櫻子「向日葵の好きな人……?」(269)

櫻子「ぷはーっ! 私いちばーん!」キュップイ

ちなつ「ぷはっ。私2番っ」

あかり「……っぷはあ! あ、あかり3番だぁ、あぶなかったぁ~……」

向日葵「んぐっ!? わ、私がドベですの……?」ガーン

櫻子「やーいやーい、のろまっぱいー」ケタケタ

向日葵「」イラッ

ちなつ「じゃあ牛乳一気飲み勝負は向日葵ちゃんの負けだね」

あかり「ごめんね向日葵ちゃん、ここから一枚引いてね?」つ【罰ゲームBOX】

向日葵「仕方ありませんわね……」ガサゴソ

ちなつ「引いたら開けて開けて」

向日葵「え、ええ……」ピラッ

向日葵「って、なんですのこれ!?」ギョッ

あかり「なんだったの?」

向日葵「す……『好きな人を発表』……ですの」

櫻子「!」ピクッ

向日葵「だ、誰ですの!? こんなものを混ぜたのは!」

ちなつ「私」ハーイ

向日葵「ですわよねー」

向日葵「って、ちょっとガチ川さん!」

ちなつ「ガチ川さんって言うのやめて」

向日葵「あ、はい」

向日葵「いくらなんでも給食時間のお遊びでこの罰ゲームは……」

向日葵「……」チラッ

櫻子「……」ジー

向日葵「っ!」フイッ

向日葵「や、やっぱり出来ませんわ! 申し訳ありませんが、辞退させていただきます!」

ちなつ「え~? 女の子同士なんだからいいじゃない」

向日葵「(い、言えない……女の子同士だから困ってるだなんて……)」

ちなつ「(まあ、女の子同士だから困ってるんだろうけど)」ニヤリ

ちなつ「ねーあかりちゃん、あかりちゃんも聞きたいよね? 向日葵ちゃんの好きな人」

向日葵「(なッ、赤座さんを取り込みに走った!?)」

あかり「うんっ、あかりも知りたいなあ」ニコー

向日葵「ああもう、こうなってしまいますわよねっ!」

あかり「」ニコニコ

ちなつ「」ニヤニヤ

向日葵「くっ、誰か、誰か私の味方はいませんの……!?」

櫻子「向日葵!」

向日葵「えっ?」

櫻子「……」キリッ

向日葵「櫻子……?」

向日葵「(櫻子がいつになく真剣な顔……もしかして、私を助けようと……?)」

向日葵「さ、櫻子っ――」

櫻子「とっとと言えよ」

向日葵「」

ちなつ「さあ、向日葵ちゃん、さあ!」ズイッ

あかり「」ワクワク

櫻子「……」ジー

向日葵「ぅ、ううう……っ」タジッ

向日葵「……」

向日葵「わ、わかりました……」

「「「!」」」

向日葵「正直に言いますわ」

向日葵「わ、私の、好き……な、人は」

向日葵「そのっ……あの……」

向日葵「……」

向日葵「~っ!」

向日葵「」チラッ

櫻子「?」キョトン

「「Oh……」」

向日葵「……」ジッ

櫻子「?」

向日葵「……」ジー

櫻子「??」

向日葵「……」ジィー

櫻子「???」

向日葵「っ……や、やっぱりダメ! 言えませんわ!」ワッ

櫻子「はぁ!? 人のことじっと見てると思ったら急になに言ってんの向日葵!」

向日葵「だ、だって……」

櫻子「だってじゃない! そんなんでちなつちゃんもあかりちゃんも納得するわけな」

ちなつ「あ、もういいよ向日葵ちゃん」

櫻子「えー!?」

ちなつ「(十分わかった……っていうか、最初からわかってたしね)」ニヤニヤ

あかり「(向日葵ちゃん、やっぱり櫻子ちゃんのこと大好きなんだぁ)」ニコニコ

向日葵「ぅぅぅぅぅぅ……」

……

櫻子「お昼はなんかうやむやに終わったけど」

櫻子「向日葵の好きな人って誰なんだろ……」

櫻子「……」

櫻子「ん?」

