キョン「なんとかしてハルヒに謝らせる」(298)

ハルヒ「いい加減にしなさいよ!」

キョン「どっちがだ。言わせてもらうが、今回も俺は断じて悪くない」

ハルヒ「どっからどう見てもアンタが悪いでしょうが!」

キョン「なに?おい、ちょっと待て」

ハルヒ「なによ!」

キョン「お前本当に自分が悪くないと思ってるのか」

ハルヒ「当然でしょ!ほら、早く謝りなさい」

キョン「……よし、よくわかった」


古泉「まあまあ、お二人ともそう熱くならずに。一体どうしたのです?」

ハルヒ「ちょっと聞いてよ古泉君!キョンが悪いのに一向に謝ろうとしないのよ?雑用係のくせに!」

キョン「ああん?悪いのはお前だろうが。謝ったら許してやるって言ってるだろ?さっさと謝ったらどうだ」

ハルヒ「なんであたしが謝らなくちゃいけないのよ!アンタが謝りなさい!」

キョン「お前が謝れば済む話だろうが」

ハルヒ「謝れ!」

キョン「お前が謝れ!」

古泉「落ち着いてください、お二人共。そんな言い合いをいくら続けたところで、解決しませんよ」

キョン「しかしだな古泉、コイツが……」

古泉「お互いに謝れと言われて謝るタイプではないでしょう?」

ハルヒ「だってキョンが悪いのは明らかなのよ?」

古泉「事の経緯は僕の知り及ぶ所ではありませんが、ここはひとつ妥協案を」

キョン「妥協案?」

古泉「ええ。喧嘩両成敗、という事で。二人同時に謝ってみてはいかがでしょうか」

ハルヒ「……まぁ、古泉君がそう言うなら」

古泉「ありがとうございます。貴男も、それでよろしいですね」

キョン「……しょうがないな。それでいい」

古泉「はい、それではご一緒に。僕の合図で同時に謝ってくださいね。きちんと誠意をもって」

キョン「わーってるよ」

古泉「ではいきますよ?せーのっ」

キョン「……」

ハルヒ「ご……」

キョン「……」

ハルヒ「ちょっと!なんで謝らないのよ?!どういうつもり!?」

古泉「ま、まあまあ落ち着いてください。貴男も、同時に謝ってくださいと言ったでしょう?」

キョン「やっぱりどう考えてもおかしい。俺はこれっぽっちも悪くないのに」

ハルヒ「まだ言う!?」

キョン「ああ、いくらでも言ってやる!お前が謝らん限り、俺は今後一切お前と口を聞かんからな」

ハルヒ「えっ……」

古泉「ちょ、それは……」

ハルヒ「……なによ、平団員のくせに。謝りなさいよ」

キョン「……」

ハルヒ「ちょっとキョン!聞いてんの!!」

キョン「……」

ハルヒ「このっ……!なによ!無視する事ないじゃない!!」

キョン「……」

ハルヒ「ねえ、キョン。聞こえてんでしょ!アンタがちょっと謝れば済む話じゃない!」

キョン「……」

ハルヒ「あたしもちゃんと謝るから!せっかく古泉君が同時にって言ってくれたんだから、ちゃんて謝って……」

キョン「……」

ハルヒ「……気分悪いわ。帰るっ」

ガチャッ
ばたん!

