モバP「台風が来た日に」 (53)


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某日・早朝 事務所


P(ふぁ……眠いな……)カタカタ


ビュゥゥゥゥゥゥゥ ガタガタガタガタッ!


P「うお、これはまた強い風」カタカタ

P(……本当に直撃しちゃったなぁ、台風。これは帰れそうにもない……)カタカタ

P(家で整理しようとした資料のデータ、事務所のパソコンからUSBに移し忘れたのが運の尽きだったな……事務所着いた途端に台風来るとか、はぁ……)カタカタ

P(まぁ、仕方がない。台風が過ぎるまで、やれることやっちゃおうか)カタカタ






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ガチンッ  …コンコンコン


P「ん、ノック音……こんな日にお客? というか一度ドアノブを回した音がしたか?」カタ…


コンコンコン


P「はいー! 今出ますので、少々お待ち下さいー!」スタスタ

P「事務所のチャイムを鳴らさずに扉まで来るとは、急用なのか……?」スタスタ





カチッ ガチャッ


P「お待たせしました、何か御用で……」ギィ…

アーニャ「あっ、プロデューサー。ドーブラエ ウートラ、おはようです。……今日は凄い風ですね?」

P「………………えっ、アーニャ!?」

アーニャ「? はい、私ですよ?」





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アーニャ「アー……今日はОтдых、お休みだったんですね。ロッカーに靴が沢山あって、通りで皆さん、寮から出ていないと思いました」

P「台風が来てるから、今日のスケジュールはほとんど休みなんだ。あれ? 寮の掲示板とかに、『今日はお休み』とか書いてなかったか?」

アーニャ「Извините、ごめんなさい。朝からお仕事があるという話だったので、今日は見てませんでした……」

P「あー、そうか。他のみんなは朝早くで寝ていそうだし、止める人も居なかったわけだな」

アーニャ「ごめんなさい……」

P「いやいや、謝らなくて良いさ。アーニャが無事で本当になによりだ。うん、良かった良かった」

アーニャ「ア……スパシーバ」





アーニャ「? そういえば、プロデューサーはどうして事務所に居たんですか? 今日はお休み……なんですよね?」

P「ん、ちょっとやり残したことがあってな。それで事務所に来た途端、台風で帰れなくなっちゃったんだ」

アーニャ「パニャートナ……なるほど。プロデューサーが居なかったら、私、大変な事になってましたね。スパシーバ、プロデューサー」

P「あ、確かに。しかし、自分のミスが感謝されるっておかしな気分だなぁ……」

アーニャ「ダー。ふふ、そうですね」





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モグモグ……ゴクン

アーニャ「フゥ……Спасибо большое、美味しかったです、プロデューサー」

P「はは、礼を言って貰えるほどの朝食でもないんだけどな。事務所にあった食材で作った、あり合わせのサンドイッチだし……」

アーニャ「いえ、プロデューサーの優しさが、詰まってましたよ?」

P「そ、そうか。そう言って貰えると、嬉しいものだ」

アーニャ「ダー、嬉しいのは私もですね」






アーニャ「プロデューサー。私、これからどうすればいいんですか?」

P「台風が過ぎるまでこのまま事務所に待機、って感じかな。半日くらい経てば去ってくれると……ん、雨も降ってきたな」


ザァァァァァァ!


アーニャ「わぁ……これがТайфун、台風なんですね」

P「……あ、そうか。アーニャ、台風を体験するの初めてなのか」

アーニャ「ダー。ロシアと北海道には、台風は来ませんから……来るのはСильный дождь、大雨だけですね」





P「この季節になると、関東とかは結構台風が来るんだ。本当に危ないものだから、気を付けてな」

アーニャ「ダー。次からは、きちんとПогодный отчет、天気予報を見ようと思います」

P「それと、寮の掲示板もな?」

アーニャ「あ……そ、そうでした」





P「……あっ、すっかり忘れてた。アーニャ、寮の管理人さんに連絡しないと。えーと番号は……」

アーニャ「ヤー、大丈夫です。携帯を持ってきているので、自分で掛けますよ?」

P「そうか? じゃあお願いするよ」

アーニャ「では、掛けますね……」スッ ポチ ポチ

P(スマホにまだ慣れていないのか、動きがたどたどしくて可愛いな……)





