ミカサ「アニ」
ミーナ「アニー!ミカサが呼んでるよ!」
アニ「…何の用?」
ミカサ「話がある」
アニ「とっとと話しな」
ミカサ「廊下へ。時間はとらせない」
アニ「ここでいいだろ」
ミカサ「…」チラ
アニ「?」
ミーナ(なんだろなんだろ)ミミダンボ
アニ「…わかったよ」
ミカサ「私は話すのが得意ではない」
アニ「だろうね」
ミカサ「アニも」
アニ「あんたほどじゃない」
ミカサ「だから、単刀直入に聞く」
アニ「そうしな」
ミカサ「エレンのことどう思っているの」
アニ「ハッ下らない話題だね」
ミカサ「…?下らないこととは思えない」
アニ「あんた、あいつの周りの人間関係まで管理してるのかい?」
ミカサ「そうではない」
アニ「この状態がまさにそうだと思うけどね」
ミカサ「…アニがエレンと恋仲になるなら仕方がない」
アニ「へぇ…」
ミカサ「ただ、私はエレンのそばにいる。それを言いたかった」
アニ「意味がわからないね」
ミカサが「どのあたりが。出来るだけ言葉は選んだつもり」
アニ「逆に聞きたいね。あんたはあいつをどう思っているさ」
ミカサ「エレンは私が帰るべき場所。そしてエレンも私に帰る」
アニ「…故郷みたいな言い方だね」
ミカサ「故郷…そう。家族だから故郷でもある」
アニ「………わからなくもないけどね」
ミカサ「だからエレンが誰かと添い遂げても私はそばにいる。それは昔から決まっていること」
アニ「つまり、恋人がいようが嫁がいようが関係ないわけだね」
ミカサ「そう」
アニ「あんたに恋人や夫が出来たらどうすんのさ」
ミカサ「それはない」
アニ「は」
ミカサ「エレンさえそばにいればいい」
アニ「あんた言ってること無茶苦茶だよ」
ミカサ「エレンがいれば寒くないし迷わない。それだけの話」
アニ「故郷で家族だからか」
ミカサ「故郷で家族だから」
アニ「……安心しな」
ミカサ「?」
アニ「私はあいつと恋人になりたいとは思ってない」
ミカサ「では、なぜエレンを構うの」
アニ「構ってない」
ミカサ「アニが他の男と話しているのを見たことがあまりない」
アニ「まあね」
ミカサ「アニがエレンと親密なのは確か」
アニ「別に親密じゃない。ただ」
ミカサ「ただ?」
アニ「あいつは…」
(故郷の、昔の自分を思い出す)
アニ「…なんでもない」
ミカサ「………」
アニ「まあ、少しは女扱いされたいとは思ってるよ」
ミカサ「エレンは誰にも平等」
アニ「しかしあれはあんまりじゃないか。少なくともあんたや私はアルミンより男だと思われてるね」
ミカサ「それは由々しき問題だとは思っている。最近ではライナーより男だと思っている節がある」
アニ「それはちょっと許せないね」
ミカサ「ライナー以上は嫌」
アニ「まったくね。次にライナーと組んだら吹っ飛ばすか」
ミカサ「私がやれそうならやっておく」
アニ「ふふっよく飛ぶだろうね。頼むよ」
ミカサ「約束する…話せてよかった」
アニ「まあね。ドアに張り付いてるだれかさんも安心してるだろ」
ミカサ「ミーナ、左のヘアゴムが取れかかっている」
(なんでわかるの!?)
ミカサ「では、おやすみなさい」
アニ「…ああ」
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ーー
ー
.
ミカサ「ライナー」
ライナー「組むか?」
ミカサ「お願いしたい」
ライナー「よしきた」
ミカサ「…?」
ライナー「なんだ?」
ミカサ「この前と組んだ感覚が違う」
ライナー「そりゃ俺だってミカサと組んでなげられっぱなしというわけじゃないぞ」
ミカサ「ちがう。そうではない」
ライナー「?」
ミカサが「………!」
ミカサ「わかった。あなた背が伸びた」
ライナー「なるほどな」
ミカサ「前に組んだのはひとつき前くらい」
ライナー「そうだったな」
ミカサ「なのに伸びてる」
ライナー「当たり前だ。成長くらいする」
ミカサ「………」
ライナー「どうした」
ミカサ「肩幅も増えた気がする」
ライナー「そうか?」
ミカサ「不思議。ライナーのままなのに体は変わる」
ライナー「エレンやアルミンだってそうだろう」
ミカサ「あの二人は変わらないように見える」
ライナー「そんなわけあるか。毎日一緒だから気付きにくいだけだ」
ミカサ「わかっている。エレンもアルミンもいつのまにか少し声が低くなった」
ライナー「まあ、そうだな。もっと低く変わるだろ」
ミカサ「…声が変わってもエレンのまま」
ライナー「アルミンもな」
成長期だからな
ミカサ「実は私も胸が出てきている」
ライナー「知らん!!そんなこと男の前で言うな!」
ミカサ「アルミンと同じ反応。面白い」
ライナー「お前にからかわれるとは思ってなかったぞ」
ミカサ「ちなみにエレンの反応は立体機動の邪魔にならないか?だった」
ライナー「あいつの感覚はわからん…」
ミカサ「エレンは訓練にとても真面目」
ライナー「ああ」
ミカサ「いつか、壁外に向かうために鍛えている」
ライナー「…ミカサは外に行きたいのか?」
ミカサ「エレンと共に」
ライナー「いや、そうじゃなくてだな。ミカサ自身は行きたいのか?」
ミカサ「興味はある。ただ、エレンが行かなければ行かない」
ライナー「ほう」
ミカサ「兵になったのもエレンのそばにいるため。開拓地にエレンがいるなら私もいる」
ライナー「それってどうなんだ?お前自信のやりたいことはないのか?」
ミカサ「ある」
ライナー「エレンが絡まない話でだぞ」
ミカサ「あるにはある。でもそれはとるに足らないこと」
ライナー「それじゃあ、ないのと同じだ」
ミカサ「ライナーはわかっていない」
ライナー「ん」
ミカサ「エレンのそばにいる。これが私の望み。そのためならなんだってする」
ライナー「………なんだってか」
ミカサ「ええ」
ミカサ「あなたにはないの?何をおいても渇望するものが」
ライナー「…あるぞ」
(故郷にかえる。何をしてでも!)
ライナー「……そうか、とるに足らない、そうだな」
ミカサ「でも、とるに足らないものも大切」
ライナー「矛盾してないか」
ミカサ「している。一番はエレン。これは揺るがない、だけどアルミンも大切」
ライナー「…なるほどな」
ミカサ「天秤にかけたらエレンでも、アルミンやこんな生活も嫌いではない」
ライナー「はは、欲張りだな」
ミカサ「私が鍛える理由はそれ。弱いものよりは強いものの方が沢山の望みを叶えられる」
ライナー「…厳しい道だな」
ミカサ「構わない。とりあえず、ささやかな望みを今かなえる」
ライナー「今か?」
ミカサ「あなたを投げてアニとの約束を守る」ブンッ
ライナー「」
>>12いってもまだ10代そこそこなんだよな
成長期で思春期の子供達
ミカサ「ベルトルト」
ベルトルト「ミカサ」
ミカサ「こんなところで何をしてるの」
ベルトルト「医務室に行こうかと思ってたんだ」
ミカサ「同行する」
ベルトルト「きれいに顔面から着地したからちょっと心配で」
ミカサ「前より受け身が下手になっていた。最近肩を痛がるそぶりがあった?」
ベルトルト「…あったね。今朝、首だけど寝違えたって」
ミカサ「それで受け身がうまく取れなかったのだろう」
しくじった>>19の前
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ベルトルト「そっか。じゃあ医務室で寝違えもみてもらえて丁度良かったのかな」
ミカサ「先に言ってくれればそっとなげた」
ベルトルト「投げるのは変わらないんだね」
ミカサ「アニとの約束だから」
ベルトルト「アニと?ライナーを投げる約束したの?」
ミカサ「正確には吹っ飛ばす約束」
ベルトルト「なんでそんなことに」
ミカサ「エレンが平等だからそうなった」
ベルトルト「へえ、意味はわからないけど約束だったんだね」
ミカサ「そう」
ベルトルト「じゃあ仕方ない…かな?」
ミカサ「でもやり過ぎたから謝りにいく」
ベルトルト「…エレンとアルミンは?」
ミカサ「先に部屋へ。ライナーのこととは関係ない」
ベルトルト「ミカサはそういうのハッキリしてるね」
ミカサ「そういうの、とは」
ベルトルト「普段は一緒なのに責任は連帯しないところ」
ミカサ「当たり前」
ベルトルト「女の子じゃ珍しいんじゃないかな」
ミカサ「…それは男のようだということ?」
ベルトルト「そうじゃなくて、なんていうのか…」
ベルトルト「しっかりしてる?みたいな」
ミカサ「なんだかあやふやな話」
ベルトルト「ごめん。あんまりハッキリ話すの得意じゃないんだ」
ミカサ「わかっている。それはライナーが普段補っている」
ベルトルト「最近ではそうでもないけどね」
ミカサ「確かに。今もこうやって話せている」
ベルトルト「うん。珍しい話し相手だな」
ミカサ「私もエレンとアルミン以外で異性と二人きりで話すのは珍しい」
ベルトルト「エレンに気が引ける?」
ミカサ「?」
ベルトルト「違うのか。てっきりエレンに遠慮してるのかと思ってたよ」
ミカサ「それは、エレンに操をたてているという意味?」
ベルトルト「みさお…まあそうかな」
ミカサ「ベルトルトは勘違いしている。私とエレンは恋愛をしてるわけではない」
ベルトルト「そうなの?」
ミカサ「何があってもそばにいる。それだけ」
ベルトルト「それは恋じゃないの?」
ミカサ「恋とは強く相手に惹かれること。昔、辞書で調べた」
ベルトルト「そばにいたいと思う理由は強く惹かれてるからだとおもうけどなあ」
ミカサ「……それは考えたことがなかった」
ベルトルト「難儀だね」
ミカサ「今度アルミンに聞いてみる」
ベルトルト「その質問はアルミンも困るんじゃないかな」
ミカサ「なぜ?アルミンは知識が深い」
ベルトルト「人の感情は知識だけでは説明できないもんだよ」
ミカサ「ベルトルトは恋をしたことが?」
ベルトルト「…なんで?」
ミカサ「言葉に深みがあったので」
ベルトルト「僕に恋人はいないよ」
ミカサ「では好きな人は」
ベルトルト「くいつくね」
ミカサ「私の感情と比較するサンプルがほしい。何か落ち着かない」
ベルトルト「……昔の話でいいなら」
ミカサ「構わない」
ベルトルト「恋をしたときは…そうだね。言葉にすると………」
ベルトルト「そばにいたい、守りたい。話がしたい」
ベルトルト「なにより相手にもそう思っていてほしい…そんな風に思ってたよ」
(アニ…)
ベルトルト「なんて、恥ずかしい話題だな」
ミカサ「まるで今も思っているみたいな言い方」
ベルトルト「気のせいだよ」
ミカサ「そう」
ベルトルト「参考になった?」
ミカサ「……なったと思う」
ベルトルト「ならよかった」
ミカサ「いつか、この感情に名前がついたらベルトルトにも報告しよう」
ベルトルト「エレンには?」
ミカサ「エレンに言っていいかがわからない」
ベルトルト「へ」
ミカサ「まだ、わからない……」
ベルトルト「あはは、ミカサも女の子だなあ」
ライナー「医務室の前で何話し込んでるんだ」
ミカサ「ライナー」
ベルトルト「もう大丈夫?」
ライナー「擦り傷と鼻血だけだ」
ミカサ「ライナー、やりすぎた。ごめんなさい」
ライナー「わざわざそれをいいに来たのか」
ベルトルト「途中であって一緒に来たんだ」
ライナー「せっかくだがもう戻るぞ」
ベルトルト「じゃあ一緒に戻ろうか」
ミカサ「ええ」
ミカサ「戻ろう」
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ーーーーー
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ーー
ー
.
「アルミン」
「ん……」
「アニは捕らえた。私が、おとした」
「うん」
「ライナーとベルトルトは殺れなかった」
「ほんの一瞬、迷った」
「…わかるよ」
「次は迷わない」
「ミカサ……」
「もう、迷わない」
おわり
ありがとうございましたー
支援感想、読んでくれてありがとう!
このSSまとめへのコメント
うわーー悲しみが増す
エピソードとしていいね、秀逸