キョン「……」

古泉「やりすぎたとお思いでしょう」

キョン「……まぁな」

古泉「まったく、あなたと言う人は。台詞を拝借すれば、やれやれと言った所ですか」

キョン「いや、ちょっと待て。今回ばかりは俺はまったく悪くないはずだ」

古泉「だとしてもです。涼宮さんの性格は誰よりも理解しているでしょう?叩けば倍になって反発してくるのですから」

キョン「……それはそうなんだが」

古泉「そこはあなたがひとつ大人になってあげなくては。彼女がかわいそうですよ」

キョン「いや。やっぱり納得できん。なんとかしてハルヒに謝ってもらわんと、俺の気が済まん」

古泉「……やれやれ。あなたという人は……」

古泉「そうは言っても、彼女が自分から謝るのはあまり想像できませんね」

キョン「そうだよな。何かいい方法はないもんか」

古泉「先ほどのあなたのやり方は効果的だと思いますよ?」

キョン「謝るまで口を聞かないってやつか?」

古泉「それです。些か以上に卑怯ではありますがね」

キョン「そんな事くらいであのハルヒが折れるとは思えんがな」

古泉「確かにあなた以外の人間が同じ方法を取っても効果はないでしょうね。だからこそ卑怯なのですが」

古泉「もしその方法を取るとするならば、丸一日と待たずに彼女は謝ってくれるかと」

キョン「……ううむ、そんなに上手くいくもんか?」

古泉「もしくは、明日になれば何事もなかったかのように振る舞うかのどちらかですね」

キョン「たぶん後者の方だろうな、アイツの性格からして」

古泉「かも知れませんね。それはそれでよろしいのでしょう?」

キョン「いいや。きちんと謝って欲しいな」

古泉「何故です?ギクシャクした関係が解消されるのなら、謝る事自体はさほど重要ではないでしょう?」

キョン「確かに俺も喧嘩したままってのは気分が悪い。だけど今回はそれ以上にハルヒに謝らせたい」

古泉「そこまでこだわりますか。一体なにが原因で言い合いになったのです」

キョン「きっかけ自体はくだらない事だ。だがいつもいつもワガママでごり押しされてる身にもなってみろ」

古泉「彼女の日頃のわがままなど可愛いものではありませんか。確かに毎度それが通るとは彼女も考えてはいないでしょう」

キョン「いいや、アイツはそれが通ると思ってる。それも今までが甘やかし過ぎたせいだ」

古泉「それで、今回は彼女自身から謝ってもらおうという訳ですか」

キョン「そういう事だ。だから明日もし謝らずにうやむやにしようとしても、俺は一切返事をしない」

古泉「……やれやれです。推奨は出来かねますね。あまり長引かせないようにだけお願いしますよ」

キョン「わかってるよ。じゃあまた明日な」

【翌日】

キーンコーンカーンコーン

ガラガラ……

キョン(お、ハルヒはもう来てるな)

スタスタ

キョン(さて、どんな反応を見せてくるかな)

すっ

ハルヒ「ねえ、キョン」

キョン(来たな。さて、古泉が言った通り素直に謝るかどうか……)

ハルヒ「アンタまた遅刻ギリギリじゃない。たまにはちゃんと予鈴に余裕持って来なさいよ。ねえ、聞いてる?」

キョン(やっぱりうやむやにしようとする、か……)

