勇太「え?」
森夏「え?じゃないでしょ」
勇太「いや、泣かせてないけど。何だよいきなり」
森夏「クラスの子が見たって言うのよ。富樫くんがあのバカを泣かせてるところ」
勇太「泣かせてないってば。見間違いじゃないのか?」
森夏「文化祭終わって何日か後の事らしいんだけど。ほら、小鳥遊さんが中二病やめてた時期」
勇太「あぁ、あの時のか」
森夏「……身に覚えがあるのね?」
勇太「まぁ……うん、あの時は確かに泣かせちゃったな……」
森夏「……へぇ。やっぱり本当だったんだ」
勇太「あ、いや、でもなんつーかもうそれはホラ、六花も元通りだし解決したっていうか別にその」
森夏「何で泣かせたの?」
勇太「へ?」
森夏「どういう流れでそんな事になったの?」
勇太「どういう……って……ど、どうだったかな……」
勇太「ていうか丹生谷、もしかして怒ってるのか?」
森夏「え?なんで?私が怒る理由なんて何もないでしょ」ニコッ
勇太「……」
森夏「で、何で泣かせたわけ?あ、アイツがクソ生意気だから気に食わなくて自分の方が力あるのをいい事に殴って黙らせたとか?」
勇太「ち、違う違う!そんなんじゃないって!あの時はだな……ええと、弾みというか、口でちょっと言っちゃっただけで」
森夏「弾みで死ねとか言ったんだ?」
勇太「言ってない言ってない!……えーっと、ちょ、ちょっと待ってくれよ丹生谷。何なんだよさっきから」
森夏「いいからさっさと答えなさいよ」
勇太「わ、わかったよ」
勇太「あの時は……あぁ、そうだ、六花が実家に帰るのを見送ってて、そんで凸守が乱入してきて、何で六花と一緒に不可視境界線を探してやらないんだとか言われて……」
森夏「で?」
勇太「それで、あー……えーと……そんな事俺に言われても無理だ的なことをちょろっと……」
森夏「それで?」
勇太「いや、それで終わり」
森夏「え?それだけであのガキは泣いたの?」
勇太「ま、まぁその、勢いでちょっと強い言い方しちゃったからな……」
森夏「どんな言い方したの?」
勇太「ど、どうだったかな」
森夏「は?忘れたの?泣かせたのに?」ミシッ
勇太「あ、お、覚えてる覚えてる!思い出した!思い出したから拳握り締めながら怒るなって!」
森夏「……やぁねぇ。何で私がクソ中坊の事で怒らなきゃいけないのよ」ウフフ
勇太「……」
森夏「じゃ、思い出したならとっとと話して」
勇太「……えっと……お前の攻撃が一度でも効いた事があるのか、とか……いくら願ったって無いものは無いんだよ、とか……」
森夏「ふーん、なるほどね。それで泣いちゃったんだ」
勇太「……」
森夏「あれ?でも変ね。何で富樫くんが泣かせる程強い言い方する必要があったの?」
勇太「え?」
森夏「アイツが中二病なのはいつもの事じゃない。何でその時はそんな全否定するような事言ったの?」
勇太「あの時は……俺も六花の事で色々悩んでて余裕無かったから……」
森夏「へぇ、そうだったんだ。そう言えばそうだったわね。でもそれ中坊とは全然関係ないわよね」
勇太「……」
森夏「単に富樫くんの虫の居所が悪かったから中坊にきつく当たったようにしか思えないんだけど」
勇太「そ、それは……はい。その通りです……」
森夏「……」ミシッ
勇太「い、いや!でもそれはもう済んだ事なんだって!別にその後は俺も凸守も普通に……」
森夏「何狼狽えてんのよ」
勇太「だ、だって丹生谷めっちゃ怒ってるみたいだし……」
森夏「怒ってないって言ってんでしょ」
森夏「ま、とにかく」
森夏「要約すると、富樫くんはたまたま機嫌が悪かったので中坊にやつ当たりして語気を荒げて価値観を全否定して泣かせた、と」
森夏「そういう事でいいのね?」
勇太「い、いや……」
森夏「何よ」
勇太「……いえ……仰る通りです……」
森夏「ふぅん。いくらあのクソ生意気なバカ相手とはいえ、ちょっと酷いわねぇ?さすがの私もそこまでしようとは思わないわぁ」
勇太「……まぁ……俺もあの時は自己嫌悪になったからな……」
森夏「なったから?」
勇太「え?」
森夏「自己嫌悪になったから、何よ」
勇太「や、自己嫌悪になった……ってだけだけど……」
森夏「それで終わり?」
勇太「……」
森夏「理不尽にきつい事言って泣かせておいてそれで終わり?」
勇太「……お、終わりだけど」
森夏「え、ちょっと、は?マジ?さすがに後で謝ったりはしたんでしょ?」
勇太「……して……ないです……」
森夏「……へぇ」ビキビキ
勇太「で、でも別にその後は普通だったから大丈夫なんだって!そりゃ確かに謝ってはいないけど……」
森夏「何で謝らなかったの?」
勇太「何で、と言われてもな……」
森夏「まさか本当は悪い事したなんて全く思ってないんじゃないの?」
勇太「そ、そんなことはない!悪いとは思ってるよ!」
森夏「あ、じゃあもしかしてわざと泣かせたの?年下の女の子いじめて楽しかったんでしょ。最低ね」
勇太「んな……!ち、違う!」
森夏「じゃあ何で謝んないのよ」
勇太「意図的に謝んなかったわけじゃないって!その、タイミングが無かったっていうか」
森夏「……はぁあ?」イライラ
勇太「な、なんだよ……」
森夏「タイミングなんていくらでもあるでしょ。バカじゃないの?部室で顔合わせてるんだし、その気になればちょっと呼び出せばいいだけじゃない。なんならメールや電話ででも謝れるでしょ」
勇太「……」
森夏「小鳥遊さんに告るのはサクッと済ませるんだから中坊に謝るくらい簡単でしょ。あ、自分の女以外は別に知ったこっちゃねえやハハハーって事ね?」
勇太「そ、そんな言い方しなくてもいいだろ……」
森夏「アンタが中坊に言った事に比べたらマシでしょ」
勇太「う、ぐ……」
森夏「で、泣かせた後、別にフツーだったって言ってたけど、最初はさすがに気まずかったんじゃないの?」
勇太「いや、そうでもなかったぞ」
勇太「あの後は……そうそう、凸守の奴、なぜか急に中二病やめててさ」
森夏「……」ガン!
