王様「お主には辺境村の再興を頼む」隊長「なにそれこわい」(574)

代カリー


王様「最近魔王軍との交戦が激しくなっておるのは知っておるじゃろ」

隊長「……まあ」

王様「勇者がおるとはいえ 油断は出来ぬ状況じゃ」

隊長「それもわかりますけど」

王様「だから辺境村にお主を送り あそこの土地を守って欲しいのじゃ」

王様「出来たら村の再興もお願いしたい」

隊長「わかりました 頑張ってきます」

王様「これは心ばかりの餞別じゃ」


隊長は50Gを受け取った


隊長「50Gとか意味分からない 薬草数個しか買えない」

隊長「ってか辺境村って魔界との国境沿いにあるっていっても辺境で」

隊長「戦略的には全く必要ない土地だから人間も魔族もガン無視で」

隊長「今は完全な廃墟になってる土地だよな……左遷オワタ」ハァ


辺境村

隊長「とりあえず作物の種とか買って来たけど」

ボローン

隊長「かろうじて住めそうな家が二、三軒と荒れ果てた土地」

隊長「無理ゲーすぎ泣ける」


辺境村 現在村人一人


隊長「ここから最寄の街まで歩いて二日 食料はポケットマネーで買い足すとして」

隊長「今日は家の掃除と畑を耕すか」

ザックザック

隊長「これなら鬼教官にしごかれていたあの頃の方が幾分かマシだよね」ザックザク

隊長「戦友と仲良く話したりとか」ザックザク

隊長「一人とかマジで心折れそう」ザックザク

隊長「とりあえずこれでいっか 芋とか人参 それに麦の種を植えてと……」パラパラ

隊長「どれぐらいで芽が出るのか……次は家の掃除だな」


隊長「前に住んでた人の家 中はボロボロだけど掃除すればなんとか……」

隊長「一体 どうすれば住人が増えるのか」フキフキ

隊長「というより 俺はいつになったら国に帰らせてもらえるのか」サッサッ

隊長「……寝よう」


ガタガタッ

隊長「――!?」ビクッ

隊長「風の音? 一人とか本当に心細いんだけど」

????「」グッタリ

隊長「なんか髪の長い女の人が倒れてる」

隊長「幽霊か 幽霊なのか?」

隊長「特徴的な犬歯 目は血のように真っ赤」メアケ

????「」クパァ

隊長「どう見ても吸血鬼の魔族です どうもありがとうございました」

隊長「傷だらけだしどう見てもわけありっぽいんだよなぁ」

隊長「」


???「おい! この家に明かりがついてるぞ」

???「失礼する!!」

隊長「どうしたんですか?」

???「この辺りに女が来なかったか?」

隊長「先ほどこの家に迷い込んできましたけど……」

???「こちらに渡してもらおうか」

隊長「そちらの人 なにかしたんですか?」

???「キサマには関係ない 大人しく渡せばそれですむ」

隊長「そうですか ……五人 丁度いいかな」

???「なんだキサマ……おい!?」

隊長「」


謎女「」ガバッ

隊長「あっ! 起きましたか?」

謎女「ここはどこだ!?」スカッ

隊長「辺境村です それと刀は没収しました」

謎女「そうか……いや! ここに追っ手が来なかったか!?」

隊長「追っ手?」ハテ

謎女「五人ぐらいの屈強な男たちだ!!」

隊長「さあ? 来なかったけど」

謎女「……そうか」ハァ

謎女「家主 世話になった」ペコリ

隊長「いいですよ 困ったときはお互い様だし」

謎女「私はこれにてしつれ――くっ!」バタリ

隊長「酷い怪我なんだから寝ていてください」


謎女「重ね重ね失礼をかける」

隊長「いいですよ それとこの村 俺一人しか住んでないですから」

隊長「いたかったらいつまででもいてくれていいです」

謎女「そういうわけには……」

隊長「吸血鬼が追われてるってことは相当なんでしょ」

謎女「――!?」

隊長「あぁ! 別になにかしようってわけじゃないですから!!」

隊長「ただいきなり背中から襲ってくるのはなしで」

謎女「……」

隊長「それじゃあ俺は畑に行って来ます」

隊長「丁度いい肥料が手に入ったんで」


隊長「大変なことになった マジヤバイ」

隊長「昨日植えた種から既に野菜が出来てる」

隊長「初心者の俺でもわかるよ おかしいって」

隊長「しかもなんか人の顔っぽいのが浮かんでて叫んでるし」

人面人参「ギャーーーギャーーー!!」

人面芋「グェーーーーッ!!」

隊長「やっぱり肥料が駄目だったのか」

隊長「これ食えるのかな……」

隊長「」


隊長「お昼ごはんです」

謎女「これは……」

隊長「野菜スープ それ以上でもそれ以下でもない」

謎女「家主の分がないようだが」

隊長「俺は後で食べるから先にどうぞ」

謎女「重ね重ね感謝します」ズズズー

謎女「美味しい この村で採れた野菜を使ってるんですか?」ズズズー

隊長「まあ……(味は問題なしと)」

謎女「それと先ほど外で他の人の声が聞こえた気がするんですが」

謎女「他にも人がいるんですか?」

隊長「きっとそれは野菜の精霊的ななにかです」


隊長「ところで提案なんだけど」

隊長「もし行くところがないならこの村で住んでみない?」

謎女「流石にそこまで世話になるわけには……」

隊長「もちろん 仕事はしてもらうし家はどこか適当な家を掃除して使ってもらうけど」

隊長「今は猫の手も借りたい状況だしさ」

謎女「それだったら……お願いします」ペコリ

隊長「じゃあ君は今日から副官ちゃんで」

謎女「副官……?」

隊長「俺一応軍属だからさ 隊長の傍らには副官でしょ」

副官「そういうものなのでしょうか?」

隊長「そういうものです」


隊長「それと刀は返しておくね」

副官「……いいんですか? こんな素性も明かさない女に武器なんて返して」

隊長「いいんじゃない どうせ畑仕事なんかしたら邪魔なだけだし」

副官「わかりました よろしくお願いします隊長」


隊長「とりあえず 吸血鬼って外歩いても平気なの?」

副官「フードを被っていれば特には 直接日光を浴びるとマズイですけど」

隊長「それなら大丈夫か これ桑ね 張り切って畑耕そう!!」

副官「わかりました」ギュッ


副官「これでいいですか?」フゥ

隊長「吸血鬼のパワー侮ってた 俺の半分の時間で耕し終わるとは」


隊長「じゃあ今日の作業は終了で」

隊長「副官の家を選びに行こうか」

副官「それについてですけど……隊長の家に置いてくれませんか?」

隊長「なん……だと……?」

副官「別にやましい気持ちがあるわけではないんです!!」

副官「ただ一人は苦手で……」

隊長「まあ俺も一人は寂しいって思ってたし プライベートは0だけどそれでいいなら」

副官「ではよろしくお願いします」ペコリ


辺境村 現在村人二人


隊長「副官ちゃんも作業に慣れて来たよね」

副官「いえ 隊長の指導がいいので」

隊長「そんなことないよ 作業効率的には副官ちゃんには勝てないし」

副官「いえいえ」

隊長「こうやって土砂降りだとやることないけどねー」

パシャパシャ

隊長「とりあえず 明日あたり晴れたら雨漏りの補強をしないと」

副官「凄い雨ですね」

隊長「このあたり雨が多いから村人も増えないんだけどね」ハァ

トントントン


隊長「お客さん?」

副官「敵かもしれません」チャキ

隊長「雨宿りしにきただけじゃないの」ガララ

???「いやありがとう 急に雨が降り出してしまってね」


???「おっと 夫婦二人の仲を邪魔してしまったかな」

副官「ふ! 夫婦だなん――」

隊長「違うんで安心してくつろいでください」

???「いや ありがとう 私の名前は弓という 職業は何でも屋だ」

隊長「何でも屋?」

弓「基本は弓を使った狩りや傭兵業 後はまあ色々やるよ」

副官「こちら野菜スープです」

弓「ありがとう」ズズズー

弓「へぇ こんな美味しいスープは初めて飲んだ」

副官「この村で採れた野菜なので……」

弓「しばらくこの村に滞在するのもいいかもしれないね」

副官「なっ!?」


隊長「それはいい! っていうかずっといていいよ」

副官「隊長! この人がスパイだとしたらどうするんですか!?」

弓「こんな辺境の村にスパイなんて来てどうするというんだね」

副官「それは……」

弓「それに生きていく上で肉は必要になるだろう」

弓「家畜がいないのなら しばらくは私が肉を狩って来てもいいしね」

隊長「副官 彼は即戦力だ」

副官「隊長がそれでいいならいいんですけど」

弓「それではよろしく頼む それと誤解があるようだが私は女だ」

隊長「」

副官「」


隊長「土砂降りだからどうかと思ったけど」

隊長「母さん 今日も畑は無事です」

弓「無事というより 水はけもしてないのに全く野菜が死んでいないとは……」ヒクッ

副官「それと昨日あなたが食べた野菜はこれです」

人面人参「ギャーーーギャーーー」

弓「これは珍しい野菜だね 売り出すなら加工して売り出すのがいいか」ブツブツ

隊長「それと弓さんも早めに家を選んでね 雨漏りの補強をするから」

弓「わかったよ 私は早速狩りに行ってくるがね」

副官「では私も着いて行きます」

隊長「副官は畑のほ――」

副官「」ギロッ

隊長「いってらっしゃい」ガクガクガク


弓「狩りは一人気ままにやるものだと思うんだがね」

副官「監視の意味も込めてますから」

弓「随分と嫌われたものだ 私が君になにかしたかい?」

副官「あなた 魔族ですね」

弓「……」

副官「それも獣系統の」

弓「そういう君も吸血鬼じゃないか」

副官「私は……ッ!!」

弓「別にいいだろう 姿形は人間なんだし」

弓「それに危害を加えようとしているわけじゃない」

弓「なにかしたら君の剣で斬ればいいさ」

副「……くっ!!」


弓「それとも愛しの隊長さんと二人になれなくて怒ってるとか?」

副官「なっ!?」チャキ

弓「照れ隠しで斬るのは止めてくれよ」

副官「斬りません!!」

弓「さて 狩りを続けようか」スッ

弓「弓を射るのに必要なのは風を読み取る力だ」

弓「それさえあれば……」バシュッ

ピヨーーーーー!!