ハルヒ「SOS団員たるもの、時間には余裕を持って行動しなさい。出来る人間は一分一秒を無駄にしないの。わかってる?」

キョン「……」

保守ありがとうございます。途中ですみませんでした
7時までには再開します。

再開します。保守thxです

キョン「……」

ハルヒ「だから、これからはなるべく早く来なさい!そもそも団長より遅いのがおかしいのよ。わかった?」

キョン「おう国木田」

国木田「あ、おはようキョン」

キョン「今日はアホはどうしたんだ?」

国木田「まだ来てないみたいだね。どうしたんだろ、風邪かな」

キョン「はは、ないだろ」

ハルヒ「……」


【放課後・部室】

コンコン
ガチャッ

キョン「うぃっす。珍しいな、まだお前だけか」

古泉「そのようですね。どうでした?仲直りは出来ましたか」

キョン「いや、まったくだな。謝る素振りも見せない」

古泉「やはり……で、あなたは」

キョン「もちろん無視したさ。今回ばかりは流してやるつもりはないからな」

古泉「かわいそうに……。彼女も今日一日で反省したでしょう」

キョン「どうだかな。『なんで無視するのよ!』って怒られたくらいだ」

古泉「それも致し方ないでしょう。今まではそれで許されていたのですから。でも今回は許すおつもりはないのでしょう?」

キョン「ああ。きっちりと謝るまではな」

古泉「謝ってもらえさえすれば、それでよろしいのですね?」

キョン「ハルヒが謝ればな。俺だってこんな状態が続くのは勘弁だ」

古泉「では我々も出来る限りのサポートはしましょう。なるべく彼女が謝りやすいように」

キョン「……それもどうかと思うけどな。さて、そろそろみんな来る頃か」

コンコン
ガチャッ

みくる「こんにちはぁ。掃除で遅くなっちゃいましたぁ」

長門「日直」

古泉「ええ、こんにちは。これで残るは涼宮さんだけですね」

キョン「だな。まぁお前も見ればわかるよ、アイツに謝る気がないってのが」

みくる「……?キョン君、涼宮さんとけんかでもしたの?」

キョン「はい。昨日ちょっとした言い合いになりまして」

みくる「いけませんよぅ?けんかはどっちも悪いんですから、お互いに謝らないと……」

キョン「うーん、そうなんですが今回は……」

ガチャッ

キョン「!」

ハルヒ「遅れてごっめーん!岡部に呼び出されちゃってたの」

みくる「あ、こんにちは。私たちも今来たところですよ」

長門「そう」

ハルヒ「ホント?じゃあちょうど良かったわ!みんな揃ってるし、今日の活動内容を発表します!」

キョン(な?いつも通りどころか、謝る気すらさらさらないだろ)ボソッ

古泉(ふむ……?)

キョン(この調子じゃ、いくら無視したところで効果はなさそうだな)

古泉(そうでしょうか……)

ハルヒ「ほらそこ!ボソボソ話しないの!言いたい事があるならハッキリ言いなさい!」

キョン「……」

ハルヒ「ぐ……」

古泉「こ、これは失礼しました。少し世間話をしていただけです」

古泉「それで、今日の活動内容とは?」

ハルヒ「よくぞ聞いてくれたわ!今日は年末SOS団会議よ!」

キョン(さっき発表するって言っただろ……)

みくる「わあ。議題はなんですか?」

ハルヒ「ズバリ!第二回SOS団クリスマスパーティーについて!」

古泉「なるほど、素晴らしい考えかと」

ハルヒ「でしょ!?まずは場所についてなんだけど……誰か良い案はあるかしら」

古泉「検討してみましょう。なるべく低予算で、大人数が楽しめる場所が良いですね」

ハルヒ「そうね。よろしく頼むわよ副団長!ないなら部室でも良いけどね」

長門「……」すっ

ハルヒ「ん?どうしたの有希?別に挙手しなくてもしゃべって良いわよ」

長門「私の家」

ハルヒ「良いの?助かるわ、有希!悪いわね毎度」

長門「別に、いい」

みくる「じゃああたしはお料理とケーキを作りますね。簡単なのしか出来ないけど……」

キョン「いやいや、ありがとうございます朝比奈さん。いつも楽しみにしてますよ」

みくる「えへっ、そう言われると嬉しいです。頑張っちゃいます」ニコッ

ハルヒ「……」

古泉「ではあなたは去年と同じく余興要員ということですね」

ハルヒ「!」

キョン「はあ!?なんでまた俺ばっかり……」

ハルヒ「当然じゃない!キョン、アンタ去年よりつまらない事したら罰金だからね!」

キョン「たまにはお前がやってみろ古泉。あの衆目の中ですべるのがいかに苦痛か……」

古泉「ふふ、僕には荷が重そうだ。遠慮しておきます。それに、鶴屋さんならきっと大うけですよ」

ハルヒ「……なによ」

ハルヒ「……じゃあ飾り付けなんかは私がやるわ。それで良いわよね」

古泉「はい、了解しました。当日の司会進行もよろしくお願いします」

ハルヒ「任せてちょうだい。じゃあ、時間も時間だし……」チラッ

キョン「……」

ハルヒ「今日は、解散。あたしはお先に帰るわね。みんな、また明日!最後の人は戸締まりよろしく!」

古泉「畏まりました」

みくる「はぁい。あたしももう少ししたら帰りますね」

長門「……また明日」

ハルヒ「うん!……キョン、また明日ね」

キョン「……」

ハルヒ「……なんで……」ボソッ

トテトテ
ガチャッ
パタン……

ちょっと飯食ってきます。すぐ戻ります
すみません

再開します。PCに移行

tes

キョン「さて、ハルヒは今日も一言も謝ることなく帰っちまったわけだが」

古泉「そのようですね」

キョン「見ただろう古泉よ。謝るつもりなんてさらさらないんだアイツは」

古泉「ふむ。一見そのようには見えましたが……」

みくる「あのぅ……違うと思いますよ?」

キョン「朝比奈さん?」

古泉「?」

みくる「涼宮さん、今日は来てからずっとキョン君のことちらちら見てましたし……」

キョン「そうだったんですか?」

みくる「はい。何が原因でけんかしちゃったのかは知りませんけど、きっと涼宮さんは謝りたかったんだと思うな……」

古泉「朝比奈さんがそう言うのなら、そうなのかも知れませんね。しかし彼女の性格を考えると」

みくる「うん。なかなか自分からは言い出せなかったんじゃないかな。その証拠に」

キョン「?」

みくる「涼宮さん、今日はなんだか寂しそうだったから……」

古泉「そういう事でしたら、どうでしょう?もう許して差し上げるというのは」

みくる「それがいいと思いますよ。きっと涼宮さんも、謝って仲直りしたいと思ってます」

キョン「ごめん、の一言がそんなに言いにくいもんかね……」

古泉「普段からあなたに対してなかなか素直になれない彼女のことです。それはやはり難しいでしょうね」

キョン「別に俺はもう怒ってなんかいなさ。ただ一言謝れば済む話だってのに」

みくる「こればっかりは、なかなかあたしたちがどうにか出来る問題じゃありませんしね……」

キョン「このままうやむやにしたら、明日からまた俺はアイツのわがままに振り回されっぱなしなんだろうな」

古泉「やはりあなたは、彼女から一言謝罪がないと気が済まない、ということですね」

キョン「そうだな。器の小さい男だと思うかも知れんが」

みくる「ううん、そんなことはないです。でも、じゃあ……どうしたらいいかなぁ……」

古泉「弱りましたね……なかなかいい案が浮かびません」

キョン「いっそ、嘘をついてやろうか」

みくる「?」

長門「?」

古泉「嘘、といいますと?」

キョン「俺、実はあと余命いくらもないんだ、みたいにな。そうすればアイツも謝る気になるんじゃないか?」

古泉「……あまり良い案とはいえませんね」

みくる「そうですよぅ。そんな嘘ついたら涼宮さんがかわいそうだし、あたし達も悲しいです」

キョン「そうか……我ながら割と名案だと思ったんだがな」

長門「それは推奨できない」

キョン「なんでだ?やっぱり不謹慎すぎるか?」

長門「それもだけでなく、彼女が真に受けてしまった場合、あなたの余命が本当に削られる可能性がある」

キョン「げっ」

長門「それを彼女が望む可能性は限りなくゼロに近い。しかし、そうだと思い込んでしまっては大変」

古泉「ですね。あなたもまさか本当に余命をあと僅かにしてまで謝ってもらいたい訳ではないでしょう」

キョン「そりゃそうだ。そこまで情熱を持ってどうこうしたいなんて思わない」

