照「今年のインハイは麻雀じゃないの?」菫「らしいな…」 (208)

 
    バシュッ!!!!

照「お~」

淡「決まったー!!」

    ガチャッ

菫「戻ったぞ。へぇお前達がサッカーの中継観てるなんて珍しいな」

照「サッカーじゃないよ?」

菫「ん。あぁ、人数が少ないのはフットサルだったか」

淡「いやそーいうことじゃなくて」


  『全国高校生麻雀大会二回戦!姫松との接戦を制して宮守高校が勝ち上がりました!」


照「見てたのは、麻雀」

菫「………あぁ、そうだったな……」ハァ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1396245623

つづきからはじめる。
協会の悪ノリで、麻雀以外のことをやることになったインハイのお話です。

宮守女子高校の二回戦までの戦い
塞「今年のインハイは麻雀じゃないらしい」胡桃「へ?」

途中レス歓迎。よろしくお願いします。

淡「なんだかんだ言って皆フツーに受け入れてるのが凄いよね~」

菫「全くだな…。いやまぁ大半はヤケクソになってるだけだと思うが」

亦野「例年より視聴率も上がってると聞きますからね…。まぁこの雑誌によると」

亦野「今年は十年に一度レベルの美少女豊作の年だから、その子達の色々な顔が見る事が出来るのがウケてるとか」

尭深「普段麻雀を見ない層の人がかなり見てるらしいもんね…」ズズズー

菫「麻雀やってないからな。そりゃあ普段麻雀見ない層の人も見るだろう。何故なら麻雀をやっていないから」

照「菫、同じ事二回言ってるよ?」

淡「まーたしかに麻雀って、座って牌取って切るを繰り返すだけだもんね」

淡「見る側としては絵的に地味でつまんないっていうのは分かりますよ」ゴローン

尭深「淡ちゃんが絵的に地味って言っても説得力無いと思うけど…」

亦野「しかしこうなると、新コミッショナーが有能だったということになるんですかね?」

菫「ならんだろ。別にこれ(麻雀以外)をやってる事で麻雀の人気が上がった訳じゃ無いしな」

尭深「…逆に『この子達がもし麻雀を打ったらどんな感じなんだろう?』という期待を持たれてはいるみたいですけどね」ペラッ…

菫「それも本末転倒な話だな…」

照「…大会って、全部で何回戦あるんだったっけ?」

亦野「五回戦ですね。一回戦、二回戦、準々決勝、準決勝、決勝で全部です」

亦野「基本はトーナメント形式ですから、~回戦が終わるごとに半分になる訳ですね」

淡「あれ?おかしくないですか?インハイって全部で50以上の学校出てるんでしょ?」

亦野「『アホか』って事でそもそも辞退したトコとかが居るし」

亦野「競技種目の関係で一回戦を三校以上でやったトコもあるから、その関係でそうなってる」

亦野「二回戦終了時でベスト8が決まるっていうのは確定らしいけどね」

菫「…それで今、そこの宮守女子高校がベスト8一番乗りを決めた訳か」

淡「すっごい面白い試合だったよ~」アワッ

照「名門姫松相手に勝つなんて凄いよね」サクサク

菫「いや別に…。麻雀で勝った訳じゃないし」

照「…普通の麻雀だったとしてもかなり手強いと思うけどね。この人達」

菫「なにか根拠はあるのか?」

照「なんとなく」

菫「勘かよ」ハァ

淡「スミレの予想よりはテルの勘の方が余程当てになると思うけどねー」アハハッ

菫「なんだと…?」グニグニ

亦野「でも実際全く相関が無いとも言えないみたいですよ?」

亦野「ここまで勝ち上がった所見ると、(麻雀の)下馬評が高かった所が多いみたいですし」

淡「へー。やっぱり私の様に出来る人は何をやらしても出来るって事なんですね!」ドヤッ

菫「お前の一学期の期末の平均点を言ってみろ」

淡「それはまぁ置いといて」

菫「都合良いな…」

菫「そうだ。亦野、長野の代表はどうだったんだ?あの龍門渕を倒したっていう」

亦野「えーと…勝ってますね。種目は『競技クイズ』で中堅で飛ばして勝ったみたいです」

尭深「…ウチがそれじゃなくて良かったですね」チラリ

淡「あーたかみ先輩ひどーい!」

菫「そうか」チラッ

照「…………」サクサク

亦野「…って、そろそろ私達の対戦相手と種目が決まる時間ですね」

亦野「テレビテレビっと…」ピッ


はやり『テレビの前のみんなヤッホー☆』

はやり『はやりんのドキドキ抽選会の時間だよ~!』


尭深「なんで当事者の私達までテレビで知らされるんでしょう…」

菫「王者白糸台の初陣だから盛り上げたいとか何とか言われたな」

亦野「変なプレッシャー掛けて来ますね…」アセ

アナ「瑞原プロ、いよいよ王者白糸台高校の初陣の時がやってきましたね」

はやり「そうだねー。今年の白糸台のチーム虎姫は、歴代でも最強のチームって噂だから楽しみだよね」

はやり「麻雀での勝負なら、多分ぶっち切りで他を寄せ付けずに圧倒的に優勝していたんだろうけど」

はやり「ただ、今年のインハイは麻雀が強いだけで勝てるほど甘く無い☆」キラン


菫「何をおかしな格好でおかしな事言ってるんだコイツは…」

照「おかしな格好?」きょとん

亦野「麻雀の強さなんて全く関係無いって言わないだけマシじゃないですか?」アハハ…

はやり「王者の矜持がどれほどのものか注目ですっ☆!」

アナ「なるほど。競技種目はどの様なものが予想されるでしょうか?」

はやり「んーそればっかりはランダムだから何とも言えないですね」

はやり「でも全体の傾向として、意外とガチに熱くスポーツやってる所が多いですから」

アナ「岩手の宮守女子高校の試合とか話題になってますよね」

アナ「一回戦は奈良代表の阿知賀女子学院とのロードレース勝負」

アナ「そして二回戦は南大阪代表の姫松高校とのフットサル勝負。どちらも今大会屈指の名勝負と言われています」

はやり「目線を変える意味で、バラエティ的な勝負なんかも見てみたいかなってはやりは思います☆」


菫「テキトーな事を…」

淡「どんな勝負になるんだろうねっ」わくわく


アナ「それでは瑞原プロ。対戦校と対戦種目の決定をお願いします」

はやり「おっけー☆いっくよ~」ポチッ

       


対戦校→>>18(宮守、阿知賀、姫松、全国に出場してない高校は除く)

対戦種目→>>25



無理☆と思った場合は安価下になるかもしれませんが、悪しからず。  

千里山でしょ

上がらなかったか もいっこ

アナ「決まりました!対戦種目は『競泳』!」

アナ「そして対戦相手は…!!き、北大阪代表!千里山女子高校ですっ!!」


   ざわあああああああっ!!!   どよおおおおおおおっ!!!

「いきなり白糸台vs千里山!?」「全国ランキング1位と2位の対決じゃないか!!」「これは事実上の決勝戦なんじゃ…!?」


亦野「千里山…相手にとって不足無しですね」

菫「麻雀ならな。というかそもそも麻雀なら準決勝まで当たらない相手なんだが…」

淡「水泳か~私の水着姿が拝めるなんて、今頃お茶の間は狂喜乱舞だね」アワッ

堯深「水着…」ずーん

菫「まぁまだまともな競技で助かったな、照。…照?」

照「」

菫「どうした?カメラも向いて無いのに営業スマイル貼り付けて。…!」はっ

たしか記憶だと白糸台って清澄とインディアンポーカーで戦って負けたんじゃ?

