凛「え、凛のファン?」 (56)
中学生「は、はいっ! 私、μ’sのPVを見て以来、ずっと凛さん一筋なんです!」
凛「ほんと? そんなこと言われたのはじめてだから照れちゃうにゃー」
真姫「物好きな子もいるのね」
凛「むー……真姫ちゃんってばその言い方はひどいにゃ」
真姫「事実じゃない。……って、花陽?」
花陽「え、あ…な、なに?」
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真姫「いや、ぼけっとしてたけど、大丈夫?」
花陽「あ、うん……平気、だよ」
真姫「ふーん…」
中学生「あの、それで、これ、凛さんに…」オズオズ
凛「わ、もらっていいの?」
中学生「はい、ぜひ。あの、私の手作りクッキーなんですけど、よかったら食べてください」
凛「おー、凛クッキー好きだから嬉しいにゃ」
真姫「まぁ凛は魚以外なんでも食べる雑食だしね」
凛「真姫ちゃんさっきからうるさいにゃ」
真姫「うるさいって…」
凛「とにかく、ありがと! 大事に食べるね!」ニコッ
中学生「っ…/// こ、これからも応援してます! 頑張ってください!」ダダダッ
凛「あ……す、すごい勢いで走ってったにゃー…」
真姫「そりゃまぁ、好きな相手にあんな風にお礼言われたらね」
凛「え?」キョトン
真姫「自覚ないのね…」
花陽「……」ムゥ
真姫「花陽、顔」
花陽「えっ? か、顔、変だった?」
真姫「眉間にしわ寄りかかってたわよ」
花陽「あぅ…」
凛「かよちん、どうかしたの?」
花陽「あ、ううん…別になんでもないよ」
凛「?」
真姫「……」
◆
花陽「ね、ねぇ、凛ちゃん」
凛「んー?」
花陽「さっきもらったクッキーなんだけど…」
凛「あー、中学生の子の。可愛かったにゃー」ホワン
花陽「……やっぱり嬉しい?」
凛「そりゃ応援してもらえるのは嬉しいにゃ。かよちんだってそうでしょ?」
花陽「それは、そうだけど……、……うぅ…」
凛「かよちん?」
花陽「……凛ちゃん」ギュ
凛「にゃ? かよちんから手つないでくれるなんて珍しいね」
花陽「………嫌?」
凛「そんなわけないにゃー。凛は、かよちんがすることならなんだって嬉しいんだよ!」
花陽「凛ちゃん…」
花陽「……あ、あのね、凛ちゃん」
凛「んー?」
花陽「ずっと、その、一緒にいてね。花陽と」
凛「ふぇ?」
花陽「…」ドキドキ
凛「もちろんだよ!」ニコッ
花陽「!」パァッ
凛「もーかよちんってば今更そんなこと言わなくったって、凛はずーっとかよちんと一緒にいるにゃ」
花陽「凛ちゃん……、ありがとう」
凛「よく分かんないけど、どういたしましてー」ニコー
◆
凛「あ! あれって真姫ちゃんじゃない?」
花陽「ホントだ。登校中に会うなんて珍しいね」
凛「だねー。よし、ちょっと行ってくるにゃ!」
花陽「え? あ、凛ちゃん…」
タッタッタッタッ
凛「まっきちゃーん! おはよー!」ガバッ、ギューッ
真姫「ひゃああぁっ!?」
凛「にゃー、真姫ちゃんの声かわいー」
真姫「り、りりり凛! いきなり抱きついてきたらびっくりするじゃない!///」
凛「いや、驚かせたくて、つい」
真姫「まったく……。あ、花陽おはよう」
花陽「おはよう真姫ちゃん」
凛「真姫ちゃん、凛にはおはようって言ってくれないの?」
真姫「さっさと離れて」
凛「けちー。こうなったら学校まで真姫ちゃんと腕組んでいくにゃ!」ギュー
真姫「もう勝手にして…」
花陽(真姫ちゃん、いいなぁ…)ハァ
真姫「……」
◆
花陽(花陽と凛ちゃんはもうずっと昔からのお友達で、勝手に一番近しい存在だって思ってたけど…)
花陽(μ’sに加入してから、凛ちゃんは少し変わったと思う)
凛「あ、穂乃果ちゃーん! 希ちゃーん!」
穂乃果「あ、凛ちゃん! それに花陽ちゃん!」
希「二人も今から部室?」
