響「あれだぞ、あれ」(99)
765プロ事務所にて
響「うーん……」
響「えっと……」
響「何だっけ……」
ガチャ
貴音「おはようございます」
響「むむむ……」
貴音「今日は早いですね、響」
響「あ、貴音、おはよう」
貴音「どうかしたのですか?」
響「物の名前がでてこないんだ……」
貴音「名前?」
響「うん、よくスーパーとかで見かける袋なんだけど……」
貴音「袋、ですか。それは一体どのような袋でしょうか」
響「透明っぽいやつだぞ」
貴音「びにぃる袋ではないのですか?」
響「うーん、ビニール袋とはまたちょっと違うと思う」
響「こう、薄くて、ロールになってて」
貴音「巻物の様に、ですか」
響「魚のパックとかを入れるのに使うんだぞ」
貴音「なにゆえに」
響「他の物が濡れないように」
貴音「ほぅ」
響「他にも、ドライアイスを入れたり」
貴音「どらいあいす、ですか。分かりません」
響「ドライアイスはアイスが溶けない為の、えっと、保冷剤みたいな物だぞ」
貴音「あぁ、あいすなのですね、承知しました」
響「……まぁ、いいや」
響「と、とにかく主婦にとっての心強い味方なんだ」フンス
貴音「真に、便利な袋なのですね」ウンウン
響「分かった?」
貴音「いえ、さっぱり」
響「……やっぱり出てこないぞ」ウガー
貴音「申し訳ありません、響」
響「貴音は何も悪くないぞ、自分が思い出せないだけで……」
響「うぅ、気になるなぁ」
貴音「このままでは埒があきません」
貴音「他の誰かに力を借りる事にしましょう」
響「……というわけで、ぴよ子知ってる?」
小鳥「あれでしょう?あれよね」
貴音「知っているのですか!!」
小鳥「ええ、よく使うわよ」フフン
響「やったぞぴよ子!!あれ何ていうんだ?」キラキラ
小鳥「なんだけど、よく使うんだけど……」
貴音「?」
響「……だけど?」
小鳥「私ビニールって呼んでるのよね、あれのこと」
響「」
貴音「」
小鳥「……ごめんね」テヘピヨ
響「」
貴音「」
小鳥「ご、ごめんなさい」
響「……がっかりだよぴよ子」チッ
貴音「貴女には失望しました」ハァ
小鳥「」
響「貴音、ぴよ子はあてにならなかったぞ」
小鳥「本人の前で!?」ピヨーン
貴音「そうですね、次は“頼れる”人をあたりましょう」
小鳥「貴音ちゃんまで!?」ピヨォ
響「行こう貴音、ピヨが移るぞ」
貴音「ええ」
小鳥「そんなぁ……」
響「何だったかなー」
貴音「おや、誰か来るみたいですよ?」
タッタッタッタ バタン
真「おっはようございまーす!!」
響「おはよう、ナイスタイミングだぞ」
貴音「真、良きたいみんぐですよ、真」
真「どうしたの?」
響「実はだなー」カクカクシカジカ
貴音「という訳なのですが、どうでしょうか」
真「うーん、よく破裂させて遊んではいたんだけど……」
真「ごめん、名前までは知らないや」
響「そっかー……」
貴音「仕方ありませんよ」
貴音「因みに破裂させる、とは?」
真「あの袋にふーっ、って息を入れてから口をねじるんだよ」
真「そしたら思いっきり踏んづけると『パァン!!』って」
貴音「面妖な」
真「それがなかなかクセになるんだよねー、って響?」
響「破裂……破裂……」ブツブツ
貴音「どうしたのですか?」
響「っ!!……な、なんでもないぞ」
真「あ、やよいなら」ポン
真「やよいなら分かるんじゃない?よくスーパー行ってるし」
貴音「盲点でした」
貴音「やよいは……、まだ来てない様ですね」
真「一緒に待つよ、ボクも気になるし」
響「薄くて……、透明……」ブツブツ
タタタタ ガチャーン
やよい「おはようございまーす!!」ウッウー
貴音「おはようございます、やよい」
響「やよい!!」ガシッ
やよい「っ!!響さん?」ビクッ
響「袋の名前教えて!!」
やよい「え?」
響「薄くて透明な破裂するとパァンな袋!!」
やよい「ひ、響さん……?」
真「ちょっと響落ち着いて!!」
貴音「響……?」
響「クルクルって!!濡れないように!!」ユサユサ
響「やよ!!い!!はやく、クルクル!!」ユサユサ
響「名前!!名前!!やよ!!ううううう!!」ユサユサ
やよい「きゃあああああああ!!」グワラグワラ
貴音「やめるのです響!!」
真「響!!何やってるんだよ!!貴音、そっちをおさえて!!」ガシッ
響「うがああああ!!なまえ!!なまえええええ!!」ジタバタ
小鳥「どうしたの、って響ちゃん!?」
真「小鳥さん!!手伝って!!」
貴音「響!!響!!」
響「うがああああああああああ!!」
やよい「ぐすっ、うぅ」
真「落ち着いて!!響!!貴音しっかりおさえて!!」
貴音「お願いですっ……!!響……!!」
響「あああああ!!うわあああああああ!!ああああああああ!!」
小鳥「き、救急車!!やよいちゃん!!お願い!!」
やよい「ひぐっ、えぐっ、うえっ」
小鳥「やよいちゃん!!」
響「んぎああ!!なあああああ!!やあああああああああ!!」ブンブン
真「うわあっ!!」貴音「ぐっ!!」小鳥「きゃあ!!」ドガッ
響「はあぁ、んがあぁ、あああああああ!!」ダッ
やよい「きゃあああああああああああ!!」
響「ううううううううう!!」グググ
やよい「ぐ、ぐるし……」
響「がああああああああああああ!!」ググググ
やよい「た、ひゅ、ひぃ」
真「やめろぉ!!」ドンッ
響「うぐっ」
小鳥「やよいちゃ、ん、平気……?」
やよい「ごほっ、げほっごほっ」
貴音「うぅ……」
響「んがああああああああああああああああああ!!」ボゴォ
真「ぐはっ!!」
響「ふうううう!!ふううううう!!」
真「ぐ、かはぁ、おえっ、えっ、えぐっ、うえええ」ビチャビチャ
小鳥「真ちゃ、ん……!!」
真「ごほっ、おえええ、かふっ、えっ、えくっ」ビチャビチャ
やよい「ふぅ、ふう、はあ、はあ」
小鳥「ぐ、ぐぐ」フラフラ
小鳥「響、ちゃ、ん」ガシッ
響「はああああ!!あああああああ!!」
小鳥「もう、やめ、て、おねが、い」ギュウ
響「んがああああああああああ」ガブッ
小鳥「ああああああああああああああああ!!」
響「ううううううううう」ギリギリ
響「ぐああああああああ」ギギギギ
小鳥「あああああああああああああああああああああああ!!」ボタボタ
真「うぅ、ふうぅ、うえっ」
やよい「うぅ、はあ、はあ、んっ、はあ」
小鳥「ぐっ……、ああああ!!んぐっ……」
貴音「こ……、とり……」
小鳥「たか、ああっ!!……ねちゃん、とび、ら、んああっ!!」ボタボタ
小鳥「とび、らを、あけてええええええ!!」
貴音「な、にを……」
小鳥「はやく、っ!!しなさあああああああ!!」ボタボタ
響「ううううううううううう!!」グギギギ
貴音「ぐっ……」
貴音「あああああ!!」
ガチャン
貴音「はあっ、ああっ」バタン
やよい「はあっ、んっ、こ、ことりさ、ん」
小鳥「こっち、よ……、こっちに、来なさいっ……!!」グッ
響「うがああああああああ!!」
小鳥「だいじょ、うぶ、よ、私が、守るか、ら」
響「うわあああああああ!!」バタバタ
小鳥「大、丈夫、よ、響、ちゃん」
小鳥「私、が守っ、て見せるか、ら……」
ガンッ、ガンッ、ガランッ、ガタンッ
やよい「ことりさあああああああああああん!!」
P「貴音、は?」
律子「肋骨はまだ少し痛むみたいですが、だいぶ良くなってきたそうです」
律子「担当医の先生も、あと二週間もすれば退院出来ると」
P「そうか、……良かった」
P「小鳥さんは」
律子「まだ身体は起こせませんが、会話は出来るようになりました」
律子「今は真とやよいが側に付いてます」
律子「……ホントに、良かった」
律子「私、一時はもうダメかもって」
律子「本当に、小鳥さんが死んじゃうって……!!」グスッ
P「……あぁ、俺もだ」
P「正直、奇跡としか言いようが無い」
P「頭から階段を転げ落ちたんだ、……響を庇いながら」
律子「……響」
P「……さっき行って来た、アレ持って」
律子「……タイミーロール、ですか」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あはははは」
「ふーっ、ふーっ」
「くるくるくる」
「ぱぁん」
「ぱぁん」
「ぱぁん」
「ぱぁん」
終
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