だいたいスレタイ通りの内容
他のSSの邪魔にならないようにsage進行を心がけてくれると捗ります
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1365445250
——— 0日目 16:35
P「事務所改装に伴う休暇、ですか」
ちひろ「はい。つまりは、事務所を改装するから仕事を休めってことですね」
P「……いいんですか? 休んじゃって。事務所が無くたってアイドルたちの仕事取ってきたりとかはできるじゃないですか」
ちひろ「仕事していただきたいのはやまやまなんですけどねー。あんまり仕事ばっかりやられても上が困っちゃうみたいで。
つまり、私たちに対して遠まわしに『有給消費しろ』って言ってるんですよ、これ」
P「有給!? うちの事務所、そんなのあったんですか!?」
ちひろ「……知らなかったんですか?」
P「……」
ちひろ「まぁ、そういうことですから。お互いこれから数日間は羽を伸ばして休みましょうってことです!」
P「そう言われても……こんな微妙な時期に休み貰ってもなぁ……」
P「ちひろさんは、このお休み、どう過ごす予定なんです?」
ちひろ「そうですねー、とりあえず、お家でごろごろですかねぇ」
P「……」
ちひろ「……なんですか、その目は」
P「いや、お家でごろごろって……いい歳した女性が、たまの休みにそれでいいんですか?」
ちひろ「だって、仕事以外に特にやることなんてないですし」
P「買い物とかすればいいじゃないですか。ほら、服とか小物とか買ってオシャレしたら」
ちひろ「何を買っても、休みが明けて仕事に戻ったら使わなくなるのは目に見えてますし」
P「美味しいもの食べにいったり」
ちひろ「自分で作った方が安上がりだし味の保証ができてる分気が楽です」
P「……本とかゲームとか、娯楽関係の」
ちひろ「その辺は、事務所の皆に頼めばたいてい笑顔で貸してくれますからねぇ」
P「……ちひろさん」
ちひろ「はい?」
P「貴女、給料とか何に使ってるんですか?」
ちひろ「何って、普通に生活費ですよ。水道、光熱、ガス、電気、あとはたまにやる飲み会の代金にも使ってますね」
P「他には?」
ちひろ「他、って?」
P「例えばなんかあるでしょ!! ほら、雑誌を購読してるとか、お酒を嗜んでるとか!!」
ちひろ「……強いてあげるなら、貯金、ですかね?」
P「……貯金?」
ちひろ「はい! 色んな銀行の通帳に、ちょっとずつ分けて溜めてるんです! リスク分散の意味合いと趣味を兼ねて!
色々な場所に預けてるからそれぞれの増える量は少ないですけど、その分たくさん溜まったら凄く嬉しいですよ!!」
P「……」
ちひろ「プロデューサーさんもやってみますか? お金が増えて、楽しい! 一石二鳥ですよ!!」
P「……」
ちひろ「あれ、どうしました?」
P「間違ってます」
ちひろ「へ?」
P「お金は使うからこそ意味があるんです!! それを趣味や娯楽に費やすでもなく全額貯金なんて、貴女の生活は間違ってます!!」
ちひろ「なっ……そ、そんなの、私の勝手じゃないですか!! 別に、好きで貯金してるんですから!!
P「そもそも、使おうとか思わないわけですか?」
ちひろ「ないです」
P「ちょっと遠出してみたりとか」
ちひろ「あー、私あれ、良く分かんないんですよね……わざわざお金払って疲れに行くっていうあの発想……」
P「……じゃあ、温泉旅行とか。温泉にゆったりつかれば疲れも取れるでしょう?」
ちひろ「温泉で疲れを取っても結局帰路で疲れますよね」
P「夢がないこと言わないでくださいよ」
ちひろ「夢じゃお腹は膨れませんし、夢をかなえるにはまずお金でしょ!」
P「……」
ちひろ「……」
P「使わないんですか?」
ちひろ「使いませんね。無駄に使うくらいなら、少しでも貯金に回したいですし」
P「そうですか……」
P(流石に、この考え方は年頃の女性としてどうなんだ……?)
P(別に悪いってわけじゃないけど……)
P「ひとつ質問、いいですか?」
ちひろ「はい、なんでしょう?」
P「休日初日……明日のスケジュールとか、教えてほしいんですけど」
ちひろ「えーっと、だいたいこんな感じですね!」
===
0630 起床
↓
0730 朝食
↓
1200 昼食
↓
1900 夕食
↓
2100 就寝
===
P「……あの」
ちひろ「はい?」
P「食って寝るだけ、ですか?」
ちひろ「……あはは! やだなぁ! そんなわけないじゃないですか!!」
P「で、ですよね!? 流石に年頃の女性の休日が、こんな……」
ちひろ「実際はこれに洗濯と掃除とお風呂が入りますね!!」
P「あぁ……あぁ……」
P「ちょっと失礼」
ちひろ「あ、ちょっと、なにするんですか!」
きゅっきゅっきゅっ
===
0630 起床
↓
0730 朝食
↓
0900 Pと外出
↓
2100 就寝
===
ちひろ「あー、なに勝手に書き換えてるんですか!! もう、私のスケジュールが……」
P「ちひろさん」
ちひろ「はい?」
P「出かけましょう」
ちひろ「へっ?」
P「聞いてるだけで悲しくなってきました。折角の休日ですよ、どこか一緒に出かけようじゃありませんか!!」
ちひろ「嫌です!」
P「……お金は俺が持ちますから!」
ちひろ「……い、いや、でも……疲れるし……」
P「じゃあ車も出します!」
ちひろ「……」
P「なんならさらにスタドリもセットでつけますよ!! どうですか!?」
ちひろ「……」
——— 0日目 20:10
trrrrrr trrrrrr……
pi!
P「あ、もしもし、ちひろさんですか?」
ちひろ{すみません、お風呂に入ってて……なにか急用ですか?}
P「いや、明日の件で電話したんですけど……掛け直しますか?」
ちひろ{いえ、大丈夫です。それより、明日って……まさか、本当に?}
P「マジです」
ちひろ{……いや、でもですね、そんな無理しなくても……}
P「どこか行きたい場所とかありますか?」
ちひろ{あの、だからですね、無理に私を引っ張り出そうとしなくてもですよ?
私は私、プロデューサーさんはプロデューサーさんで楽しくやった方が、お得じゃないですか!}
P「二人一緒の方が色々費用が抑えられてよりお得ですよ! しかも代金は全部俺持ち! ちひろさん丸儲けじゃないですか!!」
ちひろ{……確かにそうですけど……でも、外出は、ちょっと……}
P「あ、もしちひろさんが俺と一緒ってのがお嫌なら、知り合いに頼んでその人と行ってもらうこともできますけど」
ちひろ{……別に、プロデューサーさんと一緒が取り立てて嫌ってわけじゃなくてですね……っていうか、私が出掛けるのは決定事項なんですか?
そういうところが気になるんじゃなくて、ほら、散財は癖になるっていうし!}
P「ちひろさん」
ちひろ{今度は何ですか?}
P「遊園地で良いですか?」
ちひろ{そ、そんな、また、お金がかかりそうな……嫌ですからね! あんな、数分にも満たない時間のために数千円無駄にするなんて!}
P「実は、営業で貰った優待券の期限が近くてですね、それがペアチケットなんですよ。
使えるものは使えるだけ使っとかないともったいないでしょ?」
ちひろ{それは……確かに、そうですけど……}
P「よし、じゃあ決まりですね! 明日は遊園地! 朝、迎えに行きますから!」
ちひろ{……うぅ、はーい……}
——— 0日目 21:00
ちひろ「……どうしよう」
ちひろ「プロデューサーさん、言い出したら聞かないからなぁ……
仮病……使っても、スタドリ飲まされて引っ張って行かれそうだし」
ちひろ「……よし、どうせ逃げられないんだし、肯定的に考えよう!」
ちひろ「お金も払わずに遊園地に行けて、それでいっぱい遊べて、しかもプロデューサーさんまで一緒!
休みは一日潰れるけど、翌日以降疲れが残りそうだけど、それでもしっかり元が取れるくらいにはお得!!」
ちひろ「お得、お得! これは行かなきゃ損ですね、プロデューサーさん!!」
ちひろ「よし、なんだか気分が乗ってきた! このテンションのまま寝ちゃおう!」
ぼふんっ
ちひろ「……」
ちひろ「……」
ちひろ「……でも」
ごろん
ちひろ「遊園地、かあ……」
ちひろ「アイドルサバイバルで行って以来だっけ」
ちひろ「……あの時は、楽しむとか楽しまないとかじゃなかったからなぁ。
お客として遊園地に行くなんて、本当に、何年ぶりだろう……」
ちひろ「……どんな服着て行こうかな」
———
——
—
——— 1日目 08;45
ピンポーン!
ちひろ「はーい!」
がちゃっ
P「おはようございます。ちゃんと起きてました?」
ちひろ「そりゃあもう! 昨日は、休日前にしては珍しくお酒飲みに行きませんでしたからね!」
P「結構。それじゃあ行きましょうか」
ちひろ「よし、じゃあ行っちゃいましょう! それで、プロデューサー、今日行く遊園地ってどこなんですか?」
P「えーっと、今日行くのは、ほら、昔アイサバで行ったテーマパーク内の……」
ちひろ「ああ、あそこですね! アイドルサバイバルの時は結局乗り物なんかには乗れませんでしたからね。
プロデューサーさん、どれから乗ろうとか目星付けてたりします?」
P「いや、特には……」
ちひろ「あ、じゃあ私、最初に乗るの決めちゃいますね! ほら、時間は有効活用しないと!」
P「……」
ちひろ「あれ、どうかしました?」
P「いや、昨日はあれだけ乗り気じゃなかったのに、今日はえらく乗り気だなぁって」
ちひろ「どうせ行くんなら楽しんだ方がお得ですからね!」
P「はは、違いないです。じゃあ、表に車止めてありますから」
ちひろ「はい! じゃあ今日一日、よろしくお願いしますね!」
——— 1日目 10:25
ちひろ「平日なのに、結構人が居るんですね。仕事とかどうしてるんでしょう?」
P「休みなんじゃないですか?」
ちひろ「へぇ……でも、平日のお昼前からこれだけ居たら、夜とか結構混みそうですね」
P「混むって言っても、人気アトラクションでも一時間以上待つなんてのはそうそう無いそうですけど。
夜に特別な催し事があってるならともかく、今は丁度時期外れですし」
ちひろ「それはありがたいですね! それじゃあプロデューサーさん、さっそく乗りに行きましょうか!!」
P「そうですね、時間ももったいないし。それで、最初はどれに乗るんですか?」
ちひろ「あれです!」
キャ——————————ッ!!
キャ———————————ッ!!
P「……」
ちひろ「……? どうしました、プロデューサーさん?」
P「……えっと、あれから、ですか?」
ちひろ「はい! なんでも、一番の目玉らしいですからね! 混む前に乗っておきたいじゃないですか!」
P「いや、でも……最初からコースターは、なんというか……」
ちひろ「ほら、行きましょう! ね、ね!!」
P「……そうですね。行きますか」
ちひろ「あ、そうだ、私荷物預けてきますね! プロデューサーさん、ちょっと待っててください!」
てってってってってっ
P「はーい」
寝ます、おやすみなさい
ここまで読めばわかると思いますけどけど、見ての通り起伏が乏しく面白味にも欠けるSSなので放っておいてください
——— 1日目 10:45
ちひろ「意外と早く順番来ましたねー!」
P「ですねえ」
係員「靴を脱いでお待ちくださーい」
ちひろ「はーい……ってあれ、どうして靴を?」
P「知らないんですか、ちひろさん。遊園地のアトラクションに乗る時は、基本靴を脱ぐんですよ」
ちひろ「……ふふ、またまた〜! プロデューサーさんってば、私を騙そうとしてるんでしょ。丸わかりですよー!」
P「大型遊具の運営に関わる法律で決められてるんですよ。運営者は靴が遊具に巻き込まれての事故を防ぐために客に靴を脱ぐことを義務付けるって」
ちひろ「……えっ?」
係員「お待たせいたしました、係員の指示に従ってコースターに乗り込んでください」
P「さ、行きましょう。ちひろさん」
ちひろ「あ、ちょっと待ってくださいよ! ……って、あれ、ジェットコースターってこんなイスでしたっけ?
もっとこう……リュックサックみたいな形だったと記憶してるんですけど」
P「ああ、これは四次元コースターですからね」
ちひろ「四次元……ですか」
P「はい、四次元です」
ちひろ「……四次元……もしかして、時空超えちゃったりするんですかね」
P「いやいや、レールの回転に加えて、客が乗ってるイスも回転するってことですよ」
ちひろ「イスが?」
P「はい」
ちひろ「こう、ぐるぐると、ですか?」
P「いや、そこまでぐるぐるとは回りませんけど、方向転換は何回もするみたいですよ」
———
ガタン ガタン
ちひろ「……い、意外に高い、ですね……」
P「そりゃあもう、ジェットコースターですから」
ガタン ガタン
ちひろ「……そろそろ、ですかね」
P「いや、もう少しかかるんじゃないですかね」
ガタン ガタン
ちひろ「わ、わ、もうこんな、他のアトラクションが、小さく! 小さくなってます!
プロデューサーさん、見て、見てください、小さいですって、本当に、小さいですって!!」
P「どうですか、ちひろさん。ジェットコースターの感想は」
ちひろ「い、今聞くんですか、それ!?」
P「あれ、もしかしてビビってます?」
ちひろ「び、びびってなんかない、です! ……でも、ここまで高いっていうのは、正直、予想外で————」
ガコンッ
ちひろ「ひゃぁ——————っ!?」
———1日目 10:45
ちひろ「……」
P「水、飲みます?」
ちひろ「……ありがとう、ございます……」
くぴ くぴ ……
P「だから言ったじゃないですか。最初からコースターはやめておいた方がいいって」
ちひろ「ま、まさか、あんなに、あんな、あれほどとは……うぅー……」
P「まぁあれを超えるのはそうそうないでしょうから、安心してください」
ちひろ「……はーい……あー、もう……髪が、ぐちゃぐちゃ……」
P「結い直してきますか?」
ちひろ「……いいです」
P「……本当に大丈夫ですか? どこか休める場所探して、しばらく休んだ方が……」
ちひろ「あ、いや、そこまで心配していただかなくても、大丈夫です。
髪の方は、その、なんというかですね……今後また乱れるようなら、結い直しても無駄かなぁ、と……」
P「そうですか。でもそのままだとちょっと……もしよければ結うの手伝いますけど」
ちひろ「……んー、いっそ、ほどいちゃいましょうか! そうすれば見た目も気になりませんし!」
P「……みつあみを、ですか?」
ちひろ「……なんですか、その顔」
P「いや、その……なんていうか……みつあみじゃなくて、事務員服じゃないちひろさんって……
なんか一目見ただけじゃちひろさんだと判断できないんじゃないかって気がしてですね……」
ちひろ「……」
———
P「だからごめんなさいって」
ちひろ「ふん、だ! 知りませんよ、もう!!」
P「ちゃんと顔とか姿見れば分かりますから!」
ちひろ「いっそ、事務員服着てくればよかったですかね。
そうしないとプロデューサーさんから気付かれないでしょうし」
P「何度も言うように、あれはただの冗談で……」
ちひろ「……ふん、だ……もう……」
P「……」
ちひろ「……あの、プロデューサーさん」
P「はい?」
ちひろ「……やっぱりこういう服って、私には似合いませんかね?」
P「え、似合ってますよ?」
ちひろ「……本当ですか?」
P「そんなことで嘘ついてもしょうがないでしょ。数々のアイドルを見てきた俺が保証しますよ。
私服もバッチリ似合ってて素敵です。今のちひろさんならアイドルとしても通用しますよ!」
ちひろ「……もう、調子のいい事ばっかり」
P「髪下ろしたのも相まってぐっときますね! 実際にデビューしてライブとかやっちゃいます?」
ちひろ「ふふ……そんなこと言って、私までライブに行ったら誰が事務の仕事をやるんですか?」
P「あー……そういえばそうですね。じゃあ事務員で」
ちひろ「じゃあってなんですか、じゃあって! あ、プロデューサーさん、次あれ、あれ乗りましょう!!」
P「ウォータースライダーですか。いいですね」
ミス
×ウォータースライダー
○ウォーターアトラクション
——— 1日目 11:05
ちひろ「次くらいで乗れそうですねぇ」
P「結構待ちましたね」
ちひろ「ですね。こういうアトラクションってそんなに『遊園地の花形』ってカンジじゃないですけど、人気はあるんですね」
P「きっとアレですよ。ちひろさんと同じように、ジェットコースターで苦痛とトラウマを植えつけられてグロッキーになった人がこっちに」
ちひろ「あぁ……成程……」
係員「では、そちらの男性までお乗りください」
P「お、丁度俺までですね。ラッキー」
ちひろ「日ごろの行いの成果ですね。ん、しょっ……」
ごそごそ
P「あれ、何してるんですか?」
ちひろ「何って……靴を脱いでるんですよ。
ほら、プロデューサーさんも、アトラクションに乗るんですから脱がなきゃ!」
P「……」
ちひろ「……?」
係員「……あの、お客様」
ちひろ「はい?」
係員「当アトラクションでは、靴を脱いでいただく必要はございませんが」
ちひろ「……え、でも、ジェットコースターだと……」
係員「ジェットコースターは、運転中に靴が脱げてしまう恐れがあるので脱いでいただいているだけで……
当アトラクションでは、足が浮くこと自体が無いので」
ちひろ「……あれ、でも、だって、法律で……ですよねぇ、プロデューサーさん?」
P「……ぷ、くく……」
ちひろ「……」
P「さ、乗りましょうか、ちひろさん。あ、靴下濡れちゃうから靴は履いててくださいね!」
ちひろ「……」
———
ちひろ「もう! おかげで恥かいちゃったじゃないですか!!」
P「いやあ、まさか信じるなんて思わなくて!」
ちひろ「信じちゃうに決まってるじゃないですか! あんな、さも当然みたいな顔で言われたら!!
へぇ、そんなもんなんだなぁって! 実際に靴脱がされたし!」
P「だからって、前の人も脱いでないのに脱ぎますか、普通」
ちひろ「う……そ、それは……その、そこまで気が回ってなくて……」
P「あれ、もしかしてビビってました?」
ちひろ「びびってないです! ただ、あの……やっぱり、髪型とか服とかの方が気になっててですね……
なんていうか……こう、並んでて変じゃないかなぁって、そればっかりに気がいって……」
P「似合ってるって言ってるじゃないですか」
ちひろ「……プロデューサーさん、また嘘ついてるかもしれないじゃないですか」
P「これに限っては誓って嘘じゃありません。もし似合ってないとか言ってる奴が居たらすぐに俺に教えてください。
その人には俺がきちんと一から説明してあげますから」
ちひろ「そこまでしなくていいです」
P「そうですか、それは残念。それで、肝心のウォーターアトラクションの方はどうでした?」
ちひろ「……」
P「……」
ちひろ「………………ました」
P「はい?」
ちひろ「……は、恥ずかしくて、楽しむどころじゃ、ありませんでした……」
P「じゃあ、もう一回行きますか?」
ちひろ「それはありがたいですけど、しばらくは……出来れば、係員さんが変わったくらいに行きたいです」
P「そうですか。じゃあ、しばらくしてから行きますか」
ちひろ「はい。えっとー……それで、これからどうしましょう?」
P「そうですねー……時間はちょっと早いけど、お昼にしますか?」
ちひろ「あ、いいですね!」
——— 1日目 11:20
P「さて、どこで食べますかねー」
ちひろ「あ、ちょっと待ってください! 荷物取ってきますから!」
P「へ、なんでです? 荷物なんて出してきてもかさばるだけですよ?」
ちひろ「それは内緒です!」
P「はぁ……」
てってってってって……
———
———
ちひろ「お待たせしましたー!」
P「お待ちしましたー。それで、なに取りに行ったんです?」
ちひろ「ふふふ、今日のために用意した秘密兵器です!! だいたい予想はつくと思いますけどね」
P「……それじゃあ、その包み……もしかして」
ちひろ「遊園地のレストランは相場の倍以上ぼったくられるって聞いてますからね!
プロデューサーさんは奢ってくれるって言いましたけど、費用は出来るだけ安く少ない方がいいに決まってます! そこで!!」
ちひろ「千川ちひろ謹製!! 豪華お弁当遊園地バージョンです!! ……といっても、中身は普通のお弁当ですけど」
P「おお!」
ちひろ「レトルトカレーやパックのうどんに雰囲気代含めて1500円払うなんて愚の骨頂ですよ!
さぁ、プロデューサーさん、お弁当広げられそうな場所を探しましょう!」
P「そういえば、あっちの方によさそうな場所が」
ちひろ「じゃあ、そっちの方で!」
P「ちひろさん、お弁当持ちますよ」
ちひろ「あ、ありがとうございます!」
P「いただきます」
ちひろ「はいどうぞー」
P「……」
もぐもぐ
ちひろ「……」
P「……」
もぐもぐ
ちひろ「……どうです? お味の方は……」
P「……美味しい」
ちひろ「本当ですか!?」
P「嘘です」
ちひろ「……」
P「冗談ですよ、冗談。普通に美味しいです」
ちひろ「お口に合ったようで嬉しいです。自分以外の人に食べてもらうのって初めてだったので、ちょっと不安だったんですよねー」
P「ちひろさんが料理上手なんて意外……でも、ないですね。そういえば、いっつもお昼は手作りのお弁当でしたっけ」
ちひろ「毎朝早起きして作ってますからね! プロデューサーさんは出前とかコンビニのお弁当とかに頼り過ぎですよ!
栄養とかお金のこととか考えたら手作りのお弁当、これ一択です!」
P「とは言われても、早起きは苦手で……なんなら、俺の分作ってくれませんか? お金はそれなりに払うので」
ちひろ「……有給明けからでいいですか?」
P「えっ、いいんですか?」
ちひろ「もちろん! そういうお誘いなら大歓迎です!!」
P「じゃあお願いします」
ちひろ「はい!!」
P「あ、ちひろさん。飲み物ありますか?」
ちひろ「はい、ありますよー!」
P「……出来れば、スタドリ以外で」
ちひろ「……ちぇっ……まぁ、そう言うと思って今日は持ってきてますよ! 麦茶で良かったですか?」
P「もちろん。スタドリ以外ならなんでも」
寝ます、おやすみなさい
暇を見つけて逐次書いていくので、続きは暇が見つかり次第
2時間後かもしれませんし一週間後かもしれません
——— 1日目 12:05
ちひろ「お弁当箱、しまってきましたよー!」
P「どうもごちそうさまでした」
ちひろ「はい、お粗末さまでした。それじゃあ、プロデューサーさん、早速後半戦行きましょうか!!」
P「そうですね。あと正味4時間くらいしかないでしょうし」
ちひろ「あれ、夕方で帰っちゃうんですか?」
P「ナイトパレードなんかが無い日は夕方で閉まるんですよ、ここ」
ちひろ「そうだったんですか……じゃあ、行く場所考えて回らなきゃですね」
P「そうですね。なにか乗ってみたいアトラクションってありますか?」
ちひろ「んー……ウォーターアトラクションにはもう一回乗っておきたいし……
あ、でも、絶叫系もいいかも……でも、でも、ここはもう少し遊園地らしく」
P「ちなみに、次行く場所は俺の独断で決めてあります」
ちひろ「えっ」
P「この時間じゃないと、混みに混みまくるんでですね。出来るだけ早く済ませておかないと。
さぁ、行きますよー」
ちひろ「あ、ちょっと、待ってくださいよぉ!」
———
ちひろ「……」
P「さ、選んでくださーい」
ちひろ「な、なんで、後半戦の最初がお土産屋さんなんですか!?
こういうのって普通帰る時に選ぶものなんじゃ……」
P「まぁ確かに、普通はそうですね」
ちひろ「普通はそうですね……って、じゃあなんで……」
P「皆考えることは同じなんですよ。お土産は帰る時に買えばいいやー、って。
つまり、閉園前の帰宅ラッシュである夕方頃には、数十人・数百人のお客さんがお土産屋さんに殺到することになります」
ちひろ「……あー」
P「ご理解いただけましたか?」
ちひろ「でも、今買っちゃうと荷物になるんじゃ……」
P「コインロッカー代くらいなら俺が出しますよ」
ちひろ「あ、そっか。預ければ……って、あれ、お土産代は出してくれないんですか?」
P「……」
ちひろ「……出してくれないんですか?」
P「しょうがない……300円までですよ?」
ちひろ「300円って、それじゃあなにも買えませんよ! そんな、遠足のおやつじゃないんですから」
P「冗談ですよ。上限5000円でお願いしますね」
ちひろ「……あれ、プロデューサーさん、何見てるんですか?」
P「Tシャツですよ。どうです、似合うと思います?」
ちひろ「……さすがに、『リタイアの天才』や『Sランク敗北者』は卑屈が過ぎるんじゃないですか?
可愛い女の子に囲まれて、お仕事も順調、世間一般から見れば十分成功者だと思いますし……」
P「着るのは俺じゃありません。杏ですよ」
ちひろ「……あー……あれ、あのTシャツってプロデューサーさんが、こういう店で買ってたんですか?」
P「そうですよ。色々探さないとファンから『やっぱり杏ちゃんはめんどくさがってTシャツを着替えてなかった』とか言われますからね」
ちひろ「確かに、ネットとかで色々言われそうですね」
P「かといって、杏が自発的に買いに行くとは思えませんし。となるとここは俺がプロデューサーとして買っとかないと」
ちひろ「へぇー、案外色々考えてるんですね」
P「担当アイドルの事ですからね。考えても考えても考え足りないくらいですよ」
ちひろ「『一回休みの常連』 『労働条件改善希望』 『ザ・ニート』……うわぁ、本当に色々ありますね」
P「あ、ちひろさん、これなんてどうですか? ちひろさんにピッタリだと思いますけど」
ちひろ「え、どれです?」
『節約の鬼』
P「うーん、ピッタリ」
ちひろ「……もう! プロデューサーさんっ!!」
P「ははは、冗談ですよ、冗談。あ、こっちの『渡る世間は金ばかり』とかもよさそうですね」
ちひろ「じゃ、じゃあプロデューサーさんなんて……えっと……あ、これ! この、『実は見てますよ』とかピッタリじゃないですかね!」
P「服装といえば……ちひろさん」
ちひろ「はい?」
P「ちひろさんってそういう服も持ってるんですね。事務員服しか見てないからちょっとびっくりしました」
ちひろ「えへへ、どうですか、似合ってますか?」
P「似合ってますよ。さっきも言いましたけど、髪型も相まって、いつもとは違う感じが新鮮でなんだかドキドキします」
ちひろ「本当ですか!? えへへ、これですね、外出用のお洋服なんです! こういう時じゃないと着ませんからねー」
P「……」
ちひろ「……なんで黙るんですか」
P「いい大人が外出用のお洋服って……」
ちひろ「えっ、おかしいですか?」
P「……なんていうか……普通の女性ならまず出ない言葉だよなぁって」
ちひろ「……でも、有給が認可されるまでは週7日勤務で私服での外出なんてしませんでしたし……
そもそも事務服がほとんど私服の役割果たしてましたから!!」
P「じゃあ聞きますけど、その外出用のお洋服ってどれくらいあるんですか?」
ちひろ「四着です」
P「……」
ちひろ「……あ、ふ、冬服も合わせたら、八着あります! 八着!!」
P「……はぁ……」
ちひろ「あ、あと、パジャマが三着と、下着が」
P「ちひろさん」
ちひろ「……はい?」
P「明日、お暇ですか?」
ちひろ「えっ……ええ、まぁ、明日も有給ですし」
P「それは良かった。じゃあ明日、服を見に行きませんか?」
ちひろ「……そ、そんなにおかしいですかね……? 外出用のお洋服……」
P「……あ、そういえば事務所のお茶菓子が切れかけてましたっけ。
お茶菓子用にこのクッキー買いますね。経費で落ちますかね、これ」
ちひろ「ちょっと、話をそらさないでくださいよぉ!!」
P「……まぁ、そういう人が居てもいいんじゃないですかね?」
ちひろ「なんですかそのお茶を濁した回答!」
P「そうだちひろさん、会計一緒に持っていくから買う物渡してください」
ちひろ「あ、はい、お願いします……じゃなくて! プロデューサーさん、人の話をですね!」
——— 1日目 12:25
P「で、どれに乗ります?」
ちひろ「……プロデューサーさん、私、気付いたんですよ!」
P「何に?」
ちひろ「乗りものだけが遊園地じゃないってことにです!!」
P「じゃあ、射的とかします? 輪投げとか、」
ちひろ「違います! そんな縁日の屋台みたいな内容じゃありません!
私が言いたいのはですね、ズバリ、『乗らないアトラクション』があるってことですよ!!」
P「乗らない、ですか」
ちひろ「ふふふ、プロデューサーさん、覚えてませんか? とあるアイドルの言葉を!!
そのアイドルはこう言いました! 『遊園地と言ったら』!!」
P「遊園地と言ったら……ああ、成程。アレですか」
ちひろ「ええ、そうです。遊園地と言ったらお化け屋敷です!!
今まで二つが乗るアトラクションだったから、たまには歩き回るアトラクションなんかもいいんじゃないかなと思いまして!」
P「迷路とかミラーハウスとかじゃなくて?」
ちひろ「お化け屋敷です!! そんな所行ったって、やったーゴールについたーで終わりじゃないですか!
時間は限られてるんです、少しでも楽しみが多い所に行かなきゃ! さ、プロデューサーさん、お化け屋敷、行きましょう!!」
P「お化け屋敷はー……あっちですね」
P「にしても、ちひろさん、オバケとか平気なんですね」
ちひろ「へ?」
P「だってほら、よく居るじゃないですか。オバケ怖い〜!って女の子」
ちひろ「だって、存在しないからオバケなんでしょ? 存在しないものを怖がってちゃ、いくら保険があってもたりませんよ!
私としては、オバケなんかよりももっと現実的な問題の方が怖いですからね。費用とか、予算とか」
P「へえー」
ちひろ「……」
P「……」
ちひろ「……あれ、もしかしてプロデューサーさんってオバケとか信じてるクチですか?」
P「……信じてるか信じてないかで言えば、まあ、信じてますかね」
ちひろ「……ふふ」
P「どうしました?」
ちひろ「ふふ、あはははは! プロデューサーさん、オバケ信じてるなんて、ぷぷっ、笑っちゃいますね!」
P「……」
ちひろ「大の大人が、オバケ信じてるって……ぷくく!」
P「……ちひろさん」
ちひろ「ぷ、ふふ……なんですか? お、オバケでも居ましたかぁー? きゃーたいへーん、隠れないとー! くくく……ひゃぅっ!?」
ぐにぐに
P「一応言っておきますと、俺は『居てもおかしくない』と思ってるだけで、怖いわけじゃありません。
あと、俺が色々やりすぎたのは分かりますけど、貴女ちょっと笑いすぎです」
ちひろ「はひー……ほめんははいー……」
短いけど寝ます、おやすみなさい
火曜深夜26時(震え声)
今回は短かった分、続きは三日以内を心がけます
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません