妹「兄さんのシスコンが留まる所を知らない」 (132)

妹(例えば、ある日の放課後です)

友「あれ、お兄さん?」

兄「こんばんは、友ちゃん。そっか、二人でいたんだ?」

友「はい、図書館で試験勉強です。お兄さんは?」

兄「偶然通り掛かったから少し妹を待ってたんだよ。ほら、後ろ乗れよ」

妹(偶然なわけがないのです。授業終了から三時間近く経って、偶然校門で鉢合わせるわけがないのです)

兄「どうしたんだ?」

友「私はいいから一緒に帰ったら?」

妹「……うん」

兄「飛ばすぞ。……じゃあね、友ちゃん」

友「はい、さようならお兄さん。妹もばいばい」

妹(このように私の日常は兄さんに干渉され続けているのです。いわばストーカーです)

妹(この兄さんを更生させるにはどうするべきなのでしょう?)

妹「そんな風に考え続けてみても、答えはなかなか出ないのです」

妹(難問です。現実の問題には正答がないのです) ゴロッ

兄「妹、入るぞ」 ガチャッ

妹「出て行ってください」

兄「冷たいな、ケーキと紅茶持参だぞ?」

妹「……ならいいです。でも次からはノックをして、私がいいと言ってから開けてください」

兄「兄妹だろ? そんな畏まった仲だったか、俺達?」 コトッ

妹「親しき仲にも礼儀ありと教わりませんでしたか? 不愉快です」

兄「可愛い顔が可愛くなくなるぞ。ほら、ケーキでも食べて機嫌直せよ」

妹「レアチーズケーキですか」

兄「お前好きだろ?」

妹「そうですけど、話した覚えがないです」

兄「お前の事なら見てれば大体わかるよ」

妹(悪い兄ではないのです。ですが、過ぎたるは及ばざるが如しと言うように、良い兄も度を超せば困り物です) モグモグッ

妹(兄さんは私に良くしてくれますが、何時間も校門で待ち伏せたり、好物を見抜くほど私を注視したり……) モグモグッ

妹(私も年頃の女ですので、身の危険を感じざるを得ません) モグモグッ

妹(そう思いながらも、こうして部屋に招き入れて御馳走されてしまうのは、心の底では兄を信用しているのでしょうか?) ゴクンッ

兄「……」 ジーッ

妹「私の顔に何か付いてますか?」

兄「何も」

妹「理由がないなら食事中の女性の顔をじろじろ見ないでください」

兄「俺の幸福な時間を奪わないでくれよ」

妹「人の食事を監視するのが兄さんの幸せですか?」

兄「妹の幸せが俺の幸せなだけだよ」

妹(万事この調子です。これは好意なのでしょうか、信仰なのでしょうか? 私には兄さんの想いが重いです) ズズズッ

妹(ああ、何か良い手はないのでしょうか? 同じような悩みを抱えている人はいないのでしょうか?)

妹(弟や妹、姉のいる友達はいるのですが、兄のいる友達は全然思い当たりません。誰かいないのでしょうか?)

叔母「それで私の所に来たのか」

妹「はい。こんな話を叔母さんにするのはどうかと思ったのですが、他に思い当たる人もなくて……」

叔母「あんたらの親父は確かに私の兄貴だけどね、取り立てて仲が良かったわけでもないんだよ」

妹「どなたか私と同じような境遇の方はいませんか?」

叔母「いや、知らないね。シスコンだなんて人に知られるだけで恥だ、隠すもんだよ」

妹「途方に暮れてしまいますね」

叔母「まあしかし、あんたと同じ立場として相談を受けるのは難しいけど、大人としては簡単にアドバイスできるね」

妹「それは?」

叔母「あんたが他の男と付き合うか、兄が他の女と付き合うかだ。簡単だろ?」

妹「……それで解決するのでしょうか?」

叔母「するする。ガキの恋愛感情なんて九割妄想みたいなもんだ、妄想は現実には敵わないだろ」

妹「では>>7してみます」

①or②

① 他の男の人と付き合ってみる事に
② 兄さんが他の女の人と付き合うように

2

妹「では兄さんが他の女の人と付き合うようにしてみます」

叔母「言った私が忠告するのも変だが、あれは相当難しいぞ」

妹「四六時中一緒にいる私が一番よく知ってます。でも他に良い案もないですから」

叔母「身内として応援はしているが、あまり無理はするなよ。血縁で拗れると後が大変だ」

妹「相談に乗ってくれてありがとうございます、叔母さん」

叔母「また何かあったら……いや、何かなくても相談に来なさい」

妹(こうして叔母の提案を受け入れてみた私ですが、兄さんと誰かが付き合うビジョンが浮かびません)

妹(想像力が貧困なのでしょうか、それとも実は私もブラコンなのでしょうか?)

