櫻子「私たちの向日葵」(241)

櫻子「(おかしい)」

撫子「……」ソワソワ

櫻子「……」

花子「……」ソワソワ

ピーンポーン♪
               ゴメンクダサーイ>
撫子「!」ガタッ

花子「来た!」ガタッ

ダダダダダッ...

櫻子「(なにかがおかしい……)」

~玄関~

撫子「ひま子……ひま子……」スリスリ

花子「ひま姉さま……ひま姉さま……」スリスリ

向日葵「な、撫子さん、花子ちゃん、やめ――あっ、た、助けて櫻子……!」

櫻子「……」

櫻子「(絶対におかしい)」

櫻子「……あーもー、ねーちゃんも花子もやめろってば。向日葵が困ってるじゃんか」グイッ グイッ

撫子「はっ、私は今までなにを……」パッ

花子「我を忘れてたし……」パッ

櫻子「……」

向日葵「や、やっと解放されましたわ……」

撫子「ごめんねひま子。苦しかったでしょ」

向日葵「あ、いえ。お構いなく……」

撫子「……ひま子はいい子だね」ダキッ

向日葵「わぷっ……!? ちょ、撫子さんっ?」

撫子「なに?」

向日葵「あの、何度も急に抱きしめられたりしたら……」モジモジ

撫子「迷惑?」

向日葵「い、いえ! そういうわけじゃ……でも……ぁぅ」

撫子「ふふ……ひま子かわいい……」ウットリ

花子「ぐぬぬ……」

花子「えいっ!」ドンッ

撫子「おっ?」ヨロッ

花子「えーいっ!」ダキッ

向日葵「わっ……は、花子ちゃん?」

花子「えへへ。こんばんは、ひま姉さま!」ニパー

向日葵「こんばんは……あの、花子ちゃん? 会う度に言ってますけど、その姉さまっていうのはやめてくれません……?」

花子「えー、だって姉さまは姉さまだし」

向日葵「ですから……」

花子「……ひま姉さまは、花子が妹じゃ、イヤ?」

向日葵「えっ? ぁ、いえその、別に花子ちゃんが嫌とか嫌いとかじゃ……」アタフタ

花子「だったら姉さまって呼ぶし。姉さまーっ♪」ゴロニャン

向日葵「あ……もう、花子ちゃんは甘えん坊さんですわね……」ギュッ

花子「ひま姉さまぁ……」ウットリ

撫子「ぐぬぬ……」

撫子「ところでっ」グイッ

花子「あっ!?」ヨタッ

撫子「ひま子、今日は何か用事?」

向日葵「あ、はい。おかずをおすそ分けに」

撫子「おすそ分け?」ピクッ

花子「おすそ分け!」ピクッ

向日葵「ええ、里芋の煮っ転がしですわ。昼に学校で櫻子にせがまれまして……」

撫子「へえ……美味しそうだね」

花子「花子、ひま姉さまのご飯大好きだし!」

撫子「ありがとねひま子。実は今日、うちに白米しか食べるものがなくって困ってたんだ」

向日葵「白米しか!? そ、それはなんとも切迫した事態でしたわね……助けになって幸いですわ」

花子「さすがはひま姉さま、最高のタイミングだし」ウンウン

撫子「ほんと、花子の言う通り」ウンウン

櫻子「……」

櫻子「(……私が、『向日葵が料理持ってくるぞ』って教えた途端に晩ご飯つくんのやめたクセに……)」 

向日葵「えっと、じゃあ私はそろそろお暇を……」スッ

撫子「えっ」

花子「えっ」

向日葵「えっ?」

撫子「泊まっていかないの?」

向日葵「と、泊まっ!? い、いきませんけど……?」

花子「えー? 花子もっとひま姉さまと遊びたいしっ」

向日葵「そう言われましても……うちで楓が待ってますので」

撫子「そう……なら仕方ないか」

花子「残念だし……」

向日葵「ごめんなさい。また来ますから、その時にはたくさん遊びましょう、花子ちゃん?」ニコッ

花子「ひま姉さま……」キュンッ

向日葵「撫子さんも。次の機会にも是非お相手してくださいましね」ニコッ

撫子「ひま子……」キュンッ

櫻子「……」