櫻子「『言えません』ってことは……」

櫻子「……」

櫻子「ん!?」

櫻子「向日葵、好きな人いるの!?」

櫻子「あ、あのやろう……下僕のクセして私に隠し事とは……」グヌヌ

櫻子「しかも、好きな人とかめっちゃ大事なことを!」

櫻子「おっぱいゆるすまじ……」

櫻子「なんとしてでも向日葵の好きな人を突き止めてやる!」グッ

櫻子「ファイトっ私っ! おー!」オー

~翌日~

櫻子「じゃあ頼んだよ、あかりちゃん!」

あかり「うん、あかりに任せてっ」グッ

櫻子「キャーあかりちゃんカッコイー!」

あかり「えへへ、じゃあ行ってくるねー」

テクテクテク...

櫻子「(作戦その1!)」

櫻子「(あかりちゃんに協力してもらって向日葵から情報を引き出す!)」

櫻子「(マジ天使なあかりちゃんなら向日葵もイチコロのはず!)」

櫻子「(ちなみにあかりちゃんには通話状態の携帯を持たせてるから会話はリアルタイムで私に筒抜け!)」

櫻子「(まさに完璧! 私ってやっぱり歳納先輩並の天才!)」テヘッ

あかり『……向日葵ちゃん、ちょっといーい?』

向日葵『赤座さん? どうしましたの?』

櫻子「!」

櫻子「(はじまった!)」

あかり『あのね、昨日のお昼の話なんだけど……』

向日葵『! そ、それがなにか……?』

あかり『えっと、やっぱりあかり、向日葵ちゃんの好きな人を教えてほしいな~って……』

向日葵『え、ええっ!?』

あかり『ダメ?』

向日葵『うっ……』

櫻子「(おお、いいぞあかりちゃん! そのまま押せ押せ!)」

あかり『お願い向日葵ちゃん、ぜったい他の誰にも言わないから!』

向日葵『あ、赤座さん!? そんな、頭を上げてください!』

あかり『……上げたら、教えてくれる?』

向日葵『っ……』

あかり『……』

向日葵『……わかりました。お教えしますわ』

櫻子「!」

あかり『ほんとっ? ありがとう向日葵ちゃん!』

向日葵『いえ、そもそも罰ゲームから逃げたのは私ですし……赤座さんにだけ特別ですからね』

あかり『う、うんっ』

櫻子「(盗聴がバレたら殺される)」

向日葵『……私の、好きな人は――』

櫻子「……」ゴクリ

向日葵『――まず、とにかく元気ですわ』

向日葵『元気で、元気すぎて、うるさいくらいに元気な人ですの』

向日葵『やることなすこと突拍子もなくて、巻き込まれる方はいい迷惑』

向日葵『でも、それが魅力で、いつも友達に囲まれてるんです』

向日葵『あと……』

向日葵『……うう、恥ずかしいですわ』

あかり『向日葵ちゃんファイトっ』

向日葵『あ、ありがとうございます……』

向日葵『あと、名は体を表すと言いますか……その、ええと……』

向日葵『……花のように柔らかな笑顔が……かわいいんですの……』

向日葵『どれだけ迷惑をかけられても、すぐ傍でその笑顔を見ていると、全部許せてしまって』

向日葵『それで、気がついたら……』

向日葵『……好きに、なっていましたの』

プツッ

ツー ツー ツー

櫻子「……」

櫻子「」パタム

櫻子「……」

櫻子「『うるさいくらいに元気』なのが『魅力』で、『いつも友達に囲まれて』て、んで……」

櫻子「……」

櫻子「ナワタイ・ヲ・アラワスってなんだろ……?」

櫻子「まあいいや」

櫻子「それと、『笑顔が可愛い』のが」

櫻子「向日葵の好きな人……?」

櫻子「……」

櫻子「…………」

櫻子「………………」

櫻子「」

櫻子「!!!」

展開先読みされたので寝ます!!!!!!!!!!

櫻子「ぁ……ぁ……」ヨロッ

櫻子「そんな、そうだったんだ……」

櫻子「向日葵は……向日葵は――」



櫻子「歳納先輩のことが好きだったんだよ!!!」バァーン


向日葵「……」

あかり「……」

向日葵「っ……ごめんなさい、やっぱり私……っ!」

あかり「あ、ううん、もういいよ!」

向日葵「へ?」

あかり「向日葵ちゃん、櫻子ちゃんのこと好きなんでしょ?」ニコッ

向日葵「へっ!?」

あかり「」ニコニコ

向日葵「へ、へえええええええいっ!? いぇあぅやぃその、え、うええええっ!?」アタフタ

あかり「わわ、向日葵ちゃん落ち着いて!」

向日葵「な、なな、赤座さ、なんでわかっ……じゃなくて、櫻子だと思いましたの!?」

あかり「なんでって……うぅん、なんでだろ、なんて言えば分かるかなぁ」ムムム

あかり「今、『好きな人』を思い浮かべて話をしてた向日葵ちゃんの顔が」

あかり「櫻子ちゃんと一緒にいる時の顔とおんなじだったから……かな?」ニコッ

向日葵「!」

あかり「」ニコニコ

向日葵「……っ」

あかり「あっ。でも間違ってたらごめんね?」

向日葵「……て……んわ」ボソッ

あかり「え?」

向日葵「まちがって、ませんわ……」

あかり「……そっかぁ」ニコニコ

向日葵「ぅぅぅ……か、顔から火が出そうですわ……」カァァ

あかり「あはは。ほんと、向日葵ちゃん顔まっか~」

向日葵「わ、笑わないでください……人に自分の気持ちを打ち明けるなんて、初めてのことなんですもの……」

あかり「あ、ごめんっ」

向日葵「いえ……聞いてくれてありがとうございます、赤座さん」

あかり「ううん、あかりこそ聞かせてくれてありがとう」

あかり「櫻子ちゃんと両想いになれたらいいねっ」ニコッ

向日葵「……はいっ」ニコッ

~その夜~

櫻子「」ゴロン

櫻子「……」

櫻子「向日葵は、歳納先輩が好き」

櫻子「……」

櫻子「ふーん」

櫻子「……」

櫻子「ん、あれ」モゾッ

櫻子「なんだろ、このパジャマ……」モゾモゾ

櫻子「なんか……ちくちくする……」

櫻子「……」

櫻子「む、むぅ、むむっ……」

櫻子「むーーーーーーっ」ゴロンゴロン

櫻子「だーもう! 脱ご脱ごっ!」ヌギッ

櫻子「えいっ!」ポイッ

櫻子「はー、これでスッキ……」

櫻子「」モゾッ

櫻子「しないっ! なんかチクチクする! アー!」ゴロンゴロン

ガチャ

花子「櫻子うるさいし!」

撫子「私ら勉強してるから静かにしてくれる?」

櫻子「アーーー!!!」ゴロロロロロロロ

花子「聞けし!」

撫子「」スッ

ゴチーン

櫻子「なぐられた……」サスサス

櫻子「なんで私が……向日葵のせいなのに……」ブツブツ

櫻子「向日葵の……」

櫻子「……」

櫻子「向日葵は、歳納先輩が好き」

櫻子「……なの、かな」

櫻子「……」

櫻子「うーっ、またちくちくしてきたっ」モゾゾッ

櫻子「でも転げ回ってたらまたねーちゃんに殴られるし……」ウーム

櫻子「!」ピコーン

櫻子「てってれれってってーてーてー」

櫻子「向日葵の部屋から持ち逃げしてきたクッション~」ジャーン

櫻子「……」

櫻子「」ギュッ

櫻子「……」ギュゥ

櫻子「なんだろー」

櫻子「なんか」

櫻子「なんかなー」

櫻子「……」ギュゥゥゥ

櫻子「……」

櫻子「……」キュッ

櫻子「オラァ!」ブンッ

櫻子「さあ櫻子選手、ここで大きくジャンプして――」バッ

櫻子「クッションを自分のベッドへ、シュゥウウーッ!!!」バスンッ

櫻子「ホームラン!!!!!」

ガチャッ

ゴシカァン

バタンッ

櫻子「」チーン

櫻子「ねーちゃんに自分のベッドへシュゥウウーッ!!! された……」サスサス

櫻子「うるさくしたのは向日葵のクッションなのに! 私は悪くないのに!」

キィ...

櫻子「」ビクッ

...パタン

櫻子「」ホッ

櫻子「……あーもー、ほんとモヤモヤするっ」

櫻子「そういえば昼も途中で電話切っちゃったし、なんか、何から何までハンパできもちわるいーっ」ウゴゴ

櫻子「!」ピコーン

櫻子「そうだ、こうなったらいっそ……」

櫻子「……」メルメルメル

============

To おっぱい
件名:やいおっぱい

お前の好きな人を教えろ
早くしないと私の命はないぞ

============

櫻子「よし、っと」

櫻子「……」

櫻子「……うーん……」

櫻子「……」

櫻子「えいっ」ポチッ

櫻子「送信、完了……」

櫻子「……」

♪デイバイデイワータークシーカラーアイヲコーメテー(ウーデスノ!)

櫻子「!」カパッ

=======

From おっぱい
件名:いや

本文なし

=======

櫻子「みじかっ!?」ガビーン

櫻子「あったまきた、あの愛想ないっぱいめ……!」メルメルメルメル

=============

To おっぱい
件名:件名のみ禁止!

なんでじゃー!
私には言えない相手か!
そうじゃないなら教えろっぱい!

=============

櫻子「送信!」ポチッ

♪デイバイデイワータークシーカラーアイヲコーメテー(ウーデスノ!)

櫻子「よしきた!」カパッ

=======

From おっぱい
件名:いや

ですの

=======

櫻子「分けてきおった!」ガビーン

櫻子「くぬぅぅぅぅぅぅぅ!」フギギギギ

櫻子「……」

櫻子「……」メルメル

======

To おっぱい
件名:無題

おしえて
おねがい

======

櫻子「……」ポチッ

櫻子「……」

櫻子「私、なんでこんなムキになってんだろ」

櫻子「向日葵は、歳納先輩が好き」

櫻子「って、盗聴してわかってるのに」

櫻子「それを確認してどうしたいんだろ」

櫻子「……」

♪デイバイデイワータークシーカラーアイヲコーメテー(ウーデスノ!)

櫻子「!」

櫻子「……」

櫻子「」カパッ

展開先読みされたので寝ます!!!!!!!!!!!!!

=======================

To おっぱい
件名:無題

だから、どうして櫻子に言う必要がありますの?
いい加減にしつこいですわ
すきな人なんて、他人に言いふらすものじゃないでしょう
きらいな人ならすぐにでも言えますけどね

さあ、
くだらないメールはやめて宿題して寝なさい
ららら
ころんぶす

=======================

あ、ToじゃなくてFromだった死ぬ

櫻子「……」

櫻子「…………」

櫻子「………………」

櫻子「そっか」

櫻子「そうだったんだね」

櫻子「向日葵の好きな人は、歳納先輩じゃなかったんだ」

櫻子「……」

櫻子「うん」

櫻子「わかったよ、向日葵」

櫻子「向日葵は……向日葵は――」



櫻子「コロンブスのことが好きだったんだよ!!!」ババァーン

櫻子「コロンブス……ころんぶす……」

櫻子「たしか歴史の偉人だったような……おおお、櫻子ちゃんマジ天才……」ムフー

櫻子「そっかー、向日葵はコロンブスさんが好きだったのかー」

櫻子「歳納先輩じゃなくて」

櫻子「もういない、歴史上の人物が、好き」

櫻子「なのかー」

櫻子「そっかー」

櫻子「……」

櫻子「そっかー!」

櫻子「てってれれってってーてーてー」

櫻子「向日葵の部屋から持ち逃げしてきたクッション~」ジャジャーン

櫻子「えいっ」ボフン

櫻子「……」

櫻子「えへへへへへへへへへへへへ」パタパタパタ

~翌朝~

ガラッ

櫻子「向日葵ー! 学校いくよーっ♪」ルンッ

向日葵「さ、櫻子っ!?」

櫻子「おはよっ! まだ支度できてないの?」

向日葵「え、ええ……いつもよりだいぶ早い時間ですもの……」

櫻子「え、そう? 気付かなかったなー」ルンルン

向日葵「……ず、ずいぶん、ご機嫌ですのね?」

櫻子「そう? そう見える? そうかなあー♪」ランランルー

向日葵「……あ、あの、櫻子」

櫻子「んー?」

向日葵「えっと……昨夜のメール、ですけど」

櫻子「ああ、あれ? あれがどしたの?」

向日葵「そ、その……んと、ね。よかったら、なんですけど……」

向日葵「……へ、返事がほしい、なって……」カァァ

櫻子「返事?」

向日葵「はい……」オズッ

櫻子「……」

向日葵「……」モジモジ

櫻子「(返事……)」

櫻子「(って)」

櫻子「(……なんの?)」

向日葵「櫻子……?」

櫻子「あ、うん! 返事ね、返事。ちょっと待ってね!」

向日葵「ぁ、はいっ……急かしてごめんなさい」

櫻子「き、キニシナイデッ!」

向日葵「(今日の櫻子、優しい……)」ポッ

櫻子「(っべー……これべーわ……)」タラリ

櫻子「(う……うろたえるんじゃあないッ! 次期生徒会福会長はうろぶちげんッ)」

櫻子「(かみまみた)」

櫻子「(返事……ってことは、あのメールに関してだよね)」

櫻子「(あのメール……)」

櫻子「(……コロンブス……?)」

櫻子「!」

櫻子「(そういうことか……)」

櫻子「……」

向日葵「……?」

櫻子「向日葵」キリッ

向日葵「っ、はいっ!」パァッ

櫻子「私の返事は……」

向日葵「……」ドキドキ

櫻子「……アリだと思う」

向日葵「!!!」パァァッ

櫻子「アリだと思う」



櫻子「歴女」



向日葵「」



向日葵「は?」

櫻子「え、まちがってたっけ? 歴女って、歴史好きの女の人のことだよね?」

向日葵「ぇ、え、ええ、そうです、それはそれであってますけど。けど、え、なに、なんで歴女?」

櫻子「なんでって……向日葵、コロンブスが好きなんでしょ?」

向日葵「は!?」

櫻子「だってメールに書いてたじゃん、ころんぶすって」

向日葵「」

櫻子「前までの文章と全然関係ないのに無理矢理書くってことは、それぐらい好きってことなんだよね?」

櫻子「向日葵が歴史好きなんて私でもはじめて知ったけど、別にヘンな趣味じゃないしね。私はアリだと思うよ!」

櫻子「でもコロンブスって渋いチョイスだよね! なに、どこが好きなの? 卵? 卵なの? やっぱり」ネェネェ

向日葵「」

向日葵「」スッ

向日葵「」グッ

向日葵「」グググッ...

向日葵「」ブゥンッ

メメタァ

櫻子「」チーン

向日葵「櫻子のバカぁ! もう知りませんわ!!」

櫻子「」

向日葵「先に学校行ってますから!!! 遅刻でもなんでも勝手になさい!!!」

櫻子「」

向日葵「あと!!! コロンブスなんて好きでもなんでもありませんから!!!」

櫻子「!?」

向日葵「ふんっ!!!」ツーン

ズンズンズンズン...

櫻子「ひ、向日葵……?」

櫻子「コロンブス、好きでもなんでもないって……」

櫻子「じゃあ、本当は誰を……誰が……」

櫻子「向日葵の好きな人……?」

櫻子「う゛」ゴフッ

櫻子「」バタッ

~昼休み~

櫻子「……」ヒョイ

櫻子「……」パクッ

櫻子「……」モグモグ

櫻子「……」ゴクン

櫻子「……」ポイス

櫻子「(向日葵の好きな人はコロンブスじゃなかった)」ヒョイパク

櫻子「(じゃあ、一体誰?)」モグモグゴクン

櫻子「(やっぱり、この時代の人?)」ポイス

櫻子「(この学校の人?)」ヒョイパクモグモグ

櫻子「(……私の知ってる子?)」ゴクンポイス

櫻子「……」ヒョイパクモグゴクポイ

櫻子「……」ヒョイパクモグゴクポイヒョイパクモグゴクポイ

櫻子「……」ヒョイパクモグゴクポイヒョイパクモグゴクポイヒョイパクモグゴクポイ

綾乃「ああああああああああああ私のプリンたちいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

~放課後~

ガラッ

櫻子「……」

向日葵「あら櫻子、どこに行ってましたの?」

櫻子「生徒会室で昼に食べきれなかった杉浦先輩のプリン食べ尽くしてきた……」

向日葵「そう」

櫻子「杉浦先輩、ショックで寝込んでるから今日の生徒会はなしだって」

向日葵「そう。じゃあもう帰りましょうか」

櫻子「うん……」

向日葵「……」

櫻子「……」

~帰り道~

櫻子「……」テクテク

向日葵「……」テクテク

櫻子「……」

櫻子「(結局)」

櫻子「(今日の向日葵の好きな人が誰かわからなかった)」

櫻子「(それどころか、向日葵は普段通りに振舞って、昨日のこと全部をなかったことにしようとしている)」

櫻子「(なにもかも、私に秘密にしたまま)」

櫻子「……」

櫻子「(そんなの、ずるい)」

櫻子「(向日葵ばっかり勝手に諦めて)」

櫻子「(私は、まだなにも知らないのに)」

櫻子「(知らないままなんて)」

櫻子「(このままなんて)」

櫻子「(もやもやで、ちくちくのままなんて)」

×今日の
○今日も

ファッキンファッキンガムよ!

櫻子「……もーやだ」

向日葵「櫻子?」

櫻子「もうやだ!」

櫻子「なんで!? なんでなの!? なんで私に隠し事すんの! 私の下僕だってこと忘れたのか!」

向日葵「な、なんで怒ってますの?」

櫻子「わかんないもん、わかんないけどどむかむかするんだもん!」

櫻子「向日葵の好きな人のことを考えるともやもやするんだもん!」

向日葵「……」

櫻子「――」

櫻子「向日葵のことを考えると……ちくちくするんだもん……っ」ジワッ

向日葵「!」

櫻子「……っ」グシグシ

櫻子「ひまわり、私に隠し事なんてしないで……」

櫻子「私も、いままでないしょにしてたこと全部教えるから」

櫻子「だから、ひまわりも私にないしょにしてること、教えてよ……」

向日葵「……」

櫻子「あのね、この前向日葵の家でコップが割れたでしょ」

櫻子「あの時は天狗の仕業って言い張ったけど……」

櫻子「本当は私が割っちゃったの……ごめんなさい」

向日葵「…………」

櫻子「あと、向日葵の部屋からなくなったクッション」

櫻子「あれも天狗の仕業の一点張りだったけど……」

櫻子「本当はあのクッション、いま私の部屋にあるの……ごめんなさい」

向日葵「………………」

櫻子「あとね、んとね」グスグス

向日葵「もういいですわ」

櫻子「えっ?」

向日葵「……それ、どちらも知ってましたわ」

櫻子「え、ぇえっ!?」

向日葵「今までバレてないと思ってたことに驚きですわ……」

櫻子「ぅー……」

向日葵「……これじゃあ私の秘密と釣り合いませんわね」

櫻子「っ!」

櫻子「ぁ、あう、うーっ……」オロオロ

向日葵「……」

櫻子「……っ」

向日葵「……でも――」

櫻子「あ、あるよっ!!」

向日葵「――え?」

櫻子「あるよ、もうひとつっ……私のひみつ」

向日葵「……?」

櫻子「……私の、好きな人」

向日葵「!」

櫻子「これなら、向日葵も知らないよね?」

向日葵「た、たしかに……でも」

櫻子「だから、それ教えるからっ」

向日葵「……」

櫻子「おねがい、おしえてよ……ひまわり……」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……」

向日葵「――」

向日葵「わかりましたわ」

櫻子「っ!」

向日葵「……」

櫻子「ほ、ほんと?」

向日葵「本当ですの。本当に教えます」

向日葵「櫻子に、私の好きな人を」

櫻子「……っ」

向日葵「……けど」

櫻子「?」

向日葵「やっぱり……すこし、恥ずかしいですわ」

櫻子「ぇ――」

向日葵「で、ですからっ。その……口パクでも、いいかしら」

櫻子「……口パク?」

向日葵「え、ええ……たぶん、すぐ分かると思いますから」

櫻子「……うん。それでいーよ」

向日葵「ありがとうございます……では、言いますわね」

櫻子「――」

向日葵「……」

向日葵「――」スッ



向日葵「」サ

向日葵「」ク

向日葵「」ラ

向日葵「」コ



櫻子「――!」

向日葵「~~~っ」カァッ

櫻子「……」

向日葵「……っ」

櫻子「……」

向日葵「……?」

櫻子「………………ま」














櫻子「ますらお!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

向日葵「さくらこ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

櫻子「えっ」

向日葵「あっ」

櫻子「……」ジッ

向日葵「……っ」プイッ

櫻子「さくらこ、って」

向日葵「……」

櫻子「ど、どちらのさくらこさんですかー……なんつったり、してみた、り?」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……ツッコんで欲しいんですの?」

櫻子「う、うん。わりと」

向日葵「……」

櫻子「……」

向日葵「……大室に決まってるじゃありませんのっ」ギュッ

櫻子「――っ!」

向日葵「私は……櫻子、あなたのことが大好きですの」

櫻子「ほ……ほんと、に? ほんとに、私のこと……?」

向日葵「この期に及んで嘘をつくほど、私の性根は腐っていませんわ」

櫻子「~~~っ」

櫻子「向日葵っ!」ギュゥゥゥ

向日葵「櫻子……」キュッ

櫻子「ありがとう向日葵……私、すご、く……うれしっ……」グスッ

向日葵「ああもう……泣かないで櫻子」

櫻子「で、でもぉ……!」ポロポロ

向日葵「あなたが悲しむと、私も悲しくなりますの」

櫻子「え……?」

向日葵「……だって、私は」

向日葵「花のように柔らかな、可愛い笑顔が大好きなんですから」

櫻子「ぁ――」

櫻子「――うんっ!」ニパッ

……

向日葵「ねえ、櫻子?」

櫻子「なーに?」

向日葵「ここまで大げさに抱き合っておいてアレなんですけど……」

櫻子「?」

向日葵「……へ、返事がほしい、なって……」

櫻子「!」

向日葵「……っ」プイ

櫻子「……うん、いいよ」

向日葵「ほ、本当っ?」

櫻子「でも、その前に」

向日葵「え?」

櫻子「……えへ」

櫻子「私のひみつを教える番、だよ」

向日葵「!」

櫻子「私の好きな人はね」

櫻子「お菓子作りが上手な、とっても可愛い女の子」

櫻子「いつも私に美味しいお菓子を食べさせてくれるんだぁ」

櫻子「それはね、売り物のお菓子よりずーっと甘いの」

櫻子「でもその子は、『お砂糖控えめですわー』なんて言うんだよ?」

櫻子「おかしいよね、あんなに甘いのに」

櫻子「あとは……そうだなー」

櫻子「おっぱいがおっきくて」

櫻子「ちょっと口うるさいけど、すごく優しくて」

櫻子「おっぱいがおっきくて」

櫻子「いつも私の世話を焼いてくれるの」

櫻子「宿題みてくれたり、ご飯つくってくれたり」

櫻子「おっぱいがおっきくて」

櫻子「いつも一緒にいる」

櫻子「その子が、だーい好きっ」

向日葵「……」

櫻子「……えへー」テレッ

向日葵「……それが、櫻子の好きな人?」

櫻子「うんっ」ニパッ

向日葵「……お菓子作りが上手で」

向日葵「とっても可愛くて」

向日葵「おっぱいがおっきくて」

向日葵「優しくて、世話焼きで」

向日葵「宿題をみて、ご飯をつくって」

向日葵「おっぱいがおっきくて」

向日葵「いつも一緒」

櫻子「」テレテレ

向日葵「……」

櫻子「……向日葵?」

向日葵「………………だ」














向日葵「誰ですのその女ああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

櫻子「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」

めでたしめでたし

最強はひまさくだろ……常識的に考えて……

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