勇太「うわっ!?いきなり机蹴るなよ!びっくりするだろ……」
森夏「『なぜか』?はァ?今アンタ『なぜか』って言ったわよね」
勇太「……言ったけど」
森夏「いやいやいや、ふざけてんの?どう考えてもアンタが中二病全否定して傷付けたからやめたんでしょ」
勇太「あ、あぁ、まぁ、そうだな……」
森夏「……」ミシミシッ
森夏「……でも結局またあのバカが中二病に戻ってるって事はその時に何かしらのフォローはしたのよね?」
勇太「い、いや……特には……」
森夏「……そう。へぇ、そうなの」
勇太「……」
森夏「ふふふ、そうなんだ。何のフォローもしなかったんだ?」
勇太「だ、だってアイツ全然平気そうだったから変にフォローとかしても逆に……な?」
森夏「あ゛?」
勇太「いや、だからさ!あの時もいつものノリっていうか、あ、中二病状態ではなかったけどいつもの感じで絡めたから大丈夫なのかなって、その、お、思って……」ビクビク
森夏「何よいつものカンジって」
勇太「えーと……髪引っ張ったり」
森夏「……ッ」ドゴォ!!
勇太「ひいっ!?」
机「」ボロッ…
勇太「あ……あの……す、すみません……」
森夏「……フーッ……フーッ……」
勇太「ご、ごめんなさい……」
森夏「え?何?なんで私に謝ってんの?別に私はクソ中坊がアンタに何されようとどーでもいいし、全っ然関係ないから」ニコッ
勇太「は、はい……」
森夏「で、泣かせておきながらロクに謝りもせず髪を引っ張った他には何したの?」
勇太「えっと……」
森夏「何したの?」
勇太「な、なぁ丹生谷。もうやめないか?あ、そ、そうだ!俺このあと六花と約束があっt」
森夏「何をしたのか言いなさいよ!!!」バン!!
勇太「はひっ」
勇太「その……」
勇太「き、き……い……って言ったり……とか……」ゴニョゴニョ
森夏「聞こえないんだけど」トントン
勇太「……」
勇太「きも……わ……って……」ゴニョゴニョ
森夏「聞 こ え な い」
勇太「うぐ……」
勇太「き、『気持ち悪い』って言いました……」
森夏「……」ドゴッ!!
勇太「ぅぐぼァ!?」
勇太「う、ぐふっ……」ゲホゲホ
森夏「……」ゴゴゴゴゴ
勇太「ま、待て丹生谷!落ち着け!わ、悪かった!俺が悪かった!謝る!今から凸守に電話して謝るからちょっとタンマ!!」
森夏「……」バゴッ!!
勇太「ぐげッ」
勇太「ちょ、ま、マジでやめて!頭蹴るのはさすがに死ぬって!!」
森夏「うん。死んで」
勇太「ひっ……!い、嫌だ!死にたくない!逝きたくないーーー!!」オロローン
ガラッ
凸守「……ん?お前ら何やってるデースか」
森夏「……チッ」
勇太(た、助かった……)
その夜
勇太(はぁ……今日は大変な目にあったな……)
勇太(マジで殺されるかと思った……)
勇太(丹生谷もあんだけ凸守が大事なら素直になりゃいいのに)
勇太(……)
勇太(まぁ言われてみれば確かに凸守みに結構ヒドい事言ってたよな俺……)
勇太(あの時の凸守の泣き顔……思い出すだけで良心が……)モヤモヤ
http://www.imgur.com/DCzeQHN.jpeg
勇太「」ムクムクムク…
勇太「!?」
勇太(お、おいおいおい!?な、何で勃起してるんだ俺は!!?)カチコチ
勇太(し、鎮まれ!鎮まれ俺のバスタードソード!!)スコスコ
勇太(うっ、ハァ…ハァ…ハァ…!)スコスコ
勇太(で、凸守ッ……)スコスコ
http://www.imgur.com/GeFL1FU.jpeg
勇太(凸守ぃっ……!)スココココ
http://www.imgur.com/8ulWf3G.jpeg
勇太(さ……)スコッ
勇太(早苗えええええぇぇぇェェエエエエ!!!)ドピュゥ
http://www.imgur.com/qhQXSTm.jpeg
勇太(……っ)
勇太(はぁ……はぁ……はぁ……)
勇太(……やっちまった……)
翌日
勇太(最悪だ……。凸守の泣き顔で抜いてしまうなんて……。何やってんだ俺は……)
森夏「……」ギロリ
勇太(丹生谷はまだ怒ってるっぽいし……)
一色「よーよー、どうした勇太?寝不足か?」
勇太「まぁ、似たようなもんだ……」
一色「ほーぅ?まさかお前、小鳥遊さんと朝までベッドで……。くーっ、羨ましいぞチクショーッ」
勇太「違う。つーか六花を変な妄想に使うな!」
一色「はは、わりぃわりぃ」
勇太(まぁ……凸守をオカズにした俺が言えたことじゃないけどな……)
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