向日葵「それじゃあ、お邪魔いたしましたわ。おやすみなさい」ペコッ

キィ...パタン

撫子「……」ホッコリ

櫻子「……」

花子「……」ホッコリ

撫子「……」

櫻子「……」

花子「……」

撫子「ひま子……次はいつ来てくれるかな……」ブルブル

花子「ああ……なんか手が震えてきたし……」ブルブル

櫻子「………………」

櫻子「……」モグモグ

撫子「ひま子の作った煮っ転がし、美味しすぎる……」モグモグ

櫻子「(確かに美味しいけどさぁ)」

花子「(ひま姉さまの料理ならいくらでも食べられるし)」モグモグ

櫻子「(お前いまダイエット中とか言ってたろ)」

撫子「はあ……ひま子に煮っ転がされたい……」ウットリ

櫻子「(なに言ってんだねーちゃん)」

花子「花子も、ひま姉さまにだったら煮っ転がされてもいいし……」ウットリ

櫻子「(しっかりしろ花子)」

撫子「あれ……里芋、もうない……」ガーン

花子「ぁぁぁ……花子のもだし……」ガーン

櫻子「……あのさぁ」

撫子「なに櫻子。今ひま子の手料理の余韻を噛み締めてるんだけど」

花子「そうだし。次ひま姉さまがいつ来るか分かんないし、邪魔しないでほしいし」

櫻子「……さっきからふたりで向日葵向日葵って……」

撫子「……」

花子「……」

櫻子「もしかして向日葵のこと好きなの!? なーんちゃっ」

撫子「好きだよ」

花子「好きだし」

櫻子「マジかよ……」

櫻子「……」

櫻子「えっ」

櫻子「マジかよ!?」ガタッ

花子「櫻子うるさいし」

撫子「そうよもっと静かにしな」

櫻子「えっ、いやだって……え、うぇええっ!?」

花子「だからうるさいし……」

撫子「ていうか、見てて気付かなかったの?」

櫻子「ぜんぜん」

撫子「流石っす」

花子「流石っす」

櫻子「照れるッ!!」テレッ

櫻子「」ハッ

櫻子「そうじゃなくてー!!」ムキー

櫻子「えっ……えっ? なに、ねーちゃんも花子も、えっ!? 向日葵のこと好きなの!?」

撫子「大好きだよ」

花子「大好きだし」

櫻子「大好きなの!?」

花子「当たり前だし」

撫子「むしろ櫻子は?」

櫻子「えっ?」

撫子「櫻子はひま子のこと大好きじゃないの?」

櫻子「だッ!? だだ、大好きとかじゃねーし!!」カァッ

撫子「じゃあ嫌いなの?」

櫻子「きらいじゃないもーん!」

花子「どっちだし……」

櫻子「きらいじゃないもーん!」

櫻子「っだ、だいたい、なんで向日葵だよ? 特にねーちゃん!」

撫子「私?」

櫻子「そう、ねーちゃん! ねーちゃん彼女いんじゃんか!」

撫子「」ピクッ

櫻子「それなのに向日葵がどうとか――」

撫子「……」

櫻子「って……ねーちゃん?」

撫子「実は、」

櫻子「?」

撫子「実は、そこに私がひま子を好きな理由が……」

櫻子「えっ」

撫子「あれは……先週のことだったかな……」

………………

…………

……

撫子「だからさーひま子ー聞いてるー?」

向日葵「は、はいはい。大丈夫、ちゃんと聞いていますから……」

撫子「……私もさー? 悪かったとは思ってるんだよー? でもさー……」グチグチ

向日葵「ええ、そうですわね。撫子さんも、彼女さんの為を想っての事ですものね?」

撫子「そう! そうなんだよー、そうなのにさー……あいつ、あのバカったら、もう……っ!」プルプル

向日葵「な、撫子さん……あまり興奮されては、美容と健康が……」

撫子「いーの! 今日はなんも気にしない。だからひま子も気にするな! 飲め!」グイッ

向日葵「わ、私は結構ですわ……撫子さんも程々に」

撫子「はー……ひま子はやさしーなー」ギュッ

向日葵「ひゃっ。な、撫子さん?」

撫子「ねーひま子……」

