京子(22)「はあ、契約取らないと……」 (91)

京子「保険会社に就職したのは良いけど、ノルマ大変だよなあ」

京子「みんな忙しそうで、話聞いてくれないパターンが多いし」

京子「もう時間もないし、どうしよっか」

京子「んー……」

京子「……そうだ!」ピンッ

トゥルルー


綾乃「はい、杉浦ですけど」

京子『お、綾乃?』

綾乃「え?」

京子『ひっさしぶりー!京子だよん!』

綾乃「京子って……歳納京子?」

京子『そそ、中学卒業以来だよね~」

綾乃「そ、そうね、おひさしぶり」

京子『あのさ~、綾乃って今、暇?』

綾乃「……」

京子『おーい、綾乃~?』


千歳「綾乃ちゃん?とうしたん?」

綾乃「あ、な、なんでもないわ、千歳」

綾乃「あの、歳納京子?」

京子『うん?どったの?何か忙しかった?』

綾乃「え、ええ、ちょっと忙しいって言うか、何と言うか……」


千歳「綾乃ちゃんは、ウエディングドレスの方がいいんよね?」

綾乃「そ、そうね!そっちの方が好みね!」



京子『あー、ごめん、何か用事があるみたいだね、じゃあ……」

綾乃「あ、ま、待って!ちょっとだけ待って!」

京子『え、あ、うん』

綾乃「ごめんなさい、千歳、ちょっと家の用事が出来たみたいだから、今日はもう帰るわね?」

千歳「え、大丈夫なん?うちも一緒に行く?」

綾乃「ええ、平気よ!うちの家の事で千歳に迷惑かけられないしね!」

千歳「もう、そんな他人行儀な事、言わんでええんよ?」

綾乃「そ、そうね」

千歳「もううちの家族でもあるんやし」

綾乃「……」

千歳「綾乃ちゃん?」

綾乃「あ、ごめんなさいっ、ちょっと急ぐから、じゃあっ!」タッ

千歳「もう、変な綾乃ちゃんやなあ」クスクス

綾乃「と、歳納京子は……と」

京子「お、綾乃~、こっちこっち~!」ブンブン

綾乃(あ、居た)

綾乃(スーツなんか着てる……)

京子「えへへ、おひさしぶり!」

綾乃「……ひさしぶりね、歳納京子」

綾乃(随分長い間、会って無かったけど……)

綾乃(やっぱり、可愛いわ)

綾乃(スーツとか、全然似合ってないけど)

綾乃(何かそれが無理してきてるみたいな感じがして凄く……)

京子「綾乃?何か頼まないの?」

綾乃「あ、そ、そうね、じゃあ紅茶を……」

京子「それにしても、あれだよね、しばらく会わない間に……」サラッ

綾乃(え?歳納京子、私の髪を……)

京子「綺麗になったよね、綾乃は」

綾乃「なっ///」

京子「それに、この香水も、良い匂いだし」

綾乃「な、な、なっ///」プルプル

京子「胸も、ちょっと大きくなったよね?」

綾乃「何言ってんのよーーーっ///」プシュー

京子「あははっ♪」

綾乃「も、もう!ほんとに歳納京子は何時も何時もっ///」プンプン

京子「お、なんか中学生の頃に戻ったみたいなやり取り」

綾乃「あ、貴女が成長してないからでしょっ///」

京子「えへへ、ごめんごめんっ」

綾乃「ま、まったく……」

京子「……」

綾乃「……」

京子「ほんっと、懐かしいよね」

綾乃「……そうね」

京子「綾乃はさ、今何やってるの?」

綾乃「私?私は……その、ブティックの経営とか……」

京子「え?」

綾乃「い、いや、その、ほんとに小さい所なのよ?お金だって半分は家族から借りたものだし……」

綾乃「千歳とかにも、手伝って貰ってるし……」

京子「……あやの、しゃちょうさんなの?」

綾乃「……そう、言ってもいい……のかも?」

京子「ふえー……」

綾乃「も、もう、そんな目で見ないでよっ///」

京子「い、いや、ほんとに凄いと思うよ、綾乃凄い……」

綾乃「べ、べつに……」

京子「それに引き換え、私は駄目だなあ……」ガクー

綾乃「歳納京子は、何をやってるの?」

京子「んー、まあ、会社員的な事を……」

綾乃「会社員?どんな?」

京子「……ま、私の事はもういいじゃん」

綾乃「そ、そう?」

京子「聞いてても、つまんないよ」

綾乃「そんな事ないけど……」

京子「それよりさ!綾乃の話、もっと聞かせてよ!」

綾乃「え、私の話を?」

京子「うん!私、もっと綾乃の事知りたいから!」

綾乃「……!」ドキン

綾乃(と、歳納京子が私のことをもっと知りたいって……)

綾乃(中学卒業からも時々は一緒に遊んでたけど)

綾乃(大学入ってからはお互い忙しくなって疎遠になっちゃって)

綾乃(ああ、これはもう、駄目かなって思ってた……)

綾乃(だから、私の中にある気持ちも心の奥底に沈めてたのに……)

綾乃(なのに、今になって……)


京子「綾乃?ね?いいでしょ?」


綾乃「ううう///」モジモジ

綾乃(こ、こんな子供みたいな態度しかとれなくなっちゃうなんて///)

………

……




京子「そっかあ、色々頑張ってるんだねえ、綾乃っ!」

綾乃「……あれ」

綾乃(い、今私、歳納京子に促されるまま何か凄い色々喋っちゃった気がする)

綾乃(何か、喋ったらちょっと危ないかな―って感じの会社経営の事に着いても喋っちゃった気がする)

京子「綾乃も、色々大変なんだよねえ……」シミジミ

綾乃「そ、そうなのよ、人数は少ないけど、社員も居るし、その子達の生活も守ってあげないと行けないしね」

京子「……」

綾乃「歳納京子?」

京子「……そんな綾乃に、朗報があるよ!」

綾乃「え?」

京子「まずは、このパンフを見てね?」

綾乃「これは……定期保険?」

京子「あのね、今でも十分安い値段で入れるんだけど……団体で入ると、もっと安くなるの」

綾乃「へえ……」

京子「それに、カバー出来る範囲も随分増えてくるしね」

綾乃「具体的にはどうなるの?」

京子「例えば、社用車で事故した場合の補てんとか……こうなったり、これが……」

綾乃「ううーん、けど、私の所は、もう皆、保険に入ってるみたいなのよね」

京子「え……」

綾乃「ほら、今の時代、あんまり会社が信用できないって言う風潮になってるでしょ?」

京子「……」

綾乃「だから、私としても自己責任でそれぞれが保険にはい……」

京子「……」グスッ

綾乃「と、歳納京子!?ど、どうしたの!?」

京子「あ、うん、何でも無いよ……何でも……」ヒック

綾乃「何でも無いわけないじゃない!」

京子「……」

綾乃「何かあったの?話してみて?」

京子「……じ、実は……わたし、保険会社に勤めてるんだけど……」

綾乃「保険会社に?」

京子「そこ、ノルマが凄くきつくて……達成できないと、何時も酷いこと言われるの……」グスッ

綾乃「ひ、酷い事?」

京子「……あまり酷いと、えっちな事とかも……」

綾乃「……!」

綾乃(歳納京子、そんなに苦労してたなんて……)

綾乃(中学生の頃は、何でもそつなくこなす子だったのに……)

綾乃(けど、何となくわかるかも……)

綾乃(だって、歳納京子は、社会に出るには純粋すぎる子だったもの)

綾乃(きっと、歳納京子は今も中学生の頃のまま、純粋なんだわ)


京子「ううっ、ぐすっ」

綾乃「……わ、わかったわ」

京子「え?」

綾乃「私が、保険に入るわ、それでいいのよね?」

京子「あ、あやのぉっ!」パァッ

京子「ありがとうっ!綾乃!綾乃は私の天使だよっ!」ギューッ

綾乃「あっ///」

京子「あやのぉ~♪」ギュッギュー

綾乃(と、歳納京子、柔らかいわ、柔らかい///)

京子「け、けどね……」ピタッ

綾乃「え、ど、どうしたの?」

京子「綾乃一人じゃ……駄目なんだ」

綾乃「え?」

京子「あ、あの、出来れば……会社団体として、入ってくれないかな……」

綾乃「そ、それは……駄目よ、社員の子達はもう……」

京子「あやのっ……」ウルッ

綾乃(と、歳納京子が潤んだ目で私を///)

綾乃「だ、駄目よっ!駄目駄目っ!こればっかりは駄目っ///」

京子「……」

綾乃「うちの会社のポリシーなの、社員の自己判断にゆだねるって言うのは、だ、だから……」

京子「……わたし、昨日も、会社でえっちな事されたんだよ」

綾乃「……え?」

京子「……ほら、ここ、見てみる?」グイッ

綾乃「ちょ、歳納京子っ、こんな場所で、む、胸見えちゃうわよっ///」

京子「あ、そっか、そうだよね」

綾乃「///」

京子「……じゃあ、人の居ない所、行こうっか?」

綾乃「!?」

~女子トイレ~


京子「綾乃、ごめんね、狭いでしょ?」

綾乃「べ、別にいいけど、いいけどっ///」

綾乃(わ、私どうして、どうして歳納京子と同じ個室に、個室にっ///)

京子「あのね、わたし、綾乃には見ておいてもらいたかったの」ヌギヌギ

綾乃「あ、あの、歳納京子、だ、駄目よ、こんな所で///」

京子「いいの、ね、綾乃」

綾乃「だ、だって、私達、まだ再開したばかりだし、その///」

京子「みて?」スポーン

綾乃「だ、駄目よ、駄目駄目、駄目なんだからっ///」チラッ

京子「……」

綾乃「あ……え……?」

京子「……キスマーク、あるでしょ?」

綾乃「む、胸とか、首に……」

京子「うん、これね、会社でされたの」

綾乃「え……」

京子「……えへへ、汚いでしょ?」

綾乃「……!」

京子「綾乃なら、綾乃なら受け入れてくれるかなって……助けてくれるかなって、思ってたけど」

京子「やっぱり、駄目だよね、こんな私じゃ、幾ら綾乃だって……」グスッ

綾乃「と、歳納京子……」

京子「ご、ごめんね、変な物見せて、ごめん、気分悪くなったでしょ?」

綾乃「……」

京子「……もう、いいよ」

綾乃「……」

京子「もう、いいから、契約とかも……」

綾乃「……」

京子「私と、綾乃は、今日は会わなかった……それで、いいよ」

綾乃「……」

京子「……じゃあ、わたし、もう行くね」カタン


ギュ


京子「え……」

綾乃「……」ギュー

京子「あ、綾乃?手、放して?」

綾乃「……」ギュー

京子「そんな抱きしめられたら、外出れないよ……」

綾乃「……」ギュー

京子「……綾乃?」

綾乃「……私が」

京子「え?」

綾乃「……私が、助けてあげるから」

京子「……!」

綾乃「ごめんなさい、ごめんなさい、今まで、気付かなくて……いいえ、それどころか」

綾乃「連絡すらしなくて……ごめんなさい、私がもっと、もっと早く気付いて居れば、歳納京子は……」

京子「綾乃……」

綾乃「こんなに、傷つかずに済んだはずなのに」グスッ

京子「泣いてるの?」

綾乃「けど、もう、もう大丈夫だから、歳納京子、心配しないで、大丈夫よ……」ギュ

京子「あ、あやの……あったかい、あったかいよ……」

~会社~


京子「って事がありまして、何とか大口契約取れそうです!」

社長「へー、じゃあ、今日の京子へのお仕置きは無しか」

経理「京子先輩、頑張ったじゃないですか、ちょっと見直しました」

京子「えへへ///」

事務「京子ちゃん、お茶入ったよ~」

京子「おう!ありがと!」

社長「んー、けど、このブティックバッキンガムって、何か何処かで聞いたネーミングなんだよね」

京子「……」ギク

社長「えーと、経営者は……は?」

京子「……」ドキドキ

社長「……京子、わたし、最初に言ったよね?」

京子「は、はい?」

社長「昔の友達とかに無理言って契約取ってくるのは止めようって」

京子「え、ええー、何のことやら……」

社長「うん、これはやっぱり、お仕置きが必要みたいだね」

京子「ひっ!」

社長「ふふふふ……」

京子「や、やだぁっ><」

~ブティック~

千歳「綾乃ちゃん、展示用のウエディングドレス届いたよ?何処に飾るん?」

綾乃「……」ポー

千歳「綾乃ちゃん?」

綾乃「あ、ごめんなさい、ちょっとボーっとしてたわ」

千歳「……やっぱり、ご家族に何かあったん?」

綾乃「な、なにもないわ、それは大丈夫っ!」

千歳「そうなん?うちらは、お互いの家族も共同経営者扱いなんやし、遠慮したらあかんよ?」

綾乃「え、ええ、大丈夫、うちの家は経済的にも健全よ」

千歳「そっか」

綾乃(どうしよう、あのまま別れちゃったけど、歳納京子、会社で酷い事されてるんじゃないかしら)

綾乃(心配だわ、心配よ)

綾乃(そ、そうだ、歳納京子から貰った名刺が確か……)ゴソゴソ

綾乃「あ、あった、ここに住所が書かれてるわね……」

千歳「綾乃ちゃん、そろそろ定時やけど、今日は残業するん?」

綾乃「い、いえ、今日はもう帰るわ……」

千歳「そっか、うちはもう少し頑張るつもりやし、戸締りはしとくね」

綾乃「ありがとう、千歳」

綾乃(……よし、ちょっと様子を見に行こう)

綾乃(も、もし歳納京子が酷い事されてたら……されてたら……)

綾乃「こ、ここが歳納京子が勤めてる会社ね」

綾乃「た、たのもー!」パーン


シーーン


綾乃(事務員さんも誰も居ないわね)

綾乃(真っ暗だし……もうこんな時間じゃ営業終わってるのかも……)

綾乃(……あれ、奥の部屋だけ、電気ついてる)

綾乃「……」ソーッ

綾乃(なんだろう、中から声が……)


ヤッ、ヤダッ、ヤメテヨォッ



綾乃「……!」

綾乃(歳納京子の声だわ)

綾乃(な、なんか、なんかちょっと色っぽい感じだけど……)

綾乃(も、もしかして……もしかして)ドキドキ

綾乃(ちょっとだけ、ちょっとだけ覗いてみましょう……)

結衣「ほら、京子、大人しくしないか……」

京子「だ、だめっ、結衣そんな所吸わないでっ///」

ちなつ「まったく、もう、京子先輩はここを吸われるのが好きですよね、えっちなんだから」

京子「ち、ちがっ、えっちじゃないよぉっ///」

あかり「京子ちゃん、京子ちゃんのお胸、中学生の頃のままだよね、かわいいなあ」

京子「あ、あかり、やだっ、言わないでっ///」



綾乃(こ、これは……ふ、船見さん?吉川さん?赤座さん?い、いったいなにを……)

綾乃(と、歳納京子、あんな恰好で、あんな事をされて……)

綾乃(あ、あんなえっちな顔で、えっちな声を……)

綾乃(そ、そんな……私が助けてあげるって言ったのに、言ったのに)

綾乃(どうして、歳納京子はこんな気持ちよさそうな顔してるの?)

綾乃(ど、どうして……)ジワッ

綾乃(あ……どうして、あんな歳納京子を見るのは、嫌なのに、どうして///)モジモジ

綾乃(あっ、歳納京子、歳納京子っ、んんっ///)モゾモゾ

綾乃(他の女の子に、あんな事されて、歳納京子がっ、私の前でっ///)モゾモゾ

綾乃(も、もう、駄目、我慢できないっ、我慢できないのっ)クチャ

綾乃(と、歳納京子、としのうきょうこっ///)モジモジ


結衣「……どうやら、お客さんみたいだね」


綾乃「……!?」ビクッ

結衣「ほら、入ってきなよ、扉の前にいるんでしょ、綾乃」

京子「あ、綾乃が!?」

結衣「どうしたの?遠慮しなくていいよ?」


キィー


綾乃「……」

京子「あ、綾乃、どうしてここに!?」

綾乃「……歳納京子の、名刺を頼りに……」

結衣「そっか、それはわざわざ、御苦労さま」

綾乃「ふ、船見さんっ!」キッ

結衣「……綾乃、どんな気分?」

綾乃「な、何を言って……」

結衣「……好きだった子が、他の女の子とえっちな事してるのを見て、どんな気分?」

綾乃「……!」

結衣「悔しいよね、悲しいよね、後悔してるよね……」

結衣「けど、綾乃は船見保険の定期保険に入ってたから大丈夫!」

綾乃「ええっ!そうなの!?」

結衣「うん、船見保険にはNTR保障も入ってるから、例え他の子に好きな子を取られても、ワンチャンあるんだ」

綾乃「それなら安心してヘタレツンデレしてられるわね!さっき保険に加入しておいて助かったわ!」

結衣「そう!中学時代ヘタレで告白する事出来ず成人してから再開してそれでも告白できないみたいなヘタレズでも安心!」

結衣「それが船見保険!」

綾乃「けど、お高いんでしょう?」

結衣「それが何と、相場の保険料より1割高い程度でご利用出来るんだ」

綾乃「安すぎる!」

結衣「だろ?」

綾乃「じゃあ、あの、船見さん、歳納京子は持って帰っても大丈夫かしら」

結衣「うん、勿論だよ、今回NTRされた事は、ノーカウントになるから」

京子「宜しくね、綾乃」ギュ

綾乃「こ、こちらこそ///」ギュ



ちなつ「さあ、ご家庭のヘタレズの皆さんも、保険に入るなら今です!」

あかり「お電話番号はこちらだよぉ!」


○○○-○○○○-○○○○


結衣「土日祝日もやってます!宜しくね~!」




おわり

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