淡「まさかテルがトンカチだったとはね~」

菫「カナヅチな。まぁ麻雀以外は基本ポンコツなやつだから意外性は無いが…」

照「菫にポンコツとか言われたくない」ムゥ

淡「体型は一番泳ぎに向いてそうなのにね」あははっ

照「…………」ずびしっ

淡「あぅ」

堯深「誠子ちゃん。詳しいルールはどんな感じになってるの?」

亦野「メドレーリレーだね。バック、ブレ、バッタ、フリーの順番の一般的なメドレーリレー」

>>33
気のせいです☆

菫「ブレ?バッタ?」

亦野「ブレは平泳ぎ、バッタはバタフライのことです」

淡「へー。詳しいですね、流石短髪」

亦野「短髪関係無いだろ」ムニムニ

菫「あぁ、じゃあバックは背泳ぎでフリーは自由形のことか」

照「4つ…ということは?」

亦野「いえ、今回は変則ルールでもう一個ポジションを付け足しての5人メドレーリレーをやるそうです」

照「なんだ…」シュン

亦野「一応私達が素人の女子高生であることを考慮して、距離は一人50メートルと短めですけどね」

堯深「…素人なこと考慮するなら、バタフライをやれとか言わないでほしいよね」ハァ

菫「全くだな」ハァ

照「10人が一斉に泳いで、上位5人にだけポイントが入るとかなら良かったのに…。先に4人ゴールした方が勝ちとか」

亦野「ミニ四駆の世界戦じゃないんですから」アハハ…

堯深「…でも実際、宮永先輩が泳げないんじゃ勝ち目は無いですよね。ここは棄権するのも一つの手では?」ズズズー

淡「えー!そんなの有り得ないって!戦う前から負け認めるとか私絶対ヤだからね!」

淡「それに向こうにだってテル並のクギ抜きが居るかもしれないじゃん!」

菫「打つ場所を間違えるな。…まぁ、これは淡の言う通りだな」

菫「ここまで注目されている以上今更逃げる訳にもいかないし、やると決まったことをやるだけだ。なぁ照?」

照「………うん」

照「私達は西東京の代表として此処に居るんだから、少なくともその責任は果たさないとね」

淡「さっすがテル―!それでこそだよっ!」ダキッ!

   ピピピッ

亦野「協会からメールですね。あ、5つ目のポジションが何をするかが決定したみたいです」

菫「今決まったのか。ホントやっつけ仕事感が溢れてるよな…」

亦野「5つ目のポジションは…!こ、これは……!!」

淡「なになに?ぷっ!あははははははっ!」ケタケタ

堯深「これなら…」

菫「あぁ。何とかなるかもしれない…!」

照「?」

全国高校生麻雀大会 二回戦

白糸台高校(西東京)vs千里山女子高校(北大阪)

対戦種目『競泳(メドレーリレー)』


菫「…つくづく、意味が分からない表記だよな」ハァ

堯深「この大会中、何人が同じ感想を持ったんでしょうね」ズズ…

淡「私達はあと三回位は同じこと思うことになるんだろうね~」

淡「種目発表と試合に一日開いたお陰でテルの特訓も出来たし、良い風が吹いてるよ!」

亦野「一日開いた理由は、当日じゃプールを抑えられなかったからという運営の都合だけどね」

セーラ「ホント、雑な仕事してるよなぁ」

菫「!」

照「千里山の皆さん…」

セーラ「おはようさん、チャンピオン」

竜華「お久しぶりやね」

菫「あぁ。スプリングの時以来だな」

セーラ「その時の借り。いや、それ以外も山ほど借りはあるんやけど…」

セーラ「それをまとめて返す機会が、こんなに早く訪れてホンマ嬉しいわ」ギラッ

菫「水泳で貸しを作った覚えは無いんだが…」

セーラ「………そのことは置いといて、や」

船Q「いやセーラ先輩。やっぱりこの状況でシリアスな空気作るのは無理ありますて」

泉「やってることは完全にギャグ展開ですもんね…」アハハ…

セーラ「うっさいわ!そんなん分かっとるけど一応やらな収まりつかへんやろ!」ぎゃーぎゃー

亦野「あはは…まぁ気持ちは痛い位に分かりますよ。私も念願のレギュラーになって初のインハイなのに…って思ってますし」

泉「ですよねー。全国に二条泉の名前を轟かせるつもりやったのになぁ…今年の一年最強はこの私やって」

淡「あははっ!面白いねそのギャグ」ケラケラ

泉「ギャグやと…?っ!お前、大星淡か!白糸台のルーキーの…」

淡「そだよー。今年の高校生の中で一番強くて一番可愛い大星淡ちゃんですっ」アワッ

泉「はっ。とんだビッグマウスの身の程知らずが居ったもんやな」

泉「表出えや大星。そこの控室で麻雀を…あでっ!」ポカッ!

セーラ「試合前に何をケンカ売っとんねん」

泉「セーラ先輩…だってこの一年が!」

船Q「泉も一年やろ。今からすぐに試合があんねんから、ケンカの決着は麻雀やなくて競泳で付けーや」

船Q「ウチらは麻雀部なんやから、な」フッ

怜「それ本来おかしなこと言ってるはずなんやけどなぁ…」ゴローン

竜華「あはは…まぁでも、参加してる他の高校はどこもこのルールを受け入れて」

竜華「一生懸命大会に臨んでるんやから、シード校のウチらがしっかりやらない訳にはあかんよね」

セーラ「そーいうことや。それでなくてもウチらにとって、アンタらは絶対負けたくない因縁の相手やしな」

セーラ「…あともう一個こんなトコで負けられへん理由もあるし」ボソッ

照「…………」

セーラ「互いに体力万全の初陣同士。真正面から全力でぶつかって屠らせてもらうんで、覚悟しといてや」

菫「――面白い。正直、結果はどうなろうが構わないと思っていたが…」

菫「そこまで当てられては、こちらも王者の意地を見せない訳にはいかなさそうだ」メラッ

淡「おースミレが燃えてる」

亦野「…そうだよね。水泳で負けるのは別に構わないにしても」

堯深「私達(白糸台)が千里山に負ける訳にはいかない……?」ウーン

菫「お互い、シード校の名に恥じない戦いをしようじゃないか」スッ

セーラ「勿論や。ま、良い勝負になるかどうかはそっち次第やけどな」ガシッ

    バチバチバチバチッ!

「おぉ…試合前から早くも火花が散ってるぜ」「流石は名門校同士…ライバル意識バリバリだぜ!」「どんな激闘が巻き起こるって言うんだ…!?」


佐藤「疑問の余地無く、二回戦最大の好カード」

佐藤「前年王者。西東京代表の白糸台高校と、全国ランキング2位。北大阪代表の千里山女子高校の試合が始まります」

佐藤「実況は私、佐藤裕子。解説は去年の新人王、戒能良子プロでお送りします」

戒能「よろしくお願いします」ペコッ

佐藤「対戦種目は『競泳』」

佐藤「具体的には、5人でのメドレーリレーでの対決ということになりましたね」

戒能「そうですね。それで先にゴールに辿りついた方が勝ちというシンプルなルールです」

戒能「実力のある高校同士の対決に相応しいイベントだと言えるでしょう」

佐藤「まぁその実力は麻雀での実力だと思うのですが…戒能プロは泳ぎの方はどうですか?」

戒能「嫌いではないですよ。子供の頃はよく海に潜っていたものです」

佐藤「なるほど。松山の天才海女少女として騒がれていたという噂は本当で…」

戒能「無いです無いです。ノーウェイノーウェイ」

   ザッ! ザッ!   ワアアッ!!

佐藤「あ、選手達が水着に着替えて出て来ましたね。観客席から歓声が上がりました」

戒能「普通に麻雀を打っていては見ることの無い姿ですからね。はやりさんの狙い通りの歓声でしょう」  

  
   ワアアアアッ!!……ワァッ…?………ワ、ワーーーッ!!

戒能「?なんでしょう、歓声の中に疑問の色を強く感じますね」ハテ

佐藤「いやまぁ、恐らくは…」アセ


菫「…水着になるのは競技が水泳な以上、仕方がないと覚悟していたが」プルプル

菫「何でこんなバラッバラな水着なんだ!全員競泳水着で良いだろう競泳勝負なんだから!」

淡「特にスミレのはヒッドいよね~。何その謎のツートンカラー」あははっ

堯深「誠子ちゃんは競泳水着に近いよね。良いなぁ…」ムギュ

亦野「堯深に良いなぁって言われてもな…」ずーん

照「うん……」

佐藤「資料が入ってきました。えー…協会からの強い抗議で、全員競泳水着での試合は却下されたそうですが」

佐藤「その代わりとなる水着を用意するのを直前まで忘れていた結果、あんな感じになっているようですね」

戒能「なるほど。私はてっきりはやりさんが選んだ水着なのかと思っていたのですが」

戒能「皆さんバラエティー豊かで、見た目にも楽しい試合となりそうですね」

佐藤「…基本ポジティブですよね、戒能プロって」


船Q「ほらほらいつまでも縮こまっててどないすんねん。一番露出度低いんやからええやろ?」ぐいぐいっ

セーラ「ひ、一人だけスクール水着とかこれはこれで恥ずいに決まってるやろ…///!そもそも人前で水着言うんが…」カアアッ

怜「さっきの啖呵は何やったんや。しっかりしー」ヨロッ

竜華「ひゃう!?と、怜ぃ!水着で急にもたれて来んでよぉっ!」アタフタ

泉「これホンマにインハイの試合なんですよね…?」

審判「それでは各チーム、第一泳者はスタート位置に付いて下さい」

菫「はい」

竜華「はい」

佐藤「メドレーリレーでは泳法の順番が決まっていて」

佐藤「第一泳者は背泳ぎ、第二泳者は平泳ぎ、第三泳者はバタフライ、第四泳者は自由形となっています」

戒能「自由形はクロールで泳ぐ選手が多いですけれど、名前通りフリーに泳法を選んで良いんですよね」

佐藤「そうですね。そして最後の第五泳者ですが…ふふっww」

佐藤「す、すみません。これは何と呼べば良いんでしょうね…」

戒能「熱い戦いの中に和みの要素があるアンカー勝負になりそうですね」


第一泳者(背泳ぎ)

白糸台 弘世菫 vs 千里山 清水谷竜華

亦野「先鋒戦からいきなり部長対決!」

船Q「どっちも三年生で黒髪ロングで主に先鋒のお世話関係での苦労人で、と共通点の多い二人やな」

船Q「あと……あれ?なぁ、そっちの部長さんてもしかして…」ゴニョゴニョ

淡「うん!私もビックリしたんですよ。まさかスミレが普段しこたまパッドを詰め込んでいたなんて…ww」フフッ

菫「なぁっ!?オイコラ淡!!根も葉も無いデマを…

審判「弘世選手!位置に付いて下さい!」

菫「ぐっ…す、すみません」

竜華(ふふっ何か分からんけど勝手に心乱してくれとるな)

竜華(水泳で一番大事なんは無駄な力を抜くこと。弘世さん、熱くなったアタマでそれが出来るんか?)フフフ

亦野「弘世部長、大丈夫でしょうか…」

照「大丈夫。ちゃんと本物だよ」

亦野「いやそんなことじゃなくて…」

照「それも大丈夫。普段はあんなだけど、菫はやるべき時にはちゃんと集中力を高められる子だから」

審判「それでは始めます!位置について!用意……」

菫「ふーーーーっ」キッ!

竜華「!」

     
 
       ピーーーーッ!!



菫「はぁっ!」ダンッ!

竜華「はっ!」ダンッ!

佐藤「両者良いスタートを切りました!」

佐藤「50メートル先に待つ仲間に先にバトンを渡すのは、果たしてどちらの部長か!」

戒能「どちらも良いフォームをしていますね。流石は最上級生、経験を感じますね」

菫「ふっ!ふっ!」バシャッバシャッ!

竜華「はっ!たっ!」バシャバシャ!

怜(…竜華はあれで、ちょっとアホなとこを除けば基本的には完璧超人や)

怜(過度の運動は太股に障るからウチが止めてるけど、フィジカルの質と運動神経はかなり良い方)

怜(未だ留まる所を見つけていないあの胸がハンデといえばハンデやけど、背泳ぎなら浮き袋の役割も果たすから)

怜(それほどのマイナスにはならへん(適当))

怜(まぁ何や色々考慮して、普通の女子高生が竜華に勝つのは結構ムズいはず…なんやけど)

怜「伊達に白糸台を率いてる訳じゃないっちゅーことか…」

    バシャッ!バシャッ!

佐藤「徐々に均衡が崩れて来ました!弘世選手がジリジリと清水谷選手を引き離して行っています!」

竜華(くっ…!弘世さん、試合が始まる時にはきっちり集中を高めてた)

竜華(その表情見てウチの方が心揺らしてたら世話ないで!気合入れんと!)

照「菫は弓をやってるからね。メンタルのコントロールに関しては全国でも有数だよ。あれで」

亦野「そもそも動揺させたのがウチの選手なのがアレですけどね…」アハハ…

セーラ(弓やってるだけあって、単純に背筋が相当鍛えられとるな)

セーラ(竜華も決して悪くは無いけど、泳ぎが若干窮屈そうや。これはまだ開くな…)


竜華(くぅっ!昔はもっと楽に腕が回ったのに!)

菫(不思議だ。いつもより軽い力で水を掻くことが出来ている。これなら…!)


二人の勝敗を分けた一因に、実は身に付ける水着が関係していた。

菫に与えられた白と紫を基調とした、絶望的なセンスのビキニは実は競技用の水着であり

巨乳に悩む水泳選手の為に開発された、胸を圧縮させて体に吸いつかせる効果を持つ新素材の代物。

今回の勝負に支給された水着は完全なランダムであり

最初に己の水着を見た菫は、大ハズレを掴まされたの苦い顔を浮かべていたが

その実、速さという一点においては大当たりの水着をツモる引きの強さを見せていたのである(見た目は置いておいて)

余談だが、この水着は使用後に若干胸量が微減するという副作用があるので

開発の中止と廃棄を求める投書と声も少なくない(特に近畿方面が多い)


佐藤「白糸台高校弘世選手!ゴールまであと4、3、2……付きました!第二泳者の渋谷選手スタートです!」

戒能「千里山との差は時間にして約7秒。まずは白糸台が大きく稼いで来ましたね」

佐藤「第二泳者は白糸台が二年の渋谷堯深選手。千里山は同じく二年の船久保浩子選手です」

戒能「泳法はブレ(平泳ぎ)。普通はあまりスピードの出ない泳ぎ方ですが」

戒能「それ故に、フォームのクオリティの差が大きく結果を左右しそうですね」

二年対決でメガネ対決となったこの次鋒戦は、フォームの無駄の無さで僅かに

そして抵抗力の少なさで大きく上を行った船久保が、じりじりと差を詰めて行く展開となった。

船Q(よっしゃ。射程圏内に入っ――!!)

だが、残り20メートルに入ったあたりで様相が変わる。

渋谷の泳ぎに、追い風に乗ったかのような+αの力が働き、前半とは真逆。船久保に詰められた差を

渋谷が少しずつ押し戻す流れへと変わった。

照「堯深…凄い」

亦野「水着になるのが嫌ってだけで、堯深は泳ぐのはむしろ得意な方ですからね」フフン

淡「ほらやっぱり何か変なの起こってる!堯深アンカーにしてたらもっと凄いことになってたんじゃない?」ワクワク

菫「別に何も起きてないだろ。馬鹿なこと言って無いで、ちゃんと準備体操しとけ」グイグイッ

戒能「渋谷選手を小さな波が後押ししていますね」

佐藤「え?」

戒能「それまでの距離が短かった分、本当に小さな波ですが…たしかに彼女はエネルギーを収穫しています」

戒能「体が温まった影響もあるでしょうが、これは凄い…。まさにハーヴェストです」

佐藤「よ、よく分かりませんが…渋谷選手がハーヴェストで差を戻しています!」


船Q(なるほどな…)キラン

次鋒戦は、驚異的な分析力で渋谷に働いている力を見破った船久保が

自身の体を白糸台のレーンに極力近づけることで、発生している微波を利用して最後に僅かに差を縮め

最終的には2秒程、千里山が白糸台との差を削るという結果に終わった。

第三泳者(バタフライ)

白糸台 亦野誠子 vs 千里山 江口セーラ


    ズバッ!!  バシャンッ!!


佐藤「は、速い!!両者共一歩も引かないデッドヒート!!」

佐藤「これが本当に女子高生雀士同士の水泳勝負なんでしょうか!」

戒能「今までの戦いとはレベルが違いますね…。互いにチームで頭二つは抜けているエース対決」

戒能「純粋な身体能力の高さは、インハイに出場している全選手の中でも屈指の二人…!それが直接対決で相見えるとは神も粋なことをするものです」

セーラ(こいつ…!!)

亦野(この人…!!)


       ((速いっ……!!!))


佐藤「亦野選手のスタート時にあった差は、江口選手の弾丸のような飛び込みとスタートダッシュで一気に詰まりました!」

佐藤「しかしそこから亦野選手が粘ります!気迫の泳ぎで一瞬も前を譲っていません!」


竜華「まさかあのセーラと肉体勝負で張る相手が白糸台に居ったなんて…」アセ

淡「亦野先輩ファイトー!!筋肉担当がこれで負けてどーすんの!!」

雅枝(他の泳法と比べ、バタフライという泳法は明らかに異質)

雅枝(難易度がケタ違いにハネ上がり、素人が真似しようとしても)

雅枝(まず、遅いくせに疲れるというゴミクズの様な結果に終わるだけや)

雅枝(故に、バタフライという泳法をきちんと身に付けている人間の数は、他の泳法とは比べ物にならない)

雅枝(だが千里山には、それ(江口セーラ)が居る)

雅枝(これは他の泳法で多少遅れを取ろうが、全く問題にしない圧倒的なアドバンテージになる)

雅枝「………筈やった」


亦野「だああああっ!!」ズバァッ!!バシュッ!!


雅枝(―――亦野誠子。身体能力は流石にセーラには劣るとはいえ)

雅枝(水というものに対する信じ難い程の理解力で、その差を埋めている)

雅枝(二年生。こんな奴をこのインハイまで隠していたなんて、白糸台というチームはどこまで……)

亦野(千里山の元エース、江口セーラ)

亦野(エースの座は園城寺怜に譲ったとはいえ、その火力は全国でもトップレベル)

亦野(未だ千里山の実質的なエースと呼ぶ声も多い、本物の一流選手だ)

亦野(…恐らくは今の私でも、稼ぎ合いになったら勝つのは難しいだろう。だがそれは、麻雀での話だ!!)ズバアッ!!!

淡「あはっ☆」

菫「亦野が体半分抜け出した!!」

亦野(私は白糸台のフィッシャー!!釣りを極める為には、己の体の弛まぬ鍛錬!そして水というものへの理解が必要不可欠!)

亦野(鍛え上げたこの体と水への理解!麻雀と違い、それを万全に生かせるこの勝負で私が――)


       亦野「負ける訳が無いっ!!」バシュウッ!!

  

淡「ひゃっほー!亦野は二度伸びるっ!」ピョンッ

泉「ぐっ…。セーラ先輩っ……」じっ

   ズバシュッ!  バシュン!!

セーラ「っ」ピクン  

セーラ(――あ?何や泉。その心配そうな目ぇは(見てへんけど))

セーラ(まさかお前……


      (――オレがこのまま引き下がるなんて思うてへんよなぁ!?)ニヤァ!!  ガバッッ!!


泉「!」

亦野「――っ!」ゾクリ

「おおおおおおっ!!まだ伸びる!!」「また並び返した!!江口セーラも負けてねえ!!」「まだ底を隠していたのか!?」

泉「セーラ先輩っ!!」ぱああっ!


セーラ(お前がオレの心配するなんて十年早いわ!!全部信じてこの背中についてくればええねん!!)

セーラ(ここは全国の舞台で、俺は三年。最後のチャンスや)

セーラ(この状態のオレが、後に続くお前に――)


セーラ「トップ以外でバトン渡す訳無いやろぉっ!!」シュバアアッ バジャンッ!!!


佐藤「江口選手!!これはかわしたか!?しかし亦野選手も勢いは衰えていません!」

佐藤「最後までデッドヒートのまま、バトンは第四泳者の大星選手と二条選手へ繋がれます!!」

雅枝(セーラがリードを奪われたまま、泉にバトンを渡すことはまず有り得へん)

雅枝(ここでウチが逆転するのは必然や…けど、亦野が相手では作れるリードは有って無いようなもの)

雅枝(対戦種目が決まった時に得た、勝利への確信は霧消した。こうなったら後はもう……)フゥ

雅枝(泉。怜。二人の勝負根性に懸けるだけやで!)


菫(江口セーラの無駄に無尽蔵な体力は知っていたから、いかに亦野といえど楽に勝つことは出来ないだろうとは思っていたが…まさかここまでとはな)

菫(このバケモノを相手に微差で抑えているのだから、ある意味では計算以上と言えるかもしれないが)

菫(これで試合前に皮算用していた勝機は全て白紙。相手の残り2人の実力も見えないし、確証はゼロだ)

菫(もう後は…ただ信じるしかない。淡と照なら…きっと勝てると!)

  
   バンッ!  バンッ!

「壁に手を付いたのはほぼ同時っ!」「勝負はふりだしだ!」「どっちが勝ってもおかしくないぞこれ!!」


第四泳者(自由形)

白糸台 大星淡 vs 千里山 二条泉


  バッ!  ダッ!


佐藤「当然ですが、第四泳者の二人もほぼ同時の飛び込み」

戒能「ルーキー対決ですね」

佐藤「どちらも綺麗な飛び込み。これは良い勝負に…

   グラッ

泉(な!?)

淡「ふふっ」ニヤリ


   ビターーーン!!!(腹打ち)

   

泉「あづっ!?」


佐藤「おっとこれは何が起こったのでしょうか?直前まで綺麗なフォームだった二条選手が」

佐藤「突如バランスを崩し、盛大な腹打ちを見せてしまいましたが…」

戒能「セーフティゾーン…」

佐藤「え?」


菫「絶対安全圏…まさか競泳でも有効とはな」

菫「さすがウチの部でもオーラスの尭深しか破れない能力なだけはある」フフフ

淡(ん…なんか菫あたりに変なフラグ立てられた気がする)ピクリ バシャッ!

淡(ま、そんなもんに振りまわされる私じゃないけどね)

淡(あの大阪の一年、貧乳の上に競泳タイプの水着だし、素の泳力勝負ならちょっと分が悪かったかもしれないけど)

淡(不意打ちで出だし引力攻撃食らわせれば、せいぜい溺れないようにするのが精いっぱいでしょ)フフッ

佐藤「対照的に、大星選手は勢いのある飛び込みからぐんぐんスピードを上げて行きます!」

淡(少なくとも、亦野センパイが詰められた分の倍は取り返してあげなきゃね♪)

淡(私ってホント出来る後輩だな~)クルッ 

   ターン!

淡「!」

泉「ああああっ!」ゼェゼェ  ザバッザバッ!

淡(コイツ…!もうこんな所に!)

25メートルを泳ぎ終え、ターンをした淡の視界に入って来たのは

予想していた地点よりもずっと前を泳ぐ泉の姿だった。

淡(なんで?私の絶対安全圏はちゃんと機能した筈なのに…)

淡(まさかコイツもさっきの二人並の筋肉馬鹿だったの?)


泉(危なかった…。船久保先輩から聞いてなかったらホンマに溺れるとこやったな)

~回想~

泉「大星淡の牌譜?麻雀だけは絶対にやらへんのですし、そんなん今更…」

船Q「そう言わず聞きーな。これまでの試合を見た所、麻雀での能力やプレースタイルが他の競技でも表れてる選手は少なくない」

船Q「そして強力な能力を持ってる奴程、その度合いが強いんや。この大星なんてとびっきりやで」ピラッ

泉「自分以外の配牌をほぼ必ず五~六向聴にする絶対安全圏…?んなアホな」

船Q「白糸台は勝ち進めばいつか必ず戦う相手や。そん時に泉が大星と戦ることになったら」

船Q「競技が何にせよ、スタートは特に警戒して気合入れとくことやな」

泉「スタート…」フム

船Q「そこで何とか出来れば――」

~回想終わり~

泉(――ホンマに一年最強になることができる)ギラッ
 
泉(正直かなりきっつい一撃やったけど、体のダルさももう消えてる。これなら…!)

竜華「行ったれ泉ーー!!」

セーラ「まだまだ捕まえられんでー!!」

泉(ふふっ全く、頼もしいなぁ。ウチには信頼出来る先輩が沢山居る)

泉(私はただ…全力で前傾するだけや!)

佐藤「出遅れた二条選手が追い上げて来ています!力強いクロール!」

戒能「ほう…一年生でレギュラーを掴んだだけのことはありますね」

淡「まさか追い付くつもり?舐めんなっての!!」ゴゴゴゴ ザバッ!バシュッ!

佐藤「しかし大星選手も負けてはいません。後半に入ってペースは更に上がっています!」

戒能「ターンの直後の伸びは凄かったですね」


淡「テルー!」バンッ

「白糸台が先にアンカーに渡った!」「後半の加速で前半のリードを辛くも守りましたね」クイッ「このまま逃げ切れるか!?」

淡「ごめん!もっとぶっちぎりで勝って、テルに楽させてあげようと思ったのに…」

照「大丈夫。任せて」バシャバシャ

照のスタートから遅れること3秒、千里山のアンカーの怜もスタートする。

泉「頼みます、園城寺先輩!」

怜「任せとき~」バシャバシャ


   バシャバシャ  バシャバシャ


菫「…………それにしても」

竜華「シュールな絵やね…」アハハ…


第五泳者(アンカー)

白糸台 宮永照 vs 千里山 園城寺怜

対戦泳法『うきわバタ足』

つづく

~永水女子・宿舎~

初美「何とか二回戦を突破することができましたね~」

巴「そうですね。とりあえずはシード校の責務を果たせられたという所でしょうか」

春「劔谷高校…強いチームだった」ポリポリ

霞「『漢字書き取り対決』…相手校に帰国子女の子が居たのはラッキーだったわね」

初美「まぁウチにも姫様が居ますからそこはチャラですけどねー」フフフ

小蒔「う…あっ!い、今テレビで白糸台と千里山の試合をやってるみたいですよ」ポチッ

春「逃げた…」

霞「これは…水泳の勝負かしら?」

巴「競泳の、メドレーリレーをやっているみたいですね」

春「今泳いでる子…白糸台の一年生大将、大星淡」ポリサク

初美「泳ぎ勝負ですかーウチがこの種目にならなくてラッキーでしたね」チラリ

小蒔「わ、私だってうきわがあれば泳げますっ!」

巴「いや競泳勝負でうきわは普通駄目なのでは…えっ!?」


佐藤「白糸台のアンカー、宮永照選手スタート!アンカー勝負の泳法は『うきわバタ足』対決です!」

戒能「和む絵になりましたね」ホッコリ


小蒔「ほらっ!これなら私も自信あります!」キュッ

霞「そうね、小蒔ちゃんバタ足は上手だものね」ナデナデ

初美「何というか…ホントこれ何の勝負なんでしょうねー」アセ

佐藤「両校共、アンカーは(麻雀の)エースを出してきました!」

佐藤「大激戦となったこの戦いも残るは後50メートル!決着は間近です!」


セーラ「しかしまぁ大勢に見られてんのに、高校生がうきわ付けてガチでバタ足とか相当恥ずいよなー」

船Q「せやから私は泉にやらせるつもりやったんですけどね。園城寺先輩が自らアンカーやるて言ってくれたんでこうなったけど」

竜華「まぁ怜のことやから一番楽なの選んだだけやろうけどね」アハハ…

竜華「でも向こうは何でチャンピオンなんやろ?下級生も居るのに三年自ら…」

船Q「もしかしてカナヅチなんちゃいますw?」

竜華「まっさかー」あはは

セーラ「いや…あながち間違ってなさそうやで、それ」

竜華「へ?」

照「………っ!」バシャバシャバシャバシャッ

 ざわざわざわざわ…  どよどよどよどよ…

「どういうことだ…?」「何が起こっているんだ……?」「王者特有の舐めプか何かか…?」

佐藤「こ、これはどういうことでしょう!?」

佐藤「高校生一万人の頂点に立つ王者、宮永照選手が完全に停滞!全く前に進んでいきません!」

佐藤「これは何かの作戦なのでしょうか…!?」

戒能「見事な程バタ足が全く推進力に繋がっていませんね…」

戒能「最初の一局は様子見に使うプレースタイルが関係しているのかもしれません」


菫「…本番になれば何か起こるかと思ったが、やはり駄目だったか」

淡「フツ―なら1回ごとにバタ足の威力上がるとかになりそうなのにね~」

亦野「それは普通なんだろうか…」

尭深「本当に絶望的な迄に水との相性が悪いんでしょうね」ズズズ…

菫「過去に何かあったんだろうか…」フム


怜(チャンピオンは何を遊んどるんや…?)バシャバシャ


照がほぼ同位置でバシャバシャやってる間に、病弱だけど別に運動神経が悪い訳ではない怜があっさりと追い抜く。

それを見て観客の心にも(チャンピオンはガチでやってアレなのでは?)という懸念が産まれ

このまま怜が圧勝して、千里山が二回戦を突破するかと思われた―――が


照「はぁっ…はぁっ!」バシャバシャバシャバシャ!

怜「っ!」ずずっ


アンカーにバトンが渡ってから15分後、未だ決着は付いていなかった。

 
  ざわざわざわわわ……  どよよよよどよよよ……

佐藤「会場は異様な雰囲気に包まれています。それもそのはず、白糸台高校vs千里山女子高校という好カードのこの一戦」

佐藤「試合開始から既に20分以上が。というかバトンがアンカーに渡ってから15分以上が経過しているというのに」

佐藤「未だ決着がついていません…!一人僅か50メートルのスプリントレースが、まさかの長期戦に持ち込まれています!」


怜「しんど……」プカプカ

照「………っ!!」ギュルルル バシャバシャバシャバシャ!!


竜華「と、怜ー!ファイトやでー!」

淡「テルー今15メートルくらい進んでるよ!あと35メートル頑張って!」

亦野「作戦通り?ですね」

菫「相手選手には気の毒だがな」


~回想・昨日~

亦野「えぇと、もっと足をピンと伸ばして…?」

菫「まさかここまでの筋金入りのカナヅチだとはな。五種目目がうきわバタ足勝負だと見た時はイケると思ったが…」

尭深「沈みはしてませんから、うきわの意味はあるんですけどね」

淡「うーん。ちゃんと足は蹴れてて、フォームは悪くないのになんで進まないんだろうね?逆に凄くない?コレ」

菫「バタ足にフォームも何も無いけどな。基本的に運動神経は鈍いとはいえ、呪いでもかけられてるかのようだ」

淡「ちょっと横で一緒に泳いでくるね!」ザブーン

菫(右手のスクリューも発生してるのに…そのエネルギーはどこに消えてるんだ?)フム

淡「テルー。バタ足はこーやって…ってアレ?」バシャバシャ

尭深「どうしたの?淡ちゃん」

淡「いや何か、押し戻されて全然前に…ていっ!」

菫「!」

~回想終わり~

菫(理屈は全く分からんが、照から発せられている波、いや渦が)

菫(近づいた相手を照の方向へ引き寄せている)

菫(その引力は本気の亦野でやっと抜け出せる程…。照の絶望的な水との相性は、対戦相手にまで悪影響を及ぼす!)


怜(もう軽く1キロ泳いでる位の気分やのに…何やこれ)ゼェゼェ

怜(どんだけトばしてもチャンピオンの網から逃げられへん。まるでアリ地獄や…)ゼーハー

セーラ「…監督」

雅枝「あぁ…」

佐藤「普段の明るく社交的な姿と、試合中の機械のようなクールな姿のギャップが魅力と言われている宮永選手ですが」

佐藤「この試合ではまた新たな姿が見られていますね。まさか…その」ゲフンゲフン

戒能「そうですね。完璧超人のイメージを持っていた人も多いと思いますが、彼女も我々と同じく苦手分野を持つヒューマンだということなのでしょう」

戒能「麻雀で無類の強さを持つからと言って、水泳でもそうとは限らない」キラン

佐藤「いやまぁ、当たり前なんですけどね」


照「ふー………」ギュルルルル バシャバシャ


亦野「…しかしコレ、ホントいつ決着が付くんでしょう?」

菫「少なくともあと30分は見ておいた方が良いだろうな」

淡「じゃあ私ジュース買って来るね~」タタタッ


しかし菫の予想は外れ、決着の時は意外と速く訪れた。

勝負のターニングポイントは14分20秒後。照が29分を費やして25メートルを泳ぎ切り

壁に手を付いてターンをした――その瞬間だった。

怜(――――今や!!)ズババババシャバシャ!!

菫「しまっ…!」

怜が行ったのは、照が壁に手を付いた瞬間。進行方向を変えるまでの数秒の空白の時間を狙ったアタック。

渦が消えている凪の合間に、残る体力の全てを振り絞って、渦の有効範囲から逃げ切るのが怜の狙った策だった。

未来視により、それを完璧なタイミングで成した怜は照からの決死の逃亡を開始する。


怜(体力的にもチャンスは一回こっきり!ここで頑張れば後は竜華の…!)


疲労で狭くなっている怜の視界に映るのは、自分を心配そうな顔で見つめている竜華の膝。

渦を抜け出した先の未来を見据えて己を鼓舞し、千里山のエースは全力を振り絞る。


怜「ぐっ…!」ずずっ

照「させない……」ギュルルルルルル!!! バシャバシャバシャバシャ!!!


しかし相手は全国王者。勝負所の気配を敏感に察知し、これまで異常に大きな渦を展開し

怜の予想を越えていたそれは、ギリギリの所で有効射程に怜を捉えた。

怜(くっそ!チャンピオンかてずっと泳ぎ通しで疲れてるハズやのに…)ギリ バシャバシャ!!

竜華「もうっ!なんでチャンピオンはあんなんずっと張ってられるん!?」

船Q「…殆どはあの右手のスクリューから出てるものっぽいですからね」

船Q「あれが自動発動だとすれば使う体力はほぼゼロ…加えてチャンピオンの体の水抵抗の無さは全国屈指」

船Q「スタミナ切れの可能性はほぼ皆無でしょうね…」

竜華「ぐっ…!」

セーラ「頑張れ怜!それ以上少しでも引きこまれたら終わりや!」

船Q「チャンピオン本体が近付いてくる前に逃げなアウトです!もがいて振り払ってください!」

竜華「怜ぃーーー!!!」

怜の苦闘を見て、千里山の面々から悲鳴のような声援が投げかけられる

怜(そうや。渦の発生源であるチャンピオンが近付けば、当然ウチを引き込む力も強まる)

怜(現状維持のままでも待ってるのは死…。早く…!!)

淡「体弱そうな感じだったのに、なかなか粘るね」

菫「体力が乏しいのは事実だろうがな。今は精神力だけで持っているという感じだ」

菫(敬服に値する…が、これ以上は事故が起きかねない。早く楽にしてやれ、照)

  ググッ  グググッ…

佐藤「ターン後のアタックで、謎の渦から抜け出そうした園城寺選手」

佐藤「しかしあと少しの所でそれは阻まれ、除々に飲み込まれてしまっていっています…!」

戒能(宮永選手自身の速度も僅かに上がっている。止めを刺しに来ましたね)ゴクリ


怜(も……う……あかん……。みん……な………ごめ……)フラッ

 

―――「ときシフト…?」


怜「―――っ!!」

意識を失う寸前、怜が見た映像は仲間との思い出。

苦楽を共にし、元は三軍の凡人である自分の為に嫌な顔一つせず尽力してくれたチームメイトの姿。

応えたい。自分出来ることは、皆の為に千里山を勝利に導くことだけ。

そして今もう少し頑張ればそれが成せる。

全国二位の千里山の悲願。白糸台の打倒に――もう自分は手を掛けている。


     「じゃあ――寝てる場合じゃないわなぁ!!」カッ!!!


照「!!」


―――ワアアアアアアアッ!!!

佐藤「な、何とぉーー!!!園城寺選手!ここでまさかまさかの再加速!!」

佐藤「先ほど江口セーラ選手を思わせる様な爆発的な急加速で、一気に渦を抜け出しました!」

菫「な!?」

泉「やった!!」

セーラ「しゃああああっ!!!」ぐっ!

竜華「怜ぃっ!!!」ぶわっ!!

亦野(ただ火事場の馬鹿力で脱出した訳じゃない)

亦野(今の水の動き……まさか、渦の流れの法則性を読んで、脱出に向かう向きの流れに体を沿わせて)

亦野(追い波にさせた…!?バカな、こんな不規則な渦の流れを利用するなんて、そんなの未来でも見えていないと――!!)

亦野「園城寺怜…一巡先を視る者……!!」

「千里山が完全に渦の有効射程から抜け出した!」「カナヅチのチャンピオンは成すすべ無し!」「白糸台敗れるーー!!!」

波乱の成就を感じ取った観客達の歓声が上がり、会場をどよめかせる。

万雷の拍手と共に、各所で涙をすする音すら聞こえることが、怜の成した偉業を象徴していた。

照「…………」シューン バシャバシャ

菫「………ふー」

尭深「残念…でしたね」

菫「まぁいいさ。悔いの残る負けでも無いし、むしろ負けたことを誇っても良い位の相手だった」

菫「願わくば勝負は麻雀でしたかったが…この勝負も決して悪くは無かったよ。癪だけどな」

亦野「そう…ですね。私も、何故か晴々とした気分です」

淡「ぶー。私はまだまだ全っ然満足なんかしてないからね!協会脅して敗者復活やってもらおーよ!」

菫「やめろ。折角照のボロの露呈もこの程度で済んだんだから…ん?」
  
   ざわざわ…  どよどよ…

菫「なんだ?このどよめきは」

亦野「園城寺さんがまだゴールしてないからじゃないですか?ほら、あと少しの所でまだ止まってますよ」

淡「なにそれ!まさかテルがゴールに近づいてから、笑いながらゴールする気?嫌み過ぎ!」ぷんすか

菫「それはお前がマリオカートでよくやってることだろ」ずびしっ

菫「大方、脱出に体力を使いきったから少し休んでるだけだろ。ほら、今動き出し――

    ………フラッ

菫「え?」



          バシャン



―――会場中の全ての人間が息を飲んで目撃したのは、横転して水しぶきをあげる園城寺怜の姿。

少しの間の後に、清水谷竜華による悲痛な叫び声が響き渡り、同時に千里山監督愛宕雅枝の手から、プール内にタオルが投げ入れられた。


北大阪代表 千里山女子高校 全国高校生麻雀大会 ―――二回戦敗退 

白糸台二回戦編終了。
カメラは再び宮守女子高校に移り、生き残った8校による準々決勝が展開されます。

『なんという劇的な…いえ、悲劇的な結末でしょうか』

  『ゴールまでの距離は僅か8メートルでした。千里山高校アンカー園城寺怜選手、無念のリタイヤ』

  『文字通り死闘となった頂上決戦を制したのは、王者白糸台高校です』


胡桃「騒然としてる感じがこっちにまで伝わってくるね…」

塞「そりゃあ……ねぇ。私達が言うことじゃないけど、ホント漫画みたいな結末……」

姉帯「あ、園城寺さん命には別状無いんだって。よかったー」ほっ

エイス「ウン、アンシンシタ!」

シロ「何故水泳でそんなことを心配することに…」ダル…

塞「まぁ麻雀で死にかけるよりはある話だろうけどね」

トシ「ふむ。恐らくこの試合は、実質は千里山の勝ちだったとか色々言われるだろうけど」

トシ「私に言わせれば、相手の死力を使い切らせる程に追い詰めた、宮永照がやっぱり凄かったって所かねぇ」

胡桃「最後渦を抜けたのは、体力を奪い切ったから放っただけってことですか?」

トシ「そこまでは言わないけどね。ただ、これだけ千里山勝利への流れが吹いていながら、結局勝ったのは白糸台」

トシ「圧倒的に勝つよりも、空恐ろしいものを感じたのは事実だよ」

塞「全国二連覇は伊達じゃないってことですね」

塞「麻雀はやらないとはいえ、強者はあくまで強者」

塞「最初はどうにかやる気を奮い立たせる為の詭弁だと思ってましたけど…だんだん本当にそうなんじゃないかって思えて来ましたよ」

トシ「ふふっ。つまり、ここまで残ってるアンタ達も本当に強いってことだよ。胸を張りな」

姉帯「えへへー。ありがとうございますっ!」

胡桃「この白糸台と私達が今同じステージに居る…か。なんか全然ピンと来ないよね」

シロ「そりゃやってること全然違うし…スポーツっていう共通点はあるけど」

塞「ひっろいなぁ。共通点の範囲」ハァ

胡桃「そうえば、ベスト8ってもう出揃ってるんだっけ?」

姉帯「えっとね……あ、他の会場も全部試合終わってる!順番に名前言ってくね」

エイス「ジャア、ワタシガカク!」


豊音が読み上げた、全国高校生麻雀大会二回戦を終えて生き残っている高校は以下の8校。


北海道代表 有珠山高校    西東京代表 白糸台高校

東東京代表 臨海女子高校   長野代表 清澄高校

広島代表 鹿老渡高校     福岡代表 新道寺女子高校

鹿児島代表 永水女子高校

塞「そして我らが岩手代表、宮守女子高校ーっと」

胡桃「こう名前が並ぶと流石に壮観だね」

シロ「…ホントに麻雀の有力校がそこそこちゃんと残ってるんだね」

シロ「シードもシード同士で潰し合った千里山を除けば、全部勝ち上がってるし」

胡桃「流石に全部そうって訳じゃないけどね。長野の清澄と、北海道の有珠山は初出場校らしいし」

塞「まぁでもその二校を除けば、麻雀で決めたベスト8って言われても違和感無いのはホント凄いよね」

シロ「…三校じゃなくて?」

塞「私達が麻雀でベスト8に入るのはトーゼンでしょ」ふふっ

エイス「トーゼン!」カキカキ ドヤッ

胡桃「トヨネはどこと戦いたいとかある?」

姉帯「やっぱり神代さんの居る永水女子かな!」

姉帯「あ、でもちゃちゃのんのサインも欲しいし、宮永照さんのも辻垣内さんのも欲しいから…」エットエット

胡桃「目的はそれかい」ビシッ

塞「あはは。シロはどこと戦いたいとかある?」

シロ「別に…やらなくていいならどこともやりたくない」ダルー

塞「勝ち進んでんだからやらなくていい訳ありますかっての」

シロ「…出来るだけやりたくない所ならあるけどね」ハァ

塞「へー。どこ?やっぱり白糸台?」

シロ「さぁねぇ……」

塞「………?」

シロ「ま…無茶だけはしないようにね。心も体も無事で岩手に帰ることが何より…」フワァ…

塞「何を縁起でもないことを。ていうか毎度毎度危ないことやってるのはシロの方でしょーが」

シロ「…………」ムゥ

塞「そういうのもう絶対駄目だからね?何を心配してるのか知らないけど」

塞「私達はチームなんだから、辛い事や怖い事は五人で分け合って皆で対策を考える。分かった?」

シロ「…了解」

塞「素直でよろしい」フフッ

塞「それさえ忘れなければ、私達はどこが相手でもきっと勝て――

姉帯「えー。でも宮永照さんのサインは絶対欲しいよー」

胡桃「しょーがないなぁ。じゃあ塞を人身御供にしてあのドリルを抑えて、後は私達でどうにか…」

塞「っておいいいいいぃっ!?」がびーん

シロ「……………」

エイス「シロ、ドウシテワラッテルノ?」

シロ「ん……。いや、なんか」



        「負ける気がしないなぁって思ってね」



それから数分後、準々決勝の組み合わせが発表され
宮守女子高校の対戦相手は>>156 競技種目は>>161に決定した。

新道寺

障害物競走

展開が見えない…。上下のどっちかにしても良いでしょうか…?

↓5票で多数決

1.仕方ねぇなぁ

2.許さん。安価は絶対

本当に申し訳無い。
レースもの連続(三度目)はキツかったです…。

このレスのコンマ偶数→ドッヂ 奇数→じゃんけん

全国高校生麻雀大会 準々決勝

宮守女子高校(岩手)vs新道寺女子高校(福岡)

対戦種目『ドッヂボール』


塞「ドッヂボールねぇ。また何というか…」

胡桃「まさかの三連続スポーツもの。しかも全部微妙にマイナー気味な」

姉帯「なんか私達結構それで話題になってるみたいだねー」あはは

姉帯「無駄に熱過ぎ!とかやる競技間違って無い?とか言われてるらしいよー」

塞「そりゃやる競技は全体を通して間違ってるだろうけどさ…」アハハ…

エイス「ドッヂボール!タノシミ!」ウキウキ

トシ「おや、エイスリンも知ってるのかい?ドッヂボールを」

塞「あぁ、私達5月にクラスマッチでやったんですよ」

姉帯「楽しかったよね!一日ずーっと体育なんてちょーお得だよー」

シロ「同意…」ダル…

胡桃「シロはずっとサボってただけでしょ。部室で寝てるの見つけた時は呆れたよ」

トシ「ほう、それじゃあ一日の長があるという訳だね」

塞「とは言っても、日本の学生でやったこと無い人はまず居ないスポーツですからね」

胡桃「それでいて、小学校以降にスポーツとしてやってる人もそう居ないし」

胡桃「公平性って点では、かなり適した種目なのかも」

シロ「…胡桃もだいぶこの大会に慣れた感じだよね」

塞「そして、相手校は福岡代表の新道寺女子高校と。たしか野依プロの母校だったっけ?」

姉帯「うん。長年北部九州最強って言われている、かなりの名門校だね」

姉帯「ベスト8にはほぼ常連。反面、準決勝で敗退することが多くて、決勝戦からはかなり長い間遠ざかってるよ」

胡桃「ん…?あ、そうか。麻雀は4校でやるからそうなるのか」

塞「それならベスト4を掛けたこの試合には、かなり強い思い入れがありそうだね」

塞「…麻雀以外のことでベスト4に入りたかった訳じゃないと思ってなければ」

シロ「まぁ…ここまで残ってる訳だし、その辺りは割り切ってるんじゃないの」ダル…

姉帯「ちなみに1回戦は『海釣り』で群馬の倉賀野に勝利、2回戦は『熱湯風呂CM対決』で岡山の讃甘に勝ってるらしいよ」

エイス「ネットウブロ…?」

すばら「大会も6日目。いよいよ大詰めという雰囲気が漂ってきましたね」

哩「本当に強かチームしか残れん段階に入っとーからな」

哩「こいまでの相手が楽やった訳ではなかけど、こっから先は競技のレベルが一つ上がる」

哩「気ぃば引き締めとかんと、あっという間に流れば持って行かれてしまうけん。花田も気ぃ付けるとよ」

すばら「はい。任された役割をしっかりと務め上げてみせます!」すばらっ

哩「……ばってん、そいはあくまで私がこいまでに出た麻雀の話やから」

哩「こん大会に当て嵌まるんかは知らんけどな…」ずーん…

すばら「…………」アセ すばら…

哩「本当に…私のこん三年間は何やったんやろ…」トオイメ

姫子「お、落ち込む必要は無いですよぶちょー!二回戦を勝てたのはぶちょーのお陰じゃないですか!」

哩「あんな笑いモンにされて、何が勝ちとや…」

仁美「いや大体の人は笑うより引いとったけどな。あまりの耐久力と謎の笑顔に」チュー

哩「…………」ずずーん

美子「だ、大丈夫だよ。引かれた半分は横で悶え転がってた姫子によるものだろうし…」

姫子「それフォローになってなかです!」

すばら「ま、まぁその件については以前やった部活紹介の練習が活きて良かったってことにしておきましょうよ」すばらっ

哩「部活紹介……」ずずずーん…

仁美「花田もナチュラルに傷を抉るとね」チュー

すばら「それにたしかに今まではイロモノ的な種目だったかもしれませんが」

すばら「今回の勝負は至極正統派のスポーツ対決!しかも相手はここまで二連続でスポーツ種目を制しているチームです!」

すばら「これならば、熱い戦いと達成感のある勝利を得られること間違い無しですよ!皆で頑張りましょう!」

哩「花田……」じーん

仁美「まぁ文字通り熱い戦いなら二回戦でもしたんやけどね」

美子「今はそういうこと言っちゃ駄目やって」

哩「過去は過去。今は目の前の勝負に全力を尽くすだけぞ!」

姫子「その意気です!ぶちょーカッコ良い!」

すばら「すばらです!」すばらっ


胡桃「何か向こう盛り上がってるね。凄い気合い…」

塞「微妙な種目で勝ち上がって来てるとはいえ、やっぱり油断は禁物だよね」

姉帯「釣りと熱湯CMで勝ってるんだから、凄く根気強いチームなのかもしれないよね」

シロ「私もそこは自信あるよ…」

塞「シロは動くのがめんどいだけでしょーが」

みさき「準々決勝第一試合は10分後に開始します。選手の皆さんは所定の位置に付いて下さい」


胡桃「おっとお呼びだね。皆ルールは大丈夫?」

姉帯「クッション制…だったっけ?当たっちゃっても他の人が捕ってくれればオーケーっていう」

塞「正確にはノーバウンドで捕れば、ね。そしてもしそれを捕り損なったら、最初に当たった人と一緒にアウトになる」

シロ「ま、一般的なルールだよね。変わってるのは…」

エイス「バック!」

塞「そうそう。外野に出たプレーヤーも『バック』と宣言すればコートに戻ることが出来る」

塞「ただし使えるのはチームで1回のみ。誰がどこで使うかがポイントだよね」

胡桃「外野から当てても復活は出来ないんだよね。普段より大分短期決戦になりそうだよ」

シロ「早く終わる方が楽で良い…。外野は任せてね」

塞「勝手に任せられるな」ガシッ

とんでもなく間が開いて申し訳無い。
見えないゴール目指すので、また給水を頂けると嬉しいです。

胡桃「大体クラスマッチの時と違って人数少ないんだから、むしろ外野の方が忙しいくらいでしょ」

白望「むぅ……」ダルー

姉帯「最初から外野の人が使っても「バック」は減る訳だし、誰にするかは結構重要だよね」フムゥ


仁美「時間制限無しで、全滅した方の負け。分かりやすくてよかね」チュー

美子「外野から当てても内野に戻ることは出来んから、アウトにならないことに気を配らんとね」

哩「ばってん、攻めないことには絶対に勝ちは転がってこん。姫子」

姫子「はい!私とぶちょーの絆の力を見せてやりましょう!」

すばら(私は私の役割を貫く…!そして新道寺に勝利をもたらしてみせます!)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom