垣根「友達が欲しいんだが」(1000)

友人というものを持ちたい垣根帝督が一方通行といろいろやってなんのかんのする話なんや

ファミリーレストラン内は、適度な喧騒で賑わっていた。
親子連れに、カップル達。他愛ない事で騒いでいる学生達はその年相応にはしゃいで店内の活気の大部分を占めている。

そんな光景の中、異様な雰囲気を醸し出している二人組の姿があった。
店の扉を開けて右を向いた突き当たり、窓際の四人席に向かい合って座る彼らは和気藹々とした店内で珍しく揃って黙り込んでいた。
肩口まで伸ばした茶髪に制服のような服を着崩した軽めの装いの一人に対して、もう片方の男は上下黒色のイメージでで揃えられた服に脱色したかの様な白髪と透き通るような白い肌がひときわ際立っている。
身長差故かほんの少し見下すように眼前の白黒の少年を鋭い眼差しで窺う茶髪の少年。
それとは対照的に、白髪の少年は何か理解できない物を見るような視線で茶髪の少年を観察している。口が、開きっぱなしだ。
頭の中を整理するように瞑目した白黒の少年が、気だるげに一度閉じた口を再び開く所からこの物語は始まる――――

一方「――――てめェ今何つった。俺の耳穴がクソで埋まっちまってよォ、うまく聞こえなかったンだ」

垣根「だぁぁぁから、友達が欲しいっつってんだよ何度もいわせんなはずかしい」

一方「」

一方「ハァァァァ!? お得意のメルヘンお花畑ががとうとう脳ミソにまで侵食したんですかァァァ!?」

垣根「あれは俺の意思とは無関係な現象だと何度も言ってんだろう第一位! 俺の切実さ加減が理解できないのかよ!」

一方「時々ワラワラ群れてるお仲間は何なンだ。あいつらもオトモダチだろォが」

垣根「……あいつらはそういうのとはちげぇ。俺が力を持ってて、強くて、それに群がってくるだけだ。後は仕事の付き添いだけだな……そういうのとはちげえ」

一方「だからって、よりにもよって俺ンとこ来るかねェ普通。頭ン中も常識が通用しませんってか?」

垣根「来ちゃ悪いかよクソが! 相談しに来てるんだからハイ喜んでっつーのが筋ってもんじゃねえのか!!」

一方「……それで本当に友達作る気があンなら一目置いてやンよ。誇れよ第二位」

垣根「…………」

垣根「なんかやけに上から目線をくれてる所悪いがな、そういうお前に友達はいんのか?」

一方「ァ?」

垣根「お前だって似たようなもんじゃねえのかよ!」

垣根「立場、力、それに擦り寄ってくるウジ虫共! もっとこう色々あるだろ学園都市の陰惨たる部分の結晶染みた悲劇的エピソードが!」

一方「ちげーし、お前と一緒にすンなし」

垣根「あああ頭にくるわ……、第一位様は友達付き合いもナンバーワンですってか! 流石に優等生様は格が違った!」

一方「俺ァてめェと違って常識あるンですゥー、自分から態々群れン中突っ込んでお山の大将なんざごめンってだけだァ」

垣根「……? ああなんだ、やっぱお前も友達いないんじゃねえか」

一方「センセー垣根クンが今誰も触れてはならない逆鱗に触れましたァ、世の中には本当の事でも言って良い事と悪ィことがあるって教わっただろドカスがァ!」クワッ

面白そうじゃないか
しかし今垣根と一方狙われてるからな・・・
>>1頑張れ! 

>>5
ありがとう、全力で頑張る。書き溜めもしてあるけどその貯金を崩さないように書きながら書いてるからスローだけどごめんな!




垣根「だがよ、お前もまともに勉強して無いんじゃねえの? 能力開発ばっかで。歯が浮きすぎて空に飛ぶまで頑張っても、テメェが自分から勉学に励むタイプとは言えねえよ」

一方「演算関連と自分だけの現実を広げる意味での現象系は叩き込まれた。が、国語とかは手付かずってやつだ」

垣根「俺もだな。形式だけ入った小学校の教科書なんざ埃被って安らかにお休みだ」

一方「そういや俺ンちでも教科書が箱に入っておいてあったな……。たまたまこないだ家にあったごんぎつねとか言う糞くっだらねェ話を読ンだ」

一方「最後によォ、ごんぎつねは鉄砲で撃たれちまうんだァ、糞くっだらねェ理由でなァ。あんなくっだらねェ理由でなら最初っから銃なンざ振りかざすンじゃねェよ糞がァ」グスッ

垣根(おいおいこいつのがよっぽどメルヘンじゃねえか……純粋ってレベルじゃねえぞ……)

超期待

一方「それはそうと、さっきも言ったけどなンで俺ンとこ来たンですかァ?」

垣根「ああ、いや。た、大した理由じゃないんだがな? だろ?」

一方「俺に聞くなよ、俺は精神感応能力者じゃねェだろ」

垣根「だから、その……だな……」

垣根(お前なら俺よりつええから媚びる事もねえ、境遇も環境もわかるかもしれねから友達になってくれるかも……)

垣根「って言えるかぁぁぁああああ!!」バンッ

一方「……急にでけェ声だすなよ、ビックリすンだろ」

店長「申し訳ありませんお客様、他のお客様の迷惑になりますのでもう少し静かにして頂けませんでしょうか」

二人「「す、すンませンしたァ」」

一方「あーあ、怒られちまったじゃねェか。で、結局なンなンだよ」

垣根「あー、んー、あれだよ。お前から溢れ出る中二病オーラがな」

一方「中二病? なンだそりゃ」

垣根「知らないのかよ? 痛い奴の代名詞、か? 精神性のはしかみたいなもんだ、一遍かかると二度とかからねえ」

一方「(こいつ幽白読んだな……)……一方通行≒中二病=痛い奴 一方通行=痛い奴、ふーン、こういう事か」

一方「未元物質爆発しろよォ、今この場で」

垣根「いやなんつーかほら、変なポエム書き出したりとか、自分は理解されてないって思い出したりとか」

一方(…………あれェ?)

垣根「意味も無く孤独を好んだりとか、自分は特別な存在だとか思い始めたり、保護者の言うことにやけに反抗したり」

一方(お、おいおいおいィちょっと待って下さいよォ)

垣根「あとはそうだな……、他人に理解されないような奇抜な趣味を探したり、タバコとかコーヒーとかの大人の代表格みたいな嗜好品を好んだりな」

一方(ぜ、全段命中ゥ…………。一方通行=中二病確定か……、俺って痛ェ奴だったのかよ……)ズゥーン

垣根「その様子だと図星らしいな、俺もその意味では人の事言えた立場じゃねえ」

垣根「かくいう俺も若干中二病気味でよ……、ついこの間まで好きでもない翼を嫌々背負ってる自分かっこいいとか思って好きだった」

一方「それ矛盾してンよな」

垣根「おう。ふと気がついてから純粋に翼が嫌いになった。だってなんか痛いし。見た目が」

一方「得意の未元物質で何とかなンねェの?」

垣根「羽を消そうとする未元物質を出そうとすると羽が出て、その羽を消そうと未元物質出そうとすると羽が出て、繰り返してたらどんどん羽がでっかくなってった……」

一方「…………俺が悪かった」

垣根「羽がぁぁぁ、でっかっくなっちゃった! って出来なくもねえからいいよ」

一方「そォいやタバコは保護者に止められたンだ。ガキが健康に悪ィ事すンじゃねェってよ。だから吸ったことはねェ」

垣根「俺は吸ってて咽る事が三遍くらいあってやめた」

一方「何回挑戦したンですかァ?」

垣根「三回……、いや二回か?」

一方「なんで咽る回数より吸った回数のが少ねェンだよ、しかも毎回じゃン」

垣根「まあ最近学園都市でも喫煙者の肩身が狭くなってるからな、吸ってても得はないだろうぜ」

一方「うちのもヤニが高くなっただの何だのぼやいてたなァ」

垣根「ほぉ、保護者は咥えてんのかよ」

一方「家ン中じゃ吸わねェな。もっぱらベランダに行って吸ってる。ホタル族ってのか?」

垣根「んだよ、良い奴じゃねえか」

一方「………………」

垣根「まあ、お前に相談した理由だが。端的に言うと同類の空気を感じ取ったからだな」

一方「ないない、それはない」

垣根「断言するまでの速さが尋常じゃねえぞ……。そんなことはねえ、俺とお前はどこか似通ってる部分がある筈だ」

一方「俺とテメェがァ? 冗談もそこそこにしろよ三下ァ。どこのへンを同類項で結べるっつーンだよ」

垣根「……中二病とか?」

一方「俺に聞くンじゃねェ。あとその話題はもうかンべンしてくれ、なンだか心が痛ェんだ」

垣根「まあとにかく友達が欲しいんだ、速やかに何とかしろ。打開策を与えてくれても一向にかまわねえ」

一方「100%他力本願寺入りましたァー」

一方「そもそもがアレだァ、さンざ俺に喧嘩ばっか吹っかけてやがった奴が急に頼み事? ヘソが茶ァ蒸発させるぜ」ハッ

一方「いつから俺を笑い殺しさせる能力にシフトしたンですかァ?」

垣根(状況は芳しくないな……、このまま押してもキリが無い。ここは一つ押してだめなら……)


垣根「こっちにも事情が色々あんだよ、その上でお前に相談しに来てやったんだ。それともアレか? 第一位はこの程度の頼みも聞けないような器ちっちぇえ野郎だったのかよ」

一方「――――」ピクッ

垣根「あーあ、態々来て損しちまったぜ。こんなこったらその辺の野郎共に相談しといた方がよおっぽど有意義だったかもしれねえ」

一方「――――」ピクピクッ

垣根「テメェに期待した俺がメルヘンだったな、悪かったよつき合わせて」

垣根「……」チラッ

ちょっと連続で投下しといて風呂入ってくる。また帰って来るわ

かええーってきたぞー かええーってきたぞー
風呂上りの納豆は至高。続きを投下する

一方「よォォォォォォくもそこまで抜け抜けと上ン口からビチクソ垂れ流せたもンだな、下痢気味もいい加減にして下さいよォ?」

垣根(よぉぉぉしよしよし。――――しかしそれでいいのか第一位)

一方「この学園都市第一位、一方通行様が直々にテメェに友達ができるまでプロデュースしてやろォじゃねェか未元物質ァァァ!」

垣根「ん? 別に無理して頑張ってくれなくても構わねえよ」チラッ

一方「随分とこの俺の力を見くびってくれンじゃンよ三下ァァァァ! 友達百人でっきるっかなァァァァァァァ!?」ゴッパァァァァァ

店長「大変申し訳ございませんがお客様、もう少し(ry」

二人「「すンませンしたァ……」」





垣根「こうして一方通行による、垣根帝督の友達作ろう大作戦。その序幕が、粛々と開いたのである」

垣根「題して、野薔薇をプロデュース。ハッ、小説漫画ドラマアニメ映画化とメディアミックスして一世を風靡する光景が目蓋に浮かぶ。勿論主演俳優は俺だな」

一方「……アー、誰の何が野薔薇だって?」

垣根「それは言わぬが花、ってやつじゃねえのか」キラン

一方「花って程上品なツラかボケが、ボケの花でもボケっと眺めてろ」

垣根「ないわー、うわー今の一方通行ないわー」ドン引き

一方「ちっ、ちげェ! 今のはたまたまだァ!」

垣根「で、実際プロデュースは良いとして何をどうするつもりなんだよ。オラ、正解を言いたくて言いたくて仕方ない小学生みたいにさっさと答えな」

一方「今すぐテメェの首に乗っかってるサッカーボールをシュートしてェ」

垣根「ボールハトモダチ、トモダチ、ケル、ヨクナイ」

一方「ダチを作るには幾つかの行程が存在する。知り合う、過ごす、繰り返すだ。繰り返さなきゃ厚みが生まれねェし、過ごさなきゃ関係に幅ができねェ。第一、知り合わなきゃ何もできンって事だァ」

一方(って、木原クンが言ってたなァ多分)

垣根「ハイ、質問だ一方通行先生」

一方「なンですかァ未元物質クン」

垣根「そもそもどうやって知り合うんだよ」

一方「慈善事業じゃねェぞ、そン位は自分でケツ拭け。要介護のジジィでもあるまいし」

一方「ただ、残りン二つに関しちゃァなンとかなる。」

垣根「ほう、腹案がありますってか?」

一方「果てしなく不吉な発言はやめろ」

一方「テメェの対人コミュ力がどの程度か知らねェが、これさえありゃ人間関係間違えるこたァねェ」

一方「逆に、これに欠けると人間関係は好転しようが無い。ガス入ってねェ風船みたいなもンだな、風船見つけてガスをアホみたく入れてやれば空に浮かぶ」

垣根「例えはよくわかんねえが成る程、一理あるな……。やるじゃねえか第一位、見直したぜ」

一方「崇めろ、第二位」

一方(って、木原クンが力説してたなァ確か)

垣根「ハッ、理論は理解した。後に残るは答え合わせだけってか」

一方「いや、Q. E. D. にはまだはえェ」

垣根「まだ底を見せないだと? 奥が深いな、友達作り!」

一方「対人関係の重要な要素にコミュニケーション力がある。こン位は持ってるな?」

垣根「持つも持たないもねえ、流石に見下し過ぎじゃねえのか第一位? そういうお前はどうなんだよ」

一方「舐めンな、必要最小限位はある」

垣根「ですよねー」

一方「ンですよねー」

垣根「…………」
一方「…………」



一方(たぶン俺ァ大丈夫だよなァ……)←聴いた話ばっか+変人+口調+目つき+ツンデレ+自虐癖+中二病=コミュ障
垣根(たぶん俺は大丈夫な筈だろ……)←メルヘン+世間ズレ+軽薄+絡み癖+直情+沸点低+中二病=コミュ障

一方「これァ余計なお世話かもしンねェが、お前誰かとどっかで遊ンだ事あンの?」

垣根「見縊るなよ第一位、一人でゲーセンに行ったりカラオケに行った経験位は所有してる。この未元物質に死角はねえ」

一方「そりゃ両手にグローブ嵌めて『野球できます』っつってるようなもンじゃねーか」

垣根「その心は」

一方「第二位の来世にご期待ください」

垣根「………………」

垣根「あれ……涙がとまらねえ……」

一方「そこで俺ン出番だなァ」

垣根「っつーと?」

一方「俺がテメェの選択肢のバリエーションを増やすのに付き合ってやる。何処に誰かと行くにしても、一回でも意識してパターンを構築しちまえば熟練度がちげェ」

垣根「お前相手なら失敗を気に病む必要もねえ……、反論の余地が見当たらねえよ」

垣根「お前思ってたよりイィ奴だな、再評価もやむなしだ」

一方「は、ハッ! テメェに褒められた所で誰が喜ぶかっつンだァ!」フフン

垣根(やべえコイツこうやって見てると面白いな)



一方「それはそうとちっと質問いいか?」

垣根「んだよ、第一位」

一方「てめェ女だったりしねェの?」

垣根「」

垣根「えっ?」

垣根「ままま待て、落ち着け、ひとまず落ち着け一方通行、冷静になれよ一方通行」

一方「俺は落ち着いてンぞ」

垣根「オーケー落ち着いてその発言ができるほどお前の脳はぶっ飛んでんのか。 俺が女? どんな演算したらそんなメルヘンな解が弾き出せるんだよオイ」

一方「ンだよ、純粋な疑問って奴じゃねェか。心狭いと友達できねェぞ」

垣根「俺が女ならテメェが男の娘でもおかしくねーなあ! スカートでも穿いてみっか?」

一方「穿く前に吐くからやめろ」

垣根「俺やお前みたいな女がいるかよ、馬鹿馬鹿しい」

一方「てめェ鈴科百合子馬鹿にすンのかァああああ!?」

垣根「――――――は? え? え? 何言ってんのこの子」

一方「いやなんでもねェ、宇宙のパワー受信しちまっただけだァ」

垣根「で、結局なんでそんなぶっ飛んだ発言に至った過程を詳しく」

一方「いやよォ、正直下らない話なンだけどなァ」

垣根「そういう予防線とか別にいいから」

一方「ほンッッっと下らなすぎて涙出てくんぞ」

垣根「D・V・D! D・V・D!」

一方「…………有事に備えて、友達作りとかデートコースとかの予行演習に付き合う……。普通こういうの女の子相手にやってフラグがどォとかそういうンじゃなかったっけなァって」

垣根「」

垣根「え、キメェ。なんていうか、ただ、まあ、あれだ。うん、キメェ」

垣根「さっきの再評価を更に再評価しなきゃならねえ。そんでもって、ああ、やっぱりキメェ」

一方「だァァァァァァァァから言いたくなかったンですゥゥゥゥゥう」

垣根「そりゃゲームか漫画の見すぎだな。第一位まで今流行のゲーム脳に毒されてんのかよ、世も末じゃんか」

一方「なンでもかンでもゲーム脳にする風潮はよくわかンねェよな」

垣根「そんなジョークを見た事がある。全然無害なものをいかにも有害っぽくでっち上げてく論文みてえな」

一方「後付けの理屈だな。屁が出ちまう」

垣根「今にゲーム脳のせいで世界が滅びだすぜ」

一方「な、なンだってーー!」




一方「まあテメェが120%男って事ァ理解した」

垣根「戸愚呂かよ。残りの20%はどこへ行った……」

垣根「それはそうと俺の未元物質に常識は通用しねえ。因みに性転換するのに態々タイに行く必要なく今この場でも可能だ」

一方「おいばかやめろ気持ちわりィ」

垣根「冗談だよ当たり前だろ。俺の未元物質にだって不可能はある」

一方「ンですよねー」
垣根「ですよー」

一方「今日はもう夕方だァ、なんかするにしてもまた今度だな」

垣根「そういう季節だしな、油断してっとあっという間に太陽が逃げてっちまう」

一方「取りあえず明日はなンか予定あンのかよ」

垣根「学校があった気がしなくもないが、そんな事はなかったぜ」

一方「オレキトク、スグカエルってかァ?」

垣根「少しだけ面白くて悔しいじゃねえか」

一方「まあ学校なんかわかりやすい同年代の奴らが群れてっからよォ、知り合い作るのにたまに顔出しとけ。学校ちゃンと行ってンのか?」

垣根「そこそこはな。それはそうと質問のベクトルを反射する」

一方「行ってるように見えるか」

垣根「俺が浅はかだった」

面白いな。支援します!

一方「ンじゃ、明日の一時半位にここのファミレスで構わねェか?」

垣根「取り合えず、何をするつもりか位聞かせろよ。明日までのお楽しみなんてメルヘンはガラじゃねえんだ」

一方「つっこまねェぞ。明日は取り合えずカラオケにでも行こォかと思ってる。その後どっかもう一箇所だな、そいつはノリで決めれば良ィ」

垣根「問題ないな、そんくらいで妥当な線だろ。時間についても異論はねえ」

一方「ン。じゃ勘定はよろしくな」

垣根「待ちやがれ。何ガラにも無く爽やかにさりげなーく押し付けようとしてんだ?」

一方「大して頼んで無ェンだから良いじゃねェの。明日世話になるんだからこんくらい恩売っててもバチァ当たらねェぞ」

垣根「――――チッ、仕方ねえな」アリガトウゴザイマス マタオコシクダサイマセー



垣根「じゃあ明日は一時半だな」

一方「おォ。あ、メシは少し早めに食っとけよォ」スタスタ

垣根「? わかった。あばよ、第一位」スタスタ

垣根「…………」スタスタ

垣根(しかしなんつーか……)

垣根(自然に話せてた、よな……? 今まで俺の顔色ばっか伺ってこられたけどそういうのが無いからっつーか……)

垣根(ガキの頃から特異な能力だとかでくる日もくる日も開発漬けで同年代の知人なんか殆どいなかった)

垣根(少し余裕ができてきた時にはもう俺の力を恐れて遠巻きにしか見てこねえ)

垣根(擦り寄ってくんのは下心見え見えの薄汚え畜生共ばっかりだった)

垣根(………………)




一方「…………」スタスタ
一方(とは言ったものの俺にもダチなンざいねェ……)

一方(そもそもアイツ以上に俺学校行ってねェしな……)

一方(ま、要所要所でそれっぽい事いっときゃなンとかなンだろ)

一方(折角態々俺ンとこに頼ってきてンだもンな、理由はどうしょうもねェが)

一方(……今日の晩メシはなンだろな、と)

今回はここまででー、>>7>>27もマジ読んでくれてありがとうな
おやすみすー

読んでくれてる人がいるとかこんなに幸せな事は無いよね!
相変わらず貯金しながら貯金を崩すというイミフな書き方してるからスローすぎてあくびがでるけど頑張るわ

翌日。

本人自身誰にも言えないと思っていたし誰に言うつもりも無かった事実だが、垣根帝督は昨夜熟睡したとは到底言えなかった。
理由は極々単純かつ明快なものである。例えば、遠足の前夜に小学生が中々眠れない、それとほぼ似たようなものを想像してくれれば良い。

――――しかし、それは無理も無い事だっただろう。
いくら予習のようなものとは言っても、それは間違いなく前々から望み続けていた『友人との一時』なのだから。


朝、一人で住む学生寮――――一人で住むにしては規模の大きい部屋。学園都市第二位という能力者のレベルやそれに対する周囲の対応のせいである――――で眠い眼を擦った所で、垣根帝督はまず時計に目を向ける。
無機質なデジタルで表された数字は、昨夜彼がアラームをセットしていた時刻の十分前。午前九時五十分を示していた。
本来ならば二度寝したい程度の眠気具合だったが、その場合万が一の事態が起こり得てしまう。
その可能性を潰すべくぐいと立ち上がった彼は、そこで軽い貧血に襲われて壁に頭を激突させ、改めて意識を覚醒させた。


用を足して、顔を洗い、歯を磨いている所でけたたましく鳴り出した時計を右足で正確にボタンを狙った上で弾き飛ばしながら、彼は考えていた。

垣根(一時半に待ち合わせるなら、その十分前には着いておきてえ。まあどうせ暇だし三十分位前に行っちまっても構わねえだろうな。時間的にも、昼飯は個別を前提としたものだろうし定食屋ででも食うか)

垣根(少し早めに食っとけとの言葉通りにするなら、十二時にはもう食べ始めておく事だな……)

逆算した上での時間を加味してはじき出した結論に従い時間を潰しつつ定食屋で食事の後目的地へ向かう。
かくして垣根帝督は、待ち合わせ時刻の一時半、そのおよそ三十分前に前日一方通行と会話していたファミリーレストランのドアをくぐった。

店員「いらっしゃいませこんにちはー、お一人様ですか?」

垣根「一人で」

店員「かしこまりました、禁煙席と喫煙席、ご希望はございますか」

垣根「えーと」

垣根(――――あれ? あの昨日と同じ席に座ってんの一方通行じゃねえのか?)

垣根「ああ、知り合いがいたんで」

店員「あ、失礼いたしましたー」


垣根「………………」スタスタ

垣根「よう、はええじゃねえか一方通行」

一方「…………? あァ、テメェか。時間は……、はえェのはそっちもだろォが」

垣根「お互い様ってこったな」ガタガタ

垣根「またコーヒーかよ、昨日も飲んでたじゃねえか」

一方「好きなンですゥ。テメェは昨日は甘いもンばっか飲みやがってお子様かってンだメルヘン野郎」

垣根「ちゅうn……ま、人の趣味はそれぞれだな」

一方「途中まで言ったンだ、最後まで言えや」

垣根「やだよ、お前怒るじゃねえか」

一方「いいからさっさと言えっつってンだ」

垣根「中二病乙」

一方「[ピーーー]ぞオラァ!」

垣根(どうすりゃ良かったんだ、このやり取りに正解はあったのか……?)

一方「取り合えず俺は食休みも兼ねてンだ、予定の時間まではここにいンぞ」

垣根「食休みね、だから早めにメシ食っとけとの仰せか?」

一方「メシ食ってすぐ運動やらカラオケはよくねェんだ。カラオケだと特に、声が出にくいンだと」

垣根「成る程な、色々考えてんじゃねえの」

一方(って、木原クンが薀蓄垂れてたなァあの時)

垣根「あ、店員さん俺もドリンクバー一つで」

店員「かしこまりました、グラスはあちらにありますのでご自由にお使いください」

垣根「よし、入れてくるか」

一方「俺も行くわ」ガタッ

垣根「はぁ、抹茶ラテうめぇ」

一方「泡が上にあるやつは泡の温度と中身の温度が違いすぎて困る」

垣根「俺も最初は火傷こいたな。……お」

一方「どォしたよ」

垣根「あそこの信号のとこの子見えるか?」

一方「ァ? …………ムートン付いたダッフルコート?」

垣根「その子。悪くねえな、あの雰囲気は悪くねえ」

一方「お前あァいうのが良いのかよ。年上に見えンな」

垣根「色気があるに越したことは無い。大学生前後がベスト」

一方「ふゥん、まァいいがよ」

垣根「随分興味無さげだなオイ。あん中で一人くらいコイツはってのいねえのかよ?」

一方「……別にィ?」

垣根「スカしてかっこつけてんじゃねえぞ。ほら、誰が良いんだよ。あっちのOL風なんてどうだ?」

一方「――――――強いて言うなら、あの金髪だな。右端の」

垣根「ありゃあ……常盤台中学の制服か? ちいっと改造してるっぽいな。おいおいテメェ年下好みかよ」

一方「うっせェな、強いて言うならっつってンだろ。……コーヒー取ってくる」

垣根「あ、俺も行くわ」

一方「早ッ」

垣根「はぁ、抹茶ラテうめぇ」

一方「コーヒーうめェ」

垣根「カラオケっつっても何処の行くんだ?」

一方「Sダックス。金無ェ奴がいるとかでも無い限りドリンクバーの店のが良いぜ」

垣根「ヒトカラはたまに行くから大丈夫だ。が、Sダックスは行ったことねえな。いつもは歌大広場だ」

一方「そこァ安いンだがなァ……、Sダックスのが綺麗な事が多いンだ」

垣根「ふぅん……、カラオケなんざ何処も一緒じゃねえのか。参考になるわ」

一方(まあ、木原クンカラオケ好きだしなァ…………あンだけ連れてかれりゃ嫌でも覚えるわ)

垣根「……今度は左から二番目のデパートの袋持ってる子だな、80点。お前は誰かいるか?」

一方「――――――ノーストライク、フォアボール」

垣根「せっまいストライクゾーンしてんなおい」

一方「ン、そろそろ時間だな。行くぜェ」ガタガタッ

垣根「うーい」ガタガタッ

一方「さてまあそンなこンなでカラオケにやって参りましたァ」

垣根「わーーー」パチパチパチ

一方「おい、きめェぞやめろ」

垣根「自分で振っといてそういう態度あんま良くないんじゃねーのぉお!?」

一方「――――お、マラカスだァ。これ振ってるとなンつーかメキシカンな気持ちに浸れンな」シャカシャカ

垣根「流すんじゃねえ。ドドンタコスのアレか? 俺はあの菓子嫌いじゃねえよ」シャカシャカ

一方「マジでか? 俺も嫌いじゃァない。むしろ好きだな」

一方「……キロカロリーメイトは?」

垣根「チョコレート。……きのことたけのこは」

一方「たけのこの黄金比以外に選択肢がねェ。……超堅揚げポテト」

垣根「ブラックペッパー」



  `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ

      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´

           ̄ー┴'^´



一方「テメェは話の通じる奴だった。喜べよ未元物質ァ」
垣根「同好の士に会えるたぁ、幸せなこったな一方通行」


一方「ウチの保護者の野郎はきのこ派なンだがな」

垣根「よほど早死にしたいと見える」

一方「理由聞いたら『チョコが多いから』だとよ」

垣根「俺がチョコ買ってやるからチョコだけ食ってろと。一生チョコ食ってろと」

また少し連続で投下した所でごはン食べてきまァす

ただいまー、待っててくれてありがとン
頑張るぜー

店員「いらっしゃいませー、二名様でしょうか」

一方「ン」

店員「Sダックスの会員でいらっしゃいますか?」

一方「…………」スッ

店員「ありがとうございます、何時間でしょうか?」

一方「決めて良いか?」

垣根「任せた」

一方「二じかンで」

店員「学生様でしたら学生証等お持ちでしたらご提示お願いします」

一方「……テメェあるか?」スッ

垣根「おう、一応あるぜ」スッ

店員「ありがとうございます。ご希望の機種等ございますか?」

一方「…………」チラッ

垣根「特にこだわりはねえよ」

一方「DOMで」

店員「かしこまりました。ドリンクバーのグラスはどちらに致しましょうか」

一方「俺ァホット。どっちが良いよ?」

垣根「アイスで」

店員「かしこまりました、お部屋はあちらの階段の上の208号室となりますごゆっくりどうぞー」ガチャガチャ

垣根「飲み物も用意して部屋に入った、マラカスもある。準備万端、いつでもイケますってなあ!」

一方「今度はメロンソーダかよ」

垣根「炭酸苦手だからストローでかき混ぜて炭酸抜かなきゃ飲めねえがな。因みに、氷は大き目のを二つがベスト」

一方「いや、別に聞いてねェし」

垣根「コーヒー飽きないのか、そんなに連発してて」

一方「別腹なンですゥ」

垣根「にしてもこの部屋暗いな、その辺にツマミとかねえか?」

一方「あった」クイッ

垣根「サンキュ」

垣根「理由は特にねえんだが、カラオケとかで部屋に入って落ち着くと何だか『お疲れ様したー』みたいな雰囲気にならねえ?」

一方「言わンとしてる事は判る」

一方「それはそうと、なンか頼むなら最初に言っとくぞ。歌ってる時に来られたら気まずいってレベルじゃねェし」

垣根「――――マジかよこのメニュー、ファミレスレベルの品揃えじゃねえか……。余程俺たちを歓待したいと見える」

一方「Sダックスだからな。ま、割高だから腹へってンなら出てから食えよ」

垣根「ア゛? お前誰にもの言ってんの? 金とか湯水の如くあるからよ」

一方「そういう高飛車な態度はあンまよくないんじゃねェの。気前の良さをアピールすんなら別だがよォ」

垣根「マジで? そいつは覚えとくわ」

一方「ま、せっかくこの第一位にこうべ垂れに来たんだァ、ケツ拭くとこまでキッチリ付き合ってやンよ」

垣根「……お前、思ったより面倒見良い奴だな」

一方「そ、そんな事あるわきゃねェだろォ!」

垣根「照れてるお前も、かわいいぜ?」



一方「――――反射がきかねェ精神攻撃だと」ドン引き

垣根「なんかごめん」

一方「おゥ」

垣根「ポテトでいいや、このオメガポテトって奴。お前も食えるだろ?」

一方「まァな。――――――あ、オメガポテト一つ。……ン」ガチャリ

一方「さァて、ポテトが来るまでに歌う曲でも決めとくか」

垣根「そういやどんな曲歌うんだよ? ディスってる訳じゃねえがパッと見JPOP歌うお前が想像し切れねえんだが」

一方「ああ、まあ、うン……洋楽、とか?」

垣根「良くも悪くもイメージ通り過ぎんじゃねえの? 俺は町で流れてる最近の曲とか聞いてて良いのがあればパソコンで調べて聞いてる。最近は便利なサイトがあるもんだ」

一方「ふーン。ぶしつけに悪ィがテメェ歌上手いのかよ?」

垣根「下手じゃねえ……とは思うがよ。音程は外してないんじゃって感じだな、自分では。ああ、下手だ下手だとか異常に言う奴ほど上手くて白ける空気ってあるよな多分」

一方「上手下手に拘り過ぎる奴に付き合ってっとキリねェよ。こういうのは、色々とやり過ぎない適度に空気を読みつつ楽しむのが一番だァ」

垣根「一方通行のちょっと良い発言タイム入りましたー」

一方(木原クンの受け売りタイム入りましたァー)

支援するとでも思ったか

>>57
キリが良いとこまでは持って行きたいから支援してくれ


店員「失礼します、お待たせいたしましたオメガポテトでございます」

店員「料金のほう、お先に頂いてもよろしいでしょうか」

一方「ン」

店員「……600円頂きまして20円のお釣りです。ありがとうございましたー」バタン

垣根「思ったより多いな、オメガポテト」

一方「あったけェ内に食えよ。ただ熱いから気ィつけな」モグモグ

垣根「お、うめぇ。思ったよりうめぇ」モグモグ

一方「確か徳用スーパーかどっかで売ってたンじゃねェかなこのポテト」モグモグ

垣根「マジで?」モグモグ

一方「おゥ」モグモグ

垣根「……」モグモグ
一方「……」モグモグ

垣根「よっしゃ、どっちが先に歌うよ」

一方「ここは勢いあまって俺が先に入れてやらァ」ピピピピピッ

垣根「なぁにを突っ込みやがった・か・な、と……。エメラルドソード?」

一方「『ァ、ァ、ァー』……ちょっと音でけェな」カチカチ  テッテッテテテテーテテテーテテレレレテー

垣根「うおっ、やけに激しい曲始まってんじゃねえかよ」

一方「こォいう曲風のバンドだからなァ」


一方『アーイクローダ、ヴァーリーズダダースオブミッラーン』
一方『オンダウェーイトゥダグローリーアイローノーマイソーゥ』
一方『フォーザーキーンフォーザーラーンフォーザーマーウンテンズ』
一方『アイウィルサーチフォーディーイーメーラルソーーーゥ』


一方「今日は喉の調子が良いぜェ」

垣根「んだよ、全部英語で一瞬だけビビっちまったがお前歌上手いじゃねえか」ピピピピッ

一方「やっぱ歌は練習だァ。原曲聞き込ンで下手でも自分の歌聞きながら悪ィとこ考えりゃァ嫌でも上手くなる。楽しンでたらもっとだ」

垣根「それはそうと……やけにメルヘン……いや、ファンタジーな歌詞の曲だったな」

一方「心配すンな、自覚はある。それはそうとさっきお前が入れてたのはなンの曲だ?」

垣根「BUMPだな。こないだゲーセンの音ゲーに入ってたの聞いてから」

一方「ほォ…………」


垣根『ガラッス玉ひーとつ落とされた、追いかけてもひとつおっこちた』
垣根『奪わーれないよーに、まもーりー続けってーるー』
垣根『必ずー、僕らーはでーあうだろー』
垣根『僕らーはー、ひとつーになるー』

垣根「ふぅ、歌いきってやったぜ」

一方「白ける程じゃねェけどオマエも良いじゃン。でも、少し元曲意識しすぎかもな」

垣根「無意識の内に、元曲の歌い方に似せる方向に行き始めると時たまキモい歌い方になるときあるよな」

一方「どっかで誰かに止めてもらわねェと取り返しつかなくなるもンな。……飲み物取り行こうぜ」

垣根「おう。……あ、俺トイレ行ってるから先行っといてくれよ」

一方「ン」ガチャバタン




削坂『ブレイクゥゥゥゥ、ブレイクゥゥゥゥ、んァああなたのむわァあああちぬうォおおおおおお!!!』


垣根「隣やけにエキサイトしてやがんな……」

削坂『かいたいィィィィかいたいィィィひィィィとやくかいたいィィィYYYYYYYYY!!!』

垣根「まあいい、トイレトイレ……」

垣根「――――ふぅ」

垣根「カラオケ来るとトイレが近くなるのはなんでなんだろうなぁ」シャー ガチャバタン

垣根「次の飲み物は何を選択するか……、同じメロンソーダで攻めるのも芸がねえ。かといってウーロン茶に回ると糖分が足りん」

垣根「紅茶にガムシロ増し増しの手もあるが……、ん?」




垣根「こりゃぁ…………」

垣根「コーンポタージュ…………?」

垣根「――――――」ガチャバタン

一方「ン、おかえりだァ」

垣根「…………一方通行、認めざるを得ない。俺はSダックスを舐めていた」

一方「ァ? …………テメェそれはまさか」

垣根「ポタージュまじうめぇぞwwwwwwwwwwwwwwwwなんだこのまろやかさwwwwwwwwwwww」

一方「そこに気づくとは……やはり天才か……」

垣根「ポタージュだけで生きていける気がしてきた」

一方「コーヒーうめェ」

垣根「そういやオマエはカラオケとかよく来んのかよ?」

一方「木原クンとたまにな」

垣根「木原クン? 誰だそりゃ?」

一方「俺ン能力開発者の一人だよ。一応、保護者みたいな事になってる」

垣根「ほぉ…………、こないだのタバコのか。更に良い奴じゃねえの」

一方「うっとォしいだけだろォ……、次の曲でも入れンぞ」ピピピピピッ





一方「おーおー、太陽の光が眩しいなァ」

垣根「二時間か……、思ったよりあっという間に過ぎるもんだな時間ってやつは」

一方「ほンのちっと歌い足りない位が丁度良いンだ、又誘いやすくなるし何より歌う歌が無くなって時間が余ってる時の気まずさはヤベェ」

垣根「ほうほう。中々参考になる意見だな」

一方(って、木原クンが(ry )

垣根「今三時半過ぎか……、三時のおやつって時間でもねえし」

一方「オマエどっか行きたいとことかねェのかよ?」

垣根「そうだな……。>>70とかどうだ?」

kskst

ボーリング

と、言う訳で今日はココまでな訳よ。支援くれた人マジサンクスな!
てか、>>68に追記し忘れた上に安価が近すぎて自分で書き込む事も出来ずこのまま寝るしか無いかと思った。ありがとう>>69-70

ちなみにカラオケは俺の個人的な趣味なんや
ラプソディとかラルクとかTMRとかアニソンとか色々節操無しに歌うのが大好きなんや
ってかカラオケの話投下してたら俺もカラオケ行きたくなって来たwwww 鼻歌とまんねぇwwwwwwww


明日明後日は少し用事があるので昨日今日みたいに投下できないと思うけどすまない!
おやすみ!

ちょっと細かいけど木原クンじゃなくて木原くンな!
後sagaで[ピーーー]とか[ピーーー]とか解除できる

乙ー、楽しみにしてる

>>75
あンがとう。早速使わせて貰う
一昨日昨日と投下できなかったんで今日は貯金分を一段落するまで投下する
では今日も頑張るわ

垣根「よし、お疲れさんだ」

一方「まだレーンに座ったばっかじゃねェか。…………ガッコンガッコンうるせェな」

垣根「この音が鳴り響く空間こそがボウリング場だと定義できる。深々としたボウリング場はむしろホラーだ」

一方「誰もいない学校やら街角と同じ怖さか。常日頃のギャップがあるからこそ怖さが倍増するンだな」

垣根「怪奇! 誰もいない友達!」

一方「自虐ネタはよしとけよ。それより……この画面のボタン押しゃァ始まンのか?」

垣根「おい何だよ、情けねえな。学園都市第一位のはボウリング一つしたことありませんってかよ」

一方「仕方ねェだろ一回も無い訳じゃねェが全く覚えてないンですゥ、ボウリングなンざ普通に生きてりゃそうそう行かないもンだろうが」

垣根「まあな、俺もほとんど来たことないし」

一方「おいィィ、なンでボウリングなんかに誘ったンですかァ!?」

垣根「したくなったもんはしょうがねえだろ。そろそろ始めようぜ」ピッ

ゴロゴロゴロゴロガコァーン


垣根「ちっ、六本しか倒れやがらねえの」

一方「よし、次ァ俺の番だな――――よっと」

垣根「腕前の程を見せてもらうぞ一方通行」

一方「こンなンど真ん中にボールをぶち当てりゃ良いだけだろ、頗るイージーだァ」フラフラ

垣根(ふら付いてんじゃねえか……下手するとコケるぞありゃ)

一方「行くぜェ…………」スススス

垣根(ボールを投げてるってよりボールに振り回されてるって見た目してんな……)

一方「――――ハッ!」


ダンガコンッ ゴロゴロゴロゴロゴロ


一方「」

垣根「どう投げりゃ四十五度の角度でガーターにボールが突撃してくんだよ……下手すりゃ隣のレーンにボールが突っ込んでんぞ……」

一方「画面の中のウサギにまで笑われてンだが」ビキビキ

垣根「大人しくボールもっと軽いのに換えてこい、オマエにそのボールは重すぎだ」

一方「くっ……」フラフラ

垣根「おう、一番軽いのにしてきたか? 今度のはまあさっきのより持ててるんじゃねえの」

一方「……下から四番目にしてきた」

垣根「また中途半端な所のにしたな」

一方「俺にもプライドがあンだよ」

垣根「まあいい、次は俺がなげんぞ」スッ

一方(はずせはずせはずせはずせはずせ……)

垣根「――――オラッ!」


ゴロゴロゴロゴロゴロ  ガコーン!


垣根「よしストライク! ラッキーだな、良い跳ね方しやがった」

一方「くそったれ…………」

一方「…………」

垣根「おい第一位、この勝負は俺の勝ちみたいだなあ」フフン

一方「――――勝ち誇るには早ェぞ、第二位」

垣根「アン? ……27点差で最終フレームだぞ。こりゃ決まっただろ」

一方「カカッ」スッ

垣根(最終だから三回投げれたとと考えても27差だぞ……、ストライク三連発しかまくれねえ)

垣根(自慢じゃないが俺もさっきの一回以外ストライクは出せてない……、もちろん一方通行もだ。こんな土壇場で三連発なんざできるはずが…………)


一方「………………」ニヤニヤ

垣根(なんだ? 今回はやけに無言で投げやがる……、あ)

垣根「一方通行テメェまさか――――っ!!」

一方「ベクトル操作ァァァァああああ! 例え何をしても勝てばよかろうなのだァァァァ!!」 ブンッ





――――まさにその瞬間に隣のレーンで友人さんと共にボウリングに興じていた少女、佐天涙子氏。後日彼女はこう語っている。


「ええ、斜め後ろから私はあの時の投球を見ていました」

「上手に説明する自信は無いんですが……」

「なんていうかこう……それまでの投球のフォームは、例えるなら……小学生?」

「ボールの重さ、そうですね。自身の体重のおよそ三分の一に迫ろうというようなボールをですね」

「それを一生懸命、ぶるんぶるんと振り回して投げる……そんな風に見えていたんですよ。その瞬間までは」

「その一投だけは違いました。はい、一目で見てわかるくらいにです」

「擬音で表すなら……スッ、と?」

「信じられますか? まったく無駄なくスイングされる腕が綺麗な弧を描いてボールと地面が接触する音すらも曖昧になるほどの華麗な投球技術」

「いえ、信じられないでしょうね。なんせ、自分の目で見た私ですら完全に信じてはいないんですから。――――伝聞などではとてもとても」





「そこからは私がお話しましょう」

同時刻、同じ場所の違う角度から彼を目撃していた初春飾利氏は語る。



「私は彼の投げる隣のレーン……、ほとんど真横から彼が投げる様子を目撃していました」

「ですから彼の表情とか、仕草とか、細かい様子を見ることができたのですが……」

「白い髪の彼は、投げた瞬間に。……こう、こんな感じにガッツポーズをしました」グッ

「傍から見ていた私がわかったんです、投げた本人からすればこれはもう確信を通り越して予知とも言ってもよかったでしょう」

「『この一投は、間違いなく完璧なものだ』という予知です」

「しかし、結果は少し違いました。――――いえ、確かに一番ピンを完璧な角度で打ち抜きましたよ、彼の一投は」

「ですがボウリングという遊戯はそこまで甘くなかった、そういうことなんじゃないかな……ははっ。なんだかおかしいですね、こんなこと語っちゃって」


「結論から言うと、彼の投球は恐らく完璧すぎたんです」

「ボウリングという遊戯の目的が、一分の無駄も無く僅かな狂いも無く垂直に水平に中心にボールを投じる、そんな遊戯だったなら間違いなく100点満点でしょうね」

「でもそれはあくまで仮定の話です。この遊戯の目的は、いかに多くのピンを倒すかと言うこと」

「よくありませんか? ど真ん中を捉えたと思ったのに全てのピンが倒れず、ピンが残ってしまう」

「まさに…………そんな感じでしたよ。アプローチで固まる彼の表情といえばそれはもう悲劇的過ぎて見ものでした」

「もう、あんな面白いもの見る機会なんか訪れないんでしょうかね――――」

・   ・
・  ・



垣根「……見事に左右対称にピンが残ったな。四本残りで俺の勝ち確だ」

一方「」

一方「ば、バカな……完璧なベクトル演算を持ってして180度の進入角で頂点のピンにヒットした筈だってのに……」ヨロッ

垣根「プロだってストレートなボールは投げてねえじゃねえか、曲げて投げたほうがストライク出やすいんだろ? 多分」

垣根「それよりオマエ能力は無しだろうが。しかも使ってヘボけりゃ世話ねえぞ」

一方「う、うるせェ! 勝負はこのゲームだけじゃねェぞ!!」ピピピ

垣根「お、次のゲームだな」

一方「あーあ、なンか必殺魔球みたいなのねェかな。……消える魔球、ピンの手前までまっすぐ転がってってパッと消える。ンで、ピンの後ろに出現」

垣根「野球板じゃねえんだぞ、しかも何の意味があるんだそりゃ」

一方「意味はゼロ。次は負けねェぞ、ケリをつけるか未元物質」

垣根「ほえ面をかく、歯噛みをする、地団駄を踏む、どれでもいい。選んで無様を晒せよ、一方通行」

左右対称にならなかった。死にたい。




垣根「あー、だいぶ遊んだな。日も良い感じに暮れてきた」ゴキゴキッ

一方「腕がちょっくら重いな……腹ァ減ってっか?」

垣根「まあまあってとこだな、大分動き回ったしよ」

一方「ンな軽い気持でいると地獄を見ンぞ。オマエ、油オオメのラーメンとか大丈夫だよなァ」

垣根「ラーメンはこってり豚骨を良く食うぜ」

一方「よしきたァ、行くぞ未元物質」スタスタ

垣根「あ、おいちょっと待ちやがれ」タッタッタッ

一方「ここだァ。今日の晩飯はここで食う」

垣根「黄色い看板がシンプルだな。――――二郎学園都市店? 夜にラーメンとか腹にたまるのか?」

一方「その心配はねェ。ま、とりあえず並ぶぞ」

垣根「やけに行列だな……人気の店みたいだな」

一方「うーン、そォいうのとはまた違うンだが」

垣根「?」

垣根「やあっと店内か。随分待ったからもう腹ペコだ」

一方「そいつァいいこった。そこの食券買って店員に見せろ」

垣根「食券か。……なんだかんだでカラオケは払わせちまったからな、ここは俺が払う」

一方「ハッ、別に良ィのによ」

垣根「大人しく奢られとけよ。その方がこっちも良い気分に浸れる。大盛りで良いか?」

一方「…………」

一方「死ぬ気かテメェ…………」

一方「何も悪いこと言わねェから大人しく普通にしとけ」

垣根「……?? じゃあオマエも普通ので良いんだな」

一方「ン」

店員「次の人食券見せてー」

垣根「それはそうと、なんかやけに店内が殺伐としてるのはなんでだよ……、刺々しい空気だ」

一方「ここはいつもこンなもンだぞ、気にすンじゃねえ」

垣根「それに正直なんかここ店汚くねえか?」ボソボソ

一方「ここはいつもそンなもンだぞ、気にすンじゃねえ」

垣根「床の滑り方がやばかったじゃねえか、こけかけたし。油でも撒いてんのか?」ボソボソ

一方「ここはいつも(ry」

店員「ニンニクは入れますか」

一方「ン。あ、俺ァ野菜マシで」

垣根「え? あ? お、俺は普通で」

店員「あいよ。ニンニクありね」

垣根「野菜マシとかってタダで出来んのか、サービス精神旺盛ってやつだ」

一方「まあそォだな」

垣根「俺は取り合えず最初だしそのまま食うか、ってな。もし次来た時増やしゃいいし」

一方「ま、何回来ても増やさねェ奴ァ一生増やさねェよ」

垣根「どういうこった」

一方「増やせねェ、のが正確だな」

店員「はいどうぞ、ラーメン普通と野菜マシね」

一方「ン」
垣根「」

垣根「え? なにこのモヤシマウンテン?」

垣根「え?    …………え?」

一方「初めての奴は大抵そンな反応すンだよなァ」

垣根「麺が見えねェ」

一方「とりあえず食えよ」ズルズル

垣根「あ、ああ……なんつう極太麺、まるでうどんじゃねえか……」ズルズル

一方「あ、モヤシは最初に食おうとすンなよォ、麺と一緒に食うンだ。後で泣き見るぞ」ズルズル

垣根「おう。なんつうか濃いとかこってりとか以前に……大味なラーメンだな」ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(にしても量が多い……、食べても食べても無くならねえぞ……。あ、この肉うめえ)モグモグ

一方「……」ズルズル

垣根(モヤシとか具の性か中々冷めねえな)ゴクゴク

一方「……」ズルズル

垣根(……なんか最初はキツかったが段々美味しく感じてきやがる)ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(……)ズルズル

一方「……」ズルズル

垣根(……あ、やっぱこれキツい)

垣根「苦しい……、動けねえ、動きたくねえ……」

一方「おーおー、アツいのに吊られて水飲みすぎるからだろォが。ンでも完食した根性は褒めてやるぜェ」

垣根「普通でアレとか大なんざどんな人外魔境だっつんだ…………」

一方「素人さンが大に手を出すのは間接的な自殺だ、判って進むなら止めはしねェが知らずに行くなら全力で止める」

垣根「あそこまで印象が二転三転するラーメンは初めてだ……」

一方「また今度来るか?」

垣根「今は食いもんの話をしないでくれ、リアルに人間ポンプになっちまう」

一方「そォか、頑張れ」サスサス

垣根「背中さすってんじゃねえぞぉ、そりゃ吐く時じゃねえかリアルやべえぞ……」

垣根「だいぶ落ち着いてきた」

一方「おォ。ンじゃどっか入るか」

垣根「私、貴方にはもうついていけないの」

一方「メシ食うわけじゃねェ、コーヒーが飲みてェ」

垣根「オマエ胃に穴開くぞ、中毒じゃねえか」

一方「テメェは間違いなく糖尿病だな」

垣根「ま、じゃあ昼のジョジョで良いか」

一方「よしきた」

垣根「んじゃ、行くとするか」ドッコイショ

一方「オヤジくせェな」

垣根「うっせえ」

二人「」カランカラン

店員「いらっしゃいませー、二名様でしょうか」

一方「ン」

店員「かしこまりました。喫煙か禁煙かご希望はございますか?」

一方「禁煙で。ァ、あそこの席良いスか」

店員「はい、ごゆっくりどうぞ」


二人「」スタスタ、ガタガタン

垣根「何度目かわからねえがとりあえず儀礼的に言っとく。お疲れー」

一方「ン」

垣根「とりあえずドリンクバー二つで良いよな」

一方「構わねェ」

垣根「」ピッ    ピンポーン

店員「お待たせいたしました」

垣根「ドリンクバー二つで」

店員「かしこまりました、ドリンクバーの(ry」

一方「――――し、行くかァ」

垣根「うし」

垣根「抹茶ラテうめえ」
一方「コーヒーうめェ」


垣根「にしてもよ、さっきのラーメン屋。二郎っつったか」

一方「ン?」

垣根「結構ヤバかったが、今考えてみればアレはアレでアリ、だな。悪くはねえ」

一方「――――テメェ『入門』したな? ジロリアンの『世界』に」

垣根「いや、暫くは食べたくねえぞ。そもそもジロリアンってそりゃなんだ」

一方「あそこに連れて行かれた人間は、おおよそ二種類に分類できてなァ」

垣根「ほぉ」

一方「二度と行くかと覚悟を決める奴と、いつか来ようと思う奴にな」

垣根「俺は後者だった訳だ」

一方「俺も一番最初はなンだあの体に悪そうなのは、と思った。小で精一杯だった」

一方「が、徐々に体が適応していくのを感じた。『人の意思』とはッ! それが望む方向へと伸びていく。そして、あの二郎! 確かにあのラーメンには『意思』があるッ!」

一方「オマエも、このままやがて時を経る内に体が二郎のラーメンを求めて行くンだァ……」

垣根「なにそれこわい」

垣根「……」←抹茶ラテ二杯目
一方「……」←コーヒー二杯目

垣根「――――ん、オイ」

一方「どォしたァ」

垣根「ケータイ光ってんぞ」

一方「ァ? …………ンだよ、木原くンじゃねぇか。ちょっと悪ィ」

垣根「良いぜ」



ンダヨ、キハラクゥーン  カエルジカンダァ? ンナモンワカンネェ、テキトーダァ ン、ン、ンジャナ

垣根「…………」ズズッ

一方「終わった」

垣根「おう」

一方「…………? なンか変なメールも一緒に来てやがった、……ンだこりゃ」

垣根「どうしたよ」

一方「『絶対能力進化! 20,000回の単純かつ簡単な作業をこなすだけで、楽々レベル6へシフトアップ! 貴方だけに与えられたチャンスです! 連絡先はこのURL~~~~』云々だってよォ」

垣根「典型的なスパムじゃねえか。ほっとけよ、相手すんのも馬鹿らしい」

一方「それもそォだな」

一方「そォいやよ」

垣根「ん?」

一方「オマエのそのパッと見チャラチャラした感じじゃン」

垣根「そうか?」

一方「それとダチ無しってのがどうも結びつかねェンだよな」

垣根「服とかはたまに見た雑誌やら店やらの組み合わせてるセット一式丸ごと買ってっからな。見本通りに間違いはねえよ。ま、多少は自分で組み合わせて着るが」

一方「それができるなら勝ち組じゃねェか。お前素材は悪くねェ筈なンだからオサレに気ィ使ってそうな気がしたンだよ」

垣根「そうか? ガチガチの能力開発から開放されて即中二病突入したから客観的にはよくわかんねえわ」

一方「その単語俺に聞かせんな。悪くねェと思うぞ。ってか髪染めてハネさせてンのはオサレじゃねェの?」

垣根「床屋に雑誌持って行ってこの髪型でって頼んだ、伸びた部分も色そのまんまなのは未元物質」

一方「ふーン。俺の今着てるシャツとかの模様? 木原くンにいつもボロクソ言われンだけど」

垣根「それはテメェが悪い」

垣根「……今渡ってる中にはコレって子はいねえな」

一方「またやってンのかよ、飽きねェ奴」

垣根「あーあ、そろそろ彼女の一人や二人欲しいわ」

一方「二人もいてどォすんだ」

垣根「まあ二人は置いといても……、童貞だけはさっさと捨ててえもんだぜ。これだけは俺の未元物質でもどうにもならねえ……」

一方「マジで言ってるンですかァ!? ――――いやいやいやァ、俺らにはまだはえェンじゃねそういうの」

垣根「いや、むしろ俺達程度の年齢又は少し下を境に『始まる』らしいぞ」

一方「なン……だと……?」

垣根「かといって金に物言わせて素人童貞になるのも負けた気がすんじゃん」

一方「え……、待て、でもよォ」

垣根「つまりだ、俺達の戦いはまだまだこれからなわけよ。覚悟は良いか一方通行、これは戦争だ」

一方「ダチもいない奴が彼女なンざ笑わせやがる」ハッ

垣根「発言のベクトルを反射する」バーリア

一方「……不毛な争いはよそォぜ」

垣根「人間は決して分かり合えない生き物、そう考えていた時期が俺にもありました」

一方「口寂しくなってきた、ポテトでも頼むかァ?」

垣根「ヤリイカの唐揚げ行こうぜ。コレにマヨネーズ頼んでつけて食うとやべえ。思わず翼が飛び出る」

一方「ンじゃそれ行くか」ピッ  オマタセイタシマシタ-

一方「ォお……イカ舐めてたわ……」

垣根「テメェ全世界のイカ様にジャンピングスパイラル土下座な」

一方「このマヨネーズがまた合うな……マヨラーは理解できねェけど」

垣根「前マヨネーズキッチンなる店に行った事が一回だけあるんだけどな、ヤバかった。何がヤバいって何もかもがヤバかった。略してマヨキチ」

一方「マヨネーズ基地外の間違いじゃねェのそれ」

垣根「出るもん出るもん全てがマヨネーズ味、あの時程コーラが美味しかった事はねえ」

一方「始まりすぎてンな」

垣根「ピザもグラタンも全てマヨネーズ、カクテルにもマヨネーズ味あったな、飲んでみたかったぜ」

一方「油っぽそォなカクテルだ」

垣根「あー、イカうめえ」

支援してほしいか?
でもしてやらない

垣根「そういやお前の番号まだ聞いてなかったからたちどころに教えな」

一方「ン、あァ。赤外線で良いか」カチカチカチ

垣根「お、おう。………………」カチカチ


一方「どォしましたかァ」

垣根「……やり方わかんね」

一方「貸してみろォ――――――、登録完了ってなァ」

垣根「……サンキュ」



垣根(よし、よし、さり気なくアドレスと番号ゲットォ……)
一方(赤外線使った事ねェっつー事は……、まァ俺も人の事ァ言えたもンじゃねェが)







垣根「……もうこんな時間かよ」

一方「ン……? あァ、良い子はネンネの時間ですってか」

垣根「今日はお開きにすっか、日ぃ跨ぐにしてもお前の保護者サンが心配すんだろうよ」

一方「木原くンがァ? ま、今日はこのへンにしといてやるよ」

垣根「なんで痛めつけた後の不良風なんだよw」

一方「今日はこンくらいで切り上げておこォか! 体に悪ィからねっ!」ハハッ

垣根「爽やか通行気持ち悪いです。まじ無いわ」

一方「オマエ、オマエェェェェェェええええ!」

一通さんのシャツかっこいいと思うんだけどおれのセンス狂ってんの?

>>105
ビクンビクン
>>108
ああいうデザインは俺も大好きだけど、あんなんばっかしか着ないから木原くンは美的感覚おかしいんじゃないかと心配してる

二人「」カランカラン アリガトーゴザイマシター



垣根「さて、今日は色々とお疲れ様デシタってなあ」

一方「おゥ」

垣根「今回は色々と収穫が多かったな。……今度は、いつにする」

一方「明日明後日はなンか実験が入ってるとかで無理だな。それ以降の暇な日なら良いンじゃねェの?」

垣根「……おう、じゃあメールするわ」

一方「ン」

ファミリーレストランから方向も特に意図無く少し歩いた所で、垣根帝督はふとその歩みを止めた。
平行して歩いていた一方通行は、なんの前触れも無く唐突に止まった彼に向かって訝しげに振り向く。

一方「どォしたンだよ、急に止まって。腹でも痛くなりましたってかァ?」
垣根「なあ、一方通行。一つばかり質問がある。ま、小指の先の爪の垢程度の大した質問じゃあねえんだが」
一方「やけに勿体振りやがる。さっさと言え」


一度開きかけた口をまた閉じる垣根帝督を見て、一方通行は同じく口を開きかけてからまた閉じた。ここは、彼が何かを言おうとしている所だ、そんな予感が頭をよぎる。
普段の軽薄な態度、一方通行に喧嘩を売る時の乱雑な態度、そのどれとも違う様子で垣根提督は佇んでいた。どこかで見覚えがある、と一方通行は思った。
そして思い出す。ファミリーレストランでコーヒーを飲んでいた彼に突然やってきた彼が声をかけたとき、その時も彼は最初今と同じような様相を呈していた。
注意深く見なければ判らない程だが、確かに垣根帝督の視線は小刻みに揺れている。何か言葉を捜しているようにも見えた。ならば、自分は待っていてやろう、と。

一方通行がそう結論付けるまで、およそ五秒。そして暫くの後、垣根提督は口を開いた。

垣根「とりあえず、俺達今日カラオケ行ったよな」

一方「おゥ、次はバラードでも歌うかって話した」

垣根「その後ボウリング行ったな、俺の勝ちだったけど」

一方「強調するンじゃねェよ。まあ次は負けねェがな」

垣根「んで、メシ食ってダベった訳だろ」

一方「又一人、ジロリアン予備軍がこの世に誕生しちまったなァ」

垣根「でもって、次の約束を取り付けてる、と」

一方「…………」

垣根「お前が言ってたんだよなあ、一方通行。友達を作るには、知り合って、過ごして、それを繰り返す事だとよ」


垣根提督は、そこで一旦言葉を区切った。しかし、一度開いた口を閉じることはしなかった。微妙に合わせていなかった目線が、はっきりと一方通行を向く。



垣根「っつう事はだ、それに即して判断を下すなら。その……、俺達、もう、友達みたいなもんじゃねえか?」

そういうところでのミスって、あんま良くないんじゃないの?




oh........


ほんの少しだけ、一方通行が目を見開く。絶対時間にして数秒もたっていない筈だったが、垣根帝督にとってはどれだけの相対時間の経過に感じていただろうか。

果たして、一方通行は表情を崩す。ほのかに、頬が赤い。そして彼が良くする、挑発的な笑みの色を浮かべて



一方「おい知ってっかァ、『垣根帝督』。本日最後の授業だ。ダチとか友情っつゥクソッタレな代もンはな」

こう言った。





一方「態々友情を確認したりなンか、しねェもンなンだぜ?」

今度は垣根帝督が、目を見開く番だった。
言葉をかみ締めるように反芻していたのだろうか。しかし、次の瞬間には彼も普段の彼らしい表情へと戻っている。

……しかし、何時も通りの表情に戻るまでの一瞬の境界から、本当に嬉しそうな笑顔が覗いていたのを見た者は果たしていたのだろうか。



垣根「そーかよ、そいつは目から鱗が飛び出ちまった」

一方「そォいうこった、な」

垣根「俺はこっちだから、行くぜ。――――――じゃあ、またな」

一方「……おゥ、またなァ」


背を向けて歩き出す二人ではあったが、そのそれぞれに浮かんでいたのは、柔らかい表情で。共に口は、自然な弧を描いていたのである。

こっからはエピローグみたいなもんです
上でめっさ動揺したけど、あのタイミングでの誤字は流石に死にたいw

垣根「…………」メルメルメル
垣根「…………」メルメルメル
垣根「…………」メルメル ピッ


『とりあえず明々後日が空いてるから、次会うのはその日にしようぜ。何するかはその時決めりゃいいだろ』

垣根「これでよし、と」
垣根「…………」
垣根「…………」
垣根「…………」ブーン、ブーン
垣根「!」カチカチカチ
垣根「んだ、スパムかよ」
垣根「…………」
垣根「…………」ブーン、ブーン
垣根「…………ぉ」カチカチ

『わかった』


垣根「あいつ……」メルメルメルメル ピピッ


『てめぇ返信短すぎんだよwww マメじゃねえとモテねえぞwwww お疲れさん』
To 一方通行 

垣根「…………メール振り分けか」

垣根「…………」カチカチ

垣根「友達、っとぉ」






木原「随分と遅いお帰りじゃねぇか一方通行」

一方「…………チッ」

研究者兼、同居人兼、保護者たる木原数多の声が帰宅した一方通行にかけられる。
舌打ちと同時にその横を通り抜ける様子を見て、木原数多は内心ため息をついた。
『今日は、晩飯はいらねェ』と、突然言い出した一方通行に何があったのかを問いただしたい気持ちはあるにはある。しかし、聞いたからといって素直に答えるような少年では無い事を彼は経験に裏打ちされた形で熟知していた。
だから恐らくこのまま自室に向かって、そのまま明日の朝まで出てくるまい。そう断じた木原数多の未来予測はしかし、早々に破られる事になる。

一方通行は、今のソファに乱暴に座ってからボソリと口を開いた。

一方「なァ、木原くン」
木原「どうした?」


近頃めっきり自分から話しかけてこなくなっていた一方通行が、珍しくも自分から口を開いている。
そんな程度の事に喜んでいる自分に苦笑しつつ、木原数多はそのいかつい顔に気付かない程度の喜色を乗せて一方通行の様子を窺った。

一方「俺さァ……、今日ダチができたわ」

木原「――――そいつぁ」



聞き返したくなる衝動を何とか押さえ込んだ木原数多の顔が、今度は一目見てわかるほどの驚きに歪んだ。
一方通行は相変わらず視線をこちらに向けずそっぽを向いたままだが、木原数多の経験上この仕草をとるときのこの少年は、およそ間違いなく照れているのである。


驚きが、喜びに変わるまでそう時間はかからなかった。学園都市第一位というあまりにも大きすぎる枷を負っている少年は、その業故にこれまでまともな人間関係を構築していたとはとてもいえたものではない。
そして自信過剰でも自慢でもなく木原数多は自分が只一人、一方通行の周りで打算も遠慮もなく『このクソガキ』と接しているのだという自負があった。

だから。だからこそ、この人よりも優しいはずの――――それこそがもしかしたら親バカ故の意識過剰なのかもしれないが――――少年に友達と呼べる存在が出来たことを、木原数多はその心から祝福した。
その時の彼は、世間において『父親』と呼ばれる存在がよく浮かべる表情をしていたように思う。依然そっぽを向く一方通行の目にその表情はは映ってはいなかったが。


木原「そうか……テメェにもとうとう友達がな……。赤飯でも炊いてやろうか?」

一方「喧嘩売ってンですかァ!? このクソッタレが!」

木原「目上にそういう口調は良くねぇと、んど言やぁ理解するんだァアン!?」ゴンッ!

一方「――――ってェ! ……ったくゥ、反射が利かねェとかなんでそんな技法身に付けやがったんだか」

木原「ガキはな、痛い思いしねえとわっかんねぇからな。これも愛の鞭ってやつだ」

一方「……ケッ。――――ン、メールか? …………」メルメルメル



木原数多は、喜んでいた。そして同時に、願っていた。
この素直ではない少年の、友人が出来たという喜びがどうか裏切られませんように、と。
だが勿論そのような危惧が全くの杞憂である事は、貴方達もご存知の通りであるのだが。









                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ

読んでくれた人マジでありがとうな、コメントくれた人マジでありがとうな
こういう感じでスレに文章投下するのとか初めてだから実は心細かったんや

元々よくある小ネタスレに落としたネタがここまで膨らんでくれて良かった、楽しんでくれてたら嬉しい。
構成上、後四部位ネタとかはあるのだけど、ただドンドンキャラ崩壊が進んでいく感じがしてたからここまでで終わらせるのも一つだと思うんだ

どうだろう、一応もし書くなら次の話は
麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」
なんだけど

マジで? 上条さんは四部目のキーキャラなんやまあこの次のには出ないけど

一応書かせてもらう、ありがとう。だけどキャラ崩壊とか酷そうだったら誰か途中で言ってくれよな、ある程度の矯正はできるだろうから

続ける意思表示に序盤だけ投下してくな

あ、どっかで見たような展開があってもかんべんなwww

麦野「もう細かい話は良いよ……」

絹旗「麦野、私達はこの件について断固とした決意を新たにしています。一言で言い表すなら、超麦野も程ほどにして下さい」

フレンダ「いくら麦野でもそろそろ直すべきだよそういうのは!」

麦野「良いじゃない別に……、限定だか何だか知らないけどお菓子食べただけでしょ?」

絹旗「でもあの時滝壺本当に落ち込んでたんですよ! 超鬱だったんですよ!」

麦野「ああもう、また新しいの買ってあげれば良いんじゃない! それで文句出ないわね?」

フレンダ「結局そういう問題じゃないんだって……」

絹旗「そんな考え方ずっとしてたらいつか後悔しますよ?」



麦野「…………っせえ」

麦野「うっせえんだガキ共!! 仲良くピーチク雑音垂れ流してんじゃねえぞ!!」

フレンダ「で、でもそうやって嫌な事からずっと目を背け続けられる訳ない訳よ!」

絹旗「ち、ちょっフレンダそれ超言い過ぎですって!」

フレンダ「こっちだって少しは麦野の事を本当に思って――――」

麦野「纏めて明日のゴミに出されたいのかよ!? ァア!?」ブンッ

フレンダ「…………!!」ビクッ

滝壺「…………そうやって、力を振りかざすの?」

麦野「ぐッ――――――!」



絹旗「麦野……」

フレンダ「……」

麦野「ァァ判った! こんな場所ごときッこっちから願い下げってなァァァ!! テメェら纏めて野垂れ死にやがれ畜生共がッッ!」ゴガァァァァァァン!




絹旗「超凄い勢いで出て行きましたね…………」

フレンダ「あっちゃあ。ごめん、ここまで言うつもりは無かったんだけどつい……」

滝壺「でも、むぎのは私達に危害を加えなかった」

絹旗「にしては玄関のドアが超ボロボロ……、物に当たって人に当たらず、ですか」

フレンダ「ま、なんにしても暫くすれば帰って来ると思う訳よ。今は優先度高い依頼も無いし、アイテムは開店休業って所ね」

滝壺(むぎの大丈夫かな……)

フレンダ「当面の問題は、開けっぴろげ風通しが良くなった扉をどうするか、って訳かー」

絹旗「とりあえずござでもぶら下げときますかね」ガサガサ

学園都市において七人のみ認められている超能力者(レベル5)。その第四位、麦野沈利は鼻息も荒く都市を闊歩していた。

事の発端、そしてその理由は至極単純なものだった。
彼女が、彼女の属している『アイテム』、その組織のメンバーである滝壺理后という少女が大切にしていた(らしい)お菓子を食べてしまった、というものである。

落ち込む滝壺理后を慰めたのは絹旗最愛とフレンダという同じく『アイテム』所属の二人の少女。彼女らにも何か溜まったものがあったらしく、三人は結束して麦野に直訴しに来たというだけの話だった。
勿論、そこで麦野沈利が己の非を認めて謝罪していたならば違った道があったのかもしれない。

しかし、かもしれない、というのは起こり得なかった仮定の話で、実際に麦野沈利の口から飛び出たのは「代わりの品を買ってくれば文句無いでしょう」との発言だ。それは、世間一般で言うところの見事なまでの逆切れである。
その一連の流れの結果として、麦野沈利は感情の赴くままに自身の住まうマンションを後にして冒頭に至る、そういう訳だ。



暫く当ても無く歩く事で、彼女の頭も適度に冷え始めている。だからといって、つい先ほど飛び出してきた場所に引き返すつもりなど毛頭無い。
そんなことは彼女のプライドが許さないし、何より帰ったとしても気まずいことこの上ないだろう。その空気を霧散させる為にやるべきことは一つだと彼女の明晰な頭脳は弾き出してはいたが、それこそやはり彼女のプライドが許す行為ではなかった。

ただ、あの時。フレンダの発した言葉に我を忘れた麦野沈利を止めたのは。
激情に任せて振りかぶった手を止めさせたのは、恐怖でも威嚇でもなかった滝壺理后の自身を見る静かな眼差しだった。
その眼差しを思い起こした彼女は、辺りをはばからず忌々しげに大きく舌打ちの音を響かせた。



それから少しの時間がたった時。麦野沈利は、第六学区にあるゲームセンターまで足を伸ばしていた。
理由は特にない。徒歩でブラブラとしていた時に、目についたのがこのゲームセンターだったからだ。

麦野(ゲーセンかぁ……、暫くこんなとこにも来てなかったなぁ)

そんな思考に導かれるように入った店内は、一瞬その中の喧騒で音が聞こえなくなるような錯覚を覚えるという懐かしいものだった。
適当にぶらついていると、いくつもの機種、筐体が目に付く。逆に、全く見たことも無いような目新しい機種等も同様だ。
ふと目に入った横一列に並ぶダーツのゲームは、以前『アイテム』でゲームセンターに赴いた時に皆それなりにできる中でもフレンダが異様なまでの実力を発揮していたものだった事を思い出す。

麦野沈利は、ズキリ、と胸が痛むのを感じた。唇をかみ締めている彼女の端正な顔は僅かに歪んでいた。

彼女が漠然と感じていたのは、孤独だった。
誰一人自分を理解しようとせず、恐る恐る遠巻きに眺めてはこちらの視線に気がつくと体を震わせてその身を隠そうとする。擦り寄ってくる奴らは皆すべからく下心の持ち主だ。
『アイテム』等といっても、所詮は恐らく同じようなものだったのだろう。彼女達は麦野沈利の能力の下に集っているのであり、決して彼女の人格が認められているわけではない。
今日の事が良い例だ。あの瞬間のフレンダの、恐怖に硬直した表情。あんなものを、これから自分は永遠に見ていかねばならないのか。それも生きている限りずっと。

いや、コレこそがきっと学園都市において七人しかいないレベル5、超能力者の背負うべき業なのだ。
絶大な力には、当然絶大なる責任が伴う。そのツケを自分は払っているだけなのだ――――――、と。
麦野沈利は自身を守るため、そう無理やり自分を納得させた。心に残る寂しさから目を背けたままに。

「――――――!」
「――――――!」
「――――――!」

麦野(……あぁ、うるせぇな)



騒いでいるバカの声が耳障りだ、と彼女は思った。同時に、これだけ機嫌の悪い自分の側で騒いでしまった事を悔いろ、とも。

彼女が行おうとする事を有体に言えば、完全な八つ当たりだ。腹が立っている側で騒がれた。ムカつく。ぶち殺し確定だ。ただそれだけのシンプルな理屈だった。
哀れな子羊のツラを拝ませてもらおうと俯いていた顔を上げた彼女は、途端ぽかんと口を開いたまま硬直する。

自身の目が節穴になったかと錯覚した。寧ろ、錯覚していて欲しいとも願った彼女の思いとは裏腹にそれは間違いなく現実のものだった。

一方「ァァァァァ! なンでこういうときに限ってトリプルに当たるンですかァァァ!?」デレレンッ

垣根「ひゃはは! ざまあ見やがれ神様ってのはなぁ、日ごろの行いとやらをちゃぁぁぁんとご覧になってるってなあ!!」

一方「ほォ、吠えやがるか未元物質」

垣根「今更真面目に言ってもおせえんだよ! この俺の華麗なる投擲で勝利をこの手に掴むところを刮目してやがれ!!」

一方「クソがァ……、勝ち誇るにはまだはえェぞ……」

垣根「オマエこそ諦めが悪い。どこに当たっても俺の得点はお前の得点を下回る、ヤバげなら態と外しちまえばいいってなあ……。――――絶望しろ、一方通行」ビュッ ポウンッ バキーン

垣根「なん……だと……?」

一方「ぎゃははwwwwwww神様ァ見てるもンだなァ、垣根くゥゥゥゥゥゥンwwwwww 一発目からど真ん中とァ流石の俺でも予想だにしなかったぜェ!!」



騒ぐ子羊達の正体は、そう。泣く子も黙る我らが学園都市第一位第二位のコンビであったのだ。
ハイテンションに騒ぐ彼ら。空いた口が塞がらない彼女。ゲームセンターの喧騒から切り離されたこの不思議空間。そんな奇妙な光景から、この物語は始まる――――

以上が導入部なんや
また二日三日用事が入っててペース投下は出来ないけど、頑張って書き進めていくんで頑張るぜ

だいぶハイペースに投下した性で貯金も大分使い込んじゃったので今日はここまでです
またねー

友達って良いよね。俺も100人友達欲しいんだけど
二度三度フレンダ期待のレスを目撃したのでほんの少しだけフレンダを登場させるシーンを追加しました、結構先でだけどなww

見てくれる人がいるなんて、こんなに嬉しい事は無い……
二部の流れがもう少ししたら整理し切れるから、そしたら投下始めます
相変わらずハエが止まるような速さだけど頑張るよ!

待ってる

>>150
まじ遅くなってごめんね!
おかげさまでむぎのん編は大よそまとまりそうです
それじゃあこないだの続きから投下頑張るよー

垣根「チッ、なんであんな時に限ってBULLに当たるかねえ」

一方「運不運も合わせて実力だってなァ。48点で勝てるたァ思っちゃいなかったけどよ」

垣根「49点だったんだから……三点でも二点でも勝ちだったんだ……、神は死んだ……」

一方「おう、約束なンだから飲みもン買って来いよ。俺ァコーヒーな」

垣根「オマエコーヒー以外頼んだ試しねえじゃねえかよ一方ちゃんよお……、まあ約束は約束だ。涙を飲んで――――ん?」

一方「ン? 今更ごねたって何もかわンねェぞ」

垣根「おい、あそこ見てみろ」ボソボソ


一方「ァあン? …………オマエが好きそォなちょっと年上の女じゃねェか。ありゃ何点だよ」ボソボソ

垣根「間違っちゃいねえがそんな事が言いたい訳じゃない。ありゃあ第四位だ」ボソボソ

一方「第四位? 超能力者かよ。……アレが原子崩しか、そりゃそォとなンでこっちみて間抜けに口開けっ放しなンだよ。しゃぶりてェってのか?」ボソボソ

垣根「俺に聞くなよ。取り合えずあんだけ見られてっと落ちつかねえ。声かけてみようぜ」ボソボソ

一方「ま、俺ァ別に構わねェがな」ボソボソ

一方「おゥおゥ、そンなに食い入るようにこっち見て誘ってやがるンですかァ?」

麦野「――――――!」

垣根「コイツの言う事は置いといても、俺達に何か用かよ?」

一方「中々愉快なスルーかましてくれるじゃねェか垣根くゥン……」

麦野「て、テメェらなんでこんな所で和気藹々としてんのよ!!」

垣根「なんで、って突っ込まれてもな。ダーツしてたんだよ、ダーツ。狙った場所にタマ突っ込んでく最近のマイブーム」

一方「と、その付き合いだ。能力無しってのも悪くァねェもンだな」

垣根「これこそ本当の技術力の勝負だよな」

麦野「そんな事聞いてんじゃねえッてんだろうが……」ビキ

麦野「私が聞いてんのは、学園都市の第一位様と第二位様がガン首並べてなぁに仲良しこよしやってんだってんのよ……」

垣根「そういうオマエは一人で来てるみてえだな、学園都市第四位原子崩し」

麦野「――――ッッ!!」

麦野(一人でいる事が看破されてる!? クソが、情報が回るのが早すぎる……!)

麦野(このままじゃマズい……、滝壺も絹旗もいない状況でトップツーを纏めて敵に回すのはあまりに分が悪すぎだ)

麦野(なんとか状況の打破を――――!)



一方「ンだよ只の寂しがりやさンかよ。ぼっちの僻み入りましたァー」

垣根「おい言ってやんなよ、気にしてるかもしれねえだろうが!」

麦野「………………」

麦野「……はァ?」ポカーン

一方「ンだよ、混ざりたかったンなら最初からそォ言えやまだるっこしィな。一緒にやンぞ」

麦野「あ? い、いや私は」

垣根「金は最初に全部払ってやり放題だから気にする事はねえよ。原子崩し、お前ダーツできんのか?」

一方「パッと見はできそうには見えねェけどな」

麦野「ル、ルール位はわからなくも……、そ、それより質問に答えてくれない? 何トップツーの二人が日和ってんのかって事を……」

一方「ンじゃあ、オマエこそ何で一人で突っ立ってたンだ?」

麦野「こんな昼間っから男二人でイチャイチャやってるのは何でだっつってんのよ気持ち悪ィな?」ビキ

垣根「女一人で干上がってた奴に言われたくねえよ。そんなことよりダーツしようぜ」

一方「ぎゃはは! 干上がって!!! 確かにコイツァ干物だァ!」

麦野「だ・か・ら、なぁぁぁんで、お二人は、仲良くダーツに興じてるの? って、平和的に、聞いてるの、わかる?」ビキビキ

一方「直訳:私も混ぜてよ仲間外れはズリィ。又は意訳、絶対勝てねェんでマジかンべンして下さい」

麦野「」ビキビキビキビキ

麦野「上等だコラァァァァァ返り討ちにしてやるっつってんのよォおおおおおおお!!」ピカーーー

垣根「よっしゃ、じゃあ最初だし01やろうぜ。さっきの負けはノーカンにしといてやるよ、喜べよ一方ちゃん」シュッシュッシュッ、ボウンッ

一方「垣根くン調子のンな。最初なンだから301からな。原子崩し、テメェの実力の程見せてもらおうじゃねェか。俺らに喧嘩売ったこと後悔して絶望しなァ」ウズウズ

麦野「……」

麦野(どうしてこうなった……)





垣根「そんじゃジャンケンだ。さーいしょーはグー、ジャーンケーン」

三人「「「ポンッ!」」」バババッ



一方「俺が一番だな。ハッ、速攻で終わらせてやンぜェ!!」

垣根「原子崩しもいんだからそんな飛ばすんじゃねえよ。でもま、大トリに期待はしなきゃなあ」

麦野(なんで私こんなことやってんだろ)

垣根「あ、ダブルインダブルアウトは無しな。ダーツは俺の予備の貸してやるよ」

麦野「――――あ、ありがと」

一方「よっしゃァ、始めンぜェ!!」ヒュッヒュッヒュッ 

垣根「20のダブルに20シングル、それに1か……幸先良いじゃねえか一方通行」

一方「カカカッ、モタモタしてっと終わらせちまうぜ垣根くンよォ!」

垣根「俺は俺のペースを崩さねえ。ダーツは、自分との闘いだ」


一方「ダーツは、自分との闘いだ」キリッ

一方「おィィ原子崩し今の聞いたかよォォ!! コイツマジ調子乗っちゃってンですけどォ!」プークスクス

垣根(無視無視)ヒュッヒュッヒュッ

麦野(学園都市ってこんなんがトップツーだったの……?)

一方「14シングル11シングル、14シングルか……、相変わらずの左寄せしてンなァ」

垣根「俺は考えた。考えた末に結論付けた。確かに20点やど真ん中は取れれば美味しい。しかしその左右は一点と五点に囲まれている」

垣根「高いリスクを負うにしては20点は割りに合わねえ……。なら中心の少し左側を狙えば? 集まっているのは14、11、8、16、最低でも8点。上手くいきゃ16トリプルで48点にもなる」

垣根「調子が良いラウンドは二投目又は三投目でBULLを狙い更に高得点を狙うわけだ……、この俺の理論に死角はねえ。聞いてっか一方よお!」ババーン

一方「なげェ」

垣根「ごめん」シュン

麦野(あー、成る程ね。こいつ等初心者なんだ)



一方「さァて、次は期待の新星原子崩しな訳だが」

垣根「プレッシャーかけてんじゃねえよ。どんなに下手でも笑うのは最低な行為だ」

麦野「んじゃ、投げよっかなあ。ダーツなんか久しぶりね」グッグッ

一方「……やけに様ンなってやがンな」

垣根「そうか? 俺にはよくわからねえが」

麦野「…………」ヒュッ ポウンッ


二人「「――――!」」
二人((い、いきなりBULLだと……?))

麦野「…………」ヒュッ トン

一方「い、いきなりブル当てられてビビっちまったじゃねェか! ま、3のシングルは残念だったがよォ!」

垣根(いや待て……、横の軸は殆どブレてねえ……。まさか)

麦野「…………」ヒュッ ポウンッ

麦野「ん……久々だけどやっぱり体が覚えてるもんねえ」デレレンッ


一方「」
垣根「oh......」


一方「え? え? ン? あれ、おィおィ原子崩しァ、能力は無しだぜ? ずっこいじゃねェか」

麦野「電子飛ばしてどうすんだよ。ボードごと撃ち抜けっての?」

垣根「原子崩しオマエ……、『投げ込んで』いるなっ!」

麦野「一時期凝ってた位だね。流石に本職やら常習者には負けるけど、そこそこ位なら狙った場所には行くのよ」

一方「マジかよ…………、ンなの聞いてねェぞ……。フェアじゃねェンじゃねーの?」

麦野「テメェらから売った喧嘩に負けて吠えてりゃ世話無いわ。言いたい事があんならまず勝つ所から始めなさいよ」

垣根「クソが……、残念だが口では分が悪いぞ一方通行……」

一方「ケッ! 勝負はまだまだ終わっちゃいねェンだよォッ!」ヒュヒュヒュッ

麦野「私の勝ちかな」

一方「」ズゥーン
垣根「ナンテコッタイ」

麦野「口程にも無いってこのことね」

一方「五ラウンド目で終わられるとか……、死にてェ……」

垣根「お前に七ラウンド目で終わられたせいで俺がビリっけつじゃねえか、一方通行大爆発しろ」

一方「原子崩しが圧倒的過ぎたせいで負けた気しかしねェ……」

麦野「『どんなに下手でも笑うのは最低の行為だ』」キリッ

麦野「勿論私は笑ったりはしないけどね」ニコッ

一方「」プルプルプルプル
垣根「」プルプルプルプル

垣根「畜生だが負けは負けだ仕方ねえ……、飲み物買ってくっか、クソ。第四位、とんだダークホースだったぜ……」

垣根「一方ちゃんはコーヒーな。……原子崩しは何が良いよ」

麦野「え、わ、私?」

一方「テメェ以外に原子崩しはいねェだろォが。ビリがジュース奢りって決めてたンだ、遠慮するこたァねェよ」

麦野「……そう? じゃあ午後々ティーで」

垣根「いってくるぜ」スタスタ




一方「…………」ソワソワ

一方「……さて、原子崩しァさン。ちィィィっとばかし聞きたい事があるンですが」

麦野「!」

麦野(腐っても第一位か? 何か釘を刺されることは覚悟しておかないと……)

一方「あのよ……その、だな。うン」

麦野「……なにさ、焦らしプレイがお望みなの?」

一方「どうやったらダーツそンなに上手くなるンですかァ?」


麦野「……」

麦野「…………うん、やっぱそんなこったろうと思ったわ」

垣根「あー、ココアうめえ。……ん? あいつら……」タタッ

垣根「おうコラ、なぁに仲良しこよしに談笑しちゃってんだ? そろそろ混ぜろよー」

一方「っせェテメェは黙ってろ! 俺ァ今原子崩しさンにダーツの極意を伝授してもらってンだよ!」

垣根「――!? テメェ抜け駆けする気かよ! 原子崩しのあの実力を見た途端に媚売ろうってか、誇りに欠けた強者程見てて痛々しいもんはねえなあ一方通行!」

一方「抜け駆けってこたァ、テメェも手取り足取り腰取りナニ取り教えてもらう気マンマンヤル気マンマンなンじゃないですかァ?」

麦野(コイツらも力に擦り寄ってきてる奴ら……なのかしら? よくわかんないわね)

垣根「ぐっ…………。オマエがコーヒーを欲しくねえって事はよくわかった。ほらよ、原子崩し」

麦野「あ、ストレートだ。ありがと」

一方「おィ。そォいうの、あンま良くないンじゃないの?」

垣根「ありがとうございますはどーしたぁ一方ちゃんよ」

一方「ありがとン」

垣根「ほらよ」ポイッ

一方「サンキュ」パシッ

麦野「――――ああ、おいしいわ。けど午後々ティーのストレートって何がストレートなのかしら」

垣根「俺も前々から思ってたな。原材料に砂糖が入ってんのにストレートとか名に偽りありじゃねえか」

一方「コーヒーうめェ」

垣根「そういや一方ちゃん、お前MAXIMUMコーヒーって飲んだ事あるか?」

一方「ン、飲んだことねェな。うまいのか?」

垣根「悪くなかった。今度お前も飲んでみろよ」

一方「ふーン」

麦野「それあの黄色い缶のやつの事? ゲロ甘で飲めたもんじゃ無かったんだけど」

垣根「あっバカ」

一方「ゲロ甘……? そりゃ甘党のテメェが好きそうなゲテモンだなァ未元物質」ハンッ

垣根「……空気読めや原子崩し、何も言わずに飲ませて噴出すコイツの素敵なザマぁ特等席見たかったのに……」

麦野「砂かぶりってか砂糖かぶりの席? ぶっ掛けられんのは流石に御免だわ」

一方「ぶっかけとかなンかエロくね?」

垣根「最低だな一方通行、俺もちょっとだけ連想したけどな」

麦野「下ネタとかあからさま過ぎて引いちゃうよ」

俺「お前が言うな」

垣根「まあ取り合えずダーツ教えろよダーツ」

麦野「……まあ、我流だけどアンタ達よりはマシだからね。取り合えずそこ。そこにあっち向いて二人とも並びな」

垣根「おう」
一方「ウス」


麦野(――――あれ? ひょっとして、このまま後ろから吹き飛ばしたりできないのかな……)

一方「原子崩しァさンまだー」ウズウズ

麦野「急かすんじゃないわよ、ガキじゃあるまいし」

垣根「……」プププッ

一方「……」ビキビキ

麦野「そんでもって的に当てるつもりで投げるまね!」


一方「おらァ!」ヒュッ
垣根「――!」ヒュッ


麦野「……一方通行は論外。投げようとする時に肩とヒジが開いて少し振りかぶってる」

一方「」

麦野「未元物質はパッと見それっぽいかな。後はただ漠然と投げるんじゃなくて上手く投げれた時のイメージを意識して投げると良いよ、あくまでイメージだけどね」

垣根「成る程な、参考になりやがる。ただ、名前で呼んで欲しいもんだな。俺には垣根帝督って名前があるんだからよ」

麦野「ならまず相手の名前から呼ぶのがマナーでしょ。私の名前は麦野沈利、復唱」

垣根「麦野沈利……ね。良い名前じゃねえか、悪くねえ」

垣根「お前はいつまでいじけてんだよ」

一方「いいンだいいンだ、どうせ俺なんか論外だし本名不詳なンだ……」シュン

麦野「肩とか使うんじゃなくて腕だけで投げれば良いんだって。こう、シュッって」

一方「それやると届かなかったりする上にすぐ疲れンだよォ」

麦野「……アンタヒョロすぎ。触ったら折れちゃいそうって男に使う言葉じゃないんだよ?」

一方「――――――――――」ズゥーン


垣根「おい、言いすぎだ! コイツ一旦落ち込むと長えんだぞ!」ボソボソ

麦野「なーんかこれまでそれなりに苦労して生きてきたのが馬鹿らしくなってきたわ」

垣根「ダーツに熱中してたらもう昼過ぎて暫くかよ……、時間も切れるしそろそろ愉快にお昼ゴハンと洒落込もうか」

一方「…………チッ、イライラすンのも全部空腹のせいにしちまうか。確かにいい加減腕が重てェし」

麦野「アンタら何時から投げてたのよ」

一方「十時だな。そっから投げっぱ」

麦野「開店時間じゃない、どれだけやる気勢なんだか」

垣根「なあ原子……麦野、お前も暇なら一緒にメシ食い行かねえか?」

麦野「――――ハァ? なんで私がアンタらと?」

一方「ォ、良いねていとクン良い意見だァ! 麦野さンも一緒にメシ食おうぜェ、ついでにダーツ教えてくれやがれ!」

垣根「テメェはダーツ教わりたいだけじゃねえのかよ。ま、取り合えずファミレスで良いよな?」スタスタ

一方「よォし。さっさとメシ行くぞメシだァ」スタスタ

麦野「あ、お、おいちょっと!」




ナァーニヤッテンデスカァー?  サッサトコイヨー


麦野「…………一体もう、何がなんなんだか……」スタスタ

一段落なので今回はここまで
今日はもう少し預金を増やしてから寝ようと思う
待ってくれてたり読んでくれてたりしてる人ありがとうな!
後新しく読んでくれた人もマジサンキュ

明日、ってか今日だが夜には投下できると思うのでよろしく

リア充とか俺もリア充したかったわ…………、むぎのんは凄く可愛いと思う!
今日の投下は今からご飯食べるのでそっからです
預金は推敲で多少増えたり減ったりするかもだけど今のところは50KB弱位、書くの遅いからどんどん減ってくんだよwwww

全然関係ない話なんだけど、この先の話で心理掌握さんが出る予定があるんだが
完全に妄想全開のオリキャラで構わないのかな、それとも皆が持ってる共通のイメージとかあったりすれば教えて欲しいぜ

ご飯食べてきます

ごちそうさま
心理掌握はこっちのイメージで作るんや
それじゃあ頑張るよ

ガヤガヤ


麦野(それにしても…………)

麦野(流れでファミレス入っちゃったけど、一体全体どういう状況なのこれ。学園都市が誇るレベル5が三人揃ってファミレスで談笑? 笑わせてくれるね)

一方「あー、コーヒーうめェ」

垣根「抹茶ラテまじうめえ」

麦野(コイツらはコイツらで完全にくつろいでる……、気ィ張ってる自分が滑稽に思えてきたじゃない)

麦野(…………まあ、私だって……。何度か空気に呑まれかけちゃってたけどさ)

一方「麦野さンは紅茶派なンだな」

麦野「……え? ああまあ、紅茶はよく飲むかな。砂糖はあんまり入れないけど」

垣根「俺は甘いの好きだからな。紅茶には砂糖ガンガン入れる派だ」←甘党

一方「コーヒーはブラックに限るだろォ」←そもそも紅茶飲まない

麦野(日和ってるコイツらどうにか利用して何かできれば文句無いんだけど……そう上手くいくとは思えないし……)

一方「取り合えずいつも通りドリンクバーだけ頼ンじまったが、メシも頼もうぜメシも。腹ァ減って力が出ねェよ」

垣根「麦野は何食うんだ?」

麦野「うーん……、垣根? と……、一方通行は何食べるつもりよ」

一方「あれェ? 何故か呼び名俺だけハブられてねェ? ……俺ァミックスグリルとグリルソーセージな」

麦野「だってアンタさっき自分で本名不詳って言ってたじゃないの」

垣根「一方(アクセラ)ちゃんで良いんじゃねえの? あ、俺は若鶏のみぞれ煮な。ライス大盛りで、サイドメニューは……麦野アスパラ食えるよな?」

麦野「全然大丈夫」

垣根「じゃあそれにピザ頼むわ」

一方「まァたみぞれ煮かよ。よく飽きねェな、いつもそれ食ってるし」

垣根「暫くこれ以外食べる気が起きない位惚れこんでるからな。――――浮気、ダメ、絶対」

麦野「――――――垣根に一方ねえ…………、ゆーめーじんが急に身近になった感じなのかな。なんだか実感わかねーわ」

一方「ン、なンか言ったかよ?」

麦野「べぇつにぃ?」

垣根「早く決めろよー」

麦野「ん…………、鮭とか無いのかな」

一方「鮭ェ? あったっけか?」

垣根「モーニングのメニューにはあった。と、思うがな。まあ試しに聞いてみようぜ、押すためにある横車もあるもんだ」ピッ  ピーンポーン

店員「ご注文お決まりでしたらお伺いいたします」

垣根「あ、すいませんけどモーニングのメニューの焼鮭朝食ってまだ大丈夫ですかね?」

店員「――――ええと、少々お待ちください」スタスタ

一方「ァ、ダメだった時用のも一応決めとけよ」

麦野「そうねー。じゃあもしダメだったら銀ひらすの西京焼きね。でもひらすって何かな、しらすには見えないけど」

垣根「しらすをどうやって西京焼きするんだよ、炭になってでて来るぞ」

一方「腹ァ減ったぜェ…………」グゥゥゥー

店員「特別にご用意させて頂く事になりました」

垣根「お、ラッキー。あざーす」

一方「あー、ミックスグリルにライス大。それとォ若鶏のみぞれ煮にライス大。あと焼鮭? 一つ。ンでグリルソーセージとアスパラベーコンピザ」

店員「以上でよろしいでしょうか?」

一方「麦野さン他になンかあるか?」

麦野「……特に無し」

一方「ンじゃ以上で」

店員「かしこまりましたー」


一方「よし、飲みもン取ってくる」ガタッ

垣根「じゃあ俺待ってるから一方ちゃん入れてきてくれ。抹茶ラテな」

一方「泥水のようなコーヒーを入れてきてやンよ」

麦野「……じゃあ私もお願い。ローズヒップね」

一方「テメェは来いよ、楽しよォとしやがって! お年で足腰に来てるンですかァ!?」

麦野「…………聞かなかった事にしといてやるよ」ピクピク

垣根「いいからさっさと行って来いって」

垣根「抹茶ラテうめぇー」

一方「コーヒーうめェ」

麦野「……ローズヒップすっぱい」

一方「外れか?」

麦野「入れ方間違えたかな……」

垣根「いや、ローズヒップはそもそもすっぱいもんだ。間違っちゃいねえだろうよ」

麦野「純粋にミステイクだったっぽいわね……」

垣根「そういやよ、麦野はゲーセンとかよく行ってんのか?」

麦野「結構前に足繁く通ってた、けど最近は全然って所。今日はたまたまだし」

一方「あンな場所ででも会わなきゃ声かけることなンざねェだろうしな。運が良かったってか」

垣根「成る程な、今日は仕事もねえって事かよ」

一方「仕事? 麦野さンやっぱ年――――なンでもねェ」

麦野「…………」ビキビキ

麦野(腑抜けてるだけならまだしもよくもまあ人をイラつかせてくれるわねコイツら…………)

麦野(…………でも、『アイテム』も……こんな感じだったっけ……?)

垣根「んー、俺の記憶が確かなら、麦野は『アイテム』とかいう組織のリーダーはってた筈じゃねえか?」

一方「ンだそりゃ? 聞いたことねェぞ。スキルアウトの親戚か?」

垣根「暗部の組織系統の一つだよ。俺のいた『スクール』と同じようなもんだ」

麦野「『いた』? なにさ垣根、アンタ『スクール』から抜けた訳?」

垣根「籍はまだ残ってるだろうな。が、そりゃ俺がいねえと組織がまわらねえからだ。歯車が壊れても取替えりゃ機械は動くが、駆動機が働かないんじゃ前提条件すら満たせてねえ」

一方「つまりは垣根くンにやる気が一切無いと、そういう訳だ」

垣根「自主休学、とでもしとけよ。『スクール』だけに」

麦野「なにそれつまんない」

一方「結局麦野さンの仕事は今日はねェって話か?」

麦野(ここは隠しておくべき所、か……? ――――いや)

麦野(本当の事を言っても別にデメリットは無い、か。そもそも相手の組み合わせが悪すぎるわ)

麦野「それは違う。私も垣根と似たようなもんよ」

垣根「俺と? 自主休学か?」

麦野「もうそれは良いからね。色々あって三行半叩きつけて来たの」


店員「お待たせいたしましたー、ミックスグリルとライス大のお客様」

一方「ン」

店員「若鶏のみぞれ煮とライス大のお客様」

垣根「俺俺」

店員「前失礼します。焼鮭朝食のお客様」

麦野「私ね」

垣根「あ、ピザとソーセージはここに」

店員「かしこまりました。ご注文は以上でおそろいですか?」

麦野「多分これで全部かな?」

店員「ごゆっくりどうぞー」


一方「うーン、ミックスグリルとグリルソーセージでソーセージがダブってしまった」

垣根「それ言いたくて狙ってやっただけだろテメェ。ああ、飲み物とってくる」ガタッ

麦野「わー鮭だー」

一方「やっぱ肉だろ肉ゥ」ガツガツ

垣根「みぞれ煮の美味さは異常」パクパク

麦野(鮭おいしい)モグモグ

一方「あ、ソーセージとピザも勝手に食えよ」

麦野「あんがと」モグモグ

垣根「どこまで話したっけ?」

一方「なンでか西京焼きだけ覚えてる」

垣根「それ結構前じゃねえ?」

麦野「私が『アイテム』に三行半って所までじゃない?」モグモグ

一方「あァそこまでだ。なンか理由でもあンのか」

麦野「別にぃ? ウザかったからでて来ただけだよ」

一方「麦野さン短気っぽいしなァ。たまに口汚ェし」

垣根「……ほんとかよ。それだけか?」

麦野「――あん? 誰に口聞いてんだ、私は超能力者(レベル5)で第四位の原子崩し(メルトダウナー)だ。気にいらねえもんほっぽり捨てて何か悪い事でもあるっての……?」




一方「今思い出したけど俺も超能力者で第一位だったな」

垣根「俺も俺も」

麦野「そういやそうだった」ウッカリ

垣根「いやな、そこそこ前に麦野と……『アイテム』? が町を歩いてんのを見たことがある。ユルそうな女に、キツそうな金髪に、やかましそうなガキだったが……」

垣根「あの時それなりに麦野も楽しそうに見えたのは多分俺の気のせいじゃねえ」

麦野「ハッ、それがどうしたんだって?」

一方(なンか、ここは空気読ンで黙っとくか)モグモグ

垣根「俺がクソッタレな『スクール』を『自主休学』してんのはあそこが俺の居場所じゃねえからだ。本当の意味で俺を見てる奴が只の一人もいなかったからだ」

麦野「アンタと私の何処が違うって? かきねぇ、アイテムの内部事情も知らないくせに大きな口叩くんじゃねえよ」

垣根「お前が心の底からそう思ってるなら、戻らなきゃ良い。んな事は自分だけの自由だ。俺もそこまで口を出そうとは思ってねえし」

一方(あ、このピザうめェ)パクパク

垣根「ま、居場所なんてもんは欲しがって気がついたら出来ちまうもんだ。麦野もちょいと落ち着きゃ案外すぐ見つかるかもしんねえぞ」

垣根「幸せの青い鳥っつーのは気付かない程近くにあったりするってのが定石――――」チラッ

一方(このピザマジでうめェな)パクパクモグモグ

垣根「――――って一方通行テメェ! まだ俺ピザ食ってねえのにほとんど食いやがったコイツ信じられねえ!」クワッ

一方「――――あ、やべっ」

垣根「あ、やべっ じゃねえよ……。美味かったか?」

一方「気がついたら無くなってる程にはな。いや、悪ィ」

垣根「謝ってもゆるさねえ、スズメバチに刺されて死ねよ」

一方「虫は得意じゃねェンだがな……」


麦野(居場所だぁ? んなもん何処にあるっつうのよ、この化け物一歩手前の超能力者を。腕の一振りで自分を消し飛ばせる人間の形をした兵器を受け入れる奴が何処にいるってのよ)

麦野(…………でも垣根は、私以上の化け物の筈のコイツは居場所とやらを見つけていると暗に言ってやがった)

麦野(第一位と第二位、所詮誰からも理解されない奴同士が馴れ合って傷を舐め合ってるようにしか私には見えない。その筈なのに…………)

麦野(羨ましい、のか? 私は?)モグ

垣根「悪いな、このバカが調子乗って食いすぎやがってピザあとちょっとしかねえわ」

麦野「(ケロッとしやがって……)別に良いよ、欲しかったらまた頼むし」

麦野「――――――――――ん?」

麦野「…………」ゴソゴソ

麦野「あれー? そんなはず……あれー……?」

一方「どうした麦野さン」

麦野「財布とケータイが無い……」



一垣「「な、なんだってー!」」



麦野「私どっかでどっちか取り出してたりしてなかったっけ?」

一方「ダーツは俺らが最初に払ってたし飲みもンは垣根くンが買ってたな」

垣根「見てねえよ。そもそも麦野手ぶらだったぞ」

麦野「んー…………、あ」

麦野「そもそも出て来る時に財布もケータイもカードも全部忘れてきた、かも……」

一方「麦野さン文無しかよ。こういうときってほンとに皿洗いさせられたりすンのかねェ」

垣根「まあ家に取りに帰れば良いだろ。もしアイテムに会っても別にやましいことも無いんだから堂々と行けば良いんじゃねえの」

一方「まァココ位は出すから、今度なンか奢れ」

麦野「う、うーん……取りに帰り辛いってか帰りたくないってか帰れないってか……」ボソボソ

一垣「「…………」」

一方「で、話戻すけどよ。結局麦野さンはなンで『アイテム』出て来たンだっけ?」

麦野「じ、自分から出て来たって言ったでしょ」

垣根「果たして本当か? もし事実自分で出て来たなら清々してる爽やか麦のん☆ な筈だろ。つまりなんか込み入った事情があるんだぜきっと」

一方「どういうことかね、ていとクン!」

垣根「つまり真の事情が存在する、という事だ」キラン

麦野「んなわけないでしょうが。下らない事話してんじゃないよ」

うわあああああああ何故上げたし俺ばかす

一方「『ンだが、その麦野さンの発言。――ブラフ』」

垣根「して、その実態は?」

麦野「…………」

一方「素直に言うンだ麦野さン、今ならまだ傷は浅いぞ」


麦野「…………」ギリッ
麦野「……い出されたのよ」

二人「

                ハ        _
    ___         ∥ヾ     ハ
  /     ヽ      ∥::::|l    ∥:||.
 / 聞 え  |     ||:::::::||    ||:::||
 |  こ ?  |     |{:::::∥.  . .||:::||
 |  え      |     _」ゝ/'--―- 、|{::ノ!
 |  な 何   |  /   __      `'〈
 |  い ?   ! /´   /´ ●    __  ヽ
 ヽ      / /     ゝ....ノ   /´●   i
  ` ー―< {           ゝ- ′ |

        厶-―    r  l>        |
      ∠ヽ ゝ-―     `r-ト、_,)      |
      レ^ヾ ヽ>' ̄     LL/  、   /
      .l   ヾ:ヽ ` 、_      \\ '
     l    ヾ:ヽ   ト`ー-r-;;y‐T^
      |    ヾ `ニニ「〈〉フ /∥. j

                       」

麦野「」プッツゥゥゥン
麦野「オォォイだされたッッつッてんだよォォォォおおおおおお!!!」ピカー

垣根「バ、バカッ声がでけえ!!」

店長「――――」スタスタ

一方「すンませン! マジすンませン! 静かにするンで!」

店長「…………」クルッ スタスタ
ザワザワ ザワザワ

一方「麦野さァんここ出禁になったらどうしてくれるンだよォ……」ボソボソ

垣根「抹茶ラテ飲めなくなっちまうじゃねえか、あれ置いてる所そんなねえんだぞ」ボソボソ

麦野(……なーんか本格的にどうでもよくなってきた)

一方「しかしわりィ麦野さン……、別に何もねェだろとか思って逆に調子のっちまった……」

麦野「…………あー、別に良いわよ。いっぺん叫んでむしろスッキリしたわ」

垣根「王様の耳は、だな。穴に向かってじゃねえのが唯一にして最大の問題だったが」

一方「追い出されたって、なンかしでかしたのかよ。穏やかじゃねェぞ」

麦野「それがねー」



麦野説明中



絹旗「誤解しないでほしいのが」

絹旗「別に超追い出した訳じゃなくて、麦野が勝手に出て行っただけなんですけどね……」

絹旗(それはそうと)

絹旗(私なんで急にこんなこと口走ったんでしょうか……、超不審者じゃないですか……)

滝壷「きぬはた、何か言った?」

絹旗「いえ何も」

一生の不覚だったわ……、なァンであンな事しちまったンだ俺ァ……
今日は短めにココまでです
また見てね!

今帰宅
世界の謎に二回程挑んで、地球を防衛して、水没都市から脱出して、正義の味方をやっつけたんでサティスファクションしました
関係ないけどメタルギアは1~3は済で4をやってみたいと思いつつまだやってないんだぜ
あと先生は肩アーマーがプリティ

もう少ししたら投下始めるけど長くはならなさそうなんや

GPO、地球防衛軍、絶体絶命都市、悪代官のメドレーだぜ

それじゃあ投下しますー、のんびりのびのび頑張るぜぃ

麦野「――――って事があってさ」

一方「…………」
垣根「…………」

一方(いやそこは謝れよ……)
垣根(……俺も『スクール』の連中相手なら似たような事言ってたかもしれねえな)


麦野「ほら聞いてんのか一方(アクセラ)ぁ! アンタが聞いたんでしょうが!」

一方「な、なンで俺だけ怒られるンですかァ!?」

麦野「私も喋ったんだし何かアンタも喋んなさいよ。それが公平ってもんじゃない」

一方「なァに言ってンだこの人……、別に最近特に変わった事ァねェよ?」

麦野「ふーん……、学園都市は今日も今日とて平和なのかしら。つまんない」

一方「それはそうと、『アイテム』だったか? 麦野さンの事考えて言ってくれてンなら良い奴らじゃねェか。大事にしとけよ」

麦野「……ふんっ」

垣根「やれやれだぜ」

垣根「ん、思ったんだが。なんで一方は麦野『さん』なんだ?」

一方「目上だろォ? 後ダーツうめェし」

麦野「……目上扱い、嬉しくないなぁ……」

垣根「マジか。じゃあ俺も麦野さんって呼んでみっかな」

麦野「そういうのはアンタに合ってないんじゃない? 気色悪いわ」

垣根「……なんか俺今すげえ酷いこと言われなかった?」

一方「気のせいだろ」ズズッ

一方「そういや、原子崩しってどンな能力してんだ?」

麦野「――――そう簡単に自分の手の内明かすと思う?」

垣根「いや、調べりゃ大体の事はわかるからな? 電子を中庸な状態で固定、とは又規模の割には応用の難しい能力だな」

麦野「まあ……今更かしら。その応用性が高けりゃもう少し上狙えたのに、って愚痴られながら育ったわよ。やっぱ子供は褒めて伸ばすもんなのかしら」

一方「ンー……、電子っつっても素粒子なンだから垣根の能力に近いのか?」

垣根「いや、俺の能力は存在しない物を『現出させ、操る事』だ。存在する物に対して働きかけてやるのは確かに近いが全くの別もんだろ」

一方「話を聞く限りだと、電磁気学的な側面からじゃなくもっと直接的に……電子に対してアプローチをかけてる変質交じりの『念動力(テレキネシス)』って側面があるんじゃねェのか?」

垣根「……あっさりと否定したい所だが、わかんねえ所だな。おい麦野、お前って『電撃使い』だったか?」

麦野「厳密には違うらしいよ。発電効率が絶望的らしいんだわ」

一方「だから、在る状態の『原子を崩す者』ってわけだな。危険極まりねェ……炉心溶融(メルトダウン)すんじゃねェぞ。麦野さンも危ねェだろうしな」

垣根「もう少し、ちょっとした事に使えるような能力だったら便利だったのにな。こう、寝ながらテレビのチャンネル変えたりとかゲーム中に痒い背中をかいたりとか」

麦野「アンタそんな事に能力使ってんの……? てか『未元物質』と『一方通行』の汎用性に勝てる能力なんてあるわけないじゃない」

一方「いや、勝手な解釈だが俺ン『一方通行』は言うほど高尚な能力じゃねェって考え方もできンだ」

麦野「アンタの能力が量産されてたらこの世の終わりでしょうが」

垣根「能力無い一方ちゃんが量産されても同じくらい対処に困るぜきっと」

一方「喧嘩のバーゲンセールやー」

一方「念動力は、動いて無いもンを動かす力だ。ベクトル変換は、既に所持してる運動エネルギーの方向を変えるだけの能力。ハンドルさえ付いてりゃ、止まってる車を動かすのと走る車を曲げるのどっちが楽かって話なンだよ」

垣根「ヨガフレイムとヨガファイヤー、実はよりすげえのはヨガファイヤーだ、みたいなもんかよ。飛んでくし」

麦野「垣根はよくわかんないけど、そういう意味じゃ単純に縦に並べられるような能力でもなさそうね」

一方「その意味じゃ垣根と麦野さンは似たタイプの能力者だろ。変質と生産の違いはあるにしろなァ」

垣根「……電撃使いの最先鋒が『超電磁砲』、みたいなもんだっつうのか?」

麦野「随分と胡散臭い話になってきたわね。研究者だったら、諸説あるがで打ち切ろうとするような話題だし」

一方「その辺、科学じゃ限界があンのかもしれねェってよ。『自分だけの現実』なんて一人用の代物を、万人に理論を啓蒙するための科学で扱えるわけねェだろうが。って話だ」

麦野「うわ、学園都市全否定」

垣根「それ、誰の受け売りだ?」

一方「判ってて聞くんじゃねェぞ。ま、演算云々が絡むと何だかんだで俺のが優秀らしいけどな」

垣根「自慢かよ」

一方「大分話が逸れた、麦野さンの財布の話だっけか」

垣根「取りいけないならどうするつもりなんだ? いくらレベル5でもその辺での野宿なんざ襲ってくださいって誘ってるようなもんだろ、」

麦野「うーん…………」

一方「ていとくンそォ思うんなら泊めてやれよ、ダーツ教えて貰ったろ」

垣根「テメェもじゃねえか」

一方「ウチは木原くンいるから無理だろ」

垣根「だが男と女一つ屋根はまずい、常識的に考えりゃな」

一方「『常識は通用しねえ』が口癖だったあン頃の未元物質はどこへ行ったンですかァ」

垣根「常識は俺に通用しねえ訳じゃねえだろ! ――――ああ、お前も来いよ一方通行」

一方「俺もォ? お泊り会ですってか?」

垣根「そんなら大丈夫…………肝心の麦野の話聞いてなかったな、悪い」

麦野「ん……垣根んちに泊まれって?」

一方「ああ、麦野さン泊まるとこねェなら垣根くンち泊まれば良いだろォ」

麦野「そうねえ……」

麦野(最悪名乗って照合取ればホテルでも何でも泊まれるんだけど…………そんな気分でも無いし)

麦野(コイツらが血迷って私に盛るとも思えないな……、寧ろこの二人がその気だしゃ対処できるやつはいないか)

麦野(それにしてもコイツら本当に本物の一位と二位かしら? あまりにも無警戒ってかなんていうか……)


一方「おーい、麦野さーン?」

麦野(コイツら利用してなんたら、って気分じゃもっとない…………かな。ほんとに毒抜かれちゃったよ)

麦野「……じゃあ、お願いするわ」

垣根「よっしゃあ、そんじゃ速めに出て買い物行こうぜ」

一方「おォ? 何買うんだよ」

垣根「食い物に酒にツマミに……」

麦野「え? 鮭?」

垣根「買ってもいいけどつっこまねえぞ」

一方「突っ込む?」

垣根「それももう良いからな?」

垣根「そういや一方も麦野も酒は飲めるよな」

一方「嗜む程度にはな…………、って一度言ってみたかった」

麦野「どっちよ。私は普通に飲めるけどマズいのは勘弁」

垣根「そりゃ不味いもん飲み食いしたがる奴は普通いねえだろ。よし、抹茶ラテも満足したしそろそろ出るか? ウチで食うなら買い物もしなきゃだろうが」

麦野「ん、私は構わないけど。それにしても何杯飲んだのよ。飲みすぎじゃない?」

垣根「だいぶ飲んだ、もう暫く抹茶は見たくねえ」

一方「とか言ってまた来たら抹茶ラテ飲んでンだぜ?」

麦野「それに多分若鶏のみぞれ煮のセット頼むよきっと」

垣根「テメェらが俺の事を余すことなく理解してくれてて冥利に尽きるぜホント」ハァ

麦野「……あー、ちょっとお金かカード貸してくれない? 色々準備があってね」

垣根「まあ別に麦野が金に困ってんのは今だけだからかまわねえよ? 何するんだ」

麦野「野暮な聞くんじゃないよ」

一方「バラけるなら連絡取れないとまずいだろォ。麦野さンケータイ持ってねェしな」

垣根「じゃあどっちも俺の貸しとくから、後で返せよ」

麦野「さんきゅさんきゅ、じゃあ又後でねー」スタスタスタ

垣根「何か込み入った事情でもあんのかありゃ?」

一方「女だし色々あンじゃねェの? 違ェかもしンないけどな」

垣根「まあ、別にどうでもいいな。俺らはスーパーでも行って色々買っとこうぜ」

一方「堅揚げポテトもな」



ざわ……
  ざわ……


垣根「スーパーに到着した訳だが」
一方「デケェ。とにかくデケェ」
垣根「俺は酒と飲み物類を集めとくから、お前はツマミ類を集めとけ。適当に揃ったらレジの近くで突っ立っとけよ」スタスタ
一方「ン」スタスタ

一方「スナック菓子は基本だよなァ……、後チョコレートとか色々……。――キャベツもか。ゴマ油とか焼肉ダレは垣根くンちにあるか」

一方「ナスの漬もンとかも食えるし大根も……、鮭フレークも一応買っとくかァ、余ったら垣根くンちにおいときゃいいし」

一方「チーズにソーセージに、あ、コーヒーだァ。これもこれも」ガシャガシャ

一方「後はなンか缶詰でも…………、鮭缶と……鯖缶かァ。コイツも持ってくか」パッ

パッ

一方「――――ン?」
?「――――ん?」

一方「ンだテメェ」

?「それはこっちの台詞よ。何の用よ」

一方「質問には答えましょォっておかーさン教えてくれませンでちたでちゅかァー?」

?「な、何よ腹立つ事言ってくれちゃって! 結局さっさとその缶詰から手ぇ離しなさいよ、それは私のだってーの!」ムキー!

一方「絡む相手見てから絡めやメスガキ、俺の手の方が早く缶持ってたンだから俺のもンに決まってンだろォが」

?「結局私の手に絡んでんのはアンタの指でしょうが! どっちも最後の一個じゃない、缶詰の価値崇高さもわからなさそうなアンタなんかに渡したら勿体無い訳よ!」グググ

一方「こっちにも鮭大好きな人いるンですゥゥ、年がら年中鮭食べてないと全身の皮膚が溶けて口から手が出て胃液が鉄を溶かす位分泌されちまうンですゥゥ」グググ

?「何処の地球外生命体な訳よそいつ……」


?「……それはそうと、どうせ絡んだんだからちょっとだけ聞いて欲しい事があるんだけど」パッ

一方「ハッ、たちどころに聞き流してやらァ」

?「私の知り合いにも鮭缶好きな人いるんだけどさー……ちょっと仲違いしちゃった訳なのよね。んで居所不明になっちゃったから探したりもしてるんだけど」

一方「ならとっとと探しゃァ良いだろ」

?「でも結局仲違いって言っても、多分間違ってるのはあっちなのよ。見つけても、又意見のすれ違いになりそうなのよね。どうすれば良いと思う?」

一方「ンな事知るか。とっとと仲直りすりゃ良いだけじゃねェか」

?「簡単に言わないでよ、私の言い方もキツかったかもしれないけど正直悪いのは結局あっちなんだから。こっちから折れたらあっちの為にならない訳よ」

一方「ふーン。なら謝ってくンの待てば良いだろ」

?「それじゃいつ帰って来るかわからないでしょ――――――はぁ、結局通りすがりなんかに相談したのが間違いだった訳かー」

一方(どう答えりゃ良いのかぜンっっぜンわっかンねェ訳だが……)

一方「結局、その間違ってる奴ってのはテメェのダチなンだろ?」

?「ダチって……、そう思ってるのはひょっとしたら私だけなのかも知れない訳で……」

一方「テメェがそう思ってンなら大人しく信じて待っててやンな。そいつがダチならちゃァンと帰って来て謝ってくるだろうからよ」

?「……結局気休めじゃん」

一方「ンでその鮭缶好きな奴が謝ったら御褒美にコイツでもくれてやれ」ヒョイ

?「――――あ、鮭缶」パシ

一方「ンじゃな。俺ァ行くぞ、ツレも待ってるしよ」スタスタ


?「…………」ポカーン

?「かっこいいつもりな訳? あれ。ただの変人じゃん」

?「……麦野、謝ってくるかなぁ」

?「ま、あの変人の顔を立てて暫く待ってみようかな。麦野を信じるねえ……案外結局、そんなことしたこと無かったかも」

?「…………結局鯖缶持ってかれた訳よ」

垣根「おい、何処で油売ってたんだよ一方通行。遅かったじゃねえか、焦らされるのにも限度ってもんがあるんだがな」

一方「悪ィな、変なンに絡まれてて遅くなった。……カートとか気合入ってンな」

垣根「ま、大いに越した事はねえからよ。っつーか変なの? スキルアウトかなんかか? テメェが遅れを取る相手が俺以外にいるとは思えねえ」

一方「ガキも加えとけ、相手すンのが面倒臭ェったらありゃしねェ」

垣根「ま、いいけどな。麦野に連絡取ったか?」

一方「ああまだだァ。レジ通っててくンねェ? メール打っとくから」

垣根「カードよこせカード。今俺一文無しみてえなもんだからな」

一方「ホレ」シュ

垣根「サンキュ」パシ







ブーン ブーン ブーン


麦野「――――メールだ」

麦野「一方からね……短っ! ……待ち合わせ場所は、そこでいいわよ、と」

麦野「垣根の奴もケータイにカードなんて渡しちゃって無警戒にも程があるわね」

麦野「……でもただ日和ってるだけでもなく何かされても処理できるって自信の表れかしら」

麦野「…………」

麦野「……一方通行の分類が友達、ねぇ」

と、いう話だったのさ、今日はここまでです
能力について今後も幾つか話出たりするかもだけど基本的に推測と捏造で練成されているからあんま深くは考えないでね
でも、やっぱりヨガフレイムはヨガファイヤーに劣ると思うんだ

絶体絶命都市は大ファンなんだけど3だけ未だにプレイしてないんだよ……面白い?
後、満足に満足してくれる人がいて俺も満足したわありがとうww
また見てね!

日本負けた! 畜生!

ごめんご、さっさと書く太郎
投下開始

垣根「麦野より先に着いちまったみてえだな」

一方「ソーセージに魚ソーもチーズもジャーキーもポテチも氷結もコーヒーもキャベツとレタスもコロッケも刺身も他にも色々買った……、もう買うもンねェだろ」

一方「そういやオマエんち行った事無かったな、近くにコンビニとかあンのかよ?」

垣根「一応ある。後今日のメシピザの出前で良いよな?」

一方「俺もォ散々食ったぞ」

垣根「そのせいで俺と麦野が食えなかったんだろうが。答えは聞いてねえ、今日はピザの出前を取る」

一方「俺に聞く意味あったのかよ」

垣根「味位は選ばせてやるよ。…………ああ、あれ麦野だろ」

一方「でっけェ袋二つも抱えてやがンな。おォーい麦野さァーン」

麦野「おっまたせー、まあ別にそんな待ってないよね?」

一方「なンだその袋、何買って来たンだよ?」

麦野「乙女の秘密ね、見たら叩ッコロシ確定。そっちも随分と大荷物だねー……、それより多分アンタら缶チューハイとかそんなんばっかだろうと思ったからこんなのも買っといたよ」ズンッ
垣根「乙女(笑)、俺の家はこっちだぜ。……瓶? 焼酎か」

一方「ンて読むんだこりゃ……とみのほうさん?」

麦野「富乃宝山、まあウマイからアンタらも飲みなさいよ。後は鮭とば沢山買ってきちゃった、垣根にプリンも買ったかな」

垣根「よくやったと言わざるをえねえ」

一方「俺にはねェのかよ俺には」

麦野「一方にはさっきババァよわばりされたし、そんなに量持てないんだから買ってこなかったわ」

一方「ンのババァ! 干物が干物しゃぶって悦ンでアヘ面晒してンじゃねェぞ!! 男日照りが調子ン乗りやがって!!」クワッ

麦野「……折角の極上のインスタントコーヒーとオリーブオイルポテトチップスはドブに流されていく運命にあるみたいだねぇあぁぁくせらぁぁぁ」クワワッ

一方「っつゥ、ていとくンの心の声が聞こえましたァ」

麦野「次言ったら実行するからね。I can do it. これは演習ではない」

一方「ウス」

垣根「おいテメェらじゃれてねえでさっさと行くから付いて来い」

一方「垣根くンちって学生寮なのか、一応」

麦野「第七学区だしそうなんじゃないの? 一方んちもココ?」

一方「いや、俺ンとこは八学区にある。一緒に住ンでンのがそこにいるからよ」

垣根「麦野も第七か?」

麦野「相当遠いよ? 一応同じ学区内だけど」

一方「出歩いてても、麦野さンとバッタリ、なんて事今まで無かったしなァ……学園都市は狭ェようで広い」

垣根「一方が周り見なさすぎなんだろうが。いっつも顔が斜め三十度下向いてんだからよ」

一方「一応前向いちゃいンぞ。……猫背直せとは言われるけどよォ」

麦野「上目遣い、なんて可愛げあるツラでもないわこりゃ。……ん、ここ?」

垣根「おう、ちょっと待ってな今ここのユルマン開けてやるよ」ピッピッピッ

一方「セキュリティしょっぺェのか?」

垣根「ま、それなりの奴がやる気出しゃ、あって無いようなもんという意見も無きにしも非ず」ウィーン

垣根「よっと」ガチャ

一方「お邪魔しまァす」

麦野「へぇ、案外良い部屋じゃない。テレビとかもしっかりしてるし」

垣根「まあ金はねえわけじゃねえしな。――――ああカードとケータイ机んとこ置いといてくれ」

麦野「はいはい」ガチャガチャ

一方「たけのこの里山の宇治抹茶ミルク味が箱で積まれてンな…………抹茶好き過ぎて引くわァ……」

垣根「部屋漁ってないでとっとと冷蔵庫に荷物ぶち込むの手伝えよ!」

一方「ン」

麦野「……この冷蔵庫だけやけに旧式じゃない? なんでこんなの使ってんのよ」

垣根「使ってる内に情が沸いちまってな。なんだか知らんが他人の気がしねえんだ」

冷蔵庫「…………」

一方「そういや垣根、テメェ料理とかしてンのか?」

垣根「I can't do it. できるわけねえだろ、お茶汲みとレンジでチンを料理と言うなら話は別だが」

麦野「だよね。台所こんな新品なわけないし」

一方「じゃあ外食ばっかかよ。栄養偏ってンだろ」

麦野「なんかお母さんみたいな事言い出したじゃない一方」

垣根「別に平気じゃねえの? この年からコレステロール気にしたくはねえよ」

一方「そういう油断が成人病に繋がって手遅れになってからじゃ遅ェンだよガキが!」

垣根「って、木原くンが言ってた?」

一方「うン」

垣根「相変わらずの人だなあの人……」

麦野「そういえば木原くんって誰? 友達?」

垣根「コイツの保護者。一度会ったが顔面刺青のイカツいおっさんだった。言っちゃ悪いがツラだけで言えば完全に何人か殺してそうな感じだったぜ」

一方「」ピク

麦野「完全にヤクザかスキルアウトのカッコじゃない、そんなのに育てられてりゃ一方もガラ悪くなるか」

垣根「一方の話聞いてんと面倒見は良いらしいんだが過保護なんだと。見た感じもアンバランスだったが完全に子供の心配する親だった」

麦野「子離れできてないのかしらね、いかついのに。私も一回会って見たいわ」

一方「おいテメェら、木原くンの悪口はそこまでだ」


麦野「……何コイツちょっと可愛い」

垣根「まあ保護者がいるだけ幸せってもんだよな、置き去りなんかに比べりゃ」

一方「……俺ァ垣根みてェに上見て誰かいるなンて事が無かったしな、木原くンいなかったらどうなってたか知れたもンじゃねェよ」

麦野「第一位は第一位で色々あるわけか。当たり前だけど忘れちゃいそうになる事よね」

垣根「さて、もうブツはあるべき場所に収まったがまだメシ食うには速すぎるな……、取り合えずなンかして時間潰すか」

一方「ああ、ゲームあンだな。何か良いのはねェかな、と」ガサガサ

麦野「ねー垣根、空いてる部屋とかある?」

垣根「そこの手前の洋室は空いてんだろ、そこ使って良いぜ」

麦野「んじゃ使わせてもらうわ」ガチャ

一方「垣根くゥゥン、部屋まだ空いてたりしねえのか?」

垣根「なーに猫撫で声出してんだ、気色悪いぜ。テメェはソファか風呂場で寝てろ」

一方「随分と態度が違ェじゃねェか、俺も客の一人なンだぞ」


垣根「え? 客?  …………オマエが?」

一方「そういうナチュラルに驚くみたいな真似はよせ、マジで傷つく……」

麦野「なーに落ち込んでんのよあくせらぁ」バタン

一方「うっせェ……」ガサガサ

一方「それにしてもゲームもねェ訳じゃないが一人用かよくわかんねェのばっかだな」

垣根「うっせえ。人呼ぶことなんざこれまでまるで念頭に無かったんだから当たり前だ。パーティーゲームばっかあっても逆に引くだろうが」

一方「逆に引く。間違いねェわ。一人でマリパとか桃鉄とか人生ゲームやる虚しさは凄まじいもンだ」

垣根「マジかよ糞箱売ってくる」

麦野「今から夕飯って言うのも先走りが過ぎるかな。……ほらほら、何か時間潰すこと考えなさいよ」

垣根「あー、さっきも言ったけど晩はさっき食えなかった分ピザ取るってな。これ、近所のピザ屋のチラシ」

一方「デノミピザだな。ハーフで適当に一人一種を二枚分頼みゃ足りンだろ。俺ァミートセブンな」

麦野「私はそこまで拘り無いなぁ……じゃあデラックス? で」

垣根「じゃあ俺はプライムシーフード…………後一つは適当で良いよな」

一方「ン」

麦野「問題ナシ」

垣根「んー……、マヨじゃがにするか」メモメモ

一方「それにしてもゲームもねェ訳じゃないが一人用かよくわかんねェのばっかだな」

垣根「うっせえ。人呼ぶことなんざこれまでまるで念頭に無かったんだから当たり前だ。パーティーゲームばっかあっても逆に引くだろうが」

一方「逆に引く。間違いねェわ。一人でマリパとか桃鉄とか人生ゲームやる虚しさは凄まじいもンだ」

垣根「マジかよ糞箱売ってくる」

麦野「今から夕飯って言うのも先走りが過ぎるかな。……ほらほら、何か時間潰すこと考えなさいよ」

垣根「あー、さっきも言ったけど晩はさっき食えなかった分ピザ取るってな。これ、近所のピザ屋のチラシ」

一方「デノミピザだな。ハーフで適当に一人一種を二枚分頼みゃ足りンだろ。俺ァミートセブンな」

麦野「私はそこまで拘り無いなぁ……じゃあデラックス? で」

垣根「じゃあ俺はプライムシーフード…………後一つは適当で良いよな」

一方「ン」

麦野「問題ナシ」

垣根「んー……、マヨじゃがにするか」メモメモ

垣根「どうせ時間あるんだしツマミの用意でもしようぜ」

一方「よしきた」

麦野「本格的な宅飲みみたくなってきたじゃん。何作んの?」

垣根「俺も一方も料理できねえしな、ホントに簡単で即席のもんをでっちあげるだけになりそうだ。麦野は料理――」

麦野「あると思う? 経験」

垣根「――半ば判ってて聞いた、すまねえ。試行錯誤で何とかやんぞ」

二人「「おー」」

麦野「一方、手まで卸さないでよ」ジャー

一方「怖ェ事言うなよ、ベクトル操作すりゃ大根なんてまるで野菜扱いだぜェ」ゴリゴリゴリゴリ

キャベツ「刻むのは半分位でも良いよな?」トントントン

一方「おゥ。焼肉ダレだの卸しだのソースだの……万能すぎンだろ」ゴリゴリゴリ

垣根「うし、終わりだ。後は冷蔵庫に入れといて食う少し前に洗やいい」

麦野「もやしもこんなもんかな」

一方「…………」ゴリゴリゴリ

一方「疲れてきた」グデー

麦野「もやし(笑)」

垣根「もやし(裏声)」

とりかえしのつかないことをしてしまった…………

垣根「よしじゃあ後は時間だけじゃねえか。なーにして潰すかな」

麦野「垣根は普段なにしてるのよ」

垣根「最近は……そうだな、DVD屋で映画を何個かレンタルしてきたからそれ見たりしてるな」

一方「それで良いンじゃねえの。ここに積んである奴か?」

麦野「エロいのだったりしたらドン引きにも程があるけどそれはそれで面白いよね」

一方「垣根くンは年上好きっぽいからな。ロリもンとかよりは熟女もンじゃねェかな」

垣根「おいこらそこ、勝手な憶測で物を言うんじゃねえ。そもそも、そんなもんをんなとこに出しとくわけねえだろうが」

麦野「後で家捜しフラグがビンビンだー」

一方「ザ・フライ1・2、ディープ・ブルー、ターミネーター、パイレーツオブカリビアン、マトリックス……節操ねェな」

垣根「ターミネーターとパイレーツオブカリビアンはもう俺見ちまったから抜いといてくれよ」

麦野「マトリックスは私一回見たけど……、派手なのは良いとして途中からよくわからなかったわ」

一方「そうかァ? 俺は色々頑張ってて良かったンじゃねェのとか思ったンだがよ。ただ、銃弾は止まって武器は止まらン理由が判ンなかった位だ」

垣根「おい、まだ見てねえんだからネタバレだけはやめろ」

一方「消去法だと……ザ・フライかディープ・ブルーか」

垣根「ディープブルーにしようぜ。ザ・フライとかグロものっぽいしな実は得意じゃねえんだよ」

麦野「じゃあ何で借りてきたのよ」

垣根「B級フェアとかでワゴンにあったからな。借りる権利をやろう、とかおにぎりみたいなキャラが書いてあった」

一方「パッケージ見る限りサメ物だな。じゃあこれにすっか。一本見たら丁度腹減る頃合なンじゃねえか?」

垣根「終わる少し前に注文だな。忘れないようにしねえとな」

麦野(そういえば絹旗が前騒いでた映画もそんなんだったっけ……、なんて言ってたかな…………)

垣根「ああ、お前ら飲み物いるか?」

一方「俺ァさっきの缶コーヒーな」

麦野「私は何でも良いよ。お茶お願い」

垣根「何でも良くねえだろそれ……」トプトプトプ

垣根「よし、じゃあ始めるか」ピッ

麦野「映画見るとき喋らないタイプ?」

一方「パニック系とかビビらせる奴なら見逃すことあるから集中してた方が良いだろォ」

垣根「そうだな、終わってから言いたいことあったらピザでも食いながら話すか」

麦野「りょーかい。静かに鑑賞しましょうか」

一方「お、始まった始まった」

滝壺「あ、ふれんだ。おかえり」

フレンダ「たーだいまぁー、あー結局結構重かった訳よ」ドサドサ

絹旗「買い物超お疲れ様でした。麦野は見つかりましたか?」

フレンダ「ううん。……でも変人は見つけたかな」

滝壺「変人? ふれんだ?」

フレンダ「私が新しい自分発見してどうするのよ! 結局なんかちょいムカつく奴だったけど、良い事もちょぴっと言ってた訳だし」クルクル

絹旗「それは……超、鮭缶ですか」

フレンダ「そ。麦野がもし帰ってきてもし……ううん、麦野が帰ってきたらあげる訳よ」

滝壺「……よくわからないけど、ふれんだ楽しそうだね。いい事だと思うよ」

絹旗「超意味不明なんですが……、物に釣られるような麦野では無いと信じたいですね」

フレンダ「あは、そんなところ信じてどうする訳?」

今日はここまで、乙ダルヴァ。俺も誰かと一緒にお酒飲みたいなぁ
ちなみにディープブルーは比較的オススメなので是非ご覧あれ、映画の感想シーンとかあったけど壮大にネタバレる事になるので全カットの予定なのだ
皆、自分の目で確かめてくれー、みなありがとー

自己解決、投下開始

一方「…………」

麦野「…………」

垣根「…………」

垣根「さて、終わった訳だが、色々言いたいことがあるんだなこれが」

一方「俺も俺も」

垣根「一方君どうぞ」

以下、ディープブルーネタバレに付き未見の方は読まないで、ディープブルー見てから読んでね
http://www.uproda.net/down/uproda109644.txt.html


一方「B級としては十分及第点だっただろォ。いや、久々に笑いどころの多い映画見た気がすンな」

麦野「なんか特典で監督と俳優の説明付いた字幕もあるっぽいわよ」

垣根「続けて見んのもアホらしいだろ、また今度見ようぜ」

一方「そうだな」

麦野「……そうねぇ」ピンポーン

垣根「ん……、ピザ来たみたいだな。取ってくる」

麦野「いってらっしゃーい」

一方「ン、俺も行くわ」

垣根「悪いな」スタスタ

麦野(やれやれ、仲良すぎて逆に疑いそうだわアイツら。変な趣味でも持ってんじゃねえかってさ)

麦野(――――嫌われもの同士の傷の舐め合い……、だと思ってたけど)

麦野(でも……)

麦野(今、私がこいつらとこうやってツルんでんのは、只の傷の舐め合いなのか……? それとも、何か考えがあってこいつらの側にいるのか?)

麦野(それは違う。私が一緒にいんのは一方通行と未元物質じゃない、アクセラと垣根帝督だ。誰がなんと言おうと私がそう決めてる。アイツらといる時間は悪くない、そう思った事は私の中でのそのまま決定事項だ。それが私の選んだ自由ってやつよ)

麦野(ならこれまであいつらと一緒にいた私は。そして、私に付いてきてくれてるあいつらにも自由があるなら、それでも尚あいつらが付いてきてくれていたなら)

麦野(きっとそれと同じように……私がこれまで一緒にいたのは……)

麦野(『アイテム』じゃなくて――――――)

フレンダ『麦野ぉー、この鯖缶一口食べてみてよ! すっごいおいしくてほっぺた千切れる訳よ!』
フレンダ『え、理由? そんなの、楽しく楽しむ為に決まってるじゃない!』

滝壺『鮭弁、おいしい? …………そう、よかった』
滝壺『うん――――私の居場所はここにあるから、かな』

絹旗『あぁー、たまの休日ってやつは超心のオアシスってやつですねー麦野』
絹旗『……超クソッタレな人生での唯一の希望は、新しい誰かと出会える事位でしょうか。麦野と会えたみたいに』



麦野(………………)



絹旗『そんな考え方ずっとしてたらいつか後悔しますよ?』

フレンダ『で、でもそうやって嫌な事からずっと目を背け続けられる訳ない訳よ!』
フレンダ『こっちだって少しは麦野の事を本当に思って――――』

滝壺『…………そうやって、力を振りかざすの?』



麦野(…………)



垣根『ま、居場所なんてもんは欲しがってようが気がついたらいつのまにか出来ちまってるもんだ。麦野もちょいと落ち着きゃ案外すぐ見つかるかもしんねえぞ』

一方『『アイテム』だったか? 麦野さンの事考えて言ってくれてンなら良い奴らじゃねェか。大事にしとけよ』



麦野(……)

麦野(あーあ。何だよ、結局悪いの私なんじゃない)

麦野(帰ったら……そうだねえ……、フレンダにはさっきの鯖缶でも持ってってやるかな。絹旗と滝壺にも何かあげるべきかしらね、公平じゃないし)

麦野(でも……今更ってのもちょっと虫が良すぎるかな。……そこで開き直るのも私らしさ、かなぁ)

一方「おーい、麦野さンドア開けてくれよ手がいっぱいでよォ」

麦野(…………ま、後でいっか)

麦野「はいはい、ちょっと待ってなさいって」トタトタ





一方「――――このピザ結構でけェな」

垣根「こんなもんじゃねえのか? もし余ればしまっておきゃ良いだろうからな」

麦野「ツマミのセットも出来たし良いから早く乾杯するわよ」

垣根「せっかちは嫌われんぞ。…………何に乾杯すんだ?」

一方「何かに乾杯とか面倒くせェな、とにかく乾杯だ乾杯」チーン

垣根「かんぱーい」チーン

麦野「はいかんぱーい」チーン

一方「ピザうめェェェェ」モッキュモッキュ

垣根「お前昼からそればっかだな」

麦野「くぅぅぅ、ビールうまいわー」プハー

一方「麦野さンオヤジくせえ」

麦野「ちょっと一方、花も恥らう乙女にその言い草は酷いんじゃない?」

垣根「突っ込みてえ、が、突っ込まねえ。未元物質は突っ込まない」

麦野「鮭とばも良いけど何でシャケ弁ってあんなおいしいのかしらね」

一方「あ、そっちのピザ取ってくれよ」

垣根「これか?」

一方「ン、サンキュ」

麦野「あー、垣根私にもそれ取って」

垣根「……お前らちょっとは自分で動きやがれってんだ」

一方「思う。キャベツと大根おろしは万能すぎンな」

垣根「とりあえず何にでも合わせられなくはないからな。楽なのも尚良い」

麦野「外で頼むと割高なんだけど……ついつい頼んじゃうわよね」

一方「判るぜェ」

麦野「そういやアンタら二人、ツルむようになった切っ掛けってあんの?」

一方「あァ、あるぜ。結構前に垣根くンが俺ンとこ押しかけt」

垣根「てて、テメェッッ! そのヘリウムみてえにド軽い口に未元物質詰め込んでやろうか!!」ゴパァー

一方「ムゴッ……いきなり何しやがンだアァン!?」

垣根「良いか言うなよ! 絶対に口が縦に割けても言うんじゃねえぞ!」

麦野「垣根、それフリにしか聞こえないから。ほら一方ぁ、ちゃっちゃと言っちゃいな!」

垣根「良いか一方通行、あの事言ってみやがれ。と、次の瞬間俺の火炎物質が火を吹く事になる。覚えとけよ」

一方「二度としねェさ、もうあんな火炎物質はゴメンだよ……でもねェだろ。別に良いじゃねェか、減るもンでもなかろォが」

垣根「減らなきゃ良いってもんじゃねえぞコラァ!」

垣根「お前ら実験とかやっぱ日ごろ受けるだろ? 何やってんだよ」

一方「最近は打ち止めって所かねェ、すべき事も一通りオシマイで今はツリーダイアグラムに何かやらせてるらしいが。ああ、実験で少なくとも脳味噌に棒ッ切れ突っ込まれた事ァねェぞ」

麦野「私もあんまりないなぁ。――――ああ棒っきれじゃないわよ? 伸び代が無いとか思われてるのかな、その分暇できて良いけど」

垣根「まあ能力開発ったって俺ら位まで来ると前例も少なすぎて手探りになるのはしゃあねえな」

一方「実験って言えば結構前にあった話なンだがな」

垣根「ほう」

一方「前っつっても相当前だぞ。俺がまだこン位の時に研究所に呼ばれてよ、研究者に実験の指示されたンだ」

麦野「ここまではありがちな話ね」

一方「頭にセンサーとか機材色々つけてなァ。やらされた事がなンと盆踊り」

麦野「…………夏にやるアレ?」

垣根「月がー、でたでーたー、のアレか?」

一方「月がー、でたァ、のアレだな。ご丁寧にBGMまで流れてやがった」

垣根「意味わかんねえwwwww」

麦野「で、一方踊ったの?」

一方「踊ったな。比較的素直に」

麦野「素直な一方wwwwwwwあんま想像できないわwwwww」

一方「ンでその実験の目的なンだが」

垣根「盆踊りをする事によって大脳真皮が活性化する仮説の実験」

麦野「バカをやってる能力者を見て笑う会」


一方「麦野さンが近ェな。意図不明な行為を強制された時の能力者の通常時と比較した演算能力とその脳波の推移の計測、だとよ。しかも大真面目だ」

垣根「知ってっか、昔の人は良い事を言った。曰く、頭が良いのと勉強が出来るのは違う、ってよ」

麦野「勉強すればするほどバカになってくってある意味真理よね」

一方「又世の中に勉強をしない理由が一つ増えちまったなァ」

一方「ま、オチなンだが。その事実が判明して、こンな糞みてェな実験なンざしやがって人おちょくってンのかドカスがァ! って責任者ぶン殴った」

麦野「一方ちっちゃい頃にしてはエキサイトしてるわね。やる時はやる子供だったの?」

一方「いや、木原くンが」

垣根「木原さんワンパン入りましたァァァ!」

麦野「どんだけかわいがってんのよwwwwwwwwww」

一方「今考えりゃ意味わかンねェがそン時は木原くンが輝いて見えたなァ……返り血で」

垣根「木原さんあのガタイで研究者なんだろ? 筋肉の研究しかしてねえだろ実は」

一方「まだ見ぬ木原さんへの想いが良い感じに膨らんできたにゃーん」

垣根「ああ、俺トイレ行ってくるわ」

麦野「いってらー」

一方「おう」



麦野「…………」
麦野「さぁて、鬼がトイレ行ってる間にさっさと洗濯済ませちゃいましょうか」

一方「洗濯ゥ? なンか零したのか?」

麦野「違うわよ馬鹿ね、アンタらつるむようになった訳よ。学園都市第一位と第二位はいがみ合ってる、みたいなのが定説だった筈だけど」

一方「ン? あァ、いやァそれが聞いてくれよ麦野さン、結構前の事なンだけどよォ」

麦野「ふんふん」

一方「アイツがファミレスでコーヒー飲んでた俺ンとこ急に来やがって、いやに深刻な面ァ見せやがるから何事かと身構えたら第一声が『友達が欲しいんだが』」キリッ

麦野「――――――――プ」

麦野「あああぁぁっっはっはっはっはwwwwwwwwww何それ腹痛えぇぇえぇえwwwwwww」バンバンバン

一方「いやwwwwww俺も最初はビビったぜwwwwwなんせコレまでやけに絡んできやがってた第二位が急にだからなァ」

麦野「流行のツンデレってやつなんじゃないのwwwwwwwいやぁ、ここにきて学園都市トップツーの株が大暴落してうなぎのぼりだわwwwwwww」

一方「なンだそりゃ。ツンドラとは違ェのか」

麦野「また懐かしい単語だすわねえ、アパルトヘイトとか無駄な単語ってなーんでか頭から離れないのよ。……ツンデレだったかしら、小学生みたいなもんよ。好きなあの子に対してだからそっけなくとかキツく接しちゃう、みたいなwwww」

一方「なにそれこわい」

垣根「おうただいま。……麦野がやけにテンション高えな、どうしたんだよ」

麦野「垣根ちゃんの純真無垢な一面が聞けて高ぶってた所ねー」

垣根「――――おい、一方ちゃん、オマエまさか」

一方「垣根『友達が欲しいんだが』までしゃべった」

垣根「」



垣根「テメェエエエエエエエエエエエエエエエエ」ブワァァァァァ

またまたやらせていただきましたァン!




          死にたい             
      ┗(^o^ )┓三      
         ┏┗   三     
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

麦野「笑わないよ、笑うわけないじゃん。私もレベル5なんだからそんくらいわかるわ」

一方「あんだけ爆笑してる上に進行中でニヤけててよく言うな麦野さン。重苦しいのは字面だけだァ」

垣根「おい麦野、テメェ誰にも言うんじゃねえぞわかってんな」

麦野「アンタもそういうフリ好きだね。リアクション芸は長持ちしないわよ?」

垣根「フリじゃねえっつってんだろ未元物質ケツにぶち込まれてえのか!」

一方「ただし、その未元物質も尻からでる」

麦野「ほんとに只のクソじゃんwwwwwwww垣根最低wwwwwwww」

垣根「えー……今の俺の発言じゃねえだろ……」

一方「あ、酒切れた。次の取ってくれよ麦野さン」

麦野「レモンでいいわね。はい」

一方「どォも」

垣根「マジに言うんじゃねえぞ……こっ恥ずかしいだろうが……」

今日はこれまです、お疲れさまンさ
多分次の投下で麦野さン編は終わると思う。あと、はーまづらーは今書いてる段階ではまだ名前しか出てない。でも、絡ませたいとは思ってる。関係ないけど絡むってエロいよね

腹へって死にそうだからもう暫くしたら投下する
関係ないけど、今三話の途中を書いてる。と、言うことは五話構成だから折り返し過ぎた筈なんだ
しかし一話分の長さが毎回少しずつ伸びてってるせいで終わる気がしない。どういうことだってばよ

長く楽しめるってことだってばよ
期待してます

>>357そこに気づくとは…やはり天才か
具体的な比較だと、デュオでおよそ50KB トリオでおよそ75KB カルテットは今55KBだがまだまだ終わらなさそう、って感じ

腹が減って死にそう通り越して死ぬので先に食べてきます・・・・・・すまんこ・・・・・・

ただいま 投下

ワイワイガヤガヤ




一方「カハハハ、つゥぎはなァにを飲もうかなァァァァああ??」ガサガサ

麦野「ねー垣根、コイツ顔真っ赤だけど大丈夫なの? 普段白いからほんっとに目立って怖いんだけど。死ぬ予兆とかじゃない?」

垣根「何度か飲もうみたいになった時は外で飲んでたからな……、環境が違うと酔いも進むのかね。ま、死にゃしねえだろ」

一方「おゥおゥ、おソトではベェェェクトル変換してるンですゥゥ、今はかきねくンちだから素で飲んでんだァ」グビ

麦野「昼間も100%シラフとは言えない喋りだったけどこりゃ完全に酔ってるわ」

一方「ふっざけんじゃねェぞ麦野さァン、俺ァ120%シラスだぜェ」

垣根「俺はもう何もつっこまねえぞ。……俺の酒も切れたな、次のカン、と。麦野はいるか?」スクッ

麦野「あー、ゆずの頂戴」

垣根「おう……ほらよ」

麦野「あんがとね」

一方「芋焼酎のコーヒィ割りってうめェかなァ?」

垣根「オラ、わかったから歩き回るな。じゅうたんの上で吐くんじゃねえぞ」

麦野「…………ハァ、自分がこういう馬鹿をやれるなんて、あんまり思ってなかったなー。良くも悪くも普通な感じに?」

垣根「なんでだよ」

一方「堅揚げうめェェ」バリバリ

麦野「言わなくたってわかるでしょアンタらなら。嫉妬と、恐怖と、下心と、物を見るような目に、ほんのちょっと同情?」

麦野「そんな視線の海でいつまでたゆたってれば良いのかわかんなかったし。こっちも見下すか叩き潰すか、ごっこ遊びしかできないし」

麦野「ほんとにおさかなよ。口パクパクあけてんの、苦しい苦しいってさ」

垣根「それでどうしたんだ?」

麦野「……能力以外で何かを手に入れる、そんな発想もなかったからね。せめて『堕ちる』より『堕りてやる』って後ろ暗い仕事を始めたわ。今考えりゃ私なりの反抗期だったのかしら」

垣根「随分規模のでけェ反抗期だ」

一方「酒うめェェ」グビグビプハー

麦野「――もしかしたら只の後付けの屁理屈かもしれないけどさあ。後ろ暗い事やるような奴なら、そのまま私を見んじゃないかな? って思ったのかもね。今となっては昔の事だからはっきりしないんだコレが」

垣根「この若白髪と付き合ってても、時々思うな。俺とコイツの関係だって馴れ合いと指刺されりゃ完全否定は困難だ。勿論、ただ言わせるつもりも更々ねえが」

一方「うおォン 俺ァまるで人間火力発電所だァ」バリバリモグモグ

垣根「が、ある意味開き直る事にしたんだ。人同士の付き合いなんて大なり小なり傷の舐め合いだ、歯車にだって潤滑油使うんだからな。人間様にだって必要だろうよ」

麦野「……アンタが良い事いってんだろうけどほんとコイツのせいで台無しだわ」

垣根「当のコイツのお陰な部分もあンのが腹立たしいがな」

麦野「……でも、私がこんな風に考えてんのもアンタらのお陰よきっと、全部じゃないけど」

垣根「随分曖昧だな?」

麦野「なんていうか……アンタらのユルさ馬鹿らしさがさ、なんていうか、うん。……なんだかいいな、って思っちゃったのよね」

麦野「アンタらがそうなら私もって事。うーん、朝の私に会ったらブチコロサレ確定かな。なーに半日ぽっちで飼い慣らされてんだ、って」

一方「飼い慣らすも何もよォ、なァかよくなるのに頭使って考えンのとかアホくせェだろォよォ」

垣根「いきなり話に混ざってくんじゃねーよ酒臭え……あーあ完全に酔ってんなコイツ」

麦野「でもね一方、私はこれまで結構調子乗ってたんだよ。『アイテム』の奴らにも色々と上からだったしね」

麦野「せめて言い訳をさせてもらうとしよっかな。……私と同格の人間もいなかったし、贔屓目じゃなくあいつらは私に恩がある。だから、良くも悪くもあいつらは私のもんだと思ってた。だから、意見されるとイラついてたのよ。今考えりゃ私が一番ガキだった気もするかもね」

麦野「そんな私が、今更図々しくも謝って仲良しこよししようなんて……あいつらからすれば虫が良すぎる話だって思われても仕方なくない?」

一方「ハァ? 『アイテム』は麦野さンのダチなンだろォ? なら別に考えることねェじゃンよ。謝って、許してもらってそンでしまいだろォがァ」ゲフ

一方「ほらアレだ! ダチっつーもんは……アレだ、えーと……アレなんだよ……」

垣根「指示語が多すぎてわかんねえよ」

一方「あー、えー……、俺あの時なンて言ったっけ垣根くン」

垣根「『友達は、態々友達であることを確認したりはしねえ』」

一方「そうそれだァ。つまりはそういうこった」

麦野「なんか良い事言ってるっぽいけどさ、それってちょっと意味違うんじゃないの?」

垣根「だな、あんまかみ合ってねえ。所詮酔っ払いだなw」

一方「あれェ……、おっかしいなァ……」

一方「とにかくゥ、麦野さンは『アイテム』の奴らの事が好きなンだろ? それならそれで解決なンだよォォォぉろろろろろろろ」

垣根「ば、バカクソ野郎口から未元物質吐きやがった!! ぞ、雑巾雑巾っ!!!」ダダッ

麦野「――――――あは」

麦野「はっは、あぁぁぁっはっはっはっはwwwwwwwww」ゲラゲラ

一方「」グデー

垣根「オイコラ麦野! 笑ってねえで一方の背中でもさすってろ!」ドタドタ

垣根「雑巾で拭いて消臭物質を……」パァァ

麦野「ひぃwwwwwあーwww楽しいねぇかきねぇあくせらぁ!」

垣根「楽しいわけあるかドカス! あぁぁ絨毯が……」フキフキ

一方「」グデー

垣根「やれやれ、やっと落ち着いたか」ハァ

麦野「垣根おつかれー」

垣根「ずっと笑ってやがって……覚えとくぞ……」

一方「ゥゥう、気持ちわりィ……」

垣根「ほら横んなってな。確かこういうとき毛布かけときゃ良いんだっけか?」バサ

麦野「体あっためると良いとか聞くけどねえ……」

垣根「水だけ飲んどけ、後が酷いからな」

一方「……」グビグビ

垣根「後は寝とけ。ったく……世話かけるクソ野郎が……考えて飲めってんだよ」

麦野「垣根ママ(笑)」

垣根「ぶっとばすぞ」

麦野「さっきの話の続きだけど。やけにインパクトある事に流されちゃったけどね」

垣根「インパクトありすぎだろ……口から激流葬だったろありゃ」

麦野「好きならそれで良い、ね。酔っ払いに言われてちゃ世話ないわ。私があいつらの事好きねえ……、あー好きかも」

垣根「ま、間違っちゃいないんじゃねえか? 時に、ガキの言うこと程真理を突くってのは良くある笑い話の一つだ」

麦野「酔っ払ったら大人も子供も皆ガキかしらね。ほら、注いであげるわ」トプトプ

垣根「ん、サンキュ」トットットッ





一方「」スースー

麦野「寝顔は素直そうで可愛いわねーコイツ」プニプニ

垣根「性根が単純なんだろうな。中二病だがよ」

麦野「でもそんな所も好き、かなぁ垣根くぅん?」

垣根「気色悪い事言うんじゃねえよ……。だが、友達兼居場所であることは残念ながら否定できねえな」

麦野「それと同じように……きっと私の『アイテム』は最初から私の居場所だったんだね。アンタらに会わなきゃ多分『気付けなかった』、感謝してやってもいいわ」

垣根「俺と一方通行はなんでもなくただ勝手に一緒に騒いでツルんでただけだろ。それを麦野が勝手に見ただけだ、俺らが特別なんかした訳じゃねえぜ」

麦野「序列だのなんだのに嫌気が差して離れた筈が、いつのまにかそれに縋り付くようになってたんだから世話無いわ。でもアンタも。そのなんでもない事が欲しかったんじゃないの?」

垣根「……まあガキの頃からの本当に欲しかったものが手に入った、んだと思う。何を欲しがってたって訳でもねえが手に入って思った。ああ、これが幸せって事なのか? ってな」

垣根「幸せってのは、楽しいに似てたな。寂しくなくて、面白い、だ」

麦野「詩人みたいな事いうじゃない。楽しいわね、何かの受け売り?」

垣根「整理していって要素を挙げていっただけだろ。ただ、この幸せってもんはずっと同じ形をしてる訳じゃねえだろうしな」

垣根「勿論小さくもなるだろうが……それを恐れて前に進まねえ奴は損してるって事だけははっきりしてる」

麦野「随分とメルヘン極まりない発言じゃん、能力だけじゃなくて性格もメルヘンかな?」

垣根「喧嘩売ってんじゃねえぞー」

麦野「……そうね、私たちも普通に人間やってんだもんね」

垣根「そんな当たり前の事がわからねえ程馬鹿だった時期もあったがな」

麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」

垣根「そうだな。気がついたらなってるもんだな」


麦野「ねえ、垣根」

垣根「ん?」

麦野「好きなものが友達ならさ」

麦野「私とコイツや……。私と、アンタも――――――」

垣根「……」



麦野「――――ははっ、なんでもないんだにゃーん」

垣根「――――やれやれ、ピロートークでもあるまいししんみり談笑なんてガラじゃねえわ。酒の後戯もここまでだ、後ろで苦しみも悲しみもなさそうな面でグースカしてるそいつみたいに寝ちまいな」

麦野「あらあら、つれないじゃない。ま、もう寝ようかな。お肌にも悪いしねー」

垣根「曲がり角をもう通り過ぎ…………いや冗談だからな」

麦野「最後で台無しだわね。……おやすみ。入ってきたらブチコロスから」

垣根「寝ぼけないように祈っとくぜ」ヒラヒラ



音を立てて閉じたドアを暫く見やって、垣根帝督が笑みを浮かべた。

垣根「――――――青い鳥は結局、一番身近な所にいたのでした、かよ? 『アイテム』、ねえ」



別段返答を期待した訳でも無い。ポツリとこぼれただけの言葉に、途中からうっすらと意識を取り戻していた彼は言葉を返す。

一方「…………ハッ、このメルヘン野郎がァ」

悪意の一切が含まれていないこの辛辣な言葉に、垣根帝督は苦笑を零した。

垣根「心配するな。自覚はある」ゴロン



そのまま言葉を交わすことなく、部屋に残っていた二人もそのまま夢の世界へと落ちていった事で、部屋の中で動くものはいなくなった。
そして夜は更けていく。




朝より昼が近い時間帯、ほんの少し痛む頭を抑えながら垣根帝督は起床した。
カーテンからもれる陽光が瞳孔の開いている目には眩しい。細めた目で辺りを見回すと、そこは居間だった。
どうやら昨晩そのまま寝床に入らず寝てしまっていたらしい。すぐ近くで、丸くなって一方通行が寝息を立てているのが見える。


垣根「おい一方、起きろ」

一方「…………ンだよォ木原くゥン……もうちょっと待てよ……」

垣根「何寝ぼけてやがるんだ、さっさと起きろ」

一方「ァ……? あれ、垣根くンなんで俺ンちに……」

垣根「ここは俺んちだよ。昨日飲んで騒いだだろうが」


目を擦りながら未だにぼんやりしている一方通行を一瞥して、垣根帝督は立ち上がる。と、同時に眩暈でふらついた。
酒が入っていたせいか普段よりキツ目の眩暈を何とかやり過ごした所で、彼はあることに気付く。
昨日いた筈の人物がいない。麦野沈利がだ。

入るべからずとおどけていた洋室の扉は開いたままで、その向こう側に彼女の姿は無い。恐らく、自分達が寝ている間に出て行ったのだろう。
何も言わずに去って行った彼女を、僅かばかり心配したがすぐ思い直す。
昨日の最後のあの様子ならば、問題が起きることは多分無い。裏付けがあるわけでもなかったが、多分そうだろう。そうあれかしと、彼は結論付けた。

ふらついた足取りでトイレに向かう一方通行を横目に見ながら、垣根帝督は昨夜彼女が過ごした部屋を覗き込んだ。

当たり前だったが、昨日以前の自分が知る一室と殆ど変化は無い。丁寧にたたまれた布団と整えられたシーツが少し意外だなと言う考えは失礼に当たるのだろうか。
恐らくシャワーでも浴びていったのだろうか。シャンプーなのかどうかまで彼には良くわからなかったが、何かの残り香が微かに彼の鼻を擽った。


アイドリングも終わり本調子になってきた頭を首に乗せて居間に戻った垣根帝督は、とあるものを発見した。
昨日食べ散らかした状態のままの机上に、記憶にそぐわぬ一枚のメモ。
ふと手にとって見てみれば、一目見れば美しくともどちらかといえば豪快や、場合によっては野蛮とも言える言葉で形容されるであろう文字の紡ぎ手とは裏腹な、丸く可愛らしく女らしい文字がそのメモの上で踊っている。

一方「スッキリだァ……。なンだそりゃ」スタスタ

垣根「置手紙、じゃねえのか? 昨日ここにいて、今ここにいない奴からのな」

一方「ふーン……、なンて書いてあるよ」

垣根「ほらよ。お前も読んでみろ」

一方「『昨日は随分と色々世話になったね、ありがとう。取り合えず気持よさそうに寝てたアンタら起こすのも気が引けたし、今の気が変わらないうちに帰ってあいつらに言うこと言ってくるわ。
その後何をするかは、適当にあいつらと相談でもして決めようと思ってる。じゃあ、またいつか会いましょう PS、余ってた鯖缶だけ貰ってくわよ 麦野沈利』だとよ。何もいわねェとか水臭くねェか?」

垣根「ちょっと恥ずかしかったんじゃねえの? 言うこと言ってくるとか遠まわしに言ってるしよ」

一方「あー、十分ありえンな。ま、あの様子だとちゃんと謝れてンじゃねェかな」

垣根「テメェは半分くらいバカ酔いしてて話聞いてねえだろ」

一方「ンだと、麦野さンと人には言えねェ話をしてたのか……?」

おどけながらも一方通行の表情には、微塵の心配も無かった。麦野沈利の目的の達成は疑う余地が無い、そう確信している表情だった。そして、勿論垣根帝督も同様に。

垣根「ま、次会った時にでも解説付きで事の次第を拝聴しようぜ。……寝すぎたせいか腹減ったな。外で食うか」

一方「ああ、じゃあ顔だけ洗わせろ」

垣根「早くしろよ、次は俺だからな」


へいへい、と空返事をする一方通行に背を向けてカーテン、続けて窓を全開にする。途端世界が一際輝きを増したように錯覚するほどの陽光と爽やかな風が部屋に飛び込んでくる。
青天に座す太陽は殆ど真上から陽射しを注いでいた。彼女は、今頃何をしている所だろう。ここ出て行った時間もはっきりしなかったが、向かった先は定めて彼女の居場所で間違いあるまい。

麦野沈利は、またいつかと書き残して去っていった。そのまたいつかの日に果たして、彼女はどんなエピソードを聞かせてくれるのか。きっと、なんだかんだで面白い話になるのだろうが、催促するのもつまらない。
近い将来になれば良いと、またいつかの出来事を思い浮かべて。垣根帝督は空に向かって大きく欠伸をした。








                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ

恒例のおまけ(エピローグ)まで暫くお待ちください

休日の昼過ぎという時間故か、ファミリーレストランは普段にもまして客達の喋る声が響く。
その中でも既に珍しいものではなくなった光景、茶髪と白髪の二人組みはいつもと同じ様に窓際の席で他愛無い言葉を交わしながら各々の笑みを浮かべている。
カップ片手の談笑は途切れる兆しを見せない。昼時を少し過ぎて、空いた席もちらほら目立ち始めいていた。


ドアが軋む音と共に、入り口の扉が開く。女ばかりの四人連れが姦しい声と共に店内へ入ってくる。
各々が個性的な彼女達だが、四人共に酷く楽しそうな笑顔だった。誰が見ても、仲の良い友達グループなんだな、そんな感想を抱く程度には。


「あー、お腹ペコペコですよ! 一刻も早く食べなきゃお腹と背中が超くっつきますよ!」

「食べ過ぎると、お腹と背中がどんどんはなれてく」

「……食欲なくなるようなこと言わないでほしいんだけど。に、してもこんな中途半端に遠くのファミレス来るのなんて初めてじゃない?」

店員「いらっしゃいませー、四名様でよろしいですか?」


愛想の良い顔で店員が彼女達に声をかける。短い茶髪の少女がそうです、と答えた。
長い茶髪を躍らせている女性は店員に答えず店内をぐるりと見回した。その動きが、一点で止まる。
続いて、お世辞にも碌な事を考えていなさそうな笑い声を漏らした。まるで何か悪巧みが成功した時のような表情だった。


「いえ、知り合いいたから結構」スタスタ

「あ、ち、ちょっと麦野!」タタッ

後から慌てて付いてくる三人に構う事無く、先陣を切って歩く彼女は一つの席の前で足を止めた。
顔を上げる先客――、茶髪と白髪の少年達は、腰に手を当てて自分達を見下ろしている彼女を見てそれぞれ仔細は違うものの驚いている素振りを見せる。


麦野「案外早い再会だったわね、一方物質のお二人さん。相変わらずおアツいわ」

一方「またいつか、じゃなかったのかよ。いくらなンでも早すぎだろ、まだ日も沈んでねェよ」

垣根「電話番号は教えといた筈だろ、アポイントメント位取れ、礼儀がたんねえぞ」


呆れたようにぼやく一方通行とおどけて言う垣根帝督に、麦野沈利は口角を吊り上げて答える。


麦野「親しき仲にも礼儀ありって言葉はね、親しいと礼を欠く事が多いから使われるらしいわよ」

一方「ほンとかよ」

麦野「知らない」


その言葉に伏せられた意味を解して、垣根帝督は彼女に習って口角を吊り上げた。
その間後ろから何事かとこちらを窺っている三人の内に、一方通行は覚えのある人物をみとめる。

一方「テメェ、あンときの缶詰ガキじゃねェか」

フレンダ「……鯖缶持ってた変人じゃない」

滝壺「――ふれんだ、知り合い?」

フレンダ「ううん……結局縁があったって訳かな。ちょこっとだけ、アンタのお陰で助かったわ、ありがと」

一方「……缶詰はあるべきとこに収まっちまったのか、つまンね」


麦野「あら、二人で盛り上がってるとこ悪いけど。まだ紹介もしてないんだから早漏も程ほどにしてくれる?」

垣根「っつぅ事は後ろのそいつらが…………」


得心したように頷く垣根帝督を見ると、麦野沈利は後ろに視線を流して笑った。


麦野「そ、私の友達で、『アイテム』の主要メンバーよ」


コイツらは今朝の話の登場人物、麦野沈利がそう囁くと『アイテム』の三人は揃って目を丸くした。
茶色い短髪の少女は麦野沈利を見上げ。金髪の少女は、眉をひそめてこちらを観察している一方通行を観察し返し。残った少女は一人虚空を眺めていた。目が、空ろだ。


絹旗「あ、えっと……絹旗最愛です。超はじめましてですよ」

フレンダ「全く一期一会(笑)だわ、偉い人の言葉も結局当てにならないわねー……、私はフレンダ」

滝壺「私は滝壺。白い人も茶色い人もよろしく」ペコ

垣根帝督、一方通行両名は突如繰り出された自己紹介にあっけに取られたようだった。
どォも、等と思わず反射的に下げられた頭が間抜けに見えたらしい。少女達の顔から緊張と警戒が消える。
麦野沈利が視線と首で、次はお前らだろうと促していた。男二人は顔を見合わせると、観念したように口を開いた。


一方「あー、一方通行だ」
垣根「垣根帝督。よろしくってな」


双方の名乗りが終わると共に、『アイテム』の三人の視線が麦野を向く。
声に出されていなかったが、彼女達の視線に乗っていた疑問に麦野が答えた。


麦野「言ったとおり昨日一日、コイツらの世話してやってたのよ。やむを得なくだけどね」

垣根「ダウト、事実の捏造はよせよ。麦野も一緒に騒いでた癖して良く言うぜ」

滝壺「騒ぐ?」

垣根「ああ、そもそも昨日麦野がな……」

一方「フレンダっつー事はオマエがダーツマスターか……?」

フレンダ「マスター? ……ダーツは自信あるけど」

二組の、互いにまるで関係の無い会話が始まる。一方通行は妙にそわそわした様子でフレンダに声をかけ、垣根帝督は滝壺理后に事のあらましを説明し始めた。
少し置いていかれたように呆けていた絹旗最愛は、あっという間に打ち解けている彼らから視線を逸らさず問うた。


絹旗「麦野。ってことはこの白髪と茶髪の二人が…………」

麦野「そうね」


首を傾け、絹旗最愛を横目に眺めた麦野沈利はくつくつと喉を鳴らした。
絹旗最愛は、今朝の話の登場人物達と眼前の人物達を脳内で一致させようと努めているのだろう。そんな眉根を寄せて唸っている彼女の仕草が、麦野沈利にはとても愛おしく思える。
そしてそれ一つだけではなく、目の前視界に入る彼ら彼女らの悉くが、だ。


一度気付けば大したことは無い。一度認めてしまえば、もう何も恐ろしくなど無い。そもそも、これは初めから恐ろしいものなどではなかった。
私は、一人で生きてはいなかった。これまでも。そして、一人で生きていくつもりもない。これからも。
永遠に続く保障も無いが、暫くは私の人生は彼ら彼女らとともにあるだろう。
そしてそれがとこしえにそうあれかし、心の中で呟いて彼女は答える。
浮かんでいる表情は、とても魅力的な満面の笑みだった。


麦野「コイツらが私の、新しい友達よ」

麦野編 糸冬
よくみたらスレ立ててから三週間も立ってるじゃん、付き合ってくれててありがとな!

三話目は前も言ってたけど心理掌握の話になるんや、オリジナル設定の固まりみたくなるけど勘弁な!
木原くン外伝とかその他外伝も書いてみたいんだけどまだ一文字も書いてないから延期しとく事になるw

三話の投稿は暫く先になるっぽい
暫く忙し気味なのと、今までと違って三話自体がまだ六割位? しか書けてないから最初の方に修正入れる可能性がまだある内に投稿したくねえw
ごめんな! 頑張る!

わかった! 皆ありがたう! そのまま進めてもし設定違ったらもう一回書くわ!

あと、おわびとばかりに木原くゥンの外伝ばなしをさっき書いてみたので投下する
ただ本編に輪をかけてオリジナル設定満載だから注意してね!

宣言してから遅くてごめんなwwwwww
もしかしたらキャラ崩壊を招くかもしれないけど簡便な!

男性は、少年の保護者である。これは自称でもあり、他称でもある。つまり、彼と少年の関係を見た人が「ああ、仲の良い親子か兄弟じゃない」と、思う程度にはだ。

少年には家事能力が無い。皆無ではないが、有していると言うと語弊が生じる。多少の料理は可能だが、家事全般は一人でやるとなると絶望的だ。洗剤の場所すらわからないに違いない。
加えて、少年はは自堕落な生活に浸っており朝自分で起きる事すら難しい。所謂、駄目人間といわれる分類だ。
しからば、家事の一切は男性の手に委ねられるのは当然の結果だろう。そして男性の家事能力が二次関数の放物線を描いて上昇したのも予定調和に違いなかった。

そんな彼は常日頃と同じように、朝食の準備をしていた。こわもてに似合わぬカエル柄のエプロンは、少年に贈られた品だった。
朝日というには少し遅いが輝きを増している太陽の光が、室内を照らす。トーストにサラダ、ハムエッグとコーヒー。非の打ち所の無いブレックファストである。
満足げに鼻息を吹いた男性は、いそいそとエプロンを脱いで壁に引っ掛けてると眼つきも鋭くある一室に足を向けた。

そこには、甲斐甲斐しく働く自分と対照的に惰眠を貪る同居人がいるはずだった。
春眠にはもう遅ぇぞ。一言ごちて彼はドアを荒っぽく開いた。バン、という乾いた音と同時に引っかかっていた木の板が盛大に揺れる。そこにはこう刻まれていた。『一方通行』。

見下ろす男性、むにゃむにゃと呟く少年。寮とは名ばかりの高級気味なマンションの一室から、この物語は始まる――――

木原「オラッ、起きやがれ一方通行! 今日は俺が家出んの早ぇっつっただろうこのドカスが!」クワッ

一方「――――ンン、……あと三分待てよォ」グデー

木原「俺だって急いでんだぜぇ? ちぃっと程度はこの配慮に配慮しようって気は無ぇのかな一方通行ちゃァァァン?」

一方「…………起きる……起きるからあと三十秒……」

木原「テメェの三十秒は三十分だろォが! 今日は垣根くん達とどっか出掛けるから早く起こせっつったのはどこのどいつだ?」

一方「…………!!」ガバッ

一方「い、今何時だァ!?」

木原「九時半」

一方「ンだよまだまだじゃねェか……」バタッ

木原「」ビキビキビキ

木原「アタァ!!」バキッ

一方「イデッ!!」

木原「おきろ、ぶっとばされんうちにな」凸

一方「一発ぶっとばしといてから言うセリフかよォ……」ムクリ

木原「いぃから顔洗って来い。メシが冷める」スタスタ

一方「ン……」ノソノソ

木原「ンー……、朝のコーヒーはうめぇ」グビリ

一方「悪くねェな」グビリ

木原「態々入れてやった人の前で悪くねぇとは何事だ。入れて欲しくねぇのか?」

一方「とか言って明日も入れてくれる木原くンだったのである」

木原「…………チッ」グビリ

一方「にしてもそろそろあちィしアイスコーヒーの季節だと思うンだが」

木原「そうだな、もう夏か。…………テメェがコーヒー飲み始めたのもこんぐらいの季節だったな」

一方「――――よく覚えてンなそんなこと」

木原「何言ってやがる、散々俺もコーヒー飲むって騒いだ癖に苦いだの暑いだの喚きやがってたじゃねぇか。忘れようにも忘れねぇよ」

一方「あンときはまだガキだったンですゥ、今はこうやってブラックも余裕じゃねェか」フフン

木原「ま、あんま飲みすぎんなよ。胃に優しくねぇんだ、コーヒーは」

一方「俺より飲んでてなァに言っちゃってンだか。……トマトかァ」ススッ

木原「おい、残すんじゃねぇぞ」ギロッ

一方「…………味蕾からの信号ベクトルを操作イデッ」バキッ

木原「能力に頼りきるんじゃねぇぞ。それにな、食い物ってのはな、遺伝子研究所の研究員達が精魂込めて組み替えてんだぞ」

一方「食う気無くすような事言うなよォ……」モグモグ

木原「タコ、昔のままのトマトならテメェは食えちゃいねぇ。昔のトマトは食卓に出た途端に全ての子供がトマトと対照的な真っ青の顔して泣き出す程の食材でなぁ――――」モグモグ

一方「ごっそさン」

木原「おぅ、よく食った」ガシガシ

一方「よせやガキじゃねェンだぞ!」バッ

木原「そのガタイでよく言うぜ。ああ、今日でかけんだったな……晩飯は食って来る予定あんのか?」

一方「あー、もしかしたら食うかもしンねェ」

木原「あいまいなのが一番困るっつってんだろ。五時かそこらまでにはメールよこせ」

一方「りょーかい。そっちは遅ェのか?」

木原「どぉだかなぁ。ま、やることっつったら実験の尻拭いだけっぽいからそんなでもねぇだろ。俺は控えめに見て天才だからよ」

一方「木原くン紙一重紙一重」

木原「よし、じゃあ俺は出るからな。テメェも気ぃ付けろよ」

一方「鍵だけ閉めてやンよ」

木原「前いっぺん俺が鍵持ってき忘れてえれぇ事になったの思い出したぜ」

一方「えれェ事になったのはマンションの壁だろォが。ちょっとコンビニから帰ってきたらドアの形に穴が開いててぶったまげたわ」

木原「まあ、鍵も持ったから大丈夫だ。ンじゃ行ってくんぞっと」

一方「頑張って来いよォ」ヒラヒラ

第十八学区のとある研究所にて



木原「…………」カタカタ

木原(昼前か……、そろそろ一方通行は家でた頃かねぇ)

木原(あのガキ時間にルーズだからな……、さんざ教えてやったのにちっとも直りやがらねぇ……)

木原(ま、最近はそうでもねぇから大丈夫だとは思うが)


コンコンコン


?『失礼。木原さん、いるかな?』

木原「入んな」

研究員「失礼する」ガチャ

研究員「木原さん、新しいリストを持ってきたんだが」

木原「お、そこんとこ置いとけや」

研究員「それにしても、このような場所までご足労を願ってしまって面目ない。随分とお久しぶりだというのに」

木原「そう思うんならケツは自分で拭けるようになりな。いくら女んケツでもそぉいうイケナイ趣味は俺にはねぇぞ」

研究員「……しかし色々と理由を付けても来てくれるんだからな。これでも、心底感謝しているよ」

木原「…………やれやれ。そぉいやそっちんガキ共の具合はどうなってる? 俺が『使えそう』なのは育ったか?」

研究員「――――冗談でもそのような事を言わないで欲しいんだが」キッ

木原「なんで冗談だと思う。この俺が冗談言ってるって本気で思ってんのか?」

研究員「………………」


木原「はィはィ俺が悪かったよ……ったく『遊び心』が足んねぇなぁ、一体全体何回目だこのやり取りはよ」

研究員「冗談でも言って欲しくない言葉はある。……そうでなければ、貴方に付いてきた意味が無い」

木原「俺といると目ぇ付けられてんの知ってんのか。ただでさえお偉いのと溝入ってる上に第一位を飼い殺してるとか何とか言われてんだがな」

研究員「知ってるさ、貴方を慕う一方通行の事も。……貴方がいなければ子供達の無事も無かった。私も何をしていたか分からない。その事に関して私達は一生貴方に頭が上がらないな」

木原「ジジイが気に食わなかっただけだった、テメェらの事なんざ知ったこっちゃなかった、何度言わせりゃ気が済むんですかァ?」

研究員「関係ないさ。例えどんな理由だったとしても起きた結果は変わらない。だから私達が抱く感情も変わらないよ」

木原「妙な事言ってんじゃねぇぞ……」ユワッショーッ アイデソラガーオチテクールー

研究員「ケータイが鳴っているが」

木原「ん……」ピッ

研究員「(スッ)……噂の一方通行からか。仲睦まじい事だ」

木原「テメェ勝手に覗き見んじゃねぇぞ」

研究員「少しくらい構わないだろう。減るものでもなし」

木原「俺はテメェと違って露出癖はねぇんだよ」

研究員「……そういう言い方はいくら私でも少し傷つく。私は見せたいのではなく見られる事で起きる周囲の反応に興味が無いだけだ」

木原「一緒だろ。……とは言っても今日は随分とあっちいのに脱がねぇとこを見ると治ったみてぇだな」

研究員「い、いや暑いが……貴方に見られるのは恥ずかしいだろう……」

木原「あ?」

研究員「そ、そうそう。子供達は貴方に会いたいと言っていた。彼も一緒に連れてきてほしいとも」

木原「一方通行もか。あいつ昔ガキ共に会わせた時に何人か泣かせてただろ確か」

研究員「貴方に殴られて彼自身も泣いていたね、懐かしいな。あの時から数年ぶりだが……子供達もその事を覚えていたんだ。私が貴方と仕事をする事になる、と言ったら『二人に是非会いたい』だそうだ」

木原「ふぅん、まぁ一方通行に後輩ができんのも悪くはねぇか」

研究員「そ、そうだろうそうだろう。そうと決まれば場所はどうしようか。そうだな、どちらにせよ私の所は大所帯だ。こちらに来てもらう方がそちらへ行くより効率的だろう。子供達ももうすぐ夏休みだし予定は空いているだろうから私の予定が空いている時と貴方の予定が空いている時に合わせて――――――」

木原「おい、頭沸いてんぞ。また今度連絡すりゃいいじゃねぇか」

研究員「――――――それもそうだ、見苦しいところをお見せした」シュン

木原「……まあよし、んじゃとっとと仕事終わらせちまうとするかよ」

研究員「……いや、じっくりと進めないか? 何事も慎重にだろう」

木原「? 何でだよ、そんなに危ねぇもんでもねぇだろ」

研究員「いや……その……、すぐに終わってしまっては折角貴方を呼んだ意味が……」モジモジ

木原「いいからほら行くぜ。終わらせてメシだメシ」グイッ

研究員「――――あっ」





研究員「今日はお疲れ様。お陰様で随分早く終わったように感じるな、あっと言う間だった」

木原「ほんとに俺の助けがいったのかよ。テメェ一人でできたんじゃねぇのか?」

研究員「あ、それはだね、やはり木原さんがいたお陰だろう。うん」

木原「はぁ?  取りあえず俺は帰るぜ。また何かあれば連絡よこせよ」

研究員「も、もう帰るのか?」

木原「あぁ、さっきのメールで一方通行が外でメシ食ってこないらしいからよ。買いもんして帰るんでな」

研究員「そうか……」

木原「ん、テメェもウチで食うか? 二人分も三人分も大して変わらねぇぞ」

研究員「」

研究員「なんだって?」

研究員「いや、私も子供達に食事を用意しなければいけないから断らせてもらおう。たいへん、とても、ひじょうに、残念だが」

木原「そぉか。なら俺は行くぜ」

研究員(あっさりすぎる……せめてもう一度位聞いてくれても……)

研究員「ああ、またこちらから連絡するよ。ではまたね」

木原「次は仕事以外で呼べよ」ヒラヒラ スタスタ

研究員「――――――!!!」




研究員(仕事以外で呼べ、彼は確かにそう言った)

研究員(つまり私と彼の友好関係は仕事仲間という現状から進展したということだろう)

研究員(ああ、子供達に相談してよかった……彼女達が言わなければ仕事を口実に呼び寄せるという発想など浮かばなかっただろうし)

研究員(…………)

研究員「――――それにしても暑いな、彼もいなくなったことだし」ヌギヌギ

研究員B「あ、主任またそんな所で!」ダダダッ



木原「今日のメシは何だろな、と」スタスタ

木原「」アァァッタタタタタタタタタタタ ピッ

木原「俺だ」

?『ただいまお受けした電話はァ、現在使われておりませン。番号をお確かめの上、もォ一度』

木原「おい一方通行、さっさと用件を言え」

一方『ンだよつれねェな。もう少し反応しろって』

木原「用がねぇなら切んぞ」

一方『馬鹿待て! 木原くン今どこよ』

木原「十八から帰るとこだよ、仕事終わったし買いもんしてな」

一方『俺ァ六から今帰るとこだから合流しよォぜ』

木原「構わねぇがどこでだ」

一方『どこで買いもンすンだよ?』

木原「七学区のでけぇスーパーで纏めて買いもんしようと思ってる」

一方『おしきた、スーパーの入り口で待ってるか待ってろよォ』

木原「待たせんじゃねーぞ、急げよ」

一方『電車に言ってくれよ、ンじゃ』プツッ

木原「はぁ……、よし行くか」スタスタ

一方「木原くゥゥン、お待たせってなァ」スタスタ

木原「遅ぇな一方通行、早すぎんのもよくねぇが遅すぎても嫌われんぞ」

一方「なンの話だそりゃ」

木原「ま、行くぞ」スタスタ

一方「はァ?  ……おゥ」スタスタ




木原「牛乳ポン酢マーガリン……、ゴマダレはまだあったな。無かったのはもうねぇか」

一方「木原くンアイス買おうぜアイス。夏だしよ」

木原「なんか好きなの一箱買って来い」

一方「ヒィィハァァァ!!!」ダッ

木原「何歳だ、走ってンじゃねぇぞ!」

一方「ヒーハー」スタスタスタスタ

木原「ったく競歩じゃねぇんだぞ……、あぁ納豆も買っとくか」

一方「おゥ木原くンこれも頼んだ」ガラガラ

木原「んだこのアホみてぇな量の缶コーヒーは」

一方「買いだめが切れちまってたの思い出したンだよ」

木原「全部一緒のじゃねぇか。少しは違うの買ったらどうだ?」

一方「これで良いンだ。むしろこれが良いっつゥかな」

木原「こだわりでもあんのか」

一方「まァ色々とな」

木原「そういやこりゃ俺が昔テメェに初めてやったコーヒーだな、懐かしいぜ」

一方「――――! ……覚えてやがったのか」

木原「元々俺が好きで飲んでた銘柄だ、わからいでかよ。俺にも何本かよこせな」

一方「……ケッ」

木原「よし後は今日のメシだけだな」

一方「今日のメシの予定とかあンのか?」

木原「そぉだな……おう一方通行、今日のメシは何が良いとかあるか?」

一方「ハンバーグ」キリッ

木原「よし、麻婆豆腐にすっかな」ガサガサ

一方「おォい!」





一方「あ」

木原「レジの前でなんだ」

一方「ポテトがねェの忘れてた」

木原「ァあ? またスナック菓子か……さっさと取って来い、二袋だけだ」

一方「いってきヤース」スタスタスタスタ

木原「ったく…………」

一方「重そォだな」スタスタ

木原「そりゃこんだけ買えばな」

一方「一個持ってやろォか?」

木原「能力使わねぇんなら一袋任せてやる」

一方「げ……パス」

木原「テメェのそのモヤシボディはなんとかなんねぇのか一方通行、自分で情けねぇと思うだろ」

一方「前に木原くンボディ目指して筋トレしようとしたンだけどよォ……、疲れてくっと勝手に能力出ちまうから筋トレにならねェんだ」

木原「負荷に対する反射演算の式を組み替えなきゃ駄目みたいだな、今度の実験の時にでも考えといてやる」

一方「腹筋割れてンな」サスサス

木原「おいくすぐってぇからやめろ。卵落としたら洒落にならん」

一方「俺の腹筋は……割れてるんじゃなくて脂肪が無さ過ぎて筋肉が見えてるだけかァ……」ペタペタ

木原「プロテインでも飲んでみるか?」

一方「まァ木原くンが演算組んでからだなァ。頼むぜェ」

木原「任せろ、俺を誰だと思ってやがる」

一方「ただいまァ」

木原「おかいま」

一方「どっちだよwww」

木原「冷凍もんだけ入れといてくれ、ちと先にトイレだ」

一方「ン」ガサガサ

木原「ああ挽肉は出しといて良いぞ」スタスタ




木原「ふぅ……すっきりしたぜぇ……」

木原「ブツはみんな納まりやがったな。よし、よくやった」

一方「ンじゃァ俺ァテレビでも見てンぞ」

木原「メシ前にスナック食うんじゃねぇぞ」

一方「ン」

木原「数多の料理道場ォォォォ」

木原「さーってハンバーグちゃん覚悟しちゃってねぇぇぇ」

木原「まぁずはタマネギを粉微塵切りだぜぇ」ドガガガガガガガガガガ

木原「次に刻んだタマネギをフライパンで炒める。油でもバターでもマーガリンでも良いから狐色でやらかくなるまでなぁ」ロォォォォドォォォォォオ

木原「タマネギをのけて冷ましてる内に、挽肉をボウルに叩き込みッッ!」ドグシャァ!

木原「くたばるまで混ぜるッッ! カッコイーッ!!」メメメメメメメメタァ

木原「挽肉が更にグチャグチャのミンチにおなりお遊ばしたらッ! パン粉、牛乳、卵、塩、胡椒、タマネギをぶち込みィィィィィみっくちゅじゅーちゅだハッハァーーーー!!」ドッギャァァ――――z____ン!!


木原「……よし焼くか」ジュージュー

木原「肉汁でソースを作って……」

木原「つけあわせのサラダを……」

木原「できたぞ一方通行ァー」




一方「ァー、うまかったうまかった」

木原「ごっそうさん。食い終わったら持ってけ」

一方「わァってるって」ガチャガチャ

木原「明日の予定はなんかあんのか?」ガチャガチャ

一方「明日は特にねェなァ……、木原くンどっか行く予定あンのか?」

木原「実は俺もねぇんだよ。――――あ」

一方「あけっぱなしの口から木原くンどォぞ」

木原「いや、第三学区に安くてうまいっていうステーキハウスがあるらしくてよ。そこにテメェを連れて行ってみっかとか思ってたが……」

一方「おォ、俺はハンバーグ連チャンでも一向にかまわン」

木原「クソガキが、俺の事も考えろ」

一方「あ、そォか……」シュン

木原「………………」

木原「とは言ったものの、別に俺も構わねえから昼飯に行くか、ステーキハウス」

一方「ンだよマジかよンだよ! ビビらせやがって!」バシバシ

木原「俺が聞いた話だと中々らしい。最も、俺が話の出元に担がれてなけりゃの話だがな」

一方「良いじゃン別に、まずけりゃ笑い話にならァな」

木原「それもそうか」

木原「ああ、木山に会ったぞ。今日のオシゴトでな」

一方「あの人か。ンで、どォだった?」

木原「どうだったも何もねぇよ。ふっつーにオシゴトしてメシ食ってオシゴトしてしまいだ」

一方「……あの人も苦労しそうだねェ」ハァ

木原「んだその溜息は。五月病には遅ぇぞ」

一方「なンもねェよ。何か言ってたか?」

木原「あぁ、今度メシ食いに来いッつってたぞ。夏休みでガキ共が暇してんだと。テメェも是非だとさ」

一方「お、頑張ったじゃねェの木山さン。いつよ」

木原「あっちから連絡だっつってたから適当に待ってりゃ良いんじゃねえのか?」

一方「…………暫くは連絡こねェンだろォな」ハァ

木山「……」カチカチカチ

木山「再来週の週末に、以前話した食事の誘いをさせて頂こうと思います……敬語は気持ちが悪いと前に言われたな」

木山「……」カチカチカチ

木山「今日少し話した食事の件だけど、再来週の週末辺りにでもどうかな?……軽すぎるか?」

木山「……」カチカチカチカチ

木山「この学園都市にてさえ風鈴の涼やかなる音の響く季節となりました。さて、先日に触りのみお伺いした件の話で……あほか」

木山「……」

木山「…………」

木山「ぅぅぅうぅうぅううぅうぅぅぅ」ゴロンゴロン

少年「せんせー、俺腹減ったんだけど……」グゥー

少女「バカ! 今先生は行き遅れるかどうかの瀬戸際なんだから邪魔しちゃ駄目よ!」ボソボソ

一方「いやそれにしても、木原くンと外食とか久しぶりだなァ……明日が楽しみだ」

木原「言われりゃそぉか。……ダチ連中はどうだ一方通行、仲良しこよしやれてっか?」

一方「あァそうそう聞いてくれよ木原くゥン、今日垣根くンがクリームソーダ頼んでたンだけどなァ」

木原「どっちかっつーと俺はバラバラに食いてぇ派だな、クリームソーダ。アイスとソーダで」

一方「垣根くン、炭酸を抜く! とか妙なこだわりがあンだがストローでかき混ぜたらクリームと泡がなんかスゲェ事ンなってよwwwwwww」

木原「具体的に一声あげな」

一方「なんつーの? 科学の実験? ビールより大雑把な泡がボコボコいいながら下から湧き出て机がべしゃべしゃwwwww」

木原「愉快な様じゃねーか」ククッ

一方「それ見た麦野さンがまたなァ――――――」


木原(ンだよ、楽しそうじゃねェか、一方通行)

木原(まぁ、そのザマ眺めてる俺もそれなりに楽しいんだがな)

木原(やれやれだ……、友達か。――――俺のお役御免も近ぇかな)


一方「――――ンでダーツマスターが……、木原くン聞いてンのかよ?」

木原「おぉ、聞いてる聞いてる。ダーツマスターがどうしたって?」



~~~


少年と、男性が並んで歩いていた。
灰色気味の髪の毛にやけに白い肌をした少年の横、金髪を撫で付け顔の半分に入れたタトゥーが目を引く体格の良い男性だ。
俯きがちに視線を泳がせる少年の向く先は男性の腕、三角巾で首から下げられたギプス。
少年の視線に気づいていた男性だったが、緘口して語らない。何かを待っている様子だった。


「あ、あのっ!」

「ァアン?」

「その、あの……その手……」

「んなもん診たカエル面した医者がヤブでよ、大げさなだけで大した事じゃねェ」


ええいままよ、とばかりに口を開いた少年だったが、鼻を鳴らして威嚇するようにこぼす男性を見て再びうつむいてしょげ返る。

困ったのは男性だ。優しい声のかけ方も知らねば励まし慰め方も知らぬこの男、犬のおまわりさんの気持ちが少しわかった気がした。
困りきった挙句、男性は無事な左手を持ち上げると、おもむろに少年の頭を小突く。激突の瞬間、男性の手が過剰に跳ね返る。

痛っ、と声をあげて頭を抑える少年。世界を見渡せば万物を見通すプロビデンスの目ならずとも見とめることができるだろう、どこにでもありそうな普通の光景。
だがこの少年は普通では無い。彼が持つ異能は未調整の現状ですら、己に向かう許容以上の運動質量の指向性を反転させる、といった稀有な代物だ。

つまりそれは『本来ならば』ありえないはずの現象。
しかしそのありえない現象を受けた少年は、痛みをこらえるような表情をしながら笑っている。何故かとても嬉しそうに。


「殴られて笑うとかドマゾですかぁ? おい、神経通ってんのかテメェ」

「ちが……ちげぇよ! 喜んでねぇよ!」

「じゃあそのにやけ面は何なんだ」

「いや……これは……」

再びちらと男性の腕を見上げる少年だったが、決意を新たにしたような面持ちで口を開く。それでも、瞳は落ち着き無く左右している。


「腕……、その、ごめん。俺のせいだ」

「ガキがいっぱしに気ぃ使いやがるたぁ驚きだぜ」


少年の言葉に片側の眉を上げて応じた男性は、呟く。屁でもねぇ。
それを受けて返されるのは尊敬に近い感情を含んだ視線だった。やりにくそうに男性がバリバリと頭を掻き毟った。



そのまま歩いている内、少年は再び男性の方を窺い始める。
先ほどと違って暗さの感じられない表情には照れが見え隠れし、男性の空いた左手をチラチラと見ている。


「な、なぁ木原くん」



暫しの沈黙。
言われ慣れていない名で呼ばれ、男性は少しだけぽかんとしたようだった。
程なくわれに返った男性は眉をハの字にしてため息をつき、更に呆れたように言った。

「『木原くん』? さん付けだろ普通はよ。俺は年上で目上で且つ一方通行、テメェの保護者予定者だぜ」

「良いだろ木原くん! 友達には、『くん』付けるもんなんだろ!」


前言ってたじゃねぇか! と胸を張る少年に男性は口を開きかけ、今度は諦めたように口を閉じる。同時に肩が少し落ちた。

何を笑ってやがるガキ。今一度とばかりに言葉と共に放たれた一撃は、素早い動作で少年にかわされた。
得意げな笑みに向かって、大人気ないと知りつつ男性はみたび鉄槌を振り下ろす。
少年の悲鳴が響く。ざまあみろとばかりの男性の笑みがこぼれる。
少年が、左手に飛びついた。何しやがる! い、いいじゃン別に! 暫くその場でもつれていた二人だったが、やがてどちらともなく歩き出す。





夕日を浴びて伸びる二つの影。その距離は、遠くなくむしろ近い。

交わされる違う色の笑顔。ほんの少しだけ悪くなった少年の言葉遣い。そして繋がれて、離されない二つの手。

生まれた時から年上で目上、先刻には研究者と保護者となり、今彼らは友達になった。

そんな絆達。それが、これから始まる彼らの関係の全て。



~~~






一方「おォい、早く行こうぜェ」ドンドン

木原「俺に起こして貰った分際でえらそーな口叩きやがる……、ちっと待ってな」

一方「いィや限界だ行くね! 腹減って死ぬぜェ!」

木原「やれやれ……、うし行くかぁ」

一方「おォ、ステーキ&ハンバーグの園へご招待ってかァ? ヒャッハー! 肉だァ!」

木原「騒ぐなうっせぇぞ。……ったく、うるささだけは変わりやがらねぇ」

一方「何にやけてンだよ、気色悪ィ」

木原「思い出し笑いだよ。じゃ行くぞ一方通行」

一方「いよっしゃァ待ちくたびれたぜ木原くゥン!」








                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ

と、言う話だったのさ。夜遅くに唐突ですまそすまそ。顔面タトゥーのパパはかっこいいよな
やっぱたまに恋的表現を書くと楽しいなww 自分で書いたキャラに萌えられれば一人前と聞いたことがあるがその域に達するように頑張るわ

心理掌握の話はもう少し待ってくれ、それではおやすけ!

今日日が昇るまでに投下する、ZE
来月の頭一週間はPC環境無いので執筆止まるけどあんま大勢に影響はないから勘弁な!

どうも。

頑張って書いたがキャラが増え始めて収集付かなくなってきたwwwwwwwwかまちーはやべぇなwwwwwwwwなんか当初と違ってレベル5だけの話じゃなくなってきたんだけどwwwwwwww

では投下しまう
心理「私の、大切なお友達」

少女「彼らは今のところは大きな動きを見せておらず、第四位を実行部隊の頂点としていた組織『アイテム』も解体に近い状況です。主要な人員が同じファミリーレストランで時折談合をしている姿が確認できるに過ぎません」

少女「スクールに至ってはそもそも活動している痕跡が残っていません。最も、もみ消されているとしたらそれは完璧な物ですのでそもそも我らでは察知できないかと」

少女「時折全員、又は数人で遠出する事もありますが歓楽街が殆どで、ロストした事も目標に対して距離を詰めて調査しようとした時一度だけでした」

少女「尚、踏み込んで調査を行おうとしたグループに関しては、皆揃って現在病院のベッドの上で魘されています。全員命がある事が奇跡と言わざるをえませんが」

?「回りくどいですわね。もう少し具体的且つ率直に」

少女「……つまり、彼らから集団で何か事を起こそうとしているという予兆は見られませんでした。」

?「…………報告書を」

少女「こちらです。現在の所、私共の側からは指示通りに監視を付けていません」

?「予め言った通り、必要最小限の情報以外末端には与えていませんわね?」

少女「勿論です。抜かりはありませんが」

?「…………嘘は言っていないようですわね、ご苦労様。『忘れてしまっても構わなくてよ』」キィィン

少女「――――――――」

少女「――――あ、あれ、私は……あれ?」

?「ありがとう、もう良いわ。お下がりなさい」

少女「め、心理掌握(メンタルアウト)様!? し、失礼しました!」ダッ

心理「…………、ふぅ」キィ





心理(統括理事も、無茶な依頼をなさってきますこと……)

心理(レベル5、三人とその下部組織の動向を調査及び監視、何かの動向が見られた場合に備えての接触、ね)パラッ

心理(いくら彼らに対して顔が割れていない精神系能力者が少なかったとはいえ、ここにお鉢が回ってくるなんて……)

心理(出来うる限り顔を出すことをせずに動いていたのが逆に仇となりました、か)

心理(断りたいものですが……依頼してきた理事は偶々とは言えど数少ないこの心理掌握の顔を知っている方。ああ、面倒この上ない……)

心理(結局相手取らねばならないのは、最悪のパターンですと最高位を含めた超能力者三人に大能力者を擁する組織が二つ)

心理(外部からの調査に限界がある以上――――)

心理「私(わたくし)が動く他ありませんわね……」




学園都市。総人口およそ二百三十万を誇るこの都市の名を借りた巨大建造地区は、都会と言うべき発展と活気、そして喧騒で溢れていた
道行く人は様々で、老若男女それぞれがそれぞれの表情を浮かべながら歩みを進めている様子は普通の都市とまるで変わりが無い。
この都市が普通で無い点を挙げるとするならば、八割にも上る住人が『能力者』と呼ばれる異能を持った人間であることだろう。

その『能力者』の最も高い強度、レベル5の『超能力者』の一角たる少女は辺りを気にするような素振りも無く背筋を伸ばし颯爽と歩いていた。
彼女の通り名は、心理掌握。精神系能力と分類される側面において、学園都市二百三十万の頂点に位置する能力者。しかし、彼女の素顔を知る人間は驚くほど少ない。

レベル5と称されている他の六人と彼女、心理掌握の最大の差異は単独での自衛能力を持っているか否かと言っても過言ではない。
精神系能力者の宿命とも言える課題だった。彼らは精神に対して干渉するという通常兵器では困難な異能を持つが、物理的にはまるで一般人に等しいのだ。いかに自身の身を守るか、彼らはそこをまず第一に必要とする。

そこで心理掌握が取っている手法は、『心理掌握』としての彼女を可能な限り隠すというものだった。
それは仕事や依頼等の都合上で対面した相手の『心理掌握』に対する記憶を消去したり、必要の無い時はあまり外に出る事を控えるといった存外に地味なものだ。
しかしこれが大きな効果を発揮している。事実学園都市内で彼女の容姿と通り名が一致している者は殆どいない。
それは常盤台中学内でも同様で、派閥内ですらも極々一部の人間しか彼女に直接会う事が出来ない。
会っている者も、いつそれを忘れるか判らない。最も、これには自衛以外にも大きな理由があるのだが。(心理掌握を知っている、としての拷問を受けさせないようにする為である)

従って逆にコソコソと人目を気にする事が意味を持たない為に、心理掌握は堂々と歩を進めている。
そんな彼女は堂々と外を出歩くのも久しく、凛々しい雰囲気とは裏腹に外の空気を楽しんでいるようだった。
多少つりあがった目尻に日本人にしては彫りの深い顔立ちが人目を引き、既成の制服の首下にあしらわれたの臙脂色で細めのリボンタイが瀟洒な印象を与えるものだ。
陽光を反射して輝く金色の髪には、僅かな癖も枝毛も見当たらない。

能力者という下地を知られていなくとも、彼女は十分に周囲の視線を受けていた。その上で彼女が堂々と歩くのは、その方が逆に余計な者共に声をかけられない事が多い、という事実に基づいた経験則によるものだった。

ふと風に靡いていた髪が重力に負けて垂れ下がる。歩みを止めた心理掌握の視線の先には、なんの変哲も無い一軒のファミリーレストランが建っていた。
三時過ぎという時間から見ても、店内は客でにぎわっていることだろう。そして恐らくは彼女の目的の人物達も、そこにいることは間違いない。
学園都市第一位一方通行、第二位未元物質、第四位麦野沈利。彼女がどうにかして接触を取るべき相手は事前の調査通りならばこの時間帯いつもの窓際の席を占拠している筈だった。
見上げる視線の先に、緩くカールした茶髪の女性。間違いなく第四位である事を確認した彼女は視線を水平に戻すと長い睫を伏せて、一つ大きく息を吸って吐いた。

偶然を装うにしろ、何か一芝居打つにしろ、心理掌握には慎重に事を進める必要がある。
彼女の通り名であり固有能力、『心理掌握』は十徳ナイフと称される程に汎用性に長けた能力であるのだが、万能ではあれど決して全能ではない。
表層感情の大まかな読心や念話等は一定の距離があっても行使できるが、心に鍵をかけているとでも言える気構えのある人間に対してや深度の深い記憶の読心、相手の価値観を捻じ曲げるような行使には身体的接触がある状況が望ましい。
そうでなくては、本人にかかる負担が大きすぎて彼女自身が倒れる様を晒してしまう。

また、被能力者が能力者に対して心を開いていない場合あがらうとまではいかずとも、深く能力を行使した場合に被能力者自身が能力の行使を受けていると察知してしまう事もある。
このケースは被能力者側の能力強度が高ければ高い程発生しやすくなるという実験結果が得られてもいた。
つまり、すぐさま能力行使に入れば標的は全員レベル5だ。即座に警戒態勢に入られる可能性が高い。それだけですまず、特定されれば先のグループの様に病院送りで済ましてくれる保証もない。
そもそもが標的の一人、一方通行に対して精神能力が通用したという実例が存在しないのだ。これは実験結果が公表されていないだけで通用自体はするのかもしれないがあくまで仮定だ。自分の安全をBETするには些か短慮が過ぎる。

が、勿論無策というものでもなく、護衛も付けずに一人で心理掌握が来たのには訳がある。
彼女自身に標的の彼らに対する敵意は無い上、事前の情報では彼女の面は彼らに割れていない筈だった。

一度自身の目で標的を確認した上で、与し易いであろう『アイテム』という組織の人物達の比較的第四位に近い人間に接触記憶改変でも行い知り合いとして標的に接触するもよし。
まあどちらにしろそもそも心理掌握の顔が割れていては話にならないので、その確認がてらに彼らと一定内の距離に入る。それが今回の彼女の目的で。
今回受けている依頼はリスクが高い為、裏がある程度取れたら即離脱しよう。彼女の最終的な結論がこれだった。



自身の内に埋没し、目的を整理するために行った深呼吸。その呼気を吐ききった刹那、目を開いた彼女は目的地、ファミリーレストランの入り口に向かって歩き出す。
金糸を翻した彼女の表情は、珍しくも緊張で硬くなっているようにも見受けられた。


ファミリーレストランの入り口の扉、その二枚目に心理掌握は手をかける。店内の声が耳に届く。
一人の超能力者が、三人の超能力者と接触する。そんな稀有な出来事からこの物語は始まる――――



心理(今回の目的は、あくまで確認のようなもの……。ですが、隣とまでは行かなくとも標的が視界に入る席は確保したい所ですわね……)

店員「いらっしゃいませー、お一人様でしょうかー」

心理「ええ」キョロキョロ

心理(あちらのテーブル席なら座った正面が標的達のテーブルですし、丁度良いかもしれませんわね。第一位が見当らないのは……おトイレかしら?)

心理「席もまばらに空いているようですし、好きな場所に座ってもよろしいかしら?」

店員「わかりました、お好きなお席へどうぞー」

心理「ありがとう」

心理(今の所は順調、と。……さて、まずは)



ドンッ!

心理「きゃっ……、失礼しましたわ」スタスタ

男A「――――あ? おいちょっと待てよ」グイッ

心理「(ピクッ)…………なんでしょうか」

男A「人んとこぶつかっといてそんだけかよ?」

心理「謝罪は既に申し上げましたけれど」

男B「お、よく見たらこの娘カワイイじゃん?」

男C「いやよくよく見なくてもカワイイだろwww ぶつかっちゃったのも何かの縁だべ、俺らこれから遊び行くから一緒に行こうぜ?」

心理「私、今ここに入ったばかりですので」

男B「いいじゃんいいじゃん。一人でしょ? 一緒にいた方が楽しいって、カラオケかどっか行こうよ」ニヤニヤ

心理(……馴れ馴れしくも低俗。下心を隠そうともしない下劣。反吐が出るってこのことかしら)

男A「良いから来いってんだよ。そしたらいきなりぶつかった事勘弁してやるから」グイッ

心理「――触らないで頂けますか?」パシッ

男B「おいおい、振られてやがんのwwww」

男A「(イラッ)……てめぇ女ぁ、調子乗ってっとマワしちまうぞ?」ガシッ


心理(こういう下種に絡まれてしまうのは顔の割れていない弊害ですわね……)

心理(こんな事ごときの為に……、力を振るわねばならないなんて)

心理(こんなことだから――――)スッ キィン


心理「外出しても碌な事「おーゥおゥおゥ僕ちゃン達、人様の邪魔になるような場所で立ち止まってちゃいけないって学校で習いませンでしたかァ?」――――?」


心理(後ろから……声……?)

男A「んだてめぇ横から口出してくんじゃねえよ引っ込んでろ」

一方「女に腕出してるテメェが言えた事か。きえろォ、ぶっとばされンうちにな」凸

心理(――――一方通行!?)



テメェラノエンザンリョクジャオレガアクセラレーターダトケイサンデキナカッタロウ!!
ウギャアキンニクマーン!!

一方「ハッ、まァたつまらン奴をのしちまったァ……。おーい店長ォ」

心理(一瞬で三人を……、まるで見えませんでしたわ、これが第一位の実力なのかしら……)

店長「いらっしゃいませ……、申し訳ありませんでした」

一方「謝るこたァねェよ。それよりコイツらの後片付け頼むぞ」スタスタ


垣根「ん、一方遅かったな。今なんか入り口で騒いでたのお前だったのかよ」

麦野「なに、また店長さんに迷惑かけてたの? いい加減出禁食らうわよ」

一方「違ェよ、変なのが騒いでたからどかしたンだよ。……ダーツ・マスターは?」

麦野「フレンダならさっき帰ったわよ。見たいテレビあるとかで」

一方「げェー! ……一足遅かったか」ガタッ


心理「…………」ポカーン

心理(――――――!)タタッ

心理「お待ち頂けますか?」

一方「…………ァあ?」クルッ

心理(この目つきだけ見るとさっきのとどちらがチンピラかわかったものではありませんわね……)

心理「礼も聞かずに立ち去ろうとするなんて、逆に失礼じゃありませんこと?」

一方「ンなの知った事か。俺ァ邪魔な木人形をどかしただけだ」

垣根「なんだこの子。お前の知り合いかよ一方?」

一方「知らねェな。とっとと失せろ」

心理「――ッ、そんな言い方は無いのではなくって?」ピクッ


麦野「……え、何これ。リアル修羅場ってやつ?」

垣根「少なくとも俺は女の子の方は知らねえぞ。一方通行は知ってるがな」

麦野「当たり前でしょ馬鹿じゃないの」

垣根「ちょっとボケただけじゃねえか……」

麦野(そんなことより、一方に誰かが絡んでるなんてこんな面白そうなシチュエーションをみすみす逃がす筈がなかろうなのだー)

麦野「あー、ちょっとちょっとそこの子ストップ。一人で来てるの? それとも誰かと一緒?」

心理「わ、私ですか? ……一人で来ていますが」

麦野(……聞いといてあれだけど寂しい子なのかしらひょっとして)

垣根「おい麦野、不躾すぎんぞ」ボソボソ

麦野「わ、わかってるわよ」ボソボソ

心理(……ファミリーレストランに一人で来る、ってよく考えたら凄く虚しい事なのかしら)

一方「ケッ」

麦野「一方が迷惑かけたわけ? ああ一方ってのはコイツの事だけど、どっちにしろちょっと話聞きたいからさ。相席しない?」

垣根「お、良いね。可愛い子が来てくれるのは大歓迎だ」

一方「おィてめェら勝手に話進めてンじゃねェぞ」

麦野「良いじゃん、どうせ席も空いてるんだからさ。私の隣おいでよ、ほらほら」ススッ

心理「そ、それでは失礼しますわ」ガタッ

垣根「でだけどよ。コイツが何かしでかしたのか?」

一方「なンもしてねェっつっただろォが!」

心理「したではありませんか! しらばっくれないで欲しいですわ!」

麦野「――え? 一方アンタまさか」

垣根「ええ、彼は普段から奇行が目立っていました。いつ何かをしでかすかとは思っていましたが……」

一方「そういうボケいらねェから! ガキ、テメェもややこしい言い方してンじゃねェぞ!」


かくかくしかじか



麦野「なぁんだ一方、犯罪者になったんじゃなかったのね」

一方「貴公・・・。真面目にそれ言ってンなら麦野さンとの付き合い方考えるレベルだわ」

垣根「っつーか良い事しただけじゃねえか。妙に隠そうとすんのは紛らわしいぞ」

心理「そういう訳ですから……、その、私はお礼を言おうとしていたのですがつい熱くなってしまいまして……。失礼致しました。それと助けていただいて、ありがとうございました」

一方「礼を言われる為にしたことでもねェのに律儀なこったな」

麦野「そうよ謝る事も礼を言う事も無いわよ、コイツ目付き悪いし挙動不審だし中二病だしね」

一方「おい、なンの言われも無い麦野さンになンでディスられてンだ俺は。しかも何も今の話と関係ねェじゃねェか」

垣根「なあ麦野、一方なんでかこの子にちょっと素っ気無くね? 惚れてんのか?」

麦野「逆じゃない? 助けちゃったけどお礼とか言われんの恥ずかしくて照れてんのよ」

垣根「あー、あー、納得した」

一方「そういう話は本人に聞こえない場所でしてもらいてェもンだが。なァ?」

心理「――――え? そ、そうですわね」

心理(……随分と気軽な方々ですが)

心理(もう既に私の正体を看破されているとか……マフィアは殺す相手を恐ろしいほどまでもてなすと言いますがまさか……)

心理(いえ、まさか、ですわね)

今宵の地獄はここまでとしよう。お疲れ様です
最初にもちょっと書いたけど、同時に喋る人数が増えると爆発的に会話が難しくなるね……今んとこまだ最大七人とかだけど、ちょっと方向転換考えなきゃ十人近くなるとやばいかもしんないww

それではごきげんようまた来週

全然関係ないけど、上の方で出てた絶体絶命都市3プレイしたんだ
ちょっとボリューム不足感はあったけど、今回は監修付けたり少し需要の層を広げようって考えも感じられたし
相変わらず選択肢は飛ばしてたし、歌も凄く良かった。ストーリーが最後に苦笑する感じなのは前からだからしょうがないけど、下手に壮大すぎるよりは良いかな
4は逆にもっと小物っぽい事故責任の擦り付け合いだけなんかも良いかなって思った。アイレムがんばれまじがんばれ

端的に言うと、暫くしたら投下します

どんな話か忘れた諸君(と作者)の為にあらすじだ!


垣根「友達が欲しいんだが」
自分と対等な友達が欲しい、そんな欲求に駆られた『超能力者』垣根帝督は、同じく『超能力者』一方通行にファミレスで声をかける。
なんやかんやで二人の間にあった絆は友情として確立される事となったのである。二郎おいしい。

麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」
超麦野し過ぎた『超能力者』麦野沈利は仲間と顔を会わせ辛くなり家を飛び出る。と、盗んだバイクで走り出した先には我らが一方物質ブラザーズ。
なんやかんやで自分の欲しいものを再発見したむぎのんは、即座に家に取って返すとその足で仲間達と共にブラザーズを強襲。ここに、一未原同盟が結ばれたのであった。二郎おいしい。

心理「私の、大切なお友達」←今ここ
『超能力者』心理掌握に面倒な依頼がよせられた。先日結ばれた一未原同盟を危険視した一部の輩からの監視指令である。
基本的にヒキコの心理掌握だったがしょうがないのでとりあえずトリオの顔を覗きに行ったら色々面倒に巻き込まれて……。二郎は皆に食べさせたい。

では投下開始

麦野「大丈夫、別に取って食われはしないって。こいつら童貞だし」

一方「テメェ声高に何語ってンですかァ!」

垣根「どどどどどどど童貞ちゃうわ」

心理「ど、どっ――――?」

麦野「あ、ごめん、下ネタとか駄目な人?」

心理「あ、あまりこの様な場でその様な事を耳にする機会が無いだけですわ」

麦野「他にどんな場所で聞くのよ、かわいいわね。あーこういうの悪くないなー」

垣根「おい麦野、テメェとこの子一緒にすんじゃねえぞ」

一方「麦野さンの口の汚さはビッチ級。どォしてこうなった」

垣根「生まれつきか育ちか両方かだろ?」

一方「野に咲く一輪の花を見つけて微笑むお嬢様麦野さン想像してみ」

垣根「あ、ダメだ。いま花引きちぎって口元歪ませた」

麦野「テメェら死にたいならもっと直接話法で言ってくんないかな」ビキビキ

心理「あ、あの落ち着いて下さいな」アセ

ヤイノヤイノ


麦野「今更かもしんないけど、自己紹介しとくわ。私は麦野沈利、大好物は鮭ね」

垣根「俺は垣根帝督な。帝国の帝に都督の督って書くんだが、よく間違われるんだよなー船とかの提督と。好物って言うかは知らんが甘いものを良く食うぜ」

一方「ややこしい名前してやがンもンな。……俺ァ一方通行だ、名前位は聞いた事あンだろォが別に構えなくても良い。……コーヒーを良く飲むな」


心理(改めてこうやって並べていただくと壮観ですね。超能力者が四人揃うなんて、研究者が見たら発狂するんじゃないかしら)

心理「私は、手之家心(しゅのやこころ)。好きな物は……ええと……、緑茶、でしょうか?」

麦野「へえ、珍しい苗字してるわね。あと無理に合わせて言ってくれなくても良かったのにw」

垣根「何の脈絡も無く好物晒した麦野が言うなよ。……心ちゃんね、良い名前じゃねえか。悪くねえ」

麦野「垣根ぇ、アンタが合わせたから流れができちゃったんでしょ。……後前も同じこと私に言ってたわね、ボキャ貧?」


一方「俺ァ本名ってのが無いしな、好きに呼んでくれて構わねェぞ」

心理「――そう、なのですか。私の事もお好きにお呼び下さいな。助けても頂いた事ですし、ね?」

一方「引っ張ンなァ……。そォいうの意識してた訳じゃねェし、もォ勘弁しろ」

心理「ふふっ、私が思っていたよりも可愛らしい方なのかもしれませんわね、一方通行さんは」

一方「ちっとも嬉しくねェぞ」

心理(私も偽名、みたいなものですけれどね。データベースにも事前に登録してあるので検索されたとしても足は付きませんし)


麦野(んん? 一方に脈あり、なのこれ?)

垣根(ぱっと見の目つきとかも鋭い感じだったが笑うとそうでもないな)

麦野「しゅのやってちょっと呼びにくいし、心って呼んじゃうよ。良い?」

心理「ええ。麦野さん、でよろしいですか?」

麦野「ま、駄目っていっても呼んでたんだけどさ。礼儀正しいわねー、そういうの好きよ」

垣根「はいはい麦野麦野」

一方「そういや関係ねェけど、渾名付けやすい名前と付けにくい名前ってあンだろ?」

麦野「あるわねそういうの。譲二とか名前呼ぶだけで既に外人臭くて渾名みたいだしね。ヘイジョージ!」

心理「その側面ですと、垣根さんも個性的なお名前ですから渾名は付きにくい部類に入るのでしょうか」

一方「帝督ンでいいだろていとくンで。くン付けっぽく尚且つ渾名として成り立つ一粒で二度おいしいですってかァ?」

垣根「お前はそもそも能力略するか全然関係ない名前付けるしかねえじゃねえか。一通、一行、方向とかどうだよ」

麦野「あっは、方向と一通とか面白いかも」プププッ

垣根「渾名が一通とかいかにもマージャン強そうじゃねえの? 一通のほにゃらら、みてえなな」

一方「俺のスタイルは鳴き虫だから狙えなくもねェがマジでどォでもいいな」

一方「他に何か新しいのは……、シンプルに帝督でてっちゃんとかよォ」

垣根「そんな鉄道マニアみたいな名前はよせ。しかも俺実は電車に乗ったことほとんど無いんだよな」

麦野「そうなの? あー、でも垣根遠出するときも飛べるもんね。こう、ぶわーって」

心理「飛ぶ、と言いますと空をですか?」

一方「ああ、そりゃ驚くよなァ。コイツ背中から羽生えンだよ」

心理「???」

垣根「能力で勝手に出ちまうんだよ。一方も飛ぼうと思えば飛べんだろ? ベクトル変換とかなんだとかでな」

一方「飛ぶっつゥか空に向かって落ちる感じだけどな」

麦野「私も理論上は一応飛べなくもないらしいけど。飛行機雲みたく軌跡に電子撒き散らしながら」

垣根「むぎのんマジ原子……」

垣根「しかし、名前のケツにンを付けるのは手法としては理にかなってる。悪くねえ」

一方「むぎのン、しずりン、かきねン、ていとくン、しゅのやン、こころン……ほンとだ、それっぽくなってンな」

麦野「かきねんは無いでしょかきねんは、ちんねんかってのよ。どう聞いてもお坊さんじゃん」

心理「一方通行さんは……アクセランかレータンになるのでしょうか」

垣根「アクセランは完全に特撮ヒーローだな。一方戦士、アクセラン! ……ぜってぇいるだろコイツ。主にデパートの屋上とかに」

麦野「レーたんは逆に可愛すぎるしやっぱりアクセランかなー……。なにちょっとアクセランありかもみたいな顔してんのよwwww」

一方「え、いや、なンかちょっとカッコ良くねェか?」

心理「わ、私に聞かないで下さいな!」

垣根「ほら一方ン、心ちゃんに絡んでんじゃねえぞ」

麦野「うわ、一方のほっこり顔気持ち悪いわ」

心理「――――くすっ」

垣根「ほらほら、心ちゃんも笑ってんだろ」

心理「あ、いえ私は」

一方「別に良いだろォ人がどんな趣味してよォが!」

麦野「一方今度服買いに行きましょ服。趣味で思い出したけどアンタのその服いっつもは無いわ。同じかと思わせといて少しずつ違うけど全部似たようなデザインだし」

垣根「ほれ見ろ、前の俺の発言の焼き直しだ。テメェはココじゃマイノリティなんだよ」

一方「ぐっ……、おい、テメェからもなンか言ってくれよ。このシャツだって別にアリだよなァ?」

心理「え、え? いつもこのようなデザインを? ――――とても個性的、ですわね(苦笑)」


一方「」

一方「俺ァ……孤独で一人ぼっちだァ……」ズゥーン

一方「良いンだ良いンだ、いつか判ってくれる奴が現れンだ」

垣根「いつかとか言ってる奴に永遠にいつかは来ねぇよw それより心ちゃん、折角入ってきたんだし何か頼まねえのか? 水しか出てきてねえぞ」

麦野「あー、私もなんか頼むわ。……なにこのオクラのオーブンきってやつ、パッと見明らかにほうれん草みたいね」

一方「麦野さンオクラ食えンのか?」

麦野「別に駄目じゃないけど、なんで?」

垣根「ねばねばが駄目とかぶつぶつが駄目とか、そういう意見も一般的に多いからな。俺も食えるけど」

心理「私はあまり……」

麦野「好き嫌いしてたらあんまり育たないわよ。――――って育ってんのかしら」プニ

心理「ひゃぁん!」ビクッ


垣根「おい麦野、その辺にしとけ」

一方「おい垣根くン、顔にやけてンぞ」

麦野「アンタもね、一方」

心理「もう…………」フゥ


心理(…………現状、こうやって会話を交わす心理的距離ならば、感情の割合比程度の読心であれば気取られる事は無いでしょう)

心理(私という存在がここにいる事に対して、彼らがどのような感情を抱いているのか……)

心理(貴方がたの心を、掌握させて頂きますわよ)

心理「――――――」キィィン

垣根「ま、つまむもんなんか頼もうぜ、ちょっと小腹がな」

麦野「私ポテトでいいや。無難極まりないけど」

一方「蒸し鶏のヘルシー和風サラダってのいってみっか」

心理(第二位と第四位は、警戒は二割以下殆どなし。第一位は……警戒が三割、少し用心深い方ならこの位ですわね)

麦野「あれ、一方がサラダとかどうしちゃったの。サラダが似合わない男選手権優勝候補だったのに」

垣根「今流行の草食男子? の真逆いってるよなコイツ。将来絶対やべえ病気併発して死ぬぜ」

一方「いいンですゥ、反射で体に悪いもンは取り込まないンですゥ」

麦野「うっわ、なにこの近年稀に見る最低野郎」

垣根「それはそうと心ちゃん何か頼む? 腹減ったりとかしてない?」

心理(過剰な警戒が無いとはいえ、深く踏み込むにはまだ――――)


心理「――――あ、私ですか? そ、そうですね、ええと…………BLTサンドにしますわ」

垣根「よしとりあえず頼んじまうぞ」ピッ ピンポーン

心理(先程の反応という事は、私が『心理掌握』であるという事はまだ判っていないようですわね。もし判っていたならば、疑問や猜疑の感情が強く出る筈ですもの)

心理(偶発的な出来事でしたが……、偶発故に足が付くこともなく。私に接触した切欠が第一位である以上このことから私が疑われる事はありえません)

心理(結果としてこれ以上無い状況なのではないかしら……、これならばある程度の接触を重ねた後に彼らに後ろ暗い事が無いか調べる事も容易である可能性が高いようですし)

心理(面倒にも程度がある調査でしけれど、存外早く片付きそうかもしれませんね)


店員「ご注文をどうぞ」

垣根「蒸し鶏のヘルシー和風サラダ一つと、ポテト一つ、BLTサンド一つで。あ、あとドリンクバー二つ」

店員「かしこまりました、グラスはあちらに(以下略」スタスタ

垣根「……そういえば心ちゃんは学校帰り?」

心理「え、ええ。そうですが、それが何か?」

垣根「いやさ、あんま勉強して無いんじゃないのかってさ」

心理「(……!)どうしてそうお思いに?」

一方「どういうことなンだ、垣根!」

垣根「学生なのにカバンが軽そうということは、置き勉かやる気無し勢! つまり、家では勉強してねえという事だろ!」

麦野「はいはいなんだってなんだって。私も昔そうだったけど、カバンあっても正直勉強道具なんか入ってなかったわよ。それでもなんでかいっぱいになってたけど」

一方「俺正直学校行ってねェからなァ。そのへンよくわからンねェ」

心理「……何故お行きにならないのですか?」

垣根「勉強嫌いだからだって」

一方「違ェよ! 今更学校行っても習うような事もねェ、教師共も逆に対応に困るだけだろォしな」

垣根「ま、俺も似たようなもんだがな」

麦野「でも勉強嫌いなんでしょ?」

垣根「判り切ったこと聞いてんじゃねえぞ」

麦野「あ、やっぱり? 私もだけど」

心理(彼らにも、持つ者の悩みや葛藤はあるのですね……)

心理(あと)

心理(勉強が好きでないというのもほぼ万国万人共通の価値観なのかもしれませんね……)


心理「実は私も、余り好きではありませんの」

垣根「ですよねー」

一方「ですよねー」

一方「よし、コーヒーでも取りいくかァ」ガタッ

麦野「私待ってるから垣根お願い。ダージリンね」ヒラヒラ

垣根「ティーメーカーにこんもり盛ってきてやるよ」ガタッ

麦野「めっちゃ濃そうwww」

一方「手之家っつったな、テメェも行くか」

心理「ええ、そうします」ガタッ

少ないかもしれんが今日はここまでです。
前ほど時間は空けないようにがんばるわ、おやすけ

>一方「野に咲く一輪の花を見つけて微笑むお嬢様麦野さン想像してみ」

>垣根「あ、ダメだ。いま花引きちぎって口元歪ませた」

>麦野「テメェら死にたいならもっと直接話法で言ってくんないかな」ビキビキ



素晴らしいやり取りテンポ、この件は本当に素晴らしい

この状況下で、

アレ「問題ない、すべて計画の予測範囲内だ(キリッ」

土御門「……」

とかいうやり取りが交わされてるかと思うと
六分儀さん家の婿養子のマダオさんを見てる気分になれる件について


窓のないビルとかピンセットとか打ち止めとかアウトオブ眼中で
抹茶ラテが置いてあるジョジョを守るために学園都市や世界のすべてを敵に回す
ていとくんと愉快な超能力者&アイテムとか胸が熱くなるな

遅めのダッシュ風呂入ってダッシュ出てダッシュ投下してダッシュ寝ます

ダッシュ出ました

抹茶ラテ、たまーに無い場所があるとショックがやばいよね
では頭を拭いたら投下します

心理(よく考えれば私、このお店に来るのは初めての事でしたわ)

垣根「今日はメロンソーダにすっかな」カラン

心理(緑茶が飲みたいのですが……、これはいったいどのようなシステムになっているのでしょうか)

一方「氷は二つだったか。……それにしても抹茶ラテにしろそれにしろ緑色好きだなァ垣根くン」

心理(ティーパックは無いようですし…………。このケースの中の茶葉を使うとして一体どこに――――まさか直接?)

垣根「そういうテメェはまたコーヒーだろ。何かここ豆いちいち変わるんだよな、やっぱ味とか違うのか」

心理(――あ、この専用カップに入れるのね。茶葉をとるスプーンはこれかしら)カチャ

一方「ちげェよ。違いがわからない垣根くンはコーヒー牛乳でも飲んでなさいってこった」フフン

心理(どのお茶にしましょうか……。うん、最初は煎茶にしましょう)カパ

垣根「炭酸の入ったやつ入れる時、いっぱいにしようとすると二回に分けて入れなきゃいけねえのが面倒くせえな」

心理(…………中に木のスプーンが入っていましたわ)

一方「炭酸ほとんど飲まねェからわかンねェけどな」

心理(気を取り直しましょう。流石にお湯の出し方はわかります、こうやって上に持ち上げれば……ほら出た)トポポポ

垣根「こないだ炭酸水足りてなかったのかメロンソーダの原液ほぼそのままでよ。むせて鼻から漏れそうになったぜ」

一方「未元物質が?」

心理(この位でしょうか。少しおしゃれですわね、コレ。今度探してみましょうか)トポ

垣根「うっせえ。麦野はダージリンだったな、確か」カパ、サッサッ

心理(手馴れていますわね……)

垣根「おゆゆゆゆ~」トポポポポ

心理(――――――!!)

心理(ツマミを下に押しても出るのですか)

心理(――――うん、無知は恥ではありませんわ。無知であり続けることが恥なのです)ブツブツ

一方「おい、突っ立ってねェで戻ンぞ」

心理「はい」シュン

一方「?」

心理「一方通行さん、先ほども仰ってましたけど本当にコーヒーお好きなのですね」

一方「コーヒー飲まねェと手が震えンだよ」

垣根「くッ……静まれェ俺ン右手よ……!」プルプル

麦野「雰囲気出てるわwwwwwwwwすっごい身内ネタだけどwwwww」ゲラゲラ

一方「おい、そりゃ俺ン事かよ垣根くゥン」ビキビキ

垣根「腕を翼に置き換えると俺の事になるんだぜこれ」

心理(煎茶おいしいですわ)ゴク

一方「そういやなンだが、手之家のその制服常盤台のだろ。通ってンのか?」

麦野「超エリートってやつじゃない? しかもお嬢様」

垣根「どおりで麦野とはそもそも喋りが違うんだな。ますわ、とかもし麦野が言ってたら鳥肌もんだろ」

麦野「ブチコロシ確定ますわ」ニヤァ

一方「そこでニコォって笑えねェ辺りが麦野さンの限界だな――――あ、ゴメンイテェ電子飛ばすのやめて」

麦野「」チリチリチリ

心理「え、ええ、一応は籍を置かせて頂いていますわ」

垣根「お嬢様ねぇ。俺が知ってるパチもんと違ってやっぱモノホンはオーラが違ぇな」

麦野「能力はどんなの使えんの? 確かあそこって最低レベルみたいのあったわよね」

一方「確かレベル3の筈だな」

垣根「なんで即答できるんだテメェは。――――――もしや」

麦野「うわ……常盤台マニアとかドン引きなんだけど……」

垣根「オマエ俺に散々年増好きとか罵倒しといて自分は中学生好きかよ。マジで救えねえ……心ちゃんも下心あって助けたんじゃねえだろうな」

一方「垣根くン今すぐ死ねますわ」

麦野「気に入ったの? それ」

一方「ちょっとだけ」

垣根「一方のキモさが半端じゃないますわ」

麦野「アンタらwwwww」

心理(内容が無さ過ぎてよくわからない事になってまs……なってるわ)

垣根「だがエリートで言ったら俺たちも負けちゃいねえだろ。なんつっても学園都市が誇る超能力者が面ぁ並べてんだぜ」

一方「エリートねェ……、そこらの学園の大能力者の方がよっぽどエリートらしいと思うンだがな。俺ら結構好き勝手してンだろ」

麦野「まあそいつらは上目指して頑張るぞーみたいな健全な動機で頑張ってるからね、たまに変なのも多いけど」

垣根「多いのか少ないのかわかんねぇよw まぁ俺達は実験付き合ってりゃ金も貰えるしそこそこは好きに動けるし、な。特別心の底から欲しいものがあって、それが上を目指すことでしか手に入らないってんなら……また別だろうが」

麦野「ま、ある程度上にいるからこそ言える台詞なんだろうけどさ。それでも間違っちゃいないと思うよ。ってことは、垣根は今満足してるわけ?」

垣根「別に不満はねえよ。態々張り切ってまで、んで今あるモン捨ててまで、上目指す理由が少なくとも俺には存在しねえ」

一方「俺に散々絡ンでくれたどの口でそォいう事言うかねェ未元物質くンは。下克上の精神はどォこ行ったんだか」

心理「えっ、猫駆除?」

垣根「馬鹿そりゃぁ…………、別に良いんだよ」ハンッ

麦野「あぁらあらあら、垣根ちゃんは素直になれないお年頃かな?」ウフフ

一方「気持ちわりィ煽り方してンじゃねェぞ……」

心理「」

心理(え……? この二人、ひょっとして……、え、でもまさか――――え? BL(ベーコンレタス)?)

垣根「おーい心ちゃーん、今のはこのおばさんの冗談だからねー、真に受けないでねー」

麦野「あ、あはは、かきねぇ、今のも冗談だよねぇ勿論」

垣根「え? そう聞こえっか?」

麦野「殺すますの」ピカー



一方「手之家は緑茶派なのか? 言っちゃ悪ィがパッと見の印象だとそれっぽくねェンだよ。優雅に紅茶っつゥか」

心理「え、ええ。落ち着いた色合いや味が好きなので」

心理(…………深い心理状況を読み取れるようになったら、この二人の関係もついでに読み取ってしまいましょうか。第一位と第二位の関係……需要あるかしらね)

少し休憩、飲み物取ってくる

TDIM こんな時間なのに読んでくれてありがとなw
続きいくよー

垣根「まあレベル5が三人っつっても別に気後れする事は無いからな、実際。同じ人間だしよ」

心理「(本当は四人なのですけれど、わかるはずも――――)」


麦野「――――いや、四人よね」

心理「――――っ!!!!!」ビクンッ

一本「四人?」

垣根「つまり……どういうことだってばよ……?」

心理(わ、わたくしの正体が看破されている!? そ、そんな、確かにあの時の比率で私が警戒されているということは無かった筈……!)

心理(それとも――――警戒されるまでもなく見通されていたというの、この私が!?)


麦野「あれどうしたのよ心、顔色悪いけど」ニタァ(心理主観

心理(み、見透かされて……)

心理「う、ぁ……。な、なんでもないで――――」ガタンガチャ、ベシャーー

心理「きゃあっ!」

垣根「うおおう! こぼれてるこぼれてる!」オタオタ

一方「垣根くン防水物質防水物質!」ワタワタ

垣根「うなれ、俺の防水物質!」ペカー

麦野「一方アンタもベクトルで水弾かせたりでもしなさいよ! わ、私もなんかした方がいい?」アタフタ

一方「原子崩すんじゃねェぞ! 机が燃えて消えて無くなンぞ!」

店長「どうぞ」スッ

垣根「おお、布巾どーも。……よし、シミになってはねぇな。良い仕事したぜ」ゴシゴシ

一方「あァビビった」

麦野「まあ服にかからなくてよかったって事にしときましょうか」

垣根「あー、一方の激流葬思い出した」

一方「バーストストリーム?」

垣根「それじゃ俺に直撃してんだろ。そしたらテメェ今息してねえぞ。俺がさせてねえ」

心理「と、とんだ失礼を……」シュン

麦野「良いわよ良いわよ。私は何も被害受けてないし……どこまで話したっけ?」

一方「レベル5が四人だな」

垣根「後のレベル5っつったら、三五六七だろ?」

心理「…………」

麦野「ああそれか。いやフレンダが言ってたんだけど、あの超電磁砲もたまーにだけどここのファミレス来てるらしいよ。同年代の友達連れで。だから、正確にはたまーに四人になる、ね」

一方「ダーツマスターが言ってたのか。……俺もよく来るが見たことねェな、時間帯ずれてンのかね」

心理「(……私では、なかったのですか)超電磁砲――――第三位がですか?」ホッ

麦野「そうね。……ああ、心と同じ常盤台だもんね。なんていうか人気あるでしょあの子、出自とか色々あるし」

心理「そう――――――です、わね……。あの方は……」

心理(そう……、私とは、違って)

垣根「弔電時報『アンダーテイカー』……一体何者なんだ……」ゴクリ

一方「いや本当に誰だし」

心理「――――――――」

心理(この方達と話していると気が抜けてしまいますわねえ)ハァァ

麦野「今度会ったら挨拶でもしとく?」

垣根「麦野『ほんの挨拶代わりにこれでも喰らいな!!』 こうか?」

一方「おィ麦野さンレベル5としての品格がたンねェな」

麦野「……原子崩しで電子をパイ状にできないかしら。顔面にこうバボンと張り付いてさ」

垣根「そして辺りに立ち込める肉の焦げる匂い」

一方「ミートパイってレベルじゃねェぞ…………」

麦野「……こーこーろーん、コイツらマジで調子乗ってんだけどー」

垣根「わりぃわりぃ。んで話また戻す兼質問させてもらいましょうか。ずばり心ちゃんって何の能力者よ」

麦野「あ、私も気になってたのよね。常盤台なんでしょ? 使える能力だったりするんじゃない?」

心理「ええと、そんなに大した能力ではないのですが……。レベル3の『間接接触(ウィスパーヴォイス)』ですわ」

心理(偽造認証にそう記載されているだけなのですけれどね)

麦野「『間接接触』? まあ名前だけじゃちょっとわかんないかな」

一方「しっかし能力名だけ見てくとなかなか面白ェ名前も多いンだよなァ」

垣根「例えば?」

一方「木原くン経由で聞いたンだが、『全身爆発(エクスドエンド)』とか『自然現象(ネイチャーメイド)』とか」

麦野「全wwwww身wwww爆www発wwwwwwwなんにつかうのよそれwwwwwwwww」

心理「……どのような能力ですの?」

一方「発火能力者の亜流らしいンだが自分の体ン中でしか能力発現できねェから……使った途端に体がパーン、と予測されたとよ。能力使用を厳重に禁じたっつってた」

麦野「絶対に押すなよ! って書かれたスイッチが常に目の前にぶら下がってるようなもんじゃん……。私なら三日も持たないわ」

垣根「科学の犠牲になったのだ……、もう一つの体に良さそうな名前のは?」

一方「お湯を水にしたりとか……、ま、要は温度操作だな」

心理「便利そうな能力ではないですか?」

一方「放置した時に比べて、沸騰した水が常温になるのが17秒早いらしい」

麦野「oh...自然現象...」

一方「常温の水を沸騰させる、いわゆる加熱は可能かって実験もしたらしいんだが……一瞬でも気ィ抜くと温度が一気に下がるらしくて実験ぶっ続け。周りは周りで感情移入始めたのか頑張れよ! もっと熱くなれよ! のシュプレヒコール」

心理「熱くなれよと言われている方が水を熱く……っく、いえ、笑ってなどいませんわ……」ププッ

麦野「口ゆがんでにやけてるの我慢できてないわよwwww で、結局熱くなったわけ?」

一方「かかった時間は十三時間半。本人は沸騰を見届けた直後に笑顔のまま過労で倒れて病院に運ばれた」

垣根「俺のヘソが茶を沸かす方がはええだろそりゃwwwwwwwww」

心理「不憫な方……」

場面切り替えの都合があるので今日はここまでで良いですか

全然関係ないけど、俺ってば思い込む性格なのかなんなのかコーヒー飲むと寝れないわトイレ近いわ酷いのよね
これって普通なのかな


自分のSSにオリキャラ出そうかと思ってるが能力名とか考えるの大変だよね
俺もかまちーみたいなセンスが欲しいわ

乙!
カフェインには覚醒、利尿作用があるから寝る前に取っちゃ駄目よ~

>>615
そうなんです。能力と名前の意味が一致してないと不自然だもんなww それでいてかっこいいって相当難しい
百円玉を十円玉に変化させる事ができる『劣化交換(グレードダウナー)』とか、機械を介さず音楽CDを読み取り、自前で歌うことができる『赤色光線(ディスクジョッキー)』とか暇な時色々考えるけど、大抵は『俺、疲れてるんだな』で終わるww

>>616
mjdsk(マジですか)。一方さんの寝コーヒーは超ミルク多目にしとかないとな
折角眼が覚めてんだから外伝のネタでも出しとくわww 忠告thx

>>658
デモンズ一緒にやろか

>>659-660

取り合えずまずは、ファランクス先生やっつけるじゃない。そんでもってそっから僕らの火防さんが登場じゃないですか
で、喜び勇んで強化して! 強化して! って言いに言ったわけだよね。もう、そのときの勢いと来たら奴隷兵が裸足で逃げ出す程の剣幕ですよ
そしたら「・・・・・・貴方もソウルの力を求めるのですか?」
どうなんだろww とか思いながらいいえ選択したらなんつーかキョトンってこっち見て、っつーかまあ目開いてないから見てないんだけど、確かにこっち見たわけよ確かに俺の事を
んで、申し訳なさそうに、そんでほんのり嬉しそうに「貴方の事を誤解していました」とか言われちゃったんじゃん

かぼたんってば、これまでも色んな人にソウルの力を与えてたけど、皆が皆ソウルの力に飲まれて我を忘れて死んでいった訳。
勿論かぼたんのせいじゃないんだけど、かぼたんからすればやっぱり自分のせいでこの人たちは死んでいくんだ、って優しいから気に病んじゃうじゃない。
それに、ソウルで力を得るのはデーモン達から奪ったソウルを受け入れてる訳じゃなくソウルを力でねじ伏せる行為。だから、ねじ伏せる力を上回られたら暴走しちゃう。
でも今来てくれたこの人は、違う。この人はあるがままに獣に立ち向かおうとしている。もうかぼたん大喜びだよね。
この人なら、まどろみへと導いてくれるかもしれない。でも、導けてしまうからこそこの人とはずっと一緒にいることは出来ないんだって葛藤とかなんだとか

ってここまで妄想した瞬間俺は画面の前で
「はい! 今後一切ソウルレベルとか上げません!」とか宣言してたわけですよね
そんな僕とで良ければ喜んで

それはそうと絶体絶命都市4がPS3で出るらしいじゃん……テンションあがりすぎておかしくなっちゃうよ俺

長々と悪かったけど、つまりテンションあがりすぎた俺は久々にゴールデンタイムに投下開始しますよっと

垣根「話逸れ出すと止まらねえな……、『間接接触』だったか」

心理「ええ。要するに、離れた場所にいる方へメッセージを送る……実も蓋も無い言い方をしてしまえば念話ですわね」

一方「まあ、ある意味使いやすい能力で良いな。俺は触ンねェと意思疎通できねェし」

垣根「耳元にだけ声を届けるみたいな事ならできなくもねえな」

麦野「え、え? 私? あー、えーと…………文字の形にビームを撃てる、かな?」

一方「ナイアガラかなんかかよそりゃ」

心理「双方向でないのと、能力射程に限界があるのでレベル3となっているらしいのですけれどね」

麦野「……どうせ私はぶっ壊し専門よ。ブレイク工業が天職なのよ」

垣根「電子の扱いをマスターしたらマイナスイオン放出できるじゃねえか。体に良いぞ」

一方「ま、どちらにしろ精神系の能力については俺達全員揃って門外漢だろォ?」

垣根「門前の小僧っても、知識だけじゃ如何ともし難いしなぁ」

麦野「精神系のトップは第五位だよね。会ったことある?」

垣根「ねえよ」

一方「ねェな、そもそも顔も知らねェよ」

心理「私も直接は…………」

心理(鏡越しでしか見たことありませんものね)

麦野「私も無いのよね。同じ学校の心が見て無いとするとさ、女王サマとか言われてるっぽいけど、もしかするとそもそも外に出てきてない説が浮上してきたわ」

垣根「んだよ、引きこもりか。寂しい奴だな」

心理「……い、いえそれはどうでしょうか」

麦野「根暗なんじゃない? でかい派閥の天辺って聞いたけど持ち上げられるだけ持ち上げられて引っ込みつかないとかさ」

心理「き、きっと色々と事情がおありになるのですよ。超能力者だからこその事情だとか……」

垣根「そうかぁ? 俺らも超能力者だけど最近はこんな感じじゃねえか。加えてここにたまに来てるという超電磁砲も友達連れだ、そいつの性格の問題な気はするぜ」

心理「ですがその――――そう、精神系能力者のレベル5は心理掌握一人ですし思うところがあるのでは……」

麦野「心、やけに庇うじゃない。同じ精神系のよしみってやつ?」

心理(私は引きこもりでも根暗でもありませんわ! ……ああでもそうとは言えないもどかしさ)

一方「ハイハイそこらでやめとけ。そもそも外に一歩も出てない説自体が仮説だろォ」

心理「――――!!」

垣根「そりゃそうか。どんな奴だろうな心理掌握」

麦野「精神能力者は有無も言わさず直接ハジかれたら終わりだしねえ……、それで隠れてるんだろうけど」

心理「一方通行さん…………」ウルウルウル

一方「まあでも女王サマとか言われてンだろ? どっちにしろマトモな人格者とは思えねェけどな」

垣根「女王サマとかドSだろ完全に、人踏んで高笑いしてる感じかよ」チラッ

麦野「おいコラ、なんで今私を見た」ビキ

心理「」

一方「……どうしたンだよ手之家」

心理「なんでもありませんわ!」プイッ

一方「?」

心理(引きこもりじゃないもの。そう、引きこもりなんかじゃないもの)

店長「お待たせいたしました、蒸し鶏のヘルシー和風サラダのお客様」

一方「ン」

店長「フライドポテトのお客様」

麦野「はーい」

店長「BLTサンドのお客様」

心理「私です」

店長「以上でご注文おそろいでしょうか?」

垣根「ああ、大丈夫す」

店長「かしこまりました、それと先程は妙な連中の処理をお任せしてしまい申し訳ありませんでした。加えて感謝します」

垣根「さっきの……? ああ、一方と心ちゃんのか」

店長「お礼と言ってはおかしいですが、こちらサービスとさせて頂きます」スッ

麦野「あ、ピザにイカだ。良いの?」

店長「この位しかできませんが。今後も当店をご贔屓にお願いしますね。ではごゆっくりどうぞ」スタスタ

一方「別に良いのによォ……、しかも律儀な上にしっかり宣伝していきやがった」

麦野「抜け目無いわよねあの店長。何者かしらねえ」

垣根「店長は店長だろ? それよりこのピザ……テリマヨピザってやつか。イカはイカだな」

一方「毎回頼んでるからな、イカ。マヨネーズまで最初っから付いてるし覚えられてンじゃねェの?」ハハッ

麦野「こういうサンドイッチ系の切り方とか作り方で、キッチンの忙しさとか適当さとかわかるのよね」ツンツン

垣根「この店は基本丁寧じゃねぇの? 当たりってこったな」

心理「よく見たらBLTサンドとフライドポテトでポテトが被ってしまいましたわ……」

一方「被ってしまいましたわ! やっぱ言うよなァソレ! 礼儀っつゥか様式美っつゥか!」

心理「え? な、なんのことですの?」

一方「…………素かよ」ハァ

垣根「一方がマジョリティな所見たことねえわ」

麦野「中二病なんでしょ? マイノリティ(笑)」

一方「しつけェますのクソッタレますの」

麦野「あ、思い出した。心来てて聞きそびれたけど、一方アンタ絹旗とはどうだった?」

一方「ン? あァ、前よりは進歩してンじゃねェか。相変わらず長さは小指程度だが、今に親指よりはマシになるかもな」

心理「どちらさまですか? その絹旗という方は」

垣根「ああ、麦野の知り合いだ。それがたまたま一方に縁あったらしくてよ、ちょいちょい麦野経由で会ってたんだが能力の訓練に付き合う話になった……んだよな?」

一方「大体はな、負い目も無い訳じゃねェし丁度良いっちゃ丁度良かった」

麦野「一方も難儀な奴よね、アンタが何かしたわけでもないのに」

一方「そっちから頼ンどいてその発言おかしくありませンかァ!? ……まァこっちの話だ、気にすンな」

心理「そう、ですか。それなら……」

垣根「アイテムの方はどうなってる?」

心理「アイテム?」

一方「麦野さンファミリーな。一種の派閥みたいなもンだろ?」

垣根「まあ間違っちゃいねえな」

麦野「今んとこ特に危ない橋渡る理由も無くなったし、八割がた閉店休業。つっても危なくなさそうなのをちょくちょく受けてるけどね。……ただ規模変えたせいでバックアップもガクンと減っちゃったから雑用とか色々面倒くせーんだよねぇ」

一方「雑用っつゥと?」

麦野「車の運転とかフレンダとか私がが使う道具の用意とか情報収集とか色々? 自前でできなくもないけど全部やるっつーと色々しんどいんだわ」

心理「誰かを雇ってみてはいかがでしょうか?」

麦野「ま、垣根とか一方使っても良いんだけど。今度アンタら手伝いなさいよ」

垣根「えー……面倒くせぇんだけど。そもそも俺車の運転できねぇし」

一方「道具っつゥとあの物騒な着火テープかよ。ホームセンターに売ってるようには見えねェな」

麦野「ま、ほんとに困ったらお願いするからそん時は、ね」

垣根「おーう」

一方「ン」

垣根「最近は何の仕事してんだ?」

麦野「輸送付き添いとかの護衛ばっかかな? ATMの現金輸送手伝った時は楽しかったけど」

一方「まァ麦野さンが勝てない奴なンざ、ざらにはいねェだろうし平気っちゃ平気だろォが」

心理「現金輸送はわかりますけど、他にも何を輸送しているのでしょうね。何かの研究とか……」

麦野「あ、思い出した! こないださぁ、なんかどっかの研究所経由で依頼が来て輸送手伝ったんだけど。聞いた話だと中身がなんと『ピンセット』だったんだけどwwwww」

垣根「……えー、あの物を掴むこういう?」クイクイ

麦野「それそれ」クイクイ

心理「何故そんな物を態々護衛までつけて……」

一方「なんか超色々機能ついてンだろ? 百倍の力で物をつかめるとか」

麦野「何掴む気よそれ。全部押し花みたいにペッタンコじゃんw」

垣根「アレだな、超磁力で触らずに物が掴めるとか面白そうだろ」

一方「天狗じゃ! 天狗の仕業じゃ!」

心理「でも何か凄いものだったんでしょうねぇ……護衛が付くピンセット」

一方「で、麦野さンは車ン運転できンのか?」

麦野「多少操作ミスしたり多少事故ったりするのに目を瞑ればできるよ」

心理「それ以外にどこに目を瞑るのですか!?」

垣根「っつっても、運転手雇って事故りでもしたらそいつの命が事故んだろ」

麦野「あったりまえじゃん垣根ぇ、世の中にたぁぁくさんある死ぬより恐ろしい事を順繰りに楽しませてあげるつもり」

垣根「おお怖え、あんま麦野怒らせてっと後がやばそうだな」

心理「学園都市第二位にも怖い物はあるのですか?」

垣根「そりゃあるだろ、人間が恐怖を感じるのは生命の危機だけじゃねえんだからな。今は抹茶ラテが一杯怖い」

一方「自分で取り行けカス。……まァ俺もそォいう意味だと木原くンとかこえェな」

心理「そういえば先程も木原さん、という方出てこられましたわよね。どなたですの?」

麦野「一方の保護者。一言で表すなら、パッと見がチンピラなのよね。……いや、チンピラ束ねてる大ボスって感じかしら」

垣根「一方の育て親だからな、まあ一方に似てたな色々とよ。いや似てんのは一方か」

一方「そォかねェ……、あそこまでとは言わなくてもガタイの良さには憧れンな」

垣根「テメェはもっと運動しろモヤシ(地声」

心理「……一方通行さんの肌、本当に真っ白で綺麗ですわね。女としては複雑ですがうらやましいですわ」

麦野「うっわ、ちょっと一方腕貸してみ」グイッ

一方「な、なンだよ」

麦野「心もごめんねー」グイッ

心理「な、なんですの?」


麦野「………………」シゲシゲ

麦野「太さ一緒なんだけど……」



一方「」
垣根「なん……だと……?」
心理「――――えっ?」

麦野「精神系能力者の女の子と腕の太さが同じの第一位って(笑)」

垣根「明確な比較対象が現れて尚更際立つ一方のモヤシ具合であった」

心理「あ、あの、能力が能力なので仕方が無いのでは……」

一方「そォ、そォだよなァ! うン、好きで肌白い訳でもねェしなァ」フフン

垣根「能力で言やあ俺もお前に出来ることは大よそだが出来るぞ。しかし刮目しろ、この上腕二頭筋」ムキッ

麦野「言うほど凄いわけでもないけど、一方と比べるとマッチョに見えるわ」

垣根「俺はたまに筋トレするからなあ。どっかの第一位とは違って」

麦野「かいわれ(裏声)」

一方「」

一方「死ぬ」

心理「い、一方通行さん落ち着いて」アセアセ

ワイワイガヤガヤ


麦野「――――――あれ、もうこんな時間じゃない」

垣根「今日はこんくらいにしとくか? 晩飯時だが、ちょっと俺見たいテレビあるしな」

一方「ン……そォだな、今日は帰って木原くンと飯食うかァ」

麦野「そう? うーん……私はどうしようかな、心はこの後何か予定ある?」

心理「申し訳ないのですけれど、門限がありますの」

麦野「あ、そっか鬼ババァがいるんだっけ。そりゃ無理して誘えないわね」

垣根「んじゃ出っか。心ちゃんごめんな、今日はこれにてお疲れ様ってやつだ」

心理「いえ、とても楽しい時間が過ごせました……。こちらから感謝したいくらいですわ」

心理(――――そう、こんなの久しぶり……。……ううん、初めて? でも……これも本物では、無いのですわね)

アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー


麦野「うーん、外はむしあっついなーこの季節」ハァ

垣根「冷房物質でヒンヤリ」ヒヤー

一方「熱ベクトル操作で快適」ヒヤー

心理「不平等ですわね、世の中って」ムシー

麦野「…………電子冷却ってどういうシステムだったかしら」バチバチバチ

一方「手之家は家どこだよ、送ってってやろォか?」

心理「いえ、寄るところもありますし……、ここで結構ですわ。皆様、今日はお邪魔してしまい申し訳ありませんでした」

垣根「そうか? なら気をつけて帰れよ」

麦野「邪魔なんてとんでもなかったわよ。私達あの位の時間あの席のとこによくいるから、外から見えたりしたらまたおいでよ」

垣根「お、麦野良いね。どうせ下らないこと話すばっかで大した事もしてないから良かったらまた、な」

心理「…………よろしい、のですか?」

麦野「よろしいもなにも大歓迎よ。今日は三人だったけど、もっと多い事もあるんだ。私の友達連中にもこころん紹介したいしさ」

垣根「そうそう、遠慮する事なんかねえよ。なあ一方?」

一方「……ま、アレだ。人が多い方がにぎやかでいいしなァ」

心理「…………」

心理「ありがとう……ございます。では、またお会いしましょうね」


垣根「おう、じゃあな」スタスタ
一方「ン、またな」スタスタ
麦野「またねー」スタスタ

アクセラアイスオゴッテヨー
ナァンデオレガオゴンナキャイケナインデスカァ
アーイースターベーターイー
カキネクンテメェハキモイカラ
ワタシハカワイイッテ?
イッテネェシ




心理(……にぎやかな方たちでしたこと)スタスタ

心理(今日接触した限りでは何か不穏な空気はありませんでしたが……、一度の接触で尻尾を見せるほど与し易い方々でもないでしょうし)スタスタ

心理(今後何度か今日のような接触を繰り返す内に、探ることが出来れば重畳でしょうね)スタスタ

心理(原子崩しもいつでも来ていい、とは仰っていましたが多少は社交辞令も含まれているでしょうし。いきなり明日行くのも警戒されるかもしれませんね……)スタスタ

心理(明後日……いえ明々後日にでも行ってみることにしましょう)スタスタ

心理(それまでは出来うる限り察知されない程度の情報収集だけで十分ですわね)スタスタ   クルッ

心理(…………尾行の気配は、無し。ひとまず疑われてはいないと見て良いでしょうね)

心理(…………)スタスタ

心理(ホッとしているのかしら、わたくし)

今日はここまでです、一区切り
明日か明後日も投下できると『良いなぁ』と、予防線を張りつつ今日もありがとうございました
じゃあゲームしてきます

激流葬、ブレイク工業

ここの>>1とは仲良くなれる気がする

未元物質でマネキンつくって一人悲しく友達ごっこしてる第二位を思いついた


泣いた

>>679
仲良くしようぜ

正体を明かすのかどうか、楽しみに頼むぜ

>>684-685

?「」クイクイ
垣根「とうとう自由に動けるようになったか。俺の未元物質に常識は通用しねぇ。通用しねぇが……俺の常識も通用しねぇのは困りもんだぜ」
?「」クイクイクイ
垣根「ああ、どうした? 袖なんか引っ張りやがって」
?「」ポンポン
垣根「……相変わらず無表情なにやけ面だぜ、ったく。……どれ、折角動けるようになったんだ、名前でも付けてやるかな」
?「」パタパタ
垣根「そうだ、テメェの名前だよクソッタレの子猫ちゃん。ダークマターだから……ダークマター……クマター……クター……」
?「」テケテケ
垣根「よし、テメェの名前はクターだニヤケイタチ。嬉しいかったら飛び跳ねても良いんだぜ?」
クター「」グデー
垣根「寝ッ転がりやがった……いっちょまえに気にいらねえか? オラッ」ビシッ
クター「」ピタッ
垣根「――――お、おい。デコピンしただけで固まりやがった……どうなっt」
クター「」ぷい~
垣根「うおぉっ!?」ビクッ



今夜一回投下するンだよ

クターって猫っぽいキャラのフリーゲームあったな

垣根「できたぞ!未元物質で造った人形…名付けて未見友達!」

垣根「俺に常識は通用しねえ!」

垣根「………」

垣根「俺の友達に常識は通用しねえ!」(裏声)

垣根「…………」

垣根「友達欲しいな…」

→スレタイへ

こんな流れかと思った

未元物質は本当に何に使えるんだろうね
俺もちょっと使ってみたい。

風呂入ってきて上がったら投下しまんもす

ただいまんもす
食べれたら栄養になるのかな……もしなってたとしても、上条さんに触られたら……ゴクリ
もしオナホ作ったら、未元物質の中に未元物質ぶちまける事になって未元物質反応起こして未元物質がおかしくなって死ぬ

投下します

~~~


能力区分レベル5、そして心理掌握という名称は誰でも無い自分自身という個人に与えられた識別だった。

そしてその能力を手に入れた瞬間から、彼女はひたすら孤独と戦い続けてきたのだ。

精神を捻じ曲げられるとは、自己の意思を王として崇めている『人間』にとって、ある意味死よりも恐ろしい事である。

これまで『己』として認識してきた自我の崩壊の引き金にも成りかねない、そう目されている彼女の能力は、人が人たる所以を犯すが故に単純な殲滅に長けた能力よりも恐れられる側面を持っていた。


だから、彼女はいつも一人だった。

精神に異常をきたさなかったのは奇跡とも呼ぶべき僥倖だったろう。

しかし、だからといってその事実は彼女を癒してくれた訳でもない。

>>696
ていとくんの能力は「未元物質」の引き出しと操作だから、
上条さんに直接触られれば出せなくなるし、飛んできた物質そのものによる攻撃とかはできないかもだけど
一度性質を持たされた物質自体は消えないんじゃないかな、と俺は俺は>>1に対して恐れ多くもマジレスしてみたり!

昔、まだ心理掌握が幼かった頃。己で生きる術を持っていなかった頃、彼女はそれほど珍しくも無いタイプの精神系能力者だと目されていた。

しかしそもそもの方向性として、精神系能力者はその希少性から宿命的に重度の開発を施される。それでも尚もって、彼女の能力は実用に耐えるものではなかった。

否、正確には少し異なってはいる。彼女は能力が酷く安定していない精神系能力者だったのだ。

読心、感応、操作等、あらゆる分野に対して少しずつ能力を発揮し、それが殆ど役に立たないレベルの内にある、不安定な存在だ。

研究所も持て余し気味だった少女、心理掌握は幼心に自分が周囲の大人にあまり良い目で見られていないという事がわかっていたのだろう。

開発や研究の合間に他の開発対象と一緒くたに纏められていた一室にて、彼女はいつも部屋の片隅で一人膝を抱えて縮こまっていた。

能力さえあれば、自分は幸せになれるのだろうか。そんな彼女の無意識下での仮定は、片方のみが現実のものとなる。



彼女は、能力(ちから)を手に入れたのだ。


~~~


心理(――――ふぅ)

心理(あの時、あの方々と別れてから今日で三日目)

心理(その間の報告によれば直接的な動きは殆ど無し……、集まってしていることといえばただただ遊んでいるだけ)

心理(本当にただの学生達のような行動ばかりしていますが……、まだ油断する訳にもいきませんわ)

心理(以前考えた通り、今日は私が向かう日ですから監視は要りませんわね)

心理(…………)

心理(さあ、向かうといたしましょう)

心理(………………)テクテク

心理(……あついですわ)テクテク

心理(私も冷房物質の一つや二つ使えれば良かったのに……)テクテク

心理(そうですわ。こんな――――このような能力等ではなく……)テクテク

心理(仮定の話をしても詮無きこと)テクテク

心理(だとしてもあついですわ……自然現象の方が頑張っていらっしゃるのかしら……)グデー




心理(ようやくファミリーレストランに到着、あの方々は……いつもあの窓際の席に座っているならここから見えるかしら)ジーッ

心理(…………あの室内灯を反射する白金の髪は一方通行で間違いないでしょうね)

心理(とりあえず参りましょう。三日越しの再会へ)スタスタ



男A(――――――っ!)

男A(あのガキはこないだの……)

男A(…………)ピッピッ プルルルルル

男A「――――ああ、俺だよ。……いや、ちょっと頼みと良い話があんだけどよ」

店員「いらっしゃいませ、一名様でよろしいでしょうか?」スタスタ

心理「ええ、でも知人がいますの」

店員「かしこまりましたごゆっくりどうぞー」

心理「……」スタスタ


心理(一方通行だけが座っていますわね、ケータイでメールでも打っているのかしら。未元物質と原子崩しはどちらに……)

心理「相席、よろしいでしょうか」

一方「ン……、テメェか。構わねェぞ」カチカチ

心理「ふふっ、では失礼しますわ。……垣根さんと麦野さんは今日はいませんのね」

一方「垣根くンは道歩いてたら隕石に当たって麦野さンは大地震に巻き込まれ地割れに落ちちまったァ」

心理「???」

一方「……何でもねェ。ま、今日はアイツらは来ねェよ。さっきまでダーツ・マスターがいたンだが買い物行くとかでどっか行った」カチカチ パタン

心理「ダーツマスター? 未元物質(ダークマター)とは違いますの?」

一方「違うますの。ダーツ神な、ダーツ神」

心理「ダーツ神……と、言うことはダーツがお上手な方なんでしょうね」

一方「ヤバかった。両手投げとか三本投げとかなんつゥか精度とか雰囲気が違った。殺し屋の投げナイフとかのが近ェ」

心理「……私の脳内で随分と物騒な人物像が出来上がってきているのですけれど。太い眉毛とか角刈りの頭とか」

一方「それ、間違いなく後ろに立ったらぶン殴られンだろうな」

フレンダ「ハーックション!!」

フレンダ「――――うぅぅ、ここってばクーラー効きすぎじゃない?」ズズッ

フレンダ「それとも誰かに噂話でもされてるのかしら」

フレンダ「…………」

フレンダ「全然関係ないけど、私ってばダーツが上手い訳じゃなくて投擲が上手い訳よ」

フレンダ「能力メインで戦えないけど戦闘要員とか遊撃担当だった以上、投げナイフとか遠距離着火とかする必要に迫られてって感じなのよね」

フレンダ「…………」

フレンダ「とかいきなり説明染みた事を口走ってみちゃったりなんだったり……」



マダムA「あらちょっと見てよ奥様、あそこの女の子さっきから一人でぶつくさ言ってますわよぉ」ヒソォ!

マダムB「あらやだ気味が悪いわぁ、頭の可哀想な子かしらぁ」ヒソヒソォォ!

一方「まァ残念だったな」

心理「何がですか?」

一方「折角来たのに俺しかいなくて残念でしたァ」

心理「まあ前もって示し合わせた訳でもないのですから。仕方がありませんわ」

一方「どォすンだ? 俺ァまだ暫くここで時間潰す予定だが」

心理「折角来たんですもの、私も暫くご一緒させて頂いても?」

一方「りょォかい、なンか頼むか?」

心理「……今は飲み物だけで大丈夫ですわ」

一方「ン……」ピッ

心理(一人相手の方が、一つの話題に突っ込みやすいというのもありますもの、ね)

店員「かしこまりましたー、グラスはあちらにございますのでご自由にどうぞ」スタスタ

一方「うし、俺もコーヒー切れたとこだァ。汲み行こォぜ」ガタッ

心理「……ええ、そうしましょうか」ガタッ




一方「アイマシンカートゥートゥートゥートゥトゥー」カチッ ゴリゴリゴリ

心理「この間も仰っていましたけれど、コーヒーがお好きなのですか?」

一方「ン? おゥ、大好きだァ。好物らしい好物でコレってのはねェけどコーヒーだけは別格だァな」

心理「何度かは飲んだ事もありますが、あの苦さがどうにも……。正直なところ何が美味しいのか理解しかねますわ」

一方「ンー、そォだなァ。やっぱ味の好みとかは人それぞれだしな、苦いのがいやならミルクと砂糖を山盛れば随分と良くなるだろ」

心理「そこまでしてしまっては、もう別の飲み物ではありませんこと?」トポポポポ

一方「いや、それは違ェ。コーヒー牛乳とカフェオレは同じ比率で作ってたとしても飲む側がそォ思えばそりゃどっちかなンだよ。他人がどォこォ口出そうとな」

心理「……自分だけの現実の原点ですわね」

一方「うし、戻ンぞ」スタスタ

心理「ええ」スタスタ

一方「コーヒーうめェなァ……」ズズッ

心理「玄米茶は、このなんというか香ばしさが気に入ってますの」ズズッ

一方「香ばしさは大切だろ、コーヒーも香ばしさありきだしよォ」

心理「先日もコーヒーでしたものね」

一方「飲まいでか。しっかし垣根くンなんかコーヒーなんか全部同じとかふざけた事抜かしやがってよォ」

心理「垣根さんは甘党、でしたわよね」

一方「抹茶ラテマンな。あンまり言うからアメリカンコーヒーとブレンドコーヒー飲み比べさせたンだ」

心理「なんと仰ってました?」

一方「『どっちもにげえ』、ンなの当たり前だろォが。ただ薄いだけがアメリカンじゃねェンだからな」

心理「私も造詣が深い訳でもありませんからコメントし難いですわね」フフッ

一方「おィおィ……。ま、いいけどよ。手之家のダチにコーヒー好きとかいねェのか?」

心理「え、ええ。私の知人にはそういう方は……」

一方「ま、常盤台のお嬢様学校だもンな。コーヒー好きなんてシブいのそうそういねェか」ズズッ

心理(そもそも――――仲の良い友人がいませんものね、私には)

男Aさんに合掌しつつ支援

一方「…………」ズズッ

心理「…………」ズズッ

心理(監視対象や標的という見方をしていたから意識していませんでしたが……)

心理(良く考えれば殿方と二人きりでファミリーレストラン、というのは……)

一方「おィ」

心理「」ビクッ

心理「どど、どうか致しましたか?」

一方「いやどォか致したのはテメェの方だろ、一人で百面相しやがって」

心理「ひゃ、百面相……?」カァァ

一方(やっぱ百面相だなァ)

心理「そういえば……」

一方「ン?」ズズッ

心理「一方通行さんは、以前からこんな風にファミリーレストランにお一人で?」

一方「そォだなァ……、どっちかっつゥと俺ァ暇な方だからな。コーヒー空き缶で一回部屋埋めてから木原くンに怒られてよォ」

一方「そっから喫茶店に行ったり色々……、まあファミレスはここに良く来てた」

心理「最近はもっぱらこちらですの?」

一方「垣根くンとか麦野さンとかダーツマスターとか絹旗とか……、まァ騒げるかンな」

心理「そうなのですか……、私は普段あまりこのようなタイプの店には来ないのですが、様々な種類等あったりするのですか?」

一方「前垣根くンに連れてかれたスタバで見たが基地外じみた種類だったぞォ……、注文が既に記号化されてて意味わからンわありゃ」

心理「あら……、一方通行さんは何をお頼みに?」

一方「圧倒されてたからなァ。垣根くンに任せたらコーヒーフロートの親分みてェのが来た。垣根くンはなんちゃらフラペチーノのとかだったな。なンだよフラペチーノって、アルパチーノかよ」

心理「あら、アルパチーノご存知なのですか? 実は私、あの方嫌いじゃありませんの。とはいっても、映画のイメージしかありませんけれど」

一方「お、ゴッドファーザー見たことあンのか。味方と決めた奴は死んでも守り、敵と決めれば死ぬまで殺す。まあ偶像的なダークヒーローの一種だろォがそういうもンとして見りゃカッコイイな」

心理「一般人の方からみれば、何か芯の通った悪党というものは潔いものに見えるのでしょう。命のやり取りから離れた世界では、命の重さも測れないでしょうし」

一方「おィおィ、手之家は一般人じゃねェとでも言いたげだなァ。……あー、常盤台の派閥っつっても下っ端同士はそンなでもねェんだろ?」

心理「え? え、ええまあそうですわね」

心理(身内の内心が判るが故に、信じきることができない……。そんな思いをせずにただ相手を信じる事ができるのは幸せなのでしょうか……)

心理「フラペチーノの話でしたわね。実は私それも飲んだことありませんわ、聞いた事だけならありましたけれどね。おいしかったのですか?」

一方「ありゃ飲みもンじゃねェな、デザートだった」

心理「デザート?」

一方「クリームでゴテゴテだった、砂糖舐めてるみてェだった、コーヒーの味なンざしたもんじゃねェ。……普通であれなら甘めの奴とか考えるのも恐ろしィ」

心理「ふぅん……、そうやってお話を聞いているとやっぱり興味が沸いてきますわ」

一方「しっかし手之家も大層な箱入りっぽいなァ、あンま夜遊びとか出歩きとかしない口だろ」

心理「機会が無いとそのようなことはあまり……、一方通行さん達が羨ましいです」ズズッ

一方「……じゃあ今度行くか?」

心理「――――えっ?」

一方「垣根くンも喜ぶだろ。そういや絹旗とかも甘いもン好きだっつってたから連れてってもらや良い」

心理「え、そ、そうですわよね!」

一方「ァ?」キョトン

心理(夜遊びな訳ないじゃない……わたくし疲れてるのかしら)

心理「でもあの、良いのですか?」

一方「今更だろ。そもそもテメェ呼んだのは麦野さンや垣根くンだ、会っといてこのままさよならじゃ俺がぶン殴られる」ヒラヒラ

心理「…………」

一方「あ、いや、駄目なら別に良いンだが」

心理「…………貴方は」

一方「ンン?」

心理「一方通行さんはいらっしゃらないのですか?」

一方「さっきも言っただろォが、俺は甘いもン苦手なンだって……」

心理「なら甘くない物を頼めばよろしいですわ。それに、あと一つ」

心理「直接誘って下さった方がいらっしゃらないなんて、私とても悲しいですもの」

一方「そォか?」

心理「そォです。だから来て下さいな」

一方「…………にてねェ」

心理「ふふっ、残念」

なるほど、ロリ担当はこころんになるのか


なるほど、なるほど

一方「そォだ。ケータイのアドレスとかまだ教えてねェし教えて貰ってねェだろ。麦野さンがこないだ騒いでてなァ」

心理「あら、そういえばそうですわね」

一方「やっぱ麦野さンも女だからかメール早いわ多いわ疲れンだよな……」

心理「も、なんて言っているのを聞かれたら怒髪天を衝くのではありませんこと?」

一方「たーしかに。も、ついでに言っとくと垣根くンもメール長ェんだよ。オシャレ系気取ってっとなのかなンなのか知らねェけどなァ……、ああ今のオフレコな」

心理「麦野さんも垣根さんもきっと一方通行の事がお好きなのでは?」

一方「悪ィ気はしねェけどメールって面倒くさくねェか……?」

心理(さりげなく混ぜた『垣根さんからの好意』という単語をさらりと流すなんて……もしかして本当にひょっとすると……)もんもんもん

一方「おォい」

心理「――――――はっ」ビクッ

心理「と、とりあえず黙っておく事は貸しひとつですわよ?」

一方「ケッ。あ、こっちから麦野さンと垣根くンのも送信しちまうぞ。アイテムの分は麦野さンに貰ってくれ」カチカチ

心理「え、ええ。こうです、わよね」カチカチカチ

一方「……ゥし、俺のいったか?」

心理「ええと……大丈夫ですわ」カチカチ

一方「なら続けていくぞォ」カチカチカチ

一方「よし、これで良いなァ。もし会おうと思う時とか何かあった時やらにメールか電話くれりゃ良い。大抵暇してンからな、俺に限らず」

心理「ええ、では早速麦野さんと垣根さんにメールでも……」カチカチ

心理(ダミーの友人のアドレスではない、初めての知人のアドレス……。垣根さん、麦野さん、それに一方さん。このような人との繋がりも悪くは無いわ)

心理(なんだか少し気分がふわふわしますわね。何故かしら……)


一方「――――――ハッ」

心理「どうかなさいました?」

一方「……さっきも言ったがどォかなさってンのはテメェだよ。今度はいきなりやけに良い笑顔じゃねェの」

心理「わ、わたくしがですか?」

一方「そォだよ。あァ、コーヒー取ってくる」ガタッ

心理「…………」

心理「…………笑顔?」




ワイワイガヤガヤ




一方「いやこないだ言いそこねてたが絶対ありゃおンなじ物だって。あのバンバンジー的な鳥肉は完全におンなじだった」

心理「なら今度私も食べさせて頂こうかしら……ヘルシー和風サラダの鶏肉とやらを」

一方「味自体もおいしかったしなァ。ありゃ俺的にはアタリって奴だ。……ン、もォこンな時間かよ」

心理「あら……、随分あっと言う間に日も沈みそう。秋でも無いのに釣瓶落としなんて」

一方「今日は何も言ってねェから木原くンも飯作ってンだろうしな。お開きにすっか」グイッ ズズッ

心理「そう致しましょうか。私も門限がありますし」

一方「なンか飲み物って最後に飲みきりたくならねェか?」

心理「不思議とそんな感じはしますわね」

一方「あ、やっぱりィ? 俺も」




アリガトウゴザイマシターマタオコシクダサイマセー



心理「今日は垣根さん達には会えませんでしたが、とても楽しかったですわ。少し名残惜しいくらい」

一方「送ってくか?」

心理「そんなに気を使わなくてもよろしいのに」

一方「ま、一応な。社交辞令って奴だろ、木原くンが言ってたし」

心理「随分と紳士な方ですのね、木原さん。一度お会いしてみたいものです」

一方「紳士ィ? 木原くンがァ!? そりゃねェな」

心理「ふふっ。ではここで失礼しますわね、ごきげんよう」

一方「ン、ごきげンよう。またな」ヒラヒラ



心理(本当にあっという間でしたわね……、今日の進展は一方通行さんにお近づきになれた事だけでしょうね)スタスタ

心理(それでも悪くは無い気分ですけれど。なんだかとても良い気分)スタスタ

心理「………………」ピタッ

心理(………………ふぅ)

心理(続かないものですわね――――良いことって)ピタッ



心理「…………何の用でしょうか、先日の非礼を謝罪しに来たのかしら?」

男A「――――っ!」

男A(気付かれてたのか……? まあ良い、こいつがただの念話能力者だっていう裏は取れてるんだ……路地裏にさえ連れ込めれば何とでもなる)

男A「あぁ、そうなんだよ。だから悪いけどちょっとこっちきてくんねえかな、ここ人多くて恥ずくてな」

心理「――――――――」キィィン

心理「……ええ、そうですか。私この後用事がありますので、できれば手早くお願いしたいのですけれど」

男A「ああ、早く来てくれれば早く終わるよ。あの時一緒にいた奴らもいるから」

心理「あらあら、殿方大勢に小娘一人では何をされるかたまったものではなさそうですわね」
男A「そんな事しねえよ、とりあえずこっちな」スタスタ

心理「――――――はぁ」スタスタ

男A(何を考えてるのか知らねえが無理やり連れ込む手間が省けたな。……常盤台はお嬢ばっからしいが頭もユルいもんかねぇ)ニヤリ




心理「で、いつまでこんな路地裏を歩かせますの? 私は急いでいると言った筈ですが」

男A「おいてめぇら、連れてきたぞ」


ゾロゾロ


男B「え? マジ? ほんとに来たの?」

心理「下婢た笑い顔を見るに、謝って頂けるという予想は誤りだったのかしら」

男A「こないだはテメェにぶつかられた性でフルボッコボコだよ。クソメスガキが、一人で歩いてたのが運の尽きだ」

男B「いやごめんねー、あんだけ恥かかされてイラついてる所に見つけちゃうんだし、こんなとこまでホイホイ付いて来ちゃった君が悪いからしょうがないよねww」

男E「コイツ? なんや、エエ感じの子やな。ヤッてええん? こんなん」

男B「いいのいいの、その為に俺ら呼ばれたわけだし?wwww」

心理「折角の余韻が――――――台無しですわ。貴方がたのような下種のせいで」ギリッ

男A「ア? 今なんつった? まわり見てもの言えよクソアマァ……、調子こいてっとどうなるか判らせてやろうか?」ビキビキ

男C「調子こいてなくても判らせる癖に何言ってんだよw」

男D「こんな上玉前にいつまでお預けさせる気だ、はやいとこやっちまおうぜ」

心理「――――お黙りなさいな」

男E「やけに威勢良い嬢ちゃんやな。好みやわぁ」

男A「頭よええのかこいつ」

心理「あなた達こそ少しは反吐以上のものを口から吐いて頂けます? 正面から相対しているのも煩わしい」

心理「これ以上臭い息を帯びた声を浴びていたくないのではっきりと言いましょう」

心理「私が折り紙を付けて差し上げますわ、この下種共。今すぐ消えなさい」


男達「」ビキビキビキビキ

男E「……もう泣き言いうても遅いで。俺実はレベル3の発電能力者やねん」バチバチッ

男B「男Eさん殺さないで下さいよwww死体とヤんのはちょっとwww」

男A「はっ、その偉そうな上の口を今すぐ塞いでやるよ」ザッ

男C「おい何発か殴っとけよw 抵抗されて千切られたら洒落になんねえってww」

男E「ちぃっとシビれさせりゃ大人しゅうなるやろ」ザッ

心理「あなた達に配慮は必要ないわね」ハァ

男D「はい動かないでねぇ、当たり所悪いと死んじゃうかもしれないからね」ボキボキ

心理「……低俗。あなた達こそ『動かないで』」キィィン

男A「―――――あれ?」グッ グッ

男D「う、動かねえ」

男B「ちょwww能力者とか聞いてねえぞwwww」

男E「あ、あの能力はまさか!」

男C「知っているのか男E!?」

男E「いや、知らへん」

男C「さいで」


心理「……人の体は、意思で動く」

心理「精神の意思も肉体の意思も、そのどちらをも掌握する術があれば人の動きを止める事など容易い事」

心理「実は私、お礼参りに来ましたの。貴方達のお陰であの方々にお近づきになれた、感謝していますわ」ニコッ

男D「ふざけてんのかァ! 何しやがったテメェ!」

心理「一度目は終わりですけれど、それともう一度お礼参りをしなければなりませんわね。今一度申しますと、あの方とのおはなしの心地よい余韻が貴方達のせいでまるで台無し」

男E「体が動かんでもなぁ……、電気は飛ばせるんやぞクソアマァ!」バチッバチバチバチ

心理「そう、なら『どうぞお好きなように』」キィィン

男B「ちょwwwwwなんで俺の方あばばばばばばばばばばばば」ビリビリ

男C「うあああばばばばばばばばば」ビリビリ

男D「テメェなにしやがあばばばばばばばばば」ビリビリ


男A「な、な、な、な…………」

男E「な、何しおった! 俺の手がかか勝手に……」

心理「私、精神能力者ですもの。あなたの手は勝手に動いたのではなく、動いてもらったのですわ。私の命令で」

男E「そんなレベルの精神能力者なんてそういてへん筈やぞ! それにオマエは念話能力者の筈……、何もんや!」

心理「ええ『それ』もできますわね。……ああ、あなたも『休んでしまってもよろしくてよ』」キィィン

男E「あばばばばばばばばばばばばば」ビリビリ




シュゥゥゥゥゥゥゥゥ


心理「能力の強度も精神力も弱い……、こんなに簡単に掌握できるなんて異能力か低能力級ではありませんこと? 低能に加えて低脳だなんて……なんて救いようの無い」

男A「ぅ、ぅぅぅぅぅぅ…………」

心理「さあ、二人きりですわね。謝ってでもいただけるのかしら?」

男A「!」

男A(し、死にたくねえ! 何とかここで逃げられれば後は人数でも集めてこいつをぶっ殺せる! 所詮精神能力者だ、認識外の攻撃に弱いはずだ!)

男A「あ、ああ! 悪かった、もうしねえ! 仲間達にも無駄に暴れんなって言っとくよ! だから見逃してくれ!」

心理「あらあら、いきなり態度を変えてしまわれて……、改心というやつかしら」

男A「そうだ改心したよ! だから許してくれ、なあいまさら俺をいたぶってもしょうがないだろ?」

心理「もし私がここで大変な目に合わされていた時にそう言えば許してくれましたの?」

男A「ゆ、許した! 許したよ当たり前だろ! だだ、だから許してくれよ!」

心理「………………」

男A(いけた……か……?)

心理「…………あなたの心は、そうは言っていないみたいですけれど、ね。ふふっ、自分さえも騙しきれないような嘘なんて馬鹿らしいとお思いになりませんか?」キィン

男A「」



心理『――――――嘘つき』キィィン

男A「――――――――ぁ」ドサリ




心理「…………」

心理「……殺してなどいませんわ。次に目が覚めたら、私の事を覚えていないだけですべて元通り」

心理「ただ、暫くの間女性に興味が持てなくなっているかもしれませんけれど」スタスタ

男達「」死ーん

心理「ま、当然の報いですわね。ではごきげんよう、救いようの無い下種の皆様方」スタスタ

男達「」死ーん

心理(…………)スタスタ

心理(……これが、私)

心理(人の精神を喰らう化け物、『心理掌握』)

心理(――――――知られたく、ない。あの方々にだけは今も向けられた悪意と恐怖の篭った視線を、向けられたくない)

心理(……いえまだ、まだ大丈夫)

心理(情報も漏れていない、あの方々にも疑われていない、依頼も順調に順を追ってこなしている)

心理(そうよ、今はまだ大丈夫。今はまだ――――――)

?「ろ、路地裏に誰か倒れてる!」

?「大丈夫かおいお前ら、しっかりしろ!」

男B「……うーん」ムクリ

?「男ばっかりだな……能力者にでもやられたのか?」



男C「ぐ……あれ、何で俺こんなとこに……」

男E「ああ、頭もだいぶしっかりしてきおった。兄ちゃん、おおきにな」

?「ああ、俺は何もしてないしな。じゃあこれで……」スタコラサッサダゼィ

男E「待ちや兄ちゃん」ガシッ

?「えっ?」

男E「礼もまだしてへんがな……、よく見たら結構いい男やないかい」ジュル

?「えっ?         えっ?」

男A「それじゃあもう少し奥へ行こうぜ」ガシッ

男B「くんずwwほぐれつwwwwお礼してやんよwwww」ガシッ

?「」

?「ふ、ふ、ふ、ふ、ふ」

?「不幸だァああああああああああああああああだれかたすけてくれええええええええええええええええ」

男E「あかんわ兄ちゃん、たまたまかなんでか知らへんけどここは外に声が届きにくい場所やからなー」ンッフ

?「ま、待てよてめぇら!」

?「てめぇら本当にそれでいいのかよ!そんなんでいいのかよ!男同士が絡み合い肉がぶつかり合い汗が飛び散る、そんな光景を目指してお前らは今まで生きてきたのかよ!
  違うだろ!?ツンデレ気味の幼馴染やちょこっと抜けたお姉さん、突然飛び込んできた不思議ちゃんがそれまでの関係を掻き乱す、そんな怖くも楽しい甘酸っぱい思い出を目指して!
  これまでやってきたんだろ!違うか!ちなみに作者は年季の入ったOL以上か世話を焼いてくれるあねさんそれも少し陰のある感じが大好物だ!それをこんな、暗く寂しい路地裏で男同士だと!?
  非生産的にも程がある!わかっちゃいない!お前らは何もわかっちゃいない!何がわかっちゃいないかっていうと俺のこの追い詰められっぷりがだ!くんずほぐれつじゃねぇんだ!
  腐った人たちでも喜ぶもんでもない、いいかげん目覚めろよゴロツキ共!目覚めついでにまず俺を見逃してください!」

男達「だが断る」



アッーーーーーーーーーーー!!!!!



その日、学園都市中のあらゆる生き物が断末魔の如き叫びを耳にしたという。

それをある者は大切なものを失った者の慟哭だとし、またある者は己の不遇を嘆く雄叫びだと表した。


時をほぼ同じくして、とあるツンツン頭の少年が虚ろな目をして町を歩いていた所を目撃されている。

彼がどのような事件に巻き込まれ一体何を失ったのか。敢えて筆をおいておくので推して知るべし。

唯一つはっきりしているのは、彼が紛う事無く不幸だという事実である。

すげぇ…
あのチンピラ達、上条さんの説教をスルーしてやがる…

一応ここまででひと段落や。とは言ったものの、もしかしたら暫く投下できない可能性があるんでもう一区切り投下するかどうか悩んでるんや
どうしよ

いやー貯金を切りくずし過ぎると、投下のスパンが開きすぎて怒られるなとか思ったのよねww 俺書くの遅いし
折角だから投下するわ

お為ごかしで「無理すんな」「作者の都合が一番だよ」「ゆっくりしていってね!!」なんて言うことはいくらでもできるけど
あえて深夜3時過ぎのテンションに身を任せるなら、ここ最近であなたの投下以上に楽しみに待っているものなんて数えるほどしかない、とだけ

あ、ごめん……一つ忘れてた……

メールのやり取りの話が出てくるんだけど、普通にカギカッコでくくるより他の所でやってるみたいな形式をお借りしてメールっぽく作ったほうが良いかなぁ

カギカッコでも十分わかりやすいとは思うが…
あんまり懲り過ぎるとドツボにハマるのぜ

オーライ、雛形できたから少ししたら投下再開するぜい
体調とか色々心配してくれてありがとな。……いえ、ひょっとして心配してくださっているのは私ではなく投下が滞る事……?

いやー、上条さんは後で良い目にあうから同情なんてしねーし。まじしねーし。

――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub  : 手之家です
――――――――――――――――――

今日、一方通行さんからメールアドレスを
教えて頂いたのでメールさせて頂きました。

今日は麦野さんもいらっしゃらなかったので
残念でしたが、またの機会でお会いできればと
思います。

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub  : わお
――――――――――――――――――

あ、心ちゃんかww
わざわざメールくれちゃってthxな。
じゃあ今日一方と二人っきりだったのか、
何かされなかったか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub  : 大丈夫です
――――――――――――――――――

一方通行さんにそんな心配はいりませんわね。
前回お会いした時と似たような雰囲気でしたわ

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : マジかよ
――――――――――――――――――

なんだツマンネ。
ま、何かしてたらしてたで友達付き合い
考え直すレベルだけどなwww

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

そういえば、垣根さんと一方通行さんと
麦野さんはお付き合い長いのですか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To :手之家心

Sub : 実はそうでもない
――――――――――――――――――

会ったばっかって訳じゃねえけど長い
わけでもねえな。
俺が知り合った順番は一方→麦野だ

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そうなのですか
――――――――――――――――――

それにしてはとても仲が
よろしく見えたので……

いえ、他意は無いのですけれど

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 間違いなく悪くはねぇよ
――――――――――――――――――

まああいつらとは趣味が近いしノリも良いし
馬が合うってやつだな

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub :それは……
――――――――――――――――――

妬けてしまいそうですわ
本当に仲が良さそうですもの

――――――――――――――――――

くさってやが(以下略

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : そりゃそうと
――――――――――――――――――

ああ、さっき一方からちょっとメール
来てたんだけどスタバ一緒に行くって話だよな。
行こうぜ、空いてる日とかある? 今週来週で

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――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あら
――――――――――――――――――

今週来週も週末が空いていますわ。
……一方通行さん行動がお早いですわね

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : イイヤツだけど
――――――――――――――――――

アイツそういう細かい所気が利いたり
するからなwwww
基本バカだけどなwwww

しかし一方も来るんだろ?
アイツ甘いもの嫌いだとか言ってなかった?

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

仰ってましたわね。前回飲んだものが
甘すぎて飲めたものでは無かったと

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : バレてねぇのかwwww
――――――――――――――――――

当たり前だぜ。
アイツが飲んだのオプションゴテゴテな上に
九割がたコーヒーじゃねぇもん

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : 初耳ですわ
――――――――――――――――――

え? 
一方通行さんはコーヒーだったと
仰っていましたが

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : やっぱり
――――――――――――――――――

その様子だとまだバレてないっぽいな
あれチョコレートクリームの奴だから
全然コーヒーじゃねえよww

あー、次は何を飲ませようかww

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あらあら……
――――――――――――――――――

あんまりからかっていると怒られますわよ。
時折忘れそうになりますけれど、
一方通行さんは『一方通行』ですし

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : いやでも楽しいし
――――――――――――――――――

まあガチでキレさせるとワンチャン
脳みそ飛び散るまであるなww

まあ今週か来週の土日。一方に伝えとくか?

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : 大丈夫です
――――――――――――――――――

いえ、私から後で今日のお礼のメールも
送りますから私から直接お伝えします。
それと、またメールしてもよろしいですか?

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : オッケーオッケー
――――――――――――――――――

むしろガンガンくれよ。
一方と麦野ファミリーの色気無いメール
ばっかしか来ねえからな、
心のオアシスが欲しい

――――――――――――――――――


――――――――――――――――――
To : 垣根帝督

Sub : あら
――――――――――――――――――

社交辞令として受け取っておきますわ。
それでは、次は今週末か来週末にでも。

ごきげんよう

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : オーライ
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おうお疲れ。
こっちからもメールしたりするけどよろしくな

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 手之家です
――――――――――――――――――

今日、一方通行さんからメールアドレスを
教えて頂いたのでメールさせて頂きました。

今日は垣根さんもいらっしゃらなかったので
残念でしたが、またの機会でお会いできれば
と思います

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:手之家です
――――――――――――――――――

今日来ちゃったの?
タイミングわっるー。

丁度私がいない日に来るなんて
中々いい度胸じゃない、話したいこと
とかもあったのに

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――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : でも
――――――――――――――――――

こうやってアドレスを教えて頂いた以上、
そのような事は今後そうそうは起きませんわね。
お話は今でも伺えますけど

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:でも
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たーしかに。話はまた今度でいいや、
それよりも一方になんかされなかった?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 全くもって
――――――――――――――――――

垣根さんにも同じ事を言われましたわ。
一方通行さんって信用無いのかしら

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 逆に信用はあるけどさw
――――――――――――――――――

まあいまの質問まであわせて
伝統芸能よ伝統芸能。
なんかするとはこっちも思ってないってw

とりあえずスタバ行くんでしょ?

――――――――――――――――――

アイテム4人娘だけでは飽き足らず、こころンとまで和気藹々とメル友してる
ていとくンとあくせらンがリア充すぎてニヨニヨが止まらん
まだまだ起きていられるぜー

リア充爆発しろ

>>751
やる気出ちゃうからやめて

>>752
そんなこと言っても俺は爆発せんぞ

――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : はい
――――――――――――――――――

ええ、今週か来週の土日であれば
都合が良いのですけれどいかがですか?

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 暇人なめんなー
――――――――――――――――――

へーきへーき。
一昔前ならともかく今や超ベテランの油
売りだからね

その日付ならどっちでもいいから
一方か垣根にでも伝えといてくれる?

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――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 了解しました
――――――――――――――――――

では伝えておきますわ。 
少し気になったのですけれど、
『今は』お暇ってどういうことですの?

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 話すと長いわよー
――――――――――――――――――

簡単に説明するとねー
詳しくは言えないけど私ちょっと前まで
ややこしい仕事やってたのよ。

危なかったりややこしかったりする仕事を
訳アリでまともな生活しにくい奴等で
集まってね

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――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : (non title)
――――――――――――――――――

そうなのですか


不躾な質問をして申し訳ありませんでした

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : なんくるなーい
――――――――――――――――――

いいっていいって
今はもうややこしい仕事からは
足洗い気味だし。

前話してた『アイテム』ってやつがそれよ

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To : 麦野沈利

Sub : そういえば
――――――――――――――――――

以前伺いましたわね。
麦野さんの派閥のようなものでしたかしら

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 正確には
――――――――――――――――――

少し違う。
元々は私が一人で現場で動く仕事? 
みたいのやってたんだけどそこで
何人か拾って一緒に仕事させてたのよ。

どっかから割り振られた仕事仲間って
事でもなかったから、
私が仕事しなくなったから
自動的にそいつらも仕事しなくなるわけ

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : つまり
――――――――――――――――――

…………ニートの集まり?

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : 言ってはならないことをwww
――――――――――――――――――

ふざけんなwwwwwwwwwwwww
むしろ今私がアイテム養ってやってんのよ!
レベル5の財力舐めんな!

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――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 冗談です
――――――――――――――――――

失礼しましたわ

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : wwww
――――――――――――――――――

しれっと言うわねwww
まあ今度会うときに連れてくから
できれば仲良くしてやってよ

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 麦野沈利

Sub : 喜んで
――――――――――――――――――

こちらこそ是非お願い致します。
では一方通行さんに伝えておきますね。

長々とお時間を取らせてしまって失礼しました

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : もーまんたいね
――――――――――――――――――

いいって。じゃあまた今度だにゃーん

――――――――――――――――――

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To : 一方通行

Sub : 手之家です
――――――――――――――――――

私ですが、ちゃんとこのメール
届いていますか?

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To : 手之家心

Sub : Re:手之家です
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オレオレ詐欺は間に合ってます

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To : 一方通行

Sub : 違います
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手之家心です。一方通行さんですわよね?

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To : 手之家心

Sub : Re:違います
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半分冗談だ。本気にしないで下さい
あとタイトル見てなかった
悪ィ

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To : 一方通行

Sub : まったく……
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垣根さんと麦野さんとメールして、
喫茶店の件は今週か来週の土曜日曜の
どこかでという事になりましたが。

一方通行さんのご予定はいかがですか?

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:まったく……
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俺も行かなきゃ駄目か?

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To : 一方通行

Sub : 勿論です
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駄目です。来てください

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To : 手之家心

Sub : Re:勿論です
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今週の日曜か来週の土曜で

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To : 一方通行

Sub : 了解しました
――――――――――――――――――

では来週の日曜日にしましょう。
よろしいですか?

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:了解しました
――――――――――――――――――

よろしィです

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : では
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私から垣根さん達に送っておきますね

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:では
――――――――――――――――――

頼ンだ

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To : 一方通行

Sub : それにしても
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本当にメール短いですわね、
前のお二方と比べると

――――――――――――――――――



――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:それにしても
――――――――――――――――――

アイツらと比べンなよ。
集合とか時間はまたこっちで決めとく

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : それでは
――――――――――――――――――

お願いいたしますわ。


それでは失礼しますね、
夜に態々ありがとうございました
木原さんにもよろしくお伝えください

――――――――――――――――――

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : とりあえず
――――――――――――――――――

今日はあンがとな

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : (non title)
――――――――――――――――――

こちらこそ

――――――――――――――――――




~~~


…………皆様と集まる前に、もう一度会おう。

十中八九。いえ全部が全部で、あの方々が学園都市への叛意を抱いているとは思えない。

そもそも殲滅戦の得意な面子が揃っているのだから、策を弄する必要も無い。でも、あの政治屋達はそれを信じることが出来ない。


……皆様と集まる前に、この危惧を払っておかねば。今一度心を覗かねばならない。

それを態々皆様が集まる日に行わずに前倒すのはなぜだろう。

わからないけれど、そうすれば来週の日曜日。私は皆様と『友達のように』なるのに、一歩近づけるかもしれないから。



~~~


セロリさんがわざわざ口調をメールに打ち直してるの想像すると悶死する

>>728>>1のフェチズムがこっそり紛れ込んでいる事に突っ込む人がいないの
と言うか、>>1は木山先生が好みと言う事なの・・・?
もしそうなら是非握手したいの

>>766
いやぁ可愛いよなw それに、そのままの口調だと違和感MAXすぎるんだよw

>>767

  `¨ - 、     __      _,. -‐' ¨´
      | `Tーて_,_` `ー<^ヽ

      |  !      `ヽ   ヽ ヽ
      r /      ヽ  ヽ  _Lj
 、    /´ \     \ \_j/ヽ
  ` ー   ヽイ⌒r-、ヽ ヽ__j´   `¨´

           ̄ー┴'^´



ある時から突然、彼女の能力は飛躍的な汎用性を見せ始める。

あらゆる分野に対して少しずつ発揮していた能力は、その全てに対して現状見られるほぼ最高レベルの力を発揮し始めたのだ。


当然だが、周囲の反応は一変した。

耳障りの良い言葉で彼女を讃え、褒め、懐柔しようとする彼らだったがしかし、心理掌握の能力は純粋で臆病だった少女に汚らしい大人達の内面を容赦なく見せ付けた。


自分の頭を撫でて褒めてくれるこの人達は、何故自分の事をこんなにも怖がっているのだろうか。

なんで皆、私を見ているのに私の事を何も見ていないのだろうか。


彼女の周囲に碌な研究者がいなかった事も災いした。

言われるがままに彼女は能力開発や実験を重ねていったが、既に研究者達に何の感慨も抱けていなかった彼女は年不相応にただ淡々とカリキュラムをこなしていった。

そしてその果てにレベル5の烙印を押されて尚、心理掌握は一切嬉しいという感情をそこに見出すことが出来なかった。

唯一の希望は、実験漬けの日々が終わりを告げることで自分にも『普通の友達』というものが出来るかもしれない、というものだった。



しかしながら。いや、ある意味当然だったが、優秀生として常盤台中学に入学した彼女を見る周囲からの視線は三種類だけだった。好奇、嫉妬、そして恐怖。

接触方法は多様ではあったものの、同級生達との暫しの付き合いを経てから彼女は一つの結論を得る。

彼女達は自分と同じ場所に立っておらず、よって自分を理解してくれる事は多分無い、と。


かといって、能力を行使して友達を作るという行為は、ほとんど意味の無いものだ。

彼女の心理掌握とて万能ではあれ全能ではない。

その本人の思考の根幹に関わる部分を残したまま表面思考を無理やりに変質させようとすると、齟齬が発生するのか対象の精神状況は著しく不安定になり最悪倒れてしまう事は実験で明らかになっていた。

そして、相手の人格を破壊してまで友達という名の人形を作る等と言う行為を心理掌握は頑なに嫌悪して憚らなかった。


彼女は、他人の心を捻じ曲げたくなんて無かった。見たくもなかった。

それでも、決して一人でいたくはなかった。そんな少女の想いは、人が受け入れる自分を形作らせる事を選ばせる。


孤独と孤高は異なっている。彼女は自分の意思で、孤高である事を願った。そう思い込もうとしていた。

その実、遠巻きにでも構わないから人と接していたいと彼女は内心ずっと思い続けていた。

だが自分から近づけば、彼女達は自分を恐れる。いつ自分が自分で無くなるのかと怯えている。そんな様子の他人を見ることが、彼女はたまらなく嫌だった。





いつしか、彼女は女王として讃えられ君臨していた。胡散臭い、飄々としている、底が知れない、優雅である。

そんな心理掌握の印象は全て間違ってはいなかったが、同時に全て正しくもない。

親しもうとせず、しかし圧倒的な能力を持ち、人の上に立つ者として振舞っている心理掌握を中心としていつしか巨大な派閥が出来上がっていた。


『見返りを求めない』感情はとんと生まれはしなかったものの、利害と権力を中心とした派閥構造は世の中の『普通の人間』達には理解しやすい構図のようで、彼女は以前ほど孤独にさいなまれはしなかった。

その代償として更に彼女は窮屈となり、それでもまだ心理掌握は周囲の人間を憎もうとはしなかった。


心理掌握は、凛とした趣の内の本人も気付かないような底の底で泣いていた。

誰一人として心を許せる、許してくれる友人も無く孤高なままに。


それでも彼女は耐えていた。ひたすらに耐えていた。

彼女が痛みに感じるのが侮蔑や罵倒なら、その発信源を絶とうとしたかもしれない。恐怖や下心なら、その発信源から離れようとしたかもしれない。

だが、彼女の痛みが湧き出る泉は。ただただ寂しいという感情だったのである。



だから――――――彼女は決して人から離れようとはしなかった。その行為が、更に痛みを加速させると薄々知っていながらも。


~~~

~~~

って付け忘れた。脳内保管してくだしあ


麦野「それにつけてもさ、どうせ日曜に会うのにフライングかにゃーん?」

垣根「いや、そうでなくても普通にファミレス位来るだろ、そもそも最初もそうだったじゃねえか」

一方「ま、前哨戦ってトコじゃねェの? 俺らも普通に何時も通り集まってるしなァ。なァ手之家?」

心理「そんな所でしょうか。まあ偶然だとしても喜ぶべき偶然ですけれど、ね」

心理(今日の内に、最後の確認を行う。大丈夫、これだけ心理的な距離を縮めれば察知されることも無い筈ですわ)

垣根「お、そのカボチャ食わねぇの? 俺が食ってやるよ」ヒョイパクッ

一方「返事する前に食うなよなァ……、まァ別に良かったけど」

心理(……そしてあわよくばこの二人の関係も)ドキドキ


店員「お待たせいたしました」

垣根「あ、オニオングラタンスープ一つ」

麦野「テリマヨピザにヤリイカの唐揚げ。ああマヨネーズ付けてもらえます?」

一方「テリマヨピザマヨ増しってか?」

麦野「んなわけないでしょ。ヤリイカよヤリイカ」

心理「じゃあ私はこのピリ辛チキンというのを」

麦野「新作だね。ほらにゅーって書いてるし」

一方「俺ァ13種類の新鮮彩りサラダで。ドレッシングはァ……垣根くンどれが良い?」

垣根「シーザー食った事ねぇからこれにしようぜ。受け取ってくれーッ!」

一方「じゃあコラーゲン入り野菜で」

店員「かしこまりました」

垣根「あれ? えww俺に聞いた意味はwwww」


麦野「まだメールしてなかったけど、集まるのは十二時位に第七学区のモノレールの駅でって事になったから。昼に一方が知ってる超おいしいイタ飯屋があるらしいからそこで食べてー」

垣根「なんか適当に店歩いて買い物しながら腹ごなししたら、お待ちかねのスタバだな。ハジメテなんだって?」

心理「ええ……。あまり、というよりは一度も行った事がありませんの」

一方「俺も実際行ったのは一回だったけどなァ」

垣根「あぁ俺と行ったときだろ? いやーあんときの一方の様子最高だったねーwwww」

麦野「その話そういやまだ聞いてないかな? どんなだったのよ」

垣根「メニュー見て既に混乱してたからな、『垣根くンに全部任せた、コーヒーくれ』っつうから注文したんだよ。それで飲んだんだけどクリーム混ぜないで下から直飲みするもんだから目ン玉白黒させてんのwww赤いけどwww」

麦野「アンタならともかく甘いの苦手な一方によくやるわ。何飲ませたわけ?」

垣根「ハナッから最終兵器はかわいそうだったから、まずは軽くバニラキャラメルキャラメルソースチョコレートクリームチップフラペチーノ」

心理「……何の呪文ですか?」

一方「おィいまキャラメル二回言っただろ」

麦野「バニラキャラメルチョコレートクリーム……、コーヒーじゃないじゃんw」

垣根「ああっ、馬鹿! ……なんか既視感が」


一方「ァ?」

心理「あらあら」

一方「どォいうこった、説明しろ麦野さン」

垣根「いやなぁ、心ちゃんがスタバ処女捨てるって事で何を頼むか考えようぜ!」

麦野「垣根が頼んだのはオプションゴテゴテの超甘党が飲むような代物よ。どうひっくり返っても、一方が飲むような代物じゃねーわ。絹旗でも胸焼けするんじゃないかな」

垣根「一度スタバの真髄をだな、ベンティアドショット(略)も悪くねえと…… 」

一方「つまりあのゲロ甘物質は……」

麦野「コーヒーよりココアの方が近いわよきっと」



垣根「聞いてねぇな…………」

心理「悪事はいつの世も最後には暴かれますのよ、きっと」クス

一方「――――垣根くゥゥゥゥゥゥン」クルリ ニヤァァァァァ

垣根「これがスタバ流のコーヒーだっつってたが……、スマンありゃウソだった」キリッ

一方「ほゥ。それで?」

垣根「ちょっとしたジョークだ一方。出来心、奸心、魔が差したんだぜ、どんな奴にでもあるだろう突然そういう行動に走っちまう瞬間ってやつも……」

垣根「つまりは不可抗力だろう、あれは大自然の力に俺の意思が屈しただけなんだ。それにお前は特別何かあったわけでもねぇ、ノーカウントだ、ノーカウント!」

一方「それにしてもあの甘さはヤバかったなァ垣根くン」

垣根「ヤバかったのは俺の腹筋だwwww一口飲んで『ンブッ』とか吹くの必死にこらえてたお前みてこっちまで吹きそうになったじゃねーかwwww」

一方「ほォ」

垣根「oh」


                       ヘ(^o^)ヘ いィぜ
                         |∧  
                     /  /

                 (^o^)/
                /(  )
       (^o^) 三  / / >

 \     (\\ 三
 (/o^)  < \ 三 
 ( /
 / く  ブッ殺す



一方「テメェが! 死ぬまで! 殴るのをやめない!」

垣根「は、はい死んだ! はい今垣根死んだよ!」

一方「さっき死んだら殴るのやめるっつったが、すまンありゃ嘘だった」

垣根「いてててててててててて」


麦野「騒がしいなぁ……、もう暫く続くようなら止めっかな」

心理「でも……この騒がしさが幸せだと思いませんか?」

麦野「――――――何急にこっ恥ずかしい事言ってんのこの子」

心理「ふふっ」


麦野「あ、そうだ。ねえねえ一方、こないだ終わったら言う!終わったら言う! って言ってたのって結局何の話だったの?」

垣根「ああなんか実験の話だろ?」

一方「いやー良くぞ聞いてくれたぜェ。事の始まりはてめェらにさンざもやしよわばりされた事なンですよ」

垣根「だが我々のその発言――――事実」キリッ

麦野「ぷぷぷっ」

心理「――――――っく・・・・・・(笑いをこらえている)」

一方「話す気が無くなってきた」シラー

麦野「嘘だよ嘘嘘! ライ、ライ、ラライ! んで、何の実験だったのよ」

一方「筋トレ」

垣根「は? え、能力開発でバーベルでもあげんの?」

心理「それでは肉体開発では……」

麦野「肉体を開発とか……エロっ」

一方「てめェら話聴く気ねェだろwwww」

>>777
『ブッ殺した』なら使ってもいいッ!!


心理「つまり、『一方通行』で体の動きに大して逆ベクトルに負荷をかける事で筋トレと同じ効果を発揮できるようになったと……」

一方「力の一定比率をな。その名もDBYG」

垣根「見事に子音しかねぇからどうよみゃ良いのかわかんねえよ」

麦野「……あ、わかった。一方、それ木原さんのネーミングでしょ」

一方「ン? あァ、そォだぜ。他の研究員押し切って一方的に決めてたな」

麦野「やっぱwwwww大リーグボール養成ギプスwwwwwwwwwwww」

垣根「あ?  ああー…………そういや巨人の星何故か全巻置いてあったなお前んち」

心理「名前だけで読んだ事無いからわかりませんわ……」

一方「今度読み来るか? そこそこ貴重らしいから現物はあンまし無いらしィぞ」

心理「機会があれば甘えさせて頂きたいですわね」


垣根「開発で思い出した。こないだの能力測定の具合はどんなだったよ」

一方「ベクトル操作二重の極みモドキでレベル5認定」

麦野「ビームと……ああ空飛べるようになったよ。たまに落ちるけど」

一方「怖いから飛ぶンじゃねェぞ麦野さン。言いだしっぺの垣根くンはどォだったンだ」

垣根「俺? 十二時間持つ冷房物質大量生産で研究所の皆さん大喜びでレベル5認定だったな。外に出ても涼しいっつって」

一方「買収じゃねェかwwwwwwwwwww」

麦野「なんだかんだで一番便利なのは未元物質よね……」

垣根「心ちゃんはどうだった?」

心理「私は……前と変わらず、でしたわ」

一方「そりゃ残念だが落ち込む事でもねェよ。常盤台に行ってる段階で既に勝ち組だろ手之家は」

麦野「『間接接触』って進化したらどんな能力になると思う? 念話の音量があがるとか音質が向上するとか」

垣根「超クリアの心ちゃんのボイスは聞いてみたいけどそれじゃあレベルあがらねえだろw」

麦野「じゃあ何したら上がんのよ」

一方「距離やら時間やら……」

心理「どんどん携帯電話に近づいていってますわ」

垣根「今に念写機能が付くな、写メ写メ」

>>DBYG
その発想はなかった
あれ絶対バネが肉はさむよね

心理「――それにしても、ここまで学園都市の頂点がそろっていると邪推もしてしまいますわ。何か学園都市に対して行動してしまうのではないかと」

一方「ン、まあ気持ちはわかるけどなァ」

麦野「自分の住んでる街ぶっ壊してもしょうがないしねー」

垣根「そこまで不満もねぇしよ」


心理(――――――っ)キィン


心理「まあ、それもそうですわね。傍から見ればどうしても……そう思ってしまうものですから。失礼しましたわ」

垣根「いやまあな、理事共が群れてたら怪しいって考えんのと一緒だろ」

麦野「うわ、絶対それなんかしそうだよね。政治家とかそういうのってなんか群れ方気持ち悪くない?」

一方「纏めて踏み潰したくなる位にゃァな」

心理「一方通行さんが言っていると洒落に聞こえませんが」

一方「ひでェ…………」

麦野「日ごろの行いってやつね一方ぁ」フフン

垣根「日ごろの行い(笑)」

麦野「…………アンタ何が言いたいわけ?」



心理(……学園都市に対する叛意は、無し)

心理(出てしまえばあっけない結論でしたわね)

心理(これで――――――そう、これで)

心理(私がするべきは後、この人たちが何か行動を起こさないかの監視)

心理(でも、この人たちが何かを起こすことはないでしょうし)

心理(これで心おきなく…………)



麦野「ねーこころん、聞いてる?」

心理「あ、え? あ……、すみません少しぼぅっとしていて」

垣根「大丈夫か?」

一方「ま、調子悪ィなら無理すンなよ」

心理「ええ、少し考え事をしていただけですから。問題ありません」


心理(問題ありませんわ。ええ、何も。ふふっ)







心理「………………」カタカタカタ

心理「………………」カタ

心理「これでまずはひと段落……」

心理「慣れないパソコンなんていじるから体が痛いですわ……」ゴキゴキ

心理「日曜日……、カレンダーに印など付けて……」

心理「どうなってしまったのかしら、わたくし」



ダゼリリマタワザアイイズシーン コーザイミラブウィザインアビーイン



心理(着信……、手之家心の物ではなく心理定規の携帯電話からですわね)

心理(秘匿回線からのみしか受けていないからそうそう着信なんて無い筈なのですが……)

心理(…………)ピッ

心理「もしもし」

?『私だ。さ、先程送られた報告を見たよ』

心理「あら理事殿、つい先程いたしたばかりなのに……随分とお早いこと」

理事『今のところ彼らに叛意が無いという事は理解した。ご苦労』

心理「一度受けた依頼を放り出すのは趣味ではありませんの。ですから依頼の通りに引き続き接触を――――」

理事『いや、その必要は無い』







心理「――――――えっ?」

>>787
心理定規になってるぞ

えっ?

>>790
本物手之家も心理定規も、メンタルアウトさんの部下なんじゃね?

よりにもよってこういう見せ場で


.                    i( /(  /'" { /(,r(,ノ r'/ ノィ
     ___|___ |  \     __-=、V `''"  ヽ'   ノ '"ノr' "  __|____ヽ  ___|___
     ___|___ ∨     ___> ̄,r'',r77ヽ ゙ヽ、ヽノ ノノ ノ,rヽ ノ   | ノ   ___|___

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     凵    | --    ヽー' // / ./ヽ  ヽ ', ",r"ノノヽ,r' `''   \  凵
.       |   | ー-     `=// / / ノ   ハ,r'' ノ,r' ,ノ,,-.、'''"  |___   ___|__
       |    ___|__〃     // / / /ヾ、ノノ" _,r''"ノィヘ  ヽ、  __|    | --
      ヽ、ノ   | --    ノノノ ノ  /ノノ'▽▽▽▽▽▽>、\`丶、      | ー-
     ___|__    | ー-   ノフフ フ -v'ノー、 \  ̄ ̄jノ_/_ ,rヘハヽ、  ┼┼ ___|___

      | --  ___|___  r'      /キ ニ=r。、コ川「__,rr。fヽ キリヘヽ. └─ ___|___
     | ー-   ___|___  {しししr7  /ヾ  `'亠ナ/l :ヽ"-`-゙''  ')ノ/  _______ __|___
            」   `i   l    ヽ   '"/ l : ヽ      ,r'ミ(_,,  / 凵
      ア    \     ヽ  l    ヽ    ヽ.ト イ./    /`1 ゙丶、  |__  ___|__
       \         ',  ヽ    ゙ヽ  ___ `-"__,,ィ  /  ト.、   ヽ     | --
     /  _____/     r1   ヽ    }  !-- ̄-_ブ  /   l }ヽ  `、    | ー-
   /            l  L   l    /\ `ニニニ..ィ /    l ,' ハ  ヽ
  ・      ,r '''  ̄ ̄7,...、  `'z、こー_ノ7 :\ し  /:     l' i l   l
      ,r''"       /   `ヽ、  ヽ  /l :  :'---'" :    ,r" ノ l   l
.    ,r'        /      ヽ  `ヒヘ}    :    :′ ,,r'"  / ,r'   l
   /         /        丶  〉 丶、  :  : __,,r'' ,r''" / ,!    l


しwwwwwにたいwwwwwwwwいやでもたまにやるよなwwwwこのミス


心理「――――――ま」

心理「まだ、叛意が無いというのは確実ではありませんわよ」

理事『む……、どういうことだね?』

心理(監視が、まだまだ続けば良い。そういう事ですもの、ねぇ?)

心理「例を挙げるとするならば、一方通行。彼に読心(リーディング)は通用しても洗脳(ライティング)が通用しないというのは報告の通りですわ」

理事『そう書いてあるな。流石は学園都市第一位と言ったところなのだろうが』

心理「恐らく無意識下ではそうでしょうね。しかし、意識されていた場合読心能力に対しても干渉されている可能性はいなめません」

理事『ふむ…………』

心理「今回の報告は飽く迄中間報告。決定事項では無いという事をご理解くださいますかしら」

理事『――――――』

理事『……わかった。君に任せよう』

心理「ええ、ありがとうございます。以上でよろしいですかしら」

理事『仔細は君に任せよう。以上だ』プツッ ツーッ ツーッ ツーッ



心理「…………」ピッ

心理「…………ふ」

心理「……ふふっ」

心理「あははっ」

心理(嘘は、ついていませんもの。言った事は、全て本当の事)

心理(そして私は――――――)



心理(まだ、まだあの方達と一緒にいることができる)



心理「うふふっ、あはっ。あははははっ、ははははは――――」

>>792
気にするな
心理掌握と心理定規はマジでカタカナ読みしてないと素で間違える
最初はレベル5二人いるなんてスクール本気でパネェ、とか思ってた


理事「…………」プツッ ツーッ ツーッ ツーッ

理事「こ、これで構わないかね?」

?「ああ。これでどう動くかって所だな」

理事「私は……」

?「お前はもう良い。二度と妙な事を考えず、今あった事さえ忘れればお役御免だ」

理事「わ、わかった」フゥ

?「切欠はこんな下らねえ事にしろ……、今『手之家心』は自分の意思で動いてる、って事だな」

?「うーん……どうする? 大丈夫そうに見えるけど」

?「動くのを待っても良いんだが……もし動かないなら、こっちから仕掛けてれば良い事だ。そうだろ?」

?「そうねえ。もし自分の期待が裏切られたときどんな反応見せてくれるか……楽しみだわ」

?「今週末だったな、動くのは。その時にこちらも動こう」

?「りょーかい」

――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : (non title)
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改めて決定事項だけ伝えとく。
十二時に第七の駅出たとこン横の
ニューデイズに集合、
飯を直ぐに食うっつゥ事で

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 仔細承知でしてよ
――――――――――――――――――

わかりましたわ。
楽しみ過ぎて夜寝れなかったらどうしましょう

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:仔細承知でしてよ
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何日間徹夜するンですかァ

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To : 一方通行

Sub : たとえば
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そのくらい楽しみ、ということですわ。
一方さん一押しのイタリアンも
大いに興味をそそられますし……

私実はイタリアン大好きなんですの

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To : 手之家心

Sub : Re:たとえば
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マジで。
まあ俺はオイシイと思ってるけどなァ、
パスタもピザもうめェし

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : 困りましたわ
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ピザがおいしいのは得点高いですわね。
スターバックスと重ねて
更に寝れなくなりそうです

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>>796
なにこれすごいわくわくする
そしておかしい まどのそとがあかるい

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To : 手之家心

Sub : Re:困りましたわ
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当日寝ンなよ

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : もしも
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寝てしまっても
一方通行さんが起こして下さいな

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To : 手之家心

Sub : 乙ダルヴァ
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そして誰もいなくなった

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : あら
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首を吊る気はありませんわよ。

ではきたる日の為に、
今日は無理にでも寝ておく事に致しますわ

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――――――――――――――――――
To : 手之家心

Sub : Re:あら
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致しとけ。ンじゃオヤスミな

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――――――――――――――――――
To : 一方通行

Sub : では
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おやすみなさい。また、日曜日に

――――――――――――――――――

今日はここまでです
いやー今日はドカンと投下したwwwwwww付き合ってくれた奴はまじ今日も一日頑張れwwwwww
俺のテンションも若干おかしいwwwwあと、ミスwwwwへこむwwwww


これで暫く投下しなくても大丈夫だぜェ……暇なときに、結構前に言われてた垣根定規とテレスねーさんの外伝をちまちま考えとくよん

ただひたすらに乙です

      .∧__,∧
      ( ^ω^ )
  定規さん出るんですか!
  ていとくんの牙折れっぷりと
  こころんの可愛さに押されて出番無しじゃないんですか!


    n. ∧__,∧n
    ゝ( ^ω^ )ノ
   やった──!

>>761

一方通行「今週の日曜か来週の土曜で」
こころん「では来週の日曜日にしましょう」

天然っぽいこころん想像してニヤけたぜ

垣根「アーマードコアやろうぜ」
一方通行「じゃァ俺ホワイトグリントな」
垣根「自分でパーツ組み替えろよ」
一方通行「うるせェ。そういうてめェも水没王子のやつちょっと弄くっただけじゃねェか」

というわけか

携帯「電池パックがイカれただと?狙ったか!?>>1!」
携帯「水は……まずい」
>>1「貴様には水底が似合いだ…」
こうですかわかりません

お前らマジ慰めてくれてありがとなwwwwww
小旅行みたいな感じだったんだけど、同行者が片足を川に突っ込んで、ぷげら笑いしながらスキップして歩いたら胸ポケットからすぽーんと飛翔ダイヴですよwwww

と、言うわけでちょっくら投下します
関係無いけど、代わりに貰ってきたケータイ、PCサイドビューワー無いんだけどwwwwwwwwwwこれもかなりダメージでけぇぞwwwwww



~~~


心理掌握は、今回の依頼――第一位、第二位、第四位の動向調査――を本気で断ろうと思ったのならば断ることが出来た。

それを断らなかった、という事に実は純粋な損得勘定以外にももう一つ理由が存在している。そしてそれは、彼女の興味から来るものだった。


彼女が特異な存在として周囲から疎んじられていたという事は先にも述べた通りであるが。それはつまり文字通りに、彼女と同じレベルの存在が周囲にいなかったと言うことに加えて彼女の能力自体にある程度の問題があったことに由来している。

レベルの差から友人が出来ないのであればまだ救いがある、あくまで強度の問題ならば自分は他者の延長線上にいるだけに過ぎないからだ。

それならば、振り返って手を伸ばせば届くかもしれない。『下々の者たち』に対してそういう距離にいる存在としては、超電磁砲が良い例である。


しかし能力そのものへの否定は、存在そのものへの否定に繋がる。何故なら、その力こそが『自分だけの現実』だからだ。

そしてたまたま同じ常盤台に超電磁砲という比較しやすい対象がいた為、心理掌握が内心で感じる寂しさと劣等感は寧ろ際立つものとなっていた。同じ超能力者なのに何故、と。



そんな所に舞い込んできた、件の依頼。心理掌握はこう考えた。

絶対的破壊力を持つ『原子崩し』、底の知れぬ能力である『未元物質』、そしてその全ての上に君臨している『一方通行』。

それぞれが下位互換を大きく引き離した、又は下位互換など持たぬ特異性のある能力者だった。

そんな彼らならば、自分と同じ気持ちを感じているかもしれない。自分と同じ立場に立っているかもしれない。

更に踏み込んで言えば――――自分と同じように苦しんでいてくれるかもしれない。それならば、自分を理解してくれるかもしれない。


彼女はこのような思考を、他人の不幸を望むような唾棄すべき感情だと考えている。しかしそう考えていながらも、彼女は無意識下でそう期待している。

彼女の纏う鎧はそのような惰弱な思考を許そうとはしなかったがそれで尚、期待してしまっている彼女自身を黙殺し切れる気配は一向になかった。



結果として。心理掌握が見たところの監視対象の彼らと彼女自身は同じように苦しんではいなかった。

はじめは、表面上はさておきその本質は単なる同属同士の傷の舐め合いかと考えた。それならば、彼らも自分と同じような存在だ、とも。

しかし実際は違っていた。彼らは同じ区分の存在であるという意識で繋がってはいたものの、彼らの結束は決してその事だけを絆に結ばれたものではなかったからだ。


過去まで知る由は無いが、今現在も心理掌握と同じ分類にある彼らは今現在彼女と同じ境遇にはいない。

何故なら彼らには、友達と呼べる存在がいるから。



その事を理解した心理掌握は裏切られたというような感情を抱いた。

何故貴方達にはあって、私には無いのだろう。

そして同時に羨望を抱く。

同じ超能力者でありながら、一緒にいる事のできる友達がいてうらやましい。

わたくしも――――――誰かと一緒にいたいのに。


結局、自分が自分である限り。心理掌握が相手の心を掌握する限り、私の今は何も変わらない。これからもずっと。

彼女はそう考え、それでも涙を零さなかった。彼女の纏ったレベル5第五位『心理掌握』の鎧はそのような事を許さない。


だが『心理掌握』はそうだとしても、『手之家心』はそうではなかった。

紛い物でも彼女は、彼女としての友を――それが例え相手の心を探るような下劣な行いを前提としたものであっても――手に入れることができた存在。

彼らとの触れ合いを通じて、心理掌握は奇妙な感情に包まれた。

はじめのうちはそれが何か掴みきれなかったが、それは体が震えるほどの歓喜だった。

渇望していたものが刹那の間我が身を満たし、その熱が心を焦がす。

内心の苦しみを大きく上回る与えられた快楽に彼女は酔う。

欲しかったものは、確かに彼女の掌の内にある。これ以上の幸せがあるだろうか。



そして今、心理掌握は怯えている。始まりがあれば必ずいつかは訪れる終わり、自分の正体が露見してしまう瞬間に。

自分に笑いかけている彼らが、他の者と同じように負の感情を込めた視線を向けてくる事に。

彼らと過ごせば過ごすほど、いつかきたる絶望が大きくなること位彼女だって理解している。
それでもいつかきたるものならば。それならば、それならばせめて今在る彼らとのこの繋がりに。

心理掌握としてのものではなく、手之家心としての繋がりに縋っていよう。彼女はそう、考えている。

今この関係が偽りのものでも、今感じているこの幸せという感情は本物のものだから。



故に、いつか崩れる砂上の楼閣だと知りながら彼女はそこを離れようとしない。ヒビだらけの鎧を、脱ぐこともない。

絶頂は今で、昇ったのならば落ちなければならない。それでも良いから今この時よ続けと願う。それですら分不相応な幸せだと思っている。自分が自分である以上、本当の幸せは来ないものだとあきらめている。

彼女の『心理掌握』を受け入れてくれる者がいる、そんな可能性など無きものと断じて。



――――――崩壊の日は、すぐそこまで来ている。


~~~


心理「――――気持ちの良い朝ですわね。良く眠れたし、天気も上々」

心理「絶好のお出かけ日和、って所かしら。ふふっ」

心理「……」


心理(さあ、参りますわよ手之家心)

心理(ずうっと続く、監視の為に)

心理(楽しくて、面白くて、時々意地悪だけれどとても優しい)

心理(貴方の――――『てのうちにこころをもてあそぶ』貴方の、大切なお友達に会いに)



ガヤガヤガヤ


心理(改札を出て直ぐのニューデイズ……、これですわね)

心理(この傍に皆様が――――まだいらっしゃらないのかしら)

心理(時間は十一時四十分。少し早く着すぎてしまいましたわn)

?「――――わっ!!!」

心理「ひんッッ!」ビクッッ!!

?「あっは、そんなに驚いてくれちゃこっちもやりがいあったってもんね」フフン

心理「む、むむっ、むむむむむ」

麦野「なにがむむむよ! ……落ち着きなさいってw」

フレンダ「ごめんねー、止める間もなく麦野が突っ込んじゃったから。ま、結局麦野のせいなんだけど」

滝壺「きぬはた、人工呼吸したら?」

絹旗「いや超生きてますし……」


心理「……急に驚かすなんて酷いですわ」ムスッ

麦野「あーほら、悪かったって。ごめんごめん、あんなに驚くなんて思わなかったからさ」

絹旗「貴方が噂に聞いたこころんですか?」

心理「ええ。貴方達が麦野さんの……」

フレンダ「そ、よくぞ聞いてくれた訳よ! アイテム四天王筆頭突撃隊長、私はフレンダ!」バッ

滝壺「ふれんだは四天王最弱」

絹旗「アイテムの超面汚しですね」

フレンダ「あれえええええ打ち合わせと何か違う!?」

麦野「字面だけだと頭突きに見えるわww ま、こいつらが前言ってたアイテムよ。仲良くしてねー」ナデナデ

心理「こ、こちらこそよろしくお願いしますわ」


絹旗「常盤台のお嬢様って麦野から聞いていましたからどんな超お嬢様お嬢様した人が来るのかと思ったら……」

フレンダ「案外想像通りのお嬢様だったわ。お嬢様に見えなーい! な展開じゃなかったわねww」

滝壺「……レベル3?」

心理「え、わ、私ですか? そうですけれど」

滝壺「わたしもレベル3。おそろい、だね」ムッフー

心理「おそろい? 貴方もレベル3なのですか?」

麦野「レベル3の『能力感知(AIMディテクター)』なのよ、滝壺はね。何か目に見えないような攻撃手段でも能力であれば感じることができるっていうセンサーみたいなもんってわけ」

絹旗「一方なんか、『はァ、カナリアみてェなもンか?』 とか超酷かったですけどね。あ、私は絹旗最愛です。最も愛されるべき、で最愛ですよ」

フレンダ「えー、モアーイ」

絹旗「」グググググ

フレンダ「ぐえ゛っ゛、ぐ、ぐる゛じい゛」

心理「…………フォースグリップ?」

麦野「違うわよww あー、絹旗ぁ、そんくらいにしときなさい」

絹旗「――――気にしてるって何度言えばわかるんですか、超頭悪いですね」

フレンダ「ェホッ、ゴホッ……冗談だってのに、死ぬかと思った訳よォ……」

滝壺「ちなみに、今持ち上がってたのがふれんだね」

心理「中々に楽しそうな面子ですのね……」

絹旗「今、私達超ディスられませんでした?」

フレンダ「中々に酷いディスりだった訳よww」


一方「ンだよ、もォ皆いるじゃねェの」スタスタ

垣根「出たなショッカー!」バッ

麦野「出たのはアンタらよ」


垣根「勢ぞろいだな。全員で集まんのは結構久方なんじゃねぇか?」

絹旗「そうですね。前に釣りとソバ食べに遠出した時以来なんじゃないでしょうか」

フレンダ「ダーツ・レーターよ。素振りは欠かさず行っておるか?」

一方「こないだ部屋で扉に向かってやってたら、木原くンが部屋に入って来て目が合って変な顔されたンです」シューコー

フレンダ「まあ扉開けた途端、自分に向かって体傾けながら腕振ってたら私でも笑うかなぁ」

滝壺「めとめがあうーしゅんかーんー」

麦野「何に気付いたのかすっごい気になるんだけど」

心理「言わぬが花とか、知らぬが仏とか、色々と言葉はありますわね」

垣根「コソ練たぁやってくれるじゃねぇか一方ァ……」


一方「ンじゃ腹も減ったしな。そろそろ行くとすっかァ」

麦野「一方案内よろしくー」ヒラヒラ

フレンダ「苦しゅうない訳よ」

垣根「もし行ってやってなかったとかだったら承知しねぇぞ」

たきつぼ「コンクリート目掛けてチョークスラムだね」

垣根「それするなら最愛ちゃんに任せるわ。俺だと若干マッスルガッツが足りない!」

心理「さっきもなさってましたけど、それだとフォースグリップになってしまいますわ」

一方「それにつけてもクソ暑さよ。あ、そのエスカレーター降りンぞ、少しでも中通ってかなきゃ溶けちまうわ」

垣根「賛成」

フレンダ「異議なーし」


絹旗「あれ、一方温度操作はどうしたんです? 超電池切れですか?」

一方「確かに腹は減ってるけどな。まだ外出て直ぐだしなァ、ヤベェ時以外は能力使わねェようにしてンだ」

麦野「にしちゃ汗かいてなくない?」

一方「今まさにヤベェからな」ヒヤー

心理「やだ、開き直ってますわこの人」

滝壺「あのかっこいい事言ってた過去のあくせらは何処に行ったんだろう」

一方「過去は振り返らねェ……現実も見ねェ。――――そう、輝かしい未来だけを見つめて生きていくンだァ……」

垣根「なんだこの近年稀に見るクソ野郎は」

麦野「百ぺん死んでワンって言えば良いのに」

ごめん腹減ったからなんか軽く食べてくるwww

食後のハイチュウペロペロ

ただいま! 投下!


一方「あ、ヤベェついでにちょっとトイレトイレ」タタタッ

フレンダ「クソ野郎がクソしに行った訳よ」

垣根「そして一方がトイレ行った、次の瞬間! なんと一方を放って皆歩き去ったではないか」

絹旗「丸見え、死んだりしないのがまあ予定調和の原因ですかね」

麦野「死んでたら笑い話にならないからねぇ」

滝壺「彼は果たして大丈夫なのだろうか……。数年後――――そこには元気にお墓に入るあくせらの姿が」

フレンダ「結局、あの時は駄目かと思ったよ。もうあんな死に方はゴメンだね、二度としないよ」

心理「一方通行は二度死ぬ、って少し語感がわるいかしら」



?「そろそろお昼時だけど、何処入る?」

?「わたくしはお姉様と一緒なら火の中でも水の中でもかまいませんのー!」

?「あれ、ここFKじゃなかったっけ。うどん屋になってる」

?「あ、上の本屋寄っても良いですか? ちょっと買いたい本があるかどうかだけ見たいんです」

?「良いわよ。で、結局どこにしようかなあ……ファミレスはこないだ行ったし――――――」



垣根「ボンドはやっぱ胸毛だよなぁ」

心理「そこは同意しかねますわ……」

滝壺「あれは一種のフェチズムに通じるものがあると思う」

垣根「たまぁにいる腋毛好きよりは普通だと思うぜ」

滝壺「目くそ鼻くそだよ、それ」



フレンダ「で、やっぱりヨーグレットが一番…………ん? あれ超電磁砲じゃないかな。後ろのかたまりも見たことあるよ」

麦野「あれが? へぇ、ちょっと挨拶がてら声かけてこよっかにゃーん」

絹旗「ついでに喧嘩も売ってくる、みたいな気安さですね」

麦野「んなことしないっつーの。麦野、いっきまーす」タッ




麦野「――――ねーねーそこの女の子」スタスタ

?「だからゲコ太は――――へ?」

麦野「今日はあっついわねー、暑さに負けない元気してる?」

?「なな、ナンパですの?」

?「う、うっわー綺麗な人だなぁ……」

?「……なによ、何か用な訳?」

麦野「違うわよ。噂の超電磁砲を見かけたから思わず声かけちゃった、って感じ」ニコッ

御坂「――――」ピクッ

フレンダ(うわぁ、麦野の笑顔悪巧みにしか見えないんだけど……)

絹旗(どっちにしろ、もう本性知ってる私達からすればどんな顔してても超怖いですよ)


麦野「そうかたくなんないでよ、別に取って食おうって訳じゃないんだからさ。ちょっとした挨拶しに来たの」

御坂「いきなり知らない奴に挨拶されるようないわれなんて無いと思うけど」

麦野「つれないなー、おんなじレベル5のよしみじゃない」

?「れ、レレレレレベル5!? 御坂さん以外に初めて見たかも!」

麦野「そういう初々しい反応の方がおねーさん嬉しいなぁ。『原子崩し』の麦野沈利よ、よろしくー」ギュ

佐天「わわ、私佐天涙子って言います!」ワタワタ

初春「初春飾利です」

黒子「……白井黒子ですの」

御坂「私の事知ってるみたいだし、自己紹介は必要ないわよね」

麦野「ん……仲良し四人組って感じ?」

黒子「!  ええっ、特にわたくしとお姉様は山よりも高く海よりもふっかーい赤い糸の絆で結ばれておりますのーーー!!」ガバッ

御坂「ち、ちょっこんな所で!」

麦野(…………ああ、そういう趣味の子なのね)

初春(生暖かい視線……これが一般人の反応ですよね、やっぱり)


黒子「」シュゥゥゥゥ

御坂「で……、原子崩しだかなんだか知らないけどなんでこんなトコにいるの?」

麦野「多分アンタたちと一緒よ。お腹空いたから皆でご飯って感じ」

佐天「皆ですか?」

麦野「あっちで騒いでるでしょ? ――――ほらほら、ちょっとこっちこっち!」ヒラヒラ



垣根「脛毛はゆるされねぇのに胸毛――――ん? どうしたよ麦野」スタスタ

滝壺「でももみあげは正義だと思う」スタスタ

フレンダ「お呼びみたいね」

絹旗「ちょっぴりヒヤヒヤしてましたけど、余計なお世話だったみたいです」

黒子「」シュゥゥゥ


初春「うわぁ、大所帯ですね……」

麦野「ほんとはもう一人いるんだけど、今そこのトイレ行ってんのよ」

垣根「何このJKの群れは。麦野がフィッシングしたのか?」

フレンダ「まあ間違っちゃいない訳イダッ」

麦野「前話した超電磁ファミリー見かけたから声かけちゃった」

絹旗「今にも超回りだしそうなネーミングじゃないですか」

垣根「へぇ。――――心ちゃん何そんなとこで固まってんだよ。どうした?」

心理「――――――ッあ、ッ……」ブルッ

御坂「なんかパッと見、随分統一感の無い面子ね…………あれ?」





御坂「――――『心理掌握』、久しぶりじゃない。普段全然出歩かないアンタとこんな場所で会うなんて更に驚きだわ」


聞こえた。

何かが、壊れる音が。

私の何かか、私達の関係か。

佐天「え、『心理掌握』? あのレベル5の!? うわ今日レベル5の大安売りじゃん!」

でもそんな事はいい。

初春「心理、掌握?」

目が。

滝壺「レベル5……?」クルッ

あの人たちの、わたくしを見る目が。


麦野「ん?」


変わる。


垣根「あ?」


変わって、しまう――――――


心理「――――――――」ポウッ

心理「――――――見ない、で……ッ!!!」キィィィン






滝壺「――――――っ、信号が!」

麦野「へ? ――――ぐっ!」

垣根「うおっ、んだこりゃ!?」

初春「あわわわわわわ、せかいがぐるぐるぅぅぅ」





フレンダ「…………落ち着いた?」

絹旗「と、一緒に手之家さんも消えましたね……」

佐天「なんだったんだろ今の……、まだ頭がクラクラする」

御坂「な、何コレどういうことよ……、あの子アンタらの身内じゃなかったの?」





一方「よォし超スッキリって訳よォ……、待たせて悪かっ…………何がどォした?」キョロキョロ






タッタッタッタッタッ



心理(知られた! 知られた! 知られた! 知られてしまった――――!) 

心理(もう、もう駄目だ。偽名なんて名乗った理由も、私が何のために近づいたかも、あの方達がその気になれば調べられない筈が無い)

心理(そして一度崩れたものは……もう二度と同じ物には戻らない)

心理(だから…………、手之家心のお友達は。もう、いない)

心理(最後が、最後がこんなのって、こんな事って)

心理(自業自得、だけど…………だけど……っ!)

心理(お願いだから私を――――――その目で見ないで……!)

心理(その恐れるような目を向けないで…………)




大通りから一つ二つ路地に入った所にある駐車場は、人通りも少なく喧騒も嘘のように消えている。

そんな場所にそぐわぬ少女が、膝を抱えてタイヤ止めに座り込んでいた。

下を向いて額を膝に乗せているため表情を窺うことはできない。服が汚れる事を気にも留めていない様子だった。

車の陰になっている少女の姿は、外からは死角になっていて見つかる筈が無かった。が、空からはそうでもないようだった。


一方「――――あァ、ゲーセンの裏の方の駐車場にいた。早く来いよ」


敷き詰められた石を飛ばしながら少年が一人、文字通り『降り立った』。

ああ、あの時言っていた空を飛べるっていうの、本当だったみたい。

垂れた前髪ごしに様子を覗き見た少女は、そう考えた後に今はもう手のうちから零れてしまった幸せを思い返して自嘲する。


膝を抱えていた少女と少年の視線が絡む。その僅かな時間の間に、少女は態度をガラリと変えた。

すいと音も無く立ち上がり、少々乱れていた長い髪を手で撫で付ける。少年は、携帯電話をズボンのポケットにしまった体勢のまま動いていない。



心理「もうお聞きになったと思いますが、改めて自己紹介致しましょう。私、学園都市第五位『心理掌握』の名を賜っておりますの」

一方「…………」


心理掌握の言葉に、一方通行はただ黙って彼女を見ているだけだった。

その視線は恐怖も嫌悪も感じさせるものではなかったが、心理掌握にはそうではなかったのだろう。

毅然とした表情に少しだけ泣きそうな顔が覗く。それは直ぐに引っ込められる。

代わりに浮かんだのは挑発的な笑みだった。


今一度彼女が口を開こうとした時、白い羽をはためかせて垣根帝督が空から現れる。

続いて、走って麦野沈利が登場した。優雅にやってきた二人と違いこの暑い中を動き回ったせいか額には汗ぷつぷつとが浮いていた。

自称、花も恥らう乙女の見せる姿だとはお世辞にもいえなかった。


麦野「あーもう空が飛びたいぞ私はー」


ゼイゼイと荒い息の中からあえぐように発せられた彼女の第一声に、心理掌握を含めた残りの三人が含み笑いを漏らす。

何時もの空気に流されていることに気付いた心理掌握は、俯いて唇をかみ締める。

そして顔を上げるともう彼女の表情は『心理掌握』が常から浮かべている涼しげなアルカイックスマイルに戻っている。


心理「あなたがたが学園都市に対して叛意を持っていないかどうかの調査、そしてもしも持っているようならしかるべき対処をする。それが私の仕事でしたの」

心理「とはいえ、こうまでなってしまっては不可逆ですから……今更どうしようもありませんわね。とりあえず、騙してしまっていた事については謝罪させていただきますわ」



何か仮面を被ったように様子を一変させている彼女の様子を見てレベル5三人は顔を向き合わせる。

やがて、一方通行が口火を切った。


一方「あー、一つだけ、言っとくことがあンだが」

心理「どうぞ?」


後ろ頭に手を当て、頭をかく一方通行。

『手之家心』には、その仕草が。一方通行が何かとても困っている時のものだとわかる。それが判ってしまう事も、彼女を打ちのめす。




対する三人には、心理掌握が。視線を微塵も揺らす事無く立っているその姿が、何故だか怒られている時に泣くのを必死で堪えている子供のようにも見えていて。

そしてそれは、それ程的外れなものでもなかった。


やがて心理掌握の鎧を打ち崩す最大の爆弾が、あっけなく投下された。




一方「実はなンだが俺達は途中から、手之家が『心理掌握』だって事は知ってた」







心理「―――――――――え?」


心理掌握は、第一にその言葉を聴いた己の耳を疑った。そして次に目を見開いたままぽかんと口を開けた。

どの位に驚いたかと言うと、目を開き口も開き瞳孔も開きついでに頭も開いて脳みそがどこかへ飛んでいく程には驚いた。


飛んでいった脳みそが戻ってくるまで多少の時間を要したのちにも、心理掌握はパクパクと口を開けたり閉じたりしている。

尻目に語る一方通行は特に気負った様子も無かった。



一方「お前ン情報統制は能力のせいか悪く無かったが……、依頼主の理事の方がお粗末でなァ。遠巻きに無様な監視してる私兵を垣根くンと麦野さンにシメて貰ったら一発で吐いたンだわ、俺らに接触する奴がいるってなァ」

心理「――――――から」



雑音の少ない空間ですら聞こえない程の蚊の鳴くような心理掌握の声は、聞こえるような大きさになるまで暫くの時間を要した。


心理「――――いつから……ですの?」


俯いているせいか前髪で目は見えない。やっと搾り出した声は隠しようも無く震えていた。


一方「二回目からはもォ知ってた」

麦野「理事も監視もシメたらぜぇんぜん持たねーでやんのよ。その辺のチンピラのがいくらかマシだったわ」

垣根「まぁそういうこったな、俺達もサプライズじゃねぇけど意趣返しに色々考えてて言い出さなかったんだが……」


口を揃える三人。そうでしたのとこぼして、心理掌握は腕で体をかき抱いて肩を震わせた。


心理「……あ、あはは。と、こ、ここでネタばらし、みたいな、も、ものですのね」

心理「それでは私、まるでピエロのようでは、ありませんこと……?」


頭を振った彼女に答える声は無い。

髪を梳いている手の動作にも、滑らかさが無い。まるで壊れた人形一歩手前だ。

心理掌握のもはや泣き笑いのような顔から、笑いの成分が失われるまで長くはかからなかった。




心理「……………………」




心理「………………ぅ」





心理「う、ううう、ぅぅぅぅぅううううううぅ」ポロポロ



『心理掌握』は、彼女自身の心を掌握できてはいなかった。


依頼の為に。手之家心として。そうして、いくつも張っていた予防線が彼女の過ち。

初めから、己は己として彼らに向かい合っていれば良かったのだ。

勿論彼女の生い立ちからそれが困難であることは判りきっているが、それでも彼女はそうするべきだった。

また、自分でも判っていたのだ。そうすればよかったと。そうしていたら変われていたと。

しかし彼女はそうしておらず自分の気持ちを偽った、その結果のみがある。



そして自分すら騙しきれていなかった嘘でできた鎧が、壊れ。

残ったのは孤独が大嫌いなだけの、ただの一人の少女だった。



心理「わ、わたく、わ、わ、ど、どんなおもいでぇ…………」

心理「そ、それを……み、み、みんな知っていただなんて――――ぇうぅ」ヒック


困ったように笑う三人は、別段怒っている訳でもない。

切っ掛けがどうであれ、心理掌握が彼らと過ごした時間に嘘は無い。その事を知っているから。蛇足だがそもそも一方通行と垣根帝督の関係は半ば殺し合いから始まり、麦野沈利は売られた喧嘩を買う事から始まったのであるし。



へたり込み、嗚咽を漏らし始めた心理掌握に三人が近寄る。

このような事全般に不器用且つ揃って恥かしがりやな三人は、思い思いの言葉を心理掌握に投げかけた。

曰く、別に怖くなんかは無い。曰く、隠していたのは悪いが、こっちも途中から似たようなものだ。曰く、まあちょっと刺激的で面白かった。曰く、抹茶ラテ十杯飲めば許す、等。

それが心理掌握を励まし慰める為の言葉達で、聖人君子でもない彼らは彼女の『隠し事』に少なからず怒っていた事、そして先ほどの言葉達は完全に額面通りの物では無い事は心を読まずとも彼女は理解できていた。

しかし嬉しかった。彼らが、これまで自分に投げかけられた事のある言葉と同じようなものを発していても、その内面まで過去のそれと同じでないこともわかったから。


そしてそれ以上に怖かった。この期に及んで、と言わざるを得ないがそれでも彼女は『心理掌握』だから。これまで彼女(メンタルアウト)を受け入れた人間はいなかったから。

震えそうになる声を必死に抑えてもこぼれる涙は抑えきれず。泣いている子供そのものの様相で、彼女は唇を動かす。



心理「でもわたくし……『心理掌握』、ですのよ……?」

一方「それが俺らがつるむのになンか関係あンのか?」

垣根「俺も未元物質なんだぜ実は」

麦野「それこそ今更過ぎるでしょ、どっちもね?」



鼻水を啜りながら心理掌握が顔を上げる。眼が赤い。


彼女の眼に写った三人の顔は、どれもこれも似たような物だ。




一方通行が表情を崩した。
垣根帝督が口元を緩めていた。
麦野沈利が目を細めていた。



彼らの視線は心理掌握の一身に注がれ、彼女はそれが何を望んでいるものなのかを視線だけで掌握した。


それに応えて、心理掌握は破顔する。


頬を流れる涙よりも、その笑顔は輝いていた。









                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ




一方通行が表情を崩していた、だな正しくは
三度あった事なのになんで四度目があるの? どういうことなの?

何時もどおりのおまけを投下するの


滝壺「おそろいじゃなかった……」シュン

垣根「ほらほら滝壺ちゃん、細かいこと気にしてちゃ駄目だって」

絹旗「ねえ一方、この『カマンベールのフライ』と『モッツァレラの衣揚げ』って、どう違ってどっちがおいしいんですか?」

一方「レラレラレラレラ……。実は来るたンびに俺もそれ考えてンだよなァ……、今日どっちも頼ンでみるか?」

フレンダ「パスタのサイズ……でも運動すればカロリーも……でも最近太ももが…………」

麦野「サーモン! スモークサーモンのサラダ! これね!」

心理「バジルは匂いというか香味が少し苦手なんですの……」



駅前から少し外れたイタリアンレストランに、七人組が座っている。

一つのテーブルで足りなかったからか、二つ並べられたテーブルごしに数多の会話が飛び交う。

メニューを覗き込みワイワイと騒いでいるその様子には、全員が数年来の友人達だと説明されても納得できる程の一体感があった。


一方「サラミベーコンオニオンのS三つ、スモークサーモンのサラダL、スパゲティランチが――――なンだっけか」

絹旗「カルボナーラですね」

滝壺「ミートソース」

垣根「チーズカツレツ」

心理「トスカーナピラフを」

麦野「私はねー…………」


あれだこれだと矢継ぎ早に繰り出される言葉の全てに、弾んだような陽気が乗せられていた。

幸いにも、店内には珍しく彼ら以外に客の姿が無い。少しやかましくも微笑ましい光景に、店員はのんびりとした注文を全て受けた後、笑顔を浮かべて厨房へと消えていった。


そして他愛ない話をいくつかこぼしてから、垣根帝督がいかにも加虐的な笑みをこぼす。


垣根「にしても、手之家心ねえ。こころてのうち、って今考えりゃちょっとストレート過ぎねえか?w」

心理「も、もう! その事はもう言わないで頂けませんかっ!?」

フレンダ「やー、結局でももう心ちゃんって呼ぶけどねー」

麦野「こころんマジこころん」

垣根「おい一方、テメェもなんか名前考えたらどうだ? 何なら俺が名付け親になってやっても構わねえぞ、アクセランよりはカッケェ名前つけてやんぜ」

一方「ァ? 垣念は黙ってろよ」

垣念「」ビキビキビキビキ


絹旗「でも私達にまで内緒にしとくなんて、超徹底してたんですね」

一方「まァ今だから言っちまうが、ここン店員さンに予め手紙渡しといてなァ……。『心理掌握お前の正体は知っているぞ、バラされたくなければ~~』みてェなのを帰り際に手之家に渡してもらう予定だったンだ」

垣念「そんで、ビビりまくってる心ちゃんを俺達がおどかす……っつう筋書きがパァだ」

麦野「残念無念垣念ね。その手紙私にも後で見せてよ」

垣念「おう、良いぜ。……ちげーし! 垣念じゃねーし!」


フレンダ「そういうのホント好きだよねぇ。私も嫌いじゃないけど」

滝壺「ドッキリでした、に憧れるのは不可避だよふれんだ」



垣念「しかし心ちゃんの事、最初っから最後まで手之家って呼んでたのお前だけだな一方」

麦野「そういやそうね。なんで?」

絹旗「超気になりますね」

心理「…………」



麦野沈利の言葉で、その場の全ての視線が一方通行に集中した。心理掌握のものも含めて。

一瞬、生まれて初めてほんの少しビビった一方通行だったが、直ぐに気を取り直した様子だった。


彼が名を呼ばなかった理由は、別に大層なものでもなんでもない。ただ彼が自分でそうしようと決めた程度のものだ。

だから他人に言うことも吝かではない、筈だった。が、今のように話を振られると突如言い難くなる。一度口を噤むと、更に言い難くなる。ハードル上げの法則である。



一方「いや、そンな大した理由でもねェンだが…………」

垣念「ほうほう、それでそれで」


何をどう言っても勿体ぶっている事になる、そう気付いた一方通行は、大人しく白旗を上げる事にした。

早目に終わらせてしまう事で、傷を浅くしようとの魂胆であった。


一方「アレだ。心理掌握ってバラして、それを認めたら名前を呼ンでやろォと思ったンだよ」



瞬間、あらゆるベクトルを感知し、操る一方通行はその場の空気が完全に停滞したのを感じた。

そして、停滞した空気が自分の望まぬ方向へ流れ始めているという事も、同時に。

だが勿論、操作する術などあろう筈も無く。


麦野「じゃあさぁぁぁぁ、あぁぁくせらぁぁぁぁ」


麦野沈利が、邪悪極まりない笑顔に顔を歪めている。


心理「――――――」


心理掌握が、何故か頬を染めている。理由は自分でも判ってはいまい。ただただ、雰囲気に押されただけなのだから。


垣根「名前、一発呼んじゃうか! な、一方ちゃぁぁぁぁん」

垣根帝督が、『良ィ』笑顔で一方通行の肩に腕を回した。


すかさず巻き起こる息の合った『な・ま・え!』コール。

ハァ!? とか アァ!? とか言っていた一方通行も次第に勢いを無くして口をパクパクとさせ始める。

コールが途絶え、俯いた一方通行を待って全員が今か今かとその瞬間を待ち構える。厨房の影から、ウェイターとシェフが顔を覗かせていた。

心理掌握と同じくらい赤面した一方通行は大きく深呼吸をして、ええいままよとばかりに口を開き――――――


一方「こ……、こ……、ここrなンだこの空気はァ!!!?? こォいゥ話じゃねェからこれ!!!!」


空気が一気に弛緩すると同時にほぼ全員の口から笑い声が漏れ出た。そうでない者にも、笑っていない人間はいなかった。


いつの間にやら、ウェイターが料理を持って立っている。皆の笑顔の色が変わった。

鼻と空腹を擽る匂いと彩りに全員が笑みを深めた瞬間、麦野沈利の腹から鳴き声が上がる。


再び上がる笑い声。先ほどのものが漏れ出る笑いだとするなら、今のそれは馬鹿笑いだった。

今や麦野沈利の顔色は、怒りの赤を通り越して蒼白だ。そう、炎は高温で青白く燃え上がるのである。


むぎのん怒りの大爆発が起きるまさに五秒前。心理掌握は幸せだった。

その幸せを細かく分析する事も煩わしい程に幸せだった。

今この瞬間が永遠に続けば良い。なんて、そんな陳腐でありがちな願いに今なら心の底から同意できる。

能力とか、強度とか、実は自分にとってそんなに大切なものでは無かったんだと気付けばただそれまでだった。

そして今の自分には、何よりも大切な物があるから。それだけを心に留めておけば、私はこの先ずうっと幸せだろうと。心理掌握は右から左に顔を向けた。




心理(そうこの方達が……、この方達が『心理掌握』の――――――)

心理(――――私の、大切なお友達)




心理掌握は、そしてその場の友たちは、声を上げて笑う。それに麦野沈利の、乾いた笑いが重なる。

やがて学園都市の一角に響く爆発音。

合わせて。少年少女の断末魔が響いた。

おしまいケル!!! みんなありがとう!!

完全にオリジナルキャラになる『心理掌握』が出る事で若干万人向けから外れたと……っつうかそもそも結構危ないネタが多いけども、少し心配してたんだよww

この先も大きな話は一応二つある予定なんだけど、少し間空くかもしんないケル。
外伝だったり、本編だったり、頑張るわw あと、書けるかどうかは判らんが絡ませたいキャラの組み合わせあったら少し書いてみてくれー
関係ないけど絡むってなんかエロいね

まあ、キャラ間の恋愛は基本、怪しいどまりにするつもりではあるw そういう意味で恋愛させるならまた新しく別に書くかも。雰囲気あるしなw

デルタフォースは、上条さん以外は予定が無かったので三人揃ってる所も考えてみるよー
俺も自分で書いたからかこころんにはだいぶ愛着がわいてきたw

垣根「弱すぎなんだけどマジ!誰こいつを一位って言った奴は!
誰だよこいつを一位って言った奴は出てこいよ!ぶっころしてやるよ俺が!
よーえーなまじ一方通行とか言ってまじで!逃げてるだけじゃねえか!
そういうゲームじゃねえからこれ!」(※格ゲー対戦後)

一方「」ビキビキ

こくじんネタが出た瞬間今までのこころんへの愛が吹っ飛んで、俺の中で此処まで映像が浮かんできた。猛省している
個人的に魔術サイドの人間が見てみたいんだよ
具体的にはステイル君こころんと同年代マジぱねぇとか、ねーちん麦野んと同年代マジぱねぇとか、アンジェレネちゃんダーツ上手すぎ(武器から連想した勝手な妄想)マジぱねぇとか

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