妹「……」兄「なんすか?」 (900)
妹「……」
兄「何?これ?」
母「あんたの妹、腹違いだけどね」
兄「で、こんな小さな子を連れて何しにきたのさ」
母「この子、あんたに預けるわ」
兄「は?何言ってんだよ?」
母「アイツが他所の女とつくった子なんて世話できないわ。血のつながってない赤の他人を育てるなんて勘弁よ」
兄「なんで俺なんだよ、親戚とかもいるんじゃあねーのかよ」
母「知らないわ。文句なら親類に縁切られてるその子の両親にでも言ってちょうだい。もっとも、二人とも死んじゃったみたいだけど」
妹「……ぅ……」
兄「それで俺って……」
母「じゃ、そういうことだから」ガチャ バタン
兄「……」
妹「……」
兄「……マジか……」
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兄「あー、その、なんだ、座ってるままじゃ辛いだろ?ちょっと物どけてやっから」
妹「……」コク
兄(突然押し掛けられても、こんなきったねえ部屋によく置いてったなあの野郎……)
兄「ほら、座っとけ」
妹「……」チョコン
兄「あーなんだ、その、まぁ、と、とりあえずジュース買ってくるから、待っててな」
妹「……」コク
兄(どうしてこうなった……)
兄(生活力もクソもない、こんなしがない社会人してる俺に突然妹だなんて、おかしな話じゃあないか……)ガシャ ガシャ
兄(……お菓子と、ジュースありゃあとりあえず落ち着いて話もできるかな……)ポイッ
兄(俺が24だから……あの見た目だと小学何年生だ……?10以上も離れてちゃあなんて話したらいいかなんて分かるわけねーじゃあねーか)
兄(歯ブラシとかの日用品も適当に買って……ま、こんなもんか)ラッシャーセーアリャース
兄(黒髪でほんと人形さんみたいだったな……)ゴウケイ3762エンナリャース
兄「あ、ラッキーストライクボックスで」ラッキーボックスハイリャシター4202エンナリャース
兄(とりあえず不安しかねーわ)アリャーシター
兄「うーっす」ガサガサ
妹「……ぁ……」
兄「うおっ、お前俺が出てった時のままの姿勢で待ってたのかよ。もうちょっとくつろいどけばよかったのによー」
妹「ぁ……ご、ごめん……なさい」
兄「い、いやいやいや、謝るこたねーんだって。ほら、ジュース買ってきてやったから、飲んどけ飲んどけ」
妹「……」コク
兄「とりあえず、自己紹介でもするか。お互いはじめましてだもんな」
妹「……」コク
兄「俺の名前は兄って言うんだ。普通に会社員してる。……まー趣味らしい趣味はないか。見ての通り独身だ」
妹「……兄」
兄「そう、兄だ。呼び方は任せるわ。お兄ちゃんでも兄さんもなんでも」
妹「……兄」
兄「お、おう。別にそのまま名前で呼んでくれてもいいかんな」
妹「……うん。えと……私、妹っていいます……11歳……です」
兄「ほー妹ね、オッケーオッケー。ま、なんだ、いろいろと困惑してるだろうけど、よろしくな」
妹「……」コク
兄「そーいえば腹減ってねーか?お菓子、色々とあるんだぜー」
妹「お菓子……ばっかり食べてるの?」
兄「おー、まあな。飯作るなんてもうどんだけしてねーかなー」
妹「お菓子ばっかり食べてると、駄目だって……」
兄「おお、まぁ世間ではそうなってるけどな、兄ちゃん程の人間になるとこれがなんともないんだなー」
妹「わ、私……お料理、できます」
兄「んだよ馬鹿にしてんのか?」
妹「……」ビクッ
兄「あ、いやいやいや怒ってないっすからそんな泣きそうな顔しないでくれ」
妹「……グス……」
兄「あー、なんか、ごめんな」
妹「……」フルフル
兄「しゃーねー、今日はもう寝るか。ベッドは俺の使っていいから。遅いしもう今日は眠いだろ?」
兄「そーいえば腹減ってねーか?お菓子、色々とあるんだぜー」
妹「お菓子……ばっかり食べてるの?」
兄「おー、まあな。飯作るなんてもうどんだけしてねーかなー」
妹「お菓子ばっかり食べてると、駄目だって……」
兄「おお、まぁ世間ではそうなってるけどな、兄ちゃん程の人間になるとこれがなんともないんだなー」
妹「わ、私……お料理、できます」
兄「んだよ馬鹿にしてんのか?」
妹「……」ビクッ
兄「あ、いやいやいや怒ってないっすからそんな泣きそうな顔しないでくれ」
妹「……グス……」
兄「あー、なんか、ごめんな」
妹「……」フルフル
兄「しゃーねー、今日はもう寝るか。ベッドは俺の使っていいから。遅いしもう今日は眠いだろ?」
妹「……」コク
兄「おー、俺はちょろっと仕事片付けてから寝るから、あんまし騒がしかったらごめんな」
妹「……はい」
兄(敬語かー……まだだいぶ警戒してるみたいだな。無理もねー。こんなおっさん入門しかけてる見ず知らずの男と生活だもんな……)
兄「んじゃ、電気は消しとくから」パチ
妹「ぁ……ちっちゃい、電気……」
兄「ん?ああ、豆電球な。俺も小さいころはつけてなきゃ落ち着かなかったなー……ほれ」
パチパチパチ
妹「あ、ありがと……ございます」
兄「気にすんなって、んじゃ、ゆっくり寝ろよー」パタン
兄「はー……こりゃだいぶしんどそうだな……」
兄(嫌だろうけど、妹には俺しか頼るあてなんてねーんだろうな……」
兄「あの歳で孤独の身ってのも、俺だったら鉄砲玉にでもなって、さっさとオサラバしたくなっちまうよ」カチッ ジリジリ スパ-
兄(俺に、何かできるのかねー)カタカタカタカタカタ
兄(結局そんなこんなしてるうちに午前4時……)
兄「あー、クッソねみ。さっさとベッドで……と、妹が寝てるから使えねーじゃねーか」
妹「…ス-……ス-…」
兄(見れば見る程、スッゲー整った顔してんな。かわいらしいのに且つ綺麗。本当にこれが俺の妹かよ)
兄「……ノータッチ。触っちゃ負けだよな、いろいろな意味で」
兄「仕方がねー、ベッドにもたれ掛かって仮眠程度に休めりゃ上等だろ」
兄(一時間だ……一時間寝たら起きて適当に……動き始めて……zzz……)
_____________
妹「……」ジ-
兄「zzz……zzz……」
妹「……」ジ-
兄「zzz……z……」パチ
妹「……」ジ-
兄(朝起きたら妹がしゃがみ込んでずっと俺の方を見てる……なんだ、おい)
兄「なんすか?」
妹「………」ビクッ
兄(突然動き出した自分を見て目が泳ぎまくってビクッとする妹が可愛く見えたのは気のせいだろう)
妹「……兄……」
兄「はいはい、兄っすよー」
妹「……ぁ、朝、です」
兄「お、おう。朝だな。おはよう」
妹「おはよ……ございます…」ペコ
兄「なんだ、わざわざ起こしてくれた……の……」チラ
時計「」ハーイ7:30
兄「っかぁあああああああ!やっべぇ!なんにも準備してねぇしまったぁぁああ!!」
妹「…っ……!」ビックゥ
兄「妹!すまんがかまってらんねー!悪いけど今日はお前一人でなんとか留守番でもしててくれ!」バタバタバタ
妹「……ぁ、あの……兄……」
兄「あれだろ、これだろ、とりあえずこれとこれも」ワタワタ
妹「……あ、兄……」
兄「っしゃ準備完了!んじゃ妹!俺行くから!」
妹「……ぐす……兄ぃ……」
兄「あーもーなんすか!」
妹「お弁当……です……」グスッ
兄「」
兄(なんか、焦って怒鳴っちまって……悪い事したなぁ)カタカタカタ
兄(まさか冷蔵庫にぶち込んであった適当な食材で弁当作ってくれてるなんて思いもしねーよな)
兄(っと、とりあえず昼休憩だ。妹の作った弁当でもいただきますかー)
兄「oh……ワンダフル……」
兄(おいおいおい、おかしいだろ!!俺の家の冷蔵庫にはこんなうまそうに見える食材なんてひとっつも入ってなかったぞコラ!)
兄(……自炊生活レベルでは遥か上だと思っていましたがこれは想像以上です……)ゴクリ
兄(く、悔しいけど、いただきます……)
________
妹(お留守番、頼まれたからにはしっかりしないと……)
妹(……お部屋、汚いな……)
グチャグチャラー
妹(……お掃除したら兄、褒めてくれるかな……?)
________
兄(すっげー、スッゲー美味かった)プハ-
兄(なんだろ、なんかもうひと頑張りできそうな気分だぜ……)
同僚女「あれ?兄さん今日のお昼はお菓子じゃないんですね」
兄「ええ、まぁ、ちょっと」
同僚女(以下女)「いいですねー。あんな不健康な食生活よりも、しっかり食べた方が身体にいいですからね」
兄「多分今日だけっすよ。さすがに毎日なんてできやしねーんですから」
女「でも頑張って続けたらきっと兄さんの顔色もだいぶマシにはなると思いますよ?明らかに顔色悪いです」
兄「そうっすかねー。ま、不健康だろうがなんだろうが、働けりゃ問題ねーっすよ」
女「病気になっちゃったら働けないですよー」
兄「ま、適当に気をつけますよ。それじゃ」
女「はーい、じゃ、頑張ってくださいねー」
兄「……ふぅー……今日も終わったー……」ガチャリ
パタン
兄「」
兄(あれ?部屋間違えた?いやいやいや、部屋番もあってる、どことなく俺の部屋のにおいもする……)
兄(何があった……)
兄「部屋が……部屋が綺麗になってる」
ガチャ
妹「ぁ……兄……おかえり……なさい」
兄「おう、なんだこれ?全部妹がやったのか?」
妹「!……うん。私……がんばり、ました……」
兄「すっげーな、弁当といい部屋の掃除といい、俺がガキの頃でもこんなことしてなかったぜ……」
妹「……」
兄「なんだよその『今もたいして変わらないじゃあないですか』みたいな目はよー」
妹「ぅ……ヒグ……ご、ごめん、なさい……」
兄(やっちまったぁぁぁああああああ!!!!!)
兄「ち、ちげーんだって、ほら、あれだ!ちょっとした言葉のあやと言うか……」
兄(つか……今もたいして変わらないと思ってるって図星だったんすね……妹よ)
兄「ほら泣き止めって、お菓子あるぞ?これみんな妹のだから」ガサガサ
妹「……グス……い、いらない……です……」プイ
兄(なんなんだよこのガキはよぉ~……!お菓子でどうこうならない小学生なんてなかなかいねーぞ)ピク
妹「……な……」
兄「……な?」
妹「……撫でて…欲しいです……」
兄(撫でる?……こうか?)シャガミコンデアタマナデナデ
妹「……グス…」ギュ
兄(空いてる片手に抱きついてきました。何?小動物か何かか?ガキなんて思ってごめんなさい妹)ナデナデ
妹「………」ギュ-
兄(あったけー、可愛い…………寂しかった……のかね…?)
兄(思えば……あの部屋の散らかりようからここまで綺麗にするってのもなかなかできたもんじゃあねーよな……)
兄(大人とか、高校生ならともかく、11歳だろ?)
兄(つか……なんでここまで家事とかできるんだよ?なんかおかしいだろ)
兄「なぁ。妹。お前……今まで……前の家とかで何してたんだ?」
妹「……」ピク
妹「……ご飯、作ったり……掃除したり……洗濯したり……」
妹「パパも……ママも……どっか行ってばかりで、わ、私が……こういう事してると、褒めて……くれ、ました」
兄「……」
妹「え、えらいぞー……って、妹は……すごくいいお姉ちゃんだって……グス」
妹「家の事は……任せても……大丈夫だなって……」
妹「いっぱい、いっぱい……頑張ると……優しく、してもらえたから……ヒック」
兄(親父と……こいつの母親……放任ってのにも程があんだろーが……)
妹「…私……もっと頑張りますから……だから……だから……ぇ……ヒグ」
兄(……褒めてもらいたくて、かまってほしくて、頑張ってたんだな……)
兄(このままじゃあ、こいつ……妹を年相応もねー寂しい女の子にしちまうじゃあねーか)
妹「……わた……私を……置いていかないでください……」
兄「………」ワシワシワシ ギュ
妹「ぅ……ぅううう…ひっ……グス……」ギュウウウ
兄(あークソ。聞くんじゃあなかった。これは……兄として、このままにしておくわけにゃあいかねーな)
Re:
兄「よっしゃ、妹、明日俺とどっか買い物でも行くか」
妹「……?」
兄「今着てる服以外にも何か着せてやらねーとな。お前にはこんな事よりもっともっと楽しい事があるんだって教えてやる」
妹「たのしい……こと……ですか?」
兄「そうだ、お前がいままで、甘えられなかった分、俺がかまってやる」
兄「正直な話、俺はお前なんか赤の他人同然、全く知らなかったんだ」
妹「ぅぅ……」
兄「俺がお前を見てやる。今まで一人ぼっちだったんだもんな。……でも今は俺たち、兄妹だぜ?」
妹「……」
兄「な?」
妹「……はい」
兄「へへ……なんかようやく兄妹第一歩って感じだぜ……」
妹「……ぁ、兄……」
兄「ん?」
妹「……」
兄「……あぁ、なるほど」ナデナデ
妹「……ぅ」
兄「とりあえず、風呂入ってきな。今日は疲れたろ?」
妹「……」コク
兄「よしよし、タオルとかは俺が準備しておいてやっから、行ってきな」
妹「……」コク
トテトテトテ
兄「……さて、一人暮らしがなげー会社員なめんなよ」
兄「少ねー冷蔵庫の中身も、俺にかかれば……」ガパン
冷蔵庫「」ハーイ
兄「」パタン
兄(そういや、妹が弁当に使っちまったんだ……)
兄(……てことは……アイツ、一日中飯食ってねーってわけか……)
兄(なぁーにやってんだよ俺はぁぁ!!!!!!!!)
兄(あんなに弱々しい妹に酷い目にあわせてる自分が恨めしいぜ……)
兄(マッハで食材買ってきて、妹にたらふく食わさなきゃあな)
兄(しゃあっ、行くぞオラァ!!!!)ガチャン
パタン
兄「……」ガチャリ
兄「……」ガチャ
兄「妹ー、タオル、ここに置いとくからなー。それと着るもんねーだろうから俺の服、ブカブカだろうけど置いておくからよー」
妹『ぁ……はい……』
兄(危ねー危ねー、忘れる所だった)
兄(小さい妹+ブカブカの服=正義)
兄(んじゃ、気を取り直して行きますかなー!)
妹「……」ガチャ
妹「……」キョロキョロ
妹「ぁ……兄?……」
妹「……」ペタペタペタ カチャ
妹「……いない……」
妹「……」キュー
妹「……グス」
妹(兄、いない……)
妹(服……ダボダボだな……言ってたけど)ダボダボ
妹(ズボン、履けなかった……)
妹「…………」クンクン
妹(……兄の匂い……)
妹(……なんか、落ち着く)
妹「……ぐす」ジワ
妹「……」クンクン
妹「……にへへ」
妹(兄、近くにいるみたいな気持ちになる。でも……どこ行っちゃったんだろ)クンクン
ガチャリ
妹「……!」ビックゥ
兄「よっす、ただいま!悪いな、一人にしちまってて。ちょっと食いもん買いにいっててよー」ガサガサ
兄(やっぱり天使だぁぁぁああああああああ!!!!!)
兄「……あれ?どした?俺の服なんか嫌な臭いでもするか?」
兄(……!ま、まさかこの歳で加齢……嫌だ、考えたくない……!)
妹「…!」ブンブンブン
兄「だ、だよなー。よかったよかった!」
兄「そんじゃ、今日は俺が飯作ってやっからよ、妹はゆっくり座ってくつろいでてくれよ」
妹「……え?」
兄「なんすか?」
妹「……お料理……」
兄「出来るっつーの。一人暮らし甘くみんなよ?ただ面倒だったから菓子で済ませてただけだし」ワシワシワシ
妹「……ん」
兄「じゃ、作ってくるわ。ずっと食ってねーから腹減ってるだろ?ごめんな?」
妹「……」フルフル
キュー
妹「!」バッ
兄「へへ、待ってろ待ってろ、とびっきりの作ってやんよ」
妹「……」コク
妹(おなかの音……聞かれちゃったけど、匂いかいでるのばれなくてよかった……)
兄(顔赤くした妹可愛い)
兄(野菜切って、モヤシ洗ってとりあえずボウルにin!)
兄(豚コマも軽く塩こしょう振って下味つけて、とりあえず焼く!男の料理は根性だ!それとテンション)ジュワァアアアアア
兄(ちょっと焼けた所で野菜達を投入して混ぜる!味付けもここでうまい具合に整えながら……っとぉ)ジュワヮヮヮヮヮ
兄(大根と人参入れた鍋も良い具合に沸騰してきたね)グツグツグツグツ
兄(とりあえず野菜炒めはオーケー!フライパンから皿に移して……)
兄(鍋の火を止めて……味噌溶かして……)トカシトカシ
兄(これでみそ汁もオーケーだな)
兄(しっかしなー、実際に作ってみるとパッとしねーなー……)
兄(そういった見た目的な面で妹に負けてる気がする……なんか悔し)
兄(……しかぁし!その分愛情の注ぎ方では負けちゃあいねーぜ!)
兄(……何やってんだ俺は……馬鹿か)
兄(とまぁ、完成しましたし、食わせてやっかなー)
兄「妹ー、出来たぜー」
妹「……」トテトテトテ
兄「この食器、向こうのテーブルん所に置いといてくれるか?出来たものそっち持ってくからよ」
妹「……」コク
兄(へへ。初めての共同作業、てか)
妹「……」ヨタ…ヨタ…
兄(ま、任せてみたものの……足取り危なっかしいなおい……ちょっと緊張する…)ハラハラ
カタ、カタ…
兄(よしよし、無事に向こうまでたどり着いたみたいだな……。待たせないうちにさっさと飯運んじまいますかー)
兄「よっ、と」
兄(さあここが正念場!!鍋掴みも持ってねー一人暮らしの男のド根性の見せ所ォ!!!)
兄(あっち!アッッッッチ!)
カタン
兄「っしょ、あー熱かった」フリフリフリ
妹「……」ポケー
兄「……なんすか、そのアホを見つけたみたいな顔はよー」
妹「……い、いえ……」
兄「まー、ちょっと熱すぎたから手ーちょっと冷やしてくるわ」テクテクテク
妹「……」
妹(お料理、本当に出来たんだ……)
妹(兄、ちょっと面白い、人、かな?)クス
兄(ふー……だいぶマシになったな)ジャー
兄(……よし、いくか)キュ
兄(腹すかした妹の目の前に料理置いたまんまお預けってのもキツいでしょ)
兄「おー、待たせたな」
妹「……」フルフル
兄「んじゃ、いただきますして、食べるとしますか!」
兄「そいじゃ合掌~」パチ
妹「……が、がっしょ……?」テチ
兄「そっそ、いただきまーす」
妹「……いただきます」
妹「……」パク モグモグ
兄「へへ……」ワクワク
妹「……」モグモグ
兄(どうですか!兄自慢の一人暮らし料理!……ふふふ、熟練されている社会人の力甘くみるなよ……)
妹「……グス」モグモグ
兄「え?ど、どうした妹?」
兄(え!?嘘!?舌にあわないっすか!?)
兄「な、泣く程イカれたファンシーな味してるか?」アセアセ
妹「……ぅぅ」フルフル
妹「……」モグモグ
妹「……あったかい、です……おいしいです」グスグス
兄「だ、だろー!?兄ちゃんの愛情たっぷりだからあったかくて美味しいに決まってんじゃん」
兄「ほら、ご飯がうめーときは笑って食うもんだぜ?こう……ニカーッと笑ってよ」ニッ
妹「……に…にー……」グス
兄「へへへ、まだまだたくさんあるんだ、どんどん食べちまおーぜ」
妹「……」コク
妹「……ぁ、兄…」
兄「ん?」ガツガツガツガツ
妹「……にへへ」
兄「」キュン
兄(……反則でしょうよ……その笑顔は……!)
兄「んっん~、久々に飯作ってみたけど、やっぱいいもんだなー」
妹「……」コク
兄「はぁー食った食った」
妹「……」カチャカチャ
兄「おーおー、俺が片しとくから妹はのーんびりしてな。ちょっとした息抜きだ」
妹「……で、でも……」
兄「気にすんな気にすんな、兄ちゃん、なんでも出来ちゃうんだぜ」
妹「……ぅぅ…」
兄「ふん、もうちょっと気楽によ、何でもしなきゃって思わなくてもいいだぜー」
兄「なんたって、妹には俺がいるんですしね。その歳だったら俺みたいなオッサン入門者を顎で使えばいいんだよ、アレやれコレやれってな」
兄「んじゃ、行ってくるわー」カチャカチャ
妹「……ぁ……」
妹(……行っちゃった……)
妹(……歯磨き……しに行こう……)トテトテトテ
妹(兄……私のこと、見てくれてる)
妹(あんまり褒めてくれない……けど……なんだろ……うれしい)
妹(笑う……にー……)ニー
妹「……」クス
妹「……」シャコシャコシャコシャコ
妹「……」ペ
妹(歯磨き、終わった……)
妹(……部屋、戻ってよう……)
トテトテトテ
妹「……ふぅ」チョコン
妹(今日、いっぱいいっぱい頑張ったな……)
妹(……たのしい、こと、かぁ……)
妹(なんだかドキドキする……)
妹(……兄、最初よりあんまり怖くない……)
妹(すごく…怖かった……でも、パパとママより近くにいてくれる…)
妹(何もしてなくても、優しくしてくれる……)
妹(……明日は…何するんだろ……?)ウト…ウト…
妹「……」
妹「……ス-……ス-…」
_____________
兄「ふぃー…終わった終わったー。さ、妹……」スタスタ
妹「……ス-……ス-…」
兄(ありゃ、寝てら)
兄「今日一日、慣れねーところでしっかり働いてたら疲れるわな。お疲れさん、妹」シャガミコデナデナデ
妹「……ん……」
兄(……と、へへ、起こしちまったらまずいな)
兄「ったく、風邪引いても知らねーぞーコノやろー」
兄(……っしょっと…おお、軽い、そして……なんだ、その……柔らかいなりぃ……)ヒョイ
妹「……ぅ…」
兄(アホか俺は……)
兄(そーっとそーっと……)ソロソロ
カチャ
兄(妹ベッドに降ろして、やさしーく布団かけてやって……と)ソー
妹「……ス-……ス-…」
兄「へへ、よく寝てるよく寝てる」
兄(んじゃま、俺は毎夜のごとく作業に入りますかなー、と)カチャ パタン
兄(ふんふんふーん……やっぱし、飯しっかり食うと作業も捗るもんだなー)カタカタカタ
兄(今日は案外早く寝れそうだな)カタカタターン
兄(明日は妹にたっぷりサービスしてやんねーとな。兄妹仲を深める、という目的もしっかり忘れずにしねーと)タタタタタタ
兄(…………ふー…ちょっと一服…)
カラララララ カララララカタン
兄(ベランダで煙草吸うなんてこの頃してなかったなー……昨日も部屋で吸っちまったけど…)
兄(あんな可愛い妹がいるんだ、ちょっと寒いぐらいどーってことねーさ)カチ カチ ジリジリ スパ-
兄(…………まー……害を与えないと考えるんだったら、やめた方がいいのかねー、煙草)スゥ-……フー
兄(今更辞めらんねーよなー)チリ……チリ…
兄(つくづくクズだなー、俺は)
兄「……」スパー
兄「……」ジュ
兄(今日は一本で我慢しておこう)
カラララララ カラララララカタン
兄(さー、作業作業っと)カタカタカタカタカタ
兄「…………」ティローン
兄(うっし……書き出しも終わったし、これでしばらくはカツカツしなくてすむな)
兄(ま、オーケー出すのは最終的に俺じゃあなくてお偉いさんなんっすけどねーっと)ソウシン
兄「よし、寝るか」
兄(こんな時間に起こしちまうと可哀想だからな、これまたソローっとソローっと)コソコソ カチャ
妹「……スー……スー…」
兄(うーん、眠り方まで上品だな、と思ったが……」
布団「」デローン
兄(布団の扱いが不遇だぜ……いや、妹に触れていられるのは厚遇だけどよ、このやろ)ソーッ
兄(んじゃま、俺は昨日と同じく、ベッド背もたれにして寝るかなー)キシッ
兄(なんつーか、出来るだけ、気持ちよく生活できるように傍にいてやりてーって思うんだよなー)
兄(勝手な思い込みだけど、俺も俺で結構誰かが傍にいるってのは安心できるもんだしね)
兄(……何考えてんだか……あほらし、寝よ)
兄「……」
兄「……」z……zzz…zzz
兄「…………」zzz…zz……
兄「……」z……パチ
兄「……あー、もう朝か……」
兄「……んん~……!!」ノビー パキパキ
兄「よし、と……妹は、と」
妹「……スー……スー」
兄(よしよしよし、よく寝てんな)
兄(しっかし……クソ眠い)
兄(腹減ったし菓子でも食ってるか……)
カチャ パタン
兄「ふんふーん……」ガサガサ
兄(ポテチ、コンソメ。コンポタのスナック菓子)
兄(朝からコンソメスープとコンポタが味わえるんすからこれは手放せないっすよねー)ガサガサ バリ
兄(まー……妹用に何かいい感じに朝食は用意できるでしょー)ポリポリ
兄(ポテチうまー)ポーリポーリ
カチャ パタン
兄(フフフ、コンポタは俺大好きっすからねー)バリ
妹「……」
兄(とりあえずこれで俺の腹は一日分ぐらいしっかり持つからなー)サクサク
妹「……」
兄(うめー)
妹「……」ジー
兄(あ、そうだ、今日の天気とか確認しねーと……リモコンどこやったっけ)キョロキョロ
妹「……」ジー
兄「あ」
妹「……」ジー
兄「な、なんすか」
妹「……お菓子……」ジー
兄「お、おー!妹も食べたいかー、そうかそうか」
妹「…お菓子…」ジー
兄「……くっ、やめろー、そんな目で見るな…」
妹「…朝から、お菓子……ダメ…」
兄「う、うす」
兄「……」カチャカチャ
兄(妹にすっごいジト目で見られて罪悪感がいっぱいでたまらなくなりました)
妹「……♪」
兄(なぜ俺は朝っぱらから妹と共同作業でサンドイッチを作っているのだろう……)
妹「……ぁ、兄……」
兄「ほいほーい、なんすかー?」ザクザク
妹「……切るの、へた…です」
兄「……うっせー」
妹「……ここをね、こうやって、潰さないように」スッ スッ
兄(さらにサンドイッチすら作れないという俺の生活力の一部が露呈してしまった……死にてー)
妹「……いっしょに……朝ご飯……♪」
兄(くっ……どうせ俺は野菜炒めと簡易なみそ汁しか作れないしがない男だよ)
妹「……あ、今の……上手…です」
兄(しかし妹に褒められるとそれとなくうれしい自分がいる……ちくしょー)
兄(とまぁ、完成したわけなんですが)
兄「………」デローン
妹「………」キラキラキラ
兄(食材を挟むだけなのにどうしてここまで差がでるのか俺には理解できない……)
兄「ふん、飯なんざ綺麗に作れなくても問題ねーよ」
妹「……」クス
兄「ほら、いただきますしてさっさと食おうぜー、コイツ見てると俺が惨めな気持ちになってくる」デローン
妹「……」コク
兄「はい合掌」パチ
妹「……」テチ
兄「いただきまーす」
妹「…いただき、ます」
妹「…あ……兄……私、兄が作った方食べたい…です」
兄「んん?」
兄「こんな見た目の方食いてーだなんて、おかしいだろ、やめとけやめとけ」
妹「……」ジワ
兄「あーあー言い方が強すぎたな、悪い」ナデナデ
妹「……ズ」
妹「……兄が作った、お料理……あったかい、から」
妹「……交換……ダメ、ですか?」
兄「……っへー、持ってけ持ってけ。俺は妹の作った綺麗で美味そうな方もらうかんな」ヒョイ
妹「……ありがと、ございます……」
兄「やめろやめろ、堅っくるしい。こういう時は『ありがとーお兄ちゃん!』とでも言っときゃいいんだよ」
妹「……ぁ…」
妹「ありがと……」
兄(き、きた、きました、きましたよ妹のありがと、あと一息!)
妹「兄」
兄「……うん」
兄(ちくしょ)
兄(…に、にしても……)モグモグ
兄(普段小食な俺からしたら菓子+朝食のコンボはキツい……)
妹「……」モグモグ
兄(そりゃあせっかく作ってくれたもんだからな、食わなきゃあ失礼だ……し、しかし…後一切れに手が出ない……!)プルプル
妹「……」モグモグ
兄(……こ、この際こっそり残して……)チラ
妹「………?」コクビカシゲ
兄(無理!無理無理無理!!!つか絶対『私の…おいしくなかった…?』とか涙目で攻めてくること間違いなしだ!)ニ…ニコ
妹「?……」モグモグ
兄(こういう時ってなんてことわざがあったっけなー、虎穴にはいらずんば?背水?毒を食わらば?知るかクソ)
妹「……」コクン フゥ
兄(食ーっえ食ーっえ食ーっえ!)プルプル
妹「……ごちそう、さまでした…」
妹「………」
妹「……兄…」
兄「ん、んー?」
兄(まさか俺が食えないという事を勘づかせてしまったのか?これは大きな失態だぞコラ、謝る準備態勢入っとかんかいダボがぁ!俺!)
妹「……サンドイッチ、美味しかった……です」ニコ
兄「……」ガツガツガツ
兄(ウーップ…)モグ……モグ…
兄「おう、妹のサンドイッチもサイコーだった。いっそのこと嫁にしたいくらいの抜群なセンス。間違いない、もーこれは独走。他の馬なんて目じゃないぐらいに独走」プルプル
兄(広がれ!俺の胃袋!妹の愛情たっぷりサンドイッチ受け止められるぐらいわけないでしょーが)
妹「……ぅ、うん……」
妹(………よ、嫁……)
兄(ぐぅおおおおおおおお…胃袋!1メーターぐらい広がらんかい!)
妹「………」
兄(脳内で呼吸を整えろ1、2、1、2それッ1、2、1、2……)グフ
妹「………にへへ」
兄「」
兄(あ、なんか胃袋広がった気がする)
兄「さて……飯も食った事ですし、昨日言ってたように楽しい事、というものを教えてやろうじゃあないか」
妹「……」ダボダボ
兄「と、忘れてた。着替えがねー事にはどこにもいけねーじゃねえか」
兄(不純な輩に妹の生肌アーンドダボダボプリティキューット!な姿なんて見せてたまっかよ)
妹「……着替え、なら……あります…一応、少しだけ……持ってきたので」
兄「え?そうなの?いやーてっきり手荷物無しで来たのかと思ったわ」
兄「んじゃーよ、俺もチョローッと着替えてくるからよ、妹も着替えちまいなー」
妹「……」コク
兄(ふふふ、さすがに着替えシーンなんて、見ないし、そんな着替える所なんて、想像したりしないんだぜ…しません)
兄「んじゃ、準備できたらまた呼んでくれよな、俺となりの部屋にいっからよー」
妹「……」コク
兄(煩悩?伊達ににににににににににに)プルプル
カチャ パタン
妹(………着替えよう…)
_________
兄「洒落っ気もねー凡人っすからねー」ヌギヌギ
兄「……ジーパンにシャツにジャケット……」
兄(カッコいい兄ちゃんなんてほど遠いなー)ス ス
兄(んま、別にー、一人暮らし楽しいし、独り身が着飾っても寂しいだけさ)
兄(……それに別に彼女なんて作らなくても華がありますからねー)
コンコン
『……ぁ、兄……?』
兄「ん、おお、着替え終わったかー?」
『…終わり、ました』
兄「オッケーオッケー」
カチャ
妹「………」ソワソワ
兄(短めのパンツ、ぴったり妹の脚のシルエットを映し出すニーソ、パーカー、艶やかな黒髪、整って綺麗ながらも可愛らしい顔、守ってやりたくなる小動物のような弱々しさ……)
兄(ふふ……神様、合格だよ……神様、合格ですよ。神様!合格ですよ!!!)
妹(……へ、変じゃないかな……)
兄「ん、似合ってる似合ってる、可愛いぜーこのやろー」ナデナデ
妹「……ん…」
兄(かつてここまで平静を保てる男が世界にいただろうか、と問いたい)
妹(…似合ってる……)
兄「んじゃー、行きますか、バッチリエスコートしやすぜーお嬢さん」
妹「……」コク
兄「ほれ、メットだ」ヒョイ
妹「……メット…?」
兄「男ってのはことごとくカッコつけたがる生き物なんだぜー。たとえそのカッコつけが勘違いで周りから変な目で見られようと、だ」
妹(……よくわかんない…)キョトン
兄「俺、四輪はもってねーんだ、バイクよバイク。見た事ぐらいあるだろ?」
妹「……」コク
兄「そしてー……これが俺の愛車だ!」バーン
妹(……バイクだ…)
兄(ま、バイクなんて興味ないだろうからシラけさせるのは仕方がない、でもちょっとカッコつけたい、男ですもん)
妹「……」カポ
兄「ん、妹、ちょっとこっち来てみな」
妹「…はい……」トテトテトテ
兄「ここをな、こー通したら、ここ引っ張って……」ゴソゴソ シュ
妹(……ぁ…顔……近い……)
兄「…で、完了っと。どうだ?苦しくねーか?」
妹「……」コク
妹(………なんだろ…ドキドキ……した…)
兄「うーし、あとさみーだろうからジャケット着ときな。ちょっとでかいけど、ま、問題ねーよ」ヒョイ
妹「…はい……」ゴソゴソ ジー
兄「……」カポ ゴソゴソ シュ
兄「ほれ、乗せてやるよ、始めは怖いだろうからしっかり掴んどけよ」スッ ヒョイ
妹(わっ……わっ…)ワタワタ
妹(ちょっと高い、こ、怖い…かも)チョコン
兄「んじゃ、行くぜー」バイクマタギ
妹「……はい」
兄「しっかり手ー回して掴んどけよ?疲れたらチョンチョンって服引っ張りな。後は俺に身体預けてるだけでいいから」
妹「……ん」ギュ
兄「出発しまーす」カタン キュイーン ブロン
妹「……」キュ
妹(あ、兄、あったかい……)
兄「……」
フゥォォォォォォォォォォン
___________
________
___
兄「と、いうことでやって参りました、ちょっとした街中」
妹「……」キョロキョロ
妹(人……いっぱい…… )
兄(……こういう所、来たことねーんだろうな。年齢と、以前の生活のこと考えたら当然っちゃ当然か)
兄「ほい、お嬢さん手ーつなぎましょー」サシノベ
妹「……手……?」
兄「そっそー、兄ちゃんな、寂しがりやっすからねー」ワクワク
兄(兄大作戦その1、あざとい態度で妹ちゃんと手を繋ぐの巻~)
兄(これで拒否られたら心的ダメージでしばらく立ち直れそうにないわ)
妹「……」
兄「……」
妹「……」
兄「……」
兄(まさかの無言での拒否!)
妹(…ぁ…兄と手をつなぐの、変に思われないかな……そ、そこまで子供じゃ、ないし)
妹(……でも……はぐれたら嫌だな……)
兄(こ……これはある意味[ピーーー]るかもしれん……ちょっと仲良くなったと思ったらそうでもなかった。これはまさに……思わせぶりな態度で『勘違いすんなよバッカじゃねえの?』って女性のよくある攻撃……)
兄「……べ、別に繋ぎたくなかったら繋がなくてもいいんだからねっ。なーんてな、はっはっは」
兄(空元気ぃ……ゴフ……)
妹「……」キュ
兄「んん?」
妹「……べ、別に繋ぎたく…ないわけじゃ、ないんだからね…っ?」
妹(……なんか恥ずかしくて、繋げないけど、服の裾持つぐらいなら……変に思われないよね……)
妹(そ……それと、ちょっぴり…兄の、真似………なーんてな…)
兄(……なんだか一気に晴れやかな気持ちとハイテンションのせいか口元がちょっと緩む。え?何?俺の真似したのこの子)
兄「へ、へへ……」
兄(あかん、口元ゆるゆるだわ……)ニヨニヨ
これ兄って呼んでるのは名前ってことでおk?
>>68
おkですよー
兄「んじゃーよー、まずはゲームセンターでも行きますかー」
妹「…ゲームセンター……」
兄「……ま、行けばわかるさ。ほれ、はぐれないように気をつけろよー。人がいっぱいいるから流されちまうぞー」
妹「…はい」ギュ
兄「オーケーオーケー、まずはこっちな」テクテクテク
兄(終止俺が気をつけていれば妹が人ごみに流されることもはぐれる事もないかんな……しっかりしねーと)
妹「……」トテトテトテ
兄(にしてもやっぱりちっちぇーなー、妹。すっげーのんびり歩いてるつもりなんだけど、随分と歩数が多い……)
兄(時々早くなると裾が引っ張られるから分かるんだよなー……)
兄「んでー、次はこっちに曲がりまーす」
妹「……」キョロキョロ
兄「で、ここを曲がってまっすぐ行きますと……ジャーン、ゲームセンターに到着でーす」
妹「……」ジー
妹(ゲームセンター……)
兄「ま、入ろーぜー、チョローッと色んなゲームが楽しめる場所でよ、遊びとか時間潰しとかにもってこいなんだぜー」
兄(ま、ただしお年頃が一人で入店するってことは=寂しいヤツ、だから気をつけた方がいいんだよなー)
ウィーン オオオオオオオオオオオオ
妹「……」シカメツラ
妹(……うるさい)
兄「あー、うるさいのがたまにキズ、かな……お、クレーンゲームがあるな。どうだー妹ー、中に可愛い何かあるかー?」
妹「……」トテトテトテ
妹「……」ジー
兄「んー?ほうほう、コイツか。俺も好きだぜー、この哀愁漂うたれ眉、つぶらな瞳」
妹「……しょんぼり、可愛い、と……思います」
兄「へへ、今から俺がコイツを妹にプレゼントしようじゃあないか」
妹「……買うん…ですか?それは……ちょっと……悪いです」
兄「ちげーよ、コイツをうまい具合にクレーンで掴んでだな……穴んとこに落とせばゲーットできるって話よー」
妹「……」ジー
兄「待ってなー、今俺が取ってやっからよー」
兄(兄大作戦その2!スマートに人形を取って妹に『キャー、お兄ちゃん大好き!』って言われるの巻~)
兄(へへ、ズバ抜けた空間把握能力(自称)を持つ俺の力をなめんなよ)フフフ
妹(……兄、何かおかしな事考えてそう……なんて言うか……締まりがない?)
妹「……」ジー
兄「なんすか?」
妹「…い、いえ……」
兄(っかぁぁぁああああああああああああ!!!) ビヨビヨビヨビヨビヨ デューン
兄(アーム!アームおかしいよコイツ!いやいやいや、負け惜しみとかじゃあなくてさ!もう撫でるってレベルじゃあないぐらい柔らかなタッチだよ!!)
