あずさ「飲み屋あずさ」(186)
あずさ「いらっしゃいませ~…律子さんじゃない!お久しぶりね~」
律子「こんばんわあずささん…今日も相変わらず男の人がいっぱいですね」
あずさ「はい、おかげさまで、あ、カウンター席でいいかしら?」
律子「はい…よいしょ……ははは、もうよいしょなんて言っちゃう歳になってしまいましたね」ストン…
あずさ「あらあら、まだ全然お若いですよお客様」
律子「それは嫌味ですか?あずささんはいつまで経ってもキレイですもんね」
あずさ「そんなことないわよ、最近はお化粧することが増えたもの、困っちゃうわよね」
律子「……最近まですっぴんでお店を回していた人は流石ですね」
あずさ「ふふふ、ご注文を聞きましょうか?」
律子「それじゃあ鳥の軟骨と烏龍ハイで」
あずさ「はーい、少々お待ちくださいねー」
あずさ「お待たせしましたー」
律子「おいしそう…それにしてもあずささん、一人でこれだけのお客を相手にして大丈夫なんですか?」
あずさ「これだけって言っても4、5人じゃない、まだ現役の頃の方がつらかったわ」
律子「私にはそうは見えませんでしたけどね…ホント、いつまでお若くて羨ましいです」
あずさ「もうそのお話はいいじゃないですか……最近はどうなんです?」
律子「あぁ…テレビ見れば分かる通り、大人気ですよ…一時期は他のアイドルに抜かれましたけどなんとか盛り返せましたね」
あずさ「あちらは不祥事が絶えなかったからね、自業自得というものね」
律子「ははは…ウチだって前までいつ不祥事が起きてもおかしくはなかったじゃないですか」
あずさ「でもあの人はちゃんとしてましたからそういう心配はありませんでしたね」
律子「んっ…んっ……あずささん、本当は残念じゃなかったんですか?」
あずさ「……あ、い、いらっしゃいませー」
律子「あ…逃げた」
あずさ「別に逃げたわけじゃありませんよ…」
律子「そうですかぁ?こういう席ではもう少し正直にならないと」
あずさ「……律子さんってそういう話あんまり好まなかったような…」
律子「今じゃあ結構あせってますからね、興味津々ですよ……ホント気づくのが遅かったですよ」
あずさ「律子さん……それじゃあ私達ってやっぱり行き遅れ組なのかしら」
律子「失礼な…でもあずささんならホイホイ捕まえそうですけど」
あずさ「もう!それこそ失礼ですよ!……運命の人はそこら辺にホイホイ居るわけじゃないんですから」
律子「へー…まだ追いかけてたんですか」
あずさ「……やっぱり今更何を夢見てるのかしらね、私」
律子「うーん…いいんじゃないですか?逆にあの頃、運命の人って言ってたのがおかしかったんですよ……このくらいの歳の方がセリフ的にピッタリですよ、あずささん」
あずさ「今遠まわしで馬鹿にされてるのかしら…私…」
律子「でも未だにそういうのに前向きなのは素直に尊敬しちゃいますよ…私なんか未だにベタな『仕事が恋人!』を盾にして生きてますから」
あずさ「ふふ、なら私はお客様が皆恋人かしら」
律子「それ皆さんに言ってあげて下さい、このお店もっとおっきくできるかもですよ」
あずさ「言いませんよもう…仕事が恋人……私もあの時はアイドル一筋で頑張ればよかったかもしれないわ」
律子「………」
あずさ「あ、いらっしゃいませー」
律子「……アイドルの方にもっと意識を傾けさせられなかったのは私の責任ですね」
あずさ「そんな…律子さんのおかげで私はあそこまで頑張れたんです……ただ私が世間を少し軽く見てただけってことですよ……じゃあちょっと離れるわね」タッタッタ…
律子「………」
あずさ「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」
律子「あのあずささんが一人でお店……未だにあんまり信じられないなあ」
あずさ「ふぅ…今日はこのくらいかしらね」
律子「何がです?」
あずさ「お客様、もうこの時間帯になるとほとんど出入りがなくなっちゃうの」
律子「意外ですね…こういう時間帯からこのお店本気出すのかと思ってました」
あずさ「?……どういう意味ですか?」
律子「いや、じゃあいいです」
あずさ「?」
律子「そういえば、最近皆と会ってます?」
あずさ「あ、あー…律子さんは?」
律子「私以外でですよ、私の方は春香や千早、響辺りとはよく会うわね」
あずさ「あの娘達はまだ全然テレビに出てるわよね」
律子「はい…千早はまだまだ現役ですよ、来週にも音楽番組に出る予定ですから」
あずさ「そうなの…元気でやってるのね、安心したわ」
律子「春香達はもうバラエティアイドル……というかもうタレントになっちゃってますね」
あずさ「数年前までアイドルだったって知ってる子供は少ないでしょうね」
律子「そこまで時間経ってませんってば……でももうその三人もあの頃と比べればめっきり事務所に来ることも無くなって…」
