
男「えっと、俺ですか?」
おどおどしながら男が尋ねると、年老いた男性は力強く頷いた。歳の割にはかなり元気そうな小さなお爺さんだった。
豆粒ジジイ、という呼称がよく似合いそうなそのお爺さんは、身長が男の腰の辺りまでしかない。小人族のようにもみえる。
加工鍛冶屋と書かれた看板から、このお爺さんが鍛冶屋の店主ということになる。
オヤジの背後にある鉄窯で、鉄を熱する炎がメラメラと上がっていた。
鍛冶屋「ワレぁ、見かけん顔やなぅ?」
鍛冶屋のオヤジは、鉄を打つ手を止め、ススで汚れた軍手を外しながら言った。オヤジの頭で大粒の汗が光っている。
男「はい。今ついたばっかなので」
男は微笑みながら軽くお辞儀をし、右肩に担いでいた旅行用のカバンを持ち上げてみせた。
鞄の中には着替えやちょっとした生活用品が入っている。
ハンター業に必要な道具の殆どは前もって送ってあったので、引っ越しにしては少荷物だ。
鍛冶屋「あー…あぅあぅ?もしかっすぅとアレか。ワレが村に来たっちぅ新しいハンターけぇ!そいや村長の嬢ちゃんがそんな話をしとったなぅ」
鍛冶屋の表情が顔見知りを見つけたみたいにパッと明るくなる。前もって話を聞いていたのだろう。
男「そうそうそれです。村長さんとはまだ会ってないんですけどね」
男は、この村の村長とは面識がない。というのも、ここへ来たのは前の村のギルドから紹介されたからだ。
これから挨拶に伺おうと思っているという旨を伝えると、鍛冶屋のオヤジは嬉しそうに頷いた。若くて可愛いお嬢じゃん、ということらしい。
鍛冶屋「あぅあぅ。なるほどなぅ」
鍛冶屋は特徴的な口調で何やらブツブツ言いながら、男をジーっと見つめて、
鍛冶屋「えぇ顔しとるわぃ」
腕を組んで興味深そうに頷いた。男としては慣れないことなので妙に気恥ずかしい。
鍛冶屋はそんなことはお構いなしで、手に持った重そうな大鎚をくるりと回し、
鍛冶屋「ワテはなぅ、この村の鍛冶屋よぅ!ひぃふぅみぃ……あぅ?もう何年になるかなぅ?」
自らの経歴を語り始めた。年寄りという生き物は話に脈略がない。
苦笑する男の心中を察したのか、隣に店を構える雑貨屋の女性がこちらを気にしては苦笑いを浮かべていた。
鍛冶屋「最近はナントカっちぅモンスターがうろちょろしよってぇからに、ハンターが減ってなぅ。ホント、つまらん仕事ばっかりよぅ」
男「ナントカ?ええ…伝わんねー」
鍛冶屋「とにかくそのナントカっちぅモンスターが大暴れしよってぇからに、めっきりハンターが減ったんよぅ」
そういえば、と男は顎に手を添える。考え事をするときのクセのようなものだ。
今回わざわざ男がこの村に呼ばれたのには、この村のハンターだけでは手に負えないモンスターが居るとかなんとか、そういう話があった。
凶悪なモンスターのせいでハンターをやめてしまう人がいるのは事実だ。男も、これまでそんなモンスターと渡り合った経験がある。
それで男が呼ばれたのだろう。
男「なるほどね」
鍛冶屋は神妙な顔つきで男をじっと見た後、期待しとるでぇ、と快活に笑った。
それからふと男の装備に目を向けると、大鎚を振りかぶる真似をし、
鍛冶屋「素材を持ってくれぁいつでもワテが腕振るってぇやるけぇ。ワテにかかればどんな武具もおちゃのコさぃさぃってぇもんよぅ!」
店の宣伝を始めた。
男も長い付き合いになりそうな鍛冶屋に笑いかけ、その時はよろしくお願いしますとお辞儀する。
ここまで期待されると妙な使命感さえ湧いてくる。決意を表すように、男は担いだ太刀を指先で小突いた。
それから約一時間もの間ほとんど一方的に話を聞かされた男は、ようやくの思いで紹介された部屋に辿り着いた。
二階建て+地下一階、計三階建てのアパートのような部屋だ。男は一回の一部屋に住むことになる。
見た目よりは広々とした部屋の中には、各種生活用品はもちろん、男の送っておいた荷物までもが整理された状態で置かれていた。
これから部屋の整理をしようと思っていた男は少々面食らい、部屋の前でぼーっと突っ立ってしまう。
男「おいおい…サービス良すぎだろ」
突っ立っていても始まらない。男は感謝の念を噛み締め、新しい部屋へ足を踏み入れた。
村民同士の信頼の証か、部屋には防犯という概念が感じられない。どこか開放感溢れる作りだった。
男(窮屈よりはよっぽどいいな。見晴らしもいいし最高だ)
窓際では、設置された石の窯がかけられた鍋で湯を沸かしていた。加湿器のようなものだろうか、と男は適当に推察する。
石の窯から洩れた熱に手を当て温まったところで、男は手荷物を床においた。
担いでいた身長を超える長さの太刀も、木製の壁に掛けておく。
軽くなった身体で部屋を歩きまわってみると、男の好みに合ういい部屋だということがわかった。
男「とくに奥が集会浴場と繋がってんのがいいな。いつでも温泉に行けんのかぁ」
男はまだ見ぬ温泉に思いを馳せつつ、ベッドの上に掛けられたハンモックに転がり込んだ。
麻地の心地よい感触が男の肌に馴染む。
体を横に倒すと、ちょうど目線の位置に裏の温泉へと続く回廊が見えた。
廊下の外は森になっていて、ハンモックからでも赤いモミジの葉が見える。耳を澄ませば、川のせせらぎや鳥の鳴き声まで聞こえてくる。
長旅の疲れがたたったのか、すぐに睡魔が襲ってきた。男は必死に抗ったが、原始的欲求に溺れついにその目を閉じた。
一旦終了。
このSSまとめへのコメント
最近久々に3rdやってるw期待
一度もクエストに行かず終わりってなんやねん