オカリンが重病だと勘違いして泣きそうになる鈴羽ください!!
お願いします!!
岡部「暑い……この暑さ、何とかならんのか……」
ダル「いや、だってここエアコンねーし」
岡部「我慢しろ、しっかし暑い……何とかならんのか……」
ダル「エアコン設置すれば何とかなるんじゃね?」
岡部「……」
ダル「いや、ごめんって……黙るなよオカリン……」
岡部「ちょっと出てくる」
―――――
――――――
―――――――
.
岡部「……暑い」
岡部「何もやる気が出ない……」
岡部「暑さは人を駄目にするな……」
岡部「……」
岡部「………」
岡部「ん………?」
岡部「このようなところに、自販機などあったか……?」
岡部「……」
岡部「なにやら、怪しい見た目のものばかり売ってあるようなのだが……」
岡部「この赤いのはなんだ……? 何も容器にプリントされていないが……」
岡部「しかし赤い液体とは趣がある、と言えよう」
岡部「どれ……」
.
岡部「……」
岡部「………」
岡部「しかし買ったはいいが、正体不明の赤い液体など嫌な予感しかしないのだが……」
岡部「……」
岡部(しかし、コーラもラベルを外せば不気味な液体に見えるあの現象を鑑みれば……)
岡部「う~む……?」
岡部(とりあえず、ラボに戻ってダルに見せてみるか……?)
岡部「よし、そうしよう」
岡部「……」
岡部「………」
岡部「…………」
.
岡部「……ついたか」
岡部(しかし、よく考えれば他に何かドクペなり買ってくるのだった……)
岡部(まあ、ここまで来てしまった訳だし先にダルにこいつを見せてから考えるとするか)
岡部「……」
ガチャン――
岡部「……お~い」
岡部「………戻ったぞ」
岡部「って、居ないのか……?」
岡部「……」
岡部「ダルの奴め、肝心な時に限っていないとは……」
.
岡部「……そういえば」
岡部「ここに上がってくる前に、下に鈴羽がいたな……」
岡部「どうせ暇を持て余しているのだろうし、多少の児戯は構わないだろう」
―――
――――
―――――
岡部「……鈴羽もいない、だと……」
岡部「店は開いているのだが、誰もいない……いいのか? これ……」
岡部「と、いうよりやはり暑い……」
岡部「仕方あるまい、一人で飲むか……」
岡部「……」
岡部「……どれ」
岡部「………」
岡部「………っ!!」
岡部(こっ、これは……)
岡部(ただのトマトジュ――)
鈴羽「わぁっ!!!」
岡部「――っ!?」 ブッー!!!!
鈴羽「えっ、わわっ!?」
岡部「ば、バイト……戦士……!!」
鈴羽「お、岡部……倫太郎……?」
岡部「お、おま、お前……いまっ、いま何を……」
鈴羽「ごめんっ、お、驚かせようと思って……っ、そ、それより……」
岡部「確かに驚きはしたが……」
鈴羽「岡部、倫太郎……君……だ、大丈夫……っ!?」
岡部「……? どうしたというのだ……」
鈴羽「そ、それっ……血なんじゃ……」
岡部「はぁ……?」
鈴羽「大丈夫!? 苦しくない……っ!?」
岡部「……」
鈴羽「ねぇ……!?」
岡部「だ、大丈夫だっ、分かったから落ち着けよ……」
鈴羽「あ……う、うん……」
岡部「大体、この鳳凰院凶真がこの程度で死ぬわけあるまい……」
鈴羽「そ、そっか……」
岡部「そうに決まっているだろう……」
鈴羽「そういえば、そうだったんだよね……」
岡部「……?」
鈴羽「な~んだっ、心配して損しちゃったよ。もう……」
岡部(さっきまでの流れが嘘のようだ……)
鈴羽「まあ、それなら別にいっかな~」
岡部(何か無性に悔しい……少し驚かしてみるか……?)
岡部「おい、バイト戦士よ……」
鈴羽「ん~?」
岡部「さっきの話、あれは嘘だ。実は今、猛烈に胸が苦しい、もう駄目かもしれない……」
残ってるのかよ
鈴羽「ふんふん……って、ええええっ!?」
岡部「……」
鈴羽「ちょ、ちょっと……?」
岡部「……」
鈴羽「いや、黙らないでよ……」
岡部「……」
鈴羽「岡部倫太郎……?」
岡部「……」
鈴羽「岡部倫太郎ってば……!!」
岡部「聞こえている……大声を出すなよ……」
鈴羽「だっ、だって……」
岡部「とにかく、俺は上に戻って寝るとする」
鈴羽「あ……う、うん……」
.
岡部「それじゃあ……」
鈴羽「まっ……また、ね……」
岡部「うむ……」
鈴羽「……」
※
岡部「外も暑かったが……ラボの中はさらに暑い……」
岡部「何とかならんのか……」
岡部「……」
岡部「寝るか……ソファーに横になろう」
岡部「……」
岡部「………はぁ」
岡部「暑くて寝れないな……」
岡部「……」
岡部「そういえば……」
岡部「これ、まだぜんぜん飲んでいないのだったな……」
岡部「寝転がりながらとは行儀も悪いが……まぁ、誰も見てないし構わないだろう」
岡部「それにストローだしな……」
岡部「……」 ゴッゴッ――
岡部「………」 ゴッゴッゴッ――
岡部「…………っ!!!!」 ブッー!!
岡部「ごほっ、ごほっ……ごほっ……っ……」
岡部「む……噎せた……」
岡部「……ぐっ……ごほっ……」
岡部「……っ……っ! ……っ」
岡部「はぁ……独りでに噎せだすとは、これでは老後の心配も出てきたな……」
岡部「って……」
岡部「なっ、なんということだ……っ」
岡部(寝転がって飲んでるときに吹き出してしまったせいで……)
岡部「服にトマトジュースが……」
岡部「……むむむ」
岡部「………」
岡部「これでは、どう見てもいま一人殺ってきたようにしか見えぬぞ……」
岡部「……シャワー浴びるのも、洗濯するのも途轍もなく面倒くさいんだが……」
岡部「どうするか……」
岡部「……とりあえず先に床を拭いてから考え――」
――ガラッ
バタンッ――!!
岡部「むっ……?」
岡部(ダルが帰ってきたのか……)
岡部「ダル、丁度いい所に帰って……」 チラッ
岡部「って……お前は……」
鈴羽「おっ……岡部、倫太郎……?」
岡部「鈴羽……」
.
岡部「お前……どうして……」
鈴羽「しっ、心配だったから……その……」
岡部「心配……? ……ああ、そうだったのか……」
鈴羽「それよりっ! 君、吐血したの……?」
岡部「と、とけつ……とけつ? と……吐血?」
鈴羽「死ぬことはないにしても、苦しいものは苦しいよね……」
岡部「あ、ああ……しっ、死ぬなどということはないだろうが……」
鈴羽「それは私が片付けるから、岡部倫太郎は横になってよ」
岡部「わ、悪い……」
鈴羽「いいよ、気にしないで」
岡部「……」
.
鈴羽「さて……」
岡部「……」
鈴羽「……」
岡部「………」
鈴羽「ふぅ……」
岡部「お、終わったか……」
鈴羽「うんっ、水道使わせてもらうね~」
岡部「ああ、好きにしろ……」
鈴羽「ふふっ、ありがと」
岡部「……」
岡部「………」
岡部「…………」
鈴羽「終わったけど、あのさ、岡部倫太郎」
岡部「ん……どうかしたのか……?」
鈴羽「何か欲しいものとかある? 買ってくるけど」
岡部「いいのか……?」
鈴羽「うんっ! 気にしないでいいから、何でも言ってよっ」
岡部「そ、それでは……ドクペと……」
鈴羽「うんうん」
岡部「……えっと、何かあるだろうか、とりあえずドクペと……」
鈴羽「うん? ……うん」
岡部「あと……ドクペと……」
鈴羽「う、うん……」
岡部「他には……ドク――」
鈴羽「――君さぁ……わざと?」
岡部「ん……何のことだ」
鈴羽「もしかして自覚がないの……? えっと……」
岡部「うむ」
鈴羽「……ごめん、やっぱりいいや」
岡部「……?」
鈴羽「もっとさ、薬局に行くが良い~! とか言うと思ったんだけどさ」
岡部「薬局、だと……」
鈴羽「え……、というより本当は病院とかさ……」
岡部「病院……にか……俺が?」
鈴羽「岡部倫太郎……もしかして頭もどこか……」
岡部「なっ、何を言うかっ!? この狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真の灰色の頭脳に翳りは見えぬぞ……っ!!」
鈴羽「あ、う、うん、大丈夫そうだね……安心した、けど」
岡部「まぁいい、とりあえずはドクペを買ってきて貰えればそれで構わないぞ」
鈴羽「ねぇ、本当にそれでいいの……?」
岡部「構わない」
鈴羽「わ、分かったよ……じゃ、行ってくるから」
岡部「ああ」
鈴羽「ちゃんとあたしが戻ってくるまで、動いたりしたら駄目だからね? いい?」
岡部「お、お前は俺の何なのだ……」
鈴羽「えっ……」
いちおう日付変わる前に酉つける
鈴羽「なにって……」
鈴羽「そっ、それは……その……」
鈴羽「……えっと」
岡部「……鈴羽?」
鈴羽「……」
岡部「……おい」
鈴羽「………」
岡部「鈴羽」
鈴羽「…………」
岡部「お~い、鈴羽~」
鈴羽「……………ハッ!!」
岡部「鈴羽? どうしたのだ」
鈴羽「ご、ごめん黙ってて……その、私は岡部倫太郎のなんなんだろうって考えてた……」
岡部「はぁ~?」
鈴羽「いや、だって君が聞いたことだよ?」
間違えた
岡部「そうなのか?」
鈴羽「そうだよっ!!」
岡部「す、すまない……」
鈴羽「ん……どうして君が謝るのさ?」
岡部「他意はなかったのだ、ただ口から滑り出ただけでだな……」
鈴羽「……ほんとに?」
岡部「ああ……本当だ」
鈴羽「……じー」
岡部「む……」
鈴羽「……」 ジーッ
岡部「……」
鈴羽「………な~んだっ」
岡部「……?」
鈴羽「変な期待して損しちゃったなーっ」
岡部「期待……?」
鈴羽「そう、期待」
岡部「……なんのことだ?」
鈴羽「んっとさ、分からない……?」
岡部「あ、ああ……。俺に関することだったのか……?」
鈴羽「うんうん、まあ杞憂って奴だったんだけどさ……」
岡部「気になるのだが……」
鈴羽「う~ん、あんまり何を考えていたかは教えたくないかな~」
岡部「そ、そうか……残念だ、まあ仕方ないか」
鈴羽「うんっ、君のそういうしつこくない所は好きだなーっ!」
岡部「喜ぶところなのか……? ここは」
鈴羽「ふふっ、まあいいや。それじゃあ今度こそ行くからね」
岡部「ああ、気をつけろよ。最近は事故も多い、明日は我が身とな……」
鈴羽「分かってるって、大丈夫大丈夫。死亡事故なんか起きないから、さ」
岡部「まあ、そうそう起きるものであったら困るのだが……」
鈴羽「も~、そうじゃなくって……ああ、まあそうなんだけど……」
岡部「……?」
鈴羽「あ~あ~、また長話になるでしょ? これ……」
岡部「わ、悪い……」
鈴羽「いや、謝らないでよ。だって話すのが楽しいから長話になるんじゃないの?」
岡部「楽しい、か……」
鈴羽「うんっ! 私は岡部倫太郎と話してると時間のことなんて忘れちゃうかなーっ」
岡部「う、うむ……」
鈴羽「いとをかしってねっ」
岡部「をかし……をかし……滑稽な、おかしい?」
鈴羽「そっちじゃないよっ!」
岡部「わ、分かっているが……」
鈴羽「もう……なんでそういうこというの?」
岡部「何で……か」
鈴羽「あ~! 分かった、もしかして照れ隠しってやつなの?」
岡部「っ!? なななな何を言っているのだバイト戦士……っ!!」
/__,i ___ ヽ,
/ ( ´ ` .∧
l /ーi , - ‐ 、 - ‐ 、 /ノ 世界線はこのロープのような物
∨ , -、 { (⌒) } { (⌒) } く }
∠⌒ <´弋,二ソノ 、弋二ソノ `i- 、 1つ1つは干渉しあう事はないが辿り着く先は同じ
/" 、Y ' Y> <
K ヽN')、 、__, 、 __,ノ ( v ) 行き来する事は不可能…
〉 ._,〈 !"'- ,, _ _,, - ''" .| 〉 〈.!'
ヽ,_ 人| ! ! |人_ イ
< ,,`>| .! | | ! l 〈 〉 しかし 世界を変える大きな出来事があった場合
> y.< | .i i .! ! .∧ ! 〉y〈,
ヽ_ノ .!_/i__ハ_ /i / ー ' .{__/ 選択によって分岐が出来たりする事がある
r''--!ヽ  ̄ . ̄ /--ヽ、
イ/i i ト、! /i/ i ト、l
'ー' 'ー'- 例えば「鈴羽かわいいよ鈴羽」とレスすると――
ガゥーン
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1.048596
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鈴羽「ん~?」 ジー
岡部「な、なんだ……」
鈴羽「バイト戦士なの……?」
岡部「いや、お前はバイト戦士だろう……」
鈴羽「さっきまで名前呼んでくれてたのに……?」
岡部「そうだったか……、そうだったな……」
鈴羽「焦った?」
岡部「はぁ?」
鈴羽「いや、岡部倫太郎が照れた結果焦ったんじゃないかなって」
岡部「あああ焦ってなどいないっ!!」
鈴羽「ふ~ん……そうなんだ?」
岡部「そうだ……」
鈴羽「ちょっと残念」
岡部「……む?」
鈴羽「いや、気にしないでよ。これもさっきの期待の話かな……?」
岡部「そうなのか」
鈴羽「そうそう」
岡部「杞憂って奴か……?」
鈴羽「あのさ……いや、別にいいんだけど……」
岡部「……?」
鈴羽「その顔、自覚無さそうだよね……」
岡部「そうだな」
鈴羽「そこを自信満々に言わないでよ……」
岡部「す、すまないな……」
鈴羽「自覚無いんなら、謝られても困るんだけど……」
岡部「ではどうすれば良いのだ、ああ言えばこう言う」
鈴羽「岡部倫太郎はどうすればいいと思っているの?」
岡部「お、おれか……?」
鈴羽「うん、考えてみてよ」
岡部「……そうだな」
鈴羽「……」
岡部「……」
鈴羽「………」
岡部「………」
鈴羽「どう……?」
岡部「むむむ、駄目だな……」
鈴羽「なにがむむむだっ!」
岡部「あ、ああ……。だけど、結構考えてみたんだぞ?」
鈴羽「それは分かってるよ、ちゃんと考えてくれてる顔をしてたし」
岡部「……」 ジー
鈴羽「……?」
岡部「………では、こうしようではないか」
鈴羽「ん? なになに、何か思いついた?」
岡部「鈴羽が俺にどうすればいいか教えてくれればいいんじゃないか?」
.
鈴羽「えっ……?」
岡部「出来ることなら何だってやってやろうではないか」
鈴羽「……」
岡部「……? どうした」
鈴羽「いや……、まさかこんな風に切り返されるとは思ってなかったよ……」
岡部「この鳳凰院凶真の智謀を見誤っていた報いだろう……っ!!」
鈴羽「じゃあ、さ……」
岡部「ってスルーか」
鈴羽「岡部、倫太郎……」
岡部「なんだ……」
鈴羽「お願い、聞いてくれる……?」
岡部「で、出来ることに限るからな……」
鈴羽「うん、それじゃあ……さ……」
岡部「……お、おい……」
鈴羽「……」
岡部「ど、どうしたのだ鈴羽」
鈴羽「………」
岡部「おいっ、望みを話すのではなかったのか……おいっ!」
鈴羽「………っ」
岡部「かかっ顔が近いぞ……おいっ、鈴羽っ!?」
鈴羽「…………あ」
岡部「……っ?」
鈴羽「岡部倫太郎、君……」
岡部「な、なんだ、なんなのだ……」
鈴羽「よく見たら、口元のところ、血が乾いてる」
岡部「血……? 血……あ、ああ、そういえば」
鈴羽「ん? まあ、さ……よく考えたらあたしって今から岡部倫太郎の為に買い物に行くんだったよね」
岡部「そ、そうだった、な……」
鈴羽「ごめんごめん、さっき長話になるって話してたのに……もう少しで完全に忘れるところだったよ」
.
岡部「わ、忘れる……」
鈴羽「うん、そうそう」
岡部「……」
鈴羽「ねぇ、岡部倫太郎」
岡部「……?」
鈴羽「私が完全に忘れてたら、どうなってたと思う?」
岡部「忘れてたら……?」
鈴羽「そそっ、想像してみて」
岡部「……」
岡部「………」
岡部「…………っ!!」
鈴羽「あはっ、赤くなっちゃって岡部倫太郎、か~わいいっ!!」
岡部「す、鈴羽……お前……っ」
鈴羽「ごめんごめん、冗談だよ冗談」
岡部「くっ……」
鈴羽「君は本当に面白くてからかい甲斐があるな~っ」
岡部「ぐぐっ……」
鈴羽「君といると本当に飽きないよ。また長話になっちゃいそうだし……」
岡部「お、俺は怒るぞ……」
鈴羽「ケモノになっちゃう?」
岡部「もっ、もうからかうな……」
鈴羽「クスッ……じゃあ、もう何度目かの台詞だけど長話になっちゃうし、そろそろ行くから」
岡部「う、うむ……もう来るな……」
鈴羽「うわっ、ひどっ!!」
岡部「……ふんっ」 プイッ
鈴羽「はっは~、でも残念だったね岡部倫太郎、またすぐに来るからっ!」
岡部「……」 チラッ
鈴羽「……にぃ」 ニコリ
岡部「……勝手にしろ」
.
鈴羽「はいはいっ」
岡部「……」
鈴羽「……あ、そうだ」
岡部「………」
鈴羽「これもさっきから言ってることだけど、ちゃんと横になってなきゃ駄目だからね~」
岡部「………」
鈴羽「お~いってば、返事は?」
岡部「………分かっている」
鈴羽「うんっ、おっけー! それじゃあね~」
――ガラッ
岡部「………」
バタンッ――!!
岡部「………」
岡部「行ったようだな……」
.
岡部「……しかし……」
岡部(猛烈に胸が苦しい、もう駄目かもしれない……)
岡部(……と、言って驚かせてやろうと試みたはいいものの)
岡部(さっきまで完全に鈴羽のペースだった……)
岡部(このモヤモヤした感じ、このままでは収まりがつかないぞ……)
岡部(幸いにも鈴羽はトマトジュースを血だと最後まで一応は信じていたようだったし……)
岡部(これを使って、もう一度事を起こすしかないか……)
岡部(しかし、いま手元にトマトジュースがもう無い……)
岡部(鈴羽はマウンテンバイクだ……すぐに戻ってくるだろう……)
岡部(悩んでいる時間は無い、すぐにあの怪しげな自販機まで走るしかない……っ)
岡部(鈴羽に見つかる訳にはいかない、急がねば……!!)
.
※
岡部「ふぅ……はぁ……ふぅ、うっ……はぁ……」
岡部「おっ、俺は……軍師タイプなのだ……この炎天下の中、走るなど……」
岡部「くそっ……はぁ……」
――ガコンッ
岡部「よしっ、売り切れでは……なかったか……」
岡部「ま、まぁ……この怪しげなパッケージを……買うなど……」
岡部「……はぁ……この鳳凰院凶真ぐらいだろうが……ふぅ……」
岡部「いっ急いで……ラボに帰らねば……」
岡部「帰りも走りかっ……くそっ……」
※
.
岡部「つ、ついた……」
岡部「はぁ……ふぅ……疲れたっ……」
岡部「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」
岡部「鈴羽のマウンテンバイクは……無いな……」
岡部(と、言うことはまだ帰ってはきていないのだろう……)
岡部「それにしても……疲れた……」
―――
――――
―――――
岡部「ラボの中も蒸し暑くてこれでは敵わんぞ……」
岡部「これでは外より暑いのではないのか……」
岡部「ダルの言うとおり、エアコンの一つでもあればいいのだが……」
岡部「……」
岡部「まあ、無いものを話しても仕方があるまい……」
岡部「とりあえず、鈴羽が戻ってくるまでに作戦を考えなければ……」
おはよう 残ってるのかよ
岡部「作戦……か、そもそも……」
岡部「俺は鈴羽をどうしたいんだろう……ただ驚かせたいのか……?」
岡部「……」
岡部「最初はそのつもりだったが……さっきは完全に終始、鈴羽のペースだった……」
岡部「鳳凰院凶真としてこのまま終わるわけにはいかないぞ……」
岡部「一つ、鈴羽をぎゃふんと言わせたい……」
岡部「よし、重病患者のふりでもしてみるか……」
岡部「さっきまでで伏線は張ってあるのだ、後はこの鳳凰院凶真の演技力次第と言えよう……」
岡部「……決まりだな」
岡部「トマトジュースを床にぶちまけ、白衣に染み込ませ、ついでに口から垂らしておけば……」
岡部「……」 ドボドボ
岡部「………」 ブシュー
岡部「…………」 ブッー
岡部「まあ、こんなものか……?」
.
岡部「出来はしたものの……予想していたよりもジュースの量が多かったな」
岡部「どうみても、ここで殺人事件が起きたようにしか見えないのだが……」
岡部「……まあ、構わないだろう」
岡部「後は、ソファーに横になり鈴羽が戻ってきたタイミングで咳き込めばいいだけだ」
岡部「……」
岡部「………」
岡部「む……気配がした……」
岡部「帰ってきたのか……?」
岡部「……」
岡部(この音と気配は……)
岡部「………間違いない、帰ってきたようだ」
岡部「……」
岡部「………っ」
岡部(こっちに向かってきている……!!)
.
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