アッシュフォード学園 屋上
スザク「ルルーシュ」
ルルーシュ「スザク。主役はメインステージにいてくれよ」
スザク「いや、みんな楽しんでいるようだから。……それに話したいことがあってさ」
ルルーシュ「なんだい?」
スザク「僕はね……ナイトオブワンになるつもりだ。ナイトオブワンの特権に好きなエリアを一つもらえるというのがある。……僕はこのエリアを、日本を貰うつもりだ」
スザク「僕は大切な友達と掛け替えの無い女性を失った……。これ以上、誰も失わないためにも力を手に入れる。だからもう、日本人にゼロは必要ないんだ」
ルルーシュ「ふぅん、間接統治か。保護領を目指して?」
スザク「答えはこの人に。―――来週、赴任される新総督だ」
ルルーシュ「ただの学生が総督と?」
スザク「……枢木です。はい、今、目の前に、はい……今、代わります」
ルルーシュ「困るんだけどなぁ、そんな偉い方なんかと―――」
『もしもし、お兄様?』
ルルーシュ「な……ぁ……!?」
『お兄様なのでしょう?私です。ナナリーです。総督としてそちらに―――』
ルルーシュ「……」
『あの……聞こえていますか……?ナナリーですっ!』
スザク(本当に記憶が戻っていないのなら、ナナリーのことはわからないはず。さぁ、ルルーシュ。答えを出してもらおう)
ルルーシュ(スザク……!!やってくれたな……!!)
『あの……お兄様ではないのですか……?』
ルルーシュ(駄目だ……ナナリーに嘘はつけない……!俺は……俺は……!!)
スザク「……」
ルルーシュ「……!」
ロロ「……」ジーッ
ルルーシュ(ロロ……!!)
ロロ「……」キュィィン
ルルーシュ「よくやった、ロロ!!!そのままたのむ!!」
ロロ「時間制限を忘れないで」
ルルーシュ「ナナリー!!」
『お兄様!!やっぱりお兄様なのですね!!』
ルルーシュ「ああ、そうだ!!だが、今は他人のふりをしなければならない!!必要なんだ!!」
『そんなの嫌です』
ルルーシュ「我侭を言わないでくれ、ナナリー!!」
『でも……。あ、そうだ。今度、私が考案したエリア11まんじゅうが満を持して発売されることになったんですよ。是非とも買ってくださいね』
ルルーシュ「ああ、買う!!買うとも!!!」
ロロ「……あと、5秒だよ」
ルルーシュ「延長だ!!!」
ロロ「……」キュィィン
ルルーシュ「ナナリー。俺に話を合わせてくれ」
『何故ですか?』
ルルーシュ「お願いだ。必ず、迎えにいくから……」
『お兄様……』
ロロ「はぁ……はぁ……」
ルルーシュ「だから、それまで……それまで……!!」
ロロ(あと5秒……がんばれば……)
『お兄様……。実は今度、ナナリー総督の抱き枕カバーも発売されることになりまして』
ルルーシュ「な、なんだって!?」
『どのようなデザインなのかはわかりませんが、何でも18歳未満は買ってはいけないそうです。お兄様はもう大丈夫ですよね?』
ルルーシュ「そんなもの今すぐ発売中止にするべきだ!!!」
ロロ「……兄さん、もうギアスが切れるよ」
ルルーシュ「延長だ!!!空気を読め!!!」
ロロ「……ふっ!!」キュィィィィィン
『どうしてですか?新総督として国民の方々と距離を縮めるいい政策だと思うのですが』
ルルーシュ「縮めすぎだ!!!駄目だ!!そんなもの発売してはならない!!!」
『しかし、もう生産も終了して、あとは予約受付を開始するだけです。もう1万個ほど商品も出来上がっていますし』
ルルーシュ「分かった。俺が全て買い取る。それまで……発売するな!!!愛している!!!ナナリー!!!」
『……!』
ロロ「ひぃ……ふぅ……ふぅ……!」
『分かりました……そこまで、言うのなら……』
ルルーシュ「分かってくれたか……」
ロロ「はぃ……ひぃ……はぁ……ふっ……ふっ……!!」
ルルーシュ「ナナリー……」
『お兄様……』
ロロ「に、さ……ん……もう……げん、かい……なんだ……ご、めん……」プルプル
ルルーシュ「話を合わしてくれ。いいな?」
『……はい』
ルルーシュ「ロロ。ありがとう。もういいぞ」
ロロ「よかっ―――」ドサッ
スザク「……」
ルルーシュ「―――あの、人違いではないかと。はい、ただの学生ですし」
スザク(ルルーシュ……やはり、記憶が戻っていないのか……?)
ロロ「うぅ……ぅ……」
スザク(でも、どうしてだろう。僕はまだ完全に信じることができないよ、ルルーシュ)
ルルーシュ「いえ、皇女殿下とお話できて光栄です」
『あの、電話を戻してもらえますか……』
ルルーシュ「イエス、ユアハイネス」
『……っ』
ルルーシュ「ほら、スザク」
スザク「ああ……。―――ごめん、ナナリー。誤解させる形になっちゃって」
『いえ、雰囲気が似ていたので驚いてしまって……』
スザク「なら、あのことは話せないね」
ルルーシュ「……あのこと?」
スザク「ああ。総督の兄に報告しようって決めていたんだ」
ルルーシュ「何を?」
スザク「……婚約だよ」
ルルーシュ「誰のだ?」
スザク「総督のに決まっているじゃないか」
ルルーシュ「な……ぁ……!?」
スザク(本当に記憶が戻っていないのなら、ナナリーの婚約に対してなんとも思わないはず。さぁ、答えを見せてもらうよ、ルルーシュ)
ルルーシュ(ナナリーが婚約……婚約だと……?どこの馬の骨ともしらぬ奴と……!!!)
スザク「ルルーシュ、どうかしたのか?顔色が真っ青だけど」
ルルーシュ「いや……なんでもない……なんでもな……」
スザク(怪しい……。ルルーシュ、やはり君は……)
ルルーシュ「そうか。めでたいな。そんな話を聞いてしまったからには総督に是非とも祝いの言葉を捧げたい」
スザク「ただの学生が?」
ルルーシュ「エリア11に住む身として当然だろ?」
スザク「脂汗がすごいけど」
ルルーシュ「今夜は蒸し暑いな」
スザク「そうかな?」
ルルーシュ「とにかく、もう一度総督と話をさせてくれないか?」
スザク「……構わないよ」
ルルーシュ(ロロ……!!)キッ
ロロ(うん……わかってる……わかってるよ……兄さん……)
ロロ「んっ!!」キュィィィン
ルルーシュ「そのまま頼む」
ロロ「制限……時間を……忘れないで……ね……」
ルルーシュ「分かっている」
ロロ「……ふぅー……ふぅー……」
ルルーシュ「ナナリー!!」
『はい!?』
ルルーシュ「婚約とはなんのことだ……」
『婚約……?』
ルルーシュ「誰かと結婚するのか?!そうか!!政略結婚だな!!!そんなもの俺がぶち壊してやるからな!!!待っていろ!!!」
『あ、ありがとうございます』
ロロ「にい……さん……もう……」
ルルーシュ「愛しているぞ、ロロ」
ロロ「ふぅっ!!!」キュィィィン
ルルーシュ(耐えろ、ロロ。俺がナナリーの結婚相手を聞き出すまでな……)
ルルーシュ「それで、誰と結婚するんだ?」
『えーと……誰でしょうか……?』
ルルーシュ「知らないのか?」
『ええ。初めて聞きました。でも、そうですね。私には偶像以上の役割はないでしょうから、政略結婚が私の知らないところで進んでいても不思議はないですね』
ルルーシュ「なら、どこで式があるのかも知らないわけだな」
『日時すら、知りません』
ルルーシュ「……」
ルルーシュ(スザク……。まさか、俺の動揺を誘うための嘘だというのか……?貴様はそこまでして俺を……!!)
ルルーシュ(だが、しかし、万が一ということもある……!!ええい!!スザク!!貴様はどうしていつもいつも、俺を苦しめる!!!)
ロロ「んぐ……ぐっ……ごほっ……ごほっ……!!」
ルルーシュ「ロロ。まだ、いけるな?」
ロロ「も、もち……ろ……ん……」
ルルーシュ「ナナリー。相手や日程が分からないと壊しようがない。なんとかして調べられないか?」
『分かりました。調べてみますね』
ルルーシュ「頼む」
ロロ「……かはっ……ごほっ……!!」
ルルーシュ「ロロ、辛いか?」
ロロ「す、すこし……だけ……」
ルルーシュ「そうか。だが、俺はもっと辛いんだ。分かってくれ」
ロロ「……ごほっ……!!」
ロロ(あ、血吐いちゃった。隠さないと、兄さんが心配しちゃう……)
ルルーシュ「……」
ロロ「に、にいさん……まだかな……?」
『お兄様、ごめんなさい』
ルルーシュ「どうした?」
『誰に聞いていいのか、分かりません。でも、スザクさんなら知っているかもしれません。電話を戻してもらえますか?』
ルルーシュ「そうか。確かにそれが最も手短だな」
『今、近くに誰もいなくて……。ナナリー総督抱き枕を考案した人とはすぐに連絡がつくんですけど』
ルルーシュ「そいつは後回しだ。ナナリー、今、スザクに代わる」
『お願いします』
ルルーシュ「ロロ、もういいぞ」
ロロ「や……った―――」ドサッ
ルルーシュ「総督、婚約おめでとうございます」
スザク(あれ……?顔色が戻っている……。僕の目の錯覚か。いけない。こんなにも簡単に思い込んでは……)
ルルーシュ「え?なんですって?婚約のことを知らない?」
スザク「……!」
ルルーシュ「そうですか……。分かりました、今代わります。スザク、総督から話があるそうだ」
スザク「そ、そうか」
ルルーシュ(今度は貴様が狼狽する番だ、スザク)
スザク「ナナリー?」
『婚約っていつどこで誰となんでしょうか?』
スザク「……ナナリー、何を言っているんだい?きちんと説明したじゃないか。さては、寝てたね?」
『ね、寝てなんて……。でも、少し、お話が長かったので……その……すこし……だけウトウトと……』
スザク「駄目じゃないか、ナナリー。もう総督になるんだから、いつまでも学生気分でいては駄目だ。まぁ、ユフィもしばらくはそうだったけどね」
『ごめんなさい……。それであの、私は誰と結婚をするのですか?』
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ
ルルーシュ「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」
スザク「いやーありがと!
僕のかわいさは二十分に伝わったかな?」
ロロ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいな・・・」
ナナリー「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」
扇「・・・ありがと」ファサ
では、
ルルーシュ、スザク、ロロ、ナナリー、扇、俺「皆さんありがとうございました!」
終
ルルーシュ、スザク、ロロ、ナナリー、扇「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」
本当の本当にブリタニア
スザク「……僕とだよ」
『え……』
ルルーシュ「なん、だと……!!!」
スザク「……どうした、ルルーシュ?僕と総督の結婚に何か問題でもあるのか?」
ルルーシュ「……ま、まて……お前の身分では……」
スザク「できるんだよ。ナイトオブラウンズの特権で皇族との婚姻が許可されているからね」
ルルーシュ「そんなバカな!!!!」
スザク「どうしてそんなに狼狽えているんだ?ここは素直に感謝してほしいところなんだけど……」
ルルーシュ「だが、しかし、いくらなんでも裏切り者のお前とナナリーとは釣り合いが―――」
スザク「え?今、なんて言ったんだ、ルルーシュ?僕を裏切り者とか総督を呼び捨てとか、とても馴れ馴れしいね」
ルルーシュ「……!!」
スザク(ルルーシュ!!やはり、君は記憶が戻っているんだね!!)
ルルーシュ(くっ……!!スザク!!やってくれるな!!!!)
『もしもーし』
ロロ「ぐ……にいさんが……あぶない……ぼくが……ぼくがなんとか……しなく、ちゃ……」
ルルーシュ(なんとかして無関心を貫かなくては……!!)
ルルーシュ「まて、スザク。馴れ馴れしいって、俺たちは親友じゃないか」
スザク「そうだね。でも、裏切り者は傷つくよ。それに総督を自分の妹のように呼び捨てにするのは僕としても聞き流せないから」
ルルーシュ「そ、そうだな。悪かった」
スザク(恐らく、ルルーシュの記憶は戻っている。だが、ゼロであるかどうかの証拠はまだない。記憶が戻ったから、またゼロに戻っているかどうかは分からない)
ルルーシュ(なんとかしてスザクに記憶が戻っていないことを信じ込ませなければ……。だが、どうする……どうしたら……)
スザク「祝ってくれるね、ルルーシュ?」
ルルーシュ「当然じゃないか」
スザク「これは誰にも喋らないでくれ、ルルーシュ。この婚約は軍事機密だから」
ルルーシュ「なに?」
スザク「……」
ルルーシュ(ゼロによる介入も許さないか……。スザク……)
スザク(こう言っておけば、ゼロが会場に現れたときルルーシュが疑われても文句は言えない)
ルルーシュ(考えろ……。今、使える駒は……瀕死のロロだけ……)
ロロ「ぐぐ……」
ルルーシュ「……!」キリッ
ロロ「……」コクッ
スザク「ルルーシュ?僕の後ろに誰かいる―――」
ロロ「あぁぁぁぁぁ!!!!」キュィィィィン!!!!!
ルルーシュ「ナナリー!!俺だ!!」
『お兄様、今の叫び声は……?』
ルルーシュ「気にするな。それよりも頼みたいことがある」
『なんでしょうか?』
ルルーシュ「ナナリーから結婚式にゼロを招待してくれないか?」
『ゼ、ゼロを?どうしてですか?』
ルルーシュ「式を壊すんだ」
『でも、それはお兄様が……』
ルルーシュ「混乱に乗じて俺が颯爽とナナリー総督を誘拐する。かっこいいだろ?」
『はいっ。とてもっ。ですが、ゼロの連絡先なんて知らないのですが……』
ルルーシュ「テレビで呼びかけれるだけで十分だよ。それだけでゼロは来る』
『分かりました、やってみます』
ルルーシュ「助かる」
ルルーシュ(よし。これでゼロが現地に現れても問題はなくなった。あとは俺の記憶に関する問題だが……)
ロロ「あぁ……!!ふぅぅ……!!!ごほっ……ぅえっ……?!」
ルルーシュ「……」
ロロ「にい、さん……あと……2びょ……ぅ……」プルプル
ルルーシュ「待ってくれ。今、考えを纏めているんだ」
ロロ「そ、そう……うん……わかったよ……」キュィン
ルルーシュ(スザクは俺の失言から確信をしている。つまり、先ほどの失言を取り消せるだけのことが起これば……。……ナナリーの協力があればやれる!!)
ルルーシュ「ナナリー。もう一つ、頼みたいことがある」
『なんですか?』
ルルーシュ「俺を激しく罵ってくれ」
『な、なぜですか?!そんなことできません!!」
ルルーシュ「必要なんだ!!ナナリー!!頼む!!!」
『でも、お兄様を罵倒するなんて……とても……』
ルルーシュ「ロロ、ご苦労だったな」
ロロ「―――」バタッ
スザク「―――のかい?」クルッ
スザク「ロロ!!どうしたんだ!?」
ルルーシュ「スザク。ロロは気にしなくてもいい」
スザク「どうして?!」
ルルーシュ「あいつ、屋上で夜空を見るのが好きなんだ」
スザク「今、うつ伏せだけど。空を見るなら仰向けにならないと見れないよ?」
ルルーシュ「ああ、違うんだ。俺に仰向けにされるのを待っているんだ。こいつは昔から甘えん坊だからなぁ」
スザク「……」
ルルーシュ「ほら、ロロ。空を見るなら仰向けにならないと」
ロロ「……」ピクッピクッ
スザク「泡を吹いて痙攣しているじゃないか!!ロロ!!!何があった?!」
ルルーシュ「そ、そんなことより、スザク!!総督が代わってほしいって言っているぞ」
スザク「あ、あれ……いつの間に携帯を……。まあ、いいか」
スザク「どうしたんだい?」
『先ほどのお兄様に似た雰囲気を醸し出す人のことですけど』
スザク「うん?」
『偽者のお兄様なんて私はいりませんっ!!』
スザク「ナナリー?」
『あの人にも聞こえるようにスピーカーの音量をあげてください』
スザク「あ、ああ……」
ルルーシュ「どうした、スザク?」
『バーカ!!アーホ!!』
ルルーシュ「なっ……」
スザク「ナナリー?どうしたんだい?」
『お兄様の偽者っ!!あなたなんて……あなたなんて……この世からいなくなればいいんですっ!!!嫌いです!!ナイトメアに轢かれて……いえ、自転車に轢かれて怪我をしたらいいんです!!』
『私を惑わして、騙して、あなたは悪魔ですっ!!』
スザク「……」
ルルーシュ「今度の総督は随分とヒステリックだな。大丈夫なのか?」
スザク(ナナリーがこんなにも罵っているのに、ルルーシュは涼しい顔している……。記憶が戻っていれば、無表情でいることなんでまずできないはずなのに……)
ルルーシュ「ロロ、どうしたんだ?風邪でもひいたか?」
ロロ「うぅ……うぅ……さむい……さむいよ……にいさん……」ブルブル
ルルーシュ「そうか」
スザク(記憶が……戻っていないのか……?)
ルルーシュ(くくく……これで一気に判断が難しいものとなっただろ……。スザク……!!)
『はぁ……はぁ……ごめんなさい……』
スザク「ナナリー?誰かに言わされたのかい?」
『いえ、本心です。お兄様と似た雰囲気の人なんて皆、保護して牢屋に入れてしまえばいいと思ってます』
スザク(そんなことを言う子じゃないのに……。そこまでだったのか……)
スザク「ごめん、ナナリー。僕が話をさせるなんて言ったばかりに」
『スザクさんは悪くありません。悪いのはお兄様に似ている人ですから』
スザク「そうか……」
ルルーシュ「ロロ?まだ、いけるな?」
ロロ「うん……え?まだ、やるの?」
スザク(ルルーシュ……本当に記憶を失っているのかい……?)
ルルーシュ(どこまで俺にロロを酷使させるつもりだ、スザク……)
ロロ「……」ブルブル
スザク(これだけは……こんなことだけはしたくなかったけど……)
ルルーシュ(スザク……!!まだ諦めていないのか?!)
スザク(君が悪いんだ。僕に信頼させてくれないから……!!!)
スザク「ナナリー、また連絡するよ」
『え?あの、スザ―――』
ルルーシュ「どうした、スザク?まだ何かあるのか?」
スザク「……ルルーシュ。君に相談したいことがあるんだよ」
ルルーシュ「なんだよ、改まって。なんでも言ってくれ」
ロロ「……」ドキドキ
スザク「どうして僕と総督が結婚することになったかわかるかい?」
ルルーシュ「政略結婚だろ?そうだな、ナナリー……総督を今のうちに抱きこんでおけば後のことがスムーズにいくだろう。エリア11を貰うというならな」
スザク「……そうじゃないんだ、ルルーシュ。もっと生々しい理由なんだ」
ルルーシュ「生々しいだと……?」
スザク「僕はね、ルルーシュ。ナナリーの純潔を奪った」
ルルーシュ「……っ」
ロロ「危ない!!!」キュィィィン
ルルーシュ「どういうことだ!!!スザク!!!!ナナリーに!!!!ナナリーをどうしたぁ!!!!えぇ!?言ってみろ!!!スザァァァク!!!!」
スザク「―――」
ルルーシュ「貴様は!!貴様は!!!文字通り抱き込んだのかぁ!!!ナナリーをぉぉ!!!ナナリィィをぉぉぉ!!!答えろ!!!スザァク!!!」
ロロ「にい、さん……いま、ギアスをつかったから……」
ルルーシュ「今すぐ解け!!こいつを問いただし!!屋上から放り捨ててやるのだ!!!」
ロロ「にいさ、んに……記憶が……もどって……ることが……バレ……る……から……やめて……やめてよ……」
ルルーシュ「……!!」
ロロ「うぅ……ばれたら……いっしょ、にいられなく……なるから……だから……」
ルルーシュ「ロロ……お前……」
ロロ「兄さん……」ウルウル
ルルーシュ「俺の記憶などこの際、どうでもいいんだよ。早く、ギアスを解け」
ロロ「そ、そんな……兄さん……ごほっ……!!がはっ……おぇ……!!」
ルルーシュ「早くギアスを解除しろ!!ロロ!!!」
ロロ「で、できないよ……」
ルルーシュ「何故だ?」
ロロ「だ、だって……時間を止めていないと……兄さんと一緒に……いられなくなるから……」
ルルーシュ「……」
ロロ「僕は……死ぬまで……止めるのを……やめない……んだ……」
ルルーシュ「お前、そこまで……俺のことを……」
ロロ「にい……さ―――」パタッ
スザク「―――ナナリーの純潔を奪ったから、僕は結婚を誓ったんだ。責任をとるためにね。避妊もしなかったし」
ルルーシュ「ス、ス、スザァァァァク!!!!」
スザク「……!!」
ルルーシュ「貴様だけはぁぁぁ!!!」
スザク(ここまで怒るなんて……ルルーシュ……やっぱり、君は……記憶が……)
ロロ「―――はっ!しまった!!意識が途切れた!!兄さん!!!」キュィィィン
ルルーシュ「スザク!!!絶対にゆるさん!!!お前は最も犯してはならない罪を犯した!!!」
ルルーシュ「これは悲しみにくれるナナリーの分っ!!!」ポコッ
ロロ「兄さん……だめだよ……やめて……」
ルルーシュ「そして、これも悲しみにくれるナナリーの分だ!!!受け取れ!!!スザァァァク!!!」ポコッ
スザク「―――」
ルルーシュ「ロロ!!ナイフだ!!ナイフをよこせ!!!」
ロロ「兄さん……まってよ……お、ちつ……うっ!!」
ルルーシュ「何をしている!!早く出せ!!拳銃でも構わない!!持っていることは知っている!!!出せ!!!」
ロロ「うっ……あぁ……!!はっ……!!!」
ルルーシュ「ロロ!?どうした?!」
ロロ「あ……あっ……いっ……!!……うっ」パタッ
ルルーシュ「ロロ!!おいっ!!」
スザク「―――ルルーシュ、君はやはり記憶を取り戻していたんだね?」
ルルーシュ「ロロ!!しっかりしろ!!ロロ!!」
スザク「え?ど、どうしたんだい?」
ルルーシュ「ロロ!!おい!!ロロ!!聞こえるか?!」
ロロ「……」
スザク「ルルーシュ?」
ルルーシュ「大変だ!!ロロが急に倒れた!!」
スザク「さっきからずっと倒れていたと思うけど……」
ルルーシュ「ロロが……息をしていない……」
スザク「なに……?!」
ルルーシュ「……」
スザク「……」
ルルーシュ「……お前の所為だ、スザク」
スザク「……なに?」
ルルーシュ「貴様は……俺から全てを奪うのか……妹も……弟も……!!」
スザク「ルルーシュ……。認めるんだね、記憶が戻っていることを」
ルルーシュ「返せ……返してくれ……俺の兄妹を……」ガクッ
スザク「待ってくれ。ロロはどうして息をひきとったんだ?僕は何もしていない」
ルルーシュ「お前が……俺にロロを酷使させるからだろうが……!!」
スザク「……」
ルルーシュ「ロロ……ロロ……。まだお前には利用価値があるんだ……死ぬんじゃない……!!」
スザク「ルルーシュ……」
ルルーシュ「スザク……俺はお前を憎む……」
スザク「君も僕から全てを奪った」
ルルーシュ「ならば、また奪ってやるぞ。スザク……」
スザク「僕にはもう失うものはないよ」
ルルーシュ「……そうかな?」
スザク「なに?」
ルルーシュ「生徒会室にいるネコ……随分、お前に懐いていたな……フフハハハハ……」
スザク「ア、アーサーは関係ないじゃないか!!!」
ルルーシュ「ならば、返してもらおうか!!!俺の兄妹を!!!」
スザク「ルルーシュ!!!何を言っているのか分かっているのか?!君はどこまで堕ちれば気が済むんだ!!!」
ルルーシュ「黙れ!!ナナリーの純潔すらも奪ったお前に俺を批難する権利などありはしない!!!」
スザク「その外道さ……。君はまだゼロなんだな」
ルルーシュ「そうだ。俺はゼロだ。だから、なんだ?」
スザク「この場で君を……殺す……」
ルルーシュ「できるかな……?」
スザク「できるさ」
ルルーシュ「……」
スザク「ルルーシュ……終わりにしよう……全てを……」
ルルーシュ「このスイッチ、何かわかるか?」
スザク「……!」
ルルーシュ「起爆スイッチだ。さて、どこが爆発すると思う?」
スザク「どこって……」
ルルーシュ「俺の痕跡を消す為に設置した爆弾は、この学園の至る所にある。無論、アーサーのいる生徒会室にもな」
スザク「ルルーシュ……!!」
ルルーシュ「ナナリーを返せ」
スザク「できるものか!!」
ルルーシュ「そうだな……。もうナナリーの純潔はどこを探してもない……悲しいことだ……」
スザク「君がスイッチを押す前に、僕は君を殺す」
ルルーシュ「……良いかもしれないな」
スザク「なに?」
ルルーシュ「もうこの世界に用はない……。取り戻しても……もう俺の知るナナリーは……いない……」
スザク「ルルーシュ……?」
ルルーシュ「この学園と共に……俺も消える……」
スザク「……!!やめろ!!ルルーシュ!!」
ルルーシュ「お前なら、あるいは生き残れるかもしれないな……スザク……」
スザク「ルルーシュ!そんなやりかたは間違っている!!!」
ルルーシュ「もう……なにも……無いんだよ……俺にはな……」
スザク「分かった!!今からロロに心肺蘇生を試みる!!それで許してくれないか?!僕なら胸を殴れば電気ショックの代わりにはなるから!!」
ルルーシュ「ロロがナナリーと釣り合うわけがないだろうがぁ!!!」
スザク「なら、どうしたらいいんだ!!!ルルーシュ!!!世界は決して君を中心に回ってはいない!!!君の言っていることは子供の駄々だ!!」ドゴォッ!!!
ロロ「かっ!!?」
ルルーシュ「スザク、言いたいことはそれだけか……?」
スザク「ルルーシュ、やめろ……」
ロロ「かっ……あっ……。に、さん……?」
ルルーシュ「お前が俺を疑わなければ……こんな無念のまま死ぬことはなかったのにな……」
スザク「ルルーシュゥゥゥ!!!」
ルルーシュ「ナナリー!!!愛している!!!!」
ロロ「なんだか、よくわかないけど……」キュィィィン
ルルーシュ「―――」
ロロ「ごめんね、兄さん……。兄さんには死んでほしく無いんだ……だから―――」
ルルーシュ「―――ん?!スイッチがない……!?ロロか?!」
ロロ「ご、ごめん……」
ルルーシュ「貴様……!!ロロぉ!!!」
スザク「今だっ!―――ルルーシュ!!覚悟しろ!!」
ルルーシュ「くっ!!ここまでか―――」
ロロ「兄さん!!」キュィィィン
ルルーシュ「―――」
スザク「―――」
ロロ「どうしよう……。どちらにしてももう……僕は兄さんと居られない……。このまま時間をとめていない限りは……」
ロロ「時間が……もどれば……」
ロロ「……時間が……戻る……」
ロロ「そうだ!!」
ロロ「確か、兄さんはこの位置に……よいしょ……よいしょ……」
ロロ「枢木卿は……この辺だったかな……よいしょ……と」
ロロ「これでよし」
スザク「―――逮捕だ!!」
ルルーシュ「ぬぅ!!!」
スザク「あれ……?」
ルルーシュ「……ん?」
スザク(あそこにルルーシュがいる……。あれ、僕は今までルルーシュと屋上の中央で言い合いをしていたのに……)
ルルーシュ(ロロが俺たちを初期位置に戻したのか……。なるほど、今までのことをなかったことにしたのか……。なるほどな……)
ロロ(やったよ。兄さん。時を戻したいよ!!あとで褒めてね!!)
ルルーシュ(ロロのやつ……本当にバカだな……フフハハハ……)
スザク(おかしい……。今までのは白昼夢だったというのか……。いや、そんなわけ……)
ルルーシュ「スザクか。どうしたんだ?」
スザク「え……あ、ああ……えっと……話したいことがあって……ね」
ルルーシュ「主役はメインステージにいてくれないと」
スザク「僕はね……ナイトオブワンに―――」
ピリリリ……
スザク「あ、ちょっと、ごめん」
ルルーシュ「ああ」
スザク「はい。枢木です」
『もしもし。ナナリーです』
スザク「どうかしたのかい?」
『私の婚姻の件なんですが。やはりどこにもそのような事実がないんです。あの、どこからの情報でしょうか?本当に結婚するんですか、私とスザクさんが……』
スザク「それは……」
ルルーシュ「……」
スザク「ナナリー。サプライズウェディングなんだよ。僕とナナリーの結婚はね」
スザク(やっぱり、先ほどまでのやりとりは幻覚でもなんでもない!!)
ルルーシュ「……」
スザク(きっと……ルルーシュは……)
スザク「ナナリー。君の純潔を奪ってしまった僕の責任だ。だから―――」
ルルーシュ「……っ」ダダッ!!!
スザク(助走をつけてまで僕を殴ろうとしている……。やはりルルーシュ……君は……)
ルルーシュ(そうだロロ!!仕切り直しになるだけで!!!俺の怒りは収まってなどいない!!!時を戻しても歴史はまた繰り返す!!!何度でも!!!)
ロロ(いけないっ!!)
『―――何を仰っているのですか?』
スザク「え?」
ルルーシュ「……ん?」ピタッ
『私のは……あの……もう……お兄様に……』
スザク「……」
ルルーシュ「……?」
スザク「すまない、ナナリー……今、なんて……?」
『で、ですから……私のは……お兄様に……』
スザク「……!!」
ルルーシュ「俺は知らない!!!」
スザク「ルルーシュ!!妹に……手を出して……?!」
『違うんです!!スザクさん!!』
スザク「とめるな!!ナナリー!!!今から僕はこの男を殴らないといけないんだ……!!」
『お兄様が寝ている隙に……私が……こう……』
ルルーシュ「ナナリー?!どういうことだ?!」
スザク「ナナリー!!間違った方法で手に入れた結果でいいのか?!」
『あ、あの……』
ルルーシュ「いつだ?!いつそんなことをしたんだ?!」
『昔……です。ユフィ姉様と一緒に……寝ているお兄様を……』
スザク「……ルルーシュ!!お前!!!」
ルルーシュ「そんな記憶はない!!」
スザク「またか!!そうやって記憶を失ったふりをしているだけなんだろ!!ルルーシュ!!!」
ルルーシュ「寝ていたのなら記憶になくて当然だ!!」
スザク「騙されない……騙されないぞ……ルルーシュ!!!君は初めから奪っていたんじゃないか!!!被害者面をするなぁぁ!!!」
ルルーシュ「ナナリー!!本当のことなのか!?」
『は、はい……。コーネリア姉様も一緒でしたから、聞いてもらえれば……。でも、今は行方不明でしたね……』
ルルーシュ「コーネリアまで……!?」
スザク「くそぉぉぉぉ!!!!ルルーシュぅぅぅぅぅ!!!!」
ルルーシュ「記憶にない!!それに俺に罪はないだろう!?」
スザク「本当に記憶を失っているのかい、ルルーシュ?―――いや、だからって僕は君を許そうなんて微塵も思わない!!!」
ルルーシュ「ナナリーの話が真実だとして、俺にどんな責任がある?ないだろう?!」
スザク「普通は起きる!!!」
ルルーシュ「そんなこと実際にされてみないとわからないだろうが!!!!」
ロロ「……もしもし?」
『え?はい?どちら様ですか?』
ロロ「姉や妹で本当ににいさ……ルルーシュの寝込みを?」
『えっと……そうなります』
ロロ「この……悪魔め!!!」
『えぇ……?』
ロロ「僕は貴女を絶対に許さない……ナナリー……!!」
『な、なぜですか……』
ロロ「こんなにも兄さんを苦しめて……」
スザク「ルルーシュぅぅぅぅ!!!!ユフィを返せぇぇぇ!!!!」
ルルーシュ「ナナリーを返せぇぇぇ!!!スザァァァク!!!!」
『な、何がどうなっているんですか……?」
ロロ「どうしてくれるんです?!貴方の所為でもう収集がつかない!!!」
『ご、ごめんなさい……』
ロロ「もう少しで……うまくまとめられそうだったのに……!!」
『はい……大変ご迷惑を……』
ロロ「しっかり反省してください!!」
ルルーシュ「スザァァァク!!!親友の妹に手を出して恥ずかしくないのか!!!」
スザク「君だって姉や妹に好き放題されて黙っていたくせに!!!」
ロロ「……どうしたら……兄さん……」
『あの……』
ロロ「なんですか?」
『スザクさんとの結婚の話がまだ終わっていないので……。代わってください……』
ロロ「この状況でまだそんなことを……」
『いえ。あのナナリー総督抱き枕を考案、開発してくれた方が事情を知っていましたので……それで……』
ロロ「事情?」
『はい。あのいくら調べても私とスザクさんが結婚するなんて事実は出てこなかったので、その人に聞いてみたんです。もしかしたら知っているかもしれないと思って』
ロロ「それで何か分かったんですか?」
『はい。そんな予定はないそうです』
ロロ「ですが、サプライズなんでしょう?素直に教えてくれるものでもないのでは?」
『いえ。その人はスザクさんの上司で、色々教えてくれました。そもそも私とスザクさんが結婚する場合、私本人に隠して事を運ぶことはできないそうです』
『皇族関係者が慌しくなるほか、日本人を皇族に迎える入れるなんてかなりの妨害工作が起こるようですから……。結婚させないようにお見合いの場が多数用意されたり……』
ロロ「なんですって?」
『何か嫌がらせがあれば話は別なのですが……。きっと、スザクさんの思い違いではないかって……』
ロロ「……わかりました。代わります」
