魔王「よく来たわね勇あびゃあああああああああああああああ!!」 (16)

――魔王城

魔王「側近ーお茶ー」

側近「はいはい…少しは働いてくださいよ」

魔王「だって勇者行方不明のまんまだし…」

側近「迷いの森に入ってからもう1ヶ月はたちますからね」

魔王「迷いの森ってさー、覗き見の水晶で見えないから勇者が何やってるか全くわからないんだよね~」

側近「しかも迷いの森に入ったのが勇者が旅立って2日目ですからね…どんな人物かすらよく分かりません」

魔王「ていうかさー、案外もう死んじゃったんじゃないの?」

側近「かもしれませんね…」

支援

魔王「あー勇者の動向がわからないとやることないじゃーん」

側近「魔王様、勇者がどのようなルートで攻めこんでくるか、そしてそのルートにどの魔物を置くか、色々考えることは有りますよ」

魔王「あたしあんまり考えるの好きじゃないしー、ていうか魔物のほとんどって意思もクソもないから操りようもないじゃん」

側近「四天王とかドラゴンとかいるじゃないですか」

魔王「皆勇者があんまりにも出てこないからこの前田舎帰ったり旅行にいっちゃったじゃん」

側近「あ、そういえばそうでした…」

魔王「側近もどっか旅行にでも行けばよかったのに、だから嫁ぎ遅れるんだよ」

側近「関係無いでしょう!? そもそも魔王様をお一人にするわけには…」

魔王「あーはいはい…ん?」

側近「む、どうしました?」

魔王「いや、ドア開けてたっけ」

側近「…いや、さっきまでちゃんと閉まってたと思いますが」

魔王「てゆーかドアの辺からほんのり魔力感じない?」

側近「言われてみれば…微弱ですが確かに」

魔王「…え、誰かいるの?」

勇者「…」バサッ

側近「なっ…勇者だと!?」

魔王「え、え、え?」

勇者「…」ツカツカツカ

側近「そのローブ…たしか魔法を遮り姿を透明にするエルフの宝…まさか魔法の森からずっと被って来たのか!?」

魔王「え、なんで勇者いんの? え?」

勇者「…」シャキン

側近「くっ…魔王様! お下がりください!! 私が勇者めを屠ってみせましょう!!」

魔王「え、あ、うん」

支援

勇者「…」ツカツカ

側近「くっ…ここまでの侵入を許すとは…一体配下達は何をしている!?」

魔王「いや、だから皆いないんだって」

側近「はっ!? そうでした!!」

勇者「…」ツカツカ

魔王「てゆーか勇者が何も言わずこっち歩いてくるのが怖いんだけど」

側近「そうだ魔王様! 今こそあの言葉を言う時です!!」

魔王「え、何あの言葉って?」

側近「ほら、勇者が来た時用の名乗りですよ!! 夜寝る前に一生懸命考えてたじゃないですか!!」

魔王「ああ、あれ…はああああああああああ!? ちょっ、なんであんたが知ってんのよ!!」

側近「私は側近ですから!!」

魔王「側近だったら覗いてもいいとでも思ってんのかお前!! てか風呂入ってる時にやけに視線感じると思ったら…」

側近「ごちそうさまでした!!!!」

魔王「しばくぞ!!!!!」

勇者「…」ピタッ

側近「ほらっ! 勇者も足を止めて待っててくれてますよ!!」

魔王「えぇー…これまじで言わないとダメ系?」

側近「勿論! 勇者も今か今かと魔王様を見つめてますよ!!」

勇者「…」ジーッ

魔王「いや、兜被ってるから全然何考えてるかわからないんだけど…まあいいや…ウッウン!!」

側近「さあ勇者! 魔王様が夜な夜な寝る間を惜しんで考えた…あれ、勇者どこいった?」

魔王「よく来たわね勇あびゃあああああああああああああああ!!」ドブッシャー

側近「うわああああああああああああ!? 魔王様が勇者に四肢をもがれたあああああああああ!!??」

パンパン?

魔王汁ぷっしゃあああああああああああああ

勇者「…」スッ

魔王「ちょ、ちょ、ちょ、マジタンマ!! まず話を…」

勇者「…」ヒュンッ

魔王「あっぶね!?」ドス

勇者「…」スポッ

側近「魔王様ああああああああああ!! おのれ勇者めええええええええええええええええ!!!!」

魔王「おい叫ぶ暇あったら助けろよ!!」

側近「無理です!! 私魔法系なんで魔法撃つと魔王様にとどめを刺すことになりますし、肉体的には土方の姉ちゃんくらいの力しかないです!!」

魔王「この役立たずがああああああああああああああああ!!」

期待

勇者「…」スッ

魔王「ちょっと待って! せめて遺言だけでも!!」

勇者「…」

魔王「…くっくっく、よくぞ我を打ち破った! 流石は勇者と呼ばれることだけはある…」

側近「不意打ちするような奴が勇者って呼ばれるんですか?」

魔王「ちょっと黙ってろ!…だが、残念だったな勇者よ…我は滅びぬ…」

勇者「…」

魔王「我は死んでも次の日には蘇る大魔法を自らにかけている…貴様がなんど我を殺そうと、なんどでも蘇り必ず貴様ら人間を滅ぼしてくれよう…

    くっくっく…ファーハッハッげぶりゃあ!?」ズバッシャー

側近「魔王様の心臓に勇者の剣がああああああああああああ!?」

勇者「…」ヒネリ

魔王「ごぶぉ!?」ズポブシャアアア

側近「そしてひねりを加えて抜いたああああああああああああああ!?」

支援

支援

魔王「…」チーン

側近「あぁ…魔王様ぁ…」

勇者「…」フキフキ

側近「おのれ勇者…許さん!! 相打ちになってでも殺してやる!!」

勇者「…」パッパッ

側近「否、たとえこの身が朽ち果てようとも…」

勇者「…」テクテク

側近「地獄から呪い殺してやる…」

勇者「…」テクテク

側近「…ここから生きて帰れると思うなよ勇者ァ!!!!」

シーン

側近「…あれ?」

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