原村探偵事務所
咲(私は宮永咲。原村探偵事務所で、探偵の助手を務めています)
咲(まだまだミスが多くて探偵さんを困らせてる新人助手ですが、一人前の探偵になれるよう日々頑張ってます)
和「咲さん。紅茶が入りましたよ」
咲「あっ、ありがとう。和ちゃん」
咲(このよく気が利くお嬢様スタイルの女の子がこの探偵事務所の主、原村和)
咲(様々な難事件を解決して世間にその名を馳せた、いわゆる名探偵なのです)
優希「…今日も暇だじぇー」ゴロゴロ
咲「あはは、何もないってことはいいことだよー」
咲(この一見お子様のような外見の子は、片岡優希。この探偵事務所の助手で、一応私の先輩です)
咲(…頭はそんなに良くないんですが、いろんな意味で常人を遥かに超えるその言動でいつも和ちゃんを助けてくれます)
和「こら、優希。寝ころがってないで、情報収集でもしてきたらどうですか?」
優希「えー、めんどい」ゴロゴロ
和「もうっ!」
咲「あははは」
バンッ
久「和!いる!?」
まこ「じゃまするぞー」
和「あ、部長。どうかされたんですか?染谷先輩は邪魔するなら帰ってください」
まこ「おう!じゃあの!……てなんでじゃ!」
久「まこ!私達はコントしに来たわけじゃないでしょ!和も付き合わない!」
まこ「あはは、そうじゃったそうじゃった」
和「すみません、つい」
咲(ドアを勢いよく開けて入ってきたのが、刑事部長の竹井久さん。隣が同じく刑事で久さんの相棒の染谷まこさん)
咲(久さんは刑事部長なので部長、まこさんはおおらかな性格と面倒見の良さから染谷先輩と呼ばれています)
優希「で?何か用事があったんじゃ?」
久「そうそう!和!仕事を持ってきてやったわよ!」
和「……事件ですか。詳しく聞かせてください」
まこ「話はまぁ、現場に着いてからでいいじゃろ。ほれ、さっさと車に乗った乗った!」
咲「ええっ?まだ何も準備してませんよ…」
優希「準備するのは頭脳だけで十分だじぇ!」
和「いえ、咲さんはトイレに行っておいてください。トイレ休憩なんてしてられませんからね」
咲「うぅ…なんだかひどい言われようだよ…じゃあトイレに行ってきます」タタッ
まこ「はははっ、ここはいつ来ても面白いの!」
久「まったく、少しは緊張感を持ってほしいわ……」
龍門渕邸前
まこ「……さて、到着。ここが殺人事件が起こった龍門渕邸じゃ」
咲「わぁ~、すごく広いお屋敷だね!」
優希「こりゃぶったまげだじょ…東京ドーム何個分あるんだ…?」
和「別館や庭なんかをすべて合わせると、五個分はあるそうですよ」
優希「まじで!?」
久「さっ、事件現場に行くわよ」
まこ「こっちじゃ、ついてきんさい」
龍門渕邸廊下
「あっ、お疲れっす。染谷先輩」
まこ「ごくろうさん。名探偵さん呼んできたから、あんたちょっとどっか行っとれ」
「えぇ!?ちょっ、ひどくないっすか!……ん?名探偵って……名探偵のどっち!?」
和「?」
「やっべ!初めて生で見た!サイン頼もうかなぁ!」
まこ「あーもう、これじゃから会わせとうなかったんじゃ…」
まこ「ほれ!サインならわしがもらっちゃるけぇ、あんたははよ捜査に戻れ!」
京太郎「へーい」
まこ「まったく…」
咲「後輩さんですか?」
まこ「ん?ああ、あいつは須賀京太郎。うちに来てまだ一年の新人じゃ」
久「彼、ああ見えて結構頼りになるのよ?なんというか、証拠品見つけるための嗅覚が鋭いのよね」
優希「嗅覚?犬みたいだじぇ」
久「ふふっ、まさにその通りかも」
和「…あの、そろそろ事件現場を…」
まこ「おお、すまんすまん!そこの角を曲がった所じゃ」
※さるさん怖いんでこっから少し減速します
龍門渕邸廊下―殺人現場―
智美「――」
まこ「……ガイシャは蒲原智美。自営業を営んどった。本日九月六日、友人の天江衣のバースデーパーティーに招かれ、この龍門渕邸の廊下にて何者かに殺害された」
まこ「死因は、背部を刃物で刺された事による多量出血。第一発見者が見つけた時には、すでに脈はなかったそうじゃ」
まこ「凶器は…まぁ見てもわかるじゃろうが、仏さんに刺さっとるそのナイフ。この屋敷にあったものじゃ」
咲「…うぅ…死体だよ…」カタカタ
優希「咲ちゃん、またカタカタしてるじぇ」
和「…いい加減慣れたらどうですか?」
咲「死体見るのなんて慣れたくないよ!」
優希「そんなになるのに、なんで探偵助手なんかになったんだ?」
咲「だって…探偵さんって猫探したり、浮気現場押さえたりする仕事だと思ってたんだもん…」
和「…まぁ探偵っていうとそっちの依頼のほうが多いですからね。うちの事務所は違いますけど」
まこ「……話、続けていいか?」
咲「あっ、すみません!どうぞ」
まこ「…ナイフは柄ギリギリまで深く刺さっとった。相当な力を込めん限りそんなことにはならん。…完全に殺しにかかっとる」
まこ「怨恨による犯行、もしくは殺しのプロの仕業じゃな」
優希「殺しのプロ…通り魔とか殺人鬼とかか?」
久「いえ、その可能性は低いわ。これだけ大きなお屋敷よ?セキュリティの高さは伊達じゃない。外部からの犯行はありえないわ」
久「…となると、怨恨による犯行の線が濃厚」
久「それで…パーティー主催側、招待客側の人物を一通り洗ってはみたんだけど、手掛かりになるような証言は得られなかった」
久「蒲原さんって、誰にでも話しかけるような人当たりのいい人だったらしくてね、誰かに恨まれるような人ではなかった」
久「全員嘘を吐いてるようには思えなかったし、須賀くんも今回は証拠品見つけてこないし…」
まこ「…んで、わしらじゃお手上げ状態じゃったから、あんたらを呼んだわけじゃ」
和「…なるほど、確かに犯人に繋がる証拠が無いですね」
久「あなたを呼んだ理由はもう一つあってね…証拠品…になるかはわからないんだけど…これを見てほしいの」ピラッ
『1+2=3 6+3=9 9-7=2
2+5=7 4*2=8 13-7=6
100/25=4 10*10=100→110
[ha723saga4na9te68]
kotaehakanjinoyomi
wahan kawa!』
※これが解けた人は「ワハッ!」とだけ書いてください
ネタバレはNGでオナシャス
和「これは…?」
咲「うわぁ…全部血で書かれてる…」カタカタ
久「…廊下に落ちていたメモ。筆跡から蒲原さん本人が書いたものと特定されたわ。いわゆるダイイングメッセージね」
和「…答えは漢字の読み…単純に漢字に変換すれば……は七二三さが四な九て六八」
咲「そして読み……はななにさんさがしなくてろや…花菜兄さん探しなくテロや…?」
優希「…はしちじみさがよんなきゅうてむはち……うん絶対違うじぇ」
和「意味がわかりませんね…」
優希「…ということは、上の数式を使うのか?メゲるじぇ…」
咲「使うって言っても、どう使うの…?」
優希「それと、ワハン?カワ?はどういう意味だ?」
久「あっそれね、一緒に招かれた友人の証言によると、『wahan』はきっと『wahaha』と書こうとしたんだろうって。蒲原さん、『ワハハ』って笑うのが癖だったらしいの」
まこ「死ぬ最後まで笑おうとしとったんかのぅ……泣ける話じゃ」
咲「…」