妹(なんだか未来は遠いです。しかし実現のために、まずは誰か兄さんと付き合ってくれる方を探さなければなりません)

妹(これ以上叔母さんにお願いするのも気が引けますし、他の人を巻き込む以外になさそうです)

妹「そして私は、友ちゃんならそういう恋愛関係には強いかな、と思ったわけです」

友「ええと、ごめんね、まだ混乱してるから整理させてもらっていい?」

妹「もちろんです、私が頼む側なんですから」

友「妹はお兄さんに妹離れしてもらいたい。で、お兄さんに恋人ができればいいと思ってる」

妹「事実です」

友「で、私に恋人候補を探して欲しい?」

妹「完璧です」

友「あの……それって、私じゃダメ?」

妹「え?」

友「へ、変な意味じゃなくて! 友達として、妹の友達として役に立てるかなって!」

妹「そ、そこまで友ちゃんに想ってもらえるのは嬉しいですけど、それは友ちゃんを犠牲にするみたいでちょっと」

友「全然平気! むしろ嬉しいくらいだから!」

妹(こんなにも熱烈に想われていたなんて、兄さん以上に怖いかもしれません……)

友「それとも……私じゃ、お兄さんと釣り合わない?」

妹(……逆に考えてみれば、二人が恋人同士になれば問題が一度に解決するという事になるのでは?)

友「そうだよね、私なんかじゃダメだよ。お兄さん格好良いもんね」

妹「え、どこがですか?」

友「ずっと一緒にいる妹には分からないかもね」

妹「そういう問題ではないと思うのですが……友ちゃんにお願いできるなら、お願いしていいですか?」

友「妹はいいの?」

妹「? いいも何も、私からお願いした事ですし、反対する理由はないです。それに友ちゃんがお姉さんになったら楽しそうです」

友「あ……ありがとう妹!」 ダキッ

妹「ひゃっ!」

友「私頑張るね、頑張ってお兄さんに私を好きにさせてみせるね!」

妹「え、ええ、私もできるかぎり協力します」

妹(この頃になり私は、もしかすると友ちゃんは以前から兄さんを好きだったのではと思い始めました)

妹(私は私自身が思うよりも鈍い人間なのかもしれません)

妹(今後の行動を決めるため、私と友ちゃんは綿密に話し合いました)

妹(いきなり兄さんに急接近してみても難しいだろうという話になり……)

友「お邪魔します、お兄さん」

兄「また試験勉強?」

妹「試験は試験でも、受験勉強です」

友「私と妹で同じ大学に入るんです」

兄「へー、なんならうちの大学に来る?」

妹「私達は兄さんみたいに頭の出来が良くないので」

友「えー、私も一緒にしないでよ!」

妹「一人だけ抜け駆けですか? 寂しいですね」

友「ご、ごめんね! 私も妹と一緒だよ!」

妹「こんな所で話していても仕方ないですし、私の部屋に行きましょう」

友「うん!」

妹(まずは友ちゃんと兄さんの接点を増やしていく、という所から始める事となったのでした)

友「ねえ、作戦なんだから本当に勉強してなくても良くない?」

妹「これも将来を見据えた上での作戦なんです」

友「将来? 何の話?」

妹「もし本当に兄さんの大学に行けたとしたら、友ちゃんと兄さんの仲も深まるでしょう?」

友「ええっ!? む、無理、私本当に頭悪いし!」

妹「友ちゃん。これには私と友ちゃんの将来が掛かってるんです、本気になってください」

友「でも、でも、そんなの……」

妹(友ちゃんを煽るようで、少々心が痛みますが、これも私達のためです)

妹「……お姉ちゃん」

友「え?」

妹「私、友ちゃんにお姉ちゃんになって欲しいです」

友「お、お姉ちゃん……そ、それってつまり、私とお兄さんが……」

妹「……」

友「が、頑張ろう! ええと、まずは得意な英語から頑張ろう!」

妹(先が思い遣られますが、今はまだこのくらいでいいのでしょう)

兄「へー、真面目に勉強してるんだな」 ガチャッ

友「へ? お、お兄さん!?」

妹「兄さん、いい加減にしないと私も怒りますよ?」

兄「よく見ろよ、可愛い妹達のためにお菓子とジュースを持って来たんだ、ノックする手が空いてない」

友「か、可愛い……可愛いって言われた……」

妹(多分その可愛いは友ちゃんには掛かってないと思います……)

友「はっ! ……そ、そうだよ、妹! お兄さんを責めるのは変だよ!」

兄「はは、いいんだよ友ちゃん。これも妹なりの愛情表現だから」

妹「誤解するのは勝手ですが、現実を見た方がいいと思いますよ」

兄「現実も現実、現実以外の何物でもないよ」

友「あの、お兄さん!」

兄「どうかした?」

友「お兄さんは今付き合ってる人っていますか!?」

妹(友ちゃんそれ絶対にまだ早いですよっ!)

兄「付き合ってる人、か」

友「……」

兄「いないね」

友「そ、そうですか!」 パァァァッ

兄「今は妹が恋人みたいなものかな」

妹「そういうの、やめてください」

友「……妹、お兄さんにそういう言い方は良くないよ」

兄「妹も照れてるんだよ。じゃ、俺はこれくらいで。勉強頑張ってね」

友「はい。お兄さんも」

兄「はは、せいぜい単位を落とさないように頑張るよ」 ガチャッ

妹「……友ちゃん、あれが今の兄さんです」

友「どういうこと?」

妹「妹を恋人なんて、平気で言うんですよ? 身の危険を感じずにいられますか?」

友「……仕方ないよ」

妹「何が仕方ないんですか? 兄妹であんな風に言うなんて普通じゃないです」

友「だって妹は可愛いもん」

妹「友ちゃんまで、やめてください」

友「もし妹とお兄さんが兄妹じゃなかったらお似合いだよ」

妹「いい加減にしてください!」

友「……ごめん」

妹「本当に嫌なんです。私だって、普通に恋愛したら青春したりしたいんです」

友「私は、妹じゃないから」

妹「……」

友「お兄さんの妹に生まれたかったな。妹が羨ましい」

妹「友ちゃん、こっちを見てください」

友「?」

妹「友ちゃんは可愛いです」

友「きゅ、急にどうしたの?」

妹「友ちゃんは可愛い、友ちゃんは可愛い、友ちゃんは可愛い」

友「な、何? 何なの?」

妹「そんな風に卑下していると、本当に可愛くなくなっちゃいますよ」

友「……」

妹「友ちゃんの魅力は私が保証します。私だって自分の人生が掛かってるんです、可愛くない人には頼みません」

友「……ありがと。私、ちゃんと頑張るね」

妹「はい」

妹(兄さんに恋人を探す作戦は、なぜだか私と友ちゃんが友達から親友になる機会になってしまいました)

妹(親友がお姉さんになる。それはとても幸福な事ではないでしょうか?)

友「こんにちは、お兄さん」

兄「ああ、友ちゃん。こんにちは、今日も勉強?」

友「はい。良かったらお兄さんが勉強を教えてくれませんか?」

兄「俺が? 別に構わないけど、受験の時の事なんて半年で大体忘れちゃったな」

友「私なんて昨日勉強した事も忘れちゃってますよ」

兄「それはダメでしょ」

友「あはは、私ってダメなんです。だからお兄さんに助けて欲しくて」

兄「妹の友達の頼みじゃ断れないしね。ほら、お前も一緒に教えてやるから」

妹「そうですね、私もよろしくお願いします」

妹(作戦は概ね成功のようです。友ちゃんと兄さんは自然に話せる間柄になりつつあります)

妹(ここは次の段階に移ってもいい頃でしょうか?)

妹(次の段階とはつまり>>27です)

① 二人きりでデートさせるという事
② 三人でお出掛けするという事

妹(次の段階とはつまり二人きりでデートさせるという事です)

妹「友ちゃん、借りていたCDを返したいので一緒に部屋まで来てくれますか?」

友「え? 妹にCDなんて貸してたっけ」

妹「忘れちゃったんですか?」

友「えーと、そうかも。すいませんお兄さん、少し待っててください」

兄「いいよ。今日は元々ずっと家にいる予定だしね」

友「CD……うーん、あれかな……でも……」 スタスタ

妹(……友ちゃんはお人好しが過ぎる所があると思います。言葉の裏を読んで欲しいです)

友「ええっ! 私がお兄さんをデートに誘うのっ!?」

妹「兄さんに聞こえます、静かにしてください」

友「ご、ごめん。でもお兄さんをデートに誘うなんて、私無理だよ」

妹「兄さんも友ちゃんと親しく話してますし、友ちゃんも前みたいに焦ったりしなくなったでしょう?」

友「それは、お兄さんが気を遣ってくれてるからで」

妹「友ちゃん、今がチャンスなんです。これ以上待っていても好転はしないですよ、きっと」

友「……でも、断わられたら?」

妹(その可能性は、確かにあるでしょう。兄さんに断られないように何かした方がいいのでしょうか?)

妹(例えば、途中までは私が一緒に付いて行って、こっそり隠れてしまうなんてどうでしょう?)

妹(他にも、私の方から兄さんにお願いしてみるっていうのもあるかもしれませんが……)

妹(でも、余計な事をせずに友ちゃんに任せるのが一番良いのかもしれません)

妹「友ちゃん、>>33

① 途中まで三人で行きましょう
② 私の方から頼んでみます
③ 頑張ってください

3

妹「友ちゃん、頑張ってください」

友「そんな事言われても、どうすればいいか分かんないよ」

妹「いいですか、友ちゃん。これは友ちゃんの恋なんです」

友「ひ、酷いよ、私は妹のために……」

妹「私を理由にしないでください」

友「そ、そんなのって!」

妹「頼んだのは私ですけど、承知したのは友ちゃんです。最後は友ちゃん以外に誰も責任は取れないんですよ」

友「そんなのズルいよ!」

妹「そうです、私はズルいんです」

友「……」

妹「やめますか? どうぞ、私は他の人に頼みますから」

友「や、やだ……」

妹「……」

友「私以外の人がお兄さんの隣にいるなんて、絶対にやだ」

妹「はい、そう言ってくれると思ってました」 ニコッ

友「だ、騙したの!?」

妹「友ちゃんが嫌だと言うなら、本当に他の人を探すつもりでしたよ?」

妹(言わないと信じていましたし、他に当てもないですけど……)

友「……でも、やっぱり断られちゃうかも」

妹「一度でダメなら二度です、二度でダメなら三度です。頑張ってください」

友「他人事だと思って……」 ジトッ

妹「ええ、私の事じゃないですから」 ニコッ

友「……妹って、本当は性格凄い悪い?」

妹「今更気付いたんですか?」

友「こんな子が義理の妹になんて最悪だわ」

妹「私は嬉しいですよ、友ちゃんがお姉さんになってくれると」

友「今更お世辞なんて言っても聞こえないんだから! ……それじゃ、行ってきます」

妹「言ってらっしゃい」

妹(責任を取れないからこそ感じる責任、なんて言い訳ですよね)

妹(その後、友ちゃんは大興奮で私の部屋に戻ってきました)

妹(兄さんの返事は確認するまでもないでしょう。やっぱり友ちゃんを信じて正解でした)

妹「それがどうしてこんな風になるのでしょうか?」

友「だ、だって、不安なんだもん……」

妹「二人きりのデートなんですよ、もっと楽しみにしたらどうですか?」

友「お兄さんに嫌われちゃうかもしれないし」

妹「友ちゃんは魅力的な女の子なんです、自信を持ちましょう」

友「……うん! でもちゃんと付いて来てね」

妹(友達と兄のデートを尾行する妹。これでは私の方がストーカーのようです……)

友「えへへ……妹が一緒にいてくれると思ったら、急に楽しみになってきちゃった」

妹「もう一度言いますけど、これは友ちゃんの恋なんですからね?」

友「わかってるよ、もう! 心配性なんだから!」

妹(友ちゃんの緩んだ表情を見ていると、本当に分かっているか疑いたくなってしまいます)

ちょっとトイレ

妹(私は兄さんに見つからないよう、遠くから待ち合わせ場所を監視していました)

妹(しばらくすると、兄さんが現れ、友ちゃんの表情が花開くように笑顔になるのが見えました)

妹(……移動を始める二人の後を追い、私は店を出ましたが)

妹「尾行なんて初めての事で、とても疲れます……」

妹(そもそも二人の後を追って、私は何をすればいいのでしょう?)

妹(このままこっそり離れて、二人を見失った事にしてしまってもいいのではないでしょうか?)

妹(そうしましょう) スタスタ

妹(ここら辺で軽い食事を済ませて、すぐに家に帰ってしまいましょう)

ブゥゥゥゥンッ ブゥゥゥゥンッ

妹「……はい、もしもし」

『妹、どこにいるの!?』

妹「ええと、ちょっと離れて見てますよ?」

『ほ、本当に!? どこ!?』

妹「後ろの方です」

『見えないよ!』

妹「見えたらまずいじゃないですか」

『でも、でも……』

妹(このままではデートが失敗してしまいそうです)

妹「ごめんなさい、友ちゃん。実は二人を見失ってしまいました、すぐに追いかけるので場所を教えてください」

『や、やっぱり! いないと思った!』

妹(友ちゃんには私を探知するセンサーでも内蔵されているのでしょうか?)

妹(と、言い掛かりを付けられる立場でもないので、私はまた友ちゃんの尾行に戻る事にしましょう) スタスタ

友「……っ」

兄「……、……?」

妹(あまり離れていては見失いそうでうし、人混みに紛れて二人の様子を窺う事にしましたが)

妹(少し歳の離れた初々しいカップルに見えますね)

妹(もしくは、そう、ブラコンの妹とその兄)

妹(本当に、私ではなく友ちゃんが兄さんの妹だったら、相思相愛だったのでしょうね)

妹「と、余計な事ばかり考えていると、また見失ってしまいます」 ボソッ

妹(見失わないギリギリの距離まで離れて、二人を注視する事にしましょう) スッ

妹「……暇です」

妹(人の多い所は苦手で、元々家に籠もりがちな私には少々辛い環境です)

妹「心を空にして、影に徹する事にしましょう」

妹(その後、二人は映画館・ファーストフード・ショッピングと回り、街を散歩してから公園へ行きました)

妹(とても無難なデートコースに思えましたが、そういった経験に乏しい私には分かりかねます)

妹(なんだか兄さんの友ちゃんを取られてた気分で、私は一人寂しく、公園の影で夕暮れを眺めていました)

友「……っ!」 タッタッタッ

妹「え、友ちゃん? ちょ、ちょっと!」

兄「……よう」

妹「に、兄さん? 友ちゃんを追いかけてください!」

兄「悪いが無理だ、俺は帰る。お前も探偵ごっこは今日までにしておけよ」 スタスタ

妹(……私が目を離している間に、二人に何があったのでしょうか?)

妹(取り残された私は、呆然とする以外にありませんでした)

妹(友ちゃんには連絡が付きませんでした)

妹(家に帰ると、兄さんは私と目を合わせてもくれず、自分の部屋へ行ってしまいました)

妹(何があったのでしょうか?)

妹(ただ何か、決定的な何かがあった事だけは確かなのに、私にはそれが分かりません)

妹(私は、どうすればいいのでしょうか?)

妹「このまま黙っていては不安に押し潰されるだけで、何も解決しません」

妹「>>55


① 直接友ちゃんの家を訪ねてみましょう
② 兄さんの部屋に行ってみましょう
③ 叔母さんに相談してみましょう

2

妹「兄さんの部屋に行ってみましょう」 ガチャッ

妹(私が兄さんに無視する事はあっても、兄さんの無視されたのは初めてかもしれませんね)

妹「……兄さん」 コンコンッ

妹(部屋にいるのは間違いないですが、返事がありません)

妹「兄さん、いますか?」 コンコンッ

「……何か用か?」

妹「聞きたい事があります、入っていいですか?」

「……」

妹「返事がないのなら了承したと受けとります」

「勝手にしろ」

妹「失礼します」 ガチャッ

兄「……」

妹「余計な言葉は省きます。兄さん、友ちゃんと何があったんですか?」

兄「何があった、ね。それはお前に関係あるのか?」

妹「私は友ちゃんの親友で、兄さんの妹です。関係あります」

兄「親友で妹なら人の事情に首を突っ込んで掻き乱していいわけか?」

妹「……今日はいやに刺々しいですね」

兄「そりゃ、お前には分からないよな」

妹「思わせぶりな言い方はやめてください、私はただ知りたいだけなんです」

兄「それが頭に来るんだよ」 ガシッ

妹「は、放してください」

兄「……」 ジッ

妹「何なんですか? 私が何をしたって言うんですか?」

兄「お前は俺を何だと思ってるんだ?」

妹「……兄です」

兄「兄ね。お前の言う兄ってのは心がない何かなのか?」

妹「い、言ってる意味が分かりません」

兄「……」 ギュゥッ

妹「い、痛いです!」

兄「俺がお前を好きなのは分かってるよな?」

妹「し、知りません、そんなの知りません!」

兄「知らないわけはないだろ。知ってるからこそ、ああいう事をするんだろ」

妹「な、何の話ですか?」

兄「お前の友達と俺をくっ付けようとした事だよ」

妹「それは、友ちゃんが兄さんを好きだから……」

兄「あの子がお前を利用するみたいに立ち回れる子か?」

妹「……」

兄「お前が唆したんだろ」

妹「そ、そんな言い方やめてください、私はただ……」

兄「……」

妹「……そうです。私が友ちゃんに頼んだんです」

兄「で、お前はなんとも思わなかったわけか」

妹「友ちゃんには、悪いと思いました」

兄「俺には?」

妹「兄さんには……」

兄「なんとも思わなかったよな? 俺が傷付くとは想像さえしなかったよな?」

妹「……」

兄「好きな相手にそんな真似されて、傷付かない人間がどこにいる?」

妹「ごめん、なさい」

兄「それだけじゃない。お前、よく俺の部屋に来れたな?」

妹「そ、それは、兄さんがそんなに傷付いてると思わなくて……」

兄「そういう意味じゃない。お前を好きな男の部屋に一人で入って、よく平気でいられるな?」

妹「……い、いつも私の部屋に勝手に入ってきてるのは、兄さんの方です」

兄「それとこれとじゃ意味が違う」 ギュゥッ

妹「は、放してください!」

兄「嫌だね」

妹「……っ!」 バシンッ

兄「……」

妹「放して」

兄「ふん」 パッ

妹「二度と、私に近づかないでください」 ガチャッ

兄「無理だ」

妹「……それなら私が避けます」 ガチャンッ

妹(私はどうするべきだったのでしょう?) スタスタ

妹(私が望んだのは、普通の青春や人生だけです)

妹(それがそんなにいけない事だったでしょうか?)

妹(わかりません。でも、私が間違っていた事だけは結果が物語っています)

妹(でも、このまま逃げるわけにはいきません……)

妹(>>72

① 友ちゃんに謝罪しなくちゃ
③ 叔母さんに相談しよう

3

あ、番号間違えた

妹(叔母さんに相談しよう)

妹「……」 スタスタ


叔母「おや、ずいぶん遅くの来客だね」

妹「急ぎの用事だったので」

叔母「顔を見りゃ大体分かるけど、そうだね、今日は泊まっていきな」

妹「そこまで迷惑掛けられません」

叔母「迷惑なんて言い方はそれこそ迷惑だね。身内も頼れないで誰を頼るんだい?」

妹「……」

叔母「それに、一度相談を受けた以上は私にだって責任はあるんだ。ほら、上がりな」

妹「ごめんなさい。……お邪魔します」 

叔母「なるほどね。そうなったわけか」

妹「実際に二人の間に何があったかは分からないですけど……」

叔母「そんなの聞くまでもないだろう。兄が怒って、友達が泣いて、お前は困ってる。それで十分だ」

妹「私が悪かったんでしょうか?」

叔母「誰が悪いなんてないさ。しかし困ったね、いっそあんた、うちに住むかい?」

妹「え?」

叔母「そんな危ない状態の兄と一緒に置いとけないだろ」

妹「……私は、逃げていい立場ではないと思います」

叔母「バカ、立場なんて関係ない。お互い頭を冷やせって事だよ」

妹「でも」

叔母「でももしかしもない。兄貴には私から話を通してやる、決定だ」

妹「ごめんなさい」

叔母「こういう時はごめんじゃないだろう」

妹「……ありがとうございます」

叔母「よろしい」

妹「あの、その前に友ちゃんと話したいんですけど」

叔母「あ? まだ話してないのか? それが最初だろうが」

妹「え、え?」

叔母「親兄弟より友達の方が100倍大事に決まってるだろ」

妹「でも、血は水より濃いって言います」

叔母「頭でっかちなバカか、あんたは? いいから行くぞ」 グイッ

妹「こ、こんな時間からですか?」

叔母「なんでもいいから会っとけ、時間が経つほど拗れる」

妹(叔母さんとお父さんはどんな兄妹だったのでしょう)

妹(私とも兄とも、そして父とも違う人種の叔母は、ただただ私の理解の外の人でした)

妹(それから叔母さんの車の助手席に座り、私は友ちゃんの家へ向かいました)

妹(私は友ちゃんのおばさんに、どうしても話したい事があるからと頼み込んで……)

妹(ようやく出てきた表情のない友ちゃんと、叔母さんの車の中で話す事になりました)

叔母「じゃ、私は煙草でも吸ってくるわ」

妹「……ありがとうございます」

叔母「はいはい」 ガチャンッ

友「……」

妹「……兄さんと話した」

友「……で?」

妹「すごく私に怒ってた」

友「そう」

妹「友ちゃんも、怒ってる?」

友「別に」

妹(こんな風な友ちゃんを見るのは初めてで、どう話せばいいのか分かりません……)

妹「あの」

友「お兄さん、妹が好きなんだって」

妹「……うん」

友「迷惑だからデートに誘ったりするのはやめてくれだって」

妹「……」

友「付き合ってくれたのは、妹のためなんだって」

妹「……」

友「私、どんな顔すればいいと思う? 妹の事、どんな風に見ればいい? 教えてよ」

妹「……分からないです」

友「分からないじゃ分からないよ」

妹(その時、分かった事が一つだけありました)

妹(私は絶対に、友ちゃんに謝ってはいけません。それだけはしてはいけないです)

妹(それは多分何よりも友ちゃんを傷付ける事になるに違いありませんでした)

妹「私は、私のわがままに友ちゃんを付き合わせてしまいました」

友「何それ」

妹「私、普通の女の子みたいに普通の人生が送りたかったんです」

友「……」

妹「兄さんがあんな風じゃ、きっと私が何をしても兄さんが付いて回ってしまいます」

友「だから、私とお兄さんをくっ付けさせようとしたんでしょ」

妹「そうです。でも本当は、私は私自身で選ばなくちゃならなかったんです」

妹「兄さんを突き放すなら、自分の言葉でしなくちゃならなかったんです」

妹(そうなのです。私は結局、兄さんに嫌われたり憎まれたりする事が怖かったんです)

妹「だから私は……>>90


① 兄さんから離れます
② 兄さんと一緒にいます

十分くらいシャワー浴びてくる

2

妹「だから私は……兄さんと一緒にいます」

妹(私は兄さんが好きなのでしょうか? まだ分かりません。でも、兄さんがいない人生は想像できないのです)

妹「私は、卑怯者です」

友「ふざけないでよ!」 ギュッ

妹「うぐ……っ」

友「何よそれ、何なの!? 私は何だったの! お兄さんのこと、こんなに好きなのに、どうすればいいのっ!?」

妹(苦しい、痛い。爪が喰い込むくらい強く首を絞められて、でも、抵抗する気が起きない……)

友「今更っ、今更忘れるなんてなれるわけないでしょ……っ」 ポロポロッ

妹(これは私の身勝手が招いた罰なのでしょうか。誰に祈ればいいのでしょうか)

「この、バカタレっ!」 ドンッ

友「痛っ!」 バタンッ

叔母「取り返しの付く事と付かない事くらい、考えろっ!」

妹「げほっ、げほげほっ!」

友「だって、だって……うっ、うぅ……っ」 ポロポロッ

妹(本当の加害者である私には、それ以上語っていい言葉はありませんでした)

妹(誰も話さない気まずい沈黙が続いて、結局、友ちゃんは叔母さんに促されて帰って行きました)

妹(一度も足を止めず、振り返らず、家へと入って行きました)

妹(それを見届けた叔母さんは、エンジンを掛けて車を走らせ始めました)

叔母「で、私はどこへ向かえばいいんだ?」

妹「私の家でお願いします」

叔母「ああ、そう」

妹「……それだけですか?」

叔母「あんたの人生だ、最後の最後に何を選ぶかはあんたが決める事だろう」

妹「ごめんなさい」

叔母「謝るなよ」

妹「……ごめんなさい」

叔母「……人生長いんだ、これで全部が終わりってわけじゃない。私はそれをよく知ってる」

妹「……」

叔母「頑張りな。あんたの道はいくらでもあんたが決められるんだ」

妹(叔母はそれっきり黙って、私を家の前で降ろすと、何も言わずに行ってしまいました)

妹(玄関の扉を開けると、そこには座り込んで私を待つ兄さんがいました)

兄「……」

妹「……」

兄「ずいぶん遅かったな」

妹「一言で説明するのは、難しいですね」

兄「へえ、俺の事は避けるんじゃなかったのか?」

妹「避けて欲しいんですか?」

兄「そんなわけないだろ」

妹「ねえ、兄さん。私のこの先の人生で、絶対に必要な物って何だと思いますか?」

兄「……何なんだ?」

妹「答えは兄さん自身で考えてください。それと、兄さんを傷付けた事、反省しています。ごめんなさい」 ペコリッ

兄「いい。……だから、勝手にいなくなったりするなよ」

妹「はい」 ニコッ

妹(伝えるべき事は、まだ何も伝えられてないけれど、今はこれでいいのだと思います)

妹(それから)

妹(一年と経たずに一人暮らしを始めた兄さんの部屋に、私は毎日のように通い……)

妹(何事かを勘付いていたお父さんに、兄さんの部屋に行くのを止められたものの……)

妹(叔母さんがお父さんに何事かを行ってくれたらしく、すぐに静かになりました)

妹(友ちゃんとはあれ以来、一度も話していません。顔を合わせても視線すら合わせてくれません)

妹(私は、それだけの事をしてしまいました)

妹(そうして春が訪れ、私は――)

兄「よう、後輩」

妹「……何ですか、先輩。後輩を待ち伏せですか?」

兄「普段は見られないスーツ姿の妹を拝んでおこうと思ってな」

妹「痴呆症ですか? 今日は兄さんの所から入学式に出たんじゃないですか」

兄「外で見るのと家で見るのじゃ違うだろ?」

妹「視線がいやらしいです」

兄「俺はピュアな気持ちでだな!」

「こんにちは」

妹「え?」

友「お久しぶりですね、お兄さん」

兄「……何か用?」

友「ふふ、冷たいですね。私もお兄さんの後輩なんですよ?」

妹「あの、友ちゃん」

友「……何?」

妹(どんな言葉なら届くのでしょうか? 考えれば考えるほど、そんな都合の良い言葉がない事だけが知れます)

妹「友ちゃんも、ここの大学だったんだね」

友「妹に何か関係ある?」

妹(ある、なんて言えるわけがありません)

兄「行こうぜ、妹」

友「待ってください。……妹!」

妹「……っ」

友「私はもう、あんたを友達とは思ってない」

妹「……うん」

友「でも、これ以上憎むつもりもない」

妹「ど、どうして?」

友「秘密」

妹「ええっ!?」

友「ていうわけで、どうせ同じ大学に通うんだから仲良くしよ?」

妹「そ、そ、それは嬉しいですけど、でも、あの……」

兄「何が目的なわけ?」

友「秘密ですよ、先輩。なぜならですね、女は秘密が多い方が良いに決まってるからです」

兄「……で、妹。どうするんだ?」

友「妹?」

妹「友ちゃんがいいなら……一緒にいてくれるなら、すごく嬉しい」 ニコッ

友「決まりだね! まずは入学祝いにお酒でも飲もうか?」

兄「俺はともかくお前らはダメだ」 バシッ

友「痛っ、酷いじゃないですか、女の子頭を!」

妹(……私と同じように、兄さんも友ちゃんの事は気になっていたのでしょうか?)

妹(心なしかスッキリした面持ちの兄さんを見て、そんな事を思いました)

友「私の道はいくらでも私が決められる、諦めたくないなら、諦める必要はない」 ボソッ

妹「どうしたの、友ちゃん?」

友「ううん。そうだね、ご飯でも食べに行こうか! んー……大学生活、楽しみだね!」

おわり

多分その後も酷い泥沼展開が待ち受けているけど、おわり

なんやねん

飽きたっていうか、ここから友ちゃんのガチ寝取り劇場とか見たくないだろ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年12月14日 (月) 09:20:18   ID: oWMl14tz

クズ兄弟の話か...。

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