五次創作ぐらい
地下深くに作られた部屋。暗い室内で肘掛けを備えた椅子に手足を縛り付けられたアニと傍らに立つサシャ
サシャ「水晶化してからの記憶はあるんですか?」
アニ「サシャ……あれからどのくらい経ったんだい?」
サシャ「残念だけど答えられません。質問はこっちがしますから。アニはただ答えるだけ、いいですか?」
アニ「そっか、あんたが尋問役ってことか。……ところで前にもなかったけこういうシチュエーション?」
サシャ「え、そうでしたっけ? 私の記憶にはありませんが……」
アニ「うーん……なんか前にもこういうの記憶にあるんだけど……思い出せないからまぁいいや」
アニ「それにしても、アンタが私の尋問担当なんて、少し意外だね」
サシャ「えっ?」
アニ「てっきりアンタはこういうのダメな人間なんだと思ってたよ。悪いけどアンタ臆病だしさ」
サシャ「え、意味がよくわかりませんが……?」
アニ「てっきり私を尋問するのは調査兵団のハンジ分隊長みたいな変態だと思ってたよ。それがよりにもよってアンタが尋問係なんて……」
サシャ「あ、そこですかぁ!」
アニ「え?」
サシャ「いやだなぁ、アニは私が担当するのは尋問じゃなくて『拷問』ですよぉ(ニコォ)」
アニ「……!?(ゾクッ)」
サシャ「アニみたいな人がそう簡単に口を割るとは思えませんからねぇ!(ケラケラ)」
アニ「(こ、コイツ……! なんて殺気を……まるで大熊を相手にしてるような……!)」
サシャ「でも正直、私の良心も痛むんですよね。かつてはルームメイトだった子を拷問するなんて、ねぇ?」
アニ「……そりゃどうも。どう考えても今更な情けだと思うけどね」
サシャ「まぁというわけで、そういう私がしたくもないことをする前に、アニが知ってることを全部を白状してくれれば、
お互い不幸にはならないはずです。これが私とアニの間のゲームのルールです……いいですか?」
アニ「勝手にしなよ。言っておくけど、私は戦士の誇りに誓って何も喋らないよ」
サシャ「ハァ……そうですか。ならお望み通り、やりたくもない拷問をしてあげますよ。覚悟はいいですか?」
アニ「……ふん。これでアンタも下衆の仲間入りさ、喜びなよ」
サシャ「ではお言葉に甘えて……」
アニ「(大丈夫……落ち着け、サシャ如き、隙を見て逃げ出すぐらいのことは簡単に……!)」
サシャ「あ! 何故かこんな地下牢に炊飯器が!(パンパカパーン)」
アニ「!?」
釜<ピーッピーッ
サシャ「おぉ! ちょうどご飯が炊き上がったようですよ!」
アニ「はぁ……? おい……!」
サシャ「早速開けてみましょう……ひらけー、ゴマッ!(パカッ)」
モワァァァァ……ジュウウウウ……
アニ「……っ!?」
サシャ「んむぅ、さすが新米、いい匂いがしますなぁグヘヘヘ……」
アニ「……お、おい、アンタ一体何のつもり?」
サシャ「あ! そうでした、アニもいたんでしたね! 炊きたての新米の匂いはアニも好きでしょ?」
アニ「は、はぁ――?!」
サシャ「そう縛られてたんじゃよくわからないでしょ? ホラホラ、嗅いでみてください(パタパタ)」
アニ「うッ……!? や、やめなよ……!」
モワァァァァァ……
アニ「……っ!? 煙ッ……!」
サシャ「ちなみにこのお米、あきたこまちなんですよ」
アニ「そ、そんなどうでもいい話……!」
グゥウウウウウウウ……
アニ「!?/////(カァァァァッ)」
サシャ「あら? 何か聞こえましたね? 何の音でしょう?」
アニ「く、くッ……! 私を辱める気か!」
サシャ「グヘヘ……さてと。私は小腹がすいたのでお夜食の時間にしますよ」
アニ「ふ、ふん! 夜食とは随分のんきだね!」
サシャ「では早速、このツヤツヤ新米ご飯に~(ヨソイヨソイ)」
アニ「……!」
サシャ「冷蔵庫からバターを取り出して~、と」
アニ「うッ!?」
サシャ「適当にバターを絡めたところに醤油をかけて~(チョロチョロ)」
アニ「っ……!」
サシャ「醤油バター御飯でいただきまーす!」
サシャ「ハフハフ……んー! んまい! んまぁいですよぉ!(ガツガツ)」
アニ「んんッ……!(ゴ……ゴクリ)」
サシャ「ほらアニ見てくださいよ! 濃厚なバターの味に醤油が絡まってお箸が止まりません!(ガツガツ)」
アニ「くっ! そ、そんな臭いもん人の鼻先でガッつくんじゃない!(ギューグルグル)」
サシャ「臭いなんてひどいなぁ、こんなにホッカホカなのに、ホラ(ガツガツ)」
アニ「あうぅ……!(ググゥー)」
サシャ「おやまぁ、体は正直なようですねぇ。アニの胃袋は物欲しそうに蠢いてますよ?(クスクス)」
アニ「(く、くそ……こんな下賎なメニューに……!)グーギュルギュル」
サシャ「ふう、さて醤油バターご飯の次は……」
アニ「ま、まだ食べるの……?」
サシャ「そりゃあまだまだ夜は長いですからね。アニも一緒にどうです?
もちろん、それと引き換えに巨人の秘密を話してくれたら、の話ですけど」
アニ「ふざけるんじゃないよ。誰がそんな下賎な食べ物に(グゥゥー)……っ!/////(カァァァ)」
サシャ「あはは! もうお腹の音も隠せませんか! その調子でどんどん自分を解放してください!」
アニ「ぐ……この鬼畜が……!(グーグル)」
サシャ「グヘヘ……では次の一品に移りますか(ジャジャーンキルシュタイーン)」
アニ「!? そ、それは……!」
サシャ「何を驚いてるんですか? ただの冷凍食品のピラフじゃないですか」
アニ「せ、せっかく炊いたお米は使わないなんて、贅沢な奴だね!」
サシャ「やだなぁピラフなんて作るのに手間がかかるじゃないですか。だからこそですよ。さぁてこれを早速……(ビリビリ)」
アニ「くっ……このいやしんぼが……!(グルグル)」
サシャ「このフライパンの上に開けて……(ジュウウウウウ)」
アニ「は、はぁ!? な、なんで冷食をわざわざ炒めるの!? ラップしてレンジでチンすればいいだろ!」
サシャ「やだなぁ、お米が十分に油を吸ってこそのピラフじゃないですかー。
……ホラ、フライパンから香る油の弾ける音がいい感じでしょ?(ジュワアアアア)」
アニ「ぐうッ……! べ、別に! チンしたのと違いがあると思えないね!(ググゥー)」
サシャ「グヘヘ……。さて、適当に炒め終わったのでこれを皿にヨソって……(ヨソイヨソイ)」
アニ「ッ――!(グォォォォォ)」
サシャ「これをダイエットコーラと一緒に……んまァーいッ!!(ガツガツ)」
アニ「……う!(グルグル)」
サシャ「ん~~! 米粒に絡む艶やかな油の舌触り! プリップリのエビの小気味よい歯ごたえやコーンの粒感!
コーラで口の中の油を胃に流し込む快感! そして夜中にこんな高カロリー食を食べているという背徳感!(ガツガツ)」
アニ「……ッ! ば、馬鹿だね! そんなんじゃ夏までにとても人にはお見せできない身体の出来上がりさ!」
サシャ「それでもいい! 今この瞬間にすべての自分の命運を預けてしまいたくなる極味が今ここにぃ!(ガツガツ)」
アニ「んんんッ――!(ギリギリグググゥゥッ)」
サシャ「……ん? なんですかひもじそうな顔して。味見します?」
アニ「――ッ! ふっ、ふざけるなッ! 誰が冷凍食品なんかに魂を売るもんか!」
サシャ「あら残念。……あぁあ美味いなー! アニは食べられないなんて可哀想だなぁ~(ガツガツガツガツ)」
アニ「ぐぅぅ……! まだ、まだ屈しないぃ……私は、私は戦士なんだ……!(グールグル)」
サシャ「その威勢がいつまで続きますかね……。もうそろそろ効いてくる頃でしょうし」
アニ「ぐ……い、一体何を言って……?」
ド ク ン !
アニ「……!?? ぅあ……ッガ――!?(ギュルルルルルルゴゴゴグググゥーーッ)」
サシャ「あはは、やっと効いてきましたね」
アニ「ギィッ――!(な、なんだ突然……!? い、胃が裏返りそうな空腹が……!)」
サシャ「どうです、凄い空腹感でしょ? さぞ辛いでしょうねぇ、ククク……」
アニ「な、何だ――ッあ……! ……あ、アンタ、わ、私の身体に、何をした……!?(ゴゴゴギュルルルルル)」
サシャ「さっきからこの部屋中に甘い匂いがしません? 実はこの香り、マックの揚げたてフライドポテトの匂いなんですよ」
アニ「! きっ、貴様ァ……!(ギューグルグル)」
サシャ「私は平気ですが。ま、よくもこれだけ長い時間無自覚でいられたもんですよ。戦士っていうのは伊達じゃないですね」
アニ「……うぅ! ぐ……!(あ……頭がクラクラして……な、何も考えられなくなる……! お、おなかが……!)」
サシャ「ククク……この匂いを嗅いだら最後、自ら食べ物を求めるようになっていくんですよ(ニタニタ)」
アニ「こ、の……!(悔しい……こんなジャンクフードの匂いなんかに……!)」
ンマァァァァァイッ……
アアアアアァァァァ……
アルミン「うわっ!? 地下牢からもの凄い悲鳴が……!」
アルミン「きっと巨人化能力者も僕らと同じで痛みは消せないんだ……」
アルミン「サシャがやたら自信満々に『私に任せてくださぁい!』とか言うから任せてみたら、そ、想像以上だ……!」
アルミン「あのクールで無口なアニがこんなにも悲鳴をあげるなんて……」
アルミン「……サシャ、どんな拷問してるんだろう……?」
アルミン「……怖っ! 考えたらサブイボ出てきた……! 早く帰ろ……!(ガタガタ)」
――――
サシャ「……ゲェップ。ピラフも食べ終わりましたね。腹二分目ぐらいにはなりました(ポンポン)」
アニ「げ、げほっ、ゲホッゲホッ! ッカ――!(ガクガクガクガク)」
サシャ「うひゃあ。こんなに上の口から涎垂らしちゃって……とんだ戦士様もいたもんですねぇ(ケラケラ)」
アニ「ぐ……! ふーっ……ふーっ……!(グーグーギュルルル……)」
サシャ「あ、やっぱ堪えました? まぁ常人なら一分で気が狂うような飢餓感でしょうしねぇ!」
アニ「う……!」
サシャ「さぁて、どうです? 秘密を話す気になりましたよね? アニが素直に話してさえくれれば……」
アニ「……! ……ペッ!」
サシャ「(ビチャ)」
サシャ「……それがアニの答えね?」
アニ「戦士をナメんじゃなよ、芋女風情が……!(キッ!)」
サシャ「……ええよ。アニには飢える恐怖を骨の髄まで教える必要があるってわかったけん、しよんのなかね(フキフキ)」
アニ「……やってみな。私の身体は支配できても、心までは支配できないよ!」
サシャ「お望みとあらば、喜んで……よいしょっと(ガタン)」
アニ「!? そ、その鍋は……!?」
サシャ「カレーが入った鍋ですよ。今晩のご飯はカレーだったんで持ってきちゃいました」
アニ「カレーか……調査兵団ってのもなかなかいいモン食ってるんだね……」
サシャ「ヒヒヒ……もしかしてアニ、カレーは重すぎて夜食にならないかとか思ってるんじゃないですか?」
アニ「!(ギクッ)」
サシャ「あはは、アニってば考えてることが全部顔に書いてますからねぇ」
アニ「ぐ……ふ、ふん! で、どうするんだい? あいにくカレーなんて憲兵団で飽きる程食べてるんだけど?」
サシャ「ククク……」
アニ「な、何が可笑しい!?」
サシャ「いや失敬失敬、アニの考えが予想以上に甘いので、つい……。そんな怖い顔しないでください、つるかめつるかめ」
アニ「な、何だと……!?」
サシャ「いくら内地勤務の憲兵団様でも、これは食べられないと思いますよぉ?(ドロリ)」
アニ「はっ……!? ま、まさか……!」
サシャ「そうです。食事が終わって冷えてドロドロになったカレーです!」
アニ「ぐうっ!?(ググゥ)」
サシャ「冷えて数時間経ったカレー……いくら憲兵団でも、こればっかりは家庭でしか味わえない味ですよねぇ?」
アニ「あ、あぁ……な、なんて卑劣な……うぅ……!(グーッググーッ)」
サシャ「アツアツ状態とはまた違った食感、各具材によく染み込んだ味、これを鍋から……父さんや母さんにバレないように……(キョロキョロ)」
アニ「あ、も、や、やめて……!(ギュルルルルル)」
サシャ「お玉で鍋から直接、行儀悪く……! ハフッ……んまァーいッ!! 味がよく染みてて最高です!!(ガツガツ)」
アニ「うっ、うあああああああ……! ぐわぁぁぁぁぁ! (グゴゴゴゴガクガクガクガク)」
アニ父『ほらアニ、もう9時だぞ、いい加減寝なさい』
豆アニ『……父さん、お腹すいた(グー)』
アニ父『さっきカレー食べたばかりだろ? それに、食べてすぐに寝ると牛さんになっちゃうんだぞ?』
豆アニ『そんなの嘘だもん! 私知ってるんだもん! ごはん! ごはん!(ジタバタ)』
アニ父『コラコラ、父さんを困らせるんじゃない、身体に悪いんだから。明日の朝ご飯まで辛抱しなさい』
豆アニ『でぇーもぉーでぇーもぉー!(ジタバタ)』
アニ父『ダメだったら。ほら、おトイレ行って来て。もう明かり消すから』
豆アニ『ちぇー(トボトボ)』
豆アニ『……あ、台所にさっきのカレーのお鍋ある』
豆アニ『冷めてる……。……(グー)』
豆アニ『……味見だけ、味見するだけなら……(イソイソ)』
豆アニ『……何コレうままっ。うままっ……!(ガツガツ)』
サシャ「んー、夜食というよりつまみ食いであること、お行儀の悪さ、これは二重の意味で背徳感が……ゲプ」
アニ「あ……ああ、あ……!(ガクガクグーグー)」
サシャ「おんやぁ? どうしたんですそんなに震えて。低血糖ですか?」
アニ「だ、まれ……!(グゥーグゥー)」
サシャ「あ、わかった! アニってば、家庭的な味に飢えよっとね!」
アニ「……!(ギクッ)」
サシャ「顔色が変わったとこ見ると図星っぽいですね。わかりますよぉ、私にも田舎がありますから」