あずさ「そうなんですか…ちょっぴり寂しいですね」
律子「そうでもありませんよ、他のアイドルの娘達が皆いい娘達ばかりだからこんな私にも優しくて……なんだか小鳥さんの気持ちがちょっとだけ分かっちゃいましたよ」
あずさ「そういえば音無さんは元気にしてます?」
律子「さぁ…何だかんだで嫁いでしまいましたから…今頃イケメン富豪のところで元気にしてるはずですよ」
あずさ「……私、あの人が事務員じゃないということがあんまり信じられないわ」
律子「同感です、今若い子がしてるんですけどあまり慣れなくて……やっぱりすごい影響力あったんですね、あの人」
あずさ「ええ、また会いたいわ…一回飲みにきてくれないかしら」
律子「そ・れ・で、あずささんの方はどうなんです?」
あずさ「うーん…正直に言っちゃうとあんまりもう……ね?」
律子「でしょうね…ここいいお店なのに皆あんまり知りませんもんね」
あずさ「そうね…やっぱり教えたほうがよかったのかしら?」
律子「それはそれで…元アイドルが何度も出入りする飲み屋っていうのも…」
あずさ「まあ元アイドルが経営してしまっている時点で……ねぇ?」
律子「ふふ、それもそうですね…あずささんも座って一緒に飲みましょうよ」
あずさ「んー…そうね…来るかもしれないお客様には申し訳ないけど今日は早めにお店閉めちゃおうかな」
律子「ありがとうございます…でもいつの間にかお酒を誘うのが逆になっちゃって変な感じですね」
あずさ「私はとっても嬉しいですよ、昔はいっつもしかめっ面で律子さんったら断るんだもの」
律子「未成年なら普通に断ります……それじゃあ改めて、思い出話を肴に乾杯」
あずさ「はい、乾杯」
カンッ…
―――
――
―
あずさ「んっ…んー……今日も暑いわねぇ」
あずさ「9月なんだから早く秋にならないのかしら…」
あずさ「地球さんも困った人…ふふ…」
真「何言ってるんですかあずささん?」
あずら「あら?真ちゃんじゃない!お久しぶりね!」
真「はい…いやぁ~ごめんなさい、最近は全然お店に顔出せなくて」
あずさ「いいのよいいのよ、来てくれただけでうれしいわ…さ、入って入って」
真「それじゃあお邪魔しますね…」
あずさ「そういえば朝からこんな所でどうしたの?」
真「夫がまだ実家から帰って来ないので久々にジョギングを……ついでに朝ごはんを作るのも面倒だったので寄らせてもらいました」
あずさ「そう、じゃあちゃっちゃと作っちゃうわね」
真「はい、お願いします」
あずさ「はい、どうぞ」コト…
真「はあ…相変わらずおいしそう…私もこれぐらいおいしいものを作りたいなあ」
あずさ「あら?真ちゃん、変えちゃったのね?」
真「?何がです?」
あずさ「ボクから私、何だか違和感感じてしまうわ」
真「あぁー…流石にママになってボクっていうのは恥ずかしくて……今だけでも戻しましょうか?」
あずさ「真ちゃんの好きな方で、私はボクの方がいいけれど」
真「それじゃあボクしかありませんね…でもボクって治す時は結構苦労しちゃいましたよ」
あずさ「あら?そうなの?」
真「はい…夫と何度も矯正訓練を頑張りました……でも全然ダメで」
あずさ「ふふ、いい人じゃない」
真「はい、ボクなんかにはもったいないくらいですよ…それで子供を授かったときに思ったんです…ボクって今からお母さんになるんだなって」
真「それからです、自然にボクが私になっちゃって……あの時の感覚は今でも忘れられないなぁ」
真「何だか今までのボクという殻から抜け出したような…とても不思議な感覚でした」
あずさ「ふーん…いい話じゃない」
真「ははは…何だか恥ずかしいですね、この歳になってこんな痛い発言…」
あずさ「そんなことないわよ、私なんて未だに運命の人を探しているのだから」
真「そうなんですか……ははは…あずささんは変わってないなあ」
あずさ「そうなの…はぁ…私を覆ってる殻がどんどん厚くなっていく気がするわ…」
真「大丈夫ですよ、あずささんはきっと見つけますから…その時はママの先輩としてみっちり教えてあげますからね」
あずさ「お手柔らかにお願いしますね…それじゃあ今度来るときはその人とお子さんを一緒にね」
真「はい…あっ…でもあの人、絶対あずささんに惚れちゃいそう…」
あずさ「ふーん、それじゃあ取っちゃおうかしら」
真「っ!な、何言ってるんですかもう!そ、そういう冗談やめてくださいよっ!」ガタッ
あずさ「ふふ、真ちゃんも案外変わってないわね、一途で可愛い所」
真「うっ……この歳で可愛いって言われるとは思いませんでした」
|∧∧
|・ω・`) そ~~・・・
|o ④o
|―u'
| ∧∧
|(´・ω・`)
|o ヾ
|―u' ④ <コトッ
| -=と(`・ω・´) シュッ!