凛「うんっ、今日も練習楽しみだね~」
穂乃果「そうだね~。でもあんまりキツくないといいなぁ…」
希「海未ちゃんがいる限り、その願いは難しいやろうなぁ…」
凛「海未ちゃんは鬼教官だからにゃー…」
穂乃果「あはは、それ海未ちゃんが聞いたらすっごい怒りそう」
希「笑いごとやないと思うけどね」
花陽(穂乃果ちゃんや希ちゃんみたいな、一緒に全力ではしゃげるお友達ができて)
凛「あ、絵里ちゃーん、海未ちゃーん」タタッ
絵里「ああ、凛。…って、廊下は走っちゃダメよ」
凛「ごめんなさいにゃ。二人でなにしてたの?」
海未「今日の練習メニューを考えてたんですよ」
凛「えっ……り、凛、今日はあんまり厳しいのは嫌だにゃー、なんて…」
絵里「ふふ、そう言われると、厳しくしたくなるわね」
凛「え、絵里ちゃんも鬼だったにゃ…」
海未「あの、凛。絵里“も”というのは、どういうことですか?」
凛「あ、あはは! なんでもないにゃ!」
花陽(絵里ちゃんや海未ちゃんみたいな、尊敬できる先輩ができて)
ことり「あ、凛ちゃーん」
凛「にゃ? ことりちゃんに…にこちゃん? なんか不思議な組み合わせ…」
にこ「たまたまそこで会ったのよ」
ことり「で、ついでに次の衣装のことで話をしてた最中だったんだよ」
凛「次の衣装ってもう決まってるの?」
ことり「ううん、まだ構想段階。あ、凛ちゃんも何か要望とかアイディアがあったらどんどん教えて」
凛「ほんと!? じゃぁカッコよくて可愛い衣装がいいにゃ!」
にこ「超アバウトな意見ね…」
遅レスで申し訳ない
次から定番の名前の子が出るタイトルはフルネームにしてみる
凛「だって凛、お洋服には詳しくないんだもん」
にこ「まったく…それでも女子高生なの?」
凛「むー、にこちゃんにだけは言われたく無いにゃー」
にこ「どういう意味よ」
凛「だって、にこちゃんって中学生みたいだし」
にこ「なんですって!?」
ことり「ま、まぁまぁ…」
花陽(ことりちゃんやにこちゃんみたいな、気兼ねなく話せる先輩ができて)
花陽(……それから、真姫ちゃん。花陽と凛ちゃんの中に自然に入ってきて、まるで何年も前から友達だったみたいに仲良くなれたお友達)
花陽(みんなのおかげで凛ちゃんは変わった。……きっと、いい意味で)
花陽「……花陽の心が狭いだけなのかな…」
◆
凛「んーっ、今日も楽しかったねー」
花陽「うん、そうだね…」
凛「にゃ? かよちん、なんか元気ない?」
花陽「う、ううん、そんなこと…」
凛「…なら、いいんだけど……。なにかあったら絶対、凛に言ってね」
花陽「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
凛「むぅ……かよちんの元気がないと凛まで悲しくなるんだにゃー!」ギューッ
花陽「きゃっ……、もう…凛ちゃんってば…」
凛「だから、かよちんはずっと元気でいてくれないとダメなんだよ」
花陽「…うん、分かってるよ凛ちゃん」ナデナデ
凛「えへへー」
花陽(ねぇ凛ちゃん。凛ちゃんは花陽と違って、明るくて活発で人を惹きつける力があって、きっとこれからもたくさんの人が凛ちゃんを好きになると思うの)
花陽(……それでも花陽は、凛ちゃんのそばにいてもいいのかな…)
凛「…かよちん?」
◆
凛「真姫ちゃん! 最近なんだか、かよちんの様子がおかしいんだにゃ!」
真姫「花陽の? ……まぁ確かにちょっとボーッとしてるわね」
凛「それに時々すっごく寂しそうな顔してるし……かよちん、なにかあったのかにゃ…?」
真姫「…花陽本人には聞いてみたの?」
凛「それとなく聞いたけど、心配しなくても大丈夫だよーって…」
真姫「じゃぁ大丈夫なんじゃない?」
凛「け、けど、気になるし…」
真姫「……というか、本当に気づいてないの?」
凛「え? なにに?」
