橘「晴れた」(183)
【化かしたり被ったり】
橘「晴れたね」
絢辻「……」
絢辻「晴れたね、じゃないわよ。えぇ、たしかに空は晴れたわよ? でも雨は降ってるじゃない」
橘「天気雨ってやつかな?」
絢辻「狐の嫁入りとも言うわね」
橘「………」
絢辻「ちょっと待ちなさい。今、変なこと考えたでしょ?」
橘「え? いや、その……」
絢辻「いいなさい」
橘「あはは……」
絢辻「言・い・な・さ・い」
橘「……はい。でも絢辻さん怒らない?」
絢辻「怒られるようなことを考えたの?」
橘「いやぁ、狐って聞いて絢辻さんはどこか狐っぽいところがあるなぁって……」
絢辻「はあ?」
橘「いや、狐って人を化かす力があるとか……言ったり……言わなかったり……あはは……」
絢辻「ふーん、橘君そんなこと考えてたんだ? へぇ」
橘「……ごめんなさい」
絢辻「……ふふ、冗談よ。それほど怒ってないわ」
橘「え?」
絢辻「あ、そっか。こういうところがそういう風に連想させたのね。……人を化かす……か」
橘「絢辻さん?」
絢辻「……ねぇ、橘君。私はもう化かす必要も猫をかぶる必要もないのよね?」
絢辻「あなただけの前ではそんな必要はないのよね?」
橘「……僕はそうあってほしいな」
絢辻「……ばか」
【待ち】
絢辻「にしても狐の嫁入りねぇ……」
橘「?」
絢辻「(……嫁入り、か……深読みのしすぎよね……まさかこの鈍感に限って、ね)」
橘「どうしたの絢辻さん?」
絢辻「ううん、橘君に期待しててもいいのかな って思っただけよ?」
橘「?」
【まどろみ】
梨穂子「うーん、やっぱり晴れたら気持ちいいよ~」
橘「おーい、梨穂子」
梨穂子「あ、じゅんいち~」
橘「こんなところでなにやってるんだ?」
梨穂子「えへへ、見てのとおり日向ぼっこだよ~」
橘「日向ぼっこって……この時期には少し寒いだろ?」
梨穂子「うーん、そうかなぁ? 晴れてて気持ち良いよ?」
橘「はは、なんだか梨穂子らしいや」
梨穂子「む、どういう意味かな~それは」
橘「そのままの意味だよ」
梨穂子「うーん、まいっか。 それより純一もどう?」
橘「どう……って、梨穂子がベンチを占領してるじゃないか」
梨穂子「あ、そっか。……あ、そうだ」
橘「?」
梨穂子「それじゃぁ、はい純一。ここに座って良いよ」
橘「? ……それじゃぁ」
梨穂子「それでー、こう」ゴロン
橘「え?」
梨穂子「えへへ」
橘「梨穂子、さすがにこれは恥ずかしいっていうか……男の膝枕なんて固いだけだろ?」
梨穂子「そうかな~。 きもちいいよ?」
橘「むしろ逆じゃないか?」
梨穂子「純一、してほしかったの?」
橘「そりゃしてほしいかしてほしくないか、で言ったらしてほしいけど」
梨穂子「えへへ正直だね~。 じゃぁ、今度はしてあげるね……」
梨穂子「だから……いまは……このまま……」ウトウト
橘「……まったく梨穂子は仕方ないなぁ」
【雨上がり】
橘「晴れたね」
七咲「そうですね。よかったですね先輩」
橘「そうだなぁ。やっぱり初詣に行くのに雨だったら困るもんなぁ」
七咲「ふふ、そのほうが人がいなくていいかもしれませんよ?」
橘「あ、そっか。七咲はうるさい場所なんかは嫌いなんだっけ?」
七咲「そうですね。あまり好きな方じゃありませんけど……」
橘「ならあのまま雨のほうがよかったかな?」
七咲「……」
橘「七咲?」
七咲「もうっ、変な気遣いはなしです」
橘「でも……」
七咲「でももなしです。それに私を誘ってきた先輩の楽しそうな顔を見ると断れないじゃないですか」
橘「あはは、僕そんな顔してたかな」
七咲「してました。それに……」
橘「それに?」
七咲「(先輩と一緒なことに少し楽しみにしてた自分もいますし……)」
橘「?」
七咲「ふふ、なんでもないです。ほらほら、先輩はやく行きましょう?」
【晴れ模様】
薫「晴れたわよ!」
橘「やけにテンションが高いなぁ薫」
薫「そりゃそうよ。だってここのところ雨とか雪とかばっかりだったじゃない」
橘「雨は嫌いか?」
薫「雨の日は髪の毛がねぇ……」
橘「雪は?」
薫「寒いじゃない」
橘「……」
薫「……なによ?」
橘「いや、薫らしいと思って」
薫「どういう意味よ?」
橘「そのままの意味だよ」
薫「む……純一のくせに生意気ね」
橘「そりゃどうも。あ、薫しばらく晴れが続くみたいだぞ?」
薫「え、ほんと? ってアンタ今自分に攻撃が来る前に話し逸らそうとしたでしょ」
橘「あ、わかったか」
薫「あんたのことはお見通しよ、っと」ガンッ
橘「……結局殴られるのか!」
薫「いやね、スキンシップじゃない?ス・キ・ン・シ・ッ・プ」
橘「……僕の体がもたない気がするよ」
薫「仕方ないわね。じゃぁ純一はこういうスキンシップのほうがお好みかしら?」グイッ
橘「な、薫!? 何する気だ近い近い」
薫「………」
橘「………」
薫「く、ぷくく……あんた今キスされると思ったでしょ?」
橘「……う、少しだけ」
薫「あははは、純一ってば顔あかーい!」
橘「ぐ、卑怯だぞ、薫!男の純情をもてあそぶとは」
薫「あははは、アンタ最高」
橘「……言っとくが、薫。お前も顔赤いぞ」
薫「え?」
橘「やろうとしたほうも顔赤くしてるなんて世話ないよ」ニヤニヤ
薫「え、嘘? ちょっとあんたそのにやけ面やめなさい!」
【独占欲?】
橘「晴れたね!」
紗江「ふふ、そうですね。先輩は晴れのほうがお好きですか?」
橘「うん、やっぱり晴れたほうが気持ちいいしね。それに」
紗江「?」
橘「紗江ちゃんとこうやってデートするときに、雨だと紗江ちゃんがこっちに来るのに大変だしね、電車であっても。」
紗江「先輩……」
橘「あ、でもそういうときは僕がそっち行けばいいのか」
紗江「い、いえ。先輩に悪いです」
橘「はは、僕もいつも紗江ちゃんに思うことは一緒だよ。……うん、次からはそうすればいいね」
紗江「でも……」
橘「でもはなしだよ」
紗江「……ありがとうございます先輩」
橘「(……こんな尊敬の眼差しを見せられると)」
橘「(雨の時にちょっと濡れてしまって色っぽい紗江ちゃんを他の男にみせたくない、なんて言えないなぁ)」
紗江「先輩?」
橘「ううん、なんでもないよ」
【嫉妬】
森島「ほら、橘君晴れよ晴れ! プール観察日和よ!」
橘「またプールですか? でもこの前怒られたばかりじゃ……」
森島「もうっ、それでも男の子なの? すぐそこには楽園があるのよ?」
橘「……いや、でも」
森島「(……いま間は少し迷ったのかしら? もう一押しね♪)」
森島「いい橘君? 今プールにはひびきちゃんがいるのよ? それにきっと逢ちゃんもいるわ」
橘「……」ゴクリ
森島「む……」
橘「……よし、やりましょう先輩……ってあれ、どうしたんですか?」
森島「むむむ、やっぱり今回はなしよー」
橘「えー」
森島「そのかわり君は今から私と下校デートよ♪」
橘「!!」
橘「お供します!」
森島「わおっ、いいお返事ね。ふふ、そんな君にはいいことがあるかもね?」
橘「……ゴクリッ」
森島「どんなことかは下校中のお楽しみね♪」
【ストーキング魂】
裡沙「晴れたね橘君」
橘「裡沙ちゃんは晴れたほうが好き?」
裡沙「うーん……あなたの好きな天気が好きだよ?」
橘「あはは」
裡沙「あ、でも」
橘「?」
裡沙「雨の時は、外で待ち伏s……」
橘「え?」
裡沙「う、ううん!待ち合わせ!そう待ち合わせしているときとか困るよね」
橘「…? そうだね」
裡沙「雪の時は外で待っていると寒いし……」
橘「あー、わかるよ」
橘「(……ところでなんで裡沙ちゃんはこんなに遠い眼をしているんだろう……)」
裡沙「だからやっぱり晴れたほうが好き……かな」
裡沙「……でももうそんな必要もないんだよね」ボソボソ
橘「?」
【安らぎ】
橘「七咲と好きな場所の話を前にしたよね」
七咲「ああ、ありましたね。布団の中って答えたんでしたっけ?」
橘「うんうん。でさ、ということは七咲は結構すぐに布団に入って寝られるタイプ?」
七咲「さぁ、どうでしょう。やっぱり日によると思いますけど……」
橘「眠れないときとかは何を考えてるの?」
七咲「そうですね、最近は……」
橘「うん」
七咲「…………///」カァ
橘「七咲?」
七咲「(最近は橘先輩のことばっかりなんて言えない……!!)」
七咲「な、なにも考えてませんよ!?」
【人柄】
七咲「でも急にどうしたんですか?」
橘「いやぁ、昨日なかなか寝付けなくってね。なにか寝よう寝ようと思うたびに目が覚めていって……」
七咲「ああ、わかります」
橘「だから、ふと疑問に思っただけだよ?」
七咲「ふーん、そうなんですか。 で、先輩はいつも眠る前に何を考えてるんですか?」
橘「………」
七咲「……なにか今の間でなんとなく想像がついた気がします」
【無理です】
橘「あ、いやもちろん七咲のことだよ?」
七咲「なっ!? なにを言ってるんですか」
橘「今度七咲とどういうところに行こうか、とか七咲はなにが喜ぶだろうか、とか」
七咲「先輩……」
橘「他にも」
七咲「クスッ、もういいですよ先輩。わかりましたから」
橘「え?」
七咲「ただしエッチな想像はなし……いえ、先輩には無理ですね。控えてくださいね」
橘「なんか僕のイメージが……」
七咲「でも無理でしょう?」
橘「(……自分のことなのになんだか情けなくなってきたぞ)」
【染み付いた性根】
絢辻「はぁ? 私が夢にでてきたって?」
橘「うん」
絢辻「……へぇ、そうなんだー。橘君の夢の中で私はどんなエッチなことをさせられたのかしら」
絢辻「あぁ、きっと橘君の夢の中で恥ずかしい格好とかさせられたのね……」
橘「(……夢の中でもコキ使われてたって言ったらどんな顔をするだろう……)」
絢辻「ちょっと聞いてるの?」
橘「う、うん。聞いてるよ?」
【イメージ】
絢辻「で、真面目な話どんな夢だったの?」
橘「え?」
橘「………」
橘「………」タラタラ
絢辻「ど・ん・な・夢?」
橘「……えっと、その、あ、絢辻さんに……」
絢辻「正直に言いなさい」
橘「夢の中でもコキ使われてました!!」
絢辻「………」
橘「………」
絢辻「(橘君の中の私はどんな認識なのかしら)」
【願望】
絢辻「あなたなにか変な願望でもあるんじゃない?」
橘「そんなことないと思うんだけどなぁ」
絢辻「(にしても、もう少し色っぽい夢とかじゃないのかしら)」
絢辻「(そりゃあ、そっちにしても多分私は似たようなことを言ってるだろうけど……)」
絢辻「(……ってこれじゃあ橘君にそういう夢を見て欲しかったみたいじゃない!!)」
絢辻「………」ブンブン
橘「絢辻さん?」
絢辻「なによ」ギロッ
【正夢】
絢辻「まぁ、お話もこのぐらいにして」
橘「へ?」
絢辻「へ?じゃないわよ。ほら、そこに資料の束があるでしょ」
橘「あ、これかな」
絢辻「そう、それ。それを職員室に持っていって頂戴」
橘「………」
絢辻「どうしたの橘君?……今回も手伝うっていったのはあなたなんだからね?」
橘「(……あぁ僕が見たあの夢、あれ正夢だったんだなぁ)」
絢辻「ちょっと橘君、きいてるの?」
【覗き】
森島「橘君、大変よ!」
橘「な、慌ててどうしたんですか?」
森島「覗きが出たらしいわよ!」
橘「え?」
森島「覗きが出たらしいわ」
橘「すいません、もう少し詳しくおしえていたただけませんか?」
森島「あのね、ひびきちゃんがね。最近プールに覗きが出るって言うの」
橘「あ、プールですか」
森島「そうよ~。まったく許せないわね。私のひびきちゃんの水着姿を覗こうなんて」
橘「(塚原先輩の水着……ゴクリッ……おっと、だめだ先輩は真面目な話をしてるんだ)」
橘「それは許せないですね!」
森島「ね、橘君もやっぱりそう思うでしょ」
橘「はい」
森島「だからね」
橘「?」
――――――
橘「こうなるんですか」
森島「こらっ、橘君。体を屈めなさい。私達で犯人を捕まえるのよ」
【犯人はこの中にいるっ……!!】
橘「…………」
森島「…………」
橘「…………犯人現れませんねぇ」
森島「うーん、おかしいなぁ。ひびきちゃんは連日のようにって言ってたんだけど」
橘「今日はこないんじゃないですか?」
森島「そうかなぁ?………あ、橘君見てみて、ひびきちゃんが泳ぐわよ」
橘「え?」
橘「(……これははたして僕も見ていいものなのか)」
森島「うーん、ここのところひびきちゃんは絶好調みたいね」
橘「え?」
森島「うん?」
橘「……先輩ちょっといいですか?」
森島「なにかな?」
橘「ここのところってことは先輩はいつもここに?」
森島「そうね、最近はひびきちゃんの様子を見に来てるわね」
橘「……………………先輩はいつもここに来てる時、覗いてる人をみたことありますか?」
森島「うん? 言われてみればないわ。むむむ、おかしわね~」
橘「…………それって」
森島「?」
【身内の犯行】
プール
七咲「塚原先輩」
塚原「え?」
七咲「またです」
塚原「あら、おかしいわね。一応はるかには言ったつもりなんだけど」
七咲「しかも増えてます」
塚原「え?………あれは橘君……か」
塚原「…………はぁ」
塚原「(……はるかに遠まわしに言ったのが間違いだったのかしら)」
【いつもどおり】
橘「絢辻さん、テストはどうだった?」
絢辻「なに? ……いつもどおりだけど」
橘「そっか……え?」
絢辻「?」
橘「(……僕がほとんど見たことないような点数ばかりだよ)」
橘「わかっていたけど、改めて知らされると壮観だね……」
絢辻「はい?」
【格の違い】
橘「一学期のころは、英語は何点だった?」
絢辻「えっと、××だったかしら」
橘「国語は?」
絢辻「××よ」
橘「歴史は?」
絢辻「歴史は少し勘違いしていたところがあったのよね……たしか××だったかしら」
橘「(……勘違いしてたところがあっても、××点……!! 僕の答案じゃ見たことないよ……)」
絢辻「どうしたの?」
橘「絢辻さん、勉強を教えてください!!」
【どうみてもセクハラです】
橘「あ、ちなみに一学期の頃の保健のテストは?」
絢辻「たしか……って、ちょっと待ちなさい」
絢辻「それを聞いてどうするの?」
橘「いやぁ、純粋な好奇心で……」
絢辻「……」ジィ
橘「ごめんなさい!」
【90over】
橘「あ、あの……ちなみに点数は……」
絢辻「………よ」ボソボソ
橘「え?」
絢辻「××!!」
絢辻「あ、あなたがなに考えているのか知らないけど私はどれも高得点じゃないと気がすまないだけなんだからね」
橘「ま、まだなにも言ってないよ?」
絢辻「………///」カァ
絢辻「この変態、スケベ、セクハラ!!」
【姉っぽさ】
美也「おにいちゃんと紗江ちゃんが結婚したら、紗江ちゃんはみゃーのねぇねになるね」
紗江「え、結婚……」カァ
美也「うーん、でも紗江ちゃんがねぇねか」
紗江「ねぇね………」
美也「ねぇねっていうからには、紗江ちゃんももうちょっと自信をもたなきゃね」
紗江「(……どういうことなんだろう?)」
美也「にしし、なんていったってみゃーのねぇねになるんだからね」
紗江「そ、そういうものなのかなぁ?」
美也「そうだよ。そんなんだったらみゃーのほうがねぇねっぽくなっちゃうよ?」
紗江「(……どういう基準なんだろう)」
【圧倒的な物量】
橘「なに意味がわからないことを言ってるんだ、美也」
美也「あ、お兄ちゃん」
紗江「こんにちわ、先輩」
橘「こんにちわ紗江ちゃん」
美也「もう、紗江ちゃんとみゃーの話に入ってこないでよ」
橘「な、美也がわけわかんないこと言ってるからだろう」
橘「それに、紗江ちゃんは美也よりよっぽどねぇねだと思うぞ」
紗江「ふぇ……」
美也「むー、なにさにぃに。例えばどのへんさー」
橘「え、どのへんって……それは……」ジィ
紗江「せ、先輩……あんまり見ないでください///」
美也「この……」
橘「この?」
美也「馬鹿にぃにー! なにさ紗江ちゃんの胸ばっかり見ちゃってさ」
美也「にぃになんて紗江ちゃんのフカフカで窒息しちゃえー」
紗江「……////」カァ
【中身は?】
橘「薫のとこのファミレスって制服は可愛いよな」
薫「……制服は?」
橘「あぁ、うん。ファミレスにしては味もいいよ」
薫「ふーん……他は?」
橘「えっ、他?……うーん値段は普通だと思うし……」
薫「あんたねー」
橘「あ、そうか。制服を着てる子も可愛いよ」
薫「ふふん、分かればいいのよ」
橘「(……当たり前すぎて言わなかっただけなんだけどなぁ)」
薫「♪」
【将来性】
本屋
橘「(今週はあのお宝本の発売日だぞ……!!)」
橘「あれ、あそこにいるのは……」
橘「(七咲の弟じゃないか)」
橘「(しかもあそこはお宝本コーナー……)」
橘「(……む、あの手にもってるのは)」
橘「(うんうん、あの本良いんだよねー。とくに今月は特集が……)」
橘「(あ、本を替えた)」
橘「(おお、あの本は……七咲の弟……あなどれないじゃないか)」
――――
後日
橘「七咲の弟はきっと将来有望だよ」
七咲「はい?」
【風物詩】
梨穂子「うぅ……また増えたよ~じゅんいち~」
橘「またか。ちなみに何kg増えたんだ?」
梨穂子「うう……××キロ……」ゴニョゴニョ
橘「ああ……それはまた……」
梨穂子「どうしよう純一~。新年早々ダイエットだよ~」
橘「………」
梨穂子「じゅんいち?」
橘「いや、あはは。毎年、この時期になると梨穂子のこの叫びを聞いてるなぁって」
梨穂子「笑いごとじゃないよぉ~」
【魔性】
橘「正直な話、たまに教官って呼び方が懐かしくなるよ」
紗江「え?」
橘「いや、紗江ちゃんに教官って呼ばれるとちょっとクルものがあるっていうか」
紗江「そうなんですか?」
橘「そう、その目だよ。その目で教官って呼ばれると」
紗江「……えっと、その教官……?」
橘「!!」
橘「(……久々だと不覚にもクラっときてしまった)」
紗江「せ、先輩。大丈夫ですか?」
あれ?
tes
あ、またID代わったか
【バカのつくカップル】
七咲「塚原先輩」
塚原「あぁ、七咲」
七咲「どうしたんですか? こんなところで」
塚原「それがはるかと橘君が喧嘩…………」
―――
橘「はるかー、愛してるー!!」
森島「私もよー、ダーリン!」
―――
七咲「なんですか、この廊下に響く恥ずかしい応答は」
塚原「はぁ……あの子たちったら」
七咲「?」
塚原「ただのあの子たち流の仲直りよ」
七咲「……前もこんなことありませんでしたっけ?」
【被害大】
塚原「でも、本人達はまったく周りの目を気にしてないからいいとして」
七咲「……いいとして?」
塚原「聞いてるこっちの身にもなってほしいわね」
七咲「あぁ……あそこの男子なんて膝をついて悔しがってますよ」
塚原「そうなのよね、あのアマアマな雰囲気に周りの被害が酷いのよ。とくにはるかに憧れている子ってまだ多いでしょ?」
七咲「……橘先輩いつか刺されるんじゃないですかね」
塚原「…………」
【被害小】
裡沙「……ぐぬぬ」
黒沢「……ぐぬぬ」
【クッキング七咲】
七咲「先輩ってそれなりに料理はできるんですよね?」
橘「レパートリーとかはそんなにないけどね。ほら、美也があの通りだからせめて僕は多少はね……」
七咲「ふーん、そうですか」
橘「七咲?」
七咲「い、いえあの……ほら、男の人の心を掴むには胃からって言うじゃないですか……」ゴニョゴニョ
七咲「だから、その……」
橘「はは、心配ないよ。僕なんかより七咲の作ったほうがおいしいに決まってるし、僕なんてイチコロだよ」
橘「それに、仮にそうじゃなくても僕なら七咲の作った料理なら喜んで食べるよ? 例え塩と砂糖を間違った料理とかでも」
七咲「先輩…………」
七咲「……はっ! も、もうそんな漫画みたいな間違い実際にするわけないじゃないですかっ///」
【漫画みたいな間違い】
橘「(……でも美也はそれをやるんだよなぁ……)」
七咲「先輩?」
【片鱗】
橘「今年のクリスマスは紗江ちゃんと過ごせてよかったよ」
紗江「先輩は去年は?」
橘「あぁ、去年はたしか梅原と一緒に馬鹿騒ぎしてたなぁ」
紗江「梅原先輩とですか?」
橘「うん、本当にあいつには救われるよ」
紗江「(先輩と梅原先輩がクリスマスに……)」
紗江「あわわわ……」
橘「紗江ちゃん?」
紗江「な、なんでもないです」
圧倒的裡沙ちゃん成分の不足
ちょっくら充電してくる
かけるか
【起床】
「……きなさい……ちょっと起きなさい!」
橘「う、うーん……」
橘「……!!」ガバッ
絢辻「おはよう橘君」ニコッ
橘「おはよう……あ、あやつじさん」
絢辻「……」ジィ
橘「……」
絢辻「絢辻さんに起こしてもらったらすぐに起きれる気がするよー、とか前にいってたのはどの口かしら?」
橘「こ、この口……かな?」
絢辻「えぇ、「かな?」じゃなく間違いなくその口よ」
橘「……あれ、ところで絢辻さん本当に起こしにきてくれたの?」
絢辻「……たまたまよ」
橘「(……素直じゃないなぁ)」
橘「(絢辻さんの家は近いわけでもないのに……わざわざ僕のために)」
絢辻「な、なによ?」
橘「いや、絢辻さんは素敵な人だなって」
絢辻「な、馬鹿なこといってないではやく起きなさい」
【なんだかんだいってやってくれる……はず】
橘「新妻風の起こし方なんてどうだろう……」
絢辻「はぁ?」
橘「あれ?……僕もしかして口に出してた……?」
絢辻「もしかしなくても出てたわよ……へぇ、橘君は私にそういうのをご所望なんだ~、ふーん」
橘「え、やってくれるの!?」
絢辻「やるわけないでしょ馬鹿!」
絢辻「……そもそも新妻風ってどんな感じなのよ……」ボソボソ
【帰宅】
裡沙「お帰りなさい、あなた」ニコ
橘「た、ただいま裡沙ちゃん」
橘「(料理中にお出迎えしてくれるのは嬉しいけど、包丁持って迎えられると分かっててもちょっと怖いものがあるなぁ)」
裡沙「?」
【二人下校】
放課後
橘「こんにちは、塚原先輩」
塚原「あら、橘君? はるかと一緒じゃなかったの?」
橘「森島先輩ですか? 今日はあってないですね」
塚原「あれ、おかしいな。 いないからキミと一緒だと思ってたんだけど」
橘「?」
塚原「キミは今帰り?」
橘「あ、はい」
塚原「そう。じゃぁ一緒に帰ろうか」
橘「え? 塚原先輩とですか」
塚原「あ、いやだったかな?」
橘「いえ、喜んで!」
【初心】
下校路
橘「塚原先輩は今日は部活はお休みですか?」
塚原「えぇ、プールが補習につかうってことで……」
橘「へぇ、そうなんですか……」
塚原「うん」
橘「………」
塚原「………」
橘「(塚原先輩と二人きりなんてなんだか緊張するなぁ)」ゴクリ
塚原「(まさか橘君と一緒に帰ることになるなんてね……にしても私がこんなに緊張するなんて……)」
橘・塚原「……//」テレッ
【ラブリーは見てる】
森島「ああん、もうひびきちゃんも橘くんもかわいいわねぇ~♪」
美也「あ、森島先輩。こんなところに隠れてなにをやってるんですか?」
森島「わおっ、ナイスタイミングね。美也ちゃん」
美也「?」
森島「あ、美也ちゃん隠れて」
美也「はぁ……」
森島「うふふ……今君のお兄ちゃんとひびきちゃんの初々しい下校風景を見守ってたのよ」
美也「え、お兄ちゃん?」
森島「ほら、あそこよあそこ……」
美也「(……あれはにぃにと塚原先輩……もうにぃにったらだらしない顔しちゃってさ……)」
森島「あー、そこよそこ。思い切って手を繋ぐのよ!」
【じゃれあい】
美也「あ、裡沙ちゃん」
裡沙「美也ちゃん」
美也「どうしたの?」
裡沙「ふふふ、今日はあの人とデートなの」
美也「え、おにいちゃんと?」
裡沙「うん♪」
美也「………」
裡沙「ふふふ♪」
美也「みゃーも行く」
裡沙「ダメ」
美也「なんでさー」
裡沙「あの人と私のデートなの~! だから美也ちゃんはダメ。 そもそもなんで美也ちゃんがついてくるのよ」
美也「にぃにと裡沙ちゃんを二人きりになんてしたらどう暴走するかわからないからね」
裡沙「暴走……って、別にあの人と私は恋人だからいいの~!」
美也「うう、みゃーも行くー」
裡沙「ダメー」
美也「なにさー」
裡沙「なによー」
美也・裡沙「ふぅーっ」
【親猫の気持ち】
橘「……裡沙ちゃんと美也の声がすると思って見に来たら」
橘「……修羅場になってるよ」
橘「……」
橘「(……なんだか子猫の喧嘩みたいだなぁ)」
【まんま肉まん】
橘「ずっと思ってたんだけど」
七咲「?」
橘「美也があれだけまんま肉まんが好きな理由は、食べていればあんな風になれると思っているからなんじゃないだろうか」
七咲「……? あんな風にとは?」
橘「ほら、美也はお子様体系だから」
七咲「あぁ、そういうことですか」
橘「僕は美也に一度兄として教えてやるべきなんじゃないだろうか」
橘「まんま肉まんを食べ続けていても、美也の胸はまんま肉まんのようには膨らまないってことを」
七咲「とりあえず先輩、その話美也ちゃんにしたらひっかかれますよ?」
【お見通し】
純一の部屋
薫「勉強会をすると見せかけて、抜き打ちで純一の部屋をチェックします」
橘「薫が勉強会なんて言い出すのはおかしいと思ったら……ところでそのチェックすることに対する僕の意見は?」
薫「却下よ」
橘「まだなにもいってないじゃないか!」
薫「ふふん、純一の考えなんかあたしにはお見通しよ」
橘「……くっ」
橘「(まぁいい……薫に僕の巧妙なお宝本の隠し場所がわかるはずがない)」
薫「うーん……」キョロキョロ
橘「……」
薫「あそこね」スタスタ
橘「!!」
薫「……ほーら、ここに一冊、二冊、三冊……わぁあんたどれだけこんな所に隠してるのよ」
橘「(……一発で……)」
【以心】
薫「あはは、だからいったでしょ? あんたの考えはお見通しだって」
橘「ぐ……もう気は済んだだろ……」
薫「……」ジィ
橘「……」
薫「……まだあるわね。さぁ、次いってみよー」
橘「……!! もう許して!」
【嫉妬】
薫「あー、出るわ出るわ。あんたこんなにも隠してどうするつもりだったの?」
橘「くっ、薫には分からないだろ!」
薫「あはは、たしかにあたしにはわかんないわ」
橘「(くそ、薫め。覚えてろよ……)」
薫「まぁ、あんたの面白い顔も見れたことだし今回はこの本の山返してあげるわ」
橘「……!!」
橘「(薫……)」
薫「次はうまいこと隠しなさい? あたしに見つからないようなところにね」
橘「……」
薫「どうしたのよ、純一」
橘「薫、僕は今ちょっと感動した」
薫「まったく……でも妬かないってわけじゃないんだからね」
橘「……」コクコク
【目は口ほどに】
薫「よろしい、じゃあこれ返してあげる」
薫「にしても、あんたこの量見る限りじゃ、学校とかにも隠してそうね……なんて」
橘「……」サッ
薫「……あんたまさか……」
橘「……」タラタラ
薫「ねぇ、純一なんで今目を逸らしたの? なんでそんなに汗をかいてるの?」
橘「……」
薫「……」
橘「……」
薫「さて、学校へ行きましょうか、純一?」
【今の幸せ、後の皺寄せ】
梨穂子「えへへ~♪」
香苗「桜井、どうしたの? そんな嬉しそうな顔して?」
梨穂子「えー、そんな顔してたかなぁ」
香苗「してたわよ」
梨穂子「えへへ」
香苗「(こりゃ、橘君となにかあったわね)」
香苗「旦那とデートの約束でもしたの?」
梨穂子「えーっ、すごい香苗ちゃん! 当たりだよ~」
香苗「あんたのことだからそんなことだろうと思ったわ。で、どこに行くの?」
梨穂子「えっとね、駅前に新しくできたアイス屋さん」
香苗「あー、あそこのことね」
梨穂子「ふふ、最近ね。アイスにちょっとはまってるんだー。 この前は純一とパフェを食べにいったんだけどねー」
香苗「へぇ、そうなんだ」
香苗「(……こりゃ後一ヵ月後にはまたダイエットで泣きついてくるなぁ)」
【和】
香苗「橘君と桜井を見てるとさー」
梅原「うん?」
香苗「なんていうか、カップルに対する嫉妬よりも、和むって感じがするわ」
梅原「あー、ああ見えて大将もどこかまったりしてるとこがあるからなぁ……」
香苗「うーん、やっぱり和むわ」
【紳士力】
橘「今日は寒いね」
裡沙「そうだね」
橘「こういう日は熱いお風呂に入りたくなるよ」
裡沙「(お風呂……)」
裡沙「……!!」ピコーン
裡沙「(橘君と一緒にお風呂に入って……背中を流してあげて……きゃー、新婚さんみたい!!)」
橘「裡沙ちゃん?」
裡沙「あ、あの……あなたのおうちに行っていいかな?」
橘「うん? どうしたの?」
裡沙「その……あなたの背中を流してあげる」
橘「!!」
橘「(お、お、お、落ち着け僕。こ、これはどういうことだ……たしかにお風呂の話をしていたけど)」
橘「……」ギュー
橘「痛い。夢じゃない」
裡沙「た、橘君?」
【過ち】
お風呂場
裡沙「なんでこうなるのさー」
美也「にしし、みゃーの目が黒いうちはエッチなことはさせないのだ」
裡沙「もうっ、美也ちゃんと入ってもなんにも得られるものがないよ!」
美也「じゃぁ、裡沙ちゃん帰ればよかったじゃん」
裡沙「ちがうのー」
美也「まったく、みゃーが放っておいたらどんな過ちが犯されることだったか」
裡沙「過ちじゃないよ! 」
美也「ほら、裡沙ちゃんいつまでもそうしてると風邪ひくよー」
裡沙「むぅ……」
【のけもの】
居間
橘「……お風呂場楽しそうだなぁ……」
橘「あぁ、裡沙ちゃんと美也がお風呂か……」
橘「…………クスン」
【鼻歌】
梨穂子「寒くなってくると、お風呂が長くなるよね~」
橘「うーん、なんとなく分かる気がするけど、そういうものか?」
梨穂子「そうだよ~」
橘「梨穂子はお風呂の中で歌でもうたってそうだなぁ」
梨穂子「え?」
橘「うん?」
梨穂子「……純一、覗いたの?」
橘「なっ、覗けるわけないだろ!!」
梨穂子「だよねぇ~」
橘「(図星だったのか)」
【髪】
橘「絢辻さんはお風呂とか大変そうだね」
絢辻「はい?」
橘「あ、いや、髪の毛とか長くて綺麗だし大変そうだなぁって」
絢辻「(綺麗……ね)」
絢辻「あぁ、そういうこと」
橘「あはは」
絢辻「でも、慣れたら別に苦とも感じないわよ?」
橘「あー、そういうものなんだー。切ったりとか考えたことある?」
絢辻「そうね……今のところは考えたことないわね」
絢辻「……」
橘「絢辻さん?」
絢辻「……あなたは短いほうが好きなの?」
橘「え? 僕は絢辻さんならどれも似合うと思うからどれも好きだよ?」
絢辻「そ、そう」テレ
絢辻「……ふふ、そうね。結婚でもしたら切ってみようかな?」
【ねぇね】
裡沙「ふふ、私も美也ちゃんのねぇねになるんだよね」
美也「裡沙ちゃんがねぇね……うーんピンとこないなぁ」
裡沙「ピンとこなくても、ねぇねだよ」
美也「むむ、でも裡沙ちゃんはねぇねっぽくないよ」
裡沙「なによー」
美也「だって、裡沙ちゃんみゃーより胸小さいじゃん」
裡沙「美也ちゃんよりはあるよっ!」
美也『うっそだー。美也のほうがあるよ」
裡沙「むむむ」
美也「ふしゃー」
裡沙「……ふふ、でも仮にちっちゃくてもあの人に大きくしてもらうからいいよ」
美也「むー、みゃーはそんな邪悪な行為認めないよ」
裡沙「美也ちゃんには関係ないでしょー!」
美也「あるよー。にぃにはみゃーのにぃにだもん。踏み外さないように美也がしっかりしてないと」
裡沙「だから踏み外して良いのっー!」
美也「ダメだよ」
裡沙「いいの!」
あ、だめだネタおもいつかん
というわけで終わり
ついでにスレタイ天気ネタも尽きた
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