| -=/ と_ノ
| ④ -=_//⌒ソ
真「けど一途か…プロデューサーは今何してるんでしょうかね」
あずさ「さぁ…まだ現役なのかしら」
真「どうなんでしょうかね…でも会いたいですよ…ボクが好きだった男の人」
あずさ「あら、結構ザックリ言っちゃうのね」
真「もう今更なんで……あー…でも流石に何言ってるんだろうボク…久々に走ったせいで色んな所が熱持っちゃったかな」
あずさ「こういう話、前にも律子さんとしたばっかりなの……こんな歳で色気づくなんてみっともないかしら?」
真「全然、女の人はいつだって恋に燃えていますから……ボクも毎日燃えてるんで…へへへ」
あずさ「ふふ、やっぱり真ちゃんは本質的な所は変わってないわね……本当はお母さんになったからちょっと遠くに感じてしまっていたけれど、安心したわ」
真「そうだったんですか…けど遠く感じちゃうのも仕方ありませんよね…あの頃、皆が仲良かっただけに」
あずさ「……そうね…本当に遠くなったものね」
―――
――
―
真「それじゃあご馳走様でした、また今度顔出しに来ますね」
あずさ「はい、ご家族一緒で大歓迎よ」
真「へへへ…ではまた」
あずさ「はーい、またいらしてくださいねー」
あずさ「………」
あずさ「よぉーっし!お昼に向けて準備しなきゃ!」
あずさ「………」
あずさ「子供か…いいなぁ…」
スーパー
あずさ「ふぅ~…やっと着いたぁ…」
店員「おや?あずささんじゃないですか、今日はどのくらいで着きました?」
あずさ「聞いて驚かないでくださいね、42分ですよ」
店員「おぉー、そりゃまたすごいですねぇ、前は確か56分くらいだっけ」
あずさ「はい!私は日々進化しているってことですよ~」
店員「それじゃあそのまま頑張ってくださいねー、あっ!今日は卵安いですからお買い求めくださいね」
あずさ「あら、情報ありがとうございます…卵卵~♪」
???「あっ!あずささんじゃないですか!」
あずさ「ん?……まさかやよいちゃん!?」
やよい「はい!お久しぶりですね」
あずさ「とってもキレイになって……一瞬分からなかったわ」
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やよい「あずささんもとってもキレイですよ!」
あずさ「ふふ、相変わらず優しいのね…今日はやっぱりお買い物?」
やよい「はい、弟が部活の大会に出るのでお弁当を…」
あずさ「そうなの?それじゃあ気合を入れて作らないとね」
やよい「そうなんですよ~……でも…」
あずさ「?…でも?」
やよい「お弁当作るためにはウチじゃ少し狭いし色々足りなくて…」
あずさ「足りない?どういうことかしら?」
やよい「いえ…部活仲間の子達の分も作らなくちゃいけなくて…でもそれじゃあウチのコンロだけじゃ火力が足りなくて間に合わないんです…」
あずさ「仲間の子達の分まで…」
やよい「はい…私が作る料理を気に入ってくれて……でもやっぱりオーケーしたのは間違いだったかもしれません…うー…」
あずさ「うーん…じゃあウチの厨房でよかったら使う?」
やよい「え?あずささんのお家の厨房ってそんなに大きいんですか?」
あずさ「ええ、私今、お店やってるから」
やよい「!そ、そうなんですか!あずささんすごいですね!」
あずさ「ふふ、知らせられなくてごめんなさいね」
やよい「そんな…でも行きたいなぁ…あずささんのお店」
あずさ「それなら決定ね、今日は私がやよいちゃんを借りちゃうってお家の人達に連絡しておいて」
やよい「はい!あの…本当にありがとうございます!とっても助かります!」
あずさ「いいのいいの、その代わりやよいちゃんには頑張ってもらうつもりだから」
やよい「?」
あずさ「ふふ、楽しみねぇ~」
やよい「鳥のからあげ、お待たせしましたー」
おっさん「おぉ!やよいちゃんじゃないか!アイドル辞めても元気してたぁ?」
やよい「はい!おじさん達が応援してくれたおかげで私は今も元気ですよ!うっうー!」
おっさん「おうおういい事言ってくれるじゃないの…よーっし!今日はやよいちゃんに免じて俺が奢ったるよ!」
後輩「「おぉぉぉぉぉぉ!!!」」
やよい「あずささん、からあげ持っていきました!」
あずさ「うん、ありがとう…ウチの常連さんなのあの人」
やよい「それに私のことを覚えててくれました……今でも覚えててくれて本当に嬉しいです」
あずさ「そうよね、本当手放したくないお客様だわ…あっ、今度は左端の座敷のお客様達に生ビールお願い」
やよい「はーい!……お待たせしましたー!」
あずさ「……これからもバイトで頼もうかしら」
やよい「お疲れ様でしたあずささん……ふぅ…」
あずさ「はい、お疲れ様やよいちゃん…いい働きっぷりだったわ」
やよい「あ、ありがとうございます…えへへ…今日も運んだだけなのにすごく疲れちゃいました…」
あずさ「そういえばやよいちゃんはお仕事どうしてるの?」
やよい「小さな会社でお茶を配ったりする雑務を……やってることは同じなのにすごく疲れましたぁ…」
あずさ「ふふ、それはきっとウチの常連客様達がやよいちゃんのこと大好きだからじゃないかしら?」
やよい「……どういうことですか?」
あずさ「だって一緒に飲んでいたじゃない…普通飲食店で従業員がお客様と一緒に飲んじゃうなんて以ての外なんだから」
やよい「うぅ…ごめんなさい…」
あずさ「いいのいいの、それだけ皆がやよいちゃんのことを気に入ってくれたってことなんだから」
やよい「……えへへ…そうだったら嬉しいな…」
あずさ「でもまだ寝るのには早いわよやよいちゃん、明日の準備準備」
やよい「は、はい…今起きます…」
やよい「んっ…んん…」zzz…
あずさ「でも結局寝ちゃうのね…こんな所で寝ちゃうと風邪引いちゃうわよ~」
やよい「んん……んふぅ…」zzz…
あずさ「ふふふ、仕方ないわねもう…おやすみなさい」ファサッ…
あずさ「よし、それじゃあ仕込みしちゃおうかしら、お店とお弁当の」
あずさ「今日は夜更かし決定ね、お肌がボロボロになっちゃったらどうしましょ」
やよい「………」zzz…
あずさ「さて、私の味も気に入ってくれるかしら……これも将来の花嫁修業みたいなものよね」
あずさ「独身、三浦あずさ、頑張るわよー!」
―――
――
―
やよい「……んっ…あれ?どこですかここ…」
あずさ「ごめんなさいやよいちゃん、カウンター席なんかで眠らせちゃって」ジャッジャ…
やよい「……あっ…あぁ!ご、ごめんなさい!私寝ちゃってました!」
あずさ「いいのよ、でも私なんかがでしゃばって良かったかしら?」
やよい「そんなっ…とっても助かります!ほ、本当にありがとうございますあずささん!」ペコペコ…
あずさ「そんなに謝らないで、それにほら、もうそろそろお日様も昇ってくるから早くやよいちゃんも取り掛かって」
やよい「はい!」
あずさ「ふふふ…腕がなるわね」
―――
――
―
あずさ「ふぅ…終わったわね」
やよい「おいしそう…すっごく…」
あずさ「本当ね、私とやよいちゃんが揃えば最強ね~」
やよい「っ……あ、あずささんっ!」
あずさ「ん~?何?」
やよい「本当に…本当にありがとうございました!あずささんが居なかったら私…私…」ペコペコ…
あずさ「もう…そんなに堅くならないで…やよいちゃんが困ってたら助けるに決まってるじゃない…それとも私が困ってた時はやよいちゃん助けてくれないの?」
やよい「そんな!助けるに決まってますよ!」
あずさ「そうでしょう?だから何度も頭を下げないで……ね?」
やよい「……はい!分かりました!」
あずさ「よろしい、それじゃあ朝ごはん食べましょうか?」
やよい「はい!」
やよい「今日はありがとうございました!皆きっとこのお弁当、喜んでくれると思います!」
あずさ「うんうん、それじゃあ弟さんに頑張ってって伝えておいて」
やよい「はい!それじゃあまた…」
あずさ「あ、待ってやよいちゃん」
やよい「は、はい?何ですか?」
あずさ「昨日頑張ってくれたから、はい、お給料」ス…
やよい「えぇっ!?そ、そんな…受け止められませんよ!」
あずさ「いいからいいから、受け取ってくれないと私警察に捕まっちゃうわよ」
やよい「……あ、ありがとうございます…あの中見てもいいですか?」
あずさ「はい、どうぞ」
やよい「じゃあ………っ!ま、待ってくださいあずささん!やっぱり受け取れませんよ!」
あずさ「あら?どうして?」
やよい「こんな大金…昨日の働きに全然見合ってませんよ!ダメです…やっぱり…」
あずさ「ふふ、それじゃあそのお金は後で返しにきてくれるかしら?」
やよい「……後で?」
あずさ「そう、大会終わりにまた皆で……ご馳走をそろえて待ってるわよ」
やよい「っ!あ、ありがとうございました!私…あずささんにまた会えて本当に…本当に良かったです!」
あずさ「私も…やよいちゃんの笑顔が見れてとっても良かったわ……きっとまた来てね」
やよい「はい!絶対来ますね!それじゃあ!」タッタッタ…
あずさ「はい、またね~……よぉーし!今日も頑張るわよー!」
伊織「で、アイドルを辞めて何をしているかと思えばこんなちっぽけな飲み屋だなんてね」
あずさ「それで、伊織ちゃん何にするの?」
伊織「そうね…とりあえずお腹が空いたわ、食べ応えのあるものを頂戴」
あずさ「はーい、ただいまー」
伊織「ふーん…やよいが言うから来てみたけどあずさのくせに結構いい店じゃない」
あずさ「そう?伊織ちゃんに認めてくれてよかったわ」
伊織「ふん…まあちゃんと働いてて良かったわ、あずさがアイドルを辞めて世間に出るなんて最初は考えられなかったんだけど」
あずさ「もう…私は立派な社会人よ」
伊織「はいはい、そういうことにしておくわ」
あずさ「……ふふ…やっぱり伊織ちゃんはいつまでも優しいのね」
伊織「なっ!ば、馬鹿言わないで早く作りなさいよ!」
あずさ「はいはーい」
あずさ「はい、オムソバ」
伊織「オムソバ……まあいいけど」
あずさ「おいしいのよオムソバ、私は好きなんだけどなあ」
伊織「別に嫌いだなんて言ってないじゃない……いただきます」
あずさ「はい、どうぞ」
伊織「………おいしい…」パクパク…
あずさ「あらそう?伊織ちゃんのお口に合って良かったわ」
伊織「まあそうね、この伊織ちゃんがおいしいなんて言うのは珍しいんだから誇っていいわよ」
あずさ「ふふ…ありがとう伊織ちゃん」
伊織「………」パクパク…
???「店主、こちらにも同じ物をいただけますか?」
あずさ「あ、はーいただいま……って貴音ちゃん!?」
貴音「はい、お久しぶりですね、あずさ、伊織」
伊織「何してるのよこんな所で…」
貴音「真から久々に連絡を貰いましたので、あずさの顔を見ようと…」
あずさ「そうだったの…嬉しいわ、ありがとう貴音ちゃん」
貴音「いえ、私こそ今まで音信不通で申し訳ありませんでした」
あずさ「そんなこと今となってはいいのよ…オムソバね、ちょっと待っててね」
貴音「はい、楽しみに待っております」
伊織「で、アンタは今何をしているのよ」
貴音「今でございますか?おむそばとやらを待っておりますが」
伊織「そうじゃなくて…アイドルを辞めて何をしているのかって聞いてるのよ」
貴音「……それはとっぷしーくれっとでございますよ」
伊織「激しく気になるわね…」
伊織「でも貴音全く外見変わってないじゃない…」
貴音「そうでしょうか?」
