北条加蓮「正妻選手権だって」 (69)
凛「正妻選手権?」
加蓮「そう、正妻選手権。まゆとちひろさんが話してたんだけど」
凛「どういう大会なの?」
加蓮「私もよく分からなかった。けど、事務所内で秘密裏に行われる大会で、誰が正妻役としてふさわしいか決めるんだとか何とか」
凛「正妻……ってことはやっぱり」
加蓮「プロデューサーの正妻って事なのかなあ。社長は既婚だし」
凛「これは……」
加蓮「参加するしかないよね」
凛「奈緒も呼ぼう」
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渋谷凛(15)
http://i.imgur.com/vNMdXQX.jpg
http://i.imgur.com/3ei2QLk.jpg
北条加蓮(16)
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http://i.imgur.com/4OU2sNv.jpg
・・・・
奈緒「なんでアタシまで」
加蓮「奈緒はさ、もしプロデューサーが私達の知らない所で他の誰かと結婚したら悔しくない?」
奈緒「べ、別にそれはあの人の自由なんじゃ……」
加蓮「それはそうだけどさあ、『私達を選択肢に入れる事もなく結婚相手を決めた』ってのは腑に落ちない訳じゃん?」
奈緒「まあ、それは……」
加蓮「今まさに、そんな事が行われようとしてるの。これは由々しき事態だよ」
奈緒「でも別に正妻選手権って言ってもそのまま結婚する訳でもないんじゃないか?」
加蓮「いーや、これはきっと大きなアドバンテージになるよ。役だろうと何だろうと、なるからには正妻!ガールズビーワイフ!」
凛「女性の社会進出に全力で喧嘩売った台詞だね」
奈緒「まあ、加蓮がそこまで言うならアタシも参加するけど……その大会自体はいつやるんだ?」
加蓮「あ、そういえば知らないや」
奈緒「おいおい」
加蓮「あくまで盗み聞きしてただけだから」
凛「まゆに聞いた方がいいかな」
加蓮「ちひろさんは情報料ぼったくりそうだし」
奈緒「そこまで鬼じゃないだろあの人」
加蓮「宣戦布告も兼ねて、ね」
奈緒「穏やかじゃないなあ」
・・・・
凛「おはよ、まゆ」
まゆ「あらぁ凛ちゃん」
凛「訊きたい事があるんだけど、いいかな?」
まゆ「なんですかぁ?」
凛「『正妻選手権』」
まゆ「っ」
凛「その反応、大体知ってるって事だよね」
まゆ「あなた達がそれを聞いてどうするの?」
凛「勿論参加するよ」
まゆ「やめた方がいいと思うけど」
凛「それはどうして?」
まゆ「……凛ちゃん達には『武器』がない」
まゆ「それじゃあプロデューサーさんのお役には立てないわ」
凛「……」
まゆ「この話は終わりねぇ」
凛「待って!」
まゆ「?」
凛「その大会はいつあるの?」
まゆ「来月ですねぇ」
凛「……それまでに全員その『武器』っていうのを見つけてくる」
凛「だから、私達もその大会に参加させて欲しい」
まゆ「……そこまで言うなら、あなた達の覚悟は受け取りました」
凛「まゆ……」
まゆ「詳細は後で連絡するから。参加の手続きはまゆが済ませてあげるわよぉ」
凛「ありがと、ね」
まゆ「いいえぇ?別にあなた達じゃまゆの敵にはなれませんからぁ」
凛「啖呵を切ったはいいけど……」
奈緒「武器、ねぇ」
加蓮「やっぱり、家事とかなのかなあ」
奈緒「アタシ達そんなに家事得意でもないしなァ……」
加蓮「まゆや川島さん、響子なんかを相手取らなきゃいけないなら、なかなか厳しいよね」
凛「私達の武器って、なんだろう」
奈緒「……」
加蓮「……」
凛「……」
奈緒「……愛?」
凛「え?」
加蓮「え?」
奈緒「い、いや、なんでもない!なんでも!」
凛「いや、それだよ奈緒!」
奈緒「あー恥ずかし……え?」
凛「私達の武器は『愛』!相手を大切に思う気持ち!それはきっと他の誰にも引けをとらないよ」