妹「……ぁ、兄…大丈夫……ですか?」
兄「……お、おう…大丈夫だ、問題ない……」
妹「……あと……一回、残ってますよ?」
兄「あー、そうだなー。妹、一回やってみ?やり方は見てたから分かるだろ?」
妹「……」コク
兄(……あー、クソ…ちょっとばかし妹には良い所ってもんを見せたかったんだけどなー……)
妹「……」ポチ デオデオデオ デオデオ
兄(なんかなー……ちょっと気に入ってるみたいだからなんとかしてやりたかったな)チラ
妹「……ぁ…」ビヨビヨビヨビヨビヨ デューン カタン
兄「」
__________
妹「……♪」キュ
兄(なんつーかなー、なんて言ったらいいのかなー!)テークテーク
兄(ことごとく行動が裏目に出るってのは……こんな惨めな気持ちになるもんなんだなー)ズーン
妹「……」
妹「……」クイクイ
兄「んー?またなんか良さげなもんでもあったかー?」
妹「……」スッ
兄「……どうしたんすか、自分の戦利品を見せつけて。可愛い顔してなかなかのドSガールだなおい」
妹「……」フルフルフル
妹「…こういう…楽しくて、うれしいこと……教えてくれた……」
妹「……兄…優しくて、カッコいいです……よ?」
兄「……馬鹿ヤロー、んなこと兄ちゃんが一番分かってらー。なんたって妹の兄ちゃんだぞコラ」プイ
兄(……悔し…けどやっぱ嬉しい)
妹「……」クス
妹「……」キュ
兄「!」
妹「次の場所……お願い、します…ね?」
兄「…分かってるよ、次も妹がバッチリ楽しめる所だし……離すんじゃねーぞ、置いてっちまうからな?」
妹「……」コク
妹(……兄の手……ちょっと固くて、大きくて……やっぱりあったかい、な)
兄(ん……んん……まぁ、これはこれで…良かったのかもしれん…)
兄「次はここかなー」
妹「……服屋さん…」
兄「そっそー、やっぱり女の子ってヤツは何かとオシャレしたいもんだろ。まーしかし、俺は男だし詳しい事までは知らねーからなー……見た所妹はカジュアルっていうかそういう系統だよなー」
兄「今着てるパーカーも可愛いしなー。、そーだ妹、お前スカートとか持ってる?」
妹「……」フルフル
兄「んじゃスカートとかにも挑戦してみたらどうっすかねー」
妹「……」コク
兄(……女物の服屋の独特な雰囲気……正直苦手だ…)
妹「……兄は…… スカートとか……好き、なんですか?」
兄「……なんか誤解を生みかねん質問だが、まぁ、嫌いではない、かな。妹が似合うなら俺はそれでいい。ただ似合わない服はやめとけ」
妹「……似合わない、服ですか……?」
兄「そそ、ほれ、ああいうヤツとか」ユビサシ
異様に禍々しい服「」キシャアアアアアアアアアアアア
妹「…………あれは……嫌です」
兄「……ああいうの、買うヤツいるんだな」
妹(……買う人、いるんだ…)
兄「…ま、まぁ妹のセンスだったら道を踏み間違える事もないだろう」
兄「適当に選んできていいぞー。んで、決まったらここまで持ってきな」
妹「………」
兄「ん?どうしたよ?」
妹「……あ、の…一人では……ちょっと、心配…です」
兄「………マジか」
妹「……」コク
兄「あんまし、女物の所は入りたくなかったんだけどな……まー今日は妹のために、って決めてたことだし、付き合いますよ」
兄(視線が痛いんだよな……比喩とかじゃあなくて、マジに)
妹「……ありがと……」
兄「いーさいーさ、なんなら俺が着てやって決めてやってもいいかんな、モデルもぶったまげるセクシーポーズで悩殺してやんよ」
妹「……」クス
妹「……」キュ
妹「離れちゃ………や…ですからね」
兄「へーへー、分かってますよ」
妹「…………にへへ……」
妹「…じゃあ…まず……このパーカーとか、どうですかね?」
兄「デザインは良いけど配色が気に入らないので却下します」
妹「……ひどい……。けど……言われてみれば、変ですね…」
兄「逆にこれだろ、これなら完……」
服「」キシャアアアアアアアアアアア
兄「」
兄(結局、何度か謎のセンスの服に遭遇しながらも、妹とちょっと話し合いながらこれなら似合うだろうという服を何着か決定しました)
兄(……で、今妹が試着中だから試着室の外で待機中なんだが……)
チラ チラリ ヒソ
兄(案の定痛い視線の的です)
兄(そりゃあ、女物の店に色気もクソもねー男が立ってるんだもの、おかしな目で見られるのは致し方ない事でしょう)
兄(そっちもそっちで気になるんだが……何より妹の試着室から聞こえる音が俺の頭の中を攻撃してやまない)
カチャリ
妹「……兄……どう、ですか?」
兄「んー?おお、やっぱり清楚にワンピース系の服ってのもいいなー。可愛らしさよりもなんつーか、淑やかで綺麗な感じが妹の姿を上手く際立たせてるっていうのかねー」
妹「……に、似合って…ます、か?」
兄「そうだな、一言で言っちまうと似合ってる、だな」
妹(ちょっと回りくどいけど……ちゃんと見てくれてる…から、嬉しい、な)
兄「んで、今ので試着は最後か」
妹「……」コク
兄「んじゃ待ってるからよ、また着替え終わったら出てきな」
妹「……」コク
カチャリ
兄「…ふー………」
兄(あのワンピースをじわりじわりとたくし上げながら『兄、ちゃんと…見ててね…』とか言われたら俺もうくたばってもいいかもしれん)
兄(結局俺が終止視線を奪われてたのはあのけしからん美しい脚ですよ)
兄(……そしてなんで、あんなに歳不相応な色気が出てんだコラ、反則だろうが)
兄(喋り方とか、行動とかはああ、まだ子供なんだな、と感じるけどよー……)
兄(目線、よ。時折見せるあの何とも言えん視線にどうしてもドキリとする)
兄(しっかりしてるからかねー……年上っぽいオーラを習得しつつあるな。あれは有望株です)
兄(……彼氏とか連れてきたらハードディスクが損壊するまでソイツボッコボコにしそう……)
兄(断じて、ロリコンではない。しかしこの短期間でシスコンに目覚めそうではある)
カチャリ
妹「……終わり、ました…」
兄「お、おー、終わったか。んじゃ会計しに行きますかー」
妹「……」コク
兄「すいませーん、これだけお願いしまーす」ドサ
店員「ありがとうございまーす、少々お待ちくださーい」ゴソゴソ ピ ピ
兄「……」
兄(ん、あれ?目がおかしくなったのかな…今すっげー勢いで値段がグン、と上がったように見えた気が……)
店員「四てーん、五てーん」ピ ピ
兄(…………服って、高いんですね)ピクピク
店員「お会計47,8,80円になりまーす」
兄(俺の感覚がおかしいんだよな、まだこれって安い方なんだもんな、うん)
兄(独身でよかった……金は一応貯まる一方だったからな、久々に出費したって感じだぜー)ガサガサ
兄「つーぎーはーどーこーへーいーこーうーかーなー、っと……お、クレープ屋があんじゃねーか、どーだ妹、クレープ食った事あるか?」
妹「……」フルフル
兄「んじゃ初めてのクレープだな。ホイップクリームがたっぷりで中にフルーツとか入ってるとこれがまた瑞々しくてうめーんだなーこれが。どうだ?食ってみるか?」
妹「……食べて、みます」
兄「ん、りょーかーい」テクテクテク
兄「すいませーん、クレープ一つくださーい」480エンッス…チョウドッスネー アリガトウゴザーシター
妹(……?一つ?兄、食べないのかな……)
兄「……よしっと、ほらよ、これがクレープだ」
妹「…ぁ、ありがと……」
兄「ふっふっふ、一度食べたら病みつきになること間違い無し!だぜー、少しの間は」
妹「……兄……は、食べないんです、か?」
兄「んー、まぁいいからよ、そこのベンチにでも座って食おうぜー」
妹「?……」コク
兄「……ふい~」ドサ
妹「……」チョコン
兄「ほーれ、パクっと一口食ってみ?」
妹「……あむ」
兄「……どうっすか?」
妹「……美味しい…です」モグモグ
兄「だろー!もうこの溢れ出んばかりのクリームがどれだけ俺の事を魅了した事か……」
妹「……」ムグムグ
妹(ほんとに……美味しい……結構、好き)
兄(しかしな、妹よ……確かに美味いんだが、クリームのボリュームに飽きが来てしまうっていう恐ろしい食い物なんだぜ、それ)
妹「……」モグモグ
妹(……あ、イチゴだ)
兄(んっん~、やっぱり小動物のように黙々と食べてる可愛らしさってのはたまんねーなー)
妹「………」モグ……
妹(……どうしよ…おなか、いっぱいになっちゃった……)
妹(……せ、せっかく、兄が…買ってくれたのに……)
妹「……」
兄「へへ、どうだー妹ー美味いけど一人じゃ食べきれねーだろ?」
妹「……」コク
妹「…ごめん、なさい…」ジワ
兄「おいおいおい、何もいじめるためにクレープ食わしたんじゃねーって。俺だって一人でソイツ食おうと思ったら結構キツいんだぜー」
兄「だから、半分こで十分足りるから一つしか頼まなかったんすよー」
妹「……ほんと、ですか?」グス
兄「本当だって、んじゃ、いっただっきまーす」モグモグ
妹(……こういうことでも、兄…いろいろ……考えてるんだ……)ジー
妹(……ぅぅ…私、こんな事で…また、泣いちゃった……なんか…悔しい…な)グシグシ
兄「ふー、やっぱり腹一杯になるもんだなー」
妹「……」
兄「…」ブル
兄(いかん、尿意が……近くにトイレは……おお、ちょうど良くあるじゃあねーか)
兄「妹ー、ちょーっとここで待っててくんねーか?トイレ行ってくるわー」
妹「……」コク
兄「よしよし、んじゃパパッとすましてくるからよ」タタタタ
__________
兄(ふんふんふーん♪っと)ブルブル
兄(うっし、戻りますかなー、あんまり待たすと悪いっすからね)ジャー ゴシゴシ
兄「……」テクテクテク
兄(……れ?…妹いね……?……)
兄「……」ゾク
兄(こ、こいつぁーまずい……!妹とはぐれちまった!)
兄(あ、あのバカ、待ってろっていったのによー……)
兄(こうしちゃらんねー、すぐに探さねーと!)バタバタ
兄「っぜ……っぜ……コヒュっ………はっ、はっ、はっ…ゴホ……」
兄(走るなんて……ここ数年全くしてねーから…すげーしんどい……)ゼーッゼーッ
兄(く、くそ、クソ!クソ!クソ!!!!)
兄(とりあえず結局周囲一帯を走り回って、元の場所に戻ってきたものの、全くと言っていい程妹の姿なんて見たらねー……)
兄(……と、なると……最悪の事態ってのを考えなきゃあならねーかもな……)
兄(周りの通行人が全部悪人に見える……脳みその腐ってるクズ野郎のようにしか見えない……)
兄(このあからさまに頭の悪そうなDQNか?歩き煙草しながら大声ではしゃいでる不良か?それとも一見まともそうなオッサンか?)
兄(くそ、くそ……駄目だ…分からねー……)
兄(ああ、もう……肺がいてー、咳も止まらねー。この気温ならあまりかかないはずの汗もじんわりしみ出してる)
兄(……あぁ、もしかしたら、妹なんて、いなかったのかも……な。最初から)
兄(疲れきった、俺の妄想で、ブツブツ呟きながら、買い物でもしてたんじゃあねーのか?)
兄「……」
兄「……」ガサ
兄「……クソ……そんなんだったら、どれだけいいことか……」
兄(ああ、もう、疲れた……考えるのも、嫌だ……)
兄(アイツが、目の前で変な輩に絡まれてたら、俺が貧弱だとか、そんな事も関係無しに飛び込める自信があった……)
兄(でもよー……いないんじゃあ、目が届かない所にいるんじゃあ…助ける事もできねーじゃあねーか……)トボトボトボ ドサ
兄(……こんな時、ベンチに座って絶望してるだけの兄って、世の中にはどれだけいるんだろうな)
兄(俺が、うかつに、トイレなんて、妹置いていかなけりゃあ……)チラ
妹「……」トテトテトテ
兄「…………」
兄(ト……トイレ………)
妹「……お待たせ、しました……私も…ちょっと……その……ト、トイレに……」カァ
兄「………」ジワ
妹「……?……』
兄「……っく、へ、へへ……あ、あんまりおせーから、寂しくなっちまったじゃねーかバーカ」ズズ
妹「……??…」
兄「……マジで、よかった、なんだ……そんな事だったか……ははは」
妹「……どうか…されました、か?」
兄「なんにもねーよバーカ、くそガキ、俺を誰だと思ってやがんだ」グスグス ギュー
妹「…く、くるしい…です…ちょ、ちょ……」
兄「っぐ、グス、ぢぐじょー、妹の泣き虫が写ったぞ、ズズ、ちくしょー」
妹「………」
妹「……」ナデナデ
兄「やめろー、恥ずかしい、撫でてんじゃあねーぞコラ、クソ、マジでどっか行っちまったかと思って心配したじゃねーかタコ」ズルズル
妹「……」ナデナデ
妹(……今度は…兄が心配しないように、気をつけよ……)クルシイ
兄(結局、俺の勝手な心配をよそに無事ひょっこり姿を現した妹)
兄(あまりの安心感と脱力感に思わず声が震えていた事はあえて触れないでいて欲しい事だ)
兄(24にもなって13も下の妹になだめられる姿はさぞ滑稽だったろうね……恥ずかしい)
兄(あれだけ腑抜けた俺の姿を見た妹は、俺への警戒心をすっきりなくしたかのようによそよそしい感じが抜けたように感じる)
兄(ただ、口数が少ないのは元々のようで、喋る回数が増えた、というわけじゃあない。だけども明らかな壁……らしき物は取り払えたような気がする)
兄(家に帰ってからも、妙に緊張したような雰囲気はなくなっていて、俺が妹に無理に気を遣う必要がなくなった)
兄(…色々と失敗したように思えたけど、なんだかんだ、妹と仲良くなろうっていう考えは上手い方向へ転がったみたいだ)
妹「……兄」
兄「んー?」
妹「今日は……ありがと」
兄「んー」
妹「……すごく、楽しかった…です」
兄「おう」
妹「……また…連れていって…くれ、ますよね?」
兄「あたりめーだろ、妹がどこか行きてーってのなら、俺はどこへでも連れて行ってやんよ」
妹「……」クス
妹「………」チョコン キュ
兄「………」
兄(なぜ俺の隣に座って俺の手を握るのだ、妹よ……そしてなぜ俺の心臓も少しドキドキしているんですか…)
妹「………」
兄「……」
妹「…兄……」
兄「んー?」
妹「……………」
妹「……呼んでみただけ…だったり…」
兄「…そっか」
妹「……」
兄「…なんか、こういう落ち着いた感じ、いいよなー」
妹「……」コク
兄(……なんだ、何もしないでグダグダしてるだけなのに結構心地良い…)
妹「……」コテン
妹(兄の腕……ガッチリはしてない、けど…安心する……あったかい……)
兄(すいません、ダイレクトに体温が感じ取れすぎてしまうのでもたれかかるのはやめてください……それといつの間に繋いだ手を恋人繋ぎみたいに変えてやがんだこのマセガキ)
兄(……手……ちっちぇーな……)チラ
妹「………」
兄(はぁーあ、よくやってるよ……鋼鉄の理性。……ま、実際はヘタレなだけなんすけどね……。でもー?ホイホイぐらつくような理性だったら、俺、こんな人間ではないですしー)
兄(飛ばない鳥は基本撃たれねーっつーもんなんだぜー)
妹(………兄……)
兄(……こういう行動するってことは……俺の自意識過剰であって欲しくもあるんだが……やっぱりそういうこと、だよな……。……ここはやっぱり、兄らしく鈍感でちょっと抜けてて、気づかないドあほ、でいた方がいいもんだと、俺は思う。ガキの想いなんて初めは勘違いっつーもんだ、色々と、理解できる時まで触れないでおくのが賢明、っすかねー……)
兄「おお、いつの間にかこんな時間じゃあねーか。妹、おめー風呂入ってこいよ」
妹「…………」
妹「……ん…入って、きます」
兄「おー、今日はだいぶ冷えたからなー、しっかり暖まってくんだぞー」
妹「……」コク
トテトテトテ カチャ パタン
兄「……さて、パパっとタオルとかは準備してやって、軽ーく作業にでも入りますかなー」
兄(……にしても……わけ分かんなくなるぐれー手ー繋いでたから、なんか手がむずむずする)
兄(こう……未だに妹のやわらけー手を握ってるみたいな不思議な感じだ)スタスタスタ
兄(……独身って怖い。些細な優しさっつーかなんつーか、そういうのに依存しそうだわ)
兄(俺がしっかりしてなくちゃあ、平穏でまともな生活なんてできねーってもんだぜー)
兄「妹ー、昨日と同じようにここにタオル置いておくからよー上がったら使えよなー」
妹『あ、はい』
兄(ふー…よし、と……朝からずっと我慢してたし、ここいらでスパっと発散でもしておきますかねー)
兄(一日の終わりに乾杯、なーんて)
カチャ パタン カララララララ カララララララタン
兄「……さっぶ」
兄(一日に一箱はキッチリ消費してたからなー……ここまで吸わないまま我慢できてるのは、結構なストレスが発散できてるからかねー……)カチ カチ ジリジリ スパー
兄(…………なんか煙草の味変わったように感じる)
兄(…………)ジリジリ
兄(…………)スー フーッ
兄(……流石に、妹に俺みたいなオッサンに依存させるわけにゃあいかねーよな)
兄(……どうしたもんかねー)ジリジリ ギュ
兄「……さっぶ、もう中入ろ」
カララララララ カララララララタン
兄(一心不乱に作業をしてとりあえず目の前の課題から逃げる、それが俺ってもんでしょー)カチ フォーン
兄「……」カタカタカタカタ
_____________
妹「……」ポカポカ
妹(……兄、またこっちの部屋にいないんだ……)
妹「……」キョロキョロ
妹(ダボダボ、兄の服……兄の、匂い)クン
妹「………」
妹「……」コンコン
兄『んー?妹かー、風呂上がったんだな』
妹「…はい、次は、兄……どうぞ」
兄『りょうかーい。妹は先寝てていいぞー、ちょっと片付けねーといけねー作業が残っててよー』
妹「……はい」
妹(………兄が寝るまで、起きてよう、かな)
妹(……もう遅いし、12時までには寝にくるよね)
カチャ パタン
妹(……よし、いつも…兄、ベッドの下で座って寝てるし…私もここで、待ってよう)チョコン
妹(……『いつまで起きてんだバーカ』とか、言われちゃうかもしれないけど……一緒に……とりあえず、兄の近くに、いたかったり……)
妹「……」
妹「………」ウト ウト…
妹(……!あぶないあぶない、今日は、兄と寝るんだ……が、がんばらなきゃ)フンス
___________
兄「………」カタカタカタカタ
兄(あー、上手い事まとまんねーなー……)
兄(こっちの直線はバランスとか考えても邪魔にはならないし、色も主張が緩いから問題ないんだけどなー……ふーん……)
兄(根本的な物が邪魔になってきた……しっかし、これがねーと何がしたいのかパッとしないんだよなー)
兄(………………駄目だ、煮詰まった。これ以上は今考えても何も出ねーな)チラ
兄(……2時……まー、仕方がねー。風呂入って今日はもう寝よう…)カチカチ カタン
カチャ パタン
___________________
兄「………このドあほが……」
妹「…スー……スー…」
兄(風呂から上がって、さあ今日も寝るかなーと思ったら、暖房もつけてねー部屋で、布団も被らずになんでコイツは床で寝てんだ…)
兄(……寝ている姿はもちろん上品に綺麗に仰向けだ。ただ、それが原因で床で寝ているのに対して非常に違和感を覚える……)
兄「…はーぁ、頼むぜ妹ちゃんよー」
妹「…スー……むにゃ…」
兄「………」
兄(か…可愛い……!……じゃねーよ、さっさと寝かしてやんねーとな)
妹「…スー……スー…」
兄(し、しかし……その……俺の服チョイスミスだ…脚の露出とダボダボの服による絶妙な際どさが……アカン…)
兄(……無心だ……行け、へたれ兄。妹をベッドに運んでやるのだ)プルプル ヒョイ
妹「……んん……」
兄「っしょっと……はー……生脚柔らかすべすべ…………くそ、死にたい」
兄(布団もかけてやって、寒くねーようにして、っと)
兄(……ため息しかでねーぜ、この作業は)
妹「……んん」ギュ
兄「………」
妹「…………」ギュー
兄(は な せ ク ソ ガ キ !)
妹「……スー……スー…」ギュー
兄(……おい、マジで寝れねーから離してほしいです)
兄(……この体勢で寝たら妹の上にのしかかる形となってしまうので、潰れて死にかねんぞ、割とマジで)
兄(そして、この体勢、結構キツかったり……)プルプル
兄(……クソ、俺は悪くない。俺は悪くない……俺は、悪くない)トサ
兄(ああ、哀しきかな、結局妹と添い寝しちまう形になっちまうなんて……不可抗力、仕方が無い)
妹「……スー……スー…」ギュー
兄(……ま、でも、悪くは、ないかもしれない……)ナデナデ
妹「……」パチ
妹「……!」
妹(……朝…。結局、寝ちゃってた……)
妹(…ベッドで、寝てた……?兄、わざわざ寝かせてくれたんだ…)
妹「………」チラ
兄「………」zzz…
妹(あ……兄、だ。ど……どうして、兄、が)アセアセ
兄「………」zzz…
妹(……私が、兄と一緒に……って考えてたら、本当に、そうなった……)
妹(……うれしい……)
妹「………………」
妹「……兄……」コソコソ
妹「…私……兄の事……大好き……です、よ」ミミモトデササヤキ
兄「………」zzz……
妹「……にへへ……」ドキドキ
妹(言っちゃった…兄、寝てるけど……言っちゃった)
妹(……寝てても…すごく、緊張した……)
妹「……………」
妹(……兄……もっと、近くで……あったかいの……)
妹「……」ギュ
妹(……兄の…からだ、だ……。匂いと……ドキドキしてるの……すごく分かる…)
妹(……からだ……全部くっつけて……腕……いいや、足も兄に回しちゃえ)ギュー
妹(……きもちいい……あったかい……)
妹(……兄に……もっと…ぎゅってしたい……)スリスリ
妹「………」
妹(兄……)
妹「………スー……スー……)
兄「………」
兄「………………」
兄「…………………………」
兄(…何が起こっているのか、寝起きの頭ではちょっと追いつかないです)
兄(夜に、妹に服を掴まれて、どうしようもなかったから添い寝したところ……)
妹「……スー……スー…」ガッチリ
兄(妹があり得ないぐらい密着してるんですが……足とかもなんで俺に絡ませるように抱きついてんのか分からない…)
兄(なに?寝相が悪いの?今までずっと姿勢良く綺麗に寝てたのに急にここまで動くとかないでしょーが……)
兄「…………」チラ
兄(……アカン、脚が…すごく、綺麗です……)
兄(そして着てる服が着てる服だから、ちょっとめくれ上がって……そ、その……見えちゃいけないような…あー、白いの、見えてます……)
兄「………」
兄(眼福眼福……じゃねえよちくしょう)
兄(思わずふひ、とか変な笑い声出たじゃあねーか。俺は変態かタコ)
兄(……いや、変態なんだろうけどさぁ……ツラい)
兄(幸い、小柄な妹で、俺は成人で妹はガキだ。圧倒的な体格差というものがあるので、たとえ妹を起こしてしまったとしても、このまま生殺しよりも絶対マシなので起きる)
兄「んあああぁぁぁああああああ…」ノビー パキポキ
妹「んんー……」
兄「………」
兄(なんとか、妹の拘束から逃れられることができた)
兄(にしても……)チラ
妹「ん……」ポケー
兄(コイツの惹き込む力は結構えげつないものだと思う)
兄「うーっす、妹ーあーさでーすよー」
妹「んん……」クシクシ
兄(できればでいいのでその、色気づいた下半身、隠してください………俺が見なけりゃいいんですね、はい)
兄「ほら、起きてすぐ目ー掻いちゃ駄目だって。顔洗ってきな」
妹「……ん……」トテ トテ トテ
兄(ちょっぴり心配になる足取りだなおい。昨日はもうちょっと寝起きよかったと思ったんだけどな……なんでだろ)
妹「……ねむい…」
兄「…………」
兄「元気だな……今日は一段と……」
兄「………朝一から死にたくなるのはなかなかねーぞオラ」
兄「……はーぁ、今日も頑張りますかなー、っと」
__________________朝食
兄「えー、妹さん、明日から君は学校に近所の学校に通う事になりました」
妹「……学校?」モグモグ
兄「おー、小学校よ小学校。義務教育だからしっかり受けとかねーとまずいんだよなー」ガツガツ
兄(このままこの家にいたままでも構わないとは思うんだけど、社会的にそうはいかないのが現実なんですよね……)
兄(できれば、妹に変な事を吹き込みかねんくそガキがたくさんいる中に、こんな弱々しい妹を放り込むなんて嫌なんすけどね……ああ、ちょっと胃が痛くなる)
妹「………」
兄「どーしたどーしたうつむいちまって?学校嫌か?」ガツガツ
妹「……嫌、ではないです……けど」
兄「ほうほう、となるとー…あれか、不安な気持ちでいっぱいってわけだ」
妹「……」コク
兄(ま、そうだよなー……人見知りするタイプだってーのは分かるし、口数も少ねーしな)
兄「んーどうしようかねー……」
妹(兄……のあったかさが、感じられないのは…あんまり……このまま家にいた方が……)モグモグ
兄「……行きたくねーもんは行きたくねーんだもんなー……でもこればっかりは仕方がねー。こうなったら妹には不安をぶっ飛ばすお兄ちゃんストラップをあげようじゃあねーか」
妹「……ストラップ……?」
兄「えーと、確かこっちの辺りに……あー、これこれ……」チャラ
妹「………犬」
兄「そっそ、犬よ犬。バイクの番犬代わりに使ってたんすよねー。何があってもすぐに反応できるかんな。俺の代わりに妹を守る番犬っすよー」
兄(ま、元々防犯用のデバイスをうまい具合に改造して作ったヤツなんすけどねー。くっついてる犬を引っこ抜くと携帯電話に電波発信、みたいな)
妹「………うん……」ギュ
妹「……ちゃんと、守って、ね…兄。……大切に、しますから…」
兄「おーよ、不安だったらソイツ見てニーッと笑っとけ、笑顔が一番だぜー。それか俺の馬鹿面思い出しても問題ないぞ。ほれ、変顔ー」プー
妹「……」クス
妹「……うん、兄の変な顔……みたいな犬ですから……笑顔…なれます…」ニー
兄「へへ、だろ?不細工さなめんな」
妹「……兄は……優しい、し…面白いですから、兄みたいに……私も……頑張ります」グ
兄「おーおー、いっちょまえにほめ殺しか、照れるからやめろコラ。褒められるのはなんか、ムズムズする」プイ
兄(褒められるとか、何年も味わってねーし、新鮮だけどよ……なんか慣れねーわ。頬緩むし)
兄「さーてごちそうさま。妹、ちゃんと留守番してんだぜー、今日も俺、仕事だからよ」カチャカチャ
妹「……」コク
兄「うし、のんびりダラダラしてんだぞー。昼飯は冷蔵庫にあるからな」
妹「……」コク
兄「オーケーオーケー、んじゃ、行ってくるわー」ガチャ
妹「……兄……」トテトテトテ
兄「んー?」
妹「………い……い、行って…らっしゃい……」ダキ
兄「…………おう、行ってくる」ナデナデ
兄(明日から妹は学校……改めて考えると、俺も不安でいっぱいだ)カタカタカタカタ
兄(気が利いて、賢い子だから勉強面や場を乱す行動はしないとは思うが、なんたって静かな子だからな……自己主張ができずに周りに流されそうな気がする……)タタタタッタタタタタタ
兄(……ああ、不安だ……)カタカタ
女「あーにさん、昨日の休みはどうでしたかー?」
兄「ん…ああ、女さんっすか。休みがどうもなにも、とりあえず一段落したからゆっくりしてただけっすよー」
女「なーんだ、そんな事だったら私とどこか遊びに行ってくれればよかったのに」
兄「いやー、私はかなーりつまんない男っすからねー。のんびりする事が目的なんで、楽しませるなんて芸当は全くできねーっすよ」カタカタカタ
女「またまたー、そういったのんびりできるのがいいんじゃないですか」
兄(はーぁ……頼むからほっといてくんねーもんですかねー……)カタカタ
兄「うーん、そういうもんっすかねー。ほらー、あの、男さん。男さんとかだったらたのしーく休日ってもんを過ごせるんじゃあないっすか?」
女「そうかなー…私、兄さんみたいにのんびり過ごす方がいいなー。ほら、男さんってボーリングとかカラオケとか、ちょっと疲れちゃうんですもん」
兄(……休日遊べと言った口でそういう事言うんすか……これだから面倒なんすよねー……)
兄「んじゃ、家でゴロゴロしてるに限りますね」カタカタカタカタカタカタカタ
女「それはそうですけど……一人でのんびりしてるとちょっと寂しくなってくる時ってあるじゃないですか。映画観てても、一人より二人の方が楽しめるっていうか……」
兄(確かに、一人でのんびりしてると寂しくなる時はありますけども)
兄「まーそれもそうっすけど、映画だったら眼鏡さんと観た方が楽しめると思いますよー」
女「……眼鏡さんは、映画の感想とか、考察とかで、だんだん難しくなってきちゃいますもん……」
兄「……なるほどー、そう考えると難しいっすねー」タタタタカタタカタカタ
女「で、ですので!今度の休み、一緒にどこか行きませんか?」
兄(………そこでなぜ俺なんすか…)
兄「んー……」
女「あ、兄さん、一人暮らしですし、毎週のんびりしてるんだったら、時間ありますよね!ほら、さっき仕事一段落したって言ってましたし!」
兄(一段落しただなんて言うんじゃなかった……)
兄「んー、とりあえず、考えておきます」
女「やった、では、楽しみにしておきますね!」
兄(楽しみにしてるだけ、無駄な気がします)
女「では!私も作業、頑張ってきます!」
兄「はーい」
兄「……………」カタカタカタカタカタカタカタ
兄「……」カタタタタカタッターン
兄(んん…?結構まずいんじゃあないっすか?これ)
妹「……」
妹(今日は、何もしなくていいって言われたけど……やっぱり、ぼーっとしてるだけじゃ、落ち着かない)
妹(兄がお仕事してる部屋……入ってみようかな……)
妹(怒られちゃうかな……。でも……兄の……部屋…気になる)ウズウズ
妹「……………」
妹(ちょっとだけ……覗くぐらいだったらバレない…よね)
カチャリ キィィ
妹「…………」
妹(兄の、部屋………)
妹(机と…パソコンと……棚……それと、写真立て……かな?)
妹「……」
妹(んん……兄の匂いもするけど……ちょびっと、タバコの臭いが…する)クンクン
妹「………」トテトテトテ
妹(写真立て、なんで伏せてあるんだろ?それに………いくつかある)
カタリ
妹「………」
妹(………パパ……だ。それと……男の子)
妹(……これ、兄と、パパの写真だ……)
カタリ
妹(……これもだ…)
妹(…………どれも、すごく、楽しそう………)
妹「………」ジワ
妹(…あ、あれ?……)ポロポロ
妹(……おかしい……な…。なんで、泣いちゃうんだろ……)
妹「……グス」
妹(…こんなふうに……パパと……兄と……ママと……四人で、いられたらよかったのに……)
妹(どうして……いなく、なっちゃったのかな……)グス
妹「………」クシクシ
妹(……大丈夫……兄、傍にいてくれるって言ってた………私は…もう……一人ぽっちじゃないもん)
妹(……?……)
妹(………なんで、だろ……兄のママと、写ってる写真がないや……)
妹(………)ジー
妹(パパと、仲良しだったんだなぁ……)
パサリ
妹(あ……何か、落ちた……)ヒョイ
妹(…………手紙…?)
妹「………バレない、よね」ドキドキ
妹「………」カサカサ
妹「……………」ジー
____________________
兄くんへ
秋も深まり、落ちた木の葉や、寂しくなった木が目立ち始めてきました。
君もとうとう二十歳になって…ようやく自由だ。…という事でこの手紙を送らさせてもらおうと思う。
まず、兄くん。二十歳の誕生日おめでとう。兄くんとはかれこれ十年以上会っていないけど……しかし僕には立派に大きく、強く育っている兄くんの立派な姿が想像できます。
もう、僕の知っている頃の、小さくて、優しくて、意地っ張りで、楽しい事が大好きな兄くんとは少し変わってしまっていると思うと少し寂しくもあります。
僕も僕で、何か変わってしまっていると思うと、やっぱり寂しいです。
次に……僕が君を一人きりにさせてしまった事を、深く、深く詫びたい。
言い訳がましくなってしまうけど、僕には君を育てる資格なんてもともとなかった。それでも、僕は僕の時間を君のために、少しでも多く費やそうとしていたよ。
でも、いつまでもそうはいかなかった。どうしても、君と離れなければいけなかった。
……ごめんなさい。
兄くん、君は今、幸せかい?
僕は、それなりに幸せだけどやっぱり君を置いてきてしまった事が心残りで、とても申し訳ない。
あの時、君が家に押し掛けてきた時は目を疑った。二度と会う事は無いだろうと思っていた最愛の息子と会えたんだ。とてもとても、嬉しかったよ。
でも君は……そんな状態ではなかったね。
僕が……何がなんでも君を、あの時に連れ出しているべきだった。
君は、きっと僕を恨んでいるだろう。でも、僕には、君を抱きしめてやる資格なんてなかったんだ……ああ、これも言い訳になるかな。
ごめんなさい。ああ、何度書いても君の心を癒す事なんて、きっとできないんだろう……ごめんなさい。
兄くん、アイツは……相変わらず、かな?
おっと、不快にさせちゃうような内容は控えておこうか。ごめんね。
僕は、君を助けてやる事はできなかったけど、今まで……よく頑張ったね。
僕は、君のような強い、強い男の子が息子である事をとても誇りに思うよ。
君を一人ぼっちにしてしまった。その罪を少しでも償えてればいいな、と思う。
僕は君を少しでも支えたかったんだ。それが、君のためになるなら、どうってことはないさ。おかげで親類からは縁も切られちゃったけどね。妻にも、悪い事をしたな……。
まぁ、君の耐えてきた日々に比べれば僕の苦痛なんて耳くそみたいなもんさ、そうだろ兄くん。
皮肉屋というか、素直じゃあないというか、君の本心を押さえ込んで口から出る言葉は荒々しいけど、本心の優しい所がなんとなく、感じ取れたよ。
ああ、一人前になった兄くんの姿、みたいなぁ……。
本当に、本当におめでとう、兄くん。
いつか、また会おうね。きっと。
落ち着いたら、僕の家に来なよ。盛大にもてなすよ。
ま、そんなの、兄くんからしたらふざけるな、って感じかな。……ごめんなさい。
恨まれててもなんでもいいさ。僕の中で、君は最高の息子なんだ。
僕も父親として、どんと構えてるから、いつでも文句と拳をぶつけに来てくれよな。
難しいな、やっぱり手紙なんて性に合わないことしてるからかねー。
返事は……もちろん期待してないよ。
一方的に送られて、読んでくれるだけでも、僕は嬉しいよ。
また、いつか手紙を書くよ。
君には申し訳ないけど、これも僕の償いの一つでもあるんだから。
最低な父より
________________
妹「……………」カサリ
妹(……パパ、謝ってばかりだった…)
妹(でもやっぱり、パパも……兄の事…大切に思ってたんだ……)
妹(……なにが……あったんだろ……)
妹(……私には、ちょっとわかんない、な)
妹「………」カタ カタ
妹(とりあえず、兄にバレないように…元に戻しておかなくちゃ……)
____________________
兄「はぁー……ダルい」
男「おうおう、どうしたよ兄~。ストレスか?ストレスか?やっぱりそういう時はパーッとどこか遊びに行くに限りますぜ?」
兄「あ、遠慮しておきます、疲れるんで」
男「んだよつれねーなー。俺みたいにストレスを溜めない生活ってのもなかなかいいもんだぜ?」
兄「ゴロゴロしてたいっすから。それに俺男さんみたいにタフじゃあないっすからねー」
男「男はタフさが命よ!俺のタフさときたら女の子がワラワラついて来てもぺろりってぐらいよ!」
眼鏡「下品さも比例してるみたいですね」
兄「ですねー」
兄(今日は帰ったら妹の夕食作って……とりあえず明日の準備もしてやらなくちゃなー)
男「ははははは!俺こそがTHE男!兄も息抜きを覚えた方がいいぜー。先輩の俺との約束だ!」
兄「勝手に言ってろ脳みそお花畑」
男「酷い!」
眼鏡「兄もだいぶ職場に慣れてきたようでよかったよ。ここは上下とか気にせず、対等に意見を出し合う事ができるのも一つの利点だしね。ふふ、兄のようにしっかりした人材がうちの部署で良かった。ここには馬鹿がいるから」
兄「流石にあんまり酷いのはフォローしきれないっす」
男「ほんとほんと!馬鹿がいるからなこの部署は!」
兄「男さん男さん、鏡を見る事をオススメします」
兄(一度、休みをとって妹に同伴して学校に行って、挨拶ぐらいは済まさなきゃあいけないな……)
________________
兄「……ふー……」ガチャリ
妹「……」トテトテトテ
妹「おかえり…なさい…」
兄「おー、ただいまっす。今日も悪かったな、ずっと一人でつまらなかったろ」ナデナデ
妹「……ん…大丈夫、です。兄、ちゃんと帰ってきてくれる…から」
兄「そりゃ、ここが家だからな。さーってと、腹減ったろ?兄ちゃんが今から準備してやっからなー」
妹「…わ、私も……手伝う…」
兄「ん?そうか……んじゃ今日も一緒に作るとしますかー」
妹「……」コク
兄(んー、帰って来てからこう……鳥のヒナみたいにぴったり後をついてくる姿はなんつーか、庇護欲にかられるっつーかなんつーか…いいもんだな)
妹「………」
兄「よーし、今日こそは妹に負けねー彩りの料理作ってやんよ」
妹「………」コク
兄「~♪」カチャカチャ
妹(兄は……パパの事…怒ってるの、かな?)
妹(……置いてけぼりにされて……から…どうなったかよく、分かんないけど……)
妹(私は……寂しい…けど……兄も…寂しい?………わかんない)
妹「…………兄」
兄「はいよー」
妹「……兄は……パパの事……どう思って、ましたか?」カチャカチャ
兄「……………親父をどう思ってたってかー、ま、あんまし憶えてねーからなー……はは、どうだろ」トントントン
妹「……そう…ですか……」
兄「…………なんかあったか?」
妹「……ううん……何も、ない…です」
兄「そっかそっか」
妹「……」トントントン
兄「まーその、なんだ、あれだ。何か、困った事があったら、なんでもいいから兄ちゃんに言うんだぜー」
妹「……うん」
兄(今日一日寂しかったから、親父だのなんだのってー話題がでてきたなら……俺も考えなきゃいけないなー、そろそろ)ジュワ- カンカン
妹(兄……憶えてない、って……ウソ…だよね……)
兄「おおー、これ絶対美味しそうだ!間違いねー!」ジュ ジュ ジュ
妹「……おおー」
妹(写真、いっぱい持ってて、忘れるわけ……ないもん)
妹「……あ、焦げた」
兄「え?ウッソマジか?マジだ!焦げクッセ!」ブワー
妹「あ、兄、ひ……火とめて」ワタワタ
兄「ちょっ、ま……ひぶしゅっ!」モクモク
妹「……ぷ」クス
兄「あ!おいコラ今笑ったろ!」
兄「……はい、完成」
妹「……うん」
兄「こういう料理はだな、アレだ、カニの脚が中身しか食えねーのと同じ原理だ。分かるな?」
妹「……カニ……食べた事ない…です」
兄「……」
妹「………」
兄「お菓子の袋は食えねーだろ?それと一緒だ」
妹「……なるほど、です」
兄(食材をいくつか生け贄に捧げたハイコストなゲテモノが完成したよ!美味しそうだなぁ!)
兄「はいがっしょー」パチン
妹「……」テチ
兄「いただきまーす」
妹「いただき…ます」
兄「うーん、おお、香ばしさがいいね!」
妹(…お米おいしい……)モグモグ
兄「……」ガリ
妹(……お米甘い)モグモグ
兄「はい、よし。今日は卵かけご飯だ」
妹「……」コク
兄「……なんつーか、すまん」
妹「……」フルフル
妹「……私、卵かけご飯…好き、です」
兄(健気で優しい妹の気遣いに涙が出そうですよ、俺)
妹「……今度から……私が、お料理……します、ね」
兄「ん……」
兄(悔しい)スタスタスタ
妹(……兄の、お料理……)
妹「…………」ガリ
妹(……うん……まずい)ウエー
妹(……ちょっと楽しみだった分、残念)
_______________
兄「さて、飯も食い終わって片付けも終わった事ですし、明日の準備でもするかー」
妹「……」コク
兄「んー、ランドセルがねーのは痛いな……前のときに買っておくべきだった」
妹「……ランドセル……まだお家にある…かもしれません……」
兄「おお、マジか。だったら今度の休みに一緒に探しに行ってみますかー」
妹「……」コク
兄「じゃあそれまで代わりに……このリュック使っときな。兄ちゃんのおすすめだ」ヒョイ
妹「……ん」リュックセオイ
兄「おお、けっこー似合ってんじゃん。これだったら特に問題はなさそうだな」
妹「うん……」ピョンピョン
兄(リュック背負ってトコトコ歩き回ったり、時折跳ねたり、目を輝かせてたり……こういった無邪気さ、普段とのギャップがあって新鮮だ……可愛い)
兄「へへ、筆箱と筆記用具は前買ったからな……こっちのポケットに入れとくか」
妹「……♪」ジャッコジャッコ
兄「おいおい、はしゃぎすぎるなよー」
兄(うん……一日でだいぶ気持ちに整理でもついたのかね……前向きに、楽しそうで何よりだ)
妹「……私……いっぱい頑張ります」
兄「おう、頑張れ頑張れ。ただーし、無理したら駄目だぜー」
妹「大、丈夫……兄が、いるから」
兄「どういう根拠だ、俺がいてもたいして変わんねーよ」
妹「……ううん…頑張れ、ます」ギュ
兄「……はいはい、お前が無理しないように助けてやんよ」ナデナデ
妹「……それで、いいのだ……」
兄「ぷ……いつの時代の言葉だそれ?」
兄(可愛いから無問題ですけどね!)
妹「……」クス
兄「……」
兄(ああ、またこの雰囲気だ)
妹(あ……またこのドキドキしたかんじだ……)
兄「………」キョウオオクリスルホウソウハゴランノ
妹「……」
兄(壁を背もたれにして、ぐだぐだとテレビを見流すこの時間……平和だ……)
兄「………」
妹「…………」
兄(つか、この平和空間が今後毎日のように続くのかと思うと、ある意味恐ろしいな)
妹「………」
兄「……」チラ
兄(前よりはだいぶ表情が豊かになった。髪は細くてツヤツヤとした黒、目は透き通ったビー玉のようで、一点の曇りもない肌は目を奪うような魅力がある)
兄(気弱で泣き虫だったり、歳不相応な大人気な雰囲気と面倒見の良さがあったり、芯が通っていて結構頑固だったり…………コイツの事は、なんだか理解できてしまう自分がいる)
兄(……笑った時に目を細めた感じが……どことなく親父の面影があって、ああ、やっぱり娘なんだな、と思った……)
妹「………」
兄「………」
妹「……兄」
兄「……んー?」
妹「………」トテトテトテ チョコン
兄(………何故あぐらかいてる俺の上に乗って座るのだ、妹よ)
兄「どうした?」
妹「……ここが、いい……です」
兄「そ……座布団代わりにどうぞお使いくださーい」
兄(フオオ!アウトォオオオオオオオオオ!)
妹「……」
兄(どうしてこんなに暖かくて柔らかいのかと、どうしてこんなに暖かくて柔らかいのかと………ツラい)
兄(しかもおもっきし身体を俺に預けてきてますしね、本当になんなんだこの平和空間)
妹「………」ギュ ニギニギ
兄(両手を小さな手に弄ばれ始めました。正直こそばゆい、しかも妹の身体に手をまわすみたいになってるからさらに密着度がアップしてますしね……)
兄(この部屋、物が少ないから結構だだっ広いのにポツンと端っこに収まってるって……もったいねーよなー)
兄(端っこ大好き兄妹)
妹「………」
兄(………この無言空間、普通の人だったらどう思うのかねー……俺は好きだけど)
兄(やっぱし男さんみたいにはしゃぎ回るのがいいのか、女さんにわけも分からずイチャコラこいてんのがいいのか、眼鏡さんみたいに一緒に趣味に勤しむのがいいのか……わかんねーもんっすねー)
兄(妹も…あんまりこの感じが嫌いじゃあないみたいだから、スタンスとしては問題はないと思うんだけどな)
兄(ただ、一緒にいるだけ。それだけでも……ま、別にいいや)
兄「……」
妹「……」
TV「」キャアアアアアアアアアアアアアア
妹「」ビックゥ
兄「………」ポケー
TV「」ワハハハハハハ ガヤガヤ
兄(最近バラエティ番組、全然みてなかったからなー。誰が誰なのかまったくわかんねーや)
兄(かろうじてCMでみる人ぐらいしか知らねーなー…)
妹「…………」ウズウズ
兄「……どうしたー?」
妹「…い、いえ……何も…ない、です」
兄「そっかー。トイレとか行きたかったら行きゃいいんだかんな」
妹「…む……トイレじゃ…ない、です」
兄「あー悪い悪い」
兄(へへー、不機嫌、なんて様子前は見せなかったからなー。文句も不満もぶつけてくれるとありゃあ嬉しいもんだぜー)
兄(不満も文句も、解消できる相手にしか言えないもんっすからねー。受けきれる器がなけりゃ、誰も何も言わねーもん)
妹「……」ソワソワ
兄「……」
妹「………あ、兄…」
兄「んー?」
妹「あ、あそこの……カーテンの隙間…」
兄「あ、少し開いてんな」
妹「……し、閉めて、ください……」
兄(…………突然の几帳面。はいはい、だらしないってーのは許されないんすねー)
兄「んじゃ上からどいてくれ」
妹「………」シブシブ
兄「っしょっと……ほい、満足か?」シャ
妹「………」キョロキョロ
妹「………はい…」
兄「よし、オーケーオーケー」ドサ
妹「………」チョコン ニギニギ
兄「あのー、妹さん、もうここはお前の定位置なんすか?」
妹「………」コク
兄「ま、別にいいっすけど、あったけーし」
妹「……ん」スリスリ
兄(すり寄んなタコ!……くっそ……猫飼ってるみてーだ)
兄(嫌じゃないんすけどね、嫌じゃ。ただその、免疫がないから異常にドキドキするんすよ……)
妹「………」
兄(どうせなら姉でいたかったぜー……本能とは悲しいものっすよ、死にたくなるわ)
兄「よーし、んじゃそろそろ遅くなってきたし、妹風呂入ってきなー」
妹「…………」ピク
兄「……どうした?まだ観てー番組でもあんのか?」
妹「………」フルフル
兄「んんん?あんまり遅いと、明日起きらんねーぞー」
妹「………」
妹「………兄」
兄「ほいほーい」
妹「……お風呂…一緒に……入ってください…」
兄「……はい?」
妹「……お風呂……い、一緒に……」
兄「………べ、別に俺は構わねーけどよー…その、マジ?」
妹「……」コク
兄(ベタベタが激しくなったとかのレベルじゃあねーぞ……俺、大丈夫かなぁ…」
妹「……行きます…よー」クイクイ
兄「オーケーオーケー、分かったから引っ張るな、とりあえず着替えとか準備せにゃならんのだ」
妹「……ん」
兄(何があったというのですか、神様…)テクテクテク
妹「……」トテトテトテ
兄「………」
兄「…先、風呂場行っててもいいんだぜ……?」
妹「………いいです、から」
兄(え?なんか不機嫌?)
妹「………」
兄「パジャマとータオルとー、下着なー、ほれ」
妹「………ん」
兄「ん、それじゃあ行くけどよ……マジで何かあっt」
妹「……いいです、から……!」
兄(…わけが分からんがちょっぴり不機嫌な妹可愛い、特に頬が膨らんでる様子がたまらん)プニ
妹「……」プシュウ
兄(ほっぺ突っついたら空気が抜ける、なんつーか……こいつお茶目だ……)
兄(………………)
兄(俺大丈夫かな)
兄「さて……」
妹「………」
兄「……」
妹「………」
兄「なんすか」
妹「……脱がないん、ですか?」
兄「脱ぎますよ、そりゃあ風呂入るんすから」
妹「………じゃあ、なんで…脱ごうとしないんです、か?」
兄「………いや、脱ぐけどさ」
妹「…………」
兄「ほら、お前が入った後に俺も服脱いで入るから、お先にどうぞ」
兄(妹が風呂に入ったのを確認したら俺は部屋に戻ります。だってどう考えても気まずいのは避けられんでしょ……)
妹「…………や」
兄「あん?」
妹「……や、です。一緒に、入るんです…から」
兄「…………」
妹「………」
兄「………オーケーオーケー、降参、負けました。……ったく、脱げばいいんでしょ脱げば」ヌギヌギ
妹「……ん」
妹「…………」ヌギヌギ
兄(徐々にあらわになる白くて穢れのひとつもない綺麗な肌……おうふ、引き締まりつつ柔らかそうなお腹に形のいいヘソは反則でしょう……)
兄(しかし………なんだ、やっぱ俺も大人だな、魅力的なんだがまったく反応しねーわ)
兄(グラッツェ神様、俺が感情と本能だけで暴走しちまうようなアホじゃあなくてよかったよ)
妹「……っしょ……」
兄(つるつるぺったんこ………っふ、おこちゃまだな)
兄(………………で、なんで結局確認してんだよ!いちいちそうやって身体見なくてもいいでしょうが!)
兄(本当の鋼の理性とは、裸についてなんにも考えないようなヤツの事を言うんですよ……悔しい)
兄「はぁーあ……」
兄(ツラい)
妹「………兄……」
兄「あー?」
妹「………や、やっぱし……いい、です」
兄「そか。じゃ、風呂入っちまうぞー妹ー」カチャリ
妹「………」コク
パタン
妹「……………」
妹(兄、身体、白いけど……やっぱり、がっしりしてるな……)
妹(………でも、太ももとか、脇腹とか背中とかの……てんてんと、変なあと……なんだろ?)
妹(…………大人、になったら……ああいう変なの、できちゃうのかな……やだな……)
妹「…………」ワシワシ
兄「………」
妹「………」ワシワシ
兄(………ちっこいガキに頭を洗われてる24歳です)
妹「……兄、どう、ですか?」ワシワシ
兄「おー、気持ちいいっすよー」
兄(細くてしなやかで小さな手が程よく頭を刺激しております)
兄(……ふ、『兄ちゃんが頭洗ってやんよー』から『じゃ、じゃあ…私も……お返し…です』になるとは思わなんだ……正直さ、こういうのって年上が年下にやって終了っていうのが普通なんじゃあないっすかねー)
兄(細くって柔らかかったなー……しっかし、女の髪がああまで面倒だとは思わなかった。正直寒かったっすもん)
妹「………」
妹(……なでなでして、あげてるみたい……なんていうか……犬?)
兄「おーし、そろそろいいっすよー、ありがとな、妹」
妹「………ん」
兄「ふー」シャワー
妹「………あ」
兄「ふんふーん」シャワー
妹(兄、髪、全部降ろしてるような所……初めて見た……)
兄「よっし、とー」
妹「………」
兄「…なんすか」
妹「……ううん…」
兄「ん」
妹(……イメージ、変わるんだなー……)
兄(なんつーか、本当にコイツに多いのが、なんにもなしにジッと見つめてくる所なんすよね……いや、何を思ってそうするのか全く見当もつかないんすけどね)
妹「次は……洗いっこ……」
兄「洗いっこ?」
妹「……ん」
兄「力加減なんて知らねーからイテーぞ、多分」
妹「……痛かったら…言います…」
兄「……でしょうね」
妹「と、いうことで……はい……」クル
兄「ほいほーい」
兄(小さくて、白くて、抱きしめたくなるような……魔翌力か……ここが…ファンタジーか…背中…それとうなじ……下のうっすい尻に目が一瞬いったのは内緒だ)
兄「……どっすかー?」コシコシ
妹「ん……ちょうど、いい、です……」
兄「やーりぃ、俺って才能あるねー」コシコシ
妹「……」クス
兄「あ、笑った」
妹「……うん、気持ち……いい、ですから」
兄(……うん、嬉しいです、はい)
兄「はー……」
妹「…………」
兄「あったけー」
妹「……」コク
兄(だいぶ俺も動揺っつーもんがなくなってきたな……つか、こんなことにいちいち動揺してたら兄なんて勤まんねーっすよ)
兄(こう……対面した状態で湯船に浸かっているのはどうかと思いますけどね)
妹「………」
兄「………」
妹「……兄」
兄「んー?」
妹「………」
兄「……」
妹「……そっちいっても…いい、ですか?」
兄「えー」
兄(はい、えー、とかいいながら内心デレデレしてますよ。心と裏腹に嫌そうな顔できてんのか俺?がっつく男カッコ悪いよ!)
妹「……い…いえ…ごめん、なさい…」
兄「………」
兄(Yes !!! Bad communication !!!)
妹「………」
兄「……」
兄(据え膳食わぬは男の恥…は例えとしては行き過ぎか……とりあえず奥手は駄目だというが、ま、それで恥かいても構わないっす…確かにがっつけない男はもっとカッコ悪いっすけど……)
妹「………」
兄(俺は、手に届く距離にいるだけでいいのさー……一度、本当に暖かさを知っちまったら俺は耐えらんねーだろうし、こいつにとっても枷にしかならない)
兄(そう、駄目なヤツには綺麗な花は不釣り合い……扱いきれねーってのが世の理でっせー)
妹「………」
兄「しょうがねーだろ、そんな泣きそうな顔すんなよー、うりうり」
妹「……泣きそう、じゃない…です」ムス
兄「…………」
妹「……………」
兄「あー…風呂あったけー」
妹「………うん」
兄(やべー、このまま好きになりそうで怖い。自制しましょう)
兄(頭の中で再確認、俺は兄で、コイツの事を幸せにしてやれるような男じゃあない)
兄(花を綺麗に保つ、しがない花屋の店員ですよ…俺のポジションは)
兄「………」ゴシゴシ
妹「……んん」
兄「ほい、これぐらいでいいっしょ」
妹「はい……」
兄「湯冷めしねーうちに、髪乾かしたりしとくんだぞー」
妹「……」コク
兄「ふーんふふふっふーん」ゴシゴシ
妹「……兄、そのあとって……何?」
兄「…あと?これとかこれのことか?」
妹「……はい」
兄「アレルギー、それとガキん頃の怪我っすよー」
妹「…へー…」
兄「…………変か?」
妹「……ううん……」
兄「…そっか」
妹「………」
兄「………」
兄「おめーには、こんな怪我絶対にさせねーかんなー。……女の子はお肌が命なの、キャピルン!」クネ
妹「……おかま?……」
兄「やかましいわ。ちょっとふざけただけだし」
妹「……兄、時々……変…です」クス
兄「そりゃ俺変人っすからねー。妹が面白いって思うならもっとしてやんぜ?うふん」
妹「…ふふ……気持ち悪い………」
兄「うわ、ひっで。兄ちゃんちょっと傷ついた」
妹「………うふん……」クネ
兄「わ、気持ち悪……」
妹「………私も…ちょっと、傷つきました」
兄(ちょっと扇情的だったからやめて……本気で色気出てた。つるぺたのガキのくせに………コイツ今裸じゃなくてよかった……)
兄「へへ、冗談っすよ冗談。ばっちし可愛いっすよ、妹は」
妹「………へへ、私も…冗談……だぜー。……兄は、カッコいい」
兄「……そ、そっか」カァ
妹(あ……顔……ちょっと、赤くなった……?)
兄(マジでさ、俺の真似しながらさらっと褒めるのやめてくんねーかな。俺のが圧倒的に年上なのに、クソ……あっつ)
妹「…………」
妹(……可愛い、って………にへへ………)カァ
兄(………あ、こいつ何か変な事考えてる。間違いねー。ニヤニヤしてんもん)
妹「………」
兄「………」
兄(あれ?なんか俺もニヤニヤしてる……!)
兄(…………むっつり、だな)
妹(…むっつり………)
兄「おらおらー。明日は学校だぜー。さっさと寝ねーと寝坊しちまうぞ」
妹「……」コク
兄「あーコラコラ、目ー擦っちゃ駄目だって」
妹「……うん」
兄「もうすぐベッドだかんな」
妹「……あ…」
妹「………」ギュ
兄「……」
兄「……おいコラ、ひっつくんじゃねー」
妹「……一緒…」
兄「…一緒ったってよー……」
妹「……お願い…します…」
兄(ずっりー!ずるいぞマジで!)
妹「……」
兄「はー、お前が寝るまでだかんな」
妹「……はい…」ギュ
兄(絶対に寝ている間離してくれねー感じですよ…こいつぁ……)
兄「よいしょー」キシ
妹「…………」
兄「ほら、寝るぞ」
妹「……手……」ニギ
兄(ああああああああああ!もう!)
兄「なんつーかね、あんまり引っ付くとねれねーぞ。それになんで手を握んだよ」
妹「………」
兄「………」
妹「……怖い……」
兄「…怖い?」
妹「テレビで……怖いの…やってた……」
兄「………あー……あーあーあれか…」
妹「……兄、となら……怖くない……ですから」
兄「……」ポリポリ
妹「……ね」
兄「……」
妹「………」
兄「…はいはい、寝ますよ。寝りゃいいんでしょ」
妹「…ありがと……ございます」
兄(二度と怖いテレビは観せない)
妹「………」スリスリ
兄(やめて)
兄「……」
妹「……スー……スー…」
兄(寝たか……)
兄(やっぱり抜け出せねーなー、この状態)
兄(……コイツが寝ちまってる間にパパパっと仕事済ましておきたかったんだけどな)
兄(まぁー、それよりもー)
兄「………やっぱ…気になるもんだよな…」
兄(アレルギー、とか、怪我だ、とか上手くごまかせたみてーだけど、そのうち……コイツがもうちょっと成長したらなんとなーく、気づいちまうんだろーな)
兄(いつからかねー……アイツと親父が急に仲が悪くなって……いや、親父は『いいんだ』とか『それでもさ』って言ってばかりで一方的にアイツから攻められてたんだけどよー)
兄(そんな生活が続いてしばらく立った頃……親父は『ごめんな』と一言残して家から出て行った)
兄(もともとヒステリックが入ってたアイツはその日から激しく荒れだした)
兄(『虫酸が走る』『消えろ』『ゴミ』『アンタがいなけりゃ』なーんて罵倒は甘い方で、カミソリを手渡されて『アタシに謝れ』『口じゃねえ、一目見て分かるように、ほら、やれよ』とか……強要させたり……もちろん、アイツ自身がやってきた時もあった)
兄(さっさと逃げ出しちまえばよかったものの、アイツはなにかと手が回るタイプの人間で、逃げ出したとしても俺は成長期によくある情緒不安定ってー扱いで、アイツは事なきを得てた)
妹「……スー……スー…」
兄「………」ナデナデ
兄(なんで俺だったんだろうな)
兄(親父とアイツの血が入ってて、アイツのストレスの原因であり、はけ口になるのが)
兄(本当、なんで俺だったんすかねー)
兄(あーもー、余計な事考えてたら寝れなくなってきたじゃあねーか、ちくしょー)
兄「…………」
兄(………親父、死んだのか)
兄(俺の事なんかちょくちょく気にかけるぐらいだったら、こっちの可愛い娘の事も考えてやれよな……ばーか)
妹「…スー………スー」
兄(んまぁー、俺も、助けてもらった分はちゃんと返すぜー。この世は何事もギブアンドテイクよー)
兄(愛情も、喜びも、悲しさも、やな事もいい事も、全部が全部こっちに来てはあっちに行ったりしてんだ)
兄(俺がちゃんとしてやんなけりゃ、妹が可哀想だ)
妹「んんん………」
兄「……」ナデナデ
妹「………スー……」
兄「………グス……」
兄「………あー……ちくしょー」ゴシゴシ
兄(いままで、こんなにあったけー事なんてなかったからな……)
妹「……スー……」ガッチリ
兄「…………」
兄「……ありがとな………」
兄「……大好きですよー、妹さーん」
兄(……なーんてな)
兄(あー、どうしよ眠れねー……)
_______________
兄「……zz……zz」
兄「………z……」
兄「………朝、か……」ボヤー
兄「…………」
兄「……妹……?」モソ
兄「………いねえ」
兄「……ふぁ……」ノソノソ
ガチャリ
妹「……あ………」ジュ ジュ
兄「…おー……おはよ………」
妹「…おはよう、ございます……」ジュ ジュー
兄「悪いな、飯作らせちまって………うん、いい匂いだ」
妹「……いえ……大丈夫、です」カンカンカン
兄「食器,出しとくな」カチャ カチャ
妹「…あ……はーい……」
兄「………」
妹「………」
兄(……エプロン姿の妹可愛い……)
妹(……寝癖……すごかったな……)
兄「飯はこれぐれー?」コンモリ
妹「…ちょ……ちょっと……多い、です」タジ
兄「ほいほーい」
兄「そいじゃがっしょ~」パチ
妹「………がっしょ~」テチ
兄「いただきゃーす」
妹「……いただき……ます」
兄「…ふんふん……」モグモグ
妹「………」モグモグ
兄「うめー、いいじゃんこれ」モグモグ
妹「……やた……」グッ
兄(……厚焼き卵とか、24にもなって未だに作れないんすけどね、俺……)
妹「……はい……」ス
兄「……なんすか」
妹「……あ、あーん……」
兄(新婚か、恥ずかしくてんな事やってられるかよドあほが)アーン
妹「…どう…ですか?」
兄「ふーむ、妹の愛情いっぱいだなこんちくしょー、うめー」モグモグ
妹「……うん……♪」
兄「忘れ物ねーな?」カチャカチャ
妹「……はい」
兄「んじゃー行きますかー」カチ
妹「……はい…」
兄(妹の初登校だ。そりゃあ、前の学校に通ってたとかあるけど、新しい学校だし俺も色々と聞かなきゃあならねーこともありますしねー)
兄(しっかり会社の方には話を通してあるし、仕事で大きな話も片付いた。俺がいなくても問題は無い)
兄(うーん……こういう学校に挨拶とかする時ってスーツでいいんだよな……流石に私服じゃあまずいよな。うん、普通に考えて、そうだよな)
妹「………」トテトテトテ
兄「……」テクテク
兄(心無しか………いや、心無しじゃあねーな。妹が伏し目がちに見える…)
兄(まー、昨日からだけどよー……やっぱりまだ不安なんすよね……コイツも)
妹「…………」
兄「………」ギュ
妹「………あ……」
兄「……あー、なんだ、アレだ……うあー手が冷てー、さみー…つーことで妹の手を借りまーす、はい」
妹「………うん……いいです…よ」キュ
兄「……おう」
妹「………」
妹(……あったかい……)
兄(……手袋とか、マフラーも買ってやんなきゃいけねーな……あーあったけー)
兄「……緊張するか?」
妹「………」コク
兄「まー、初めての環境だもんな。こういう時ってのはとりあえずなるようになっちまえーって気持ちで行った方がいいんだぜ」
妹「……」
兄「妹らしくありゃいいんだ、遠慮なんかいらないっすよ。一歩進んで、こけたとしても進んでる事には変わりはねー」
兄「そりゃあ、こけたら痛いけどよー……いつまでも痛いって事はねーし、妹には俺がいんだからさ…大丈夫だよ」
妹「…………」コク
兄「番犬持ってるか?」
妹「………」コク
兄「じゃあ安心だ、笑っとけ」
妹「………」
兄「わーはははははっはっはっはっはっはー!」
妹「」ビク
兄「あ、すまん」
兄「とまぁ、こんな感じに笑ってりゃあ、楽しくなってくるもんだぜー、なっ」
兄(………うーん、駄目か……まぁ、無理もねーか。笑ってた方が、可愛くていいんだけどな……仕方がねー)
妹「………はっはっはっはっは!」
兄「」ビクッ
妹「………」ジトー
兄「あ、すまん」
ガヤガヤ
兄「……」
妹「……」
兄(着いた。さすが、登校時間だけあってむちゃくちゃ人多いですわ……)
妹「………」キョロキョロ
兄「とりあえず職員室いくぞ」
妹「……はい」
兄(注目度半端ねー……すっげー見られてる……)
兄「……手、どーする?」
妹「………………」
妹「………兄…寒いん、ですよね?」
兄「おー」
妹「……じゃあ……このままで…いいです……」キュ
兄「りょーかーい」
兄(けーっ、素直じゃあねーでやんの)
兄(……素直じゃあねーでやんの)ギュ
兄「失礼します、本日からこの学校に通わさせていただく妹を連れてきたんですが」
教師「ああ、どうもおはようございます。詳しく話があるのでこちらにどうぞー」
兄「分かりました」
兄「ほれ、俺に隠れてちゃ意味ねーだろ」コソコソ
妹「……」コク
教師「では兄さんはこちらで私と、妹さんはそちらにいる担任さんに任せるのでよろしくお願いします」
担任「妹さん、おはようございます。今日からよろしくお願いしますね」
妹「…………」
兄「………」ツン
妹「……よろしく、おねがいします」ペコ
担任「はい、では妹さん、私に着いてきてくださいね」ガラガラ
妹「………はい」
教師「では、話を始めましょうか」
兄「はい」
妹「………」
兄「………」ツンツン
妹「……?」
兄『頑張れ』パクパク
妹「………」コク
ガラガラ タン
教師「で、今回妹さんをこの学校で生活してもらうという事で______」
兄(……大丈夫かねー……)
担任「じゃあ、妹さんは私が呼ぶまでここで待っていてくださいね」
妹「…はい…」
ガララララ
担任『皆さんおはようございまーす』ガララ タン
クラスメイト『おはようございまーす』
妹「………」
妹(…………頑張らなきゃ…。怖くても…大丈夫……私には、兄がいる……)
担任『________」
クラスメイト『ほら転校生だー!』
クラスメイト『男子ですか!?女子ですか!?』
クラスメイト『ばーか、お前朝見なかったの?女子だよ女子』
クラスメイト『どんなこー?』
ガヤガヤガヤガヤ
妹(………うるさい…)
担任『では妹さーん、入ってきてくださーい』
妹「…………」ガララララ
妹「……」トテトテトテ
妹「………」
ザワザワ
担任「じゃあ黒板に名前を書いて、自己紹介しましょうかー」
妹「……」コク
妹「………」カッカッカ…
妹「………」
妹「……妹、といいます。初めての環境で、分からない事ばかりですが…これから、よろしくおねがいします」
妹「………」ペコ
男子1「ほらみれー!」
男子2「うおお!!」
女子1「うっさい男子!ねぇねぇ、前はどこに住んでたの?」
男子4「そんなことよりも!まずは好きな食べ物とか聞くべきっしょ!」
女子3「ほー、ちっちゃくてかわいいね~」
男子2「うおお!!!」
女子6「趣味は?あ、私はねー」
男子3「お前の趣味とか聞いてねーし」
女子6「あ?」
男子3「お?」
男子2「うおおおお!」
女子8「せんせー、どこの席なんですかー?
担任「うーん、そうですねー…」
妹(………つかれる…)
兄「………」
兄「…とまぁ………」
兄(話が終わったのはいいんすけど、まだ昼にもなってねーじゃあねーか)
兄(どーしよ、仕事午前だけ休みにしとけばよかったかねー……)
兄(とりあえず帰って、作業だけ手早く終わらしといて、楽できるようにしておくべきか……)テクテク
兄「…………」
兄(すっげー心配なんすけど)
兄(確か教室は………1、2、3、4階の………後ろから3………見えるわけねーよな)
兄(角度の関係でどう考えても無理ですわ。窓際の奴らすら見えん)
兄(………バッカバカし、帰ろ)テクテク
兄(飯のリベンジでもするかなー……負けっぱなしじゃあ示しつかねーし)
兄(サンドイッチは…こう切るだろ?厚焼き卵はなんつーか、こう……クルッと?)ス ス クル
兄「………」ハッ
兄(………だ、誰も見てねーよな…)キョロ
兄(……ちょっとできるからって浮かれてんじゃあねーぞコラ)
兄「………」
妹『……ぁ、兄…』
妹『……にへへ』
兄「…………ふへ」ニ
兄「」ハッ
兄(くっそ、あれもこれも妹のせいだちくしょうが)
兄「………」ブーッブーッ
兄「………」ゴソ
兄(…うわ……女さんからだ……)
兄「………」ウーン
兄「……」p
兄「はい、兄ですが」
女『あ、兄さんおはよー、今日どうしちゃったんですか?』
兄「おはようございます、ちょっと外せない用事が出来てしまったんで休みとらせていただきました」
女『そっかー、兄さん風邪とかじゃないですよね?前も同じような理由で酷い風邪だったじゃないですか』
兄「違いますよ、喉も枯れてないですし、いたって健康です」
女『うん、ならよかった。兄さんの顔が見れないのは寂しいですからねー」
兄(俺はそうでも無いから別にいいんすけどね)
兄「あーそうですか。他に何かありました?」
女「ううん、それだけだよ。あ、そうだ週末、楽しみにしてるから、それじゃ」プ
兄(……週末…?)
兄(週末……え?)
兄(あの人マジでどこか行く気まんまんだったんすか……)
兄(……優先すべきはどちらか、と聞かれたらそりゃあ……)
兄(妹でしょう)
妹「……」
女子1「いーもーうーとちゃん」
妹「……なに」
女子1「今日お父さんと来てたね。すっごく若かったー、いくつなの?」
妹「……パパじゃあない」
女子1「え、あ、そうなんだ……」
妹「……それだけ?」
女子1「あー、うーんとね、うん、まぁいいや、ごめんね」
ドウダッタ? チョットカンジワルイ タブンキンチョウシテルンダヨ
妹「………」
女子3「やーやー」
妹「……なに」
女子3「わーおすっごくクール!しかもかわいいー」
妹「……そうでも…ない、から」
女子3「私ねー女子3っていうの。よかったら覚えといて~」
妹「……うん…」
女子3「ふんふん…ふんふん…」ジロジロ
妹「……?」
女子3「うんうん、満足満足っ。分からない事があったら何でも聞いてね~」
妹「……うん……」
妹(……ヘンな子……)
妹「……」
男子2「ひょー!!」ダダダダダ
妹「………」
男子2「┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨ドグシャオーン!!!」
妹「…………」
男子2「うまーい棒!!うまーい棒!!!」
妹「………キミ、うるさい」
男子2「あ、ごめん!」
妹「………近くで、騒がないで」
男子2「りょーかいです!騒がない!さーわーがーないっ!!」ダダダダダダダダダダ
妹「…………」
妹(………関わらないでおこう)
ワイワイワイワイ
妹「………」
男子3「よー、どうよ転校生」
妹「…………」
男子3「…何か喋れよ」
妹「…………」
男子3「おいコラ」
男子3「だんまりかよ」
妹「………私と、喋ってどうするの?」
男子3「あ?どんなヤツかもわかんねーのに仲良くなんてできるか」
妹「…………」
男子3「まーただんまりかオイ」
ゴッ
男子3「」
女子6「なんで喧嘩腰なの、バーカ」
男子3「いってーなゴリラ女!」
女子6「誰がゴリラだこの貧弱モヤシ」
男子3「おお?誰がモヤシだとコラ」
女子6「ごめんねー妹ちゃん。コイツ単細胞のクズだから、あはは」
男子3「なんで俺がクズなんだよバーカ。だいたい俺は転校生と仲良くしてやろうと…」
女子6「どこが仲良くだ、このタコ」
妹「…頼んでない」
男子3「あん?」
妹「誰も、私と仲良くしてだなんて頼んでない」
男子3「んだとコラ……」ゴッ
女子6「あははー、ごめんねーこのバカ頭にスポンジケーキしか詰まってないみたいだから」
男子3「」チーン
女子6「んーでもねー、私も新しく友達できると嬉しいし、よかったら仲良くしようね」
妹「…………」コク
女子6「じゃ、私はこのバカ連れてくから、ごめんねー」ズルズル
妹「……」
妹 (……やっぱり…怖い……)
妹(…泣いちゃ、だめ……兄…)ギュ
妹「……」
兄『それ見て笑っとけ、こう…ニーッと』
妹(………うん……まだ大丈夫……兄の犬も、いるし……)
男子5「………」
妹(授業…終わったら、図書館行ってみよう……)
妹(……兄に、本を読んでもらうのも……いいかも)
妹(また、壁にもたれて……一緒に座って……)
妹(……早く…帰りたいな……)ボー
妹「……」
ワイワイワイワイ
妹(みんな、こどもばっかり……)
妹(騒いで、暴れて、なんでもしたいほうだい……)
妹(いつも、そうだ……どこにいっても……)
妹(パパや、ママが、当たり前のようにみんないて……迷惑かけても、なんにもかんじない、っていう…)
妹(………ずるい……)
妹(……私だって、みんなと…同じように……したかったのに……)
妹(……ずるいから、きらい…)
妹「……」
妹(……一緒に悪口言ったり、一緒にいつもおんなじことをしなきゃ、仲良くなれないの?……)
__________
『えーまた妹ちゃん帰るのー?』
妹『ごめんね、家の事、しなきゃいけないから』
『別にいいじゃん親の手伝いとか』
『そーそー、なにかと文句ばっかり言ってくるし、うっとおしいよ』
妹『そ、そんなこと……』
『そーいえば!この前なんてちょっと帰るのが遅くなったぐらいで怒られたんだよー?帰ったの5時だったのに!』
『えー?今時5時すぎるぐらい別にいいよねー』
『でしょー?ほんと面倒、親って』
妹『………』
『だからさー、今日ぐらいよくない?』
『そーだよ、妹ちゃんと全然遊んでないもん』
妹『…で、でも……迷惑かけれないし……ごめんね』
『はー、あっそ。そんだけ帰りたかったら帰りなよ』
『どーせアタシ達と遊ぶより、そっちの方がいいんでしょ』
妹『…ち…ちが……』
『いこー、もう妹ちゃんとは遊ばなーい』
『いこいこー』スタスタスタ
_________
『なにそれ?今日髪型同じのにするっていったじゃん』
妹『ご、ごめん…でも、私…そんな風にできるの……もってなくて…』
『親にでも頼めばできるでしょ、もー……』
『ていうか、この前のお揃いの髪留めするって言ったときもだよね』
『あーそういえば、けっこう前から言ってたの全然してこなかった』
妹『あ……ごめん、ね』
『もうしーらない』
『みんなとおなじの、嫌なんだね』
妹『…ちがうよ…私だって……』
________
妹(………私だって……みんなと、そういうこと…してみたかった……)
妹(……別に……もうどうでもいいけど、ね)
兄「………」カタカタカタカタ
兄(………こんなもんか…)カチカチ
兄(えーと、時間は……と…うん、そろそろ学校も終わるぐらいだな)
兄(こう寒くちゃ外なんて歩いてられねーぜ……年々寒くなってる気がする)
兄(……俺ももう歳か……まだ折り返しにも入ってねーんすけどね)
カララララララララ
兄(さみー!!!)
カチ ジリジリ
兄(……ぜってー冷えきった状態だろうな妹……)スパー
兄(あったけーミルクでも作ってやるか……)
兄(あれ?子供ってココアの方が好きだっけか……?)スー
兄(うーん……まぁいいや、両方作っといてやりますかねー)トントン
兄(今日の夕食は汁物だな………あ、でも待てよ……俺麺つゆベースの卵スープしか作れねーじゃん)
兄(今から軽くレシピ見ればそれっぽいの作れるかねー…)スー
兄「はー…………」
兄(タバコの量が減った。お菓子で飯を済ます事がなくなった。やたら走り回る事が多くなった。休む時間が増えた)
兄(ほー……なんか知らねー間に健康への道を歩んでるじゃあないっすか、俺)スー
兄(ま、吸ってる時点で健康もへったくれもないっすけどねー、っと)グシグシ
カララララララ カタン
兄(さーて、可愛い妹さんのためにも、出迎えてやる準備でもしますか)
兄「………」カタン カタン カチャ
兄「~♪」
妹「……」トテトテトテ
妹(……さむい……)フー フー
妹「………」
女子3「おー、妹ちゃん!」タッタッタ
妹「……」ペコ
女子3「どーもー、一人かい?」
妹「……悪い?」
女子3「悪い!ひじょーにマズい!一人で帰ってると知らない人に連れてかれちゃうんだよ~」
妹「………そっか」トテトテトテ
女子3「私も家、こっちだから一緒に帰ろ~」
妹「……勝手にすればいいよ…」
女子3「へへ~やーりぃ」テクテクテク
妹「……」
女子3「どう?うちの学校は」
妹「……どこも変わらないよ」
女子3「そっかー、たいして変わらないもんなのか~」
妹「………」
妹「……」トテトテトテ
女子3「…~♪」テクテクテク
妹「……どこまで着いてくるつもり?」
女子3「んん?私の家に着くまで~」
妹「……そう……」
妹(…私のお家……もうすぐ着くからいいか……)
妹「……あと、どれくらいなの…?」
女子3「まっすぐ行ってー、左に曲がってー…またずっとまっすぐ行って右曲がって二つ信号こえたら左ー」
妹「……遠いね」
女子3「うん、遠いよ~」
妹「……私のお家……アレ」ユビサシ
女子3「え?あ~……もう着いちゃうのかー……うん、残念だけど、ま、いっか」
妹「……そうだね」
妹(やっと……今日は、つかれた……)
女子3「それじゃ私はこっちだから~、それじゃあねー」
妹「…………」
妹(……………)
女子3「あれ?家、そっちなんだよね?」
妹「………今日、おつかいあるから」トテトテトテ
女子3「…ほ~偉いねえー」
妹「………偉くない……ついでだし」
女子3「ふふ、じゃあもう少し一緒に帰れるね~」
妹「………そうだね」
妹(一人で帰ると…危ないってこの子も言ってたし……まぁ……少しぐらいなら…)
妹「………じゃ、バイバイ」
女子3「うん、ありがと~」
妹「……別にいい……」
女子3「それじゃあ、また明日ね~」フリフリ
妹「………」フリフリ
妹「…………」
妹「………」テクテクテク
妹(……さむいし……ちょっと暗いし……)
妹(早く帰らないと、兄、心配させちゃうな……)
妹(……心配……してくれてるのかな……)
妹(……あの子も、ちゃんと帰れてるといいな……)
妹(………)
妹(……あー……さむいな)フー フー
兄「………」フー
兄(とりあえず、いい感じには出来上がったかな。なんつーんだ?えー……ミネストローネ?)
兄(いや、カレーとかそういう子供受けして栄養のあるもんもいいなー、とは思ったけど……カレーのルーが無い)
兄(そのくせなぜかトマトの缶詰があったし、あったまって栄養のある具沢山スープってことでこの選択だ)
兄(味は問題ねー、なんたってレシピ通りだかんな)ドヤァ
兄(……まー、後は好き嫌いがねーことを祈る。なんたって人参とかあんまし好きじゃあねー子供多いっていうし………一応食いやすさを追究してできるだけ小さくはしておいたが……口に合うかねー)
ガチャリ
兄(お……帰ってきた)トントントン
妹「……ただい、ま……」
兄「おー、おかえり。外さむかったろ」
妹「……うん」
兄「へへ、あったけー飲み物と夜飯準備してあるからよー、手ー洗ってうがいでもしてきなー」
妹「………はい」トテトテトテ
兄(時間……んん?学校終わってから帰るにしては、随分と経ってるじゃあねーか)
兄(まー、いっかー。無事に帰ってこれたことにとりあえずホッとしておくべきか)
兄(あとは……えー、と……飲み物飲みもの……」コポコポコポ
妹「……」トテトテトテ
兄「……」カチャカチャ
兄「おめー、ココアとミルクどっちがよかったー?」
妹「あ……んと……ココア…がいいです…」
兄「オーケー、ほれ、あちーから火傷すんじゃあねーぞー」テワタシ
妹「…………」コク
兄(ほいじゃ、あまったミルクは俺がもらいますかなー……よいしょー)ドスン
妹「………」チョコン
兄「……こぼさねーように気をつけろよ」
妹「……」コク
兄(……安定の壁際端っこ大好き兄妹)ズズー
妹「……」フー フー チビ
兄(……近いうちにこたつでも出すかなー……)
妹(……あったかい…)モタレカカリ
兄「…そーいえばよ、学校、どうだった?緊張したろ?」
妹「……うん……でも、大丈夫…でした……」
兄「ん、そりゃあよかった。友達できたかー?」
妹「……………」
兄(…………あ……とんでもねー地雷踏んじまった気がする)
妹「………」チビ
兄「あー、その、なんだ……」
兄(……こ、こういう時、なんて声をかければいいのか分からないの)
妹「……大丈夫…です」
妹(どうせ、長続きしないってわかってるし……私はもう大丈夫だもん)フー コクリ
兄「……ふー」スク
妹「ぁ………」グラリ
兄「「おっ、と……悪い悪い。飯はできてるからよー、ちっと待ってなー」
妹「……」コク
兄(……大丈夫…ねぇ……。どう考えても大丈夫って雰囲気じゃあねーよなー)テクテクテク
兄(俺の理想の『大丈夫』は友達が1人2人できてる状態なんだけどなー……妹の口調からすると、友達なんてできなくても『大丈夫』なんだよなー)
兄(結構、寂しがり屋だから、友達とか…そういうの気にすると思ったんだけどな……子供って何を考えて物事を選択してるのかさっぱり分からん)カチャカチャ
兄(だんまり決め込んでたんだろうな……学校着いた途端に喋らなくなったし……まー頑張れとは言ったが、無理に頑張って作るようなもんじゃあねーしな)
兄(きっと、妹の優しーくて少し茶目っ気のある様子を見たら仲良くしてくれるもんさ。黙ってても可愛いっすからねー……)カタンカタン
兄「…………」
兄(……兄馬鹿というべきか…シスコンという表現が正しいのか……またアホな事を考えちまってるじゃあねーか、クソ)ガシガシガシ
兄(わーい、妹かーわーいーいー)
兄(………恥ずか死ぬわアホ)ガンガン
兄(さーてと、アホな考えはここまでにして、兄ちゃん特製ミネストローネでも出してやりますかなー)カチャカチャ
兄「またせたな」
妹「……いい匂い……」
兄「へへ、だろー?俺はこう見えてもしっかり家庭的なんだよ」
妹「………」クス
兄「なんすか」
妹「………」フルフル
妹(兄、お料理、あんまりできないって分かってるけど……がんばってくれたんだな……)
兄「コラ、ちょっと頑張ったね、みたいな顔すんのやめろ」
妹「……あ…」
妹(……顔に、でちゃってた?……)ペタペタ
兄(図星っすか……図星っすかぁ……)
兄「ま、確かに、ちょっと頑張ったんだけどよー……つかちゃんと頑張ったんだから、評価しっかりしなきゃ許さん」
兄(カッコつけきれへんがなー……本当カッコつかねー兄ちゃんですなー、俺)
妹「………」コク
兄「さーて、ハイ合掌」パチ
妹「……」テチ
兄「いただきまー」
妹「いただき、ます」
兄「………」モグモグ
妹(すごい……おいしい…)モグモグ
兄「妹よー……」
妹「…………?」
兄「友達、作りてーだろ」
妹「…………」
妹「……」
兄「………」モグモグ
妹「………作りたくない」
兄(あり?)
兄「……そっかー、いらねーかー」
妹「………うん…いらない……です」
兄「………案外よー、友達を作らねーってのは逆に難しいもんなんだぜー」ズズー
妹「……?」
兄「生きてるうちに、勝手にできんだよ。誰に頼まれたってわけじゃあねーのに、ホント、知らねー間によ」
妹「…………」
兄「歳とっちまうと、途端にできなくなっちまう不思議なもんなんだけどなー………ま、子供にゃわかんねーよ」
妹「……」
兄「じゃあ逆に聞こう、いらない友達ってどんなヤツだ?」
妹「…………」
妹「……うるさくて……怖くて…………」
妹「………わがままで、ずるくて……」
妹「……」
兄「…そんだけ?」
妹「………」フルフル
妹「……もっと、います………」
妹「………………」
兄「…出てこねーよ、それ以上。……本当は友達が欲しくてたまんねーんだよ、妹は」
妹「…………ちがう…ちがう……友達なんて、いらないもん……」
兄「面倒くせーな……」
妹「……え……」ジワ
妹「………」ポロ ポロポロ
妹(……嫌われ、た…?………兄に………あに…まで……私を……)
兄「今日だけで、何人の子に話しかけられた?」
妹「……ぅ……グズ……ヒ……」
兄「泣かなくてよくなるまで、とりあえず泣いてろ、んで、落ち着いてから話せ。兄ちゃん、ちゃんと聞いてやっから」ナデナデ
兄(たく……泣いちまう程欲しいのに何を意地になってやがんだ、コイツは。素直じゃあねーなー……俺もだけど)
妹(どうして……わかんない……なんで撫でるの?…………泣き止まなきゃ………はやく……)ポロポロ
妹「グス……ヒック……ぅぅぅ……」
妹(……止まらない…)
兄「………」ナデナデ
兄「………」
妹「………」グス
兄「ほれ、スープ、あったけーぞー」
妹「………」チビ
妹「…………」
兄「………どーだ、落ち着いたか?」
妹「…………」コク
兄「…で、どうだった?結構話しかけてくれたりしたんじゃあねーか?」
妹「………」コク
兄「だろ?そこが妹が勇気を出して頑張るところだぜー」
妹「………でも……」
兄「ん?」
妹「…………怖い……」
兄「そりゃあ初めて話すんだからこえーよ。何言ったらいいのかわかんねーしさ」
妹「………ちがう………」
兄「んんん?」
妹「………いなく…なっちゃう…から………怖い…」
兄「………」
妹「……みんな…私のこと、嫌いになって……いなくなっちゃう……」
妹「……やだ……兄も……私の、こと…きらいに……グス…」
兄「…………おら、こっちこい」ギュ
妹「………ぅ…」
兄「俺が嫌いになるだと?勝手なこと言うんじゃあねー」
妹「……でも…でも……面倒だ、って……」ポロポロ
兄(……あ……)
兄「め、面倒だって言っても、俺は妹から離れていったりしねーよバーカ」
兄(ぎゃああああああああしまったぁああああああ!!またバカとか言ったぁああああああああ!)
妹「……嫌い…です、か?」
兄「俺は嫌いになんてならねー、そうじゃあなかったらこんな風に妹の事抱きしめてやったりしねー」ギュウウウ
兄(……口下手な俺自身を恨むぜ……)
妹「…………ヒック……」
兄「今なら頭撫でもセットでついてくるぜ?大丈夫だ、なんたって俺は妹の兄ちゃんだかんな」
妹「………」ギュウ
兄「………」
妹「……」
兄「……どうしてよー、離れていっちまうとか、そんな風に思ったんだ?」
妹「………」
兄「…………」
妹「………私……」
妹「………」
兄(妹の、過去の友人関係の話を聞いてみて……いかにコイツが自分自身を押さえつけながら生活していたのかが分かった)
兄(自分の欲求に対して、我慢に我慢を重ねた結果が、今、妹に多くの事を諦めさせてる)
兄(自分の周囲を取り巻く環境に対して冷めきっていて、幼さが残っているはずなのに妙に大人びているコイツの視線……俺の知らない所で、妹は自分に関する事を切り捨てて……誰に助けられるわけでもなく、ただただ孤独だった、と)
兄(どうせ、自分に愛想を尽かして離れていく友達をみて傷つくぐらいなら……友達なんて、いらない)
兄(結果いじめられる事になろうと、そっちの方がまだマシ……と途切れ途切れに全部を話してくれた妹の目は疲れ果てていた)
兄(ジレンマに陥って、どうしようもなくって、助けを求めたくっても、一人きり)
兄(普通なら、耐えきれねーよ……本当に)
妹「………」
兄「……もう大丈夫か?」
妹「……」コク
兄「家の事とかなら、俺もやるし、帰ってきたらこうして近くにいてやんだからよー……もう、自由に遊んだりしていいんだからな?」
妹「…………」コク
兄「欲しいもんがあるなら、俺が買ってやる。つか……子供が遠慮なんかしてんじゃあねーぞ」
妹「……で、でも…」
兄「………」ワシワシ
妹「わ…ぷ……」
兄「あ?兄ちゃん舐めんなよコラ」
兄(普段、格好なんてつかねーんすから、こういう……子供じゃあどうしようもねー時ぐらいカッコつけさせろよなー)
妹「………うん」
兄「ん、よろしい」
兄「……あ、そういえばよー、今日の俺の飯どうだったんだよ?感想も聞いてねーから成功なのか失敗なのか分かんねーじゃあねーか」
妹「……すごく…美味しかったです」
兄「ふっふっふ、だろうだろう……なんたって俺が作ったんだからな」
妹「……うん…兄が、作ってくれた、から……ですね」
兄「……おう」カァア
妹「……あ、でも……所々、焦げてたり……皮が残ってたのは…内緒……」
兄「………」
兄(精進しますよ、はい)
妹「……きっと、成功……ですよ」
兄「……うっせ、美味くて食えて、愛情さえこもってりゃあ料理なんざどうだっていいんだよ」
妹「……そう、ですね………」
妹(………)ポー
妹(照れ笑いする兄も、ツンツンしながらでも優しい兄も………)
妹「……」
兄「なんすか」
妹「………ううん……ありがと、兄」
妹(……好き………)
兄「んー、どういたしましてー」
妹(……でも……きょうだいなんだなぁ………)
兄「さーて、と……洗い物やっとくから、風呂入ってきなー」
妹「………」コク
妹(今日も一緒に……なんて言えないな……)
妹「…………」
兄「?……どーしたー?」
妹「……ううん……いってきます……」トテトテトテ
兄「んー」
兄(……とりあえず、ある程度の不安要素は解消したって事でいいんすかねー)
兄(問題は……今日妹が冷たく当たっちまったクラスメイトの対応だな)
兄(人っていくつになっても自分のコミュニティへ入ってくる新顔にはどうしても壁っつーもんを作っちまう)ジャー
兄(……まぁ妹が悪いっちゃあ悪いんだが、一度突っぱねられた人の対応ってのは少々とげがありそうだな……)カチャカチャ
兄(今回ばっかしは、なんにもしてやれねーなー……妹の選択による問題だもんな……)
兄(これでクラスからハブられちまっても、俺は文句なんて言えねー。どこぞの親馬鹿みたいに『どうして私の子供と仲良くしてくれないの?キィィイイイイ!!!!』なーんてアホみたいな事はできん)カタンカタン
兄(まぁただ、万が一妹に手を出すようなヤツが現れた場合は……徹底的に追い込む)
兄(あれ?コレって俺もとんだ兄馬鹿って言うヤツじゃあねーのか?)
兄(……アホか俺は……)ジャー
兄「………………」カチャ カタン
兄「…………はぁーあ……」
兄(ちょっと自己嫌悪だ……今、妹がいじめられればいい……とか、そんなバカみてーな事…一瞬考えちまった)
兄(そうすれば……もっと俺の傍にいて、ずっと……今よりもっと……)
兄(妹は、俺に依存してくれる)
兄(頼れるのは、俺だけ。周囲に関心が行く事なんて、ありえなくなる)
兄(浮つくこともねーし………笑顔も、俺だけのものになる)キュ キュ
兄(なーんてな)パッパッ
兄(バッカバカしい、流石にそこまでアホじゃあねーよ、俺は)
兄(俺は、妹が誰よりも幸せになってくれれば、それでいい)
兄「………」ガチャ パタン
兄(……俺は正直、人生もそこそこにさっさと死ぬつもりだった)カラララララ タン
兄(アイツの血が流れている俺が幸せに、平穏に死ぬなんて許せなかったからねー)カチ ジリジリ
兄(アイツだけは不幸にしてやろうと、ガキの頃から心に決めていた)スゥー…
兄(大っ嫌いですもん、散々周囲の人間を不幸にした疫病神のあのクソ野郎)フー
兄(……まぁ、でも……俺の中に親父の血もあることだし、その分ぐらい誰かを幸せにしてやってから死ぬのも、別にいいでしょー)トントン
兄(そーいえば……ガキの頃周りからひねくれてるだの、歪んでるだのなんだのって結構言われたなー)
兄(……いつからだろうなー、そんな風になっちまったのは)ジリジリ
兄(……あーやだやだ、暗い事考えると、どうしても昔のヤーな事までオマケで付いてきやがる)
兄「…………」フー
兄(……あ、妹の着替えとタオル準備してやってねーわ)グシグシ
兄(風呂上がる前に準備してやんねーと、湯冷めして風邪引かせちまうかんなー)カラララララララ タン
兄「妹ー、タオルと着替えここに置いとくか……ら…」ガチャリ
妹「………あ……」
兄「」
妹「…え…えと…」オロオロ
兄「湯冷めしちまうから湯船浸かってりゃあよかったのに……と、そんなこと言ってる場合じゃあねーな」ファサ
妹「……ん……」
兄(っぶねー!!!!いや、一緒に風呂入ったことあるけどよー!風呂場以外で覚悟無しに見ちまうのは、その…困るじゃあないですか!)
兄(なんとかバスタオルを妹にかけることによって回避成功、問題ない、流石俺)
兄「んじゃ、着替えはここに置いておくからよ、ちゃんと髪とか乾かすんだぞー」ガチャリ
妹「……うん」
妹(……見られた…けど、今更…だよね)ゴシゴシ
妹(…もうちょっと、私の事……見てくれないのかなー……なーんて)
妹「…………」ツルペターン
妹(……もっと大人っぽくならなきゃ……兄と、釣り合わない…よね)
兄「ぬかった………」
兄(まさかまさかの既に上がってる状態だったとは……まぁ、不可抗力だ、うん)
兄(しかし、よく動揺を見せずに冷静に対処できたもんだぜー……自分自身に賛辞を贈りたいね、心の中で拍手しておいてやろう)
兄(だいたい、兄妹なんだからいちいちこんな些細な事で動揺しちまう事が間違ってるんだよバーカ、バーカ)
妹『………あ……』
兄(……冷静に対処はしたものの、焼き付いてしまっておりますね、衝撃的なシーンが)モンモンモン
兄(キズ一つない滑らかな白い肌に、ゆっくりと伝う水滴。濡れた黒髪から覗くくりっとした綺麗な目とあどけない顔……身体を隠すように
伸ばした細くて小さな手が非常に高評である。俺の中で)
兄「………」
兄(……普通に分析できてる、キモい死にたい………)ズーン
兄(つーか、そんな目で……妹のこと見てやりたくねーよ)
兄(つくづく、男に生まれてきてしまった事を後悔する……)
兄(ここまできたら取っちゃおうか、コイツ)
兄「…………」ヒュン
兄(ウソですすいません。コイツを取るなんてとんでもない!)
兄(とりあえず、のんびり座って妹の事を待ってよう)
____________
兄「………ここ…?…」
母『アンタなんか必要なかった、本当に迷惑だわ』
兄「……な……お前……」
母『私に向かってお前?ますますムカつくわ』ドス
兄「っ!ゴホッ…ぐぅ」
母『あーあ、アンタがいなけりゃ……アイツとずっと一緒にいられたはずなのに』ゴシャ
兄「グブっ!ぉ……ぁぁ」ボタボタ
母『あーあーあー、きったね~なおい』ガシ
兄「…やめ、痛い…髪引っ張るな……」
母『アンタはアイツに捨てられたんだ。おかげで私まで……アイツ、よくも私を……』ゴシャ
兄「ぐ……」
母『あれ?拭いても全然綺麗にならないじゃない。ホント、あんた雑巾以下だわ』グシグシ
母『さーて、今日はどっちにし・よ・う・か・な~』
兄「っ…やめて…ください…カーサン…熱いのも…切るのも…嫌だ……」カタカタ
母『あーっそ、じゃ今日はピーラーでいこうか』
兄「っ!…や、やめ……』
母『アンタなんて、必要なかったわ。しっかりと私に償えよ』ザシュ
兄「っうああああああああああああああああああ!!」ジワ ドクドク
母『あっは、きったねー』ピラピラ
兄「ぐぅ……ぁぁあ……!」
母『今日のお仕置きは終了~。明日は反対側の足に千切り器でも使おうかしら』ビシャ
兄「ご、ごめんなさい…」
母『あれ?灰皿がないわ。……ま、いっか』ジュゥ
兄『ぐっ、ひ………!!!』
母『はい、後17回。ほら、早くやれよ』
兄「…っ……これ以上は…痛くて、できない……』
母『私に口答えしたね?後10回追加。ちゃんと3センチ以上じゃないとカウントしないから』
兄「………っぐ……」サク ツー
母『サンドバックって意外とストレス解消になるのね』ドグ ドス
兄「……ごめ…なさい……もう、やめ……」
母『ふふ……あーあ……」ゴガ バキ
母『どうしてこんなこと……兄、どうして……』
教師『奥さん、この時期のお子さんは多感な時期ですから、これ以上過度な自傷行為を行わないように奥さんが支えてあげて下さい』
母『兄、お母さん、悩みがあるなら聞いてあげるから、ね?』
兄(…う……そ………だ………)カタカタ
母『……帰ったら………分かってるな』ボソ
母『冗談じゃねえ!』ゴガッ
兄「っ……おッぐ」ビチャビチャ
母『口にしたくもないセリフ言わせやがって……今度、バレたり……バラしたり……そういうヘマをしたら……』
兄「っ!ご…めんな……さ……」
母『苦しいだけじゃ、すまないよね』ザブ
兄「ゴボ……ガボガボ……!」バタバタ
兄「ごめんなさい……」
母『ふん』サク
兄「ごめんなさい……」ツー
母『んーだいぶ、痛みにも慣れちゃったか……アンタが苦しめば苦しむ程、私は満足なんだけど』
兄「………ご………さ……」コヒュー コヒュー
母『あ、あなた?ごめん今から行くわ。ふふ、そんな事言って……え、おもちゃ?うん、大丈夫、三日ぐらい置いとけば何とかなりそう』
兄「………っ……っ………」ビクッ ビクッ
『兄、お母さんに迷惑かけちゃ駄目だろ?』
『まったく……』ゴキ
兄「…………」
『ちゃんと、家で寝てるんだよ』
兄「ごめんなさい………」
兄「……ごめんなさい………」
___________
妹「………」
兄「…………」モゴモゴ
妹(着替えとか、済んだけど……だいぶ待たせちゃったからかな…寝てる……)
妹「………」
妹(なんだか、顔色悪い……苦しそう………?)
兄「…………ぅ……」モゴモゴ
妹「………」ジー
妹「………」ナデナデ
妹「……兄………あにー……」ユサユサ
妹「……次……兄のお風呂の番……です……」ユサユサ
兄「っっっっ!やめろぉ!!!!!!!!!!!!」
妹「………!!!」ビックゥ
兄「あ………」パチパチ
妹「………グス」
兄「うお!悪い妹!ちげーんだ、ちょっと……俺、寝坊助さんだから、てへ」
兄(…………………助かった………)ギュウウ
妹(うう……力、なんだか…強い……?………あれ?兄…も……泣いてる?)
兄「ふー………」チャポン
兄(なんだってあんな夢を見なきゃならんのだ………)
兄「………」
兄(一応ケガは全部治ったけどよー……痕は結局残っちまった)
兄(ピーラー、缶切り、包丁、千切り器、煙草、アイロン、栓抜き、フォーク、その他諸々……)スリスリ
兄(優勝、栓抜き~……なーんてな)
兄(嫌な事を思い出したりした日には、必ずと言っていい程嫌な夢を見る)
兄(今、仮に戦ったとしても負けない自信はあるが、あの頃の俺はひたすらに非力だった)
兄「………」
兄(やめだやめだ、これ以上考えても碌な事はねー)
兄(きっぱり、高校生の時にアイツと茶髪野郎をぶちのめした時点で、終了だ。それ以上は何もねー)
兄(ただ……誰も助けてくれねー。虐げられるヤツの味方には、誰もついてくれねー)
兄(誰かが助けてくれるかも……なんて思ってる内は、何も解決しない)
兄(今回は、起こしてくれた妹に助けられたわけなんですけどね)チャパ
兄「……ふー」ガチャリ
妹「…………」
兄「」ビクッ
兄「お?おおおおおおお!?何してんだ妹!」
妹「…………兄……泣いてました…から」
兄「ちょっと待ってろ、身体拭いて服着るから」
兄(なにしてんすか妹さん………)
妹「…………」
兄「なんすか、あんましジロジロ見るもんじゃあねーぞ」
妹「……じゃあ…見ないように…しますね」クルリ
兄(できれば出て行って欲しかったよ)ゴシゴシ
妹「……兄、は……どこか、痛い…の?……」
兄「…あん?どっこも痛かねーよ」イソイソ
妹「……でも……泣いて…ました」
兄「泣いてねー」
妹「………でもさっき……」
兄「何ともねー、寝起きだったからそう見えたんだろ」
妹「…だけど……兄…」
兄「泣いてねーっつてんだろーが!」
妹「………」ビク
兄(しまっ―――)
妹「……っっ」ガチャッ バタン!
兄「……………………」ドス
兄「……そうじゃねーだろ、俺……」
兄(ドあほ……普段してるみてーにおどけてりゃあ……心配かけずに納得させれただろーが……)
兄(…………とりあえず…すぐにでも謝んねーと……)ガチャリ
兄「………」ガチャリ
兄「………」ガチャリ
兄「………」カラララララララ
兄「………」ガチャリ
兄「………」
兄(いねー………)
兄(あと見てねーのは……寝室ぐらいか……)
兄「………」ガチャリ
布団「」コンモリ
兄「……ふー…」
兄(よかった、意外と早く見つかって……)テクテクテク
兄「…妹……その、なんだ…急に怒鳴っちまって悪かった……兄ちゃん、ちょっとどうかしてたわ」ペラリ
枕「」ハーイ
兄「」
兄「え……?嘘だろ?……」
兄「……冗談じゃあねーぞ!……」バサバサ
兄「………どこにもいねー……」
兄「……!」ハッ
ガチャリ ダダダダダ
兄(……やっぱりだ、妹の靴がない)
兄(妹の事だから部屋の中に閉じこもってると思ってたのが間違いだった)
兄(この辺りの事はまだ全然把握してねーから遠くへ行く事はない……はずだ)
兄「……」ガチャ
兄(前遊びにいった時に、妹とはぐれちまったような……嫌な汗が出てる……)
兄(今回ばっかりは、シャレにならねーぞ、おい)
妹「………」
妹(…兄の、ばか………もう知らない…)トテトテトテ
妹「………」
妹(……寒い……)
妹(女子3ちゃんと帰ってる途中に、確か公園があった……あそこの、遊具の中……なら少しは、寒くない…はず)トテトテトテ
兄「ぜッ……ぜー……」
兄(だからー!……運動は苦手なんだよ俺は!!)ブハー
兄(しかもこのクソさみーのに外なんて出てきやがって……体調崩すだろうがドあほが)
兄(…………こういう時、田舎であれ都会であれ、人をノーヒントで見つけ出すなんてなかなかできたもんじゃあねー)
兄(闇雲に探した所で見当違いの方向でしたー、なーんて事もあり得る。あの時みてーに)
兄(さー、ない知恵絞って考えろー、俺)キョロキョロ
兄(まず、妹はビビリだ。街灯のねー暗い道なんて選ばない……はず)
兄(んで、恐怖感を増してしまいそうな雰囲気の道も選ばない。だからこの鬱蒼とした廃屋のある方向ではない)タッタッタッタ
兄(つーか、んな事考えずにガキなんだから本能で安全っぽい道ぐれー選んでるだろ)
兄(それと……自分が知らない道には未知な事が多い、ミチだけに)タッタッタッタ
兄(…………アホか俺は)キョロキョロ
兄(だから少しでも知ってる方向……そうだな……通学路、か。朝通ったしな)タッタッタッタ
兄「ぶはっ……ぜー……ぐふ……」
兄(マジで体力ねーな、俺……こりゃ明後日辺り筋肉痛に悩まされそうだ)ゼーゼー
兄(………ぜってー見つけ出して、一緒に帰ってやるかんなチクショウが)
妹「……」カタカタカタカタ
妹(……寒い……)フー フー
妹(……ごめんなさい、兄……)
妹(でも……私、だって……兄の……力になりたかった)
妹(泣いてた時……ギュッてされると……おちついた……)
妹(……私も……兄のこと、ギュッとしてあげて……ちょっとでも、笑ってくれればいいな、って……)
妹(……私じゃ……こんな嫌な子だったら……ダメ…ですよね)
妹(くやしいなぁ……)
兄『泣いてねーっつってんだろーが!』
妹(…………くやしいなぁ…)
妹(…支えてもらって……ばっかりで…何もできない)
妹(…兄も、同じでしょ……?……ずっと、ひとりで抱えてたら……大変なんだって……)
妹(…ばか……私にも……頼ってみてよ……)
妹(……どれだけ………背伸びしてみても……私は、兄にとって…子供のまま、なのかな……)
妹(……つりあいたい……かっこよくて…やさしい兄に……)
ガゴン
妹「」ビク
妹(な……何?)
「あれ~、今日は可愛い先客がいるじゃない~……んふふ」ハーッ ハーッ
妹「ひっ……」
「この寒い中~、こんな薄着で……こんな所に……こんな可愛い子が……」ムフー
妹(…なに、この人……き、気持ち悪い……怖い……こっち…こないで……)ジリジリ
妹(!…あ、足…冷たくて……うまく動かせない……)アセアセ
妹「…や………やだ……やだぁ……」
妹(……そ、そうだ…兄の……)プチ
妹(………)
妹(……え…?何も……なにも起きない……?)カタカタ
妹(ど…どうすればいいの……?わからない……)カタカタ
変態「んふふ、ちょっとタマらないわ、このシチュエーション!ねえ~早く!」
モヒカン男「今日はゆっくりしたいんじゃないんですかぁ?」
変態「可愛い観客がいるのよ?こんなチャンスは普段滅多にないの!ほら、あなたも興奮しちゃって~」ニギニギ
モヒカン男「っんん……こほん……自分は、こっそりするのに興奮するのであって、人前はちょっと……」
変態「ええ~つれないなぁ~」クネクネ
モヒカン男「ま、まぁ…キミがどうしてもって言うなら……考えますけど…」クネクネ
変態「いや~、やっぱり話の分かるオトコ!」
モヒカン男「わがままを聞いてしまうのはキミが魅力的だからですー」クネクネ
イチャイチャ イチャイチャ
妹「」
妹(………なに……?これ……?)
イチャイチャ イチャイチャ
妹「…………」スク
妹「……」トテトテトテ
『やだー!もうこんなにしちゃって!』
『ちょ、まだ早いです!もっとゆっくり……』
妹「………」トテトテトテ
妹(足の、震え……おさまった………)
妹(ただ……なんだろう?…あの人達……)
妹(隣の遊具も……風よけになりそうだから……こっちにしよう……)ス
『うひょー!!』
妹(………寒い……だけど、安心したら……眠くなって……)
妹「………」ウト ウト
妹(……今日は、このままここにいて……明るくなったら……もう少し遠くに……)
妹「……スー……スー…」
『そこだぁああああ!もっとぉ!もっとだぁああ!!』
兄「ぐっ……はー……はー…」
兄(くっそ……いねーな……)
兄(それらしい当てなんてねーぞ……)ピーピピピピーピピピピー
兄(……携帯電話……んだよこんな時に……)ス
兄「!!」
兄「っ」ダッ
兄(俺が渡した番犬の信号……使うって事は…そういうことだよな……)
兄(クソ、そこの公園だったらさっき通り過ぎちまった所じゃあねーか)
兄(約1キロ……ぶっ続けで走って生きてられるか?俺。……つーかそれよりも……妹が無事のままでいられるか、だ)
兄(間に合わなくて、もしもの事があったら……)
兄(………………)
兄(最悪の結果は考えない。無事のまま、ぐっすり眠りこけてる事を祈るしかねー)ダダダダダダダダダダ
兄「………おえ…げほっ……」
兄(なんとか公園には着いた。後は妹を見つけ出すだけだが……)
兄(……しばしば聞こえる…謎の声はスルーしておいていいのだろうか……)
ホオオ!!モウイッチョオ!!!!!
兄(……無視の方向で。恐怖しか感じられん)
兄(どこだ……?)キョロキョロ
兄(風よけになりそうな遊具……どこかに連れていかれてなきゃあ、こっちか)テクテクテク
兄「……」ピク
『ふひ……ふっひひ……はぁ……はぁ…』
兄(脱ぎ捨てられた服、懐中電灯、暖かい缶ジュース……?)
兄(ここに誰かいる……)チラ
妹「……スー……スー…」
兄(あ、妹いた)
兄(なんだなんだ、想像通り平和じゃあねーか。随分と気持ちよさそうに寝やがって……)フゥ
兄(さて、後は連れて帰るだけだな……帰ったら説教するけどな……つーかなんで服とか懐中電灯とか落ちてんだよ、わけわかんね)スッ
兄「」
キモ男「スンスン…ぶはぁ……ふ、ふひ……か、かか可愛い女の子のお股のかおり……こんな所で何してるんだろうね、ふふひ…僕の所にもとうとう神様が……」
キモ男「あとは……おパンツだけでしゅよお…うひ……息子もギンギン……待ちきれないよね…」サスサス
妹「……スー……スー」
兄「………………」プッツーン
キモ男「……では…いざ行かん……桃源郷へ……ふひひいひひひ……ゴブっ!!!」
兄「………てめぇ、ちょっと出ろ」ガシ
キモ男「え?痛い、え?なに?…っグヒィ!?め、目が…っ!!」ズルズル
兄「……お望み通り、脳みそ桃源郷へ飛ばしてやるよ……大丈夫、痛いのは少しだけっすから」
キモ男「え?誰?ちょ、ま…僕はまだ何も……」
兄(襲われて、助けを求めたのはいいが……眠らされて連れ込まれたか……)チラ
兄(ごめんな、妹……お前だけは、傷つけさせるつもりはなかった……来るのが遅すぎた……)
兄「………手持ちは……ライターぐらいか……よかったね」
兄「………っう……ゲホ……」
兄「…………はー」テクテクテク
兄「………」
妹「……スー……んん……」
兄「……バカやろー、二度と……夜に一人で出歩くんじゃあねーぞ」
兄(…乱れた服も直したし、後は連れて帰るだけ……)
兄(ジャケットかけてやって、できるだけ寒くねーようにして……と)
兄「……しょっ、と」
妹「……スー……スー……」
兄(まだ、無事な方だったと……そう思えばいいのかねー……)テクテクテク
兄(…………相変わらずあの時の事を引きずってるのが悪いのか?)
兄(死にたくなるぐれー痛めつけられすぎて、忘れらんねーよ)
兄「………」チラ
キモ男「」
兄(……俺は人を殴ったり、いたぶったりするのは好きじゃあない)
兄(流石に今回は、言葉だけで終わらすなんてできなかった)テクテクテク
兄(人を殴ったり、いたぶったりすると、あの時の光景がよみがえる)
兄(吐き気なんて止まらねーし、手も足もガタガタ震える)
兄(……今までどんなに罵倒されようが、嫌がらせされようが……口では負けなかったし、手を出す事なんて絶対にしなかった)
兄(ただ……妹の事を考えると、トラウマを引きずり倒してでも手を出さなきゃあ……許せなかった)
兄(……おかげでだいぶ俺にもダメージがきましたよ、このヤロー)
兄「お前には……できるだけ人のキタねー所は、理解させたくねー」
兄「俺の傷の理由も、腐ったヤツの醜さも、できるだけ知らねーまま……希望に満ちた未来ってーのを見ててくれ」
兄(絶望しかない俺の希望だ。希望は絶望を知らねーからこそ輝くんだぜー)
兄(穢れを知らない一輪の花……なーんてねー……)
兄(……あー、さみー……)
妹「……スー……スー」
兄「……あー……あー、キツい言い方して悪かった。ごめん、実は俺泣いてたんだよなー」
兄「いやー、泣いてるなんて妹にバレたら恥ずかしくって。ほら、俺怖い夢見るとビビって泣いちまうからよー」
兄「ふえーん、怖いよー……なーんつって」
兄「ほら、俺兄ちゃんだし?あんましカッコ悪い姿見せたくねーじゃん?」
兄「男って見栄っ張りだから弱い所なんざ見せたくねーんだよ。ビビリなんてもっての他だ」
妹「……スー……スー…」
兄「なんだよー、慰めてくれんのか妹ちゃん。やっぱし優しくていい子だなー」
兄「はっはっは、怖いの怖いの飛んでけーってか、あはは」ツー
兄「…っぐす……や、やだなー、また泣いちまったよー……はは」ポロポロ
兄「俺に優しくしてくれて、あったかくて、一緒にのんびりしてよー……」
兄「……何も知らないお前を見てるだけで、全部忘れて強くなれる気がするんだぜー……ずず」
兄「だから、これ以上俺の事を知って、悲観になるのはやめてくれ……」
兄「もう、怖い思いをするのも……思い出すのも嫌なんだ……」
____________
妹「………」パチ
妹「………」
妹「………!」ガバ
妹「……ここ……」
妹(……私……公園で寝ちゃって………)
妹(……そうだ……あの時……兄の…………)
妹(……ここに、戻ってきて……私は……どうすればいいんだろ……)
ガチャリ
兄「おー、起きてたのか。ったく……心配かけさすんじゃあねーよ」
妹「………」
兄「なんすか」
妹「…昨日は……変な人に…驚いただけで………なにも、されなかったですから……」
兄「………そか、無事でよかったよ。飯できてっからよー、顔洗ってこーい。今日も学校だぞー」
妹「………はい」
兄(何もされなかった………ねぇ……ま、妹が隠してーなら、触れねーでいてやった方がいいか)
妹「………」トテトテトテ
兄「…あー、後…昨日は、怒鳴ったりして悪かった」
妹「………うん」
妹(……兄は…まだ、私に………隠しごと、するんだね……)
兄「はい合掌」パチ
妹「………」テチ
兄「いったっだきまーんす」
妹「……いただき…まーす」
兄「っふっふ……今日の仕上がりは完璧だ。厚焼き卵なんざ俺の手にかかればちょちょいのパッパよー」
妹「……」モグ
兄「……」パク
妹「……おいしい……」
兄「ん、サンキュ」モグモグ
兄「」ガリ
兄「………」
妹「……?どうか…しました、か?」
兄「いや…なんでもねー」
兄(卵の殻じゃねーか……うえ)ズーン
妹「……?」モグモグ
妹「」ガリ
妹「………卵の、から……」ウエ
兄「……く……悪い」
妹「…ううん……おいしいです、よ……大丈夫です……」
兄(いまいち完璧に事を済ませない男って……そしてフォローされてる!ツラい!)モグモグ
妹「ごちそうさま…でした……」
兄「はいよー」カチャカチャ
妹「…………」
兄「ほれ、準備しねーと遅刻しちまうぞー」テクテクテク
妹「………はい」
妹「………」
妹(………今日は……学校、頑張ってみよう……)
妹(まだ、兄は私が心配だから……何も言ってくれないのかも……)カタ カタ
妹(……兄に、釣り合うような……人になって……安心してくれたら……きっと、頼ってくれるよね)
妹(……私に何も言ってくれない兄は……嫌い……だから、もっと好きになれるように…頑張ろう)
ピンポーン
妹「………?」
妹(誰か……来た?)
兄「……はーい」テクテクテク
ガチャリ パタン
妹「………」
兄『……え?誰?』
兄『妹の家?…いや、あってるけどよー』
妹(誰だろ………)カチャ キィ
妹「………」ソー
妹「…………!」
女子3「あ、妹ちゃんおはよ~」フリフリ
兄「…え?……何?え?」キョロキョロ
妹「………」ペコ
兄「……学校の子か?」
妹「………」コク
兄「……ほー……へー……」
兄(…んだよ……ちゃっかり仲よくできそうな子作ってんじゃあねーか……兄ちゃんちょっと安心)
女子3「妹ちゃん、一緒に学校行こ~」
妹「………」
兄「……返事、してやれよ」
妹「………うん………行こう、か」
女子3「やたっ」グッ
兄「外、寒いし中で待っててもらっていいっすからねー」
女子3「はーい」
妹(…な……なんで……私)
兄「ほれ、待たせちゃわりーだろ。ちゃっちゃと準備しときなー」
妹「……うん」
兄「……ま、なんだ…頑張れそうじゃあねーか」ポンポン
妹「………うん」
兄「んじゃ、ほどほどに頑張ってこいよー」
妹「………」コク
女子3「それでは、おにーさん行ってきまーす」フリフリ
兄「へーい」フリフリ
妹「……」フリフリ
パタン
兄「……ふー」
兄(とりあえず、っていったとこか……。妹、誰ともあんまり話してねーっつったのに、なかなかの物好きもいたもんだなー)
兄(んん?いや、小学生だからこそか。壁とかそういう面倒な事を気にしねーヤツが多いもんなー……やっぱし友達を一切作らねーで行動することって難しいんだよ)フラ
兄(俺も仕事の準備しちまって、さっさと行きますかー……ここ最近休みをホイホイ消化しすぎちまってるから怒られそー……)
兄(また新しく仕事入ってるだろうから申し訳ねーなー……ま、しっかりその分取り返しゃ大丈夫さ)ゴソゴソ
兄(忘れ物は……ん、大丈夫そうだな。オーケーオーケー)
ガチャリ パタン カチャン
兄(うっへ……今日は一段と寒いなおい……)ブルル
兄(年々寒さをひしひしと感じる老いた身体に……ってまだ二十代だっつーの。アラサーにもなってねー)
兄(こりゃあ、三十代四十代が怖いなー……)テクテクテク
兄(ま、きっとどうにかなるでしょ。時代は常に進歩……してんのかイマイチわかんねーけどオッサンに優しい服を作ってくれるに違いない)カチ キュイーン ブロン
兄「おはようございまーす」
男「ああーん?おはようございまーす。じゃねーだろコラ!兄がいねー間どれだけ俺がカツカツカツカツしたと思ってやがんだ?おお?」
兄「すみません、迷惑をおかけしてしまったようで……」ペコ
男「そうだよなー、そうだったらやっぱし落とし前つけんとなー!」
眼鏡「何言ってるんですか、男……キミが大変だったのは女性関係でひっきりなしにかかってくる電話の処理じゃあないですか」
眼鏡「会社にいたのにキミときたら仕事じゃあなくて……随分と棚にあげてますねー……」
男「お……う、うす」
眼鏡「だいたい先日の会議のときもうたた寝どころか熟睡してよだれたらして机に頭ぶつけるアホがどこにいるんですか」ガミガミガミガミ
男「うす……サーせんした……」
兄(男さん大丈夫か?……)
ポン
兄「ん……」
女「兄くんおはよっ」
兄「あ、おはようございます、女さん。すみません、自分のせいで迷惑かけてしまって……」
女「いーんだよ、そこまで忙しかったわけじゃないし。男くんは……ま、自業自得かな」
男「みんなして俺をいじめる……いいさ、俺は仕事に生きる男なんだ……」
兄「…遊び万歳の男さんにしてはいい事言いますね」
男「ふふん、そうだろう!」
眼鏡「振られましたもんね」ボソ
兄「ああ………そういう事ですか」
男「…」ジワ
男「男の汗は、主に目から溢れるのだ…………俺は強い子、俺は強い子…」ブツブツ
眼鏡「それでは兄には今日この書類に目を通してもらって……とりあえずどのように進めるのかは形作っちゃってください」
兄「私に任せる、ということですか」
眼鏡「何事も経験ですよ、経験」
男「そうだぞー、ふふふ、男は経験が物を言うのだ」
眼鏡「ん?」
男「……いやぁ、その……あ、キャッチ入ったんで失礼しゃーす」スタコラ
兄「………分かりました、やります」
眼鏡「そうか、ありがとう。それじゃあ期待して待ってるよ」スタスタ
兄(あ、期待はして欲しくなかったかも…………ま、とりあえずやりますか……」フラ
兄(うーん……妹が帰ってくるのが5時過ぎだとして……定時で上がったとしても間に合わねーんだよなー……)テクテクテク
兄(その分ハイスピードで終わらせて……確認が必要な作業は全部終わらせて、持ち帰れるものは持ち帰るか……)カタ ギシ
兄(これは一応昼にでも確認しとかねーと……)カタカタ
女「ども」ヒョコ
兄「っ……あの……突然現れるのやめてもらえますか?」
女「あはは、ごめんね。はい、お茶どうぞー」
兄「あ、ありがとうございます」
女「作業中悪いんだけどさ、アレ、考えてくれた?」コソコソ
兄「……アレ?」カタカタカタ
女「デ……じゃなくて、どこか行くってやつだよ。週末」
兄「…あー……」
女「え、忘れてた?」
兄「忘れてました」
女「ヒドい!楽しみにしてるのに!」
兄「いや、すみません……なんつーか…週末は……その…」
兄(妹ができたんで、週末は一緒に出かけます!……なんて言ったら……普通わけわかんねーよなー)
女「え……遊びにいけないの……?」ウルウル
兄(涙目やめてー、精神的にジワジワくるからやめてー)
兄「……すみません」ペコ
兄(断る勇気……勇気って偉大だよな、人間が人間であるためのステータスだよ)
女「………」ムー
兄「そんな顔しても揺らがねーっすよー、私は」カタカタカタ
女「じゃあ今夜!決定、決定です!」
兄「いや、今夜も……」
女「昨日休んで私大変だったんですからねー…埋め合わせしてくれないとバケて出ちゃいますよー」
兄「バケて出るのは勘弁してください」
女「じゃあ決定で!」
兄「あ、はい」
女「うんうん、よろしい。それじゃ、また後でねー」
兄「…………」
兄「……あ、しまった」
ワイワイガヤガヤ
妹「………」
女子3「ふんふ~ん」
妹「……」ペラ
女子3「ふふふ~ん……ねー妹ちゃん、本って面白い?」
妹「……うん、うるさくないし……面倒じゃないから」
女子3「へー、オススメは?」
妹「………え、えと…これ?」
女子3「うっわ~、分厚い……教科書より厚いよコレ」
妹「…だいたい、本ってそういうもの、だよ」
女子3「うーん、私には高い壁だな……」ペラ
妹「……そう…」ペラ
女子3「…なんかこう、いっぱい文字が並んでてさ~、読んでると眠くなってくるというか……」ペラ
妹(それは……無理して読まなくても、いいんじゃないかな………)
女子3「……ほー……」フムフム
妹「…………」ペラ
女子3「………」ペラ
妹「………」
女子3「……………」
妹「………」
女子3「………」ペラ
妹(…え?ハマったの……?)
女子3「妹ちゃん!」
妹「っは、はい……」ビク
女子3「これ貸して!」
妹「が、学校の……だから…別にいい、けど」
女子3「お、そーなの?いや~、まさかこんなにのめり込んじゃうとは……本、恐るべしってやつかな~」
妹「……そ、そう……気に入ってくれて、よかった……」
女子3「うんうん……おっと、1時間目始まっちゃう」
妹「……ほんとだ……」
女子3「それじゃ、私席戻るねー!また次の休み時間にっ」フリフリ
妹「………」コク
妹(……やっぱり、ヘンな子……)
男子3「ふあーあ……」ドン
妹「っ……」
男子3「あ、わーり、気づかなかった」
妹「………別に…」
男子3「ったく、アイツも朝からやかましいったらねーぜ」ガタン
妹(………やな人……)
妹「…………」
妹(授業……始まるのに、人少ない、な………)
がララララ
担任「はい、じゃあ授業始めまー………え!?少なっ!」
女子4「男子がみんなきてませーん」
男子3「いや、俺いるし」
女子4「……男子3君以外みんないませーん」
担任「ううーん……またかー……ちょっとー!みなさーん!授業始めますよー!!」ガラガラ
妹「…………」
妹(…こういう、ものなのかな……)
ダダダダダダダ
女子6「せーふっ!」バーン
男子3「アウトだろバカ女」
女子6「んだとこの豆もやし」
男子3「頭にコンビーフでも詰めてんのかよ脳筋」
女子6「あ?」
男子3「ああ?」
ワイワイワイワイ
妹(…………うるさくなった…)
妹(……でも、兄も……頑張って、友達作れるように…って言ってくれたから、頑張らなきゃ)フンス
妹(でも、友達って……友達になってください……とかで、なれるのかな……)
妹(………そう言えば……笑えってればいい、って……兄、言ってたような……)
妹「………」
妹(………にー)ニー
妹「………」
妹「………」ハッ
男子5「………」
妹「………み、みた……?」
男子5「………」ミテナイ
妹「………そう……」
妹(……しまった……なんか、はずかしい……)
男子3「………」
妹「………なに……」
男子3「なんもねーよバーカ」
妹「………」フイ
妹(……ちょっと…頭にくる……)ゴゴゴゴ
女子3(…妹ちゃん、可愛いなー………)ポー
担任「…よし、はいじゃあ、皆さん集まった所で授業始めまーす!」
女子4「せんせー、男子2君がいませーん」
担任「………探してきます……」シクシク
中休み_________
妹「………」ペラ
女子3「…………」ペラ
妹「………」
女子3「……ねー妹ちゃん」
妹「……?」
女子3「昼休み、クラスで縄跳びだってさ~」
妹「……みたい、だね……」
女子3「運動は得意なの?」
妹「……苦手……ではない……」ペラ
女子3「え?そーなの?てっきり全然できないと思ってたー」ペラ
妹(……む……ちょっとバカにされた気分…)
女子3「それじゃー……何が苦手?」
妹「………マラソン…」ペラ
女子3「あー、確かに……しんどいんだよね~」ペラ
妹「………うん」
女子3「………」
妹「………」
ウォオオオオオオオオオオオオオ!
妹「……?」チラ
男子2「スーパーアグレッシヴアイアンギガメタルダイヤモンド雑巾クラッシュスパークリーングッ!!!!」ズシャー
ガシャーン
妹「………」
女子3「おおう……あれ、よくやってるんだよね……」
妹「……なに、あれ?」
女子3「人間ボーリングだってさー。お腹に雑巾当てて…今みたいに滑ってってたくさん散らかしたら勝ち……らしいよ」
妹「………」
妹「……男子は、みんなやるの?……」
女子3「ううん、男子2君だけしかやらないよ~。怒られるし、ケガするしね」
妹「……へー……」
妹(……勝ち、って……誰と戦ってるの……男子2君……)
女子3「今日の昼休みはクラスで使っちゃうけどさ、今度の昼休みとか、一緒に図書室行かない?」
妹「………」
妹「………別に……いい、けど」
女子3「ふふ、やったね!こういう面白い本いっぱい教えてもらおーっと」ペラ
妹(………約束……しちゃった……)
女子3「よーっし、妹ちゃんと約束もできた事だし、授業も始まる時間だからボク席に戻るねーっ」フリフリ
妹「………」コク
妹(……?……なんか……違和感……)
担任「さー、皆さん席についてー、ってうわぁぁあああ!何コレ!?男子2さん!!あの遊びはやめなさいって何回言ったら分かるんですか!!」
妹「………」カリカリ
担任「……ということで、そこで登場したのがこの人物です」カッカッカ
妹「………」
妹(……兄、今お仕事で…何してるんだろう……)
妹(…そういえば……週末、私のお家に……荷物取りに行く、って……)
妹(……いろいろ……持っていきたい物……)
妹(……買ってもらった物は……大事だから……ちゃんとして……)
妹(……兄の、お母さん……怖かったな……)
母『はぁーあ……なんで私が………ほら、準備できたらさっさと行くよ』
妹『………』アセアセ
母『そんなたくさんいらねーだろ、早くしな。……ったく……面倒臭い……』
妹『……………』グス
妹「…………」
妹(……うん、あの時……置いてきた物……ちゃんと持っていこう……)
ツンツン
妹「?…………」
男子5「………」ケシゴムオチタヨー
妹「……あ………」
男子5「…………」ハイドーゾ
妹「………」
妹「……あり、がと……」ニコ
男子5「」
妹(……うん………やっぱり、優しいひとも……いるんだ……)
担任「そしてー、このようにしてうまい具合に発展していきました」
女子6「?????」
男子3「…だからー、ここがこうだろ?そこで……おう、そうそう」コソコソ
女子6「べ、別に……最初から分かってたしっ」コソコソ
男子2「せんせぇえええ!!!せんせぇええええ!!!!」ハイハーイ
担任「はいはい、どこからわからないんですかー?」
男子2「んんん!?おお!?全部分からん!!!」
担任「………うん、後で先生と一緒に勉強しましょうね」
妹「…………」カリカリ
妹(……すっきり、したから……かな……意外と、悪くないかもしれない……)
女子8「……なんかーやっぱ感じ悪ーい……」
女子1「最初喋った時、ヒドかったもんね」
女子4「つか、無愛想過ぎっしょ」
女子8「女子3にも無視しとけっつったのに……あたし無理、ホント無理」
女子4「せっかく仲良くしてあげようと思ったのにホントないわー」
兄「………」カタカタカタカタ
兄「………」
兄「………」カチャン
兄(っだあああああああああああああああああ!!!!)
兄(……どれだけ早く終わらせようと、女さんとの約束があるんじゃあどうしようもねー)
兄「………」ムムムム
兄「………」
兄「……………やるか、必殺技……」
兄(…俺、もともと嘘つきですし……例えどう思われようが……うん、仕方のない犠牲だ)
兄「………よし」カタン
兄「女さん、ちょっといいですか?」
女「っはい!どうしました?も……もしかして……」
女(こ、こんな所で愛の告白!?禁断のオフィスラブ?オフィスラブなの!?私の頑張りがようやく甘い果実を実らせたの!?)
兄「今夜の事なんですが……」
女「なーんだ今夜の事かー……っといけないいけない……ふふん!今日という今日は逃がしませんからね!」ビシッ
女(飲みに誘うも『今夜は用事が…』とか『あー、その日は予定が既に……』でのらりくらりと躱されてきたけど、実は普通に家に帰って寝てた…とか……今回ばかりは騙されないぞ!)
女「何を言っても私は騙されないよー、私は日々成長してるのだよ」
兄「あー、そっすか……ま、とりあえず飲みに付き合うってことで、場所なんですが……駅前のいいとこ、予約しといたんで」
兄(予約はしてないけど、駅前の居酒屋さんはいいとこですよ…女さん)
女「そ、そそ、そうなんだー、えへへーなんか悪いなー」テレテレ
兄「それで、男さんとか眼鏡さんに見つかるのが嫌といいますか……待ち合わせ、という形を取りたいというか……」
女(ま、待ち合わせ!!!)
女(ごめん、待たせちゃった?……『いえ、今来たとこばかりですから』……『それでは、行きましょうか、女』……なーんてな!なーんてな!!!)
女「うん、うんうん!いいよいいよー!!そうだよね、兄くんは恥ずかしがりやさんだもんね!」
兄(ごめんなさい、女さん)
兄「では、時間は仕事が終わった後で……あ、私は一度早めに上がるんで、そのタイミングで……」
女「うん!まっかせときなさーい!」
兄「ありがとうございます、それでは……また……」
兄(来週の朝にお会いしましょう、さようならっ!!)
女(『それでは、また今夜お会いしましょう』キリッ……くーっカッコいい!!!しびれるー!!!)キャーキャー
兄「男さん、私の知り合いが可愛い子紹介してくれて、駅前で待ち合わせしてるんですが……もしよろしければ、男さん行きませんか?」
男「え?俺?……お前なー、そういう出会いは大切にしなきゃダメだぜ」
兄「今夜は女さんからお誘いをうけたので……ちょっと難しいんです」
男「そう?そうなの?俺、行っちゃってもいいんかなー?」
兄「そうですね……名残惜しいですが、男さん、コレも何かの縁ですよ、きっと」
兄(多分、おそらくね……陰謀が裏にはびこりまくりですが)
男「そっかー、仕方ねーなー、仕方無しだぜー、先輩がちょろっとひと脱ぎしてやるよー。……むふ、まあヌギヌギするのは俺じゃないんですけど、むしろひと脱ぎじゃすまないんですけど……ほほほ」
兄(勝った)
女子3「準備できたー?」
妹「…うん……あと少し………」
女子8「それでさー…」
女子4「えーほんとー?」
女子8「なんかー隣のクラスの子がそう言ってたてさ」
女子1「へー」
妹「………」
妹「…準備、できた……」
女子3「それじゃ行こっかー」
妹「………うん」
妹「………」トテトテトテ
女子3「~♪」テクテクテク
妹「……あの……」
女子3「ん~?」
妹「……他の、女の子と……一緒に行かなくても、よかったの?」
女子3「そーだねー……別にいいかな~」
妹「……私なんか、より……友達の方が、大事……でしょ?…」
妹「……普通は…そうだよ。まったく知らない子……よりも、そっちの方が……」
女子3「うーん……誰と一緒にいたって、他の人には関係のないことですなー」
女子3「自分の好きなようにしてるだけだからね~」
妹「………」
女子3「気を遣ってばかりの、手の抜けない関係で本当に友達なんて言えないよ」
女子3「程よく手が抜けるからこそ、友達なんだぞっ……ってとーさん言ってた。にひ」
妹「…だけど…私、友達でも……ないでしょ…?……」
女子3「え、そーなの!?」
妹「え……違った…の?」
女子3「いやー、てっきり友達になってるもんだと思ってたよー……友達は、勝手になってるもんで頑張って作るもんじゃあないっ…ってこれもとーさんから聞いてたからねー」
妹「………」
妹(……そう、だ……頑張れ……私……)
妹「……じゃ…じゃあ…私と……友達になって、くれる……?」
女子3「ううん」
妹「…………」
妹「…そう……そう、だよ…ね」シュン
女子3「勝手になってるもんなんだから。改める必要はないんだよー」キュ
妹「………そ…っか…そうなんだ…」キュ
女子3「ふふっ、さっさと行かないと遅れちゃうぞー」
妹「……うん……」
妹(……友達……できました、よ……兄……)
妹「………にへへ……」
友(女子3)(守りたい、この笑顔……やっぱし妹ちゃん可愛いよ~……そう、これからはボクが妹ちゃんを守るのだ)キュンキュン
妹「………」
担任「はい、みなさん揃いましたねー」
男子2「うおぉおおおおおおおおおお!!捕まったぁあああああああああ!!!!はなせぇええええええっ」バタバタ
男子3「コラ、縄跳びの縄勝手に使うなよ……」
男子2「こんな事して俺をどうするんだぁあああああ!!!……あ、なるほどー。くぅう!!どれだけ拷問しようと俺は口を開かんぞぉおおおおおおおお!!!!!」
男子3「あ?開いてんじゃねーか。閉じてていいから騒ぐなよ、うっせー」
男子2「しまったぁあ!!!こうなったらお前らもろとも道連れにしてやらぁあああああああ!!!!!」バタバタ
男子2「………」
男子2「せんせー、縄ほどけんよーになった」
担任「え?ああ!!もー……どうやったらこんなんにがんじがらめになれるんですか……」
男子2「今俺ガンジーなん?ガラメーなん?あ、ちょっと痛い、助けたってせんせー」
担任「ガンジでガラメですよ男子2さん……皆さん、ちょっと保健室に行ってきますから縄跳び始めてて下さい」
「はーい」
『ガンジでガラメ!!!!つまり俺仮面ライダーWなんですな!?うぉおおおおおおおおおおお!!!さぁ!!!!お前のつみを数えろぉおおおおおおお!!!!!』
『暴れないでください男子2さん!!』
男子3「……じゃー、今日は大縄するから、回すヤツ決めよーぜー」
ワイワイワイワイ
妹「………」
友「先生も大変だねー」
妹「……うん……」
友「妹ちゃんは回す役やりたい?」
妹「……ううん……小さいし…力ない、から……」
友「そっか、引っかからないように頑張ろーね」
妹「……うん」
「いーち、にー、さーん……しー、ごー…ろーく、しーち………」
友「妹ちゃんお先にー」ピョン
妹(……縄跳びで…よかった。鬼ごっことかだと……つかれる…)ピョン
女子1「……」ピョン
______
女子8『女子1さー、飛ぶ時ちょっとだけでいいからアイツの服引っ張ってよ」
女子1『え……私?』
女子8『大丈夫大丈夫、多分ちょっと引っ掛かるだけだよ』
女子4『そーそー、少しアイツがはずかしい思いするだけだからさっ』
女子1『でも……』
女子8『え?…やらないの?』
女子1『う、ううん、やる。……ちょっとだけだからね?』
______
女子1(……私は…言われただけだし、別に……)
友「よっ」ヒョイ
妹「……」ピョン
女子1「……」チラ
女子8「ほらどんどん進んでこー!」ニ
女子4「はいはーい」ニヤ
女子1(……次、次に回ってきたら)
友「んっ」ピョン
妹「………」ス
女子1「っ…」ギュ
妹「……っ?…」グンッ
妹(…え…あ……ダメ……)ヨロ ピョン
妹(……足、絡ま……っ……!)ヨタ
バシンッ
妹「っ…………」ドサ
男子3「お、おい…大丈夫か?」
友「妹ちゃん!!」タタタ
『おい、顔に縄当たったぞ』
『あーあ、いい回数行ってたのに』
『ばっかそういう問題じゃないっしょ』
『大丈夫かなぁ』
女子6「私先生呼んでくる!」ダッ
友「ちょ…ちょっと見せて?」
妹「……っ……ごめん……」グス
友「……当たった所、目じゃない?」
妹「……うん……少し、上……大丈夫、だから」
友「大丈夫じゃないよ……腫れてきてる……」
男子3「うわ、膝も擦りむいてんじゃん」
友「えっ?……あ……」
女子1「………」
女子1(え…?そんな、おかしいでしょ…ちょっと、引っ張っただけじゃん……)
女子1(なんでこんなことになってるの?……ちがう、私じゃない)
女子8「まー、大変な事になったね」ポン
女子1「違うっ……私じゃない」
女子4「まーまー、私たちも黙ってるし。いい気味だよ」コソコソ
女子8「そうそう、気にしないでいいって」コソコソ
男子5「………」
友「……」ギリ
担任「だっ!!大丈夫ですか!!」タッタッタ
男子2「俺!!さんじょう!!!!!!!」シャキーン
担任「……すぐに保健室に連れて行きましょう。妹さん、ちょっと立てる?先生がおぶって行くから」
友「一緒に行きます!…妹ちゃん、ボクが支えるから……」
妹「……ご、めんね……少し、バランス崩しただけ…だから…」グス
妹「………」
妹(縄当たったところ…ジンジンする……)
担任「とりあえず、と言ったところですかね……」
保険医「そうですね、後は任せていただいて、担任さんはクラスの方見に行ってあげて下さい」
担任「わかりました、ありがとうございます」
ガラガラガラ
友「………ふぅ…酷くなくてよかったー……」
保険医「縄だから大丈夫だとは思うけど、一応当たったのが頭だからね、少し休んでいきなさい」
妹「……」コク
妹「………」サスサス
友「…痛い?」
妹「……ちょびっと……でも、大丈夫」
友「……そっか…」
妹「…私が…ちょっと、ドジだった……それだけだから」
友「………」
妹(……飛ぼうとした時…後ろから、服引っ張られた…って思うけど……言わなくていいや…)
友「……ちょっとこっち来て?」
妹「……」コク
友「手、離してみて?」
妹「………?」パ
友「……ごめんね、これからは絶対に妹ちゃんをケガさせないように…ボクが守るからね」サスサス
妹(顔、近い……近い近い……)
友「あ、ごめんねー……痛かった?」
妹「…痛くは…ない、けど……」
妹(……不思議と照れる…からやめて欲しい……)
妹「…それと……ボクってなに?…」
友「んー、強くなれるおまじない、かなー」
妹「……へー」
友「あー、なんかバカにしてる顔だ」
妹「……そんなことは、ない……はず」
友「妹ちゃんが貸してくれた本の主人公がカッコ良かったから、真似してみただけ。どう?カッコいい?」
妹「…………」
妹(カッコいい……のかな……わかんない……)
友(ああ……ジッと見つめられると照れるー…というか……ああ)
友(……運動、苦手じゃないって言ってた妹ちゃんがドジでこけたりするのかなー…?)
友(絶対に、何かあるっぽいんだよねー……それに、ケガさせちゃったのが悔しい)
妹「……カッコいい、より……優しそう……かな…」
友「……も、もっとカッコよくなれるように頑張るから!」
妹「……そ、そう……」
兄「……」カタカタ
ブーッブーッブーッ
兄(なーんすか、こんな時に……)カタカタカタカタ
兄(………俺の携帯電話にかけてくるヤツなんて誰がいんだ……?)カタタタタタタタタタ
兄(……)チラ
眼鏡「――――――」
男「――――――」
兄(…仕事中はプライベートの電話あんまし使いたくねーんだけど………って知らねー番号だし)
兄「…………」
兄「……はい」ピ
兄「……はい、兄っすけど……」
兄「……え?……え?……あ、あー…そ、っすか……」
兄「…いえ……わざわざ、ありがとうございます……」
兄「………」
兄「…………」
兄(……妹が……ケガした……ですと……?)
兄「…………」
眼鏡「?…おーい、何ボーッとしてるんですか?」
兄「あっ…いえ……」
兄(……頭の中真っ白だ……手が進まん………妹がケガしたぐれーだろ、俺)
兄(子供の時全くケガなんてせずに生きてきたヤツの方が少ねーんだ、何を動揺する事があるってんだよ…)
眼鏡「ん?」
兄「これぐらいなら、大丈夫っす…すぐ片付けます……」
兄「………………」
眼鏡「………本当にどうした?最近ちょっとおかしいんじゃあないですか?」
兄「……」
眼鏡「……まぁ何が、とは言わないですが………大丈夫かい?」
兄「………すみません…」
眼鏡「……ふー……」
兄「…………」
眼鏡「抱え込むのは結構ですが、兄は社会人です。働いてる以上あんまり迷惑かけないように」
兄「……はい」
眼鏡「…まったく……悩みがあるならいつでも来なさい、部下の話を聞くのも仕事のうちですから」
眼鏡「人間みんな器用じゃあないんだ。言わなきゃ何にも分からないし、誤解する事だってあります」
眼鏡「はい、パソコン閉じて、休憩行ってきなさーい」パタン
兄「……あ…」
眼鏡「なんだかよく分からないですが、頭冷やしとけよ」
兄「……はい…」カタン トボトボ
眼鏡「…………」
眼鏡「いらないおせっかいでしたかねー……」
兄「……すみません」
眼鏡「ん?……おお、もう大丈夫なんですか?」
兄「はい、言われた通り、頭冷やしてきました。だいぶ落ち着きました」
眼鏡「そうか、それはよかったです」
兄「それで……今後、何度こういう事があるか分からないので、眼鏡さんには少し話をしておきたいと思います」
眼鏡「はは、こういう事が何度もあるとこちらとしてもだいぶ痛手なんだですけどね……どうぞー」
兄「ありがとうございます……実は今、私には妹がいます」
眼鏡「…妹?……あれ?一人っ子だったって聞いていたんですが……」
兄「…その辺りがすごく複雑で…まぁ、なんと言うか……」
眼鏡「ああ、いいですいいです言わなくても、複雑な事情なんですから」
兄「…はい、すみません」
兄「……妹を保護して、育てられる大人が自分しかいない状況で…私は…独身ですし。そういう事に関わった事が全くないです」
眼鏡「ふんふん……」
兄「いきなり、育てろって言われて…何にも分からないまま、不安ばっかりで……でも、自分にできた初めてまともに信頼できる家族ができたみたいで、安心する反面……小さいから心配で自分が色々助けてやらなきゃって時に……さっきも、妹がケガしたって電話で聞いて、自分……どうしていいか分からなくなって……」
眼鏡「兄、兄……ちょっとストップ…ちょっと自分の中でまとめる時間をください」
兄「あ……はい、すみません……」
眼鏡「………」
兄「……」
眼鏡「ふーん………」
兄「……………」
眼鏡「よし、兄……僕なりに話をまとめて、考えた事がある。少し黙って聞いていてください」
兄「はい…」
眼鏡「兄、お前会社やめろ」
兄「……え………」
眼鏡「家庭を持つ、新しい事と知らない事ばかりで困惑するのも分かりますが、身内がどうのこうので社会は止まってくれません。仕事に影響が出過ぎる事を僕は看過できません」
兄「でっ…ですが…」
眼鏡「黙ってろ、と言ったはずです」
兄「う…………」
眼鏡「……私にだって家庭はあります。正直毎日不安な事がないわけではありません。しかし、そういったことにいちいち影響されていては困るんです」
眼鏡「家庭の事で頭がいっぱいいっぱいで、仕事に手がつかないようなら、キミはもう会社を辞めて、別の優しい会社を探すべきです」
眼鏡「つまるところ……邪魔ならどちらか捨てろ、という意味です。どうですか?」
兄「………」
眼鏡「…………」
兄「…私は……妹を……」
眼鏡「………」
兄「こんなわけのわからねー状態で、妹を放っていくなんてできませんよ………金銭面でも、そんな…不自由になんてさせたら…アイツが可哀想じゃあねーっすか……」
眼鏡「………ま、これは会社の人間からした言葉です、強いて言うならね。……僕の本心からすると、気の済むまで家族を大事にして上げなさい。かな」
兄「は?」
眼鏡「おいおい、入社したての時みたいにその返事は生意気ですよー。…僕には、人間関係が良好ではなかった兄が少しずつ変わっていってるのが興味深いんです。家族が心配なら、心配だーってどんどん表に出してもいいんですよ」
眼鏡「安心して下さい、仕事も家族もしっかり守れればいいんです。どうすればいいかじゃあなく、こうしたい、と言って下されば僕は力になりますよ、兄」
すいません、家で飼ってた犬が死んでしまい、だいぶメンタルがやられた状態でした。
15年は、まぁ、生きた方ですよね。
また亀更新でちまちまやっていくので、見てる人がいたら、よろしくお願いします。
兄「………」
兄(妹をだしに使って休んだり早く帰ったりする事で、会社に影響がある事が嫌で黙ってたんだが……こうして話すと、だいぶ楽になるもんなんだな……)
兄(俺の中だけで、妹を支えるなんてできる事じゃあなかったみたいだ)
兄(眼鏡さんの考慮で俺はとりあえず部署変更の審査に入る事になった)
兄(もし仮に異動ができなかったとしても、ある程度は眼鏡さんが融通をきかせてくれるらしい……)
兄(金銭面では厳しくなるだろうが、まぁ、金がかかりすぎる趣味を持ってなかったって事が幸いしたかな)
兄(一応、貯金はしてあった。ただなんに使おうか悩むだけで増えてく通帳見てもなんにも面白くねー)
兄(今日は眼鏡さんと話をした後、重要な作業だけ手早く終えて、残りは持ち帰る事に成功した)
兄(………と、いうことで…一応妹の小学校に来たのはいいが……こういう時って学校の中に入っていいもんなんだろうか……)
兄(うーん……いっぺん職員室に行く……として、電話とか事前にしておいた方がよかったりするんかねー)
兄(早く妹の姿を見て、安心したい……。しかし、ケガの状態によっちゃあ………)
兄(ああ、なんか貧血になりそうだ……)フラ
兄「………」
兄(行くか)
妹「………」
ワイワイワイワイ
女子4「あれー?妹ちゃんじゃーん。怪我大丈夫だったー?」
妹「………そうだね……一応…」
女子4「あ、顔のところかぁ、うわー、痛そー」ツン
妹「………触らないで……くれるかな……痛い」カオシカメ
女子4「あは、ごめんねー」グリ
友「やめなよ、ケガのところ触ると痛いんだよ」ガシ
女子4「あっ、ごっめーん痛かったんだ」
女子4「それじゃ、お大事にー」チッ
友「……」ガルルルルル
『どーだった?』コソコソ
『ダメ、あんまし面白くない』コソコソ
『ほれ、菌』コソコソ
『ちょっ、やめてよー』コソコソ
友「大丈夫だった?」
妹「……うん、別に……悪気があった、わけじゃあ……ないと思うし…」
友「……そっか」
女子6「妹ちゃん大丈夫だった?ごめんね!私が縄回してたから、止めればよかったのに……」
妹「……ううん……大丈夫…」
男子3「馬鹿力」ボソ
女子6「ああ?」
友「はいはい、喧嘩はもっと遠い所でやってくださーい」
妹「………」
男子5「………」
妹「」ビクッ
妹「………なに?……」
男子5「………」ス
妹「………」
妹(………誰にでもできる応急処置~vol.4~………?)
男子5「………」ビシィ
男子5「…………」スタスタスタ
妹「………」ペラ
妹(……ケガに、気をつけて……ってことで…いいのかな……?)
ガラララララ
担任「…ふー……あ、妹さーん、ちょっといいですかー?」
妹「………」コク
妹「………」トテトテトテ
担任「さっきね、妹さんがケガしたって家族の方に連絡したらね、迎えにきちゃったんですよ」
妹「……兄…が?……」
担任「そう、その…兄さん?が。妹さん頭も打ってるみたいだし、大事をとって帰りの準備してくださーい」
妹「…………」コク
妹「………」トテトテトテ
妹「……私、今日は…帰る、ね…」
友「はーい、何かあったらすぐにボクの事呼んでよね、すぐ行くから!」
妹「……ありがと……」カチャ カチャ
妹「………」
妹(…教科書と、筆箱と……)
女子1「……帰るんだ」
妹「………」コク
女子1「………」
妹「………」
女子1「……あ、あのねっ」
女子8「あれ~、妹ちゃん帰るんだ~……」
妹「……」コク
女子8「キモ」
妹「…………」ピク
妹(………意味が…分からない……)
女子8「行くよ、女子1」キッ
女子1「え、あ、あの」ワタワタ
妹「……」プイ
妹「…………」トテトテトテ
ガララララララ
兄「………お……」
妹「………」ムスー
兄「大丈夫か?妹」
妹「……大丈夫……」
兄「ん、そうか」
兄(顔にちょっとしたケガ、膝も擦りむいてる……だいぶ痛々しいな……)
兄「……」ウプ
兄(……はー……妹が少し不機嫌なのも気になるところだが、ケガを見るとどうも気分が悪くなる……)
兄(アレが関係してるんだろうが、本当に勘弁して欲しいぜー……)
妹「……」
兄「とりあえず帰るかー」
妹「………」コク
兄「手は?」
妹「………いい」トテトテトテ
兄「ん」テクテクテク
兄「あんまし遠くはねーけど、歩いて帰るよりはマシだろうと思ってな、バイクで来た」
妹「………」
兄「ほい、メット」ヒョイ
妹「……うん…」カポ
妹「………」
妹「……兄…」
兄「はいよー」カチ シュ
妹「……首のやつ……お願い、します……」
兄「へーい」シュ キュ
兄「ほい、苦しくねーか?」
妹「……」コク
兄「それじゃあ行きますかなー、っと」ヒョイ
妹「……」チョコン
兄「よし、と」カチ キュイーン
兄「……しっかり掴まっとけよ?」
妹「……うん」ギュ
兄「……おーけーおーけー、それじゃあ行くぜー」ブロン ブゥン
妹「………」
妹(今日は、よくわからないこと……言われたりしたけど……)
妹(なんだか、負けたみたいで……もやもやする…)オオオオオオォォォォォォオン
妹「………」オオオォォン
妹 (……絶対に……次は……あんな事…言わせない)ギュ
兄「痛い痛い痛い痛い、お腹お腹つまむのやめて」ビュオオオオ
妹(うん……頑張ろう……)ギュウウウウ
兄(あかん、風とバイクの音で聞こえてない、痛い)
兄「さーて、早く帰宅できたのはいいとして………今日はどうしようかなー、飯」
妹「………私が…作る?」
兄「あん?ケガ人は引っ込んでろ」
妹「…む……ケガしてても…手とかじゃ、ないし…」
兄「はいはい、その時は菓子やるから部屋で待ってな。兄ちゃんが美味しい飯作ってやるから」
妹「……ご飯前に……お菓子は、ダメ」
兄「………そうでしたね…。じゃあ勉強だな」
妹「………ずるい…」ムス
兄「へへ、大人の特権ってやつかなー」
妹「……まぁ…でも、ごはんの前には……終わる、から……」
兄「………風呂」
妹「……入るのには…はやい……」
兄「テレビ」
妹「………みなくてもいい……」
兄「本読んでろ」
妹「…いつでも、読めるから…」
兄「………」
妹「…………」
兄「へーへー、折れましたよ。手伝いたきゃ勝手にしろ」
妹「………」グッ
兄(小さくガッツポーズすんのやめろ、やたら可愛いから)
兄(………だからそうじゃないでしょうが、俺………)ズーン
妹「……あ……」
兄「どーしたー?」
妹「…ばんそうこう、はがれそう……」
兄「おーけーおーけー、ちょっとちいせーもんな、その絆創膏。もうちょっとデケーのがあるからそっち貼ろうなー」
妹「……うん………」コク
兄(バイクに乗ってると、ヘマってそれなりのケガする時があるからなー……そういった救急道具はバッチリ、っていうね)
兄(足滑らせて立ちゴケとか恥ずかしくて[ピーーー]る……雨の日のマンホールはマリオカートのバナナ)
妹「………だっこ…」
兄「あ?」
妹「………」
兄(手を広げてだっこー、とか普通誰もやんねーだろこのヤロー……ズリーぞその顔やめろ、やんなきゃダメって無言の圧力もすんな)
兄「…ったく」ヒョイ
兄(はい、甘いです)
兄「ケガしてるからするだけだからな?ケガしてなかったらぜってーにしねーからな?」
妹「………え……?……」
兄「………………くそ……いつでもしてやりゃいいんだろタコ」
妹「……にへへっ…………」ギュ
兄(あーもー……学校じゃあ甘えらんねーからってタガ外れたみてーに甘えやがって……昨日の気まずさどこいった、帰ってこーい。………あ、やっぱいいわ、このままで)
兄「えーと、絆創膏はー、っと……」ゴソゴソ
妹「…………」
兄「お、あったあった」
妹(…消毒液………)
妹「………しみる……?」
兄「染みる、ムッチャクチャ染みる。多分泣き叫ぶぐらいだぜー」
妹「………ぅぅ……」モゾ
兄(あのね、そんな妹いじめるような真似するわけねーじゃあないっすか。そりゃあ言葉ではなんか分かんねーけどマトモな事言えねーけどよー、俺自身痛いのは嫌っすから染みない消毒液なんですよねー……誰がガキだ)
兄(もちろん染みない消毒液って容器には書いてあるからガッチリ握って妹からは見えないように……ちゃっかりね、すみません)
妹「………痛かったら……怒り、ます……」ジ
兄「怒られるのはちょっとキツいかなー」
妹「……だったら…やさしく……して、ね……?」
兄「ん……おう」
兄(くおおおぉ………被弾した、不覚にも……ググっと胸の辺りがバリッと……オーノゥ…)
妹「……………」
兄「んじゃ、絆創膏剥がすかんなー」
妹「………」コク
兄「………」ペリ リ
妹「……っ………ふ………」
兄「剥がれかけだからだいぶマシな方だぜー、妹よー。はい我慢がまーん」ピピピ
妹「んんん………」
兄「ほいほい、もうすぐ――――」ペリ
兄「――――――――――――」
兄(……ぐ………おえ………うっ…ぷ……)
妹「……どう、したの?……顔色…悪い………けど…」
兄「…ちょっ…ちょっとタンマ……なんか……しんどい…」
妹「……え、えと……な、なにか………」アタフタ
兄「……な、なんつってー……」
妹「………え……?…」
兄「どう?この迫真の演技?ビビった?ビビった?」
妹「……………」
兄「…………………」
妹「……………………」
兄「………へ…へへー…」タラー
妹「………っバカ…!……」
兄(半分も歳いってない小学生に罵倒される社会人です)
兄「わりーわりー、ほれ、そうこうしてるうちに剥がしたし、な?あんまり痛そうにするもんだからよー……」
妹「…………」ムスー
兄(…拒絶反応、みたいなもんかね……こみ上げてくる吐き気で口ん中変な味になって唾液が変に湧いたんすけど………)
兄(ここまでダメになるもんなんですか?トラウマさーん………)
兄「……よし、とりあえず風呂までこれで大丈夫かねー」
妹「………」クイ クイ
妹「………うん…ありがと…」
兄「さーて、と……何か飲むか?俺はコーヒーだけど」
妹「……ココア……」
兄「はいよー」
兄「とりあえずテレビ、適当に面白そうなの点けといてくれ」テクテクテク
妹「…はーい……」
妹「………」カチ ポチ ポチ
兄「ふーふふんふーふーん……」カチャカチャ
兄(俺は、このままじゃあダメだよな……)サラサラ
兄(変わるつもりなんてなかった、どうせすぐにでもくたばると思ってたから)カチ ボッ
兄(昔の事は、ズタズタに穴が空きっぱなしで、埋めようと触れるたびに自分が傷つくから…埋めようとも考えなかった)
兄(だけども、妹がここに来てから、色々な事にぶつからなきゃいけないと思った)
兄(穴が空きっぱなしの弱い人間なんかじゃあ、妹と一緒に過ごすなんてできない)
兄(人間、嘘をつきっぱなしで生きていくなんてできない)
兄(強くならねーと……自分の心ばっかり守ってビビってばかりの俺を叩きのめして、妹に心から頼られるように)ピー
兄「…………」カチャン
兄「……………………」コポコポコポ
兄「よし、と……」カチャ
兄「………」テクテクテク
兄「できたぜー、妹ー」
妹「………」ジー
兄「…?……」
兄(テレビ、そんなに妹が夢中になるようなもんでもやってたのか?)チラ
TV「好きです…心から……あなたを愛しています……」
兄「ぶっ」
妹「…!……で、できたん…だ……」ポチ
TV「ワハハハハハ!」
兄「おー、ほれ、あちーから火傷すんなよ?」
兄(…恋愛系…そうかー、こういう年頃ぐれーからそういうのって気になるもんなんすかねー)コト
妹「…ありがと…ございます…」
兄「んー」ドス
妹「…………」トテトテ
兄「おいおい、あぶねーから持って歩きまわんな」
妹「……ごめ、なさい……」チョコン
妹「…でも、ここが……いい…から………」
兄「へー」
兄(またあぐらかいてる俺の足の上ですか……)
妹「………」チビ
兄「……よし、とりあえず風呂までこれで大丈夫かねー」
妹「………」クイ クイ
妹「………うん…ありがと…」
兄「さーて、と……何か飲むか?俺はコーヒーだけど」
妹「……ココア……」
兄「はいよー」
兄「とりあえずテレビ、適当に面白そうなの点けといてくれ」テクテクテク
妹「…はーい……」
妹「………」カチ ポチ ポチ
兄「ふーふふんふーふーん……」カチャカチャ
兄(俺は、このままじゃあダメだよな……)サラサラ
兄(変わるつもりなんてなかった、どうせすぐにでもくたばると思ってたから)カチ ボッ
兄(昔の事は、ズタズタに穴が空きっぱなしで、埋めようと触れるたびに自分が傷つくから…埋めようとも考えなかった)
兄(だけども、妹がここに来てから、色々な事にぶつからなきゃいけないと思った)
兄(穴が空きっぱなしの弱い人間なんかじゃあ、妹と一緒に過ごすなんてできない)
兄(人間、嘘をつきっぱなしで生きていくなんてできない)
兄(強くならねーと……自分の心ばっかり守ってビビってばかりの俺を叩きのめして、妹に心から頼られるように)ピー
兄「…………」カチャン
兄「……………………」コポコポコポ
兄「よし、と……」カチャ
兄「………」テクテクテク
兄「できたぜー、妹ー」
妹「………」ジー
兄「…?……」
兄(テレビ、そんなに妹が夢中になるようなもんでもやってたのか?)チラ
TV「好きです…心から……あなたを愛しています……」
兄「ぶっ」
妹「…!……で、できたん…だ……」ポチ
TV「ワハハハハハ!」
兄「おー、ほれ、あちーから火傷すんなよ?」
兄(…恋愛系…そうかー、こういう年頃ぐれーからそういうのって気になるもんなんすかねー)コト
妹「…ありがと…ございます…」
兄「んー」ドス
妹「……ごめ、なさい……」チョコン
妹「…でも、ここが……いい…から………」
兄「へー」
兄(またあぐらかいてる俺の足の上ですか……)
妹「………」チビ
兄「……」フー コク
妹(……兄の匂いだ………)モタレカカリ
ミスって連投してしまいました、すみません
________________________
兄「………」ズズ
妹「…………」
ンナーーーー!ハハハハハ!!
兄「………」フー
妹「………」チビ
兄(…結局家にいると特にすることもねーから毎度のようにこんな風に過ごすしかねーなー)
兄(ま、俺はいいけど。コイツはどう思ってんだ?)
兄(最近の…っていうか、どんなヤツでも時間がある時どっかに買い物行ったり遊んだり映画みたり……っていうのがあるんじゃあないのかねー)
兄(俺は小躍りしちまうような喜びも、ズッタズッタに傷ついちまうよーな苦しみも悲しみも、人間らしい喜怒哀楽なんて感じなくていい)
兄(俺の中にあるのは、ひたすら平和に、落ち着いた時間を過ごしたいだけ……)
兄(いままで悲しみやらやるせなさで生きていくのなんて嫌だったが、今は安らぎがある。だから安らぎを得ながら……俺は平和に生きたい)
兄(だが、コイツは……俺の、今の安らぎになっていて、何かしてやらなくちゃいけないのかって頭を悩ませるようなコイツは、それでいいんだろうか)
兄「……………」ムーン
妹「………………」ジー
兄「ん?」
妹「……むずかしい顔……してた……」
兄「あん?今のテレビのギャグがどういう意味かで頭悩ませてたんだよ」
妹「………」
兄「なんすか」
妹「…今、CMと……喋ってるだけで……誰もギャグなんて言ってないよ?……」
兄「はっはっは、面白いなそのギャグ」
妹「……………」ムー
兄「…なーんてな。妹、俺といて楽しいか?」
妹「……………」
妹「………わかんない」
兄(わかんねーってことは、つまらないって事だよなー、やっぱし)
妹「…………」
妹「……でも……でもね……」
兄「…あー?」
妹「……………」コト
妹「………」クルリ
兄「な、なんだよ……」
兄(んだよ、マジで、改めて向き直られるとなんか…その、照れるじゃあねーっすか)
妹「……兄……私…へん、なのかな……?」
兄(あ……この目…よく見る………年齢に合わねーような、全部見えてるような目……)
妹「……」コテン
妹「……すごく、楽しいってわけじゃあ…ないけど……すごく……落ち着くの……」
妹「…………兄………私………へん?………」
兄「……まー、変じゃあないでしょ……俺も好きだし……落ち着くの、うん」ポリポリ
兄「…………」
妹「……一つ……思うことが…ある……」
兄「あん?まだなんかあんのかよ」
妹「……私………ね……その……」モジモジ
兄「…………」
兄(…あ…………)
妹「……少しの……間、だけど……」
兄(嫌な予感しかしねー……俺にとって、それは違う)
妹「…兄と……一緒にいて…………一つ……感じてた……」
兄(俺はただ、家族として、兄妹として一緒にいることがいいのであって、お前が感じてる感情じゃあねー)
妹「……兄のこと……考えると……ここが、苦しくなるような……気持ちに、なる…………」
兄(やめろ………気づかなかったわけじゃあねーが、そうじゃあねーだろ)
兄(俺はそんな人間じゃあねーぞコラ、好意を受けるような……そんなまっとうな血は流れてねー……)ギリ
妹「本でも……読んだの……これは、こういうのは………」
兄(考えろ、俺。妹が真っ当な人間であり、それを守る方法を……違うでしょうが、俺は……)
母『おい、言ったよな、帰ってくるまでに綺麗にしとけって』ゴッ
兄(……そうだ、落ち着け……確かに安らぎは欲しいが、何も全部妹を巻き込んでいいわけじゃあない)
兄(妹は妹の幸せを手に入れるまでの、それだけの時間を支えればいいだけで、それだけの時間を過ごせれば俺は満足してくたばれる、そうだろ?)
兄(大人の対応、あえて受けて、流す。クズの俺がいつものようにしてた事だ、そうだろ?)
妹「…わ、私っ……す………すき…なの…………兄のこと……」カァア
妹(い、いっちゃった……とうとう……まだ、兄のこと……全部知ってるわけじゃない、けど)
妹(……これから……きっと、兄は……私の事………見てくれるんだ……)
兄「へー、そうか。俺も好きっすよー、割と」
兄「よーしよし、可愛い妹ちゃんですもんねー。うん」ナデナデ
妹「………………」
兄「ふはは、照れてやんのー、兄ちゃん好かれてるってわかったから嬉しーぜー」ケラケラ
妹(……ちがう…まだだ……兄は、私のことを……みてくれてない………)
兄(く、口ん中カラカラだ……どうだ?通ったか?つか、これで終わってくれ………!)
妹「……ちがう………私の……すきは………こ、こういう、こと………」ズイ
兄(あ……これはマズい………それ以上俺に近づくな……顔を寄せるな、コラ……!)
妹「………」ドキドキ
ピーンポーン
友『いーもうーとちゃーん!来たよー!』
兄「お、今朝の子じゃあねーか?」スク
妹「……ま…まっ…て……」
兄「はいはーい」スタスタスタ
妹「兄っ……」スカッ
妹「……………」
妹(ううう…………うううううううううう!)
妹(…頑張った…のに…!………こんなのって……もう…ちがうのにぃ……)
友「あ、おにーさん、こんにちはー」ペコリ
兄「どーも」
友「妹ちゃん、早退しちゃったのでプリント持ってきましたー」ヒラヒラ
兄「わざわざすんません。妹、中にいるからよー、よかったらどうぞー」
友「あ、いえ…それは妹ちゃんにちょっと悪いかなーって、えへへ」
妹「………」トテトテトテ
友「あ、妹ちゃん…大丈夫なの?」
妹「…うん、ありがと……心配してきてくれて………」
兄「ほれ、せっかく来てくれたんだ。テキトーになんか話でもしとけよ」ポン
妹「…………」コク
兄(た……助かった………おそらく一時的なものだろうが……)
兄(あ、ちょうどいいや。話してる間に飯作っちまおう。そうすれば妹が手伝わなくてもいいだろ……ごめんな、妹の友人よ)
兄(手早く美味しく愛情込めて……よし、やりますかー)テクテクテク
友「なんか、怒ってる?」
妹「………怒ってない、けど……ちょっと……くやしい……」
友「なにかあったの?ケンカとか、しちゃった?」
妹「……ううん………ただ……失敗……」
友「よ、よかったら…聞くけど…」
妹「…………うーん……」
兄(オラオラオラオラオラオラオラオラオオォォォォォラァアアアアッ!!)カンカンカンカン
兄「……結局自己満足の一人暮らし貧乏飯か……俺に作れるのは……」
兄(気のせいじゃあなかったな……妹の、あの気持ちは)
兄「はぁーあ………」
兄「悪いが、応える気は一切ねーぜー」ジュー
兄(俺は守っていく。キッチリと)
兄(俺のは恋愛感情じゃあねー。どっちかって言うと、気にかけ続けるような、そんなような感情だ)
兄(yesロリコンnoタッチの精神だよマジで……あれ?)
兄(それはそれでいかんやないかーい)ビシ
兄(さっむ)
兄(ま、妹と気持ちが違う事は確かだ。守りたい、一緒にいたい…ただそれだけの感情よ)
兄(………これはどういった感情なんですかね、親父よー)
(――本当は、キスしたい抱きしめたい俺の傍にだけいてほしい――)ズキンズキン
兄(なんとかして意識を外に向けてやらねーとなー……普通に優しくて一緒にいて妹が楽しめるような、そんな立派なヤツがきっといるはずだ)
(俺だけの笑顔、優しさ、安らぎ――)
兄(きっとモテるだろうなー妹。おっと、兄バカ発揮しちまった、へへ)
(ずっと一緒に、俺だけの…誰にも渡すつもりなんてないくせに――)
兄「…ふんっ!!」ゴンッ
兄「アホか」ジンジンジン
兄「俺は兄ちゃんなんだぞドあほ」ゴツ
兄(あんなガキの感情に惑わされるな。ただ好きを勘違いしてるだけだ。しっかりしろ、兄よ)
兄「…………」カチャカチャ
兄「こんなもんか…」
兄「そろそろ呼びにいくか……」テクテクテク
兄(にしても、随分と話し込んでるみてーだな。口数少ねーし、そんなにコミュニケーションがとれる子が友達になってくれたみたいで嬉しーぜ)
兄「妹ー、飯できたぞー」
妹「……っ!!?」
友「のわっ!!?」
兄「なんすか、突然出てきたらそんなにビビられるような人間っすか、俺は」
友「い、いえっ……そんな事ないです!」
妹「……夕食作るの……手伝うって、言ったのに……」
兄「わりーわりー、それはまた今度な。そこの嬢ちゃんも飯食ってくか?」
友「あ、大丈夫です。おねーちゃんが家で待ってるので」
兄「そか、またこうやって妹と仲良くしてやってくれよな。コイツ不器用だから」
友「おにーさんがそれを言いますか……」ボソ
妹「…………」
兄(どうして二人とも黙りになるんすか)
友「大丈夫です!妹ちゃんのことはボクに任せてくださいっ!」
兄「おお、ありがとな嬢ちゃん」
友「それではここら辺で帰らせていただきますねー。今日はありがとうございましたー」ペコリ
妹「………うん…ありがと……」
兄「……妹、お前ちょっと留守番できるな?ちょっと遅くなってるし、送りにいくわ」
妹「…………」コク
友「ええ?いいですよそんなのー」
兄「妹の友達だからな、一応だ一応」
友「まぁ、では、よろしくお願いします」
妹「………友ちゃん……」チョイチョイ
友「はいはーい」
妹「…兄に……さっきの事……言わないでね……」コソコソ
友「うん、わかってるよー」コソコソ
妹「…兄にはちゃんと……伝えたい、から………私の口で……」コソコソ
友「うんっ、頑張ってね妹ちゃん!」コソコソ
兄(女の子というのはどうしてここまで内緒話が好きなのでしょうか)ポケー
友「それじゃ妹ちゃん!また今度ねー」フリフリ
妹「………うん」フリフリ
兄「腹へったら先に食っちまってもいいからな」
妹「……ううん……待ってる……」
兄「腹へって文句言われても聞かねーかんな」ワシワシ
妹「…大丈、夫………」
友(ああ、仲いいんだなー……学校ではあんなに口元緩んでないよー、妹ちゃん)
友(ああ、アレが素の妹ちゃん……可愛い……可愛いよぉ……」ハァハァ
兄(なんかよく分からんが大丈夫かこの子は)
兄「悪いな、男物しかまともな防寒具なくて」テクテク
友「いえいえ、いいですよー。あったかいですから」テクテク
兄「そうか」
友「にしても、妹ちゃん可愛いですよねー」
兄「…まぁ、そうだな」
友「実は、知ってるんです、私」
兄「何をっすかー?」
友「今日の妹ちゃんのケガの原因です」
兄「そりゃあ、縄跳びだろ?俺も担任の先生から聞いてそれぐらい知ってる」
兄「なんでも足がもつれて出るのに失敗したーってな。妹運動できなさそうだもんなー」
友「いえ……妹ちゃん、運動はできる方です。むしろ得意です」
兄「へー、想像つかねー」
兄(かなり万能じゃあないっすか、妹。ハイスペック過ぎんだろ)
友「原因はクラスメイトの子の仕業なんです」
兄「クラスメイト?」
友「はい、クラスの子は誰も知らないんですが、一人だけその瞬間……妹ちゃんの服を引っ張ってバランスを崩させたって所を見た子がいるんです」
________
友『犯人……って、え?』
男子5『………』ユビサシ
友『女子1ちゃん……8のグループの子……』
男子5『………』
友『…あいつら~っ……!』ダッ
男子5『………』ガシ
友『ちょっと!はーなーせー!あいつらギタギタにしてやるんだ!妹ちゃんの仇だぁー!』ジタバタ
男子5『…………』ズルズル
友『ぬ、お…おお……』ズルズル
男子5『まだダメ』
友『……しゃ、しゃべった……』
男子5『………』シマッタ
友『っていうか、今行かなかったら妹ちゃんがもっと酷い目にあうかもしれないんだよ?』
男子5『…………』フルフル
友『首振るんじゃなくて!言わなきゃ分かんないよ!』
男子5『…………』
友『なにか考えでもあるの?』
男子5『………』コク
__________
兄「そうか……クラスメイトか……」
兄(クソガキども挽肉にしてやろうかしらん)ピキピキ
友「この事、妹ちゃんには言ってないんです……妹ちゃん、ツンツンしてるから勘違いされちゃうかもしれないけど、優しいし、友達つくろうと頑張ってるから……こんな事、言えないです」
兄「まだそっちの方がありがたい。……はぁ……まったく……」
兄(妹には、きたねー他人がいることをあまり知られたくねー。綺麗なまま純粋に……俺みたいにねじ曲がって欲しくねー)
兄「とりあえず、ありがとな、教えてくれて」
友「いえいえ」
兄「そこで頼みなんだが……妹のこと、守ってやってくれねーか?」
兄「本当なら俺が守りたい所だが、あいにく俺は学校にいるわけじゃあねー。今後何があるか分かったもんじゃあねーし……妹にできた初めての友達でもある嬢ちゃんにお願いしたい」
友「ボクはもうそのつもりですよ、おにーさん」グッ
兄「そうか、妹のこと、頼むな」
友「了解です!」ビシッ
兄「………ふー」
友「ところで、おにーさんは妹ちゃんの事、どう思ってますか?」
友(ごめんね、妹ちゃん)
兄「あ?そりゃあ、大事な……たった一人の家族だ」
友「妹ちゃんがおにーさんの事、どう思ってるか知ってますか?」
友(ごめんね、妹ちゃん。おにーさん程色々考えてるような人が、妹ちゃんにあそこまでされて、気づいてないなんて思えないんだ……本当の気持ちに)
兄「………」
兄「おう、知ってるぞ。好きって言われるぐらいだ、”家族として”ここまで好かれてると俺も嬉しいもんだぜ、まったく」
友「すごいですね、おにーさん」
兄「だろ?ちょっと話しただけで泣かれてたのが嘘みてーだ」
友「本当の気持ちを分かっていながら、そこまで知らない振りをするなんて」
兄「え?もしかして嫌われてたり?」
友「ふぅ、おにーさんも強情ですねー。妹ちゃんは――」
兄「あれ?家ここら辺じゃあねーか?」
友「はぐらかそうったってそうはいきませんっ」
兄「………」
友「いいですか?妹ちゃんは――」
兄「やめてくれ」
兄「………それだけは、知らないままでいい」
友「でも!妹ちゃんは、おにーさんの事が好きなんですよ?知っててそっぽ向いてるなんてひどいです」
兄「……子供にはわかんねーよ。勘違いだ、気のせいだ、思い込みだ」
友「年齢は関係ないと思いまーす」
兄「はぁ、俺が突然出てきて驚いてたのはこの話が原因か……あの様子だと妹に口止めされてたんじゃあねーのか?」
友「う……でも、妹ちゃんは本当に!」
兄「いいか?妹の気持ちを知ってやったところで、俺はそんな感情を妹に抱いちゃあいねー。そしたら妹は傷つくだろうな……関係もギクシャクしちまうだろう、妹は頭が良いから色々考えるだろうからな」
友「………」
兄「そこの辺りを、よく考えてやってくれ。妹のためだ」
友「おにーさんは、妹ちゃんの事、そんな風に見れないんですか?」
兄「見れない」ズク
友「じゃあ、ボクが奪っちゃいますよ?おにーさんの手の中から、妹ちゃんを!」
兄「ははは、そうだなー、それもいいかもしれない。せめて嬢ちゃんみたいないい子が男だったらなー」ズク ズク
友(むむむ、思ったより強敵だ……私のプランでは『俺は妹が大っ好きだぁああ!!俺は妹と!添い遂げる!!!!』ぐらいの予定だったんだけど………ここは一時撤退しておねーちゃんに攻略法を聞くしかない…)
兄(こんなみみっちい子供なんかにどうしてここまで揺さぶられなきゃあならんのだ……はぁ、帰っても妹からは逃れられねーし……頑張って上手くスルーできる方法を考えなきゃあな………妹を傷つけさせねー最良の選択……)
友「私の家、ここですのでー」
兄「そうか、今日はわざわざ悪かったな」
友「いえいえ、好きでしてる事なんで」
兄「じゃ、これからも妹のこと、頼むな」
友「はいっ。おにーさん、妹ちゃんの事……考えてあげてくださいね」
兄「……悪い。それでは」テクテクテク
友「くー……堅いなー……」ガチャ
友「たっだいまー」
友「おねーちゃんおねーちゃーん」ドタドタ ガチャ
友姉「………んひ…うひひ……」カチカチカチカチ
友「はぁ、またゲームしてる……」
友「おねーちゃーん?」ユサユサ
友姉「っ!!!と、友……か。び、びっくりさせないでよね」
友「ヘッドホンしてゲームするのやめたら?」
友姉「うひ、それは、できない相談だね。そ、それでどうかしたのかね?」
友「うん、最近友達になった妹ちゃんって、話したじゃない?」
友姉「ああ、あの……むふ、想像するだけで、お、お腹も頭もいっぱいです、ごちそうさま」
友姉「ああ、我が妹とその妹ちゃんが絡み合う想像をするだけで、ぬひ……鼻血でそ……」
友姉「この前のNL枠の男子3君と女子6ちゃんの妄想だけでもウチ、三時間はぶっ続けたのに……うひ……うひひ……」ポワポワ
友「あのー、おねーちゃん?話続けてもいいかなー?」
友姉「ふひひ……小学生最高!!!!!」
友「ダメだこれ」
友姉「して、友よ、妹ちゃんがどうかしたのかね?」キリッ
友「………」
友「あのね……」
友姉「……」ビクンビクン
友「会話が進まない……」
友姉「だめ、考えただけでも……うひ……いいねいいね、ギュンギュンくるね!」ハァハァ
友「でさ、どう思う?」
友姉「禁じられた兄妹愛!たぎる思いを我慢できないまま幼い身体を蹂躙しまくるツンデレ兄!ああ!ああもうウチダメですぅ……」
友「………」
友姉「……ふむ……ここはウチがある程度考えを用意しておこう。心配するな、こう見えても一日5本はゲームを消費してきた」キリリ
友(その才能をもっと活かす場所があるんじゃあないのかな……)
友姉「はぁ、で、でもなー……GL枠なくなるのかー、あ、新しいの、探さなくちゃ……」
友姉「!!!!三!角!!間!!!系!!!!!!」バッ
友「もういいや………任せたよ、おねーちゃん」
妹「………」
妹(兄の、お箸……私の……お箸……)
妹(お茶碗に、コップ……いろんな食器……)
妹「………」
妹(全部全部、一緒………)
妹「私にも……兄にも……」
妹(同じ、パパの血が流れてるんだって………兄のお母さんが言ってた……)
妹「………」
妹「……どうして……」
妹「…どうして……こんなに一緒、なのに……」ポロ
妹「…う……ううう……ひぐ……」ポロポロ
妹(…どうして……こんなにも…違ってるの……?)