古泉「ではその案は却下ということで」

キョン「そうだなぁ……。じゃあこれでどうだ?俺は実はもうすぐ転校する」

ファファファ

古泉「転校、ですか」

キョン「ああ。これなら嘘ついてても、あとで嘘でしたごめんなさいで済まされるだろ」

みくる「それくらいなら……嘘が良いとはあんまり思えないけど。どうですか、長門さん?」

長門「その程度であれば問題ないと思われる。問題があっても、あとで修正がきくレベル」

キョン「よし、じゃあこれで行こう。それでハルヒが謝ってくれれば、俺があとで種明かしして謝るさ」

古泉「本当に嘘をつくのですか?あまり気乗りはしませんね」

みくる「でも、本当に転校するなんて事にならないでくださいね?そうなったら私たち……」

キョン「心配しないでください。あとで修正できるって長門も言ってることだし。なぁ?」

長門「その点は問題ない」

キョン「よし、決まりだな。なに、アイツが一言ごめんって言えば、俺も謝る。仲直りして後腐れがないようにするさ」

古泉「その努力は怠らないでください。その条件付で僕たちも協力しましょう」

みくる「ちょっと涼宮さんがかわいそうな気もしますけど……」

キョン「あとはどうやってそれをハルヒに伝えるかだが……」

古泉「それも難しい問題ですね。あまりわざとらしくても逆効果ですし、貴方から直接言うのも不自然です」

みくる「じゃあやっぱり私たちが涼宮さんに嘘をつくって事になるんですか……?」

長門「その方法が最も自然」

古泉「僕たちには話してくれましたが、彼女にだけは辛くて言い出せなかったという事でいきましょうか」

長門「了解した」

キョン「すまんな。もう器のでかい男ならなんともなかったんだが」

古泉「ふふ、まったくです。しかしまぁ、こんな小さい事に真剣に取り組むということは、平和である証ですからね」

みくる「そうかも知れませんね。時間遡行や閉鎖空間に比べたら、かわいい問題ですよっ」

長門「同感」

キョン「それもそうか……。じゃあ明日の放課後、みんなよろしく頼む」

古泉「了解です。ただし今回限りにしてくださいよ?痴話喧嘩に巻き込むのは」

みくる「うふ、そうですねぇ。ちゃんと仲直りしてくださいね、キョン君」

みくる「キョム君」
キョン「チリーン」ニヤニヤ

ハルヒ「もう許して!」

【翌日】
国木田「おはようキョン。今日もダルそうだね」

キョン「おう、おはようさん。うるさいっての。そりゃこれだけ寒かったら学校来るのも億劫だろうよ」

国木田「たしかに最近また寒くなったしね」

キョン「だな。あれ?アホはまた来てないのか。こりゃインフルエンザかも知れんな」

国木田「そうかも知れないね。インフルエンザは風邪とは違うみたいだし」

キョン「しょうがない、今日見舞いに行っとくか」

国木田「そうしようか。今日も部活はあるの?」

キョン「ああ。終わってから家に寄らせてもらうとするよ」

国木田「だったら僕も一緒に行くよ。キョンが部活行ってる間に果物でも買ってきとく」

キョン「そうか?悪いな。あとで半分出すよ。部活終わったら一緒に行こうぜ」

国木田「うん。部活休んだら彼女にどやされるしね」クスッ

キョン「いやぁ、アイツもそこまで鬼じゃないと思うぞ」

国木田「あ、そうだ。それで思い出したんだけどさ」

キョン「うん?」

国木田「キョン、涼宮さんと喧嘩でもしたの?」

キョン「あ?あー、まぁ、ちょっとな。なんでだ?」

国木田「昨日からの二人の様子みてて気づかないほうがおかしいと思うよ」

キョン「そんなにわかりやすいかね……」

国木田「普段からあんなに仲良いのに、急に一言も喋らなくなるなんてね。そりゃ見てたらおかしいと思うって」

キョン「……まぁ、ちょっとした事で言い合いになっててな。ちょっと意固地になってんだよ」

国木田「あはは、だと思った。でもクラスじゃ『ついに破局か?』なんて好き勝手言われてるよ」

キョン「はぁ?なんだそりゃ。迷惑もいいところだ」

国木田「そう言うと思った。でもま、早めに仲直りしなよ?見ててちょっと彼女がかわいそうだし」

キョン「アイツが謝ってくれたらそれで解決なんだがなぁ」

国木田「キョンが先に折れてあげれば良いのに。今までだってそうだったんだろう?」

キョン「そりゃそうなんだが……今回はやっぱり折れられないな。なんとかしてハルヒに謝らせる」

国木田「……君の台詞を借りるなら、やれやれってところだね」

ガラガラ

国木田「ほら、噂をすれば彼女が来たよ」

キョン「……」

ハルヒ「!」

キョン「……」

トテトテ

トテトテ

ハルヒ「お、おはようキョン。国木田も」

国木田「うん、おはよう涼宮さん」

ハルヒ「キョン、あんた昨日の言いつけちゃんと守ったのね。あたしより先に来てるなんて、感心感心」

キョン「……」

ハルヒ「その調子で、これからも……毎日遅刻せずに来なさいよ!わかった?」

キョン「……」

ハルヒ「次遅刻したら厳罰だからね。じゃあ、あたし先に席ついてる……から……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

トテトテ

トテトテ


国木田「……」

キョン「……」

国木田「大人気ないなぁ、まったく」

キョン「なんとでも言ってくれ……」

国木田「彼女もなんとか普段どおりにしようとしてるのに。かわいそうに、涼宮さん」

キョン「……」

国木田「今日帰るまでに仲直りしときなよ?僕にできることがあれば協力するからさ」

キョン「努力はしてみる」

国木田「ふふ、あんなにわかりやすい涼宮さんなんて、珍しいよね。早く仲直りしなくちゃ」

キョン「……」

あれ?ID変わっちゃった

【放課後・教室】
ハルヒ「あーあ、やっと退屈な授業が終わったわ」

キョン「……」

ハルヒ「6限目に数学入れるなんて、時間割組んだ奴は脳の効率性とかわかってんのかしら」

ハルヒ「あんたは今日掃除当番だっけ?だらだらやらないで、終わったらちゃっちゃと部室に来なさいよ?」

ハルヒ「惰性の長時間よりも、濃密な短時間で効率よく!仕事の基本なんだから」

ハルヒ「じゃああたしは先に行くから。また後でね!」

ガラガラ
ピシャン!
キョン「……」

国木田「まだやってたの?意地が悪いねキョンも」

キョン「このままうやむやにしちまうのもなんだかなって思ってな」

国木田「まったく……そんなにケツの穴の小さい男じゃ、彼女の相手は務まらないだろう?」

キョン「谷口みたいな事言ってるんじゃないっての」

国木田「でもあんまりやりすぎると、彼女の寂しさにつけいる輩が出てくるかも知れないよ?」

キョン「!」

国木田「はは、なんてね。キョンだって仲直りしたいんだろ?ほら、掃除は僕がやっとくから、早く部室いきなよ」

キョン「……悪いな、国木田」

国木田「良いよこれくらい。その代わり、今日の帰りにコーヒーでも奢ってもらおうかな」

キョン「ああ、約束するよ。じゃあ、また後でな」

国木田「うん。適当な時間で迎えに来るよ」

キョン「また学校まで戻ってきてくれるのか?面倒だろうに」

国木田「良いんだよ、寒いから体も暖まるだろうしね。それに」

キョン「それに?」

国木田「キョンがちゃんと彼女と仲直りできたかどうかも気になるからね。一枚噛んだ以上はさ」

キョン「……保障はできんが、努力はするよ」

国木田「あはは、期待しないで待ってるよ。じゃあね」

キョン「ああ、また後で」

【文芸部室】
ガチャッ
バタン!
ハルヒ「ん、みんな揃ってるわね!」

みくる「あ、こんにちはぁ」

古泉「これは、お早いお着きですね。お疲れ様です。彼は一緒ではないのですか?」

長門「……」

ハルヒ「キョンなら掃除よ。もうすぐ来るんじゃないかしら」

みくる「そうですかぁ……」

ハルヒ「なによ、みんなして沈んだ顔して。なにかあったの?せっかくクリスマスパーティーの詳細を……」

みくる「……古泉君。やっぱり涼宮さんにも、きちんとお話しなくちゃ」

古泉「いや、しかし彼の口から……」

長門「……」

ハルヒ「な、なに?キョンの事?なにがあったのよ……?」

みくる「やっぱりキョン君からは言い出せないと思います。ここはあたし達が」

古泉「そうですね。致し方ありません。いずれわかってしまう事ですし」

ハルヒ「なんなのよ……?キョンがどうかしたの?」

古泉「涼宮さん。これから僕たちがいう事を、どうか落ち着いて聞いてください」

ハルヒ「うん。なに?落ち着いてるから、ちゃんと話してちょうだい」

古泉「良いですか?まことに残念なことなのですが……」

ハルヒ「……うん」

古泉「僕たちには前以て話してくださいました。しかしやはり涼宮さんに言うのは心苦しかったのだと思います」

ハルヒ「うん、わかった。早く言って」

古泉「良いですか?せっかく企画していただいたクリスマスパーティーですが」

ハルヒ「うん」

古泉「残念なことに……その頃にはもう」

ハルヒ「うん」

古泉「彼は、この学校には居ません。来週にも、転校してしまわれるのです」

ハルヒ「えっやだ」

古泉「きっと彼も近々涼宮さんにお話するつもりだったのだとは思いますが……やはり、知っていてもらいたいと」

ハルヒ「いや!!」

古泉「……」

ハルヒ「え?なんでそんな急に?こんな時期に?」

古泉「親御さんの都合だそうです。どうしようもありません」

ハルヒ「えっ……だってあたし……聞いてない……え?」

みくる「あたし達も、なんとか引きとめようとはしたんです。でも……」

長門「……これは彼の家庭の問題」

ハルヒ「ちょっと待ってよ!私、なんにも聞いてない!なんにも!だって……」

ハルヒ「昨日も、そんな素振りぜんぜん見せなかったじゃない!なのに?そんな急に言われても、あたし……」

みくる「涼宮さん……」

ハルヒ「あたし、まだちゃんと仲直りできてない……けんか、したままなのに……」じわっ……

ハルヒ「そんな急に言われても困る……困るよ……」ぽろっ

古泉「!」
みくる「あっ……」
長門「!」


ハルヒ「なんでっ……いやだ……いや……どっかいくなんて……いやだよぅ……」ぽろぽろ

古泉(……これは……予想外でしたね。まさか泣いてしまわれるとは……)