加蓮「凛……」
奈緒「恥ずかしげも無くよくぞそんな事」
凛「奈緒には負けるよ」
凛「とは言え、それだけで勝てる程『正妻役』という立場は甘くはないと思うんだ」
奈緒「それは、まあなあ」
加蓮「てことはやっぱり」
凛「うん、家事なんかのスキルを一か月で上達させていく」
加蓮「大変だなー」
奈緒「できるかなぁ」
凛「私達はトライアドプリムスだよ。どんな困難にも諦めずに立ち向かっていける」
凛「それは、三人が一緒だから」
奈緒「……」
加蓮「……ニュージェ――」
凛「それで作戦なんだけど」
凛「『炊事』、『掃除』、それから『洗濯・裁縫』の3つをそれぞれ1つずつ習得しよう」
加蓮「1つずつ?」
凛「うん3人のチームワークも私達の大切な武器。それを活かさない手はないよ」
奈緒「法律は」
凛「曲げる」
加蓮「婚姻なんてたかが書類一枚の上の決まり事だから。その気になれば3人ともお嫁さんにしてもらえるから」
奈緒「時々お前らが怖くなるよ」
凛「とにかく、どの項目を習得するか決めるよ。あみだで」
奈緒「あみだで!?」
・・・・
凛「私が掃除」
加蓮「洗濯・裁縫」
奈緒「料理か……」
凛「じゃあ一か月頑張ってね、というのも難しいと思うし、講師の方々を呼ぶ事にするよ」
奈緒「おお!教えてくれる人がいるなら助かるなあ!」
凛「今連絡取ってるから、もう少し待ってね」
・・・・
凛「これからお世話になる3人だよ、よろしくね」
卯月「島村卯月17歳!担当は掃除です!」
大原「フゴフゴフガ料理フゴフゴフゴ」
きらり「おなーしゃー☆」
奈緒「ん?」
凛「それじゃあみんな、この3人の元で――」
奈緒「待って、待って」
凛「どうしたの?」
奈緒「3人の中で唯一講師足りえるのってみちるだけじゃないのかこれ」
凛「別にスキルを磨いてくれる人だけが講師じゃないよ」
凛「3人でこれから生活してもらって、塞がれた状況の中スキルの覚醒を促す」
凛「言わば『みんなで一回谷底に落ちてみようか大作戦』」
奈緒「なんだそれ!」
凛「あずきが考えそうだなって」
加蓮「かくして、嫁入り修業は始まるのだった」
奈緒「え、始まんの!?加蓮はこれでいいの!?」
加蓮「プロデューサーのお嫁さんになれるなら……」
奈緒「加蓮お前気付いてないかもしれないけど結構病んでるよ!」
みちる「奈緒さんはあたしでは不満ですか……?」ウルッ
奈緒「え、いや、別に不満って訳じゃ……」
みちる「決まりですね、美味しい料理期待してます」
奈緒「演技派!!この娘ったら演技派だチクショー!」
―――卯月の部屋
凛「すごい散らかってるね」
卯月「お掃除の講師を頼むって凛ちゃんに言われてから掃除しないようにしてたんだよ?」
凛「言ったのほんの少し前なんだけど」
卯月「細かい事は気にしちゃ駄目だよ!」
凛「とりあえず片付けるね、卯月はゆっくりしてて」
卯月「凛ちゃんありがと!」
凛「でもなんか、この散らかり方若干感情が籠ってるような」
卯月「なんか奈緒ちゃんや加蓮ちゃんの事ばっか考えてる凛ちゃんが憎くて……」
凛「ご、ごめん……」
―――みちるの家
みちる「キッチンはここです。欲しい食材があったらダッシュで買ってきますよ」
奈緒「ああ、うん、でも何から作れば……」
みちる「やっぱり基本は主食、汁物、おかずですよね。ご飯を炊いて、お味噌汁を作って、お魚を焼いてみるのはどうでしょう」
奈緒「みちるってパン派じゃないのか?」
みちる「食べられる物は何でも好きです」
奈緒「ま、こうならやるしかないよな!」
みちる「そんなにプロデューサーのお嫁さんって魅力的ですかね」
奈緒「べべべ別にィ!!それが目的って訳でもないし!!」
―――きらりんルーム
加蓮「わ、服がいっぱい」
きらり「加蓮ちゅわんにはーこのお洋服のお洗濯とかー☆新しいお洋服とか作ってもらいたーい☆なんて!うきゃ!」
加蓮「いきなり服を作るのは難しいなあ、まずは洗濯から勉強しなくちゃ」
きらり「加蓮ちゃん真面目ー!にゃは☆」
加蓮「ありがと、でもこういう材質の服って」
きらり「洗濯機さんに洗ってもらったら縮んじゃうにぃ」
加蓮「手洗いかー」
きらり「あときらりねー、最近こんなお洋服も好きなんだにぃ☆見て!見て!」
加蓮「スーツ!」
きらり「似合う?似合う?」
加蓮「意外と似合うね」
きらり「もう照れちゃうーー!」バシィ
・・・・
凛「これ捨ててもいい?」
卯月「ああ!それは三か月前にロケ先で貰ったテニスボール!捨てちゃ駄目!」
凛「これは?」
卯月「それはCMに出た時に貰った高級シャンプーの空き容器!!なんか使えそうだから置いてるの!」
凛「これは捨てていいよね?」
卯月「それはライブの時に舞台袖で拾ったバミリ用のテープ!思い出の品だから捨てないで!」
凛「捨てなよ!!」
卯月「いーやーだー!」ジタバタ
凛「まったく卯月は……物に愛着湧かせすぎだよ」
・・・・
みちる「焼き魚といってもただ焼くだけではありません」
奈緒「と言うと」
みちる「表面に塩をまぶすのは当然ですね?それから焼く順番は盛り付ける表側からです」
奈緒「表側」
みちる「皮がある方が表です。鮭なら分かりやすいでしょう」
奈緒「なるほど」
みちる「手が止まってますよー?」
奈緒「おおっと」シャーコシャーコ
みちる「無洗米とはいえ一度は洗った方がいいです」
・・・・
きらり「これはー☆お気に入りのニットだよ!」
加蓮「ウール生地だね」
きらり「ウールさんはねぇ?ちゅーせー洗剤で洗うんだよ!」
加蓮「ちゅーせー?ああ、中性」
きらり「アルカリはいやいや!なんだにぃ☆」
加蓮「大事に手洗いだね」
きらり「うんうん!杏ちゃんが作ってくれた宝物だにょ!!」
加蓮「縮まないように気を付けなきゃね……って杏が!!?」
・・・・
凛「割り箸にいらない布を巻きつけて輪ゴムで固定……出来た!『渋谷棒』!!」
卯月「マツイ棒だよね」
凛「渋谷棒」
卯月「コッシーに怒られるよ」
凛「大御所をコッシー呼ばわり!!?」
卯月「高須棒くらいにしときなよ」
凛「電撃文庫から許可降りるかなあ」
卯月「そもそもそれどうやって使うの?」
凛「狭くて手が届かない所の掃除だよ」
・・・・
奈緒「も、もう味噌入れていいよな?」
みちる「火を止めてからですね」
奈緒「おおっと」
みちる「あと味噌をそのまま入れてはいけません。溶いてから入れます」
奈緒「こうだな」
みちる「味噌汁の美味しい温度がどれくらいか知ってますか?」
奈緒「さあ……」
みちる「だいたい65度ですね。味噌を入れた後は決して沸騰させてはいけません」
・・・・
加蓮「あ、この服虫食いが!」
きらり「むぇー、こんな事する虫さんは嫌いだにぃ……」
加蓮「こういうのってどうするの?」
きらり「お店に持っていくかぁーー、これ!にゃはっ☆」
加蓮「アップリケ」
きらり「アッチョンブリケ☆」
加蓮「アップリケねえ」
きらり「この場所なら結構似合っちゃうかもーー!」
加蓮「縫い目にも気を遣わなきゃね」
きらり「加蓮ちゃんってかしこい!」
・・・・
凛「初めて重曹を掃除に使った人って何を考えてたんだろう」
卯月「やっぱり科学者!って感じの人かなぁ」
凛「見てほら、サッシの汚れがみるみる落ちていくよ」
卯月「じゃあちょっと汚れの気持ちになってみるね?」
凛「うん」
卯月「じゃあ残していこうか、私達の足跡……ってうわー!!重曹だー!!」
凛「……」
卯月「凛ちゃん?凛ちゃんってば」
凛「……」
卯月「ごめん……」
・・・・
奈緒「砂糖、醤油、みりんか」
みちる「醤油は最後がいいですよ」
奈緒「比率ってあるよな?」
みちる「みりんと醤油が同じ量で、砂糖がその半分くらいですかねえ」
奈緒「それがいいのかな?」
みちる「あくまで大原家の味付けです。家によってレシピは違うでしょうし」
奈緒「じゃあどうすれば……」