妹「……うええ……グス……」
妹(…ひとりは………嫌……私を……ひとりに、しないで……)
妹「……」フラ
妹「………ぐす……」ガチャ
妹「………」
妹(…兄の……服……ベッド……)ボス
妹「………ひぐ…ズズ……」モゾモゾ
妹(……早く…帰ってきて……兄……)
妹「………」
妹「……痛いよぉ……兄………」
『はぁ……ムカつく……』
『なんだってアタシが……』
『……ぐす…』
『ッチ、こんなんじゃあアイツの代わりにもなりゃしない。』
『半分はアイツかぁ……羨ましいけど、不純物が入ってる時点でお前もウチのと同じだ。所詮思い込んでも、違うんだ……』
『……ちょうどいいや、完全廃棄物の所に連れてってやる。アレも暇してるだろうし』
『完全な…アタシを捨てたアイツとの……はもう叶わないか……あーあー、ホントムカつく』ガンッ
『…っ……』ビク
『おっと失礼~、大丈夫……アンタには何もしないよ………ふふ…』
『ほら、きな』
『……ここ……どこ……?』
『アタシの出来損ないの家……かなー』
『……っ…なんだよ、突然……』
『……』
『何?これ?』
『あんたの妹、腹違いだけどね』クク
兄「………んだよ、待ちくたびれて寝ちまってやがる」
妹「……スー…スー……」
兄「………見れば見るほど、ホント可愛いもんだよな……」ナデナデ
兄(泣いたり笑ったり、いじけたり怒ったり……はじめこそ無表情もいいとこだったが、今じゃあしっかりと感情表現もする)
兄(コイツがいると、俺の中で捨てちまった感情も拾い出せる。純粋に生きたいだなんて、考えた事は少なかった)
兄「本当の気持ちねぇ……」
兄「あんなガキに言われなくても、分かってんよ」
兄(感情なんて、自分自身が身を持って知ってんだ)
兄(ああ、この痛みが恋愛感情なんだ、と分かるさ。あれこれ考えてそれらしい言い訳を作るたび、言葉に出すたび、紛れもなくこの感情は本物なんだと痛みが強くなる)
兄(向き合ってるから、こんなに辛いんだよ。向き合ってるからこそ、俺は心に応えちゃいけないんだよ)
兄(兄妹であり、アイツの子であり、捻じ曲っちまってるクズであり……そんな俺が、光のようなこの存在を遮るような真似はできない)
妹「……スー……スー……」
兄(……だが…今、今だけは……俺を許してくれ。これで、俺の感情に、抑えられないぐらいに大きくなっちまった感情にケリをつける。最初で、最後の過ちだ)スッ
妹「……スー……スー……」
兄(妹の事を好きでいる俺は、ここで退場。永遠にさようならだ)
兄「幸せになってくれよ、妹」チュ
妹「……ん……スー……」
兄(ホント、最低だぜー……)
兄(名残惜しいけども、これ以上はダメだ。ぶっ壊れそう)ス
妹「……スー……スー……」
兄「……おいコラ、起きろ。飯も食わねー風呂も入らねーままで寝ちまってんじゃあねーぞー」ユサユサ
妹「…ん……んぅ……」パチ
妹「……あ……」
兄「待たせたな。ほれ、飯にすんぞ」
妹「……兄……兄ぃ……」ギュ
兄「んだよオメーは、ほいさっさと起きーる」
妹「……おかえり……」
兄「はいはい、ただいまー」
妹「………♪……」
兄「ぶら下がんな、重てー」
妹「……むぅ………」
兄「……まったく……行きまーすよー」ヒョイ
妹「………」
兄「……」ガチャ
兄「温め直すから待ってろよなー」トスン
妹「……うん」
妹「………」
妹(……私……決めた、もん……ずっと、ずっと兄といるんだ……)
妹(……兄妹だからとか…どうでもいい……私は、兄がいい……)
妹(…今は違っても……いつか同じになるんだ……別に…変じゃ、ないし……)
_____
兄「うっし……妹ー、準備できたかー?」ゴソゴソ
妹「……うん…」
兄「それじゃ向かいますかねー………っと、随分デカい鞄選んだな。そんなに物あんのか?」
妹「……うん……いっぱい。……ダメ…?」
兄「別にいいけどよー、一人じゃ持てないって言っても手伝わねーぞ」
妹「………いじわる…」
兄「まあな」
妹「………」
兄「…でもまぁ、手が空いてたら手伝ってやんよ」
妹「……ふふっ……じゃ、行こ……」
兄「ほいほーい」
兄(今日は妹の家に、妹の持ち物を取りに行く。アイツに連れられて必要最低限の物しか持ってなかったから、いろいろ役に立つもんもあるでしょ)
兄(大荷物になるみてーだから今回はバイクはお休み。仕方がねーからレンタカーで向かうんだが……)
兄「うっわー、車とか全然乗らねーからこえーわ」ガチャ
妹「……?……」
兄「バイクと自動車は結構違うんだよ…こう、なんつーかこの丸いハンドルってのが気に食わねー、全体的にボテッとしてるし…」バタン
妹「……へた?…」バタン
兄「下手じゃあねーとは思うけどよー……」
妹「…じゃあ……安全…運転で、ね」
兄「安全に乗らん車って普通はねーもんよ、映画の中ぐらいだよ危ねーのは」ブルン
妹「……回ったり…?」
兄「そっそ、飛んだりな」ガチャガチャ
妹「……気をつけてね……」
兄「ん、かなりビビりながら運転する」
妹「……がんばって………兄…」
兄「おーう、妹ちゃんの声援がありゃあバッチリよ。……おいコラ、シートベルトしろ、安全は保証できんぞ」カチ
妹「…はーい……」ス カチ
兄「ふー……よし、行くぞ、アクセル踏むぞ、進むぞコラ」ガッチガッチ
妹(……車になると…兄はすごく、臆病になる……みたい)
兄「生きた心地がしなかった……」ゲッソリ
妹「……上手……」パチパチ
兄「おー、サンクス。しかし明日以降二度と自動車には乗りたくねーもんだぜ……」
妹「……私も…バイクがいい、かな……」
妹(兄と…ギュッて……くっつけるから……なーんてな……)
兄「確かに、妹が後ろにぴったりくっついてくれてた方が安心できますしねー、なんて……はっはっは」
妹「………」カァ
兄「何故そこで赤くなる」
妹「……………しらない……いこ……」プイ
>>1を応援する、「支援」する。→しえん
読みが同じ(
?)だから「私怨」「四円」「四○」とかある
マジレス恥ずかしい
兄「………ふーん…」
妹「……」パタパタ
兄(結構綺麗じゃあねーか……俺んちは、あんまり綺麗にされてなかったかんなー……)
妹「…………」ゴソゴソ
兄「………ま、ここは妹に任せて俺はのんびりしてますかねーっと」
妹「…………♪」
兄「………」テクテクテク
兄(…ここは……)ガチャ
兄(…作業部屋……?……ああ、そういえば……俺も親父に憧れてわざわざ作業部屋作ったんだっけ……)
兄(………やっぱし几帳面だな、おぼろげだけども物の配置なんてまったく一緒にしてる)カチャ
兄「…お…パソコン………」チ フィィイン
兄(一度も触らせてくれなかったパソコン。そういやー、手書きがクッソ下手だったからいつもこれ使って文章送ってきたっけ)
兄(それでも、いっちょまえに最後の署名だけは手書きでやんの、締まらねーっつの)カチ カチ
兄「…………」
兄(私の子供………くっせーフォルダ作ってんじゃねーよタコ……)カチカチ
PC「」パパパパパパパパ
兄「」
兄「……………あんた本当にバカだよ……」
兄「……いつまでも大切そうに俺の写真なんか………」カチ カチ
兄「…………」カチ カチ
兄「………」カチ カチ
兄「……………っ」ドンッ!!!
兄「………なんで、可愛い娘は放ったらかしなんだよ、アンタは……!」
兄(……いつまでも捨てたガキにちまちまつきまとってる暇があったら、寂しい思いしてる妹に何かしてやれなかったのかよ)
兄「…………あーあー、忌々しいぜーまったく」
兄「…………?……」カチ
『◯月△日 とうとう初めての子供が生まれた。僕の子だ。これを機に兄の成長記録をかねた日記を書こうと思う』
『△月△日 兄が立った、そして歩いた、これは感動モノだ。歳に似合わず大はしゃぎしてしまった自分が恥ずかしい』
兄「……………」
兄(……こんなものまで………つか日記って言うわりにはスッカスカじゃあないっすか……やる気ねーのな……)ハァ
兄「……………」ボー
『ーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
兄「…………」カチ カチ
『――――――――――』
兄「………ふぁ………」カチ
『どうやら妻は浮気をしているようだ。それも結構長いらしい。正直キーボードを打つ手が震えているrrrrr』
『僕以外見ていないんじゃあなかったんですか……どいうことだよ。……もっと嫉妬して欲しかった?そんなに僕はキミに寂しい思いをさせていたのか……?』
『”親権は俺にある、妻と別れて子供も渡せ”と言い出す男が現れた。なんだコイツは……ああ、浮気相手ね、分かってるよ。しかし残念だったな!兄は僕の子だ!手出しはさせない!』
『嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ………』
『僕は信じない、僕は信じない。兄は僕の子だ。誰にも渡さない』
『どうやっても兄との関係は切らなきゃいけないらしい……僕は、どうしたらいい?』
兄「………』
『あの楽しかった日々は、僕だけのものだ。誰にも、兄を育てるのは邪魔させない』
『兄を援助する方法を見つけた』
『――――――――――』
兄「……なんだよコレ……」
『心苦しいが、僕は兄と妻と別れることになった。しかし、僕も浮気をしたということで罰せられるべき立場になった。だが、大丈夫だ。別れる事になっても僕は決して離れたりしない。』
『――――――――――――――――』
『……最低だ』
『やっぱりアイツらに引き渡すんじゃあなかった…!兄があんな酷い目にあっているなんて……』
『僕は最低だ……』
兄(アイツには親父を嫉妬させるための男がいて、その男に親権があったらしい。……つまり……はは………)
兄(親父は俺に他人の手が掛かるのを嫌がり、俺との関係を切らないように工作を練った)
兄(親父も浮気をしたという事で養育費等は全て親父が負担する事に………どーゆー話し合いをしたらこんなんになるんだよボケ)
兄(間男は…アイツが親父の気を引くための道具であったらしく、親父との離婚後アイツと一緒に過ごす事はなく、俺とアイツは二人で暮らす事に………)
兄(親父と別れる原因となった俺を、アイツは腫れ物のように扱う毎日。自分でやったことなのに)
『僕に本当の子供が出来た』
兄「……………」
兄「……はは…本当になんだよコレ……狂ってる……狂ってるよコイツら」
兄「”本当の”……ねぇ……くく………頭おかしいだろ………」
兄「何が自慢の息子だ、赤の他人じゃあねーか……」
『前の妻が依りを戻そうと提案してきた。兄とまた過ごせるのかと心が踊ったが、コイツは信用ならない。悪いが断らせてもらった、僕にはもう新しい妻も、子もいる』
『ヤツから兄の写真が送られてきた。酷くボロボロだ……すまない…僕は最低だ』
『強くあれ、兄。頑張れ。後少しで、また僕と暮らせるよ』
兄「…………」
兄「なるほど、こりゃ親類から縁も切られるわ……」
兄「狂ってる。………この一言に限る」
兄「………やっぱクズの間にできた子供か……俺は。……こんな所、来るんじゃあなかった」
兄(つまり、望まれない存在である俺のせいで妹は犠牲になった、と)
兄(ああ、もはや妹でもねーか………………しにてー)
兄(…………となると……アイツ、分かってて腹違いの子だとか抜かしやがったってーワケですか………)
兄「……俺の存在は………一体なんだったんだ……」
兄「………」ギシ
兄(ダメだ、ワケの分からねー関係過ぎて頭回んねーや)
兄(妹母+親父=妹、アイツ+間男A=俺)
兄「………………」
兄「…………」
兄「…………奇妙な関係じゃあないっすか……どこでどう間違ったら、こんな関係になるんすかねー………」
兄(お前は知り過ぎた、ここで消えてもらおう。バーン………では終わらないか……終わってくれ……終わらないよなぁ……)
兄「………………」
ガチャ
妹「……兄…準備、できた……」
兄「………」
妹「……兄…?」トテトテトテ
兄「ん?あ……おう、どうした?」カチ カチ
妹「……準備…できた……」
兄「そうか、じゃあパパッと荷物積んじまうとしますかなーっと」ギシ
妹「……うんっ……」タッタッタ
兄「…………」
兄「………」 バタン
兄(俺は……どうするつもりだ……)スタスタ
兄「………」
兄(このままの関係を続けるべきなんすかねー……)
妹「……ん……しょ………」ズルズル
兄「あーあー、引きずってちゃダメじゃあねーか」ヒョイ
妹「……あ…」
兄「ほれいくぞー」
妹「………うん……」
兄(このまま、ズルズル引きずっていったら……きっともう二度と、本当の事なんて言えなくなるんだろうな)
兄「おら、車のドア開けんかーい」
妹「……はーい…」ガチャ
兄(……俺は………)ドサ
「ちょっといいですか?」
兄「……はい?」
妹「……?……」
「あなた……もしかして……ここの子?」
妹「……」サッ
兄「おいおい、隠れてんじゃあねーよ…ったく……」
「妹ちゃん?」
兄「……」ピク
妹「…………」コク
「やっぱり……私ね、あなたのパパの妹……つまり叔母ってことになるんだけど………そちらは?」
兄「………俺は……」
兄「コイツの保護者です。兄、と言います」
叔母「あら?……保護者って……あなた、私の兄とどういう関係?」
兄「……………息子…ですが………」
兄(嘘になりますけどねー)
叔母「ああ、あなたがあの忌々しい女の………妹ちゃん!今すぐコイツから離れなさい!!」
妹「…っ……」ビク
兄「…急に怒鳴らねーでもらえますか?妹、ビビってんじゃあないっすか」
妹「………」ギュウウ
叔母「そいつはね、妹ちゃんとは何にも関係ない赤の他人なんだよ?いいからこっちに来なさい!」ガシ
妹「…や……やだっ……」グイイ
妹「……あ、兄……たすけ……」
兄「…………っ…」
妹「………!?…」パッ
叔母「この子の両親が死んだって聞いてからずっと探してたんだよ」
兄(ああ……………)
妹「やだっ……離して…兄っ!」ジタバタ
兄「…………」
叔母「この子を育てるのは私たちの仕事です、さ…行きましょう妹ちゃん」
兄(そうか……これはこれで、ちょうどいいのかもしれない)
妹「……っ、やだ!兄といる!!!」バタバタ
叔母「コイツはアンタの兄でもなんでもないんだよ!」
兄(神様が、こんなチャンスを恵んでくれたのかもしれない。ズルズル行こうとしてた俺に)
妹「でもっ……同じ…パパの子供だって……」ジワ
叔母「そんなワケないでしょ!?コイツの母親はっ……」
兄「……泣かせちゃダメじゃあないですか……事情は、俺が説明しますので……」
兄(まずその汚らしい手を妹から放せ)ギロ
叔母「…っ…ふん、ちゃんと説明してくださいね?こっちが迷惑なんですから」
兄「………妹」
妹「……兄ぃ…うええ……グス」ギュ
兄「…俺の話を聞け、いいな」ナデナデ
兄「その前に……アンタ、妹と関係があるって言う書類、持ってんすか?」
叔母「ふん、あるに決まってるだろ。ちゃんと、ここにね!」カサ
兄「……確かに……妹、いいか?」
妹「…っぅ…っぐ……」
兄「俺と、お前は――――」
妹「――――」
叔母「ほら、ちゃんとこっちに来なさい」
妹「――――」
兄「伝えましたよ、しっかり、理解できるように」
叔母「後日、この子の荷物は取りに行きますので……ま、あなたと二度と会う事はないでしょう」
兄「……そうっすね」
妹「――――――」
叔母「ほら!行くよ!しっかり歩きな!」グイ
妹「――――――」ズルズル
兄(俺と、妹の関係は、あっけなく……音を立てる間もなく崩れていった。なーんてな……はは……遠い………遠いよ)
妹「……」チラ
兄(なんすか)
妹「――――」パクパク
妹「………」ズル ズル
兄「………くくっ…嘘つきって……何にも約束なんざしてねーよっはは」
兄「……はは…」
兄「…………」
兄(うん、これでよかったのさ。安らぎがどうとか、俺に決める権利なんてねーんだ)
兄(これで、俺も何の心置きもなく…くたばれるってもんだぜー)
兄(アイツの言うように、生まれてきちゃいけない存在だったんだよ。俺っていう生き物は)
兄「さようなら、妹」
兄「………」スタスタスタ
兄「…っ………」
兄「…ぅ……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
兄「うわぁあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」
兄「……ふう………」
兄「………」ヴーッヴーッ
兄「…………」
兄「何の用っすか?」
『そういえばー、遺産がたんまり手に入るっていうから、そのうち取りに行こうと思って』
兄「遺産?」
『あら、言わない方がよかったか、”親類みんなから縁を切られてる”んだもの。遺産は全部あの子にいって当然でしょ』
兄「…………ああ…そうか……」
『じゃ……逃げても、無駄だから覚悟しときな』
兄「勝手に持ってけ、取れるもんならな」
『…………』ブツ ツーツー
兄「…………」
兄「ま、知ったこっちゃあねーよ」
兄(俺には、もう関係ない)
兄(妹がどうなろうと……もう何も………)
『このゴミがぁ!』ゴ
『邪魔だねぇ……さっさと消えてくんないかなー』ビキ
兄「…………縁を切られてるヤツの子供を引き取るんだ。金目的以外何があるってんだ……」
兄(少なくとも………赤の他人よりはマシだろ)
兄「………………」ズキン ズキン ズキン ズキン
兄(そう、間違いを犯す前に………何事もなく終わったんだ。別になんだっていい)
兄(さて……久々に煙草でも………)ポンポン
兄「………クソ……買ってねーよタコ」ガンッ
『……にへへ』 『ありがと……兄』 『いただき、まーす…』 『…手……』 『……一緒…』 『……』グス 『ばかっ』 『……すき…なの…』
『やだっ!兄といる!!』 『うそつき』
兄「…………」
兄「……………」
ゴォオオオオオオオオオ
兄「ありがとう、いい夢見させてもらったぜ………」
兄「今度会えたら、今度は本当の兄妹だったらいいな」
ゴォオオオオオオオ
兄「………」
兄「…………………」
兄(このまま、線路に飛び込んだらきっと楽になれる……)
兄(ホント、いい夢だった)
兄「…………」
兄「…………」フワ
ガシッ
兄「~~~っ!!なことできるかコンチクショォォォオオオオ!!!!!!」
兄「俺はっ!我が侭で自己中で面倒くさがりで口が悪い!!!碌にコミュニケーションもとれねーようなクズだけどよ!!!」
ネェナニアレ アブナイヒトダヨ ツウホウシトクカ
兄(寸前まできたら怖いもんなんてあるかチクショウが!!)ダッ
叔母「……ふふ…これで私たちもだいぶ楽ができる……」
妹「――――――――」ズルズル
叔母「いつまでもチンタラしてんじゃないよっ!!」バシ
妹「……ひっ……」
叔母「アンタはね!ゴミ同然なんだよ!割ったら価値のない貯金箱なんだよ!」バシ
妹「…っひぐ!……」
叔母「ほら分かったらさっさと歩くんだよ!」
妹「……うああああああああああああっ」ポロポロ
叔母「泣くんじゃない!!」ヒュッ
「泣かせちゃあダメじゃあないっすか」
叔母「っ…!」
兄「…コヒュっ…ぜー……ぜー…おえっ………」
叔母「あ、あんた……」
兄「俺でも…妹に手を上げるなんて……してなかったっすからねー……」ゼーゼー
兄「暴力ババアが笑ってる世界ほどムカつくもんはねーと思うんすよね……」ゴフ
叔母「…警察呼ぶよ!!いいのかい!?」
兄「あん?あの世へのお迎えの方がよっぽどこえーよドあほが、足ガクガクし過ぎで笑ったわタコ」
妹「…………兄ぃ………」ポロポロ
兄「おう、嘘つき兄ちゃん登場だぜー」
兄「すー………はー………」
叔母「……い、行くよ!」グイ
妹「……やだっ…」バッ
兄「俺はっ!我が侭で自己中で面倒くさがりで口が悪い!!!碌にコミュニケーションもとれねーようなクズだけどよ!!!」
兄「妹の事を誰よりも分かってるつもりだし!!誰よりも俺が一番幸せにしてやれる!!!」
兄「遺産がどうした!!血縁がどうした!!!親がなんだってんだ!!!!面白くねー!!!!!」
兄「……あー、もう、んで………それで……」
兄「だーっ!!!!気の利いたセリフなんて言えるか!!!」
兄「妹ぉおおおお!!!!!!好きだぁああああああああああっ!!!!!!!!!」
兄「俺と一緒にこい!一緒に暮らせ!俺以外のヤツん所に行くな!!以上!!!」
叔母「な、何言ってんだ……妹ちゃん!行くよ!」
妹「や!」ベシ
叔母「ブッ」
妹「……兄っ!!」タタタタッ
ギュッ
兄「……うっし、帰るぞ」
妹「……ばか……」
兄「おー、悪い…兄ちゃんバカだから」
妹「……ばか………ほんと、に………」ギュウウ
兄「へーへー」ギュ
妹「…うあああああああああああああん……」
兄「あんまし耳元で泣かんといてー、兄ちゃんの耳壊れそうー」ポンポン
_____________________
兄「………」
妹「………」ムスー
兄「おーい、足痛いんすけど……」
妹「…兄……嘘ついてた……」
兄「…まぁ、そりゃ…俺、嘘つきだし……」
妹「……私……兄に頼りに…されてないと思って……寂し、かった……」
兄「………」
妹「…もう、嘘……つかないで…」
兄「そりゃ結構難しいっすよー…人間誰しも嘘つかなきゃ生きられねーっつうかね……」
妹「……じゃ、じゃあ……私が…すきっていうのも…嘘?」
兄「あ、それはホント」
妹「………」カァ
兄「兄ちゃんに説教しようとしても、赤くなってちゃ話になんねーぞ」
妹「……う、るさいっ……」
兄(おお、ここまで反抗的な妹見るの、なんか新鮮でいいっすなー)ニヨニヨ
兄(それに上目遣いもたまらなかったね、小首かしげて質問すんのやめろあざといぞ)
妹「…………」ムー
兄「へへ……」
妹「………正座………終わり………」
兄「お、ありがとうござやーす」ゴソ
妹「……………」ポス
兄「……おいコラ、足しびれてるから乗るのやめろ」
妹「……嘘…」
兄「……っく……はいはい勝手にどうぞー」
妹「………な、なでて……」
兄(プルプル震えながら首筋まで赤くしてお願いする妹可愛い……)
兄「………」ナデナデ
妹「………」スー ハー
兄(よかった……と思うぜー、俺の選択はよー……世間的に間違ってるかもしんねーけど)
妹「………」クル
兄「…う……またこれかよ…………」
妹「………」
兄(な、なんなんすか、マジで)
妹「……」
兄「なんすか」
妹「……私を…幸せに……してください、ね……兄…」ニコ
兄「…うっせ、言われなくてもそのつもりだっつーの」プイ
― ―
皆さん、ありがとうございました。
ちまちまトロい更新で申し訳なかったです。
後は妹と兄が平和に平凡に過ごす話をいつものようなペースで書いていくつもりですので、付き合ってくださるとありがたいです。
もしもこういう話があるといいな、というのがあればできる範囲に限りますが……ちまちま頑張ります。
妹「………」
兄「…さみーわ……いい加減エアコンだけじゃあやってけねー」
妹「………そう、かな…」
兄「俺ぐれーの歳になると寒いのは無理なんすよ」
妹「……まだ…24……」
兄「………さみーもんはさみーんだよ」
妹「……ストーブ?……」
兄「こたつだ」
妹「………こたつ…」
兄「そっそ、そこの机の上の物どけといてくれ。布団とコンセント持ってくる」スタスタスタ
妹「…はーい……」セッセ セッセ
兄「…と、布団はーっと……おいしょー」ズルズル
兄「よしよし、こりゃたまらんぜー……待ってろ理想郷!」
妹「……ふぅ……」
妹(兄……遅いな……)チラ
布団「」
妹「」
妹(なに……あれ……)
布団「」モゾモゾ
妹「……」ビク
妹(ち……近づいて、くる……)
布団「」モゾモゾ
妹「……き、気持ち悪い…」
布団「」ガバァッ
妹「……きゃ……」ボフン
兄「……だーれが気持ち悪いだ」モフモフ
妹「…………」モフモフ
妹「……あ、兄……」モフモフ
兄「どうよ?結構大きいだろこの布団」
妹「……うん……モフモフ…してる……」
兄「だろー?これがこたつと合わさって最高の世界ができるってわけよー」
妹「……もふもふだ……」
兄「……ふっふっふ……どうだ、一度この魔物に食われると二度とは出られないのだ……」
妹「………気持ち、いい……ね」
兄「……お、おう…」
妹「………もう、寝ちゃおう…か…?」
兄「あ?でもこたt」
妹「……寝るったら……ねる……」ギュ
兄「んん、まぁ別にいいんすけど……」ギュ
妹が兄に泣きついた後でヒス起こしてがっつくが、正直金銭等がどうでもよく、妹を優先した兄は「金なんざくれてやる、ただすぐ手をあげるクッソババアにわざわざ妹を預ける理由はない」ということでもともとお金にしか興味のない叔母は厄介物を背負い込むのが面倒なので撤退……という形です。
省かない方がよかったですね。
いじめはどうなった?
>>524
なるほどね
叔母にしても母親にしても、社会的抹殺されても仕方のないクズには一切の罰を与えず、
むしろ勝ち逃げ同然の良い思いをさせてモヤモヤを残すのが作者の美学なんだな
リアルでいいねー
エチシーンアリ派とナシ派でわかれてるようだけどオイラはこの2人のほのぼの&初々しい初夜とか書いて欲しいナ
>>526-529
半年ですか……スレ持ちますかね…
>>532
どうしようもない人間とは関わらないのがベストですから。何かした所で結局傷は残るんですし……。
>>533
なるほど……あんまり期待に添えないと思いますが候補に入れておきますw
>>536
正直葛藤してる兄はもっと上手く表現したかったです。言葉にしにくいモヤモヤが多かったので、それが書けるようになったらもっといいんですが……
兄「買い物?別にいいっすけど……なんか欲しいもんでもあったか?」
妹「……ううん……ただ……友ちゃんが……」
兄「ほうほう」
妹「……お買い物……したい……って……」
兄「…………」
兄「それ俺いるのか?」
妹「……みたい……」
兄「みたい、って……友が言ってきたってわけっすかー」
妹「……うん……」
兄「ま、構わねーよ」
兄(ただ傍から見たら完璧に俺子供連れ回す危ない人じゃあないっすかーやーだー)
妹「…………」
兄「…………」ポツン
兄(いやね、こうなるとは思ってたわけですよ。友達同士遊びに来てんのに年代の違う人間が来ちまうとぜってーボッチにされるって)
友『二時間後ぐらいにまた戻ってくるので!待ってて下さいねー』フリフリ
妹『………え……?…』
友『はいしゅっぱーつっ』
妹『…??………』
兄「………」
兄(二時間て、アホですやん)
兄「ったくよー………」
兄(一人でブラブラすんのは苦手な方じゃあねーしな、今までも結構そういう事してたし)テクテクテク
兄「……雑貨屋か…」
兄(…コレは別に妹の為に何か買ってやろうとかそういうんじゃあない。ただ単に知的好奇心を満たすためだけだ)テクテク
兄「…………」
兄(リボン妹、カチューシャ妹、シュシュ妹………正直リボンポニテ妹も見たい所だが、シュシュサイドテ妹も……普通にカチューシャつけてもらうのも可愛くてアリなんじゃあ………ゲフンゲフン)
兄(俺はアホか)ゲンナリ
兄「……………」ス
兄「………」ハッピャクエンデースネー アーザース
兄「………」テクテクテク
兄(あ、俺アホだったわ)
兄「………どうしたもんか……」
友姉「…お、おおお困りのようですな、うひ」ヒョコ
兄「………」チラ
兄「…………」スタスタスタ
友姉「…その冷たさ、キュインと打ち貫かれるようです……だ、だけども、ここで終わるウチじゃあない、ふひひ……お名前聞いてもよろしくて?…そういう時は自分から名乗るもんだぜ(キリ)…失礼した…我は現世翔る稲妻、悪夢の雷とも呼ばれていたかな…なにッ!?ならば貴様が…そうだ、我が友姉だ…うひ、厨二臭いのって背筋がゾクゾクするよね、恥ずかしさと後ろめたさと格好良さで…くふふふふふふ」ブツブツ
兄「……………」
兄(なんか変なヤツに絡まれてしまった)
兄(こういう時には完全スルーに限る。少しでも反応を見せるともっと酷くなるだろうしねー)
友姉「ふ、ふひ……だ、大丈夫大丈夫、無視には慣れてる……」コキコキ
友姉「…ねぇー、お兄さん、結構カッコいいし、私といい事しませんかぁ?」
兄「………」スタスタスタ
友姉「もぅ……冷たいんだからぁ、でもそんな事しても、動揺してるってのはお見通しだゾ☆えいっ」ギュ
兄「っ!?」バッ
友姉「あーん、もう、また捕まえなきゃならなくなっちゃったぁ」テヘペロー
兄(キチガイだ……コイツ…)
友姉「うふふ、うふ…ひひ……わ、私から初めて男の方に接するというのは、やっぱり恐ろしかったです、はい。ver.ビッチじゃなかったら、し、死んでましたゴフぅ」
友姉「……さて、キミは突然の事に恐怖を抱いているだろう。キミと少し話をしようと思って接触したのだ」キリ
兄「…………」スタスタ
友姉「shit!!完全スルーだぜ!こりゃ参った!」
友姉「キミの妹君は私の配下が身柄を拘束している。大人しくするのだな」
兄「……んだと?」ピク
友姉「あ、反応をし、示した模様……うひ、なるほどなるほど……コレはなかなかに妄想がスパーキンする……えへ、えへへへ」
兄「あんた、妹がどうしたって?」ギロ
友姉「ひっ…あ、あああんまり、に、睨まないで欲しいな…ウチちびりそう」ガタガタ
兄「……はぁ……なんなんすか、本当に…」
兄「…………なるほどねー」
友姉「……っす…サーセンした」
兄「まぁ別にいいっすよ。友が連れて来ただけだって分かったから」
兄「でもなんでアイツらについていかなかったんすか?それが分からん」
友姉「あ、いや…うひ…お兄さん、私服センス、あ、あんまりやる気ないなと思いまして」
友姉「こここんなでも、一応センスはあるんで、ふっふ」
兄「悪かったすね、センスなくて」
友姉「…い、一応、ウチの妹の依頼なんで…バチッと、コーディネートさせていただきやすぜ、うへへへ」
兄「……はぁ……」チラ
兄「まぁ時間ありますし、構わねーっすよ」
兄(多少着飾れた方が、妹もいいでしょうし。いくらなんでも隣にダッセェオッサンは、嫌がるでしょうし…将来的に)
友姉「で、では、決まりという事で……しゃあオラ!ワレこっち来んかいな!!」
兄「………」
兄(病気かなんかか、この人は)
兄「…………」
友姉「ふふ…ひっひひ…うひひひ」
兄「まぁ、最初よりはマシなんじゃあねーっすか」
友姉「ぶふっ」
兄「お、おいどうした?急にうずくまりやがって」
友姉「溢れ出るダンディズムにやられました……は、鼻血はでてないですが、立ち眩みが……」
兄「ダンディズムって……そんな老けて見えんのか、俺は」
友姉「ごふ…き、気品と言いますか、洗練された美しさと言うか……」
兄「褒めていただきありがとうございまーす。そろそろ時間だし、元の場所にいてやんねーと……」
友姉「うひひ……期待しているといいであろう」
兄「ああ、そっすね。妹が褒めてくれる事を期待するよ」
友姉「そっちじゃないんですけどね……ぼそりと意味深に呟いてみたり…ふひ」ボソ
友姉「そそ、それでは……ウチはここらでドロン致します」
兄「一緒に来なくていいのか?」
友姉「ちょ、直接、視認すると甘ったるくて死んでしまいそうなので……うひひひひ」
兄(つかみ所がねー人だな、こいつ……)
友姉「で、では……」コソコソ
兄「………」
兄「戻るか……」
兄「………アイツらはまだみてーだな……」
兄(こういう時の時間つぶしに煙草かなんかありゃあ良かったんだけどなー……まったく)ボー
兄「…………」
兄(何か視線を感じる……)
兄「………」チラ
兄「…………」
兄(おーけー、気のせいだ。つか、待ってるだけなのになんでこんなにソワソワしちまうんすかねー)
兄(やっぱ、妹にカッコいい所を見て欲しいだとか、何か言われるのかを期待しちまってるのか……)
ツンツン
兄「………ん」
友「お待たせしました、おにーさん」
兄「お、来たか……と、妹は?」
友「あははー、恥ずかしがって出てこないんですよー」
兄「あん?恥ずかしがって?」
友「いやー、おにーさんも随分と良くなりましたねー。流石ボクのおねーちゃんだ」ウンウン
兄「………」
友「おっと、ではお披露目と行きましょう!」タタタタ
兄「………」
友「いーもうーとちゃん。ほら、見せなきゃ」
妹「……で、でも……これ、普通じゃ…ないよ………」
友「だからいいんじゃない。妹ちゃんだからそれだけ似合ってるんだから、自信を持つのだ!……ま、これも流石おねーちゃんと言ったところかな」
妹「……うう……」
友「ほら、おにーさんもすぐそこにいるんだし、勇気出して。絶対大丈夫だって」
妹「………」ヒョコ パッ
兄「……」
妹「……無理…無理だよ……」
兄(一瞬顔だけ覗かせたものの、目が合うやいなやすぐ引っ込めやがった……どんな格好させられてんすかね……)
友「………」クイクイ
兄「あ?」
友「こうなったらおにーさんから行くしかありません、ちゃんと見て上げて下さいねっ」ボソボソ
兄「へいへーい……」テクテク
妹「……!…あ、兄……ちょっと……ダメ……」
兄「諦めろ妹、俺も随分な格好させられてんだ。しかもそのうち出なきゃならねーんだし……」テクテク
妹「…う……兄は…かっこ良かったけど……私……これ、可愛いっていうより……おかしいし……」コソコソ
兄「大丈夫だっつの、妹ならどんな服でも大体似合いそうだし」
妹「……兄は……普通の、服だから……そういうこと、言えるだけ……」
友「…………」
友(目の前でちいさなラブラブ空間が出来上がっているんだけど、これどうしたらいいんだろ)
友(おねーちゃんの作戦ではここでボクも退散する事になってるし、後は二人でお楽しみくださーい)ススス
兄「…………………」
妹「……………」モジモジ
兄「…………巫女……?」
妹「……だ……だから……嫌だって……」
兄「…か………」
兄(最高に可愛いんじゃあないっすかね…これ)
兄(純真無垢かつ可憐で儚さがある妹の清らかさが映えているとでも言ったらいいのか?……細くてさらさらな黒髪で、整った顔立ちしてるから本気で幻想的な雰囲気が………)
妹「……か?………」
兄「………可愛い、って言おうとしたんだよ……くそ」
兄(いつの間にか友も消えてやがる……)
妹「……ほ、ほんと…?……かわいい?」
兄「俺が嘘つくとお……んん、まぁ嘘つく方っすけど……本気で、可愛いと思う」
妹「………」
妹「……兄も…いつもよりも……カッコいい、です……」
兄「……おう…」
妹「……にへへ……なんか……照れる…」
兄「俺だって恥ずかしさで顔熱くなってんだよバカたれ」
兄「………エスコートしましょうかー、お嬢さん」
妹「………」コク
兄「じゃあほら、行くぞ」パ
妹「…………うん……」キュ
兄(アンバランスすぎるがまぁ、たまには……本当にたまにでいいっす、別に可愛いからこの格好家でもして欲しいなんて思ってないっす、うす)
乙
ところでこれって兄とかモデルあったりする?あったら教えて
兄「…………」
妹「………………」
兄「…綺麗だよな、それ」
妹「……え……あ……うん……きれい……」
兄「…………」
兄(っだぁああああ!クソしまった……いつもだったらあんまし必要ねー事は喋らなくてもいいから黙ってんのに、妙に意識しちまうから……)
妹「…………」
兄(顔赤くしてうつむいてんじゃあねーよ!ちょっとうなじが綺麗で甘い誘惑が………じゃあなく!ああ、もう……ペースが乱れてるぞ、俺!)
妹(……なんか、いつも……だらしない格好してたり、してるのに……いや……たしかに、スーツとかはしっかりしててカッコいいけど………今の兄、いつもよりも……じゃなくて!……ううう……)
兄「……」
妹「……」
兄(気まずい…)
妹(…気まずい)
兄「ちょっと休憩だ、結構歩いた」
妹「………」コク
兄(自動販売機で何か適当に買って、ひとまず落ち着こう……じゃないと、なんか……)チラ
妹「…………」
兄(俺の精神が色々と持ちこたえそうにありません)
妹(……うわ…なんか……手の汗、すごい……コレ……兄から……変に思われてない、かな……)
兄「……何がいい?」
妹「……?……」
妹(な、なにが……?急に、どうしたの……?え、えと……なにがいいって………んと……)
妹「……だ、だっこ……して、なでてくれたり……が………」チラ
兄「だ……!?」
妹「…っ!?……じゅ、ジュースだった…ね!………ごめんなさい………私、イチゴオレ…!」ピ ガタン
兄「」
兄(あの、妹さん?……一体なにを言い出したんすか、今?)ピ ガタン
妹(…しまった……なにがいいって……ジュース………うつむいて、なければ……間違えなかったのに……どうしよ……)カァア
兄(手元狂ってワケの分からん栄養ジュース買っちまった………)
兄「ん、じゃあそこ座って飲む、か」
妹「………」コク
兄「………」カシュ
妹「……………」カチ カチ
兄「………ん」ゴクゴク
妹「………」カチ カチ
兄「………開けてやるからかしなー」ヒョイ
妹「………あ、うん……」
兄「こっちの手、繋いでなかったから冷てーのな」ギュ
妹「……うっ……うん……そだね………」
兄「あ、わり…」パ カシュ
妹「……あ、りがと……兄……」
>>543
うーん…これといってモデルはいないんですよね。ただ、飄々として本来の自分に触れられないように気をつけている、生真面目で基本平和主義…がコンセプトです。頭の中で一人の人物として作ってあるので、見た目なんかは自分で想像補完しかできないですね……
兄「………」ゴクゴク クシャ
兄(なんだってあの姉妹はこんな、ワケのわからん格好をさせるんだ……おかげでマトモにジュースの味も分からんかった……)
妹「……」チビ
妹(……なんか、さっきから……ドキドキしすぎて……あたま、クラクラしてきた……)
兄(大体よー、コイツがこんなに可愛くなけりゃあ、俺だってこんなバカみてーに意識しなくてすむのによー……あ、これは兄バカが入ってるから?知るかタコ)チラ
妹(兄……もう、飲み終わっちゃったし……急がなきゃ……ダメだよ、ね)チラ
兄「……っ…」
妹「…あ……」
兄(な、なんすか…………一体……目が、離せないといいますか)ドッドッ
妹(……う……ど、どこか……視線、逸らしたい……)ドクドク
兄(あ、ダメだこれ……なんか切れた………)ドッドッ
妹(え、えと……これ、って……そういうこと……だよね……)ドクドク
兄(今ならまだ!今ならまだ耐えられる!!切れたと思ったけど!!なんとかなる!!!)ドッドッ
妹(…本……たしか…………こういうとき……目を、つむって……)ドクドク
兄「………………」
妹「………………」
兄「…………」
妹「……んん………」
兄「……っ…………」ス
妹「……ぷは………」
兄(なんつーか、その、あー…………柔らかくて…甘かった……イチゴオレの味……)
妹(………しちゃっ、た……とうとう……兄と…)ポー
妹「……ファース、ト………」
兄「…………」
妹「………すき……」
兄「……っせー……ファーストどころか全部俺んだバーカ」
妹「………そう、だよね…にへへ……」
兄「……俺も、好きだし……いいんだろ?俺で」
妹「…うん………兄、だから………」
兄「……次」ギュ
妹「………うん……もっと……してみたい……」ギュウ
兄「……」ス
妹「……ん…ちゅ……」チュ
兄「……ん……」
妹「…ふ……あ……れろ……」
兄「………く…」
兄「…………っはぁ……」ツ
妹「……っぷぁ……はっ…………はっ………」トロン
兄(口元から、微妙に伝ってる唾液と……上気したみたいなトロ顔の妹が色気あり過ぎてヤバい)
妹(……いま……ちょっと…ふわって、した………へ、へんな……かんじ……口の中、兄のが……まだ…動いてるみたいに…ぴりぴりしてる………)
やはりエロを書ける自信がない……。
とりあえず、巫女妹公園デート終了!!
トリつけたついでにまた色々考えてきまーす……。
友「その後はどうかなー?妹ちゃん」
妹「………なにが?…」
友「やだなー、買い物した後の話だよー」
妹「………普通……」
友「ふ、普通って……随分といい雰囲気だったよね?公園のベンチに座ってさ」
妹「……なんで…公園、行ったって……知ってるの、かな……?」ジ
友「…え?あ、あはー……」
妹「……………」ジト
友「…ご、ごめんね。どうしてもおねーちゃんが見たいって…」
妹「……言い訳は、ダメ……」
友「ごめんなさいっ」シュバ
妹「…………」ムー
ガチャ
友姉「う、うひひひひ…ども、いらっしゃい……いいい妹ちゃん」
妹「…………」ジ
友姉「あ、あんまり歓迎されてないようです、妹ちゃんの、視線…穴があきそう、うひひ」カチャカチャ
友「おねーちゃん、おねーちゃんも謝ってよー……」
友姉「ううん?」チラ
友姉「…お、おおお…これは…しくじりおったな友!」
友「おねーちゃんがいろいろと捗るから見ようって言ったんじゃん!もー」
友姉「じ、実際激甘でウチ、ビショビショでした、ふひ…イケないカミングアウト…」
妹「…………」プッチン
友姉「本当にサーセンした姉御ッ!!」
友「ごめんなさい妹ちゃん!」
妹「………反省……」
友姉「ういっす……」
友「頭あがりません」
妹「…………」フゥ
友姉「まま、まぁこの話はここまでにしていただき……妹ちゃんに、み、見せたいものがあるのだよ」
妹「………?…」
友姉「オペレーションコード:55e-001……とでもしておこうか、ふひ」
友「ああ、またおかしな事言い出した……」
友姉「…あの、お堅いお兄さんも、きっと、陥落させられるよ……うひひひ、ぐふ……」ビクンビクン
妹「………」
妹「……っ……」カオマッカ
友姉「ふひひ、いいね…は、反応が、初で……うひ…はうつー……いい子にはみせちゃいけなーいんだ」コキコキ スチャ
友(赤眼鏡だ……)
友姉「……さぁて、今日は怪しいお姉様が、手取り足取り妹ちゃんに夜の家庭教師、し・て・あ・げ・る」
友姉「おっと、しかし実技は行わないのでごあーんしんを……なお、試験会場は……うひひひひひ、ぶふッ、アカン、鼻水…」
妹「……」
友「い、妹ちゃん大丈夫?」
妹「………」
友「うっわー……顔真っ赤にして固まっちゃってるよ……おねーちゃん!!」
友姉「う、ひひ……流石にちょっと刺激が強すぎたかな」
友「もー……妹ちゃん?しっかりしろー!」ユサユサ
妹「……あ……」
友「ふぅ、よかったー。おねーちゃんこんな事してどうするつもり?」
友姉「ウチの理想の実現……禁断の恋!うひひ、こんなの見ちゃったら意識するしかないよね」
友「最低だコイツ…」
妹「…………」
妹「……兄は……」
友姉「んんん?」
妹「……私が…頑張ったら……喜んでくれる、かな……」
友姉「うひひ、喜ばない方がおかしいよ。だ、だって男なんだぜ?けだものけだもの、じゅる」
友「ボクは、やめておいた方がいいと思うなー……」
友姉「ええー」
妹「………」
友姉「こ、この前の口づけで、だいぶ流れ変わってるんだし…い、今なら確実」
友姉「……で、でも…妹ちゃんかぁ……」ジー
妹「……?…」
友姉(よくよく考えたら入るのか?という不安が)
友姉(流石に酷い事はしないよねー…け、けど、別にお兄さんは妹ちゃんとの関係を望んでないわけじゃあなさそうだし!)
友姉(ふふふふう……妹ちゃんがおっきなモノを咥え込む…はっはふ…想像しただけでも!!……少々の罪悪感といっぱいの扇情!!こここれが背徳的というやつですか)ハァッハァッハァッ
妹「……ただいま…」ガチャ
シーン
妹「………」
妹「………」トテトテ
ゴソゴソ シュ シュ
妹「……………」カタ カタ
妹(…帰ってくる前に……お夕飯…作らなきゃ…)ジャー ゴシゴシ
妹「………」トン サク サク
妹「……」カチ
妹「…………」
妹「……早く…帰ってこない、かなー……」トントントン
妹(…兄……きっと……びっくりする……)
妹「……ちょっと……さむい……」ブル
妹(……それに、やっぱり……ドキドキする……)トントントン
兄「っだー……さみ……妹ー、帰ったぞー」ガチャ
シーン
兄「……ん……また寝ちまってんのか?」チラ
兄(まーだ時間は寝るような時間じゃあねーが友と遊ぶって言ってたしな……疲れたんだろ)テクテクテク
ガチャ
兄「………」
妹「………」
兄「……なーにしてんだテメーは」
妹「……お…お帰りなさい……」モジ
兄(”ませ、ご主人様”が抜けてんぞー)
兄「………」ポリポリ
兄「……また友の姉か」
妹「…え…えっと……ご飯、お風呂……それとも……私…?」
兄「いつも通りでいいわー、腹減ったし」
妹「……」
兄「なんすか」
妹「……おかしい…な……」
兄「おかしいのは妹……じゃあねーか、ったくよー」
妹「………」
兄「可愛いよ、似合ってる。だけど俺は巫女の方が好き」
妹「……!」パァ
兄(何を言ってるんだ俺は……)
妹「……あ……お、お帰りなさいの……ちゅー…」カァア
兄「……頭痛くなってきた」
妹「…………ご飯……食べよっか…」シュン
兄「おー、まぁでも……」ス
妹「……あ……」
兄「ほい、ガイコクジン風の頭にキスだ。満足だろ?満足しろ。じゃあねーと色々としんどい」
兄(ヒュー!!いつか会ったら説教してやるぜー、あんド腐れ野郎)
妹「……ご飯、今日……頑張った……」
兄「ん、いい匂いだ。どんどん腹へってくるぜー」
妹「…それじゃ……食べよ…」
兄「おうよー」
TV「」パーパーパーパッパパー
兄「………」ハハハハハ!
妹「………」ウマソー
兄「またこれか……」
妹「……?…」
兄「いんやー、なんでもあーりませんよー」ナデナデ
兄「……風呂入ってくるっすー」
妹「…………」
兄「いや、あのー妹?どいてくんねーかな」
妹「……一緒に……入る……」
兄「…どーせ嫌だつっても折れるまでどかねーんっすよねー、頑固だから」
妹「……頑固なのは…兄も、同じ……」スク
兄「んっじゃいくわよぉー」
妹「………」トテトテトテ
兄「……そこ笑うとこやねん…」スタスタ
ガチャ
兄(なんか妹と風呂入るのもあんまり抵抗なくなってきたなー……コレはマズい傾向なのでしょうか)
妹「………」ゴソゴソ
兄(へー、メイド服ってこういう構造なんすかー……じゃあねーよ!!何妹が着替える場面をマジマジと見てんすか俺は!)
兄(んーまぁ、お互い想い合っている、という点では構わねーんでしょうけどー、流石にな……)
妹「…………」ゴソ シュ パサ
兄「」
兄「…な………な……」パクパク
兄(ど、動揺している……この俺が……!目の前の光景に言葉が出てこねー)
妹「…………ふー……」
兄(中に結構透けるタイプの服着てるんすねー、ってだけだったらまだ大丈夫だ)
妹「…………これは……結構……恥ずかしい……」
兄(なんでパンツ履いてねーんすかお前は!!!!そしてなんだそのガーターベルト!!)
兄「一体何がしてーんすかお前は……」
妹「………ゆ…ゆうわく……」モジ
兄「十年早いわマセガキが」
妹「………」シュ パサ
妹「……今、じゃ……まだ早い……?」ギュ
兄「っば!……っ……バカな事してねーで、さみーからさっさと入れタコ」
妹「………む…」カチ カチャン
兄「………………っぶねー…」
兄(俺の鋼の……と自負してる理性が……フリーズさせられてからのインパクト……これはいかんでしょう)
兄(ズボン脱いでなくてよかったぜー……生身に密着されたら間違いなくやられてた)
兄「………」ヌギヌギ ガチャ
兄「……あんましよー、ああいう事しねー方がいいぞ」
妹「…………?……」
兄「なんつーか、俺も男だし……男は狼だってよく言うじゃあねーっすか。危ねーぞ」
妹「……兄が…オオカミ、なら……私は……ヤギ……」
兄「そうそう、そういう事だ」
妹「………わ、私は………兄になら……食べられちゃっても……いい、かも……」
兄「残念だったな、俺は”嵐の夜に”に出てくるような狼だから食わねー。はい終了」
兄「………」
妹「………」
兄「…………」
妹「…………」
チャポーン
妹(……おかしい……)
妹(……友姉さんから……聞いた話では……これでよかった、のに……)
妹「……………」
妹「………兄…」
兄「あー?」
妹「………私……ダメなの……?」
兄「知らねー。ただ俺はそういう関係じゃあないと思う」
妹「……………」
兄「そもそも、妹はそれをどういう風に捉えてる?その場のノリか?してみたいと思ったか?」
妹「……でも……好きな人同士なら……することだって……」
兄(いっぺん本気で拳骨くれてやらなきゃあならねーな……あの脳内お花畑野郎)
兄「実際、した所で何か変わるわけじゃあねー。何も変わらねーんだぜ、しようがしまいが」
妹「………」
妹「…やっぱり…私は……わかんない……そういう、の……」
妹「……別に……しなくてもいい、なら……いいや……」チャプ
兄「そういうもんだよ、普通。わけもわからずやった所で理解できてなきゃあそれは爛れた関係だわー」
兄「…………」
兄(ガキ相手になんか本気で語っちまったじゃあねーか……しかもシモ……このまま溺れたい……)ブクブクブク
妹「…………」ブクブクブク
兄「……真似すんなよ」
妹「……ふふ……兄の真似は……好き……」
兄「あーそー」
兄(こんなガキにそういう感情が理解できるわけねーじゃあないっすか。好きか嫌いかも上手く表現できねーような子供だぞ?……ないない)
兄(ただ……成長したら変な虫が寄りまくりそうで怖い。渡すつもりは毛頭ないっすけどー)
兄(とりあえず、今ついてる害虫一匹は退治する)ゴゴゴゴゴゴゴゴ
_________________
すみません、やっぱ無理でした。
だいぶ考えてみたんですが、どうしてもビジョンがわかなかったです……。
期待してた皆さんには生殺し状態で申し訳ないですが、この二人は今まで通りのんびり生活させてもらいます。
とりあえず、また別のものを書こうと思った時に挑戦したいと思います。多分先輩後輩ですかねー。
今回は本当にごめんなさい、自分には無理です。
兄「これやるよ。……なんかちげーな。ほい。……いや、コレ何?って聞かれたら、恥ずかしいじゃあねーか」
兄(どうするべきか、妹へのプレゼント……)
兄(この前買ったはいいけど、巫女の衝撃で渡すタイミングなくなっちまったし、なんとか渡しておきたい………が)
兄(いざ渡そうとするとどうやったらいいもんか分からなくなるもんなんすね……)
兄(俺から誰かに物を渡すってした事ねーし、しかしどうもプレゼントってのはキザ過ぎて性に合わん)
兄(似合うと、思ったから……ヒュー!寒すぎて背中がウズウズすんぜこんちくしょー)
兄(やはりベストに、髪留めるもん持ってなさそうだし、使えば?が一番か)
妹「………兄……?…」トテトテトテ
兄「はっ!」スバッ
妹「……何……してるの……?」
兄「ちょっとイカした戦隊っぽく返事をする練習だ」
兄(あ、危ねー……こんな女の子女の子したラッピングのもん見られたらたまったもんじゃあねー)
妹「……変……」
兄「なーにを今さらー。で?なんか用でもあったか?」
妹「……これ……」ス
兄「あーはいはい、よく頑張りましたーみたいなチェックがいるヤツね」カキカキ
妹「……うん……それで、今日の勉強……おしまい……」
兄「ん、さっすがだぜー」
妹「………」ゴソ
兄「……なぁ妹、うちのこたつは四角いんだぜ」
妹「……?…」
兄「当たり前だろ、みたいな顔すんじゃあねーよ……俺が言いてーのは何故隣にきたのかって事っす」
妹「…………近くが……いいから…」
兄「向かい合うのでも十分近いと思うっす、うす」
妹「…じゃあ……こっちの方が……あったかいから……」ス
兄「そうっすかー、上半身もくっつきゃあったかいもんねー、へー」
妹「……いや…?…」
兄(あざとい!意識してやってないのがムカつく!可愛い!!)
兄「茶、飲むか?」
妹(…はぐらかされた……)コク
兄(嫌じゃあないっすよー、心地良いってのはお互い分かりますもんねー)コポコポコポ
兄(スペースの有効活用はするつもりはないようですねー、私たち)
妹「…ありがと……」チビ
兄「んー」
兄(さて…さっきなんとか隠したのはいいが……コイツをどのタイミングで渡すのか……)
兄「………」
妹「………」
兄(……平穏…)
妹「………」チビ
兄(ふえー……ますます渡すタイミングが見えてこなくなってきたですぅ。……はい)
兄(どうしたら………いや、どうしたらもクソもねーんだろうけど、いざ渡すとなるとやっぱり難しいんすよ)
兄「…い、妹ってよー、髪綺麗だよな」
兄(あれ?コレはコレで結構キザったらしいぞ?)
妹「……そう、かな……」
兄「おー、なんつーか……うん」
兄(細くてしっとりとした黒い髪で、流れるような柔らかさが目を惹くといいますか……いやん、なんか全部CMっぽい)
兄(ここまできたら覚悟を決めてスパンと渡すべきだよなー俺!)
兄「あ、あのよー」
妹「…?……」
兄「ん、んんん……………」
妹「……………」
兄(おい大人、ガキへのプレゼントに何を手間取っておるのだ)
兄「……こ、これよ………多分、俺のセンスだから気に入らねーと思うけど…」オズオズ
妹「………?……」
兄「開けて、どうぞ。………つか、妹がもらって嬉しいもんなのか、わかんねーし……まぁ、つけたら結構いいんじゃないの、とか思ったヤツだし」
妹「…………」カサカサ
妹「…………ヘアピン……」
兄「……………」
兄(うわああああああああああああああああああああああああああああああああ)
妹「………嬉しい、よ……兄……」ギュ
兄「あ、そうか…そりゃーよかった」
妹「……いままで……買ってもらったこと……なかったから……」
妹「……それに……兄が……くれたのが、嬉しい……」ニコ
兄「っ……おー……兄ちゃんこれぐらいちょちょいのぱっぱだし、うん」
兄(フーー!!妹の天使スマーイルいただきましたァん!!)
妹「………大事に……するから……」
兄「そんな大層なもんじゃないっすよー」
妹「……ううん……大事……」
兄「ほー……」
妹「……………」ス
妹「……どう…かな………?」
兄「………サイコーです」
妹「…………」
兄「…………」
妹「……兄……」
兄「へい」
妹「………大好き……です、よー……」ギュ
兄「………………お」
兄(うっわぁ……顔あっつ………ヤバい、しんどいよコレ)
妹「…………」
妹(”この手紙を読んでくれてありがとう。ぼくの気持ちをどうか受けとってください。妹さんのかわいく、笑った顔を見てから好きになりました。もし良かったら、ぼくとお付き合いをしてもらえませんか?今日学校が終わったら、ちょくせつ言いにいきます。”……)
妹「…………」
妹(……どうしよ……)
妹(……言いにこられても……こまる……)
妹(…うーん…名前…書いてない……)
妹(……もうしわけない…けど、ことわらなきゃ……)
友「妹ちゃんどうかしたー?」
妹「………ううん……大丈夫……教室、行こ……」
ガラ
妹「………」ペコ
友「おはよー」
女子6「おっはよー」
男子3「おう」
友「いやー今日もアツいねー、お二方」
男子3「ぶっ飛ばすぞ、暑苦しいのはコイツだけだ」
女子6「ああ?」
友「よし」グッ
妹「……」
友「あの二人の夫婦漫才にもだいぶ慣れてきたでしょ?」
妹「………」コク
女子8『あたしの彼氏がー』
女子4『うっそ、それホントうらやましー!』
女子1『…あ、あはは…』
友(飽きないねー、あのグループも)
妹「………」
男子2「くくく……やかましい人間達め……む、ヤツらから通信?」
男子2「俺だ……ああ…大丈夫、手はず通りだ………ふっ、よせよ」
男子2「くくくくく、時期にこのまちもいそがしくなる。ああ、その時は任せておけ」
妹「……あの子、だいぶ…静かになったね………」
友「あー……」
妹「……成長……したんだ、ね……」
友「……どっちかっていうと、退化してるような……あははー…」
男子5「…世界は我らの手に……ボンゴレビアンコ……」
友「……シェフにでもなるつもりなのかなー」
妹「……さぁ………」
>>615
しまった。下から三行目が残念な男子2じゃあなくて男子5になってる……。
補完よろしくお願いします。
キーンコーンカーンコーン
妹「…………」
妹(…今日も…兄はお仕事、だから……帰ったら…お夕飯作らなきゃ……)
妹(今日は、何作ろう……兄は……男の人なのに……野菜が好きらしい、し……)
妹(……兄式野菜炒め………はちょっとダメ、かなー……)
担任「はーい、帰りの会を始めますよー、後少しですから席についててくださいねー」
妹「………」
担任「えーと、ちょっと皆さんに気をつけてもらいたい事がありましてー……最近夜に公園で暴れている男性二人が警察に捕まったようです。もう外が暗くなるのはあっと言う間ですので、早く家に帰るようにしましょう。危ない人にはきちんと注意注意して――――――」
妹(あ……手紙……忘れてた……)
妹(……早くすめば……いいんだけどな……)
担任「――と、先生からの連絡は以上でーす。次にクラスでよかった事、悪かった事を見つけた人は発表してくださーい」
男子2「」バッ
担任「男子2さんどうぞー」
男子2「ここは瘴気に満ちている……かなり危険な状況だが、俺がいるから心配はいらない」キリ
担任「…………はい、男子2さんありがとうございました。後で先生とお話をしましょう」
妹「……………」
妹(しょうき、って……なんだろ……)
担任「ふー……今日も一日ありがとうございましたー。では帰りの挨拶をしましょう」
男子3「きりーつ、れーい」サヨーナラー
友「いーもうーとちゃんっ」ダキ
妹「………痛い……」
友「ふっふふーん、今日もボクと一緒に帰るんだよー」
妹「………無理……」
友「」ガーン
友「」ナンデ ドーシテ エ? ボク?
妹「……ちょこっと……用事……」
友「」
妹「………友、ちゃん……おーい……」
友「」
妹「…………」ブンブン
友「」
妹「………」ビシ
友「ほふぅ……」
妹「………起きてる……?」
友「あまりのショックに絶望してた」
妹「……………おおげさ……」
友「だって…ボクは妹ちゃんの事好きなんだよ!?」
妹「……うん…わかった、から……とりあえず……下駄箱で……待っててくれる?」
友「はーい、わっかりましたー!」
妹「………………」
キモオタ1「フォカヌポウwwwwwwwwwwキミかわうぃいねww」
キモオタ2「ぼぼぼぼくとあそ、あそあs遊ぼうよwwwwコポォwwwwwwww」
妹「い・・・いやぁ・・・、ぁ・・・」
みたいな展開はよ
妹「………」
妹(……みんな、帰ってく……)
妹(……うーん…早く……しないと……友ちゃん、あんまり待たせると……悪いし…)
妹「…あと……4人ぐらい…か…)
妹「…………」ペラ
男子5「…………」
妹「…………」ペラ
男子5「…………」
妹「……………」ペラ
男子5「………」オロオロ
妹「……」ペラ
男子5「………っ……」
妹「…………」ペラ
男子5「………」イクカ
妹「…………」
男子5「…………」イケナイ
妹「…………」ペラ
男子5「…………」アトイッポ
妹「…………」
男子5「…………………」フミダス ユウキガナイ
妹「…………」チラ
男子5「……………」イヤ シカシ
妹「……男子5君………だったんだ……あれ……」
男子5「………」
男子5「……………」ペコ
男子5「一……時から……きに………」ボソボソ
妹「………」
妹(……何言ってるのか……さっぱり……)
男子5「……ませんか!……」ボソッ
妹「……あの……何、言ってるのか……聞こえなかった……」
男子5「…………………」
妹「…えと……手紙の……返事だけ、すると………ごめんなさい……」
男子5「…………」ボーゼン
妹「……私……好きな人……というか………」
妹「………ずっと、一緒にいる人、が……いるから……」
男子5「…………」
男子5「僕じゃ、ダメですか?」
妹「…………」
男子5「その人より、好きであり続けて、キミを守って、一緒にいれて……」
妹「…………」
兄「………くぁ……」
兄(……クッソねみー……)
男「いやー、毎日がサイコーだよなぁ兄よー」バンバン
兄「……はは…そっすかー」
男「んだよー、そんな仏頂面してばっかだと女なんてできねーぞっ」
兄「割とどうでもいいっす」
女「すみませーん、お茶お持ちしましたー」カチャ
兄「ありがとうございまーす」
男「ぅ女っちゃーん!」
女「ちょ、こぼれるこぼれるっ」
兄「………」
男「昨日雰囲気良さげな店見つけたからさー、今夜にでもどうよ?」
女「えー、本当に昨日見つけたの?また前の子と行った事あるお店だったら怒るよ?」
男「大丈夫大丈夫、俺は一途で誠実な男だからな!」
女「その辺りは驚きだよ、遊び人だったからねー」
兄「…………」カタカタカタカタ
男「遊び人じゃないやい。ただ付き合っても長続きしねーのはすべて女ちゃんの為だった……と思うわけよー」
女「うわ、調子いい……まぁでも、そういうとこはだらしなくないって分かったし……」
兄(ケガの巧妙、と言いますか…雨降って地固まる、と言いますか…)カタカタカタカタ
男「はっはっは、可愛いなこんやろー」
女「別に、可愛くはないでしょ」
男「そう言いながらも照れちゃってまぁ」
女「照れてないよ!」
男「そうやって冷たい反応してくれるのも好感度高いよ!愛してる!」
女「…く……」カァ
兄(………どこでどうしてこうなった……)カタカタカタカタ
眼鏡「いつまで馬鹿やってるんですかあなた達は、仕事増やして給料引きますよ?」
男「うわぁ、ブラックだ……」
眼鏡「甘ったるいのでこれ以上の加糖は必要ないです。ほらほら、イチャつくのは他所でやってください」
女「イチャついてなんかないですって!」
眼鏡「はいはい、仕事終わりませんよー」
女「むむ……」
兄「………」カタカタカタ
兄(…まー、面倒なのがなくなったし……妹との時間も取れるから別にいいやー)カタカタカタカタ
眼鏡「……ふぅ、まったくもう……」
兄「……」カタカタ
眼鏡「兄くん、今日はあと2つぐらいですが、帰るんだったらしっかり終えて下さいね」
兄「わかってますよ、その辺りは」
眼鏡「早く帰って少しでも一緒にいてあげないと、ですからねー」
兄「うす、頑張ります」カタカタカタ
妹「…………」
妹(…つかれた……)
妹「……おまたせ…」
友「おー、ようやくかー」
妹「…………いこ……」トテトテトテ
友「りょーかいでーす」テクテク
友「…………」チラ
友(可哀想に……絶対無理だからって言ったのにー)
友(良いヤツなんだけどなー)
妹「…………」
友「ふんふふふーん」
妹「…………友ちゃん…」
友「どーかしたー?」
妹「……好きか……嫌いか……聞かれたら…」
友(うわーお)
妹「……どっちか……だよね……?」
友「うん、二択だもんねー」
妹「………どっちでも……ない時……って……困る、ね…」
友(バカだなーアイツー)
友「はっ!もしかして誰かから告白でもされた……?」
妹「…………」
妹(……しまった……)
友(あからさまにしまったって顔する妹ちゃんかーわいいー)ウキウキ
妹「……言わない……よ…」
友「む、いけずー」
友(ま、知ってるし別にいーんだけどなーん)
友「で?で?どう答えたの?どっちでもありませんって?」
妹「………二択……だった、から…それはズルい…」
友「ま、まさか……」
妹「……仕方がなく……だと…言い訳、なんだけど……」
友(あのヤロー、妹ちゃんの口から好きって聞けるなんてなんて羨ま……)
妹「……嫌い…です……ってしっかり……言った…」
友「」
友(お前の事は忘れないよ………よく散った…)
友「あ、ははー…だいぶズバッといったね…」
妹「………だって……好きなのは………兄だけ、だし……」
妹「…好きじゃない、のに……はっきりしないのは……ダメ……」
友「……じゃあさじゃあさっ、ボクのことは?好きか嫌いで!」
妹「……………………ごめんね…ホントは嫌いじゃ…ないんだけど………嫌い……」
友(うわーい)
_________________
兄「ういーす、ただいまっすー」ガチャ
トテトテトテ
妹「……おかえり…なさい……兄…」
兄「おう、今日は……みそ汁、じゃあねーなこりゃ」クンクン
妹「……今日……ね、ダイコンと……鳥肉……なの……」トテトテ
兄「ほー……随分と冷え込んできたしいいんじゃあねーっすかー、煮物だろ?」スタスタ
妹「…………」コク
兄(日々差をつけられていっている気がするのは、俺の思い過ごしでしょうか…)
妹「……準備……してくるね………」
兄「俺も手伝いますよー」
妹「……大丈夫……兄は…待ってて……」タッタッタ
兄「はーい」
兄(なんかどんどん新婚みてーになってるじゃあないっすかー……つか、別に妹と結婚するとかそういう意味じゃないぞ俺!結局決めるのは妹ですしー、俺がどう思っていようが関係ないわけですしー!)
兄(オーノー……緩む口元……)
兄(さて、バカな考えは他所に置いとーいてー、妹ちゃんの連絡帳の確認でもしますかなー)
兄(帰ってすぐ確認しとかねーと、買わなきゃいけねーもんがあった時結構困るんすよねー……ま、妹しっかりしてるから基本言ってくれるけど)
兄(ちょっとくたびれだしてるランドセル……物持ちいいなーコイツ……俺なんて三年ぐらいで肩の所ぶっ壊れたぞ……)ゴソゴソ
兄(えーとー………あったあった)ヒョイ カサ
兄「………?…」
兄(手紙………学校からかー?随分とご丁寧によー……なんかの請求書とかか?)ペリ カサカサ
兄「……」ピク
兄「………………………………」
兄「………」シマイ
兄「………………」
妹「……おまたせ……」ヨタヨタ
兄「危ねーぞ」
妹「………なんとか……大丈夫……んしょ…」コト
兄「…………」
妹「…………」セッセ
妹「……兄は……ご飯、これぐらい……だよね……」
兄「……ああ」
妹「……うん……それじゃあ………」テチ
兄「いただきます」
妹「……兄……?……」
兄「……ん?」
妹「……がっしょー……しないの……?」
兄「……む……すまん、忘れてた」パチ
妹「…………?……」
妹「……………」
兄「………」
妹(……兄…なんか……へん………帰ってきた時は…普通、だったのに………)
兄(まさかこんなに早くこんな状況が訪れるとは思わなかったぜ……最近のガキってのはこんなに進んでるもんなんすか?)
兄「………」パク
妹「………兄……」
兄「おー」
妹「……なにか…あった……?」
兄「いや、なんもねー」
兄(むしろ何かあったのは妹さんの法なんじゃあないっすかねー……っけー)
妹「…………」ジワ
兄「ぐ……なんで泣くんすか…!」
妹「……な…ないて……ない……」グシグシ
兄「目ーあんまこすんねー方がいいって……」
妹「……」ズズ
妹「……ただ、私の……お料理…おいしく……なかった、かな……って……」
兄「バカヤロー、こんな美味しくて愛情ばっかりこもってる飯が美味しくねーわけねーだろ」パク
兄「ん、うまい」モグモグ
妹「……………」
兄「…………」ポリポリ
兄「……まぁ、なんだ……連絡帳探してたらよー……手紙、出てきたから」
妹「……てがみ……?……」
兄「勝手に読んじまってわりーけど…やっぱ、そういうヤツ出てくんだなーって……」
妹「……あ………」
兄(やっぱ、ガキ相手だけどもそういうヤツに少しでも妹と関わられるのがちょっとしんどい…)
兄(妹……やっぱ可愛いし、フツーに魅力的だと思うし……)
兄(……うわぁ、何考えてんだタコ)
妹「………しっと…?…」
兄「…うっせ、なんだよワリーかよ……俺には…しかいねーし」モゴモゴ
兄(く……恥ずかしくてマトモに言えねー……妹しかいないってのは分かってるけども)
妹「……………」ギュ
兄(俺にはそうだけどよー……妹には、俺じゃあなくても良いわけだし……俺より良いヤツが、妹狙ってきたら…多分負ける)
妹「……私、には……兄だけ……だから…」
兄「いや、そうとも限ら……」
妹「……ううん……兄より……私を、見てくれる人は……絶対に、いない……」
妹「……好きとか……嫌いじゃなくて………そばに、いてくれるのは……」
妹「…きっと……兄しか……いないもん……」
兄「俺はそんな妹のためになんもしてやれねーよ……。まぁ、それだから…妹がいなくなるのが怖い…つーか…」
兄(妹の気持ちは信用してるんだが、どこでどう心移りしちまうか不安だ……)
兄(寂しい人間っすなー……目に見えて分かる繋がりっつーもんがなけりゃあ、不安になっちまうなんてよー……)
妹「………兄は……いつも、そう……」
兄「……何がっすか?」
妹「……私は……心のなか…全部…兄にみせてる……けど……」
妹「……兄は……ちっとも……みせてくれない、の……」
兄「………」
妹「……兄は隠し事…してて……うそつき……」
兄「聞き捨てらんねーっすねー、嘘つきはともかく隠し事してるだと?」
妹「………」ビク
妹「……だ、だって……」
兄「……あ………すまん……」
妹「…………」
兄「…………」
兄(こんなだから、いつも妹を不安にさせちまうから……ダメなんすよね……)
妹「………うなされ、て……泣いてた……こと……あった、よね…」
兄「…………泣いてねーし、うなされた事もねー」
妹「…………ほら……また……」
兄「………」
妹「……そんな……だから……!!……」ポロ
兄「……………これは、俺の中で、俺がくたばるまで背負うもんなんだ」
兄「妹に、人のきたねーとこは見て欲しくねー。綺麗なままであるのが理想なんだ」
妹「……私は……そんな理想いらない………」
兄「………」
妹「……全部、兄と……同じものを見る、の……全部全部……まとめて……兄と…私、なの……」
妹「………私は……兄と、生きたい……」
兄「……………」
兄「………」
兄(……いつか、話さなきゃあいけねー時がくるとは思ってたがよー……)
兄(…クズの烙印を押されてる、みたいな…本当の事を伝えると幻滅されて、離れていきそうで、たまらなく怖い)
兄(黙ったままいけると思ったんだけどな……)
兄「………」
兄「包丁は料理に使う」
妹「…………?……」
兄「針やはさみは裁縫だ」
兄「ドライバーやペンチなんて工具は物を直したりする時」
兄「栓抜きなんて酒飲む時ぐらいにしか使えねー」
兄「アイロンは?カミソリは?人の手は?……そういうもの全部にはちゃんとした使い方がある」
妹「…………」
兄「…………」
兄「………人には、自分が思ってるよりはるかに醜いヤツがいる………これは…俺が、妹に聞かせたくなかった話だ」
兄「初めて一緒に風呂入った時ぐれーかな、これ見ただろ?」クビモトフクヒッパリ
妹「……子供の、ときの……アレルギー……?」
兄「俺はなんのアレルギーも持っちゃいねーよ。ガキの頃できたっつーのは嘘じゃあないっすけど」
妹「…………?」
兄「これは、俺がガキの時に……アイツ……俺の母親につけられたもんだ」
妹「…………」
兄「虐待、っていうんだけどよ、妹にゃあわかんねーか」
妹「……ぎゃく……たい……」
兄「つまりー、ケガさせられたり、ボコボコにされたり、罵声浴びたり……みたいなもんよ」
妹「…………兄の……お母さん、は……どうしてそんな……こと……」
兄「腹いせ、だろうねー」
妹「……兄……何か…悪い事…したの…?」
兄「………強いて言えば、生まれてきちまった。としかいえねー」
妹「………わかんない……」
妹「………なんで……………」
兄「妹は痛いのは嫌いだろ?」
妹「………」コク
兄「俺は毎日毎日、アイツから痛い思いをするような事をされ続けてきた」
兄「分かるか?毎日だ。気を失うまで毎日のようにあれこれ手を変え
ては俺を暇つぶしに使うんだ」
妹「…え………暇……って……」
兄「俺はそういう風に、暇をすぶすクソ野郎の道具として使われてたんだよ」
妹「……暇……って、だけで…………こんな…ひどい……」
兄「……人にはそれが平気なヤツがいる」
妹「…………」
兄「見ろ、これが人のできる事だ」ジョウハンシンヌギ
妹「……………ひ………」
兄「改めて、人が手を加えたもんだって分かった上で見ると怖いだろ?」
兄「見ろよ、ここ、中の肉が抉れてるからヘコんでんだぜー」
兄「ここなんて焼けてちょっと爛れたから斑模様みてーになってるし、産毛も生えねー」
妹「…………やめ……」
兄「ここのうっすら格子みたいな痕は包丁だし、点々は煙草だし……」
兄「盛り上がってる所は刺されたトコ、それと、触ってもあんまし感覚がねー場所とか……」
妹「………」ダキ
兄「………俺は、そんな事されるようなオモチャでさ…こんな事ができる人間の子供なんだぜー」
妹「………もう…いい……」
兄「だから不安なんだ……。俺は、妹が好きだが、こんな人を人と思わねーような人間から生まれてきた俺を妹が……愛してくれんのか、不安なんだよ」
妹「………………」
兄「わりーが、これが俺なんだ」
兄「全部全部空っぽで、ズタズタのきったねー印だけつけられてるゴミが…………俺なんです」
兄「………それが分かった時に、妹が離れていくのが怖いんすよ。今みてーに……」
妹「…………」
兄「震えてんぞー」
兄(そう、こうなっちまうし…人見知りする妹が、さらに相手に対して警戒しちまうのが嫌だったんだ)
兄(ああ、クソ……どうしてこうなんすかねー)
妹「………兄は……兄、だよ……オモチャでも……ゴミでもない……」
兄「いいさいいさ、気にすんなよ。自分がどんな人間かだなんてよーく分かってる」
妹「……空っぽなんか…でもない……」
兄「色々と言ってくれるのはありがてーけどよー……」
妹「…………」ギュ
兄「……」
妹「…何言っても……ダメ、なら……こうしてる……」
妹「……うまく言えない……けど……もう、大丈夫……だから、ね……」ナデナデ
兄「…撫でんじゃあねー」
妹「…………」
兄「…やめろ、ってんだろ………」
妹「…………」
兄「なんでだよぉ……優しくすんじゃあねーよボケが……」ポタ
妹「……ちいさい……けど……ちゃんと、背負える……から……」
兄「…っ……ぐ………」ゴシゴシ
妹「……疲れたら……よりかかって…?」
妹「……荷物は……半分こ…」
兄「………」ポタ ポタ
妹「……空っぽじゃ、ない……私が…いる」
妹「……もう……いいんだ、よ……兄…」
兄「……ぅ………く……」
妹「……」ナデナデ
/. ノ、i.|i 、、 ヽ
i | ミ.\ヾヽ、___ヾヽヾ |
| i 、ヽ_ヽ、_i , / `__,;―'彡-i |
i ,'i/ `,ニ=ミ`-、ヾ三''―-―' / .|
iイ | |' ;'(( ,;/ '~ ゛  ̄`;)" c ミ i.
.i i.| ' ,|| i| ._ _-i ||:i | r-、 ヽ、 / / / ̄7l l ― / / ̄7l l _|_
丿 `| (( _゛_i__`' (( ; ノ// i |ヽi. _/| _/| \/ ― / \/ | ―――
/ i || i` - -、` i ノノ 'i /ヽ | ヽ | | / _/ / 丿
'ノ .. i )) '--、_`7 (( , 'i ノノ ヽ
ノ Y `-- " )) ノ ""i ヽ
ノヽ、 ノノ _/ i \
/ヽ ヽヽ、___,;//--'";;" ,/ヽ、 ヾヽ
兄「はー……」
兄(なんつーか、ホントみっともねーぜー……)
兄(いい歳して泣きつく……しかも十以上も離れたガキに、さらに妹っつーね)
兄(ああ、でもまぁ……なんつーか、前よりもだいぶ楽になった気がする)
兄(気分だけじゃあねー、もっと深い所のつっかえてたもんや、ガリガリと俺の中を削り続けていた何かが消えたみてーだ)
兄(どこかで遠慮していたとこ……妹が好きだが、自分と共に同じ道を歩かせまいと気を張っていたとこ……それを妹に全部吐き出す事で、俺は救われたのかもしれない)
妹「……スー……スー…」
兄「…………」
兄(そう、妹を親類の手に渡す事もなく、誰の手に渡す事もなく……自分と一緒にいさせる事ができたことに……この世で一人きりのような……)
兄(打ち捨てられた腐った人形で、海に漂ってただけの俺が……たどり着いた砂浜、この環境)
兄(そこで、そのまま朽ち果てるだけと思ってたが、拾ってもらえた)
兄(人形を拾った少女は、人形の湿った身体を乾かしていき、ボロボロの身体を抱きしめてくれた……中身を新しく詰め直してくれた)
兄(ようやく……居場所ができた)
兄(俺が、俺で生きていくための………ああ、なんでこんなに泣きそうなんだ、俺は)
兄(満ち足りて、満ち足りて……どんどん溢れてきやがる……)
妹「……スー……んん……」
兄(血もつながってねー赤の他人、だったんだが……兄妹として、過ごした間違いの日々が…正しい生き方に導いてくれた気がする)
兄(へたれで泣き虫で嘘つきの兄ちゃんですがー、ありがとうございました)ナデナデ
兄(これからは、俺はお前だけの男として、守り続けようと思いますよー)
兄(……婚姻届どうすりゃーいいんだろ……とりあえず五年待つだろ?、そこで……どうプロポーズしようかね)
兄(……あれ?プロポーズまがいのセリフ結構言ってる気がする……OhNo……)
兄「…………」
兄(……指輪買ってきて無言で渡そう。そうだ、それがいい)
兄(今度は”…へたれ……!”って怒られそうだなー……へへ…)
妹「……スー……スー…」
兄(どうなるんだろうな……ぜってー美人になるじゃんね、この感じ)
兄(……成長が楽しみだぜゲヘヘヘヘヘ……なーんてな…アホか俺は)
兄「…………」
兄(うわああああああああああああああああ!!恥ずかしい事考え過ぎてんだ俺!!!!)バタバタ
兄(く……)
兄(だいたい!コイツが可愛すぎるのがワリーわけで!……別に、俺が悪いわけじゃあ……)
兄(…兄バカ)
兄(まぁ、ですからー……できるだけ、生きようと思えました)
_________________
とりあえずここで少年の告白、兄の告白編は終了です。
あと残りは二編ぐらいになりました。
毎度のごとくトロくさい更新ですが、お付き合いお願い申し上げます。
女子8「何?あんまり出しゃばんないでくれる転校生さーん」
妹「………」
女子4「マジさー、そういうのうっとおしいワケよー」
女子1「…っえぐ…ひっ…」
妹「………泣いてる…」
女子8「だから何?泣いてるも何も全部女子1が悪いし」
女子1「……っぐ……ぐす…」
女子4「うるさいんですけどー」
友「妹ちゃん、やめときなって…関わるだけ無駄だよ…」コソ
妹「……いや」
友(これはテコでも動かないってやつですなー…)
女子8「あたし達の決まり事守れなかったんだし、人としてどうなのって話」
女子4「泣けばいいってもんじゃないっしょ」
妹「………くだらない…ことばかりで……責め続けるのも……人として…おかしい……」
女子8「うっざ、キモい」
女子4「私らの友達の証をくだらないってムカつくんですけど」
男子3「くだらねー……なー?」ヒソヒソ
男子5「………」
女子8「あ?なんか文句あるの男子?」
男子3「いーえー、なんにもー」
女子6「へたれ」
男子3「あ?」
女子6「なんだコラへたれ」
妹「………」
女子8「……あんまりでしゃばるとあたしの彼氏にボコボコにしてもらうよ?ブス」
男子5「………」ギリ
妹「……別に……ただ、女子1ちゃんが…かわいそう……」
女子4「ビビってるー、きゃはは」
女子8「ま、いいや。女子1!もうあたし達に関わんないでよね」スタスタ
女子1「…っふ……えぐ……」
妹「…………」
友「……はー……なんでこうなんだろーね、女の子って」
妹「………」
女子1「…っご…えぐ…ご、めんね……ヒック……妹ちゃん…」
妹「………おかしい、と……思っただけ、だから……」
友(触らぬ神に祟りなしっていうもんなんだけどなー……妹ちゃん、こういうの許せないタイプみたいだし…)
友(ほんと、たかがゴム忘れたぐらいでこれだもんねー)
妹「………」
女子1「……わ…わたし……ふぇ…妹ちゃんに……わたしっ……うわぁぁぁああああああん」
友(……お人好し、だよねー…妹ちゃん………ボクはあの時の事知ってるから……同情はできないよ、女子1ちゃん)
妹「…………」
女子1「ありがとう、妹ちゃん」
妹「…別に………」
友「さて、落ち着いたかなー?」
女子1「うん…だいぶ」
友「じゃ、さっさとどこか行きなよー」
女子1「…え…」
妹「……友ちゃん…?…」
友「ボクは、妹ちゃんを傷つける人を近くに寄らせるつもりはないから」
妹「……何も……してない…よ……?」
女子1「………」
友「…いい?女子1ちゃん。ボクは、知ってるから」
女子1「…っ……」
妹「……女子1ちゃん……友ちゃんに、何かしたなら……謝っておいたほうが……いいよ…」
妹「……そしたら……きっと、大丈夫…だから……」
女子1「……ぅ……」
友「別にボクは何もされてないけどねー」
妹「……む…それだったら……友ちゃんが、だめ……」
友「ふー、やれやれー……」
妹「………」
女子1「……ごめんなさい」
女子1「…っ…」ダッ
妹「……あ…」
友「あの子が手を出したのはボクじゃなくて妹ちゃんなんだよ。妹ちゃんは多分気づいてないけどねー」
妹「……………」
妹「……心当たり…ない……」
友(ボクが一番許せないのは、妹ちゃんが優しくしてくれたりしてるのにそれを返すそぶりもないところだよ)
友(自分だけが悲劇の主人公で、自分が痛めつけた相手の優しさだけを受けようなんておこがましいよ)
妹「…………」ムー
女子8「はぁ…」
女子4「どーかした?」
女子8「あたしにあそこまで突っかかってくるヤツいないから疲れたの」
女子4「ああー、もう彼氏君に頼んで文句言えないようにしてやればいいじゃん」
女子8「やっぱそーしようかなー、スゴいメンドくさい」
女子4「早い方がいいんじゃね?今日の放課後にでも頼んじゃえー」
女子8「そうだね、彼氏も暇してるだろうしー」
男子5「……………」
男子2「不穏な空気を感じ取り……我、参上す」
男子5「………」シー
兄「っだー……しんどかったー……」
兄(今日はだいぶ立て込んでたかんなー……他の社員の皆様、お先に失礼しまーす)ナムナム
兄「………」ブロン
兄(夜飯は魚とかにしてみるかなー…サラダでも添えてよー)
ビチビチビチビチビチビチビチビチビチベベッベベベベベ
兄(あ?)
半ヘル男「~♪」ビチビチビチビチ
兄(うわぁ)
兄(いるんだよなー……排気量ばっかり多くして吸気とのバランスとらねーから下痢便みたいな音出してるバイク乗り……)
兄(音がどうこうは少し置いといて、チューンするなら純粋にパワーアップ考えりゃあいいのに……)
兄(近所迷惑だし、遅いし、恥ずかしいわ……)
ンベベベベベベベベッ
兄(…………なんかことごとく進む方向が一緒だなー……俺はできるだけ静かに走りてーのによー…気分ワリーぜーまったく……)
兄(しかもやたらトロくせぇ……混んでんだからもうちょっとテキパキ抜かしてってくれよ……)
キキー パパパパー!!!
兄(うわぁ……本日二度目のうわぁですよ。他の交通ほぼ無視でどんどん突っ切ってやがる……ああ、事故ればいいのに、ああいう我が侭なヤツは)
兄「………ん?」
兄(このままこの道進んでったら、妹の学校の近くだよな……げー、こんなヤツがいるとか怖いわー)
兄(さっさと帰って妹ちゃんの為に美味しい飯…見栄えは相変わらずだが、作ってやんねーとなー)
女子8「遅ーい」
8彼「ゴメンな8、道混んでてさ」
女子8「もー、こっちは結構急ぎだし」
8彼「で?どんな用だって?」
女子8「ちょっとねー、ムカつくヤツがいるからあたしに文句言えないようにして欲しいの」
8彼「ふーん、俺の可愛い彼女に手を出すとはいい度胸してんじゃん。
どんなヤツだよ?」
女子8「うーんとねー女の子なんだけどー、ちっちゃくてあんまし喋んないような根暗でー……」
8彼「ふーん、そんなヤツに舐められちゃっててムカついてるんだ」
女子8「そうなの、ねぇ、とりあえずヤっちゃっていいよ」
8彼「やだねー」ベー
女子8「えっ?」
8彼「だって俺には8だけだしー、他の女に手を出すとかありえないからさ」
女子8「もう……バカぁ。じゃあどうするの?」
8彼「丁度そういうのに飢えてるヤツがいるからそいつに頼むよ。で、俺らは俺らで……今日も家来るだろ?」
女子8「聞かなくても分かってるんでしょー。ありがと、8彼っ」チュ
8彼(けけけ、サイッコー!俺らの間でその小さい子輪して調教してやろーっと)
8彼(やっぱビッチのガキっていいなー、こうやっていい具合に協力してくれるし、気持ちいいし……ホント最高)
8彼「それじゃあ、連絡しておくよ。8の邪魔者はしっかりお仕置きできるから」
妹「……今日は……兄が、お夕飯………作ってくれてる、から……帰るん…だけど……」
友「あ、ボクもおねーちゃんと買い物行く用事があるんだー。このまま直接行っちゃうから……それじゃあまた明日ねーっ」
兄は何に乗ってんの
>>699
イメージは2011年モデルの隼ですねー。
妹「………」トテトテトテ
妹「………」
ボボンボブンボブブボボボ
妹「………」
妹(……うるさ…い……)ムカ
ゴッ
妹「」トサ
「コイツでしょ?」
女子8「うん」
8彼「んじゃ、あと頼む」
「ありがと。キッチリ仕込んどくから」ヒョイ
妹「……ん……」
妹「……い……たぁ………」シカメツラ
イケメン「はいおはよー」REC
妹「……っ…」ビクッ
妹(…な……何……?…これ……私……え…?)
イケメン「◯◯小学校5年生妹ちゃんでーす。これからこの幼い果実をおいしーくいただいちゃおうと思いまーす」REC
妹「…っひ……や……だれ…?……私……なんで…こんなっ……」
イケメン「まずは皮むきー、という事で…服を剥いでいきたいと思いまーす」REC
妹「………やぁっ……いや……ああ……兄……!」
イケメン「兄って誰でしょうかね。きっと家族の誰かでしょうね」REC
イケメン「ランドセル背負わせたままだと服が脱がせないのでー、服をバッサリ縦に切っちゃいましょー」ジョキ ビリビリビリ
妹「……う…あ……」
妹「…いやぁああああああああああああああああああああ!!!!!!!!…カヒュッ……」
イケメン「うるさい子はお仕置きですよね。白くて柔らかくて、こんなになめらかなお腹を殴るのは心が痛かったです。でも、殴られた時の声は随分と可愛いです」REC
妹「…けふっ……けほ……はっ………う……」ガタガタガタ
イケメン「ブラジャーしていました。これは可愛いです。まな板もいい所ですが薄いピンクと白の水玉の可愛いブラです。これも切りましょう」ジョキ
妹「……はっ……はっ……はっ………う…ええ………ひぐ……」
イケメン「おお、どうでしょうこの白い胸、ちゃーんと頂上には……んー、まだ発達してないみたいですが可愛い乳首がありますねー」REC
妹「……ひっく……ぉ…ぇ………兄……兄ぃ……!…」
イケメン「まずはお腹から胸にかけてゆーっくりマッサージしていきましょう」サワ スリ スリ
妹「…う………う…ぷ………ひく……えぐ……」
妹(やだ……やだ…やだ、やだ………やだやだやだやだやだやだやだやだ…)
イケメン「どう?気持ちよくなってきたでしょ?変な感じでしょ?」REC
妹「…やだ……やだ……やだ………やだ…やだ……」
イケメン「…ッチ…では次は後ろから触ってあげましょう。このように、ランドセルを持ってーゴロリと反転~」REC プチッ
妹「……や……兄……たすけ……兄………兄……」ズリズリ
イケメン「ショーツもどうやらブラとセットのようですね、とても可愛らしいです。この薄くて可愛いお尻は触り心地がいいです」スリ サワサワ
イケメン「きっとこの大事な所も、ぴっちり閉じてて甘酸っぱいんでしょう。こんなにプニプにしてます」REC プヨ プヨ
自分でも書いてて辛い吐きそう………
8彼のバイクはイメージしてなかったですが、マジェとか良さそうですね。
イケメンはハイエースです。バイクじゃないです。
うわちょっとしんどくなってきた……
初夜すら書けなかった>>1にNTRとか陵辱が書けるわけない!
……だよね?
イヤァアアアアアアアアアアアアアアア!
男子2「おなごの嘆く声のなんと悲しいことか…悔しさで心が張り裂けそうである…」
男子5「…………」ザッ
男子2「えっ、本当に行くん?大人相手に?」
男子5「…………」コク
男子2「そういうん違うと思うなー、俺。危ない事したらダメですって先生言ってたし…けーさつ……」
男子5「………間に合わない。時間稼ぐ」カラン
男子2「ううう」
ガチャ
男子2「!!!」ササ
男子5「……」コソ
イケメン「今撮影中なんすけどー……なんの用ですか?」
イケメン「……え?バイトのシフト?」
イケメン「今日じゃないっすよ。ちょっと急いでるんでー、はい……」ザッザッザッ
男子5「……」
男子2「……行ってしまったのである…幸い木々に囲まれている故…いい隠れ蓑になろう…」
男子5「………」ダッ
男子2「あーん、待ってーなぁー」タタタ
ガチャ
男子5「………」キョロキョロ
妹「……ひっ………ひっ……く……うぇえ……」
男子2「ミッション開始だぜ…」
男子5「………」
男子2「とりあえず俺のジャージ貸してやればいいんよなぁ?」
男子5「…………」コク
妹「……っぐ……ぐす……えう……兄………」
男子2「パーッジ!!!」ヌギ
男子5「………」ゴッ
男子2「…イタいのね……静かにね、しずかーに」パサ
男子5「……こっちはいいよ」
男子2「立てる?」
妹「………ふぇ……ぐ……うう……」ヨタヨタ
男子5「…ランドセル持ってよ」
男子2「…くく…人遣いの荒いヤツだ……」ガショ
男子5「…………行こう」コソコソ
男子2「ニンニンっ」コソコソ
妹「…………兄……あに……」ヨタ ヨタ
イケメン「あーっくそ!!萎えた、クソ!!……………あ……ああああああああ!!!いねぇ!!どこ行きやがったチクショウ!!!」ガンッ
男子5「………」ピク
男子2「どうした、黒魔術師よ……」
妹「……っ……ヒク……」
男子5「………気づかれた」
アアアアアアアアアアアアア!!
男子2「…くくく…愚かな野獣が遠吠えを始めよったわ……」ガタガタ
男子5「………………」ポンポン
男子2「……くくくく……俺のこのスリールクノケがあれば怖いものなどない!」
男子5(…………金属バットね…)
妹「…………」
ガサガサガサガサ
男子5「……………こっち」タタ
男子2「ついてくるのだ、プリン……プリ………姫!」タタタ
妹「………っ……ふ………」タ タ
男子2「………むむむ…こっちは瘴気が薄いぞ」タタタ
男子5「………なんとか逃げる」
妹「………」
バキバキバキガササ
イケメン「あは!見つけたぁ!!」
男子2「ひっ」
男子5「………ふんっ!」ゴンッ
イケメン「………………」タラー
男子2「…やったか!?」
イケメン「」ブチィッ
イケメン「このクソガキがぁ!!!!!!」バキッ
男子2「ブへっ!」ドサ
イケメン「ぐらぁあ!!!」ドガッ
男子5「っ」ズシャア
イケメン「くは…あっはあはははははは!!!!逃げれると思ったかよ妹ちゃぁーん!!めんどくせぇ!!この場でぐちゃぐちゃにしてやんよ!」
イケメン「お友達のガキ共にもたっぷり見せつけてやらぁ!!」ガシッ
妹「…………っ!」ガブ
イケメン「っぐぅ……んだらぁ!!!」バシッ
妹「………きゃ………」ドシャ
イケメン「あー、もういいわ……今スッグぶち抜いてやるよコラァ!おらケツ向けろ!!」
妹「…………ま…けない……」プルプル
妹「………友達………きずつける……人に……なんか……!…」ガタガタ
イケメン「えへへぇへ…震えてるよぉー?」ジリジリ
妹「……………」コキーン
イケメン「ひょ!」
イケメン「ごらぁっ!」ブンッ
妹「あぅっ」ドゴッ
妹「」
イケメン「フゥ…手間かけさせやがって・・・ヘヘッ」ゴソゴソ
イケメン「ではイッタダッキマース♪ ヒャッヒャッヒャッ・・・」ズプッ
みたいな展開を全員期待してます。皆さんの要望に応えましょう。
妹「……ふーっ……ふーっ………」
イケメン「ん…ぐぅおおおお…………」ピクピク
男子2「すげー…」
男子5「……………」
イケメン「このクソがぁ……」
妹「………」タッ
男子5「………」タタ
男子2「くくく……哀れな豚がぁッ!」
イケメン「ヒャは!」ガシッ
男子2「え?………カ…………く…」ギリギリ
イケメン「おいおいおいガキ共よぉ!大事なお友達放って行くんですかぁー!?」
妹「……」ピタ
男子5「…………」
男子2「ーーっ………」バンバン
イケメン「よしよし…それでいいんだよ。さぁ妹ちゃん、始めようか」
妹「………」ビク
男子5「…………」
男子5「………うわあああああああああ!!!逃げろ!!妹ちゃん!!」ダッ
イケメン「このガキ……!」ギリギリ
男子2「――!!――――っ」
男子5「くらえ変態!!」ブン
イケメン「アブねっ!くそ!」サッ
男子2「ーーーっぶは!!……はー……はー……」
男子5「………」
イケメン「バット持ってようがガキになんか負けねーんだよゴミが!」
兄「そりゃあ体格も体力も全然違うっすもんねー」
イケメン「!!!!」バッ
兄「………」
妹「………兄……!」
イケメン「な、な………」
兄「もうやめとけよ、通報もしましたし、車のナンバーも顔も割れてんだからよー」
イケメン「フッザケンな!!!ぶっ[ピーーー]ぞテメー1!どうせ捕まるってんなら殺してやるからなテメー!!」
兄「番犬様々だぜー全く……妹…帰るぞ。………お前らも、こっち来い、もう大丈夫だ」
妹「…………」ギュッ
男子2「うわあああああああん!!」ビービー
男子5「……」フラフラ
イケメン「無視してんじゃねーぞコラ!!こっちにはナイフだって…!!」
兄「………何したってんだよ…俺たちが……」
兄「ただゆっくり平和に過ごしていたいだけなのに、なんでお前らみたいなクズは邪魔すんだよ。お前の心を傷つけたりしたのか?トラウマでも植え付けたのか?……ただの暇潰しとか、自分の満足感得るためにどうして他人を巻き込むんだよ」
兄「………妹に手を出した時点で、こっちだって殺してやりてー気分なんだ。これ以上関わるのなら俺はもう止まらねーぞ」
ナイフで襲い掛かる→妹をかばう→刺される→兄、植物状態のフラグですかな
イケメン「うわああああああああ!殺してヤルゥウうううう!!!!」ダッ
妹「…………!」
兄「……そういう答えでいいんすか……へー、あっそー」
ドスッ
兄「……………」
イケメン「へ…へへへ……やった、ほら見ろ……」
兄「アホか」
イケメン「へ?」パチクリ
兄「……」ゴガ
イケメン「ぴ」ドサ
兄「正義の鉄槌、ヘルメットフレイル!……なーんてなー……」
妹「…あ……兄!……兄…!今……刺され、て……!」ガバ
兄「ガチのジャケット舐めんじゃあねーよ。あんな安物ナイフちょーっと動けば引っかかっちまうよ………うわ!穴空いた!!」パッパッ
妹「……ふ…うぇ………ふえぇぇぇえええん!!!」
兄「…ま……なんとか無事みたいでよかった」
兄(あとは警察に処理してもらうとして……)
兄(車の中に、妹の服の切れ端が落ちてた…襲われたのは確かだが……この男子達が助けてくれたみてーだな…)
兄(もし、コイツらが助けてくれなかったら今頃…………)
兄(………きっと殺してただろうなぁ…このクズ男を)
妹「………」グスグス
_________________
兄(あの一件の後、ある高校生4人が捕まった。どんな事をしていたのかはお察しの通り……十を超える事案の容疑者としてきっついきっついお仕置きを国からされるそうだ)
兄(別に裁かれたからって嬉しいわけじゃあない。どれだけ償おうが謝ろうが、そう言う誠意を見せたとしても一度壊れたものは元のようには戻ったりしない。)
兄(どれだけスカッと気分が良くなった所で、歪む。変形した歪な考え方は拭えないままだ。)
兄(元に戻った、立ち直ったと思った所で……俺も、妹も、あの男子二人も、事件を聞いた友も友姉も、確かに傷が残ってる)
兄(ゆっくり、のんびり、せめて平和に。そうじゃあなけりゃあ生きてなんていけないもんなんすよねー)
兄「はぁ………」
妹「……どう…した、の?」
兄「今日もお仕事疲れたなー、と思いましてー」
兄(妹は、自分のクラスメイトが唆して自分が狙われたのを知ったらしい。理由は彼氏が捕まったあるクラスメイトがいじめられ始めたのが原因だ)
兄(そのクラスメイトは不登校になって、近いうちに転校する事になったらしいが……ま、知ったこっちゃねー)
妹「………兄……今日は……学校で、ね……」
兄(歪んでるよなぁ…………。だからこそ、癒しが欲しい)
妹「……友ちゃん、ね……すごいんだよ……マラソンで……男子……どんどん抜かして……」
兄(今日も、隅っこで寄り添いながら確かな幸せを感じています)
兄(俺の周りの人間が、せめて幸せな二人だと思ってくれれば救われるよな、俺も妹も)
兄(不幸な二人だと、かわいそうな二人だと思われちゃあたまんねーからなー、へへ)ギュ
妹「………あったかい……ね………」ギュウ
兄「なー」
先週土曜日から出張でマトモな電波がなくて大変でした。圏外ばっかりなので二度とフェリーには乗りたくないと思いました。
もう二度とこんな話は書きたくないと想いましたし、書いてる自身も感情移入してる分キツいです……。
とりあえず、次が最後です。
できるだけささっと書いて、今日か明日か明後日かに終わると思います。
兄「だーかーらー卒業するまでおとなしくしてろっつの」
妹「…………いや……」
兄「…………いやいやいや!逆に聞くけどなんで今日なわけよ?」
妹「……秋は……衣替えの…季節……」
兄「そんなの知らねーし…」
妹「………待ってた……の……ずっと……高校生に……なってから……ずっと……」
兄「うっせ、まだ中学生みたいなチビのクセしてよー」
妹「……心外……私は……クラスでも……結構…背……高い……」
兄(…確かに……チビと言えるのは俺が大きいからですね、はい)
兄(しかもね…なんだかんだ言ってガキの頃から結構大人びてたから、その……色気が……本気で来始めてる)
兄(その……胸だって……ツルペタから随分と………)
妹「……別に……これ以上…待つ意味も、ないし……」
兄(清楚な印象はそのまま、今では大和撫子と言ってもいいぐれーの淑やかさが……)
妹「………む……聞いて…ない、でしょ……」ズイ
兄「聞いてます聞いてますー」
妹「私も……兄としか……結婚するつもり……ないし……」
兄「よくそんな事恥ずかしげもなく言えんなオイ」
妹「………だって………」
兄(兄も私と結婚するつもりしかないもん)
妹「…兄も…私と……結婚するつもりしか……ないもん、ね……」
兄「やかましい」
妹「…………」ムー
兄(はいはい、そうですよ。妹と添い遂げるつもりしかねーのは俺自身でも分かってるし、妹がこの時期にこういう……結婚の事を言い出す理由も分かってる)
妹「……兄………いつか………なら……今でも…変わらない、でしょ……」
兄(まぁ、だからー、その………一応結婚指輪……用意してるんすけどね……)
兄(緊張から物がなかなか渡せないのはあの時から相変わらず……しかも兄妹だけども親代わりみてーな関係だったから、そういうのを渡すのは……なんつーか改まり過ぎてバクバクなわけでして)
妹「…………散々………したくせに……」
兄「何をだよ」
妹「……私の……口から……言わせる、気?……」
兄「………………………………」
妹「………………それでも…結婚………しないの…?」
兄(そして、最後の攻め文句にはこれがくるんだが……)
妹「……この間……だって……あんな……激しくて………」カァア
兄(たかがキスだけでどうしてこんな初な反応ができるんすかテメーは………そりゃあ、確かに…この間はー………近くの公園に散歩に行って、落ち葉が道いっぱいに広がってるのがすっげー綺麗だった……そこでベンチに座ってあったけー缶ジュース飲んでたらコイツが寄りかかってくるもんだから……)
兄(”重てーぞ”って顔見たら……なんか……そういう雰囲気になっちまって……しちゃったんだよなぁ………)
妹「………いい加減……責任、とるべき……私が……小学生のときも……」
妹「……」
兄「なんすか」
妹「………き……キスした………くせに……」ゴニョゴニョ
兄(はい)
兄「…………ま、この話はやめだ。飯も風呂も済ませたことだし、さっさと寝る」
妹「…………」
妹(……友の……言って、た……最終手段…かぁ……)
友『ん?何って?』
妹『……だ、だから……兄が……結婚……してくれない…の…』
友『』
妹『………あれ…?……おー、い……』
友『なんなんだよー!ホントに!毎日毎日のろけちゃってさー1』
妹『……う……』タジ
友『この一週間…いや、小学生のときからおにーさんの話ばかり!結婚でもなんでもしちまえー!!』
妹『……友……声…大きい………』カァ
友『ボクからしたら顔赤くするのはそこじゃないんだけど……』ジト
妹『……でも……私……兄しか……いない…から……』
友(聞こえますか?周りの男子が崩れ落ちていく悲しみの音が……)
友『だったらねー、もう押し倒して妹から襲っちゃえば?どうせおにーさんもまんざらでもないんだし』
妹『……襲う……?……』
友『いつかボクのおねーちゃんが見せた……その……エッチ、な……』カァ
友『……なんでボクの口からそんな事言わせるんだー!変態!妹の変態!』
妹『………なる、ほど…』
妹「…………」
兄(兄妹…というよりも、親子というよりも……同棲状態のカップルに近いからなー。既に結婚生活を満喫していると言っても過言ではない)
兄(一緒のベッドで未だに寝てるし、風呂だって湯船には一緒に入れねーぐらい成長したけど、背中流すぐらいはしちまってるし……よっ、流石鋼の理性だぜー……)
妹「……………」
兄「くぁ……ねみー……」
妹「…………とう……」ドン
兄「は?」ドサ
妹「…………」ヨジヨジ
兄「え?なに?え…?は?」
妹「…………えと………なんだ、っけ……」
兄(え?押し倒されて?俺の上に乗っかってー…………おいコラ、首かしげんのやめろ可愛いんだよタコ)
兄(そうじゃない!!)
妹「あ……今日は………寝かさないん……だから、ね……」ニコ
兄「ば、バッカヤロー、テメーみたいなガキにゃまだ早いんだよ!」
妹「……遅かれ…早かれ……こうなるの…なら……早くても……いいの……でーす…」ダキ
兄(髪の毛いい匂いする……柔らかい胸が押し付けられて俺の身体にうまい具合に形を変え………そうじゃない!!)
妹「………ちゅー………しましょー………」
兄「………アホだ…」
兄(太もも柔ら……落ち着け、おれ……妹の顔が近づいてくるがこれは夢だ。仕事疲れで変な夢を見てるに違いない。…………ごめんなさい積極的なアプローチで我慢限界です)
妹「…………ん………」チュ
兄「……ばっ……むっ!……」
妹「……ちゅ……れろ………んん……」
兄「んんんー……!……」
兄(こ…こいつ舌まで突っ込み………!)
妹「………は……む………」
兄「……………っ…」
妹「…んちゅ……ん…………ぷぁ………」ツ
兄「…………」
妹「……はぁ……ふぅ………」
兄「…オメーよー………」
妹「……ぇ……?」ポワポワ
兄(こ……コイツ…ちょっとセカイ入っちまってんじゃあねーか……)
兄「…もう知らねー。大好きだ、妹」ギュ
妹「………あ…」
兄「髪……だいぶ伸びたな……もともと長かったけど、さらさらだし、綺麗だ……」ナデナデ
妹「………ふふ……」
兄「お前は何よりも綺麗だ。ずっと一緒に、いて下さい」
妹「………うん……」
兄「……」チュ
妹「……んむ…………」
兄「…ん……」
妹(……舌……絡まって………なに、これ……さっきと…違う……)
兄「…………は……」
妹「……ぁ……ふぁ………」
妹(……知らない……よ…こんな………口の中…なぞらない、で……)
兄「……………ん」
妹「ぁ…ぃ……ぃ………まっ…………」
兄「………………」ス
妹「……はぁっ……ぁ……はぁ………」トロ
兄「妹が誘ってきたんだから我慢しな……っても……俺も随分我慢してきたから、ゴメンな、止まらない」チュ
妹「……ょ……これ……ひ、じょう……は……んん……」
兄「………ダメとか言わせねー………」
妹「………んっ……ぷぁっ……ちゅ……ぇろ……」
妹(……口……トロトロ……だ……頭も…ぴりぴり……する………)ジワ
兄「…………」ムニ
妹「……っ……ん…!……だ、め……!いま……そこ…は…」
兄「押し付けられてると、どーしても意識しちまうし……何より主張が……」タユタユ
妹「……ひ…ぁ……ほん…と………だめ……なの……ぉっ…!……」ヒクッ
兄「……見ねーようにすんのも、だいぶ……キツかったし………つか、パジャマ越しでこれかよ……」クニクニ
妹「…ぁ…兄が……っ……や………先……そこ……んんっ……ん……ちゅ、……んぷ…ぁ……」ジンジン
イケメン「こんばんわー♪」ピンポンピンポンピンポンッ
イケメン「復讐に参りましたー」ドンドンッ
イケメン「ここ開けろやー」ガンガンッ
見たいな展開はよ
兄「……前外すぞ」
妹「……………」コク
兄「正直、俺の中で妹はチビのまんまで、いつまでもガキだと思ってた」プチ プチ
妹「………ガキ……って……言われるの……嫌い、だった……」
兄「俺もお前に頼り切りなガキだったから、ちょっと見栄はりたかったんだよ」
妹「……そっか……兄も……なんだ………」ハラリ
兄「……いい胸してんな」ジー
妹「…っあ……あんまり……見ないで……その…恥ずかしい…し……」
兄「って言うわりには隠さないのな」
妹「………それでも…一応……兄、には……全部…見て欲しい、から……」
兄(ボタンだけ外したパジャマ妹は最高です、可愛さぶっ飛んで女神!手に余るぐらいの程よい大きさ、白くてハリがありながらも柔らかさは最高、薄い桃色の乳首と程よい大きさの乳輪……ワンダフル……)
兄(俺はおっさんか!!)
兄(………オッサンだったわ……)
妹「……兄も……上……脱いで……」
兄「了解、ちょっとどけ」
兄「…………」ヌギ
妹「………………」ダキッ
兄「……悪いな、こっちは相変わらず汚くて」
妹「……ううん……ずっと……こうして……触れ合い、たかった……」
兄(胸が……直の胸がヤバい………柔らかさの中のツンとした固さが…何とも言えん……)
妹「……ん……ちゅ……はぷ………」
兄「……ちょっ……」
妹「………舐めたら……ちょっとは……楽に、なる……?」レロレロ
兄「…傷っ……てか……!舐められるのは……へんな感じだ」
妹(兄が…見せてくれた……傷痕……こうして、そう……私が……癒すの……)チュ
妹「………なぞって……あげる、ね……兄が…もう……痛く…ない、ように……」ッツー
兄「……………」ナデナデ
兄(優しい……うずくような、引き攣るような……痛みを全部拭ってくれてるみたいで……)
妹「……ん………」チューチュー
兄「……何、してんの?」
妹「………ぷは……兄の……傷の上に………私の…印……を……」テレ
兄(キスマークですか……)
兄「そしたら全身妹の印だらけだなー」
妹「……当たり、前……兄は……私だけの………兄……」
兄「……へへ、サンキュー」ナデナデ
妹「………にへへ……」
兄「………」チュ
妹「……あっ……ん……兄……?…」
兄「一応、俺も印つけとこうと思いまして」
兄(うん、鎖骨のくぼみに綺麗に赤ーくついたな。……うわ、急に恥ずかしくなってきたし……)パ
妹「……変……だね……二人して……身体ばっかり…」
兄「そうでもねーよ」カプ
妹「…っん…………首……こそばゆい……」
兄「…………」
妹「……あっ……ぁっ……耳……変……だから、ぁ……」ピクッ
兄(白い首筋を伝って耳まで、ゆっくりと唇を這わす……妹の体温がじんわりと伝わってくる……妹の耳元の石けんの匂いやらなんやらで……さらに変になりそう……)
妹「……ふぁ………兄、ぃ……」スリスリ
兄「……んー?」
妹「……き、もちい……の……んっ………服……兄の足……こすると……ビクって…する……」
兄「気持ちいい?」
妹「……う…ん…………ふ……は、ぁ………」コシコシ
兄「………」ス
妹「……ぁ……ひゃっ……ぁん……」ビクッ
兄(パジャマと下着の間に手を突っ込んでみたが……じんわりと群れたような湿り気が……)
兄(何より手を圧迫する妹の身体の、クニクニとした柔らかい肉圧と、下着の肌触りがヤバい……)
妹「……く……ひ………っ……ぁ…兄の……いい…っ……ふあ……ん…っ……」ヌリュ クチ
兄「…お、おい……腰動き過ぎ……」
妹「……はっ……っは……ん…あっ……ひっ……ぅあっ、ん……」ジュチ ヌチュ
兄(手が……手がスゴい事に……)
妹「…あっ……ふぁっ……あ…あ…っっっ……ん……ーーっ!!……っは……ひっ……ひぁ…あ…………」ショワワ
妹「…っ……っ……ふぁ、あ……」クテン
兄「…………ズボンも、布団も、びちゃびちゃなんすけど……」
妹「……はー…っ……は……すご…い……これ………」カクカク
兄(まだ腰が小刻みに震えてる……聞こえてねーし……なんかもう出来上がっちゃってるし)
兄「………」ガバ
妹「………ん……」
兄「はい交代。下、脱がすぞ?」スルスル
妹「……あ……ごめ……私……で……でちゃっ…た………」カァァア
兄「多分小便じゃあねーから安心しとけ。うわー、こんなにズボンびちゃびちゃにしちまって……」ジットリ
妹「………ぅう……」モジ
兄「……はい次」スル
妹「………ぁ……」
兄(こっちも他の肌と同じように……いや、一際白くテラテラと艶かしい………閉じてる……けど、動いてるな…)
妹「……や……見ない…で………」カクシ
兄「……あの…手で隠されると余計に、その……エロさ際立っちゃう、みたいなー………」
妹「………うぅううう…………」モジモジ
妹「…………?……」ピト
妹「……太もも……これ……」ニギ
兄「っ…………!」
妹「…わ………これ…………こんな……に……なるんだ…………固、い……」サスサス
妹(……いままで……こんなに…なってたの……見た事………ない……)サワ
妹(…ズボン……張ってる……)
兄(……すっげーぎこちねーんだが、集中しちまってるみてーだし、俺も俺で触るかな)ヌル
妹「………」ビク
妹(…あ……忘れて…た……私……裸で……)スリ スリ
兄(意外と…てか、元々か……こっちが触ってんのに手を止めないのはなかなかこっちも興奮する)クニュ
妹「…ん……んん……はぁ……」ブル
妹(…うう……周りだけ……触られると………足りない…もっと……欲しい……)コスコス
兄(なんか、手のスピード早くなった…?ん……うわ、内側触ってなくて焦らし状態だからかトロトロ出て来てる……ま、しかし…もう少し柔らかいここを堪能します)プニュ ヌリ
妹「…は……あ……んふ………」シュ シュ ニギ
妹(もっと……もっと……中……そこじゃ……なくて………切ない……よぉ……)ジワ
兄「……腰、動いてるって。……エロいんだな、妹」ヌリュ ツー
妹「……ぁ、は……違う……もん…兄が……いつまでも…待たせる……からぁ……っ…」ニギニギ
兄(おねだり妹可愛い……ここから、ヘソ、太ももの付け根をゆっくりと………)スリ ヌリヌリ
妹「…うぁ……っふ………も……う……いじわる……こっち……だって……」スル
兄「……っ……」
妹(……ちょ、直接……触ったら……兄も…我慢………できない…はず………あ、熱い……手……スゴい……)ニギ
兄「このヤロ……」チュ
妹「…あっ…!………おっぱい……吸っちゃ………んきゅ……」ビクビク
兄「……ん……ふむ………」チュ レロ
兄(…最っ高に柔らかくて、心無しか甘い気が……気のせいか……でもこれは、なんつうか癖になりそう……もちろん手は止めない)クニ
妹「…ひ…ぅく………あっ……!」
妹(……兄…ずるい……っ……私は……ここしか…触る所……ないのに……)ゴシ
兄「……ふ……妹ー、手が動かなくなってきたぞー」ヌリュヌリュ
妹「…うあ…あうぅ………んん……はぁ………も……無理……」ヘタ
兄(反撃不可になるまで力入らなくなったみてーだな……いや、実を言うと俺も我慢汁が染み出してきてパンツが少しヌルヌルしだしたっていうね……本気で責められたら危なかった…)クチ
妹「…!!……ひゃあっ…ん……こ……これ……入って、る……?……指……入ってるっ?……」ビクン
兄「んー、まだ入り口かなー」チュク ヌチ
妹「……ま、まだ……なんだ、ね……にへへ………んっ……あっ……」ギュウウ
兄「あんまし抱きつかれると手ー動かしにくい」ニュルニュル
妹「…だっ…て……ふぁ……ん……力……入れない、とっ………きちゃう…の………」ヒクヒク
兄「…了解、俺も脱ぐからちょっとお預けな」ス
妹「……は……ふぅ……ふぅ……っ…」トロトロ
兄(いくらなんでも感度良すぎやしないですかね、妹さん……。まぁ、それはそれで俺結構嬉しいけど)ヌギ
兄「……ん、大丈夫だ」
妹「…………わ………私……こんなの……触って……」ゾクゾク
妹(………た…たしか……友の家で見た……DVD……だと……)オソルオソル
兄「…え…?あ、おい……流石にそこまではしなくてもいいんだぞ」
妹「…………はむ………ん……ちぅ………あぷ…」
兄(…上目遣いとぎこちなさの背徳感が…っ……うわ、無茶苦茶ドキドキきてるよ俺………奥まで突っ込むのは怖いんだろうが、ちろちろと先をいじくる舌の感覚がたまらないんですけど……)ゾクリ
すみません、この回すぐに終わらせようと思ってもなかなか難しいです……。
とりあえず番外編とかも頭入れてこうと思ったんですが、しっかりまとまらないままスレ終わっちゃいそうな具合なので自重します。
更新スピードの遅さ故です、本当に申し訳ないです。
妹「……んぷ……ちゅ………んむ……」ズル ズル
兄「…っ……ふ………」
妹「……ぷは………気持ち……いい……かな…?…」タラ
兄「ああ……すげーいい…」ドキ
兄(妹の口から俺のに細く伸びて伝ってる唾液がエロすぎる……ぷっつり切れたと思ったらだらしなく口元を汚してんのに、気にせず俺の事を気にする妹………天使すぎる……本当に)ドキドキ
妹「……やった……じゃあ……もう少し……頑張る……から、ね……はむ…」
妹(……こうして……兄の顔、見ると……いろんな顔、する………私が……その理由だって……分かるのが、嬉しい……)チウ ペロペロ
妹(……先っぽ……ツルツルしてて……ちょびっと、しょっぱい………けど……兄の、ヌルヌルが……じんわり……私の中に……)プチュ
兄(だ……どんどん上手くなってねーか…?いや……こいつ俺の顔観察しながらうまい具合にしてる?……確かに、結構鋭いけど………)ビク
妹「……んむぅ……ちゅる……はぷ……ふ……」
妹「……ん……ぷふぅ……はむ……れる……」チュルチュル
兄(咥えてたのを離して、今度は横を、か……太ももに時折当たる妹の頬と髪がくすぐったい、体液で妹の頬に張り付く髪がなんとも言えねー……)ビク ビク
兄「…ん…だよ……急に、一方的に責めだしやがって……くそ……」
妹「……ふふ……さっきは……いじめられた…から……仕返し……♪……」カプ チュ
兄「…楽しそうにしてんじゃあねーよ……」
妹(……もうちょっと……奥まで……いける、かな?……)パク
妹「……ん……んん……ぐ………」ズル ズルル
兄「……っ……う…お………」ゾクゾクゾクゾク
兄(急に、奥まで!?)
妹「……ず……んく……っ……ぷぇっ……けほ……っ」
兄「む、無理してんじゃねー……」ビク ビク
妹「……にへへ……兄の……今……スゴく、ビクって……した……あむ…」
兄「……ちょ、ホントに!……それ以上は、キツいって……!」
妹「……んぐぅ……じゅ………あふぁ……ひ…………ひもひ………ひ?……」ヌリュ
兄「…もう十分!気持ちいいからっ……マジで離れろって……やばい…!」ビクッ
妹「……♪………じゅ………ぷ……ん……くむ………」ジュプジュプ
兄「……こ、の………っ……もう……限界…だって……」ガシ
妹「……んん……!?………んぐっ?……」ジュ ジュ
兄「……はっ、はっぁ……く…あ……妹……妹っ……」カクカク
妹「……ふっ……ぶぁ……ぷ……くふ……ぅん…!…」ガプッ ジュプ
兄「…っぐ……あ………あ……出る………っく……ぐ……」ギュ
妹「……~!!!……こふ……!?………」
兄「…っ………」ビュク ビュルル
妹「………んんんんん!?………ぐ……くぷっ………」ビク
兄「……っ…っ……は…ぁ……」ズル
妹「……けほ……うぁ………こえ……何…?……くひ、の中……変……」ドロ
兄(口から、俺の精子をドロリと零しながら、涙目で不安げに見つめる妹……うわ……俺変態じゃん……こんな、なのに…すげー興奮してる……)
兄「……わ、悪い…一応……うん……これが、赤ちゃん出来る……基、みたいな……うん」
妹「……ぅえ……これ……?………うー、ん………………ん、く…こく……」モニュ クチュ
兄(え……え?え!?……口元から溢れたヤツを口に入れて咀嚼……って…レベル高すぎるだろ……いや、そんな姿で息子がまたフルボルテージなんですけども)
妹「……」
兄「…ど、どうした?」
妹「…………慣れたら……多分……癖になっちゃう……かな……」
兄「は?」
妹「……う……その……兄の……だし……私……嫌じゃ、なかった……から…………その」シドロモドロ
兄(コイツが女神か………)
妹「……まずい……けど…………」
兄「…………そうか」
妹「………じゃ、じゃあ………今度は………」クチュ
兄「……………ん…」
妹「……ここ……だよ、ね……」
兄「さっきよりもなんか……」
妹「……うる、さい…………」ダキ
妹(……気持ちよくて……ゾクゾクして……頭が…ぽーっとして………なんて……言えない……)
兄「はいはい」グチュ
妹「…んっ……あふ……」
兄「……散々攻撃してきたかんなー…俺も止めねーぞ」グチ ニュチ
妹「……っひ……くぅ……ふあ………」
兄「………」ピト
妹「…………ぁ…………」ピク
兄「いくぞ」
妹「………うん………」
兄「………」グ ヌプ
妹「………っ……っき……あ……あぅ……」ギュウウウウウウウ
兄(きっつ……結構グチャグチャだったんだが、これはまだ………)
妹「…はい……った………?」ジンジン
兄「いや、まだだ…無理そうか?」
妹「………痛い………」ジワ
兄「な、泣くほどいてーならちょっとずつだな……」
妹「……や………今……なの………」ブチ グズ
兄(なんだこれ…みっちりした肉圧と……熱くて、溶けそうな……絡みつき……)ズヌヌ
妹「……痛いぃ…………」ポロポロ
兄「…よく頑張った……な?だからここまでに………」
妹「……い、や…!……しっかり、兄と………繋がって……たい……」グチチ
兄(俺が限界なんです!)
妹「………う……ぇええ……まだ…ぁ…?………」プルプル
兄「…………三分の一ぐらい……入ってない」ヌチチ
妹「……も……お腹…いっぱい…………入らない、ぃ………」ツー
兄(確かにつっかえてる感じはするけども……このままだとなんか、物足りない…つーか……もっと奥まで……妹を責めたいといいますか……)グチ グチュ
妹「…ふぁ……ふぐ………せー………の……で……お願い………これ以上……無理……」ギュウ
*ばれんたいーん*((ФωФ*
兄「いや、せーのって……」
妹「……い、きます………せ……せーの……」
兄「え、ちょ……」
妹「……ひ……ん………ぐぅっぅ…………」ブチブチ
兄「っ…」ヌヂ
妹「……っ……ぅ……全部……入った………ぁ…」ビクビク
兄「……無理すんなよマジで……」
兄(……全部入ってない……なんて言えない……)
妹「……ちょ…っと………このまま…………」ギュ
兄「…はいはい」ナデナデ
妹「………はぁ………変な……感じ………お腹……いっぱいいっぱい……」
兄「そうか」
兄(突っ込みたい…全部全部突っ込んで、グチャグチャにしたい……)ウズウズ
妹「……ビク…って……してるのが……分かるし……熱い……」
兄「それ言わなきゃダメか?」
妹「……確認…してるの……兄の……形……とか……」
兄「……なんか照れるからやめろ」
妹「……ふふ……私……動いたら……兄……ダメそう………余裕が、ない……」ヌ
兄「もう、大丈夫なのかよ……」ズヌ
妹「……少し……痛いけど……ちょっと、なら……」ズチュ
兄「妹は…余裕あんのか?」グッチュ
妹「……兄、より……は……」
兄「…じゃ、大丈夫そうだな」
妹「……にへへ……私の………耐えられる……?」ヌチュヌチュ
兄「……ん…」ズン
妹「…っふ……!?……うあ…っ……」ビク
兄「……俺も、我慢できないんで。攻める」ズップグチュ
妹「……く…きゃぅ……そ、んな……ひ……はげし……」
兄「余裕、見せてくれよー」パチュパチュ
妹「…ん……なぁ………無理……っ……こんな……」プシ
兄「…ほれほれ、さっきの…余裕はどうした?」グッチグッチ
妹「…ぉおく……ぅぅ……!……チカチカ……きちゃう……からぁ…」ゾクゾク
兄「ん、もう少し……奥まで、やってやろうか?」ズチグチグチャ
妹「そ……じゃ……なくて……ぇ……ふぁああ…っ……」キュンキュン
兄(ぬお、締め付けえぐい……だけども…ここでっ…)ズギュ
妹「…ひゃ…ーーっ……かひッ………」ビクビクビクッ
兄「…っふ…く……キツい……な……ちょっとイった?」ズプズプ
妹「…はひ…っ……あ……ぁ…んんん……あた…ひ………い、ま……」ダラリ
兄(聞いちゃいないよ……)バチュン グチュ
(ΨП*)*ばれんжたいーん*(*ΠΨ)
妹「………ひぅ……はっ……はっ……」ピク
兄「それじゃ次はー……」グチュ
妹「…ひぁん………兄……この格好………」
兄「まぁ、気にすんな。ただちょっと……」ギュチュ
妹「……あっ……は……んっ…」
兄「奥までしっかり、できるってぐらい…かねー」パンパン
妹「……ひゅ……あ……っ……これ……だめ……っ……」ジュン
兄「………ん?」
妹「……奥……ほんと、に………奥まで………響く……から…」ビクン
兄「そうやって、振り返って、涙目見せられると……興奮する……」パチュン
妹「……こんな……四つん這い………お腹に…と……おっぱい…に……垂れてきて……」
兄「垂らしてんのは、お前の身体だからな?…こんなに……いろいろ出やすい体質なんだな」ズチュ
妹「……しらっ……ない…よ………そんな…………」クタ
兄「…ほれ、手ー貸して」ガシ
妹「…ふぇ……あふ………っ……ひぁ………!」ガクガク
兄「どうよ?」
妹「…ひゃひぃ…ん……きゅ……や………さっきよりも……だめ…ぇ……っ」
兄「綺麗な背中だ……それに、これなら胸も、触れるし…」ムニュ
妹「……舐めない…でぇ……ひんっ……あ…あっ……だ、え……また、また……」ガクガクガク
兄「イクところ、しっかり見てるから……ほら、よ……」グチャパチュ
妹「……くぁあっ…ん……きゃう………いや……わたし……兄の……顔見て……たい……よ…ぉ……」クタ
兄「……可愛いヤツだな……ホント」グチ
妹「……ひっ…く……ふ……あふ………」
兄「……ほら、一緒だ……最後はしっかり……な」ギュ
妹「……うん………きて………兄…」
兄「……ふっ……くぅ……」ズッチュズッチュ
妹「……ひゃう!……あっ……ひゃ………はっ……あ……あっ……」ギュウウウウウ
兄「……俺は、妹と……一生……添い遂げる、つもりだからよ……いいか…?」グチュグチュグチュグチュ
妹「……きて……いっぱい……私も………兄と……いたい………」ガシ
兄「……はっ……はは………ほら、いけ…っ」パチュパチュグジゥ
妹「……あッ…ふぁ……あ…ああ……ん……も……わた…ひ…」ビクビク
兄「…俺、も……っ…」グチャンズプズンッ
妹「…――――ーっ!!!…うあぁああああんっ………」ガクンガクン
兄「……っ……」ビュク ルルル
妹「……ーーーーーーー……ひっ………ふぁ……あ……あった……かい………」ジワ
兄「……っ…は……ぁ…………」
妹「……………ふぁ……このまま……で……お願い……」ギュ
兄(抜かないままで、いいんすか……流石妹……」ナデナデ
妹「……赤ちゃん………できちゃう…ね………」チュ
兄「……だな…」
____________
兄「………く………腰が………」
妹「………にへへ……」サスサス
兄(あの後4回戦ぐらい……こってり絞られてしまった……若いって恐ろしい……結構攻めてたのに、最後はなんだかんだ襲われてたに近い)ゲッソリ
妹「………ね………兄………また、しよー………ね」ツヤツヤ
兄「…一応、付き合いますよ………」
兄(体力持つか知らんけどねー)
妹「……」ギュ
兄「……んだよ…」
妹「……高校……途中で……辞め…なきゃ、ね……」
兄「……あー……そういう知識はしっかりしてんのね」
妹「……あたり、前……それで…………今日は……学校、休んで………お出かけ……」
兄「あん?これからどこ行こうってのさー」
兄(正直腰痛い……俺も歳なのか……」
妹「……もちろん……役所………結婚………するんでしょ……?」
兄「恐ろしいほど行動力満々だなおい……」
妹「……にへへ………」ダキ
兄「…ベタベタすんな、暑苦しい」
妹「……秋……だから……丁度……いい……」
兄「…まぁ、そうなんすけども……」ポリポリ
妹「……私……子供に……なんて…名前……つけようかな……」
兄「今考えなくてもいいんじゃあないっすかねー……」
妹「……む……じゃあ……服を………」
兄「それも、まだいいって」
妹「………………」ムー
兄「…なんつーか…幸せに、暮らせるように……いろいろ考えたい……」
妹「…………」
兄「…その、改めて…なんつーか……夫婦、として」ソッポムキ
妹「……そう…だねっ……」
兄「お前にも、不自由はさせねーよ。妻として……俺を、こんなですが…支えて欲しいっす」
妹「……うん……」
兄「…健やかなるトキもー、病めるトキもー…えいえーんのー、愛を誓いマースカー?」
妹「………変なの…………」クス
兄「うっせ……自分で言っててもアホらしいと思ったわボケ」
妹「……わざわざ……外人さんの……真似……しなくても……いいのに………」
兄「テレビでしかそんなの見た事ねーしよ、しかも胡散クセーやつ」
妹「……………兄」
兄「……ん?」
妹「……」
兄「なんすか?」
妹「…………誓います……」
兄「……ああ、そういう事…」
妹「……兄………」
兄「…はいはい誓いますよ」
妹「…む………いいかげん……は……だめ」
兄「……誓います」
妹「……にへへ……」
兄「……あー、恥ずかし…何やってんだか……ホント」
妹「………」チュ
兄「………」
妹「……誓いの、キス…………」
兄「……しっかりしてるねー」
妹「………幸せに……してね……兄……」
兄「はいよ、任せなさい」
____________
妹「……」兄「なんすか?」
おわり
どうもありがとうございました。
これで終了とさせていただきます。
番外編書ききる前にこのスレ終わってしまうでしょうし……。
なにより慣れないエロなんて書くもんじゃないと思いました。
色々湧いちゃうし、この二人にそんなエロの需要もなかったような気がしました……
というわけで、昨年から続けて読んで下さった方、途中から追いついて読んで下さった方、ありがとうございました。
次はおそらく”後輩「咲きましたねー」先輩「そうだな」”でチマチマと書くと思います。
もっと上手く書けるように頑張っていきたいと思います。
どうもでした。
良かった。。。乙!!
このSSまとめへのコメント
よかった!
素晴らしい。個性的なキャラクター、主人公の心の葛藤、虐待。テーマは重いですが、それでいて一人一人が人間らしくリアルでした。眼鏡は特に良い味だしてました。
作者ワールドの展開だなww想像力に長けてるね。イチャ展開付きで素晴らしかったで。乙ぽん
作者のコンプレックスが全面に押し出されててキモかった
コンプレックス刺激された。けど、
話すっげー良いと思う。
あと、ロリコン年齢差なのに
犯罪者に見えない兄すげぇ。
こういうの探してたから見てて本当におもしろかった
いい!すごくいい!
ちゃんと登場人物の心情にも感情移入できるクオリティーでなおかつ読み終わった後の爽快感がぱない
いいものを読ませてもらった!
エロスと感動を絶妙なバランスで
掛け合わせ持っている···んんー!
スンンンンンンバァスィイイイイイイイイイイ!
幼女hshsです、永遠に幼女でいたかった···
寝取られ、レイプ未遂で良かった〜。
胸糞だけは勘弁して欲しかったからね。
本当、最後まで楽しめた。
神ss
もう少し、小学校の所と悪者を痛めつける所を濃く書いて欲しかったかな(個人的には)
キャラは一人一人見ていて楽しかった!とても面白い作品に出会いました(`・ω・´)キリッ
プリンプリン姫?
↑ プリンセスって単語が出てこなかったんでしょ