弓「こうして飛んでいる鳥を落とすのも難しくはない」

副官「やたら弓の使いが上手いんですけど 軍にいたことがあるんですか?」

弓「それはお互い様だろう」


隊長「お帰り! どうだった!?」

弓「野鳥が二匹に鹿が一匹 血抜きまですませてきたよ」

隊長「ありがたいありがたい 干し肉だけの生活とはこれでおさらばか」

弓「調理までは私がやろう これでも野宿生活には慣れてるからね」

隊長「おねがいしゃーっす!!」

副官「……」ブスー

隊長「副官ちゃんどうしたの? 機嫌が悪そうだけど」

副官「なんでもありません」ザクッザクッ

隊長「痛い!? 刀で刺さないで!!」

副官「薄皮一枚なので死にません」


隊長「ご馳走様でした!!」

弓「お粗末様 それでは私はそろそろ家に帰らせてもらうよ」

隊長「火はそこから取ってって」

弓「ありがとう なにしろ鳥目でね 夜道が苦手なんだ」

弓「それにあまり居過ぎると誰かに刺されかねないからね」

副官「」ギロリ

弓「ではまた明日……」


ガラッ

隊長「それで副官ちゃん 今日は機嫌が悪いみたいだけどどうしたの?」

副官「隊長は……私にも弓さんにもここに来た経緯を聞かないんですね」

隊長「まあそんなに気にしてないから 俺も色々な事情があったわけだし」

副官「もう少し興味をもってくれてもいいじゃないですか」ボソリ

隊長「じゃあ副官ちゃんはどうしてここに来たの?」


副官「私は魔王軍の吸血鬼部隊に所属していました」

副官「そこでの私はかなりの出世頭で」

隊長「上の人間に嫉妬されたとか?」

副官「私の元隊長から更に上の人間と寝るようにいわれました」

隊長「」

副官「それを拒否したら仲間から追われてこの村に……」

隊長「えっとなんていうかさ……」

副官「いえ これはすべて私が撒いた種――」

隊長「良くある話だね」

副官「」ザクッ

隊長「だから痛いよ!!」


隊長「まあ副官ちゃんの今の隊長は俺だし」

隊長「俺はまあそんな命令しないからいいんじゃない」

副官「……そうですね つまらない話をして申し訳ありませんでした」

隊長「いいよいいよ 副官ちゃんのことが知れたんだし」

副官「ありがとうございます」

隊長「それじゃあ寝よっか」

副官「隊長 つまらないついでに一つお願いがあるんですが」モジモジ

隊長「どうしたの?」

副官「吸血鬼の主食がなにか知っていますか?」

隊長「血だったっけ」

副官「ここに来てからずっと血を吸ってなくてその……」

隊長「俺の血が吸いたいって?」

副官「」コクリ


隊長「血を吸われたからって死ぬことはないんだよね」

副官「少しチクリとくるぐらいです」

隊長「それならいいよ」スッ

副官「では……」カプッ

副官「」チューチュー

隊長「」

副官「」チューチュー

隊長「」

副官「ありがとうございました」

隊長「うん 美味しかった?」

副官「……はい


隊長「じゃあお休み」

隊長「すぅすぅ」zzzz

副官「隊長 ありがとうございます」

副官「あなたは私の剣に代えて守りますので」

副官「今は安心して休んでください」


翌日

隊長「そろそろ野菜を売りに行こうと思います」

弓「この人面野菜 毎日ペースで収穫出切るからね」

隊長「でもこのままだと恐らく売れません」

副官「変な喚き声あげてますし それに切ると悲鳴をあげますから」

隊長「だから上手く売る方法を各自考えてください!!」


弓「見た目はともかく 味は悪くないからね」

副官「加工して街まで運ぶ方法ですかね」

弓「それなら漬物がいいかな」

隊長「いくつか在庫があるからそれを売ってもいいし」

弓「それに私が少しなら冷凍の魔術を使えるからあちらに持って行って料理にしてもいいしね」

隊長「そういえば 俺は魔法の才能ないけど二人は使えるの?」

弓「私は初級呪文を少々ね」

副官「私は才能自体ないので」

隊長「まあ今のところは魔法を使う機会がないからいっか」

隊長「いつか魔法使いを呼べたらいいんだけど」

弓「そのためには野菜を売り込まないとね」


隊長「とりあえず弓さんの魔法で野菜を保存しながら運ぶと」

副官「私が前を守りましょう」

弓「私が後ろだね」

隊長「俺は台車係りと まあ野菜なんて盗まれようがないんだけどねー」


盗賊「その荷台の荷物を置いていけ!!」

隊長「なにそれこわい」

副官「全く 隊長がフラグを立てるから」チャキ

隊長「えっ! 俺の責任なの?」

弓「20人ぐらいか まあなんとななるかな」スッ

隊長「ならないよね 相手盗賊だよ」

盗賊「なにごちゃごちゃ話してんだ!! 行くぞ!!」

副官「来い!!」

弓「蜂の巣になりたい人から来るんだね」

隊長「挑発しないでお願い」


副官「隊長忘れたんですか? 吸血鬼は一人で人間十人分は働くんですよ」チャキン

隊長「マジ速い 一瞬で五,六人倒すとか」

弓「私の弓からは逃れられませんよ」バシュッ

隊長「しかも打ち漏らしなく弓さんが残りを撃ってくし」

副官「盗賊程度で私たちが止められると思っているんですか?」

弓「せめて勇者ぐらいは連れてきてくれないと」

盗賊1「おい! お頭呼んで来い!!」

盗賊2「お頭!! 超ヤバイ連中です! お頭!!」

???「なんだてめーら そんな小さい奴も倒せないのかよ」ヌッ

副官「」

弓「」

隊長「身長二メートルはある筋肉隆々の女の人出てきた」ガクガクガク


副官「鬼族の魔族なんでしょうけど……」

弓「確かに鬼族は巨体が多いけど あれは規格外だろう」

鬼「おっ! 良い女がいるじゃねえか」ジュルリ

副官・弓「「」」ゾクゾクッ

鬼「俺が勝ったらこの二人は俺のもんだ」

副官「なにを勝手なことを!!」

鬼「盗賊は奪ってなんぼ 嫌がっても無理矢理やらせてもらうぜ」

副官「戯言を!!」チャキン

鬼「威勢がいいな 来いよ」ブォン

隊長「軽く振っただけで木が真っ二つに圧し折られるとか」


副官(速い!?)キィン

鬼「おいおい最初の威勢はどうした!!」ブォンブォン

盗賊1「流石お頭!!」

盗賊2「頭は緩いけど実力は凄いぜ!!」

隊長「弓さんは参戦しないんですか?」

弓「あの筋肉だと恐らく私の弓はマトモに刺さらないからね」

弓「副官さんが勝てたらいいんだけど」

鬼「もらったぁああああああ!!」ブォン

副官「くっ!!」


ドゴォオオオオン

鬼「おいおいもう終わりかよ」

副官「やはり昼だと万全の力が出せない……」

弓「まあこうなるよね」


鬼「アンタは抵抗しないのかよ」

弓「私は勝てない戦いはしない主義でね」

鬼「それでアンタは?」

隊長「俺は非戦闘要員なので」

鬼「そうか とりあえず男はいらねーや」

隊長「えっ!? 俺の戦いはこれまでだってやつ?」

隊長「ちなみに聞くけど女の子二人はどうするの?」

鬼「二人とも俺のもんだからな 壊れるまでは使ってやるよ」

隊長「それは困るんだけど 二人とも大切なウチの子だし」

鬼「今から死ぬ人間がなに言ってんだよ」

隊長「だよねえ」ハァ

副官「隊長には手は出させません!!」チャキ


鬼「吸血鬼か……確かに回復能力は高いが」

副官「」ハァハァ

鬼「こんな太陽がサンサンと照りつけている中じゃ その自慢の回復能力も半減以下だろ」

副官「」キッ

鬼「いいね その顔!!」

隊長「あの~一ついいですか」

鬼「なんだよ! 今良いところだから邪魔すんな!!」

隊長「腕が落ちてましたよ」ホラ

鬼「ありがと――なんじゃこりゃああああああ!?」ポタポタ

隊長「今度は鬼の肥料か 良い野菜が出来そうだ」チャキ


鬼「いつ俺の腕を切り取った!?」

隊長「さっき話している時だけど」

弓「隊長さん 一つ聞きたいんだけど」

隊長「なにー?」

弓「その……短刀であの鬼の腕を切ったのかい?」

隊長「まあ短刀なんだけどね 家の家宝なんだ」

隊長「曰く勇者のスプーンと魔王の短刀 スプーンは魔王領にあるらしいけど」

隊長「短刀はこうして俺が使ってるわけ」

鬼「伝説の武器がどうした! そんなもの当たらなきゃ」

隊長「当たるよ 少なくとも魔王親衛隊の一人 空戦姫ぐらい速けりゃ別だけど」

隊長「まあわかってることは これで畑が潤うってことだけど」


鬼「許してください」ドゲザ

隊長「案外速かったね 副官ちゃん どうしようか?」

副官「持ち運びが面倒なので許してもいいかと」

隊長「まあ副官ちゃんが言うならいいか」

隊長「それと腕とか足はくっつけとけば治るんじゃない」

隊長「鬼族って結構頑丈だし」

盗賊1「お頭! 足を!」

鬼「すまねぇ」

隊長「ところで君たち 頼みがあるんだけど」

鬼「……なんだよ」

隊長「街までこの野菜運んでくれない?」

鬼「」





隊長「行きは楽に着いたね」

弓「私たちは荷台に乗ってるだけだったから楽さ」

鬼「隊長さん! アンタに頼みがある!!」

隊長「盗賊の新しい頭になって欲しいって方向ならなしで」

鬼「」

副官「当たり前です! 隊長は私たちの隊長なんですから私たちの」

弓「何気に私たちを二回言ったね」

隊長「でも……村人としてならいーよ 男手が欲しかったし」

鬼「お願いします!!」

盗賊‘S「「お願いしやーっす!!」」

隊長「一気に村人が21人+された」


辺境村 村人24人


隊長「じゃあ俺たちは野菜を売ってくるから他の人は自由行動で」

副官「では行きましょうか」

弓「あぁ」

鬼「よっしゃ行こうぜ!!」

副官「なぜあなたも着いてくるんですか?」チャキ

鬼「いいじゃねえか 用心棒としては申し分ないだろ」

鬼「アンタにも勝ったんだし」

副官「チッ!」

隊長「いいんじゃない 荷台引いてくれる人が欲しかったし」

鬼「おう! 任せろ!!」ガラガラ

副官「全く 隊長も少しは危機感というものを……」

弓「それが彼の良いところじゃないか」

弓「そこに君も私も惹かれたんだろう?」

副官「まあ……私も?」


店主「それをすてるなんてもったいない!!」

隊長「どうしても駄目? 結構美味しいんだけど」

店主「それをすてるなんてもったいない!!!!」


隊長「買取拒否が三軒目か」

副官「最後の店主は明らかに頭がおかしかったですけど」

弓「まあ漬物や野菜の売り込みは難しいからね」

鬼「ったく なにが原因なんだ」

副官「一割ぐらいにあなたの巨体があると思いますけど」

鬼「なに!? お前のその仏頂面も原因の一つだろうが!!」

副官「なにを!!」

鬼「やるか!?」

隊長「次はあそこにいこっか」

弓「隊長さんは暢気だね」


商人「野菜の売り込み どこ産の野菜?」

隊長「辺境村です」

商人「あそこまだ人住んどったん?」

隊長「信じられないと思うけど住んでる」

商人「ふ~ん アンタは軍服着てるけど軍人さん?」

隊長「隊長っていうんだけど」

商人「隊長? まあええわ ウチで全部引き取るよ」

隊長「マジですか?」

商人「変な形しとるけど品質に問題なさそうやし」

弓「隊長さん 値段の交渉は私がしてもいいかな」

隊長「いいよ 俺は相場とか知らないし」


商人「こんな値段でええかな?」

弓「買い取ってくれる好意には感謝するが 量が多いのだからもう少し多めにしてもらいたい」

商人「だったらこれぐらい?」

弓「まあこれぐらいだろう 隊長さんはこれでいいかな?」

隊長「弓さんがいいと思ったならいいよ」

弓「じゃあこれで取引き成立だね」

商人「まいど!」

商人「ところで兄さん オススメの商品があるんやけどどう?」

弓「オススメ?」

商人「兄さん弓を使っとるみたいやん」

弓「どうしてわかったんだい?」

商人「その指だこ 弓を使ってる人特有のものやからな」

弓「なるほど 良く気付いたね」


商人「帝国で採用されとる狙撃銃なんやけど」

弓「へぇ 人間も面白いものを作るね」

商人「最大射程は500mほど お買い得やでぇ」スリスリ

弓「私はいいよ どうも手に馴染んだ武器以外使う気にならなくてね」

商人「勿体無いなあ 今はどこも銃の時代やん 最近は魔族もつかっとる言うし」

弓「私は古い人間でいいんだよ」

隊長「買ってもいいと思うけど」

弓「それよりも私はそこの髪飾りの方が欲しいね」

商人「これ? 安物やけど品質は保障するよ」

隊長「これぐらいの値段なら俺が買ってあげるよ」

弓「いいのかい?」

隊長「弓さんにはお世話になってるしね」

弓「ありがとう 大切に使わせてもらうよ」ギュッ


隊長「それと作物の種も頂戴」

商人「また贔屓にしてください」

隊長「おk」


隊長「ところで鬼と副官ちゃんは……」

弓「さっき外で戦ってくるって」

隊長「まあ夕方には帰って来るでしょ」

隊長「先に宿でもとってよ」

弓「あぁ」


宿主「お二人さんですか?」

隊長「団体で 二十四人」

宿主「はい こちら部屋の鍵になるので……」

隊長「おk」


弓「ところで隊長さん あなたは私にあんな場所にいた理由を聞かないのだな」

隊長「何でも屋であそこにいたんじゃないの?」

弓「迷い込みでもしない限り あんな村には行かないよ」

隊長「」

弓「少し昔話をしたいんだ 聞いてくれるかな?」

隊長「いいよ 今暇だし」

弓「隊長さんも知っていると思うんだが 私は魔族だ」

隊長「えっ! そうなの!?」

弓「もしかして……今まで知らなかったのかい?」

隊長「いや パッと見人間だし」

弓「まあそれは仕方ない 私は鳥獣族」

弓「いわゆるハーピーなどと一緒の一族なんだ」

隊長「でも鳥獣族って翼がなかったっけ」

弓「それなんだけど……」


弓「私の一族は風を読む力」

弓「そして空を制して有利にする力で戦場で力を発揮する一族なんだ」

隊長「まあ空へ飛ばれたら攻撃手段なんて限られるし」

弓「私も戦場に出ていたんだが ある日 銃で羽を撃たれてね」

弓「両羽とも駄目になっていて 医者にどちらも切り取られてね」

隊長「」

弓「飛べなくなった鳥がどういう末路を辿るか知っているかい?」

弓「私の一族は木の上に巣を作るからね 飛べない私は家にも帰れなくなった」

弓「ホント言うと あの日私は死ぬつもりだったんだ」

弓「隊長さんや副官ちゃんに出会って気が変わったがね」

隊長「う~ん まあいいんじゃない 飛べないからといって死ぬわけじゃないし」

隊長「そもそも辺境村の人間 みんな飛べないしね」

弓「全くそうだね つまらない話を聞いてくれてありがとう」


弓「じゃあ私は自分の部屋に戻るよ」

隊長「副官ちゃんと鬼の三人部屋か 頑張れ!!」


バタン

弓「でもね あなたが鬼に対して私のことをウチの子って言ってくれたのは嬉しかったんだ」

弓「私の新しい巣はここだって思えてね」

弓「あなたが必要としてくれる限り 私は全力を尽くさせてもらうよ」


副官「」ブスー

隊長「夕飯が済んで いきなり俺の部屋に来て不機嫌とはいかに?」

隊長「もしかしてまた鬼に負けたの?」

副官「」ザクッ

隊長「だから無言で刺すの止めて!!」

副官「それもありますけど なんか弓さんと仲が良いと思いまして」

隊長「そうかなぁ?」


弓「隊長さん これも食べてみないかい」ハシ

隊長「じゃあ貰おうかな」

弓「あーん」ヒョイ

隊長「うん 美味しい」モシャモシャ

弓「それは良かった」

副官「」


隊長「普通じゃない?」

副官「普通ではありません!!」

隊長「まあそれはいいけど 血でも飲む?」

副官「…………飲みますけど」ボソッ


副官「」カプッ

副官「」チューチュー

隊長「」

副官「プハァ 今日もありがとうございました」

隊長「いいよいいよ」

副官「マーキング」ボソッ

隊長「なにか言った?」

副官「コホン なにも言ってません」

隊長「そう? じゃあお休み」

副官「また明日 起こしに来ます」

翌日

副官「」

弓「」

隊長「すぅすぅ」zzz

鬼「ぐぅぐぅ」ギュー


副官「確か鬼さんは昨日私たちと寝ていた気がするんですけど」ピクピク

弓「それがいつの間にか隊長さんの部屋にいるとはね」ピクピク

副官「しかも鬼さんは裸というのはどうかと思います」チャキ

弓「抱きついて寝ているのは倫理的に駄目だと思うんだ」スチャ


隊長「起こしに来てくれるとは言ってたけど まさか暴行を食らうとは思わなかった」

副官「それは仕方ありません」

隊長「仕方なくありません」

副官「それに鬼さんも鬼さんですよ みだりに男の部屋に入ってはいけません」

鬼「えぇーーーッ!! 別に盗賊たちの部屋で一緒に寝たりしてたぞ」

弓「そんな山猿みたいな生活をしているのは君たちだけだ」

弓「普通はそんな風に寝ないんだよ 襲われたらどうするんだ」

鬼「別に俺は隊長になら襲われてもいいけど」

副官「」

弓「」


鬼「だって俺より強い男なんてそうはいないし」

副官(そうだった 鬼族は総じて馬鹿ばかり)

弓(ある意味馬鹿なこの人が一番の敵かもしれない)

鬼「ところで男がいないけど?」

副官「」

弓「」


隊長「朝食美味しい」モシャモシャ

隊長「買い物は終わってるし 今日出れば明後日には村に着くな」

隊長「村人も増えたし忙しくなりそうだ」モシャモシャ


隊長「じゃあ街を出るよー」

鬼「結構な荷物だよなあ」

盗賊1「俺たちが運んでいくんで安心してください!!」

盗賊2「そうっすよ!!」

隊長「じゃあ荷物は任せてしっぱーつ!!」


隊長「むらついた しょーとかっと」

副官「なにを言っているんですか?」

隊長「なにを言っているもなにも もっと大変なことが起こってる」

人面獣「グォーーーーッ!!」

隊長「野菜が巨大なボスになってる展開」

弓「あれも食べられるのかな」

副官「馬鹿なこと言ってないで戦いますよ!!


弓「ぶっちゃけ 私の炎魔法で燃やせたんだけどね」

隊長「今度から街に行くときは誰か残していこう」

副官「それでは盗賊さんたちの家を分けていきましょう」

副官「明らかに損傷が激しい家は後で改装ということで」

弓「そうなると私の家も一人で使うのは忍びないね」

副官「全然忍びなくないので他の男と一緒に暮らしてください」

弓「隊長さんさえ良かったらどうだろうか あなたの家に住まわせてもらっても」

鬼「俺も隊長の家でいいぜ」

隊長「別にいいんじゃない」

副官「」


隊長「疲れてると思うけど今日は家の掃除なんかをみんな頑張って頂戴」

副官「とりあえず野菜は今なっている分だけは収穫しましょう」

隊長「だよね 後でまたボスになられると困るし」

鬼「俺も手伝うぜ!!」

隊長「期待してる 超期待」

弓「鬼は力強そうだからね」


盗賊1「お頭があんなに良い笑顔を……」

盗賊2「恋をすると女って変わるんっすね 元から顔は美人だし」

盗賊3「まあ統合すると隊長氏ねってことで」

盗賊1「3で終わってた」

盗賊2「3以上に言うことはない」


隊長「今日も良い仕事をした!!」

弓「肉もあるし野菜もあるから一応 生活には困らないだろうね」

副官「隊長少し相談なんですが」

隊長「どうしたの?」

副官「辺境で戦略的価値がないとはいえ ここは一応魔界との国境ですから」

副官「物見やぐらを建てて監視を置いた方がいいかと」

隊長「そっか 鬼みたいな盗賊がいないとも限らないし」

鬼「いやあ えっへへ」テレ

弓「別に褒めてないよ」

副官「では明日は人員を割いて物見やぐらを作るということで」


副官「そういうわけで 今日は物見やぐらの建造を行います」

みんな「「はーーーい!!」」

副官「とはいえ 人数が多いので家の雨漏り補強 耕し 建造の三チームで」

副官「隊長は雨漏りの補強で 一番経験豊かなので 隊長チームと」

隊長「おk」

副官「弓さんと鬼さんは耕しの方を 経験と力 2000万パワーズです」

弓「欲をいえば隊長さんと同じチームが良かったが仕方ない」

鬼「力仕事なら任せろよ!!」

副官「私は建造です 消去法ですけど」

副官「ですが私は盗賊さんたちの得て不得手がわかりません」

副官「なのでまずは自分に向いてそうなチームに行って そこから人数減らして決めます」

隊長チーム 3人
2000万パワーズ 17人
副官チーム 0人

隊長「深刻なイジメ発生です」

副官「」


隊長「はいはい! みんなどうして副官チームに行かないか正直に言って!」

隊長「隊長ここだけの秘密にするから」

盗賊1「正直 仏頂面で怖い雰囲気があるというか 俺前に斬られたし」

盗賊2「失敗したらネチネチと言われそうだよな」

盗賊3「弓さんは仕方ないとして それより絶壁だから」

盗賊1「今日も3が終わらせるとかwwwwww」

盗賊2「3さんの人気に全俺が嫉妬っす」

隊長「3は出来る子だと思ってた」


副官「では2000万パワーズから10人程借りてくると」カキカキ

盗賊1「副官さんは裏表のない素敵な人です」ボロボロ

盗賊2「副官さんマジ優秀!!」ボロボロ

盗賊3「副官さんにならお尻を掘られてもいい」ボロボロ

隊長「なんで俺まで……」ボロボロ


副官「角材などは切り落として使ってください」

副官「寸法通りに切らなかったらあなた方が土台になると思ってください」


盗賊1「マジこえーわ あの人本気だぜ」

盗賊2「恐怖で全員が一体になる 胸が厚くなるな 胸だから!!」

盗賊3「正直 副官さんになら切られたい」

盗賊1「3には絶望した」

盗賊2「3はいい加減に氏ね」


副官「黙ってやりなさい」チャキ

盗賊1「しゃーーー!! 気力+10!!」

盗賊2「ふくかんさんまじすてきっす」

盗賊3「副官さん……」


鬼「畑仕事も案外面白な!!」ザックザク

弓「君は進行上の岩も壊しながら進んでるから楽だろうね」

弓「ところで一つ聞きたいんだけど」

鬼「なんだー?」

弓「街で言っていた隊長さんが好きだって話 どこまで本当なんだい?」

鬼「好きなら子供作るんじゃないのか?」

弓「まあ君たちの判断基準ならね」

鬼「強い奴の子供を作る その子供は強くなる なにかおかしいのか?」

弓「あー まあそれでいいんじゃないかな」ハァ

鬼「でも今まで男を好きになれなかったから女が好きだったけど」

鬼「男は俺より強いからな 好きだぞ」

弓(眩しいね全く)


副官「今日だけでやぐらは半分ぐらいですね」

副官「明日には完成しそうです」

隊長「そっかありがとう」

弓「畑の方も順調だよ 相変わらずどこに埋めても人面野菜しか出来ない謎の土壌は理解出来ないけど」

隊長「ひりょうってすげー」

鬼「俺も頑張ったから褒めてくれよ」

隊長「じゃあいい子いい子」

鬼「えへへ……」


盗賊1「頭を撫でてもらうために屈むお頭……」

盗賊2「涙が出てきた」グスッ

副官「とりあえず鬼は滅せということで」

弓「副官さんが良いことを言った」

盗賊3「副官さんマジ素敵」


鬼「ぐぅぐぅ」ギュー

隊長「うぅん」ジタバタ

副官「鬼さん! 隊長に抱きついて眠らないでください!!」バシバシ

弓「全然起きないね まあ抱き枕がいいんだろうね」

副官「弓さんも鬼さんを引き剥がすのを手伝ってください!!」ギュー

鬼「うぅー」バシッ

ドンガラガッシャーーーン

弓「彼女にとって払っても私たちにとっては手痛い一撃になるんだから」

鬼「いったー!! なんであんなところに壁があるんだ!?」ヒリヒリ

隊長「……ファア おはよう」ゴシゴシ

副官「壁……えぇ私の壁の味はどうでした?」チャキ

隊長「朝起きたら良い笑顔で副官ちゃんが刀を抜いていた」


副官「全く 共同生活なんですから節度というものを守って――」クドクド

鬼「正座は苦手なんだよー」

隊長「何で俺まで」

弓「いいじゃないか 私も付き合っているんだし」

副官「そこ! 聞いてるんですか!!」


副官「じゃあ今日はやぐら完成を目指すので」

隊長「俺は雨漏り補強の続きかな これは今日で終わりそう」

弓「私たちは収穫と耕しの二班にわけるよ」

鬼「翌日には収穫出来るなんて便利だよなー」

弓「この調子だと漬物が値崩れしそうだけどね」


副官「そういうわけで 漬物などで野菜は保存が利きます」

副官「更に弓さんの魔法で冷凍保存も出来るんでいいですけど」

人面野菜‘s「「ギャーーーッギャーーーッ!!」」

弓「前までは気にならなかったけど 畑の面積を広くすると流石にね」

隊長「夜中になるからうるさくて堪らん」

副官「そういうことで 食べる分と別にして全部漬物にして売ってもいいんですが」

鬼「漬物ばかりだと飽きるんだよな」

副官「そうです なので一週間ごとにこの村から街まで野菜を運んでくれる荷運び屋を雇います」

副官「それと街の市場に野菜を流します 悲鳴の方は殺せば出なくなるので問題ありません」

弓「味は保障できるから問題ないんだろうけど」

鬼「誰が街まで行くかってことだよな」


弓「副官さんは残って隊長さんは行くべきだろう」

副官「なっ!? いきなりなんですか!!」

弓「指揮官が二人して行くと作業に支障が出るだろう」

弓「それに商人さんと面識があるのは私が隊長さんだけだし」

副官「うっ! それを言われると……」

弓「ということで私が――」

鬼「じゃあ俺が行くってことでいいよな!!」

弓「いやいや なにを言っているんですか」

鬼「弓は正直俺より部下たちを指揮するのが上手いんだから残ればいいだろ」

弓「くっ! 変なところで知恵をつけて……」

弓「わかりました 街まで行くのは鬼と隊長さんで」

隊長「なんか勝手に話がまとまった」


隊長「じゃあ行ってくるね」

副官「二日も獣と一緒なんです 気を付けてください」

弓「そうだよ 特に鬼 君はむやみやたらに子作りしないように」

鬼「お前たち 俺をなんだと思ってるんだよ」


盗賊1「お頭も今日で本物の女になるのか」

盗賊2「隊長さんになら任せられる」

盗賊3「お頭の喘ぎ声を想像してみろ」

盗賊1「ないな」

盗賊2「逆レイプしそう」


鬼「それじゃあ行くか!!」ポタポタ

盗賊1「」

盗賊2「」

盗賊3「」


鬼「そういえばずっと隊長に聞きたかったんだけどさ」

隊長「どうしたの?」

鬼「隊長って家族とかいるの?」

隊長「……そう言えば自分の過去の話なんて聞かれたことなかったな」

隊長「親父もお袋も健在だよ」

鬼「う~ん それにそのナイフって相当珍しいもんだろ」

鬼「家柄が相当いいんじゃないか」

隊長「良くもなく悪くもなくって感じだよ 上に兄弟一杯いるしね」

隊長「ただ勝手に兵士になったからお袋はカンカンかもしれないけど」

鬼「俺も似たような感じだな 姉ちゃんは魔王の側近やってるぐらい出世してるし」

鬼「でも俺は馬鹿だから偶然であった盗賊たちと意気投合して今に至るし」


隊長「でも故郷は魔界なんでしょ 帰りたいとか思わない?」

鬼「う~ん そこらはお袋も寛大だし」

鬼「ぶっちゃけお袋今でも現役だから気にしてないと思うぞ」

隊長「鬼の母さんならやってそう」

鬼「ちなみに俺より強い」

隊長「なんだそれマジ怖い」


隊長「じゃあ今日はここで野宿にしようか」

鬼「あまり進んでないな」

隊長「今日も野菜がかなりあるからね 二人だし」

隊長「ご飯は干し肉と漬物で」

鬼「淡白だけど美味いな」モシャモシャ


鬼「隊長は俺のこと好きか?」

隊長「好きだよ 仲間としてだけど」

鬼「ふ~ん 今ここで俺が襲ったら抵抗出来ないよな」

隊長「そこは頑張る」

鬼「まあしないけどな 隊長が自分から求めて来たら別だけど」

隊長「今は辺境村を大きくするので精一杯だからなぁ」

鬼「でも隊長に抱きついて寝ていいだろ」

隊長「それはいいよ 正直夜は冷えるし」

鬼「やっりー!!」ダキッ




隊長「なんとか街に到着した」

鬼「早く野菜売りに行こうぜ!」


隊長「商人ちゃ~ん!!」

商人「まいどおおきに 今日はどないしたんですか?」

隊長「今日も漬物を売りたいと思って」

隊長「後 野菜取り扱ってくれそうな小料理屋と運送屋も紹介して」

商人「まあ仲介するのはいいけど 仲介料は取りまっせ」

隊長「そこは大丈夫 野菜は腐るほどあるから」

商人「ちなみにお宅の漬物 結構売れましてな」

商人「量にもよるけど今回も良い値で買わしてもらいまっせ」


商人「それで運送屋はウチの知り合いで安くやっとる奴がおるから」

商人「そいつに頼んだるわ」

隊長「あざーっす!!」

商人「野菜の方は市場への売買ルート繋げたるから」

商人「店の方は誰かに頼むなりしてくれ」

隊長「盗賊の中に商いとか上手そうな奴いる?」

鬼「何人かいると思うぞ」

商人「それと料理屋の方にも回したいって言っとったな」

商人「それなら打って付けの店がある 別名勇者の料理屋」

隊長「名前がありきたり」

鬼「普通そうだな」


商人「まあなんでもそこの娘が今代の勇者になったとかで」

商人「ご利益があるってそこそこ客が入っとる料理屋や」

隊長「へぇー そういえばそんな話を聞いたことがある」

商人「親父が頑固親父で上手いもんしか出さんからな」

商人「気に入られれば直ぐに使ってもらえるで」


商人「おっちゃーん! おっちゃーん!!」

店主「なんだ小娘 久しぶりだな」ガシガシ

商人「おっちゃん久しぶり」

店主「勇者と幼馴染なんだから タダで食わしてやるって言ってるだろ」

商人「それは気が引けるっていうか タダより安いもんはないからな」

店主「それでそっちの夫婦は誰だ?」

商人「野菜売りの人や おっちゃんちょっとみたってや」

隊長「よろしくお願いします」バララ

店主「見た目こわい」


店主「言っちゃ悪いが 見た目は最悪だな」

隊長「問題は味ですよ」

店主「まあそうだけどよ」

商人「隊長さん 試食品は?」

隊長「試食品?」

商人「味見用に食べれるようにしたやつや!!」

商人「野菜なんて生で食べてもしゃあないやろ!!」

店主「俺は生でも食えるが せっかくだから飯でも作ってやるよ」

隊長「ではこの野菜をお使いください」サッ

店主「言われなくても使ってやるよ」ガシッ


店主「野菜といったら野菜炒めだろ」ドカン

隊長「頂きます」モシャモシャ

商人「ウチは漬物しか食べたことなかったけど これもイケるなあ」モシャモシャ

鬼「美味いぞ!!」モシャモシャモシャ

店主「まあこれだけ美味いなら使ってやってもいいかもな」

店主「とりあえず一週間でこれだけの納品で頼めるか?」スッ

隊長「大丈夫っす! っていうかこれの二倍の量でも全然いける!!」

店主「そんなにはいらねぇよ これからもよろしく頼むな」ガシッ

隊長「こちらこそ」ガシッ

鬼「イイハナシダナー」


隊長「とりあえず当面の目標は達成できたと」

鬼「今日はここに泊まるのか?」

隊長「まあ今から帰ると直ぐに夜になるし」

鬼「久しぶりに布団で寝られるのか……」

隊長「最近は野宿ばっかりだったからね」

隊長「魔物は鬼と一緒にいれば大抵出て来ないし」


宿主「一泊10Gだよ」

隊長「じゃあ二部屋で……」

鬼「隊長 お金が勿体無いから一部屋でいいだろ」

隊長「鬼は……まあいいのか じゃあ一部屋で」

宿主「じゃあこれが鍵だよ」ハイ


鬼「隊長! ここ温泉があるんだって」キラキラ

隊長「入ってくれば?」

鬼「隊長も一緒に入ろうよ!!」グイグイ

隊長「面倒臭い」

鬼「入ろうよー」ギリギリ

隊長「わかった! 入るから!! 腕が千切れるから止めて!!」


風呂

鬼「良い湯だなー」

隊長「出来れば男女別が良かったけどね」

鬼「隊長は人の背中洗うの慣れてたなあ」

隊長「家での妹の世話は俺が見てたから」

鬼「妹に会いたいとか思わないのか?」

隊長「家出るときにガン泣きされたから気まずい」

鬼「そっかー」


鬼「隊長拭いてー!!」

隊長「アンタはどこの子供だよ」フキフキ

鬼「えへへー じゃあ先に部屋で待ってるな」ゼンラー

隊長「ちょっと待て 服ぐらい着ていけ」

鬼「どうせ寝るときに裸になるからいいだろ」

隊長「廊下を歩かれると他の人に見られて困るの!!」

鬼「はーい」


部屋

鬼「じゃあ寝るか!!」ゼンラー

隊長「どうせ寝る時は全裸か……」ハァ

鬼「隊長は俺の裸を見ても欲情しないのか ってかしろよ」

隊長「なんか行動が妹っぽい」

鬼「」


鬼「肉体は結構いい方だと思うんだけどな」

隊長「確かに引き締まってるよね」

鬼「お尻も良い子供が生まれそうだねって言われてたんだけど」

隊長「そんな会話を日常的にしないで」

鬼「後は喧嘩は強いし」

隊長「戦った相手が死ぬかもね」

鬼「それに胸は大きいほうだろ 少なくとも絶壁よりマシだ」

隊長「副官ちゃんの名前は絶壁ではありません」


辺境村

副官「クシュン!!」

弓「風邪かい?」

副官「どうやら誰かが私の噂をしているらしいですね」ズズッ


鬼「おやすみー」ギュー

隊長「だから抱き枕なしで寝られないのが妹っぽいって」

鬼「ぐぅぐぅ」zzzz

隊長「もう寝てるし……寝よ」


数日後 辺境村

隊長「ただいまー」

副官「お帰りなさい 楽しかったですか楽しかったですよね」

弓「まあ君たちのことだ しっぽりやってきたんだろう?」

隊長「なんで二人ともやさぐれてるの?」

鬼「楽しかったからいいだろ!!」

鬼「二人で一緒にお風呂も入ったしな!!」

副官「」ザクザク

弓「」グサグサ

隊長「だから無言で刺すのはやめっ――痛いから!!」


隊長「とりあえず 今のところ問題は市場への野菜納品だね」

副官「それは盗賊を三人ほど向かわせればいいでしょう」

副官「後から私が見繕っておきます」

隊長「よろしく 申請のやり方は商人ちゃんが教えてくれるってさ」

弓「野菜で辺境村ブランドが出来れば 村人も増えるかもしれないよ」

隊長「増えたらもう少し施設が増やせるかもしれないしね」

鬼「街まで二日っていうのが遠いんだよな」

隊長「しかも一応 魔界との国境近くだから下手なことは出来ないし」

副官「それは追々考えるとして とりあえずお風呂とはなんですか?」

鬼「だから私と隊長が一緒にお風呂に――」

弓「温厚な私でも怒るときは怒る」ギロッ

鬼「なんか弓が怖い」


辺境村 村人24人→21人に減りました


隊長「すぅすぅ」zzzz

副官「隊長隊長」ユサユサ

隊長「うぅん もうあさぁ?」ムクリ

副官「違います それと他の人が起きるので静かにしてください」

隊長「」コクリ

副官「その……最近血を吸ってなかったので吸わせてもらえればと」モジモジ

隊長「」スッ

副官「ありがとうございます」カプッ

副官「」チューチュー

隊長「すぅすぅ」zzzz

副官「チューチュー」


隊長「なんか体が重い気がする」ダルー

副官「気のせいですよ きっと」


副官「そろそろ冬に備えて薪も作らないといけませんね」

隊長「だねー 幸い木は沢山あるから困らないけど」

鬼「伐採なら俺の得意分野だな」ブォン

弓「伐採するならその金棒じゃなくて斧を持っていってね」

副官「それに加えて肉などは干し肉にして保存しておきましょう」

弓「最近は森に入っても動物や魔物をあまり見かけないからね」


盗賊1「お頭と隊長が一緒に風呂に入った件 ソースはお頭」

盗賊2「お頭のエロ画像誰かうqしる!!」

盗賊3「じゃあ隊長と一緒に入れば間接的にお頭と入ったことになる」

盗賊1「3がまた終わらせてくれた」

盗賊2「3はもう少し空気嫁」


副官「次に運送屋が来るときに防寒着も頼みましょう」

隊長「ここらも冷えるだろうしね」

弓「どんな季節でも育ってくれる作物には脅威すら感じるね」

隊長「でも冬に収穫出来るのは効率で問題だけどね」

弓「寒いから手も冷たい 最悪凍傷になることもあるか」

鬼「俺は冬でも半袖で問題ないけど」

副官「あなたと人類を一緒にしないでください」

副官「ここは一気に焼畑をやるのも手ですけどね」

弓「焼畑は農地を回復させるのが目的だけど」

隊長「あそこの土地 怖いぐらいに作物がなるしな」

副官「放っておくとまた巨大作物になりますよ」

隊長「だよなぁ 取り合えず焼畑方向で考えるか」


副官「それとお金と人員に余裕があるようなら宿屋を作りましょう」

隊長「宿屋?」

副官「そうです 今は全く人が入らない未開の土地ですが」

副官「野菜が売れれば商人たちが視察に来るかもしれません」

弓「なるほど そんな時に寂れた村の寂れた家に泊まらせるわけにはいかないと」

隊長「それは一理あるね」

鬼「それを今からやるのか?」

副官「いえ それは春になったらやりましょう」

隊長「冬にやるのも厳しいしなー」

鬼「俺は問題ないぞ」

副官「だからあなたを一般基準に考えないでください」

鬼「」


【冬】

隊長「寒い! っていうか予想以上の寒さだろこれ」ガタガタガタ

副官「場所ゆえかここはとても寒い地域のようですね」

弓「でもお陰で安定して野菜が採れるからブランドが浸透しやすいだろう」

副官「収穫しに行ってるのは鬼だけですけど」

隊長「この寒さに半袖で生活出来るあいつが羨ましい」

弓「それと薪の消費量が大変だね」

副官「予想以上です それに家が雪で今にも潰れそうだし」

隊長「そこらも春までに考えないといけないみたいだ」

ガララッ

鬼「帰ったぞー」ビュー

副官「なにをしているんですか! 早く閉めてください!!」


鬼「怒ることないだろ せっかく良いもの持って来たのに」ガサッ

副官「なんですかそれ?」

鬼「さっきここに兵士風の男が来て隊長に渡してくれって」ハイ

隊長「その人は?」

鬼「あまり時間がないから直ぐに帰るって帰ったけど」

弓「この雪の中を帰るなんて自殺行為だよ」

隊長「でもそれほど大切な手紙だったんじゃない 今更だけど」パラパラ

隊長「……ふむふむ」

副官「なんて書いてあるんですか?」

隊長「う~ん ラブレター?」

副官「」ザクザク

弓「」ブスブス

鬼「」ゴンゴン

隊長「冗談だから止めて!!」


隊長「王様からだよ」

副官「王様が何の用なんですか?」

隊長「久しぶりに家族に顔でも見せるって話」

弓「それで顔を見せに行くのかい?」

隊長「まあ王様に直訴があったぐらいだから」スゥー

副官「嘘ですね」

隊長「……はぁ?」

副官「隊長は嘘をつく時に唇を舐める癖があります」

隊長「……マジで?」

副官「マジです」

鬼「嘘をついたってどうしうことだよ」

弓「大方 なにやら危険な任務でも任されたから 私たちは巻き込みたくないとか」

隊長「まあ大体当たり」


隊長「どうも空戦姫が俺に会いたがってるらしい」

副官「空戦姫って魔王の側近の?」

隊長「そう 昔一度だけ手合わせしたことがあるんだけど……」

弓「彼女って最強の魔族と称される竜族の一人だろう」

隊長「ぶっちゃけ戦いは俺の負けみたいなもんだよ」

隊長「でも一矢報いたのが彼女の誇りに傷をつけたらしい」

隊長「俺が来なけりゃ一気に攻め入るって」

鬼「じゃあ隊長が行かなきゃいけないってことか」

隊長「なんだよなあ 面倒臭いけど」

副官「それでは荷物を纏めましょうか」

弓「王国に行くのなんて初めてだね」

鬼「春までには帰って来られるかな」

隊長「ってみんな来るつもりなの!?」


副官「私は隊長の副官なので当然行きます」

弓「私もあなたとは古い仲だからね」

鬼「俺は王国のお菓子が食べたいから!!」

隊長「正直言って 俺は死ぬと思うんだけど」

副官「大丈夫でしょう いざとなれば名産品の人面野菜をボスに見立てて逃亡します」

弓「それでこの村で生涯暮らせばいいしね」

鬼「そういうことだ 俺たちはみんなついていくぞ」

隊長「あーうん ありがとう」

副官「では明日出発で」


第一部『村おこし編』終了 第二部『王国編』に続く

ちょっと8時ぐらいまで仮眠を取ってきます 落ちてたら諦め


保守ありがとう 再開する

【城塞都市】


副官「大きい城壁ですね」

隊長「王国へと続く最後の砦みたいな感じだから」

弓「この城壁のお陰で魔族は今まで攻め入れてないんだよね」

鬼「これ堅いんだよな」コンコン

隊長「なんでも魔術結界まで張られてるから 並大抵の攻撃じゃビクともしないって」

副官「ここで迎え撃つんですか?」

隊長「姫はここから少しのところに陣地を張ってるんだって」

隊長「逆にいえば こちらも軍を前線に送れないし前線から軍を返すことも出来ない」

弓「だから早急になんとかしろって命令が出たわけだね」

隊長「俺は勇者が帰ってくるまでの捨て駒だと思うけど」ハァ

鬼「そんなに落ち込むなよ 俺たちがついてるだろ!!」

隊長 そうだけど……ハァ


指揮官「なんだ隊長じゃないか!!」

隊長「指揮官さん お久しぶりです」

指揮官「なんだおい! 辺境村に左遷されたと聞いてもう会えないかと思ったぞ!!」

隊長「いえいえ 今でも元気です」

指揮官「まあ直ぐに帰らぬ人になるかもしれないがな」

隊長「そういう冗談は止めてください」

指揮官「ところでそちらの婦人方は 君の奥方かな?」

副官「いやいや! いきなり奥方なんてそんな……」

弓「まあいずれそういう関係になるといっても過言ではないが」

鬼「むしろ今 そうなってもいいんだけどな」

隊長「あの人たちは気にしないでください」

指揮官「うむ それでは概要を説明する」


指揮官「空戦姫はお前との一対一の対談を望んでいる」

指揮官「とはいえあちらも大勢だ 数人と一緒に向かってもらう」

副官「数人と一緒にって! 隊長を見殺しにするんですか!?」

指揮官「空戦姫は義を重んじる武人だ 不意打ちなどという卑怯な真似はしない」

隊長「恐らく一対一ってのも本当でしょうね」

弓「でも魔王軍親衛隊の三人は前線に出たことが一度もないんだろう」

指揮官「だから前代未聞なんだ 彼女たちが前線に出たら戦争は我々の負けで決まる」

指揮官「それをしないのは何故だか検討もつかないが」

隊長「言っておくけど絶対に手を出しちゃ駄目だよ」

隊長「こと戦闘では彼女たちに勝てるのは恐らく勇者ぐらいだから」

鬼「だから隊長に行かせて機嫌を取れって?」

隊長「そういうこと まあ下手に逆鱗を触りでもしたらとんでもないことになりそうだし」

指揮官「すまないな」

隊長「いいですよ 納得していることなんで」


副官「ではその数人の中に私たちを入れてください!!」

指揮官「望みがあればそのつもりだった」

隊長「もしなにかしら戦争の意思を示したら?」

指揮官「我々全員で打ってでる」

隊長「……これは王様の命令なんですよね」

指揮官「ああ そうだ」

隊長「まあ別に負けたわけじゃないからいっか」

隊長「じゃあ早速行って来ます」

指揮官「合図があれば直ぐに出られる準備をしておく」


副官「隊長 大丈夫ですか?」

隊長「こんな大仕事初めてだから胃がキリキリする」キリキリ

弓「胃薬でも飲むかい?」

隊長「ありがたく頂きます」ゴクゴク


隊長「あの村に着てから色々あったよね」

隊長「副官ちゃんが最初に来て」

隊長「次に弓さんが迷い込んできて」

隊長「それに鬼や盗賊たちも来て一気に人口が増えて」

隊長「楽しかったなあ……」

副官「そんな今から死ぬみたいなフラグを立てないでください縁起が悪い」

鬼「そうだって 俺たちが付いてるって言っただろ!!」

隊長「それについてなんだけど 三人とも絶対に手を出しちゃ駄目だよ」

隊長「俺が死んだら合図を出して逃走の方向で」

副官「アタリマエジャナイデスカ」

弓「タイチョウノメイレハゼッタイ」

鬼「メイレイイハンダメゼッタイ」

隊長「わかってくれてるならいいけど」


兵士1「おい! ここからは隊長一人で進んでもらう」

隊長「わかりました」

兵士2「武装の許可はされている そのまま私について来い」

隊長「それじゃあ三人とも 変な気は起こさないように」


弓(私は風の流れが読めるからね 多少遠い音でも拾えるよ)

副官(変な空気になったら全員で突撃します)

鬼(勝てはしないだろうが 隊長を逃がす時間ぐらいは稼げるだろ)

兵士1「……?」


隊長「それで兵士さん 姫はどんなお話をされるんで?」

兵士2「さあな 私たちとて聞いてない」

兵士2「それにこれは姫の独断だ」

隊長「……」


兵士2「姫 連れてきました」

空「よし入れろ」

兵士2「はっ!」

パサッ

空「久しいな隊長」

隊長「久しぶりです姫(なんというか)」

空「まあ座れ」チマーン

隊長(相変わらず小さいですねなんてツッコミ入れたら殺されるな)

空「おい キサマ今失礼なことを考えなかったか?」

隊長「そんなことありません」

空「それならまあいいんだが……」

空「魔界で採れる葉で入れた希少な紅茶だ 飲め」

隊長「ありがたく頂きます」


空「どうだ美味しいだろう」

隊長「はいまあ(早く本題に入ってくれ ぶっちゃけ味とかしない)」

空「実は我のことを小さいと思っているだろう」

隊長「はい……いいえ そんなこと思ってません」

空「まあいい これでも親衛隊の中では一番古株なんだが」

隊長(他の二人は普通だった気がするけど)

空「今 他の二人は身長が普通だからそうは見えないと思っただろう」

隊長「そんなこと思ってません」

隊長「ところで前に会ったときも俺が敵陣深く潜り込んでた時に偶然出会ったんだけど」

隊長「どうして姫は前線に出ないんで?」

空「今の……いや先代の魔王様から保守派なんでな」

隊長「人間と戦いたくないとか?」

空「そうだ むしろ人間との共存を望んでおる」ハァ


空「今更和平をするにせよ お互いの間の溝はデカイ」

隊長「だから前線に出られないと」

空「我らが出たら戦争なんぞ一瞬で終わるわ」

隊長「誇張なしで言ってるから怖い」

空「そんな中 我に手傷を負わせたキサマの手腕は褒めてしかるべきだ」

隊長「いや……そんなことは」

空「よい 今でも額につけられた傷が消えんぐらいだからな」

隊長「それは悪いと思ってます」

空「よいと言っている あれはあれで存分に楽しめたのだ」

空「それで本題なのだが……」

隊長(来たか……ッ)


弓「本題が来るよ」

副官「戦闘が始まるようなら弓さんが制圧射撃」

副官「鬼さんがここで兵の足止めをしている間に 私が突っ込んできます」

鬼「俺は足があまり速くないからな 文句はないぜ」


空「そう身構えるでない」

隊長「姫は信頼してるけど 血迷った腹心がなにを仕出かすかわからないので」

兵士2「」

空「大丈夫じゃ もし手を出してきたとしても我が全力で止める」

隊長「凄い信頼できる言葉を頂きました」

空「それで本題なんじゃが……」

空「お主のことが気に入った 余の婿になれ」

隊長「」


弓「……だそうだけど」

副官「突撃で決まりですね」


兵士2「姫様! それは!!」

空「別にいいであろう 人生は一度しかないのだ」

空「このような選択もありだ それに……」

ヒュンッ

空「先に血迷ったのはお主の兵らしいな」パシッ

隊長「飛んできた矢を素手で受け止めるとは見事です」パチパチ

空「まあよい 主の危機に立ち向かえるのは良い腹心の証拠じゃ」

副官「お命頂戴!!」チャキン

空「まあ別に答を急ぐことはない 一生のことだ 家族とも話し合って決めるがよい」スッ

副官(素手で刀を打ち払った!?)

鬼「どけ副官!! 俺が押しつぶす!!」ブォン

空「それと先ほどからうるさいぞ 人の告白に口を挟むでない」ドン

鬼「俺の金棒を足で受け止めた……だと……」

空「我は実力だけなら四大貴族の長にまで匹敵する」ググッ


隊長「部下の非礼は詫びますのでそれぐらいに……」

空「まあよい それと魔族だの人間だの文句を言うやつは魔王軍にはおらん」

空「もし気兼ねするようなら我はここにいるからいつでも相談しに来るがいい」クルリ


隊長「だそうです」

指揮官「なにそれこわい」

隊長「受けるにしろ受けないにせよ まずは王様に報告しないと」

指揮官「馬でいけば王国まで半日だからな」

隊長「場合によっては実家に顔を出さなきゃいけないし」ハァ

指揮官「それはまあいいんだが 彼女たちはどうしたんだ?」

副官「これで負けるの二回目とか」ショボーン

弓「まさか私の弓の軌道が見切られるなんて」ショボーン

鬼「パワーで負けたパワーで負けた」ショボーン

隊長「あの人たちは気にしない方向で」


指揮官「とりあえず今日は休んで 明日の朝一で報告に行きなさい」

隊長「はい」


副官「オラァッ!! 酒もってこい!!」ガチャン!!

弓「あひゃひゃひゃひゃ!! 世界が回るぞー」フラフラ

鬼「どうせ俺なんて……矮小でゴミつぶみたいな存在なんだ」グスッ

指揮官「すまない 早急に彼女たちを連れて王国に向かってくれ」アタマイタイ

隊長「あそこまで酒癖悪いとは思わなかった」

隊長「副官ちゃん ほら行くよ」グイグイ

副官「そもそもてめーがハッキリしないのがいけないんだろうが!!」グイッ

隊長「ひぃっ!?」ガクガクガク

副官「なんだ結婚するのかむしろ私と結婚しろオラァッ!!」ブンブン

隊長「頭が揺れますぅぅぅぅうぅぅ」ガクガクガク

隊長「初っ端から酷い目にあった」ハァ

隊長「弓さん そろそろ行きますよー」

弓「あっはっはっは!! あなたはモテて羨ましいなぁ」バンバン

隊長「痛い 背中痛い!!」

弓「でも……隊長さんは五人いるから数的には問題ないかぁ むしろ後一人ぐらい増えろ!!」フラフラ

隊長「それは幻覚です ってか出来れば弓さんはキャラ崩さないで」

隊長「鬼 行きますよ」

鬼「隊長さんは俺みたいな役立たずに声をかけてくれて優しいな」グスッ

隊長「鬼が役立たずとか誰も思ってないから ね!」

鬼「隊長さん! 俺を捨てないでくれ!!」ダキッ

隊長「やめて……その状態でちからをこめ――ないぞうでちゃ……」


副官「どうして私たちは馬車に乗ってるんですか 頭が痛い」ズキズキ

弓「お酒を飲んでいた記憶はあるんだが……」ズキズキ

鬼「ってか隊長さん! その傷どうしたんだ!?」

隊長「うん 気にしてないから」ハァ

門番「それでは通ってよいぞ」ガララ

副官「門番の人 私たちを見てもロクに検査もなしで通してくれましたね」

隊長「人によっては魔族を奴隷として扱っている人もいるから」

弓「私たちも奴隷だと思われたのかな まあ私はいいんだが」

鬼「俺もいいぜ!!」

副官「なっ! 私だって!!」クワッ

隊長「変なことで争わないで」

王様「報告は聞いておるぞ」

隊長「……はい」

王様「ワシとしてはこの話はありだと思っておる」

副官「ちょっと待ってください王様」

王様「なんじゃ?」

副官「空戦姫は魔王の血筋を要する由緒正しき家の出です」
副官「政略結婚とはいえ 隊長では国内からの反発も大きいのでは?」

王様「それならば問題ない そやつはワシの息子だからな」

みんな「「はぁああああああああ!?」」


副官「恐れ多きも王様 こんな女ったらしが王様の子供なわけありません!!」

隊長「副官ちゃんって俺のこと そういう目で見てたの?」

弓「玉座に座ってるより桑持って農民をしている方が似合ってるのに」

隊長「せめて兵士ぐらいにして」

鬼「確かに王子って柄じゃねーよな」

隊長「それには賛成する」

王様「とにかくじゃ 話は前向きに進めておけ」

隊長「はい」


副官「どうしてこんな大切なことを黙っていたんですか!?」

弓「道理で私たちの過去を知りたがらないわけだ」ハァ

隊長「だってねえ 王様には妾が二十人近くいて」

隊長「上の腹違いの兄貴が12,3人死なないと継承権が回ってこない日陰の人間だし」

鬼「でもそうなると空戦姫との結婚の話はどうなるんだ?」

弓「家柄が問題なくなっちゃったからね 受けざる得ないさ」

隊長「それに王様だって俺の顔忘れてるレベルだよ」

副官「それはまあ……ご愁傷様と言わざる得ないですね」

隊長「とりあえず俺の実家に行こうか」

隊長「あまり帰りたくないけど」ハァ


隊長「只今帰り――」

母「お帰り隊長! あぁ私の隊長!!」ダキッ

隊長「お母さん苦しいです」

母「王様から話は聞いています」

母「今日はゆっくりしていってくださいね」

母「それでこちらの方々は……」

副官「隊長の部下です」

母「そうですか ではそちらの馬小屋をお使いください」ニコリ

副官「」

弓「」

鬼「」


魔王「勇者に追われている 匿え」男「なにそれ怖い」
http://bipblog.com/archives/3610512.html

女「少女を買わないかい?」男「なにそれこわい」
http://unkar.org/r/news4vip/1320249375


とりあえずこの二つを先に読めば色々幸せになる


隊長「母さん ウチに泊まらせてあげて」

母「まあ隊長ちゃんが言うなら……」


隊長「気を悪くしたらごめん」

副官「それは別に構わないんですが……」

隊長「母さん あれで血筋とかに拘る人だから」ハァ

弓「典型的な貴族だね そこからあなたのような人が生まれるのが一番不思議だが」

隊長「俺もあんな母親が嫌で軍属になったようなものだから」

鬼「だから王様の妾なんてやってるのか?」

副官「それはお母様の前では言わないように 即効で追い出されますよ」


妹「お兄様!!」ダキッ

隊長「妹ちゃん 久しぶりだね」ギュー


妹「いきなりなんの話もなく家を出て 妹は寂しかったです」スリスリ

隊長「ごめんね」ナデナデ

妹「結婚したらこの家に帰ってくるんですよね」キラキラ

隊長「いやぁ それはどうかなー」

妹「嫌です! そんなこと言うお兄様は離しません!!」ギュー

隊長「あっはっは! 困ったなぁ」チラリ

副官「……はぁ 妹様 隊長が困っていますので」

妹「お兄様との再開を楽しんでいるのです」

妹「絶壁は黙りなさい」キッ

副官「」

弓「はっはっは! 絶壁とは面白いギャグだね」

妹「男なのになんでナヨナヨしてるんですか?」

弓「」

妹「それと筋肉ダルマは喋らなくていいです」

鬼「なにそれ酷い」


隊長「本当のことでも言っちゃ駄目だろ」

副官「おい」

妹「ごめんなさい お兄様」シュン

隊長「謝ってくれてるならよし」ナデナデ

妹「えへへ……」


隊長「とまあこれが俺の家族編成なんだけど」

副官「最低の一家ですね」

隊長「まああの母の影響を受ければあんな感じになるかな」

弓「ところで鬼がいないようだけど」

隊長「さっきトイレに行くって出て行ったよ」


鬼「おい妹!」

妹「なんですか」

鬼「さっきの言葉はおかしいだろう」

妹「さっきの言葉とは?」

鬼「副官や弓に言ったことだ!!」

鬼「確かに事実だけど!!」

妹「……事実ならいいじゃないですか」

鬼「俺は仲間のことを悪く言われて黙っていられるほど出来てないからな」

妹「……はあ そういうところが庶民と貴族の差なんですよ」

鬼「なに? 俺はお袋からそんなこと教わらなかったぞ!!」

妹「母親が母親なら子供も子供ですね」フン

鬼「」ブチッ

キャアアアアアア

副官「大変です 嫌な予感が……」

弓「奇遇だね 私もそう思ったよ」


母「なにをしているんですかあなたは!?」

鬼「悪いことをしたら尻を叩くのは当然だろ!!」パンッパンッ

妹「痛い! 痛いです!!」

母「隊長!! あなた部下にどんな教育をしているんですか!?」

隊長「う~ん こういう教育としか」

鬼「俺は悪いことをしてないからな」ブスー

隊長「まあこう言ってるんだし」

母「いい加減に怒りますよ!! こんな庶民に……」

隊長「母さん 一つ言うけどさ」

隊長「どんな身分の人間だろうと俺の命を預けられる仲間に違いないんだからさ」

隊長「その侮辱は俺への侮辱と受け取るけど」

母「うぅ……」


隊長「妹もさ 鬼の言いたいことはわかるだろ」

妹「えっと……」

隊長「鬼のやったことは少し暴力的だったけど」

隊長「鬼のしたことは間違ってないよ」

妹「うぅ……お兄様は私をイジメるんですか?」

隊長「違うよ 俺は鬼が間違ってたら怒る」

隊長「今回間違ってるのは妹なの」

妹「ぐすっ」


副官「よろしいのですか?」

隊長「なにが?」

副官「この家での隊長の立場がまた微妙なものになりそうですけど」

隊長「今までも勘当同然だったからいいんじゃない」


妹「お兄様のばかぁ……」グスッ

鬼「あっと妹ちゃん ちょっといいか?」

妹「嫌です!!」キッ

鬼「いや俺も悪かったよ やり過ぎたと思ってるんだ」

妹「許しませんから」

鬼「そこで美味そうな菓子買ってきたけど食べる?」

妹「そんな安っぽい手には乗りませんよ」

妹「私は大人の女ですから……」

妹「まあどうしてもというなら貰いますけど」

鬼「じゃあ一緒に食べようぜ」


妹「鬼さん どうして野菜を避けて食べないんですか?」

鬼「いやだって 村で作る野菜以外はあんまり好きじゃないし……」

妹「私に散々説教したんですから 早く食べなさい」

鬼「へーい」モシャモシャ


隊長「いつの間にか妹が鬼に寝取られていた件」

副官「ああいう固いタイプには鬼みたいな馬鹿と気が合うんじゃないです」

弓「それそのままブーメランだよね」

隊長「まあ二人とも仲良さそうでよかったよ」

妹「今日は一緒にお風呂に入りますよ鬼さん」

鬼「えーーー!! 俺は隊長と――」

妹「いいですね?」ニコリ

鬼「はい」


副官「ここ数日 実家でダラダラしているのはいいんですけど」

隊長「どうしたのー?」ダラダラ

副官「結婚話については忘れてませんか?」

隊長「……忘れてないよ」

副官「今の間はなんですか今の間は」

隊長「当初の目的を忘れてダラダラするほど落ちぶれたつもりはない!!」キリッ

副官「そうですか それで決めたんですか?」

隊長「う~ん……」

副官「私は……」

隊長「ん?」

副官「私は行って欲しくないです」ギュッ


妹「鬼さん どうして野菜を避けて食べないんですか?」×

妹「鬼さん どうして野菜を避けて食べるんですか?」○

こうか


副官「隊長との村での生活は楽しいですし」

副官「それに隊長がいなくなると村が困ります」

隊長「だよねぇ ようやく村も軌道に乗ってきたんだし」

副官「いえ それは隊長が決めることでした 出過ぎた真似を許してください」ペコリ

隊長「いいよいいよ そこはちゃんと考えるから真面目に」ナデナデ

副官「ありがとうございます」


弓「それで私に相談ね」

隊長「弓さんはなんだかんだで頼りになるので」

弓「喜んでいいのやら悲しんでいいのやら」ヤレヤレ

弓「まあどっちを選んでも姫が激怒して報復するなんてことはないだろうし」

弓「自分のしたいようにすればいいんじゃないかな」

隊長「そうだよね」


隊長「それでは母さん お世話になりました」

母「ちゃんとやってくるんだよ」

隊長「わかってます」

鬼「妹も元気でな」ナデナデ

妹「あなたもまた来て下さいね」


指揮官「それで約束の期日ギリギリに帰ってきたのか」

隊長「もしかして逃げると思ってました?」

指揮官「そう思ったから厳戒態勢を強いているんだ」

隊長「信頼なさすぎワロタ」

指揮官「まあいい お前がどんな選択をしようが関係ないからな」

隊長「その爆発しろみたいな目やめてくれませんか」

指揮官「リア充爆発しろ」

隊長「泣きたくなってきた」


兵士2「逃げなかったんですね」

隊長「なんでみんな俺が逃げると思ってるの?」

副官「それが隊長の人徳なのでは?」

隊長「そんな人徳捨て去りたいです」

兵士2「それでは隊長殿だけついてこい」

隊長「はいはい」


空「一週間ぶりだな」

隊長「寂しかった?」

空「寂しくはないがドキドキはしていたぞ」ズズー

隊長「カウンターが強い」

空「それで返答は?」

隊長「俺は……」


隊長「俺はまだ辺境村を立て直すって仕事の最中だから無理だ」

空「……うむ 恐らく王からは結婚しろだの言われておるのではないか?」

隊長「結婚して魔界に行ったらあの村がまた廃墟になる」

隊長「せっかく軌道に乗りなおしたのにそれは嫌だからさ」

空「ならば仕方ないな」フム

隊長「せっかくのお話 すいませんでした」ペコリ

空「兵士2 荷造りをしろ」

兵士2「……へ?」

空「婿に来るのが嫌なのならば 我が嫁に行くしかなかろう」キリッ

隊長「えっとそういう意味で言ったんじゃなくて……」

兵士2「魔王軍を辞めるのですか!?」

空「魔王様もこれぐらいの我が侭 許してくれるじゃろ」

空「それとも我の命令が聞けぬのか?」キッ

兵士2「はっ! 今すぐ準備を開始します!!」ダッ


隊長「あの……あれよこれよと話が進んでますが」

空「お主が今の我に興味のないことは知っておる」

空「じゃから結婚はお主の気の向いたときでよい」

隊長「えっとそういうことじゃなくて……」

空「それと空を見てみよ」

隊長「空?」スッ

竜「ギャォオオオオオオオオ!!!」バサッバサッ

空「我が子飼いの竜じゃ 人も乗せられるし荷も乗せられる」

空「花嫁道具にはピッタリじゃろう?」ニヤリ

隊長「これで運送業者に頼まなくてすむ……採用」

空「それではこれからよろしく頼む」


辺境村 村人24人


隊長「そういうわけで今日から新しい住人が増えます」

空「元空戦姫だ 元だから敬語とか使わんでよいぞ」

兵士1「姫共々よろしくお願いします」

兵士2「よろしくお願いします」

副官「この第二部 結局嫁候補を増やしただけのような……」

弓「しかも厄介な手合いを……」

鬼「よろしく頼む!!」ギュッ

空「なんだ 話がわかるのはこの鬼だけか」ギュッ

隊長「それじゃあ空を飛んで直ぐに着くらしいから」

兵士1「距離的には半日ほどで到着するかと」

竜「ギャォオオオオオオオオオ!!」

隊長「じゃあ家に帰ろうかみんな!!」


第二部「王国編」終了 第三部「発展する村」へ続く

さて 今日21時から仕事なんだけど 完結する気配がないよね
完結しなかったら大人しくSS速報行きます では続けて第三部へ


盗賊1「帰って来たと思ったら女の子が三人増えてた 超スピードだとか(ry」

盗賊2「人口比率としてはまだ男が多いけど 矢印が限りなく隊長に向いてる」

盗賊3「ロリはいいよな ロリで貧乳なら許せる」

盗賊1「全くもってその通り」

盗賊2「しかもロリなのに絶壁より胸があるとかwwwww」


隊長「結局春になってようやく帰ってこられたけど」

隊長「村の様子が結構変わってるね」

副官「どうやら数週間前から家屋の建築に取り掛かり始めたらしいです」

弓「今までは2,3人で一つの家を使っている状態だったしね」

副官「幸い土地は余っていますし 盗賊の中に建築を齧っている人がいたらしく」

隊長「その人家出して武道家やってたりしてない?」

副官「いえ そんなことはないと思いますけど」

隊長「なんだ人違いか」


兵士1「隊長殿 竜を住まわせるための竜舎が欲しいのですが」

隊長「そっか 育てるなら家も欲しいよな」

竜「グルゥゥゥゥゥゥ」

副官「盗賊1 手伝いなさい」

盗賊1「はいはい この竜の家を作るんですか?」

鬼「お前って大工仕事なんて出来たの?」

盗賊1「実家が大工だったんで 簡単なものなら」

副官「では指揮はあなたが取りなさい 人数は幾ら使っても構いません」

盗賊1「わかりました じゃあ兵士さんたちも手伝ってくれ」

兵士1「初めからそのつもりだ」

兵士2「その通り」


隊長「それと一度街に行って市場への参入が上手くいってるかどうか見に行きたいな」

副官「それもそうですね まあ私はいつも通り留守番ですけど」ハァ

鬼「じゃあ俺もい――」

副官「鬼さんは残ってください 兼ねてからの宿屋建設などもしなくてはいけませんから」

弓「今度こそ 私も大手を振っていかせてもらおう」

空「じゃあ我も行くかな 人間の街というものにも興味がある」フン

副官「では空さんが行くなら竜と荷物を一緒に運んでもらって」

副官「あちらで運送業者との契約解除も行ってきてください」

隊長「おk 明日朝一で行って来る」


翌日 街

隊長「本当に 竜で行くと楽だよね」

空「そうだろう 幼き頃から我と一緒にいる相棒じゃからな」ナデナデ

竜「グルルルルル」

弓「市場はあっちだよ」


市場

店番「隊長! こっちです!!」

隊長「驚いた……名前が盗賊から店番になってる」

店番「店番なので それよりも見てください」

隊長「売れ残りなし?」

店番「飛ぶように売れるんですよ ウチの野菜!!」

空「見た目は悪そうだが……」

店番「客も最初はそういうんですけどね」

店番「試食を食べてもらうと評価一転 売れるんですよ」


店番「それと何人か専属で契約を結びたいって人が何件か」

弓「大口の店もいくつかあるんじゃないかな?」

店番「そうですね 流通ルートの問題で全部は無理ですけど」

店番「いくつかは専属で契約を結べば安定した収入を得られますよ」

隊長「どんどん村の野菜が認められていく(肥料はあれだけど)」

弓「そちらの契約は私が優先して行おう」

弓「とりあえず宿に集合ということで 隊長さんは勇者の料理屋を見に行ったらどうだい?」

隊長「そうだね 親父さんにも挨拶しておきたいし」

空「勇者の料理屋?」

隊長「なんでもそこの娘さんが今の勇者なんだとか」

空「ふむ 三代続いて血縁から出ている魔王とは違うということか」


店主「なんだ隊長さん 久しぶりだな!!」

商人「そうやよ ウチも寂しかったんやから」ヨヨヨ

隊長「店主はともかく 商人ちゃんは俺のこと知ってたんだよね」

商人「やっぱりバレとった?」

隊長「あれだけ態度で出してたらね」

商人「昔王族に壷を売りつけるために血縁関係全部調べたからな」

商人「今でも全員の名前空で言えるよ」

隊長「本当に逞しいよね」


店主「隊長さんの方だって前と違う女を連れているじゃねぇか」

隊長「あぁ この人は……」

空「我は将来の嫁(予定)の空じゃ」

店主「こんな嬢ちゃんを見てると娘の昔のことを思い出すなー」ガシガシ

空「頭を撫でるな!!」


店主「お前が持ってきた野菜 好評だぜ」

隊長「ありがとうございます」

店主「これならウチの娘を嫁に出してもいいんだけどな」ガッハッハ!!

隊長「これ以上嫁は必要ありません」

空「そうじゃ 我がおれば十分じゃ」ギュー

商人「お嬢ちゃん可愛いなぁ 飴ちゃんいる?」

空「わーい♪」

空「じゃなくて子供扱いするでない!!」バシンッ

店主「これからもよろしく頼むわ」ガシッ

隊長「こちらこそ」ガシッ


商人「そういや風の噂で聞いたけど」

商人「なんでも魔王軍の親衛隊の一人が出奔したらしくてな」

商人「半年ぐらい休戦するらしいよ」

隊長「それが本当なら久しぶりの休戦だね」チラリ

空「ヒュ~ヒュ~♪」

店主「まあウチの娘も働き通しだからな」

商人「そういう理由もあっての休戦の申し入れや」

隊長「ふ~ん まあウチには関係ないか」

空「そうじゃそうじゃ」


隊長「じゃあ俺たちは宿に行こうか」

空「うむ!」

店主「また来いよ!」

商人「定期的に来てな!!」


空「良い店だったな!!」

隊長「店主も良い人だしね」

空「人間のように暮らすのも案外悪くないかもしれん」

空「尻尾と角を隠すのは少々窮屈じゃが」

隊長「それは諦めてください」


宿主「今日もご宿泊ですか?(また違う女連れ歩いてやがる)」

隊長「今日は二部屋でお願いします」

宿主「ありがとうございます しめて20Gです」

隊長「はい」チャリン


隊長「それでどうして姫は俺の部屋にいるの?」

空「嫁候補が部屋にいて悪いのか?」

隊長「むしろ悪くない理由がわからない」

空「まあお主も女子に言い寄られて悪い気はせんだろ?」

隊長「まあね」

空「ならいいではないか」

空「それと少し膝を貸せ」ヨイショ

隊長「どうしたの?」

空「こうして空戦姫を膝に乗せたのはお主が始めてじゃ」

空「誇ってよいぞ」


隊長「こんなに小さいのに俺より強いんだよね」

空「竜族は魔族の中でも最強の一族じゃ」

空「それに我は先々代の魔王の娘じゃからな」

隊長「それって……」

空「今の魔王の祖父 先代魔王の父親じゃな」

隊長「ってことは魔王の系譜なの?」

空「分家みたいなものじゃがな」

隊長「……あれ? ってことは今いくつ?」

空「女に年齢を聞くでない」ブスー

隊長「それはごめん」


バタンッ

弓「空ちゃん こんなところにいたんだね」ハァハァ

空「どうした そんなにも息を切らせて」

弓「隣の部屋にいなかったからね まさかと思ったら」

空「我と隊長は既に膝に乗せあう仲じゃ」フフン

隊長「どういう仲なの?」

弓「そこをつめたまへ 私も座るから」ギュー

空「いーやーだー!!」ギュー

隊長「狭いし重い!!」


隊長「それで一緒に寝るってことで解決したけど」

弓「部屋代が一つ無駄になってしまったね」ギュー

空「まあいいではないか 寛大な心で許せ」ギュー


弓「こんな美少女二人と一緒に寝ているんだ」

弓「少しは嬉しそうな顔をしたらどうだい?」

隊長「春先だからちょっと暑い」

空「まあ我の恋の炎は暑く燃え上がっているな」

隊長「どうして姫はそんな臭いセリフを堂々といえるの?」

弓「明日にはあの家に帰るのかと思うと寂しいね」ギュー

空「こんな風に寝れる日が続けばいいんじゃがな」ギュー

隊長「」


隊長「じゃあ帰ろうか」

弓「うんそうだな!!」テカテカ

空「十二分に補充は終了じゃ」テカテカ

隊長「なにが?」


辺境村

隊長「たっだいま~!!」

副官「お帰りなさい 竜はあちらへ」

隊長「もしかして竜舎がもう出来たとか?」

副官「いえ もう少し時間がかかりそうなので一時的な小屋を建てました」

隊長「それでも雨水風を避けられれば十分でしょ」

副官「それと王国から使者の方が参っています」

空「もしや我のことが外交問題になったとか?」

弓「ありえるね 普通だったら大問題に発展するべき問題だしね」

副官「いえ どうやらもっと別の話らしいです」


隊長「どうもお待たせしました」

使者「いえいえ 問題ありません」

隊長「それで話とは?」

使者「王様から伝言です 今回の件は特にお咎めなしと」

隊長「それは良かった」

使者「お陰で休戦出来ましたから」

使者「戦争をしているとお互い中々休戦出来ないんですよ」

隊長「それはわかる」

使者「それで休戦の間 勇者を一ヶ月ほど ここで休養させたらどうかという提案がありました」

隊長「マジで?」

使者「マジです」


使者「あなたも王様の子供ですからね」

使者「一応 気になさってはいるんですよ」

隊長「……はあ?」

使者「それに勇者様が療養された土地となれば観光スポットとしても有名になります」

使者「それでなくとも この村の野菜ブランドなども確立してますし」

隊長「王様からの恩赦ってこと?」

使者「そう思って頂いて構いません」

隊長「……ではお受けします」

使者「ありがとうございます では勇者様は一週間後には来られるので」


隊長「とまあそんな話になりました」

副官「確かに 魔族だらけだとか人面野菜がいるとか」

副官「そこをなんとかすれば問題ないですね」

隊長「どうにも出来ない問題な気がするけど」

盗賊2「勇者が来るのか 美少女なんだろwwwww」

盗賊3「夢がひろがりんぐwwwww」

盗賊1「……」

盗賊2「どうしたんだよ1 元気ないぞ!!」

盗賊3「勇者を精一杯持て成すのが俺たちの役目」

盗賊1「言い難いんだけどさ 俺実は兵士1ちゃんと結婚することにしたんだ」
盗賊2「」
盗賊3「」

夫「だから今度から名前が夫になる」キリッ

盗賊2「キリッ……じゃねーよ!! はあ!?」

盗賊2「1がいないと2と3って中途半端な数しか残らないだろ!!」

盗賊3「いい加減に汁 自分がなにを言っているのかわかっているのか?」

夫「ごめんな……」

盗賊2「お前なんてもう盗賊じゃねーよ!! どっか行っちまえ!!」

夫「くっ!!」ダッ

盗賊3「いいのか?」
盗賊2「これから幸せな家族を作る男に盗賊は似合わないだろ」


兵士1「真に身勝手なお願いですが……」

空「よいよ まさか魔族と人間の夫婦一号がお主らとはな」

妻「申し訳ございません」

空「別段悪いことはしておらんのだ 堂々と胸を張れ」

妻「……はい」

空「ところで夫のどこに惚れたのだ?」

妻「えっと……」

空「ほれほれ言ってみい」ツンツン

妻「頼りになるし私を引っ張ってくれるところとか」カァァ

空「お主は本当に可愛いのぅ 絶対に幸せになれよ」

妻「はい!!」


空「ということがあったのじゃ」

隊長「そっか盗賊1と兵士1が……」

副官「狭い村ですから 勇者が来る前に式をあげた方がいいかもしれませんね」

弓「なんせ子供は村にとって未来の戦力だからね」

弓「こういう結婚は多いほうがいいさ」

隊長「じゃあ明後日あたりに簡単な式をあげるってことで」

副官「村のみんなと当人にも伝えて来ましょう」ガタッ


盗賊2「」

鬼「どうしたんだ しけた面して」

盗賊2「お頭……」


鬼「盗賊3から大まかな話は聞いた」

盗賊2「俺わかんないんっすよ 祝福してやらなくちゃって気持ちはあるんですけど」

鬼「1,2,3は初期の頃から盗賊やってたからな」

盗賊2「俺たち三人はずっと一緒でしたから」

盗賊2「食いモンがなかったら三人で分けて 幸せも三人で 辛いことも三等分」

鬼「そうやって生きてきたから 盗られたみたいで嫉妬したんだな」

盗賊2「うぅ……俺自分が情けないっす」グスッ

鬼「いいじゃねえか 祝福したいって気持ちがあるなら」

鬼「今日は泣いて明日はおめでとうって言ってやればいいだろ なっ!」ニカッ

盗賊2「お頭 胸借ります」ウゥ

鬼「おう! 来い!!」


2日後

弓「それでは指輪の交換を……」

夫「」スッ

妻「」スッ

隊長(弓って神父の真似事も出来たんだ)ヒソヒソ

副官(自称何でも屋ですからね)ヒソヒソ

弓「それでは新郎新婦のナコードからの言葉」


空「うむ 我も湿っぽいのは嫌いだから直ぐに終わらせる」

空「妻 お主は今まで良くぞ我が家臣として頑張ってくれた 我は誇りに思っておる」

空「ありがとう そして今度はお主が幸せになれ!!」

妻「……ありがとうございます 姫様」

空「それとぶっちゃけ羨ましいぞー!! 隊長結婚してくれーーー!!」

副官「あんなこと言ってますけど」

隊長「知らないフリしよう」


鬼「夫 お前本当に良かったなあ」グスッ

夫「お頭ぁ!!」グスッ

鬼「おっとぉ!!」

隊長「あれだけで伝わるって凄いよね」

副官「あれが漢の世界なんじゃないですか 私には理解できませんが」

弓「それでは次は二次会です」

隊長「違うよ!! 俺の言葉は!?」

弓「そうでした この村の責任者である隊長から一言」

隊長「……なんかグダグダになりそう」


隊長「この村で始めての夫婦が今日誕生しました」

隊長「この村の発展において子供は宝物です そして宝物を作る君たちは誇っていいです」

隊長「今は人口も少ない村だけど 子供が生まれてまた子供が生まれれば きっと大きな村になると思います」

隊長「おめでとう……白けたね ハイ二次会の開始だ!!」

みんな「「しゃーーーーっ!!」」

隊長「みんなで新郎新婦弄りまくろうぜ!!」

みんな「「おっしゃぁあああああああああ!!」」

夫「それは勘弁して欲しいな」

妻「全くです」


空「いや羨ましいというのは本当だぞ 花嫁姿とか憧れるじゃろ」

兵士2「妻ちゃん綺麗……」

妻「ありがとう」

弓「願わくばずっと幸せでいて欲しいものだ」

空「子供も十人、二十人産め!!」


盗賊3「おめでとう 心から祝福する」ギリギリ

夫「そう言いながら思い切り腕を掴むな!!」

副官「全く 人の悪口ばかり言っていたあなたが結婚とは」

夫「でも絶壁はほんと――」

副官「はぁ?」チャキ

夫「副官さんは裏表のない素敵な人です」

鬼「本当に良かったなぁ」グスグス

盗賊3「誰だよ お頭にお酒飲ませたの」


盗賊1「」カキカキカキ

隊長「間に合いそう?」

盗賊1「もう直ぐ出来ます」カキカキカキ

隊長「そう 頑張れ」


夫「そういえば盗賊1の奴は……」

盗賊3「今日は見てないな」

夫「そうか……」

盗賊1「おい! 真打を忘れるんじゃねえよ!!」ハァハァ

夫「盗賊1……」

盗賊3「真打は新郎新婦だろ」

隊長「盗賊3は空気嫁」


盗賊2「夫婦に今必要なのはなにか?」

盗賊2「なんだと思う?」

夫「愛とか?」

盗賊2「ちげーよ!! 新居だ! お前たちの家!!」

盗賊2「俺が二日かけて設計した新居の設計図だ!!」

盗賊2「地震や雨や寒さにも強い構造だ これなら奥さんも子供も安心して暮らせる!!」

夫「盗賊2……」

盗賊2「もちろん! 俺が監督となって作る!!」

盗賊2「大切な親友の家だからな 絶対に完成させてやるよ!!」

夫「ありがとう 盗賊2」グスッ

盗賊2「泣くなよ こっちまで涙が出てくるだろ」グスッ

盗賊3「おまえらマジ最高!!」


隊長「これが漢の世界だけど 理解できない?」

副官「いえ 少しは理解できました」


翌日

副官「宿屋に家具を入れる 夫婦の家を作る」

副官「むしろ仕事が増えてますね」

隊長「夫婦の家に関しては目出度いんだから考慮して」

弓「昨日のお祭り騒ぎで食材もあらかた使っちゃったからね」

副官「弓さんには狩りをお願いします」

空「我は兵士2と共に家具を回収してくる」

副官「お願いします」

副官「私は宿屋の指揮をとるので 隊長は収穫の方をお願いします」

隊長「おk」


数日後

副官「なんとか勇者が来るまでに間に合いましたね」

隊長「本当になにもない村だけど大丈夫なのか?」

副官「カジノでも作ったほうが良かったんですか」

隊長「そういう不健全なものはいりません」

弓「残念だね そういうのは私の得意分野なんだが」

隊長「そんな得意分野止めて!!」

空「竜は隠さなくても大丈夫だろうか?」

副官「そこは大丈夫でしょう 恐らく」

鬼「勇者って強いのかな」

隊長「なんせ歴代最強とまで言われてるから」


???「すいません ここが辺境村でいいんですか?」

隊長「いいけど 君誰?」

勇者「私勇者っていいます!!」

隊長「えっと……一人?」

勇者「それが他の人たちと途中ではぐれちゃって」エヘヘ

勇者「今日から一ヶ月 よろしくお願いします!!」ペコリ

隊長「うん よろしく」


隊長「ここで困ったことがあったら 弓さんに頼ればいいから」

弓「弓だ ここでの君の案内係りを勤めさせてもらう」

勇者「よろしくお願いします」


隊長「今日の夕飯はみんな外で食べるから」

弓「君の歓迎会だよ」

勇者「ありがとうございます!!」

人面人参「ギャーーーッ!!」

隊長「」グシャッ

人面人参「」ピクピク

勇者「なんだか今 人参が喋っていたような……」

隊長「それは野菜の精霊です」


隊長(野菜は全部回収したんじゃなかったの!?)ヒソヒソ

弓(どうやら一匹狩り忘れていたようだね)ヒソヒソ


弓「それじゃあ宿屋まで案内するよ」

勇者「はい!」


弓「ここが宿屋だ」

勇者「結構大きな施設ですね」

弓「新築だからね 君の部屋は101だ」

勇者「はい……あっ!」バキッ

勇者「すいません ドアノブが壊れちゃいました」グスッ

弓「ドアノブが壊れるぐらい よくあることさ」

勇者「そうですよね それぐら――きゃ!?」バタン

勇者「いった~い」ヒリヒリ

弓「」


弓「どうやら君は少し……」

勇者「人よりトロいって言われます」

弓「まあ仕方ないさ 多少はね」


弓「それから何もないところで転ぶこと数回 家具もどんどん破壊されて」

隊長「なにそれこわい」

弓「イマイチ力を制御できてないのかもね 年齢的に成熟してないわけだし」

隊長「そこらはどうなの姫」

空「まあ単純に年齢の問題か 器と力があってないか」

隊長「器と力?」

空「力はあっても器がちゃんとしていないと 力が暴走したりする」

空「過去 魔王勇者両名にあったことが確認されている」


そろそろ眠気が限界 続きはゆっくりss速報で書いてく

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