岡部 「紅莉栖とまゆりに告白された!」(379)


シュタゲSS
ネタバレあり
比翼恋理未プレイ
災厄降誕のホーリーデイ未読
凄く……長いです。
さるさん回避嬉しいです。


世界線:シュタインズゲート


AD 2010.10.01 13:05:10:28


月日が経つのは早いものだ。
俺がシュタインズゲートに辿り着き、紅莉栖を救ってから二ヶ月が経過した。
紅莉栖が正式にラボメンとなってから一ヶ月。
前ほど……とは言えないが少しずつ慣れてきている、と思う。
まゆりは女の子のラボメンが増えたと今でもニコニコしながら紅莉栖を見ている。
ダルもダルで……何時も通り賑やかなラボだ。
紅莉栖には全て説明するつもりだ。信じてくれるかは別だが……。
いや、きっと紅莉栖なら信じてくれるさ。
何時だってそうだったんだからな。

それともう一つ。
俺はあの日、まゆりに言われたんだ。
言ってくれたんだ。
もう、その口調続けなくて良いんだよ。と。
そう──だから俺は……。


岡部「どぅーわから何度も言ってるではないか!!」
岡部「この鳳凰院凶真の活躍により、SERNによる全世界ディストピア化を防ぎッ!!」
岡部「紅莉栖、お前の父である中鉢博士が盗んで発表しようとした論文……」
岡部「それが引き鉄となり、起こるはずだった第三次世界大戦」
岡部「それを俺が、この鳳凰院凶真が全て無かったことにした──と!!」ビシィ

紅莉栖「はいはい、妄想乙乙」

岡部「妄想ではぬぁぁぁい!!」
岡部「くそっ……何故信じない!!」
岡部「もう一ヶ月……一ヶ月だぞ」
岡部「一ヶ月も説明しているのに……」orz

ダル「オカリンの説明の仕方が超絶下手糞なんじゃね? に91000ペリカ」

まゆり「わぁ、ダル君一か月分も!」

岡部「えぇい! 茶化すな!!」
岡部「と言うか、貴様らもちょっとはこの助手ことザ・ゾンビことクリスティーナことセレセブに説明しろ!!」

ダル「えー、もう見てる方が面白いっつーかー」
ダル「ぶっちゃけダルいってオカリン。ボクらも完璧に把握してる訳じゃないし」

まゆり「まゆしぃも実は良く解ってないのです」テヘヘ

岡部「くそっ……なんというラボメンだ……」


紅莉栖「岡部」

岡部「……なんだ、助手よ。まだ文句が──」

紅莉栖「助手って呼ぶな! ザ・ゾンビって言うな! ティーナ付けんな! セレセブ辞めろ!」
紅莉栖「誰がメリケン処女だ!」

岡部「お前以外に誰がいる!」
岡部「(……あれっ?)」

紅莉栖「はいはい童貞乙!」
紅莉栖「(……ん?)」

ダル「っつーか……今、牧瀬氏すげぇ爆弾発言しなかった……?」

まゆり「わわわっ」

岡部「……」

紅莉栖「あっ、あれ?」アセアセ

岡部「……」カスカニホホエム

紅莉栖「っちょ! 笑うな!」
紅莉栖「あぁもう、何なのよ……なんであんなこと口走っちゃったんだろ……」ハァ


ダル「な、なんか良く解らないけどかなりの僥倖だった事だけは確かだお」
ダル「牧瀬氏牧瀬氏、ぐっじょーぶ」

紅莉栖「うるさい! 黙れHENTAI!」

岡部「紅莉栖……」

紅莉栖「なっ、なんだよ……」

岡部「さっきの台詞は……さっきの掛け合いは、違う世界線の会話だ」

紅莉栖「えっ……」

岡部「したんだよ、俺達は」
岡部「違う世界線でも同じような掛け合いをさ……」

ダル「マジかよ……なんて会話してんだ!!」
ダル「ちきしょおお! リア充のばかぁぁん!!」

まゆり「えっへっへぇ、オカリンと紅莉栖さんは仲良しだったんだねぇ」

紅莉栖「まっ、全く」
紅莉栖「なに言ってんだか」プィ

岡部「少しずつで良いさ……」


紅莉栖「あぁもう!」
紅莉栖「急に口調換えんな! もうっ、はぁ……本当に」
紅莉栖「どっちが本当のあんたなのよ」ボソッ

まゆり「オカリンはオカリンだよ~?」
まゆり「優しいオカリンもー、強引なほーほーいんさんも」
まゆり「どっちもオカリンだよ」ニコ

紅莉栖「う……」
紅莉栖「ぁぅ……別にそういう意味じゃ……」
紅莉栖「はぁ……ごめんね、まゆり。変なこと言った」

まゆり「んーん」
まゆり「それに、オカリンもオカリンなのです」

岡部「えっ、俺?」

まゆり「何かねー、紅莉栖ちゃんと話す時ってなぁんか落ち着きが無いのです」

ダル「あっ、それボクも思ったお」
ダル「なんつーか、女子と話したこと無い童貞かっ! って感じだお」

岡部「どっ、どどどど童貞ちゃ……童貞だな、うん」

ダル「何故なんだぜ?」

まゆり「ぜー?」


岡部「む……」

紅莉栖「……」

まゆり「オカリンがそーやって、変に説明するから」
まゆり「紅莉栖ちゃんも、なんだかもやもやしちゃってるのだと思うのです」


図星だった。
俺が退院して、秋葉原の町で紅莉栖を見つけて……。
ラボメンに加えて……。
これで元に戻る。
前みたいに馬鹿言い合って、論破されて……そう言った日常が戻ってくると確信していた。

だが、違った。

完璧にリーディング・シュタイナーを発動させられない紅莉栖の記憶はまちまちで。
でも、それで良いと思っていた。
少しずつで良い。思い出してくれさえすれば問題ない。
問題があるとすれば……。
俺だった。
紅莉栖に上手く、話せない。
考えてもみろ。
他世界線の記憶が多少なりともあれど、この世界線での紅莉栖と俺はほぼ初対面同士の人間だ。
そう……有体に言い表すのであれば……。

紅莉栖と話しをするのが気恥ずかしいんだ。

何とも情けない事に、鳳凰院凶真のペルソナを被らなければ紅莉栖を直視することすら恥らう始末。
再会当初は大変だった。
なぜ助けた、どうして消えた、助手ってなんだ、ティーナってなんだ。
なぜあれやこれを知っている、どういうことだ。私のこの記憶はなんだ。
質問攻めだったな……。
生きている紅莉栖と再会を果たせた俺はそれだけで感涙していた。
そんな状況で言葉なんて、そうポンポン出てくる訳無いじゃないか。
俺は紅莉栖の手を引っ張りラボへと連れて来た。
そしてダルやまゆりの前で堂々と、ラボメンNo.004の称号と共にピンバッヂを与えたんだ。
ここまでは良い。ここからが……大変だった。
再会の興奮と、紅莉栖を前にした緊張でしどろもどろな説明になってしまった。
信じて……貰えなかった。


AD 2010.09.XX XX:XX:XX:XX

紅莉栖「……気持ち悪い」

岡部「……へ?」

紅莉栖「Dメール? タイムリープマシン? タイムマシン?」
紅莉栖「科学を舐めないでくれます?」
紅莉栖「そんな、妄想の産物がこんな小汚いラボで作れるなんて本気で思って?」
紅莉栖「はぁ……厨二病も良いところだわ……ナンセンス」
紅莉栖「しかも、違う世界線? で、私は仲間でタイムリープマシンを作って……」
紅莉栖「しかもしかも、私のことを気持ち悪い位知ってる……」
紅莉栖「ストーカー……?」
紅莉栖「もう、サイエンス誌になんて載るんじゃなかったかな」ハァ
紅莉栖「頭痛くなってきた……」
紅莉栖「……」ガタッ


岡部「おっ、おい……」

紅莉栖「助けて頂いたことには感謝してます」
紅莉栖「ありがとう。そして、さようなら」
紅莉栖「帰ります」スタスタ

まゆり「……」
ダル「……」


岡部「くっ、紅莉栖……!!」

紅莉栖「……」スタスタ

岡部「お前はラボメンNo.004だ。何時でも……来い……」
岡部「待って、る、から……」

紅莉栖「……」キィ ガチャ


ダル「帰っちゃたお」

まゆり「帰っちゃったねぇ」

岡部「あぁ……」

まゆり「今の人が、くりすさん? だよね?」


ダル「写真より可愛くて、ナイスでした」

岡部「あぁ、牧瀬……紅莉栖だ」

まゆり「うーん」
まゆり「不思議なのです」
まゆり「まゆしぃは、そのナントカって雑誌も読んだことないから初めて会ったのに」
まゆり「初めてな気がしなかったの」
まゆり「んーん、むしろソファーに座ってる光景がとっても似合ってると言うか……」
まゆり「ソコにぴたっ! とフィットする感じだったのです」
まゆり「これが、オカリンの言ってたー、えぇっと……」

岡部「リーディング・シュタイナー」

まゆり「りたーなーさん? なのかなぁ」

岡部「あぁ、そうだ」
岡部「強弱はあれど、リーディング・シュタイナーは誰もが潜在的に持っているものだ」

ダル「なぁなぁオカリン」
ダル「牧瀬氏ガチで帰っちゃったみたいだけど……この先どうするん?」

岡部「ん……待つさ」
岡部「何百日と同じ日をループした俺だ」
岡部「待つことなど、容易いさ」
岡部「(来てくれなかったらどうしよう……)」


まゆり「今度こそ、信じてもらえると良いねぇ♪」

ダル「あの剣幕じゃ望み薄……って気がするお」
ダル「“気持ち悪い”って言った時の表情マジやばかったっす」


-翌日-

コッコッ
   コッコッ

紅莉栖「嘘……何で、私ここに……」
紅莉栖「ぼーっとしてたら足が勝手に……」

岡部「飲み物が切れた。ドクペを買って──」
岡部「……紅、莉栖」

紅莉栖「やっ、違っ、こっこれは」

岡部「フゥーハハハハ! やって来たなクリスティーナよ!!」
岡部「これこそがシュタインズゲートの導き!!!」
岡部「解は導き出された……っ!!」

紅莉栖「……えっ」



スチャ
岡部「もしもし、俺だ」
岡部「くくくっ……計画は順調に進んでいる」
岡部「あぁ、牧瀬紅莉栖も着々と……」

紅莉栖「……またそれ」
紅莉栖「はぁ……」ツカツカ パシッ

岡部「あっ」

紅莉栖「やっぱり、独り言」
紅莉栖「あなた、ラジオ会館であった時もこんなことしてたけど」
紅莉栖「癖なの? 厨二病?」

岡部「えぇい! 何時まで携帯を取り上げているつもりだ助手よ!」
岡部「それに厨二病ではない……」
岡部「その携帯は、この鳳凰院凶ry」

紅莉栖「あーはいはい、返します返します」ポイ

岡部「わっ、っちょ、投げるなっ」パシッ
岡部「全く……携帯を投げるとはなにご……どうした紅莉栖」

紅莉栖「──ねぇ、何で私ココに立ってる……の、かな」

岡部「えっ……」


紅莉栖「気付いたら、ここに向かって歩いてた」
紅莉栖「ここまでの道のりなんて……昨日が始めてだったはずなのに」
紅莉栖「何度も何度も通った気がするの」
紅莉栖「昨日は……その、ごめんなさい」
紅莉栖「あの後ホテルに帰ってからおかしいの……」
紅莉栖「色々な感情が溢れてきちゃって……」
紅莉栖「懐かしいはずも無いのに、あのラボの空気がとても懐かしく感じて」
紅莉栖「あなたのトンでも話しなんてとても信用出来るものじゃないのに!」
紅莉栖「信じたくなって……」
紅莉栖「足が勝手にココへ向かってた」

岡部「紅莉栖……」

紅莉栖「変なの」
紅莉栖「あなたに名前で呼ばれると……何かむずむずするし」
紅莉栖「こそばゆいと言う……か」

岡部「ずっと助手だとか、クリスティーナなどと呼んでいたからな」

紅莉栖「あっ……うん」
紅莉栖「腹立つんだけど、なんかしっくり来る……」
紅莉栖「なんで、今は紅莉栖って呼んでるの?」


岡部「……ぬっ」
岡部「(言える訳無いではないか)」

紅莉栖「ねぇ……なんで……?」


岡部「ぐっ……」
岡部「フ、フフ……フゥーハハハハハ!」
岡部「そんなもの、お前をココに召喚するために決まっているではないーっか」

紅莉栖「…………は?」

岡部「貴様は昔から反抗的な女だったからな」
岡部「俺が助手と呼んでも、クリスティーナと呼んでも返事をしなかったのだ」
岡部「ツゥーまり! 紅莉栖と呼ぶことによって、お前は無意識にも体が反応してしまい!!」
岡部「このラボへと辿り着いた訳だ……」
岡部「これこそ、ブラッディナイオ・シャドゥ(闇を操りし人形遣い)の力」

紅莉栖「……また、それ」

岡部「」ビクッ

紅莉栖「まともに、話しは出来なさそうですね」
紅莉栖「帰ります」ツカツカ

岡部「あっ」
岡部「(やってしまった……他世界線の紅莉栖なら突っ込んでくれるだろうが)」
岡部「(俺との日が浅い、この世界線での紅莉栖からすれば……)」

紅莉栖「……」クルッ
紅莉栖「また……来ます」ツカツカ


岡部「!」
岡部「行ってしまった……」
岡部「お、落ち着け俺……」
岡部「どうも紅莉栖の前だと緊張してしまう」
岡部「ちゃんと……ちゃんと1から順番に全部綺麗に説明するんだ」
岡部「そうすれば、信じて貰える」
岡部「どんなに世界線が変動したって紅莉栖は紅莉栖なんだ」
岡部「信じてくれるさ……!」


AD 2010.10.01 13:11:39:09

まゆり「──ん?」
まゆり「……──ン!」
まゆり「オーカーリーン!」

岡部「うわっ! どうしたんだ、まゆり。急に大声なんてだして……」

まゆり「もー! まゆしぃはさっきからずぅっとオカリンに話しかけていたのです!」
まゆり「なのにオカリンはぼへーっとしちゃってたんだからぁ」

岡部「あっ、あぁ……すまん」
岡部「考え事を……な」

ダル「オカリンがそんなんじゃ話し進まないってレベルじゃねーぞ!」
ダル「ボクとまゆ氏だけじゃ説明出来ないっつーの」


紅莉栖「まゆりさんと橋田さんの説明は、とっても丁寧で解りやすかったわ」
紅莉栖「サンクス」ニコッ

まゆり「えへへぇ、どういたしましてぇ」ニヘラ

ダル「ちゅーても、ボクらも当事者じゃないから全部は解ってない訳だが……」チラッ

まゆり「……」チラッ

紅莉栖「……」チラッ

岡部「……うっ」

ダル「オカリンオカリン」
ダル「もう10月に突入した訳ですしおすし」
ダル「キリ良く1から丁寧に説明したほうが良くね?」

まゆり「まゆしぃもそう思うのです!」
まゆり「オカリンッ! 今日はほーほーいんさん禁止!」

岡部「なっ……っちょ」

ダル「おー、まゆしナイスアイディア!」
ダル「オカリン説明に困ると最近すぐに鳳凰院に逃げるから困る」
ダル「それじゃ捗るもんも捗らないお」


紅莉栖「私としても、そろそろ納得したい訳ですが?」

岡部「解った……」
岡部「ならば、今日は俺が質問を受けよう」

ダル「ほう」
ダル「何時もはオカリンが一方的に訳ワカランチンな説明をしていた訳ですが……」
ダル「今日はこちらの疑問に答えてくれるってことですな?」

岡部「あぁ、その方が手っ取り早いかもしれん」
岡部「一応今までで全てのことは話したつもりなんだがな」

ダル「んじゃぁ一個質問」
ダル「オカリンと牧瀬氏の関係ってどんなんだったの?」

岡部「黙秘する」

ダル「んだよそれっ、答えになってねーし!」

岡部「ダルよ……その話しは関係な──」

紅莉栖「無くは、無いと思うんだけど」

岡部「え」

紅莉栖「岡部はその話題になると何時も話しを逸らす」
紅莉栖「一体、私とあなたはどんな関係だったの?」
紅莉栖「(気になって仕方ないじゃない)」


まゆり「……」ジィー
ダル「……」ジィー

岡部「ただの……マッドサイエンティストとその助手だ」
岡部「だから俺は、お前のことを助手と呼んでいた」

紅莉栖「だがしかし、私はそれを全力で否定している」
紅莉栖「あんたに“助手”と呼ばれると反射的に否定してしまうのがその理由ね」

岡部「どの世界線でも反抗的なやつだ」
岡部「(このようなタイミングで俺達の関係……)」
岡部「(キッ、キスをし合った仲などと言えるはず無いじゃないか)」

紅莉栖「はぁ……まぁ良いわ(良くないけど)」
紅莉栖「先に、タイムマシン理論」
紅莉栖「その当りから煮詰めて行きましょう」
紅莉栖「申し訳ないけど、私の質問主体でいかせて貰うわね」
紅莉栖「いい加減、一ヶ月も謎が完璧に解消されないまま鬱憤が溜まってたから」
紅莉栖「まず──」

……。
…………。
………………。


紅莉栖「ふむん」
紅莉栖「興味深いわね……」

まゆり「はへぇ……まゆしぃにはチンプンカンプンでした」

ダル「牧瀬氏の適度な合いの手の影響でオカリンがすげぇ賢く感じてしまったお」

岡部「(つ、疲れた……)」

紅莉栖「しかし、さすが私ね」
紅莉栖「タイムリープマシン……それだけの装置で世界線を行き来することが出来るだなんて」

岡部「あぁ……お前は天才だったよ」

紅莉栖「なにそれ? 過去形?」クスッ
紅莉栖「でも……よく、脳が壊れなかったわね」ブツ……
紅莉栖「リーディング・シュタイナーの能力を持つ岡部だからかしら」ブツブツ
紅莉栖「そもそもその能力が無ければリープしても世界線変動の際に記憶が──」ブツブツブツ
紅莉栖「まって、でもそれじゃ……」ブツブツブツブツ

ダル「牧瀬氏すとーっぷ!」

紅莉栖「っは」

ダル「牧瀬氏がトリップしたら話しがまた止まっちゃうお」

紅莉栖「ソ、ソーリィ。つい……」


ダル「ねぇねぇ」

紅莉栖「うん?」

ダル「ボクもオカリンに一個質問して良いかお?」

紅莉栖「あっ、えぇ……どうぞ」
紅莉栖「私の質問攻めだったし、冷静に考えたら橋田やまゆりも聞きたいことあるわよね」
紅莉栖「こいつの事だから今までキチンと全部説明しきれてなかっただろうし」ギロッ

岡部「うっ……」

ダル「オカリンオカリン」
ダル「す、鈴羽たんは一体何者だったんだお?」

岡部「あぁそれは──」

ダル「な、何かわわ忘れられないんだ」
ダル「いい一瞬しか顔見てないし、ほとんど会話らしい会話もしてないけど」
ダル「この締め付けられるような胸の感覚は……」
ダル「ももも、もしや恋!」

岡部「」

ダル「おお教えて欲しいお!」


岡部「あー……ダル、すまない。鈴羽は未来人だ」
岡部「これ以上のことを言うと、世界線に影響が出る恐れがある……」
岡部「答えてやりたいが……すまん」

ダル「はぁ、この恋煩いを解消する手管が無くなってしまったお……」

まゆり「ダル君元気だして?」

岡部「(ダル、それは恋心ではなく)」
岡部「(きっと親心と言うものだ)」
岡部「(2017年になったら、その話しの続きをしよう)」

紅莉栖「さて」
紅莉栖「これで大体の疑問は溶けたわね……」
紅莉栖「しかし、セクハラが原因でラボメンになったとは……」

岡部「ちっがーう! 何度も説明してるではないか」
岡部「あれは誤解だと! しかも原因ってなんだ原因ってぇ!」

紅莉栖「はいはい、HENTAI乙乙」
紅莉栖「と言うか……最初からこうしてれば良かったんじゃない?」
紅莉栖「一ヶ月間も無駄にしてしまった」
紅莉栖「記憶が真っ白な状態の私にあんな強引な説明されても、理解出来る訳無いしね」


岡部「ぐぬ……」

紅莉栖「まっ」
紅莉栖「この一ヶ月もそれなりに楽しかったけど」ボソッ
紅莉栖「んー!」セノビ
紅莉栖「もうこんな時間」18時

ダル「いやー説明長すぎっしょ」
ダル「ボクもうお腹ぺこちゃん」

まゆり「まゆしぃもお腹ぺこぺこだよぉ」

岡部「説明に大分時間が掛かってしまったな」

紅莉栖「よっし、今日は岡部の奢りで“さんぽ”の牛丼を食べましょ!」
紅莉栖「一度食べてみたかったのよね」

ダル「マジで!? オカリンかっくいー!」
ダル「ボク、牛皿卵味噌汁で」

岡部「なっ、何を勝手に──」


まゆり「オカリンありがとー♪」ニコニコ

紅莉栖「さ、行きましょ?」

ダル「れっつごー!」

まゆり「しゅっぱーつ!」

岡部「……」


こうして、10月1日は終わった。
牛丼位安いものじゃないか。
ラボメンNo.004の復帰記念としてはな。
紅莉栖、お前ここの牛丼好きだったもんな。
明日からまた何時もの毎日が……俺が焦がれた毎日が始まる。
牛丼を奢らされたと言うのに俺の口元はニヤけっぱなしだった。


AD 2010.10.04 16:11:09:62


紅莉栖「だーかーらー」
紅莉栖「この発明は一体何!?」
紅莉栖「何を考えて作ったの!? 馬鹿なの? 死ぬの?」

岡部「えぇい黙れ黙れ!」
岡部「未来ガジェット2号機:「タケコプカメラー」 」
岡部「動力無しで空中から撮影出来る夢のガジェットではないか!」

紅莉栖「無 意 味 !」
紅莉栖「取れた映像は激しく回転されてて、見たら吐き気催すし……」
紅莉栖「何の為に作ったわけ!?」

岡部「理由など──無いっ!!」
岡部「それに、これはお前と別れる際にやった大事な──」

紅莉栖「そこが気に食わないってのよ!」
紅莉栖「なんでこんなもの渡す訳?」
紅莉栖「他にもっと気の利いたもん渡せんのか!」
紅莉栖「しかも貰って少し嬉しがってる記憶もあるのが尚許せないっ!」キー

ダル「あれからと言うもの毎日毎日牧瀬氏がラボに来てる訳ですが」

まゆり「賑やかになってまゆしぃは嬉しいのです」


ダル「未来ガジェットに難癖を付ける簡単な作業をしております」

まゆり「仲良くなるのは良いことだよー」ニコニコ

ダル「はぁ、っつか……あの二人……」
ダル「もう良いや、リア充は爆発しろとでも言っておきますね」

まゆり「……」ニコニコ

──コンコン。

ダル「おろ?」

まゆり「お客さんかな?」

──ガチャ。

ルカ子「こ、こんにちわ」

まゆり「わールカ君だぁ! いらっしゃーい」

岡部「貴様、未来ガジェットを馬鹿にするために毎日来て──」
岡部「む、ルゥカ子ではないか。久しいな」
岡部「ピンバッジを渡した以上、お前もラボメンだ」
岡部「毎日でも通って良いのだぞ」


ルカ子「あっ、岡b……凶真さんこんにちわ」
ルカ子「中々足が伸びなくて、ごめんなさい」ペコリ


岡部「ふっ、気にするな」
岡部「未来ガジェット研究所の扉は何時でも開いている」

紅莉栖「(ちょっちょ、ちょっと岡部)」
岡部「(なんっだ、人が話してる最中に)」
紅莉栖「(誰よ、この……か、可愛い子は)」
岡部「(ん……あっ、あぁそうか、お前はまだルカ子と知り合ってなかったな)」

ルカ子「あの、そちらの方は?」

岡部「助手だ」

紅莉栖「待てい! なにその適当な紹介の仕方は!」
紅莉栖「つーかそもそも助手じゃないし」

岡部「まぁ良い。ルカ子よ、紹介しよう」
岡部「ラボメンNo.004こと、我助手。クリスティーナだ」

紅莉栖「だから助手でもティナーでも無いと言っておろーが!」
紅莉栖「初対面なんだから、勘違いされたらどうするのよ!」

ルカ子「え、えと?」

紅莉栖「牧瀬紅莉栖です。えーっと……色々あってここのラボメンになったと言うか……」
紅莉栖「よろしくね?」


ルカ子「あ、はっはい。僕は──」

岡部「ラボメンNo.006。漆原 るか子だ」

紅莉栖「お前に聞いとらん!」
紅莉栖「漆原さん……ね? ヨロシク」アクシュ

ルカ子「ど、どうも……。ヨロシクお願いします」アクシュ

紅莉栖「おいくつなの?」

ルカ子「今年で17歳です」

紅莉栖「一個下かぁ」

ルカ子「えっ、そうなんですか?」
ルカ子「牧瀬さん、大人っぽいですね。綺麗だし」

紅莉栖「あっ、そんな。あなたの方こそとってもキュートよ」

ルカ子「あぇっ……きゅ、きゅーとだなんて僕……」

岡部「……助手よ」

紅莉栖「あぁもう何よ、人が話してる最中に」

岡部「ルカ子は女ではない。男だァ」


紅莉栖「なんの冗談だ」

岡部「お前も科学者なら自分の目でしっかりと確かめてみろ」

紅莉栖「こんな可愛い子が男の子のはず……ちょっとごめん」ペタペタ

紅莉栖「……」ドクン

ルカ子「///」

紅莉栖「 orz 」

岡部「さて、ルカ子よ」
岡部「今日は何かの用があって来たのか? それとも遊びに?」

ルカ子「あっ、そうだ」
ルカ子「ええっと……」ゴソゴソ
ルカ子「これを……皆さんに」スッ

岡部「む?」

まゆり「おー」ヒョコ
まゆり「スパリゾート招待券だぁ!」キラキラ
まゆり「しかも一泊二日って書いてあるよぉ!」ワフー

岡部「すぱむ? む?」


まゆり「スパだよオカリン!」

ダル「スパってなんぞ?」

まゆり「もー、オカリンもダル君もこういうの知らないんだからー」
まゆり「えーっとねぇ」

紅莉栖「spa 鉱泉。温泉。また、それを中心としたリラクゼーション施設」

まゆり「はぇ……あうーまゆしぃが説明したかったなぁ」ショボン

紅莉栖「あっ、ごめんね……まゆり、つい」

まゆり「んーん」フルフル
まゆり「まゆしぃもそこまで詳しく無かったから良いのです」エヘヘ

岡部「聞いた事がある。つまり、温泉プールの遊園地みたいなところか」

ダル「リア充スポットってやつね、知る訳ねーだろがおらぁ!」

まゆり「ルカ君もしかしてこれ、くれるのぉ?」

ルカ子「うん。お父さんがお友達から貰ったんだけど」
ルカ子「良かったら皆さんでって」

まゆり「やったぁ! 凄いよオカリン、スパだよリゾートだよぉ」

岡部「うむ、しかし……四枚しか無いではないか」


ルカ子「あっ、それペアチケットなんで一枚で二名まで無料招待になるんです」

岡部「ほう、つまり八人まで行けると言う訳だな」
岡部「俺にまゆり、ダル、助手、ルカ子……丁度一枚分、あと三人誘えるな」

まゆり「どうする?」

ルカ子「(僕も数に入ってる……嬉しいな)」

紅莉栖「私も行くこと決定してるわけ?」

岡部「なんだ、行かないのか?」

紅莉栖「行かないなんて一言も言ってないでしょうが!」
紅莉栖「いっ、行くわよ……」

岡部「素直じゃないやつめ」

紅莉栖「ふんっ」プィ

岡部「そうだ、まゆり。フェイリスを誘ったらどうだ」
岡部「あいつもラボメンだ」

まゆり「らじゃー☆」

ダル「オカリン、あんた今すっげー輝いてるぜ」キラキラ


岡部「あと一人……萌郁を誘うか」
岡部「Mr.ブラウンも許可してくれるだろう」

紅莉栖「ちゃんと全員紹介してよね」

岡部「無論だ! 未来ガジェット研究所・慰安スパ旅行へ行くぞ!」
岡部「フゥーハハハハハ!!!」
岡部「まゆり! カレンダーを!」

まゆり「はいっ!」

岡部「今日が10月4日(月)」
岡部「9、10、11日(土日月)と三連休か……」
岡部「だがしかし、ここで問題だ」
岡部「この招待券の期限に注目して貰いたい」
岡部「そう、9日までなのだ」
岡部「つまり一泊二日する場合は8日の金曜日に出向かなければその効力をフルに発揮し得ない」

紅莉栖「三連休だものね。招待券だし当然っちゃ当然じゃない?」

岡部「俺とダルと紅莉栖、萌郁はともかく他はみな高校生だ」
岡部「休ませる訳にも行かないからな……」
岡部「……決まりだ。9日、時刻ヒトナナマルマルにラボへ集合!」
岡部「少し遅めの時間だが平日だ。仕方あるまい」
岡部「集まり次第、計7人でスパへと直行」
岡部「いいな!?」


紅莉栖「その時間から泳ぐの? まぁ良いけど……」
紅莉栖「オーライ」

ダル「らじゃこ!」

まゆり「おー!」

ルカ子「た、楽しみです」

こんなこと、一度も無かったからな。
ありがとうルカ子。俺も楽しみだ。
まさかラボメンで旅行へ行く日が来るとは。
チケットが一人分余ってしまった……。
鈴羽、お前が産まれたら嫌と言うほど遊んでやるからな。
だから、俺はこの一人余った枠を埋めようなんて思いはしない。
そのスペースはお前のものだからな。


AD 2010.10.06 17:05:04:12

まゆり「ごめんねー!」
まゆり「ホームルームが長引いちゃって」ハァハァ

ルカ子「はぁはぁ、お待た、せしました……」ハァハァ

フェイリス「にゃは、フェイリスも今着いたところだニャ」

萌郁「私、も……」

紅莉栖「ん。全員集まったわね」
紅莉栖「昨日の今日だけど、集まれて良かった」
紅莉栖「さ、買い物に行きましょ」



AD 2010.10.05 18:10:40:21

岡部「──と、言う訳だ」
岡部「解ったな? フェイリス、萌郁」

フェイリス「ついに約束の地へと向かう決心がついたのだニャ……きょーま!」

萌郁「店長も、良いって……」


ダル「ふぇ、フェイリスたんの水着……」
ダル「オカリン……想像しただけでボクは……ボクは……」

まゆり「もう、ダル君ってば」
まゆり「エッチなのはダメだよー」

フェイリス「ダルにゃん、フェイリスの水着姿、それは約束された天使の羽衣なのにゃ」
フェイリス「あまりにも神々しいその姿を見た者は──」

紅莉栖「なるほど……岡部と同じタイプか」ボソッ

萌郁「水着……が、無い……」
萌郁「どうし、よう」

まゆり「あっ、それなら明日買いに行こーよぉ」

紅莉栖「良いわね。私も持って無かったし」

まゆり「まゆしーも学校指定のスクール水着しか持ってないのです」
まゆり「前からお友達と水着選んで見たかったんだぁ」エヘヘ

岡部「……」
ダル「……」ハナヂ
ダル「(オカリン。スク水で良いと言うべきだろ、jk)」
岡部「(馬鹿、鼻血を拭け。今、女子トークに口を挟んでみろ……)」
ダル「(HENTAIのレッテルを貼られる訳ですね、解ります)」
岡部「(ここは黙ってぼーっとしている、が正解だ)」
ダル「(相槌や、興味ある顔をしていてもいけないだなんて……)」
岡部「(恐ろしい世界だ)」


萌郁「私……スクール水着しか、きたこと、無い」
萌郁「どんなの、買えば……良いか、わ、解らないから……」
萌郁「助かる……な」

まゆり「じゃぁじゃぁ、けってーい☆」
まゆり「明日、学校終わってから渋谷に集合で良いかなぁ?」
まゆり「楽しみだねぇルカ君!」

ルカ子「……」
ルカ子「へぁ? ……えっ、僕!?」

まゆり「(´・ω・`)んー?」

ルカ子「なにを当然って顔してるのぉ! ぼっ、僕は男だよまゆりちゃん」

まゆり「知ってるよ?」

ルカ子「じゃぁなんでぇー><」

まゆり「ルカ君、水着持ってるの?」

ルカ子「学校指定のが、あるけど……」

まゆり「せっかくスパに行くんだから、用意しなくちゃ勿体無いよぉ!」


フェイリス「そうなのニャ! どうせだから飛びっきり可愛いのを選ぶニャふふ」
フェイリス「(そして徐々に慣れさせて行き……)」
フェイリス「(男の娘としてメイクインで働いてもらうのニャ!)」
フェイリス「(人気爆発間違いニャい!!)」

ルカ子「あうぅ、でっでもぉ……」
ルカ子「助けて下さい、凶真さぁん」グスン

岡部「(すまん、ルカ子よ。今、そのゾーンに入る訳にはいかんのだ)」
ダル「(やはりルカ氏には泣き顔が似合う……)」

紅莉栖「漆原さんなら問題無いでしょ、決まりね」

フェイリス「全くもって、完全に問題無いにゃ!」

萌郁「……」コクン

ルカ子「どうしてそうなるんですかぁ」ウルウル

まゆり「楽しみなのです」ワクワク


AD 2010.10.06 17:08:01:37


ルカ子「結局、流されて来てしまった……」ズーン

フェイリス「まゆしぃ、お店は109で良いのかにゃ?」


まゆり「うんー、ええっとねぇ……7階にあるPINE & PEAKって言うお店」
まゆり「そのお店って一年中水着が置いてるんだってクラスの子が言ってたのです」

紅莉栖「一年中……それはそれで凄いわね」
紅莉栖「でも、たしかにもう10月だしそう言うお店じゃないとちゃんと選べないっか」

まゆり「しゅっぱーつ!」

フェイリス「おー!」

萌郁「おー……」

ルカ子「あうぅ……」


-PINE & PEAK-

ルカ子「あ……あっ」
ルカ子「(女の人ばっかりだ、僕が男ってばれたら……)」ガクガク

まゆり「わぁ、可愛いのがいっぱいあるねぇ」

萌郁「……多すぎて、良く解らない……」

フェイリス「萌ニャン萌ニャン、だったらフェイリスがコーディネートしてあげるニャん♪」

萌郁「ありが、とう……」


紅莉栖「へー、日本ではこういうのが流行ってるんだ……」
紅莉栖「ちょっと過激すぎやしない?」///

ルカ子「(僕、場違いだよぉ……)」

お姉さん「くすくす」
お姉ちゃん「あの子みて、男物の学生服なんて着てる」
お姉さん「コスプレかしら?」
お姉ちゃん「可愛いわねぇ」

ルカ子「(みっ、見られてる……学生服で来るんじゃなかったよぉ)」
ルカ子「(どうしよう、岡部さん助けてぇ><)」

まゆり「さぁさぁ、ルカ君も選ぼうよー」グィグィ

ルカ子「まっ、まゆりちゃ止めてぇ」ポロポロ

紅莉栖「こらこらまゆり、漆原さん泣きそうな顔してるわよ」

ルカ子「(く、紅莉栖さん……)」パァァ
ルカ子「(助けてくry)」

紅莉栖「漆原さんにはこれなんて良いんじゃない?」

ルカ子「」


紅莉栖「パレオを巻けば、その……目立たないだろうし」

まゆり「可愛いー! ルカ君絶対に似合うよー」ニコニコ

ルカ子「」

フェイリス「ニャふふ……あっちも楽しそうだニャ」

萌郁「どれ、が……良いのかな」

フェイリス「んー、萌ニャンは何気にダイナマイトボディーだからニャ」
フェイリス「ビキニ! うんっ、やっぱりビキニが一番輝くニャ!」
フェイリス「どれどれー、萌ニャンに似合いそうなのはっと……」
フェイリス「これなんてどうニャろー」
フェイリス「試着してみてほしいニャ!」

萌郁「わかっ……た」コクン
萌郁「変……じゃな、い?」

フェイリス「ふふぉー! 可愛いニャ! 良いニャー!」
フェイリス「このおっぱい羨ましいニャー><」プニプニ

萌郁「あっ……」///

フェイリス「萌ニャンの水着は決定ニャ!」
フェイリス「これで、きょーまの視線は釘付けニャーぞ♪」

萌郁「……」///


フェイリス「さてぇ、フェイリスも選んじゃおーっと」
フェイリス「きょーまはどんな水着が好きなのかニャーっと」ゴソゴソ

紅莉栖「漆原さんにはこのリボン大き目なのが絶対似合うと思うの」

まゆり「まゆしぃはこのヒラヒラしたのがついてたほうが可愛いかなって」

紅莉栖「漆原さん体細いから……」

まゆり「うんうん、あとはパットはこのヤツ入れて……」

ルカ子「」


AD 2010.10.06 20:25:11:49


まゆり「あーーー楽しかった」

紅莉栖「女の子同士で水着を買いに来るなんて初めてだったから」
紅莉栖「その、楽しかった」///

フェイリス「可愛い水着も買えたし満足ニャ」

萌郁「……」ニヤ

ルカ子「」

まゆり「当日が楽しみなのです☆」

紅莉栖「ほんと、日本でこんなに楽しい思いが出来るなんて……思いもよらなかったわ」

フェイリス「これからもっともっと、楽しい思い出作れば良いニャ!」
フェイリス「きっときょーまが用意してくれるニャん♪」

萌郁「友達が出来て、う……嬉しい」ぼそ

ルカ子「(あぁもうお嫁に……いけない)」

まゆり「はふぅ、まゆしぃはお腹がすきましたー」

紅莉栖「私もちょっと……」

フェイリス「もう良い時間ニャ、何か食べてから帰るニャ?」

萌郁「賛、成……」

ルカ子「(胸が一杯です)」
ルカ子「(胸なんて無いんですけどね、はは)」

フェイリス「それじゃちょーっと待つニャ!」
フェイリス「この辺りで美味しそうなお店を探すニャ~……」
フェイリス「ん、この店なんてどうだろー?」



デクザンス ビュ ショコラ 渋谷マークシティ

「デクザンス ビュ ショコラ」は、料理を芸術の世界へと極める2つの偉大なる国、日本とフランスの融合を、
小さくてデリケートなチョコレートの中に鮮やかに表現したパティシエ ファンステ ヴァーによる高級ショコラ専門店です。

カカオ豆の産地や品種に徹底的にこだわり、最高級クーベルチュールや、リキュールやナッツ、 ドライフルーツなど厳選された素材を使用。
ヴァリエーション豊富な味わいをお楽しみください。


フェイリス「だってニャ!」

まゆり「ふぁー、美味しそー」

萌郁「ゴクリ……」

ルカ子「お、お洒落そうなお店ですね……」

紅莉栖「でも、お高いんでしょう?」

フェイリス「ニャー、口コミを見た限りでは予算は1000~2000円ニャ!」
フェイリス「ちょっとした贅沢にぴったりだニャ!」

まゆり「ちょっと高いけど、たまには良いよね?」

紅莉栖「そう……ね、せっかく女の子同士で集まったんですもの」

ルカ子「(僕は男です……)」

萌郁「意義無……し」

フェイリス「ではでは、ケーキを食べにぃ」

まゆり「しゅっぱーつ!」

紅莉栖「おー!」

萌郁「おー」

ルカ子「(岡部さんにお土産を買っていってあげようかな)」

まゆり「んふふっ! まゆしぃは最近、毎日がとっても楽しいのです!」

AD 2010.10.06 17:05:04:12

ダル「ふぅ、コーラがうめェ」ゴップゴップ

岡部「……」

ダル「今頃、まゆ氏たちは渋谷かぁ」

岡部「女と言うのは、面倒なものだな」
岡部「水着程度でわざわざ渋谷まで全員で出向くとは」

ダル「っつーかさ」
ダル「る、ルカ氏も同行してるんしょ?」

岡部「うむ」
岡部「まゆりからそう連絡が来た……」

ダル「まゆ氏、牧瀬氏、フェイリスたん」
ダル「萌郁氏、ルカ氏……」
ダル「凄く……百合です……」

岡部「違うな、ルカ子は男だ」

ダル「と言うことは……さらにケシカラん」グッ

岡部「……(ルカ子は犠牲になったのだ)」

ダル「はぁ、しかしなんという展開」

岡部「ん?」


ダル「牧瀬氏がラボメンになってからこっち、リア充イベント起きすぎだろjk」
ダル「オカリンが前居た世界線もこんな感じだったん?」

岡部「いや、ちょっと……大分違うな」
岡部「話した通り、向こうの世界線は毎日大変だった」
岡部「まゆりが死ぬ日時が迫ってくる恐怖が強く、遊ぶことなんて……」

ダル「そっかー、まーそうだよなぁ」
ダル「まゆ氏が死んじゃうとか冗談ってレベルじゃねーって思うけど」
ダル「ちょっと考えただけでも怖いお」

岡部「うむ……」
岡部「この世界線。シュタインズゲートはこれから先どうなるか解らない」
岡部「そういった不安が無いとは言えないが……」
岡部「正直、毎日が楽しいよ」

ダル「オカリン……」
ダル「オ、オカリンのそう言うとこ、嫌いじゃないのだぜ」

岡部「やめろ、気色悪い」

ダル「ぶふふっ、ボクも自分で言っててそう思ったお」
ダル「早くフェイリスたんの水着が見たいぜこんちきしょー!」

岡部「後、二日の辛抱だ」
岡部「楽しみだな、本当に」

AD 2010.10.07 12:35:06:16

岡部「これ……は」

萌郁「あげ……る」

岡部「デネーズランドのチケットではないか」

萌郁「店長が……要らないから、行って来いって……」

岡部「しかも、ペアチケット四枚とは……」

萌郁「どう……する?」

岡部「いや、無論、行く」
岡部「ラボへのチケット提供、感謝する」

萌郁「ん……」

岡部「さっそく、全員にメールをしておくか」
岡部「ダルは珍しく午前中の講義に出かけて居るし」
岡部「他は全員学校だろうからな」

萌郁「……」ボー

岡部「ん。萌郁は店に戻らなくても良いのか?」


萌郁「今、お昼休み……だから」
萌郁「ここに居ちゃ……だ、め?」

岡部「いや、歓迎する」
岡部「お前もラボメンなのだから当然の権利だ」

萌郁「ありが……とう」

岡部「ランドか……、さて日にちは何時とするかな」
岡部「スパが10月の8.9日」
岡部「9、10、11日(土日月)と三連休」
岡部「ココだな。よし、11日に行こう」
岡部「萌郁、お前の予定は平気か?」

萌郁「……日曜日は、お店休みだから……大、丈夫」

岡部「うむ、ではそれで決定だ」
岡部「……」カチカチ
岡部「む……、俺が打つよりシャイニングフィンガーである萌郁がメールを打った方が良いな」
岡部「ラボメン全員のアドレスは解っているな?」

萌郁「……」コクッ

岡部「ならば送れ!」
岡部「貴様をラボ専属メーラーに任命する!」ビシィ

萌郁「りょう……かい……」カチカチチチチッ

岡部「(早い……)」

>>81
失礼しました
11日は月曜日です
萌郁さんは勘違いしてます日曜日ではないです
サボるからきっと平気です

ヴー ヴー
ッチャ

差出人:閃光の指圧師
件名:連絡でっす☆

さっき、岡部君にラボ専属メーラーに任命された萌郁だよ!
さっそく皆に連絡があるからメールしちゃった(^3^)=♪
優しい店長が、なんとなんとw|;゚ロ゚|w ヌォオオオオ!!
デネーズランドのペアチケットを四枚くれちゃったのです><

わぁいヽ(゚ー゚*ヽ)(ノ*゚ー゚)ノわぁい

と言うことで、そのチケットを岡部君に渡したところ11日(月曜)にってなったんだけど
大丈夫かな? 行けるかな?

行けると良いなっ!

みんなが行けないと、私と岡部君二人だけになっちゃうから寂しいよ!
絶対ぜぇったい楽しいから、みんなで行こうね♪

萌郁


岡部「(一瞬でこの長文を……)」

萌郁「送、った……」

岡部「うむ、ご苦労」

ヴー ヴー ヴヴ ウヴヴヴヴー

萌郁「……」
萌郁「全員、大丈夫……だって」

岡部「さすが昼時、返信が早いな」
岡部「よし、これで週末の予定は決まった!!」
岡部「遊んで遊んで……遊びまくるぞ!!」
岡部「フゥーハハハハハハ!!!」

萌郁「は・は・はー」

AD 2010.10.08 12:10:18:05

ダル「~~♪」

──ガチャ。

ダル「んお、オカリン」
ダル「まだ12時だお? 早いじゃん」

岡部「俺は統率者だからな」
岡部「誰よりも早く集合場所に居るのは当然の義務だ」

ダル「とかなんとか言っちゃって」
ダル「楽しみで仕方なかった訳ですね、解ります」

岡部「ふんっ」
岡部「そういうダルこそ、随分と早いではないか」

ダル「家に居ても仕方ないし、全員集合したら即出発っしょ?」
ダル「だったらココで待った方が良いと判断しますた」

岡部「ゲームなどやって疲れるなよ」
岡部「今日は泳ぐからな、体力は温存しておけ」

ダル「任せろし!」
ダル「フェイリスたんの水着姿を脳内に焼き付けるまで」
ダル「ボクは倒れない。絶対に、絶対にぃぃぃぃいい」


──ガチャ。

まゆり「トゥットルー☆」
まゆり「わぁ、オカリンにダル君だぁー」
まゆり「早いねぇ」

ルカ子「あっ、こんにちわ。お二人とも早いですね」

岡部「まゆり、ルカ子……お前達こそ学校はどうした?」
岡部「まだ昼だぞ?」

まゆり「えへへぇ、実はね」

ルカ子「実は11日って、うちの学校は開校記念日だったんです」
ルカ子「11日の振り替えと言うことで、8日の今日がお休みになってたんです」

まゆり「なのです」

岡部「はぇ?」

ダル「マジか」
ダル「っつー事は、金土日月と四連休とか!」

岡部「だったら、なぜそれを先に言わなかったのだ?」

ルカ子「それは、フェイリスさんも学生ですから」
ルカ子「僕とまゆりちゃんが早ければ、フェイリスさんを焦らせてしまうかなって」
ルカ子「だから、黙ってようってまゆりちゃんが気を使ったんです」


岡部「そうか……偉いぞ、まゆり」ナデナデ

まゆり「えへへぇ、当然だよぉ」


──ガチャ。

フェイリス「ふニャ! 一番かと思ったら、もう一杯居るニャ!」

岡部「フェイリス!?」

まゆり「あれれ?」

ダル「フェイリスたん颯爽登場キター!!」

ルカ子「あの、学校は?」

フェイリス「私立学校を舐めてはいけないニャン」
フェイリス「土日月と休みなんだから、金曜も休みにしてしまえー!」
フェイリス「ってことになってたのだニャン」

岡部「なんという……」

ダル「ゆとり教育です本当にありがとうございました」
ダル「だが、それが良い」キリッ

フェイリス「他の学生組みに気を使わせちゃうかニャって黙ってたんだけどー……」
フェイリス「まゆしぃとルカにゃんはどうして?」


まゆり「えへへ、フェリスちゃんと一緒で黙ってたんだぁ」

ルカ子「開校記念日の振り替え休日で今日がお休みに……」

フェイリス「にゃーんだ、そうだったのかー」
フェイリス「初めからちゃんと言っておけばよかったニャ」

ルカ子「皆で気を使いすぎちゃいましたかね」


──ガチャ。

紅莉栖「ハロー……ってうお! ほぼ全員居る……」
紅莉栖「えっ? なんで、どうして?」
紅莉栖「時間? えっ、遅かった?」アセアセ

岡部「助手よ、まだ13時にもなってない昼時だ」

紅莉栖「はえ?」

ダル「牧瀬氏はどうしてこんなに早く来たんだお?」

紅莉栖「そっ、それは……」
紅莉栖「べっ! 別に楽しみすぎて早く来ちゃった訳じゃないんだからな!」

岡部「……」


ダル「これだからツンデレニートは……」

紅莉栖「ニートって言うな!」
紅莉栖「今はちょっと長い休暇を取ってるだけよ!」

ダル「ニートはみな、そう言う……」

紅莉栖「ぐぬぬ……」

まゆり「まぁまぁ」ニコニコ
まゆり「あとは、萌郁さんだけかな?」

フェイリス「ん」キョロキョロ
フェイリス「そうなるニャ」

ルカ子「お仕事、何時までなんでしょう」

岡部「いや……それ何だがな」
岡部「萌郁ならもう居る」
岡部「正確には一番にこのラボへ来ていた」

「「「「「へ?」」」」」

岡部「ダル、実験室前のカーテンを開けてくれ」

ダル「おっ、オーキードーキー」シャー

萌郁「……」スースー


岡部「寝て待っていたようだ」

紅莉栖「クククッ、なによ。もう皆集まってるじゃない」
紅莉栖「予定より4時間近く全員集合ってどんだけ楽しみにしてるのよ」

まゆり「えへへ、まゆしぃは楽しみで昨日あんまり寝れなかったのです」

ルカ子「僕も凄く楽しみでした」

ダル「夢にまで見た……フェイリスたんの水着ッ」

フェイリス「もう、ダルにゃんエッチな目で見たらキャットシザーで目を切り裂くニャンぞ!」

萌郁「……」スークー


岡部「っふ」
岡部「未来ガジェット研究所ラボメンNo.1 鳳凰院凶真!」
岡部「……」チラッ

まゆり「えっ、わっわっ……えっと」
まゆり「なんばーにっ、椎名まゆり!」

ダル「No.003 橋田至ぅ!」

紅莉栖「えっ、なにそれやらなきゃいけな……」
紅莉栖「はいはい、No.004 牧瀬紅莉栖」

萌郁「……」クカー

ルカ子「ぜっ、ぜろぜろろく! 漆原るか!」

フェイリス「No.007 カッコイイニャ! フェイリス・ニャンニャン!」

岡部「そして、No.8……阿万音鈴羽……」ボソッ
岡部「以上を持って全員集合とする!」
岡部「行くぞーっ!!」
岡部「フゥーハハハハハハ!!!」バサァ


AD 2010.10.09 13:41:02:16

紅莉栖「ふぉおおお……」
紅莉栖「海だーっ!」
紅莉栖「っは」
紅莉栖「……」///

まゆり「あははっ、紅莉栖ちゃんもすっかり楽しんでるねぇ」ニコニコ

紅莉栖「ちがっ、これはその……」
紅莉栖「こう言うとこ慣れてないからその」

フェイリス「まぁまぁ、クーニャン落ち着くニャン♪」
フェイリス「(海じゃないけど)海は逃げないニャン!」

紅莉栖「うぅ……」

萌郁「……」バインバイン

男A「うおお……すげぇ集団。かわえぇ……つかあの眼鏡の子やべぇ」
彼女「ちょっと、何見てんのよ」グイイ
男A「痛っ、イテテテ、耳引っ張るなって」
彼女「いやらしいからその目で他の子見ないで」ツーン
男A[わ、悪かったって、ごめん、あやまるよ、ほんとごめん」

>>110

AD 2010.10.09 13:41:02:16→×

AD 2010.10.08 13:41:02:16→○

数字間違いはアホすぎる。
申し訳ない。


紅莉栖「……」チラッ

萌郁「……」ボンッキュッボン

紅莉栖「……」ペタペタ
紅莉栖「……」ズーン

ダル「ふぉおおおおおおおおおお!!」
ダル「……萌えた。萌え尽きたよ。真っ白だ……」

岡部「ダル、まだ燃え尽きるのは早いぞ」
岡部「まったく、水着如きで何を……」

岡部「(うっ!)」
岡部「(紅莉栖……似合ってるじゃないか……)」
岡部「(お、落ち着け、お前は狂気のマッドサイエンティスト)」
岡部「(水着如きで揺らいでどうする)」

まゆり「オカリンだー!」トテトテ
まゆり「えへへぇ、どうかなぁこの水着」クルッ

岡部「うむ、似合っているぞまゆりよ」
岡部「スクール水着を着ているところしか見たことが無かったからな」
岡部「(っく、まゆり……不覚にも可愛いではないか……)」
岡部「(いかんいかん、まゆりは人質だ)」
岡部「(そのような視線で見てはいけない)」


紅莉栖「むっ……」
紅莉栖「(あれ、今私なんでムカっとしたんだろ)」

ダル「まゆ氏のスク水姿とかもはやそれ犯罪っしょ」

まゆり「あははっ、ダル君おなかぷよぷよー」ツンツク

ダル「あふぅん///」
ダル「デブのお腹に気安く触れてはいけないのだぜ!」
ダル「自分の体型をいかに把握していても、傷つくものは傷つくぅうう」

まゆり「ふふふっ……はぇ?」
まゆり「そういえばルカ君は?」

岡部「む……」

ダル「あっ……」

まゆり「ほぇ?」

岡部「あー……まゆりよ」
岡部「お前は一体、ルカ子にどのような水着を選んだのだ?」

まゆり「んーっとねぇ」

まゆり「胸に大きめなリボンが付いててー」
まゆり「少し、ヒラヒラしてるのも付いててー」
まゆり「パレオを巻くタイプのビキニです!」キリッ

岡部「……」
ダル「……」

まゆり「パットも大きめなの買ったから大丈夫!」

岡部「何が大丈夫なんだ……」

ダル「ルカ氏……だから、更衣室から出てこなかったんだな」
ダル「泣き声っぽいのが聞こえてたから……」

岡部「うむ……」

まゆり「あっ! ルカ君だー!」

ルカ子「……」モジモジ

まゆり「遅かったねぇ」ニコニコ
まゆり「なんで、バスタオル巻いてるの?」

ルカ子「はっ、恥しいからだよう」///

まゆり「大丈夫だよー、絶対絶対可愛いから!」

紅莉栖「あっ、漆原さん。来たわね」


フェイリス「ニャ! 主役がやっと来たニャ!」

萌郁「……」

ルカ子「うぅぅ……なっ、なんで集まるんですかぁ」ポロポロ
ルカ子「岡部さぁん、た、助けてくだsry」

まゆり「それぇー!」バスタオルスポーン

ルカ子「っきゃ!」

まゆり「わはー♪」
紅莉栖「ゴクリ……」
フェイリス「ふおお……」
萌郁「……」
岡部「……」
ダル「……」

ルカ子「やっ、まゆりちゃんバスタオル返してぇ」ウルウル

まゆり「ルカ君くぅわいいよおおおお」

紅莉栖「(これは……負けた)」
フェイリス「(負けたニャ……)」
萌郁「(私……より、かわい、い……)」
岡部「(何故、ルカ子は上もちゃんと装備しているのだ……)」
ダル「(前屈みにならざるを得ないレベル……)」


ルカ子「あううう……」

男B「うーっわ、何あの子マジ可愛いんですけど」
彼女「可愛いー……」
男B「アイドルかなんかかな?」
彼女「解んない、でも超可愛い……」
彼女「はぁ……いいな、可愛くて」
男B「ちょ、おい、落ち込むなよ」
男B「お前も可愛いって、な? な?」

女A「はぁ、なにあの子」
女B「うっぜー、目だってナンパ待ち?」
女C「きっしょ」

ルカ子「(うぅぅ、きっと気持ち悪いって思われてるんだ……)」
ルカ子「(僕なんでこんな水着着ちゃったんだろう……)」シュン

岡部「……」ポン

ルカ子「岡部……さん」

岡部「ルーカ子よ、俺は前に言ったはずだぞ」
岡部「男だとか女だとか、そんなものは関係無い」
岡部「ルカ子はルカ子だ」
岡部「今はそのような水着で落ち込んでる場合ではない」
岡部「この瞬間、この場所を楽しむが良い!!」
岡部「フゥーハハハハハ!!! フゥ! フゥハハハハ!!!」


ルカ子「岡部さん……」

男B「ほら、見ろよ」
男B「顔は可愛くても連れてる彼氏最悪だぜ」
彼女「ほんと……だ、大声だしてわめいてる」
男B「な? だから気にすんなよ」
彼女「うん……」

女A「っぷwwwなにあの男www」
女B「男連れでもあれじゃぁねぇ?www」
女C「きっしょ」

紅莉栖「……」

まゆり「……」ニコニコ

フェイリス「ふふふっ、さー! ルカニャン! 遊ぶにゃーん!!」グィッ

まゆり「おー!」グィグィ

ルカ子「あっ、ちょっ」

萌郁「……」スタター

ダル「ああぁん、待っておボクも行くおー!」


岡部「……ふぅ」

紅莉栖「まったく、気が利くんだか利かないんだか」

岡部「紅っ……リスティーナか」

紅莉栖「……」
紅莉栖「フォローする位なら、最初からあの水着着ないようにさせなさいよね」

岡部「ルカ子にあの水着を勧めたのはまゆりとお前だろう」

紅莉栖「うっ……ちょっと、調子に乗っちゃって」

岡部「ルカ子はあれでしっかりしている。まゆりとお前に選んで貰った水着を着ない訳にもいかない」
岡部「そう思ったのだろう」
岡部「やりすぎではあるがな……」

紅莉栖「……」
紅莉栖「あんた、ほんとたまに良いヤツよね」

岡部「No.001たる由縁だ」

紅莉栖「フン、素直じゃない>>1だな」

岡部「お前に言われたくは無いな」
岡部「あと>>1って言うな」


紅莉栖「お互い様だろうが」
紅莉栖「やーい>>1! >>1! レス番真っ赤にしてやろうか?」

岡部「この@ちゃんねらー目が……!」

紅莉栖「ぷぷぷっ……あははっ」

岡部「あっ……おっ……」

紅莉栖「あーおかしー」ヒィヒィ
紅莉栖「ねぇ」

岡部「……む」

紅莉栖「私の水着見て、何か言うことあるんじゃないの?」

岡部「……」

紅莉栖「無いのかよ……」

岡部「……」


紅莉栖「はぁ、まぁ……そっか」
紅莉栖「まゆりはあれでかなり良い体型だし」
紅莉栖「萌郁さんは、ダイナマイトボディだし?」
紅莉栖「フェイリスさんは引き締まってて出るとこ出てるし……」
紅莉栖「私なんて……」ペタペタ

紅莉栖「男の子に負ける始末だし」シュン

岡部「なっ、おい……」

紅莉栖「なによ……」ジト

岡部「くっ、紅……お前のその水着も」
岡部「悪く、は……ないぞ」ボソッ

紅莉栖「……」


岡部「えええええええい!!」

紅莉栖「」ビクッ

岡部「貴様らあああ!! No.001である俺を置いて遊びに行くな!!」タッタッタ
岡部「まぁぁぁてぇぇえぇぇ!!」ドボーン

ダル「やべぇ、オカリンがバタフライ泳ぎしながら追ってきたお!!」

フェイリス「逃げるニャー♪」

まゆり「わー! ルカ君逃げるのです!」

ルカ子「えっ? えっ?」

フェイリス「今のきょーまに捕まったら、体中の穴と言う穴から水を入れられて……」
フェイリス「考えるだけで恐ろしいニャ! ウンディーネと一体化したきょーまに理性は無いニャ!!」

岡部「フゥーハハハハハ!! このバタフライ泳法から逃げれると思うなよ!!!」バッチャバッチャ

ダル「大丈夫だ問題ない! ヤツは体力が無いから逃げるんだ!」

フェイリス「そんな泳法で大丈夫かにゃー!?」ッキャッキャ


紅莉栖「……くすっ」
紅莉栖「ありがと、岡部」
紅莉栖「すっごく楽しいよ」


AD 2010.10.08 18:20:42:22


岡部「……」

ルカ子「岡部さん」
ルカ子「そろそろ晩御飯を食べに行こうって、牧瀬さんが」

まゆり「はぁ♪」
まゆり「オカリンってば気持ち良さそうに寝てるねぇ」
まゆり「ほっぺたプニプニしたくなっちゃうよぉ、えへぇへぇ」

紅莉栖「良い歳した男子のくせに、はしゃぎすぎなのよ」

フェイリス「クーニャンも、うーみだぁ! って結構ノリノリだったニャ」
フェイリス「海じゃないのに」ププ

紅莉栖「うぁ、わっ、私は別に……それに作りが海だから海で良いのっ」

まゆり「でもーどうする? オカリン起きるまで待ってる?」

紅莉栖「そんな悠長なことしてらんないわ」
紅莉栖「橋田。岡部をお姫様抱っこしろ」


ダル「だが、断る」

ルカ子「ご飯のバイキングが19時からですから……」

萌郁「着替えて、向かって……ギリギリ」

フェイリス「バイキング形式だから、開始と同時じゃないと無くなっちゃうかもニャ」

紅莉栖「だからこそ、なおさら。岡部を起こさないと」
紅莉栖「おーかーべー!」
紅莉栖「起ーきーろー!」ペチペチ

ダル「だがしかし、牧瀬氏のオカリンに対する頬叩きは優しいのであった」

まゆり「うふふっ♪ 紅莉栖ちゃんも優しいねぇ」

紅莉栖「だっ誰がっ!」///

紅莉栖「お、起きろごらぁあ!!」バチコーン


AD 2010.10.08 21:08:32:53

─ルーム1─

ダル「ふっはー!!」
ダル「た べ たー……もうだめ、動けないお」

ルカ子「は、橋田さん大丈夫ですか?」

岡部「いくら何でも食べすぎだ」
岡部「他のラボメンも驚いていたではないか」

ダル「い、いやー」
ダル「なんつーの? デブがここで活躍しなかったらどこで活躍すんだっつー」
ダル「……反省したお」
ダル「くるしー」

ルカ子「お、お薬貰ってきますか?」サスサス

ダル「漆原氏の優しさに胃袋も感涙してるお」

岡部「涙じゃなくて胃液だろうがな」

ルカ子「胃薬貰ってきますか?」サスサス


ダル「だ、だいじょーぶ。その内に消化すっから」

岡部「まったく……」
岡部「だが、楽しかったな」

ルカ子「えぇ……」
ルカ子「凄く、楽しかったです」

ダル「ふぅふぅ」

岡部「だが、まだ明日1日残っている」
岡部「まだまだ楽しむのだぞ、ルカ子よ」

ルカ子「はいっ!」

岡部「食休みしたら、ロビーでも行って土産や売店を見てくると良い」

ルカ子「岡部さんはどうするんですか?」

岡部「ん。俺は……ゆっくりしてるさ」


AD 2010.10.08 21:08:32:53

─ルーム2─

まゆり「ふぁー美味しかったぁ」

紅莉栖「バイキングにしては、良い味だったわね」

フェイリス「まゆしぃはから揚げばかり食べてたニャ」クスクス

まゆり「味が5種類もあったから楽しかったよぉ」

萌郁「お腹、い……ぱい……」

紅莉栖「ふふっ、萌郁さんもいっぱい食べたわね」

萌郁「美味し……かったー……」ウトウト
萌郁「……」クークー

フェイリス「ニャ! 萌ニャン、寝ちゃったニャ」

まゆり「ほんとだー、可愛い寝顔ぉ」

紅莉栖「良い顔……楽しかったのね」


フェイリス「そう言う、クーニャンはどうだったのニャ?」

紅莉栖「えっ? 私?」

フェイリス「フェイリスはとっても、とーっても楽しかったのニャ」
フェイリス「楽しくて楽しくて、これが夢なんじゃないかって思えるくらいニャ」

まゆり「まゆしぃもねー、とっっっても楽しかったぁ」
まゆり「チケットをくれたルカ君とー」
まゆり「引っ張って来てくれたオカリンに感謝だよー」エヘヘ

フェイリス「クーニャンは?」
フェイリス「楽しかった?」

紅莉栖「……えぇ」
紅莉栖「とても」

まゆり「んふふー♪」ダキッ

紅莉栖「ちょっ、まゆり」

まゆり「紅莉栖ちゃんも楽しんでくれて」
まゆり「まゆしぃもとっても嬉しいのです」スリスリ


紅莉栖「もう……」

フェイリス「ニャふふ……」

紅莉栖「私って、友達居なかったから……」
紅莉栖「こうやって騒いでハシャイで……うん、凄く楽しい……かな」
紅莉栖「あっちのラボとこっちのラボとじゃ雲泥の差なんだけど」

フェイリス「ニャんだけど?」

紅莉栖「えっと……全く別物と言うか……」
紅莉栖「まっ、まぁそもそもココは研究所とか言っておいてただのお遊びサークルだった訳だが」アセアセ

まゆり「紅莉栖ちゃん」ギュッ
まゆり「まゆしぃ達は、ずっとずーっと、紅莉栖ちゃんのお友達で」
まゆり「ラボメンだからね?」

紅莉栖「まゆり……」
紅莉栖「ありがと」

フェイリス「ニャふふー♪」
フェイリス「(きょーまも罪な男だニャ~)」


AD 2010.10.08 22:01:01:21

岡部「ふぅ……」
岡部「良い湯だ」
岡部「まったく、ルカ子のやつめ……風呂位付き合えば良いものを」

岡部「っく……っくっく」
岡部「まるで、リア充じゃないか」
岡部「思い描いていた以上に破壊力あるな、こう言った生活は」
岡部「リア充が遊び狂うのも頷ける」
岡部「楽しいではないか……」
岡部「灰色の脳細胞を持ったこの俺にこのような感覚を味合わせるとは……」
岡部「……頑張った甲斐があった」


─ルーム1─


AD 2010.10.08 22:31:08:10

ダル「んごごごご……んががががっ」

ルカ子「すーすー……」

岡部「む。なんだ、二人とももう眠って……」
岡部「今日は遊びつかれた……か」
岡部「まぁ良い、一人でぶらぶらするか」


─ラウンジ─

岡部「ドクペドクペ……んないっ!?」
岡部「ええい、ここの自販機担当は何を考えているのだ」
岡部「くそっ……この風呂で乾いた喉を潤す清涼飲料水はドクペと相場決まっているのに」
岡部「仕方ない……マウンテンヂューで手を打つか」ガコン

岡部「どっこいしういち……」
岡部「……ぷはー」
岡部「しかし、ここのスパはかなり良いトコなんじゃないか?」
岡部「学生が遊びに泊まりにくるレベルでは無い気がするが……」

紅莉栖「その通り。結構高いわよ、ここ」

岡部「くっ! 紅莉……スティーナではないか」

紅莉栖「よっす」

岡部「お、おう……」ゴクゴク

紅莉栖「マウンテンヂュー? 珍しいの飲んでるわね」


岡部「どどドクペをが置いてないのっだ。ここの自販機は」

紅莉栖「ふぅん……ふぅ、私も喉渇いちゃった」

岡部「風呂か?」

紅莉栖「えぇ、みんな眠っちゃったから一人で」
紅莉栖「あんたも?」

岡部「そのようなところだ」

紅莉栖「そ」
紅莉栖「喉、渇いちゃった」

岡部「む?」

紅莉栖「のーど、乾いたな」ジト

岡部「だ、だからなんだと言うのだ」
岡部「そこに自販機の群があるからいくらでも買えば良いではないか」

紅莉栖「気の利かない男……」
紅莉栖「貰うわよ」パシッ


岡部「あっ」

紅莉栖「……ぷぁッ」
紅莉栖「ふむん。これも結構美味しいわね」

岡部「お、おまっ……」

紅莉栖「なによ、しけた面して」
紅莉栖「なに? もしかして怒ってるの? 岡部ってケチ?」

岡部「ちがっ、違……お前、それ、関節……」

紅莉栖「……あぁ」
紅莉栖「そう……ね」

岡部「う、うむ……」

紅莉栖「──ね、ねぇ」

岡部「はぇ? なななんだ?」

紅莉栖「なっ、何を動揺してるのよ」

岡部「べっ、べべべつに動揺なぞしてはおらん」

紅莉栖「どうだか」

岡部「っで、ででで、なんだ。助手よ」


紅莉栖「二人きりになったら聞きたいことがあったの」

岡部「む?」

紅莉栖「何だかんだ、ラボで二人きりになることって無かったし……」
紅莉栖「それ……でね? 聞きたいんだけど……」

岡部「……」

紅莉栖「……」モジモジ
紅莉栖「わっ、私とあんたって……」
紅莉栖「キッ……Kissとか……したことある関係だったり……した?」

岡部「っぶ!」
岡部「……」ダラダラ

紅莉栖「っちょ! 黙るな!」
紅莉栖「聞いてるこっちだって、凄く恥しいんだぞ!」

岡部「……」

紅莉栖「だから黙らないでよぉ……」
紅莉栖「もっと恥しくなるでしょうが」

岡部「す、すまん……」


紅莉栖「で、どうなの?」
紅莉栖「し……てた?」
紅莉栖「ちゅ、ちゅっちゅちゅっちゅしてたの?」

岡部「表現が、いささかおかしい気がするが……」
岡部「あぁ……」

紅莉栖「マイガッ……やっぱり」

岡部「すまん……」

紅莉栖「はぁ? どうして謝るのよ

岡部「えっ」

紅莉栖「同意の上でしたんだろ?」

岡部「あぁ、勿論だ」
岡部「むしろ紅莉栖から奪って来た位だからな」

紅莉栖「oh……」
紅莉栖「はぁ」

岡部「すまん」


紅莉栖「だから、謝らないでよ」
紅莉栖「私が気にしてるのは……多分、あんたが考えてるとこと違うとこ」

岡部「?」

紅莉栖「記憶として、キッキスしたのは何となく思い出してた」
紅莉栖「だけど私が経験した訳じゃない」
紅莉栖「だからなんか……なんか悔しいってだけ」
紅莉栖「言わせんな恥しい」

岡部「紅……莉栖……」

紅莉栖「この世界線で岡部と私はキスしてない」
紅莉栖「なのに、岡部も私自身もキスしたことを覚えている」
紅莉栖「記憶だけ残ってて、事実が消えちゃうのってなんか……寂しいじゃない」

岡部「紅莉栖……」

紅莉栖「あー待て! 何も言うな言わないで」

岡部「……」

紅莉栖「最近、色々なことがフラッシュバックしてくる」
紅莉栖「ラボでの思い出、皆との会話……岡部と過ごした自分」
紅莉栖「正直言って受け入れがたいものだけど」
紅莉栖「この思い出していくたびに、心の何かが埋まっていく感じがある」

紅莉栖「私は……」
紅莉栖「岡部が──好きだった」


紅莉栖「今も……好き……かも」ボソッ


岡部「……」

紅莉栖「いっ、いいい今は返事良いから!!」アセアセ
紅莉栖「勢いで言っちゃったったったけどもも」
紅莉栖「返事が直ぐに欲しいとかじゃないから勘違いするなよ!!」
紅莉栖「明日も皆で遊ぶ訳だし、ダメ! 絶対」
紅莉栖「10日! 10日に……返事聞かせて欲しい」

岡部「……」

紅莉栖「ダメ……かな……」

岡部「い、いや」

紅莉栖「ありがと……」
紅莉栖「そ、それと!」
紅莉栖「流されてOk出さないでね」


岡部「えっ……」

紅莉栖「自分で理解してないんでしょうけど」
紅莉栖「岡部って……」
紅莉栖「……いいや、なんでもない」
紅莉栖「じゃね」
紅莉栖「明日、普通に接してよね」トテチテー

岡部「あっ……行ってしまった」


え。
なんだこの展開。
これが、シュタインズゲートの世界だと言うのか。
まるで少女漫画の様では無いか。
この鳳凰院凶真、いや。
岡部倫太郎が告白される日が来るなどと。

そうだ、返事。
返事をしなければ……。
直ぐにでもしたい、二日と待てない。
だが何か引っかかる。
最後の、紅莉栖が言おうとした台詞。
あれは一体……。

あぁダメだ。口角が釣り上がる。
ラウンジに居てはダメだ、気味悪がられてしまう。
部屋に戻って、考え……もとい、告白の余韻に浸るとするか。

AD 2010.10.08 23:10:27:56


ダル「んゴゴゴゴ……んガガガガッ」

ルカ子「すーすー……」

岡部「……」
岡部「(眠れん)」

ヴー  ヴー

岡部「メール……」
岡部「こんな時間に……」

ッピ
差出人:まゆり
件名:寝てたらごめんね?

オカリン、起きてるかなぁって思って
もし起きてたらラウンジに来て欲しいの……
23:30まで待ってるから
まゆしぃ


岡部「まゆり……」
岡部「まゆりがこんな時間まで起きてるとは珍しいな」
岡部「何時もなら真っ先に疲れて寝てしまってるだろうに」
岡部「……どうせ眠くないんだ」
岡部「今、行く。と」カチカチ


─ラウンジ─

まゆり「あっ、オカリンだぁ」

岡部「待たせたな」

まゆり「んーん」フルフル
まゆり「まゆしぃが勝手に待ってただけだから」
まゆり「はいこれ!」

岡部「ドクペ……」
岡部「どうしたんだ、これ」
岡部「この施設にある自販機では無かったはずだ」

まゆり「えへへ、ちょっと外に行ったらあったんだぁ」
まゆり「ここドクペ売ってないから、オカリン飲みたがってるかなぁって」

岡部「まゆり……」
岡部「ありがとう、丁度飲みたかったんだ」


まゆり「うんっ♪ 良かったぁ」

岡部「まゆりは本当に優しいな……」カシュッ

まゆり「……」ピクッ
まゆり「違うよ、オカリン」

岡部「……ん?」グビ

まゆり「まゆしぃは優しい訳じゃないのです」

岡部「え?」グビ

まゆり「まゆしぃは、ただ……オカリンに置いて行かれたくないだけなの」

岡部「ん?」グビ

まゆり「まゆしぃはねっ、まゆしぃはねっ」
まゆり「オカリンの事が──好き、なの」

岡部「……」ゴクン

まゆり「紅莉栖ちゃんがね、最近オカリンを見る目がね」
まゆり「とっても綺麗なの」
まゆり「あぁ、オカリンのことが好きなんだなぁって解るの」
まゆり「まゆしぃ嫌な子だよね、だからって急にオカリンに告白だなんて」

岡部「……」グビリ


まゆり「オカリンはね、まゆしぃにとっての」
まゆり「彦星様で、手を伸ばしても届きそうで届かない、空のアークライトで……」

岡部「まゆ……り?」

まゆり「ねぇオカリン。おばあちゃんを亡くして、立ち直れなくなった時……」
まゆり「まゆしぃの世界は真っ暗闇になって……無限の影に怯えてて」
まゆり「目を閉じて、諦めちゃって……」
まゆり「でもそんな時に、鳳凰院凶真がやってきて」
まゆり「人質に……んーん。助けてくれた時から」
まゆり「鳳凰院凶真は私の日常になったの」

岡部「……」

まゆり「まゆしぃは織姫様になれないけど……」ポロポロ
まゆり「優しいオカリンが好き。強引な鳳凰院凶真が好き。全部好き」
まゆり「オカリンも、鳳凰院凶真もどっちも私の大好きな、岡部倫太郎」

岡部「……」

まゆり「ごめんね? 急にこんなこと言っちゃて」コシコシ
まゆり「でも、今日言わないと……もう二度と言えない」
まゆり「そんな気がして……」

岡部「まゆり……お前」

岡部「(なんだ、何が起きてる)」
岡部「(超展開すぎて、頭が付いて行かない……)」
岡部「(なぜ、今日なんだ、今なんだ……なぁまゆり……)」


まゆり「あっ、あわわ! いいい今は返事しないで!」アセアセ
まゆり「明日も皆で遊ぶから、もしダメだったらまゆしぃ、元気出せなくて」
まゆり「迷惑かけちゃうかもだから、そんなのはダメなのです」
まゆり「勝手言ってごめんね、オカリン……」
まゆり「10日。10日に……返事聞かせて欲しいな……」
まゆり「では! まゆしぃはお部屋に戻って眠るのです!」キリッ
まゆり「おやすみ、オカリン」ヨチヨチー

岡部「まっ……まゆ……り……」


思いをぶつけたまゆりは振り返ることなく、行ってしまった。
先ほどまで紅莉栖に告白されて有頂天だった俺はもう消えていて。
頭の中は自分でも驚くほど冷え切っていて。
紅莉栖の言葉がリフレインする。

紅莉栖「流されてOk出さないでね」

これは……こういうことなのか?
解っていたのか?

解っていたのか?
二人で示し合わせて、からかっているのか……?
いや、それは無い。それだけは絶対に無い。

まゆり「でも、今日言わないと……もう二度と言えない」
まゆり「そんな気がして……」

ココだ。
紅莉栖の告白を知っていた?
いや……そんな馬鹿な。
勘……なのか?
紅莉栖と恋人同士になったら、告白すら出来なくなると思ったのか?

紅莉栖は俺に告白することをまゆりに報告したのか? していたのか?
……解らない。


紅莉栖も、まゆりも……大事な仲間だ。
大好きな、仲間だ。
まゆりは幼馴染で、人質で、昔からずっと一緒に居る掛け替えの無い存在だ。

紅莉栖だってそうだ。
第三次世界大戦? そんなもののためじゃない。
俺は紅莉栖のために、走ったんだ。走りきったんだ。


岡部「選べってのかよ……」
岡部「スイーツ小説の主人公じゃないんだぞ……」


その日俺は、一睡も出来なかった。
恋愛なんて俺とは関係無い異国の物語だと思っていた。
下らないとさえ、思っていた。
けれどこんなにも、こんなにも苦しくなるものだったなんて。

翌日のことは良く覚えていない。








気付いたら、解散していて俺はラボに一人で居た。




AD 2010.10.09 23:55:19:11

岡部「あっ……もう、こんな時間か」


解散してから5時間以上が経過していた。
あれから、俺は一睡もしていない。
ひたすら考えていた。
俺は、紅莉栖もまゆりも好きだ。
最低なのは解ってる。
だが、好きだ。

しかし、紅莉栖への好きとまゆりへの好きは種類が違うとも解っている。
俺は……女性として紅莉栖が好きだ。
ラボで二人して、抱き合いキスを交わした。
決して忘れない海馬に刻み込まれた記憶。
その記憶が紅莉栖にも復活した。
ならば、迷うことなんて無いんだ。
俺は──紅莉栖が好きなんだからな。
腹を決めた。


紅莉栖に──答える。-ドクン-


ヴー ヴー
 ヴー ヴー

岡部「メール? こんな時間に……」
ッチャ

差出人:hk-kk@jtk93.x29.jp
件名:(件名なし)

紅莉栖とは付き合うな。


岡部「なん──だ、このふざけたメールは!!」
岡部「誰だ……知らんぞ、こんなアドレスは」
岡部「ラボメン……いっ、いや考えられん」
岡部「そんなことをするやつが、ラボメンに居るはずが……」
岡部「だとすると……」
岡部「ははぁ、読めたぞ」

岡部「自作自演か」

岡部「ククク、あいつも可愛いことをする」
岡部「この程度で、俺が不安になり、自分を選ばなくなるとでも思っているのか」
岡部「フゥーハハハハ!」
岡部「明日、10月10日! きっちり、返事をしてやるぞ」
岡部「安心したら眠くなってきた……ずっと寝てなかったから……な」ファー
岡部「おやすみ……紅莉栖……」スカー



AD 2010.10.10 02:20:10:31

???「──て!」
???「──ってば!!」
???「起きろぉ!! 岡部倫太郎!!!」

岡部「……んお?」

???「もう、起きてってばぁ!」

岡部「んむ?」

???「起きた!」

岡部「むむぅ……」

???「ええぇい!!」スパーン

岡部「はぎゃっ! 痛っ、ぬぅわにをす──」
岡部「ずは……」


鈴羽「始めまして、オカリンおじさん」

岡部「鈴羽? 鈴羽!」
岡部「なぜ、お前がここに!?」
岡部「まさか……シュタインズゲートの世界線でもディストピアが!?」

鈴羽「違うよ、そうじゃない」
鈴羽「けど、同じようなもの……かな」

岡部「どういうことだ……よ……」

鈴羽「それを説明しに、私が来た」
鈴羽「結論から言って良い?」

岡部「あっ、あぁ……」

鈴羽「オカリンおじさんは……」

鈴羽「岡部倫太郎と牧瀬紅莉栖は付き合ってはいけない」

岡部「なん……だと……」
岡部「どういう……ことだよ」

鈴羽「全部説明するからおちつ──」

岡部「落ち着けるかよ!!」
岡部「毎回毎回いきなり着やがって……」
岡部「どういうつもりなんだよ!!」


鈴羽「たははっ、毎回来てるんだ、私……」
鈴羽「でも! 聞いて」


鈴羽「このままだと、第三次世界大戦が勃発する」


岡部「──」


鈴羽の説明は丁寧だった。
混乱気味の俺でも理解出来る程に……。
このまま俺と紅莉栖が付き合うと、そのままゴールイン。結婚するらしい。
そしてAD 2023に一人の子供が生まれる。
岡部倫太郎 旧姓、牧瀬紅莉栖の子供。

鈴羽「稀代の天才少女、岡部クリスティーナ」

なんという……。
ふざけた名前の天才だ。親のネーミングセンスを疑う。


……クリスティーナは天才だった。
彼女は俺と、紅莉栖とダル。三人が開発途中で破棄したタイムマシーン理論の断片を発見してしまう。
タイムマシーンは危険だ。
形だけでも後世に残し、何時の未来かでと思いを託そうとしたが危険の種を撒くだけだと俺が止めたらしい。
そのタイムマシーン理論の断片。
些細な削除し残し。そこから、たった一人でタイムマシーンを開発、完成させてしまった。

ネット社会は今よりも複雑で、信頼度やセキリュティも強く、一般人でも論文を世界に向けて発信することが出来る。
後は雪達磨式。
発表されたタイムマシーンを巡って第三次世界大戦が勃発。
世界は、死に絶えた。

鈴羽「今、世界の総人口は10億人を切っている……」
鈴羽「お願い、オカリンおじさん」
鈴羽「紅莉栖さんと付き合わな──」

岡部「うるさぁい!!」
岡部「なんだよ……頑張って、頑張って……」
岡部「頑張ったのに、結局世界は収束してそうなるのかよ……」
岡部「ふざけるなよ……なにが……何が、シュタインズゲートだ!!!」

鈴羽「おじさん……」


ヴー ヴー
 ヴー ヴー
ヴ- ヴ-

鈴羽「電話、鳴ってるよ」

岡部「いい。こんな時間に電話してくる方が……」

鈴羽「出て!!」

岡部「……」

鈴羽「良いから、出て」

スチャ
岡部「……」

久しぶり、で良いのかな。
岡部倫太郎。

岡部「誰……だ……」

俺だ。
──鳳凰院凶真。
と言えば伝わるな?

岡部「っな……」

ただし、2036年。
世界線、シュタインズゲートのだがな。

岡部「どういう、ことだ」

この電話が繋がったということは、お前、メールを無視したな?

岡部「メール?」

紅莉栖と付き合うなとDメールを送ったはずだ。

岡部「っ! アレは貴様がっ!」

なんだ、アドレスで気付かなかったのか?
鳳凰院のH、凶真のK、そして栗ご飯と──。

岡部「カメハメ波……」

そういうことだ。

岡部「随分と熱々じゃないか……」

はっはっは、よせ。
自分とは言え照れる。


岡部「ふざけてる場合か!!」

……。
解っている。
俺よ、辛い思いをさせる。
俺と、紅莉栖の娘が……な。
説明はもう鈴羽から受けただろ?
頼む……紅莉栖を……振ってくれ。
彼女もそれを望んでいる。
押し付ける形になってすまない。

岡部「ふっ、ふざけるな!!」
岡部「なんだよ、それ」
岡部「タイムマシーンがあるならお前が何とか出来るだろ!?」
岡部「そうだろ? なぁ、なんとか言えよ!!」
岡部「……そうだ! タイムマシーンがあるんだ」
岡部「タイムリープマシンだって簡単に作れるだろ?」
岡部「それを使ってお前がやれば良いじゃないか!」

すまん……俺は、妻と……クリスティーナを置いて翔ぶことは出来ない。
ましてや俺のとろうとする行為は実の娘を殺すのと同義だ。
人の親となった俺が、それを出来ようはずも無い……。


岡部「ふざ……けるなよ、おい、なんだそれ」
岡部「おい! なんどがいえ゛よ!!」

──りん、いえ、岡部……?

岡部「──紅、莉栖」

ごめんなさい……あなたにばかり背負わせてしまって……。
でも、お願い。世界を変えて。
私はあなたと充分に愛しあえた……。
幸せな、日々だった。

岡部「……っぐ」ポロポロ
岡部「卑怯……じゃないかっ」ポロポロ

クリスティーナは、私と岡部、アナタとの愛の証明。
アナタの選択肢でクリスティーナは消えてしまうけれど。
アナタだけは忘れないで。
それで、それだけで私は満足だから。
お願い、私達を消して……。

岡部「なんでだよ……なんで何だよ……」
岡部「Dメールも、この電話も、リープもタイムマシンもあるんだろ……」
岡部「なんで、もっと……足掻かないんだよ……」ボロボロ

──もう、なんども試したわ。
あなたなら解るでしょう、収束する力の強さを。


近年でAD 2010.10.10 以上に強い世界線変動を示す日は無いの。
その日、今アナタが居る時間がターニングポイントになっている。
お願い……。

岡部「……っっ」
岡部「……」
岡部「わかっ……った」

ありがとう。
まゆりを──まゆりをよろしく。
あなたって、まゆりのこと……本当は……。
ううん。ここからは自分で確かめて。
さよなら、愛してる。

ブツン。
ツーツーツーツ-。



岡部「っふっふっふ……ふーふー……」スーハー
岡部「鈴羽」

鈴羽「……」

岡部「今のは、Dテレフォンか何かか?」

鈴羽「そう。ちなみに開発したのはクリスティーナ」
鈴羽「彼女は天才よ」

岡部「フハッ、そうだろうな」
岡部「さすが俺の娘だ」
岡部「もう一つ」
岡部「なぜ、鈴羽が来たんだ?」
岡部「紅莉栖でも俺でも、娘のティーナでも良いではないか」

鈴羽「んー」
鈴羽「えと、パラドックスって知ってる?」

岡部「あぁ」
岡部「前にも鈴羽……違う世界線の鈴羽から聞いた言葉だ」


鈴羽「あっ、そうか」
鈴羽「じゃぁ簡単」
鈴羽「同じ時代に同じ人間が居る」
鈴羽「これだけで重大なタイムパラドックスが発生する」
鈴羽「しかも、本人が本人に会って直接説明~なんてことをしたらどうなるのか想像もつかない」

鈴羽「この世界に未だ居ない人間」
鈴羽「かつ」
鈴羽「岡部倫太郎が信用するに値する発言力がある人間」

岡部「……」

鈴羽「ってのが、私しか居ないらしいんだけどぉ」
鈴羽「実感無いって言うか……」
鈴羽「そうなの?」

岡部「あぁ……そうだよ」
岡部「お前は何時も未来から俺を……俺達を救いに来てくれるんだ」
岡部「頼れる左腕」
岡部「マイフェイバリットレフトアームだ」

鈴羽「クスッ、何それ」ケラケラ


岡部「っふ」
岡部「やることは解った」
岡部「と言っても、酷く簡単なことだがな」

鈴羽「うん」
鈴羽「押し付けちゃって、ごめんね」

岡部「お前が謝る必要はないさ」

鈴羽「うん……」
鈴羽「じゃぁ、私帰るね」
鈴羽「岡部倫太郎、未来で、会おうね」

岡部「……あぁ」


鈴羽は帰って行った。
まさか、こんな事態になるだなんて……な。
スイーツ小説から一気にSFへと逆戻りだ。

しかも……。
しかも、紅莉栖のやつ、最後にまゆりをよろしくだなんて言ってたな。
口ぶりからするに、俺はまゆりを振ってクリスとくっ付いた後もまゆりを気にして……。
女として気にしていたと、そう言うことか。

なんて軽い男だ岡部倫太郎。
紅莉栖がダメとなったら、直ぐにまゆりに鞍替えか?
やっはりスイーツ小説じゃないか。
でもまぁ……良いさ。
仕方ない、仕方が無いことなんだ。


岡部「俺は明日、まゆりに応える」-ドクン-



???「申し訳ないけど、それはダメ」



岡部「!?」
岡部「……鈴──羽?」

鈴羽「ん。やっぱりオジサン私のこと知ってるんだ?」

岡部「知ってるも何も、今の今まで話していたじゃないか!!」


鈴羽「なんのこと?」
鈴羽「ん……あぁ! そういう事か」
鈴羽「あぶなー、少しずれてたら自分に会うとこだった」ドキドキ


岡部「おい、何を一人で納得してるんだ」
岡部「何しに……きたんだ……?」

鈴羽「私は……」
鈴羽「AD 2036年からやってきた」
鈴羽「オカリンおじさんが、まゆりさんと付き合わないよう促すために」

岡部「……っ」
岡部「なんだよ……」
岡部「またソレかよ……」
岡部「もう、疲れた……疲れたよ……」
岡部「なんだ、次は……何が起きる……」
岡部「戦争か? ディストピアか?」

鈴羽「……」フルフル
鈴羽「もっと、最悪……かも」
鈴羽「説明……長くなるけど良い?」

岡部「拒んでも……勝手にするんだろ」
岡部「勝手に、喋ってくれ……」


椎名まゆりを選択してはだめ。

岡部倫太郎は牧瀬紅莉栖を振り、椎名まゆりと付き合う。
恋愛に踏ん切りがついた牧瀬紅莉栖は研究に没頭する。
知っての通りタイムマシーン理論も、別世界線でだけどタイムリープマシーンも開発したのは牧瀬紅莉栖。

彼女が天才なのは疑う余地が無かった。
彼女は数々の論文を世に送り出した。
そして、AD 2019に最悪の事件が起こる。


鈴羽「ロボティクス・ノーツ」



極秘裏に開発されていたロボット研究の情報が世界中に漏洩。
その情報は、世界の科学技術を一気に進めてしまう程のものだった。
そのロボット研究がどこの国のものかはもう定かじゃないし、もう調べようが無い。
ただ、そこから世界は一気にロボット研究への加速が始まった。


その研究に牧瀬紅莉栖が加わる事になる。
もともとの専攻は脳科学であるが、物理学等にも詳しい。

そんな彼女が岡部倫太郎に振られてから勉学に没頭し、そこからさらに知識は広がりあらゆる分野に触手を伸ばした。
彼女はまさに天才だった。
彼女が作り出した人工知能“スカイクラッド”は急速に知能を付け、人類を敵と判断した。

鈴羽「AD 2036年はまさに地獄……」
鈴羽「ほとんどの人類がロボット兵に駆逐され、地球は機械の星になった」
鈴羽「私の母さんもアイツらに……」ギリッ
鈴羽「牧瀬紅莉栖も! まゆりさんも……殺された……」

岡部「ぁ……」

鈴羽「オカリンおじさんと、私の父さん橋田至はレジスタンスを結成」
鈴羽「タイムマシンの制作に着手」
鈴羽「これに成功……私が送り込まれたって訳」

岡部「……」


鈴羽「ちなみに、スカイクラッドはタイムマシーンの存在を知らないから安心して」
鈴羽「牧瀬紅莉栖は昔の失敗……タイムマシーンが世界にどんな影響をもたらすか身を持って知って……いや、覚えていた」
鈴羽「だからどんな研究をしようとも、成果を発表しようとも、タイムマシーンに関するものは無い」
鈴羽「吸収する情報が無いからスカイクラッドも成長しようがない」
鈴羽「追っ手のロボット兵が来ないのが、何よりの証拠でしょ?」

岡部「はは……はははっ」
岡部「なんだそれ……もう、訳が解らない」
岡部「どうしろと言うんだ」
岡部「打つ手なしじゃないかよ……」

鈴羽「椎名まゆりを振って。付き合ってはダメ」
鈴羽「椎名まゆりと付き合うことで、牧瀬紅莉栖は踏ん切りがついて研究に没頭する」
鈴羽「AD2010 10 10 この日、世界線が大きく動く」

鈴羽「──審判の日 グランド・ジャッジメント」

鈴羽「それが、今日」
鈴羽「全てが決まる……お願い」


岡部「ロボットが人間を殺す時代か……」
岡部「アイザック・アシモフがそれを聞いたら笑いが止まらないだろうな」
岡部「ははは……」

岡部「解っ──った」


鈴羽「……」

岡部「まゆりを振れば、それで良いんだろ」

鈴羽「うん……」

岡部「解った、解ったから」
岡部「帰ってくれないか」
岡部「俺は、疲れたんだ……」
岡部「やることは、やる」
岡部「やり方も、なんとなく解ってる」
岡部「俺は……疲れたんだ……」

鈴羽「ごめん、オジサン……」

岡部「お前が謝ることは、無いさ……」
岡部「今はただ……寝かせてくれ」
岡部「脳が……追いつかない」



AD 2010.10.10 13:13:13:13

岡部『ダル、すまない。今日はラボに来ないでくれ』

ダル『えっ、どしたん?』

岡部『この季節だと言うのに、ゴキブリが大量に発見して……な』

ダル『うーっわ、マジで?』

岡部『なので、今日一日はサルサンを炊こうと思っている』

ダル『なるほろー了解したのだぜ』
ダル『Gの駆除は任せたなりぃ』
ダル『オカリン……綺麗な体になって、デネーズランドで会おうぜぃ』キラキラ

岡部『あぁ……』
ガチャ

岡部「……」
岡部「……待たせたな、まゆり」


まゆり「んーん……それで、その……オカリン?」

岡部「もう時間だ」
岡部「まゆり悪いが、シャワー室に隠れてくれないか?

まゆり「え?」

岡部「すまん、理由は後で」

まゆり「わっ、解った……」
まゆり「オカリン大丈夫?」
まゆり「なんか、怖いよ……?」

岡部「ありがとう、まゆり」
岡部「俺は……大丈夫だよ」
岡部「時間だ」

まゆり「……」


──ガチャ。


紅莉栖「は、ハロゥ」

岡部「……」

紅莉栖「い、イヤーァ良い天気ネ。うん、イー天気」

岡部「……」

紅莉栖「あ、あのー……岡部さん?」

岡部「……」

紅莉栖「答え、くれるの──かな?」

岡部「あぁ」

紅莉栖「どう……なのよ……」

岡部「俺は、俺はお前とは付き合えない」

紅莉栖「……」ジワァ
紅莉栖「あっ、そう」
紅莉栖「そっか、そっかそっか」
紅莉栖「うん、そうだよね……」ポロ


岡部「……」

紅莉栖「一つ、聞きたいんだけどさ」
紅莉栖「岡部の好きな人って、まゆり?」

岡部「……」

紅莉栖「ソレくらい、教えて欲しいな……なんて」

岡部「俺は、誰とも付き合わない」

紅莉栖「……え」

岡部「当然、まゆりとも付き合わない」
岡部「俺は、灰色の脳細胞を持つマッドサイエンティストだ!!」

岡部「(演じろ、演じるんだ……)」

岡部「色恋などに現を抜かしてる暇などは無い!!」
岡部「紅莉栖! お前は俺の大事な助手であり、仲間だ」
岡部「まゆりも同様だ! アイツは俺の人質であり、仲間だ」
岡部「それ以上の感情は持ち合わせては……いない!」


岡部「以上だ」

紅莉栖「……」
紅莉栖「そか……」
紅莉栖「それが、答えなん……だ」

岡部「……あぁ」

紅莉栖「うん……解った」ポロポロ
紅莉栖「仲間だって、言ってくれて嬉しい」
紅莉栖「サンキュ……」グスグス

紅莉栖「ハーーーーーーーーー」
紅莉栖「スッキリした!」

紅莉栖「実はこの二日間胃がきりきりして仕方なかったのよね」
紅莉栖「でもこれで、スッキリ。もう平気」
紅莉栖「これからも、ラボメンとして顔出すからな!」
紅莉栖「もちろん明日のデネーズランドも楽しみ倒す!」
紅莉栖「態度、変えんなよ……」ボソッ

岡部「あぁ……」

紅莉栖「じゃ! 今日は帰る」トコトコ
紅莉栖「あの……さ」
紅莉栖「まゆりは、多分あんたのこと……好きだよ」
紅莉栖「それだけ。バイ」

──ガチャ。


岡部「……」
岡部「……(すまん)」


──カララッ。


まゆり「……」

岡部「そういう、ことだ……」

まゆり「うん、聞いて、た」ポロポロ
まゆり「あっあれ? ごごめんね、泣くつもりなんて無かったのに」
まゆり「うー、うっ……うー……」ポロポロ

岡部「……」

まゆり「ごっ、ごめんネ……今だけ、ココで泣いて良いかな……」ダキッ
まゆり「明日からは、いづものまゆしぃににっに戻る……からぁ」エグエグ

岡部「すまん……」ッギュ


AD 2010.10.10 15:32:07:59


しばらく泣いた後、まゆりは家に帰って行った。
泣き腫らした目を直視出来なかった。

まゆり「えへへ、ごめんねオカリン。困らせちゃって」
まゆり「まゆしぃも明日からちゃんと何時もどおりにするから……」
まゆり「明日からもまたヨロシクお願いしますなのです」
まゆり「ばいばい」

まゆりが家に帰ってからも、ラボから動くことが出来ずにいた。
少女漫画のヒロインにでもなった気分だ。
浮ついたり、沈んだり……大変なことだ。

岡部「これで……良いんだよな」
岡部「クリスティーナも生まれない」
岡部「紅莉栖もまゆりも殺されない」
岡部「これで……良いんだよな」


ヴー ヴー
 ヴー ヴー
ヴ- ヴ-


岡部「電話……」
岡部「すまんが、今は出る気になれん」


ヴー ヴー
 ヴー ヴー
ヴ- ヴ-


岡部「……えぇいうるさい!」
岡部「人が感傷している時に!」

スチャ
岡部「うるさい!! 誰だ!!」


──傷ついているな、俺よ……。



俺だ。岡部……倫太郎だ。

岡部「……まだ、何かあると言うのか……」

そう、身構えるな。

岡部「身構えもするだろう!!」
岡部「解ってるのか!? 昨日今日で俺がどれだけ──」

解っているよ。
俺は、お前だからな。

岡部「……ッ」

お前の、俺の選択のお陰で今の世界は平和だ。
お前の選択で世界は平和を手に入れた。

岡部「……そう、か」

俺は、生涯をかけて三つの発明をした。
一つはこのDテレフォン。
出来るはずだった娘がサクっと作った発明に何十年もかけた……。

岡部「……」


そしてもう一つが、ダイバージェンスメーターΩ。
これは、過去の世界線を観測することが出来る。

岡部「過去の……?」

そうだ。
お前の今いる世界線は……3%を越えている。

岡部「3%……」

今、お前は岐路に立っている。

俺はダイバージェンス3%のままここまで歩んでしまった。
俺は疲れてしまった。
もう振り回されたくなかった。
このまま、世界が壊れないようにと見守るただの観測者に成り下がってしまった。
数多に立ったフラグをへし折り続け、今に至る。
言いたいことは解るな?

岡部「45にもなってまだ童貞なのか……?」


……。
言ったはずだ、俺はただの観測者だ、と。
俺は何者にも与してはならなかったのだ。
紅莉栖に注意を払い続けた、期待を持たせつつ、期待に応えない。
見ようによっては最低だが……必要な行為だった。

紅莉栖が発表する予定だった論文が鍵となり、世界の裏側でロボット工学が発達し『ロボティクス・ノーツ』が引き起こった。
しかし、今俺が居る世界線ではAD 2019に『ロボティクス・ノーツ』は起きていない。
俺は待った、全ての選択から分岐し繋がるAD 2036年まで。
成功した。俺は成功した。
何も起きない、緩やかに進んでいく未来を勝ち取った。

俺は最後の分岐まで辿り着いたのだ。

岡部「最後の……分岐?」
岡部「ちょっと待て」
岡部「成功した? 成功したんだろ?」
岡部「では、何故……今俺に話しかけているのだ」
岡部「このまま、この世界線を維持すれば良いのだろう?」
岡部「何故にお前がしゃしゃり出て来る!」


いや違う。
この成功は俺のものであって、お前のものではない。

俺の時は、このような通信……出来事は無かった。
これは全く完全に俺の、今の俺が始めた俺の選択だ。


岡部倫太郎。


お前は今、岐路に立った。
ダイバージェンス3%を越えろ。
やり方はもう知っているはずだ。


世界を──騙せ。



最終章
境界面上のユーフォリア-The Perfectly Euphoria-


岡部「世界を──騙す……」

簡単なことだ。
お前は既に、世界を騙しとおした男なのだからな。

岡部「……」

一つ目の可能性。
岡部クリスティーナは天才少女だ。
タイムマシン理論の断片を読んで、理論を完成させてしまうほどの。
そして、今よりネットが発達し意味を成す時代。
クリスティーナ、論文完成、ネット発表。
この事実を捻じ曲げてはいけない。
後は……解るな。

岡部「……」
岡部「クリスティーナに論文を書き上げさせても良い……」
岡部「ネットに発表させても良い……」
岡部「偽の……間違った論文を載せれば良い」
岡部「一度失われた信用を取り戻すのは現在のネット社会でも難しい」
岡部「仮に、クリスティーナが間違いに気付いたとしても」
岡部「いや、天才少女だ気付くのだろう……」
岡部「訂正したところで、ネットはそれを肯定しない」


……っふ。

二つ目だ。
AD 2019 『ロボティクス・ノーツ』
これは、極秘裏に開発されていたロボット研究の情報が世界中に漏洩。
その後、牧瀬紅莉栖が“スカイクラッド”と言う名の人口AIを開発する。

岡部「……くくくっ」
岡部「フゥーハハハハ!!」
岡部「これも同じだ」
岡部「AD 2019年に極秘裏に開発されてたロボット研究の情報を漏洩すれば良いのだ」
岡部「この俺、鳳凰院凶真がな!」

……。

岡部「滅茶苦茶に発表しまくれば良い」
岡部「木は森にかくれ、かくて本丸は霧に霞む」
岡部「そういった行為は俺の十八番だ……!!」

上手くやることだ。
……解っているな?


岡部「容易に想像がつく」
岡部「その時代、そういった嘘八百を並べれば罪になるのだろう?」
岡部「頼れる左腕」
岡部「マイフェイバリットライトアームに活躍して貰おうではないか」
岡部「そして、紅莉栖に……なんでも良い」
岡部「AIを作らせ」
岡部「“スカイクラッド”と名付ける」

そう……簡単なことだ。
お前は、俺は一度そうやって世界を騙した。
お前が二人の内、どちらを仮に選んだとしても……対処出来る。
俺の言った方法じゃなくても良い、思いつくものを試せば良い。

対処してしまえば良いのだ。
さぁ、動け岡部倫太郎。
俺の三つ目の発明……タイムリープマシンを作るのだ。

コイツの発明がもっとも苦労したよ、紅莉栖とダルにそれとなく少しずつ聞いてな……。
まぁ良い。
作り方はこの電話が切れた一秒後にメールが届く。
それを見れば、一日と掛からず完成するはずだ。
作りながら良く考えろよ……。

どちらを選ぶのか。
どちらが好きなのか。
愛してるのはどちらか……。

もうお前に未来の俺から、連絡が来ることはあるまい。


良いか忘れるな。
お前の強さは。

──未来を知っている。

その一点だ。
リーディング・シュタイナーなど付属物にすぎん。

岡部「……あぁ」

健闘を祈る。
エル・プサイ──

岡部「コングルゥ」


ツーツーツーツー。


岡部「フハハ、45にもなって厨ニとは……」
岡部「さすが魔法使いなだけはある」

ヴー ヴー
岡部「……」スチャ


AD 2010.10.11 16:03:10:47

タイムリープマシンを作るのにさほど時間はかからなかった。
朝一番、秋葉原の町が目覚めると同時に必要なパーツの買出し。
組み立て。全て組み終わるった頃は11日の夕方だった。
デネーズランドをすっぽかした俺の携帯には大量の着信とメールが届いていたが全て無視した。
行きのみ現地集合にしたのが功を奏したな。

岡部「出来た……完成だ」

スチャ
岡部「……セット、完了」
岡部「……行くぞ」

ジー  バチバチバチバチ!


ギュゥゥゥゥゥゥゥン。


AD 2010.10.08 23:03:08:10



ダル「んごごごご……んががががっ」

ルカ子「すーすー……」

岡部「んっ……」クラッ
岡部「成功……だ!」

ダル「んがが? ……んごごー」

岡部「よし、俺がラウンジに飲み物を買いに行くところだな」
岡部「……よし」


─ラウンジ─

岡部「(そろそろ紅莉栖が来る頃だ)」
岡部「(マウンテンヂューを買っておくか……)」
岡部「(席は……確かココだ)」

紅莉栖「隣、良い?」

岡部「(来た)」
岡部「うむ」


紅莉栖「よっす」

岡部「……風呂上りか?」

紅莉栖「そ。皆寝ちゃってね、一人で湯浴みよ」

岡部「ほれ」

紅莉栖「……随分気が利くじゃない」ビックリ
紅莉栖「ありがと。ん、マウンテンヂュー? 珍しいの飲んでるわね」

岡部「ドクペを置いてないのだ。ここの自販機は」

紅莉栖「ふぅん……」ゴクッ
紅莉栖「ん、結構美味しいわね」

岡部「……」

紅莉栖「……」
紅莉栖「──ね」

岡部「なぁ、紅莉栖」


紅莉栖「え、えええ……うっうん?」コホン

岡部「(よし、タイミングは潰せたな)」
岡部「今日は、どうだった」

紅莉栖「えっ……うん、楽しかった……かな?」

岡部「そうか、それは良かった」

紅莉栖「何よ、なんか……らしくないじゃない」

岡部「俺だって、そんな夜もある」
岡部「今日は……最高に楽しかった!」

紅莉栖「……」

岡部「俺は、友達が欲しかった」
岡部「こんな性格だ、友達と呼べる者達が殆ど居なかったからな」

紅莉栖「鳳凰院を辞めれば良いと思います」


岡部「フハハ! まさに、そうだな」
岡部「だが、鳳凰院凶真も俺だ」

岡部「それに……」
岡部「それにお前達には、関係無いんだろ?」

紅莉栖「──えっ?」

岡部「俺が岡部でも、鳳凰院でも」
岡部「友達でいて……くれるんだろ」

紅莉栖「えっ、えと……まぁ──もう慣れたってか」

岡部「ありがとう」ペコリ

紅莉栖「っちょ! なっ、なんかキャラおかしいぞ!?」

岡部「っふ。許せ、助手よ」

紅莉栖「誰が助手か! もう……」

岡部「俺は今のこのラボの雰囲気が心地良い」
岡部「壊したくない……」
岡部「そのためには俺は何だってする……」


紅莉栖「……」

岡部「紅莉栖、お前も協力してくれるか?」

紅莉栖「……」
紅莉栖「まっ、まぁ私も一応? ラボメンだし……」
紅莉栖「やぶさかではない……」

岡部「話せて良かった」
岡部「明日も一日遊ぶぞ! 寝ておけよ!」スック
岡部「俺は寝る! フゥーハハハハハ!」スタスタ

紅莉栖「あっ、ちょ!」
紅莉栖「行っちゃった……」
紅莉栖「壊したくない……か、そりゃ私だって……」
紅莉栖「はぁ」
紅莉栖「しばらくは、おあずけですかな」トコトコ

岡部「(よし! 上手く行った)」
岡部「(賢い紅莉栖のことだ、こうすれば向こうが深読みしてくれると信じていた)」
岡部「(次はまゆりだな)」
岡部「(確か、ドクペを探しに……外へ)」
岡部「(玄関を張るか)」



AD 2010.10.08 22:58:12:45

岡部「(来た……!)」

まゆり「……」トットコトコトコ

岡部「まゆり!」

まゆり「ふぇっ!」
まゆり「お、オカリン?」

岡部「こんな時間にどこへ行くんだ?」

まゆり「あぅ、ええっと……ちょっと」

岡部「何かを買いにか?」

まゆり「えへへぇ、そんなとこ……」

岡部「もう夜も遅い」
岡部「止めておけ」

まゆり「う……うん」シュン

岡部「まゆり」ポン
岡部「心配させるな」ナデナデ


まゆり「わっわ」

岡部「まゆり、お前は俺の人質だ」
岡部「だから危険な目に合わせたり、一人にさせたり、置いていったりは絶対にしない」
岡部「良いな?」

まゆり「うっ、うん……うんっ!」
まゆり「……」
まゆり「うんっ!!」ニコォ

岡部「よし、部屋まで送るぞ」

まゆり「はーい。えへへぇ」

岡部「おかしなヤツだ」

まゆり「そう言えば、オカリンはどうしてあそこに?」

岡部「ん?」
岡部「ドクペを買いにちょっとな」

まゆり「……」ニコォ



これで良い。

俺のとった行動はただの遅延行為と言えるだろう。
未来の俺が見たらガッカリするだろう。

でも、俺の本心は紅莉栖やまゆりに言った通りなんだ。
なりたいのは恋愛漫画の主人公じゃない。

俺は俺で居たい。

時間に任せて、成り行きに任せて。
その時の心に俺を任せたい。

対処方はもう解ってるんだ。
選択を迫る2010年10月10日はもう来ない。
スパで遊んだら次はデネーズランドだ。
楽しむぞ。俺は楽しむ。謳歌してやる。

岡部「これが……」
岡部「シュタインズ;ゲートの……」
岡部「いや」


岡部「岡部倫太郎の選択だ」


おわり。


長々とお付き合いくださりありがとうございました。
途中で長すぎんだろ、ってことでイベント幾つかバッサリしました。
ネズミーランド書きたかったけど、これで80kbなんだぜ? SSじゃねーよ。

岡部「この記憶は一体……」

岡部「第1回、男だらけの円卓会議を開催する」

岡部「……俺が“天使な小生意気”だと?」

を過去に書かせて頂いてます、良ければ見つけて読んでみてください。


どちらかを選ばせたくなかったのでございます、ごめんよ!
今までくだらなかったりエロかったりしか書いてないから真面目っぽいの書いてみたかったんだ
設定あなぽこだらけでスマンながはは
おやすみ、支援ありがとう!

> 紅莉栖「Dメール? タイムリープマシン? タイムマシン?」
> 紅莉栖「科学を舐めないでくれます?」
> 紅莉栖「そんな、妄想の産物がこんな小汚いラボで作れるなんて本気で思って?」
> 紅莉栖「はぁ……厨二病も良いところだわ……ナンセンス」
> 紅莉栖「しかも、違う世界線? で、私は仲間でタイムリープマシンを作って……」
> 紅莉栖「しかもしかも、私のことを気持ち悪い位知ってる……」
> 紅莉栖「ストーカー……?」
> 紅莉栖「もう、サイエンス誌になんて載るんじゃなかったかな」ハァ
> 紅莉栖「頭痛くなってきた……」
> 紅莉栖「……」ガタッ


なんかワロタ

ぬるぽ

誤爆…

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