ヒストリア逃亡(8)
進撃SSです。
最新話までのネタバレあり
――新リヴァイ班 隠れ家
ヒストリア「…」
ザッザッ…
サシャ「おや、今日はヒストリアも見張り当番ですか?」
ヒストリア「サシャ」
サシャ「隣に座りますね」
ヒストリア「うん」
サシャ「…ユミルは無事ですかね…訓練生の頃は三人でよくいたから、何だか寂しいですね」
ヒストリア「うん…」
サシャ「…」
ヒストリア「…」
ヒストリア「でも…ユミルは、自分の意志で決めて向こうに行ったから…私達がどうこうする問題でも…無い気がする」
サシャ「…そうですね」
ヒストリア「…」
サシャ「…」
ヒストリア「サシャ…私、団長から聞いた。レイス家が本当の王家だって。だから、私を…今の王様と入れ替えて新たな女王にするって」
サシャ「…!」
サシャ「まだこんな年なのに…王様になれなんて無茶ですよね…」
ヒストリア「…でも、言われたらやるしか無いよ」
サシャ「嫌じゃないんですか?」
ヒストリア「わからない…私は今、自分のすべき事が…自分がなんなのかもわからない」
サシャ「…」
ヒストリア「だから、言われたらやるだけだよ」
サシャ「…」
ヒストリア「…」
サシャ「…この前の拷問、どう思いました?」
ヒストリア「…」
サシャ「そりゃ…方法が、あれしか無いとは言っても…それでもやっぱり、辛いです…」
ヒストリア「私もいい気分ではない…けど、今の私はそんな余裕が無い。クリスタの頃みたいないい子じゃないから…本当の私は、空っぽだから」
サシャ「私は、クリスタの優しさは嘘ではないと思ってます」
ヒストリア「…私には、自分の事もよくわからないよ」
サシャ「…やっぱり、ヒストリアは…こんな所にいるべきじゃありません……」
ヒストリア「え?」
ガシッ!
ヒストリア「サシャ…?何をする気なの?」
サシャ「…逃げましょう、ヒストリア」
ヒストリア「な、なんで?意味がわからない…それに、そんな事したらサシャが…」
サシャ「…やっぱり、ヒストリアは優しいじゃないですか」
ヒストリア「え?サシャ…なんでそんな事するの?」
サシャ「……だって…」
サシャ「可哀想じゃないですかっ!!!」
ヒストリア「え?」
サシャ「ヒストリアは…小さい頃も、愛されず育って邪魔な子として扱われ……今は、心を開けた友達もいなくなって、中央からは狙われて…更には王になれだなんて」
ヒストリア「…」
サシャ「なんで、なんでそんな目にあわなきゃいけないんですか!ヒストリアだって普通の女の子なのに…ずっと何かに縛られて、可哀想ですよ!!!」
サシャ「ヒストリアは普通の女の子として生きるべきなんです!!」
ヒストリア「…」
コニー「…騒がしいな、サシャ。ヒストリアを連れてどっか行こうってか?」
サシャ「あっ…」
ヒストリア「コニー」
サシャ「…自分勝手なのはわかってます。でも…私自身も、今の調査兵団のしてる事が正しいのか分からなくて怖いんです」
コニー「俺だって怖いよ…拷問なんかもするしよ。今の俺達は王政への反逆者だぜ」
ヒストリア「…」
コニー「…それに、村のみんなを巨人にした奴が憎い。ぶっ飛ばしてやりてぇ…でも、他の巨人も元は人間なのかと思うと…もうどうすればいいのかわからねぇよ」
サシャ「コニー…」
コニー「逃げるつもりならもっと静かにするんだな、サシャ。気づいたのが俺だけで良かったが」
コニー「…俺も行くぞ。もう何が正しいのかわからねぇ」
―――
エレン「…もう見張り交代の時間だぞ。サシャとヒストリアが帰ってこねぇ」
ミカサ「そういえばコニーもさっきまでいたのに見当たらない」
アルミン「何かあったのか?見てこよう…」
ジャン「おい、お前ら!」
アルミン「ジャン!」
エレン「どうした?」
ジャン「サシャもヒストリアもいなくなってた…それに、こんな紙が置いてあった」
アルミン「何か書いてある…」
リヴァイ「…ヒストリア、サシャ、コニーが逃亡だと?」
ジャン「はい、書き置きにそのような事が…」
エレン「はぁ…何やってんだよあのバカ共は…」
アルミン「…この前から少し思い詰めてたような顔してたけど…」
ミカサ「あの…兵長。彼らを探しに…」
リヴァイ「ダメだ。下手に動いて中央に見つかったら洒落にならん」
エレン「でも、ほっとくんですか!?」
リヴァイ「他の団員や駐屯兵団に捜索を頼んでおく。先に中央に捕まらない事を祈ろう」
エレン「…はい」
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