向日葵「は、はい」

撫子「私と浮気しよっか」

向日葵「はい!?」

撫子「ねー、だめ?」

向日葵「だッ……で、でも撫子さん。撫子さんには彼女さんが……」

撫子「うん。だから浮気」

向日葵「だから、って……!」

撫子「……ひま子的には、私じゃダメ?」

向日葵「え……」

撫子「やっぱり櫻子かー」グデー

向日葵「なっ!? ななな、なんでそこで櫻子の名前が……」アタフタ

撫子「(かわいい)」

向日葵「こ、こほんっ。えっと、別に私は、撫子さんが嫌いとか、そういうんじゃありませんわ」

撫子「じゃあ浮気」

向日葵「しません」

撫子「えー……」

向日葵「だって、そんなの撫子さんに悪いですもの」

撫子「……え?」

向日葵「撫子さん。撫子さんはとても素敵な方ですわ」

向日葵「クールで知的で、スリムで美人で……私の憧れですの」

向日葵「そんな撫子さんとじゃ、私なんて釣り合いません」

撫子「そんなこと……」

向日葵「第一、浮気なんていけないことですわよ?」

撫子「ぅ゛」

向日葵「撫子さんみたいな人が、そんなことしちゃダメですわ」

撫子「ひま、子」キュン

向日葵「もちろん、彼女さんにも悪いですし。やっぱりまずは仲直りするべきだと思いますわ」

撫子「……うん、わかった。けど……」オズッ

向日葵「大丈夫。撫子さんの素直な気持ちを伝えれば、きっと許してもらえますよ」

向日葵「だって、素顔の撫子さんってばとっても可愛らしいんですもの」

撫子「ひ、ひま子……」ドキドキ

向日葵「ねっ?」ニコッ

撫子「」ズキュウウウウウウン

……

…………

………………

撫子「ということがあって、今では私の心はひま子のもの」ポッ

櫻子「え……彼女は? 結局どうなったの? 別れた?」

撫子「ヨリ戻したけど」

櫻子「浮気じゃん!?」

撫子「浮気だけど」

櫻子「開き直った!?」

撫子「まあ浮気って言うと聞こえは悪いけどさ、お隣さんとちょっと一線超えてみるぐらいよくあることだよ」

櫻子「ねーよ! 絶対ねーよ!」

撫子「自分だって超えていいなら超えてみたいクセに」

櫻子「こ、超えてみたくないもーん!!」カァー

花子「……姉ちゃん!」ガタッ

撫子「ん?」

花子「姉ちゃんがひま姉さまを好きになった理由、はじめて聞いたし」

撫子「だろうね。私もはじめて言ったし」

花子「……見損なったし!」

櫻子「花子……?」

花子「花子、姉ちゃんのこと、ひま姉さまの次ぐらいには好きだったもみ」

花子「なのに姉ちゃん、浮気とか二股とか……酷い」グッ

花子「そんな悪女にひま姉さまは渡せないし……」

花子「ひま姉さまに釣り合わないのは姉ちゃんの方だし!」ビシッ

撫子「へぇ……そこまで言うんなら、花子にはよっぽどご立派な理由があるんだよね?」

花子「……わかったし。教えたげる。花子が、ひま姉さまを好きになった理由……」

………………

…………

……

花子「櫻子のバカぁ! もう知らないしっ!」ダッッッ

「え? きゃっ――」

花子「ぁ、えっ!?」

ドシーン

花子「ったぁ……もぉ、誰だし……」イテテ

「花子ちゃん?」

花子「え? あ、ひま姉ちゃん……」

向日葵「こんにちは。ぶつかっちゃいましたわね、立てます?」スッ

花子「うん……ありがとだし」スクッ

向日葵「櫻子に用があって来たんですけれど、います?」

花子「……知んないし……」プイッ

向日葵「え? あの、いるかいないかぐらい……」

花子「」ツーン

向日葵「……」

向日葵「とりあえず……私のうち、来ます?」

~向日葵の部屋~

向日葵「はい、紅茶ですわ」カチャッ

花子「……いただきます。し」

ズズー...

花子「! おいしい……」

向日葵「お口にあって良かったですわ。お茶請けにクッキーもどうぞ?」

花子「い、いただきますっ……わぁ、こっちも美味しいし!」ニコニコ

向日葵「ふふっ……それで、櫻子となにかありました?」

花子「っえ、なんで……!?」

向日葵「私とぶつかる直前に、怒鳴り声が聞こえましたから。花子ちゃんがケンカする相手なんて、櫻子ぐらいでしょう?」

花子「……」

向日葵「私で良ければ、話を聞きますけど?」

花子「……、実は……」

向日葵「……」

花子「実は花子……櫻子のことが、好きなのっ……!」グッ

向日葵「えっ……」

花子「……っ」

向日葵「は、花子ちゃん……あなた、それがどういう意味かわかって……」

花子「……わかってるし。姉妹だし、女の子同士だし、変なのは、わかってるもん……」

向日葵「……!」

花子「わかってるのに……わかってても、止められないし」

花子「花子は、櫻子が好き。大好き」

花子「あの笑顔を見るたびに、胸がきゅーって苦しくなるし」

花子「でも、いつも恥ずかしくてイジワルばかり言っちゃう」

花子「……ねえひま姉ちゃん、花子、どうしたらいいの……!?」

向日葵「……」

向日葵「あ、花子ちゃん」スッ

キュッ

向日葵「タイが曲っていてよ」ニコッ

花子「」ズキュウウウウウウン

……

…………

………………

花子「そんなこんなで、ひま姉ちゃんはひま姉さまになり、花子の一番大好きな人の座をゲットしたし」

櫻子「待って」

花子「なんだし」

櫻子「……ちょ、えっ……えー?」

花子「なんだし」

櫻子「………………花子、私のこと好きだったの?」

花子「もう過ぎたことだし。気にしなくていいし」

櫻子「するよ!? 気に!!」

花子「しなくていいし~」ウェー

櫻子「イヤそうな顔すんな! 時間差で告白された私の立場は!? 花子、私への止められない想いはどこ行ったの!?」

花子「んなもんひま姉さまへの想いに比べたらカスだし」

櫻子「コイツ今カスっつったか!?」

撫子「櫻子。ちょっと落ち着きな」

櫻子「ぅ、うー……!」ガルル

撫子「というわけで、私も花子もひま子のことが大好きなわけだけど」

櫻子「……どうしよう。どういうわけか全然わかんないよ……!」

撫子「櫻子は?」

櫻子「えっ?」

撫子「櫻子はひま子のことが」

櫻子「きらいじゃないもーん!」

撫子「うん。嫌いじゃないし、好きでもないってことね」

櫻子「っ……」

花子「だったらジャマしないでほしいし」

撫子「だね。私たちはこれからもひま子を口説き続けるから。櫻子はくれぐれも邪魔しないように」

櫻子「で、でも……」

撫子「 邪 魔 し な い よ う に 」

櫻子「ぐぬぬ……」

櫻子「(その次の日から、ねーちゃんと花子による向日葵争奪戦が始まった)」

向日葵「な、撫子さん……」

撫子「どうしたの?」

向日葵「あの、なんか……近くありません?」ギチッ

撫子「べつに?」ギチッ

向日葵「そ、そうでしょうか……せっかくの4人がけのソファ、半分も使ってないんですけど……」ギチッ

撫子「……」ギチッ

さわ…
 さわ…

向日葵「ひぁ!?」ピクン

撫子「……」サワサワ

向日葵「んっ……な、撫子さん……」

撫子「どうしたの?」サワサワ

向日葵「ぁ、の……なんで、太もも……手っ……」プルプル

撫子「細かい事は気にしない。撫子撫でる子元気な子」サワサワ

向日葵「わ、わけがわから、ふぁ……っ!」ピクンッ

櫻子「……」

櫻子「(ある時はねーちゃんが)」

花子「ひま姉さまーっ」

向日葵「あら花子ちゃん。なにかご用ですの?」

花子「ひま姉さまっ。花子、姉さまとデートしたいし!」

向日葵「で、でーと?」

花子「デートだし!」

向日葵「お出かけでなく?」

花子「デートだし!」

向日葵「……ちなみに、どちらまで?」

花子「公園!」

向日葵「公園でしたら、まあ……」

~公園~

向日葵「ん、ふっ……、花子、ちゃ……っ」プルプル

花子「はぁぁぁぁ……♪ ひま姉さまの膝枕、ちょーきもちーし……ふとももすべすべ……」スリスリ

向日葵「ど、どうしてあなたたち姉妹は、私の太ももばかり狙って……ぁんっ!?」ピクンッ

櫻子「……」

櫻子「(ある時には花子が)」

向日葵「……あの、撫子さん……」

撫子「ん?」ナデナデ

向日葵「どうして私は延々と頭を撫でられ続けているんでしょう……?」

撫子「私が撫でたいから。以上」ナデナデナデシコ

向日葵「……そうですか。でも、ずっと撫でられっぱなしでは手持ち無沙汰で……」

花子「だったら花子の頭を撫でればいいしっ!」ズザァーッ

向日葵「花子ちゃん!?」

花子「ひま姉さま、撫でて撫でてっ」

向日葵「はぁ……で、では……」ナデ...

花子「ん♪」

向日葵「わ、すごい……ふわふわのさらさらですわ……」ナデナデ

花子「にゃあああ……♪」ウットリ

【ナデナデ】撫子→向日葵→花子【モフモフ】

向日葵「な、何事ですのこれェ……」

櫻子「……」

それは私ではありません
なぜなら私は今意識を取り戻したからです

櫻子「(そしてまたある時にはふたり同時に、向日葵に猛アタックをしかけた)」

向日葵「よいしょ、よいしょっ」グッグッグッ

撫子「あーそこそこそこ……ひま子、マッサージ上手だね」

向日葵「ふふ、お褒めに預かり光栄ですわ」

撫子「櫻子も花子もてんで力が足りなくてさ。その点ひま子のは体重が乗った良いマッサージだよ」

向日葵「」ガーン

撫子「んっ……ありがとひま子。もう充分」

向日葵「オ役ニ立テテ光栄デスワ……」ズーン

撫子「さて、じゃあ次は私の番か」

向日葵「……えっ。あの、番って」

撫子「そぉい!」ワシッ

向日葵「ぎにゃっ!? な、にゃ、撫子さんっ!?」

撫子「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」モミモミ

向日葵「んぁ……っふ、ぅ……撫子、さんっ……無言で揉んで、ん、ないで……なにか言ってくださ、まし……」ビクンビクン

撫子「………………おっぱい禁止!」モミモミモミモミ

向日葵「お、横暴ですわ……んああっ!」

櫻子「(ふたりのアプローチは日に日にエスカレートしてきた)」

花子「うーん……あっ、わかったし! 答えは72だし!」

向日葵「はい正解。なんだ、私が教えるまでもないんじゃありません?」

花子「ううん、ひま姉さまの教え方が上手なんだし」

向日葵「あら、そういう花子ちゃんはお世辞が上手ですのね」クスッ

花子「お世辞じゃないし。ひま姉さま、花子ご褒美がほしいし!」

向日葵「ご褒美? そうですわね、お利口さんにはちゃんとご褒美をあげないと……何がいいかしら?」

花子「キスがいいし!」

向日葵「き、キス!? あの、それはちょっと……」

花子「え~? 姉さま、ご褒美くれるって言ったし……」

向日葵「そ、それは……たしかに言いましたけど……」

花子「ほっぺでもいいからキスしてほしいし……」ウルウル

向日葵「……ほ、ほっぺでいいなら……んっ」チュッ

花子「!!!」

向日葵「はいおしまいっ。さあ、宿題を続けますわよ?」

花子「うんっ、がんばるし! えへ、えへへ!」

櫻子「(向日葵の奴は押しに弱いから、ふたりのペースに完全に呑まれてる)」

櫻子「(……ばか)」

撫子「ひま子、お風呂沸いたから入ってきなよ」

向日葵「そんな、家人の方を差し置いて一番風呂なんて……」

撫子「気にしなくていいのに」

向日葵「ですが……」

花子「だったら、花子とひま姉さまが一緒に入ればいいし!」

撫子「なっ」

向日葵「えっ!?」

花子「そうしたら花子が一番風呂だし、姉さまも入れるし。ね?」

向日葵「ね、って……それは……でも……ううん……」ムムム

撫子「……気が変わった」

向日葵「え、撫子さん?」

撫子「私も一番風呂がいい」

向日葵「あ、そういうことでしたらお先にど」

撫子「だからひま子、私と一緒に入ろっか」

向日葵「」

撫子「これなら花子に気を遣ってもらうまでもないでしょ」

向日葵「ででっ、ですが、私と撫子さんじゃ、その、厳しいのでは? 色々と……」

撫子「気にしないでいいよ、ひま子が人一倍スペースをとっても私なら平気だから」ペターン

向日葵「撫子さんの口からまさかの自虐が!?」

撫子「今まで貧乳がコンプレックスだったけど、ひま子とお風呂に入る時の為に膨らまないでいたのかと思うとむしろ誇らしい」エッヘン

向日葵「そ、そんな所に答えを見出されても……!」

撫子「さ、後の細かいことはお風呂に浸かりながら聞くから。早く行こう」グイグイ

向日葵「え、いえその、えぇっ……!?」

花子「ちょっと姉ちゃん、ひま姉さまが困ってるし!」

撫子「むっ」

花子「ひま姉さまがいやがることはしない、そういう約束だし!」

向日葵「花子ちゃん……!」

撫子「じゃあ3人で入ろっか」

花子「入るし」

向日葵「花子ちゃーん!?」

櫻子「……」

花子「うわっひま姉さまおっきい!!」

向日葵「は、花子ちゃん、あんまり見ないで……」

櫻子「…………」

撫子「いやぁ、これは見ずにはいられないよ。ついでに触らずにもいられないかも」ワキワキ

向日葵「ひっ!? そ、その手はなんですの撫子さん……!?」

櫻子「………………」

花子「こらっ姉ちゃん! ……ひま姉さまのおっぱいに最初に触るのは花子だし!」モニュッ

向日葵「ひあああ花子ちゃーん!?」

櫻子「……………………」

撫子「これは……先日の服越しとは次元が違うね……」パヨンパヨン

花子「これが花子と同じおっぱいなんて信じられないし……」ポニョポニョ

向日葵「ふぁ……そんな、ふたりがかりなんて……っ」

キャッキャッキャッ

櫻子「…………………………」

櫻子「(ばかばかばかばかばかばかばかばか)」

撫子「ひま子ー」

向日葵「なんです?」

撫子「私と契約して、愛人になってよ!」

向日葵「いきなり愛人契約を迫られましたわ!?」

撫子「だめ?」

向日葵「だ、ダメに決まってますわ! そんなことを言い出すなんて……撫子さん、また彼女さんとケンカでも?」

撫子「昨日もデートしたけど」

向日葵「なのに愛人!?」

撫子「だから、だってば。恋人もいないのに愛人なんて作れないでしょ」

向日葵「え、なんですのその理屈……?」

撫子「あ、ちょっと待って」

向日葵「え?」

撫子「恋人と愛人って並べると、愛人の方が格上っぽいよね」

向日葵「撫子さーん!?」

花子「ちょっと姉ちゃん、ひま姉さまが困ってるし!」

撫子「むっ」

花子「姉ちゃんみたいな浮気者にひま姉さまは似合わないし!」

向日葵「花子ちゃん……!」

撫子「その心は?」

花子「ひま姉さまは私のお嫁さんになるんだし!」ダキッ

向日葵「花子ちゃーん!?」

撫子「ひま子を離しな花子。あんたにこそもったいないって」グイッ

向日葵「あうっ」

花子「ぜーったい離さないし! 姉ちゃんになんて姉さまは渡さないもん!」グイッ

向日葵「いた、いたたっ」

撫子「ひま子を愛人にして毎日耳掃除してもらうの」グイグイ

花子「ひま姉さまをお嫁さんにして毎日なでなでもらうし!」グイグイ

向日葵「ああぁあぁぁあああ~……」

櫻子「……」

櫻子「(向日葵の……ばか)」

櫻子「……」トボトボ

向日葵「あら、櫻子?」

櫻子「! 向日葵……」

向日葵「……なんか、久しぶりですわね。学校から帰ってふたりで話すの」

櫻子「うん、そうかも……」

向日葵「最近はどういう訳か、撫子さんと花子ちゃんの相手ばかりしてますし……」

櫻子「……」

向日葵「……」フゥ

櫻子「いやなの?」

向日葵「えっ?」

櫻子「向日葵、ねーちゃんと花子のこと、いや?」

向日葵「い、嫌だなんてっ……」

櫻子「……」ジッ

向日葵「……ただ……ほんの少しばかり、疲れた、と言いますか……」

櫻子「……」

向日葵「あっ、でも本当に、二人が嫌いって訳じゃありませんのよ? でも……」

櫻子「……うん。わかってる」

向日葵「え?」

櫻子「ていうか、わかった」

向日葵「櫻子……?」

櫻子「……向日葵! お前は私の下僕だ!」

向日葵「なっ!?」

櫻子「下僕のクセにご主人様をほったらかすとかけしからん!」

向日葵「べ、別にほったらかしたつもりは……ていうか、誰が下僕ですのっ!」シャー

櫻子「……へへ、やっといつもの向日葵っぽい」ニヘ

向日葵「えっ」

櫻子「待っててね向日葵、私がなんとかしたげるから」

向日葵「なんとかって……」

櫻子「なんとかったらなんとか! じゃーね、また明日っ!」

向日葵「あっ櫻子!?」

続くと思ったか?メシだよ!!!
あとのっぴきならない事情で延べ1時間ぐらい外す
寝落ちに続いて面目次第もない

タッタッタッタッタッ...

櫻子「……」

櫻子「待っててね、向日葵」

櫻子「……」

タッタッタッタッタッ...

おまたせ多布施川

~櫻子の部屋~

櫻子「んっと……えっと……」ゴソゴソ

櫻子「確かこの辺に……」ゴソゴソ

櫻子「向日葵……私が助けてやるぞ」ゴソゴソ

櫻子「」ピタッ

櫻子「……別に、向日葵のことがどうとかじゃ、ないけど」

櫻子「下僕を取られっぱなしとか、気に入らん!」

櫻子「そんだけだし、そんだけっ」

櫻子「……」

櫻子「……」ゴソゴソ

櫻子「!」

櫻子「あった……」

櫻子「……これなら」

櫻子「……」

~リビング~

撫子「ひま子ひま子ひま子ひま子ひま子ひま子ひま子ひま子」ブツブツブツブツ

花子「ひま姉さまひま姉さまひま姉さまひま姉さまひま姉さま」ブツブツブツブツ

バンッ!