みちる「料理を作る上で重要なのが『味見』です。世のお母さん達は意味もなく煮汁を舐めているわけじゃありませんよ?」
奈緒「なるほど……まずは大原家のレシピで、それから調整していけばいいんだな?」
みちる「グッドです奈緒さん」
・・・・
加蓮「ボタンつけに挑戦するよ」
きらり「きらりんボタンつけー☆」
加蓮「速っ!もう一回見せて!?」
きらり「きらりんボタンつけー☆」
加蓮「速っ!!」
きらり「裁縫の本があるから便利ー☆」
加蓮「あ、これ読めば分かるんだ」
きらり「ボタンをぎゅーぎゅー!につけちゃうとー、留める時にいやいや!ってなっちゃうから注意だにぃ」
加蓮「余裕を持たせる、って事だね」
・・・・
凛「エアコンも掃除するよ」
卯月「エアコンも?」
凛「フィルターを掃除しないと変な臭いがするしね」
卯月「へー」
凛「新聞を引いてその上にフィルターを置いて……」
凛「掃除機で吸う!」
卯月「残していこうか、私(カビ)達の足跡……うわぁー吸われるー!!」
凛「……」
卯月「ごめんってば凛ちゃん!ああっ!だからそのテニスボール捨てちゃダメだってば~!」
・・・・
みちる「サンドイッチ、あたしも大好きです」
奈緒「お弁当にも丁度いいしな」
みちる「忙しいプロデューサーにピッタリですね」
奈緒「べべべべ別にププププロデューサーの為の弁当なんて言ってないし!!」
みちる「焦り過ぎです」
奈緒「ごめん……」
みちる「さて奈緒さん、サンドイッチにおけるバターの役割は何でしょう」
奈緒「味付けだけじゃないのか?」
みちる「勿論それもありますが、パンに具材の水分を染み込ませないといいう役目もあります。つまりその為にはバターを薄く均等に塗らなければなりません」
奈緒「でもこのバター今冷蔵庫から出したばっかで固いな」
みちる「はい、問題発生ですね。どうしますか?」
奈緒「ま、待つ」
みちる「間違いではありませんがそれはいわゆる『準備不足』ですね」
奈緒「う~ん……あっ!ちょっとレンジで温める!」
みちる「そうですね、熱を与えればすぐにバターは常温にできます。その場で起こる問題に対処する柔らかな発想も料理には大切ですね」モッシュモッシュ
奈緒「……サンドイッチ用のパン食うなよ……」
みちる「ハッ、つい手が」
・・・・
加蓮「スーツの洗濯ってどうするの?」
きらり「素直にクリーニングだにぃ」
加蓮「じゃあ洗うのはカッターシャツだけかあ」
きらり「アイロンかけもしなきゃめっ!だよ☆」
加蓮「じゃあその練習だね」
きらり「襟からかけるとグー☆」
加蓮「細かいところから……と」
きらり「シワを作らないよーにウォッチウォッチ☆」
加蓮「先に形を整えると楽だね」
きらり「ばっちし!」
・・・・
凛「やっぱり基本は雑巾がけだよね」
卯月「結構逞しいよね凛ちゃん」
凛「花屋の手伝いで慣れてるよ」
卯月「便利な道具もいっぱいあるけど」
凛「細かいところは手でやるのが一番だよ」
卯月「凛ちゃんすごいねぇ……って、え?何この雑巾」
凛「卯月の分。卯月はそっちをお願いね」
卯月「私もやるの~?さっき休んでていいって……」
凛「苦労は共有した方がいいんだよやっぱり」
・・・・
みちる「揚げ物は注意ですよー」
奈緒「顔を火傷なんかしたら洒落にならないしなあ」
みちる「ところで奈緒さん、なんでサンドイッチは耳を取るか知ってますか?」
奈緒「耳ぃ?そういやなんでだ?」
みちる「一度耳ありで具材を挟んでみれば分かります。圧力が均等にかからないので具材がはみ出してしまうんです」
奈緒「へぇー……ってどうして今そんな話を」
みちる「はい、ここで油の温度を測ってみましょう」
奈緒「ああ!!温度が上がりすぎてる!!」
みちる「どうしますか?勿論冷水を入れると大惨事です」
奈緒「どうすれば……あっそうか!」
奈緒「冷たい油を入れればいいのか!」
みちる「正解です。いいセンスですね。カツサンド楽しみ」
・・・・
