エルヴィン「自宅警備団」(32)

エルヴィン「別マガ読むか…」

エルヴィン「…」ペラッ

エルヴィン(おっ…『進撃の巨人』の調査兵団団長…頑張ってるな…)

エルヴィン(…)パリパリ

エルヴィン(ポテチ美味え……)

エルヴィン(…)パスッ

エルヴィン(屁臭い…)

エルヴィン「…真似してみるか」

エルヴィン「私は自宅警備団団長。エルヴィン・スミスだ」

エルヴィン「新卒が最初の就活で不採用になる確率は5割だ」

エルヴィン「不採用になり続けたものが練度の高い自堕落なNEETになる」

エルヴィン「……」

エルヴィン「……やめた」


ゴロゴロォゴロゴロ

ピンポーン

エルヴィン「誰だ…?」

ピンポーン

エルヴィン(誰だ…?)

ピピピピンポーン

エルヴィン「うるさいな…」

ガチャッ

リヴァイ「よおエルヴィン」

エルヴィン「リヴァイ…」

リヴァイ「あがるぞ」

エルヴィン「…いいだろう」

リヴァイ「なんで上から目線なんだてめぇ…」

エルヴィン「辛辣だな」

エルヴィン「…で、何のようだ?」

リヴァイ「暇だから、お前が干乾びて死んでねえか見にきただけだ」

エルヴィン「大丈夫だ。きちんと三食欠かしていない。いたって健康だ」

リヴァイ「………ニートのくせしやがって」

エルヴィン「…」

~エルヴィンの部屋~

エルヴィン「…リヴァイ、仕事のほうはどうなんだ?」

リヴァイ「ほう…働いてねえてめぇから仕事の話を切り出すとはな」

エルヴィン「自宅警備団団長だ」

リヴァイ「社会からすれば=で括られてんだよ」

エルヴィン「…」

リヴァイ「…おい」

エルヴィン「……仕事のほうはどうなんだ?」

リヴァイ「…まずまずだ」

エルヴィン「そうか…お前がまさか保育士になるとはな」

リヴァイ「ああ。俺もまさか自分がそうなるとは思わなかった」

エルヴィン「お前は料理の腕が立つから、調理師にでもなるかと思っていたよ」

リヴァイ「なったぞ。もう過去だがな」

エルヴィン「そうだったのか?初耳だ」

リヴァイ「そりゃそうだ。言ってねえんだからな」

エルヴィン「だが今は保育士なんだろ?……ということは再就職したのか?それとも転職か?」

リヴァイ「再就職だ…調理師→保育士だ」

エルヴィン「job changeか」

リヴァイ「お前が働けない理由がわかった」

リヴァイ「…正確には 調理師→無職→保育士 だな」

エルヴィン「ほう…」

リヴァイ「つっても無職だった期間は短けえぞ」

リヴァイ「てめぇと違ってな」

エルヴィン「…ほう」

エルヴィン「…なぜ無職になったんだ?」

リヴァイ「…俺の働いている店にブラックホールかと思わせるぐらい、よく食べる馬鹿ウェイトレスがいた」

リヴァイ「そいつはよく摘み食いをしてな…よく俺が叱責してたもんだ」

リヴァイ「まぁ…そいつの世話係みてえな感じだったからな」

エルヴィン「ああ」

リヴァイ「そしてある日…そいつが冷蔵庫の中身を全部食いやがった」

リヴァイ「当然その日は臨時休業…客からは不平不満…売り上げは右肩下がり…店の信用もガタ落ち…」

リヴァイ「そして…納得できねぇのが、そいつの責任を俺が取らされたってことだ」

エルヴィン「仕事には責任がつきものだからな」

リヴァイ「説得力がねぇ。働いて出直して来い」

エルヴィン「…そのウェイトレスはどうなった?」

リヴァイ「当然クビだ。俺と同じくな」


リヴァイ「…だが、腑に落ちねえ…あのウェイトレス…」

エルヴィン「どういうことだ?」

リヴァイ「…テレビを見ればわかる」

エルヴィン「テレビ?」

リヴァイ「ああ。kyojinチャンネルだ。ちょうど今から放送するみてえだ」