みくる(涼宮さん、ごめんなさいごめんなさい……泣かないで……)

長門「……」

ハルヒ「うっ……ううぅ……!」ぽろぽろ

古泉(よっぽど衝撃的だったのでしょう。気丈な彼女がこんな風に泣いてしまわれるとは)

みくる(かわいそうすぎです……スカートを握り締めて……古泉くん、やっぱり……)

古泉(そうですね。もうばらしてしまいましょう。彼には申し訳ありませんが、彼女をこれ以上悲しませられません)

長門(同感)

ハルヒ「ううっ……キョン……ごめん……うぐっ……ごめんなさい……!」ぽろぽろ

みくる「あの、涼宮さ……」



コンコン

ハルヒ「……!」ぐしぐし

みくる「あ、あの……キョン君……」

キョン「あ、すいません。着替え中でしたか?」

みくる「う、ううん。違います。違いますけど……」

ハルヒ「ひぅっ……あ、あいてるわよ」ぐしぐし

古泉「!」

ガチャッ……

みくる「あっ……」

キョン「よう。皆もう揃って、って、ハルヒ!?」

ハルヒ「うっ……うぐっ……な、なによ……」

キョン「どうしたんだお前……」

古泉「すみません。彼女にあの話をしたところ……こうなってしまいまして」

キョン「それでこんなにぼろぼろ泣いちまったのか……すまん。なぁ、ハルヒ」

ハルヒ「いやだ……キョン、転校しちゃやだ……どっかいっちゃいやだ……ひぐっ」

キョン「落ち着けっハルヒ」

ハルヒ「やだよぅ・・・やだよぅ・・・」

キョン「よく聞け」

キョン「実は転校するのは俺じゃなくて古泉なんだ」
古泉「えっ」

ハルヒ「なぁーんだ。よかったぁ~」

古泉「えっ」


みたいな展開

古泉「申し訳ありません、僕たちではフォロー出来かねます。あとはお任せしてもよろしいですか」

みくる「ごめんなさいキョン君……涼宮さん、ごめんなさい」ぺこっ

ハルヒ「キョン……どっか行っちゃうの?あた、あたしたち、おいて?転校するの?」ぽろぽろ

キョン「あー……その事なんだが……」

ハルヒ「私、まだ、仲直りしてない……のに……このままはなんて、絶対イヤだからね……」

キョン「いや、だから……」

ハルヒ「……すぅ」ぐしぐし
ハルヒ「ごめん。ごめんなさい。無視しないで……お願い。このまま別れるのは、絶対イヤ……キョン、ごめんなさい」

古泉「!」

キョン「!……ああ、俺こそ悪かった。大人げなかったな。ごめんな、ハルヒ」

ハルヒ「うん……うん……!よかった……このまま無視されたまま、だったら、私……どうしようかと……うううぅ……」

キョン「悪かった。俺も意地張らなきゃ良かったんだ。それと、もうひとつ謝らなきゃならんことがある」

ハルヒ「うん……なに?」

キョン「すまん。転校するっての、嘘なんだ」

ハルヒ「…………え?」




キョン「……という事でだ。そこでみんなに無理をお願いして協力してもらったって訳だ」

古泉「申し訳ございませんでした。まさかここまで大事になってしまうとは思わなかったのです」

みくる「あっあの、ごめんなさい……意地悪な嘘をついちゃいました。ごめんね……?」

長門「……すまない」

ハルヒ「……」ぷるぷる

古泉「申し開きもございません。いかなる処罰でも受ける次第です」

みくる「涼宮さん、本当にごめんなさい……」

キョン「すまんかった、ハルヒ。心配するな、俺は転校なんか出来るほど頭に余裕がない」

ハルヒ「みくるちゃん達はぜんっぜん悪くないわ。この馬鹿につき合わせちゃって悪かったわね」

みくる「……あたし達も、悪いんです」

ハルヒ「全部このバカキョンのせいよ。ついていい嘘と悪い嘘ってもいんがあるでしょうが。そんな事もわからないの?」

キョン「いや、だから本当に悪かった。すまん、この通りだ」

ハルヒ(アンタのせいで……アンタのせいで、皆の前であんな泣き顔を……!!)ぷるぷる
ハルヒ「問答無用ッッ!!」

【30分後】

古泉「大事にならずに済んでなによりでしたね」

キョン「大事だっての。こっちはデコピン20発食らってんだぞ」

古泉「女の子を泣かせたのです、それくらいでは安いくらいですよ」

キョン「……そうは言うけど、そうとうに痛かったぞ。それこそ泣くほどに」

古泉「実際に涙が出てましたしね。しかし、そこは彼女にも反省があったからでしょう。結果よければというやつですよ」

キョン「まぁ、普段ならばこれくらいじゃ済まないだろうからな」

古泉「あなたに無視されるのがよっぽど堪えたのでしょうね」

キョン「アイツも言ってたしな。今回はあたしも悪いからこれくらいにしといてやるわって」

古泉「大きな収穫ではありませんか。あなたの当初の目的は果たせたのでしょう」

キョン「まぁな。俺も痛い目見たし、これからは多少のわがままなら笑って許してやれるさ」

古泉「そうですね。そのスタイルの方が、あなた達にはお似合いですよ。彼女も懲りたでしょうし」

キョン「やり方は確かにまずかったがな。反省してるよ」

古泉「そう思えるのであればそれが一番でしょう。仲直りできてなによりです。それはそうと……」

古泉「喧嘩の原因は結局なんだったのです?」

【10分後】
コンコン
ガチャ

国木田「キョン、そろそろ谷口の見舞いに……」

キョン「ほ、ほら、国木田も迎えに来たし、そこらへんで、な?そんなに怒るなよ」

古泉「ふふ、怒ってなどいませんよ。ただ、今回限りにしてほしいですね」

キョン「そ、そうするよ。そんなに怖い顔しなくても良いだろうに」

古泉「朝比奈さんと長門さんにもこの事はお話しておきます。さぞ呆れられるでしょうが」

キョン「だから悪かったって。原因はしょうもない事だって言ってただろ」

古泉「確かに、どうしようもないほど下らない理由でしたね。どうしてあそこまでの喧嘩になるのやら想像もつきません」

キョン「……悪かった。国木田、わざわざ迎えに来てもらってすまんな。早いとこアホの家に行くとしよう」

国木田「?うん、そうだね」

ガチャッ

バタン……


古泉「まったく……なんとも、羨ましい限りですよ。僕達の苦労も実を結べば良いのですが」

【谷口宅】

国木田「仲直りできたみたいで良かったじゃないか」

キョン「まぁな。お前にも迷惑かけたしな。でも古泉もあそこまで怒ることないだろうに」

国木田「ふふ、そりゃあ怒るよ。終わってみればただの惚気話に付き合わされただけだったんだがら」

キョン「そんな話じゃないだろ」

国木田「お互いに見合う相手が自分くらいしか居ないって?そんな話をする相手によく転校するなんて嘘をつけたね」

キョン「だからそれは反省してるって……」

国木田「そりゃあ彼女でも泣くよ。可愛そうに、よっぽどキョンの事が好きなんだね」

キョン「だからそんなんじゃないっての」

国木田「キョンだって、涼宮さんに言い寄る男が居るかもっていったら慌ててたくせに」

キョン「まぁそれは確かに……そうだけどな」

国木田「ふふ、いい加減付き合っちゃえば良いのに。あんまりのんびりしてると誰かにとられちゃうよ?」

キョン「馬鹿を言え、馬鹿を。あんな騒がしい奴、相手に出来る奴なんてそうそう居ないさ」

国木田「僕の目の前には一人居るけどね」


谷口「げほっ……うえほっ……お、お前ら……俺を殺しに来たのか……」

おわりです。久々にSS書いた。
たいしたオチもなく終わりで申し訳ない。保守支援thxでした

病状長門の人かと思てた

>>270
そうです
酉バレしてたようなので変えようかなと

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