櫻子「やい、ねーちゃん花子!」

撫子「ひまひまひまひま……ん?」

花子「ひまひまひまひま……し?」

櫻子「これを見ろー!」サッ

ピラリ

「「!」」

花子「これは……」

撫子「婚姻、届?」

櫻子「いかにも!!」

櫻子「今日、急に思い出したんだよね~」フフン

櫻子「そんで探してみたら机の奥に残っててさ」

花子「一体いつのだし……」

撫子「……で、櫻子。こんなもの引っ張り出して何が言いたいの?」

櫻子「そりゃーもちろん……」


櫻子「向日葵は昔から私の下僕ってこと!!!」バーン


櫻子「婚姻届まで書いてたならこれはもう間違いないって」

櫻子「ほらここ、ねーちゃんだって署名してくれてるし、もう決定でしょっ」エヘヘ

撫子「……」

花子「……」

撫子「……櫻子」

櫻子「なに?」

撫子「で? っていう」

櫻子「えっ……」

撫子「急に何を言い出すかと思ったら……」ハァ

花子「緊張して損したし」フゥ

櫻子「え、え? ちょっと、なにそのリアクション……こ、婚姻届だよ?」

撫子「だから、で? っていう」

櫻子「でって……」

撫子「……あのね櫻子。私達は今、女と女の恋愛の話をしてるの」

櫻子「れ、れんあい」

撫子「そう。あんたの言う、ご主人様とか下僕とか、そんな幼稚な話じゃなくってね

櫻子「!!」

撫子「だから、私達の恋路に変な横槍入れないでね」

櫻子「ねーちゃん……」

花子「だいたい、そんなの役所で受理されなきゃただの紙切れだし」

櫻子「は、花子まで……」

撫子「……」

撫子「でも、そっか。そういうやり方もある、か」ボソッ

~数日後~

撫子「」ソワソワ

花子「」ソワソワ

櫻子「……」

撫子「櫻子……ちゃんとひま子に連絡した?」

櫻子「したっての。まだ約束の時間前だっての」

花子「うー、来る途中で事故に遭ってないか心配だし……」

櫻子「家隣だっての。そんで事故に遭うんならある意味心配だっての」

撫子「ああ、ひま子……」ハァ

花子「ひま姉さま……」ハァ

櫻子「……」

ピーンポーン♪
               ゴメンクダサーイ>
撫子「!」ガタッ

花子「来た!」ガタッ

櫻子「……」

ガチャッ

向日葵「こんにちは、お邪魔します」ペコリ

撫子「いらっしゃいひま子。適当に座って?」

花子「ひま姉さま、ここ! 花子の隣空いてるし!」タシタシ

向日葵「い、いえ……こっちの方が広いですから、こちらに」ストン

花子「むぅ……」プクゥ

撫子「花子。今は我慢しな」

花子「……はぁい」

向日葵「……? あの、撫子さん」

撫子「なに?」

向日葵「いえ、今日は珍しく、花子ちゃん共々……その。おとなしいなって」

撫子「あー。まあ、今日は大事な話があるからね」

向日葵「大事な話?」

撫子「そう、大事な話」

櫻子「……」

向日葵「えっと、それって……?」

撫子「うん」

櫻子「……」

撫子「ひま子、結婚しよう」キリッ

向日葵「ま、またですの……?」

撫子「今日は本気。その証拠に、ほら」スッ

櫻子「!!!」

向日葵「え、これって……!」

撫子「婚姻届。私の方は記入済みだよ」

花子「花子も書いたし!」サッ

向日葵「は、花子ちゃんまで!?」

櫻子「……!」

撫子「さあひま子。一筆よろしく」ズイッ

花子「姉さま、花子のつまになってほしいし」ズズイッ

向日葵「ぅ……」

撫子「……ちなみに、遊びじゃあないから」

向日葵「え?」

撫子「子供の落描きとは訳が違う、ってこと」

櫻子「……っ」

撫子「私も花子も本気だから」

花子「ひま姉さまにも、本気で答えてほしいし」

向日葵「わ、私は……」

撫子「……」

花子「……」

向日葵「……」

向日葵「私は、」



櫻子「………………ふぇ゛」グスッ



「「「!?」」」

櫻子「……っ」プルプル

向日葵「さ、櫻子……?」

櫻子「やだ……」

向日葵「えっ」

櫻子「やだぁ゛!!!」ワッ

向日葵「っ!?」

櫻子「やだもん……やだやだやだやだ、やだぁ……!」ポロポロ

向日葵「さ、櫻子! ちょっと落ち着いて……」

櫻子「やだぁっ! いやだもん、だめなんだもんっ!」

向日葵「え……?」

櫻子「ひま、わりっ……そんなの、書いちゃダメぇ……」

向日葵「!」

櫻子「だって、だって……私、私だって、ひまわりのことが……」

向日葵「櫻子……」

撫子「はい、そこまで」パンパン

向日葵「えっ?」

櫻子「ぅえ……?」グスッ

撫子「……悪ふざけが過ぎちゃったね」

櫻子「わる、ふざけ……?」

花子「そうだし。ひま姉さまと、ついでに櫻子をおどろかそうとしたんだし」

向日葵「そ、そうだったんですの!?」

撫子「ついやりすぎちゃったけど。ごめんねひま子?」

向日葵「い、いえ……」

櫻子「……」グスグス

撫子「ごめんついでに、今日の所は帰ってもらっていい? 櫻子をあやしてあげなきゃ」

向日葵「あ、だったら私も……」

撫子「ううん、悪いけど姉妹水入らずで。この子もひま子に泣き顔見られたくないでしょ」

向日葵「それは……そうかもしれませんけど」

花子「ここは花子たちに任せてほしいし」

向日葵「……お二人とも、家族思いですのね」

撫子「まあ、こんな時くらいはね」クスッ

花子「世話のやける姉を持つと苦労するし」ヤレヤレ

向日葵「ふふっ……お察しします。それでは、今日は帰りますわ」ペコッ

ガチャッ パタン...

撫子「……」

櫻子「……」グスグス

花子「……」

……

…………

………………

撫子「もう落ち着いた?」

櫻子「……ぅん」

花子「姉が泣くとか、妹的にとまどうからやめてほしいし」

櫻子「ごめん……」

花子「……別に、気にしてないし」プイッ

撫子「にしたって、あのタイミングで泣き出すのは予想外だったけどね」

櫻子「……」

撫子「ねえ櫻子」

櫻子「なに……?」

撫子「自分で、自分が泣いた理由、わかる?」

櫻子「……」

撫子「今ならひま子もいないし、素直に言ってごらん」

櫻子「それは……」



櫻子「私も、向日葵が……好き……だから」

撫子「……そう」

花子「……」

櫻子「うん……私、向日葵が、好き」ジワッ

櫻子「ご主人様とかっ、下僕とかっ……そんなの、ただの照れ隠し」ポロポロ

櫻子「ほんとは、向日葵が大好きなの。大好きなのに、言えなくて……」

櫻子「でも、ねーちゃんも花子も、どんどん向日葵に好き好きって」

櫻子「私だって言いたいのに、言えないのに、ずるいって……」

櫻子「だから、婚姻届があれば、ふたりとも向日葵をあきらめてくれるって思った……のに……」

櫻子「あんなことするから……だから……」グスッ

花子「櫻子……」

撫子「……」

櫻子「……」グズグズ



撫子「……やっと言えたね、櫻子」ニコッ

櫻子「えっ……」グス

花子「まったく、面倒くさすぎだし」

櫻子「花子……?」

撫子「櫻子。私達はね、あんたを心配してたんだよ?」

櫻子「ねーちゃん……」

撫子「あんたがあまりにも素直じゃないから、ちょっと焦らせてやろうと思って」

櫻子「そ、そうだったの……?」

花子「効き目ありすぎてビビったし」

撫子「まあ、見せびらかすみたいにイチャついてたのはわざとだけど。でもひま子のこと好きなのも結構本気だから」

櫻子「!」

花子「花子だってそうだし」

櫻子「!!」

撫子「またツンケンしてると、私か花子がひま子をとっちゃうかもよ?」

櫻子「!!!」

櫻子「だ……だめだもん! 向日葵は私のものだもんっ!」

撫子「だったらこれからはもう少しだけ素直になりな? 少しだけね」

櫻子「少しだけ……?」

花子「少ーーーしだけだし」

櫻子「えと……どうして?」

撫子「そりゃ、今までが今までだからね。急に素直になったら不気味がられるのがオチだよ」

花子「姉ちゃんの言う通りだし」

櫻子「そ、そっかぁ……」フム

撫子「……」

花子「……」



撫子「(いきなりデレ全開されたら私らなんか瞬殺だからね!!)」

花子「(スタートラインを揃えられただけでお儲けもんだし!!)」



櫻子「?」キョトン

撫子「(いきなり櫻子が泣き出した時は本気で危なかった……)」

花子「(あのまま放置してたら間違いなくひま姉さま陥落してたし……姉ちゃんGJ)」グッ

撫子「(当然)」グッ

花子「(櫻子には悪いけど、花子たちだって結構どころじゃなく本気だし)」

撫子「(可愛い妹と本妻には悪いけど、ひま子愛人化計画は捨てがたい魅力があるからね……)」

櫻子「ねーちゃあん……花子も、応援してくれてありがとね……?」ニコッ

撫子「………………、気にしないでいいよ、姉妹じゃない」ズキズキズキズキ

花子「………………、困った時はお互い様だし」ズキズキズキズキ

櫻子「えへへ……姉妹で仲良く話すのひさしぶりで、なんかうれしいなぁ」ニコニコ

撫子「」キリキリキリキリ

花子「」キリキリキリキリ

櫻子「」ニコニコニコニコ

撫子「……さ、さあ。早速だけど、ひま子に会いにいこうか?」

櫻子「え、も、もう?」

撫子「こういうのは早い方がいいよ。今ならいつもより素直になれるでしょ? 少ーーーーーしだけ」

櫻子「う、うん……すこーしだけ」

花子「少ーーーーーーーーーーしだけだし!」

櫻子「す、すこーーーーーーーーーーしだけ! ……ぅう、出来るかなぁ」

撫子「出来なかったら家に留守番しててもいいけど? 私と花子で会ってくるから」

櫻子「そ、それはだめっ! 私も行くもん!」

撫子「ん。じゃあ抜け駆けはなしね」

花子「フェアプレーの精神でいくし」

櫻子「わかった……がんばるっ」グッ

「「少ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしだけ!」」

櫻子「す、すこーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしだけっ!」

撫子「(油断ならないなぁ……)」

花子「(爆弾を抱えてる気分だし……)」

~古谷家~

撫子「こんちはー……?」

シーン...

花子「返事がないし」

撫子「ただのしかばねのようだ」

櫻子「留守かな?」

撫子「だったら戸締りしてるでしょ。いいや、上がっちゃお」ズカズカ

櫻子「おー」ズカズカ

花子「お隣同士ならよくあることだし」ズカズカ

トテトテ...

櫻子「あ、向日葵の部屋電気ついてる」

撫子「勉強でもしてたのかな」

花子「さすがひま姉さま、マジメだし」

撫子「じゃあこっそり近づいておどかしちゃおうか。開けるよ……」

スーーーッ...

楓「んっ……」チュー

向日葵「んん……っぷぁ、はあっ……」

楓「えへへ、これで27回目なの」

向日葵「か、楓……もうやめましょう、こんなこと……」

楓「ダメなの。今日はおねえちゃんと100回キスするって約束なの」

向日葵「そ、それは……でも、姉妹なのに、こんな……」

楓「姉妹だからノーカウントなの。だから安心していいよ、おねえちゃん」ニコッ

向日葵「そんな理屈……ぅんっ……!?」

楓「ちゅー……」

向日葵「っ……ふ、う……だめ、楓……私、これ以上は……」ドキドキ

楓「あれれ~? おねえちゃん、もしかして楓とキスしてドキドキしちゃってるの?」

向日葵「そ、そんなことはっ!」

楓「だったらいいよね。姉妹だもんね。だからおねえちゃん、もう一回――」スッ

向日葵「ぁ……わ、私、もう……っ――」

ちゅっちゅちゅー

...ピシャン

撫子「」

櫻子「」

花子「」

撫子「……なにあれ……」

櫻子「……さあ……」

花子「……わかんないし……」

「「「……」」」

撫子「……どうやら、真の敵は他にいたみたいだね」

櫻子「」コクッ

花子「」コクリ

撫子「ここはひとまず一時停戦して、3人で敵を迎え撃とう」

花子「それが終わったら、また3人で勝負を再開するし」

櫻子「ねーちゃん。花子。私、そん時は絶対に負けないから」

「「「だから――!」」」

大室三姉妹の戦いはまだ始まったばかりだ!
      ――ご愛読ありがとうございました

                           ~完~

実は出かける5秒前
遅筆だったり立て直したり寝落ちしたり出かけたりと迷惑かけた。精進する

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