エルヴィン「リモコン…あった」ポチッ


ヴィン

司会「さぁ~、では、人気急上昇沸騰中のロックバンドに登場してもらいます!」

司会「バンド名は『I AM HUNGRY』!曲名は『ハラペコ・ロック』!それではどうぞ~!」


パチパチパチパチ…

ワァァァァァーーーー…



エルヴィン「…バンド?これがどう関係あるんだ?」

リヴァイ「…ギター兼ボーカルの女を見ろ」

エルヴィン「なかなか可愛いな」

リヴァイ「てめぇの趣味はどうでもいい」


リヴァイ「…その女が、さっき話してたウェイトレスだ」

エルヴィン「…この子が?」

リヴァイ「そうだ」

リヴァイ「俺が再就職先を探しながら、商店街を歩いていたとき、テレビで見た」

リヴァイ「あのウェイトレスが歌っているところをな」

リヴァイ「俺が再就職先を探しているというのに、こいつはバンドでテレビに出演してやがる」

リヴァイ「何だこの世の中」

リヴァイ「そう思った…」

エルヴィン「わかる…社会は悪」

リヴァイ「お前はクズ」

エルヴィン「撤回しろ」

エルヴィン「それにしてもこの子…なんていうんだ?」

リヴァイ「サシャだ」

エルヴィン「サシャか…」

リヴァイ「…曲が終わったみてぇだ」

リヴァイ「これからインタビューするみてぇだ」

司会「お疲れ様でした~。今回、出演するにあたって思ってきたこととかありますか?」

サシャ「えぇ。お腹がすくぐらい頑張って歌おうと思いました」グゥー

司会「そうなんですかー。すごい意気込みですねーというか減ってますねー」

サシャ「はい。今すぐ芋が食べたいです」

司会「芋…………」


司会「…では、そちらの…ライナーさん」

ライナー「はい」

司会(怖っ)

司会「ライナーさんはこのメンバーの中で最年長者ということですが、どうですか?」

ライナー「はい…そうですね。こいつらは手が焼けますが、楽しくやってます」

司会「そうなんですかーありがとうございます」

司会「…では、コニーさん」

コニー「は、はい」

司会「おや?緊張してますか?」

コニー「はい!」

司会「あなたの担当楽器はタンバリンみたいですが…なぜベースとかじゃないんですか?」

コニー「それは俺がすっげぇ馬鹿で楽器が弾けないからです!」

司会「…そうですか」

ライナー「こいつは盛り上げ役でして。いいキャラだしてますよ」

司会「そうなんですか」

サシャ「そうです。コニーのおかげでバンドに和やかな雰囲気がでるんです!」

司会「楽しそうですねー」

コニー「楽しいです!」

司会「ありがとうございますー」

司会「…リーダーのライナーさん。『I AM HUNGRY』はいつ結成を?」

ライナー「俺が学生の頃、文化祭でバンドを組むことになりまして。その時、適当に声かけたら集まったのがこいつらなんです」

司会「そうなんですかー。文化祭はどうでしたか?」

ライナー「まずまずでしたよ。ノリでどうにかなっちゃいますし」

司会「そうですかー」



コニー「やべぇ…声は震えるし膝が笑ってやがる…」ボソボソ

サシャ「駄目ですよコニー!静かにしないと!」ボソボソ

ライナー「おいお前ら静かにしろ」ボソボソ


司会「……それでは―――」

エルヴィン「…」

リヴァイ「…」

エルヴィン「サシャちゃん応援しよ」

リヴァイ「……」

リヴァイ「その前に働け」

エルヴィン「就職先が見つかればな……」

リヴァイ「働く気はあるのか?」

エルヴィン「あるさ…」

エルヴィン「…なあリヴァイ」

リヴァイ「なんだ」

エルヴィン「このご時勢にどうやって再就職を?」

リヴァイ「…ペトラの紹介でな」

エルヴィン「コネか…」ボソッ

リヴァイ(殺いでやろうかこいつ)

エルヴィン「そういやペトラは保育士として頑張っているのか?…オルオも」

リヴァイ「ああ」

エルヴィン「職場はどういう感じだ?教えてくれないか」

リヴァイ「…てめぇに言ったところで関係ねぇ話なんだが…」

リヴァイ「ペトラは毎日走り回ってる。糞ガキ共を追い回してな」

エルヴィン「他には?」

リヴァイ「幼稚園にはジャンっていうガキがいるんだが…そいつがペトラにしがみついているのを見たオルオが舌噛んでたな」

エルヴィン「どういうことだ?」

リヴァイ「ジャンに注意しようとしたオルオが舌を噛んだ…日常茶飯事だ」

エルヴィン「園児はそれを見て泣いたりしないのか?」

リヴァイ「ガキ共は慣れたみてえだ」

エルヴィン「怖いなその幼稚園」

リヴァイ「他にも…オルオはアルミンっていうガキに嫌われてんのか、敬遠されてる」

リヴァイ「オルオに抱かれると泣いてる」

リヴァイ「だが…オルオはそれでも生き生きしてるぞ」

エルヴィン「そうか……」


エルヴィン「リヴァイは?」

リヴァイ「俺は涎を垂らすエレンってガキの世話をよくしてる」

リヴァイ「威勢のいいやつでな…面倒のみがいがあるってもんだ」

リヴァイ「…あのクソウェイトレスと違ってな…」

エルヴィン「そうか…」

エルヴィン「…リヴァイ。折り入って頼みがある」

リヴァイ「なんだ?」

エルヴィン「私も…紹介してくれないか?幼稚園に…」

リヴァイ「残念だったな…定員オーバーだ」

エルヴィン「枠はもうないのか」

リヴァイ「ああ。俺でちょうど埋まったらしい」

エルヴィン「……そうか」

リヴァイ「自宅警備団団長……現状維持だろ?」

エルヴィン「辛辣だな。……辛辣だな……」

リヴァイ「…バイトしろ」

リヴァイ「働くのは…悪いもんじゃねぇぞ」

リヴァイ「辛くも楽しいもんだ」

エルヴィン「……そうだな」

リヴァイ「……ま、俺が口をだすことじゃねえが…親の涙を見ることになるぞ」

エルヴィン「………」

リヴァイ「とはいっても…上手くいかねぇのが世の中だな」

エルヴィン「……」

リヴァイ「…酒でも飲むか」

エルヴィン「…ああ。冷蔵庫にある」

リヴァイ「てめぇでとってこい」

エルヴィン「…ああ」スクッ

スタスタ…






リヴァイ「…じゃあなエルヴィン」

エルヴィン「ああ」

リヴァイ「早く働け」

エルヴィン「去り際の台詞は変わらんな」

リヴァイ「…お前が働けば変わる」

エルヴィン「そうだな…」



リヴァイ「じゃあな」

エルヴィン「ああ」

エルヴィン「ふぅ…」

ゴロゴロォゴロゴロ

『働くのは…悪いもんじゃねえぞ』

エルヴィン「…」

『辛くも楽しいもんだ』

エルヴィン「…」

『親の涙を見ることになるぞ』

エルヴィン「……」

エルヴィン「…働く…か」



エルヴィン「…まずはハロワからだな」


エルヴィン「…しかし…雇ってくれるところがあるのだろうか…」

終わり

サシャはバンド活動しながら働いてました。

自宅警備団あんまり関係なかった…エルヴィン含むリヴァイ班がニートな話でもよかったかも

読んでくれた人ありがとう

あの年で自宅警備員は辛いな…

面白い。乙。

ガイドブックネタか 面白かった乙

この園児エレンとジャンが成長して売れない漫才師になるんですね

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom