照「気になるあの娘」 (145)
・以前vipで書いた
照「照淡」淡「小話だよ!」
を修正、加筆して、なおかつ続きを書いていきます
・シチュエーション安価SSです
出されたお題にそって照淡な短編を書きます
・とりあえず前にやった場所まで行って、そこから安価出します
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カポーン
照「はぁ……」
照(家族以外の誰かを家に入れるなんて、本当に久しぶり)
照(それこそ家に泊めるなんて初めて……)
照(淡、妙にそわそわしてたけど……大丈夫かな)
照(私が戻るまで大人しくしてくれればいいんだけど……)チャプ…
淡「お邪魔しまーす」ガチャ
照「!?」
淡「ほえー、これがテルの家のお風呂かぁ……」
淡「広くて綺麗で、なんか良い感じだね♪」
照「あ、淡……? 何してるの……?」
淡「ふふ、背中流しに来ましたー」
淡「急に家に泊めてもらうことになったんだし、そのお礼も兼ねて」
照「お、お礼なんていらないし、気にしなくていいから……」
淡「それじゃあ私の気が済まないよ。ほら、テル。お風呂から上がってきて?」
淡「体洗ってあげる」
照「洗わなくていい。淡、出てって」
淡「もう、遠慮しなくていいからー」
照「遠慮なんてしてないし、それにもう体は洗ってあるから……」
淡「え、そうなの?」
照「そうじゃないと湯船には入らない」
淡「そんなー……せっかく恩返し出来ると思ったのに……」
照「恩返しなんてしなくていいから……」
淡「よし、それならもう一回洗おう!」
淡「ちゃんと洗えてないとことか絶対あるよ!」
淡「ほら、テル! こっち来て!」グイグイ
照「ちょっ、淡っ」
淡「はい、ここ座って。私が全部洗い直してあげる♪」
照「ほ、本当にするの……?」
淡「もちろん! 先輩に奉仕するのは後輩の役目だからね!」
照「奉仕って……」
淡「ねえテルー、シャンプーってどれ?」
照「ま、待って。髪はちゃんと洗えてる。だからそこまでしなくていい」
淡「そう? じゃあちゃんと洗えてなさそうなのは……背中だね!」
照(背中……)
淡「スポンジは……これでいいの?」
照「もう一つ右の青いヤツ……それはお母さんの」
淡「これだね。えっと、ボディーソープは……」
照(淡、本当に私の体洗うつもりなんだ……)
照(しなくていいって言っても聞かなかったし、軽く洗ってもらって満足させた方がいいのかな……)
淡「ねえテルー。ボディーソープはこれでいいの?」
照「え? あ、うん……」
淡「ふふ、今からいっぱい綺麗にしてあげるねー♪」
淡「の前に……お背中流しまーす」ザバァ
淡「熱くない?」
照「うん、大丈夫……」
淡「そっか、では早速」スッ
照「っ……」ピク
淡(ふふ、こうやってテルの体洗ってるなんてちょっと信じられないかも……)ワシャワシャ
照‘「……」
淡「力加減どうテルー? 痛くない? それともちょっと弱いかな?」
照「大丈夫。それくらいでいい」
淡「ふふ、そっか。ならいいんだけど」
照(他人に体を洗ってもらうなんて、それこそ小学生の時以来かもしれない)
照(懐かしい感じがする……)
照(昔は咲やあの子とお風呂に入って、みんなで体を洗い合って……)
淡(テルの肌綺麗だなぁ……細くて、真っ白で……)
淡(抱きしめたらどんな感じがするんだろう……)ワシャワシャ
淡(流石にこの状況で抱きしめるのは嫌がられるよね……裸だし)
淡(ぎゅってしてみたいなぁ)
照(気持ち良い……)
淡(ってダメダメ。今は恩返しだから欲望を抑えないと……)
淡(背中は洗い終わったから……次は脇かな)
淡「テルー、ちょっと腕あげて?」
照「腕?」
淡「脇を開く感じで、こう、くいっと」
照(脇を開く……?)スッ
淡「そうそう。そんな感じで」ズリュ
照「ひゃあ!?」
淡「ちょ、テル、脇締めないで」
照「ま、待って。そこは洗わなくていい」
淡「洗わないとダメだよ。ほら、力抜いて?」
照「洗ってもらうのは背中だけでいい。だからもう終わり」スッ
淡「だ、ダメだよ! どこ行くのさ!」グイ
照「ちょっ」
淡「背中だけなんてダメだよ。ちゃんと全身洗わないと」
照「ぜ、全身!?」
淡「ほら、脇開いて? 体の力も抜いて……」
照「ま、待って淡。 これ以上はもういい」
淡「テルが良くても私は良くないよ。これだけじゃ全然し足りない」
淡「ずぶ濡れになってる私を見つけてくれて、色々してくれたんだから……私からテルにお礼させて?」
照「淡の気持ちは十分に受け取ってる。だからもう……」
淡「私はもっとお礼したいの! テルが良くても私が納得いかないの!」
淡「ほら、脇開いて! 全身ちゃんと綺麗にするから!」
照「や、やめっ」
―――ズリュ
照「ゃっ……」ビク
淡(脇に手が挟まれちゃって洗いにくいけど……)
淡(ちょっと無理やりに、ねじ込む感じでいけば……!)ググ…
照「あ、淡っ……!」
淡「力抜いてよテルー……洗いにくいよー……」
照(さっき全身洗うって言ってた……やめさせないと大変なことにっ……)
―――ズリュ
照「ひぁ!?」ビクッ
淡「あ、ごめんなさい……胸擦っちゃった……」
淡(そうだ、どうせならこのまま前を……)
淡「よっと」
照「ひっ」
淡(優しく撫で回すように……)モニモニ
照「んっ……!!」ビクン
淡(テル胸無いなぁ……洗いやすいからいいけど……)
照「や、やめて淡!」
淡「ちょ、腕掴まないで! 洗えないよ!」
照「洗わなくていい!!」
淡「そんなのダメだよ! さっきも言ったけどこれはお礼で……」
照「このあと淡にいろんなことお願いするから!!」
淡「ふぇ?」
照「淡は私にお礼がしたいから体を洗おうとしてるんでしょ……?」
淡「う、うん……そうだけど……」
照「なら、その……体を洗う以外のお礼をしてもらいたい」
照「そっちの方が私は嬉しい」
淡「そうなの?」
照「うん、だからもう体は洗わないで」
淡「テルがそういうなら……」スッ
照(やっと離れてくれて……)ハァ…
淡「その代わり他にたくさんお礼させてね?」
淡「約束だよ? テルが何も言わなくても勝手にするよ?」
照「うん、分かった……それでいいから……」
淡「じゃあ早速私に何かお願いして?」
照「え?」
淡「私を召使いだと思ってなんなりと!」
照「え、えっと……」
照(どうしよう……何もしなくていいなんて言ったら、また私の体を洗おうとするかもしれない……)
淡「ご命令くださいご主人様!」キラキラ
照(急に命令しろなんて言われても困る……何も思い浮かばない……)
照(でも何か言わないとまた変な事を……)
淡「私に何かするとかでもいいよ!」
照「え?」
淡「例えば抱きしめるとか、一緒に寝るとか……」
照「……」
照「本当に淡に何かしてもいいの?」
淡「勿論! 乙女に二言はない!」
照「本当に?」
淡「あ、あんまり変なことはしないで欲しいけど……」
照「それなら……体、洗ってもいい?」
淡「へ?」
淡「そんなことでいいの?」
照「……うん」
淡「分かった。じゃあ場所交代しよっか」ニコ
照(こんなにも素直に受け入れて……)
淡「はいこれスポンジ。あ、テルのヤツ使っちゃって大丈夫なの?」
照「うん、別にいい」
淡「ふふ、テルに体洗ってもらえるなんてすっごくラッキーかも♪」
照「淡はさっきお風呂入ってたから、あまり意味ないだろうけど……」
淡「それはお互い様だよ」
照(髪が背中にかかってるから、とりあえず前に流して……)スッ
照「……」
淡「どうしたのテル?」
照「……髪、綺麗」
淡「毎日お手入れ頑張ってるからねー」
照(すごい……こんなにもサラサラで……)
淡「さっき洗ったばっかりってのもあると思うけど」アハハ
照「……こういう長くて綺麗な髪は羨ましい」
淡「私もスミレの髪とか見てると羨ましく感じちゃうかも……」
淡「テルは伸ばしたりしないの? 長いのも似合うと思うよ?」
照「……短い方が楽だから」
淡「ふふ、テルらしいねー」
照「お湯かけるね」
淡「うん♪」
ザバァ
照(背中もすごく綺麗……スポンジで洗って大丈夫なのかな……)
淡「?」
照(……普通はしないけど、手で直接洗おう)
照「……」スッ
照「……」ナデナデ…
淡(あれ、この感じ……)
淡「……ねえテル。手で洗ってるの?」
照「うん。傷がつきそうで怖い……」
淡「私そこまで肌弱くないから大丈夫だと思うけど」アハハ
照「念のため……」ナデ…
淡(な、なんかドキドキしちゃうな……)
淡(体洗われるだけでもめちゃくちゃレアなのに、それをテルに、しかも手で直接……)
淡(ど、どうしよう……意識したら恥ずかしくなって……)カァ
照(咲たちの体を洗っていたときも、こんな感じだったような気がする……)
照(懐かしい……色々なことを思い出す……)
淡「……」ドキドキ
照「……」
淡(こ、これちょっとヤバいかも……)
淡(体びくってなりそうで怖い……恥ずかしいから絶対に嫌なのに……)
淡(それに体温もだんだん上がってきてるような……)
照「……」
淡「……テル?」
照「……」
淡「どうしたのテル? 手、止まって……」チラ
淡「えっ?」
照「……」ポロ…
淡「!?」
淡「どど、どうしたのテル!? なんで泣いてるの!?」
照「……ごめん。ちょっと、昔のことを思い出して……」グズ
淡「昔のこと……?」
照(横顔だけを見たら、本当にそっくりだと思う……)
照(あの子が生きていたら、きっとこんな風に……)ポロ…
淡「ほほ、本当にどうしたのテル!? ボディソープ目に入っちゃったとか……!」
照「ううん、大丈夫。何も無い……だから気にしないで……」
淡「そんなの無理だよ!? テルが泣くところなんて私初めて見て―――」
『洗い合いっこ』 終わり
淡「……テル」
照「……なに?」
淡「起きてる?」
照「返事をしたあとにその質問をするのはおかしいと思うけど……」
淡「ふふ、それもそうだねー……」
淡「ねえ、そっちの布団入っていい?」
照「……その話は電気を消す前にしたと思うけど」
淡「私まだ諦めてないもん」
照「はぁ……」
淡「それに結局ちゃんとした理由教えてくれなかったじゃん」
淡「ベッドが狭いとか布団が小さいとか、そんなの理由にならないと思うなー」ムス
照「……一緒に寝るなんて普通じゃない」
淡「普通じゃなくていいよ。むしろテルと特別になりたい」
照「……そういうことはあまり言わない方がいいよ」
淡「なんで?」
照「変な意味で捉えられることもあるから。淡は特に言葉には気を付けて」
淡「私は思った事を口に出してるだけだよ?」
淡「それにこんなことテルにしか言わないし」
照(そういう言葉が変な意味に聞こえるのに……)ハァ
淡「ねえテルー、そっち行っていい?」
照「……ダメ」
淡「なんでなのさー。仲の良い先輩後輩なら一緒の布団で寝るくらいするよ?」
照「そんな話聞いたこと無いけど……」
淡「テルは私のこと嫌いなの?」
照「……好きとか嫌いとか、そういう問題じゃない」
淡「じゃあどういう問題なの」ムス
照「はぁ……淡、もう寝よう。この話はこれ以上続けても意味が無い」
淡「またそうやってはぐらかそうとして……」
照「……恋人同士でも無いのに同衾するのはおかしい」
淡「ドウキン、ってなに?」
照「……同じ布団で寝ること」
淡「ほえー、難しい言葉知ってるんだねー……ドウキン……」
淡「でもでも、家族とかお姉ちゃんと妹で同衾したりするのはおかしくないよね?」
照「……年齢次第では」
淡「じゃあさじゃあさ、私とテルは姉妹みたいなものだから、同衾するのはおかしくないよね?」
照「……小さい子ならまだしも、私たちがするのはおかしい」
淡「私はおかしいと思わないよ?」
照「……淡、もう寝よう」
淡「テルが一緒の布団で寝てくれるならぐっすり眠れるかも」
照「……」
照「分かった。そっちに行く」ゴソ…
淡「え、本当に!?」
照「早く寝たいから……」ハァ
淡「やった♪」
照(少し寒いと思ってたから……ちょうど良かったのかもしれない)
照(淡、体温高そうだし……)
淡「あ、待って。テルは奥の方に行って」
照「?」
淡「私寝相悪いから、落っことしちゃうかも」
照「……やっぱり下で寝よう」
淡「ふふ、テルと一緒ならどっちでもいいよ」ニコ
照(この布団じゃ、2人で寝るには狭い)
照(もう一つ持って来て……)
淡「どこ行くのテル?」
照「布団、もう一つ持って来る」
淡「どうして?」
照「……2人で寝るには面積が足りない」
淡「くっついて入ればいいじゃん」
照「……」
―――――――――――――――――――――――――――――
淡「えへへ」ギュー
照(温かい……)
淡「ふふ、同衾だねー」
照「うん……」
淡「ねえテルー。ガールズトークしよ?」
照「私、眠たくなってきた……」
淡「そんなのダメだよ! 寝ちゃダメ!」ギュゥゥ
照「うぅ……」
照「淡、約束は守って……一緒の布団に入ったらちゃんと寝るって言ったでしょ」
淡「私そんなこと言ってないよ?」
淡「一緒の布団で寝てくれたらぐっすり眠れるかも、とは言ったけど」
照「……」
淡「だからまだ寝ちゃダメだよ? オールしようオール」
照「オールってなに……?」
淡「この状況で言うなら……徹夜して朝までお喋りすること♪」
照「……おやすみ、淡」
淡「ダメ!」ギュウウ
照「うぅ……」
照「淡、本当にもう寝よう……これ以上は明日に支障が出る……」
淡「明日は土曜日だから大丈夫だよ」
照「学校は無くても麻雀部の練習がある、遅刻したら菫に怒られる」
淡「2軍、3軍用って言ってたから私たちは行かなくて大丈夫だよ」
照「そういうのは良くない」
淡「テルは私と麻雀部どっちが大切なの?」
照「……そういうのも良くない」
淡(麻雀部って答えないんだ……)
淡(ふふ、ちょっと嬉しいかも……)ギュ…
照「……」
淡「ねえテル……今好きな人とかいる?」
照「好きな人?」
淡「うん。勿論ライクじゃなくてラブの方だよ?」
照「いない」
淡「あはは、即答なんだね……」
照「今までずっと麻雀のことしか考えてなかったから、そういう話はよく分からない……」
淡「ふふ、なんかいかにもテルって感じだね」
照「どういう意味?」
淡「イメージ通りの答えが返って来たとか、そんな意味」
淡「私の中のテルと実際のテルは同じなんだなー、って。ちょっと安心しちゃった」
照「……」
淡「好きな人がいないなら、気になる人とかはいないの? 」
照「……淡のことは気になる」
淡「えっ?」
照「私をチャンピオンとしてじゃなくて、1人の人間として接してくれている人は……」
照「麻雀部だと菫と淡くらいだから」
淡「……亦野先輩とかタカミーは?」
照「あの2人からは少し距離感を感じる……」
照「他の部員の子たちからはもっと……」
淡(普段のテルの様子とか麻雀の実力を考えれば、それはしょうがないことだと思うけど……)アハハ
照「菫とは部活外でも友達だし、3年間クラスも一緒だからまだしも……」
照「淡が私に親しく出来る理由が分からない」
照「同じ3年生でも私に対して萎縮する子が多いのに……どうして淡は……」
淡「テルのことが好きだからだよ?」
照「えっ……?」
淡「人見知りで、優しくて、ちょっぴり天然で」
淡「一見怖そうに見えるのに実はお菓子が大好きとかっていう」
淡「そんな可愛いところがいっぱいあるテルが私は大好きなんだー」
照「……」
淡「好きな人と仲良くしたいって思ったり、たくさん一緒にいたいって思うのは当たり前のことでしょ?」
淡「私はその当たり前をしてるだけ」ニコ
淡「私がテルに対してフレンドリーな理由は以上です! 普通でしょ?」
照「……普通じゃないよ」
淡「え」
照「全然普通じゃない……やっぱり淡はおかしい」クス…
淡「ど、どこがおかしいの……? 全然分かんないんだけど…… 」
照「分からなくていい……私はそういう淡のことが気になるから」ギュ…
淡(あれ……今、テルに抱きしめられて……)
照(本当に変な子だな……)
照(まだ出会って1年も経ってないのに、私のことをこんなにも知っていて……どことなくあの子に似ていて……)
照「……ねえ、淡」
淡「?」
照「淡のこと……教えてもらってもいい?」
淡「私のこと?」
照「うん……淡が私のことをたくさん知っているように、私も淡のことがたくさん知りたい」
照「淡が眠たくなるまで教えて……」
照「それこそ、夜が明けるまででもいいから……」ギュ…
淡「て、テル……」ドキ…
照(この気持ちがどういうものなのかはまだ分からない)
照(ただ、ゆっくり確かめていけばいいと思った)
照(時間はまだまだあるんだから……)
『一緒の布団で添い寝しながらガールズトーク』 終わり
淡「うーん、迷うなぁ……ねえテルー。どっちが良いと思う?」
照「淡なら何を着ても可愛い」ペラ…
淡「もう、そんなこと言っちゃってー。テルは褒めるのが上手なんだから」フフ
照(さっきから2時間以上買い物してるけど)
照(どうして淡は疲れないのかな……)
淡「うーん、でもやっぱこっちのがイケてるよねー……」
照(まあ、淡が楽しいならそれでいいけど……)ペラ…
淡「ってちょっと! さっきツッコミ忘れたけどどうして座って本読んでるの!?」
照「……飽きた」
淡「またそんなこと言ってー……」ムス
淡「テルも服見て来たらいいじゃん。この店結構イケてるよ?」
照「私、今日あんまりお金持って来て無いから」
淡「ちょっとくらいなら貸してあげてようか?」
照「いらない」ペラ…
淡「じゃあ私に似合う服探して来てよ! テルが選んだ服着てみたい!」
照「……淡なら何を着ても可愛い」
淡「二度も同じセリフで喜ばないからね」ジト
照「……」ペラ…
淡「もう、ノリ悪いなぁ……」
淡(やっぱインドアなテルに立ちっぱなしの歩きっぱなしはしんどかったのかなぁ)
淡(あんまり私にばっか合わせてもらうのは悪いし……ちょっと休ませてあげた方がいいのかも……)
淡「ねえテル、ちょっと休憩する?」
照「……淡が休憩したいなら、それに合わせる」
淡「よし、それじゃあの喫茶店に行って先に休んでおいて?」
淡「私はこの服のどっちか選んでから向かうから」ニコ
照「淡が終わるまで待つけど……」
淡(またそんなこと言って……)
淡「うーんとじゃあ、先に行って2人分の席取って来て?」
淡「結構混んでそうだし、もしかしたら座れないかもだから」
照「……分かった」スッ
淡「何か頼んで飲んでていいからねー。後半戦のために疲れを癒してねー」
照(後半戦……)
―――――――――――――――――――――――――――
「席の方がただいま大変混雑しておりまして……相席でもよろしいでしょうか?」
照(私は別にいいけど……淡は嫌がるかな)
照(……社交的だから問題無さそう)
照「はい、大丈夫です」
「ありがとうございます。それでは向こうの角のテーブル席を―――」
照(相席か……淡のことを考えて決めたけど、私に限って言うなら……)
照「……」
照(怖い人じゃなかったらいいな)テクテク…
照(ここの角を曲がって……)
怜「……」
照(……え?)
怜「……」グデー
照(この机に突っ伏してる人って……)
照「園城寺さん……?」
怜(ん、なんか……名前で呼ばれた気が……)ムク
怜「……」
怜「えっ?」
―――――――――――――――――――――――――――
怜「なるほどな……チャンピオン、じゃなくて宮永さんもデートか」
照「……淡とはそんな関係じゃないから、デートでは無いと思う」
怜「あ、そうなんや……まあ、宮永さんと大星さんの関係なんて全く知らんけど」
照「園城寺さんはどうしてこんな場所に?」
照「ここ東京だけど……」
怜「部活引退して暇持て余してるから。竜華と一緒に全国のいろんな場所観光に行ってて」
怜「北海道、宮城、千葉って下がってって今日は東京ってわけや」
照「そうなんだ……楽しそうなことしてるんだね」
怜「竜華はめちゃくちゃ楽しそうやなぁ……」
怜「私も楽しませてもらってるけど、いかんせん基礎体力が桁違いやから……」
照「園城寺さんの気持ちはすごく分かる」
怜「まあこうやって私を気遣ってくれる分、ありがたい話やわ」
照「そういえば清水谷さんは今どこに?」
怜「なーんかヘンテコな服屋でよう分からん服に目キラキラさせとったなぁ」
怜「10分もすれば戻るって行ってたから、もう来ると思うけど……」
「テルー!!」
「怜ー!!」
照「この声……」
怜「噂をすればなんとやら、やな……」
淡「見て見てテルー! このサングラスめちゃくちゃカッコいいでしょ!? あのお店の人にオマケでもらったの!」
竜華「見てや怜このTシャツ! 『未来』の文字に竜のワンポイント! めっちゃすごくない!?」
照「……」
怜「あはは……」
―――――――――――――――――――――――――――
淡「それにしてもすっごい偶然だよねー!」
竜華「せやなぁ。まさかこんな場所でこの4人が一緒になるなんて、これはもう奇跡やで」
淡「リューカもやっぱりそう思う!?」
竜華「もちろんやで淡ちゃん! 」
淡「やっぱ宇宙からのエナジーをビシビシ感じて……!」
怜「あの2人仲良さそうやなぁ」
照「そうだね……」
怜「何か通ずるものがあるんやろなぁ。2人ともリア充っぽいし」
照「うん……」
怜「ウチらみたいな陰キャラとは生まれ持った何かが違うんやろな…… 」
照「園城寺さんは運動出来る?」
怜「100m走り切られへん」
照「え……」
怜「うん、これ絶対に引かれる鉄板ネタやから」
怜「それに比べ竜華は速いねんなぁ……陸上選手か言うレベルの速さで走って……」
照「……私も体育祭で球入れしか任されないくらいには運動出来ない」
怜「ふふ、あの宮永照が玉入れて……!」
照「それに比べ淡は運動神経抜群で、リレーではアンカーとかも任されてて……」
怜「ウチらって結構共通点あるんやなぁ」
照「……淡と清水谷さんはよく似てると思う」
怜「2人とも光輝いてるからなぁ……ウチらはこうやってネガティブ談義で盛り上がるのが悲しい性やな」
照「うん……」
淡「でねー、テルったら私が服見てるのに座って本読み出すんだよ!?」
竜華「うわぁ、それは酷いなぁ」
淡「服とかもどっちが似合ってるか訊いても適当にしか答えてくれなくて……」
竜華「うぅ、ウチもその気持ちよう分かるわぁ……悲しいよなぁ」ウルウル
竜華「怜もあんまりお洒落とか興味無い子やから、基本店の中で座ってばっかで……」
竜華「靴とかも怜が好きな方選んで、って言っても『みんな見とるんは靴やなくて乳やで』とかオッサンみたいなこと言いだしたりして……」
淡「うわぁ、サイッテーだね……どっちか選んでって言ってるのに選ぼうともせずに、しかもそのセリフって……」
怜「なんか前の方でボロカス言われてる気するわ」
照「……悪口を言われるようなことをした私たちが悪いと思う」
怜「せやな……今のうちに吐き出すだけ吐き出しといてもらいたいわ」
照「うん……矛先がこっちに向いて来る前に……」
淡「トキ!!」
怜「うっ」ビク
竜華「宮永さん!!」
照「っ……」ビク
淡「どうしてリューカの乙女心分かってあげないの!!」
竜華「淡ちゃんの気持ちもっと考えてあげて!!」
照(これ……)
怜(アカンヤツや……)
淡「そもそも2人とも―――」
―――――――――――――――――――――――――
淡「ねえテルー、恋愛系とホラー系どっちの映画見たい?」
照「……このアクション映画が見たい」
怜「お、宮永さんセンスええなぁ。ウチもそれやわ」
竜華「ウチは淡ちゃんと同じホラーモノか恋愛モノがええなぁ」
怜「意見が綺麗に分かれたから、ウチと宮永さんはアクションモノで……」
淡「ってなんでそうなるの!?」
怜「っ!?」ビク
竜華「そうやで怜! 普通に考えて別れるとしてもウチと怜、淡ちゃんと宮永さんやろ!?」
淡「そんなことだからトキは乙女心が……」グチグチ
怜(ヘルプ! ヘルプ!)チラ
照「……」プイ…
怜(って目そらすなや!?)
―――――――――――――――――――――――――
「う、うぁぁああ……!! ば、化け物っ……!!」
照(結局二つ見る事になりました)
淡「あわわわ……」ガクガク
竜華「あぅぅ……」ブルブル
怜(この2人ビビりすぎや……なんでこんなB級映画でここまで怖がれんやろ……)
照(清水谷さんのポップコーンもらっていいかな……)
淡(どど、どうしようめちゃくちゃ怖い……もう今すぐ出たいんだけど……)チラ
照「……」モグモグ
淡(うぅ……テルさっきからなんか食べてばっかだし……)
竜華(アカン、これ今日寝れんなるタイプのヤツや……)カタカタ
竜華(と、怜は……)
怜「すぅ……」
竜華(って寝てる!?)
竜華(うぅ……そんな殺生なぁ……起きてや怜ぃ……!)ユッサユッサ
怜(ウチが病弱ってこと忘れてないかな竜華……)ガクンガクン
「て、テルぅ……」カタカタ
照「……?」
照(淡、どうしたんだろう……私のこと見つめて……)
淡(一回外に出よ……?)ウルウル
照「……」
照(ポップコーン食べたいのかな……)ゴソゴソ
照「……」スッ
淡「え……?」
照「あーん」
淡「あ、あーん……ってそうじゃなくて!?」
―――――――――――――――――――――――――
「好きだユウ! 私には君にしかいない!!」
「スミレちゃん……!」
怜(なんやこの背筋かゆくなるような三文芝居……)
照(あまりにも王道なストーリー……そういう映画なんだろうけど……)
竜華「うっ……うぅ……」ポロポロ
淡「ひぐっ……良かったねユウ……」ポロポロ
怜(な、泣いてる!? この2人は感受性まで似とんのか……)
照(このストーリーで涙が出るって……ある意味すごい……)
竜華「うぅ……」
淡「ぐずっ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――
竜華「あの映画めっちゃ良かったわぁ……特にストーリーが良く出来てて……」
照(ストーリー……)
淡「すっごく良かったよね! 特にラストシーンで2人が結ばれる所がちょー感動で……!」
怜(名前呼び合って抱き合ってるだけやったと思うけど……)
竜華「ホラーのヤツはよう分からんかったけどこっちは最高やったわ!」
淡「あのホラー映画は駄作だね! こっちは超名作だよ!」
照(どうして淡と清水谷さんはホラー映画を見ようと思ったんだろう)
怜(あのアクション映画見たかったなぁ……絶対おもろいのに……)ハァ
淡「竜華は登場人物の中で誰が一番好きだった? 私はやっぱりスミレ!」
竜華「ウチはあの2人の架け橋になったクロちゃんが……」
―――――――――――――――――――――――――――――
竜華「それでなー」
淡「うんうん」
照(もうこんな時間……)
怜(映画2本も見た後に街中を練り歩いたらなぁ)
怜(もう十分すぎるほどに遊んだし、そろそろ予約してたホテルで休みたいんやけど……)ハァ
竜華「……」
淡「どうしたのリューカ? ぼーっとして?」
竜華「ん? いや、そろそろお別れやなー、って」
淡「えっ……?」
照「……」
怜(……ホンマ。ありがたいわ)
淡「お別れ……?」
竜華「うん、ウチらもうそろそろ予約してたホテルに行かなアカンねん」
怜「ごめんな大星さん。んで、付き合ってもうてありがとうな」
淡「そ、そんな! 付き合っただなんて……」
淡「むしろ私が2人に遊んでもらって……情けないテルの代わりに!」
照「その一言は余計」
竜華「ホンマ偶然一緒になっただけやのに、成り行きでここまで色々やって……めちゃくちゃ楽しかったわ」
竜華「また機会があればこの4人で遊ぼな」ニコ
淡「ふふ。喜んで」ニコ
竜華「あ、そうや! 連絡先交換せえな! 大星さん赤外線ある?」
淡「任せて! ここからビシバシ飛ばせて……」
照「……今日一日お疲れ様。ごめんね、病弱なのに淡のせいで色々と」
怜「ええよ、全然気にしてないし。むしろそっちの負担にならんかったか心配やわ」
照「……私も楽しかったから大丈夫」
照「多人数でこんな風にして遊んだりするのは……初めてだったから」
怜「寂しい青春生活送っとったんやな」
照「……うん」
怜「ま、それも昔の話やろ。あんなにも可愛い恋人おるんやから」
照「……淡とはそういう関係じゃない」
怜「え、そうなん!?」
照「一番始めに言ったと思うけど……」
怜「全然覚えとらんわ」
照「そう……」
怜「それやったらまあ。ちゃんと射止めなアカンなー」
怜「あんなええ子2人はおらんで」
照「……」
怜「ま、宮永さんはその点心配無さそうやけどもな」フフ
竜華「怜ー、そろそろ行くでー」
怜「はいよー」
怜「正真正銘のダブルデートが出来る日を楽しみに待っとるわ」
照「……またどこかで」
怜「何かの大会ですぐ再開しそうやけども」アハハ
照(確かに……)
淡「バイバイ2人ともー!! また会おうねー!!」
竜華「宮永さんも淡ちゃんも元気にやるんやでー!! 特に淡ちゃんは頑張ってなー!!」
淡「めっちゃ頑張るねー! 竜華も怜とお幸せにー!!」バイバイ
淡「ふぅ……行っちゃったね……」
照「……うん」
淡「さ、私たちも帰ろっか」ニコ
照「……そうだね」
淡「ねえテル、手繋ごう!」
照「……嫌」
淡「なんで!?」
照「私と淡はそういう関係じゃ―――」
ダブルデート 終わり
ここまでです
おおよそ1時間後の00:00に最初に出たお題、シチュエーションで次いきます
明日の夜までには書き始めます
淡「ねえテルー! 明日麻雀部休みだしどこか行こうよ!」ガチャ
照「っ!?」
淡「クラスの子に聞いたんだけどね、駅の近くに良い感じのケーキ屋さんが出来たらしくて、そこのオープンセールで……!」
照「あ、淡、ちょっと待って。落ち着いて」
淡「?」
照「出会い頭に色々喋られても、話の整理が追いつかない」
淡「あ、ごめんね。ちょっとテンション上がっちゃってて」アハハ
照「あと何度も言ってるけど、部屋に入る時はノックして欲しい」
淡「私とテルの仲なんだし、そんなのいらないでしょ?」
照「寮生活でのマナーはちゃんと守らないと……あといきなり入られると本当にビックリする……」
淡「うーん……分かった。次からはちゃんとノックするね」
照(そう言ってこれが3回目くらいだと思うけど……)
淡「ってその話は置いといて」
淡「テル! 明日一緒にケーキ屋さん行こう! 何時から行く? 私朝弱いから10時くらいが嬉し……」
照「ま、待って。私、明日は予定がある」
淡「えっ」
照「だから、淡と一緒にケーキ屋さんには行けない」
淡「……」
照「……」
淡「なんで嘘付くの……?」
照「嘘は付いてないけど……」
淡「そんなわけないじゃん! インドアのテルが休みの日に出かけるなんて前代未聞だよ!」
照(前代未聞……)
淡「私が引っ張りださなきゃ部屋でずっと本読んでるのに……予定なんてあるわけないでしょ! 嘘つかないで!」
照「ご、ごめん……でも、嘘じゃない。明日は本当に予定がある」
淡「どこに何しに行くのさ」ジト
照「……淡には関係ないよ」
淡「っ……」
照「とにかく、明日は空いてない。明後日の練習終わりなら……」
淡「テルのバカっ!!」
バタン!!
照「……」
照「はぁ……」
照(どうしてこうなるんだろう……)
菫「おい、何の騒ぎだ」
照「菫……」
菫「バタバタと廊下を走る音が聞こえて来たと思えば、アイツの甲高い叫び声だ。隣人の迷惑を少しは考えて欲しいんだが……」
照「……」
菫「……喧嘩か?」
照「淡が私に怒ってるだけ」
菫「何したんだお前」
照「何もしたつもりは無いんだけど……」
菫「まあなんでもいいが……麻雀部に支障が出ない程度には機嫌を治しておいてくれよ」
菫「機嫌の悪いアイツはかなりタチが悪いからな」ハァ…
照「……善処する」
菫「……」
菫「お前もあんまり気にかけるなよ」
バタン
照「……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
淡「……」コソコソ
照「……」
淡(本当はこんなことしたくなかったけど……しょうがないよね……)
淡(ちゃんと理由言ってくれなかったテルが悪いんだもん)
淡(テルには関係なくても、私には関係あることだもん……)
照「……」
淡(にしても、どこ行くかと思えばこんな街中……一体何の用事で……)
淡「……」
淡(誰……? あの人……)
淡(なんかテルと話始めてるけど……)
淡(えっ。本当に誰? 麻雀部にあんな子いなかったよね? 私の知らないテルの友達?)
淡(パッと見は高校生だけど……白糸台の人なのかな。それとも他校の生徒で……)
照「それじゃあ、行こっか」ニコ
淡「!」
淡(テル、今笑って……)
淡(あ、歩き始めてる! 追いかけないと……!)タタッ
―――――――――――――――――――――――――――――――――
淡「……」コソコソ…
照「……」テクテク…
淡(予定ってこのことだったんだ……あの人と街にお出かけするから、私の誘いを断って……)
淡(テルにそんな友達居るなんて全然知らなかった……)
淡(私も友達と遊んだりするし、テルにとってもそれくらい当たり前のことなんだろうけど……)
照「……」フフ…
淡(なんか、すっごく面白くない……)
淡(テル、楽しそうだし……雰囲気良い感じだし……)
淡(てか、誰アイツ……テルの何? 知り合い? クラスメイト? 後輩?)
淡(私は知らないから麻雀部は関係ないだろうし……まあ顔覚えてない人とかいっぱいいるから分かんないけど……)
「……」
淡(服とかめっちゃ気合い入ってる。髪もアレ絶対に美容院行ったあとだ……)
淡(どう考えても友達と遊びに行くのにするような格好じゃないよ)
淡(それに加えてテルのこと見てる時のあの顔……)
「……」ポー
淡「……絶対に好きじゃん、テルのこと」
とりあえずこの辺までで
今日の深夜あたりにまたのんびりやります
淡(まあ、テルは人気者だしモテるから、そのこと自体は何も珍しくないけど……)
照「……」クス…
淡(……ああやってニコニコしてるのがすっごいムカつく)
淡(あんな顔、私とデートした時は一度もしなかったクセに……)
「……」モジ…
淡「……はぁ。休みの日なのにサイテーな気分……」
淡(もう帰ろうかな……テルが誰かとイチャコラやってるとこ見たってイライラしかしないよ……)
淡(そんなのずっと見てて何もしない自信ないし……)
照「……」フフ…
「……」エヘヘ…
淡「……テルのバカ」
淡(もう知らない……好きなだけその人と遊んでればいいよ)
淡(寮に帰ってテルの部屋めちゃくちゃにしといてやるんだから……)
淡(テルが隠してるお菓子も全部食べ尽くして……)
「……」ギュ
淡「!?」
淡「ななっ……!」
淡(何してるのアイツ!? てて、テルの手握って……!)
照「……」
「……」モジ…
淡(ま、街中で手繋ぐとか私でもやったこと無いのに……)
淡(てかなんでテルは嫌がらないの! 早く振りほどきなよ!)
「……」エヘヘ
照「……」アハハ…
淡「むー……!」
淡(テルが押しに弱いのを利用してあんなこと……!)
淡(テルもテルだよ! 手繋ぐとかただの友達同士がしちゃいけないことなんだよ!? それなのに……)
淡「それなのに……」ウルウル
「……」グイ…
照「あ……」
淡(て、テルが連れ去られちゃう! 追いかけないと……)タタッ
淡(流されやすいテルに変なことしようなんて、絶対に許さないんだから……!)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
照「……」
「……」フフ
淡(テルとアイツの距離がだんだん近付いてるように見える……)ムス
淡(テルが何も言わないからって調子乗り過ぎだよ。何も言わないテルが一番悪いんだけど!)
淡(帰ったら絶対にお説教なんだから。節操無さ過ぎだよもうっ……)
淡(あー、ムカムカする……雨でも降って早くお開きになればいいのに)
淡「……」
淡(お開きと言えば……何時くらいに解散するんだろ?)
淡(門限は8時だから、それまでには帰って来ると思うけど)
淡(流石にアイツの家に泊まったりとかはしないだろうし……)
淡(……しないよね?)
照「……」
「……」
淡(立ち止まった……あのお店に入るのかな)
淡(もうとっくにお昼時だし、ご飯食べるのかも……って私もお腹空いた……)グゥゥ
淡(監視ついでになんか食べようかな……バレないよね? 別にバレてもいいけど)
淡(てかいつまで手握ってるのよアイツ……いい加減目に余って来るんですけどー……)
淡(テルを好きになった者同士、ちょっとは大目に見てやろうとか思ってたけど!)
淡(これ以上は許さない……! 次舐めた真似したら飛び出してやるんだから……!)ガルルル
淡(って言ってる傍から腕に抱き付いてるし!?)
「……」エヘヘ
照「……」アハハ…
淡(大人しそうな見た目してるクセにあの女ぁ……!!)
あんまり間隔空くのもアレなのでとりあえずここまで
淡(もう我慢出来ない! 一発ぶん殴ってやる!!)タタッ
淡「コラー!! そこのあばず」
「いらっしゃいませ。お一人様でしょうか?」
淡「へ? あ、はい……」
「ただいま店内が混み合っていますので、店内テーブルのみでのご案内になりますがよろしいでしょうか?」
淡「えっと、中に入れてくれるなら何でもいいですけど……」
「畏まりました。それでは席に案内させて頂きます、こちらへどうぞ」
淡(すごく丁寧な接客だなぁ。私には絶対真似出来そうにないや)
淡「……」テクテク
淡(って完全に出るタイミング取られちゃった!?)
淡(テルとアイツは……!)キョロキョロ
照「……」キラキラ
「……」フフ…
淡(席着いてる……しかもテルめっちゃ目キラキラさせてるし……)
淡(一体何にそんなにもときめいて……ってあれ? このお店、もしかして……)
淡(やっぱそうだ。私がテルに行こう、って誘った駅前のケーキ屋さんだ)
淡(追いかけるのに頭いっぱいで全然気付かなかったよ。へー、中こんな風になってるんだ……)
淡(良い感じだなぁ。流石私が目を付けただけあるね、うん)
淡(せっかくだしなんか食べよう。何がいいかなー♪)
照「これと、あとこれも……」
「……」アハハ…
淡「……」
淡「ふんっ、いっぱい食べてやるんだから……テルの奢りで」
淡(私がお腹いっぱいになるまで精々イチャイチャしてればいいよ)
照「……」フフ…
淡「……ばか」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
淡「……」ジトー
照「……」モシャモシャ
「……」ウフフ
淡「……」
淡(なんかイライラするの通り越して元気無くなって来ちゃったよ)
淡(本当はあの場所に私がいるはずだったのに……)
淡「……はぁ」
淡(あの2人普通に仲良さそうだし、付き合ったりとかしてるのかな……)
淡(あ、あり得ないよね? テルに限ってそんなこと)
淡(そういう噂一回も聞いた事無いし……)
淡(でもテルめちゃくちゃモテるから、もしかしたら言い寄られた誰かと流されるがまま、って……)
淡「あ、あはは。ないない、あり得ないよ」
淡(あのテルがそんな浮ついたことするわけ……)
「……」アーン
淡「……」
照「あむ」
淡「なっ」
「……」エヘヘ
照「……」モグモグ
淡「……」ゴゴゴ…
淡「はは、ほんっと舐めた真似してくれるなぁ……」
淡(おがげさまでまた良い感じにイライラしてきたよ……公衆の面前であんなこと……)
淡(テルもテルだよねー。私が同じことしたら余裕でスルーするくせに……あー、これが一番ムカつくかも)
淡(一回本気でお説教しないといけないよね、うん)
淡(私がどうこうじゃなくて、ああいうことして勘違いさせたら相手の子が可哀想だから)ギロ
照「っ……」ゾク
「?」
照(なんだろう……悪寒が……)
「どうしたの宮永さん? 顔ちょっと青いけど」
照「いや、ちょっと寒気がして……」
「大丈夫? 寒いなら私が温めてあげようか?」
照「……」
照「……」モシャモシャ
「あはは、無視されちゃった」
淡(どのタイミングで出ようかな……ってもうそんなこと考える必要もないよね)
淡(とにかくまずはテルを連れ帰って……)
「あ、宮永さん。ほっぺにクリーム付いてるよ」
照「え?」
「取ってあげるね」スッ
淡「こ、こらぁーっ!!」
照「!?」ビクッ
「?」
淡「ちょっとアンタ! 今何しようとして……!?」
「わー!! あなた大星淡ちゃんだよね!? 」
淡「へ?」
「制服以外着てるとこ初めて見ちゃった! 可愛いー!」ギュゥ
淡「ちょ、なな、なにして……」
照「淡……? どうしてここに……?」
淡「べべ、別に尾行なんてしてないから! テルが誰と何してるのかとかも全然気になってないし!」
照「……」
「あー、そういう事情なんだ……ふふ、淡ちゃん可愛いー」ナデナデ
淡「撫でないで! てか初対面なのに馴れ馴れしいんですけど!」
「淡ちゃんは私のこと知らないかもだけど、私は淡ちゃんのことよく知ってるから」ニコ
淡「な、なにそれ、意味わかんない……」
「噂は常々聞いてるしね。にしても綺麗な金髪……近くで見るともっと綺麗」サラ…
照「……」ピク
淡「ちょ、だから近っ」
照「……」グイ…
「おっと?」
照「やめてあげて。淡が嫌がってる」
「嫌がってるのは宮永さんじゃなくて?」クス
照「……」ジト…
「ふふ、そんな顔しないで。するとしてもほっぺにチューくらいしかしないから」ニコ
淡「なっ」
照「何もしないで。淡から離れて」グイ…
「あはは、こんな宮永さん初めて見るかも。おもしろーい」
淡(な、なんかこの人思ってたのとキャラ違う……)
「淡ちゃんはダメみたいだから宮永さんで我慢するね」ギュ
淡「ちょっと!」
照「……話が進まないから大人しくしてて」ハァ
「はーい♪」
淡「ってテルから離れないさいよ!」
「2人ともヤキモチ妬きだね。やっぱり付き合ってたりするの?」
淡「そ、そんなことっ……」
照「……私と淡はそういう関係じゃない」
「うそ、ホントに? 隠さなくてもいいんだよ? みんなそう思ってるんだし」
淡「えっ」ドキ
照「それが本当なら、みんなの感覚が分からない……」ハァ
「あんなにも仲良さそうなんだから、そう思うのは自然なことだよ」
「今だってそうだしね」クス
照「……」
淡(私とテルってそんな風に思われて……)
「でもやっぱり信じらんないなぁ。ねぇ淡ちゃん、本当に宮永さんとそういう関係じゃないの?」
淡「……わ、私とテルは部活の先輩後輩だし」
「そっかー……淡ちゃんは付き合ってる人とかいないの?」
淡「いないけど……ってなんでそんなこと訊くのさ」
「いや、もしかしたら私にもチャンスあるのかなー、って」ニコ
淡「なっ」
照「……淡、その子スケコマシで有名だから気を付けて」
照「可愛い女の子なら誰でも良い」
「ネガキャンやめてよ宮永さん」アハハ
「あと可愛くても性格はちゃんと見てるよ?」
淡「も、もしかして……レズの人……?」
「ふふ、正解」ニッコリ
淡「て、テル! なんでそんな人と2人だけでお出かけしたりするの!?」
照「友達だから……それにずっと前から遊ぼう、って誘われてたし、断るのも忍びなかった」
淡「自分も狙われてるってこと自覚して!」
「あはは、淡ちゃんも大変だね。宮永さんがこんな感じだと」
淡「誰のせいだと思ってるの!」
「ふふ、やっぱり淡ちゃん可愛いー。ねえ、今度一緒に遊びに……」
照「そろそろ時間だと思うけどいいの?」
淡「時間?」
「うわ、ホントだ……うぅ、最悪……」
淡「これから何か用事でもあるの?」ボソ
照「また別の女の子と遊ぶ約束があるらしい」
淡(す、筋金入りだこの人……)
「ショックだぁ……宮永さんと淡ちゃんの2人と遊べる機会なんて千載一遇なのに……」
照「……私だけならまた付き合ってあげるから」
「え、ホントに?」パァァ
淡「ダメだよ!?」
「じゃあ淡ちゃんが代わりにデートしてくれる?」
淡「そ、それは……」
照「……」ジト…
「ふふ、冗談」ニコ
照「はぁ……ほら、早く行きなよ。急がないと間に合わないよ」
「待たせたくないしそうするね。じゃあね宮永さん、またクラスで」
「淡ちゃんもまた会おうねー♪」バイバイ
淡「……」ポカーン
照「……」
淡「あの人っていつもあんな感じなの……?」
照「うん」
淡「見た目とのギャップ凄過ぎだよ……」
照「初めて会った人はみんなそう言うね。私も最初は戸惑ったから」
淡(人見知りなテルと友達になれるんだから、それだけで普通の人じゃないって分かるけど……)
淡「はぁ、もうなんでもいいや……疲れた……」グダ…
照「……最初から付いて来てたの?」
淡「そ、そんなことしてない。この店でたまたまテルたちを見つけただけだもん」
照「そっか」
淡「……」
照「……」
照「淡」
淡「な、なに?」
照「このあと……何か予定とかあるの?」
淡「特に何も無いけど……」
照「そう」
淡「……」
照「……」
淡(えっ、なにこの空気)
照(このまま解散するのがいいのかな、それとも……)
淡(騒がしいのが急にいなくなったからかな……?)
淡(な、何か話題……っていうかいつも通りにすればいいだけなんだけど)
淡(テルなんかアンニュイな雰囲気だし……)
照「……」
照「ねえ、淡……」
淡「な、なに……?」
照「……このあと、一緒に」
「お待たせしました。ラブラブカップルジュースになります」コト
淡「へ?」
照「……」
照「あの、すみません。頼んでないんですけど……」
「先ほどまで同席されていた方のご注文で、お代も頂いてますので……」アハハ…
淡(あ、あの人……)
照「……はぁ」
「では、ごゆっくりどうぞ」ニコ
照「……」
淡「……」
『出かける照のあとをこっそり付いて行く淡』 終わり
次は……今日の21:00以降、最初に出たお題、シチュエーションで
「テル! 早く早く!」
照(彼女がデートと称し、私の手を引いて連れて行く場所は……決まって水のある場所だった)
照(山の清流や隣町の海辺……海遊館は中でもお気に入りらしく、月に2回は通っていた)
照(平日のそれの雰囲気は私も好きだった)
照(人ごみとは無縁の静謐な空間、薄暗い展示室を水槽からの光が照らす……)
照(今思えば、彼女なりに気を利かせていたのだろう)
照(何も考え無しに人を振り回しているように見えて、いつも私のことを第一に考えている)
照(そういうところも……本当にそっくりだった)
「あ、ペンギン! ペンギンだよテル! すごいすごい!」
照(明るくて、人懐っこくて、笑顔が素敵で……)
照(私はそんな彼女のことが大好きだった)
照(その気持ちは今でも変わらないし、彼女との思い出は色褪せていない)
照(だからこそ私は……時々分からなくなる)
「魚って良いよねー。見てても綺麗だし食べても美味しいし」
照(彼女に似ているこの少女に対する気持ちが……一体どこから来るものなのかが)
照「……」
「ふふ、可愛いー♪」
照(私はただ……重ねているだけなのかもしれない)
照(失った物の全てを取り戻したいだけなのかもしれない)
照(そんなことは絶対に出来ないのに)
「そうだ、帰りにお刺身買って帰ろう。安くなる時間狙いたいから、大体8時くらいに……」
照(私はそのことを分かっているつもりでも理解はしていない)
照(ある日突然現れたイレギュラーに戸惑ったまま、適切な距離感を掴めないまま同じ時間を過ごしている)
照(だから、ふとした仕草や横顔にどうしても面影を見てしまう)
照(どんどん深みにはまってしまう)
照(まるで泥沼に落ちて行くかのように)
「♪」
照(例えこれが奇跡の産物で、壊れた心を継ぎ接ぐだけの贋物だったとしても)
照(私はこのかけがえの無い存在を失うことに二度とは耐えられないだろう)
照(失うと同時にきっと狂う。あの時もそうだった)
照(もしあの悲劇が繰り返されるようなことがあるのなら……私は全力で抗う)
照(二度と繰り返さないように。二度とその手を離さないように)
「テル」
照(守り抜く。この手がどれだけ汚れようと……必ず)
照(失って狂うくらいなら、失う前に狂えばいい)
照(この手に彼女があり続けるのなら……それ以外は何もいらない)
淡「テル?」
照「……」
淡「どうしたの? ぼーっとして。もしかして体調悪いとか……」
照「いや、大丈夫。何も無い。少し考え事してただけ」
淡「考え事?」
照「……」
淡「あ、もしかして……」
淡「イカ食べれないとか……?」
照「……」
照「青魚はちょっと苦手」
淡「もー、言ってくれたら買わなかったのにー」
淡「え、もしかしてサンマもダメとか言わないよね!?」
照「焼いてるなら大丈夫。でも他のは臭いが強いから……」
『水族館に行った後お魚料理食べる』 終わり
出来るだけ10レスくらいに収めて数をこなしていこうとは思います
あと変化球は連続で投げないでもらえると嬉し(ry
次は……今日の21:00に最初に出たお題、シチュエーションで
>>115
7文目修正
「テル」→「照おねーちゃん」
1週間ほど頭捻って考えましたが、ハードなのは無理そうです。すみません
コンコンコン
照「……?」
照(こんな時間に誰だろう。もう消灯時間はとっくに過ぎてるのに……)
ガチャ
淡「こんばんわー♪」
照「……淡?」
淡「こんな時間にごめんね。もう寝てた?」
照「今から寝ようとしてたところだけど……」
淡「そっか。ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」
照「お願い?」
淡「相談に乗って欲しいことがあるから、時間もらえないかな、って……」
照「……」
淡「テルにしか話せないことなの……だから……」
照「……とりあえず、中に入って」
淡「ありがとー。お邪魔するね」ニコ
照(相談ってどんな話なんだろう……しかもこんな時間に……)
淡「……」カチャカチャ
照「……淡?」
淡「なに?」
照「どうして鍵を締めてるの?」
淡「邪魔されたら嫌だから」
照「それってどういう……?」
淡「うん、これでよしっと」
照「……」
淡「……2人きりだね」
照「……相談って何? 何か悩み事でもあるの?」
淡「うーん、悩み事って言えば悩み事かな」
照「私にしか話せないことって言ってたけど、それは……」
淡「ねえテル、私のこと好き?」
照「……」
淡「ふふ、テルも驚いたらそんな顔するんだね。ちょっと意外かも」
照「……その質問は、悩み事と関係あるの?」
淡「うん、関係ある」
淡「だから教えてよ。私のこと好き?」
照「……好き、だけど」
淡「ホントに?」
照「……嘘はつかない」
淡「そうやって間を置かれたらちょっと不安になるかも」アハハ
照「ねえ淡、そろそろ話を訊かせて欲しいんだけど……」
淡「ごめんね? 相談に乗ってもらってるのに焦らすようなことしちゃって」
淡「これが最後のお願い」
淡「目、瞑って?」
照「……」
淡「今はまだ意味分かんないかもしれないけど、すぐ分かるから」
照「……これでいい?」スッ
淡「……」クス
淡「ありがとうテル」
淡「私もテルのこと大好きだよ」
カチャン
照「……え?」
右手首に冷たい感触がした。
それが何かを視認した時にはもう、私の手に自由は無かった。
淡「テル……」グイ
照「っ。あ、あわっ」
―――ドサ
身体を押されるがまま、一瞬の浮遊感。
ひやりとしたシーツの感触が首筋を撫でる。
何が起きているのかを理解するには、何もかもが突然過ぎた。
照「あわ、い……?」
淡「私の知らないテルの表情っていっぱいあるんだね」
淡「さっきと今だけで2つも見ちゃった。なんか得した気分」
照「……」
淡「他の人は知ってるのかな。テルが戸惑ったり、怖がったりってするところ」
淡「もし知ってるなら……それはちょっと許せないかな」
淡の瞳が鋭さを増し、色が暗く澄んでいく。
本気で麻雀を打つ時にしか見せない表情……本気で相手を潰しにかかる時の目。
冷たい汗が背に張り付く。
それが今何故私に向けられているのか……理解の範疇をとっくに超えていた。
淡「……」サラ…
照「っ……」
淡「テルの髪、さらさらだね……枝毛いっぱいでもさもさの私とは大違い」
淡「髪とか身体とか……他の誰かに触らせたりしてないよね?」
照「……してない」
淡「本当に?」
照「私にこんなことするのは淡だけだよ」
淡「そうかな。テル人気者だし隙だらけだし、べたべたスキンシップされてそうだけど」
照「……」
淡「あとぼーっとしてるから、どこかに連れ去られたりしないかすごく心配」
照「……淡にそこまで子供扱いされるのは心外だよ」
淡「でも実際ぼーっとしてるし、隙だらけだよね」
淡「現に今こうなってるわけだし」
照「……」
淡「手錠付けられて押し倒されて……もし私が変態さんだったら大変なことになってたよ?」
淡「テルも可愛い女の子なんだから、もっと危機感持たないと」
照「……人並み以上には持ってるつもりだよ。淡だから油断しただけ」
淡「嬉しいような悲しいような、って感じだなぁ」アハハ
照「結局私に悪戯しに来ただけなの? 相談っていうのは口実で」
淡「悪戯じゃないよ? 防犯訓練」ニコ
照「……はぁ」
淡「背中に天使の羽が生えてるような私でも、無防備すぎるなのは良くないと思うけどなぁ」
淡「ほら、天使って堕落しちゃうと悪魔になっちゃうし」
照「……淡は悪魔になるとどうなるの?」
淡「今から教えてあげてもいいけど……どうする?」
照「……遠慮する」
淡「そっか、残念」アハハ
いつものように快活に笑う淡……さっきの張り詰めた空気が嘘みたいだった。
照(あれが悪魔になった淡の一面なのかも)
照(どちらかというと、淡は天使よりは小悪魔だと思うけど……)
淡「……」カチャカチャ…
照「……何してるの?」
淡「ほら、それ付けてる状態でもある程度抵抗出来るから、念のため」
淡はベッドの一部に、私の腕を手錠ごと固定させていた。
淡「うん、これでよしっと」
照「えっと……これ、そろそろ取って欲しいんだけど……」
淡「取らないよ? 付けた意味なくなっちゃうじゃん」
照「明日も学校があるから、あまり遅くまで遊んでられない」
淡「……テルは今、自分がどういう状況なのかよく分かってないって感じだね」
照「……?」
淡「さっきも無防備すぎるのはダメって言ったばっかなのに、何もしないで私にされるがままだし」
淡「それってつまりさ……そういうことなんだよね」
照「……淡?」
淡は私の身体の上に馬乗りになるように腰を落とした。
見上げる私、見下ろす淡。
互いに見つめ合ったまま無言の時間が流れる。
私たちには似合わない、なんとも言え無い空気―――先に口を開いたのは淡だった。
淡「ねえテル、私のこと好き?」
照「……その質問にはさっき答えた」
淡「さっき訊いた時の好きと今の好き」
淡「テルは同じ意味だと思うの?」
照「……淡の言っている事が、私には分からない」
淡「そっか……じゃあにぶちんなテルにも分かるように訊き直してあげるね」
淡「テル、キスしていい?」
照「……は?」
淡「キス、していい?」
私の頬を手のひらで覆い、じっと目を見つめる淡。
時間を置き去ったままの頭には、その言葉を理解するのはあまりに難しかった。
前半終了です
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