やすな「ソーニャちゃんのわちゃわちゃしてるとこが見たい」(31)

わさわさじゃないよ
わちゃわちゃだよ


こーうえーん(公園)

あぎり「わちゃわちゃ……?」

やすな「だから、いつもクールなキャラを気取っているソーニャちゃんが、余裕を無くしてわちゃわちゃしてるところが見たいんですよー!」

  ばこっ

ソーニャ「おい。聞こえてるぞ」

やすな「殴られて、あ。痛い…」

やすな「で、あぎりさん、そういう忍法ないですか!?」

あぎり「んー。そうですねぇ……」ゴソゴソ

あぎり「余裕をなくす忍法なら、あることにはありますよぉー」


やすな「やったー!」パチパチ

ソーニャ「(くだらない……)」

あぎり「ではまずー、小刀を用意しまぁす」ギラッ

やすな「うんっ!」

あぎり「そして、やすなさんの比較的柔らかい部分を刺しまぁす。えーい」ぷすっ

やすな「え」

ソーニャ「!?」


あぎり「小刀を抜いて、きれいに刀身を拭きまぁす」ズビュッ、ふきふき

やすな「い、痛……」ばたっ


あぎり「パト、パト、パト。フゥッフゥッ♪ パト、パト、パト。フゥッフゥッ♪」

あぎり「三分たったら、傷口を洗うとぉ……」水筒ちょろちょろ

あぎり「じゃーんっ」

やすな「すっげぇえ! 傷が治ってるよ! 忍法すっげぇえええ!」

あぎり「それは、忍法じゃありませんよー?」

やすな「?」

あぎり「気づいてなかったですかー? やすなさんは、軽い打撲や捻挫なら三秒、大けがなら五分以内に治せる体質なんです―。さらには即死のはずの衝撃にも耐えられる、不死身さんなんですー」

やすな「(何言ってるんだろう、この人)」(真顔)

あぎり「というか、やすなさんはもしかしたら宇宙人なんですよー。思い当たる節、ないですかー?」

やすな「(大丈夫かしら、この人)」(真顔)

ソーニャ「……」ゴゴゴゴ…


あぎり「ソーニャの殺気が怖いですー」

ソーニャ「あぎり。どういうつもりだ?」

ソーニャ「答えによっては……」チャキッ

やすな「ひゃぁー! 銃だッ! みんなぁっ! みんな、伏せてぇ―!」ふせっ

あぎり「ソーニャこそ、指令、見てないんですかー?」紙ピラッ

ソーニャ「なになに。『奴らの手にわたるくらいなら、やすなをやれ』か。なるほど」

やすな「そっ、そんなぁ! や、やらないよね? まさか親友を殺したりなんか、しないよね!?」


ソーニャ「(さっき刃物がダメそうだったから、今度は銃だな)」バラララララッ

やすな「きぎゃぁあー! ソーニャちゃんの人でなしぃー!」カンカンカンカンッ

ソーニャ「む。(生身で弾けるのか。なら、バズーカーで)」ジャキンッ、どっかーん

土煙もくもくもく……

ソーニャ「(やったか?)」

やすな「ひ、ひどいよぉソーニャちゃん」むくっ

ソーニャ「(これだけ丈夫なら、いっそ刀で首を……)」たたたっ

  がきぃいいん!

やすな「ノォーっ! ぷりーず、べいびぃ! ぷりーずへうぷみー!!」

ソーニャ「(刀が折れた……)」ぼろっ


あぎり「じゃあ、今度は毒薬いってみましょうかー」

ソーニャ「(分厚い作業用手袋で、ビーカーに入った怪しげな液体を持っている……)」

あぎり「やすなさーん。特製ジュースをどうぞ―」

ソーニャ「そんなんで飲む奴があるかっ!」

やすな「うわーい ありがとう あぎりさん! ごくごくごく……」

ソーニャ「」

やすな「うえ。おいしくないよぉー」げぷ

あぎり「王水でもだめですかー」


ソーニャ「外からもダメ、口からもダメなら、いっそ注射なんかどうだ?」

あぎり「ぐっどあいでぃーあー」注射器キラーン

やすな「ふ、ふんっ! まぬけ、まぬけだね二人とも! 二人して相談している間に、交番に逃げ込んでやるんだからっ! さあ、走れ! 走るのだやすな!」だっ

ソーニャ「逃げるな」関節技をきめる。

やすな「あだだだだだだ!」

ソーニャ「安心しろ。苦しまずに死ねる薬だから」にやり

やすな「ひぃいいいい!」

あぎり「以前やすなさんには吹き矢も効いてましたし、今回は上手くいきそうですねー」

ソーニャ「……え。効いちゃうの?」

あぎり「え?」


ソーニャ「ま、まあ、いい。やるぞ」(動揺)

あぎり「えー。やっちゃうんですか?」

ソーニャ「え?」

 ぴぴぴぴぴっ!

ソーニャ「にっ!」びくっ

あぎり「私の携帯ですー」ボタンぴ。あぎり「はいー。はい、はぁい。では、すぃーゆーとぅもろー」ぴ。

ソーニャ「組織の指令か?」

あぎり「『やすなが殺しても死なないことはよくわかった。そいつは放っといて、まずはエイリアンを倒してもらいたい』だそうですー」

ソーニャ「エイリアン。あー、あの紫のタコみたいなやつか」うねうね


やすな「ぷぷーっ! ソーニャちゃんたら、エイリアンなんか信じてんのー!? おっかしいいいい!!」

   ぼかっ

やすな「ソーニャちゃんが殴った……」(泣)

ソーニャ「状況見て言え! 奴らの狙いはお前なんだぞ!」

やすな「へ? なんで?」

ソーニャ「お前は、小さいころにUFOに拉致られてるんだ」

やすな「」


カピバラ「どうも、カピバラです」


ソーニャ「二年間行方不明になった後、今からちょうど十年前にひょっこりともどってきたお前を調査するために、今まで何人もの組織の人間がお前にアタックしていたんだ。体を改造されている可能性が高かったし、やすなの周辺のUFOの目撃数も桁違いだったから。でも、こっちから話しかけるだけの方法では、お前の脳内がフリーダムすぎてすべて失敗したんだ」

やすな「そうだったの……?」

ソーニャ「そうだ。だからどうしてもお前の方から興味を持ってもらう必要があった」

ソーニャ「だから、自己紹介の時にわざわざ私は本当のことを言ったんだ。『ロシアから来たソーニャといいます。趣味はナイフ投げ、職業は殺し屋です』と」

あぎり「忍者もいけましたねー。やっぱり、正直が一番ですー」

やすな「じゃ、じゃあ、いつも殴ってきたのも」

ソーニャ「デ、データ採りだ」


あぎり「三分の一は愛情、半分は八つ当たりでしたねー。データ採りはその残りですー」

ソーニャ「うわああバカ、言うなぁ」わちゃわちゃ

あぎり「そして、やすなさんかエイリアンに怪しい動きがあれば、やるように命じられていたのですー。星間戦争が起きて、やすなさんが人質に取られたり、技術開発に利用されると困るからですー」

あぎり「同じ日本の高校に、えーじぇんとが二人も居るなんて、おかしいと思いませんでしたかー?」

やすな「(ぜんっぜん思わんかった)」がーん

あぎり「とか言ってる間に、エイリアンがー」にょろにょろ

やすな「うっわぁ! すごい掴まれてる! すっごい掴まれてる! いやん…ヌメヌメするぅん……」


じいさん「なあ……。そろそろ、結婚せんか」

ばあさん「ま。おじいさんったら////// おほほっ、ぶほっ、うぇへっ」ゴホゴホ


ソーニャ「しまった! やすながエイリアンに!」

あぎり「やすなさんを掴んだまま、宇宙空間のUFOまで運ぶつもりでしょうかー?」

ソーニャ「くそっ、他のエイリアンに囲まれて動きが取れん!」

あぎり「では、私は忍法でお先に……」どろん

ソーニャ「あっ、ずるいぞ! …ん? あそこにも誰か捕まってる奴が」

没キャラ「たーすーけーて―! あっ」

エイリアン「(ぱく、ごくん げふっ)」


ソーニャ「なんだアイツ……?」

ソーニャ「それより、やすなだ、やすな!」

ソーニャ「大量生産可能で安価、しかし壊れる当たらない! 私のカラシニコフが火を噴くぜ!」ババババババッ

エイリアン「(触手がっ、あっ、触手が、触手がぁっ)」ぶちゃぶちゃぶちゃぶちゃっ

ソーニャ「このまま一気に触手を駆け上」パッ

ソーニャ「え」

エイリアン「(ごめんなさい…もう、無理っ……)」

ソーニャ「いきなり消えるなぁああ落ちるぅう」ひゅーん


綿毛「どうも、たんぽぽの綿毛です」


ソーニャ「にゃぁあああ!!」ひゅーん

あぎり「迎えに来ましたー」ごーっ

ソーニャ「ナイスあぎりぃー!」

あぎり「忍法で、このままUFOまで飛んでいきますよー」ごーっ

ソーニャ「え。でも、UFOって確か成層圏のむこうがわにあるんだよな?」

あぎり「とつげきー」ごごーっ

ソーニャ「うわああああ!」わちゃわちゃ

どーんっ

ゆうーふぉうっ! ふぉうっ! ふう……

あぎり「着きましたー。UFO内部ですー」

ソーニャ「誰が突っ込めって言った!? 死ぬとこだったぞ!」ぼろっ

???『ふふふ……よく来たな侵入者よ……』

ソーニャ「!?」

やすな『コンドハわさわさ……! 』ぐるぐる

ソーニャ「だ、だまってなーみん……?」

あぎり「あらー? 頭に変な機械が。それにマントも……。あれで操られてるのですねー」

ソーニャ「やすなを操るとは……迂闊に攻撃できな」

やすな『……イツデモカモカモ!』かもかも


 そのとき。ソーニャの身体が、考えるよりも先に動いた。

黙ったまま眼だけをらんらんと怒らせて、真っ直ぐにやすなに詰め寄り、

ソーニャ「なんだとどーん!!!」

ばきぃいんっ!!

渾身の力で殴り飛ばした。理由は単純。「むかついたから殴る」それがソーニャだ。

やすな『あぅんっ』どさっ


 そのとき。ソーニャの身体が、考えるよりも先に動いた。

黙ったまま眼だけをらんらんと怒らせて、真っ直ぐにやすなに詰め寄り、

ソーニャ「なんだとどーん!!!」

ばきぃいんっ!!

渾身の力で殴り飛ばした。理由は単純。「むかついたから殴る」それがソーニャだ。

やすな『あぅんっ』どさっ


ソーニャ「えいっ、やぁっ、ていっ!」どかばきすこ

エイリアン「(あうあうあうあう)」どさどさどさっ

あぎり「「「「「「「「「ふふふふふふふ……」」」」」」」」」

あぎり「「「「「「「「「分身の術ですー」」」」」」」」」すすすすすすすすすっ

あぎり「「「「「「「「「爆弾、えーい!」」」」」」」」」ポイポイポイポイポイポイポイポイポイ

エイリアン「(あ。機内での爆発物のご利用はご遠慮下さ……)」

やすな「……むにゃ。あれ? おはよーみんn」

  ちゅどーんっ!
 
 UFOは、校庭の何もないところにやさしく落ちました。

 瓦礫の掃除、させられました。


ちがうひー!

あぎり「エイリアンさんから、お手紙がきてましたー」

ソーニャ「? 一機墜落させたから、仕返しとか?」

あぎり「いいえー。読み上げると、『星中に応援されて地球くんだりまで出張して、はや○×年。久しぶりに本国に戻ってみると、政権が変わっていました。YASUNAの研究報告をすると星中で非難轟々の嵐。結局プロジェクトは中止になりました。つきましては、この度のご無礼のお詫びと今後の友好関係への足掛かりとしてYASUNAを我が星に招待したいと―――』」

ソーニャ「誰が行くんだそんなもん……」

あぎり「とりあえずー。星間戦争にはならずに済むみたいですねー」

やすな「えぇー! 星に招待!? 行きたい行きたい行きたい行きたいぃー!!!」


ソーニャ「あぎり」

あぎり「はーい。やすなさん、この五円玉をじぃっと見てくださぁい」

やすな「じぃー!」

あぎり「あなたはUFOのことを忘れるー。あなたはエイリアンのことを忘れる―」

あぎり「はい、わすれましたか?」

やすな「え? 何を!?」

ソーニャ「エイリアン」ぼそっ

やすな「ぷぷっ! エイリアンだって! ソーニャちゃんエイリアンなんか信じてんのぉ!?」げらげら

ソーニャ「」いらっ

  ばこんっ

おわり



蛇足短編。今回の話には関係ない。

またつぎのひー


ソーニャ「ついてくんなっ!」

やすな「いいや! 行かせない!!!」

ソーニャ「急いでるんだっ! じゃあな」スルスルッ


やすな「ああーんソーニャちゃーん」

あぎり「やすなさん」掃除用具入れ

やすな「なんですかー、あぎりさん。(好きなのかな、掃除用具入れ)」

あぎり「ソーニャの心配は、しなくてもだいじょうぶですよー。いえ。もしかしたら、しないほうがいいかもしれませんねー。ソーニャはああ見えて、とっても強いですから」

やすな「で、でもっ、」

あぎり「本当に強いんですよ。その気になれば、組織から逃げるのだって、いや、壊滅させるのだって簡単にできるくらい強いんです」


やすな「たとえそうでも、ソーニャちゃんがひどい目に合うかもしれないってことは変わらないよ! 殺し屋は悪いことだし! もし、仮にだよっ、他にとりえが無くたって」

あぎり「ソーニャは、殺し屋を止めようと思えばできるんです。殺し屋をするために持っている技術で、食べるのにも困りませんしね」

やすな「だったら、ソーニャちゃんが殺し屋を続ける理由無いじゃん! よっし、やめさせてくる!」

あぎり「ところで、やすなさんは将来何になりたいのですか?」

やすな「えー、急にそんなこと言われてもぉ……。ケーキ屋さんかな? いや、やっぱりアイス屋さんかなー!」

あぎり「やすなさんは今、自分の好きなことに関連するお仕事を思い浮かべたでしょう? ケーキが好きだからケーキ屋。アイスが好きだからアイス屋。……私も、忍者の道具が大好きです。だから、自分の忍者の仕事がとても好きです。それと同じですよ」

あぎり「ソーニャも、きっとそうだと思いますよ」

やすな「えー。いみわかんない」(真顔)


 そうして、やすなはソーニャを止めるために歩きだし、

脳細胞のどこかで、あることに気づいて足を止めた。

やすな「ま、まさか。ソーニャちゃんって……」

やすな「……ナイフフェチ?」

おわり

読んでくれた人いたらありがとうございましたー

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