きらり「ミシンもとっても上手だにぃ☆」
加蓮「ありがと……かなり上達した気がするよ」
きらり「加蓮ちゃんの努力!すごいっ!」
加蓮「あーでも、時々歪んじゃう事があるんだよねえ」
きらり「足元をジィーっと見てると誰でも真っ直ぐ歩けないでしょー?お・な・じ☆」
加蓮「えーっとつまり、縫ってる所じゃなくてその先を見ながらミシンをかけるって事?」
きらり「当たり!にょわ!にょわ!」
加蓮「なんか、こういうのって慣れると楽しいね」
―――二週間後、事務所
凛「みんな、嫁入り修行は順調?」
加蓮「まあまあだね」
奈緒「あ、あのさ、今日は三人分のお弁当を作ってきたんだけど……」
加蓮「ほんと!?奈緒ってば優しー!」
奈緒「照れるからやめろよ……凛はこの前部屋の掃除手伝ってくれてありがとうな」
凛「奈緒の部屋DVD多過ぎだよね」
加蓮「分かる」
奈緒「別にいいだろっ!?」
加蓮「あ、凛の服の袖のボタン取れかかってるよ」
凛「本当だ」
加蓮「つけてあげるから貸して?」
凛「ありがとうね、加蓮」
加蓮「ううん、気にしないで」
ちひろ「……」
ちひろ「なんかよく分からないけどいいわぁ……(恍惚)」
それから二週間、三人はさらに家事スキルを磨いていった―――
加蓮「どうかなきらり、きらりに似合う服ができたと思うよ?」
きらり「うきゃーー☆ばっちし!ばっちし!加蓮ちゃん大好き☆」
奈緒「これがアタシの出す夕飯だーー!!」
みちる「栄養バランス、味付け、見た目、完璧です。奈緒さん才能ありますねー」バクバク
卯月「さあ凛ちゃん!今日も掃除を頼むよ!」
凛「なんで数日でここまで散らかせるの」
―――二週間後
凛「ついに来たね、この日が」
奈緒「ああ、そうだな……」
加蓮「私達の実力が試される時だね」
凛「それじゃあ会場に行こうか、正妻選手権のね」
みちる「なんだか感無量という奴ですね、心が満腹です」
きらり「加蓮ちゃんならきっと大丈夫だにぃ」
卯月「凛ちゃん頑張ってね……」
みちる「いやあしかしどんどん料理が上達していく様子は圧巻でしたねー、教え甲斐もありました」
きらり「加蓮ちゃんもすごかったんだよー?きらりんパワーをどんどん持って行くの☆」
卯月「私も……私は部屋の掃除してもらっただけだった」
きらり「……」
卯月「……」
―――会場
奈緒「なんか、緊張するな」
加蓮「ここで怖気ついたらダメだよ、奈緒」
奈緒「ああ、おう、そうだな」
真奈美「おっと、君達も参加するのかい」
凛「真奈美さん!」
奈緒(木場さんも参加するのか……確かにこの人の料理めちゃくちゃ美味しいもんなぁ)
真奈美「勝算はあるのかな?」
凛「当たり前です」
真奈美「いい返事だ。健闘を祈るよ」
凛「私達は今日までバラバラに努力を続けてきた」
凛「今日はそれを1つにする日」
凛「絶対負けないって、そう信じてるよ」ギュッ
奈緒(凛、手が震えて……)
加蓮「大丈夫だよ、凛」
加蓮「私達はトライアドプリムスで、今までもこれからもどんな困難にも立ち向かっていける」
加蓮「それは凛が教えてくれた強さ。奈緒が見せてくれた前向きさ」
加蓮「私達3人、きっとどこまでも行けるから」
凛「加蓮……」
『それでは!参加者の入場です!!』
加蓮「行こう、みんな」
凛「うん!」
奈緒「ああ!」
都『まずはチームで参戦となるトライアドプリムス!!渋谷凛、北条加蓮、神谷奈緒をメンバーとするユニットです!!』
都『彼女達いわくその武器はチームワーク!!この大会のダークホースとなるか!!』
加蓮「よしっ」
都『佐久間まゆ!!宮城県出身!!武器は包丁!!』
都『プロデューサーの為ならどんな仕事でも買うと言ってこの大会に参加しました!!』
奈緒「んん?」
都『木場まなみ!!長崎県出身!!武器は素手!!』
都『アメリカ仕込みの軍式格闘術と鍛え上げられた肉体で暴走した人間をいとも簡単に鎮圧します!!』
凛「あれ?」
都『中野有香!!東京都出身!!武器はこちらも素手!!』
都『若干18歳にして神誠道場師範代、そして神心会空手黒帯!!戦闘力では他の追随を許しません!!』
都『片桐早苗!!新潟県出身!!武器は手錠!!』
都『警官時代に培った格闘術と逮捕術で前回大会でも好成績を収めました!!』
都『クラリス!!兵庫県出身!!武器は不明!!』
都『その力は謎に秘められていますが開眼した際の重圧は恐ろしいと言われています!!』
都『そしてついに現れましたこの大会の大本命!!』
都「前回大会の覇者にして制裁役として活躍するアイドル!!』
都『武器は注射器!!出身は愛媛県!!』
都『ミス折檻!!柳清良!!!!』
ワアアアアアアアアアアアアア!!!!
都『さあ始まります第2回制裁選手権!!新たな制裁役が誕生するのか!!それとも清良氏がその座を守るのか!!』
都『実況は私、安斎都が勤めます!!』
加蓮「……」
凛「……」
奈緒「……」
加蓮「……えーっと……」
凛「……」
奈緒「……」
加蓮「その……ごめん……」
凛「いや、私も……ごめん……」
奈緒「制裁って……制裁って……」
凛「……」
加蓮「あの……さ……」
奈緒「……」
凛「……」
加蓮「もしも……もしも、3人が三十路越えても独身だったらさ……」
加蓮「その時は……一緒に暮らそう?」
凛「……うん」
奈緒「……ああ」
おわり
おまけ
―――昨年5月、第1回制裁選手権
ヘレン「制裁役を決める大会ねえ、まあ私は参加しないけど」
ヘレン「世界レベルな分析を根拠に言わせて貰えば……早苗以外に勝ち目はないわね」
ヘレン「可能性があるなら対抗馬として真奈美、その程度」
あい「ふっ……1人見落としているのではないかい?」
ヘレン「1人?それは誰?」
都『続いては……おや、この人は……?』
都『えー、1人紹介を忘れていました。愛媛県出身、武器は……注射器?』
都『意外に思われるでしょう、彼女の前職は白衣の天使こと看護婦』
都『どのような制裁を見せてくれるのでしょう、柳清良!!!』
あい「会場の誰もがあなたと同じ予想をしているが……きっと結果は違う物でしょう」
あい「……さあ見せてやれ清良。君を忘れた全ての人間に、大きな衝撃を与えてやるんだ」
真奈美「ほう、君がいるなんて意外だね」
早苗「清良ちゃんって治す専門じゃないの?そんな黒い恰好しちゃって」
清良「……いえ」
清良「白衣の天使には飽きてしまって♪」
おわり
おわりですごめんなさい。
このSSの真の目的は清良さん讃歌です。
期待とか言われた時は心がチクチク痛みました。
過去作
西園寺琴歌「激論!朝までそれ可愛い」
姫川友紀「冬の朝にキャッチボールを」
城ヶ崎美嘉「これ入れ替わってるー!?」
です
清良さんは皆勤です
安斎都(16)
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木場真奈美(25)
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中野有香(18)
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片桐早苗(28)
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クラリス(20)
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柳清良(23)
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東郷あい(23)
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ヘレン(24)
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