比企谷「相変わらず語弊が少ないな」
雪ノ下「ごへい?比企谷くん、難しい言葉を使って話を変える気ね」
比企谷「だいたい馬鹿馬鹿って言ってるが成績が学年最下位のお前のほうが馬鹿なんじゃないのか?」
雪ノ下「………」
由比ヶ浜「ちょっとヒッキー、ゆきのんのこと虐めないでよ!」
比企谷「いじめてなんかねえよ。ただ言い返してるだけじゃねえか」
雪ノ下「あっ」
由比ヶ浜「どうかしたの?ゆきのん」
雪ノ下「バカって言ったほうがバカなのよ。だからバカは比企谷くんよ」
比企谷「黙って頭おさえてたと思ったらそんなこと考えてたのかよ………」
比企谷(雪ノ下雪乃はご覧の通り馬鹿である。どうやってこの学校に入学したのかが不思議なくらいだ。恐らくは裏口からだとは思うが)
由比ヶ浜「ほらゆきのん、ヒッキーなんて構ってないでおかし食べようよ」
雪ノ下「由比ヶ浜さん、学校にお菓子を持ってきたらいけないのよ」
由比ヶ浜「じゃあ食べない?」
雪ノ下「食べるわ」
比企谷(由比ヶ浜はそんな雪ノ下の扱いが上手い。保育士に向いているのかもしれない)
雪ノ下「………」ポリポリポリ
比企谷(雪ノ下はお菓子を食っているときと絵本を読んでいるときは静かになる。まるで子供だ)
比企谷「黙っていたら頭良さそうなのにな」
雪ノ下「ムシャムシャムシャ……ゴックン。私はバカじゃないわ。天才よ」
由比ヶ浜「だよねー。ゆきのん頭良いもんねー」ナデナデ
雪ノ下「そうよ」フフンッ
比企谷(口にものを入れたまま喋ったりしないあたり、そこいらの馬鹿よりはしっかりとした教育をうけてはいるんだろう)
比企谷「ああ、悪かったよ。雪ノ下は天才だ。馬鹿じゃない」
雪ノ下「わかればいいのよ」
雪ノ下「犬は大丈夫なのかしら?」
由比ヶ浜「ふぇ?」
比企谷(雪ノ下は会話の前後と関係の無い発言を急にする)
雪ノ下「ずっと前に家の車に乗ってたら犬をひいたらしいの」
由比ヶ浜「ええっ!そうなの?ワンちゃんは大丈夫だった?」
雪ノ下「お父さんが言うには大丈夫だったらしいわ」
由比ヶ浜「そうだったんだ。よかったね」
雪ノ下「でも私は犬に謝ってないの。お父さんに犬に謝りたいって言ったのに合わせてくれないの」
比企谷「ふーん、それって犬が死んでたんじゃないの?だから親父さんは」
由比ヶ浜「ヒッキー!?」
雪ノ下「………」プルプルプル
雪ノ下「お父さんが嘘を言うわけないでしょ!」
比企谷「ああ……そうだな。俺が悪かったよ」
雪ノ下「あやまりなさい!」
比企谷「ごめんなさい」
雪ノ下「ハァ…ハァ……謝ったから許してあげるわ」
由比ヶ浜「ヒッキー……あんまり変なこと言っちゃだめだよ」
比企谷「ああ……今のは俺が軽率だったよ」
雪ノ下「けいそつ?また難しいこと言って……」
比企谷「しかし気になるな……」
由比ヶ浜「何が?」
比企谷「本当にひいてしまったのは犬だったのかね?」
由比ヶ浜「どういうこと?」
比企谷「もしかしたら人身事故だったんじゃねえか?」
由比ヶ浜「えっ?」
比企谷「俺が被害者だったからよくわからるんだが、ああいうのって下手に加害者が謝罪するもんじゃないらしいな」
由比ヶ浜「そうなの?菓子おりもっていって誠意をみせるとかじゃない?」
比企谷「まぁ、そうやって謝罪する人もいるし、それによって請求額減らしたりする奴もいるから一概にそうとは言わんが………」
比企谷「雪ノ下の家みたいなところなら弁護士なり保険屋なりに全部まかせるんじゃないかな」
由比ヶ浜「だからってさ、人身事故って決めつけるのは」
雪ノ下「由比ヶ浜さん比企谷くん」
比企谷「ん?」
由比ヶ浜「どーしたの?ゆきのん」
雪ノ下「難しい話をして私を仲間外れにしないでくれるかしら」
由比ヶ浜「あー、ごめんゆきのん」ギュッ
雪ノ下「苦しいわ由比ヶ浜さん」
比企谷「あー、あれだ。雪ノ下はその犬にたいしてどう思ってるんだ」
雪ノ下「痛い思いをさせたのだから、ごめんなさいって言ってナデナデしたいと思っているわ」
比企谷「そうか、雪ノ下がそう思ってるなら、その犬だって恨んでないだろ(多分な)」
由比ヶ浜「そーだよ、ゆきのん」
雪ノ下「……そうかしら?私ごめんなさいしてないのだけれど」
由比ヶ浜「そうだ!ゆきのん犬好き?」
雪ノ下「嫌いよ」
由比ヶ浜「えっ?」
雪ノ下「犬は噛むから嫌いなのよ」
由比ヶ浜「じゃあ噛まなかったらどう?うちのサブレは人懐っこいよ」
雪ノ下「犬が噛まない……わからないわ」
由比ヶ浜「今度うちのサブレ連れてきてあげる」
比企谷「おい由比ヶ浜、人の苦手なものを無理に押し付けるもんじゃないぞ」
由比ヶ浜「えー……サブレかわいいのに」
比企谷(さっきのナデナデするはなんだったんだ)
比企谷(馬鹿だ馬鹿だ言ってはいるが、この雪ノ下雪乃という奴は中々に凄い奴でもある)
比企谷「しかし、今思うとあの学園祭……よく成功したな」
由比ヶ浜「ゆきのんが頑張ったおかげだよね?」
雪ノ下「そうね。私のおかげね」
比企谷(なんやかんやあり、何故か雪ノ下が実質的な実行委員会の長になり……もちろん上手くいくわけもなく五分で崩壊し)
由比ヶ浜「なんか皆一人一人が責任感に溢れてた感じだったよね」
比企谷(頭から煙をふいてぶっ倒れた雪ノ下を見て皆責任を感じたのだろう)
雪ノ下「私一人でも大丈夫だったのだけれど」
比企谷(あの相模にすら責任を持った行動をさせた辺りは素直に感心してしまうくらいだ)
雪ノ下「そういえば、姉さんは元気にしてるのかしら」
比企谷(雪ノ下雪乃には姉がいる、平塚先生曰く、雪ノ下雪乃を上回る馬鹿)
由比ヶ浜「あはは……どうだろうねぇ?」
比企谷(確かに馬鹿ではあるが社交性が高く、雪ノ下同様美人な容姿もあって在学中も人気者だったらしい。生徒会長を勤めていたらしいが、だいたいの仕事は回りの人がやってくれていたとか)
由比ヶ浜「あの後ろにいる恐いお兄さんがいるから大丈夫じゃないかな?」
比企谷(頭が弱く、活発的な美人の陽乃さん……そんな彼女を一人で外に出すのを心配したのか、彼女の後ろには常に黒いスーツの大男……ようするにボディーガードがついている)
雪ノ下「そういえば……」
比企谷(何回目のそういえば、だろうか、奉仕部の活動時間はだいたいが雪ノ下の発言をおっかけていくうちに終わる)
雪ノ下「由比ヶ浜さん、比企谷くんのことを好きなのよね?」
由比ヶ浜「ふぇっ!?」
比企谷「………」
由比ヶ浜「ち、ちち違うよ!」
雪ノ下「じゃあ嫌いなのかしら」
比企谷(こいつには好感度を表す言葉が好きか嫌いしかないのか……)
由比ヶ浜「そうでもないけど……」
雪ノ下「じゃあ、やっぱり好きなのね」
由比ヶ浜「ヒッキー……」ウルッ
比企谷「いや、俺にふられてもな……」
雪ノ下「好きなの?嫌いなの?」
由比ヶ浜「嫌いなわけないから……好きなのかな?」
比企谷(まぁわかってる。友達としての好きなんだろう)
雪ノ下「比企谷くんはどうなのかしら?」
比企谷「うぉっ!?」
由比ヶ浜「………」
比企谷(由比ヶ浜の奴めっちゃこっち見てる……)
比企谷「えーっと………」
雪ノ下「はやくこたえなさい」
由比ヶ浜「……ヒッキー」
比企谷(こう言うときに限って会話の超光速航法をしやがらない……覚悟を決めるしかないな)
比企谷「俺は由比ヶ浜が嫌いだよ」
由比ヶ浜「………えっ?」
ガタッ
雪ノ下「比企谷くん」
ツカツカツカツカ ペシンッ
比企谷「痛っ」
雪ノ下「叩くわよ」
比企谷(もう叩いてるだろ……)
雪ノ下「由比ヶ浜さんが泣いてるわ」
由比ヶ浜「ゆ、ゆきのん!」
比企谷(いや、泣いてないだろ)
雪ノ下「由比ヶ浜さんは比企谷くんのことが大好きなのに、嫌いなんて言ったら泣いちゃうに決まってるわ」
由比ヶ浜「そ、そんなことないよ……ヒッキーに嫌いって言われても……嫌いって……ヒック…別に…グスッ」ポロポロ
比企谷「…………」
雪ノ下「あやまりなさい」
比企谷「………」
雪ノ下「あやまりなさい」
比企谷「ごめん……由比ヶ浜」
由比ヶ浜「い、いいよ…エッグ…ヒッキーが私のこと嫌いでも……」
雪ノ下「好きですって言いなさい」
比企谷「はぁ?」
雪ノ下「僕は由比ヶ浜さんが好きですって言いなさい」
比企谷「いや、それ」
ペチンッ
雪ノ下「怒るわよ!」
比企谷(いや、だからもう怒ってるだろ……)
比企谷「いや、だから」
ペチンッ
比企谷「無理矢理言わせたって」
ペチンッ
比企谷「そう言うのじゃ」
ペチンッ
比企谷「痛いっつうの」
ペチンッ
比企谷「やめろぉおおおおおお!」
ビクッ
雪ノ下「おっ、大きな声出したって……わ、私は泣かないわよ……」ジワッ
比企谷(すげぇ泣きそうなんだが……)
比企谷「とりあえず俺の話を聞け」
雪ノ下「わかったわ」
由比ヶ浜「…………」
比企谷「人間関係ってのはな、好き嫌いだけじゃねえんだよ」
雪ノ下「………」
比企谷「例えば、中学時代の俺のクラスメイトからの俺への評価。いてもいなくても同じ……ようするに空気だ」
雪ノ下「………」
比企谷「これは、もちろん好きというわけじゃない、別に嫌いってわけでもない」
比企谷「俺は由比ヶ浜が嫌いってわけじゃない」
由比ヶ浜「ヒッキー……」
雪ノ下「そう……」
比企谷「わかってくれたな」
雪ノ下「じゃあやっぱり好きなんじゃないかしら」
比企谷「……俺の話聞いてたか?」
雪ノ下「聞けと言われたから聞いていたわ……でも、難しいこと言うのだもの……」
比企谷「あー………わかったよ、好きだよ。これでいいのか?」
雪ノ下「良かったわね。由比ヶ浜さん」
比企谷「いや、無理矢理言わされたようなもんだろ……」
雪ノ下「そうなのね。比企谷くんと由比ヶ浜さんは好き同士なのね」
由比ヶ浜「えへへっ、なんだか照れ臭いね」
比企谷「ああ……」
雪ノ下「じゃあチューしなさい」
比企谷「は?」
由比ヶ浜「えっ?」
雪ノ下「好き同士なんだからチューするのは普通でしょ?昔、お父さんとお母さんもチューしてたって聞いたわ」
比企谷(………やめたい、この部活)
終わり
バカノ下さんはヒキタニ君のことどう思ってるの?
>>99
由比ヶ浜「そ、それじゃあゆきのんはヒッキーのことどう思ってるのかな?
」
比企谷(ナイスだ由比ヶ浜)
雪ノ下「そうねぇ、私は比企谷くんのことが……」
由比ヶ浜「あっ……ちょっと待って!やっぱり」
雪ノ下「嫌いよ」
比企谷(まぁ……そうだろうな)
由比ヶ浜「えっ?でもヒッキーはゆきのんのこといっぱい助けてくれたし」
比企谷(お前はどうしたいんだよ!)
雪ノ下「嫌いよ。比企谷くんはバカのくせに私を馬鹿にするのだもの」
比企谷「へいへい、悪かったよ」
雪ノ下「比企谷くんはバカでマヌケで嘘つきなのよ」フフンッ
終わり
比企谷「じゃあ由比ヶ浜のことはどうなんだ?」
由比ヶ浜「わたし?」
雪ノ下「由比ヶ浜さんは好きよ。優しいから」
由比ヶ浜「わーん、ゆきのんありがとー!私もゆきのんのこと大好きだよー」ギュー
雪ノ下「苦しいわ、由比ヶ浜さん」
比企谷「へぇ……じゃあキスしたらいいんじゃないか?好き同士なんだしな」
由比ヶ浜「ええっ!」
雪ノ下「……ふふふふっ……比企谷くんはバカね」
比企谷「あ?」
雪ノ下「女同士じゃ結婚できないのよ。だからチューはしないわ」
比企谷「ぐっ……」
由比ヶ浜「ああ、なるほど!」
雪ノ下「比企谷くんは本当にバカね」
比企谷(くそっ、滅茶苦茶腹が立つ……)
ガラッ
雪ノ下陽乃「ひゃっはろーゆきのちゃん」
由比ヶ浜「陽乃さん!?どうしてここに!」
陽乃「雪乃ちゃんにあいたかったのー!」ギュー
雪ノ下「苦しいわ、姉さん」
比企谷(入り口のすりガラスにデカイ影が見える……あんなの連れて高校にくるなよ……)
陽乃「雪乃ちゃん好き好きー」ギュー
雪ノ下「私はきらいよ」
陽乃「………がーん」
比企谷(がーんとか口で言ってるよこの人)
雪ノ下「姉さんは私のプリン食べたから嫌いよ」
陽乃「だ、だって雪乃ちゃんが食べないから……」
雪ノ下「お風呂の後に食べるために冷やしておいたのよ。それを姉さんは食べたの。だから嫌いよ」
陽乃「雪乃ちゃん……嫌いなんて言わないで……」
由比ヶ浜「そうだよゆきのん。世界でたった一人のお姉ちゃんなんだから」
雪ノ下「由比ヶ浜さん………でも、プリンは戻ってこないのよ」
陽乃「じゃ、じゃあね!雪乃ちゃんの大好きなお店の特製プリン買ってあげるよ!だからね……おねがい」
雪ノ下「でも………あ、あのプリンは、か、帰ってこないのだけれど特製」プルプルプル
比企谷(揺れてるなーこれ)
陽乃「3つ買ってあげる」
雪ノ下「ゆるすわ」
比企谷(こんな娘が二人いるとか……親父さんも大変だな……)
比企谷「雪ノ下さん、大学のほうは良いんですか?」
雪ノ下「私は高校生なのだけれど」
比企谷「お前じゃねえよ!あー、陽乃さん?」
陽乃「今日はもう行かなくていいって言ってたよ」
比企谷(誰がだよ……っていうかよく大学通えてるなこの人)
陽乃「あっ、でもお父さんが早く帰ってきなさいって言ってたから帰らないと」
比企谷「そうしてください。外の人がさっきからソワソワしてましたから」
陽乃「じゃあね!雪乃ちゃん結衣ちゃん」
由比ヶ浜「はい!また来て下さいね」
陽乃「あと、比企谷くん」
比企谷「あー、はい」
ボソッ
陽乃「……雪乃ちゃんのこと見捨てたら許さないよ」
比企谷「………」
比企谷「………」
由比ヶ浜「相変わらず元気な人だねー」
比企谷「………」
由比ヶ浜「どしたの?」
比企谷「あの人こえーわ……」
終わり
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語弊じゃなくて語彙じゃね?
続編キボンヌ
一文目の語弊と語彙の言い間違いで、どっちも馬鹿と思ったら違ってた
陽のんのバカは仮面かよ