――ウォールマリア南部　旧市街地――

ｼｭｳｳｳｳ

ライナー「…ふう、追っ手はあらかた潰したな」

ベルトルト「危ないところだったね、ライナー」

ライナー「ああ…エレンの名を叫び続けていたあのオヤジが、かなりしつこく食い下がってきてたからな」

ライナー「もしエレンが起きていたら、逆に俺たちがやられかねんところだった」

ユミル（巨）「………」

ライナー「ここ（建物の屋根）までくれば安全だ…ユミル、もうクリスタを出してやってもいいぞ」

ユミル（巨）「………」ｺｸｯ

ｵｺﾞｵｫｫｫｫ

べしょっ

クリスタ「……うっ」

ベルトルト「！！」

ライナー「…クリスタ…ッ！！」

クリスタ「こ…ここは？あっ…！」ﾖﾛｯ

ライナー「クリスタ！無理に動くんじゃあない！！」

クリスタ「ライナー…!!あなた…ッ！」ｷｯ

ライナー「おっと、肩を貸すぞクリスタ…なんせ今は」



ライナー「脚が無くなってしまってるんだからな」

ユミル「うう……クリスタぁ……」ｼﾞﾜ

クリスタ「ユミル！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

ユミル「ごめん……ごめんクリスタ…私…」

クリスタ「いいの！…あなたが無事でよかった」ﾆｺｯ

ユミル「クリスタ…」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ

ライナー「…作戦は見事だったが、やりすぎだ」

ライナー「脚を食いちぎってしまうとはな…クリスタのこれからの人生を犠牲にしたことは、自覚しているんだろうな」

ユミル「………」

クリスタ「あなたが言うことじゃあないわ、ライナー…いえ、『鎧の巨人』！！」

ライナー「………」ﾋﾟｸｯ

ベルトルト「ライナー…」ﾀﾞﾗﾀﾞﾗ

クリスタ「あなたのせいで殺されてしまった人々の人生は、犠牲にならなかったとは言えないでしょう？」

ライナー「………」ﾎﾞｰｯ…

ベルトルト「！！」

クリスタ「ユミルをそそのかして、私を誘拐したつもりでしょうけど」

クリスタ「私はついていかない…どうせあなた達は『ヒストリア』の方を求めているだけでしょう」ｼｭｳｳｳｳ

ユミル「（足の傷から煙が…！）」

クリスタ「私はユミルと壁内へ戻る」

ライナー「クリスタ…俺は…」

ベルトルト「跳べ！！ライナー！！」

ｶｯ!!

ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ…

ベルトルト「ライナー！しっかりしてくれ！！」

ライナー「あ…ああ……」ｶﾞｸｶﾞｸ

ユミル「そ…そんなッ！クリスタが…！」

ユミル「巨人に…」


クリスタ（巨）「う゛～～～～～～～」ｷｮﾛｷｮﾛ

ベルトルト「…わかってると思うけど、『君のせい』だよユミル…」

ユミル「そんな…」

クリスタ（巨）「！！」ﾊﾞｯ

ベルトルト「こっちに気付いた！もっと高い建物へ逃げよう！！」

ベルトルト「（大きさは…アニと同じ15m級…胸は小さいけれど彼女もまた女型…）」

ベルトルト「（ライナーの巨人なら制圧可能そうだけど、すぐに変身できるとも限らないし）」ﾁﾗｯ

ライナー「…………」

ベルトルト「（この様子じゃあ…変身そのものが無理かもしれない）」

ベルトルト「（クリスタが力尽きるまで時間を稼ぐしか…）」

クリスタ（巨）「ハアァァァァァ」ｶﾞｼｯ

ベルトルト「なッ？！」

ベルトルト「（屋根を登れるのか？！運動能力もアニと同等かそれ以上ってことか！）」

ベルトルト「…ユミル、ライナー…少し離れていてくれ」ｽｰ…

ライナー「ベルトルト！まさかッ？！」

ユミル「そ、そうだ！わ…私が変身して！うなじからクリスタを…」

ベルトルト「駄目だ！君も変身する力なんて残ってないだろう？！」

ベルトルト「僕が踏み潰す」

ライナー「お…おい！」

ユミル「やめてくれえぇ！！お願いだあぁぁぁぁ！！」ﾄﾞﾀﾞﾊﾞｰ

ベルトルト「………」ｶﾊﾟｯ

ユミル「（なんでこうなっちゃうだよ…）」

ユミル「（私は…間違っていたのか…？）」

ユミル「（クリスタの人生を犠牲にして、私はまた『逢って』しまったから…）」

ユミル「（いや…それでいいんだ）」ﾌﾗ

ベルトルト「ユミル！前に出るな！下がれ！」

ユミル「私の願いは叶った…」

ユミル「今度は私が…私の人生を…」

ｺﾞｵｵｵｵｵｵｵｵ……

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―――
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エレン「……あ、あれ？」ﾊﾟﾁｯ

エレン「あれは、ライナーと…クリスタ？」

クリスタ「どうしよう、身体が言うことを利かない…」

ライナー「大丈夫だ、俺が守ってやる」

クリスタ「ライナー…私…悪い夢を見ていたの」

クリスタ「私が巨人になって…街を破壊する…そんな夢…」

クリスタ「そうそう…ライナーも実は巨人だったんだよ…可笑しな夢だよね…」

クリスタ「あれ？でもそれっていつからだっけ？」

ライナー「………」

クリスタ「ねえ、ライナー……ユミルがどこにいるのか知らない？」

ライナー「クリスタ…もういい…今は喋るな」

クリスタ「ユミルー…どこぉ…？」

「何を言っているんだ」

ベルトルト「本当は憶えてるんだろう」＜●＞＜●＞

ベルトルト「君は人間に戻れた」

クリスタ「う」

ベルトルト「あのとき…身を投げ出すようにして君に飛び込んでいった」


ベルトルト「…ユミルを食べてね」



クリスタ「うわああぁぁぁァァァッァァァ!!!!!!」ｶﾞｸｶﾞｸｶﾞｸ

to be continued...