勇者「僕が勇者?とんでもございませんよ」 (9)

魔王「……ならば、なぜ我の前にいるのだ」

勇者「え…と…ほら、あれですよ、あーれー」

魔王「どう見ても勇者にしか見えないんだが」

勇者「違いますって、どこの世界にこんな貧弱な少年勇者がいますか」

魔王「かつて青い服を身にまとった少年勇者がいたと聞いたことがあるぞ」

勇者「はぁーこれだから魔界閉じこもり魔王さまには困りますね」

魔王「我の情報が間違っていたと?」

勇者「間違いも間違い、この世の中に魔王さまを倒そうとする者などおりませんよ」

魔王「しかし…現に言い伝えにあるではないか…」

勇者「はっ!魔王さまは見たことも名前もしらない人の伝聞を信じるのですか?魔王さま語るに落ちましたな!」

魔王「な、なに貴様、我を愚弄するのか」

勇者「いやいや、とんでもございません、ほらほらこのとーり頭だって下げますよ」ペコペコ


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魔王「ならば、なぜこの魔界城まで来た」

勇者「えーと、ほら、あれですよあれ」

魔王「我には貴様がいうあれがなんなのか分からぬが」

勇者「困りましたね、あれといったら、普通分かるものですよ」

魔王「うむ、困ったのう…」

勇者「そうですね、困りました、ほれ賢者(女・16)ちゃんよ、魔王さまに得意のダンスでも披露してあげなさい」

賢者「ちょ、ちょっといきなりなに言い出すのよ!」

魔王「ほほー貴様は北海の賢者の末裔じゃな」

賢者「北海?違いますけど、南の楽園出身ですよ」

魔王「南の楽園とな、なにやら楽しそうなところじゃな」

勇者「ええ、とても楽しいところです、そこで暮らしていたこの女を俺が見つけて旅に連れ出したんですよ」

賢者「ったく無理矢理なんですよ、ちょっと海岸のバーで踊っていたらこいつが…」

勇者「いやーこんな普通の女にもちょっとした才能がありましてね、それがダンスなわけですよ、魔王さま」

魔王「ダンス踊るのが才能なのに、なぜ賢者なのだ?」

勇者「ほらあれですよ、賢者の衣装ってエロいでしょ、だから頼み込んで賢者になってもらったんです」

賢者「ほんとコイツったら、スケベでどうしょもないんですよ」

魔王「どれどれ、たしかにいい体しておるの貴様、我の妾にならぬか?」

勇者「と、とととととんでもございません、こんな小娘、魔王さまの妾なんてとてもとても」

魔王「そうかの…我は此奴のような女は好みじゃぞ」

賢者「えへへ、魔王さまに好みっていわれちゃった//」

勇者「戦士(女の子・12)ちゃんよ、賢者ちゃんを頼みます」

戦士「うん、賢者のお姉ちゃん相手は魔王さまだよ、人間じゃないんだよ魔姦になっちゃうよ」

賢者「魔姦…でもでも、妾になったら金銀財宝が!」

戦士「あのね賢者のお姉ちゃん、魔界に流通してる金銀は名ばかりで青銅なんだよ」

賢者「青銅…じゃ無理ね」

魔王「なんじゃあの戦士の幼女は、賢者にあることないこと吹き込みおって」

勇者「まあまあ、魔王さま子供の戯れ言ですからお気をお鎮めください」

魔王「そうじゃな童女相手に怒ってもしょうがないわ」

勇者「さすが魔王さまでございます、広き心に感謝いたします」

魔王「で、さっきからあの柱からちらちらこちらを見ている魔法使いはなんなのだ?」

勇者「あの魔法使いでございますか?」

魔王「うむ、さっきからチロチロとこちらを見ている、おまえをやたら気にしておるようだが」

勇者「これ魔法使い(妹・14)、こっちに来て魔王さまに挨拶しなさい」

魔法使い「……グッドアフタヌーン、ナイチューミーチュゥー」

魔王「……すまぬが我は異国語は解せぬのでな」

勇者「こ、これは失礼いたしました、妹が失礼なことを」

魔王「よいよい、子供のやったことじゃ」

勇者「ほら、魔法使い、おまえも謝りなさい」

魔法使い「魔王のおじちゃん、ごめんなさい」

魔王「おじちゃん…」

魔法使い「おじいちゃん?」

勇者「こ、こら魔法使い、魔王さまに失礼だろ、魔王さまはこう見えてもまだ…おいくつでしったけ?」

魔王「1万飛んで17歳じゃ、昔遊び心で17歳教徒になったら、いっこうに年を取らんようになってしまった」

賢者「ぷっ、ねえ戦士ちゃん聞いた?よりによって17歳教だって」

戦士「人は永遠の17歳に憧れるものです、笑ったら失礼ですよ…ぷっ」

魔王「あの二人を地獄の炎で焼き払ってもいいかの?」

勇者「とんでもございません、魔王さまがお手を汚されてはなりません」

魔王「しかしのう、我はあの小娘二人にバカにされたのじゃぞ」

勇者「いいえいいえ、バカになどしておりません、あれは彼女たちの最高の褒め言葉」

魔法使い「うん、魔王のおじいちゃん、あの二人はツンツンデレデレさんなのですよ」

魔王「なんじゃ、そのつんつんでれでれとは?」

魔法使い「好きな人にツンツンいじめた後に、デレデレとしてくれる人のことですよ、魔王のおじいちゃん」

魔王「なるほど、ということはあの二人は我のことが好きだと解釈していいのだな?」

魔法使い「魔王のおじいちゃんが大好きなんだよ!やったね魔王のおじいちゃん!大勝利!」

勇者「そうでごぜーますよ、あの二人は置いていきますのでなにとぞなにとぞ、お怒りをお鎮めくださいまし」

魔王「うむ!我はよき魔界の王を目指しておるよって、あの二人を許そうぞ」

勇者「へーへーありがたきお言葉でございますよ」

魔王「ところおまえの従事者のことはわかった、おまえは一体何者なのじゃ?」

勇者「妹の引率?」」

魔王「さすがにそれは無理があるじゃろ…」

勇者「魔界徒歩ツアーのコンダクター?」

魔王「人間がわざわざ魔界観光に来るとは思えんし、歓迎しておらん」

勇者「……魔王さまの信者?」

魔王「残念じゃが、我は宗教家ではない」

勇者「なら、いったいなんなら納得してくれるんですか?」

魔王「なぜキレる、我はおまえの目的を聞いてるだけじゃぞ」

勇者「すみません、つい…そうですね…」

魔王使い「お兄ちゃんはね…」

魔王「うむ、兄に代わって妹の主が答えるか」

魔法使い「魔王おじさんの娘さんに会いに来たんだよ!」

魔王「!!」

勇者「お、おい!いくら本当のことだからって、いきなりいうなよーもーしょうがないなー」

勇者「お義父さま!娘さんをください!」

魔王「……おまえ、人間だよな?」

勇者「はい」

魔王「我が一族は魔族じゃぞ?」

勇者「はい、知ってますよ」

魔王「そのーなんだ、やれることは出来るが、子をなすことは出来ぬぞ」

勇者「異属種ですからね、妹が子供産んだら、養子にしようかと考えてます」

魔王「やけに現実的じゃの」

勇者「魔界の王の娘との結婚ですからね、真剣にもなりますよ」

魔王「我としては、やはり魔族の者と結ばれてほしいのじゃが」

勇者「そうなんですよね、でも、やはり両種族の架け橋として…」

魔王「そうじゃの、魔物、人間の架け橋か…この先、第三の何者かが攻めてくるかもしれんしな」

魔法使い「ま、私と魔王のおじさんでもいいんだけどね」

魔王「な!さすがにそれはな、我れの立場もある、人間の童女とはさすがにな…」

魔法使い「そうですか…魔王の妻という立場にとても興味があったのですが、残念です」

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