娘「私は…お兄様とお父様の玩具です」【観覧注意】 (35)

お父様とお兄様は実の親と兄弟ではなかった。お母さんの再婚相手がお父様で、その子供が私の3歳年上のお兄様だった。
その事を知ったのは小学二年生の頃。
まだ優しかったお兄様が私に話してくれた。
私は理解出来なかったけど、あの頃は楽しかった。とても幸せだった。
でも、私が小学五年生の頃お母さんが他界した。

それから…私の地獄のような日々が始まったのでした。

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私の名前は瑠奈。(るな)高校一年生。
兄は雅人。(まさと)大学一年生。
お父様の名前は…知らない。大手企業の社長。まだ若いはずだけど年齢なんて知らない。お父様に関しては何も知らなかった。

不意に私の頭に衝撃が走った。

瑠奈「う…っ!?」

雅人「いつまで寝てやがる。早く起きろ」

兄に頭を殴られたみたいでした。
頭がズキズキと痛みます。

瑠奈「ご…ごめんなさい」

私は慌てて起き上がります。

この家には普通では考えられない掟があるのです。
数多くある掟の中の1つは父と兄を呼ぶときは必ず「様」を付けろ。
起きる時間は二人よりも早く起きろ。

…それ以上は思い出せない。
兄と父は私の知らない所で勝手に掟を作っては私を苦しめます。
時には暴力を振るわれたり、性的な行為をしてきたり(まだ行為は触る程度ですが)…普通の家庭の日常ではあり得ない事をしてくるのです。

そんな私にも最近彼氏が出来ました。
1つ年上の高校二年生の先輩です。
先輩は優しくてカッコ良くて…私には勿体ない位完璧な人でした。

私は彼氏の廉(れん)先輩を思いながら制服に着替えて準備していました。
そして、リビングに行きます。

父は若いながらも社長であることからか、妻がいるのに(私のお母さんで他界してしまっているが)女の人をとっかえひっかえしています。
最悪で最低な父ですが、昔は大好きな父でした。
兄も、父に似て顔立ちは整っており、友人にもイケメンだと言われていますが…私にとってはその綺麗な顔でさえ恐ろしく見えます。
正確に言えば私の前だけでは…です。

リビングに着きました。
…私が一番嫌いな場所です。
そこにはいつもと変わらない恐ろしい兄と父が居るからです。
私はとりあえず挨拶をします。

瑠奈「お…おはようございます」

雅人「おはよう」

父「…朝食の準備が出来ていない…今夜も仕置きだな」

瑠奈「すみません…っ直ぐに準備します…!」

居心地の悪い家。
私は素早く目玉焼きとご飯を用意すると朝食も食べずに出ていきます。

そう、廉先輩が待っているからです。

早く…早くあの人に会いたい、そう思いながら走ります。
前方に先輩が見えました。
その瞬間、私は解放感で満ち溢れました。

瑠奈「先輩!おはようございます」

廉「瑠奈…おはよ」

共に名前を呼び合う…それだけでとても嬉しいのです。

廉「…また先輩って呼んだ。二人だけの時は廉って呼んでって言ったじゃん」

瑠奈「あ…っ///」

廉「ほら、早く」

瑠奈「廉…っ///」

廉「合格」

先輩は満面の笑みを浮かべていた。
私は幸せすぎてまだ気付かなかったんだ。
このあとに起こる最悪な出来事に…。

それから二人でゆっくりと歩いて学校に着いて授業をして…昼休みは先輩と食事をしてから…ついに放課後になりました。

廉「瑠奈、今日は一緒に帰らないか?」

瑠奈「え?」

廉「ほら、もう外真っ暗だし」

気付けば6時だった。

瑠奈「でも…っ」

廉「瑠奈に何かあったら困るんだよ」

瑠奈「…」

廉「ダメか?」

瑠奈「…お願いします」

先輩にそんな心配そうな目で見られると断れませんでした。
でも、私はこの選択をしたことを後で本当に後悔するのでした。

先輩とは楽しく会話をしながら歩いていましたが、やがて家に着きました。

瑠奈「先輩…じゃなくて、廉…?家、ここです」

廉「え?瑠奈って豪邸に住んでるんだな」

豪邸と言われてびっくりしました。
私は何気無く住んでいる家ですが、先輩の話によると他の人の家の何倍も大きいようです。
先輩は、「社長さんだからこんなデカイ家に住めるんだな」と苦笑いしていました。

廉「あれ?明かり付いていないけど…誰も居ないのか?」

瑠奈「そうみたいですね…!」

私は内心、凄く安心していました。

私は早く先輩を帰らせて何事もなかったようにしようとしたその時…。

雅人「瑠奈?誰だよそいつ」

目の前が真っ暗になりました。
兄が帰って来ていたのです。

廉「初めまして。…瑠奈さんとお付き合いさせてもらっている廉です」

先輩は頭を下げました。
兄はじっと…何かを考えるような眼差しを向けます。
暗闇でも私には分かります。
そう、兄の鋭いあの目は何か最悪な事が起こる予兆だからです。

雅人「瑠奈の彼氏?初めまして、俺は瑠奈の兄の雅人です」

え?
兄は予想外の言葉を発しました。

廉「良いお兄さんだな」

待って…私には理解できません…。
一体、兄は何を考えているのか…。

雅人「とりあえず、上がって行きなよ。もう暗いしさ」

廉「え?」

雅人「遠慮するなよ。なぁ瑠奈?」

瑠奈「え…っと…」

いまだに言葉が出てきません。
頷くだけです。
こんな事は初めてです。

兄が…分かりません。

廉「じゃあ…お言葉に甘えて…」

雅人「気にするなって」

あり得ない。
兄と先輩がこうして会話しているなんて。
夢にまで見た幸せな光景。
幸せすぎる光景。

廉「瑠奈の家ってやっぱり中も広いな。そして可愛い部屋」

瑠奈「そ…そうかな?///」

私と先輩は二階にある私の部屋に行きました。
楽しく話している最中、不意にノックの音が聞こえました。

瑠奈「はい?」

兄だろうと扉を開けました。

父「瑠奈」

瑠奈「お…とう…さま?」

ダメだ…。
もう何もかも終わった…。
父は私にとって絶対的存在。
別れろと言われれば別れないといけない。
そんな事を頭の中で考えていた。

父「彼氏か?さっき雅人から聞いたよ。おめでとう。」

廉「あ…、瑠奈さんと交際させてもらっている廉です」

父「かしこまらなくて良いよ、廉くん。今夜は家に泊まっていきなさい。もう暗いしね。」

廉「…え?でも…」

父「瑠奈、良いよな?」

瑠奈「…は…い…」

廉「ありがとうございます!」

父「部屋は一緒でも良いぞ?」

廉「え…っ」

父「冗談だ。隣に用意しておく」

そう言って父は退室した。

廉「優しそうなお父さんとお兄さんだな」

あの父と兄が…私の彼氏と話していて…それで、お泊まりも許可する?
…いくら明日が休みだからって、泊まっていけなんて…。
あり得ないよ、こんなの。

廉「瑠奈?大丈夫か?」

瑠奈「…っ!だ、大丈夫です」

とりあえず、今は何も考え無いようにしよい。
二度と無いチャンスかもしれない。

それから私達は普通の家族…家庭のように過ごした。
いつもなら暴力を振るわれて…性的な行為もしてくる父と兄があり得ない位私に優しいのです。
晩ごはんも笑いながら食べた。

ずっとこんな日々を夢見ていた。
温かい家庭。温かい料理。
そして、優しい家族。

私は幸せすぎて父と兄の悪巧みにも気付かずに…ただただ笑顔で過ごしていた。

一夜限りで終わってしまう夢なのに…。

瑠奈「…ん…?」

私は何かの音を聞いて起き上がった。
重たい瞼を開けるとまだ12時だった。

瑠奈「もう一回寝よう」

私はまた布団に潜った…その時…。

瑠奈「…っ!?」

何者かに口を塞がれて、私は強い眠気に襲われました。
多分、睡眠薬を飲まされたのでしょう。
私は深い眠りに堕ちました。いっその事、目を覚ましたくはなかった。
そう…目覚めたら地獄が待っているから。

???「さっさと起きやがれ!」

ドゴッ っと鈍い音と共に私は目を開けた。

瑠奈「…ん?」

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

瑠奈「…!?」

次の瞬間、私は何だか肌寒く感じたので不意に起き上がろうとした。
でも、手足が拘束されていて起き上がれなかった。
服も着ていない。

瑠奈「え…?」

雅人「やっと目覚めたぜ、こいつ」

父「ふっ…バカだなぁ、お前も」

瑠奈「お…とうさま?お兄様?」

恐怖のあまり、体がガタガタと震えます。

そして、最悪な光景を目にします。

瑠奈「う…そ…先輩…?」

そう、そこには廉先輩…私の彼氏の姿もありました。

廉「ふっ……あっははははっ!」

急に先輩は高笑いをしました。

瑠奈「先輩…!?」

廉「バッカだよなぁ、瑠奈。だいたいモテる俺がどうしてお前と付き合ったか知ってるか?」

瑠奈「え?」

廉「全てはこの為さ!」

瑠奈「なに…どういうこと…?」

廉「つまり、最初から仕組まれていたって事」

瑠奈「いや…先輩?冗談でしょ?」

廉「冗談に見えるか?」

瑠奈「…っ…」

私は恐怖のあまり体を震わせました。
寒くて、怖くて…たまらなかったのです。
でも、言われてみれば最初から全部おかしかったのかもしれない。
あの父と兄が優しい訳がない。

父「さぁて…どこから食い尽くそうかな?」

雅人「最初は恐怖を味わわせるのが一番だろ」

廉「俺はどうしたら良いですか?」

父「そうだなぁ…瑠奈も廉だけは信頼していたから、裏切られる恐怖から味わわせるか」

嫌だ…。
怖い。
でも、先輩は大好きだった。
大好きで、大好きで…先輩になら全てを捧げる覚悟は出来ていた。

ーーーーーーーー

イヤ…。
この人達狂ってる。
泣いても叫んでも、助けてくれない。
それでも、最善は尽くす。

瑠奈「ねぇ、皆…正気に戻って」

父「何を言っているんだ?瑠奈。元々皆正気だよ」

瑠奈「先輩!」

廉先輩…大好きな先輩…。

廉「瑠奈…」

先輩が何かを言おうとした時、兄が叫んだ。

雅人「廉!瑠奈の服を引き裂け!」

瑠奈「や…やめ…んっ!?」

私は兄に口を塞がれた。

父「いよいよだな」

父は残酷に嘲笑う。
最低…。

廉「で…出来るわけ…ない…」

先輩?

雅人「命令が聞けないなら…こうする」

私の目の前にはナイフ。
完全な脅し。

私は咄嗟に兄の手を噛んだ。

雅人「…っ!?」

そのうちに叫ぶ。

瑠奈「先輩…やめて!助けてっ!お願…いっ!…」

頭に強い衝撃。
瞼が重くなる。
最後に見た先輩の顏は…。

青ざめていた。

あぁ…私は、このまま死ぬのかな?
頭からは大量の血が溢れ出してる。
意識が遠のく。
兄の片手には金属バット。

それしか見えなかった。

……何時間経ったのだろう…。
私は目覚めた。

瑠奈「先輩?…お父様…お兄様?」

手錠が外れている。
私はゆっくりと起き上がった。
そして、床がぬるぬるしていることに気付いた。
暗くて良く分からないけど…私の脳裏に浮かんだのは…「血」だった。
私は、頭を触ってみた。こんなに大量の血を流していたのに、良く生きていられたなぁ…。

…あれ?何か生臭い…。

瑠奈「電気…」

私は衝動的に電気を付けた。

目の前には……床一面が血の海。
倒れているのは、身体中血まみれの父と…先輩…?

瑠奈「き…きゃあぁぁっ!?」

叫ぶことしか出来なかった。

瑠奈「先輩?お父様?…イヤぁっ!」

私は警察に行こうと思い、上着を着た。
急いで玄関に向かい、扉に手をかけた。

???「何しているんだ?」

瑠奈「!?」

私は地面に投げ飛ばされた。

雅人「ダメじゃないか。瑠奈」

瑠奈「お…兄様?何で…」

雅人「警察に行ったら俺は捕まるよな?…そりゃあそうだよな。人を2人も殺したんだ。…あぁ、瑠奈は見ていなかったんだな。あの2人はお前を人質にしたら…抵抗しなくなったよ。あっはははは!バカだよなぁ。苦しみながらお前の名前を叫んで…ははははは!」

瑠奈「…お兄様?」

雅人「大丈夫だよ、瑠奈。お前は俺の…俺だけの玩具だから。たくさん可愛がってやるよ。あははははは!」

この人はあのお兄様?
狂ってる。
一番狂っていたのは…兄だった。

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