ちなつ「あかりちゃんの為だけのホワイトデー」(75)

ちなつ(カレンダー見てなかったから、すっかり忘れてた……)

ちなつ(明日はホワイトデーなのに……何も用意してないなんて……)

ちなつ(あかりちゃんとの待ち合わせは朝の九時……)

ちなつ(チョコくらい徹夜で作れば間に合うよねっ)

ちなつ(急いで明日までにはなんとか完成させないとっ!)

ちなつ(……絶対にあかりちゃんにお返ししてあげるんだからっ!)

~回想~

あかり「おはよぉ、ちなつちゃん」

ちなつ「あかりちゃん、おはよぉ。今日はバレンタインだねー」

あかり「そうだねぇ、あかり、ちなつちゃんの分もちゃんと作ってきたんだぁ」

ちなつ「じゃあ、昼休みになったらみんなで交換して食べちゃおうか」

ちなつ「櫻子ちゃんも向日葵ちゃんも持ってきてるだろうし」

あかり「うん!いいよぉ」ニコッ

あかり「京子ちゃん達には放課後渡すの?」

ちなつ「うん、そうした方がいいかも」

ちなつ「結衣先輩、いっぱい貰ってそうだし」

あかり「そうだねぇ、みんなで一緒に食べた方が美味しいからねー」

ちなつ「結衣先輩の放課後を独占すれば、ライバルも蹴落とせるだろうし」ボソッ

あかり「なんか今、あかりの背筋がゾクッてしたよぉ!?」

ちなつ「気のせい気のせい」ニコニコ

あかり「そういえば、ちなつちゃんはどんなチョコを作ったの?」

ちなつ「あぁー本当は結衣先輩の形をしたチョコを作りたかったんだけどね」

ちなつ「お姉ちゃんがなんか必死にトリュフ薦めてきたから、それにしたの」

あかり「そ、そうなんだぁ……」

あかり「でも、美味しいよね!あれって」

ちなつ「まぁ、ちょっと地味すぎる感じはするけどね」



結衣「……何か恐ろしいフラグを間一髪で回避出来たような気がする。」

ちなつ「あかりちゃんは?」

あかり「動物の形をしたチョコだよぉ」

ちなつ「へぇー……クマさんとか?」

あかり「えへへ、それは開けてからのお楽しみだよぉ」

ちなつ「じゃあ、期待しちゃおっかな♪」

あかり「うん!」

~昼休み~

向日葵「ぬうううううう」

櫻子「ぐぬぬぬぬぬぬ」

向日葵「私のチョコの方が美味しいですわ!」

櫻子「私の方が上手だし!」

櫻子「つーか、よこせ!食わないと味分かんないし!」

向日葵「櫻子こそ、さっさとよこしやがれですわ!」

櫻子・向日葵「「ギャーギャー」」

ちなつ「あの二人はバレンタインでも相変わらずだね」

あかり「でも、すごく仲が良さそうだよぉ」

あかり「あかり、うらやましいなぁ」

ちなつ「そうかな?いつも喧嘩してばかりだと思うけど?」

ちなつ「まぁ、喧嘩するほど仲がいい……のかなぁ」

向日葵「とりあえず、赤座さん、吉川さんにあげますわ」

あかり「わぁい、クッキーだぁ」

ちなつ「向日葵ちゃんありがとぉ」

櫻子「櫻子様のチョコをくれてやろう」

あかり「じゃあ、あかりも二人にあげるよぉ」

ちなつ「あっ、私も」ゴソゴソ

櫻子・向日葵「「わぁ、ありがとう!」ございますわ」

ちなつ「私のはトリュフで」

あかり「あかりのは動物のチョコだよぉ」

向日葵「へぇ……じゃあ、早速開けてみますわ」

櫻子「それっ」パカッ

櫻子(あ……アリチョコだぁっ!?)

向日葵(何故、アリクイチョコなんですの……っ!?)

あかり「あっ、ちなつちゃんのはねぇ……」

ちなつ「な、なぁに?あかりちゃん」

あかり「放課後に渡してもいいかなぁ?」

ちなつ「えっ?うん、いいけど……」

ちなつ(わ、私のはどんな一体チョコなんだろう……)ドキドキ

~放課後 in ごらく部~

京子「ちなちゅ~♪」

ちなつ「ちなちゅ言うな、結衣先輩~!チョコレートです!」

あかり「あかりからもチョコレートだよ」

結衣「ありがとう、ちなつちゃんはトリュフかな?」

ちなつ「私の結衣先輩に対する想いをたっぷりと注ぎ込んだチョコですよ」

結衣「あはは、大事に受け取っておくよ」

京子「ちなつちゃん、私への気持ちがたっぷりと詰まったチョコをくれ」

ちなつ「はい、ただのトリュフです」ポイッ

京子「結衣の馬鹿ぁ!」

結衣「なんで私が馬鹿になるんだよ」

結衣「……お、あかりはパンダチョコか」

あかり「うん、頑張って作ったんだぁ」

京子「ということは私のはトメイトゥチョコだな!」

あかり「京子ちゃんはね、テントウムシチョコだよぉ」

京子「遠くから見れば、トメイトゥに!」

結衣「なるか」

ちなつ(これは……)

ちなつ(かなりの確率で虫チョコ……っ!?)

結衣「私たちもチョコをお返ししないとね」

結衣「まぁ、京子と一緒に作ったから二つとも同じものだけど」

京子「私の方が結衣より美味いけどね」

結衣「だから、同じって言ってんだろ」

あかり「わぁい、ありがとぉ!」

ちなつ「ぬうう……ありがとうございます」

ちなつ(やっぱり、京子先輩は結衣先輩と仲がいいなぁ……)ずーん

結衣「そういえば、ちなつちゃん」

ちなつ「あっ、はい?」

結衣「あかりからどんなチョコ貰ったの?」

ちなつ「それが……実はまだ貰ってなくて」

ちなつ「櫻子ちゃんと向日葵ちゃんにはあげたんですけど……」

京子「そういや、あかりはー?」

結衣「さっきトイレ行くって」

ちなつ「近くに居たのに全然気付きませんでした……」

京子「丁度いいや、あかりのいない間にカバンチェックしちゃおうぜ」

結衣「やめとけバカ」

京子「痛てててててっ!鼻を押すのはやめて!」

結衣「おっ?結構押し心地がいいな」グイグイ

ちなつ「うわぁ、京子先輩、変な顔……」

京子「いてて……けど、気になるよなー」

結衣「何が?」

京子「あかりなら真っ先にちなつちゃんにあげるはずだし」

京子「それになんでさっき、私たちにあげた時に渡さなかったんだろ?」

ちなつ「まぁ……たしかに」

京子「どんなチョコをあげるのか気になるし」

結衣「やっぱり、そこが一番気になるのか」

京子「そりゃあね」

結衣「忘れてるかもしれないし、本人に聞いてみたら?」

ちなつ「そうですね、帰る時にでも聞いておきます」

京子「案外、その時にはちなつちゃんも忘れてたりして」

結衣「お前じゃないんだから、それはないだろ」

ちなつ「そうです、京子先輩じゃないんですから」

京子「うっ……なんか二人が冷たい」

京子「そんじゃまたなー」

結衣「じゃあね、二人とも」

ちなつ(結局、結衣先輩と京子先輩は先に帰っちゃったけど)

ちなつ(あかりちゃんがチョコを渡す気配は無い……)

ちなつ(……そろそろ聞いてみようかな)

あかり「ちなつちゃん、そろそろ帰ろっかー?」

ちなつ「え?あ、そうだね」

ちなつ(って帰るのっ!?)

ちなつ(ここまで焦らされたら……)

ちなつ(嫌でもあかりちゃんのチョコが気になっちゃうじゃないっ!)

ちなつ(動物のチョコってどんなチョコなの?)

ちなつ(どうして早く渡さないの……)

ちなつ(これじゃ、あかりちゃんのチョコをすごく楽しみにしてるみたいになってるじゃない)

ちなつ(それに……それに……)

ちなつ(なんで無言でスタスタ歩いてるのっ!?)

ちなつ(一緒に帰ってるんだから帰り道で何か喋るのは普通でしょ!?)

ちなつ(みんなのチョコの感想とかいっぱい話題はあるでしょ!)

ちなつ(なんでチョコ渡してくれないのよぉ!?)

ちなつ(さっさとこの私に渡しなさいよぉ……)

ちなつ(はっ……!?)

ちなつ(私って馬鹿だわ……)

ちなつ(私からチョコを渡せばすぐにでもお返しが来るじゃない……)

ちなつ(あかりちゃんのチョコが気になりすぎて、私もチョコを持ってきた事をすっかり忘れてた)

ちなつ(冷静になるのよ、ちなつ)

ちなつ(あかりちゃんは放課後渡すって言ってたけど、私から渡しても別に問題ない)

ちなつ(チョコレート交換だもんね、これであかりちゃんのチョコは私のもの)

ちなつ(よしっ!私から渡そう……私からっ!)キリッ

ちなつ「あかっ……」

あかり「ねぇ、ちなつちゃん」

ちなつ「うわぁぁっ!?」ビクッ

あかり「ど、どうしたの!?ちなつちゃん!?」

ちなつ「大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから」

ちなつ「平気平気」

ちなつ(なんで私こんなに緊張してるんだろう……)

ちなつ「それで?何言おうとしたの?」

あかり「うん、えっとぉ……はい、これっ!」

ちなつ「え?もしかして、これってチョコレート?」

あかり「うん!」

ちなつ「……中身見てもいい?」

あかり「いいよぉ」

ちなつ「わぁ……これ、あかりちゃんが作ったの?」

あかり「えへへ、そうだよぉ」

ちなつ(結衣先輩たちのとは明らかに違う……)

ちなつ(これってケーキ……だよね?)

ちなつ(てっぺんにネコのチョコのプレート)

ちなつ(何か書いてある……『ちなつちゃんは……)

『ちなつちゃんはずっとあかりのともだちだよ!』

ちなつ「あかりちゃん、これ……」

あかり「今年はね、ちなつちゃんといっぱい遊んだから」

あかり「何かお礼をしたいなぁって思ったんだぁ」

あかり「迷惑だったら、ごめんね。結構大きいし」

ちなつ「ううん!全部食べきる!あかりちゃんが作ったんだもん!」

ちなつ「っていうか私の方がごめん!こんなチョコで……」

あかり「ちなつちゃんからのチョコはどんなものでも美味しいよぉ」

ちなつ「私が駄目なの!あかりちゃんは一生懸命作ったのに……」

あかり「気にしなくていいよ、あかりが好きでやったんだもん」

ちなつ「けど……」

ちなつ「あっ、そうだ!なら……」



『ホワイトデーにお返しするよっ!その時は私頑張るんだから!』

トントントントントン

「ホワイトチョコは切り終わったし、早速湯煎して……」

「生地の方は……うん、いい感じ!」

「あと3時間くらいで完成するかな」

「ふふふ……私も頑張らないとね」

「あの時のあかりちゃんの何倍も大きくて豪華なケーキを作ってやるんだから」



『待っててね、あかりちゃんっ!』

~おわり~

保守してくれた人、ありがとうございます

個人的にちなあかは歳を重ねながら、お互いの事を徐々に意識するという方が好きです

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