伊織「そうよ…はぁ…貴音って昔っから不思議だったけどここまで来ると人間なのか疑わしくなるわね」
貴音「伊織、人の秘密に土足で踏み入るものではありませんよ」
伊織「それって秘密があるのね…」
あずさ「はい、オムソバお待ちどうさま~」
貴音「来ましたか…卵が麺を包み込むとはなんと奇抜で面妖な……いただきます」
伊織「ふぅ…それにしてもあずさ、アンタっていつになったら運命の人を見つけるのよ」
あずさ「うっ……もうその話は律子さんとしたわよ!」
伊織「はぁ?知らないわよそんなの……で、いい男は見つからないの?」
あずさ「……まだ」
貴音「急ぐ事はありませんよ、運命に選ばれた者はその刻が来た時には現れますよ」
伊織「何言ってんの、そんな悠長なことしてたから今こうやって一人で飲み屋なんて切り盛りしてるんじゃない」
あずさ「………」ズーン…
ちょっと相談なんだけど
母がいつも食べきれない畳の料理を作って困っています
僕の家は父母姉兄僕の五人暮らしなのですが、
父は自分で買ってきたものか外でしか食べないので
母姉僕で食べるのですが母と姉は
あまり食べないので僕が食べるしかありません
僕自身もわりと少食なのでツラいです
そんでさ、大食いの兄いるんだけど今独り暮らししてるわけよ
でも兄がいたときと同じくらいの畳作りやがるからアホかと
俺自身食べ物残して捨てるのとか
大嫌いだから無理に食べちゃうんだよね
伊織「でも…あずさが一人でちゃんとやれてて安心したわ…」
あずさ「……私ってそんなに心配されてたの?」
伊織「当たり前じゃない、右に歩けば海に着いて、左に歩けば登山するくらいなんだから」
貴音「なんと、それは真でございましょうか?」
あずさ「まことじゃありません!……でも心配してくれててありがとう…伊織ちゃん」
伊織「別に、一緒にユニット組んだ仲間なんだから当然でしょ……おいしかったわあずさ、ありがと……また気が向いたら来るわね」
あずさ「うん、また来てちょうだいね」
伊織「そうね、その時は……アンタの本当の運命の人と来るかもしれないわね」ニヤッ
あずさ「っ!そ、それって!」
ピシャン…
あずさ「………」
貴音「ふふ、意地の悪い言い方をしますね、伊織は」
あずさ「えっ…」
貴音「あの方は今も独りでございますよ…伊織はあの方の連絡先を存じているのでああいうことを言ったのでしょう…伊織ならば存じていてもおかしくはありません」
あずさ「そ、そうだったの…ふぅ…」
貴音「ですがあずさ、あの方があずさの運命の人とは限りませんよ」
あずさ「………まさか」
貴音「……あの方がもし訪れたその時はあずさ、どちらがあの方の伴侶となるべき者か、必ずや決着をつけましょう」
あずさ「…分かったわ……お互い良い戦いになるように頑張りましょ」
貴音「ええ、負けませんよあずさ」
あずさ「ふふ、私だって」
あずさ「……でも貴音ちゃん」
貴音「はい、何でございましょうか?」
あずさ「どうしてあの人が独身だって知ってたの?」
貴音「……それもとっぷしーくれっとでございますよ」
あずさ「む?まだまだね貴音ちゃん、ここは私の戦場よ、あなたはアウェーって分かってる?」
貴音「?…一体どういう意味でございましょうか…」
あずさ「話してくれるまで……私の武器で攻撃するってことよ」ゴトンッ…
貴音「………これは…」
あずさ「芋焼酎……付き合ってもらうわよ、貴音ちゃん♪」
貴音「………」サー…
貴音「もう……飲めないでございまぁぁすよぉー…」
あずさ「ふふふ…貴音ちゃんったら可愛いんだから」
疲れた
休憩
あずさ「んっ…んー…また今日の朝も天気いいわぁ~」
あずさ「………」
貴音『わ、私…今まで旅をしていたのでございます…』
貴音『そしてある所に立ち寄った時、そこでろけ番組を行なっていた者達がおりまして、その中にあの方が…』
貴音『私は嬉しく思いまして…ひっく…あの方に話しかけました』
貴音『それから他愛の無い話をして……その時にあの方にはまだその相手がおらぬと…』
あずさ「………まだあの人芸能界で頑張ってるのね…」
あずさ「それにしても一人旅かぁ…羨ましい~…」ノビー…
あずさ「私も運命の人を探すために旅に出ようかしら…なんて」
あずさ「よしっ!もしそういう事態になった時のためにも今日も頑張るわよ!」
美希「もう!すっごくありえないの!」
あずさ「そ、そうね」
美希「頭きちゃったの…ミキ、まだ水着でも全然いける歳なのに」
あずさ「うーん…その雑誌の人達は美希ちゃんの魅力が分かってないのね」
美希「そう!そうなの!ミキまだお肌も胸もお尻だって他のモデルの娘に全然負けてないのに!」
あずさ「でも美希ちゃんはモデル業界ではトップだから……雑誌も迂闊なことが出来ないって判断したのかもしれないわ」
美希「?…どうして?」
あずさ「だって美希ちゃんが水着になっちゃったら皆がそっちに目が行って、他のモデルの娘が目立たないってことじゃない」
美希「……そっかぁ!うん、ミキもその通りだと思うの!」
あずさ「そういえば美希ちゃんはどうやってここを知ったの?」
美希「あ、デコ…社長から聞いたの」
あずさ「え?社長?」
美希「うん、水瀬伊織…デコちゃん」
あずさ「……え…えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?しゃ、社長になっちゃったの伊織ちゃん!?」
美希「そうなの、ミキが乗ってる雑誌の社長…でも雑誌だけじゃなくてお化粧品とかお洋服とか、そういう女の子の求める物を全部揃えてる会社の」
あずさ「し、知らなかったわ…何も言わずに言っちゃうんだもの…」
美希「だからミキ、社長に雇われて嬉しいんだけど…その社長の下の人達がダメダメなの…あー…やってらんなーい」
あずさ「……とりあえず飲んじゃう?」
美希「うん…お願いするの」
あずさ「それじゃあ最近流行ってるらしいマッコリにしようかしら」
美希「……やっぱりミキ…モデルよりもアイドルの方がいいなあ」
あずさ「そうね…美希ちゃんは確実にモデルよりもアイドルの方がいいわ」
美希「………」
美希「でもハニーが居ないアイドル活動なんて……ミキには考えられないの…今でも」
あずさ「……そう…」
美希「何でハニー…事務所やめちゃったのかな」
あずさ「……はい、マッコリ一丁」
美希「ん…ありがとうなの」
あずさ「私も飲んでみたけどクセが強い気がしたわ、でも結構まろやかで好きな人は好きそうなお酒ね」
美希「……うん…ミキは嫌いじゃないな」コク…
あずさ「そ、よかった」
美希「あー…お仕事って何でこんなに辛いんだろう…あの頃はとっても楽しかったのになあ」
あずさ「そうよねえ…でも私は今の仕事が楽しいけど」
美希「ふーん…じゃあミキもあずさのお仕事手伝っちゃおうかなあ」
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけどミキちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
美希「……やっぱりやめておくのー」コクコク…
あずさ「もうミキちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
訂正訂正
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけどミキちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
あずさ「もうミキちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
↓
あずさ「ふふ、私は大歓迎だけど美希ちゃんやってみる?結構疲れるわよ?」
あずさ「もう美希ちゃんったら、少しだけ期待してたのに」
美希「それじゃあ逆に、あずさもモデルをしてほしいの」
あずさ「うーん…私がモデルかぁ」
美希「あずさのおっぱいならきっと上手くやれると思うの…」
あずさ「いや、そんなこともう出来る歳じゃないわよ…でもこのお店を畳むことになっちゃったら考えておこうかな」
美希「本当に?」
あずさ「本当本当、だからそれまでに美希ちゃんもモデル頑張ってね」
美希「うん……はぁ~…あずさが来てくれるまでミキは何を糧に頑張ればいいんだろう…」
あずさ「ふふ、私でよかったらいつでも来ていいからね」
美希「……うん!」
あずさ「それじゃあ私も飲んじゃおうかな」
美希「それはダメ!あずさが飲んじゃったら太っちゃうの!太ったらモデルできないの!」
あずさ「……よぉーし、今日は飲んじゃうわよー」
美希「あ、あれ?あずさ?どうしてそんなに顔が怖く…」
あずさ「美希ちゃんも付き合ってもらうわよ~」ニヤニヤ…
美希「っ!こ、来ないでほしいのぉぉぉ!!!」
今から八時くらいまで外食してきますわ
保守頼みます
>>578
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イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
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あずさ「はぁ…最近は飲んでばっかりだなあ」
あずさ「売り物のお酒まで飲んじゃって…請求なんて出来ないし…はぁ…」
あずさ「………」
あずさ「うーん…何だか体も重いようなダルイような…」
あずさ「お昼前まではお客も来ないし…お医者さんのところに行こうかしら」
あずさ「はぁ…仕事を優先するなら自分の身をまず確認しないといけないし」
あずさ「よし、行かないと…」
病院
あずさ「ふぅ…」
あずさ「………」
あずさ(どうしましょう…迷って歩いている間にいつの間にかダルさが無くなっちゃった…)
あずさ「今更行っても仕方ないわよね…帰りましょ…というかやっぱりただの二日酔いねきっと…」
???「あれ?もしかしてあずささんですか?」
あずさ「?……どちら様でしょうか…?」
真美「ふふ…真美だよ真美、あずさお姉ちゃん」
あずさ「えっ…ま、まさか真美ちゃん!?」
真美「そだよー、ていうか気づいてくれなくて超ショックだったんだけど」
あずさ「いや…何だか面影があるようでないような…でもとってもキレイになったわぁ~」
真美「へへへ、褒められて悪い気はしないな~」
あずさ「でも突然あんな話しかけられ方をされたら分からないわよ」
真美「真美だって流石に常識に則って生活してるんだよ~?」
あずさ「まあそうよね…けど本当に分からなかったわ…変わっちゃったのね」
真美「いやあ、子供のままでいたかったよ…でも現実を見据えなきゃいけない時が来てしまってね…」
あずさ「ふふ…確かにその外見で昔の喋り方だと逆に不自然ね…真美ちゃんも現実を受け止めたのね」
真美「受け止めたって…あずさお姉ちゃんから見た真美って一体……それに普段はもっと知的な話し方なんだよ~」
あずさ「へぇ~…それは見てみたいわね」
真美「きっと度肝を抜かれるぜ~、お医者さん見習いだからもっと難しい専門的な話だってできるんだぜ~」
あずさ「お医者さん……うん、白衣姿似合ってるわ」
真美「そうっしょ?昔は派手なのを着てたから今じゃあこういうのが新鮮なもんで…」
あずさ「……そういえば亜美ちゃんは?」
真美「ああ、亜美なら今お昼ごはん買ってきてるよ~」
亜美「で、亜美が買いに行ってる時に真美だけあずさお姉ちゃんとお話ですか」
あずさ「!亜美ちゃん!まあまあ、キレイになっちゃって」
亜美「へへへ…突然ベタ褒めしないでほしいなぁ」
あずさ「あ~…もうあの時一緒にユニットを組んでいたあの女の子はこんなに成長しちゃったのね…」
亜美「ふっ…病院前で泣かないでくれよ姉ちゃん、変な噂立てられるからな」
真美「それじゃあ流石に戻ろうか、時間もヤバめだし」
あずさ「あら…ごめんなさい、迷惑掛けていたかしら…」
真美「そんなことないよ、丁度休憩時間だったし」
亜美「そうそう、それにあずさお姉ちゃんに会えただけでもうお昼ご飯さえいらない感じ~」
あずさ「?…どういう意味?」
亜美・真美「にっひっひっひっひ…こういう意味ぃ!」ムギュッ
あずさ「きゅあっ!も、もう!コラー!」
亜美「へへへー、あずさお姉ちゃんのメロンご馳走様でした~、またねあずさお姉ちゃん!」タッタッタ…
真美「後りっちゃん達から聞いてるよー、お店暇できたら行くからねー!その時はメロン以外のおいしい物頼んまーっす!」タッタッタ…
あずさ「……はぁ…成長したのかしてないのか…あの子達ったら」
あずさ「いい物見れたけどまた帰り道で時間潰しちゃったわ…はぁ~、いつになったら道を覚えられるのかしら…」
あずさ「……早くお店の支度しないと…」
あずさ「………」
あずさ「皆変わっちゃってるのね…中身はあの頃と同じところがいっぱいだけど環境が劇的に変わっていってて…」
あずさ「もう昔の仲間たちがお互いの環境に入り込めないような…」
あずさ「………」
あずさ「何を言ってるのかしらね私…最近は考え事も多くなったし…」
あずさ「……お店開けないと」カラカラ…
???「こんばんわ!あずささん!お久しぶりですね!」
???「……こんにちわ、ご無沙汰しています」
あずさ「……あ、あなた達は…」
「「乾杯っ」」
春香「っはぁ~…これのために頑張ってるもんですよー」
千早「春香、オヤジ臭いわよ」
春香「なっ…酷い…楽しみを終えた一言を認められないなんて…」
千早「春香、演技臭いわよ」
春香「……わ、私そんなに臭くないよ!」
あずさ「……ここに来る前にどこかで飲んできたの?」
千早「いえ…全然」
春香「大体何なんですか!打ち上げの時とか全然私の傍に誰も寄ってこないんですよ!酷いと思いませんか!?」
あずさ「ええ…そう思うわ」
春香「そうですよね!宴会はお酒を飲んで楽しくお喋りするためのものなのに皆さん!皆さんですよ!私を腫れ物を扱うように…」
千早「いつもお酒を飲むとこうなってしまうんです…無視してくれて大丈夫ですよ」
あずさ「お客様の愚痴だって聞くのが飲み屋のお仕事だから…任せて」
間違えた訂正
???「……こんにちわ、ご無沙汰しています」
↓
???「……こんばんわ、ご無沙汰しています」
春香「そういえば千早ちゃんってこういうお店来ることないよね?」
千早「ええ…昔はお酒が出るお店で歌ってたことはあるけども自分が飲むために来ることはないわね」
春香「ふーん…それじゃあ今日はじゃんじゃん飲んじゃおっか!」
千早「明日も仕事入ってるんでしょ?二日酔いで仕事に行ったら大問題よ」
春香「もう!千早ちゃんは親友の私を信じてないの!」
千早「ええ、お酒を飲んでる人を信じるほど馬鹿じゃないわ」
春香「………あぁぁぁぁぁぁぁ…どうして世間の風当たりはこんなに強いのぉぉぉぉ…」
あずさ「昔の春香ちゃんとは思えないわね、おつまみ要る?」
千早「はい、何も食べてないので…」
あずさ「了解でーす、後春香ちゃん」
春香「……はい?」
あずさ「他にもお客様がいるから、そんな醜態を晒しているとイメージダウンに繋がるわよ?」
春香「………」
千早「全くその通りよ、今の時代視聴者がテレビにタレコミすることがあるんだから」
春香「…わ、私もうお酒いいかもしれません…」
あずさ「ふふふ、でもまさかあなた達二人と一緒にお酒を飲めるとは思わなかったわ」
千早「いいんですか?一緒に飲んで…」
あずさ「いいのいいの、私がそういう緩いのを分かってて皆来てるし」
春香「私が言うのもなんだけど…それって大丈夫なんですか…?」
あずさ「ええ、だって常連さんたちは私のファンの人達なんですもの」
春香「っ……じゃ、じゃあ…」
あずさ「ええ、きっと春香ちゃんのことも知ってるはずよ」
春香「」バッ
おっさん「」サッ
千早「酒を身を滅ぼすのね…いい勉強になったわ」
春香「はぁ…これじゃあ本当にアイドルじゃなくてタレントになっちゃいますよ…」
あずさ「そっか…まだ春香ちゃんたちは765プロのアイドルだったわね」
千早「アイドルだなんて…もう書類上だけですよ、今となっては」
春香「そうなんですよ…今じゃあ女優活動とタレント活動……これだけですよ」
千早「私も歌だけです…最初はこの環境を望んでいたのですが」
あずさ「環境…」
春香「変わっちゃいましたよ、環境も、人間関係も」
千早「………」
春香「765プロは新人アイドルばかりで、知り合いはもう千早ちゃん、響ちゃんと社長さんだけ…」
千早「仕事だって望んでいた歌の仕事ばかりです…けど本当にそれだけ…」
春香「何だかんだありましたけど…やっぱりプロデューサーさんと一緒に頑張ってた時が一番でした」
千早「ええ…好まない仕事ばかりだったけれど……今となっては物足りないような…」
あずさ「………」
ガラッ
響「おーい!来たぞー!あずささーん!」
雪歩「こ、こんばんわぁ…」
あずさ「あら、響ちゃん雪歩ちゃん、いらっしゃいませ」
響「おいおい店を開いたのに自分たちを呼ばないなんて幾らなんでも酷いぞ!」
雪歩「あの…隣座ってもいいですか?」
春香「はーい、どうぞー」
千早「我那覇さんは私の隣に」
響「うん、失礼するぞー」ス…
雪歩「あの…私ウーロン茶でお願いします」
響「自分も同じので頼むよ」
あずさ「はい、ただいまー…それと鳥のからあげと枝豆、四人でお好きにつまんで頂戴」
響「お!丁度お腹空いてたんだー、いただきまーす」
春香「あっ!私も空いてるのに!いただきます!」
千早「それで萩原さんは今どんなお仕事を?」
雪歩「私は実家のお手伝いを…とてもじゃないけどあずささんみたいなお仕事は出来なくて…」
あずさ「あらそう?慣れるとおもしろいのよこれが~」
響「雪歩もここでバイトしたらどうなんだー?」
雪歩「そ、そんな!私になんて無理だよぉ…」
千早「そんなことないわよ、萩原さんならきっと出来るわ」
雪歩「……そうかなぁ…」
春香「うんうん、だって雪歩っていつも最初は無理とか出来ないとか消極的に入るけど、結局やり遂げちゃいますからね」
あずさ「それが雪歩ちゃんの強みでいい所よね…私だったらいつでも待ってるわよ」
雪歩「っ!あ、ありがとうございます…本当はこういうお店で働くのって少し興味があったんですぅ…」
あずさ「ふふふ、暇な時でいいから顔出してね、雪歩ちゃん」
雪歩「は、はい!」
春香「でも何だかんだで今日は有意義ですよ~…昔に戻ったみたいだね」
千早「そうね…私も本当に久しぶりよ、こんなに楽しいおしゃべりをしたのも」
響「自分も最近は外国へのロケとかのせいで体がボロボロだからこういうのとっても楽しいぞ」
雪歩「……皆…頑張ってるんだね」
春香「頑張ってるよ…でも何だか…」
雪歩「?…何だか…?」
春香「何だか昔の頃からズルズルとやってるような気がしてならないのよ…」
響「……確かに自分もそう思うな…」
千早「私も心のどこかでいつかまたあの頃に戻れると思って仕事をしているわ…そんなのただの幻のようなものなのにね」
あずさ「………」
春香「はぁ…本当に…本当に楽しかったなあ」
あずさ「……昔は思い出したって今の環境は変わらないわよ、春香ちゃん」
春香「もう、せめてお酒の席でぐらい夢を見させてくださいよ~」
あずさ「夢を見ていたっていつかは現実に潰されるものよ…お酒はその夢を見るものじゃなくて忘れさせるためだけのもの、ちゃんと分かって飲んでね、春香ちゃん」
春香「あぁぁ…やっぱり当たりが強い…」
間違え訂正
お酒はその夢を見るものじゃなくて忘れさせるためだけのもの、ちゃんと分かって飲んでね、春香ちゃん」
↓
お酒はその夢を見るものじゃなくて現実を忘れさせるためだけのもの、ちゃんと分かって飲んでね、春香ちゃん」
俺も住みたいです
二十代後半のはるるん……
やばい、勃起してきた
千早「現実を忘れられるんですか…こんなもので」
あずさ「個人差はあるわね、でもいい物よ、お酒って」
春香「そうですよー、お酒はいい物ですよー、もっと飲んじゃいましょう!」
あずさ「あら、春香ちゃんったらお酒もういいんじゃないの?」
春香「どうせ明日のお仕事に潰されてしまうんですよ、それなら気分よく潰されたほうがマシです!そうでしょう!」
響「おぉ!よく言ったぞ春香!自分も明日ブラジルに飛ぶけど飲みまくるぞ!あずさ、自分、生ビール一つ!」
雪歩「二人共明日大丈夫なのかなぁ…」
あずさ「お酒は自己責任よ、萩原さんの心配することじゃないわ」
千早「あの…本当に申し訳ありませんあずささん…こんなに騒ぐつもりはなかったんですけど…」
あずさ「いいのよ、本当はこういうお客様は迷惑極まりないけど」
おっさん「」ポリポリ…ゴクゴク…ニヤニヤ…
あずさ「他のお客様も承諾してるみたいなので、今回は特別ね」
千早「ありがとうございます…ほら、春香もちゃんと謝って」
春香「こんな所で謝るなんて場違いなことしないよ!ほら、あずささんも飲んじゃいましょう!」
あずさ「……それもそうね、飲んじゃいましょうか!」
訂正
あずさ「お酒は自己責任よ、萩原さんの心配することじゃないわ」
↓
あずさ「お酒は自己責任よ、雪歩ちゃんの心配することじゃないわ」
―――
――
―
雪歩「………」zzz…
響「うっ…き、気分悪い…」
春香「はぁ…はぁ……ち、千早…ちゃん」
千早「ごめんなさいあずささん、トイレはどちらに…」
あずさ「あ~、トイレならそっちの方を奥に行けばあるんじゃないかしら~」
千早「ありがとうございます…って行き止まりなんですが…」
あずさ「あっ…ごめんなさい間違えちゃったわ」
千早「………」
春香「ちっ…ちはっ…ちゃん……もう座らせて…」
千早「いいから頑張って歩きなさい春香、あずささんのお店を汚したくないでしょ?」
春香「うっ……ん…」
あずさ「あ、トイレ見つかったかしら~?」
千早「はい、おかげさまで…でもこんな事になってしまって…」
あずさ「いいじゃない、いいじゃない…ほら千早ちゃんも飲んで飲んで」
千早「いえもう…」
あずさ「ぶー…ツレないなあ……でも楽しかったわ、ありがとう、千早ちゃん」
千早「……はい、私もですよ」
あずさ「あーあ…皆とこうやって楽しくできないかしらね…また…」
千早「………」
あずさ「お互いもう関わりが少なくなっちゃった皆とまた…こうやって他愛の無い話をして…楽しく食べたり飲んだりしたいわね…」
千早「……そうですね」
あずさ「……んっ…はぁ…」コクッ…
あずさ「……お酒が夢を見せてくれたらいいのにね、いつまで経っても現実しか見えないわ…悲しいことにね」
>>177
てことはあずささんはさんじゅ・・・・・・・
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