アーニャ「……あ、管理人さんですか? 私です、アーニャです」

    「ダー、Извините……ごめんなさい。今日は、間違えて事務所まで来てしまって……」

    「あ、それはОК、大丈夫です。Судьба、運良くプロデューサーが事務所に来てくれていました」

    「それで管理人さん……シトー? まゆ、どうしましたか?」

    「こっちに、来る? それはОпасность、危ないです。プロデューサーもそう言ってました」

    「ヤー、プロデューサーと一緒なので、怖くないです、大丈夫です。まゆ、優しいですね」

    「? まゆが怖いと思うんですか? よ、よく分からないです……」

    「――――」





アーニャ「……終わりました、プロデューサー」

P「お疲れ様。どうだった? 話、分かって貰えたか?」

アーニャ「ダー、管理人さんには、安心して頂けました。ただ……」

P「ただ?」

アーニャ「どうしてか、まゆがとてもこっちに来たがってました。事務所、好きなんでしょうか?」

P「あー……そうかもな。まゆ、仕事熱心だもんな……うん」

アーニャ「? プロデューサー、どうして далёкий……遠くを見ているんですか?」




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ビュゥゥゥゥゥゥゥ ガタガタガタガタ!


P「うーむ。台風、去ってくれるまでやっぱり半日くらいかかりそうだ……」

アーニャ「窓がガタガタ鳴ってますね。こんなに強い風があるなんて、びっくりです」

P「アーニャ、結構時間掛かりそうだから、テレビとか雑誌とか見てゆっくりしていいからなー」

アーニャ「ダー、分かりました。プロデューサーは、どうするんですか?」

P「さっき話した、やり残した仕事を終わらせようと思う。元々その為に来たからなぁ」

アーニャ「そうですか……Желаю удачи! お仕事、頑張って下さいね?」

P「ああ、ありがとな。……よし、やるとしますかっ」





P「……」カタカタ

アーニャ「……」ペラッ

P「……」カタタカタッ

アーニャ「……」ペラ

P「……」カッタタン

アーニャ「……」チラ





P「……」カタカタ

アーニャ「……」ジッ

P「……む」カタカタタ

アーニャ「……」ジー

P「……んー」カタカタ カタカタタン

アーニャ「? ……!」ティン! スタスタ





P「……」カタタ

アーニャ「プロデューサー。Чай……お茶、持ってきました」

P「おお、ありがとう。丁度、飲みたいと思ってたんだ」

アーニャ「ヤー、ずっと見……ニ、ニェート、それはタイミングが良かったですね」

P「いやぁ、助かったよ。アーニャ、後は好きなことしていて大丈夫だからなー」

アーニャ「ダー、分かりました。好きなこと、してますね?」





P「……」カタカタ

アーニャ「……」ジッ

P「……」カタッ カタカタ

アーニャ「……」ジー

P「……」カタカタ カタタタッ

アーニャ「……♪」ジー



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P「っと、終わったぁ……」タタンッ

アーニャ「……」ジー

P「ふわぁ……ぐ、そろそろ眠気が限界か。アーニャ、ちょっと……おお、こっち見てどうしたんだ?」

アーニャ「あっ……ニェート、なんでもないです」ブンブン

P「ん、そうか? ならいいんだが」

アーニャ「あ、あの、プロデューサーも、何かを言いかけたみたいですが……なんですか?」





P「ああ、ちょっと眠くなってきたから、仮眠室で寝てこようと思って。もしも台風が治まったら、起こしてくれると嬉しいんだが……いいかな?」

アーニャ「ダー。では、台風が過ぎたら、お伝えしますね」

P「助かるよ。それじゃ、寝てくるわー……ふあぁ」スタスタ

バタン

アーニャ「…………」

アーニャ「……あっ、оцениваетの言葉、言いそびれました。プロデューサー……」

アーニャ「……!」ティン!

アーニャ「ふふ、良いこと……思いつきました」ステステ…





仮眠室


モゾモゾ

P(……ふぅ、こうして布団敷いて中に入るのなんて、何週間ぶりだろうか)


ザァァァァァァ…


P(雨の音が、なんだか心地よく聞こえる……)

P(……うむ。眠りたいときに眠れるって、最高のシチュエーションだよなぁ……)ボー

P(そういえば最近、しっかり眠ったことが無かったような気もする……良くないな)ボー

P(まぁそれも全てはアイドル達のためだし、多少の無理はしないとプロデューサーとして失格かな……)ウト





P(……あ、すごい、いま、すごい微睡んでる。眠る数秒前って感じだ)ウトウト

P(あ、眠れそう、ねむ、れ、そ……)ウトウト…


カチャッ キィィィィ


P(……んぁ? ドアが開いた……? あ、無理だ、確認する意識がもう、無……)

P「スヤァ……」





アーニャ「……プロデューサー?」コソッ

P「スピー……」

アーニャ「……寝てますね?」ツンツン

P「フムッ……スピー」

アーニャ(ふふ、ぐっすりです。えと、頭を……こうして……)モゾッ





P「ンー……」

アーニャ(起きないで、くださいね……ウラー)ノソッ

P「ン、アフゥ……」

アーニャ(フゥ、出来ました。Хизамакура)

アーニャ(……膝枕、ですね)





アーニャ「ふふ……プロデューサー♪」ナデナデ

P「スヤァ……」

アーニャ「台風の今日も、 нам…… 私達のためにお仕事してくれて……」ナデナデ

アーニャ「Благодарю вас за хорошую работу、プロデューサー」ナデナデ

アーニャ「ヤー、こんな事くらいしかできませんが、ゆっくり休んで下さい、ね?」ナデナデ

P「スコピー……」





ビュウゥゥゥゥゥゥ ザァァァァァァァァ!


アーニャ(風と雨の音が……ハラショー、今は心地良いです……)ナデナデ

アーニャ(プロデューサーと事務所に2人……世界がここだけみたい……)ナデナデ

アーニャ(……台風はとてもизумительный、素敵な物を運んでくれました)ナデナデ

アーニャ(あ、台風が過ぎると、きっと晴れますね。その時は、プロデューサーとお買い物に行きましょう)ナデナデ

アーニャ(最高の天気は、最高の口実も運んでくれました……たまには、こういう天気も良いかも……ですね)…ウト





アーニャ(アー……なんだか、私も、眠くなって……)ウトウト

アーニャ(でも、ここで寝てしまったら、プロデューサーを起こせなく……)チラッ

P「スヤァ……」

アーニャ(……台風、去るのは半日掛かると、言ってました。それならнемного……いい、かな?)ウトト

アーニャ(プロデューサーのголова、枕に戻して……)ノソッ

P「アフッ……」





アーニャ(そうしたら……)ウトウト

アーニャ(……)ボー…

アーニャ「フワァ……失礼しますね」モゾモゾ

アーニャ「……ぷろでゅーさー……♪」ナデナデ

アーニャ「……クゥ」




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『……さぁん、Pさぁん』

P「ん……ぁ?」パチリ

『Pさん、どこに居るんですかぁ?』

P「ぐっすり寝たなぁ……お、雨音がしない……台風、去ったのか?」ボー

『もしかして、寝てるのかしら……仮眠室?』

P「ふぁぁ……ん、誰の声だ? アーニャでは、ないみたいだけど……」クンッ

P「んお、起き上がれない? 何か腕に……」チラ

アーニャ「スー……スー……」

P「……アーニャ? えっ? えっ!?」





P「な、何でアーニャが布団の中で寝てるんだ? お、おーい、アーニャっ」

アーニャ「ン……ンゥ……」モゾモゾ


トコトコ…ガチャッ


まゆ「あっ、Pさん♪ ここに居たんで……」

P「ま、まゆ!?」

まゆ「…………」





まゆ「……Pさぁん、何されてるんですか?」

P「あ、いや、それはこっちも聞きたいかな。ど、どうしたんだ、今日は事務所休みだろ?」

まゆ「まゆ、台風が過ぎ去ったので、Pさんを……いえ、アーニャちゃんを迎えに来たんですよぉ」

P「お、おう、そうだったのか。わざわざ、ありがとな?」

まゆ「はい♪ そんなことよりも……ねぇ、Pさぁん?」

P「は、はい?」

まゆ「どうして、アーニャちゃんと一緒の布団でお休みされてるんですか?」ニコォ

P(良い笑顔だけど……眼が笑ってないよ、今まさに射貫こうとしてきてるよ……!)





P「い、いや、それが自分でもさっぱりなんだ。寝る前まで、俺1人だったから……アーニャ、起きてくれ、アーニャっ」

アーニャ「ン……アー……?」ボー

P「ああ、良かった起きてくれたっ。アーニャ、寝起きで悪いけど、ちょっと説明して欲しいことが」

アーニャ「アー……ぷろでゅーさー、ですね。ドーブラエ、ウートラー……」ギュー

まゆ「あら……」

P「おおう!? 待ってアーニャ、寝惚けて抱きついてる場合じゃないの! 起きて、お願いだから起きて!?」





アーニャ「ンー……? ア、パニャートナ、分かりました……」スッ

P「ああっ、分かってくれて何よりだ、えっとだな……」

アーニャ「……こう、ですね」チュッ

P「ほぁ!?」

まゆ「……」





P「な、何して……!」

アーニャ「? ハグの後なのでキスが必要ですよね?」ボー

P「まだ寝惚けてたよ! というか、普通そういうのって頬じゃないの!?」

アーニャ「ダー。挨拶では頬ですが、Любовь……愛を込めている場合は口ですよ?」ニコー

P「そ、そうですか……」

まゆ「うふふ……アーニャちゃん。随分とPさんを慕っているのね……」





P「ま、まゆ! アーニャは今、寝惚けているだけで……」

アーニャ「……まゆ? アー、まゆも、一緒に寝に来たんですか?」ボー

まゆ「」ピクン

P「ね、寝に来た? ということは、アーニャが布団に入ってきたって訳か。ま、まゆ! これで俺とアーニャの潔白は……」

まゆ「……ええ、そうですよぉ。まゆ、Pさんと一緒に寝るために来ました♪」

P「まゆぅ!?」

アーニャ「ダー。それならプロデューサーの横、まだ開いてます。私はまだсонливый、眠いので、一緒に寝ましょう?」ボー





まゆ「……うふ♪ ではPさん、まゆもお布団に失礼しますね?」モゾモゾ

P「いやいやいや! 流石に一緒に寝るわけにはいかないって!」

まゆ「Pさん、アーニャちゃんとは一緒に寝て、私とはダメなんですか? それって、不公平ですよね?」モゾモゾ

P「アーニャと一緒に寝ようとしていたわけじゃないのは分かってくれてるよね!?」





まゆ「Pさん、寝ているまゆに、好きなことしていいですからね? アーニャちゃんが居ますけど、まゆ、そういうのも好きですから♪」スリスリ

P「待って、頼むから話を聞いてくれって!」

まゆ「なんでもしてくれますか?」

P「で、出来る範囲ならっ」

まゆ「それなら、まゆと一緒に寝て下さい♪ お話はその時にじっくり聞きますよぉ」スリスリ

P「互いの目的が相反してるよ!?」






アーニャ「アー、ぷろでゅーさー」ギュー

P「のわっ!? あ、アーニャ、後ろから抱きつかないで……」

アーニャ「これから眠るのに、немного、少し声が大きいです。静かにして下さい……ね?」ボー

P「ちょ、アーニャ。そうされると動けな……!」

まゆ「アーニャちゃん、良いですよぉ。Pさん、無防備な女の子を力任せに振り解こうとなんて……しないですよね?」ギュッ





P「まゆまで……いや、本当にこれじゃ起きられないんだって! もしかしたら他の人も事務所来るかも知れないのに……!」

アーニャ「ダー。そしたら、みんなで寝られますね……」ギュー

P「違う、そう言う話じゃない!」

まゆ「うふふ、その時は、私とPさんの繋がりっぷりを見せつければいいんです♪ 大丈夫ですよぉ、痛くしませんから……」スリスリ

P「何が!? いや、だから、2人とも起きてくれって……!」



アーニャ「……シトー? だから、これから寝るんですよ? さぁ、一緒に……」

まゆ「もう手遅れですよぉ、観念してくださいね、うふ♪ それじゃあ……」








アーニャ「Спокойной ночи、ぷろでゅーさー♪」
まゆ「おやすみなさい、Pさん♪」







お わ り



先日台風が来ていたので、台風を知らなさそうなアーニャのお話を。
アーニャメインのSSがもっと増えて欲しいのですが、やはりロシア語関連がネックになってしまいますね。

誕生日ネタではありませんが、なんとかアーニャの誕生日に間に合って良かったです。アーニャ誕生日おめでとう!
中秋の名月に誕生日が重なるとは、アーニャは天体に色々と縁があるのかも知れません。

アーニャと一緒にCDが出るということで、記念にまゆも登場となりました。まゆも誕生日おめでとうございました!
2人のCDがどうなるか、個人的にとても楽しみにしております。

それでは、ここまで読んで下さって本当にありがとうございました。
また何か思いつきましたらこちらに投下させて頂きますので、その時はよろしくお願いします。




追記:アーニャの台詞の一部は、とある曲の歌詞を参考にさせて頂いております。

それでは皆さんお疲れ様でした。のあぴょんとお月見したいです。

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