咲「カワ!」
和「ひゃっ!?」ビクッ
咲「あっごめん、叫んじゃった」
和「もうっ!びっくりさせないでください!」
咲「なんとなく声に出さないといけない気がして…ごめんね?」
久「……で、何かわかった?」
和「いえ…まったくもって…」
久「そうよねぇ…もしかしたらあなたなら…と思ったんだけど」
和「これだけじゃわかりませんね……パーティー参加者の証言を聞くことってできますか?」
久「ええ、いいわよ。じゃあ…一人ずつそこの応接室に呼ぶって感じでいいかしら?」
和「はい。よろしくお願いします」
龍門渕邸応接室
久「……これから証言してくれる人に来てもらうんだけど…これだけ大きな屋敷のバースデーパーティーだったから、参加者は300名以上…」
久「…全員呼ぶのは大変でね。とりあえず死亡推定時刻前後にこの屋敷に残っていた6名を呼んであるわ」
久「参加者全員の証言を聞きたいってのなら呼ぶこともできるけど…」
和「いえ、それで十分です」
久「そう…それじゃ始めは第一発見者から…どうぞ」
ガチャッ…
―第一発見者の証言―
衣「……」
和「あなたが第一発見者の天江衣さんですね?」
衣「……」
和「…つらいとは思いますが、蒲原さんを発見した時の様子を詳しく話してもらえますか?」
衣「……わかった…」
衣「……今日は衣の誕生日でな…皆を此処に呼んで…パーティーを楽しんで……もらおうと…ぐすっ…」
衣「……パーティーがお開きになっても…智美は友人たちと残ってくれて…衣を祝ってくれて……ワハハって笑って…うぅ」
衣「…友人たちと話してて…気がついたら智美がいなくなってて……衣は智美を探して…ぅ…」
衣「……パーティーがお開きになっても…智美は友人たちと残ってくれて…衣を祝ってくれて……ワハハって笑って…うぅ」
衣「…友人たちと話してて…気がついたら智美がいなくなってて……衣は智美を探して…ぅ…」
衣「……廊下に出たら…そこに智美がいて…ぐすっ……血がいっぱいで……智美は…!」
衣「笑っでなぐで…!ううぅ…!」
衣「うぐっ…!…冗談かと思って…衣は起こそうとしたんだ…ぅぅ…でも…冷たくなってて……脈がながった!…うっ…!」
衣「…うぅ…ぅ…衣が……衣がこんなバースデーパーティーなんて開かなければ…うっ…智美は…!」ポロポロ
衣「うぅぅ!…うわぁぁああぁああああああん!!」ポロポロ
和「…ありがとうございました……ごめんなさい…つらいことを思い出させてしまって…」ギュッ
衣「うああぁあぁあああああああぁあぁあああん!!!」ギュッ!
―龍門渕家当主の証言―
透華「…はじめまして。龍門渕家当主の龍門渕透華と申します。…探偵の原村和さん、ですわよね?噂はかねがね聞いております。様々な難事件をその頭脳で解決。素晴らしいですわ」
和「龍門渕家当主からそんなお言葉を頂けるとは、恐れ多いです。……では、さっそく事件の様子を…」
透華「ああ、そうでしたわね……衣…天江衣が第一発見者というのはお聞きになりまして?」
和「はい。天江さんからはすでに証言をいただいています」
透華「それなら話が早いですわ。…事件直前、私は友人たちと大ホールで会話してました。屋敷に残った参加者は全員そこにいたと思います」
あれっ?
100/25=4
25/100=4
正しいのどっちだっけ?
とりあえず100÷25=4ていうことなんだけど
ごめん合ってた
>>27は無しで
和「犯人がわかりました!」ザワザワ
和「犯人が!わかり!ました!」チラッ
咲「?」
和(咲さん!麻酔針はまだですか?)
みたいな?
