小鳥「ある休日の風景」 (67)
【たるき亭】
P「音無さん、次何頼みます?」
小鳥「う〜ん……そうだ、お店変えません?」
P「いいですよ。と言っても、近くで良い店は……」
小鳥「実は、良いお店見つけたんですよ、最近」
P「どんな所ですか?」
小鳥「日本酒メインなんですけど、この辺じゃあまり置いてない銘柄もたくさん置いてあって」
P「へぇ。場所は近くですか?」
小鳥「歩いて3分位ですね。名前なんだったかな……」
P「とりあえず行きましょうか、その店。音無さんが選ぶならハズレはないでしょう」
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【Pのマンション 室内】
P「ん……あれ、朝か」
P「あの状態でよく家まで帰って来れたな、俺」
P「……ん?」
小鳥「んっ……すぅ〜……」
P「んなっ!」
小鳥「ふぇ? んー……あれ?」
P「お、お音無さん?! え?! なんで……あっ!」
小鳥「え?! えっ?! なんでプロデューサーさんが?!」
P「あの、音無さん。俺そっち見ませんから、服、着て下さい」
小鳥「服……え? これって、えぇぇ?! み、見ないで下さい!」
P「だ、大丈夫です、あんまり見えませんでしたから!」
小鳥「す、すみません、私ったら……でも、これって……」
小鳥「あの、服着ましたから、もう大丈夫です」
P「はい。えーと、その……」
小鳥「私、昨日の事うっすらとしか覚えていなくて……」
P「す、すみませんでした! 酔っていたとはいえ、こんな……!」
小鳥「お、落ち着いて下さい! とりあえず頭上げて下さい!」
P「あの、俺、酔って何も覚えていなくて。でも状況的に、何て言うか、その……」
小鳥「えっと、それは多分大丈夫……だと思います」
P「大丈夫って……」
小鳥「その……『そういう行為』はなかった、という意味で……」
P「でも、俺全然覚えていんで、もしかしたら、って……」
小鳥「私も薄らとしか……。でも、変な事されたり、っていう記憶はないですから」
P「だといいんですけど……」
小鳥「確か、3軒目出た後、そろそろ帰ろうかって事になって……」
P「3軒目……日本酒がいっぱいあって、焼き鳥食べた所?」
小鳥「それ2軒目です。その後ショットバー行ったじゃないですか」
P「ショットバー……あぁ、行きましたね、確かに」
小鳥「それで、プロデューサーさんのマンション近いから行きますかって……」
P「言われてみれば、そんなやりとりがあったような……」
小鳥「だから、プロデューサーさんが謝るようなことは全然、ないですから」
P「はい……」
小鳥「えっと、その、ちょっと洗面台借りてもいいですか?」
P「いいですよ。棚に入ってるタオルも自由に使って下さい」
小鳥「ありがとうございます」
P「あの、朝食ですけど……」
小鳥「あまり迷惑をかける訳にも……帰りにコンビニで買って帰ります」
P「せっかくですし、一緒にどうですか? その、落ち着いて状況整理もしたくて」
小鳥「う〜ん……それじゃここで頂いていきますね。よかったら私が作りましょうか?」
P「それが、今冷蔵庫あまり物入ってなくて。俺、コンビニで買ってきますよ。何がいいですか?」
小鳥「正直あんまり食欲もないので、何か軽い物を」
P「分かりました。他に必要な物は?」
小鳥「いえ、とりあえずは……ありがとうございます」
P「それじゃ、行ってきます。鍵は閉めて出ますので」
小鳥「分かりました。あの、誰か来ても……」
P「えぇ、誰も来ないとは思いますが、来ても居留守で」
小鳥「了解です」
P「それじゃ、行ってきます」
小鳥「はい、行ってらっしゃい」
【路上】 【Pのマンション 室内】
P(やっちまったぁぁぁ!) |小鳥「やっちゃったぁぁぁ!」
P(あ〜、あんなに飲んだんだ俺……) |小鳥「なんであんなに飲んだんだろう私……」
P(音無さん、俺から顔背けちゃってたしな……) |小鳥「しかもお化粧落とさないまま寝ちゃうし……」
P(『そういう行為』はなかった、とは言ってたけど) |小鳥「酷い顔になってるんだろうな、今」
P(言い出しにくかっただけかも知れないし……) |小鳥「ずっと顔背けてたけど、見られちゃったかも」
P(戻って合わせる顔がない……自業自得だけど) |小鳥「文字通り、合わせる顔がないわね……」
P(俺がちゃんと送り届けなきゃいけないのに) |小鳥「っと、凹んでる場合じゃないわ!」
P(送り届けるどころか……はぁ、何やってんだ俺) |小鳥「クレンジング……あった!」
P(とりあえず、コンビニで買い物済ませてしまうか) |小鳥「バッグに入れておいてよかったぁ……」
【コンビニ店内】 【Pのマンション 洗面台】
P(さて、朝食何にしようか) |小鳥「よく見ると中途半端にメイクが落ちてるような……」
P(あんまり早く戻ると音無さん困りそうだしな) |小鳥「そのまま寝たのに体がべたべたしてないし……」
P(雑誌コーナーチェックでも……) |小鳥「昨日シャワー浴びたのかな……」
P(うちのアイドル達、表紙に載る機会増えたよな) |小鳥「ま、まさか、一緒になんて事は……」
P(TV,芸能関係以外の雑誌だな、今後の課題は) |小鳥「シャワー……借りたような記憶がある……」
P(おっと、この雑誌今日発売だったな。買わないと) |小鳥「確か一人で……その後プロデューサーさん……」
P(雪歩と真の特集記事が載ってるからな) |小鳥「うん、一緒にって事はないわ。良かった……」
P(さて、あとは……) |小鳥「ほっとしてないで、急いでお化粧落としちゃわないと」
P(あ、コーヒーのいい匂いが) |小鳥「……ふぅ。さっぱりした」
P(紙コップ持って帰るのは大変そうだな) |小鳥「あ! 他のお化粧道具!」
P(缶にしとくか。ブラックコーヒーが2つ、と) |小鳥「ファンデ、口紅、あとは……」
P(お茶もなかったな。一応1Lの紙パックを、と) |小鳥「よし、最低限のメイクは出来そう」
P(あとは朝食だけど……俺もあんまり食欲ないな) |小鳥「面倒がらず持っていてよかった」
P(サンドイッチでいいか。音無さんの分も、と) |小鳥「こういうイベントには縁がないと思ってもの」
P(サラダとスープも、一応買っとこう) |小鳥「……自分で言ってて悲しくなってきた」
P(一応、液キャベ買っておこう) |小鳥「うん、とりあず見られる顔にはなったかな」
P(苦いけど、結構効くんだよな。一応2本、と) |小鳥「そろそろ帰ってくる頃かしら」
P「すみません、レジお願いします」 |小鳥「合わせる顔が出来ても顔合わせづらい……」
【路上】 【Pのマンション 室内】
P(もう一回、ちゃんと謝ろう) |小鳥「そういえば、見られちゃったのよね、下着姿……」
P(本当に何もしていないのか? 思い出せ、俺!) |小鳥「でも、全部脱いでなくて本当に良かった」
P(確か、俺のマンションが近いから、って事で) |小鳥「しかも、下着は先週出したばっかりのだったし」
P(それから水飲んで、眠くなったから——) |小鳥「でも、寝る前には見られてる可能性もあるか」
P(確か音無さんにはベッドで寝てもらった気がする) |小鳥「確か、プロデューサーさん、私をベッドに寝せて」
P(寝る前に何かあったような……) |小鳥「自分は床で寝ようとしたから」
P(結局一緒のベッドに寝てたって事は……) |小鳥「そうだ、無理やり引きずりこんじゃったんだ……」
P(だめだ、音無さんのさっきの姿が頭から離れない) |小鳥「これじゃ、まるっきり痴女じゃない……」
P(マンションに着いてしまった。そろそろいいかな?) |小鳥「はぁ……謝らなきゃいけないのは私の方ね」
P(結構ゆっくり目に歩いたしな。大丈夫だろう) |小鳥「朝食買い出しにまで……あら、帰って来たのかしら?」
【Pのマンション 室内】
P「ただいま戻りました」
小鳥「おかえりなさい。ごめんなさい、わざわざ」
P「いえ、ついでですから。サンドイッチでよかったですか?」
小鳥「はい、ありがとうございます」
P「それと、一応これ。飲んでおいた方が良いと思いますよ」
小鳥「液キャベですか」
P「はい。結構効きますよ。苦いですけど」
小鳥「大丈夫、結構お世話になってますから。それじゃ、いただきます……苦っ」
P「俺も……はぁ苦い。それと、お茶買いましたんで。コップはこれ使ってください」
小鳥「ありがとうございます。それで、あの、昨日、というか今日か。とにかく寝る前の事なんですけど」
P「ごめんなさい! 俺、やっぱり音無さんにセクハラまがいな事したんじゃないかって……」
小鳥「そんな事ありません! 謝らなきゃいけないのはむしろ私の方なんです」
P「え?」
小鳥「プロデューサーさん、自分は床で寝ようとしたんです」
P「なんとなく、そうしようとした記憶があります」
小鳥「それじゃ風邪ひいちゃうからって私が、その、無理やりベッドに……」
P「そう……でしたっけ……? でも、自分から入った記憶はないんだよな……」
小鳥「その後、あんまり記憶ないんですけど、多分すぐ寝ちゃったんだと思います」
P「それじゃ本当に、音無さんに失礼な事してない……んですよね?」
小鳥「えぇ。むしろ私の方が……それと、こっちはあまり覚えていないんですけど」
P「な、なんでしょう」
小鳥「多分、寝る前に私、シャワー借りちゃってます」
P「そうなんですか? まぁそれは別にかまいませんよ」
小鳥「部屋に上がり込んだ挙句シャワーとベッドまで借りるなんて、本当にごめんなさいっ!」
P「いや! いやいや! 謝る事ないですって!」
小鳥「しかも半裸の私と寝る事になってしまって……さぞ不快だったのではないかと……」
P「不快だなんて、そんな事ないですから! でも、よかったです」
小鳥「良かったって……」
P「違います、半裸が良かったんじゃなくて! いや、悪かったという訳でも……違う、そうじゃなくてですね」
小鳥「あの、分かりましたから続き、どうぞ」
P「『そういった行為』には及んでなくて良かったなって」
小鳥「あ……そう、ですよね」
P「あの、音無さん?」
小鳥「変な事、聞いちゃいますけど」
P「はい」
小鳥「もし、『そういう行為』に及んでたとしたら、どうでした?」
P「……多分、今までで一番落ち込んでたと思います」
小鳥「そう、ですか……そうですよね……私とじゃ……」
P「そういうのって、ちゃんと意識があるときに合意の上で行いたいので」
小鳥「えっ?」
P「好きでもない人とそんな事したくないじゃないですか」
小鳥「え、えぇ。確かにそれは」
P「だから、もし音無さんとするのであればちゃんと合意の上で……あ」
小鳥「それって……」
P「す、すみません、今の忘れて下さい! まだ酒が残ってるかもしれません。何言ってるんでしょうね俺は」
小鳥「よかった。私と同じで」
P「同じ?」
小鳥「ちょっと独り言です。さ、せっかくの休日ですもの。お互いもう謝るのはやめにして、朝食にしましょう!」
P「そうですね。テーブルの上、ちょっと片付けますね。袋の中にサンドイッチとか入ってますんで」
小鳥「ツナと玉子に、こっちはレタスとハムか。プロデューサーさんはどっちですか?」
P「音無さん好きな方どうぞ」
小鳥「う〜ん、それじゃレタスとハムの方で」
P「了解。そうだ、インスタントスープとサラダもありますよ。サラダは2人で分けましょう」
小鳥「ありがとうございます。お皿、借りてもいいですか?」
P「えぇ。これがサラダ用で、こっちはスープ用です。ポットはテーブルの上に」
小鳥「はーい。スープのお湯、二人分入れますね」
P「すみません、お願いします」
小鳥「本当はエプロン姿で朝食作れば良かったんですけどね」
P「こっちとしては嬉しいですけど、二日酔いの状態であまり無理しない方がいいですよ」
小鳥「……そういうのはお酒飲んだ次の日やるものじゃないですよね」
P「まぁ、俺はやれと言われればしますけどね」
小鳥「逆パターンか……それはそれでアリですね」
P「何がですか。変な事言ってないで食べましょう」
小鳥「そうですね。いただきます」
P「誰かと一緒の朝食って久しぶりですよ」
小鳥「私も。一人暮らしだとどうしてもそうなりますよね」
P「はぁ……落ち着いたらなんだか頭痛が……」
小鳥「私も、さっきまで焦ってバタバタしてたから気になりませんでしたけど」
P「でも、音無さん、結構酒強いですよね」
小鳥「次の日にあんまり残らないだけですけどね」
P「それを強いっていうんじゃないですか?」
小鳥「プロデューサーさんだって、こうやって朝食食べられる位には強いじゃないですか」
P「色々と鍛えられましたから。あ、スープ美味い。あっさり目の選んでよかった」
小鳥「えぇ。体に染みわたりますね」
P「味噌汁も結構いいんですよ」
小鳥「あ、私飲んだ後のシジミのお味噌汁、大好きです」
P「いいですよね。そっちにすればよかったな」
小鳥「ふぅ。ごちそうさまでした」
P「ごちそうさまでした、と。缶コーヒー飲みます? ブラックですけど」
小鳥「いただきます。プロデューサーさん、家ではコーヒー飲まないんですか?」
P「飲みますけど、インスタントなんで。本当はレギュラーコーヒーご馳走出来ればいいんですけど」
小鳥「あ、別にそういう意味で言ったんじゃなくて、ちゃんと淹れたの飲んでそうだなーって」
P「一人暮らしですから、豆余らせちゃうんですよ。それであんまり飲まなくなって」
小鳥「小分けのペーパードリップとか」
P「それも使ってたんですけど、そもそも家にいる時間があんまりないんで」
小鳥「あー、確かに」
P「家で飲むのがせいぜい朝位なんで、それならインスタントでもいいか、って思って」
小鳥「事務所行けば飲めますもんね。あ、でも最近外にいることが多いのか」
P「えぇ。車での待ちが多ければ、マイボトルにお茶とかコーヒー入れて持ち歩くところなんですが」
小鳥「徒歩でもあっちこっち移動しますもんね」
P「そうなんですよ。時間あれば自販機で、って感じですね」
小鳥「あんまり無理しないで下さいね」
P「それはお互い様ですよ。音無さんこそ、一人で裏方全部やってる訳ですから」
小鳥「私は力抜いてそこそこでやってますから。えへへ」
P「それであれくらいできれば十分ですよ」
小鳥「そうだ、プロデューサーさん予定あったりするんじゃないですか?」
P「え? 特にないですけど、どうかしましたか?」
小鳥「いえ、なんだかまったりしちゃってますけど、予定あったりしたらご迷惑かなーと」
P「大丈夫、今日は特にやることないですから。音無さんこそ大丈夫ですか?」
小鳥「えぇ。特に予定もありませんし」
P「ならよかった」
小鳥「休日は家で過ごす事が多いんですか?」
P「午前中に掃除とか洗濯して、午後は出かける事が多いですね」
小鳥「へぇ。結構活動的ですね」
P「出かけるって言っても、せいぜい買い物とか……あっ」
小鳥「どうしました?」
P「今日、欲しいCDの発売日でした。買っておかないと」
小鳥「それじゃ、今日の予定はお買いものですか?」
P「えぇ。と言っても、買うのはCD位で、後は本とかCD、DVD入れる棚でも物色しようかと」
小鳥「あ、あの。それ、私もついて行っていいですか?」
P「えぇ、いいですよ。それじゃ、もうちょっと休んでから出発しましょうか」
小鳥「分かりました。プロデューサーさん休んでて下さい。私洗い物しちゃいます」
P「そんな、俺やりますから」
小鳥「泊めさせてもらって、朝食の買い出しまでさせたんですから。洗い物の量も少ないですし。ね?」
P「分かりました。それじゃ、その間洗濯と掃除済ませちゃっていいですか?」
小鳥「えぇ、いいですよ」
小鳥「洗い物、終わりました。食器は棚のそれらしいところに戻しておきましたから」
P「ありがとうございます。洗濯、もうちょっとかかりそうです。食べる前に動かせばよかったな」
小鳥「もしかして、CDって先着特典狙いだったりします?」
P「いえ、今日欲しいCDにはその手の特典は付きませんから」
小鳥「それじゃ、ゆっくりしてから行きましょう?」
P「そうですね。お茶どうですか?」
小鳥「いただきます」
P「それと、これ。良かったら先にどうぞ」
小鳥「あ、この雑誌、雪歩ちゃんと真ちゃんの特集記事の!」
P「えぇ。さっきコンビニで買ってきました」
小鳥「それじゃ一足お先に読んじゃいます」
P「どうぞどうぞ」
小鳥「えーと……あったあった。このページからか」
P「結構時間かかったんですよ、そのインタビュー」
小鳥「本当だ、最初に書いてあります……ふぅん、雪歩ちゃん、結構語ってますね」
P「えぇ。真以上に喋ってましたよ。半分位削られてると思いますけど」
小鳥「デビューしたての時が嘘みたいですね」
P「最初は取材記者が男性だと会話すら出来ませんでしたからね」
小鳥「正直、紙面からも伝わってきましたからね。気を使ってくれてる記者さんの様子とか」
P「あはは……今では懐かしい思い出ですね」
小鳥「そうですね。あ、これ次回もなんですね」
P「えぇ。765プロのアイドル全員特集してくれるみたいで、次は春香、千早、美希ですよ」
小鳥「『生っすか!?』の司会トリオですか。第一弾がそっちじゃなかったんですね」
P「えぇ。今月号と雪歩のニューシングルの発売日が一緒だったんで、変えてもらったんです」
小鳥「おぉ、ついにそこまで影響力が?」
P「いえ、新曲の事記事に出来れば両者にメリットがありますから。Win-Winってやつです」
小鳥「なるほど、そういう事ですか」
P「えぇ。それに、再来月に『生っすか!?』のコーナー構成が一部変わりますから、来月号で取り上げてもらって」
小鳥「へぇ〜。さすがですね」
P「……まぁ、律子のアドバイスのおかげなんですけど」
小鳥「なんだ。褒めて損しちゃった」
P「どうせ俺はいまだにへっぽこプロデューサーですよ」
小鳥「嘘嘘。冗談です。でも。さすがですね、律子さん」
P「こういう所は敵いませんね……あ、洗濯終わったみたいです」
小鳥「それじゃ、パパッと干しちゃいましょうか」
P「あ、その、下着類もあるし、一人で大丈夫ですよ」
小鳥「えー。じゃ、下着以外ならいいんですよね」
P「あー、まぁ、それじゃ……」
P「すみません、干すのまで手伝ってもらって……」
小鳥「いーえ、ぜんぜん。そろそろ出ます?」
P「はい。忘れ物、大丈夫ですか? 洗面台は、さっき見た限りでは大丈夫そうでしたけど」
小鳥「えっと……うん、全部ある。おっけーです」
P「それじゃ行きましょう。酒気帯びの可能性大なので車は出せませんが」
小鳥「この辺で車だと逆に不便じゃないですか?」
P「ですね。施錠よし、と」
小鳥「うわぁ、良いお天気」
P「ドライブ日和なんですけどねぇ」
小鳥「それは次のお楽しみ、って事で」
P「次回も二日酔いじゃなかったら、ぜひ」
【路上】
小鳥「まずはCDショップですよね?」
P「はい。近くに大きめの店がありますんで」
小鳥「欲しいCDって、もしかしてさっき話が出てた雪歩ちゃんの?」
P「えぇ。今日発売日ですんで」
小鳥「プロデューサーさんも、自費で買ってるんですか?」
P「はい。最初はショップでの情報収集も兼ねて、だったんですけど。音無さんも?」
小鳥「えぇ。今日ついて来たのもそれが理由の一つでして」
P「やっぱり自分で金出して買いたいですよね」
小鳥「ファンとして当然ですね」
【CDショップ】
P「おぉ、目立つ位置に専用コーナーが」
小鳥「やっぱり、Jupiterも新曲ぶつけて来ましたね」
P「最近、うちのアイドルの新曲発売日には絶対ぶつけて来てますから」
小鳥「なんだか新曲コーナーの作りが765 VS 961ですね」
P「店側としては、対立を演出してそれぞれのファンの購買意欲を煽りたい、って事らしいですよ」
小鳥「新幹少女とかバリウムとだとファンの取り合いになったりしますけど、961とならそうはなりませんもんね」
P「そういう事らしいです」
小鳥「となると、外部にも961の最大ライバルとして認識された、って事になるんですね」
P「えぇ。素直には喜べませんけどね」
小鳥「純粋なライバルならいいんですけど……おっと、いけないいけない」
P「ま、そういう事です。さて、雪歩の新曲は確保して、と」
小鳥「最近じゃ、小さいCDショップでも置いてくれるようになったから助かりますね」
P「最初は販促かけても梨のつぶてでしたし。あ、先月出した千早のシングル、面出ししてくれてますね」
小鳥「本当だ。手書きPOPまで付けてくれて」
P「うちのアイドル全員分、お勧めCDが面出しされてますね……ありがたいな」
小鳥「へぇ……どれもちゃんと聴いてくれてのコメントみたいですよ」
P「本当だ。販促の時に渡した資料の説明そのまま、って場合も結構多いんですけど」
小鳥「新幹少女にも結構スペース割いてますね」
P「根強い人気がありますからね。う〜ん」
小鳥「どうしました?」
P「こう、面出しして並べたときに、やっぱり新幹少女のは目立ちますよね」
小鳥「インパクトじゃうちも負けてないつもりですけど……確かに、パッと目に付きますね」
P「他と並べてどう見えるか、か……」
小鳥「その辺はかなり研究してるんでしょうね、向こうも」
【本屋】
小鳥「すみません、雑誌も買っておきたくて」
P「いいですよ、どうせ寄るつもりでしたから」
小鳥「あったあった。これ買いたかったんです」
P「その雑誌、結局音無さんも買うんですね」
小鳥「当然です。プロデューサーさんは何か買うんですか?」
P「いえ、買うものはないですけど、休日外出すると本屋には寄るんですよ」
小鳥「あ、それ私もです。ネットでも本買えますけど、店頭で見て買いたいんですよね」
P「ネットで頼んでも、ほとんど家にいないから受け取れませんしね」
小鳥「私はネットで買う場合、コンビニ受け取りをよく使いますよ」
P「俺、Amazonがメインなんで」
小鳥「あら、Amazonでコンビニ受け取りできますよ?」
P「そうなんですか?! ずっと使ってて知らなかった……」
小鳥「お届け先住所にコンビニを追加できるんですよ」
P「それって裏技的な?」
小鳥「違います違います! コンビニで受け取れますよって説明もちゃんとありますし」
P「へぇ〜。知りませんでした」
小鳥「確かローソンかファミマだけじゃなかったかな」
P「今度試してみます」
小鳥「えぇ、ぜひ。あら……この雑誌の表紙、真ちゃんですね。陸上競技の雑誌ですか」
P「はい。最近は今まで縁のなかった分野の方からオファーが来ることが多くて」
小鳥「これ、結構昔からある雑誌ですよね。高校の頃、体育館の更衣室に置いてあるの見た気がします」
P「そうなんですよ。陸上やってる中〜大学生が良く読んでる雑誌なんで、結構影響力あるんですよ」
小鳥「でしょうね〜。特に思春期の男の子への影響は大きいと思いますよ」
P「真にとっては、路線そのままで男性ファン拡大するにはちょうどいいんですよ、こういう仕事は」
小鳥「下手に可愛いとかセクシーな路線に行くよりは似合いますしね。健康的というか、健全というか」
P「本人には不評でしたけどね」
小鳥「あー、でしょうね。担当者の方の反応はどうでした?」
P「好評でしたよ。真自身スポーツ好きなのもあって、にわか感が全くなくてよかったと」
小鳥「もともとスポーツドリンクとか、そういうお仕事は来てましたものね」
P「最近はスポーツ誌以外の専門誌でも、アイドルを使いたいっていう傾向が特に強いみたいで」
小鳥「新たな読者開拓をしたいって事なんでしょうね」
P「少子化と不景気で、ずっとそのまま、という訳にはいかないでしょうね。それはうちも同じ事ですけど」
小鳥「ですね。新たなファン獲得していかないと」
P「えぇ。だから、雑誌では専門分野の方に入っていけたらなと」
小鳥「そういえば春香ちゃん、お菓子専門雑誌で取り上げられてましたよね」
P「あれもその一環で。各自、得意分野の専門誌への露出を増やしたい、って言う」
小鳥「でも、こだまも同じことは考えてるみたいですね。ほら、これとか」
P「えぇ。新幹少女はもともとそういう路線でしたからね」
小鳥「961はそんなに多くはないですよね、こういうのは」
P「961的には回りくどいやり方なのかもしれませんね」
小鳥「資金力も影響力をフル活用して、って感じですか?」
P「えぇ。うちには出来ないやり方ですね」
小鳥「この結婚情報誌、あずささんご指名で来たお仕事でしたっけ」
P「あ。それ買わないと」
小鳥「えっ?! ぷ、プロデューサーさん、もしかして……」
P「あー、違います違います。それ、付録冊子のウェディングドレスカタログのモデルもあずささんなんです」
小鳥「へぇ〜」
P「みんなから頼まれたんです。事務所にもっていかないと」
小鳥「珍しいですね。そういう場合誰かが真っ先に買ってきそうな気もしますけど……恥ずかしかったのかしら?」
P「いや、だって。重いじゃないですか。これ」
小鳥「あ、そっか。うわ、すごい分厚い……。重さはアスクルのカタログといい勝負ですね」
P「事務員らしい例えですね。伊織が買おうとしたらしいんですけど、棚から出そうとして諦めたらしく」
小鳥「この重さは私でも萎えますよ」
P「で、俺に『買ってきなさい』と」
小鳥「なるほど、そういう事でしたか」
P「えぇ。正直買うのちょっと恥ずかしかったりするんですが」
小鳥「私は……もっと恥ずかしいかもしれない……」
P「ま、まぁまぁ。あ、そろそろお昼ですよ」
小鳥「プロデューサーさん、お昼どうします?」
P「気になってた店があるんですけど、音無さんが何か希望があればそっち行きましょう」
小鳥「う〜ん、特にないのでお任せします」
P「イタリアンなんですけど、大丈夫ですか? お酒残ってると辛いかなと」
小鳥「大丈夫です。体調もほぼ元通りですし。それじゃ、レジ済ませて来ましょう」
P「そうですね」
【路上】
小鳥「そのビニール袋って……」
P「この結婚情報誌買った人向けの袋らしくて」
小鳥「重いし、紙袋じゃ大変ですものね。それにしても……」
P「えぇ。ウェディングドレス姿のあずささんは最高なんですが、持ってるの恥ずかしいですね」
小鳥「そんなに大きいと、私のバッグには到底入りそうにありませんし……」
P「大丈夫ですよ。今日は音無さんと一緒だし」
小鳥(えっ?! それってどういう……もしかして、いやでも……)
P「あ、ありました。ここです」
小鳥「ほぇっ?」
P「ん? どうしました? さっき言ってたイタリアンのお店、ここです」
小鳥「あ、あぁ。ここが……」
P「とりあえず入りますか」
【イタリアンレストラン】
店員「いらっしゃいませ。2名様でいらっしゃいますか?」
P「はい。禁煙席でお願いします」
店員「通路より左が禁煙席となっておりますので、空いているお席へどうぞ」
P「ありがとうございます。席、ここにしましょうか」
小鳥「そうですね」
店員「こちらがメニューでございます。お決まりになりましたらお呼びください」
P「ありがとうございます」
小鳥「イタリアン好きなんですか?」
P「特別好きって訳では。最近外食は和食か中華ばっかりだったんで、たまには別のと思いまして」
小鳥「お昼はほとんどたるき亭ですものね」
P「えぇ。それ以外だと、貴音とラーメン屋行く機会も多かったですし」
小鳥「なるほど……」
P「ランチセットはパスタ、スープ、サラダ、ドリンクか。これにしよう」
小鳥「それじゃ私も」
P「店員呼びますね。すみませーん」
店員「お待たせしました。ご注文お伺いいたします」
P「ランチセットを2つお願いします。ドリンクはホットコーヒーと……音無さんは?」
小鳥「んー、私もホットコーヒーで」
店員「ランチセットがお二つ、どちらもホットコーヒーでございますね?」
P「はい。注文は以上です」
店員「お飲物ですが、他のメニューとご一緒か食後のどちらになさいますか?」
P「俺は一緒でいいです」
小鳥「私も一緒で」
店員「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」
小鳥「ここ、プロデューサーさんが見つけたお店ですか?」
P「はい。休日買い物帰りにたまたま裏路地通ったら見つけまして」
小鳥「結構落ち着いた雰囲気ですね」
P「外から見ただけじゃ分からなかったんで、一人だと入りにくかったんで。いつか誰かと来たかったんですよ」
小鳥「あ、それじゃ私が第一号なんですね?」
P「はい。すみません、なんだか良いように使っちゃって」
小鳥「いーえ、とんでもない。気にしないで下さい」
P「イタリアンの店って、結構一人で入りにくい雰囲気だったりするんですけど、ここはそんな事なさそうですね」
小鳥「えぇ。一人でも落ち着いて食事出来そうな雰囲気ですね」
P「ドリンク単体だとコーヒーも何種類かありますし、ゆっくり出来そうな感じですね」
小鳥「本当だ。ケーキセットも……美味しそう」
P「頼みます?」
小鳥「いえ、さすがにカロリーオーバーです。写真付きだなんて、見るんじゃなかった……」
P「酒を飲んでる時とは違って慎重ですね」
小鳥「そ、それは……カロリーコントロールはまた別なんです!」
P「そうですか。それじゃいつでも頼めるようにしておきましょうね」
小鳥「頼みません! ランチセットでお腹いっぱいになると思うし……」
店員「お待たせいたしました。ランチセットです」
P「ありがとうございます。はい、音無さん」
小鳥「すみません」
店員「こちらはホットコーヒーです。ごゆっくりどうぞ」
P「それじゃ、頂ます。パスタはあさりと、イカと、あとなんだろうこれ?」
小鳥「剥いたムール貝ですね。頂きます」
P「……うん、美味い」
小鳥「やっぱり貝類が入ると違いますね」
P「えぇ。うま味が凄い。ムール貝、初めて食べましたけど美味しいですね」
小鳥「そのまま蒸すだけでも美味しいんですよ、これ。日本酒のおつまみにもぴったり」
P「あぁ、よさそうですね。白ワインでもいけそう」
小鳥「そうですね。ヨーロッパで良く食べられてる貝ですし、合うはずですよ」
P「日本酒が先に出てくるあたり、とても音無さんらしいです」
小鳥「もしかしなくても、褒めてないですよね?」
P「褒めてますとも。俺もワインよりは日本酒の方がいい口ですから」
小鳥「それじゃ、褒められたと思っておきます」
小鳥「そういえば、コーヒー食後じゃなくてもよかったんですか?」
P「食後だと、こっちの食べるタイミング見計らって持って来る訳ですよね」
小鳥「そうですね」
P「店員の側からすると大変だって話を聞いて、それ以降一緒に持ってきてもらうようにしてるんです」
小鳥「オフの日にまで気配りの人なんですね」
P「気配りというか……たまに、なかなか持ってきてくれない場合があるんで」
小鳥「あぁ、ありますね。お客さん一杯だと忘れられたり」
P「そうそう。そういうのもあるんで、一緒に持ってきてもらう方がいいなと。音無さんこそ、よかったんですか?」
小鳥「私も、忘れられたりとか遅れられると嫌なんで、一緒か、あるいは先に持ってきてもらうんですよ」
P「先に、ってお店あります?」
小鳥「こっちから言うと持ってきてくれたりしますよ。混んでる場合は向こうから言って来たり」
P「なるほど」
小鳥「プロデューサーさんって」
P「なんでしょう」
小鳥「パスタをフォークで食べるの下手ですね」
P「くっ……えぇ。結構必死に食ってますよ、今」
小鳥「自分で作ったりとかしません?」
P「自分の部屋で食べる時は箸使います」
小鳥「私、逆に箸でパスタ食べるの苦手で」
P「まぁフォークで上手に食べられれば不要ですし」
小鳥「それが、最近だとお箸しか出してくれないお店があったりして」
P「あるんですか? そんな店」
小鳥「和風を謳ってるお店でたまにあるんですよ。すっごい困っちゃって」
P「外食で、となると困るかもしれませんね」
小鳥「そうなんです。啜って食べる訳にもいかないですし」
P「ま、俺の場合フォークで食うのも下手くそなんでどっちもどっちですけど」
小鳥「あ、いじけちゃった」
P「スプーンまで使うとなると、もう、どうしていいものか、って感じです」
小鳥「フォークだけの方が良ければ、それでもいいと思いますよ」
P「そうなんですか?」
小鳥「正式なテーブルマナーだとどうなのか分かりませんけど」
P「テーブルマナーか……正直自信ないですね」
小鳥「私も。ちゃんとお勉強しておくべきなんでしょうけど……」
P「ですよね。そうそうそういう場面には出くわしそうにはないですけど」
小鳥「幸いそういう機会はないか、あっても社長が対応してくれましたからね」
P「アイドルの成長とか言ってる前に、自分も成長しないとダメだな」
小鳥「してるじゃないですか。お腹とか」
P「泣きますよ」
小鳥「冗談ですよ。十分スリムですって」
P「忙しくて動き回ってるからかもしれません。人員不足が解決したらすぐに太りそうです」
小鳥「健康的な生活とは言えない生活してますもんね、お互いに」
P「えぇ。律子も若いのに可哀そうで」
小鳥「私は?」
P「あ、サラダ美味い。ドレッシングがいいな、これは」
小鳥「はいはい、どうせ手遅れですよ〜だ」
P「さっきの仕返しです。でも、音無さんそんな雰囲気見せませんから、すごいですよ」
小鳥「女性は大変なんですよ、舞台裏では……」
P「男には分からない苦労、ってやつですか」
小鳥「いっそ男性に生まれれば楽だったのになーとよく思いますよ」
P「それは困るな」
小鳥「困るんですか?」
P「あぁ、いえ、なんでもないです」
P「ぼちぼち出ましょうか」
小鳥「そうですね。その前にちょっとお手洗いに」
P「分かりました」
小鳥「もぅ。そうやって伝票持とうとするし。ダメですからね?」
P「えっ? やだな、気のせいですよ」
小鳥「一緒に飲むときそうやっていつも先に払っちゃうじゃないですか。これはちょっと預かります」
P「えー」
小鳥「『えー』じゃありません。それじゃ、ちょっと待っててくださいね」
【路上】
P「CDとか本入れる棚が見たいんですけど、音無さん他にどこか行きたい所ありますか?」
小鳥「私も本棚見たいんで、一緒の所がいいです」
P「分かりました。と言っても、俺あんまり良い店知らないんで、ホームセンターとかですけど」
小鳥「だったら、私の知ってるインテリアショップ行ってみません?」
P「どの辺ですか?」
小鳥「歩いて10分位の所です。お洒落で品揃えも良いですよ。お値段高めですけど」
P「いいですね。買うならしっかりしたのと思ってたんで」
小鳥「それじゃ、行きましょう」
【インテリアショップ 1F】
P「結構広いな」
小鳥「とりあえず本棚先に見ましょうか」
P「音無さん、家具はここから買ったんですか?」
小鳥「いえ、今使ってるのはもっと安いやつですね。家具新調するならここかな〜って、前から調べてたんです」
P「なるほど。あ、本棚はこの辺ですね」
小鳥「今使ってる本棚、本の重みで板が曲がっちゃってるんですよね」
P「それ、俺のもです。なんていうか、みっともないんですよね。ああなっちゃうと」
小鳥「そうそう。すごく貧相に見えちゃうというか。まぁ安いからしょうがないんですけど」
P「これいいな。大きいサイズの本から文庫本まで入りそう」
小鳥「棚板も厚くてしっかりしてますね」
P「あ、でもちょっとでかいかな……」
小鳥「そうですか? 私の場合、これ位ないと収まりそうにないですけど」
P「そんなに本あるんですか?」
小鳥「普段読まない本は段ボールに入れてクローゼットの中に入れちゃってますけど、今の本棚満杯です」
P「なかなかの読書家ですね」
小鳥「最近765プロ関係の本やCDで急激に埋まっちゃいまして」
P「なるほど、事情は同じですか」
小鳥「そうなんです。これならギリギリ入りそうだし」
P「良いお値段ですね、さすがに」
小鳥「えぇ。でも、作りもしっかりしてるし、デザインも私の好みだな、これ」
P「デザインは俺も凄い好きなんですよね。もう少し小さいのがあればよかったんですけど」
小鳥「あら、これ、上と下別ですね」
P「あ、本当だ。上だけとか下だけもありますね。下だけがいいかな」
小鳥「上下合わせるとお値段が……う〜ん」
P「第一候補に入れておこう。今日は保留で」
小鳥「私も保留かな〜」
P「他の棚は、どっちかというとデザイン重視ですね」
小鳥「そうですね。お部屋全部でデザイン考えて揃えるといいんでしょうけど」
P「そんなにお洒落な部屋じゃないからなぁ」
小鳥「あ、このマガジンラック、事務所に欲しい!」
P「応接間に置いておくと良さそうですよね。面出ししておけるから宣伝にもなりそう」
小鳥「こっちもとってもいいお値段ですけどね」
P「律子に相談……無理かなぁ」
小鳥「弱気になっちゃダメですよ。プロデューサーさんの腕次第なんですから」
P「頑張ってみます」
P「2階も見てみますか?」
小鳥「そうですね、せっかくですし」
【インテリアショップ 2F】
小鳥「2階はベッドとかソファー中心ですね」
P「ベッドか……最近寝ても疲れが取れないんですよね」
小鳥「それ、ベッドじゃなくて単純に働きすぎなだけじゃ……」
P「まぁそれもあるとは思います。でも、今のベッドあんまり寝心地よくなくて」
小鳥「そうですか? 私は特にそうは感じませんでしたけど」
P「硬すぎませんでした?」
小鳥「私、あれくらい硬い方が好きなんですよ」
P「へぇ。次買うならもうちょっと柔らか目の方がいいなと思ってて」
小鳥「柔らかすぎると体によくないって言いますよ?」
P「そうなんですか?」
小鳥「寝返りの時に柔らかすぎるとすっごい疲れるみたいで」
P「なるほど。確かに、ホテルでマットレスが凄い柔らかい所だと、眠りが浅かったりしたな」
小鳥「このマットレス、今使ってるのよりは柔らか目ですよ。プロデューサーさんも寝てみて下さいよ」
P「それじゃせっかくだし俺も失礼して。あ、いいなこれ。硬すぎずやわらか過ぎず」
小鳥「私が今使ってるのよりもいいかも、これ」
P「買っちゃいますか?」
小鳥「思い切っちゃいます?」
P「その前に値段を……げっ」
小鳥「一、十、百、千、万……22万……」
P「ダブルだからだけど、シングルでも18万か……」
店員「お客様、マットレスをお探しですか?」
P「あ、いえ、良いなと思ったんですけど、ちょっと手が出ない値段でした」
店員「それでしたら、こちらのメーカーのマットレスはいかがですか? 寝心地は若干劣りますが」
P「うん、こっちでも十分寝心地良さそうです」
小鳥「そうですね。硬さもちょうどいいし、私もこっちでもいいかな」
店員「奥様もご納得されたご様子ですので、よろしければお見積りを……」
小鳥「お、奥——!」
P「あ、いえ! 今日は見るだけで! すみません。また今度!」
店員「それは大変失礼いたしました。こちら、私の名刺でございます。ご来店の際はぜひ」
P「わ、分かりました。ありがとうございます」
【路上】
P「結婚情報誌もってダブルベッド見てれば勘違いもされますよね、すみません……」
小鳥「い、いえ! 私こそ、もうちょっと考えて行動すれば……」
P「なんだか嫌な気分にさせてしまって、申し訳ないです」
小鳥「そんな事ないですから、謝らないで下さい。全然嫌な気分じゃなかったですから! むしろそっちこそ……」
P「いや、申し訳ないとは思いましたけど、俺も嫌ではありませんでしたよ」
小鳥「そ、そうですか……」
P「……」
小鳥「……」
P「え、えっと、の、喉乾きません?」
小鳥「そ、そうですね! どこか喫茶店でも入って落ち着きましょうか。あ、あはは……」
【喫茶店】
店員「お待たせいたしました。ホットコーヒーをご注文のお客様」
P「はい。ありがとうございます」
店員「こちら、ロイヤルミルクティです。ごゆっくりどうぞ」
P「今日はありがとうございました。良い雑貨屋を教えてもらいました」
小鳥「いえ、こっちこそ、せっかくの休日にくっついて来ちゃって」
P「久しぶりに誰かと休日過ごして、楽しかったですよ」
小鳥「私も。最近はお休みでも洗濯とか掃除して、撮りためたTV番組見て終わり、って感じでしたから」
P「仕事的に休みが不定期ですから、友達とも休み合いませんしね」
小鳥「えぇ。休みどころかお仕事終わりの時間も合いませんから、終わってからご飯食べにもいけないし」
P「最近じゃ、周りも家庭持ち始めて……あ、すみません」
小鳥「いえ、気を使われるとますます凹みますし……。でも、私の周りもそうですよ」
P「仕事で忙しくしてると全然気にならないんですけどね」
小鳥「仕事に逃げてる、とも言いますね。私もですけど」
P「ま、事務所に大きい子供達がいますからね」
小鳥「そうですね。子供って言っても違和感ない年齢ですからね……亜美ちゃんとか真美ちゃんとかやよいちゃんとか」
P「すいません。この話題出したの完全に失敗でした」
小鳥「ふふっ、半分冗談です」
P「半分本気で凹んでたんですね」
小鳥「今はお仕事が楽しいって言うのは本当ですから。プライベートでもあの子たちのファンやってる位ですし」
P「そうですね。そうじゃなかったら続けられないと思います、この仕事は」
小鳥「それじゃ、明日からもまた頑張らないといけませんね、お父さん?」
P「そっちこそ、よろしくお願いしますよ、お母さん?」
小鳥「ぷ、プロデューサーさん……それじゃまるで……」
P「あ……ははは、り、律子と社長もいますし、はは、ははは……」
小鳥「そ、そうですよね。4人ともお父さん、お母さんみたいなものですからね、あはは……」
P「本当は、今日ずっと不安だったんですよ」
小鳥「不安?」
P「朝は音無さん顔合わせてくれなかったから、実は怒ってるのかなとか思ってて」
小鳥「あれは……だって、お化粧落とさないまま寝ちゃったから、顔見られたくなかったし……」
P[あ……こういう所がまだまだですよね、俺」
小鳥「いいですよ。プロデューサーさんらしいし」
P「ありがとうございます……。それで、買い物してる時も仕事の話してただけで、つまらなかったんじゃないかって」
小鳥「そんな事ないです。友達と一緒にいるよりむしろ気が楽でよかったですよ」
P「そうですか?」
小鳥「こういうお仕事してると、友達と一緒だと色々気を使っちゃうじゃないですか」
P「あー、確かに」
小鳥「そういう意味でも、一緒にいてとっても楽でしたよ」
P「その言葉、すごい嬉しいです。ありがとうございます」
小鳥「そ、そう改まって言われるとなんだか照れちゃいますね。えへへ」
P「……あの。次の休日、どこかに行きませんか? 朝、家出るときに話したドライブにでも」
小鳥「え? え、えぇ?」
P「あ、でも毎週こういうのも大変ですよね」
小鳥「いえ、大丈夫です! 私でよければ、よろこんで」
P「ありがとうございます。よかった……。これで今週も頑張れそうです」
小鳥「私も。さ、そうと決まれば、明日に備えないと!」
P「そうか。音無さん、昨日からずっと家に帰ってないんですね」
小鳥「はい。色々やることもあるので、今日はこの辺で」
P「そうですね。それじゃ出ましょうか」
小鳥「あ、また伝票持って!」
P「ここは出させて下さい。ね?」
小鳥「う〜、分かりました。次はこうはいきませんからね」
P「そんな、捨て台詞吐かなくても」
【路上】
P「それにしても、珍しいですね」
小鳥「何がですか?」
P「昨日は結構なペースで飲んでたなと思いまして」
小鳥「あー……昨日は、二人だけだったじゃないですか」
P「そうですね。いつものメンバーみんな予定アリでしたから」
小鳥「律子さんがいれば、飲みすぎてると注意してくれるじゃないですか」
P「一人だけ飲めないから、暴走を止める役と化してますからね」
小鳥「あずささんだけだと、プロデューサーさんがターゲットになるし」
P「確かにそうですけど、それがセーブする理由ですか?」
小鳥「二人とも潰れちゃったら、っていう危機感から自然と自重しちゃって」
P「なるほど……」
小鳥「社長とだと、ハメ外して飲むって感じにはならないじゃないですか」
P「真面目な話になることが多いですからね」
小鳥「で、プロデューサーさんと2人だけだと、何とかしてくれるだろうという甘えが……」
P「俺も一緒です。相手が音無さんだからって調子のって飲みすぎましたし」
小鳥「私、だから?」
P「元々、そんなにしっかりしてる人間じゃないですから、素が出すぎると昨日のように……」
小鳥「そっか。あれが素だったんだ。ふぅ〜ん?」
P「え? ちょっと待った、俺何か変な事したんですか?」
小鳥「いーえ、別に? でも、ふふっ」
P「何か知ってる顔ですね、それは」
小鳥「教えてあげません。でも、こういうのもたまにはいいですよね」
P「えぇ。朝を無事に迎えられれば、ですけどね」
小鳥「……外で飲むときはもうちょっと抑え目でいきましょうね」
P「ですね」
小鳥「それじゃ、私はここで」
P「今日はありがとうございました。」
小鳥「こちらこそ、ありがとうございました。それで、その、プロデューサーさん」
P「はい」
小鳥「ドライブ、誘ってくれてありがとうございます。とっても、嬉しいです」
P「俺もです。断られなくてよかった」
小鳥「楽しみにしてますから」
P「えぇ。気合入れて準備しますよ」
小鳥「お仕事に支障がでない程度にしておいてくださいね?」
P「出ちゃうかもしれませんね、気合入りすぎて」
小鳥「こらっ。ダメですよ、プロデューサーさん」
P「ははは、冗談です。ちゃんと休めるように頑張って仕事しますから」
小鳥「私も。また明日から頑張りましょうね」
P「えぇ。お疲れ様でした。また明日、事務所で!」
終わり
以上で終了です
途中ちょっと変わった書き方したので、
環境によっては読みにくいかもしれないです、ごめんなさい
春香「ある日の残業風景」
あずさ「ある日のたるき亭の風景」
千早「ある日の始業前風景」
この3つと同じシリーズとして書いています
良かったら他の3つも読んでみて下さい
それぞれ知らなくても問題ないようにはしています
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