ちなつ「引っ越し……?」 (29)
ちなつ「嘘でしょ?お父さん」
父「仕事の都合で大阪にな、すまない」
ちなつ「……」
父「それで……ちなつ、聞いてるのか?」
ちなつ「やだ……」ボソ
父「え?」
ちなつ「絶対いや!絶対いかないもん!」
母「ちなつ、聞きなさい!」
ちなつ「聞きたくない!お父さんのばーか!」ダッ
ちなつ「うぅ……」トボトボ
ちなつ(薄着のまま飛び出してきちゃった……さむ……)
ちなつ(引っ越しかぁ……)
ちなつ「離れたくないよ……あかりちゃん、結衣先輩、京子先輩……」
ちなつ(うー!さむさむ!とりあえずコンビニにでも……)
ウィーン
シャーセー
ちなつ(肉まんでも食べようかなぁ……)
120エンシャーッス
ちなつ「あ……」
ちなつ(やっばぁ……サイフ持ってきてないじゃん……)
ちなつ「あの、すいません……お金忘れ……」
「これも一緒にお願いします!」
ちなつ「え?」
アワセテ385エンシャーッス
京子「ほいほい」チャリン
ちなつ「京子先輩?」
アリャーシター
ちなつ「あの……」
京子「ほい、肉まん!」
ちなつ「あ、すいません……今度返しますね」
京子「いいっていいって!」
ちなつ「でも……」
京子「じゃあ今度デートして?」キャルン
ちなつ「……いいですけど、早いうちにお願いします」
京子「おお!?デレ期!?」
京子「ちなちゅもついに私の魅力に気づいたのか!」
ちなつ「ちなちゅ言うな!」
京子「そこはいつも通りなのね……」
ちなつ「あたりまえです!……クシュンッ」
京子「寒そうだね、私のマフラーを使いたまえ」
ちなつ「先輩寒くないですか?」
京子「厚着してるからマフラーくらい大丈夫だよん。ちなつちゃんはなんでそんな薄着なの?」
ちなつ「あー……ちょろっとコンビニ来るくらいなら大丈夫かなって油断してました」
ヴーヴー
ちなつ「あ、すいません。電話が……」
ちなつ(……お母さん)
プツッ
京子「あれ?電話いいの?」
ちなつ「ただの迷惑メールでした」
京子「ふーん」
ちなつ「……クシュンッ」
京子「あーマフラーだけじゃ寒いかぁ。早く家帰った方がいいね」
ちなつ「あ……いえ、家は……今誰もいなくて……」
京子「ふーん……じゃ、うち来る?」
ちなつ「いいんですか?」
京子「いいよー」
ちなつ「でも、結衣先輩の家行くところじゃなかったんですか?」
京子「……何故バレたし」
ちなつ「乙女の勘です……って言うのは嘘で、京子先輩の家からだともっと近いコンビニがあるのにわざわざこっちのコンビニ使ったのは結衣先輩の家に行く途中だったんだろうと思っただけです」
京子「……ちょっと怖いよちなつちゃん」
ちなつ「うるさいです!自分だけ結衣先輩の家に行こうだなんてズルいですよ!」
京子「じゃあ一緒に結衣んち行く?」
ちなつ「……今日は遠慮しときます」
京子「でも家には帰りたくないんでしょ?」
ちなつ「え……?」
京子「コンビニにちょろっと出かけるだけだから薄着って言ったのに家に誰もいないから帰れないっておかしいじゃん。喧嘩でもして飛び出して来たんじゃないの?」
ちなつ「……京子先輩も十分怖いですよ」
京子「ちなちゅのことはなんでもお見通しなのさ!」キラッ
ちなつ「もう……」クス
京子「うちおいでよ。話くらい聞くし、話したくないなら寒さしのぐだけでいいからさ」
ちなつ「じゃあ……お邪魔します」
ちなつ「京子先輩の家に来るのは初めてですね」キョロキョロ
ちなつ(ガンボーの着ぐるみが……)
京子「まぁくつろぎたまえ。何か飲む?」
ちなつ「じゃあ……何か温かいものもらっていいですか?」
京子「おっけー、まっててね」
ちなつ「すいません」
ちなつ「はぁ……」
京子「へいお待ち!あったかいミルクココアですぜ!」
ちなつ「ありがとうございます」
ズズッ
京ちな「はぁ……」
ちなつ「たまにはお茶じゃなくてココアもいいですね」
京子「うーん……でも私はやっぱりちなつちゃんのお茶の方が好きだなぁ、愛情が感じられて!」
ちなつ「……京子先輩へのお茶に愛情を込めた覚えはありません」
京子「あぁん、いけずぅ」
ちなつ「それに……私はもう、みんなのためにお茶入れられなくなっちゃいますから」
京子「……え?」
ちなつ「京子先輩、私ね……引っ越すんです」
京子「うそ……」
ちなつ「親は大阪って言ってました。当然通える距離じゃありませんし、転校することになります」
ちなつ「だから……って京子先輩!?」
京子「やだぁ……」ボロボロ
ちなつ「もう……なんで京子先輩が泣くんですか?」
京子「だっでぇ……」ボロボロ
ちなつ「もう……話聞いてあげるなんてかっこつけてたくせに」クス
京子「ん~……!」グシグシ
京子「じゃ、じゃあさ!うちに住みなよ!お母さんなら私が説得するから!」
ちなつ「ペットじゃあるまいし、無理ですよ」
京子「じゃあ!結衣んち!結衣なら話せば絶対大丈夫だよ!」
ちなつ「同じですよ、そんな迷惑かけられるわけないじゃないですか」
京子「じゃあ、えーと……えーと……そう!ちなつちゃんも一人暮らしすれば!」
ちなつ「親が許してくれるわけないじゃないですか」
京子「うぅ……じゃあ……」
ちなつ「私は大丈夫ですよ、京子先輩」
京子「私が大丈夫じゃないもん!」
ちなつ「……」
京子「ごらく部は一人でも抜けたらごらく部じゃないもん!」
ちなつ「……ありがとうございます」
ちなつ「大好きですよ、京子先輩」
………
……
…
ちなつ「……は?」
父「いやだから、ちなつはおばあちゃんちから今の中学に通ってもいいって」
母「最後まで話聞かずにでていっちゃうんだもの」
ちなつ「……はぁ」ヘナヘナ
………
……
…
ちなつ「というわけでですね……」
京子「……」プルプル
ちなつ「あはは……」
京子「ちなちゅーーー!!」グァ
ちなつ「あー!離れてください!」グイグイ
京子『大好きですよ、京子先輩』キュピン
ちなつ「あーもう!!」
おわりー
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