透華「特に変わった様子もありませんでした。…変わったのはそのあと…」
透華「……衣が蒲原さんがいない、探しに行ってくると言い出して……廊下に出て行ってすぐでしたわ。衣の叫び声が聞こえたのは…」
透華「…そこにいた全員が廊下へ駆けつけましたが、蒲原さんはすでに……」
透華「衣に何が起こったのか聞いたんですが、泣き続けるばかり……すぐに警察がいらして事情聴取。…今に至りますわ」
和「…そうですか。…それと、このメモについて何かわかりますか?」
透華「…事情聴取の時も聞かれましたが、私にはさっぱり…ごめんなさい、お役に立てなくて」
和「いえ、ありがとうございました」
―龍門渕家家政婦の証言―
一「…どうも。龍門渕家で家政婦をしている国広一です」
和「探偵の原村和です。さっそくですが、事件の様子…特にその時変わった事がなかったか、を話してください」
一「…変わった事……今日は衣…衣様の誕生日だったから、いつもとは大分違ったね。…たくさんの料理運んだり、招待客の相手したりで…」
一「むしろ皆がいつも通りになったのは、事件直前。残ったのは友人メンバーだけだったからね」
和「…いつも通りということは…友人メンバーというのは蒲原さんと天江さんの共通の友人という事でしょうか?」
一「うん。だいたい遊びに行く時はいつもそのメンバーだよ。僕や透華様も仕事がない時は一緒に遊んでたんだ」
一「7人っていう大所帯だったけどね。キャンプしたり、ボーリングしたり、麻雀したり…」
一「……僕や衣、透華はそのメンバーに加わったのは最近だったけど、智美のおかげですぐ皆と仲良くなれた…楽しかったなぁ…」
一「……でも、もう…」
和「…聞きにくいことなんですが…その友人メンバー間でトラブルなどはありませんでしたか…?」
一「……僕の友人たちを疑う気!?」キッ
和「……」
一「あ…ごめんなさい……トラブルは、少なくとも僕がメンバーに加わってからは無かったと思うよ」
和「そうですか…ありがとうございました」
―友人メンバー1の証言―
和「どうも。蒲原さんの友人の東横桃子さんですね?」
桃子「…はいっす」
和「…事件の様子についてはもう事情聴取で話されたと思うので、蒲原さんの友人関係について話していただけますか?」
桃子「…なんでそんなこと……いえ、わかりました」
桃子「…事件直前に屋敷に残っていたのが全員、友人メンバーってのは聞いたっすよね?」
和「…はい」
桃子「……もともとは、高校時代の先輩後輩の…私と蒲原先輩だけだったんす。……あの人はコミュ力の高い人でしたから、出かけるたびに友人が一人二人と増えていって…」
桃子「友人になった順番でいくと…天然癒し担当のエイスリンさん、いじられ役の華菜……」
桃子「そして最近友人になった、好奇心旺盛な衣ちゃんさん、ツンデレお嬢様の透華さん、ツッコミ役の一さん」
桃子「皆がそれぞれ役割を持っていて、誰かが省かれるなんてことはなかったっす…皆が蒲原先輩を慕っていたっす。……それがまさかこんなことになるとは…」
和「…ではあなたが友人メンバーの中で一番長く、蒲原さんと付き合いがあるということですね?…何か心当たりはありますか?」
桃子「…いえ、私の知る限りではこれといって」
和「わかりました。ありがとうございました」
桃子「友人になった順番でいくと…天然癒し担当のエイスリンさん、いじられ役の華菜さん……」
桃子「そして最近友人になった、好奇心旺盛な衣ちゃんさん、ツンデレお嬢様の透華さん、ツッコミ役の一さん」
桃子「皆がそれぞれ役割を持っていて、誰かが省かれるなんてことはなかったっす…皆が蒲原先輩を慕っていたっす。……それがまさかこんなことになるとは…」
和「…ではあなたが友人メンバーの中で一番長く、蒲原さんと付き合いがあるということですね?…何か心当たりはありますか?」
桃子「…いえ、私の知る限りではこれといって」
和「わかりました。ありがとうございました」
―友人メンバー2の証言―
エイスリン「……」ペコリ
和「エイスリン・ウィッシュアートさんですね。外国の方ですか。えっと…日本語は話せますか?」
エイスリン「…アマリ」
和「…そうですか…しかし聞き取りの方は大丈夫みたいですね。…そうですねぇ…何かに書いてもらいましょうか…私の名刺の裏でいいですか?ペンは…」
エイスリン「モッテル」
和「…そうですか。ではお願いします」ピラッ
エイスリン「……ゲンソン…ワ…?」
和「……ハラムラノドカです」
和「…では、蒲原さんの友人関係についてお聞きします。あなたがメンバーに入ってから、トラブルなどはありませんでしたか?」
エイスリン「……」カキカキ…パッ
和「…これは…絵ですか……蒲原さん、東横さん、エイスリンさん、池田さん…ともう一人いますね。友人ですか?」
エイスリン「…シロ」カキカキ…パッ
和「シロ…さんですか。……二枚目は…車…運転席に蒲原さん、助手席にシロさん。臨場感がすごいですね。飛んで行きそうです」
エイスリン「……」カキカキ…パッ
和「三枚目は…蒲原さん、東横さん、エイスリンさん、池田さん…全体的に暗いですね…」
和「…なるほど、シロさんとは疎遠になったと。だから東横さんの話にシロさんが出てこなかったんですね」
エイスリン「オワリ」
和「…これ、もらってもいいですか?」
エイスリン「ウン」
和「ありがとうございます」
―友人メンバー3の証言―
和「どうも。池田華菜さん」
華菜「……」
和「…池田さんには、蒲原さんの友人関係について話してもらいたいんです。…特にシロさんについて」
華菜「!」
華菜「…モモかエイスリンが何か言ったのか?」
和「?…ええ、シロさんについてはエイスリンさんから」
華菜「…そうか」
華菜「……仕方ない…うん……仕方なかったんだ…あたしにはどうしようも……燃やして…」ブツブツ
和「…池田さん?」
華菜「!な、なんだし?」
和「…何か知っているんですか?」
華菜「…知らないし」
和「……何でもいいんです。教えてください」
華菜「…うるさいし。もう戻らせてもらうし」
和「あ…」
ガチャッ…バタン
久「……どうだった?」
和「うーん…全員怪しすぎて逆に怪しくないというか…」
まこ「なんじゃそれ…」
咲「…私も和ちゃんと同じ感じです…」
久「…参加者300名、呼ぶ?」
和「…いえ、もう少し考えてみます」
咲「あれっ?そういえば優希ちゃんは?」
まこ「ああ、優希ならタコス食いにいくとか言っとったぞ?」
和「…まったく、優希ったら…」
咲「あはは…」
久「そういえば、須賀君も見ないわね。どこ行ったのかしら?」
まこ「…あいつ、またサボりか……お互い世話の焼ける後輩を持ったのぅ」
龍門渕邸大ホール
京太郎「ふわぁ~、疲れた~…おっ?」
優希「お、犬だじぇ」モグモグ
京太郎「誰が犬だ!ってかほぼ初対面の人間に向ってそれはねぇぞ!?」
優希「私が犬と言ったら犬なんだ!わかったか犬!」モグモグ
京太郎「ったく…はいはい、犬でよござんすよ……で、お前はこんなとこで何食ってるんだ?」
優希「ん?これは元気の源、タコスだじぇ!」モグモグ
京太郎「この焦げ臭い匂いはそれだったのか…というかよく殺人現場でモノ食えるな…」
優希「…焦げ臭い?香ばしいの間違いだじょ」モグモグ
京太郎「いやいや焦げ臭いって。ほらこのタコスから…」クンクン
京太郎「あれっ?違う…」
優希「ほらな」ゴックン
京太郎「いや、焦げ臭いのは確かだって!…こっちか!」ダッ
優希「おっ?どこ行くんだ犬!待つじょ!」ダッ
龍門渕邸焼却炉
京太郎「……」クンクン
優希「はぁはぁ……犬!主人を置いていくとは何事だ!」
京太郎「…誰がいつお前の犬になったんだよ……それはそうと、ここみたいだぞ」クンクン
優希「…なんだ、火事じゃないのか。すでに燃え尽きた灰だけだ。……というかあんな遠いとこから灰の匂いなんてよくわかったな!さすが犬!」
京太郎「へへん!俺の嗅覚なめんなよ?」
優希「…もはや否定もしなくなったか…」
京太郎「…うーん…特に証拠になりそうな物は見つからないな」
優希「…すぅ~…」
京太郎「ん?どした?」
優希「ぶふぅー!!」ブワッ!
京太郎「うわっ!何してんだよお前!!」
優希「いやぁ、灰の下からお宝が出てくるかもと思って!」ペロッ☆
京太郎「おとぎ話かっ!……ん?なんだこの紙?」ピラッ
優希「宝の地図か!?」
京太郎「いや違ぇよ…『99↑100』…とだけ書かれた紙きれだ…ノートの切れ端?」
優希「もう一枚あるじょ?」ピラッ
優希「…こっちはノート1ページ…うわっ…グチャグチャになった車の絵だ…きもっ」
優希「文字のほうは……『六月八日』…それ以外はススでよくわからんじょ…」
京太郎「おっ、こっちは表紙っぽい一部が!…『…イス…』?…『交換日記』…?」ピラッ
京太郎「なぁ、これただのゴミじゃね?」
優希「んー…なんか気になるじぇ。一応和ちゃんのとこに持ってくか!」
ポツ…ポツ…
京太郎「…ん?雨…」
ザァー!
京太郎「うわっ!降ってきやがった!」
優希「ふっふっふ!こんなこともあろうかと、折りたたみ傘持ってきて正解だったじぇ!」バサッ
京太郎「おわっ!ズリぃ!入れろ!」
優希「おいっ!勝手に入ってくんな!」
ギャーギャー…
龍門渕邸応接室
優希「じぇー…ひどい目にあったじょ…」ビショビショ
京太郎「…お前が素直に傘に入れてくれりゃこんなことには…」ビショビショ
優希「なんだと!元はといえばお前が無理やり入ってきたからだろ!」
京太郎「しょうがなかっただろ!あれか?俺にずぶ濡れになれってか!?」
優希「二人とももうずぶ濡れだろ!お前一人がずぶ濡れなってればよかったんだ!」
ギャーギャー…
まこ「おやおや、相合傘で帰ってきたと思ったら今度は痴話喧嘩か?いつのまに仲良くなったんじゃ?」ニヤニヤ
優希・京太郎「「仲良くなんてなってない!!」」
優希「…あっ…そうだ、和ちゃん」
和「はい?」
優希「これ、焼却炉で拾ったんだけど…何かわかるか?」ピラッピラッピラッ
和「…これは…」
和「……」
和「優希、お手柄です」
優希「お!久々に和ちゃんに褒められたじぇ!」
京太郎「お、俺も褒めてください!」
和「……」
和(…気になった点を少しまとめてみましょう)
『九月六日』『怨恨による犯行』『廊下に落ちていたメモ』『答えは漢字の読み』
『数式』『ワハハ』『友人メンバー』『モッテル』『…ゲンソン…ワ…』
『蒲原さん、東横さん、エイスリンさん、池田さん…ともう一人』『シロさん』
『二枚目は…車…運転席に蒲原さん、助手席にシロさん。臨場感がすごいですね。飛んで行きそうです』
『三枚目は…蒲原さん、東横さん、エイスリンさん、池田さん…全体的に暗い…』
『…モモかエイスリンが何か言ったのか?』
『仕方ない…うん……仕方なかったんだ…あたしにはどうしようも……燃やして…』
『99↑100』『グチャグチャになった車の絵』『六月八日』『…イス…』『交換日記』『相合傘』
和(…そして)
『1+2=3 6+3=9 9-7=2
2+5=7 4*2=8 13-7=6
100/25=4 10*10=100→110
[ha723saga4na9te68]
kotaehakanjinoyomi
wahan kawa!』
和「……」
和「!」
和(…なるほど、そういうことですか)
和「…染谷先輩、ちょっと調べてほしいことがいくつかあるんですが…」
まこ「お!なんじゃ!?犯人わかったのか!?」
和「それと部長、染谷先輩が帰ってきたら全員この部屋に集めてもらえますか?」
久「!ええ、いいわよ」
和「…全員集まりましたね」
衣「…どうしたんだ?こんなところに集めて…」
透華「まさか……犯人がわかりましたの!?」
和「…ええ」
全員「!?」
一「…ということは…この中に犯人がいると…?」
和「…はい」
衣「……」
透華「……」
一「……」
桃子「……」
エイスリン「……」
華菜「……」
和「犯人は……」
咲(始まる…和ちゃんの『五十音』解決劇が!)
和「あなたですね、東横桃子さん」
全員「!?」
桃子「……言いがかりはやめてくださいっす」
和「…恨みがあったんですよね?蒲原さんに」
和「…怨恨による殺人」
桃子「……おかしな事を言う人っす」
桃子「聞かないほうがいいっす、この人の話なんて」
桃子「口車に乗せられてはダメっすよ、皆さん!」
和「…決して根拠もなしにあなたが犯人だと言っているわけではありません」
和「…これは、染谷先輩に調べてもらったことなんですが」
和「三ヶ月前、この辺りで自動車事故があって、乗車していた2名のうち1名が亡くなったそうです…」
和「シロさん…もとい小瀬川白望さんが」
桃子「!」
和「……スピードの出し過ぎによる事故だった」
和「…責めたい気持ちはわかります…なぜなら」
和「その車は、蒲原さんが運転していたから」
桃子「……確かに、シロは蒲原先輩の無茶な運転のせいで死んだっす」
桃子「…治療を受けて生還したのは皮肉にも…蒲原先輩だけだった…」
桃子「…強く責めたのも事実っす」
桃子「でも、それだけで私が蒲原先輩を殺した理由にはならないっすよね?」
和「…当時、あなたは小瀬川さんと恋人関係にあった…これで十分では?」
桃子「!?」
桃子「……何を言ってるんすかこの人は!」
桃子「濡れ衣着せようとしてるんっすね!!」
桃子「捏造っす、そんな話!」
和「…ノートの切れ端…おそらくエイスリンさんが所有していたノートの」ピラッ
桃子「!?」
エイスリン「!」
華菜「……」
和「…灰の中に残っていたこのノートの切れ端に書かれた字…東横さんと小瀬川さんの筆跡であることがわかりました」
和「火が弱かったのか…もしくはわざと残してあったのか…どちらにせよ、これであなたと小瀬川さんが恋人関係にあったことが証明できます」
桃子「ふっ…ふふふ……あはははははは!!」
桃子「屁理屈もいい加減にしろっす!!」
桃子「本当にそんな紙きれに書かれた筆跡で証明できるとでも!?」
桃子「まさか、証拠なしで言ってるんじゃないんっすか?」
桃子「見せてくれませんかねぇ…証拠を!」
和「無論、証拠はあります」
和「…メモとこの紙きれに書かれた暗号の意味、今ここで説明しましょう」
桃子「!!」
桃子「……」
桃子「……やめてください…もういいっす…認めます」
和「……」
桃子「……許せなかったんすよ……私の大切な人の命を奪い、のうのうと笑って生きている蒲原先輩が!」
桃子「……よく私をご飯に誘ってくれたり、友人をたくさん作ってくれたりして…」
桃子「…楽にしようとしてくれたのは、その蒲原先輩だったってこと…」
桃子「理解してた…理解してたけど…我慢できなかった…」
桃子「……」
桃子「…留守の間、エイスリンさんを頼んだっすよ…華菜さん」
華菜「……」コクッ
エイスリン「……」
久「…連行します…東横桃子さん」ガチャッ
桃子「……」
咲「……廊下に落ちてたメモと紙きれの暗号…結局どういう意味だったの?和ちゃん」
和「……」
和「…わをんにするんですよ」
終わり
45分位から解説編投下します
あとネタバレNG解除で
最後の68が読めん
>>90
これけっこう無理矢理だったからね…
ヒント『六月八日』
解説編
咲「……」ウーン?
咲「!」
咲「わかった!わかったよ!」
優希「えっ?えっ?どういうことだ?」
咲「優希ちゃん、『わ』を『ん』にするんだよ。『ワハハ』と書こうとしたんじゃなくて、そのまま『わはん』」
優希「…つまり『wa(わ)』は『n(ん)』ってことか?それじゃ数式は?使ってないじょ?」
咲「…ヒント『和ちゃん』」
優希「……!」
優希「『和』か!足し算の答えだけが『ん』になるのか!…ということは」
優希「はんにんさがしなんて…むや…?あれ?」
咲「…わざわざ漢字の読みに変換する意味を考えてみて?」
優希「…ろく、む、りく…はち、や、よう……あっ!」
優希「『はんにんさがしなんてむよう』!おおっ!……ん?『犯人探しなんて無用』って…全然解決してないじょ?なんで東横桃子が犯人なんだ?」
咲「え?えっと…それは…」アセアセ
優希「なんだ。咲ちゃんもわかってないじゃんか」
和「…それはフェイクですよ。蒲原さんの優しさです」
和「蒲原さんは東横さんの大切な人の命を奪ってしまったという罪悪感から、東横さんを庇うために『犯人探しなんて無用』というメッセージを残した」
和「暗号化したのも、そのまま事件が迷宮入りしてもいいという考えから」
和「……しかし死の間際、蒲原さんは自分と同じ罪悪感を東横さんに背負わせてはいけないと考え直した…」
和「…すぐに罪を償ってもらい、罪悪感から解放させたかった…そこで文をひとつ付け加えたんです」
優希「文?」
和「上の数式に何かおかしなところはありませんか?」
咲「…矢印」
和「…その矢印のついた数式に、もう一つ他の数式と違う所があります」
咲「…その数式の答えが[ ]の中に無い…他の数式の答えはすべて入っているのに」
和「さすがです咲さん。その数式こそが、蒲原さんが亡くなる寸前に付け加えた文…」
和「…数式の答えは漢字に変換…『百』ですから読みは『ひゃく』『びゃく』もしくは…」
咲「『もも』」
和「そうです。…そして矢印の先には『110』…つまり警察に自首しなさいという、東横さんだけに宛てたメッセージだったんです…」
優希「…ということは、こっちの『99↑100』は『九十九↑モモ』で……どゆこと?」
和「…99を漢字に変換すると?」
優希「九十九…九九?」
咲「……『白』」
優希「あっ、99歳のことを白寿とか言うもんな!」
和「そうです。つまり『シロ↑モモ』…この構図を見て、何か思い浮かびませんか?」
咲「構図?……あっ!」
咲「『相合傘』!」
優希「で、シロとモモ二人の筆跡があるわけだから恋人同士だと!他人同士ではしないからな、そんなこと」
和「まぁ、私が言ったことはすべて推測ですがね……真意を知ることはもうできません」
咲「…悲しい事件だったね…」
優希「……待ってくれ…じゃあ最後の『kawa!』ってのは…」
咲「カン!」
支援やらさるよけありがとうございました
あちなみに>>76から文頭または二文字連続(おか)、三文字連続(わをん)で五十音順にしてあります
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