八幡「性夜」 (6)
12月23日
雪乃「ところで」
八幡「あ?」
結衣「ん?」
雪乃「明後日にはもうクリスマスなのだけれど、二人とも予定はあるのかしら?」
結衣「!」
八幡「…………」
八幡「(ぼっちにそんなもんあるわけないだろ。何言ってんだこいつ? 世間話にもならん)」
八幡「(強いて言うなら家で小町と過ごす。ケーキも既に予約済みだ)」
八幡「(そもそも人でごった返してる中歩き回るとか正気じゃない。オソトコワイ)」
八幡「(聖夜を性夜に貶めるなんてキリシタンに謝れリア充共)」
八幡「(キリスト教の本場、欧米では家族と過ごすのが一般的とも聞くし)」
八幡「(その点で言えば俺のクリスマスの過ごし方は正しいと言える。キリシタンじゃないけど)」
八幡「(世にはクリスマスパーティーと称して複数の友人達と過ごす風習も一部にあるようだが)」
八幡「(友人がいない俺からすればそれもまた関係のない話)」
八幡「(結論:家族と過ごす予定)」
八幡「(これだな)」
結衣「(まさかゆきのんから切り出して来るなんて)」
結衣「(やっぱりゆきのんもクリスマスとか興味あるのかな……)」
結衣「(ゆきのんは、二人とも、って言ったけど)」
結衣「(それは純粋に私とヒッキーの予定を聞きたいだけなのかな……)」
結衣「(もしそうなら、奉仕部でクリパしようってこと? 違うなら……)」
結衣「…………」 チラ
八幡「…………」
結衣「(……なに考えてんだろ。やっぱりわかんないや)」
結衣「(……ヒッキーはどうなのかな……ないよね? 友達いないし)」
結衣「(……あ、小町ちゃんと過ごすとか言いそう。絶対それだ。ヒッキーってばシスコン)」
結衣「(でもそれなら、誘ったら小町ちゃんに悪い気も……うーん……)」
結衣「(ヒッキーを誘おうか迷ってる間にイブイブになっちゃったし……今更かな……でも優美子の誘い断っちゃったし……)」
結衣「(それにどうせならゆきのんも一緒がいいし……ヒッキーと二人っきりとか絶対無理だし……)」
結衣「(……取り敢えず、予定は無いって言っておこうかな……)」
雪乃「(……由比ヶ浜さんが頭を抱えてしまったわ)」
雪乃「(ちょっとした思いつきで、世間話程度のつもりだったのだけれど)」
雪乃「(自分で聞いてしまった以上、答えが気になるのも事実ね)」
雪乃「…………」 チラ
八幡「…………」
雪乃「(……相変わらず目が腐ってるわね)」
雪乃「(この男はどうせ、家族と過ごすとか言い出すに決まってるわ。友達もいないのだし)」
雪乃「(……恋人もいないのだし)」
雪乃「(……それよりも、なんで由比ヶ浜さんが頭を抱えて唸っているのかがわからないわね)」
雪乃「(三浦さんたちにでも誘われているのでしょうに、そっちは断ったのかしら?)」
雪乃「(……まさか、この男を誘うつもり?)」
雪乃「(いえ、もしかしたら既に二人で約束を取り付けていて、それをどうやって私に説明するのか迷っている、とか……?)」
雪乃「…………」
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