モバP「思わせぶりな目配せ」 (78)

P「……」カタカタカタカタ

凛「……」ペラッ

P「……」チラッ カタカタ

P「……」カタカタカタカタ チラッ

凛「……」

P「……」カタカタ チラッ

凛(気になる。すごく気になる)

凛(どうしてプロデューサーはチラチラと私を見てくるのか)

凛(そんなに何度も見られては気になって雑誌も読めない)


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凛「……プロデューサー」

P「どうした、凛」

凛「言いたい事でもあるの?」

P「いや、特に」

凛「なら、どうしてそんなに私の事見てるの?」

P「……そんなつもりはなかったんだが、気に障ったのなら謝る」

凛「別に良いけどね」

凛(そんなつもりはない、か)

P「……」チラッ

凛(そんなつもりはなくても、知らず知らずに目を向けてしまうだなんて)

凛「これは、つまりそういうことかな」ボソッ

P「…? 何か言ったか?」

凛「いや、なんでもないよ。独り言」

凛(困ったな)

凛(どうやら私はしでかしてしまったらしい)

凛(プロデューサーに惚れられてしまったみたいだ)

凛(私から溢れ出る魅力は、恋愛初心者のプロデューサーにとって刺激が強すぎたのだろう)

凛(それはまるで中高生の様な恋心。気になるあの子を、つまり私を、つい目で追ってしまうのだ)

凛(まともな恋愛なんてしたことの無いプロデューサー、26歳にして初めて抱く恋心)

凛(自分のうちに芽生えた堪えがたいその感情を持てあましているはずだ)

凛(プロデューサーは先ほどからずっとキーボードを叩いている。一向に終わる気配がない)

凛(その原因はどう考えても私)

凛(私がいるから、仕事が手につかないんだね)

凛「罪な女だね、私も」ボソッ

P「……ツミ? すまない凛、聞き取れなかった」

凛「……なんでもないよ、プロデューサー」

P「そうか? ならいいんだが」

凛(プロデューサーが仕事に集中できなかったら、この事務所全体にも影響が出るよね)

凛(そうでなくても私たちはアイドルとプロデューサー、禁断の関係)

凛(万が一プロデューサーが暴走してしまえば……)

凛(人の人生を狂わせる魅力。なるほどこれが)

凛「魔性の女って、私の事だったんだね」ボソッ

P「……凛?」

凛「仕事に集中しなきゃダメだよ、プロデューサー」

P「ああ、うん。そうだな」

P(仕事もないのに、凛はいつまで事務所にいるのだろうか)


——
———

翌日

凛「おはよ」

奈緒「あっ、凛。相談ってなんだよ」

凛「うん……ちょっとね。加蓮は?」

奈緒「もう来ると思うけど」

凛(昨日の夜、家に帰ってからずっと考えていた)

凛(プロデューサーの気持ちにどう応えるのか、そしてプロデューサーとのこれからについて)

凛(私だってプロデューサーのことが嫌いではない)

凛(お世話になってるし、求めてくるのなら無碍に扱いたくないと思う)

凛(でも私はアイドルで、恋愛は御法度)

凛(まして相手はプロデューサーだ。軽々しく付き合うだなんて言えない。応援してくれるファンに申し訳が立たない)

凛(愛し合う二人に立ちはだかる障害。これを乗り越えるために必要なのは、そう)

凛(心から応援してくれる親友の助けである!)

凛「……ということで二人を呼び出してみた」ボソッ

奈緒「なんか言った?」

凛「ううん、なんでもない」

奈緒「にしても、なんでファミレスなんだ?」

凛「ごめん、事務所じゃちょっと話しづらくて」

奈緒「いや、別に良いけどさ。……おっ、あれ加蓮じゃないか?」

加蓮「ゴメンね、遅くなっちゃった」

凛「大丈夫だよ、来てくれてありがと」

奈緒「んじゃ、とりあえず注文するか。ドリンクバーでいい?」


——
———

加蓮「それで、相談だっけ。どうしたの?」

凛「うん、その、言いづらいんだけどね」

凛「プロデューサーが……」

奈緒「アイツがどうかしたのか?」

凛「……私の事、好きみたいで」

奈緒「は、はぁ!?」

加蓮「えぇ!? ちょ、ちょっとまって、Pさんがそう言ったの?」

凛「うん……直接的ではなかったんだけど」

奈緒「か、勘違いとかじゃ……」

凛「それはない。確実。確実に私の事が好き」

奈緒「お、おう。そうなのか……」

奈緒(軽い気持ちで相談に乗ったら思いの外ヘビーな話を聞かされてしまった……)

奈緒(これはやばい。まずい。なにがって言ったら、そりゃ)

奈緒(一部を除くアイドルたちはみんな、Pさんのことが好きだからだ)

奈緒(この話をあたしが聞く分には問題ない、けど)チラッ

加蓮(Pさんは凛のことが好き?)

加蓮(凛は嘘ついたりしない。本当にそうだと思ってるんだ)

加蓮(凛、かわいそう。Pさんが優しいから勘違いしちゃったんだね)

加蓮(Pさんが本当に好きなのは私なのに)フゥ

奈緒(加蓮が横にいるのはやばい。いや、マジでやばい)ダラダラ

凛「……どうしたの? 奈緒、汗すごいよ?」

奈緒「い、いや! なんでもねぇよ、ホント!」

凛「そう……?」

加蓮「凛の話さ、それ、まずいよね。私たちアイドルなんだし」

奈緒「あぁ、そうだよな。どうしようもないっつーか……」

加蓮「うん、どうしようもない」

加蓮「だからさ、こういうのはお互いに無かった事にするっていうのが一番だと思う」

奈緒(露骨! 露骨に潰しにきた! もう少し回りくどくするもんじゃないのかこういうときって!)

凛「だから、二人に相談したくて」

凛「私、プロデューサーの気持ちに応えたい。どうすればいいかな」

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渋谷凛(15)

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神谷奈緒(17)

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北条加蓮(16)

奈緒(ここで凛が折れてくれたならあたしは助かった。いや、折れてくれなくてもいい)

奈緒(ただその想いを胸に秘めたままでいてくれたなら……)

奈緒(そう思わずにはいられない)

奈緒(凛の言葉を聞いた瞬間、隣に座る加蓮の瞳が澱んだように暗くなり、細められた瞼の奥から凛を見据えたのだ)

奈緒(あたしはどうしたらいい。どうしたらこの場を治めることができる。答えろ!答えてみろルドガー!)

加蓮「……そっか、凛はPさんのことが好きなんだ」

凛「好きっていうか……プロデューサーがそうしたいなら断りたくない」

凛「今まで散々お世話になってるからね。プロデューサーのわがまま聞いてあげたいの」

加蓮「へぇ……」

加蓮「あんまり勘違いがひどいと、私困るんだけどな」ボソッ

奈緒「……!」ビクッ

凛「……加蓮?」

加蓮「それじゃあどうしよっかなって。安易に付き合える立場じゃないからさ」

凛「うん、隠れて付き合うっていうのも考えたんだけど……難しいかなって」

奈緒「た、確かにそれはなぁー! 難しいだろうな−!」

奈緒(一刻も早くこの話題を終わらせなければならない)

奈緒(たったこれだけのやりとりでしかないというのに、加蓮は既に限界だ)

奈緒(表情こそ未だ柔和に見えるけれど、机の下では左手で押さえるように右手首を握りしめている)

奈緒(加蓮がいつまで耐えてられるか分からない。次の瞬間に爆発してもおかしくはないのだろう)

奈緒(話を終わらせる。そうしようにも、凛の相談をおろそかにするわけにもいかない)

奈緒(こんな相談を持ちかけたあたし達二人に対する信頼を裏切るなんてあってはならない)

奈緒(状況は悪い。効果的な解決策など頭に浮かばない。だからこそあたしにできる事は一つ!)

奈緒(せっかくだからあたしは赤の扉を選ぶぜ!)

奈緒「な、なぁ凛! トイレ行ってきてもいいかな!」

凛「えっ、うん……そんな大声で言うことじゃないでしょ」

奈緒「ゴメンゴメン、ずっと我慢しててさー!」

加蓮「いいから早く行ってきなよ、ほら」

奈緒「ああ、んじゃ、ちょっと待っててくれよ!」

奈緒(そう、赤の扉の女子トイレこそ、あたしに残された唯一の活路!)

奈緒(どう考えたってあたしにあの状況を打開することはできない。だったら、助っ人を呼べばいい)

奈緒(トイレに行くと言って話の腰を折りつつ、トイレで助っ人に連絡を取り、偶然を装って合流する)

奈緒(凛はあたし達二人を信じてあの話を振った。他人には聞かれたくない話だ)

奈緒(しかしそこに偶然、そういう話をするにはいささか信頼の置けない類の人物が、ホント偶然現れてしまったら……)

奈緒(完璧だ、あたし! 凛には悪いが、とにかくこの話は先延ばしにさせてもらうぞ!)

??「あれ……? 奈緒ちゃん?」

奈緒「へ……?」

美優「ああ、やっぱり……事務所以外で会うのは珍しいですね」

留美「あら、本当ね。だれかと一緒なのかしら」

奈緒「あっ……はい……凛と、加蓮と、一緒に……」

奈緒(これは、この二人は……ああ、なんかお腹痛くなってきた……)


——
———

加蓮(奈緒が席を立った事で、私は凛と真正面から向き合う事になった)

加蓮(はじめは凛の事を可哀想だと思った。この年頃にありがちな勘違いをしてしまったのだろうと)

加蓮(ちょっと話し掛けられたとか、よく目が合うとか、そんな些細な事で『あれ? あいつって私の事好きなんじゃ……』と考えてしまう)

加蓮(それ自体はなにも悪くない。少し自意識過剰だなって考えるくらいだ)

加蓮(その相手がPさんだってことも、凛なら許してあげる)

加蓮(私は止めてあげようと思ったのだ。凛がその勘違いを表に晒して大恥かく前に、優しく諭してあげようと思った)

加蓮(でも、ちょっと話してみると少し苛立ってしまった)

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三船美優(26)

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http://i.imgur.com/AtbKQeo.jpg
和久井留美(26)

加蓮(凛の事は好きだ。親友だと思ってる。ただあんまりにもPさんの気持ちを訳知り顔に話すものだから、本当に、少しだけ)

加蓮(その顔をぶん殴ってあげたくなった)

加蓮(Pさんは私の事が好きだ。そして私はPさんのことが好き)

加蓮(Pさんはいつも私の事を考えてくれていて、心配してくれていて、つまり私を愛している)

加蓮(この間だってそうだ。急に雨が降ってきた時、体を冷やすといけないからってPさんの来ていたジャケットを私にかぶせてくれた)

加蓮(私が体調を崩したときは家までお見舞いに来てくれるし、ジャンクフードが食べたいと言えば渋々ながらも付き合ってくれる)

加蓮(私たちは恋人同士なのだ)

加蓮(なのに横からしゃしゃり出てきて、『好きだって言うなら付き合ってあげる』だなんて見当外れなことを言われたら腹が立つのも当たり前だ)

加蓮(凛とケンカしたくないけど、これだけは譲れない)

加蓮「ねぇ、凛」

凛「なに?」

加蓮「本当にPさんは、凛の事が好きなのかな?」

凛「そうだってば」

加蓮「間違いない?」

凛「……加蓮、なにが言いたいの」

加蓮「凛の事疑ってるわけじゃないけど、ほら、客観的な意見だって大切でしょ? だから詳しく話してもらおうかなって」

凛「勘違いとかじゃないよ。その必要は無い」

加蓮「……凛、それを判断するのは、私」

凛「……」

加蓮「ほら、話してみてよ。もしかしたら、」

留美「こんにちは、凛ちゃん加蓮ちゃん」

美優「あ、あの……こんにちは……」

加蓮「……こんにちは」

凛「……珍しいですね。ファミレスで、なんて」

美優「その……さっき奈緒ちゃんに会って……二人も一緒だと聞いたので」

留美「それにしても、仲良くお話ししてるっていう感じじゃないわね。何かあったの」

凛「……いえ、たいしたことじゃ」

加蓮「たいしたことでしょ、凛。ちょうどいいから留美さんと美優さんにも聞いてもらったらいいんじゃない? 大人の意見も聞けるし」

凛「……加蓮」

美優「え、ええと……お邪魔なら他の席に……」

留美「いえ、事情は聞かせてもらいましょう? 場合によってはP君が困るかも知れない」

留美「私たちが力になれるのなら、お願い、聞かせてもらえるかしら」

美優「……留美さん……」

加蓮「ほら、凛。話してみてよ。私たちが判断してあげる」

加蓮「Pさんが凛の事を好きなのか、そうじゃないのかをね」


——
———

プルルルル プルルルル

奈緒「早く出ろよぉー出てくれよぉー」

プルルルル プルルルル

奈緒「もうあたしどうしていいのかわかんねぇよぉ、あぁ、ちょっと涙出てきた」

プルルル ブツッ オカケニナッタデンワハ

奈緒「ちょっともう勘弁してくれよぉー!」

周子『なにが?』

奈緒「えっ、あっ、もしもし周子さん!?」

周子『んー、そだけどー?』

奈緒「助けて、助けてくれ」

周子『……なんの話?』


——
———


美優(私は……どうしたらいいんでしょう……)

美優(次のレッスンまで時間を潰すだけのつもりで寄ったファミレスでこんな事になるなんて……)

加蓮「やっぱり凛の勘違いじゃん」

凛「……はぁ? 加蓮、男の人と関わりがないからこういうことに疎いだけでしょ?」

加蓮「疎いかもね。Pさん以外の男の人相手だと」

凛「どういう意味」

加蓮「Pさんのことなら私は誰よりも詳しいって事」

凛「……加蓮こそ、ずいぶんな勘違いをしてるみたいだね」

加蓮「勘違いじゃないって。私とPさんは恋人同士なの」

凛「妄想は日菜子ちゃんだけで十分なんだけどなぁ」

美優(凛ちゃんの話を聞いて事情は分かりましたけど……こういうことで揉めている高校生の間に割ってはいるなんて私にはできそうにありません……)

留美「美優、ちょっと」ボソッ

美優(それに……)

留美「今から私はあの二人に残酷な事実を伝えなければならないわ」

留美「後のフォローをお願いできるかしら」

美優(今からもう一人、増えるみたいです……)

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http://i.imgur.com/nOxMEGU.jpg
塩見周子(18)


——
———

周子『話は分かったけど、分かったからこそ行きたくない』

奈緒「そんな事言わないでくれ! あたしはどうしたらいいんだ!」

周子『えぇー、知らない』

奈緒「周子さぁん……」グスッ

周子『大体、いまいち信用ならない相手って事であたしを呼ぶのはひどくないかなー』

奈緒「いや、それは、適度ないい加減さが欲しかったんだもん」

奈緒「本当にいい加減な人は呼ばないって。フレデリカさんとか」

周子『地獄絵図になるね』

奈緒「……うん」

周子『ま、いいや。行ったげる。駅前のファミレス?』

奈緒「うん、そう! 周子さん愛してる!」

http://i.imgur.com/sWvYl9i.jpg
http://i.imgur.com/5lN3UKv.jpg
宮本フレデリカ(19)


——
———

奈緒(周子さんが来てくれたら話もいったん流れるだろう)

奈緒(トイレを出たばかりのあたしはそう考えて、油断していた)

奈緒(すっかり忘れていたのだ、トイレに入る前に出会ったあの二人。留美さんと美優さんの事を)

奈緒(加えてあたしは気づいていなかった。それ以前に自分が犯した失敗)

奈緒(凛と加蓮、二つの爆弾の間からあたしという緩衝材を除いてしまった事に)

奈緒(あたしはあの場から逃れたい一心で、あの二人が激突してしかるべき環境を作り出してしまったのだ)

奈緒(それに気づいたのは、トイレを出て、先ほどよりも少し軽い足取りで座っていたボックス席の前に立ったときだった)

留美「だからね? もぅ、どうして分からないのかしら」

留美「P君は私と結婚するのよ。ほら婚姻届だってここに」

凛「留美さんの名前しか書いてないじゃないですか。それに、プロデューサーだって若い女の子の方が好みでしょ」

凛「私が一番付き合い長いし、私以外と付き合うのはない。断言できる」

加蓮「でも凛、結婚できなくない? 私なら、若いし結婚できるし」

加蓮「それに一番胸が大きい。Pさんが私以外を選ぶ理由がないよね」

留美「私はP君と同い年よ? それに26で高校生と付き合うだなんて考えられないわ。子供にしか見えないもの」

美優「もう……やめてください……お願いします……」

奈緒(眩暈がした)

奈緒(ようやく失敗に気づいたあたしに、二人の大人の片割れが火に注ぐ油でしかなかった事を見て取ったあたしに、もはやできる事は一つ)

奈緒「……グスッ…せ、せっかく、だから、ぁあ」

奈緒(あたしは泣いた)

奈緒「うぅぅぅ……うぁぁああああ」

美優「えぇっ……! あの、奈緒ちゃん……待って……」

奈緒「うぁ、うぁあぁあ」

美優「泣かないで、ね? ……本当に、お願いだから……ね」

美優「私も……泣きたい」



——
———

周子「あたしがファミレスに着いたのは、奈緒ちゃんから電話をもらってから、ええと、15分くらいかな。それくらい後」

周子「ファミレスには入らなかったよ? 私が最初に見たのはファミレスの外で大泣きしてる奈緒ちゃんだったし、凛ちゃんと加蓮ちゃんはそれを必死になだめてた」

周子「近づいてから入り口で店員さんに平謝りしてる美優さんと、その後ろで申し訳なさそうに立ってる留美さんを見つけたけど。うん、あたしやる事ないかなって思って」

周子「Uターンして帰りたかったのは確かだけど、それもさすがにね—。気が咎めるから、私も奈緒ちゃんをなだめるとこに加わったんだ。なにもしてない訳じゃないよ」

周子「んで、留美さんの携帯にトレーナーさんから電話があって、美優さんも留美さんもレッスンあったんでしょ? 遅刻だから、急いでそっちに行かなきゃってことで」

周子「そしたら最年長あたしになっちゃったんだよねー。なんかひどい状況だったし、とりあえず落ち着けるとこにって思っても、まさか他のお店に行くわけにも行かないからさー」

周子「事務所に連れてきちゃった」

「…………そうか」

周子「うん」

P「それで、奈緒達は?」

周子「トイレで顔洗ってる。お化粧落ちちゃってたしねー」

周子「あ、ファミレスの人にはあたしからも謝っといたから多分大丈夫だと思うよ—」

P「あー、うん。ご苦労だったな」

周子「ご苦労だったよー」

P「ところで先ほど三船さんからメールが来たんだが、いまいち意味が理解できん」

P「その騒動がらみの事なのか? 確認してくれ」

周子「んー、どれどれ」

P「ほら」


from 三船美優
  『レッスンに遅刻してしまいました。ごめんなさい。Pさん、話は変わりますが、そろそろ私たちの関係を皆さんにも伝えるべきかと思います。今のままでは勘違いをしてしまう方が多く、不憫でなりません』


P「分かるか?」

周子「……Pさんは、どこが分からなかった?」

P「『私たちの関係』っていうのはアイドルとプロデューサーだろ? それは分かるが『伝えるべき』とはどういうことなのかが」

P「みんな知っている事だろ」

P「それに『勘違い』もさっぱりだ。話が見えん」

周子「んー、そうなんだ。あたしにも分からないかな、うん」

P「そうか。……なぁ、周子」

周子「んー?」

P「その、今晩なんだが、空いてるか?」

周子「さぁねー」

P「……意地悪はやめてくれ」

周子「Pさん次第かな」

P「ダーツバー、奢るよ」

周子「しかたないなー、付き合ってあげる」

周子「でも、一つだけ条件」

P「……なんだ」

周子「手を出すのは実家にあいさつしてからにしてね、Pさん」



                完

以上
短い上に分かりづらいところも多くてゴメンね

画像這ってくれた人も読んでくれた人もありがと
総選挙は是非シオミーに投票しましょう

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