真姫「いや……んー……じゃぁヒント。花陽の様子がおかしくなり始めたのって、いつから?」
凛「確か…一週間くらい前、かな」
真姫「その日、何があった?」
凛「なにって…………あ、凛がファンの子にお菓子をもらった?」
真姫「当たり」
凛「……それが、かよちんとなんの関係があるの?」
真姫「」ガクッ
真姫「ま、まぁそうよね……凛はそういう子よね…」
凛「にゃ?」
真姫「えっとね……たとえば、逆の立場になったと考えてみて」
凛「逆?」
真姫「花陽が、花陽のファンの子に手作りのお菓子をもらったの」
凛「うん」
真姫「それを嬉しそうに受け取る花陽。さあ、これを見て凛はどう思う?」
凛「かよちんが嬉しいなら凛も嬉しい!」
真姫(うーん…)
真姫「じゃぁ、もし花陽がそのファンの子のことを好きになっちゃったら?」
凛「え、自分を応援してくれる子のことを嫌う人なんているのかにゃ?」
真姫「凛……あんたってすごく純粋で良い子だけど、こういう話においてはその性格がただただ面倒くさいわ…」
凛「よく分かんないけど、なんか、ごめんなさい…?」
にこ「花陽ちゃんで例えるから分からなくなるのよ」ヒョコッ
真姫「うわっ、に、にこちゃん……いつからそこに?」
にこ「ついさっきだけど、大体なにを話してるかは察したわ」
真姫(変なところで察しがいいわね…)
にこ「つまりね、凛ちゃん、こういうことよ」
にこ「にこにーのことが大好きな真姫ちゃんがいました」
真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! なによその前提は!」
にこ「はい、真姫ちゃん黙って。凛ちゃんのためなんだから」
真姫「っ……、凛! 例え話なんだから、本気にしないでよ!」
凛「分かってるにゃー」
凛(真姫ちゃんがにこちゃんのこと好きなことは、みんな知ってると思うけど…)
にこ「じゃ、続けるわよ。けどにこにーはアイドルだから、ファンがたくさんいるわけよ。で、にこにーはそんなファンたちに優しく接するものだから、どんどんファンが増えていくわけね」
真姫(というか、自分で言ってて虚しくならないのかしら)
にこ「そんなある日、にこにーが一人の女の子に手作りお菓子をプレゼントされたの。にこにーはそれを笑顔で受け取りました」
にこ「けど、それを見た真姫ちゃんは何故か不機嫌になっちゃって、それ以降にこにーに冷たく接するようになりました」
にこ「さて、それは何故でしょうか」
凛「そりゃもちろん、真姫ちゃんが嫉妬したから、だよね?」
にこ「正解。じゃぁこの話のにこにーを凛ちゃんに、真姫ちゃんを花陽ちゃんにすり替えて考えてみなさい」
凛「えっと………、つまり、かよちんは嫉妬してる…ってこと?」
にこ「恐らくね。まぁ花陽ちゃんは真姫ちゃんと違って攻撃的じゃないから、冷たく接するというよりは、凛ちゃんとどう接したらいいか分からなくなりつつあるって感じかしら」
真姫「攻撃的って…、まぁともかく、私もそういうことだと思うわ」
凛「嫉妬、嫉妬かー……んー……?」
真姫「なんだか納得がいってないような顔ね」
凛「凛、長いことかよちんと一緒にいるけど、凛が嫉妬することはたくさんあっても、かよちんが嫉妬するなんてめずらしーにゃーって…」
真姫「あー確かにそうかもね。花陽の性格的にも」
にこ「そう? にこにはむしろ、花陽ちゃんの性格だからこそ嫉妬しそうだと思うけど」
凛「え?」
にこ「だってあの子、大人しくて控えめな子でしょ? 凛ちゃんみたいに態度に出せるタイプじゃないのよ、多分」
にこ「だからこれまでも、凛ちゃんが気が付かなかっただけで、結構してたのかもしれないわよ、嫉妬」
真姫「ああ、なるほど……確かにそうかもね。そもそも凛みたいに、あんなあからさまに嫉妬するほうが珍しいし」
凛「そうかなぁ……」
にこ「ま、あんまり考えても凛ちゃんには分からないと思うわよ」
凛「えー…どうして?」
にこ「友達が多いから」キッパリ
凛「そ、それとなんの関係が…?」
にこ「友達が多い子と少ない子っていうのはね、なんかもう考え方とかも色々違うのよ」
真姫「にこちゃんが言うとすごい説得力ね……私も人のこと言えないけど」
凛「そんなものなの?」
にこ「そんなものよ。それに加えて、凛ちゃんの頭じゃ理解するのは絶対無理」
凛「…なんか、それについてはバカにされてる気がするにゃ…」
にこ「事実、バカにしてるわ。グダグダ考えたって分からないんだから、凛ちゃんの場合は当たって砕けろ精神でいいのよ」
凛「当たって砕ける………うん、確かにそのほうが凛らしいかもしれないにゃ!」
凛「じゃぁ凛、早速かよちんのとこ行ってくるね! 真姫ちゃん、にこちゃん、ありがとう!」
タッタッタッ
にこ「はぁ……世話がやけるわね」
真姫「…にこちゃんって見かけによらず、しっかり先輩やれるのね」
にこ「褒めてんの? けなしてんの?」
真姫「半々ってところね」
にこ「あっそ。まぁ……真姫ちゃんも、なにか困ったことがあったらにこにーに頼るといいわ」
真姫「考えとくわ。……それより、誰がにこちゃんのことが大好きだって?」
にこ「あれ、違った?」
真姫「違うに決まってるじゃない。誰がにこちゃんのことなんか…」
にこ「そっかー……にこ、真姫ちゃんに嫌われてたんだ…」シュン
真姫「え、いや、別に嫌ってはいないけど…」
にこ「いいの、無理しないで。にこ、ちょっと傷ついたから希にでも慰めてもらってくるね…」トボトボ
真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 嘘、冗談だから! にこちゃんのこと、す、好きよ!」
にこ「ほんと?」
真姫「…ほ、ほんと」コクコク
にこ「よかったー! にこ、嬉しい!」ニコッ
真姫「っ///」カアアァッ
にこ(真姫ちゃん…こんなにちょろくて、よくこれまで生きてこれたわね…)
◆
凛「かよちん!」
花陽「え? ……あ、凛ちゃん…どうしたの?」
凛(やっぱり元気ない…)
凛「かよちんっ、あのね!」
花陽「うん」
凛「あの………」
凛「……」
凛(…………あぁっ! かよちんに会いに来たのはいいけど、なんて言うか考えてなかった!)
花陽「…凛ちゃん?」
凛「あ、ちょ、ちょっと待ってほしいにゃ。今考えるから!」
花陽「う、うん…?」
凛(真姫ちゃんとにこちゃんが言うには、かよちんは嫉妬してるらしいけど……でも、それってどうすれば解消されるんだろ…?)
凛(凛はかよちんが一番だよって言えばいいのかな……けど、そんなの毎日言ってるようなもんだし…)ウーン
花陽「……」
凛「……あ! 思いついた!」
凛「かよちん!」ガシッ
花陽「な、なに?」
凛「凛、かよちんの作ったお菓子が食べたい!」
花陽「…………え?」
花陽「えっと……いきなりどうしたの?」
凛「急にかよちんのお菓子が食べたくなったんだにゃ! 作ってくれる?」
花陽「い、いいけど……家に帰ってからでいい?」
凛「それはもちろん! あ、なんなら次の休みとか、その次の休みとか、空いてる日でいいにゃ」
花陽「うん…」
凛(かよちんの表情が晴れない…! やっぱりこれじゃダメだったのかにゃー…)
凛(気付かなかっただけかもって言われちゃったけど、凛の中ではかよちんが嫉妬してくれたことなんてないから、どう対応すればいいかさっぱり分からない…)
凛(…凛が嫉妬したときは、たいてい次の日になれば忘れちゃってたし…)ウーン
凛(………ダメだにゃ! 凛だけじゃ分かりそうにないし…みんなに相談してみよう…)
花陽(……凛ちゃん、急に黙っちゃったけど…何かあったのかな…?)
◆
凛「というわけで、助けてほしいんだにゃ!」バッ
穂乃果「凛ちゃん、とりあえず顔あげて」
凛「はいっ」バッ
ことり「それで、ことりたちに相談したいことっていうのが、」
海未「嫉妬してくれた友達を元に戻すためにはどうすればいいか…ですか?」
凛「うん!」
穂乃果「で、その嫉妬した友達って?」
凛「えっと……そ、それは匿名で!」
凛(かよちんに無断でかよちんの名前を出すわけにもいかないし…)
穂乃果「そっかー…」
ことり(まぁ花陽ちゃんだろうけど)
海未(まぁ花陽でしょうね)
穂乃果(誰なんだろー)
ことり「で、その子はどうして嫉妬しちゃったの?」
凛「えっと……凛がファンの子から手作りクッキーをもらっちゃったから……なのかな?」
ことり「ああ、なるほど」
穂乃果「え、それって嫉妬されるようなことなの?」
海未「まぁどう捉えるかは人それぞれですし」
ことり「そうだよ。ことりだって、穂乃果ちゃんや海未ちゃんが自分以外の誰かと仲良くしてたら、ちょっとヤキモチ妬いちゃうし」
穂乃果「なるほどー…」
穂乃果(よく分かんないけど…)
ことり「それで、今そのお友達はどんな感じなの?」
凛「えっと…なんだか少し元気がないというか……なにかに悩んでるような感じ、かにゃ…」
凛「凛がね、その子と他の子が仲良くして妬いちゃうことはたくさんあるの。だけど逆っていうのは初めてで…あ、もしかしたら初めてじゃないかもしれないんだけど」
凛「ともかく、どうしたらいいかさっぱり分からなくて…」
海未「ちなみに、凛が嫉妬したときはどうしていたんですか?」
凛「一晩たったら忘れてたにゃ」
海未「そ、それはすごいですね……」
凛「凛、バカだから。けど、かよち…じゃなくて、その友達はそうじゃなくて、ちゃんと色々考えてるから元気がなくなっちゃったのかなぁって…」
凛「しかもそれが凛のせいだと思うと…なんか凛まで落ち込んできちゃって…」シュン
海未「そう思いつめないでください」ナデナデ
凛「うん…ありがとう…」
穂乃果「んー、あのさ、凛ちゃんはそのお友達のことどう思ってるの?」
凛「もちろん大好きだよ」
穂乃果「だったらさ、それをそのまま伝えればいいんじゃないかな」
凛「伝えてるにゃ……いつも大好きだよーって。けどそれが当たり前になりすぎて、真剣にとらえてもらえてないのかなって…」
ことり「ならいつもとは違う言葉で伝えてみたら?」
凛「違う言葉?」
ことり「うん。こんなこと言ったら凛ちゃんに悪いけど、きっと凛ちゃんがその子に伝えた「好きって」言葉は、誰にでも言ってる好きなんだよ」
凛「誰にでも言ってる好き?」
ことり「凛ちゃんはμ’sや他のお友達や家族や、みんなのことが大好きで、それをみんなに伝えてるでしょ?」
凛「うん。凛、思ったことはなんでも言っちゃうから」
ことり「それはね、すごく素敵なことだと思うの。だけどきっとその子は、凛ちゃんの特別な言葉がほしいんじゃないかな」
凛「特別…?」
ことり「そう、特別。みんなに言ってる好きって言葉じゃなくて、自分だけに向けてくれる言葉がほしいんじゃないかな」
凛「けど、かよちんはそんなこと一度も…」
穂乃果(あ、お友達って花陽ちゃんのことだったんだ)
ことり「きっと言えないんだよ。凛ちゃんを困らせちゃダメだからって思って」
海未「そうですね。花陽は優しい子ですから。言いたいことを胸の中にしまいこんでしまって…それで元気がないのではないでしょうか」
穂乃果「じゃぁ凛ちゃんがするべきことは一つだよね!」
凛「でも、特別な言葉ってなんなのか、凛にはよく分かんないよ……凛はかよちんのこと大好きだけど、大好きって気持ちを大好きって言葉以外で伝えられるものなの…?」
ことり「確かに友達としての好きなら難しいかもしれないけど……凛ちゃんが花陽ちゃんのことを好きって思う気持ちは、それだけじゃないよね?」
凛「…………凛、誰にも言ったことなかったんだけど…なんでバレてるのかにゃ…?」
ことり「ことりね、昔から人の心を読むの得意なんだよ」
凛「そっかー……ことりちゃんにはかなわないなぁ…」
凛「確かに凛はかよちんのこと…その、特別な意味で好きだけど、告白する気とかは全然ないんだよ」
海未「どうしてですか?」
凛「だってかよちんのそばにいるだけですごく幸せだし、これ以上望んだらバチがあたりそうだし」
ことり「…はい、唐突ですがここで凛ちゃんに質問」
凛「にゃ?」
ことり「花陽ちゃんが凛ちゃん以外の人と付き合うことになったら、どう思う?」
凛「付き合う……って、恋人同士になるってこと?」
ことり「そう。凛ちゃん以外の人とデートしたり、手を繋いだり、キスしたり」
凛「それは…………、それで、かよちんが、嬉しいなら、凛も………」
ことり「本当に?」
凛「…………ううん。やっぱり…すごく、嫌…」
凛「かよちんの一番近くにいるのは凛でいたい…」
海未「なら、それが凛の本当の気持ちなんじゃないですか」
凛「けど、こんな勝手な思い、かよちんに知られたら嫌われちゃうかもしれないし…」
海未「凛が好きになった相手は、そんなことで人を嫌うような人なんですか?」
凛「…」フルフル
海未「だったら怖がることなんてありませんよ」
穂乃果「そうだよ。それに、私の目から見ても、花陽ちゃんと凛ちゃんは両想いだと思うよ」
海未「こういうことにはとことんニブい穂乃果が言うのですから、間違いありませんね」
穂乃果「む……海未ちゃんがそれ言う?」
ことり「そうだね。ニブさという面でなら、穂乃果ちゃんと海未ちゃんは同レベルだよ」
海未「穂乃果と同レベルですか…」ハァ
穂乃果「なにその溜息!」
ことり「あはは……」
ことり「とにかく、凛ちゃんのその気持ちをちゃんと花陽ちゃんに伝えてあげれば、きっとうまくいくよ」
凛「…そしたら、かよちんまた前みたいに笑ってくれるかな?」
ことり「うん。ことりが保障する」
凛「………じゃぁ凛、言ってくる!」
ことり「うん、頑張って」
海未「凛ならきっと大丈夫ですよ」
穂乃果「ファイトだよ、凛ちゃん!」
凛「うんっ、ありがとう三人とも!」
◆
花陽(凛ちゃん、急にお菓子が食べたいなんて、どうしたんだろ…)
花陽(けど、凛ちゃんにお菓子作るの、久しぶりだなぁ…)
花陽(……美味しいって思ってくれたらいいな)
ピーンポーン
凛「かよちーん!」
花陽「り、凛ちゃん?」ビクッ
タッタッタッ
ガチャ
花陽「ど、どうしたの、凛ちゃん。こんな時間に…」
凛「ごめんね。これくらいの時間なら夕飯も食べ終わってるかなーって思ったから…」
花陽「ご飯はもう食べ終わったけど…」
凛「ならよかったー……あ、ひょっとして今お菓子作ってくれてたのかにゃ?」
花陽「え、なんで分かったの?」
凛「んー、かよちんからいい匂いがするから」スンスン
花陽「っ……あ、あんまりかがないでね」
凛「いい匂いなのに?」
花陽「そ、そういう問題じゃなくて…/// と、とにかく、ここじゃなんだから、上がって」
凛「はーい。おじゃましますにゃー」
―花陽の部屋―
花陽「で、何か用だったの?」
凛「うん、かよちんに伝えたいことがあって」
花陽「伝えたいこと?」
凛「えっとね、凛、これから真剣に話すから、かよちんも真剣に聞いてほしいんだにゃ」
凛(…って、“にゃ”ってつけると真剣さが薄らいじゃうね)
花陽「う、うん、分かった。真剣に聞くよ」
凛「ありがとう。……あのね、凛は思ったことはなんでも口に出しちゃうし、誰にでもよくひっついたりするけどね」
凛「一番好きなのはかよちんだから」
花陽「……うん。花陽も凛ちゃんが好きだよ」
凛「いや、ちがくて……そうじゃないんだよ…」
花陽「…そうじゃないって?」
凛「凛の好きはね、友達としての好きっていうのも、もちろんあるんだけど……」
凛「それ以上というか……か、かよちんと、ずっと一緒にいたいの」
花陽「…それは花陽だって同じだよ。前も言ったでしょ? 一緒にいてほしいって」
凛「いや、それも違……くはない、けど………あーもーっ!」ギュッ
花陽「っ、り、凛ちゃん? ど、どうしたの、急に」
凛「凛は! かよちんのこと愛してるの! 恋愛かんじょーとかそういう意味で好きなの!」
花陽「………、え? え、そ、それって…///」
凛(よ、ようやく伝わった…)ホッ
凛「かよちん、好きだよ。凛の恋人になってください。それで、これからは恋人としてそばにいてほしい」
花陽「…………花陽でいいの?」
凛「かよちんじゃなきゃダメなの」
花陽「で、でも、花陽、凛ちゃんが思ってるような子じゃないかもしれないよ?」
凛「…どういう意味?」
花陽「凛ちゃんはいつも、花陽のこと可愛いって言ってくれるけど…」
花陽「花陽は、本当はいつも凛ちゃんのこと独り占めしたいとか思ってて、応援してくれてるファンの子とか、穂乃果ちゃんたちとか…真姫ちゃんにさえ嫉妬しちゃうような、最低な子で…」
花陽「凛ちゃんに好きだって言ってもらう価値なんて、本当はないんだよ…」
凛「もー! かよちんネガティブすぎるよ!」
花陽「ネガティブって……それは、そういう性格だし…」
凛「あのね! そもそも、好きな子にそういうこと思われて嫌がる人なんていないし、大体凛だってしょっちゅう嫉妬してるんだから、お互い様だよ」
花陽「けど、凛ちゃんは花陽と違って次の日にはすぐ元通りだし……正直、あんまり嫉妬してるようには見えなかったんだけど……真姫ちゃんとだって、すぐに仲良くなったし…」
凛「そりゃ凛はバカだから、一日で忘れちゃうんだよ。…それに、あんまりしつこくしてかよちんに嫌われるほうが嫌だし…」
凛「真姫ちゃんのことだって、かよちんと真姫ちゃんが本当にお互いのことを思い合ってるって分かったから。あと、真姫ちゃん良い子だし。それはかよちんも分かってるでしょ?」
花陽「うん……だからそんな真姫ちゃんにまで嫉妬しちゃう花陽は…」ズン…
凛「あーもー…かよちんは本当にめんどくさい性格だにゃ…」
花陽「め、めんどくさいって……うぅ…ごめんね…」
凛「いいよ、凛はそんなかよちんが好きなんだから」
花陽「っ……、り、凛ちゃんは、花陽にはもったいないよ」
凛「…そんな理由でフラれるのだけは絶対に嫌なんだけど」
凛「かよちん以上の人なんていないよ。凛にとってはかよちんが一番、かよちん以外の人とじゃ意味がないんだよ」
凛「…これだけ言っても、信じてくれない?」
花陽「………ううん、ごめんね、凛ちゃん……」
花陽「花陽も凛ちゃんのことが好きだよ……大好き」
凛「かよちん…!」パアァッ
凛「凛もかよちんが大好き!」ギューッ
花陽「うん……ありがとう、凛ちゃん。凛ちゃんが来てくれなきゃ、花陽はきっと勇気が出なかったから」
凛「それは凛も同じだよ。凛も色んな人に勇気をもらってここに来たから」
花陽「色んな人?」
凛「うん。まぁその話はまた今度するとして……ね、かよちん。かよちんの作ったお菓子が食べたい!」
花陽「随分といきなりだね…」
凛「だって凛、告白するんだーって思ったら緊張しちゃって、夕飯食べてないんだもん」
花陽「えぇっ!? そ、それならお菓子じゃなくてもっとちゃんとしたものを……」
凛「ううん、かよちんの作ったお菓子がいい」
花陽「ほ、ほんとにいいの? お腹すいちゃわない?」
凛「だいじょーぶ。それより今は、かよちんが凛のために作ってくれたものが食べたいんだにゃ」
花陽「凛ちゃん……/// じゃぁ持ってくるね」
凛「うん。…あ、そうだかよちん、ちょっと」オイデオイデ
花陽「? なに?」
凛「えへへ、大好きだよ、花陽ちゃん」
チュッ
花陽「っ……り、凛ちゃっ…///」
凛「かよちん顔まっかかー」
花陽「だだだって……! い、今、き、……きす…/// それに、名前…///」カアアァッ
凛「そ、そんなに照れられるとこっちまで恥ずかしくなってきちゃうにゃー…///」
凛「まぁでも、恋人同士なんだからこれくらいはいいよね?」
花陽「う、うん……///」
凛「……」
花陽「……///」
凛「…あの、ごめん。お菓子持ってきてもらっていいかにゃ?」
花陽「あ、そ、そうだったね/// ごめん、とってくる!」ダッ
パタン
凛「……や、やっぱりキスはまだ早かったかにゃ…」
凛「かよちん、すごい顔真っ赤だったし……うーん…まぁ可愛いからいっか!」
凛「あ、そうだ。真姫ちゃんとにこちゃんと、あとことりちゃんたちにちゃんとお礼のメール送っとかないと」ポチポチ
花陽「うううぅ……まだ顔赤いかな…///」
花陽(凛ちゃんってばいきなりキスなんて……いや、凛ちゃんが脈絡ないのはいつものことなんだけど…)
花陽(あああダメ、やっぱり恥ずかしいのが消えるまで部屋には戻れないよー…)
―――
――
―
ガチャ
花陽「な、長らくお待たせしてごめんなさい…」
凛「う、うん、平気だにゃー」
凛(あれから五十分くらいは経ったけど…)
◆
凛「真姫ちゃーん!」
真姫「あら、凛、花陽、おはよう」
凛「おっはよー」ニコニコーッ
真姫(凛ってほんと、分かりやすい表情してるわよね…)チラ
花陽「…///」カアアァッ
真姫(あ、こっちも分かりやすかった)
真姫「あー、その、おめでとう」
凛「うん、ありがとー。真姫ちゃんたちのおかげだよー」
花陽「り、凛ちゃんに聞いたの。真姫ちゃんたちが凛ちゃんの相談にのってくれたって……本当にありがとう」ペコリ
真姫「気にしなくていいわよ。その…と、友達でしょ///」
花陽「真姫ちゃん……! あの、なんか……本当にごめんなさい…」
真姫「なにが?」
花陽「い、いや、こっちの話…」
花陽(真姫ちゃんにも嫉妬してたなんて……本当に恥ずかしい…)
凛「それより、真姫ちゃんのほうも頑張ってね! 凛、なんでも協力するから!」
真姫「……なんのこと?」
凛「そりゃもちろん、にこちゃんとのこと!」
真姫「だ、だから私は別に、にこちゃんのことなんて…!」
花陽「真姫ちゃん」
真姫「な、なに?」
花陽「花陽が言うのもなんだけど、素直になるのが一番だと思う」
真姫「本当に花陽が言うのもなんね……」ハァ
真姫「………まぁ、いつかは二人に相談するかもしれないから、そのときは…その、よろしく」
凛・花陽「うんっ」
◆
凛「そうだ、かよちん。今日はかよちんの家にお泊まりしてもいい?」
花陽「うん、いいよ。明日は休みだし」
凛「わーいっ。せっかくだし、徹夜でゲームでもしよっか!」
花陽「う、うーん…ずっとゲームは眠くなっちゃいそうだけど…」
凛「そう? んー…あ! じゃぁ眠くなったら凛がちゅーして起こしてあげる!」
花陽「……あの、凛ちゃん…その冗談は本当に心臓に悪いからやめてほしいな…///」
凛「もー、かよちんは照れ屋さんだにゃー」
花陽「り、凛ちゃんが平然としすぎてるんだと思うけど…」
凛「そう?」
花陽「そうだよ……花陽ばっかりドキドキして、ズルいよ…」ハァ
凛「そっかー」
凛(かよちんには凛が照れてないように見えるのかぁ……うん、まぁそのほうが都合いいかにゃ。かよちんの前ではカッコよくいたいし)
花陽「……ね、ねぇ、凛ちゃん」
凛「んー?」
花陽「今日ね……ゲームして過ごすのもいいけど…」キュ
花陽「…せっかく恋人になったんだし、凛ちゃんとずっとくっついていたいなぁ、って…」
凛「……………」
花陽「だ、ダメかな?」
凛「いや…どう考えても、かよちんのほうが心臓に悪いこと言ってるよ…///」
花陽「え?」
凛(無自覚って恐ろしいにゃー…)
凛「よ、よーし! じゃぁ今日はくっついてゲームしよう!」
花陽「あ、ゲームはするんだね…」
凛「そりゃー凛はゲーム大好きだから! それに何もしないでかよちんとくっつくだけっていうのは色々と問題が…」
花陽「問題?」
凛「あ、あー! いや、なんでもない!///」
凛「そうと決まれば、ほら、かよちん!」ギュッ
花陽「え」
凛「お家まで駆け足でレッツゴー!」タッタッタッ
花陽「ちょ、ちょっと、り、凛ちゃん、引っ張らないでええええ!」
―終わり―
ご覧いただいた方がいましたら、ありがとうございました!
最後のほうの投げやり感がすごいけど……りんぱなとにこまきが好きすぎた結果、こうなりました
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