アニ「……あんたみたいなゲスに共感してもらえるとは、反吐が出るほど光栄だね」
サシャ「ククク……ヨダレまみれの口でよく吠えますね。では、これはどうでしょう?(サッ)」
アニ「……! あ、うう……!」
サシャ「見えてますか? 魚肉ソーセージですよ?」
アニ父『はぁー今日も訓練疲れたなぁ。アニもよくついてきたな。偉いぞ』
粒アニ『……毎日言ってるけど、私はただ父さんのわけわかんない理想に付き合ってるだけなんだからね?』
アニ父『戦士になるためには必要な訓練なんだよ。文句はなし! 恨み言もなし!』
粒アニ『はぁ……いつもそれだね』
アニ父『さぁーて、風呂も入ったし、ビールだビール!』
粒アニ『はいはい、よく冷えてますよっと』
アニ父『おう悪いなアニ! もうひとつ、ついでにいつものアレも頼む!』
粒アニ『はいはい、ちょいと待っててね』
アニ「……や、やめろ……それだけは、それだけは!」
サシャ「もうやめてと言うなら巨人の秘密を喋ってからですよ。どうします? 話してくれますか?」
アニ「あ、ぐ……!(だっ、ダメだ! こんな悪魔に秘密を話したら、ライナーやベルトルト、父さんまで……!)」
サシャ「うふふ……欲望に抗う必死なアニの顔見てたら、少し苛めたくなっちゃいましたねぇ……(ニッタァァァ)」
アニ「……!」
サシャ「さて、魚肉ソーセージを包むフィルムを剥いで……お皿に乗せて……(ムキムキ)」
アニ「そっ、そんなもん、直接齧りつけばいいじゃないか……!」
サシャ「これに醤油とマヨネーズ、七味唐辛子……と(ヌリヌリ)」
アニ「ッカ……!(ギュルルルルルルルルルルグギギギギギ)」
サシャ「これをさっと……チーン! して、簡単おつまみの出来上がりです!(ジュウウウウウウ)」
アニ「オエッ……! オエエエエエエエッ……ガッハ!(グギギギギギギギギギギ)」
粒アニ『はいできたよ、父さん(ジュウウウウ……)』
アニ父『おぉすまんすまん。いやーこれが美味くてねぇ。ビールに合うんだよなぁ』
粒アニ『まったく、こんな安あがりなつまみで幸せになれる父さんが羨ましいよ』
アニ父『お前も酒が飲めるぐらいの年齢になればわかるさ。……どうだ、お前も少しつまむか?』
粒アニ『乙女にはもう少し上等な食べ物を勧めなよ。じゃあ私もお風呂行ってくるから』
アニ父『やれやれ、つれない娘だなぁ。誰に似たんだか』
ゴウンゴウン……チーン!
粒アニ『マヨ魚肉ソーセージうままっ……うままっ……!(ガツガツ)』
サシャ「グヘヘ……やっぱり眼の色が俄然違います。こういうのがアニの好みなんですね」
アニ「あ……ガ……! や、やめ……んぐ……!(gleeオドルガッショウブ!?)」
サシャ「アハハ、もう言葉も話せませんか。そんなんで果たしてあと何分持ちますかね?」
アニ「(正気だ! 正気に戻れ私……! コイツに弱みを見せるんじゃない……!)」
サシャ「さて、ここでよく冷えた缶ビールっと。未成年だけどたまにはいいっしょ(カシュッ)」
アニ「!? ……あ、あぁ、それは……それだけは!(ガクガクガクガク)」
サシャ「じゃあいただきまーす!(ガツガツ) ……さて、マヨ七味魚肉ソーセージをビールを流し込んで……(グビグビ)」
アニ「あ、あぁあぁぁあ……!(グーグルルルルルルル)」
ハンネス「……ぷっはーッ! この一杯のために生きてるなぁ!」
アニ「ああぁあああああああぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁああぁ!!(グリリリリリリリリリリーッ)」
サシャ「おおぅいけね、ついつい『缶ビール飲ませたら日本一』のハンネス工兵隊長の声が出ちまいました」
アニ「ゲホッ! ゲホゲホッ! オエッ……! ……っく、はぁーはぁー……!(グーグーダラダラ)」
サシャ「さてさて、もういい加減喋らないと、頭の方がトンんじゃいますよ? ……グビグビ、プッハァ!」
アニ「ッ……! 常日頃からカロリー制限してる乙女が、このぐらいでへこたれると思うな……!(グーゴゴゴ……)」
サシャ「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
アニ「(ビクッ)」
サシャ「カロリー制限、カロリー制限ッ! 言うと思ってましたよ! ダイエット!? 運動!? 規則正しい生活!?
まったく笑わせてくれますねぇ乙女とやらは! そんな脆くて矮小なプライドは、夜食が持つ圧倒的力の前にはすべからく無力だというのに!(ゲラゲラ)」
アニ「な、なにを……! く、クリスタやミーナはちゃんとカロリーを計算して、体重をキープしていただろ!?」
サシャ「ほう、言い切りましたね。ですが、これを見ても同じことを言えますかね?(シャッ)」
クリスタ「おいひぃのぉ……魚肉ソーセージおいひぃのぉ……あむあむ(ジュルジュル)」
アニ「く、クリスタ!? 一体どうして……!?」
サシャ「グヘヘ……アニの心を根本からへし折るために、少しばかり洗脳させてもらいました」
クリスタ「おいひぃ……魚肉とマヨネーズは凄く合うのぉ……お夜食もっと食べるのぉ……(ジュルジュル)」
サシャ「哀れなもんでしょ? ちょっとばかり『間食最高!』ってそそのかしてやったらあの通りですよ」
アニ「な……!?」
クリスタ「あぁ……あぁあ……マヨネーズ……マヨネーズの白いの、いっぱいわたひのお口にちょうらぁい……(レロレロ)」
サシャ「あーあー、あんなに腹ボテになって……この分じゃ、流石の女神もプクプクの豚さんになっておしまいですねぇ」
アニ「……! わ、私はともかく、アンタとクリスタは仲間じゃないか! よくも仲間を、こんな、こんな……!」
サシャ「なーに、演出上必要な小道具ってヤツですよ。こういうのないと盛り上がらないでしょ?(ケラケラ)」
アニ「……!(ゾクッ) ……あ、アンタは悪魔だよ! 本物の、悪魔だ……!」
アニ「お、おいクリスタ! 正気に戻りな! アンタにはライナーやユミルだっているだろ!? しっかりしろッ!」
クリスタ「……あぁぁ? もうソーセージない……。おかわりぃ、おかわりほしいのぉ、おかわりぃ……!(ガクガク)」
アニ「く、クリスタ!? あ、ああぁ、そんな……!」
クリスタ「おかわり……ほしい……おかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわり
おかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりおかわりぃい(ガタガタ)」
アニ「く、クリスタ! くっ……!」
サシャ「ホラホラ誰が目を逸らしていいって言ったんですか! ちゃんと見て!(グイッ)」
アニ「や、やめて……! 見たくない……あんなクリスタは見たくない……!」
クリスタ「おかわりおかわりぃ……レロレレォ」
サシャ「アハハハハハハ! 自分から夜食を求めるとはとんだ淫売ですね! 女神も堕ちたものですよ!」
アニ「死ね……この腐れ外道! ぐうゥッ……!」
サシャ「さーさ、クリスタ? おかわりならハンジ分隊長にお願いしてくださいね?」
クリスタ「さしゃぁあ、一緒に食べよ? 魚肉ソーセージおいひぃよぉ?(レロレロ)」
サシャ「後でたくさん食べますから。……さーさ先輩のみなさーん、この娘をお願いしますねー!」
ガチャ、バタム……
アニ「……アンタがこんな外道だって知ってたなら、訓練の時に事故に見せかけて殺しておけばよかったよ(ギリッ)」
サシャ「おー怖い怖い。……さて、そろそろおりこうさんになりましょ? アニもああなりたいですか?」
アニ「へ? ……わ、私がさっきのクリスタみたいに……?(ゾクッ)」
サシャ「そうなると私としても困りますんで。……この魚肉ソーセージ、食べたいでしょ?(グリグリ)」
アニ「っ! や、やめて! や、やぁっ……! なにこれ……生臭い……き、きもち悪い……!(グリグリ)」
サシャ「ほらほら、その可愛いお口でズッポリ根本まで咥え込みたいって顔に書いてありますよ?(ペシペシ)」
アニ「……ッ! ナメるんじゃないよ……!(キッ!)」
サシャ「……。……気に入りませんね、その反抗的な目!(ペチーン)」
アニ「ッグハ!(ペチーン)」
サシャ「どうなんです? ホラホラ、食べたいって正直に言ってみてくださいよ(ペチーンペチーン)」
アニ「あぎっ! ぐはっ! (ペチーンペチーン)」
アニ「……っぐ……! はーっ……はーっ……!」
サシャ「さぁ、どうなんです?」
アニ「……! ……」
アニ「……♪トンヘームルグァ、ペクトゥーンサニ、マールーゴタルットーロー!」
サシャ「……! ……このぉッ!(ペチーンペチーン!)」
アニ「がはっ! ぐあっ!(ペチーンペチーン!)」
サシャ「ハァハァ……手間かけさせないでくださいよ。……さぁ、ただ一言、『慈悲を!』と言えば……」
アニ「♪トンヘームルグァ、ペクトゥーンサニ、マールーゴタルットーロー!」
サシャ「……! ……(フーッ)」
サシャ「強情ですねぇ。これはもう、私も人の心も捨てる他なかね」
アニ「アンタに人の心なんかあったのかい? この悪魔め(ゼーゼー)」
サシャ「ふん、これだけはいくらなんでも出さんつもりやった……ばってん、しよんなか、本当にしよんのなかね。
私にこうさせたのはアニやけん、もし気が狂っても恨まんやってね?」
アニ「安心しなよ、アンタが攻めあぐねて音を上げる方が先さ(大丈夫……ただの脅しだ!)」
サシャ「できれば、できればこれは……本心から、出したくないと思ってましたよ?(サッ)」
アニ「!? ……!!!?」
サシャ「さすがに信じられない、って顔ですね? そうです、夜食の王様、チャルメラ(塩味)ですよ……」
アニ「そ、そんな……! う、嘘だろ……そんなもん夜中に食べたら体重が……!」
サシャ「今更ですねぇ。いちいち体重のことなんか気にしてたら夜食なんて食べられませんって……
さぁて早速麺を茹でて……あはん、いい匂いですねぇ……(グツグツ)」
アニ「ぐッ……! 下衆が……!(ギューグルグルグル)」
サシャ「器に置いたスープの元を煮汁で溶いてーの……」
アニ「い、いちいち説明するんじゃないッ……!(ギュギュギュギュルギュルギュル)」
サシャ「呆れるほどに強情ですねぇ。一言と『食べさせてください』と懇願すれば、味見ぐらいはさせてやる用意があるんですがね……」
アニ「だっ、誰がそんなことするもんか!」
サシャ「あーら残念、ならば苦しんでもらいますね……いただきます……フーッハフハフ……ズズッ、ズズズズズーッ!」
アニ「ぐああああああああッ!! お腹が、お腹ああああああああっ!(ググゥーググゥービクビクッ)」
小アニ『……(カリカリ)』
アニ父『(コンコン)父さんだ、入るぞ』
小アニ『どーぞー(カリカリ)』
アニ父『父さんもう寝るぞ……ってアニ、まだ勉強してるのか?』
小アニ『真に優秀な戦士は腕っ節でなくて頭で戦うんでしょ?(カリカリ)』
アニ父『たはは……お前には苦労かけるな』
小アニ『……別にいいよ、自分のためでもあるからさ』
アニ父『……。そうだ、アニ、お腹減ってないか?』
小アニ『え……? ……うん、まぁ、減ってるかも』
アニ父『ちょっと待ってろ』
小アニ『?』
アニ父『(コンコン)入るぞ』
小アニ『なんだよ父さん……って、何これ?』
アニ父『ラーメン。やっぱ夜食にはこれだろ(ホカホカ)』
小アニ『……あのねぇ父さん? 女の子にはダイエットって厄介な概念があるの、知ってる?』
アニ父『たまにはいいだろ、な? ほら、ネギもたっぷり刻んだし』
小アニ『はぁ……。いいよ、ありがたく受け取っておくよ』
アニ父『ははは、そうか。……じゃあなアニ、勉強もほどほどにな?』
小アニ『はいはい、おやすみ(バタム)』
小アニ『……ラーメンうめぇー。やっべぇチャルメラの塩味超好き。うままっ、うままっ……!(ズルズル)』
アニ「ぐっ……はぁー……はぁー……ガフッ!(グーグルルルル)」
サシャ「おやおや、なんですか情けないなぁ……。まだ最初の一口しか食べてませんよ?」
アニ「くっ、ま、まだだ……! たかがラーメンごときに……!(グーググー)」
サシャ「まだまだ地獄はこれからですよ……ズゾゾゾゾッ、ハフハフ……ズズーッ! ハフシハフシ……」
アニ「ぐ、あぁ……!(落ち着けアニ・レオンハート! 見るな! 五感を閉じて何も感じるんじゃない!)」
サシャ「ハフハフ……ズズーッ! ズゾゾゾゾズートルビ……、あ、いけね、ネギが飛んだ」
アニ「……!(く、も、もう意識が……! 父さん、私に力を……!)」
サシャ「ズズーッ! ……ふぅ。もう半分は食べましたかね?」
アニ「(あ……あと半分……な、なんとか耐えられる……!)」
サシャ「じゃあここらへんで、ラーメン恒例の味変祭りと行きましょうか……(ニタニタ)」
アニ「!?」
サシャ「まず、おろしニンニクをたっぷり入れてー……(ニュルルルルル)」
アニ「そ、そんなにニンニク入れたら……明日の朝みんなに大顰蹙を買うのに……!」
サシャ「さらにこれにバターを載せてーの……スイートコーンを載せてーの……胡椒を振ってーの……」
アニ「あ……も、や、やめっ、やめて……!」
サシャ「んーいー香りだなぁー。それじゃいただきまーす。……ハフハフ……ズズッ! ズゾゾゾゾゾーッ!」
アニ「ひぎぃぃぃ! やめてぇ夜中にそんないい音立ててチャルメラ食べないでぇぇぇぇっ!(ググググゥーッギリギリミチミチ)」
アニ父『おーい、そろそろメシにしよう』
中アニ『はいはい。ほら、父さんの大好きなインスタントラーメンだよ』
アニ父『おっ、嬉しいねぇ! これがなかなかどうして旨いんだよな……ズズズッ!』
中アニ『いただきます。……ズルズル(貧乏味覚は遺伝するのかね? 私も大好きだし)』
アニ父『おいアニ、胡椒取ってくれ。あとニンニクとバター』
中アニ『……またニンニク入れるの? まだ昼間だよ?』
アニ父『いいだろ今日は休日だから誰とも会わないんだし。うりゃ(ネリネリ)』
中アニ『はぁ、マナーがなってない父親を持つと苦労するよ(ネリネリ)』
アニ父『なんだよぉ、お前だって結局ニンニク入れるんじゃないか』
中アニ『私はいいんだよ。後で牛乳飲むし(ネリネリ)』
アニ父『ちぇー、可愛くない娘だなー』
中アニ『(ニンニク入りラーメンうままっ! うままっ! うんめぇ~)ズルズル』
アニ「ガハッ……! ゲホッ、ゲホゲホッ! う……!(ダラダラ)」
サシャ「あーあーもーこんなにヨダレ垂らしちゃって。そんなに美味しそうでした?(ニタニタ)」
アニ「っ! や、やめろ……見るな……見るなぁっ! 私は耐える、この程度の拷問如き、耐えてみせる……!」
サシャ「ククク……」
アニ「何が可笑しい!?」
サシャ「まさかアニ、これで終わりだと思ってるんじゃないでしょうねぇ?」
アニ「え……?」
サシャ「まだあるじゃないですか、ホラ。ここに飲み残したスープと、さっき炊きあがった新米が……ククク」
アニ「お……あ、あぁあぁあああ……、ま、まさか……!」
サシャ「やっぱりラーメンの最後はおじやですよねぇ?(ニタニタ)」
アニ「(む、無理だ……! こ、こんな責め、どうやって正気を保てば……!)」
アニ「わ、わかった! 巨人の秘密は喋る! だから、そ、それだけはやめてっ!」
サシャ「え?」
アニ「(父さん……ライナー……ベルトルト……! ごめん……!)」
サシャ「……本当に? なんだ、呆気ないなぁ」
アニ「……ぐっ! ……な、なんでもだ、なんでも喋る! 聞かれるままに洗いざらい全部喋るよ!」
サシャ「……ふむ」
アニ「だ、だから、それだけは……!」
サシャ「残念ですが……一足遅かったですね」
アニ「……! あ、あぁ……そ、んな……!(ガチガチガチガチ)」
サシャ「もう手遅れです。実は私、秘密なんかどうでもよくて、ただ夜食が食べたくて仕方がないだけなんですよ……(ニッタァァァ)」
アニ「あ、あぁ……! や、やめてぇ! もうやめてぇ! 私だってあんなことやりたくなかったんだ!
ごめんなさいごめんなさい! だからそれだけは……慈悲を……どうか慈悲を……! あぁあぁあああぁぁ!!(ギシギシ)」
サシャ「堪忍してねアニ、もうウチも食欲が止まらんとよ……」
サシャ「見えとると見えとると? ホラ、こんな風にスープにご飯を適当にヨソって……(マゼマゼ)」
アニ「あぐうッ……! や、やめて……そんなことされたら、あ、たま、あらまがおかしく……!(グルグルグル……)」
サシャ「更にその上から生卵を入れてー(パカリ)」
アニ「ひぎぃぃぃ! た、たまごらんていれたらぁ……! 胃が、胃がねじ切れひゃうぅ……!」
サシャ「これをさっとチンして……と(ゴウンゴウンゴウン……チーン)。ハイ出来上がり」
モッファァァァァ……グツグツグツグツ……
アニ「んぎぃッ!!(ビグン! ガクガクガクガクギュルルルルルゥゥゥギリギリギリギリ)」
サシャ「あぁ……ついに、ついに降臨しました! これが、これこそが夜食の王様……!」
アニ「ぐぴゅっ……! ら、らめぇ、やめてぇ! お願いだからやめてぇ!(ガクガクガクガクグーグルガーグル)」
サシャ「では早速、いただきまふぅ……フゥーハフハフ、モグモグ!
フハハ……フハハハ! んまぁーいッ! んますぎるゥゥゥ!! アハハハハハハハハ!!(ガツガツガツガツ)」
アニ「んああああああああああああッ! あっ、ッァアァァアアアアアアァァアアァアァアアァア!!(ビグンビグン)」
サシャ「ラード、ニンニク、バター、胡椒、ご飯、卵、すべての旨みが濃厚に絡み合い喉を通るたびに幸せを感じる!
満ちる……満ちていきますよぉぉぉ!! 私の胃袋がこの至宝で満ちていく! アハハハハハ!!(ガツガツガツガツ)」
アニ「ぐあああああああああああッ! そんなにガッツいちゃらめぇ! ぁぁああぁぁあああっ、ああぁあぁあァァァ!
お腹がぁ! お腹がぁぁぁっ! いっぱいになるう゛っ゛!……んほおお゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ゛!(ビグンビグングリグリグリブチブチチチッ!!)」
アニ父『アニ……。俺が間違っていた――』
大アニ『……』
アニ父『今更許してくれとは言わない。……けど、一つだけ頼みがある』
アニ父『この世のすべてを敵に回したっていい。この世のすべてからお前が恨まれることになっても、父さんだけはお前の味方だ』
アニ父『だから、約束してくれ……』
大アニ『……』
アニ父『…………………………帰って来るって――!』
大アニ『(……昨日の夜に食べたラーメンおじや美味しかったなぁ……)』
アニ「ああぁぁぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁああああぁああぁぁぁぁああぁぁぁっ!!」
サシャ「……ゲェーップ、ごちそうさまでした」
アニ「……」
サシャ「おや? ……アニ?」
アニ「もう……もうたべさひぇて……らーみぇん、らーめんがたべたいのぉ……(レロレロ)」
サシャ「……! ……ハハハ! ついに堕ちましたか! 戦士様が聞いて呆れますねぇ!」
アニ「は、はやくぅ……おなかいっひゃいになるのぉ……父さんと、お夜食でぇ……(レロレロ)」
サシャ「自分から夜食を求め出すなんて……とんだ戦士もいたもんですねぇ……まるで豚やねぇ……」
アニ「ふあぁいぃ……わたひは豚れすぅ……な、なんれもいいからはやくぅ……(レロレロ)」
サシャ「よしよしいい子……。でもまだラーメンはダメです、まずはこの魚肉ソーセージからどうぞ」
アニ「ん――んんんッ! ごふッ……!(ビグンビグン)」
サシャ「おらっ! 奥までしっかり飲み込まんかい!(グイグイ)」
アニ「あ、あうぅ……! おいひぃ……魚肉ソーセージ、おいひぃのぉ……!(レロレロ)」
――――――
サシャ「よかとか? 皆、仲間を置き去りにしたまま故郷へ帰って……アニやクリスタを置いて行くとか?
アニとクリスタは今……ホラ、ここさ。この娘たち、極北のユトピア区の地下深くで拷問ば受けよったばい。
この娘らの体重聞けばすぐに、この子の体はもう自分の意志で食欲に抗うことはできんってわかったとぞ。
血糖値やらコレステロール値に最新の注意ば払われる中、今この瞬間にもアニとクリスタの胃袋には、
休むことなく様々な食べ物が――」
アニ「おいひぃ……バターご飯おいひぃのぉ……。べるとるとぉ、らいなぁ、
わらひと一緒にバターご飯食べようよぉ……ポヒポヒポヒ(ムチムチテカテカブクブク)」
クリスタ「おいひぃ……バターご飯おいひぃのぉ……。んむ……? 皆なにやってるのぉ……?
皆でご飯食べよ……? おいひぃよぉぉ……ポヒポヒポヒポヒ(ブクブクムチムチテカテカ)」
ライナー「(うわ重っ! 肩が急激に重っ! ……だ、誰だこの百貫デブ女二人は!?)」
ユミル「く、クリスタ……クリスタが……! め、女神じゃなくて……め、雌豚に……(ヘナヘナ)」
ベルトルト「うああああああああああああああああああああっ! あっ、悪魔の末裔が! 根絶やしにしてやる!
クリスタはともかく、よくもアニをこんな駄デブに! 許さない! 八つ裂きにしてバラ撒いてやるぞ!
絶対に許さないッ! 死ね! 死んで僕らに詫びろおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
サシャ「あらあら、皆さん取り乱しちゃって(クスクス)」
サシャ「悪魔なんて人聞き悪いなぁ」
サシャ「この子たちは皆、自分の意志で食べ続けているんですよ?」
サシャ「私はちょっとだけ、女としての悦びを教えてあげただけですよ」
サシャ「そう、私は……。ウチはただの……」
サシャ「……ただの夜食乙女やけんね」
おわり
……さて、この物語にはまだ続きがあります。
主人公は誰ですかって?
それはこのSSを読み切ったあなた方1人1人です
今の世の中、たくさん不味い物もある。たくさん嫌なな味もある。もう何も食べられない、賞味したくない。そう思っている人がたくさんいるでしょう。
私もかつてその1人でした。でもこのSSの「サシャ」のように(というかモデルは作者自身だったり……)懸命に生きて、今では細々とですが暮らしています。
開けない夜は、ありません。
これが、このSSで伝えたかったことの全てです。
最後の最後に、登場人物たちからのメッセージをお聞き下さい。
サシャ「おう! まあなにやら辛いこともありますけど、生きてみましょうね! 開けない夜は、ないってね!」
作者「ちょっ、俺のパクったな!」
アニ「やれやれね、この二人は……クスッ」
クリスタ「見てくれて、ありがとうね! あなたたちも頑張ってよ! ……イテッ!」
作者「(クリスタの頭をはたきながら)読者様にお前らとか言うな! 失礼だろが!」
まあなにはともあれ……
全員「読んでくれてありがとう!」
ありがとうございました!(続編をもしかしたら投下しないかも……ゴホンゴホン)
このSSまとめへのコメント
よいぞぉ...