スザク「ルルーシュ!!昔から怪しいって思っていたんだ!!ナナリーと添い寝だって平気でしていると言っていたし!!お風呂にだって一緒に入っていたんだろ!?」
ルルーシュ「それぐらい普通の兄妹なら―――」
ロロ「枢木卿。総督です」
スザク「あ、ああ。―――ナナリー?今は立て込んでいて、後にしてくれないかい?」
『それはできないよ。枢木スザクくん?』
スザク「え……?」
ルルーシュ「どうした?」
『ナナリーが酷く困惑していたよ?。いつ、どこで、君とナナリーはそういう深い関係になったのかな?是非とも教えてくれないかい?とても興味があるんだ』
スザク「あ……あぁ……あの……」
『ああ。私が誰か分からないかな?―――シュナイゼルだよ。シュナイゼル・エル・ブリタニアだ』
スザク「で、殿下?!ナ、ナナリーは……?」
『ナナリーは私の隣にいるよ。とても困った顔でね』
ルルーシュ「殿下……シュナイゼルか……?」
スザク「こ、これには深いわけが……」
『ナナリーを利用したんだ。深い訳がないわけがないだろうね』
スザク「あのですね……ル―――ゼロの正体を探るために……」
『ゼロの正体を探る為に、君はナナリーと偽りの挙式を計画していたと言うんだね……?』
スザク「は、はい……」
『いけないね……それは欲だ』
スザク「……!!」
『君は知っていたはずだ。ナナリーの抱き枕カバーが既に生産されていたことを』
スザク「え、ええ……」
『そんな中で総督の婚姻なんて話を流布されたのなら、ナナリーのイメージが悪くなってしまう。わかるね?』
スザク「は、はい」
『それに相思相愛で同意の上での話しならまだしも、君の一方的な求婚らしいじゃないか。これは流石の私でも見過ごすわけにはいかない』
スザク「……」
『そんな君では、ナナリーに似つかわしくないよ』
スザク「も、もうしわけありません!!」
『咎めているわけではないんだ。ただ、ナナリーには……うん』
スザク「はい!!」
『それではナナリーに代わるよ』
スザク「……」
『もしもし?』
スザク「ナナリー……ごめん……僕が悪かったみたいだ……」
『そんなことは……。スザクさんも大変なんですよね』
スザク「ああ……」
『お兄様……にそっくりな方はまだいらっしゃいますか?』
スザク「いるよ……。はい、ルルーシュ。総督が代わってほしいって」
ルルーシュ「困るんだけどなぁ。そんな偉い方と―――」
『ルルーシュ?私だよ。シュナイゼルだ』
ルルーシュ「な……ぁ……?!」
『ナナリーがとても似た雰囲気の人がいるというから、興味が出てしまってね』
スザク(あんなに恐ろしい声色の殿下は初めてだった……。怒っていたんだ……)
ルルーシュ(やってくれるな……スザク……!!)
『シュナイゼル兄様!!あの!!この人はルルーシュではありません!!!』
『分かっているよ。でも、ルルーシュは今、どこにいるのかな?』
『それは……』
『盲目で足の不自由なナナリーだけが生き残ったとは私にはどうしても思えなくてね。ルルーシュなら君を庇うこともするだろうけど……』
ルルーシュ「あの、何の話ですか?」
『本当に君は私の弟に良く似ている。ルルーシュという名前も同じだ』
ルルーシュ「ルルーシュなんて……よくある名前でしょう……」
『……直接会えるときが楽しみだ』
ルルーシュ「会うことなど無いと思いますが」
『それはどうかな……』
ルルーシュ(何を考えている……)
『あの、シュナイゼル殿下が18禁ナナリー総督抱き枕カバーの発案者なのですけど……。何かお話があったのでは?』
ルルーシュ「なんだと!?兄上が?!」
『兄上?おかしいね、ルルーシュ。君と私は血縁関係なのかな?』
ルルーシュ「い、いえ……ナナリーにとっては兄上……でしょう?」
『ああ、そういうことか。何か問題でもあるのかな?』
ルルーシュ「妹を玩具にして、楽しいですか?いい趣味をもっているのですね」
『総督と国民の距離を縮めるには最も有効な手段と判断したまでだよ』
ルルーシュ「愚策もいいところだろうが!!!」
『そうかな?』
ルルーシュ「そんなことをしなくてもいくらでも策はあるだろうが!!貴方は他のことすらも思いつけない弱卒ではないはずだ!!!」
『そうだね。でも、現在のエリア11はとても危険な状態だ。ブラックリベリオン後、不必要な粛清も多かった。総督に対する不満、不信感はもう天井を突き破っているだろう』
ルルーシュ「それを緩和するために抱き枕か?!馬鹿げている!!!」
『そうでもないよ。こういうことでコアはファンは獲得できる。そういった層は得がたく、また離れてもいかない。確保しておいて損はないよ』
ルルーシュ「そのような理屈で……ナナリーを……!!」
『君には関係のないことだ。血縁者でも無い限りね』
ルルーシュ(おのれ……シュナイゼル……!!!)
『長電話が過ぎたようだ。私はこの辺で失礼させてもらうよ。実に楽しかった。本物の弟と話しているようでね。それでは』
『お兄様……愛していますっ』
ルルーシュ「ナナリー……俺もだ……」
スザク「もういいか?」
ルルーシュ「ああ……」
スザク「……最後に確認しておきたい。本当に記憶を失っているのかい、ルルーシュ?」
ルルーシュ「ああ。ナナリーなんて知らないし、シュナイゼルも俺には関係がない」
スザク「……」
ロロ「兄さん……」
ルルーシュ「スザク……」
スザク「殿下が怒っていたということは、この作戦は間違っていたんだろう。―――間違った方法で手に入れた結果に価値はないと思うから」
ルルーシュ「まだそんなことを言っているのか。親友を売ったお前が」
スザク「……君を売ったことは間違いとは思っていない。それだけだ」
ルルーシュ「……」
スザク「またね、ルルーシュ」
ルルーシュ「待て、スザク。まだ聞きたいことが残っている」
スザク「……」
ルルーシュ「ナナリーとは……その……」
スザク「何も無いよ」
ルルーシュ「そうか……それなら……いいんだ」
ロロ「でも、兄さん。兄さんはナナリーに寝込みを襲われているんでしょ?」
スザク「ユフィにもね」
ルルーシュ「その辺りの事実確認が済み次第、報告してやる」
スザク「コーネリア皇女殿下を探すのか?」
ルルーシュ「それしかないだろうな。現場にいた年長者が何を思って俺を襲ったのか聞き出す」
スザク「そうだね。コーネリア皇女殿下がユフィの淫靡な蛮行を指を咥えてみているはずもないし……」
ルルーシュ「その通りだ」
スザク「君の報告を楽しみにしている」
ルルーシュ「ああ……」
ルルーシュ「ロロ、帰るぞ」
ロロ「はい」
数週間後
ルルーシュ「……」カタカタカタ
ロロ「兄さん?何してるの?」
ルルーシュ「ナナリーの抱き枕カバーを買い占めている」
ロロ「そんなの無理なんじゃ……」
ルルーシュ「可能だ」
ピリリリ
ルルーシュ「はい」
C.C.『なんだ、このナナリーの抱き枕は?こんなものを私に買わせるのか?』
ルルーシュ「俺が直接買うと怪しまれるからな」
C.C.『悪趣味だな……でも、裏面はいいな……』
ルルーシュ「一枚もやらんぞ」
C.C.『なんだと?受け取ってやるんだ。5枚ぐらい渡せ』
ルルーシュ「5枚も何に使うつもりだ!!」
C.C.『お前、何も分かっていないな。実用が二枚、保存用、観賞用、布教用と必要なんだよ。これだから頭でっかちの童貞坊やは……』
アーニャ「……完売してる」
ジノ「残念だったな。総督の抱き枕カバー、ちょっと欲しかったのに」
アーニャ「なんで……今日が発売日なのに……」
ジノ「仕方ない。他の店に行ってみよう」
アーニャ「……」
ジノ「スザクも欲しかったんだろ?」
スザク「え?ああ……」
スザク(ルルーシュ……僕は諦めないよ……)
スザク(ナナリーを利用しないで、今度こそ君を追い詰めてみせる……)
スザク(そのためにもナナリーの抱き枕カバーを手に入れないと……)
アーニャ「ここもダメ……」
ジノ「どこに売ってるんだ……。ブラッドリー卿とヴァルトシュタイン卿にも頼まれているのに……」
アーニャ「買い占めたやつ……ゆるさない……」
スザク「……そうだね。許せないよ。本当に」
ナナリー「私の抱き枕、完売したそうです」
『それはよかった』
ナナリー「でも、お一人の方が買い占めたようで……」
『それは大変だ。すぐに生産に入ろう』
ナナリー「いいのですか?」
『今度は3万個ほど作ろうか』
ナナリー「はい。ですが、今度はお一人様、一つまでとしておきますか……?」
『いや。その必要はないよ』
ナナリー「どうしてですか?」
『どうしてもだ』
ナナリー「わ、分かりました……」
『ナナリーは何も心配することはないよ』
ナナリー「そうですね」
ナナリー(お兄様……今は抱き枕カバーだけで我慢してくださいね……)
『ふふ……』
数ヵ月後
ルルーシュ「姉上……お久しぶりです……」
コーネリア「ルルーシュ……」
ルルーシュ「こうして会える日を楽しみにしていましたよ」
コーネリア「……」
ルルーシュ「さて、色々と聞きたいことがあるのですが……。まずは……幼少の頃に俺に何をしたのか言っていただきましょう」
コーネリア「何のことだ?記憶にないな」
ルルーシュ「ナナリーとユフィと姉上で寝ている俺に何かをしたのでしょう?!」
コーネリア「……」
ルルーシュ「答えないのなら……。以前にかけたギアスを利用するまで……。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが問いに答えろ」キュィィン
コーネリア「ああ……」
ルルーシュ「寝ている俺にナナリーとユフィと姉上は何をした?」
コーネリア「ナナリーとユーフェミアはお前の唇を奪った。私はお前を全裸にして舐めまわ―――」
C.C.「ルルーシュ。ナナリーの抱き枕カバーの第6次予約が始まったぞ。今度は10万個だが、どうする?」
ルルーシュ「よし!!買い占めろ!!!」
シュナイゼル「ふふ……。また、一人で買い占めた者がいるようだね」
『はい……』
シュナイゼル「これほどの深い愛……そして独占欲……こんなことをするのは……」
『お兄様ではありません!!」
シュナゼル「私の目的はね、ナナリー?君のあられもない姿を写した抱き枕カバーで必ず釣られる者を締め上げることだったんだよ」
『な……』
シュナイゼル「購入者は複数人いるようだけど、どれも同じ場所へ出荷されている。転売をされている様子も無い……。これは明らかに独占欲だ」
『シュナイゼル兄様……あの……』
シュナイゼル「ナナリーが生きていたのなら、ルルーシュも生きている。どうやら私の考えは正しかったようだね」
『お兄様は死んでます!!』
シュナイゼル「それはこれからわかるよ。ナナリー総督の抱き枕カバーを累計20万個購入した者に今から会いに行くのだからね」
『やめてくださ―――』
シュナイゼル「さあ、ルルーシュ。答えを出してもらおうか」
シュナイゼル「20万個ものナナリーの抱き枕カバーをどう使うのかを……」
数日後
ミレイ『先日、シュナイゼル殿下により逮捕されたゼロの一室をご紹介しましょう。ナナリー総督の抱き枕カバーで埋め尽くされています』
アーニャ「……」
ジノ「あんなにあるなら、分けてくれてもいいのにな」
アーニャ「うん」
スザク(ルルーシュ……君は……)
ミレイ『ゼロ、こんな数の抱き枕カバー、どうするおつもりだったのですか?』
ゼロ『いや。購入した覚えはない』
ミレイ『記憶にないということですか?』
ゼロ『そうなる』
シュナイゼル『いけないね。それは嘘だ』
ゼロ『猫が勝手にパソコンで予約をしてしまったに違いない』
ミレイ『などと、供述していますが、今後の取調べでこの抱き枕カバーをどう使うつもりだったのかが判明することでしょう。以上、現場からミレイ・アッシュフォードでした』
スザク「……本当に記憶を失っているのかい、ルルーシュ?」
END
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません