男「何泣いてんだよ」幼馴染「だって…」グスッ(29)

幼馴染「男がいなくなっちゃったから…うう」グスン

男「本当泣き虫だな、お前」ハハ

幼馴染「泣き虫じゃないもん!男の馬鹿馬鹿ー!」ポコポコ

男「いたいいたい」

幼馴染「うわああああん!ずっと寂しかったよ」ポロポロ

男「ごめん、もっと早く見つけてやればよかったな」

幼馴染「ううん、その前に離れないで、もう二度と離れないで!」

男「そっか、そうだな、うん」ニコ


男「小学生の俺と幼馴染、二人で祭りにいった時に人混みの中ではぐれてしまった。
しばらくしてかき氷の屋台の隣でうずくまって泣いている幼馴染を見つけた。
その時、幼馴染が泣いているのを見たのは50回目になった」

高校2年生、春。


幼馴染「おはよー!」

女子「おはよう」

幼馴染「」キョロキョロ

幼馴染「あっいた…おはよー!」

男「おはよー」

幼馴染「早速ですが今日ヒマですかー?」

男「あー悪いんですが今日は部活動がありまして、申し訳ない!」

幼馴染「あらーそれは残念です、帰宅部なのに活動があるなんて!」

男「帰宅部だって、毎日無事に家に帰るっていう活動があるんですよー?」

幼馴染「へえそうですかー…つまり私と遊ぶより帰りたいってこと!?」

男「え?いや別にそういうわけでは」ニヤニヤ

幼馴染「っ~!もう知らない!」フンッ


男「そういや最近記録延びないな…」

幼馴染「…何の?」

男「泣き虫幼馴染の」

幼馴染「言っときますけど、私はもう昔とは違いますから」

男「へえ、始業式早々遅刻しそうになって泣いてたのに?」

幼馴染「だ、だってあれは!」

男「まあ昔ほど泣かなくはなったけどな…机にハエがとまっただけで号泣とかあったよな」

幼馴染「虫は苦手なの!」

男「とにかくお前も帰宅部なんだから無事に家に帰れよー?」

幼馴染「なんか話変わってる!」

男「無事にな!」

幼馴染「なんで無事を強調するの!?」

男「今の季節は虫がいっぱいいるからさ」

幼馴染「…一緒に帰ろうよ、おねがい」

男「上目づかい攻撃は俺には効きませーん」ニヤ

幼馴染「むー分かったよ!もう一人で帰るよ!」フンッスタスタ


友「あれー?また喧嘩してんのー?」

男「いや、別に喧嘩じゃねーよ」

友「分かった痴話喧嘩か、そういえばいつものことだったぜっ!」

男「俺とあいつは別に友達以上の関係ではないぜっ!」

友「そうかいっ!」

男「そうでいっ!」

アハハハハハ

女子「あいつらバカか…」

昼。


幼馴染「…………」

男「おーい幼馴染、一緒食べねーの?」

幼馴染「……食べない」プイッ

男「あらら、怒ってる?ね、怒ってる?」

幼馴染「怒ってないよ!……怒ってない」プイッ

男「一緒食べたくなったらこっち来ていいんだぞ~?」

幼馴染「…………」

友「はやく食べようぜ、男ォ…腹減ったよ」

男「分かった」スタスタ


幼馴染(へっ…男も何だかんだいって私がいないと寂しいのかあ)ニヤニヤ

女友「幼馴染ちゃん…何にやけてるの?」

休み時間。


幼馴染(ドキドキ…ドキドキ…)


男「み、右足が疼く…駄目だ、まだ抑えるんだ!くう…っ!」

男「…的な?」

友「いいね!それそれ!」


幼馴染(何の話をしてるんだろう…)


男「右足の親指が痒い…ダメだ!まだこらえるんだ…くう…っ!」

男「…的な!?」


キンコンカンコン

幼馴染(…あれ?休み時間終わっちゃった…男、話しかけてこなかったな)

幼馴染(午前中の休み時間はずっと話しかけてきたのに…)シュン

放課後。


幼馴染「…………」チラ

男「~♪」ガサガサ

幼馴染「…………」ジーッ

男「ん?」チラ

幼馴染「!」フイッ

男「…………」

幼馴染「…………」チ、チラッ

幼馴染「!!!」キョロキョロ

幼馴染「ちょっ、帰るのはやっ!」

帰り道

男「…………」スタスタ

男(んーと…帰ったらまず冷蔵庫を開けるじゃん?)

…スタスタ…

男(で、おいしい牛乳プリンをリビングで食べて部屋行くじゃん?)

…スタスタッ

男「?」フイッ

男「…………」

男「気のせいか…」スタスタ

男(部屋に行ったら何しよっかな…やっぱゲームかな…)

スタスタ

男(んー、妹の勉強見てやった方がいいかな…母さんにも言われたし)

スタスタ

男「…………」ピタッ

スタスタピタッ

男「誰?」フイッ

「!」フイッ

男「何だ、お前かよ…ストーカーかと思った」

幼馴染「…え?な、何?」アセアセ

男「まじ怖いから、後ろつけてくるのやめてくれや」

幼馴染「え?別に、つけてたつもりないよ?ただ私の歩く先に男がいるだけ」

幼馴染「虫が怖いとか一人で帰りたくないとかじゃないよ?」アセアセ

男「あー…ま、それもそっか。家同じ方向だしな」

幼馴染「う、うん」

男「…………」スタスタ

幼馴染「…………」

男「何やってんだ?本当は一緒帰りたいんだろ?」

幼馴染「え!?ち、違うもん!」

男「俺、帰ったらゲームやろうと思うんだけど…一人じゃ難しいんだよね~」

幼馴染「…仕方ないなあ、そんなに来てほしいなら私が行ってあげる!」

男「…………」スタスタ

幼馴染「…………」スタスタ

男「幼馴染~」

幼馴染「な、なに?」ビクッ

男「夏……」

男「夏になったらさ……おm」

ガキ「やーい!カップルカップルー!」ヒューヒュー

男幼「誰がカップルじゃああああああああ!」ゴラァ

ガキ「ヒエー」ダーッ

男「所詮ガキだなっ」クスクス

幼馴染「ふふっ、だなっ!」クスクス

幼馴染「それで?さっき何をいいかけてたの?」

男「え?あー……夏になったら……」

男「おっぱーい触らして」ニコッ

幼馴染「うん、いいよ!って言うわけないでょーが!」

男「冗談だって」ハハ

男「幼馴染のちっぱーいなんて興味ありませーん」

幼馴染「んーもう!今日は帰る!」

男「またなー」

幼馴染「馬鹿っ」プイッ


幼馴染(……本当は何をいいかけたんだろ?)

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