ちなつ「京子先輩は優しい」 (35)
-駅前-
ちなつ「……」
ちなつ「…遅い」
ちなつ「遅い遅い遅い…」
ちなつ「むー………」
「…だーれだ?」ピトッ
ちなつ「……」
「……」
「だーれだ?」
ちなつ「…もうっ!」バッ
ちなつ「だーれだ? じゃないですよ!」
ちなつ「京子先輩、思いっきり遅刻してるじゃないですか!」
京子「いやー、ごめんごめん…」
ちなつ「10時集合って先輩が言ったんですよ!」
ちなつ「5分も遅刻…」
京子「ちなちゅー!」バッ
ちなつ「わっ!? 何するんですか!」
京子「ちなつちゃん、今日は誕生日おめでとう!」
ちなつ「あ、ありがとうございます…」
京子「あと遅刻してごめん!」
京子「昨日からずっと楽しみで全然寝れなかったから寝坊しちゃって…」
ちなつ「はぁ…もういいですよ、気にしないで下さい」
ちなつ「私だって…その…」
ちなつ「…楽しみにしてなかった訳じゃないですし」
京子「…!」
ちなつ「それよりもうすぐ…」
京子「ちなちゅー!」バッ
ちなつ「…ってまたですか!?」
京子「ほらっ、もうすぐ電車来ちゃうよー!」
ちなつ「わ、わかってますって! だからそんなに引っ張らないでくださいよー!」
京子「~♪」
―
-遊園地-
京子「大人2枚~!」
ちなつ「すいません、わざわざ…」
京子「いいって別に! せっかくのちなつちゃんの誕生日なんだからさ!」
京子「…はい、チケット!」
ちなつ「えへへ、ありがとうございますっ」
京子「それじゃ、行こっか!」
ちなつ「はいっ!」
―
京子「結構広いなぁー…」
ちなつ「そうですねー」
京子「どこから回りたい?」
ちなつ「京子先輩が決めていいですよ」
京子「いやいや、今日の主役はちなつちゃんなんだから!」
ちなつ「そう…ですか?」
京子「うん、遠慮しないでいいよ!」
ちなつ「わかりました!」
ちなつ「じゃあまずは…」
グー
京子「……」
ちなつ「…ご飯、行きましょうか」
京子「面目ない!」
-レストラン-
京子「ちなつちゃん何にする?」
ちなつ「まだ決まってないです」
ちなつ「京子先輩は?」
京子「私はこのカレーにしよっかな」
ちなつ「うーん…じゃあ私はハンバーグセットにします」
京子「じゃあ私もハンバーグセットにしよーっと」
ちなつ「えっ、カレーはいいんですか?」
京子「それも捨てがたいけど、ちなつちゃんと一緒のものが食べたい!」
ちなつ「先輩の好きなものを頼むといいですよ」
ちなつ「少しぐらいなら分けてあげますから」
京子「ほんとっ!?」
ちなつ「はい」
京子「私ちなつちゃんが食べたい」
ちなつ「やっぱり分けません」
京子「ああっ! 嘘! カレーにします!」
―
京子「お腹いっぱいだー」
ちなつ「食べ過ぎですよ…」
ちなつ「…で、次はどこに行くんですか?」
京子「んー…あっ! あれ行こう!」
ちなつ「あれって…?」
京子「ほら、あそこ」
ちなつ(! お、お化け屋敷…!)
ちなつ「き、京子先輩! それより…えーっと…」
ちなつ「…あれ! コーヒーカップ行きましょうよ!」
京子「コーヒーカップ?」
ちなつ「はい! あっちの方が面白そうですし!」
京子「そっか、わかった!」
ちなつ(ふー…)
京子「じゃあお化け屋敷終わったら行こっか!」
ちなつ「ってなんでそうなるんですか!?」
京子「大丈夫大丈夫! 怖くないって!」
ちなつ「べ、別に怖くなんかないですよ!」
京子「なら行けるよね!」
ちなつ「でも…」
京子「大丈夫だって! 私が付いてるからさっ」
ちなつ「……」
ちなつ「…絶対、離れたりしないで下さいね…?」
京子「任せて!」
―
-お化け屋敷-
ちなつ「暗い…暗いです…」ギュー
京子「ち、ちなつちゃん…くっついてくれるのは嬉しいんだけど…」
京子「ちょーっと力が強くないかい…?」
ちなつ「うぅー…」
京子「……」
京子「大丈夫、ちなつちゃん」
京子「私の命に変えても、ちなつちゃんは私が守るから!」
ちなつ「京子先輩…」
京子「だからさ、もうそんなに怖がら」
『ヴオオオォォォォォォ!!』
ちなつ「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
ギューーーーー
京子「ぬぎゃああああぁぁぁぁぁ!!」
ちなつ「! いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ギューーーーーーー
京子「ぐああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
―
ちなつ「本っ当にごめんなさい!」
京子「大丈夫…大丈夫だから…」
京子「それより、他のところも回ろっか…」
ちなつ「あ、歩けますか…?」
京子「一応…」
ちなつ「…掴まって下さい。 肩ぐらいなら貸しますから」
京子「ありがと…それじゃ、お言葉に甘えて…」
京子「ちなちゅー!」バッ
ちなつ「わーっ!? 全然元気じゃないですか!」
京子「ふっふっふ!」
ちなつ「離れてください!」
京子「ああん」
ちなつ「もうっ! 置いてますよ!?」スタスタ
京子「ま、待ってよ~!」タッ
―
京子「えーっと…」
京子「コーヒーカップにジェットコースターは乗ったから…」
京子「まだ乗ってないのあるかな?」
ちなつ「もうほとんど乗りましたね」
京子「そっかー」
京子「じゃあ次は売店とかにも行ってみよう!」
ちなつ「わかりました!」
―
-売店-
京子「おー、変わったお菓子!」
ちなつ「なんですかそれ…」
京子「えーっと…クッキーだって! くらげ…」
京子「…味の」
ちなつ「形じゃなくて味!?」
ちなつ「なんか全然美味しくなさそうなんですけど…」
京子「たしかに」
ちなつ(……)
ちなつ(…あっ、この猫のストラップ可愛いなぁ)
京子「ちなつちゃん、外だいぶ暗くなってきてるよ!」
ちなつ「え? あ、ほんとだ…」
京子「私、最後に乗りたいのあるんだけどいいかなっ?」
ちなつ「乗りたいものですか? いいですよ」
京子「やった! それじゃあ早速行こー!」タッ
ちなつ「ま、待ってくださいよっ!」タッ
―
京子「…あっ」
ちなつ「? どうかしましたか?」
京子「忘れ物した」
ちなつ「えぇっ!? 何を忘れたんですか!?」
京子「ちょっと…ね」
ちなつ「どこに忘れたんですか?」
京子「場所はわかってるから取りに行ってくる!」
ちなつ「じゃあ私も…」
京子「いいっていいって! すぐ戻るから待ってて!」タッ
ちなつ「わ、わかりました…」
―
京子「お待たせ! ごめんねっ!」
ちなつ「私は別にいいですけど…忘れ物は見つかりましたか?」
京子「あ、うん! バッチリ!」
ちなつ「それなら良かったです」
京子「それじゃ、行こっか!」
ちなつ「はい」
ちなつ「ところで、乗りたいものって何ですか?」
京子「観覧車!」
ちなつ「観覧車…ですか」
京子「うん! ダメ?」
ちなつ「いえっ、全然大丈夫です」
京子「よっし!」
京子「…ねっ、ちなつちゃん、手繋いでいい?」
ちなつ「……」
ちなつ「きょ、今日だけですよっ」
京子「やったー!」
ギュッ
京子「たしかこの前の時もそうだったよね」
ちなつ「何がですか?」
京子「ちなつちゃんの『今日だけ』!」
ちなつ「う…」
京子「優しいね、ちなつちゃん」
ちなつ「や、優しいって…」
ちなつ「…変な事言ってないで早く行きますよ!」
京子「はーい」
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